JP2004519234A - 核mRNAの収集および使用方法 - Google Patents

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Abstract

慣用的遺伝子発現システムおよび精製方法は、全細胞中に存在するmRNAを標的にするため、それらの結果は、新規転写mRNAおよび消化mRNAの合計を示す。したがって従来は、mRNAの消化が進行中である条件下で新規mRNAの発現を検出することは難しかった。さらに、大量のmRNAがすでに存在する場合、mRNAの量のわずかな変化を検出することは困難なため、感度は低い。新規の方法は、新規合成mRNAは核内部に限定して存在するという事実に注目することにより開発される。細胞を膜上に捕捉し、次に細胞膜透過溶液、例えばNP−40により処理し、それにより細胞膜に対する透過性を増大させる。細胞質を洗浄後、核を細胞溶解溶液で溶解し、次に、このようにして得た溶液からmRNAを首尾よく回収することができる。この方法は非常に簡単であり、2〜3分余分な時間を要するだけであるが、多数の検体を処理することができ、本方法は、自動化システムに組み入れることができる。したがってこの方法は、遺伝子発現分析、特にRT−PCRのための試料を処理する標準方法でとなりうる。

Description

【0001】
[発明の分野]
核mRNAの単離方法を開示する。特に本方法は、フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、細胞を透過可能にすること、核を単離することを含む。次に核を溶解し、抽出物を回収する。
【0002】
[発明の背景]
mRNAを単離する従来の方法は、細胞から全mRNAを単離する。この方法で単離されたmRNAは、サイトゾルmRNAおよび核mRNAを含む。発現の定量化および分析のためには、細胞質中で分解されつつあるmRNAでない、新規合成mRNAだけを単離することが重要である。本発明の方法では、遺伝子の発現レベルまたは遺伝子の発現における変化の「真の」読み取りができる。
【0003】
遺伝子発現分析は、機能的ゲノム学の分野において大きな関心事である。目下、ヒトゲノムがシーケンシングされており、疾患に関与する遺伝子および突然変異を特定することが大いに必要とされている。これらは、上方制御または下方制御される遺伝子か、あるいは多型性を有する遺伝子であり得る。これらの遺伝子を分析するために用いられる方法の多くが、mRNAの単離を含む。例えばDNAマイクロアレイチップは、数千の異なる遺伝子の発現プロフィールを同時に分析することができる。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、個々の遺伝子の発現を定量化するために用いられる非常に高感度の方法であり、より多くの労働集約型ノーザンブロット分析に代わって急速に用いられている。高感度遺伝子検出に利用可能な、多数のその他の非PCR技法、例えば核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)および分枝鎖DNA(bDNA)増幅が挙げられる。
【0004】
これらの、およびその他の検出技法の多くが開発され、商業化されてきたが、出発物質は常に、細胞試料または組織試料からの全RNAまたはポリ(A)+RNAである。細胞全体からの全RNAまたはmRNAが用いられる場合、得られるものは、転写産物の混合物ならびにサイトゾルからの分解産物の混合物である。このために、mRNAの消化が進行中である条件下で、新規のmRNAの発現を検出するのは困難である。さらに、大量のmRNAがすでに存在する場合、mRNAの量のわずかな変化を検出することは困難なため、これらの検出技法の感度は低い。
【0005】
未熟mRNAの転写は核内で起こり、そこではポリ(A)テールが付着され、必要に応じてスプライシングが起こる。この後、成熟mRNA分子は細胞質に移動し、翻訳され、分解される。核中のmRNAの量がmRNAの転写(分解でない)量に直接関連するため、核分画中の特定のmRNA(または核RNA)の量を測定するべく、核分画を精製する試みがなされてきた。核分画を特異的に分析するための従来の試みとしては、特定遺伝子の転写のレベルを測定する核ラン−オンアッセイが挙げられる。しかしながら、このアッセイの使用に対する主要な障害は、必要とされる時間、リボヌクレアーゼの混入を裂けるために非常に注意深く取り扱う必要があること、ならびに放射性廃棄物の発生である。核分画の精製のためのその他の技法は、長時間の超遠心分離、または労働集約型マイクロインジェクションを用いて、核mRNAの精製および分析を実施する。これらの方法は、ハイスループットでなく、精確な定量化に適していない。さらに、例えば超遠心分離をしている間、核mRNAが保存されるか否かは明らかでない。
【0006】
したがって、mRNAの核分画を単離および分析するための迅速な、高感度の、信頼できる、かつハイスループット方法が必要とされている。この方法は、遺伝子の「真の」転写レベルの分析を可能にする。
【0007】
[発明の概要]
上記を考慮して、本発明の一態様において、細胞からのRNAの単離方法が提供される。本方法は、(a)フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、(b)細胞を透過可能にして、核を単離すること、および(c)核膜を溶解して、核RNAを、通常は核mRNAを回収することを含む。上記においては、少なくとも以下の実施形態が含まれうる:フィルターまたは膜がガラス繊維膜であり得る;低刺激性洗浄剤を適用することにより、透過可能にしてもよい;透過可能にした細胞膜を洗い落とすことにより、核が単離され得る;洗浄が、真空濾過による洗浄であり得る;溶解緩衝液により核膜を溶解してもよい;溶解緩衝液が強力洗浄剤を含み得る;さらに、mRNAの回収は、下流RNA調製のための容器、フィルターまたはカラムに、透過可能にした核の内容物を移すことによるものであり得る。本発明は、上記実施形態を、単独あるいはそれらを組合せて採用することができる。
【0008】
本発明の上記の態様によれば、新規合成(転写)mRNAの発現は、mRNAの消化が進行中である条件下においても検出することができる。本発明は非常にシンプルであり、従来の単離方法と比較して2〜3分余分な時間を要するだけであるが、多くの検体を処理することができる。この方法は、自動化遺伝子発現システムに容易に組み入れることができる。
【0009】
本発明の別の態様では、特定遺伝子の転写体を同定および/または定量化するための方法が提供される。本方法は、(a)上記の単離方法を用いて単離mRNAを得ること、(b)上記のプレート、フィルターまたは膜上でmRNAを逆転写すること、および(c)当該遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを実施することを含む。
【0010】
別の実施形態では、DNA修復過程に関与する遺伝子を同定または定量化する方法が提供される。本方法は、(a)DNA損傷剤で細胞を処理すること、(b)上記の単離方法により単離RNAを得ること、(c)mRNAを逆転写すること、および(d)DNA損傷により、転写が上方制御された、または活性化された遺伝子を同定することを含む。上記において、一実施形態では、同定はRT−PCR、ノーザンブロット、RAP PCR、ddPCR、サブトラクションおよびアレイまたは遺伝子チップ分析からなる群から選択される方法による同定であり得る。
【0011】
本発明は、以下の方法に有効に適用することができる:
細胞中での遺伝子発現を検出するための方法は、(a)フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、(b)細胞を細胞膜透過溶液と接触させ、細胞膜の透過性を増大させること、(c)細胞質を洗浄すること、(d)細胞質を洗浄した細胞を細胞溶解溶液と接触させ、核を溶解して核溶液を得ること、(e)核溶液からmRNAを回収すること、および(f)回収mRNAの量に基づいて、細胞中の遺伝子発現を確認することを含む。この態様によれば、mRNAの消化が進行中である条件下においてさえ、高精度の遺伝子発現を伴う大規模なプロセシングが実現され得る。
【0012】
