JP2004513939A - 6−アミノカプロン酸アルキルの生成 - Google Patents
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Abstract
3−ペンテンニトリルをヒドロホルミル化して3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN混合物)を生成し、FVN混合物の酸化的エステル化またはエステル化後のFVN混合物の酸化、のいずれかによってFVN混合物を3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルに変換し、5−シアノ吉草酸アルキルを単離し、5−シアノ吉草酸アルキルを水素化して6−アミノカプロン酸アルキルを生成することによって、6−アミノカプロン酸アルキルを製造するプロセス。結果として生じた6−アミノカプロン酸アルキルを環化して、カプロラクタムを生成することができる。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、6−アミノカプロン酸アルキルおよび/またはカプロラクタムを生成するプロセスに関する。
【0002】
(発明の背景)
商業的に、カプロラクタムは出発材料としてシクロヘキサンを用いたプロセスによって製造される。次いで、カプロラクタムは重合されて、ナイロン−6が生成される。コスト上の理由で、商業プロセスにおいて現在用いられている6炭素のシクロヘキサン出発材料ではなく、4炭素の出発材料であるブタジエンを用いてカプロラクタムを生成することが望ましい。
【0003】
ブタジエンとHCNを反応させて3−ペンテンニトリル(3PN)を生成できることが知られている。3PNをカプロラクタムに変換する1つのプロセスは、3PNをアジポニトリル(ADN)に変換することを伴う。次いで、ADNは部分的に水素化されて6−アミノカプロニトリルになり、次いで、6−アミノカプロニトリルは、加水分解、その後の環化によってカプロラクタムに変換される。例えば、米国特許第6,069,246号を参照のこと。部分的な水素化反応によって、かなりの量のヘキサメチレンジアミン(HMD)が生成される。
【0004】
3PNをカプロラクタムに変換する第2のプロセスは、3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化によって得られる5−ホルミルバレロニトリルの還元的アミノ化を伴う。次いで、この還元的アミノ化生成物は加水分解にかけられ、環化される。米国特許第6,048,997号は、少なくとも1つのVIII族金属を含む触媒の存在下で、2−、3−、および4−ペンテンニトリルを含む混合物と一酸化炭素および水素を反応させて、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリルを含む混合物を生成するプロセスを開示している。米国特許第5,986,126号は、5−ホルミルバレロニトリルが不安定であり、枝分かれしている3−および4−ホルミルバレロニトリルからの5−ホルミルバレロニトリルの分離が蒸留中にこうむる収率低下のために実行不可能であることを教示している。この問題を避けるために、米国特許第5,986,126号は、分枝鎖異性体からの直鎖生成物の分離が、ホルミルバレロニトリルを還元的アミノ化してアミノニトリル(例えば、6−アミノカプロニトリル)およびジアミンを生成した後に下流で可能であることを教示している。この第2のプロセスでは、かなりの量のHMDが生成される。
【0005】
前記の2つの3PNに基づくプロセスは両方とも、かなりの量のHMDを生成する。商業的カプロラクタム操作において副産物としてHMDがあることは必ずしも望ましいとは限らない。従って、かなりの量のHMDを生成することなくブタジエンをカプロラクタムに変換するプロセスが必要とされる。本発明はこのようなプロセスを提供する。
【0006】
(発明の簡単な概要)
本発明は、大量のHMDを生成しない、6−アミノカプロン酸アルキルを製造するための3PNに基づくプロセスである。本発明は、以下を含むプロセスによって、これを達成する:
(a)VIII族金属を含むヒドロホルミル化触媒の存在下で3−ペンテンニトリルと一酸化炭素および水素を反応させて、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN)を含む第1の反応生成物を生成すること;
(b)第1の反応生成物から、本質的に3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリルからなるFVN混合物を単離すること;
(c)(i)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物とアルコール、分子酸素含有ガス、およびパラジウム含有触媒を接触させて、第2の反応生成物を生成すること、または
(ii)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、分子酸素含有ガスの存在下でFVN混合物を酸化させて3−、4−、および5−シアノ吉草酸を含む酸化生成物を生成し、酸化生成物とアルコールを反応させて第2の反応生成物を生成すること、
のいずれかによって、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルを含む第2の反応生成物を生成するようにFVN混合物を反応させること;
