JP2004514441A - 組み換えbmp−2の製造 - Google Patents
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Abstract
TGF−β−スーパーファミリーの生物学的に活性なタンパク質の組み換え的製造のために、アミノ末端がTFG−β−スーパーファミリーのプロ配列又はその一部からなる、成熟BMP−2に対して少なくとも35%のホモロジーを有するTGF−β−スーパーファミリーの前記の又は別のタンパク質の成熟ドメインに隣接したタンパク質を、タンパク質の少なくなくとも一部が封入体として得られる条件下に原生生物中で発現させ、封入体を単離し、かつ復元性条件下に可溶化させ、かつ封入体から可溶化される復元された、モノマーのかつ生物学的に不活性のタンパク質を再生させ、他方で折り畳まれかつ二量体化されて、可溶性の生物学的に活性な立体配置になり、かつ場合により成熟タンパク質を再生の後にその前駆形からタンパク質分解により遊離させる。
Description
【0001】
本発明は、生物学的に活性なdrBMP−2(dr:足指欠損)及び相同タンパク質を、変性された生物学的に不活性なプロBMP−2の再生(Naturierung)及び引き続いてのプロペプチドの分解によって製造する方法(該タンパク質の再生された前駆形は既に活性である)、新規の生成物としてのプロBMP−2及び骨成長の促進のための薬剤の製造のための使用に関する。
【0002】
BMP−2は骨形成タンパク質(BMP)のファミリーに属する。これはクローニング及び特性決定が1988年に初めて達成された骨成長因子である。前記のタンパク質の特性は軟骨内性骨新生の誘発能力である[Wozney et al., Science 242(1988), 1528−1534]。
【0003】
構造的にBMP−2は、非常に高い構造類似性を互いに有するにもかかわらず配列同一性が部分的に30%未満であるにすぎない30を越える他のタンパク質と一緒にTGF−β−スーパーファミリーに含まれる[Griffith et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93 (1996), 878−883]。その実質的な構造特徴はいわゆる“シスチン結合である。これは4つのアンチパラレルなβ−折り畳みシートによって形成され、そのうち2つずつがジスルフィド結合を介して互いに結合されている。この場合、2つのシステインはペプチド骨格と一緒になって第3のジスルフィド結合がまたがる環を形成する。
【0004】
β−折り畳みシートはこのタンパク質の優勢的な二次構造要素である。しかしながら該シートはβ−折り畳みシートが豊富な別のタンパク質よりも長くかつ強く曲がっている。TGF−β−ファミリーのタンパク質の相互の構造的な類似性に基づいて、これらのタンパク質はまた類似のようにその本来の立体配置を取り、従って折り畳まれることが必要である。
【0005】
BMP及び類似のタンパク質、例えばDPP(デカペンタプレジック、ショウジョウバエ)は高等生物の胚発生において重要な役割を担う。BMP−もしくはBMP−受容体遺伝子における欠失又はその調節によって、部分的に重大な発生障害、例えば進行性骨化線維異形性[Kaplan et al., Calcif. Tissue Int. 47 (1990), 117−125; Rao et al., Hum. Genet. 90 (1992), 299−302; Shafritz et al. N. Engl. J. Med. 335 (1996), 555−561]及び遺伝性象牙質形成不全症[Tabas et al., Clin. Orthop. 293 (1993), 310−316]がもたらされる。マウスのBMP−欠失突然変異は胎芽期において又は出生直後に既に死をもたらし、かつ骨格の異形性及び非常に多様な器官、例えば心臓、腎臓及び目に異形性を示す[Dudley et al., Genes Dev. 9 (1995), 2795−2807; Zhang und Bradley, Development 122 (1996), 2977−2986]。
【0006】
BMP及び類似の成長因子は全身性疾患、例えば骨粗鬆症の治療のために制限されてのみ適当である。それというのも前記の成長因子は許容できない副作用、例えば腫瘍促進を引き起こすことがあるからである。BMP、特にBMP−2はむしろ局所に限定された適用のために予定されている。これには、とりわけ変性性脊椎疾患における脊椎固定術、頭蓋骨の再生、医学的及び整形医学的な手術並びに四肢の複雑骨折の治療が該当する。これらの使用に関しては骨新生に対してrhBMP−2(rh − ヒトの組み換えの)がポジティブな作用を有し、かつそれによって治癒プロセスに対して既に多くの動物モデルにおいて印象深く証明されている[Lane et al., Clin. Orthop. 361 (1999), 216−227:Marden et al. J. Biomed. Mat. Res. 28 (1994), 1127−1138 ; Mayer et al., Plast. Recontr. Surg. 98 (1996), 247−259; Sandhu und Boden, Orthop. Clin. North Am. 29 (1998), 621−631; Toriumi et al., Arch. Otolyryngol. Head Neck Surg. 117 (1991), 1101−1112; Yasko et al. J. Bone Joint Surg. (Am.) 74 (1992), 659−670]。脊椎固定手術については既に第一の臨床段階さえも存在する[Boyne et al., Int. J. Periodontics Restorative Dent. 17 (1997), 11−25; Howell et al., Int. J. Periodontics Restorative Dent 17 (1997), 124−139]。同様に人工関節の固定又は周囲の骨組織における固定、例えば骨折の安定化のためにrhBMP−2を使用することに意義がある。
【0007】
なおも不足した研究及び−またその研究自体−の他に、臨床的実務におけるBMPの通常の使用を、タンパク質製造のための高い費用が妨害する。本発明に記載される方法によって、生物学的に活性なBMP−2、例えば類似のBMPは少ない技術的労力で、かつ今まで可能であると見なされていない収率で廉価に高い純度で組み換え的に製造できる。
【0008】
ヒトのBMP−2は体内で396アミノ酸長のプレプロタンパク質の形で合成される。シグナルペプチド(プレ配列はインビボで発生性ポリペプチド鎖を小胞体(ER)に輸送するために用いられる。ERへの搬送の後に、該タンパク質は本来の立体配置に折り畳まれ、複数のジスルフィド結合を形成し(Cys296−Cys361、Cys325−Cys393、Cys329−Cys395、分子内:Cys360−Cys360)、かつ翻訳後修飾が行われる。翻訳後修飾にはアスパラギン残基のグリコシル化及び部分的に不完全なポリペプチドの分解が該当する[Israel et al., Growth Factors 7 (1992), 139−−150]。前駆タンパク質のC末端の114個のアミノ酸(Gln283−Arg396)は生物学的に活性な形がジスルフィド架橋された(Cys360−Cys360)ホモダイマーである成熟BMP−2を形成する。
【0009】
骨組織からのBMP−2の製造は相当の出費と僅かだけの収率に結びついている(40kgのウシ骨粉から40μgのBMP−混合物)[Wozney et al., Science 242 (1988), 1528−1534]。更にヒトの骨マテリアルからの単離は倫理上疑問があり、かつ病原(プリオン、HCV等)での汚染による危険をはらんでいる。ブタ又はウシからの相同のタンパク質の使用は免疫学的観点から同様に危険である。
【0010】
従ってBMP−2の組み換え的製造が有利である。そのために優先的に2つの可能性が該当する。一つ目に、該タンパク質を真核性発現系で製造できる[Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990), 2220−2224]。この場合に比較的少量の組み換えタンパク質(1lの培地あたりに25μgの部分的に精製されたBMP−2[Wozney et al., Science 242 (1988), 1528−1534]、比較的高い技術的労力及びそこから生じるコストが欠点である。
【0011】
第二の経路は原核性発現系の使用を含む。その利点はその簡単な技術的取扱い、低いコスト及び非常に高いタンパク質量の獲得にある。しかしながら真核生物に対して細菌は前駆タンパク質を正確にプロセシングすることができない。従って今まで使用された方法はBMP−2の成熟ドメイン(Gln283−Arg396)の発現に制限されていた。これらのドメインは細菌中に不溶性の生物学的に不活性な形で生じる。それというのも、とりわけ細胞質の還元条件のゆえにタンパク質のジスルフィド結合が形成され得ないからである。これらの不溶性タンパク質凝集物を封入体(IB)と呼称し、その単離及び精製は、例えばマルストン(Marston)[Biochem. J. 240 (1986), 1−12]によって記載されている。
【0012】
ルパート他(Ruppert et al.)[Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]の成熟BMP−2の再生のための方法はBMP−2も属するTGF−β−様タンパク質に関する米国特許第5650494号[Cerletti et al., 1997]に基づいている。該方法はTGF−β−様タンパク質のモノマーの変性された成熟形を緩効性の界面活性剤の存在下で再生させて、生物学的に活性な立体配置にすることを含む。BMP−2の場合において、1gの細胞あたりに0.2mgだけの活性タンパク質の収量が得られるに過ぎなかった[Ruppert et al., Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]。
【0013】
しかしながら本発明によって、誘導された細胞材料に対して25倍より高い活性タンパク質の収率を達成することが可能である。真核細胞での発現と比較して収量はほぼ3桁だけ高い。
【0014】
E.coliにおいて組み換え的に発現された成熟BMPの再生の場合の収量は複雑なジスルフィドパターンに基づいて(シスチン結合)非常に低い。本発明は、BMP−2−プロペプチド、例えば相同のタンパク質のプロペプチドも成熟ドメインの正確な折り畳みのために役割を果たすという仮定に基づいている。
【0015】
TGF−β−スーパーファミリーの生物学的に活性なタンパク質の組み換え的製造のための本発明による方法は、
(a)アミノ末端がTGF−β−スーパーファミリーのタンパク質のプロ配列又はその一部からなり、該末端に前記のBMP−β−スーパーファミリーのタンパク質又は、成熟BMP−2に対して少なくとも35%のホモロジーを有する別のタンパク質の成熟ドメインが接続されたタンパク質を、原核生物において少なくともタンパク質の一部が封入体の形で得られる条件下で発現させ、
(b)該封入体を単離し、かつ変性条件下に可溶化させ、
(c)前記封入体から可溶化され、変性されたモノマーの生物学的に不活性なタンパク質を再生させ、それによって可溶性の生物学的に活性な立体配置への折り畳み及び二量体化が可能であり、かつ
(d)場合により再生の後に成熟タンパク質をその前駆形からタンパク質分解により遊離させる
ことを特徴としている。
【0016】
我々のインビトロ復元試験は、本発明により界面活性剤の不在下にもBMP−2の仮定的前駆形(Gly20−Arg396)の使用及び引き続いてのプロペプチド(Gly20−Arg282)の分解において僅かな労力で大量の生物学的に活性なdrBMP−2を得ることが可能であることを示している。drBMP−2とは、本願ではBMP−2のLys290、Arg291もしくはLeu292から(例2.2.1参照)からArg396までのC末端ドメインを表し、その生物学的活性はケーニッヒ他(Koenig et al.)[Mol. Cell Biol. 14 (1994), 5961−−5974]によって記載されている。アミノ酸(Gln283からArg289、Lys290もしくはArg291)はヘパリンへのBMP−2の結合を媒介する。
【0017】
このむしろ非特異的な相互作用は確かにBMP−2の作用を変化させるが、その生物学的活性のためには必須ではない[Ruppert et al., Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]。
【0018】
本発明によればプロ配列もしくはプロペプチドとしてプロ配列全体(Gly20−Arg282)又はその一部のいずれも使用できる。
【0019】
原核生物におけるプロbmp−2の発現速度を高めるために、本発明によれば該遺伝子をコードしている配列の5′−末端にタグ配列、例えばヒスチジンタグを付与するか、又はプロbmp−2のコドンを突然変異誘発によって原核性発現のために最適化することも可能である。また米国特許第5336602号[Brinkmann et al., 1993]による発現増強並びに前記の方法の組合せも可能である。
【0020】
原核生物の細胞質での組み換えプロbmp−2の過剰発現において、該タンパク質はそこで不活性な不溶性の凝集物の形(封入体−IB)で生じる。その単離のために細胞を発酵後にまず1つ以上の慣用の方法(例えば高圧分散、酵素溶解又は超音波)によって溶解させる。これは有利には中性乃至弱酸性のバッファー溶液、例えば0.1Mのトリス/HCl(pH7.0)中で行われる。
【0021】
細胞のDNAを機械的、化学的又は有利には酵素処理によってIBと共沈しない断片に分解する。次いでIBを含む不溶性の細胞成分を任意の方法で可溶性の成分から分離し、その際、その分離は遠心分離によって有利に行われる。ペレットをその組成もしくはその添加物、例えば界面活性剤に基づいて、障害のある細胞タンパク質及び膜成分はしかしながらIBからの組み換えプロBMP−2を可溶化できない。残留する不溶性のプロBMP−2含有成分を本発明により後に可溶化、再生及び酵素処理する。
【0022】
再生の前にIBを、慣用の変性剤(カオトロピック物質)もしくはこれらの組合せを使用して可溶化させる。これには、といわけグアニジウム塩、例えばGdmCl又はGdmSCN並びに尿素及びその誘導体が該当する。変性剤もしくは変性剤混合物の濃度はこの場合、難溶性の組み換えタンパク質を完全に可溶化できるように調整する。グアニジウムクロリドの場合には、この濃度は3〜8Mの範囲であり、尿素の場合には6〜10Mである。更に変性して可溶性のシスチン含有のタンパク質をモノマー化するために、還元剤、ジチオトレイトール(DTT)又はβ−メルカプトエタノール又はこれらの還元剤の組合せの添加が有利であり、その際、可溶化バッファーのpHは有利には8〜9に調整される。可溶化に引き続き又はそれと平行して、更に遊離のシステインを酸化されたグルタチオンで共有結合的に変性させることができる。可溶化もしくはシステインの場合による共有的な変性の後にIB−可溶化物のpHを5未満に調整し、かつ更に場合により過剰の酸化還元当量を透析によって除去し、その際、透析バッファーは、還元剤から予測されて適宜に可溶化バッファーと同じ組成を有する。最後に可溶化プロセスの間に不溶性に保持される成分を分離し(遠心分離又は濾過)、かつ廃棄する。場合による変性段階及び過剰の還元剤の除去は、場合により固定された金属−親和性クロマトグラフィー(IMAC)を介してIB−溶解物の前精製を可能にし、N−末端にヒスチジンタグを有するプロBMP−2の発現が行われる。