上記においては、少なくとも以下の実施形態を含み得る:フィルターまたは膜はガラス繊維膜であり得る;細胞膜透過溶液は、細胞膜を溶解するが、核を溶解しない低刺激性洗浄剤であり得る;洗浄工程はフィルターまたは膜上で実行され得る;洗浄工程は真空濾過により実行され得る;細胞溶解溶液は、核膜を溶解する溶解緩衝液であり得る;溶解緩衝液は強力洗浄剤を含み得る;mRNA回収工程は、オリゴdT固定化固体支持体に、透過可能にした核の内容物を移すことにより実行され得る;固体支持体はプレート、フィルターまたはカラムであり得る;プレート、フィルターまたはカラムは、フィルターまたは膜が適合するような形状を有し得る;さらに、mRNA回収工程は、mRNAと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド固定化固体支持体に、透過可能にした核の内容物を移すことにより実行され得る。本発明は、上記実施形態を単独、あるいは2つまたはそれ以上を組合せて採用することができる。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、細胞中での遺伝子発現を確定するための方法が提供される。本方法は、(i)第1の生物学的試料から細胞を収集すること、(ii)フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、(iii)細胞を細胞膜透過溶液と接触させ、細胞膜の透過性を増大させること、(iv)細胞質を洗浄すること、(v)細胞質を洗浄した細胞を細胞溶解溶液と接触させ、核を溶解して核溶液を得ること、(vi)核溶液からmRNAを回収すること、(vii)第2の生物学的試料からの細胞を用いて工程(i)〜(vi)を反復すること、および(viii)工程(vi)および(vii)においてそれぞれ回収された特定種のmRNAの量の変化に基づいて、細胞中の遺伝子発現を確定することを含む。上記において、一実施形態では、指定された処理は、第1の試料でなく、第2の試料に適用され得た。この方法は、指定された目的のための候補化学物質の効力の確定のために有効に用いることができる。
【0014】
本発明、および従来技術を超えて達成された利点を要約するために、本発明の特定の目的および利点を説明してきた。もちろん、このような目的または利点のすべてが、必ずしも本発明の任意の特定の実施形態にしたがって達成され得るというわけではないことを理解されるべきである。したがって、例えば、本発明は、本明細書中で教示されたような1の利点または利点群を達成するかまたは最適化する方法で具体化または実行され得るが、本明細書中で教示されまたは示唆され得るような他の目的または利点を達成する必要はないことを当業者は認識するであろう。
【0015】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明のこれらの特性または他の特徴を好ましい実施形態の図面を参照して説明するが、これらは本発明を例示するものであって、限定することを意図しない。
【0017】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
核mRNAを単離するための迅速、簡単な方法であって、固体支持体上に細胞を捕捉すること、細胞を透過可能にすること、および核を単離することを含む方法が開示される。核が溶解され、核mRNAを含む抽出物が回収される。本方法は、ハイスループット精製、および遺伝子の「真の」発現レベルの分析を可能にする。本方法は、分解産物の妨害を受けることなく、遺伝子発現におけるわずかな変化を同定することも可能にする。
【0018】
図1を参照すると、本手順における第1の溶解は、核(新規合成mRNAを含有する)を無傷のまま残しつつ、細胞膜および細胞質(ミトコンドリアおよびmRNA分解産物、tRNAならびにrRNAを含む)の除去を可能にする、低刺激性溶解である。細胞は溶解するが、核は溶解しないように、低刺激性洗浄剤が用いられ得る。用いられ得る洗浄剤の例としては、NP−40、トリトン−X100およびサポニンが挙げられるが、これらに限定されない。低刺激性洗浄剤は、激しく混合せずに細胞を透過可能にするのに十分な時間、細胞上に残留させる。短時間の低刺激性洗浄剤の使用は、核膜を溶解または透過可能にすることなく、細胞を透過可能にさせ、実際、核に対する損傷はほとんどまたは全く認められない。さらに本方法は、すべての細胞に溶液を曝露することを可能にして、これがmRNAのより良好な収率をもたらし、リボヌクレアーゼの不活性化が必要とされない。
【0019】
次の工程は、通常は、核を溶解するのに十分な時間、強力洗浄剤を用いて核を溶解することを含む。穏やかに混合することにより、すべての核を溶解溶液に曝露し、リボヌクレアーゼを不活性化することができるが、しかしながらこの手順は必要であるとは考えられず、有益でもなく、実際、その手順を行うことにより収率が低減することがある。
【0020】
その結果得られたmRNAは、mRNAを必要とする任意の方法に用いることができるが、しかしながら本開示方法は、遺伝子の発現を分析するために特に有益である。これは、分析対象であるmRNAが、核内で新規に合成されるmRNAであるためである。通常は、mRNAの精製方法は、細胞質中に見出される任意の分解産物を含む全mRNAを用いる。したがって本発明の方法は、異なる細胞条件下で遺伝子により産生される転写体を分析するために特に有益である。転写体のサイズ、ならびにレベルを、より精確に同定することができる。
【0021】
好ましい実施形態の方法により生産されるmRNAを使用することは、mRNA発現を分析するための任意の方法を含む。これらの例としては、PCR、cDNAライブラリー生成および分析、遺伝子チップおよびマイクロアレイの分析、ddPCR(および相当するその他の技法)、ならびに定量的PCRが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
溶解手順を実施する前に、細胞は固体支持体に適用される。固体支持体は、電荷により、共有結合的にまたは疎水的に細胞の付着を可能にするか、あるいは単に細胞に対する支持を提供し得る。固体支持体の例としては、膜、フィルター、ガラスプレート、紙、プラスチック、ビーズ、繊維性ポリエステルおよびカラムが挙げられる。使用する固体支持体の選択は、mRNAに関する目的に依存する。例えばmRNAを、蛍光標識し、蛍光顕微鏡により分析しようとする場合、ガラススライドが用いられ得る。mRNAを定量的PCRのために用いようとする場合、フィルターを有するマイクロウェルプレート、あるいはチップまたはアレイが用いられ得る。
【0023】
初期細胞溶解
初期細胞溶解においては、細胞質膜を透過可能にするかまたは除去するが、核を溶解しない任意の物質、試薬または緩衝液を用いることができる。溶解を実施している間、細胞質が核と接触したままであって、核を保護することは、有益であり得る。溶解のために用いることができる緩衝液の例としては、低刺激性洗浄剤、PBSまたはハンクス平衡塩溶液を含有する緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。通常は、第1の溶解が低刺激性であるために、混合はほとんどまたは全く行わない。細胞は、細胞膜のほかに細胞壁を有し、細胞膜を除去する前にまたは同時に細胞壁を除去するための付加的工程が必要であることがある。原核生物細胞に関しては、核溶解は必要でなく、初期溶解は、細胞壁の除去を行っても、行わなくても十分である。
【0024】
細胞壁除去
必要な場合には、細胞壁は、最初の溶解の前に、または同時に除去される。動物細胞、昆虫細胞および原生動物は、通常は細胞壁を有しない。したがってそれらは、細胞壁または細胞壁型構造を除去するための前処理を必要としない。しかしながら、ほとんどの細菌は、ペプチドグリカンを含む細胞壁を有する。真菌はセルロースまたはキチンを含む細胞壁を有し、植物はセルロース、リグニン、ペクチンおよび/またはケラチンを含む細胞壁を有する。しかしながら細胞膜を無傷のまま残しつつ、細胞壁を除去する方法は既知であり、数十年間用いられてきた。これらの方法は、スフェロプラスト、プロトプラストまたはL形態と称されることがある変異体を産生する。本方法の概略を以下に記載する。しかしながらこのような方法は、当業者により特定され得る。
【0025】
細菌によって種々の型の細胞壁が存在し、それらは細胞壁がないもの(マイコプラズマ)から、内生胞子と称される破壊するのが困難な非常に強力な保護構造を有するものまでさまざまである。真正細菌の細胞壁はしばしば、グラム陽性またはグラム陰性と呼ばれ、種々の菌株による処理に対する細胞の反応に関連する。グラム陽性菌は、ペプチドグリカン層および細胞膜のみを有し、一方、グラム陰性菌は、外膜、ペプチドグリカンを含む細胞壁および内膜を有する。抗酸菌、例えばマイコバクテリア属は、通常は細胞壁に脂質構成成分を含む。各細胞壁を除去するためには、それぞれわずかに異なる処理が必要である。しかしながら、すべての種類の細胞壁を除去するためのそれぞれの方法が存在する。