(d)蒸留によって5−シアノ吉草酸アルキルを単離すること、および
(e)水素化触媒の存在下で5−シアノ吉草酸アルキルと水素を反応させて、6−アミノカプロン酸アルキルを含む第3の反応生成物を生成すること(6−アミノカプロン酸アルキルのアルキル基はアルコールと同数の炭素原子を含む)。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、6−アミノカプロン酸アルキルを生成するプロセスに関する。適切なアルキル基はC1−C12直鎖または分枝鎖アルキル基である。好ましくは、アルキル基はメチルまたはエチルである。より好ましくは、アルキル基はメチルである。
【0008】
(3−ペンテンニトリルの生成)
3−ペンテンニトリル(3PN)は、アジポニトリル生産中に中間体として商業的に生産される。3PNの合成は当該分野で周知である。例えば、米国特許第3,496,215号および同第5,821,378号を参照のこと(これらの開示は参考として本明細書で援用される)。
【0009】
(3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化)
3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN)を含む反応生成物を生成するための3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化(すなわち、3−ペンテンニトリルと一酸化炭素および水素との反応)は、VIII族元素を含む触媒の存在下で行われる。ヒドロホルミル化反応の温度は、室温〜約200℃、好ましくは50〜150℃の間で変化してもよい。圧力は、好ましくは0.15〜10MPa、より好ましくは0.2〜5MPaである。
【0010】
好ましい触媒はロジウム化合物である。適切な化合物の例として、Rh(CO)2(DPM),[DPM=t−C4H9−COCHCO−t−C4H9];Rh(CO)2(acac),[acac=アセチルアセトネート];Rh2O3;Rh4(CO)12;Rh6(CO)16;[Rh(OAc)2]2,[OAc=アセテート];およびRh(エチルヘキサノエート)2が挙げられる。好ましくは、触媒は、Rh(CO)2(acac)、Rh(CO)2(DPM)、または[Rh(OAc)2]2である。
【0011】
これらの触媒は、単座または二座ホスフィン、ホスホナイト、ホスフィナイト、またはホスファイト化合物などのリン含有配位子と組み合わせて使用することができる。このような配位子の例として、トリアリールホスファイト(例えば、トリフェニルホスファイト);トリアリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン);およびビス(ジリールホスフィノ)アルカン(例えば、ジフェニルホスフィノエタン)が挙げられる。さらに、多座ホスファイト化合物を配位子として使用することができる。これらの一例として、以下の構造式を有する化合物が挙げられる:
【0012】
【化1】
【0013】
式中、R1およびR2は同じまたは異なる一価アリール基であり、Xはn価の有機架橋基であり、nは2〜6の整数である。R1およびR2は置換されてもよい。このような配位子は、例えば、米国特許第5,710,344号で述べられており、この開示は参考として本明細書で援用される。
【0014】
3−ペンテンニトリルと触媒のモル比は、一般的に、100:1〜100,000:1、好ましくは、500:1〜10,000:1である。配位子とロジウムのモル比は、一般的に、0.5:1〜10:1である。
【0015】
ヒドロホルミル化反応のための水素と一酸化炭素のモル比は、一般的に、100:1〜1:10の範囲であり、好ましくは、4.0:1〜0.5:1の範囲である。不活性ガスも、水素および一酸化炭素の供給材料に存在してよい。
【0016】
ヒドロホルミル化反応は溶媒の存在下で行うことができる。適切な溶媒として、不活性溶媒またはヒドロホルミル化生成物それ自体からなる溶媒が挙げられる。適切な不活性溶媒として、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ニトリル、エーテル、アミドおよび尿素誘導体、飽和炭化水素、ならびにケトンが挙げられる。適切な溶媒のいくつかの例として、トルエン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、Texanol(登録商標)(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ベンゾニトリル、N−メチルピロリジノン、およびN,N−ジメチルエチルウレアが挙げられる。
【0017】
ヒドロホルミル化反応は連続形式またはバッチ形式で行うことができる。反応は、気泡塔反応器、連続攪拌タンク反応器、トリクルベッド反応器、および液体オーバーフロー反応器(liquid−overflow reactor)などの様々な反応器内で行うことができる。反応しなかった水素、一酸化炭素、3−ペンテンニトリル、および任意の溶媒を回収し、ヒドロホルミル化反応器に再循環させてもよい。
【0018】