【0023】
本発明によるrh−プロBMP−2の再生過程は変性作用のない又は困難にのみ変性作用を有する水準まで(例えば≦0.5MのGdmCl)に変性剤の濃度を低減することを含む。これは、有利には再生バッファー中での可溶化物の緩慢な連続的又は段階的な希釈によって行われる。生物学的に活性なタンパク質の収量を最大にするために、この場合に、例えば激しい撹拌によって保証される完全混和を迅速にかつ徹底的に行うことに留意するべきである。
【0024】
希釈の代替は、可溶化物の再生バッファーに対する透析である。これらの条件は、それぞれの場合にタンパク質凝集物の形成が最少化されるように選択される。変性剤の初期の希釈の間に既に、タンパク質の再生が行われてよい。再生バッファー中のrh−プロBMP−2の最終濃度は希釈もしくは透析の後に10〜1000μg/ml、有利には50〜250μg/mlである。
【0025】
最適なタンパク質濃度は、誤って折り畳まれたポリペプチド鎖及び折り畳み中間体の無駄な凝集(1プロセス≦2桁[Kiefhaber et al., Biotechnology (N.Y.) 9 (1991), 825−829])が本来の立体配置への個々のポリペプチド鎖の折り畳み(プロセス 1桁)よりも緩慢に進行する場合に保証される。
【0026】
使用される再生バッファーのpHは6.5〜10、理想的には8〜9である。バッファーとしては従って中性乃至アルカリ性のpKaを有する全ての、有利にはトリスバッファー及びリン酸バッファー並びにこれらの組合せが該当する。更に再生収量を高める低分子助剤[米国特許第5593865号、Rudolph et al., 1995]の再生バッファーへの添加が適切である。L−アルギニンの存在下での再生が特に適当であり、その際、0.2〜2.0M、有利には0.5〜1.5MのL−アルギニンの濃度が使用される。再生バッファーの他の成分は本発明によれば1種以上のチオール化合物の還元形及び酸化形の組合せである。かかる組合せは、例えば還元グルタチオン(GSH)及び酸化グルタチオン(GSSG)、システイン及びシスチン、システアミン及びシスタミン並びにβ−メルカプトエタノール及び2,2′−ヒドロキシエチルジスルフィドである。かかる人工的なレドックス形を用いてタンパク質の再生を熱力学的に制御することができる。ポリペプチド鎖の正確な折り畳みのために必要なジスルフィド架橋の形成のための可能性[Creighton, Biochemistry 378 (1997), 731−774]は酸化形の存在によって保証され、誤って形成されたシスチンの再分解(リシャッフリング)のための可能性はチオール成分の還元形のそれによって保証される[Creighton et al., Trends Biotechnol. 13 (1995), 18−23]。
【0027】
有利にはグルタチオンは還元された形(GSH)及び酸化された形(GSSG)の形で、それぞれ10mMまでの濃度で、理想的には5mMのGSSG対2mMのGSHの比で使用される。
【0028】
再生バッファーは本発明によれば有利には1種以上の錯形成剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を20mM(有利には約5mM)までの濃度で、一方で還元されたチオール成分の制御されない促進された酸化を金属イオンによって阻止するため、かつ他方で復元物が汚染されうるメタロプロテアーゼを阻害するために含有する。
【0029】
本発明によれば再生は適宜に0〜20℃の温度で1〜21日間にわたり、有利には5〜10℃で5〜10日間にわたって行われる。
【0030】
比較的長い復元時間はプロBMP−2−ポリペプチド鎖の共有的な二量体化によって説明することができる。我々の調査は、このプロセスについて本発明の条件下にタンパク質濃度が速度を規定せず、遊離のチオール基の酸化が速度を規定する。
【0031】
再生過程の完了後に本発明によれば、有利には、本発明の範囲内の低分子助剤を含有しない酸性(pH≦5)バッファーに対して透析する。透析バッファーは、透析によって誤って折り畳まれたポリペプチド鎖及び折り畳み中間体を十分に凝集でき、かつ従って遠心分離、濾過又は別の慣用の方法によって分離できる場合に本発明による方法に相当する。透析の前に、例えばクロスフロー濾過による再生バッチの濃縮、それに引き続いて再生条件下に付加的なインキュベート時間が適切である。場合により濃縮のプロセスにおいても生じ、かつチオール基の酸化を促進するバッファーのベンチレーション通気は再生時間の短縮に影響を及ぼし。これは、同様に酸化的に作用する物質の添加によって達成できる。
【0032】
単量体の誤って折り畳まれたもしくは二量体化されていない正しく折り畳まれた種の復元されたrh−プロBMP−2の本来の二量体形からの分離は本発明によればクロマトグラフィー的分離法によって実施でき、その際、有利には逆相HPLCが使用される。カラム材料としては、このためにとりわけ、匹敵する又はより強い疎水性のシリカを主体とするC4−基体もしくはポリマーを主体とする粒子が適当であり、その際、タンパク質の大きさに基づいて孔径≧300Åが推奨される。溶出物としてはRP−HPLCで慣用の、例えばアセトニトリル、2−プロパノール又はエタノールが適当である。本発明によればこの場合、イオン対形成剤、例えばトリフルオロ酢酸もしくは過フッ化酪酸を慣用の濃度で使用する。
【0033】
二量体の天然に折り畳まれたプロBMP−2の精製のための更なる可能性はヘパリン−親和性クロマトグラフィーの使用である。この場合、タンパク質の可溶性を高めるために、かつプロBMP−2及びカラム材料の間の非特異的な相互作用を回避するために2〜8モルl− 1、有利には5モルl− 1の尿素濃度をバッファー添加物として使用できる。HiTrapヘパリン−セファロース(Amersham Pharmracia Biotech)はこの場合カラム材料として特に適当である。プロBMP−2のモノマー形はこの場合300モルl− 1のNaCl下にマトリクスから溶出され、かつ二量体形はより高い塩濃度でマトリクスから溶出される。
【0034】
TGF−β−ファミリーに属さない神経成長因子β−NGFについては、既にWO00/22119号[Rattenholl et al., 2000]において生物学的に活性なタンパク質をその不活性の変性された前駆形から得るための方法が記載されている。β−NGF及びBMP−2は、特にそのプロ配列の長さにおいて異なる(β−NGF−103 AS:BMP−2−263 AS)。また三次構造においても本質的な差異が存在する[McDonald und Hendrickson, Cell 73 (1993), 421−424]。従って、本発明は本質的な点でWO00/22119号とは異なることは意想外ではない。
【0035】
正しく折り畳まれたrh−プロBMP−2の最大の収量のために必要な再生時間は実質的にrh−プロNGF(3時間)よりも長い(1〜21日)。BMP−2の前駆形、例えばβ−NGFの前駆形のようにインビボでフリン型のプロホルモン変換酵素によってプロセシングされる。これらは、プロ配列の末端で二塩基性の配列モチーフを認識する。その後者のアミノ酸はArg282である。インビボで、BMP−2もしくはβ−NGFのプロペプチドを匹敵する基質特異性を有するプロテアーゼによって分解できる。
【0036】
しかしながら再生されたrh−プロBMP−2のプロセシングはプロNGFの分解のために使用される条件とは全く別の条件を必要とする。本発明により使用される263アミノ酸を有するBMP−2のプロ配列が実質的に成熟タンパク質(114アミノ酸)よりも長いにもかかわらず、我々の調査においては意想外にも、プロBMP−2の溶解特性が成熟ドメインの溶解特性によって規定されることが示された。従ってプロBMP−2は、BMP−2−プロペプチド単独(Gly20−Arg282)に対して、溶解補助添加物を用いずにpH≦5の場合にだけ高い濃度で可溶である。酸性のpHにおいて、前駆形の効果的なプロセシングはプロテアーゼ(トリプシン、PACE(対塩基性アミノ酸変換酵素;二塩基性モチーフ切断性の真核性エンドペプチダーゼによる)を用いても不可能である。それにもかかわらずタンパク質分解による分解を可能にするために、本発明によれば全ての非阻害性の溶解助剤、特に尿素又はトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)を1〜5Mもしくは0.1〜2Mの濃度で単独又は、有利には2〜4Mの尿素を0.1〜1Mのトリスと組み合わせて使用する。前記の添加物を用いて、プロBMP−2を≧1mg/mlの濃度で最適pH(7〜8)において溶液に保持することも可能である。
【0037】
タンパク質分解のためのバッファー条件の調整は、適宜に透析によって実施する。本発明によればトリプシン様プロテアーゼが有利であり、これらのプロテアーゼは1:10〜1:1000(トリプシン、rh−プロBMP−2)の質量比、有利には1:20〜1:100の質量比で使用される。1分〜24時間、有利には30分〜6時間の時間にわたり0〜37℃の温度、有利には10〜25℃の温度でインキュベートする。バッファー物質として、トリスの場合に溶解助剤自体が、かつ尿素の場合には付加的にトリスバッファーが前記の濃度で役割を果たす。高濃度のトリス、例えば0.5Mは更に場合により尿素から形成されるイソシアネートによるアミノ酸側鎖の共有的修飾を抑制する。
【0038】
pHは当該プロテアーゼについて有利な値、有利には7〜8に調整される。メタロプロテアーゼによる非特異的なタンパク質分解を遮断するために、本発明によれば錯形成剤、例えば1〜20mMのEDTAを添加することが適切である。タンパク質分解は1種以上のプロテアーゼインヒビター、有利には1〜5mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)又はウシ膵臓又はダイズからのトリプシンインヒビター(BPTI/SBTI)を2〜20倍のモル過剰でトリプシンに添加するか、もしくはpH≦5に酸によって調整することによって停止させる[Rudolph et al., : Folding proteins, in Protein Function: A Practical Approach, T.E. Creighton (Hrsg.), 2.Aufl. (1997), 57−99]。
【0039】
成熟BMP−2のN−末端(Gln283−Arg291)は構造化されておらず、従ってプロテアーゼ感受性である。そのN末端は更に幾つかのアルギニン基及びリジン基(Arg289,291、Lys285,287,290)を有する。有利には前記の塩基性アミノ酸基の後で切断するトリプシンによる制限されたタンパク質分解は従って成熟BMP−2のフレキシブルなN末端の分解をもたらす。得られるdrBMP−2の生物学的活性は動物試験で検出された。本発明によれば、場合によりタンパク質工学によって、BMP−2のヘパリン結合部位をタンパク質分解から保護するために1つの付加的なジスルフィド架橋を、類似のTGF−β中に存在するのと同様に成熟BMP−2のN−末端の固定及び安定化のために導入することが可能である。相応して低いタンパク質濃度での本発明による溶解助剤濃度の不在下にrh−プロBMP−2の制限されたタンパク質分解のための我々の調査は、該プロペプチドが成熟タンパク質の分解の後に依然として十分にプロテアーゼ耐性な少なくとも1つのドメインからなることを示している。使用される溶解助剤の使用濃度で、これらのドメイン自体は部分的に弱く変性作用を有する。その結果として、鎖内(intrachenare)ジスルフィド架橋によって安定化されないBMP−2のプロペプチドは構造的に不安定化され、プロテアーゼ反応性であり、かつ従って本発明による制限されたタンパク質分解の条件下に分解されうる。
【0040】
タンパク質分解生成物の精製のために、本来のBMP−2の強い疎水性に基づいて[Scheufler et al., J. Mol. Biol. 287(1999), 103−115]疎水性相互作用による精製が提案される。本発明によればそのために有利には、得られるdrBMP−2が強く結合するカラム材料が使用され、他方でその他の分解生成物並びに使用されたプロテアーゼもしくはインヒビターは該カラム材料と弱く相互作用する。本発明に相応して、バッファー条件をタンパク質分解の後に、drBMP−2が沈殿し、かつその他の分解生成物、プロテアーゼもしくはそのインヒビターが溶液中に保持されるように変化させることが可能である。沈殿したdrBMP−2を次いで上清の分離の後に、適当なバッファーもしくは溶剤中に再び溶解させてよい。有利には沈殿性条件への前記の変化は適当なカラム材料、特に“Gractogel EMD Phenyl S”(メルク)又は匹敵する材料、例えばフェニルセファロース(ファルマシア)の存在下に透析によって実施する。該材料を大過剰で使用する場合には、凝集前に該材料上にタンパク質が結合することが達成可能である。カラム材料を前記のようにタンパク質で負荷した後に、不所望の成分を適当な洗浄工程によって除去してよい。drBMP−2の溶出は適宜に緩慢乃至激しく変性させるが決して還元性でない条件下に実施する。溶出剤としては、カラム材料に応じて、それに即してとりわけアルギニン、尿素又はグアニジウム塩が適当であり、これらは低い濃度でカラム材料の洗浄のためにも使用してよい。溶出の後に、drBMP−2を含有するフラクションを場合により精製し、かつ特に有利にはBMP−2の最終的な適用のために非常に適当な溶剤である0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)又は酢酸アンモニウムに対して透析する。本発明によれば、タンパク質分解生成物を逆相材料、有利にはC4−RP−HPLC上で分離し、その際、溶出を有利には0.1%のTFAを用いてアセトニトリル勾配中で実施する。
【0041】
本発明によれば復元されかつプロ配列の分解の後に得られる成熟BMP−2はそれについて慣用のように骨成長の促進のために使用してよい。しかしながら意想外にも全体又は短縮されたプロ配列をなおも有する復元されたプロBMP−2自体もその生物学的な作用において成熟BMP−2と等価であり、かつ前記のように使用できる。従って本発明の対象は骨成長を促進するための作用物質を含有する医薬品としてのプロBMP−2である。該医薬品は完全な又は欠損したプロ配列を含有してよい。有利には本発明によればプロBMP−2と種々の医学的移植材料との組合せを一時的な骨代替(骨代替材料)のために並びに永久の骨代替及び関節代替(金属製移植物、例えば股関節エンドプロテーゼ及び膝関節エンドプロテーゼ)のために外傷学、整形外科、HNO、MKG及び神経外科で使用される。この場合に、一方でプロBMP−2を追加の移植物被覆として全ての内表面及び外表面上に付着する薄いタンパク質被膜の様式で付着助剤(例えばシラン)を使用しかつ使用せずに使用してよい。第二にプロBMP−2を移植物の組み込み成分として、該成分を化学的重合又は硬化によって製造できる固形の最終生成物の非固形の出発材料に添加することで使用できる(リン酸カルシウムセメント、例えばノリアンSRS、オスチム(Ostim)など)。