【0026】
L形態、スフェロプラスト、およびプロトプラストを生産する細菌から細胞壁を除去する方法は、長年既知であった。その方法は、通常は、細胞壁構成成分を分解する酵素の使用、およびその結果得られる、細胞壁を有さない細胞の浸透圧を安定化する緩衝系の使用を含む。あるいは細菌を、細胞壁を分解する抗生物質を含む培地中で増殖し、その結果生じるL−形態、スフェロプラストまたはプロトプラストの浸透圧を安定化する培地を用いる。用いられてきた酵素としてはリゾチームが挙げられるが、これに限定されない。用いられてきた抗生物質としては、ペニシリン、例えばアンピシリン(10X MIC(Hornsten, EG, et al. Diagn. Microbiol Infect Dis 1989 Mar−Apr; 12(2):171−5))およびグロボマイシン(Globomycin)(Inukai M., et al. J. Antibiot (Tokyo) 1978 May; 31(5): 410−20)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
細菌が付加的に莢膜を有する場合、莢膜の除去の方法が当該技術分野で既知であり、その例としては、種々の温度での1時間のインキュベーションにおいて、水およびPBSを使用することが挙げられる(Gentry, et al. Am J. Vet. Res. 1982 Nov; 43(11):2070−3)。グラム陰性菌、例えばグルコノバクター属(Gluconobacter)、アセトバクター属(Acetobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、およびコリネバクテリウム属(Corynebacterium)からのスフェロプラストの産生のための標準技法は、トリス−スクロース−EDTA−リゾチームの使用を含む(Verma, V. et al. Biotechniques 1989 May; 7(5):449−52)。グラム陽性菌、例えばバシラス属(Bacillus)およびクロストリジア属(Clostridia)は、プロトプラストを産生するために多少強い処置を要する(Jacobson, ED, et al. J. Bacteriol. 1975 Oct; 124(1): 445−8;およびDurban E. et al. Can J. Microbiol 1974 Mar; 20(3): 353−8)。塩化リチウムの使用により、ペスト菌(エルジニア属(Yersinia))に関してもスフェロプラストが産生され得る(Gramotina LI., et al. Antibiotiki 1977 Jul; 22(7):634−9)。グラム陰性菌、例えばE.coliに関する他の方法は、リゾチームおよびEDTAを用いる(Birdsell D.C., et al. J. Bacteriol 1967 Jan; 93(1):427−37)。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)は若干異なる方法を要し(Beardsley, et al. Cancer Res. 1966 Aug; 26(8):1606−10)、ストレプトミセス属(Streptmyces)は、リゾチームおよびペニシリンを補充した液体培地中でスフェロプラストを生産する(Innes C.M., et al. J. Appl. Microbiol. 2001 Mar;90(3):301−8)。
【0028】
真菌は、キチンおよび/またはセルロースを含む細胞壁を有する。通常は、酵素を用いて細胞壁を除去し、その過程は、浸透圧安定性を可能にする培地または緩衝液中で実行される。細胞壁を除去するために用いられる酵素としては、セルロースおよびキチナーゼ(Masuda, S. et al. Biosci Biotechnol Biochem 2001 Aug; 65(8):1883−5)が挙げられるが、これらに限定されない。酵母は、変異体型の細胞壁を有する型の真菌である。酵母細胞は、還元剤、ならびに担子菌類(Basidiomycete)から単離される1,3β−グルカナーゼまたはそれに匹敵する酵素の混合物を用いて、スフェロプラストを生産し得る(Havelkova, M. Arch Mikrobiol 1973 Mar 2; 90(1): 77−88)。この方法は、子嚢菌類(Ascomycetes)およびいくつかの不完全真菌に関して用いられ得る。その他の真菌は、二次酵素である1,4−α−グルカナーゼの添加を要した。
【0029】
原生動物、例えばアメーバは、細胞壁を有しない。ゾウリムシ、プラスモジウム、ジアルジア、およびその他の原生動物は、外皮を有する。アカパンカビ属(Neurospora)のような原生動物は、外皮を有しているにもかかわらず、スフェロプラストを生産する(Scarborough GA., et al. Anal Biochem 1974 Oct; 61(2):441−7)。
【0030】
植物細胞は、1つまたは複数の以下の物質:ペクチン、リグニン、およびケラチンを含み得る強力な細胞壁を有する。したがって、スフェロプラストを生産するためには、細胞壁構成成分を分解し得る酵素が培地中で用いられて、このことが浸透圧を安定化する。用いられる通常の酵素としては、リグニナーゼ、ペクチナーゼおよびケラチナーゼが挙げられるが、これらに限定されない(Levit, M.N., et al. Bioorg Khim 1992 Mar; 18(3): 309−45)。
【0031】
組織からの単一細胞の単離
本明細書中に開示された方法に関しては、通常は単一細胞を用いる。したがって、組織生検または器官からの細胞が用いられる場合、最初の溶解を膜に適用する前に、通常は、細胞外マトリックスが除去され、細胞が分離される。細胞外マトリックスの除去および各細胞の単離をするための技術は既知であり、組織培養の工程で用いられる。それは、EDTAおよびトリプシンの使用を含む。あるいは組織および細胞間マトリックスの解離を引き起こす任意の酵素または緩衝液が用いられ、その例としてはコラゲナーゼが挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
最終的な核溶解
核溶解工程は、元の固体支持体上で実施してもよく、あるいは核を第2の支持体、例えばmRNA、RNA、DNA、またはそれらの任意の混合物を特異的に結合する膜に移してもよい。しかしながら、前記核は無傷であるが脆弱であり、それらの移動工程を実施すると、mRNAの収率を低減することがあるため、通常は、核は移動されない。
【0033】
核は、mRNAを損傷することなく、核の透過処理および溶解を可能にする任意の方法により溶解することができる。通常は、洗浄剤を激しく混合しながら用いることにより、すべての核の完全溶解を達成する。本方法に使用可能な洗浄剤としては、NP−40、SDS、およびトリトン−Xが挙げられるが、これらに限定されない。用いられ得るその他の緩衝液または試薬としては、InvitrogenのFast track kitの溶解緩衝液が挙げられる。あるいは以下の基礎構成成分またはその等価物を含有する緩衝液:pHを維持するための緩衝液、オリゴ−dTおよびポリAテール間のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを維持するための塩、膜を溶解するための洗浄剤、デオキシリボヌクレアーゼおよび/またはリボヌクレアーゼ阻害剤、例えばプロテイナーゼK、グアニジン、RNアシンが用いられ得る。
【0034】
次に核抽出物または核質が除去され、mRNA分画が種々の方法で単離され得る。分画はmRNA特異性膜、カラム、またはビーズに適用され得る。例えばオリゴ−(dT)膜、カラム、またはフィルターは、核質からmRNAを精製することを可能にする。あるいはデオキシリボヌクレアーゼ、およびフェノールまたはその等価物を用いて、タンパク質およびDNAを除去し得る。
【0035】