ヒドロホルミル化反応生成物は、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル、ならびに変換されなかった2−、3−、および4−ペンテンニトリル、触媒、および高沸点溶剤を含む。当業者に周知の熱的に穏やかな蒸発法を用いることで、触媒および高沸点溶剤からFVN混合物を分離することができる。このような技法は、ローリングフィルムエバポレーター(rolling−film evaporator)、流下薄膜型エバポレーター、またはワイプドフィルムエバポレーター(wiped−film evaporator)などの一段階フラッシュエバポレーターの使用を含む。FVN混合物から分離された高沸点溶剤および触媒は、ヒドロホルミル化反応器に戻して再循環させることができる。
【0019】
触媒およびFVN混合物の分解を避けるために、一般的に、フラッシュ蒸発間の接触時間は短いことが好ましい。接触時間は1秒〜1時間の間で変化してもよく、好ましくは1〜5分である。フラッシュ蒸発は商業的に実行可能な操作条件下で行われる。温度は75〜200℃の範囲であるべきである。好ましい範囲は100〜130℃である。圧力は、13.3〜1333Pa、好ましくは、66.6〜666.5Paの間で変化してもよい。
【0020】
(5−ホルミルバレロニトリルの酸化的エステル化)
5−シアノ吉草酸アルキルは、5−ホルミルバレロニトリル(5−FVNまたは5FVN)の酸化的エステル化によって製造することができる。このプロセスでは、5−FVNは、パラジウム含有触媒の存在下でアルコールおよび酸素含有ガスに暴露される。
【0021】
FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物と分子酸素含有ガスを接触させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルを含む反応生成物(混合ACV)を生成する。好ましくは、酸化は、空気の存在下で100〜5000psig(0.7〜34.5MPa)の圧力で行われる。より好ましくは、圧力は500〜2000psig(3.4〜13.8MPa)である。このような反応条件は高い変換率をもたらす。反応は連続プロセスとして行ってもよい。
【0022】
本発明の酸化的エステル化工程は約20℃〜約120℃の温度で行うことができる。好ましくは、温度は約40℃〜約80℃の範囲である。酸化的エステル化は発熱をともなうので、約50℃以上で市販の反応器を操作することが、熱除去および関連費用が経済上の考慮すべき事柄となるので好ましい。通常の低コストの冷却水の使用が可能な温度を選択することが好ましい。
【0023】
酸化的エステル化において用いられるアルコールは、後の反応工程を妨げない任意のアルコールでよい。好ましくは、アルコールは直鎖または分枝鎖のC1〜C12アルコールである。より好ましくは、アルコールはメタノールまたはエタノールである。反応は、化学量論的に過剰なアルコールの存在下で都合よく行うことができる。
【0024】
酸化的エステル化用の適切な溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、およびエステルからなる群より選択することができる。特に重要なものは、酸化的エステル化用の溶媒としても機能することができるアルコールである。アルコールとアルデヒドの比は1:1〜50:1である。
【0025】
パラジウム含有触媒は、5−ホルミルバレロニトリルの酸化的エステル化を触媒することができる任意のパラジウム触媒でよい。好ましくは、触媒は、European Patent Application 199530に記載のようなパラジウムベースの不均一系触媒である。適切な触媒の例として、Pd4TeZnPb、Pd4TeZnPbBi、およびPd4TeZnが挙げられる。
【0026】
本発明による酸化的エステル化プロセスを商業的に実施する実際の方法は、当該分野において一般に知られている任意の空気酸化法でよく、一例として、攪拌を伴うまたは攪拌を伴わないバッチ反応器、プラグ流れまたは逆混合を伴う連続反応器、および向流反応器などが挙げられるが、これに限定されない。
【0027】
5−シアノ吉草酸アルキルは、分留によって反応混合物から分離することができる。酸化的エステル化による生成物のバルクから沸点が非常に低いアルコール(メタノールが好ましい)を分離するのに、蒸発段階が用いられる。この分離は、1.3×10−3MPa〜6.5×10−2MPa、好ましくは、6.5×10−3MPa〜3.5×10−2MPaの圧力で達成される。メタノールがほぼ完全に除去できるようにエバポレーター温度が設定される(80〜200℃、より好ましくは100〜150℃)。メタノールに富む留出物の流れは酸化的エステル化に再利用される。次いで、今やメタノールを含まない熱的に安定な化合物である混合ACV生成物は、従来の多段蒸留塔において精製される。
【0028】
混合ACV生成物は、5−シアノ吉草酸アルキルならびにその分枝鎖異性体である4−シアノ吉草酸アルキルおよび3−シアノ吉草酸アルキルを含む混合物である。混合物は、1.3×10−3MPa〜6.5×10−2MPa、好ましくは、6.5×10−3MPa〜3.5×10−2MPaの圧力で蒸留することができる。プロセスの1つの可能な構成において、混合ACVの流れは蒸留塔の中間部分に供給される。分枝鎖材料はオーバーヘッドに取り込まれ、燃焼されるか、または特殊化学薬品に変換することができる。精製された直鎖材料は塔リボイラーから出て、直接、水素化に供給することができる。塔温度は、一般的に100〜250℃、好ましくは140〜200℃である。