【0042】
一時的な骨代替のための移植物として、天然及び合成起源の無機及び有機材料並びに両者の混合形が考慮される。無機の骨代替材料のための例はヒドロキシアパタイト、β−トリカルシウムホスフェート、α−トリカルシウムホスフェート、ガラスセラミック、バイオガラス、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム及びその他の挙げられていないカルシウム塩からのセラミックの結晶形及び非晶質形(専らリン酸カルシウムベースの骨セメントを含む)である。適当な有機材料はとりわけコラーゲン、骨組織、脱塩された骨基材、ゲル化される多糖、例えばヒアルロン酸、生体適合性プラスチック、例えばポリ乳酸、ポリメチルアクリレート、ポリエチレングリコール等の非常に多様な混合形及び加工形である。持続性の骨代替のためにエンドプロテーゼ及び別の金属製移植物、例えば脊椎体安定化のための移植物が考慮される。通常はこれは、種々の特殊鋼及びチタン合金からの、部分的にヒドロキシアパタイト被覆が設けられている製品である。
【0043】
従って本発明の更なる対象は、特許請求の範囲に定義されるような成熟BMP−2が結合されている完全又は欠損したプロ配列を有するプロBMP−2、この物質を含有する医薬品及び骨成長の促進のための医薬品の製造のための方法である。Gly20−Arg396のプロBMP−2の、20個のアミノ酸Hisタグ及び開始コドンMetを含む完全な配列を第2表に示す。アミノ酸Met1〜His20はpET−15bによってコードされるHisタグの成分である。BMP−2のプロ配列はGly22で始まる。Hisタグ及びプロ配列の間に付加的なメチオニンが存在する。本願に示される配列中のGly22〜Arg398は、テキストの配列データに関するヒトのプレプロBMP−2−cDNAの一次翻訳産物中のGly20〜Arg396に相当する。以下の実施例は本発明を図面と関連づけて説明する。
【0044】
図1はSDS−PAGE電気泳動図を示している。
【0045】
図2はUV−CD−スペクトルを示している。
【0046】
図3はそれぞれプロBMP−2の発光スペクトルを示している。
【0047】
図4はSDS−PAGE電気泳動図を示している。
【0048】
図5はRP−HPLC−クロマトグラムを示している。
【0049】
図6はUV−CD−スペクトルを示している。
【0050】
図7はそれぞれdrBMP−2のMALDI−TOF−質量スペクトル図を示している。
【0051】
図8はrh−プロBMP−2のRP−HPLC−図を示している。
【0052】
図9はrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。セラミックの内表面も外表面もいずれも骨物質で覆われている。孔内部は多数の脂肪細胞による骨標識を有する(移植物材料−暗部、骨−淡青色)。左下に幾らかの筋繊維(暗青色)並びに結合組織が見られる。
【0053】
図10は高拡大でのrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。骨材料(左上乃至右下、淡青色)は該材料によって覆われたセラミック材料(右、灰色)と非常に密接して存在する。骨物質及び造血組織の間に活性骨芽細胞が一列で存在する。
【0054】
図11は移植物におけるAPの活性の比較を示している。
【0055】
実施例
実施例1:プロBMP−2の製造
エシェリキア コリ−発現ベクターにおけるprobmp−2−cDNAのクローニング
probmp−2−cDNAのクローニングのためにノバゲン(Novagen)社のT7−発現系[Studier und Moffat, J. Mol. Biol. 189 (1986), 113−130]を使用した。
【0056】
出発DNAとして、挿入されるプレprobmp−2−cDNAを有するpcDNA3−ベクター(ベーリンガーマンハイムGmbH)を用いる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってBMP−2のアミノ酸Gly20〜Arg396をコードするDNAが得られた。この場合に、5′末端に翻訳開始のためにメチオニンコドンを導入し、かつ3′末端の終止コドンをE.coliに典型的なものに変え、かつ第二の終止コドンによって補われる突然変異誘発プライマーを使用した。更にこれらのプライマーはNdeI切断部位(5′末端)もしくはBamHI切断部位(3′末端)を有する。これは発現ベクターpET−15b(ノバゲン)への引き続いてのクローニングを可能にする。このベクターは付加的に、E.coliにおける発現速度をかなり増大させることができるN末端−6ヒスチジンタグをコードしている。
【0057】
該ヌクレオチド配列をDNA配列決定[Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74 (1977), 5463−5467]によるクローニングの完了後に調査した。
【0058】
以下のプライマーを使用した:
【0059】
【表1】
【0060】
宿主生物としてE.coli BL21(DE3)を用いた。この細菌の染色体はlacプロモーターの制御下にあるT7−RNAポリメラーゼのための遺伝子を有する。従ってポリメラーゼの発現はイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)によって誘導できる。probmp−2遺伝子をT7プロモーターで制御する。IPTGでの誘導は従ってプロBMP−2の形成をもたらす。発現速度の更なる向上のために細胞をpUBS520で同時形質転換した。このプラスミドはE.coli中に稀なアルギニンtRNA(dnaY)のための遺伝子を有する。それに対して、このtRNAによって認識されるアルギニンコドン(AGA及びAGG)は真核性遺伝子中に特に頻繁に存在し、またprobmp−2中にも存在する。かかる遺伝子のE.coli中での発現速度は、とりわけ前記のtRNAの利用可能性に依存する[Brinkmann et al., Gene 85 (1989), 109−114]。
【0061】
E.coli中でのヒトのプロBMP−2の発現
組み換え細菌株の培養のために、適当な容量の2・YT−培地、一般に1.5lに100μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカナマイシンを添加し、かつ単コロニーを接種した。
【0062】
2・TY−培地(1l):
17gのトリプトン
10gの酵母エキス
5gのNaCl
該培養を37℃及び160〜200rpmで振盪した。1〜1.3のOD600において1mMのIPTGで誘導した。引き続き更に3〜4時間同じ温度で振盪し、かつ再現的に細胞密度が3〜3.5のOD600の誘導後に達成された。細胞の回収を10000gの遠心分離によって実施した。1lの培地あたりに3〜3.5gの細胞(湿式質量)を得ることができた。即座の細胞溶解の代わりに細胞をまず液体窒素中で、次いで−20℃で凍結させた。
【0063】
封入体(IB)の単離
組み換えprobmp−2−発現において細菌細胞中に凝集物、封入体(IB)が形成する。このIBの調製をRudolph et al., :”Folding proteins”の”Protein Function: A Practical Approach”, T.E. Creighton (Hrsg.), 2. Aufl. (1997), 57−99に従って実施した。
【0064】
5gの細胞ペレットごとに、25mlの100mMのトリス/HCl(pH7.0)、1mMのEDTA中に再懸濁した。1gの細胞湿式質量あたりに1.5mgのリゾチームを添加した後に、細胞懸濁液を4℃で30分間インキュベートを実施した。最後にこれらの細胞を高圧分散(ゴーリンホモジナイザ)によって粉砕した。3mMのMgCl2及び10μg/mlのDNAアーゼの添加の後に、均質物を25℃で更に30分間インキュベートした。それに引き続いて0.5容量部の60mMのEDTA、6%のトライトンX−100、1.5MのNaCl(pH7.0)を添加し、かつ4℃で30分間インキュベートを続け、不溶性の細胞成分を可溶化させた。IBはその条件下で不溶性のままであり、かつ39000gでの遠心分離によって分離できた。過剰の界面活性剤をIBから分離するために、これをなおも5回100mMのトリス/HCl(pH7.0)、20mMのEDTAで洗浄し、引き続きアリコートに取り、かつ−20℃で保存した。
【0065】
前記のようにして、1gの誘導されたE.coli細胞から再現的に180〜210mgのIBが得られ、これらは30〜35%のタンパク質含量において90〜95%のrh−プロBMP−2を含有している。
【0066】
IBの可溶化
100〜150mgのIBペレットを1mlの100mMのトリス/HCl(pH8.0)、6MのGdmCl、100mMのDTT、1mMのEDTA中で25℃において4時間可溶化させた。次いでpHを酢酸で3〜4に調整し、かつ不溶性成分を遠心分離において16000gで20分間にわたりペレット化した。上清を引き続き超遠心分離において266000gでもう一度30分間遠心分離して、微小凝集物を分離した。タンパク質濃度をλ=280nmでの吸光測定によって測定し[Gill und von Hippel, Anal. Biochem. 182(1989), 319−326]、30〜52mg/mlであった。
【0067】
プロBMP−2の精製
回収率(約70%)はこの場合に分析的基準に匹敵した。
【0068】
第二の精製法として、ヘパリン−親和性クロマトグラフィーを1mlのHiTrap ヘパリンセファロース(アマシャム ファルマシア ビオテック)上で使用した。バッファー系としては:
− 0.1モルl− 1のトリス(pH7.56)、6モルl− 1の尿素(バッファーA)及び
− 0.1モルl− 1のトリス/HCl(pH7.5) 6モルl− 1の尿素、1モルl− 1のNaCl(バッファーB)
が使用された。カラムをバッファーAで10カラム容量より多くで平衡化した。不純物を0〜20%バッファーBで溶出させた。単量体及び二量体のプロBMP−2の分離を20〜50%のバッファーBの勾配で30分間1ml分− 1の流動で実施した。
【0069】
調製的基準でのrh−プロBMP−2の再生
プロBMP−2−IB−溶解物を4MのGdmCl(pH4)での再生のために、溶解物の完全な希釈の後にGdmClの最終濃度が折り畳みバッファー中で50〜60mMに達するように希釈した。プロBMP−2の濃度は最終的に3〜4μM(135〜180μg/mlに相当)であった。
【0070】
折り畳みバッファー:
100mMのトリス/HCl(pH8.0)
1MのL−アルギニン
5mMのGSSG
2mMのGSH
5mMのEDTA
折り畳みバッファーの濾過及び脱ガス後に、溶解物を緩慢に(〜20ml/h)かつ撹拌下に添加し、かつ該バッチを5℃で7日間インキュベートした。溶解物によって運ばれたDTT基はこの場合、最大0.4mMのGSHの濃度と等価である。
【0071】
折り畳みバッチの濃縮はクロスフロー濾過(Filtron Minisette, Membran: 30kDa open channel)によって実施した。濃縮物を引き続き20容量の50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で5回、それぞれ24時間透析し、次いで凝集したタンパク質を75000gで2時間遠心分離した。溶液中に残留するタンパク質の量をλ=280nmでの吸光によって測定し、かつ再現的に、使用されたIB溶解物のタンパク質含量に対して約50%であった。
【0072】
プロBMP−2の精製
本来の二量体のrh−プロBMP−2の(誤って又は正確に折り畳まれた)モノマー種の分析的もしくは半調製的な分離のために、RP−HPLCを使用した。分析的基準においては、とりわけProtein−RP−カラム(150×3.6mm、YMC)を展開液としてH2OもしくはACN中の0.1%過フルオロ酪酸(HFBA)を用いて使用した(図8参照)。またイオン対形成剤としてのトリフルオロ酢酸を用いてもモノマー及びダイマーの分離は達成された。二量体は、成熟BMP−2の場合と同様に、その高い疎水性に基づいてモノマーもしくはモノマーの誤って折り畳まれた種よりも遅く溶出する。半調製的な基準においては、Source15 RPC材料(ファルマシア)を有するカラムを使用した。分離プロフィール及び回復率(約70%)はこの場合、分析的基準に匹敵した。
【0073】
rh−プロBMP−2の特徴付け
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による純度分析及び分子量測定
SDS−PAGE分析によって本発明により調製されたプロBMP−2−IBの高い純度(≧90%;図1、レーン2〜5)が得られるので、事前の精製を行わなくても再生のために使用できる。
【0074】
非還元性条件(ヨードアセトアミドの添加は遊離チオール基の不可逆的な酸化的変性をもたらす)下でのSDS−PAGEは再生されたプロBMP−2の高い共有的な二量体化度(≧90%)を示し、かつジスルフィド架橋の正確な形成を示唆し、かつそれによってタンパク質の本来の構造を示唆している(図1、レーン6)。
【0075】
N−末端配列分析
SDS−PAGE及びPVDFメンブレン上でのウェスタンブロットの後にN−末端配列決定を実施した[Edman und Begg, Eur. J. Biochem. 1 (1967), 80−91]。これらにより、再生されたプロBMP−2に関して以下のアミノ酸配列:Gly−Ser−Ser−His−His−
の結果が得られた。
【0076】
該配列は開始メチオニンの分解後のヒスチジンタグを有する組み換えプロBMP−2のN−末端に相当する。
【0077】
円二色性分光分析及び蛍光分光分析
再生されたプロBMP−2及び更に変性されたプロBMP−2で実施された蛍光分光分析及びCD分光分析は二次構造及び三次構造の存在に対して明らかな示唆を明らかにした遠−UV−CD−スペクトルのλ=220nm付近の範囲における再生されたプロBMP−2及び変性されたプロBMP−2の楕円性の間の大きな差異(図2)は、本発明による再生過程において二次構造エレメントの形成が生じるという確認を可能にする。再生されたプロBMP−2の蛍光の発光極大が変性されたタンパク質に対してより低い波長に推移することは(図3)、本来の三次構造の形成のために典型的である。この場合に、該タンパク質のトリプトファン残基(ポリペプチド鎖プロBMP−2あたりに5個のトリプロファン)は折り畳まれるタンパク質の非極性の核への溶剤の極性の包囲から得られる(nuke p24)。こうして低減された励起エネルギーの損失によってより高い周波数の光が放出される[Schmid: ”Optical spectroscopy to characterize protein conformation and conformational changes. ” in ”Protein Structure: A Practical Approach”, T.E. Creighton (Hrsg. ), 2.Aufl. (1996), S. 261−297]。蛍光スペクトルから、低いpHでのプロBMP−2の構造は、従って成熟のプロBMP−2の高い溶解性の範囲において変化を受ける。我々の実験がもたらしたように、このことはプロペプチドの部分的な展開に起因することがある(データ示さず)。