好ましい実施形態では、96ウェルGF/Cガラス繊維フィルタープレート(例えばリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレート、RNAture, CA)が、本方法に用いられる。細胞を捕捉し、低刺激性洗浄剤で細胞を処理した後に、核を支持することができる任意のフィルタープレートが用いられ得る。フィルタープレートは第一に、細胞の固体支持体として用いられるガラス繊維フィルター膜を含む。細胞質および細胞膜または細胞壁構成成分は、真空濾過の使用により洗い落とされる。この方法により、核mRNAの損失を最小限にしつつ、洗浄を実施することができる。これは、非常にシンプルなハイスループット方法も実現する。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、オリゴ−(dT)プレート(例えばジーンプレート(GenePlate(登録商標)), RNAture, CA)を用いて、mRNAを捕捉することができる。ジーンプレート(GenePlate(登録商標))は、オリゴ−(dT)配列が共有結合的に固定化されているマイクロタイタープレートである。それは、蛍光指示色素(Yoyo−1)を添加することにより、定量化の実施を容易にする。装置および定量化方法は、米国特許出願第08/772,150号(1996年12月20日出願)(この記載内容は、参照により本明細書中に援用される)に記載されている。特定の配列がマイクロタイタープレート上に固定化されると、その配列と相補的な配列を有するmRNAが捕捉され得る。上記において、フィルタープレートはマイクロタイタープレートに適合し、両者が同数のウェルを有し、濾過および捕捉を連続的に実行することができることが好ましい。
【0037】
従来の方法と比較した場合の本明細書中に記載した方法の分析を、表1に示す。この分析から、本方法はハイスループット技法、さらに自動化技術にも容易に変換することができるが、従来の方法はこのような適用のためには面倒で且つ時間がかかりすぎることが明らかである。
【0038】
【表1】
Figure 2004519234
【0039】
本方法の適用
本方法は、遺伝子チップおよびマイクロアレイの分析、PCRによる診断分析、cDNAライブラリーの生成、ノーザンブロット、ならびに示差的表示またはサブトラクションライブラリー技法に適用することができる。遺伝子を同定する、または遺伝子の代替的転写体を単離する場合に、mRNAの分解産物が誤った結果、例えば分解産物としてのみ存在するより小型の転写体を提供することがあるため、特に有益である。
【0040】
以下の実施例において、本方法を実施し、その結果得られるmRNAを、ミトコンドリアRNA(細胞質構成成分)の混入に関して試験する。その結果得られる核mRNAの量を、−アクチンのPCRにより試験する。最後に、その結果得られる核mRNAの質を、細胞をUV光で照射する実験を実施することにより試験し、2つの既知の遺伝子産物p21およびjunBのレベルを調査する。
【0041】
実施例
以下の実施例に用いられる方法、および分析される方法は、ガラス繊維GF/C膜上に細胞を捕捉すること、緩衝液で洗浄すること、および真空、正圧、または遠心分離などのような方法で洗浄物を除去することを含む。一実施形態では、細胞を第1の溶解緩衝液でインキュベートし、サイトゾル分画を真空、正圧、または遠心分離により放出して、サイトゾル分画をPBSで2〜3回洗い落として、サイトゾルmRNAを除去した。第2の溶解緩衝液を適用し、核を溶解するのに十分な時間インキュベートした。第2の溶解緩衝液を真空、正圧、または遠心分離により放出して、核分画を明らかにした。
【0042】
本方法は、RNAtureからのリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートおよびジーンプレート(GenePlate(登録商標))を有利に適合させて用いることにより、ハイスループット化することができ、かつ自動化することができる。したがって以下の実施例は、RNAtureからのリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートおよびジーンプレート(GenePlate(登録商標))の適合を概説し、精製レベルを分析した。用いた細胞、装置および緩衝液は以下の通りであった:ヒト組織球細胞株U937、ヒト赤白血病細胞株K562、jun−Bプラスミド(ATCC, Manassas, VA, USA)、リボキャップ(RiboCap(登録商標))、ジーンプレート(GenePlate)(商標)、ウォッシュバッファー(WASH BUFFER)、ライシスバッファー(LYSIS BUFFER)(RNAture, Irvine, CA)。
【0043】
実施例1
リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートを用いた核の単離
細胞を捕捉するために、リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートを用いた(RNAture, Irvine, CA)。リボキャップ(RiboCap)は、ガラス繊維フィルター膜を底に取付けられている96ウェルプレートである。細胞をリボキャップ(RiboCap(登録商標))に適用し、真空濾過により膜上に捕捉した。低刺激性洗浄剤NP−40をリボキャップ(RiboCap(登録商標))に添加して、細胞を透過可能にした。高濃度のNP−40に核膜が直接曝露されるのを避けるために、攪拌またはボルテックスせずに、リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルター膜上で細胞をNP−40に曝露させた。サイトゾル構成成分は、NP−40で処理した後も細胞中に存在し、考え得る損傷から核を保護しうる。フロースルー分画を顕微鏡下で時々検査したが、無傷細胞はこの分画中に見出せなかった。さらに、洗浄溶液PBSにNP−40が含まれなかったために、核は保護されたが、細胞質構成成分は洗浄により除去された。リボキャップ(RiboCap(登録商標))と組合せたこの低刺激性溶解手法は、再現性の高いデータを提供した。
【0044】
次に核を溶解し、実施例2に示すように、ジーンプレート(GenePlate)上でmRNAを捕捉した。
【0045】
実施例2
ポリdTフィルタープレート(ジーンプレート)を用いた核からのmRNAの単離
リボキャップ(RiboCap)フィルタープレート上に適合するよう、ジーンプレート(GenePlate)(RNAture)を適宜に製造した。そこで、リボキャップ(RiboCap)プレートで核を溶解した後、ジーンプレート(GenePlate)上にリボキャップ(RiboCap)プレートを設置することにより、mRNAをジーンプレート(GenePlate)で収集し、真空圧を用いて、mRNAを含む核質を移した。mRNAおよび核内容物をジーンプレート(GenePlate)上に収集した後、以下のようにmRNAを結合させて、洗浄を実施して、核内容物を除去した。
【0046】
核の核構成成分を、1%の2−メルカプトエタノールを含有する50μLのLYSIS BUFFER(RNAture)を用いて放出させ、これをリボキャップ(RiboCap(登録商標))のウェルに適用して、室温で15分間インキュベートした。次に、4℃で5分間、3,200xgでの遠心分離により、さらに、場合によっては、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで2回抽出し、エタノール沈殿させて(図2Cおよび2D)、溶解物をリボキャップ(RiboCap(登録商標))からポリ−(dT)を含有するマイクロプレートに移した。図2Aおよび図2Bでは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出およびエタノール沈殿は実施しなかった。
【0047】
実施例3および4において、本方法を立証した。
【0048】
実施例3
光学顕微鏡およびSEMによる細胞溶解の立証