【0029】
(エステル化後のFVNの酸化)
酸化的エステル化の代わりとして、FVN混合物をアルコールの非存在下で酸化し、次いで、エステル化することができる。米国特許第5,840,959号で教示されたプロセス(この場合、5−ホルミル吉草酸メチルが酸化されてアジピン酸モノメチルが生成される)と同様のプロセスによって、5−シアノ吉草酸を、5−ホルミルバレロニトリルの酸化によって製造することができる。
【0030】
FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物と分子酸素含有ガスを接触させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸を含む反応生成物を生成する。触媒を用いて、または触媒なしで、大気圧または高圧で、FVNを酸化することができる。米国特許第4,537,987号および同第4,931,590号は、酸化反応を促進するためにアルカリ金属酸化物(例えば、0.001〜0.5重量%の量の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム)およびコバルトまたはマンガンの金属塩(例えば、0.0001〜0.1重量%の量の酢酸コバルトまたは酢酸マンガン)を使用できることを教示している。これらの触媒は本発明と共に使用できるが、このような触媒の非存在下で酸化反応を行うことが好ましい。
【0031】
好ましくは、酸化は、空気の存在下、高圧で行われる。このような反応条件は高い変換率をもたらす。反応は連続プロセスとして行ってもよい。
【0032】
高い変換および選択性を得るために、大気圧(約1MPa)よりも高い空気の圧力、好ましくは、10バール(1MPa)を超える空気の圧力が必要とされる。より好ましくは、空気を使用する場合、全圧は約20バール(2MPa)以上であるべきである。より高い圧力(例えば、40〜65バール(4〜6.5MPa))が反応性を改善することもあるが、より高い設備費用を必要とする場合がある。約20〜40バール(2〜4MPa)の空気の圧力が現実的かつ商業的に許容できる範囲である。
【0033】
本発明の酸化工程は約20℃から約120℃と高い温度で行うことができる。好ましくは、温度は約40℃〜約80℃の範囲である。酸化は発熱をともなうので、約50℃以上で市販の反応器を操作することが、熱除去および関連費用が経済上の考慮すべき事柄となるので好ましい。通常の低コストの冷却水の使用が可能な温度を選択することが好ましい。
【0034】
本発明による酸化プロセスを商業的に実施する実際の方法は、当該分野において一般に知られている任意の無触媒ヘテロ相空気酸化法による方法でよく、一例として、攪拌を伴うまたは攪拌を伴わないバッチ反応器、プラグ流れまたは逆混合を伴う連続反応器、向流反応器などが挙げられるが、これに限定されない。米国特許第5,840,959号は、5−ホルミル吉草酸アルキルの酸化の場合、現実的な熱除去の考慮すべき事柄のために、好ましい反応器操作法が、最適とは言えない変換であることを教示している。しかしながら、本発明における3−、4−、および5−シアノ吉草酸の沸点が高いために、考えられる最高の変換および選択性で酸化反応を行うことが好ましい。このような操作によって、関連する蒸留条件と共に再循環ループを動かす必要性がなくなる。
【0035】
酸化の後に、生成物をエステル化することができる。均一系触媒または不均一系触媒の存在下で適切なカルボン酸とアルコールを反応させることによって、有機エステルを製造することができる。最も一般的な均一系触媒の1つが硫酸であり、最も一般的な不均一系触媒がイオン交換樹脂である。不均一系酸性触媒は、その活性、選択性、再利用性、非腐食性、および均一系触媒に関連する廃水処理が実質的に無いという理由で多くの用途において有用であることが判明している。本発明において、エステル化プロセスは、1〜4個の炭素原子を有する第1級アルコールの存在下で行われる。操作に必要とされる温度は25〜150℃であり、好ましい範囲は70〜120℃である。エステルの高収率を達成するために、酸とエステルの反応は過剰のアルコールの存在下で行われる。使用される好ましい触媒は、高度架橋構造を有する、スルホン酸タイプのカチオン交換樹脂である。名前が示すとおり、これらの樹脂は酸の形で用いられる。これらの触媒、その特性、および調製方法は米国特許第3,037,052号に教示されている。これらの触媒は市販されており、商標Amberlyst−15(Rohm & Haas Company)で販売されている。反応は非水系で行われ、反応物および触媒は実質的に無水である。反応はバッチ形式または連続形式で行うことができる。
【0036】
本発明では、3−、4−、および5−シアノ吉草酸の混合物と直鎖または分枝鎖C1−C12アルコールを反応させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルの混合物を生成する。より好ましくは、アルコールはメタノールまたはエタノールである。5−シアノ吉草酸アルキルは、酸化的エステル化についての前述の説明で述べたように分留によって反応混合物から単離される。
【0037】
(5−シアノ吉草酸メチルの水素化)