【0078】
MALDI−TOF−質量分光分析及びN−末端配列分析
− 明らかな分子量:89803.0078Da − 図7参照
− 計算された分子量(開始メチオニンなし):89801.2Da
rh−プロBMP−2及びrh−drBMP−2の生物学的活性
修飾されたrh−プロBMP−2及びrh−drBMP−2の骨誘導活性を研究用小動物の異所性骨誘導モデルにおいて調査した。このために、定義された量のそれぞれ調査されるべき因子(40〜200μg;drBMP−2もしくはプロBMP−2)を滅菌濾過の後にβ−TCPからの滅菌の立方体状の化学的及び薬理学的に不活性なセラミック移植物基体上に施与した。
【0079】
移植物仕様:
製造元 − Mathys社(Bettlach, Schweiz)
商品名 − chronOs
相純度 − >95%β−TCP
孔容量率 − 72±6%
孔径 − 80〜650μm
孔構造 − 連続
強度 − 7.7±1.2MPa
因子被覆された移植物並びに未被覆であるがその他は同一に処理された対照移植物を8匹の成長した研究用ラットを前方腹膜筋組織に移植した。このために麻酔後に約1cm長の複数の外科的切断を皮膚及びその下にある最上筋肉層に施した。無血の調製によって2つの斜位の腹膜筋肉組織の間に中空部を生じ、その中に移植物を導入し、かつ傷口を外科的縫合によって閉じた。30日の静置時間後にこれらの動物を屠殺し、かつ取り囲まれた組織を有する移植物を取り出し、かつ巨視的かつ組織学的に骨新生に関して調査した。全ての因子被覆された移植物において、造血的に活性な骨標識の形成を伴う骨新生は組織学的に明らかに確認できる(図8及び9を参照のこと)。生物学的作用は従って両者の因子についてそれぞれ100%(プロBMP−2の場合に16/16;drBMP−2の場合に8/8)であった。それによって骨誘導活性の検出は骨組織の形成によって通常は骨形成能を有さない筋肉組織において明らかにもたらされうる。プロBMP−2及び成熟のdrBMP−2の間の組織学的な結果における定量的な差異は確認できない。対照移植物は骨新生を引き起こすことはない。その代わりに該移植物は専ら結合組織的に結合された。
【0080】
rh−プロBMP−2もしくはrh−drBMP−2の影響下での活性骨組織の新生に関する更なる証拠はアルカリ性ホスファターゼ(AP)の活性を移植物中で測定することによってもたらされる。このために各移植物の半分を外移植の直後に凍結させ、かつ−80℃で貯蔵した。アルカリ性ホスファターゼの抽出及び酵素活性の測定のために移植物を解凍し、かつ0.1Mのトリス/HCl、1%のトライトンX−100、pH7.4(4℃)でPotter Sホモジナイザ(B.Braun Biotech)で分解し、かつ不溶性の成分を遠心分離によって分離した。澄明な上清を次いで試験キットのEcoline25(メルク)によるアルカリ性ホスファターゼの活性測定のために使用した。前記の試験で遊離された4−ニトロフェノールの濃度を25℃及びλ=405nmにおいて5分間観察し、かつ酵素活性を式1に従って計算した:
【0081】
【数1】
【0082】
式中、Vbはバッファーの容量(1ml)であり、かつVsは試料の容量(25ml)である。製造者の指示に応じてε=18518l×モル− 1×cm− 1を4−ニトロフェノールのモルの吸光係数とした。得られる活性の単位はマイクロモル×分− 1×ml− 1である。試験結果を第1表及び図10にまとめる。rh−プロ/drBMP−2含有の試料における酵素活性は(−)−コントロールに対して相当高いが、rh−drBMP−2の活性はrh−プロBMP−2を有する試料に対して僅かであり、またあらゆる場合にない(例外:動物4、6及び8)。rh−プロBMP−2(約45kDa)及びrh−drBMP−2(約12kDa)の種々の分子量並びにrh−プロBMP−2試料が精製されずに使用され、従ってなおも誤って折り畳まれたモノマー種を10%までの割合で含有する事実を顧慮して、前記の動物モデルにおけるrh−プロBMP−2は(欠損した)成熟形のタンパク質に匹敵する骨新生誘導活性を有する。
【0083】
第1表:drBMP−2又はプロBMP−2で被覆された移植物でのアルカリ性ホスファターゼの活性の比較(U)
【0084】
【表2】
【0085】
実施例2:生物学的に活性なdrBMP−2の生産
rh−プロBMP−2の制限されたタンパク質分解
rh−プロBMP−2の調製的タンパク質分解のために、50mlの再生されたタンパク質を0.1Mのトリス/HCl(pH7.0)、4Mの尿素、1mMのEDTAに対して透析した。凝集物を遠心分離(75000g、1時間)によって分離し、かつタンパク質濃度を分光光度計で測定した(1.3mg/ml)。透析による損失は13%であった。トリプシン(ロッヒェ ディアグノスティクス)を1:100(トリプシン:プロBMP−2;w/w)の比で使用し、該バッチを5〜7℃において4時間インキュベートした。トリプシンの不活性化を8倍のモル過剰のダイズ−トリプシンインヒビター(SBTI;シグマ)で実施した。バッチ全体の尿素不含バッファー(0.1Mのトリス/HCl(pH7.0))に対する透析を疎水性カラム材料(20mlのフラクトゲル−フェニル メルク)の存在下に実施した。こうしてdrBMP−2で負荷されたカラム材料を空のカラム(XK−16、ファルマシア)に充填し、引き続き:
・ 5SV(カラム容量)の低塩バッファー(透析バッファー)
・ 5SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)
・ 2SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)、4Mの尿素及び
・ 2SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)、1MのL−アルギニン
で洗浄した。6MのGdmCl、0.2Mの酢酸で溶出させた。drBMP−2含有フラクションを一緒にし、かつ0.1%のTFAに対して透析した。凝集物の形成は確認できなかった。透析物を滅菌濾過し、タンパク質濃度を分光光度計で測定した(1.3mg/ml)。こうして得られたBMP−2の収率は制限されたタンパク質分解のために使用される復元物に対して約50%であった。1lのE.coli培養から、従って約17mgの生物学的に活性なdrBMP−2が得られ、もしくは誘導されたE.coli細胞1g(湿式質量)に対して5.2(N−末端のヘパリン結合部位を含む成熟BMP−2の5.6mgに相当する)が得られた。ルパート他によって記載された方法[Eur. J. Biochem. 237 (1997), 295−−302]によってそれに対して1gの細胞あたりに0.2mgのBMP−2が得られた。
【0086】
drBMP−2の特徴付け
N−末端配列決定によるタンパク質分解生成物の分析
SDS−PAGE及びPVDFメンブレン上でのウェスタンブロットに従ってN−末端配列決定を行った[Edman und Begg, Eur. J. Biochem. 1 (1967), 80−91]。それにより、本発明により生じたdrBMP−2について以下のアミノ鎖配列の結果が得られた:
a)Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−Lys−Arg−
b)Lys−Arg−Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−
c)Arg−Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−Lys−
異なる種の互いの比は約3:2:1(a:b:c)である。システインを検出できないが、それに続くアミノ酸は検出できた。しかしながら該配列はDNAレベルで完全に正しいと証明された。これはヘパリン結合部位を有さない成熟BMP−2のN−末端に相当する。drBMP−2は還元された形及び還元されていない形で配列決定のために使用された。還元されていない形は2番目のセリンまで配列決定できるにすぎず、これについては後続の基がシスチンであり、従ってジスルフィド結合の成分であると報告された。従って全体的にタンパク質分解生成物は、ヘパリン結合部位を欠損した7〜9アミノ酸だけ短い成熟BMP−2のN−末端に相当する。
【0087】
本願に記載される制限されたタンパク質分解の条件下で、ジスルフィド結合されていないペプチド鎖が分解されるので、最終的には100%までの共有結合的に二量体化されたdrBMP−2が得られる。
【0088】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びHPLCによるdrBMP−2の純度分析
本発明により得られるdrBMP−2のサイズ及び純度を還元された条件及び還元されていない条件下でのSDS−PAGE及び引き続いての銀染色によって対照をとった(図4中のレーン6及び11)。95%を上回る純度において100%まで二量体化されている。
【0089】
更にdrBMP−2の純度及び均一性の調査のために逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC;Vydac C4)を使用した。drBMP−2はこの場合に46.57%のアセトニトリル及び0.1%のTFAで均一なピークにおいて溶出し(図5)、これはタンパク質の均一な構造化及び特定のジスルフィド結合を支持している。
【0090】
円二色性分光法
再生されたdrBMP−2及び変性されたdrBMP−2、特に還元されたBMP−2及び変性された成熟BMP−2の楕円性(IB−溶解物)の間の遠UV−CD−スペクトルの210〜230nmの範囲における大きな差異(図6)は、本発明によるプロタンパク質の再生過程においてタンパク質の成熟ドメインにおいても二次構造エレメントの形成が生じることの確認が可能である。
【0091】
第2表
【0092】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1はプロBMP−2のSDS−PAGE電気泳動図を示している。レーン1はLMW、レーン2〜5はIB−調製物、レーン6は再生されたプロBMP−2である。
【図2】
図2は再生されたプロBMP−2及び復元されたプロBMP−2の遠UV−CD−スペクトルを示している。
【図3】
図3は再生されたプロBMP−2及び復元されたプロBMP−2の発光スペクトルを示している(λexc=280nm;不同のタンパク質濃度)。
【図4】
図4はdrBMP−2のSDS−PAGE電気泳動図を示している。レーン1、6はLMW、レーン2〜5はdrBMP−2である。
【図5】
図5はdrBMP−2のRP−HPLC−クロマトグラムを示している。
【図6】
図6は再生されたdrBMP−2、復元されたdrBMP−2及び還元されたdrBMP−2の遠UV−CD−スペクトルを示している。
【図7】
図7はそれぞれdrBMP−2のMALDI−TOF−質量スペクトル図を示している。
【図8】
図8はrh−プロBMP−2のRP−HPLC−図を示している。
【図9】
図9はrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。セラミックの内表面も外表面もいずれも骨物質で覆われている。孔内部は多数の脂肪細胞による骨標識を有する(移植物材料−暗部、骨−淡青色)。左下に幾らかの筋繊維(暗青色)並びに結合組織が見られる。
【図10】
図10は高拡大でのrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。骨材料(左上乃至右下、淡青色)は該材料によって覆われたセラミック材料(右、灰色)と非常に密接して存在する。骨物質及び造血組織の間に活性骨芽細胞が一列で存在する。
【図11】
図11は移植物におけるAPの活性の比較を示している。
本発明は、生物学的に活性なdrBMP−2(dr:足指欠損)及び相同タンパク質を、変性された生物学的に不活性なプロBMP−2の再生(Naturierung)及び引き続いてのプロペプチドの分解によって製造する方法(該タンパク質の再生された前駆形は既に活性である)、新規の生成物としてのプロBMP−2及び骨成長の促進のための薬剤の製造のための使用に関する。
【0002】
BMP−2は骨形成タンパク質(BMP)のファミリーに属する。これはクローニング及び特性決定が1988年に初めて達成された骨成長因子である。前記のタンパク質の特性は軟骨内性骨新生の誘発能力である[Wozney et al., Science 242(1988), 1528−1534]。
【0003】
構造的にBMP−2は、非常に高い構造類似性を互いに有するにもかかわらず配列同一性が部分的に30%未満であるにすぎない30を越える他のタンパク質と一緒にTGF−β−スーパーファミリーに含まれる[Griffith et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93 (1996), 878−883]。その実質的な構造特徴はいわゆる“シスチン結合である。これは4つのアンチパラレルなβ−折り畳みシートによって形成され、そのうち2つずつがジスルフィド結合を介して互いに結合されている。この場合、2つのシステインはペプチド骨格と一緒になって第3のジスルフィド結合がまたがる環を形成する。
【0004】
β−折り畳みシートはこのタンパク質の優勢的な二次構造要素である。しかしながら該シートはβ−折り畳みシートが豊富な別のタンパク質よりも長くかつ強く曲がっている。TGF−β−ファミリーのタンパク質の相互の構造的な類似性に基づいて、これらのタンパク質はまた類似のようにその本来の立体配置を取り、従って折り畳まれることが必要である。
【0005】
BMP及び類似のタンパク質、例えばDPP(デカペンタプレジック、ショウジョウバエ)は高等生物の胚発生において重要な役割を担う。BMP−もしくはBMP−受容体遺伝子における欠失又はその調節によって、部分的に重大な発生障害、例えば進行性骨化線維異形性[Kaplan et al., Calcif. Tissue Int. 47 (1990), 117−125; Rao et al., Hum. Genet. 90 (1992), 299−302; Shafritz et al. N. Engl. J. Med. 335 (1996), 555−561]及び遺伝性象牙質形成不全症[Tabas et al., Clin. Orthop. 293 (1993), 310−316]がもたらされる。マウスのBMP−欠失突然変異は胎芽期において又は出生直後に既に死をもたらし、かつ骨格の異形性及び非常に多様な器官、例えば心臓、腎臓及び目に異形性を示す[Dudley et al., Genes Dev. 9 (1995), 2795−2807; Zhang und Bradley, Development 122 (1996), 2977−2986]。
【0006】