細胞および核溶解を立証するために、本方法を以下のように実施した:U937細胞をリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートに適用して、4インチHgの真空圧により、ガラス繊維膜(ジーンプレート(GenePlate))上に捕捉した。サイトゾル構成成分を除去するために、100μLの0.1%NP−40をウェルに適用し、室温で0、5、15、30および60秒間インキュベートした。次にリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートを100μLのPBSで3回洗浄した。核から核内容物を放出するために、1%の2−メルカプトエタノールを含む50μLのLYSIS BUFFER(RNAture)をリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートのウェルに適用し、室温で15分間インキュベートした。次に、4℃で5分間、3,200xgでの遠心分離により、さらに、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで2回抽出し、エタノール沈殿させて、溶解物をリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートからマイクロプレートに移した。
【0049】
U937細胞に関して実施した光学顕微鏡検査は、細胞が依然として無傷であることを示した。図2Aにおける結果は、以下のものを含む:陰性対照(未処理U937細胞、A1)、0.1%NP−40に1分間曝露した後にトリパンブルーで染色した同一細胞(A2)、およびLYSIS BUFFERに曝露した後の同一細胞(A3)。図2A1〜2に示したように、NP−40誘発性細胞透過を、トリパンブルー染色により確証した。興味深いことに、細胞形状は、NP−40へ15分間曝露した後でも、ほとんど無傷であった(図2A2)。
【0050】
細胞膜に対する損傷を可視化するために、走査電子顕微鏡(SEM)により細胞表面特性を分析した。従来のSEMは強真空圧を要するため、細胞表面の天然状態を可視化するのは困難である。したがって、最新モデルの弱真空圧SEM(Hitachi S3000N)を用いた。走査EM検査は、以下のように実施した:細胞(U937およびK562)をpH7.4の10mMのトリス中に再懸濁して、ガラススライド上に広げて、60〜70Paの真空圧および5KVの加速電圧で、Hitachi S3000N(Nissei Sangyo America, Pleasanton, CA, USA)SEMに挿入した。写真記録するために、サブシグナルBSE2イメージを用いた。図2Bは、未処理(×5,000 B1)の、ならびに0.1%NP−40に30秒間曝露して処理したK562細胞のSEM(走査電子顕微鏡)を示す。加速電圧は5KV、真空圧は60(B3)または70(B1〜2)paであった。
【0051】
弱真空圧条件でも塩の結晶が観察されたが、いくつかの細胞は無塩領域に存在して、細胞表面は明らかに曝露されていた(図2B1〜3)。亀裂(図2B2)および孔(図2B3)が、NP−40処理細胞の細胞膜上に観察された(矢印参照)。この損傷は軽度で、細胞内の核は無傷のままであったが、細胞膜は貫通していた。
【0052】
実施例4では、核を溶解し、その溶解を立証する。
【0053】
実施例4
核溶解の立証
実施例3の場合と同様に細胞を溶解した後、フィルタープレートをPBSで3回洗浄して、サイトゾル構成成分を除去した。顕微鏡でフロースルー分画を観察したが、この分画に核は観察されず、このことは、核が依然としてリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートのガラス繊維膜上に捕捉されていたことを示唆する。次にLYSIS BUFFERをリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートに適用して、核膜を破壊した。光学顕微鏡により、細胞の完全溶解を確認した。次に、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールによる2回の抽出により核溶解物を処理し、その後、エタノール沈殿させた。
【0054】
実施例5〜10では、アガロースゲルおよびPCRにより核酸を分析した。
【0055】
実施例5
アガロースゲル電気泳動による精製核酸の分析
サイトゾル構成成分が除去されたことを確証するために、アガロースゲル電気泳動により精製核酸物質を分析した。本方法は以下のように実施した:U937細胞(5.0×10細胞/ウェル)をリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレート(RNAture)に適用し、4インチHgの真空圧により、ガラス繊維膜上に捕捉した。サイトゾル構成成分を除去するために、100μLの0.1%NP−40(Sigma, St Louis, MO, USA)をウェルに適用し、室温で5〜60秒間インキュベートした。次にリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートを100μLのPBSで3回洗浄した。核から核内容物を放出するために、1%の2−メルカプトエタノール(Bio−Rad, Hercules, CA, USA)を含む50μLのLYSIS BUFFER(RNAture)をリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートのウェルに適用し、室温で15分間インキュベートした。次に、4℃で5分間、3,200xgでの遠心分離により、その後、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで2回抽出し、エタノール沈殿させて、溶解物をリボキャップ(RiboCap(登録商標))からマイクロプレートに移した。
【0056】
電気泳動するために、精製核酸物質を、3.7%ホルムアルデヒドで変性させ、1.25%アガロースゲル電気泳動により分析して、SYBRGOLD(Molecular Probes, Eugene, OR, USA)で染色し、蛍光スキャナー(FM−BIO−II, Hitachi Genetic System, Alameda, CA, USA)により記録した。図2Cに示したように、18s−および28s−rRNAバンド(下方2つの矢印で示す)は、NP−40処理により低減されたが、DNA(上矢印)は不変であった(MK:分子量マーカー)。
【0057】
その結果得られた核酸物質も、PCRにより分析した。
【0058】
実施例6
ミトコンドリアDNAのPCR
アガロースゲル電気泳動は定量的でないため、PCRによりミトコンドリアDNA(mtDNA)のレベルを測定した。ミトコンドリアはサイトゾル中にのみ存在するため、これは依然として存在するサイトゾル構成成分の測定を提供する。実施例3から得られた核酸を用いて、PCRによりミトコンドリアDNA(mtDNA)を増幅した。20μLの予混合PCR緩衝液(0.25μmol/Lの各プライマー、1×PCR緩衝液、2.5mmol/LのMgCl、100μmol/Lの各dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP、1単位のTaqポリメラーゼ)および1滴の鉱油(Sigma)を各ウェルに添加し、サーモサイクラー(UNO II, Biometra(商標), Horsham, PA, USA)中で、「94℃で1分間の変性、56℃で1分間のアニーリング、その後の72℃で1分間の伸張」を20サイクル実施して増幅させた。PCR産物を2%アガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウム(Sigma)で染色して、写真検出により記録した(Alphalmager 2200, Alpha Innotech, San Leandro, CA, USA)。ミトコンドリアDNA(mtDNA)のプライマーは、5’−TCCACACTAGCAGAGACCAACCG−3’(配列番号1)であって、非特異的ハイブリダイゼーションを排除するために、GenBank UniGeneデータベースに対するハイブリダイゼーション刺激を用いてコンピュータープログラム(HYBsimulato(登録商標))(RNAture)により、5’−AGAACAGGGAGGTTAGAAGTAGGGT−3’(配列番号2)を設計した。
【0059】
図2Dに示したように、ミトコンドリアDNA(mtDNA)を全細胞抽出物中で増幅した後、NP−40で処理したが、NP−40への曝露時間が15秒を越えると、mtDNA PCR産物の量は実質的に低減した(図2D)。これは、サイトゾル構成成分が、NP−40処理をしている間に、およびその後の洗浄手法中に低減したことを示す。NP−40処理の前後におけるmtDNAのPCR産物の量を定量化することにより、核分画の純度を算定した。
【0060】
実施例8
核mRNAのRT−PCR
核溶解物(実施例3からの)を、リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートからジーンプレート(GenePlate(商標))に直接移して、ハイブリダイゼーションのために室温で1時間インキュベートした。次にジーンプレート(GenePlate(商標))を50μLのLYSIS BUFFERで2回洗浄し、その後50μLのWASH BUFFER(RNAture)で2回洗浄した。20μLの予混合cDNA緩衝液(1×RT緩衝液、500μmol/Lの各dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP、100単位のMMLV逆転写酵素)を添加することにより、プライマーとして固定化オリゴ(dT)を用いて、ジーンプレート(GenePlate(商標))中でcDNAを合成した。
【0061】
実施例9
−アクチンのPCR
アガロースゲル電気泳動およびmtDNA PCRは、NP−40処理およびその後の洗浄手順中における、核の無傷性に関するいかなる定量的データも提供しない。そこで、未熟mRNAは主に核中に存在するために、RT−PCRにより、プレスプライシング未熟β−アクチンmRNAの量を測定した。粗製核溶解物を、遠心分離により、リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートからオリゴ(dT)−固定化PCRマイクロプレートに直接移した。LYSIS BUFFERはオリゴ(dT)とmRNAのポリ(A)テールとの間のハイブリダイゼーションに関する最適化ストリンジェンシーを有し、リボヌクレアーゼ活性を不活性化するための強力洗浄剤を含むため、1時間の室温でのインキュベーション中に、ジーンプレート(GenePlate(商標))はmRNAを捕捉し得る。WASH BUFFERで各ウェルを洗浄して非ハイブリダイズ化物質を除去した後、プライマーとして固定化オリゴ(dT)を用いて、同一プレート中でcDNAを合成した。
【0062】
ジーンプレート(GenePlate(商標))はDNAではなく、mRNAを選択的に捕捉するが、PCR産物がmRNAに由来するかまたは混入した核DNAに由来するかは明らかでなかった。ハイブリダイゼーション後の広範な洗浄により、非特異的結合DNAを除去することができる。しかしながらこの方法は、多少のmRNAも分離してしまうため、感度および再現性が低下する。そこで、cDNAは固定化オリゴ(dT)を介してジーンプレート(GenePlate(商標))に共有結合的に固定化するので、cDNAが合成された後、各ウェルを広範に洗浄した。各ウェルをpH7.4の10mMトリスで5回洗浄後、PCRを実行した。RT−PCRを実施例5と同様に実行し、PCRを実行して、β−アクチンのイントロン部分を以下のように増幅した:PCRを、MMLV逆転写酵素(GIBCO/BRL, Rockville, MD, USA)、PCR試薬(Promega, Madison, WI, USA)、およびdNTP(Yamasa, Tokyo, Japan)を用いて、20〜50サイクル実行した。
【0063】
非特異的ハイブリダイゼーションを排除するために、GenBank UniGeneデータベースに対するハイブリダイゼーション刺激を用いてコンピュータープログラムHYBsimulator(登録商標)(RNAture)により、β−アクチン5’−TGGCACCACACCTTCTACAA−3’(配列番号3)および5’−CATCTCTTGCTCGAAGTCCA−3’(配列番号4)、ならびにβ−アクチンイントロン(5’−GTGCTGTGGAAGCTAAGTCCTGC−3’)(配列番号5)、および5’−CACCCACCTTGATCTTCATTGTGCT−3’(配列番号6)のプライマーを設計した。
【0064】
次に、cDNA合成を用いた場合と、用いない場合とで、PCRを比較した。図2Eに示したように、β−アクチンイントロンはcDNA合成を用いなかった場合には増幅されなかった(RT−)が、cDNA合成を用いた場合には首尾よく増幅された(RT+)。さらに、図2Eに示したように、β−アクチンイントロンPCR産物のバンド強度は、NP−40処理によって変化しなかった。別の実験において、図2Eのバンド強度は飽和状態でなく、定量化のダイナミックレンジで存在するということを確証した。これは、β−アクチンイントロンの量が、NP−40処理中、十分に保たれていることを示唆する。
【0065】
遺伝子の上方制御および下方制御を分析するための手法を試験するために、jun−Bの発現に及ぼすUV照射の影響を分析した。
【0066】
実施例10
Jun−Bおよびp21発現ならびにUVCによる誘導の分析
100ml/Lのウシ胎児血清、500,000単位/Lのペニシリンおよび500mg/Lのストレプトマイシン(リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、細胞培地、抗生物質、およびウシ胎児血清(GIBCO/BRL, Rockville, MD, USAから購入))を含有するRPMI−1640中で、U937細胞を増殖させた。トリパンブルーの排除により細胞生育能力を評価したが、これは常に95%を上回っていた。フェノールレッドを含有しない上記培地に細胞を再懸濁して、10細胞/μLの濃度として、100μLの細胞懸濁液を96ウェル培養プレートのウェルに適用した。次にプレートをSTRATALINKER 1800(Stratagene, La Jolla, CA, USA)中に入れて、100、300、および500mJ/cmの線量のUVC(254nm)に曝露した。遠心分離によりリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートのガラス繊維膜上に、細胞を捕捉した。全細胞アッセイ(以下、「W」で表すことがある)のために、LYSIS BUFFERをリボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートに適用し、ポリ(A)+RNAを捕捉するために、溶解物をジーンプレート(GenePlate(商標))に移した。核アッセイ(以下、「N」で表すことがある)のために、リボキャップ(RiboCap(登録商標))フィルタープレートを0.1%NP−40で60秒間処理し、直ちにPBSで洗浄した。次にLYSIS BUFFERを適用し、全細胞アッセイに用いたのと同一のプロトコールを用いた。ジーンプレート(GenePlate(商標))によりmRNAを捕捉した後、cDNAを合成し、その後、jun−B(30サイクル)、β−アクチン(35サイクル)およびp21(Wに関して30サイクル、Nに関して44サイクル)を増幅するためのPCRを行った。非特異的ハイブリダイゼーションを排除するために、GenBank UniGeneデータベースに対するハイブリダイゼーション刺激を用いてコンピュータープログラムHYBsimulator(登録商標)(RNAture)により、jun−Bのプライマー(5’−AGGACAAGGTGAAGACGCTCAAGG−3’)(配列番号7)および(5’−GCAGGGGACGTTCAGAAGGC−3’)(配列番号8)、ならびにp21のプライマー(5’−CCGCTCTACATCTTCTGCCTTAGT−3’)(配列番号9)および(5’−CAGCACTCTTAGGAACCTCTCATTCAAC−3’)(配列番号10)を設計した。−アクチンプライマーに関しては実施例9を参照。
【0067】
本方法は、まず、紫外線(UVC)誘導性のjun−B発現を確証するために用いた。この実験に用いたUVCの線量(100、300、および500mJ/cm)は、他の報告と比較して非常に高かった。しかしながら、96ウェルプレート中の100μLのPBS中で細胞をUVCに曝露したため、生育可能性は、照射後24時間でさえ、常に95%より高かったことがトリパンブルー実験により示された。図2Aに示したように、jun−Bの高バックグラウンド発現が全細胞(W)で観察されたが、これは、UVC誘導性のjun−B発現増大をわからなくした。NP−40処理によりサイトゾル分画を除去すると、バックグラウンドjun−B発現が実質的に低減され、UVC誘導性のjun−B発現が核分画(N)中で明らかになった。興味深いことに、jun−BはUVC刺激前にも核分画中で弱く発現され、U937細胞中でのJun−Bの代謝レベルを表わしている可能性がある。全細胞抽出物および核分画の両方を同一条件下で同時に分析したため、バンド強度の差は、サイトゾルJun−BmRNAの量を示し得る。対照β−アクチンも全細胞抽出物から増幅したが、UVC刺激の前および後に変化は検出されなかった(図2A)。興味深いことに、β−アクチンは、UVC刺激後でさえ、核分画中で検出されず、このことは、この細胞株においてはjun−Bの代謝レベルよりもβ−アクチンmRNAの代謝レベルのほうが低いことを示唆する。