BMP及び類似の成長因子は全身性疾患、例えば骨粗鬆症の治療のために制限されてのみ適当である。それというのも前記の成長因子は許容できない副作用、例えば腫瘍促進を引き起こすことがあるからである。BMP、特にBMP−2はむしろ局所に限定された適用のために予定されている。これには、とりわけ変性性脊椎疾患における脊椎固定術、頭蓋骨の再生、医学的及び整形医学的な手術並びに四肢の複雑骨折の治療が該当する。これらの使用に関しては骨新生に対してrhBMP−2(rh − ヒトの組み換えの)がポジティブな作用を有し、かつそれによって治癒プロセスに対して既に多くの動物モデルにおいて印象深く証明されている[Lane et al., Clin. Orthop. 361 (1999), 216−227:Marden et al. J. Biomed. Mat. Res. 28 (1994), 1127−1138 ; Mayer et al., Plast. Recontr. Surg. 98 (1996), 247−259; Sandhu und Boden, Orthop. Clin. North Am. 29 (1998), 621−631; Toriumi et al., Arch. Otolyryngol. Head Neck Surg. 117 (1991), 1101−1112; Yasko et al. J. Bone Joint Surg. (Am.) 74 (1992), 659−670]。脊椎固定手術については既に第一の臨床段階さえも存在する[Boyne et al., Int. J. Periodontics Restorative Dent. 17 (1997), 11−25; Howell et al., Int. J. Periodontics Restorative Dent 17 (1997), 124−139]。同様に人工関節の固定又は周囲の骨組織における固定、例えば骨折の安定化のためにrhBMP−2を使用することに意義がある。
【0007】
なおも不足した研究及び−またその研究自体−の他に、臨床的実務におけるBMPの通常の使用を、タンパク質製造のための高い費用が妨害する。本発明に記載される方法によって、生物学的に活性なBMP−2、例えば類似のBMPは少ない技術的労力で、かつ今まで可能であると見なされていない収率で廉価に高い純度で組み換え的に製造できる。
【0008】
ヒトのBMP−2は体内で396アミノ酸長のプレプロタンパク質の形で合成される。シグナルペプチド(プレ配列はインビボで発生性ポリペプチド鎖を小胞体(ER)に輸送するために用いられる。ERへの搬送の後に、該タンパク質は本来の立体配置に折り畳まれ、複数のジスルフィド結合を形成し(Cys296−Cys361、Cys325−Cys393、Cys329−Cys395、分子内:Cys360−Cys360)、かつ翻訳後修飾が行われる。翻訳後修飾にはアスパラギン残基のグリコシル化及び部分的に不完全なポリペプチドの分解が該当する[Israel et al., Growth Factors 7 (1992), 139−−150]。前駆タンパク質のC末端の114個のアミノ酸(Gln283−Arg396)は生物学的に活性な形がジスルフィド架橋された(Cys360−Cys360)ホモダイマーである成熟BMP−2を形成する。
【0009】
骨組織からのBMP−2の製造は相当の出費と僅かだけの収率に結びついている(40kgのウシ骨粉から40μgのBMP−混合物)[Wozney et al., Science 242 (1988), 1528−1534]。更にヒトの骨マテリアルからの単離は倫理上疑問があり、かつ病原(プリオン、HCV等)での汚染による危険をはらんでいる。ブタ又はウシからの相同のタンパク質の使用は免疫学的観点から同様に危険である。
【0010】
従ってBMP−2の組み換え的製造が有利である。そのために優先的に2つの可能性が該当する。一つ目に、該タンパク質を真核性発現系で製造できる[Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990), 2220−2224]。この場合に比較的少量の組み換えタンパク質(1lの培地あたりに25μgの部分的に精製されたBMP−2[Wozney et al., Science 242 (1988), 1528−1534]、比較的高い技術的労力及びそこから生じるコストが欠点である。
【0011】
第二の経路は原核性発現系の使用を含む。その利点はその簡単な技術的取扱い、低いコスト及び非常に高いタンパク質量の獲得にある。しかしながら真核生物に対して細菌は前駆タンパク質を正確にプロセシングすることができない。従って今まで使用された方法はBMP−2の成熟ドメイン(Gln283−Arg396)の発現に制限されていた。これらのドメインは細菌中に不溶性の生物学的に不活性な形で生じる。それというのも、とりわけ細胞質の還元条件のゆえにタンパク質のジスルフィド結合が形成され得ないからである。これらの不溶性タンパク質凝集物を封入体(IB)と呼称し、その単離及び精製は、例えばマルストン(Marston)[Biochem. J. 240 (1986), 1−12]によって記載されている。
【0012】
ルパート他(Ruppert et al.)[Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]の成熟BMP−2の再生のための方法はBMP−2も属するTGF−β−様タンパク質に関する米国特許第5650494号[Cerletti et al., 1997]に基づいている。該方法はTGF−β−様タンパク質のモノマーの変性された成熟形を緩効性の界面活性剤の存在下で再生させて、生物学的に活性な立体配置にすることを含む。BMP−2の場合において、1gの細胞あたりに0.2mgだけの活性タンパク質の収量が得られるに過ぎなかった[Ruppert et al., Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]。
【0013】
しかしながら本発明によって、誘導された細胞材料に対して25倍より高い活性タンパク質の収率を達成することが可能である。真核細胞での発現と比較して収量はほぼ3桁だけ高い。
【0014】
E.coliにおいて組み換え的に発現された成熟BMPの再生の場合の収量は複雑なジスルフィドパターンに基づいて(シスチン結合)非常に低い。本発明は、BMP−2−プロペプチド、例えば相同のタンパク質のプロペプチドも成熟ドメインの正確な折り畳みのために役割を果たすという仮定に基づいている。
【0015】
TGF−β−スーパーファミリーの生物学的に活性なタンパク質の組み換え的製造のための本発明による方法は、
(a)アミノ末端がTGF−β−スーパーファミリーのタンパク質のプロ配列又はその一部からなり、該末端に前記のBMP−β−スーパーファミリーのタンパク質又は、成熟BMP−2に対して少なくとも35%のホモロジーを有する別のタンパク質の成熟ドメインが接続されたタンパク質を、原核生物において少なくともタンパク質の一部が封入体の形で得られる条件下で発現させ、
(b)該封入体を単離し、かつ変性条件下に可溶化させ、
(c)前記封入体から可溶化され、変性されたモノマーの生物学的に不活性なタンパク質を再生させ、それによって可溶性の生物学的に活性な立体配置への折り畳み及び二量体化が可能であり、かつ
(d)場合により再生の後に成熟タンパク質をその前駆形からタンパク質分解により遊離させる
ことを特徴としている。
【0016】
我々のインビトロ復元試験は、本発明により界面活性剤の不在下にもBMP−2の仮定的前駆形(Gly20−Arg396)の使用及び引き続いてのプロペプチド(Gly20−Arg282)の分解において僅かな労力で大量の生物学的に活性なdrBMP−2を得ることが可能であることを示している。drBMP−2とは、本願ではBMP−2のLys290、Arg291もしくはLeu292から(例2.2.1参照)からArg396までのC末端ドメインを表し、その生物学的活性はケーニッヒ他(Koenig et al.)[Mol. Cell Biol. 14 (1994), 5961−−5974]によって記載されている。アミノ酸(Gln283からArg289、Lys290もしくはArg291)はヘパリンへのBMP−2の結合を媒介する。
【0017】
このむしろ非特異的な相互作用は確かにBMP−2の作用を変化させるが、その生物学的活性のためには必須ではない[Ruppert et al., Eur. J. Biochem. 237 (1996), 295−302]。
【0018】
本発明によればプロ配列もしくはプロペプチドとしてプロ配列全体(Gly20−Arg282)又はその一部のいずれも使用できる。
【0019】
原核生物におけるプロbmp−2の発現速度を高めるために、本発明によれば該遺伝子をコードしている配列の5′−末端にタグ配列、例えばヒスチジンタグを付与するか、又はプロbmp−2のコドンを突然変異誘発によって原核性発現のために最適化することも可能である。また米国特許第5336602号[Brinkmann et al., 1993]による発現増強並びに前記の方法の組合せも可能である。
【0020】
原核生物の細胞質での組み換えプロbmp−2の過剰発現において、該タンパク質はそこで不活性な不溶性の凝集物の形(封入体−IB)で生じる。その単離のために細胞を発酵後にまず1つ以上の慣用の方法(例えば高圧分散、酵素溶解又は超音波)によって溶解させる。これは有利には中性乃至弱酸性のバッファー溶液、例えば0.1Mのトリス/HCl(pH7.0)中で行われる。
【0021】
細胞のDNAを機械的、化学的又は有利には酵素処理によってIBと共沈しない断片に分解する。次いでIBを含む不溶性の細胞成分を任意の方法で可溶性の成分から分離し、その際、その分離は遠心分離によって有利に行われる。ペレットをその組成もしくはその添加物、例えば界面活性剤に基づいて、障害のある細胞タンパク質及び膜成分はしかしながらIBからの組み換えプロBMP−2を可溶化できない。残留する不溶性のプロBMP−2含有成分を本発明により後に可溶化、再生及び酵素処理する。
【0022】
再生の前にIBを、慣用の変性剤(カオトロピック物質)もしくはこれらの組合せを使用して可溶化させる。これには、といわけグアニジウム塩、例えばGdmCl又はGdmSCN並びに尿素及びその誘導体が該当する。変性剤もしくは変性剤混合物の濃度はこの場合、難溶性の組み換えタンパク質を完全に可溶化できるように調整する。グアニジウムクロリドの場合には、この濃度は3〜8Mの範囲であり、尿素の場合には6〜10Mである。更に変性して可溶性のシスチン含有のタンパク質をモノマー化するために、還元剤、ジチオトレイトール(DTT)又はβ−メルカプトエタノール又はこれらの還元剤の組合せの添加が有利であり、その際、可溶化バッファーのpHは有利には8〜9に調整される。可溶化に引き続き又はそれと平行して、更に遊離のシステインを酸化されたグルタチオンで共有結合的に変性させることができる。可溶化もしくはシステインの場合による共有的な変性の後にIB−可溶化物のpHを5未満に調整し、かつ更に場合により過剰の酸化還元当量を透析によって除去し、その際、透析バッファーは、還元剤から予測されて適宜に可溶化バッファーと同じ組成を有する。最後に可溶化プロセスの間に不溶性に保持される成分を分離し(遠心分離又は濾過)、かつ廃棄する。場合による変性段階及び過剰の還元剤の除去は、場合により固定された金属−親和性クロマトグラフィー(IMAC)を介してIB−溶解物の前精製を可能にし、N−末端にヒスチジンタグを有するプロBMP−2の発現が行われる。
【0023】
本発明によるrh−プロBMP−2の再生過程は変性作用のない又は困難にのみ変性作用を有する水準まで(例えば≦0.5MのGdmCl)に変性剤の濃度を低減することを含む。これは、有利には再生バッファー中での可溶化物の緩慢な連続的又は段階的な希釈によって行われる。生物学的に活性なタンパク質の収量を最大にするために、この場合に、例えば激しい撹拌によって保証される完全混和を迅速にかつ徹底的に行うことに留意するべきである。
【0024】
希釈の代替は、可溶化物の再生バッファーに対する透析である。これらの条件は、それぞれの場合にタンパク質凝集物の形成が最少化されるように選択される。変性剤の初期の希釈の間に既に、タンパク質の再生が行われてよい。再生バッファー中のrh−プロBMP−2の最終濃度は希釈もしくは透析の後に10〜1000μg/ml、有利には50〜250μg/mlである。
【0025】
最適なタンパク質濃度は、誤って折り畳まれたポリペプチド鎖及び折り畳み中間体の無駄な凝集(1プロセス≦2桁[Kiefhaber et al., Biotechnology (N.Y.) 9 (1991), 825−829])が本来の立体配置への個々のポリペプチド鎖の折り畳み(プロセス 1桁)よりも緩慢に進行する場合に保証される。
【0026】
使用される再生バッファーのpHは6.5〜10、理想的には8〜9である。バッファーとしては従って中性乃至アルカリ性のpKaを有する全ての、有利にはトリスバッファー及びリン酸バッファー並びにこれらの組合せが該当する。更に再生収量を高める低分子助剤[米国特許第5593865号、Rudolph et al., 1995]の再生バッファーへの添加が適切である。L−アルギニンの存在下での再生が特に適当であり、その際、0.2〜2.0M、有利には0.5〜1.5MのL−アルギニンの濃度が使用される。再生バッファーの他の成分は本発明によれば1種以上のチオール化合物の還元形及び酸化形の組合せである。かかる組合せは、例えば還元グルタチオン(GSH)及び酸化グルタチオン(GSSG)、システイン及びシスチン、システアミン及びシスタミン並びにβ−メルカプトエタノール及び2,2′−ヒドロキシエチルジスルフィドである。かかる人工的なレドックス形を用いてタンパク質の再生を熱力学的に制御することができる。ポリペプチド鎖の正確な折り畳みのために必要なジスルフィド架橋の形成のための可能性[Creighton, Biochemistry 378 (1997), 731−774]は酸化形の存在によって保証され、誤って形成されたシスチンの再分解(リシャッフリング)のための可能性はチオール成分の還元形のそれによって保証される[Creighton et al., Trends Biotechnol. 13 (1995), 18−23]。
【0027】
有利にはグルタチオンは還元された形(GSH)及び酸化された形(GSSG)の形で、それぞれ10mMまでの濃度で、理想的には5mMのGSSG対2mMのGSHの比で使用される。
【0028】
再生バッファーは本発明によれば有利には1種以上の錯形成剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を20mM(有利には約5mM)までの濃度で、一方で還元されたチオール成分の制御されない促進された酸化を金属イオンによって阻止するため、かつ他方で復元物が汚染されうるメタロプロテアーゼを阻害するために含有する。
【0029】
本発明によれば再生は適宜に0〜20℃の温度で1〜21日間にわたり、有利には5〜10℃で5〜10日間にわたって行われる。
【0030】
比較的長い復元時間はプロBMP−2−ポリペプチド鎖の共有的な二量体化によって説明することができる。我々の調査は、このプロセスについて本発明の条件下にタンパク質濃度が速度を規定せず、遊離のチオール基の酸化が速度を規定する。
【0031】
再生過程の完了後に本発明によれば、有利には、本発明の範囲内の低分子助剤を含有しない酸性(pH≦5)バッファーに対して透析する。透析バッファーは、透析によって誤って折り畳まれたポリペプチド鎖及び折り畳み中間体を十分に凝集でき、かつ従って遠心分離、濾過又は別の慣用の方法によって分離できる場合に本発明による方法に相当する。透析の前に、例えばクロスフロー濾過による再生バッチの濃縮、それに引き続いて再生条件下に付加的なインキュベート時間が適切である。場合により濃縮のプロセスにおいても生じ、かつチオール基の酸化を促進するバッファーのベンチレーション通気は再生時間の短縮に影響を及ぼし。これは、同様に酸化的に作用する物質の添加によって達成できる。