【0068】
UVC刺激によるjun−Bの上方制御および下方制御という、多少意外な結果が得られたので、p21遺伝子発現を、U937細胞の全細胞抽出物で分析した。p21のレベル(図2B)は、300mJ/cmより高いUVに曝露した後には、低下した。しかしながら、サイトゾル分画が一旦除去されると、p21発現は、核分画中でUVC曝露後に有意に増大した(図3B)。これらの結果は、U937細胞をUVに曝露すると、それらのp21転写だけでなく、分解も増大し得ることを示唆する。
【0069】
実施例11
PCRによる診断分析に本方法を使用すること
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、通常は、ハイブリダイゼーションを用いてまたは用いずに、RTPCRにより患者試料中で同定される。したがって、患者からの血液細胞を用いて、実施例1〜4の場合と同様に、核mRNAを単離する。SNP特異的プライマーを用いてmRNAを逆転写して、SNPを同定する。
【0070】
このようにして、2B型ヴォンヴィルブランド病に関連したSNPを、症状を示す患者において同定する。患者から白血球を単離して、それを用いて、実施例1〜4の場合と同様に核mRNAを単離する。vWF遺伝子エキソン28のアミノ酸510〜600間のプライマーを用いて、このmRNAのRTPCRを行った(Wood, N. et al. Thrombosis and Haemostasis, 1996, 75(2)363−7)。
【0071】
用いたプライマーは、2B型ヴォンヴィレブランド病に関連した以下のSNPを同定し得る(コドン544および551/552における2箇所の3塩基欠失、ならびにコドン574/575および577/578における2箇所の2塩基置換)。患者は、アミノ酸544における3塩基欠失を有することが判明した。
【0072】
実施例12
マイクロアレイ分析に本方法を使用すること
遺伝子チップおよびマイクロアレイは、研究者の遺伝子発現についての考え方を急速に変えつつある。一時期に1つの遺伝子を研究する代わりに、実験により、数千の遺伝子の遺伝子発現プロフィールを同時に解明することができる。マイクロアレイは、通常は、標識cDNAまたは標識cRNAをスポッティング(spotting)することにより作製される。次に、疾患組織からの標識cDNAとハイブリダイズし、正常組織と比較することにより、分析することができる。しかしながら、cDNAが、細胞または組織からの全RNAまたはmRNAから生成される場合、不精確である結果、または間違っている結果となることさえある。したがって、本明細書中の方法により単離したmRNAからのcDNAまたはcRNAを用いて、癌遺伝子、癌原遺伝子、およびサプレッサー遺伝子のマイクロアレイを作製する。
【0073】
正常乳房細胞、ならびに乳癌細胞から、0.4〜1mgの核ポリ(A)RNAを単離する。FAIRPLAY MIROARRAY LABELING KIT(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて、蛍光標識cDNAを作製する。標識cDNAを上記のマイクロアレイとハイブリダイズして、示差的発現遺伝子を同定する。
【0074】
実施例13
cDNAライブラリーを作製するために本方法を使用すること
プローブを用いて遺伝子の相同体、または完全長クローンを単離するために、cDNAライブラリーを用いる。相同体の単離をする間に、単一遺伝子から発現される種々のサイズの転写体の同定がなされる。ライブラリーを作製するために用いられるmRNAに、mRNA分解産物が含まれている場合、ライブラリーは完全長クローンを提供するとは考えにくく、当該遺伝子に対する代替的転写体についての間違った情報を与えかねない。したがって、疾病双極性障害に関するcDNAライブラリーを作製するために、以下のプロトコールに従う:双極性障害患者からの脳脊髄液(CSF)を単離し、細胞構成成分を用いて、実施例1〜4の場合と同様に、核mRNAを単離する。ライブラリーを作製するためのLAMBDA ZAP−cDNA SYNTHESIS KIT中の使用説明書に従って、かつLAMBDA ZAP IIベクター(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて、cDNAライブラリーを作製するべく、mRNAを用いる。
【0075】
実施例14
キャスタウェイ(CASTAWAY)系を用いた示差的発現遺伝子産物を同定するために本方法を使用すること
示差的発現遺伝子産物を同定するために利用可能な、広範な方法およびキットが存在する。これらの方法に関する一般的問題の1つは、分析のために、全細胞または組織からの全RNAまたはmRNAを使用することである。これは、不精確な、時としては正しくない結果をもたらす。本明細書中に記載した方法は、これらの系のいずれかに用いることができるが、RAP−PCR系をプロトタイプとして選択し、Stratageneキャスタウェイ(CASTAWAY)予備成形ゲル(Stratagene Cloning Systems, Inc., La Jolla, CA)を、結果を迅速に分析するために選択した。
【0076】
ヒト骨髄性単球細胞系(HL60)をホルボールミリステートアセテート(PMA)で4時間刺激する。実施例1〜4で単離したのと同様にして、核RNAからの第1鎖合成のために、任意のプライマーを用いた。逆転写核mRNAのPCR増幅を実行する。Stratageneマニュアルに略記されているように、PCR産物をキャスタウェイ(CASTAWAY)系で走査させる。PCRバンドのパターンを、非刺激対照のパターンと比較する。多数の独特のバンドを同定し、ゲルから単離して、さらに分析するためにPCRにより再増幅する。刺激細胞および非刺激細胞の核分画からのmRNAを用いてノーザンブロットを実行して、結果を立証する。
【0077】
実施例15
DNA修復機能の定量化方法およびその用途
本方法は、DNA損傷剤で細胞を刺激すること、核RNAまたは核mRNAを調製すること、および新規発現遺伝子のレベルを定量化することを含む。本明細書中に開示した核mRNA方法論を用いない場合、従来の方法では、サイトゾルにおける分解が高まるために、特定遺伝子発現の増大を確認することができない。したがって、本方法は、本明細書中に開示したmRNA単離方法を用いる(実施例1および2参照)。
【0078】
刺激は、組織培養または試験管中ではin vitroでもよく、全身刺激を用いることによりin vivoでもよい。任意の種類の細胞を本方法に用いることができるが、しかしながら通常の細胞としては、全血液、白血球、生検検体、外科的除去検体、毛包、胃洗浄物、滲出液、全身等が挙げられる。
【0079】
DNA損傷作因、例えば放射能、紫外線照射、X線、化学物質、超音波、食物、化粧品、環境作因、ストレス、化学的突然変異原、毒素等(これらに限定されない)により、細胞は損傷を受ける。
【0080】
DNA損傷作因で細胞を損傷した後、実施例1〜4に略記した方法により、核mRNAを用意する。ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ、遺伝子増幅(PCR、「実時間」PCR、LCR、NASBA、sDNA、bDNA、インベーダー等)により遺伝子発現を定量化する。リアルタイム(real time)PCRとしては、TAQMAN、MOLECULAR BEACON、AMPLIFLUOR、SCORPION、SYBR−DYE、POLICEMAN等が挙げられる。通常は、ある種の作因により損傷を受けた細胞を、損傷を受けていない細胞と比較する。
【0081】
このようにして、DNAを損傷したことにより、活性化された、または上方制御された遺伝子を同定する。新規発現遺伝子としては、DNA修復メカニズムに関与する遺伝子、アポトーシスに関与する遺伝子、および未知の機能を有する遺伝子が挙げられる。
【0082】
DNA修復メカニズムに応答性であることが知られている遺伝子としては、p53、p21、DNAポリメラーゼ等が挙げられる。アポトーシスに応答性であることが知られている遺伝子としては、カスパーゼ、BAX、bcl−2等が挙げられる。これらを対照として用いて、本方法が機能していることを確証することができる。しかしながら特に興味深いのは、これまで、これらの工程に関与すると確認されていなかった遺伝子である。
【0083】
未知の機能を有する遺伝子としては、DNAマイクロアレイチップ、サブトラクションハイブリダイゼーション、示差的表示等により発見される遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子をデータベースにより分析して、相同体および活性部位を見出し得る。しかしながら、この機能をin vitro法により同定するのが最良である。
【0084】
同定された遺伝子の用途としては、以下のものが挙げられる:癌の危険性が高い個体のスクリーニング、癌予防化合物(即ち、薬剤、薬草、食物等)に関する薬剤スクリーニング、加齢の評価、健康および疾患のモニタリング、非癌誘発物質(食物、化粧品、薬剤、香料等)の同定。スクリーニングは、遺伝子チップまたはアレイ技法により実施し得る。
【0085】
したがって、本明細書中に記載した方法は、「真の」遺伝子発現を分析するために非常に迅速かつ高感度であり、本方法は、分解産物を伴わない転写を表わす。さらに本方法は、市販の計器を用いたハイスループット自動システムに適合することができる。核遺伝子発現分析は、将来、遺伝子発現分析の標準的方法になると思われる。
【0086】
本発明の精神を逸脱しない限り、多数のならびに種々の修正がなされ得ると当業者には理解されよう。したがって、本発明の形態は例示的なものであるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないと明らかに理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の好ましい実施形態の概要を示す図である。
【図2】
本発明の好ましい実施形態において抽出されたmRNAは、核mRNAである、という根拠を示す。Aは光学顕微鏡写真を示し、Bは走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、Cはアガロースゲル電気泳動写真を示す。CおよびDでは、Cに示した精製核物質を用いて、ミトコンドリアDNAを20サイクルのPCRにより増幅した(D)。
【図3】
全細胞抽出のmRNAとmRNAの核分画との間の遺伝子発現分析の比較である。Aは、UV暴露後のjunBおよびβ−アクチンの増幅を示す。Bは、細胞のUV暴露後のp21の増幅を示す。

Claims (25)

  1. フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、
    前記細胞を細胞膜透過溶液と接触させ、細胞膜の透過性を高めること、
    細胞質を洗浄すること、
    前記細胞質を洗浄した細胞を細胞溶解溶液と接触させ、核を溶解して、核溶液を得ること、
    前記核溶液からRNAを回収すること、および
    前記回収したRNAの量に基づいて細胞中の遺伝子発現を確認すること
    を含む、細胞中の遺伝子発現の検出方法。
  2. 前記フィルターまたは膜は、ガラス繊維膜である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞膜透過溶液は、細胞膜を溶解するが核を溶解しない低刺激性洗浄剤である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記洗浄工程は、前記フィルターまたは膜上で実行される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記洗浄工程は、真空濾過により実行される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記細胞溶解溶液は、核膜を溶解する溶解緩衝液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記溶解緩衝液は、強力洗浄剤を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記RNA回収工程は、核の透過内容物をオリゴdT固定化固体支持体に移すことにより実行される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記固体支持体は、プレート、フィルターまたはカラムである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記プレート、フィルターまたはカラムは、前記フィルターまたは膜が適合するような形状を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記RNA回収工程は、核の透過内容物をオリゴヌクレオチド固定化固体支持体に移すことにより実行され、前記オリゴヌクレオチドは、RNAと相補的な配列を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. (a)第1の生物学的試料から細胞を収集すること、
    (b)フィルターまたは膜上に前記細胞を捕捉すること、
    (c)前記細胞を細胞膜透過溶液と接触させ、細胞膜の透過性を増大させること、
    (d)細胞質を洗浄すること、
    (e)前記細胞質を洗浄した細胞を細胞溶解溶液と接触させ、核を溶解し、核溶液を得ること、
    (f)前記核溶液からRNAを回収すること、
    (g)第2の生物学的試料からの細胞を用いて、工程(a)〜(f)を反復すること、および
    (h)工程(g)および(h)それぞれで回収されたRNAの量の変化に基づいて細胞中の遺伝子発現を確認すること
    を含む、細胞中での遺伝子発現の測定方法。
  13. 指定された治療は、前記第2の試料には適用されたが、前記第1の試料には適用されていない、請求項12に記載の方法。
  14. フィルターまたは膜上に細胞を捕捉すること、
    前記細胞を透過可能にして、核を単離すること、および
    核膜を溶解して、核RNAを回収することを含む、細胞からのRNAの単離方法。
  15. 前記フィルターまたは膜は、ガラス繊維膜である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記透過可能にすることは、低刺激性洗浄剤を適用することによる、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記核は、サイトゾルを洗い落とすことにより単離される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記洗浄は、真空濾過によるものである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記RNAはmRNAである、請求項14に記載の方法。
  20. 前記核膜を溶解することは、溶解緩衝液によるものである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記溶解緩衝液は、強力洗浄剤を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記mRNAを回収することは、オリゴdTプレート、フィルターまたはカラムに核の透過内容物を移すことによるものである、請求項14〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 請求項14〜22のいずれか一項に記載の単離RNAを得ること、
    前記プレート、フィルターまたは膜上でRNAを逆転写すること、および
    特定遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを実施すること
    を含む、前記特定遺伝子の転写体の同定および/または定量化のための方法。
  24. DNA損傷剤で細胞を処理すること、
    請求項14〜22のいずれか一項に記載の単離mRNAを得ること、
    前記mRNAを逆転写すること、および
    転写がDNA損傷により上方制御された遺伝子、または活性化された遺伝子を同定すること
    を含む、DNA修復過程に関与する遺伝子の同定または定量化方法。
  25. 前記同定は、RT−PCR、ノーザンブロット、RAP PCR、ddPCR、サブトラクションおよびアレイまたは遺伝子チップ分析からなる群から選択される方法による、請求項24に記載の方法。
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