【0032】
単量体の誤って折り畳まれたもしくは二量体化されていない正しく折り畳まれた種の復元されたrh−プロBMP−2の本来の二量体形からの分離は本発明によればクロマトグラフィー的分離法によって実施でき、その際、有利には逆相HPLCが使用される。カラム材料としては、このためにとりわけ、匹敵する又はより強い疎水性のシリカを主体とするC4−基体もしくはポリマーを主体とする粒子が適当であり、その際、タンパク質の大きさに基づいて孔径≧300Åが推奨される。溶出物としてはRP−HPLCで慣用の、例えばアセトニトリル、2−プロパノール又はエタノールが適当である。本発明によればこの場合、イオン対形成剤、例えばトリフルオロ酢酸もしくは過フッ化酪酸を慣用の濃度で使用する。
【0033】
二量体の天然に折り畳まれたプロBMP−2の精製のための更なる可能性はヘパリン−親和性クロマトグラフィーの使用である。この場合、タンパク質の可溶性を高めるために、かつプロBMP−2及びカラム材料の間の非特異的な相互作用を回避するために2〜8モルl− 1、有利には5モルl− 1の尿素濃度をバッファー添加物として使用できる。HiTrapヘパリン−セファロース(Amersham Pharmracia Biotech)はこの場合カラム材料として特に適当である。プロBMP−2のモノマー形はこの場合300モルl− 1のNaCl下にマトリクスから溶出され、かつ二量体形はより高い塩濃度でマトリクスから溶出される。
【0034】
TGF−β−ファミリーに属さない神経成長因子β−NGFについては、既にWO00/22119号[Rattenholl et al., 2000]において生物学的に活性なタンパク質をその不活性の変性された前駆形から得るための方法が記載されている。β−NGF及びBMP−2は、特にそのプロ配列の長さにおいて異なる(β−NGF−103 AS:BMP−2−263 AS)。また三次構造においても本質的な差異が存在する[McDonald und Hendrickson, Cell 73 (1993), 421−424]。従って、本発明は本質的な点でWO00/22119号とは異なることは意想外ではない。
【0035】
正しく折り畳まれたrh−プロBMP−2の最大の収量のために必要な再生時間は実質的にrh−プロNGF(3時間)よりも長い(1〜21日)。BMP−2の前駆形、例えばβ−NGFの前駆形のようにインビボでフリン型のプロホルモン変換酵素によってプロセシングされる。これらは、プロ配列の末端で二塩基性の配列モチーフを認識する。その後者のアミノ酸はArg282である。インビボで、BMP−2もしくはβ−NGFのプロペプチドを匹敵する基質特異性を有するプロテアーゼによって分解できる。
【0036】
しかしながら再生されたrh−プロBMP−2のプロセシングはプロNGFの分解のために使用される条件とは全く別の条件を必要とする。本発明により使用される263アミノ酸を有するBMP−2のプロ配列が実質的に成熟タンパク質(114アミノ酸)よりも長いにもかかわらず、我々の調査においては意想外にも、プロBMP−2の溶解特性が成熟ドメインの溶解特性によって規定されることが示された。従ってプロBMP−2は、BMP−2−プロペプチド単独(Gly20−Arg282)に対して、溶解補助添加物を用いずにpH≦5の場合にだけ高い濃度で可溶である。酸性のpHにおいて、前駆形の効果的なプロセシングはプロテアーゼ(トリプシン、PACE(対塩基性アミノ酸変換酵素;二塩基性モチーフ切断性の真核性エンドペプチダーゼによる)を用いても不可能である。それにもかかわらずタンパク質分解による分解を可能にするために、本発明によれば全ての非阻害性の溶解助剤、特に尿素又はトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)を1〜5Mもしくは0.1〜2Mの濃度で単独又は、有利には2〜4Mの尿素を0.1〜1Mのトリスと組み合わせて使用する。前記の添加物を用いて、プロBMP−2を≧1mg/mlの濃度で最適pH(7〜8)において溶液に保持することも可能である。
【0037】
タンパク質分解のためのバッファー条件の調整は、適宜に透析によって実施する。本発明によればトリプシン様プロテアーゼが有利であり、これらのプロテアーゼは1:10〜1:1000(トリプシン、rh−プロBMP−2)の質量比、有利には1:20〜1:100の質量比で使用される。1分〜24時間、有利には30分〜6時間の時間にわたり0〜37℃の温度、有利には10〜25℃の温度でインキュベートする。バッファー物質として、トリスの場合に溶解助剤自体が、かつ尿素の場合には付加的にトリスバッファーが前記の濃度で役割を果たす。高濃度のトリス、例えば0.5Mは更に場合により尿素から形成されるイソシアネートによるアミノ酸側鎖の共有的修飾を抑制する。
【0038】
pHは当該プロテアーゼについて有利な値、有利には7〜8に調整される。メタロプロテアーゼによる非特異的なタンパク質分解を遮断するために、本発明によれば錯形成剤、例えば1〜20mMのEDTAを添加することが適切である。タンパク質分解は1種以上のプロテアーゼインヒビター、有利には1〜5mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)又はウシ膵臓又はダイズからのトリプシンインヒビター(BPTI/SBTI)を2〜20倍のモル過剰でトリプシンに添加するか、もしくはpH≦5に酸によって調整することによって停止させる[Rudolph et al., : Folding proteins, in Protein Function: A Practical Approach, T.E. Creighton (Hrsg.), 2.Aufl. (1997), 57−99]。
【0039】
成熟BMP−2のN−末端(Gln283−Arg291)は構造化されておらず、従ってプロテアーゼ感受性である。そのN末端は更に幾つかのアルギニン基及びリジン基(Arg289,291、Lys285,287,290)を有する。有利には前記の塩基性アミノ酸基の後で切断するトリプシンによる制限されたタンパク質分解は従って成熟BMP−2のフレキシブルなN末端の分解をもたらす。得られるdrBMP−2の生物学的活性は動物試験で検出された。本発明によれば、場合によりタンパク質工学によって、BMP−2のヘパリン結合部位をタンパク質分解から保護するために1つの付加的なジスルフィド架橋を、類似のTGF−β中に存在するのと同様に成熟BMP−2のN−末端の固定及び安定化のために導入することが可能である。相応して低いタンパク質濃度での本発明による溶解助剤濃度の不在下にrh−プロBMP−2の制限されたタンパク質分解のための我々の調査は、該プロペプチドが成熟タンパク質の分解の後に依然として十分にプロテアーゼ耐性な少なくとも1つのドメインからなることを示している。使用される溶解助剤の使用濃度で、これらのドメイン自体は部分的に弱く変性作用を有する。その結果として、鎖内(intrachenare)ジスルフィド架橋によって安定化されないBMP−2のプロペプチドは構造的に不安定化され、プロテアーゼ反応性であり、かつ従って本発明による制限されたタンパク質分解の条件下に分解されうる。
【0040】
タンパク質分解生成物の精製のために、本来のBMP−2の強い疎水性に基づいて[Scheufler et al., J. Mol. Biol. 287(1999), 103−115]疎水性相互作用による精製が提案される。本発明によればそのために有利には、得られるdrBMP−2が強く結合するカラム材料が使用され、他方でその他の分解生成物並びに使用されたプロテアーゼもしくはインヒビターは該カラム材料と弱く相互作用する。本発明に相応して、バッファー条件をタンパク質分解の後に、drBMP−2が沈殿し、かつその他の分解生成物、プロテアーゼもしくはそのインヒビターが溶液中に保持されるように変化させることが可能である。沈殿したdrBMP−2を次いで上清の分離の後に、適当なバッファーもしくは溶剤中に再び溶解させてよい。有利には沈殿性条件への前記の変化は適当なカラム材料、特に“Gractogel EMD Phenyl S”(メルク)又は匹敵する材料、例えばフェニルセファロース(ファルマシア)の存在下に透析によって実施する。該材料を大過剰で使用する場合には、凝集前に該材料上にタンパク質が結合することが達成可能である。カラム材料を前記のようにタンパク質で負荷した後に、不所望の成分を適当な洗浄工程によって除去してよい。drBMP−2の溶出は適宜に緩慢乃至激しく変性させるが決して還元性でない条件下に実施する。溶出剤としては、カラム材料に応じて、それに即してとりわけアルギニン、尿素又はグアニジウム塩が適当であり、これらは低い濃度でカラム材料の洗浄のためにも使用してよい。溶出の後に、drBMP−2を含有するフラクションを場合により精製し、かつ特に有利にはBMP−2の最終的な適用のために非常に適当な溶剤である0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)又は酢酸アンモニウムに対して透析する。本発明によれば、タンパク質分解生成物を逆相材料、有利にはC4−RP−HPLC上で分離し、その際、溶出を有利には0.1%のTFAを用いてアセトニトリル勾配中で実施する。
【0041】
本発明によれば復元されかつプロ配列の分解の後に得られる成熟BMP−2はそれについて慣用のように骨成長の促進のために使用してよい。しかしながら意想外にも全体又は短縮されたプロ配列をなおも有する復元されたプロBMP−2自体もその生物学的な作用において成熟BMP−2と等価であり、かつ前記のように使用できる。従って本発明の対象は骨成長を促進するための作用物質を含有する医薬品としてのプロBMP−2である。該医薬品は完全な又は欠損したプロ配列を含有してよい。有利には本発明によればプロBMP−2と種々の医学的移植材料との組合せを一時的な骨代替(骨代替材料)のために並びに永久の骨代替及び関節代替(金属製移植物、例えば股関節エンドプロテーゼ及び膝関節エンドプロテーゼ)のために外傷学、整形外科、HNO、MKG及び神経外科で使用される。この場合に、一方でプロBMP−2を追加の移植物被覆として全ての内表面及び外表面上に付着する薄いタンパク質被膜の様式で付着助剤(例えばシラン)を使用しかつ使用せずに使用してよい。第二にプロBMP−2を移植物の組み込み成分として、該成分を化学的重合又は硬化によって製造できる固形の最終生成物の非固形の出発材料に添加することで使用できる(リン酸カルシウムセメント、例えばノリアンSRS、オスチム(Ostim)など)。
【0042】
一時的な骨代替のための移植物として、天然及び合成起源の無機及び有機材料並びに両者の混合形が考慮される。無機の骨代替材料のための例はヒドロキシアパタイト、β−トリカルシウムホスフェート、α−トリカルシウムホスフェート、ガラスセラミック、バイオガラス、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム及びその他の挙げられていないカルシウム塩からのセラミックの結晶形及び非晶質形(専らリン酸カルシウムベースの骨セメントを含む)である。適当な有機材料はとりわけコラーゲン、骨組織、脱塩された骨基材、ゲル化される多糖、例えばヒアルロン酸、生体適合性プラスチック、例えばポリ乳酸、ポリメチルアクリレート、ポリエチレングリコール等の非常に多様な混合形及び加工形である。持続性の骨代替のためにエンドプロテーゼ及び別の金属製移植物、例えば脊椎体安定化のための移植物が考慮される。通常はこれは、種々の特殊鋼及びチタン合金からの、部分的にヒドロキシアパタイト被覆が設けられている製品である。
【0043】
従って本発明の更なる対象は、特許請求の範囲に定義されるような成熟BMP−2が結合されている完全又は欠損したプロ配列を有するプロBMP−2、この物質を含有する医薬品及び骨成長の促進のための医薬品の製造のための方法である。Gly20−Arg396のプロBMP−2の、20個のアミノ酸Hisタグ及び開始コドンMetを含む完全な配列を第2表に示す。アミノ酸Met1〜His20はpET−15bによってコードされるHisタグの成分である。BMP−2のプロ配列はGly22で始まる。Hisタグ及びプロ配列の間に付加的なメチオニンが存在する。本願に示される配列中のGly22〜Arg398は、テキストの配列データに関するヒトのプレプロBMP−2−cDNAの一次翻訳産物中のGly20〜Arg396に相当する。以下の実施例は本発明を図面と関連づけて説明する。
【0044】
図1はSDS−PAGE電気泳動図を示している。
【0045】
図2はUV−CD−スペクトルを示している。
【0046】
図3はそれぞれプロBMP−2の発光スペクトルを示している。
【0047】
図4はSDS−PAGE電気泳動図を示している。
【0048】
図5はRP−HPLC−クロマトグラムを示している。
【0049】
図6はUV−CD−スペクトルを示している。
【0050】
図7はそれぞれdrBMP−2のMALDI−TOF−質量スペクトル図を示している。
【0051】
図8はrh−プロBMP−2のRP−HPLC−図を示している。
【0052】
図9はrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。セラミックの内表面も外表面もいずれも骨物質で覆われている。孔内部は多数の脂肪細胞による骨標識を有する(移植物材料−暗部、骨−淡青色)。左下に幾らかの筋繊維(暗青色)並びに結合組織が見られる。
【0053】
図10は高拡大でのrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。骨材料(左上乃至右下、淡青色)は該材料によって覆われたセラミック材料(右、灰色)と非常に密接して存在する。骨物質及び造血組織の間に活性骨芽細胞が一列で存在する。
【0054】
図11は移植物におけるAPの活性の比較を示している。
【0055】
実施例
実施例1:プロBMP−2の製造
エシェリキア コリ−発現ベクターにおけるprobmp−2−cDNAのクローニング
probmp−2−cDNAのクローニングのためにノバゲン(Novagen)社のT7−発現系[Studier und Moffat, J. Mol. Biol. 189 (1986), 113−130]を使用した。
【0056】
出発DNAとして、挿入されるプレprobmp−2−cDNAを有するpcDNA3−ベクター(ベーリンガーマンハイムGmbH)を用いる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってBMP−2のアミノ酸Gly20〜Arg396をコードするDNAが得られた。この場合に、5′末端に翻訳開始のためにメチオニンコドンを導入し、かつ3′末端の終止コドンをE.coliに典型的なものに変え、かつ第二の終止コドンによって補われる突然変異誘発プライマーを使用した。更にこれらのプライマーはNdeI切断部位(5′末端)もしくはBamHI切断部位(3′末端)を有する。これは発現ベクターpET−15b(ノバゲン)への引き続いてのクローニングを可能にする。このベクターは付加的に、E.coliにおける発現速度をかなり増大させることができるN末端−6ヒスチジンタグをコードしている。
【0057】
該ヌクレオチド配列をDNA配列決定[Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74 (1977), 5463−5467]によるクローニングの完了後に調査した。
【0058】
以下のプライマーを使用した:
【0059】
【表1】
【0060】
宿主生物としてE.coli BL21(DE3)を用いた。この細菌の染色体はlacプロモーターの制御下にあるT7−RNAポリメラーゼのための遺伝子を有する。従ってポリメラーゼの発現はイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)によって誘導できる。probmp−2遺伝子をT7プロモーターで制御する。IPTGでの誘導は従ってプロBMP−2の形成をもたらす。発現速度の更なる向上のために細胞をpUBS520で同時形質転換した。このプラスミドはE.coli中に稀なアルギニンtRNA(dnaY)のための遺伝子を有する。それに対して、このtRNAによって認識されるアルギニンコドン(AGA及びAGG)は真核性遺伝子中に特に頻繁に存在し、またprobmp−2中にも存在する。かかる遺伝子のE.coli中での発現速度は、とりわけ前記のtRNAの利用可能性に依存する[Brinkmann et al., Gene 85 (1989), 109−114]。
【0061】
E.coli中でのヒトのプロBMP−2の発現
組み換え細菌株の培養のために、適当な容量の2・YT−培地、一般に1.5lに100μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカナマイシンを添加し、かつ単コロニーを接種した。
【0062】
2・TY−培地(1l):
17gのトリプトン
10gの酵母エキス
5gのNaCl
該培養を37℃及び160〜200rpmで振盪した。1〜1.3のOD600において1mMのIPTGで誘導した。引き続き更に3〜4時間同じ温度で振盪し、かつ再現的に細胞密度が3〜3.5のOD600の誘導後に達成された。細胞の回収を10000gの遠心分離によって実施した。1lの培地あたりに3〜3.5gの細胞(湿式質量)を得ることができた。即座の細胞溶解の代わりに細胞をまず液体窒素中で、次いで−20℃で凍結させた。
【0063】
封入体(IB)の単離
組み換えprobmp−2−発現において細菌細胞中に凝集物、封入体(IB)が形成する。このIBの調製をRudolph et al., :”Folding proteins”の”Protein Function: A Practical Approach”, T.E. Creighton (Hrsg.), 2. Aufl. (1997), 57−99に従って実施した。
【0064】
5gの細胞ペレットごとに、25mlの100mMのトリス/HCl(pH7.0)、1mMのEDTA中に再懸濁した。1gの細胞湿式質量あたりに1.5mgのリゾチームを添加した後に、細胞懸濁液を4℃で30分間インキュベートを実施した。最後にこれらの細胞を高圧分散(ゴーリンホモジナイザ)によって粉砕した。3mMのMgCl2及び10μg/mlのDNAアーゼの添加の後に、均質物を25℃で更に30分間インキュベートした。それに引き続いて0.5容量部の60mMのEDTA、6%のトライトンX−100、1.5MのNaCl(pH7.0)を添加し、かつ4℃で30分間インキュベートを続け、不溶性の細胞成分を可溶化させた。IBはその条件下で不溶性のままであり、かつ39000gでの遠心分離によって分離できた。過剰の界面活性剤をIBから分離するために、これをなおも5回100mMのトリス/HCl(pH7.0)、20mMのEDTAで洗浄し、引き続きアリコートに取り、かつ−20℃で保存した。
【0065】
前記のようにして、1gの誘導されたE.coli細胞から再現的に180〜210mgのIBが得られ、これらは30〜35%のタンパク質含量において90〜95%のrh−プロBMP−2を含有している。
【0066】
IBの可溶化
100〜150mgのIBペレットを1mlの100mMのトリス/HCl(pH8.0)、6MのGdmCl、100mMのDTT、1mMのEDTA中で25℃において4時間可溶化させた。次いでpHを酢酸で3〜4に調整し、かつ不溶性成分を遠心分離において16000gで20分間にわたりペレット化した。上清を引き続き超遠心分離において266000gでもう一度30分間遠心分離して、微小凝集物を分離した。タンパク質濃度をλ=280nmでの吸光測定によって測定し[Gill und von Hippel, Anal. Biochem. 182(1989), 319−326]、30〜52mg/mlであった。
【0067】
プロBMP−2の精製
回収率(約70%)はこの場合に分析的基準に匹敵した。
【0068】
第二の精製法として、ヘパリン−親和性クロマトグラフィーを1mlのHiTrap ヘパリンセファロース(アマシャム ファルマシア ビオテック)上で使用した。バッファー系としては:
− 0.1モルl− 1のトリス(pH7.56)、6モルl− 1の尿素(バッファーA)及び
− 0.1モルl− 1のトリス/HCl(pH7.5) 6モルl− 1の尿素、1モルl− 1のNaCl(バッファーB)
が使用された。カラムをバッファーAで10カラム容量より多くで平衡化した。不純物を0〜20%バッファーBで溶出させた。単量体及び二量体のプロBMP−2の分離を20〜50%のバッファーBの勾配で30分間1ml分− 1の流動で実施した。
【0069】
調製的基準でのrh−プロBMP−2の再生
プロBMP−2−IB−溶解物を4MのGdmCl(pH4)での再生のために、溶解物の完全な希釈の後にGdmClの最終濃度が折り畳みバッファー中で50〜60mMに達するように希釈した。プロBMP−2の濃度は最終的に3〜4μM(135〜180μg/mlに相当)であった。
【0070】
折り畳みバッファー:
100mMのトリス/HCl(pH8.0)
1MのL−アルギニン
5mMのGSSG
2mMのGSH
5mMのEDTA
折り畳みバッファーの濾過及び脱ガス後に、溶解物を緩慢に(〜20ml/h)かつ撹拌下に添加し、かつ該バッチを5℃で7日間インキュベートした。溶解物によって運ばれたDTT基はこの場合、最大0.4mMのGSHの濃度と等価である。
【0071】
折り畳みバッチの濃縮はクロスフロー濾過(Filtron Minisette, Membran: 30kDa open channel)によって実施した。濃縮物を引き続き20容量の50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で5回、それぞれ24時間透析し、次いで凝集したタンパク質を75000gで2時間遠心分離した。溶液中に残留するタンパク質の量をλ=280nmでの吸光によって測定し、かつ再現的に、使用されたIB溶解物のタンパク質含量に対して約50%であった。
【0072】
プロBMP−2の精製
本来の二量体のrh−プロBMP−2の(誤って又は正確に折り畳まれた)モノマー種の分析的もしくは半調製的な分離のために、RP−HPLCを使用した。分析的基準においては、とりわけProtein−RP−カラム(150×3.6mm、YMC)を展開液としてH2OもしくはACN中の0.1%過フルオロ酪酸(HFBA)を用いて使用した(図8参照)。またイオン対形成剤としてのトリフルオロ酢酸を用いてもモノマー及びダイマーの分離は達成された。二量体は、成熟BMP−2の場合と同様に、その高い疎水性に基づいてモノマーもしくはモノマーの誤って折り畳まれた種よりも遅く溶出する。半調製的な基準においては、Source15 RPC材料(ファルマシア)を有するカラムを使用した。分離プロフィール及び回復率(約70%)はこの場合、分析的基準に匹敵した。
【0073】
rh−プロBMP−2の特徴付け
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による純度分析及び分子量測定
SDS−PAGE分析によって本発明により調製されたプロBMP−2−IBの高い純度(≧90%;図1、レーン2〜5)が得られるので、事前の精製を行わなくても再生のために使用できる。
【0074】
非還元性条件(ヨードアセトアミドの添加は遊離チオール基の不可逆的な酸化的変性をもたらす)下でのSDS−PAGEは再生されたプロBMP−2の高い共有的な二量体化度(≧90%)を示し、かつジスルフィド架橋の正確な形成を示唆し、かつそれによってタンパク質の本来の構造を示唆している(図1、レーン6)。
【0075】
N−末端配列分析
SDS−PAGE及びPVDFメンブレン上でのウェスタンブロットの後にN−末端配列決定を実施した[Edman und Begg, Eur. J. Biochem. 1 (1967), 80−91]。これらにより、再生されたプロBMP−2に関して以下のアミノ酸配列:Gly−Ser−Ser−His−His−
の結果が得られた。
【0076】
該配列は開始メチオニンの分解後のヒスチジンタグを有する組み換えプロBMP−2のN−末端に相当する。
【0077】
円二色性分光分析及び蛍光分光分析
再生されたプロBMP−2及び更に変性されたプロBMP−2で実施された蛍光分光分析及びCD分光分析は二次構造及び三次構造の存在に対して明らかな示唆を明らかにした遠−UV−CD−スペクトルのλ=220nm付近の範囲における再生されたプロBMP−2及び変性されたプロBMP−2の楕円性の間の大きな差異(図2)は、本発明による再生過程において二次構造エレメントの形成が生じるという確認を可能にする。再生されたプロBMP−2の蛍光の発光極大が変性されたタンパク質に対してより低い波長に推移することは(図3)、本来の三次構造の形成のために典型的である。この場合に、該タンパク質のトリプトファン残基(ポリペプチド鎖プロBMP−2あたりに5個のトリプロファン)は折り畳まれるタンパク質の非極性の核への溶剤の極性の包囲から得られる(nuke p24)。こうして低減された励起エネルギーの損失によってより高い周波数の光が放出される[Schmid: ”Optical spectroscopy to characterize protein conformation and conformational changes. ” in ”Protein Structure: A Practical Approach”, T.E. Creighton (Hrsg. ), 2.Aufl. (1996), S. 261−297]。蛍光スペクトルから、低いpHでのプロBMP−2の構造は、従って成熟のプロBMP−2の高い溶解性の範囲において変化を受ける。我々の実験がもたらしたように、このことはプロペプチドの部分的な展開に起因することがある(データ示さず)。
【0078】
MALDI−TOF−質量分光分析及びN−末端配列分析
− 明らかな分子量:89803.0078Da − 図7参照
− 計算された分子量(開始メチオニンなし):89801.2Da
rh−プロBMP−2及びrh−drBMP−2の生物学的活性
修飾されたrh−プロBMP−2及びrh−drBMP−2の骨誘導活性を研究用小動物の異所性骨誘導モデルにおいて調査した。このために、定義された量のそれぞれ調査されるべき因子(40〜200μg;drBMP−2もしくはプロBMP−2)を滅菌濾過の後にβ−TCPからの滅菌の立方体状の化学的及び薬理学的に不活性なセラミック移植物基体上に施与した。
【0079】
移植物仕様:
製造元 − Mathys社(Bettlach, Schweiz)
商品名 − chronOs
相純度 − >95%β−TCP
孔容量率 − 72±6%
孔径 − 80〜650μm
孔構造 − 連続
強度 − 7.7±1.2MPa
因子被覆された移植物並びに未被覆であるがその他は同一に処理された対照移植物を8匹の成長した研究用ラットを前方腹膜筋組織に移植した。このために麻酔後に約1cm長の複数の外科的切断を皮膚及びその下にある最上筋肉層に施した。無血の調製によって2つの斜位の腹膜筋肉組織の間に中空部を生じ、その中に移植物を導入し、かつ傷口を外科的縫合によって閉じた。30日の静置時間後にこれらの動物を屠殺し、かつ取り囲まれた組織を有する移植物を取り出し、かつ巨視的かつ組織学的に骨新生に関して調査した。全ての因子被覆された移植物において、造血的に活性な骨標識の形成を伴う骨新生は組織学的に明らかに確認できる(図8及び9を参照のこと)。生物学的作用は従って両者の因子についてそれぞれ100%(プロBMP−2の場合に16/16;drBMP−2の場合に8/8)であった。それによって骨誘導活性の検出は骨組織の形成によって通常は骨形成能を有さない筋肉組織において明らかにもたらされうる。プロBMP−2及び成熟のdrBMP−2の間の組織学的な結果における定量的な差異は確認できない。対照移植物は骨新生を引き起こすことはない。その代わりに該移植物は専ら結合組織的に結合された。
【0080】
rh−プロBMP−2もしくはrh−drBMP−2の影響下での活性骨組織の新生に関する更なる証拠はアルカリ性ホスファターゼ(AP)の活性を移植物中で測定することによってもたらされる。このために各移植物の半分を外移植の直後に凍結させ、かつ−80℃で貯蔵した。アルカリ性ホスファターゼの抽出及び酵素活性の測定のために移植物を解凍し、かつ0.1Mのトリス/HCl、1%のトライトンX−100、pH7.4(4℃)でPotter Sホモジナイザ(B.Braun Biotech)で分解し、かつ不溶性の成分を遠心分離によって分離した。澄明な上清を次いで試験キットのEcoline25(メルク)によるアルカリ性ホスファターゼの活性測定のために使用した。前記の試験で遊離された4−ニトロフェノールの濃度を25℃及びλ=405nmにおいて5分間観察し、かつ酵素活性を式1に従って計算した:
【0081】
【数1】
【0082】
式中、Vbはバッファーの容量(1ml)であり、かつVsは試料の容量(25ml)である。製造者の指示に応じてε=18518l×モル− 1×cm− 1を4−ニトロフェノールのモルの吸光係数とした。得られる活性の単位はマイクロモル×分− 1×ml− 1である。試験結果を第1表及び図10にまとめる。rh−プロ/drBMP−2含有の試料における酵素活性は(−)−コントロールに対して相当高いが、rh−drBMP−2の活性はrh−プロBMP−2を有する試料に対して僅かであり、またあらゆる場合にない(例外:動物4、6及び8)。rh−プロBMP−2(約45kDa)及びrh−drBMP−2(約12kDa)の種々の分子量並びにrh−プロBMP−2試料が精製されずに使用され、従ってなおも誤って折り畳まれたモノマー種を10%までの割合で含有する事実を顧慮して、前記の動物モデルにおけるrh−プロBMP−2は(欠損した)成熟形のタンパク質に匹敵する骨新生誘導活性を有する。
【0083】
第1表:drBMP−2又はプロBMP−2で被覆された移植物でのアルカリ性ホスファターゼの活性の比較(U)
【0084】
【表2】
【0085】
実施例2:生物学的に活性なdrBMP−2の生産
rh−プロBMP−2の制限されたタンパク質分解
rh−プロBMP−2の調製的タンパク質分解のために、50mlの再生されたタンパク質を0.1Mのトリス/HCl(pH7.0)、4Mの尿素、1mMのEDTAに対して透析した。凝集物を遠心分離(75000g、1時間)によって分離し、かつタンパク質濃度を分光光度計で測定した(1.3mg/ml)。透析による損失は13%であった。トリプシン(ロッヒェ ディアグノスティクス)を1:100(トリプシン:プロBMP−2;w/w)の比で使用し、該バッチを5〜7℃において4時間インキュベートした。トリプシンの不活性化を8倍のモル過剰のダイズ−トリプシンインヒビター(SBTI;シグマ)で実施した。バッチ全体の尿素不含バッファー(0.1Mのトリス/HCl(pH7.0))に対する透析を疎水性カラム材料(20mlのフラクトゲル−フェニル メルク)の存在下に実施した。こうしてdrBMP−2で負荷されたカラム材料を空のカラム(XK−16、ファルマシア)に充填し、引き続き:
・ 5SV(カラム容量)の低塩バッファー(透析バッファー)
・ 5SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)
・ 2SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)、4Mの尿素及び
・ 2SV 50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)、1MのL−アルギニン
で洗浄した。6MのGdmCl、0.2Mの酢酸で溶出させた。drBMP−2含有フラクションを一緒にし、かつ0.1%のTFAに対して透析した。凝集物の形成は確認できなかった。透析物を滅菌濾過し、タンパク質濃度を分光光度計で測定した(1.3mg/ml)。こうして得られたBMP−2の収率は制限されたタンパク質分解のために使用される復元物に対して約50%であった。1lのE.coli培養から、従って約17mgの生物学的に活性なdrBMP−2が得られ、もしくは誘導されたE.coli細胞1g(湿式質量)に対して5.2(N−末端のヘパリン結合部位を含む成熟BMP−2の5.6mgに相当する)が得られた。ルパート他によって記載された方法[Eur. J. Biochem. 237 (1997), 295−−302]によってそれに対して1gの細胞あたりに0.2mgのBMP−2が得られた。
【0086】
drBMP−2の特徴付け
N−末端配列決定によるタンパク質分解生成物の分析
SDS−PAGE及びPVDFメンブレン上でのウェスタンブロットに従ってN−末端配列決定を行った[Edman und Begg, Eur. J. Biochem. 1 (1967), 80−91]。それにより、本発明により生じたdrBMP−2について以下のアミノ鎖配列の結果が得られた:
a)Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−Lys−Arg−
b)Lys−Arg−Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−
c)Arg−Leu−Lys−Ser−Ser−Cys−Lys−
異なる種の互いの比は約3:2:1(a:b:c)である。システインを検出できないが、それに続くアミノ酸は検出できた。しかしながら該配列はDNAレベルで完全に正しいと証明された。これはヘパリン結合部位を有さない成熟BMP−2のN−末端に相当する。drBMP−2は還元された形及び還元されていない形で配列決定のために使用された。還元されていない形は2番目のセリンまで配列決定できるにすぎず、これについては後続の基がシスチンであり、従ってジスルフィド結合の成分であると報告された。従って全体的にタンパク質分解生成物は、ヘパリン結合部位を欠損した7〜9アミノ酸だけ短い成熟BMP−2のN−末端に相当する。
【0087】
本願に記載される制限されたタンパク質分解の条件下で、ジスルフィド結合されていないペプチド鎖が分解されるので、最終的には100%までの共有結合的に二量体化されたdrBMP−2が得られる。
【0088】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びHPLCによるdrBMP−2の純度分析
本発明により得られるdrBMP−2のサイズ及び純度を還元された条件及び還元されていない条件下でのSDS−PAGE及び引き続いての銀染色によって対照をとった(図4中のレーン6及び11)。95%を上回る純度において100%まで二量体化されている。
【0089】
更にdrBMP−2の純度及び均一性の調査のために逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC;Vydac C4)を使用した。drBMP−2はこの場合に46.57%のアセトニトリル及び0.1%のTFAで均一なピークにおいて溶出し(図5)、これはタンパク質の均一な構造化及び特定のジスルフィド結合を支持している。
【0090】
円二色性分光法
再生されたdrBMP−2及び変性されたdrBMP−2、特に還元されたBMP−2及び変性された成熟BMP−2の楕円性(IB−溶解物)の間の遠UV−CD−スペクトルの210〜230nmの範囲における大きな差異(図6)は、本発明によるプロタンパク質の再生過程においてタンパク質の成熟ドメインにおいても二次構造エレメントの形成が生じることの確認が可能である。
【0091】
第2表
【0092】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1はプロBMP−2のSDS−PAGE電気泳動図を示している。レーン1はLMW、レーン2〜5はIB−調製物、レーン6は再生されたプロBMP−2である。
【図2】
図2は再生されたプロBMP−2及び復元されたプロBMP−2の遠UV−CD−スペクトルを示している。
【図3】
図3は再生されたプロBMP−2及び復元されたプロBMP−2の発光スペクトルを示している(λexc=280nm;不同のタンパク質濃度)。
【図4】
図4はdrBMP−2のSDS−PAGE電気泳動図を示している。レーン1、6はLMW、レーン2〜5はdrBMP−2である。
【図5】
図5はdrBMP−2のRP−HPLC−クロマトグラムを示している。
【図6】
図6は再生されたdrBMP−2、復元されたdrBMP−2及び還元されたdrBMP−2の遠UV−CD−スペクトルを示している。
【図7】
図7はそれぞれdrBMP−2のMALDI−TOF−質量スペクトル図を示している。
【図8】
図8はrh−プロBMP−2のRP−HPLC−図を示している。
【図9】
図9はrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。セラミックの内表面も外表面もいずれも骨物質で覆われている。孔内部は多数の脂肪細胞による骨標識を有する(移植物材料−暗部、骨−淡青色)。左下に幾らかの筋繊維(暗青色)並びに結合組織が見られる。
【図10】
図10は高拡大でのrh−プロBMP−2−移植物の組織学的断片を示している。骨材料(左上乃至右下、淡青色)は該材料によって覆われたセラミック材料(右、灰色)と非常に密接して存在する。骨物質及び造血組織の間に活性骨芽細胞が一列で存在する。
【図11】
図11は移植物におけるAPの活性の比較を示している。
Claims (50)
- TGF−β−スーパーファミリーの生物学的に活性なタンパク質の組み換え的製造のための方法において、
(a)アミノ末端がTGF−β−スーパーファミリーのタンパク質のプロ配列又はその一部からなり、該末端に前記のBMP−β−スーパーファミリーのタンパク質又は、成熟BMP−2に対して少なくとも35%のホモロジーを有する別のタンパク質の成熟ドメインが連結されたタンパク質を、原核生物において少なくともタンパク質の一部が封入体の形で得られる条件下で発現させ、
(b)該封入体を単離し、かつ変性条件下に可溶化させ、
(c)前記封入体から可溶化され、変性されたモノマーの生物学的に不活性なタンパク質を再生させ、それによって可溶性の生物学的に活性な立体配置への折り畳み及び二量体化が可能であり、かつ
(d)場合により再生の後に成熟タンパク質をその前駆形からタンパク質分解により遊離させる
ことを特徴とする、TGF−β−スーパーファミリーの生物学的に活性なタンパク質の組み換え的製造方法。 - drBMP−2を製造する、請求項1記載の方法。
- プロタンパク質を原核生物中での発現の向上のためにアミノ末端親和性マーカー、特にポリヒスチジン配列で修飾する、請求項1又は2記載の方法。
- 発現ベクターとしてpETベクター、特にpET−15bを使用する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 発現構築物のコドン選択が宿主生物での翻訳について最適化されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 発現構築物の翻訳のために必要な宿主生物中に稀なtRNAを同様に過剰発現する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 過剰発現をT7−発現系によってBL21(DE3)中で行い、かつ該発現構築物でエシェリキア・コリ中に稀なアルギニンtRNAのための遺伝子(dnaY)を同時形質転換する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 細胞の溶解を高圧分散、酵素的溶解又は超音波によって実施する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 封入体の精製を界面活性剤含有溶液での洗浄によって行い、その際、その界面活性剤濃度は、障害のある細胞タンパク質及び膜成分は可溶化されるが、封入体は可溶化されないように選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 界面活性剤がトライトンX100である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 封入体の可溶化のためにカオトロピック物質又はカオトロピック物質の組合せを使用する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- カオトロピック物質としてグアニジウムクロリドを3〜8Mの濃度で又は尿素を6〜10Mの濃度で使用する、請求項11記載の方法。
- 可溶化を還元条件下に実施する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
- 還元剤としてジチオトレイトール及び/又はβ−メルカプトエタノールを使用する、請求項13記載の方法。
- 可溶化の後に遊離のシステインを共有結合的に変性する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
- 可溶化の後に還元剤を除去する、請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
- 可溶化の後に変性条件下で前精製を行う、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
- プロタンパク質の再生を、1種以上の変性剤の濃度を非変性性の又は弱変性性の水準まで低下させることによって実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
- 1種以上の変性剤の濃度の低下を、再生バッファーにおいて可溶化物を緩慢に連続的又は段階的に希釈することによって実施する、請求項18記載の方法。
- 前記の希釈の際に、できるだけ徹底的な完全混和を、例えば撹拌によって実施する、請求項19記載の方法。
- 1種以上の変性剤の濃度の低下を、再生バッファーに対して可溶化物を透析することによって実施する、請求項18記載の方法。
- 中性乃至アルカリ性のpH値を有する再生バッファーを使用する、請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
- 再生バッファーがL−アルギニンを含有する、請求項22記載の方法。
- 再生バッファーが少なくとも1つのチオール成分を還元形及び酸化形で含有する、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
- チオール成分がGSH/GSSHである、請求項24記載の方法。
- 試料を再生過程の完了後に酸性バッファーに対して透析する、請求項1から25までのいずれか1項記載の方法。
- 試料を酸性バッファーに対する透析の前に濃縮する、請求項26記載の方法。
- 酸に不溶性の成分を分離する、請求項26又は27記載の方法。
- 前駆形をクロマトグラフィーによって精製する、請求項1から28までのいずれか1項記載の方法。
- 精製をRP−HPLCによって実施する、請求項29記載の方法。
- 精製をヘパリン親和性クロマトグラフィーによって実施する、請求項29記載の方法。
- 生物学的に活性な形への前駆形の分解をプロテアーゼによって酵素的に実施する、請求項1から31までのいずれか1項記載の方法。
- プロテアーゼとしてプロホルモン変換酵素を使用する、請求項32記載の方法。
- 二塩基性の配列モチーフを認識するプロテアーゼを使用する、請求項32記載の方法。
- P1−部位(直接的に切断部位のアミノ末端)において塩基性基をとるプロテアーゼを使用する、請求項32記載の方法。
- 分解をトリプシンによって実施する、請求項35記載の方法。
- タンパク質分解の制限のために少なくとも1種のプロテアーゼインヒビターを添加する、請求項32から36までのいずれか1項記載の方法。
- 分解が行われるpHでの遊離されたタンパク質の可溶性を、酵素を阻害しない溶解助剤によって高める、請求項1から37までのいずれか1項記載の方法。
- 溶解助剤としてトリスヒドロキシメチルアミノメタン及び/又は尿素を使用する、請求項38記載の方法。
- 0.1〜2モラーのトリスヒドロキシメチルアミノメタン及び/又は1〜5モラーの尿素を使用する、請求項39記載の方法。
- 成熟タンパク質もしくは欠損した成熟タンパク質を沈殿及び/又は疎水性クロマトグラフィーによって精製する、請求項1から40までのいずれか1項記載の方法。
- 等電点沈殿を行い、かつ沈殿されたタンパク質を酸性溶液中で再可溶化させる、請求項41記載の方法。
- 溶解助剤濃度の低下によって沈殿させる、請求項41記載の方法。
- クロマトグラフィー材料の存在下に沈殿条件を調整する、請求項41から43までのいずれか1項記載の方法。
- 医薬品の製造のための、請求項1aからcまでのいずれか1項記載の方法により得られるBMP−2の前駆形の使用。
- 骨治癒過程及び骨新生過程の促進のための医薬品の製造のための、請求項45記載の使用。
- 請求項1記載の方法によって得られる、第2表のアミノ酸配列Gly20−Arg396及びプロ配列Gly20−Arg282の一部を欠失する同配列を有するプロBMP−2。
- 骨成長の促進のための医薬において、作用物質として、完全な又は欠損したプロ配列Gly20−Arg282を有する第2表によるプロBMP−2の含量を特徴とする、骨成長の促進のための医薬。
- 骨成長の促進のための医薬の製造方法において、完全な又は欠損したプロ配列Gly20−Arg282を有する第2表によるプロBMP−2を投与のために適当な調剤に配合することを特徴とする骨成長の促進のための医薬の製造方法。
- 該調剤が、プロBMP−2−作用物質で被覆又は含浸されている生理学的に認容性の担体材料を含む、請求項49記載の方法。
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