5−シアノ吉草酸アルキルから6−アミノカプロン酸アルキルを生成するためのニトリル基の水素化は、金属触媒の存在下で、任意に液体溶媒中で達成することができる。適切な金属触媒は様々なタイプの触媒でよい。触媒は、反応を触媒するのに有効な量で用いられる。例えば、スポンジ金属触媒、均一系触媒、ならびに還元金属酸化物触媒および混合金属酸化物触媒を使用してもよい。担持金属触媒も使用してよい。適切な活性金属として、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、クロム、オスミウム、および白金が挙げられる。
【0038】
スポンジ金属は、本発明に有用な触媒の一クラスである。スポンジ金属は、溶解したアルミニウムと共に金属の伸びた「骨格」または「スポンジ様」構造を有し、任意に、助触媒を含む。スポンジ金属はまた、表面の含水酸化物、吸収された含水ラジカル、および孔中の水素気泡を含んでもよい。スポンジ金属触媒は、米国特許第1,628,190号に記載のプロセスによって製造することができ、この開示は参考として本明細書で援用される。
【0039】
好ましいスポンジ金属として、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、および白金が挙げられる。スポンジニッケルまたはスポンジコバルトが触媒として特に適している。スポンジ金属は、IA族(リチウム、ナトリウム、およびカリウム)、IB族(銅、銀、および金)、IVB族(チタンおよびジルコニウム)、VB族(バナジウム)、VIB族(クロム、モリブデン、およびタングステン)、VIIB族(マンガン、レニウム)、ならびにVIII族(鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金)金属からなる群より選択される1または複数の助触媒によって活性化されてもよい。助触媒は、所望の結果を生じるのに有用な量で使用することができる。例えば、助触媒の量は、スポンジ金属の50重量%未満の任意の量、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%でよい。
【0040】
スポンジニッケル触媒は、主としてニッケルおよびアルミニウムを含む。アルミニウムは、一般的に、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、および/または水酸化アルミニウムの形である。ある特定の化合物群の水素化のための活性および選択性を高めるために、鉄および/またはクロムなどの少量の他の金属もまた元素の形または化学的に結合した形で存在してよく、スポンジニッケルに添加されてもよい。クロムおよび/または鉄で活性化されたスポンジニッケルを触媒として使用することが特に好ましい。
【0041】
スポンジコバルト触媒もまたアルミニウムを含み、助触媒を含んでもよい。好ましい助触媒はニッケルおよびクロム(例えば、触媒の重量に基づいて約2重量%の量)である。
【0042】
適切なスポンジ金属触媒の例として、Degussa BLM 112W、W.R.Grace Raney(登録商標)2400、Activated Metals A−4000TM、およびW.R.Grace Raney(登録商標)2724が挙げられる。
【0043】
担持金属水素化触媒は本発明に有用な別の種類の触媒である。このような触媒は固体支持体上の金属触媒からなる。このような任意の触媒を触媒的に有効な量で使用することができる。担持金属触媒に含まれる好ましい金属として、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、パラジウム、および白金が挙げられる。ルテニウムが特に好ましい。1種類を超える金属を使用してもよい。反応を妨げない任意の固体支持体を使用することができる。好ましい固体支持体として、二酸化チタン、多孔性酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化ランタン、二酸化ジルコニウム、活性炭、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、およびゼオライトが挙げられる。
【0044】
特に好ましい固体支持体は、二酸化チタン、多孔性酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、および活性炭である。特に有用な担持金属触媒は、担持ルテニウム触媒(例えば、二酸化チタン上のルテニウム)である。1種類を超える支持体および/または1種類を超える触媒元素の混合物を使用することも許容可能である。
【0045】
金属を支持体に配置する任意の方法を使用することができる。いくつかの方法が当該分野で周知である。ある方法は、支持体上への金属の蒸着を使用する。別の方法は、金属を支持体に塗布するフレーム溶射法を使用する。別の方法は、金属塩または金属酸化物の溶液を支持体に塗布する。この工程の後に、支持体の乾燥、次いで、塩または酸化物の還元を行う。別の方法は、容易に熱分解することができる金属塩を支持体に塗布する。適切な金属塩として、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、銅、銀、および金の1または複数のカルボニル錯体またはヒドリド錯体が挙げられる。
【0046】
金属は、一般的に、担持触媒の総重量に対して0.1〜90重量%で固体支持体に塗布される。金属は、好ましくは0.5〜50重量%であり、より好ましくは2〜25重量%である。
【0047】
均一系触媒は、本発明に有用な別のタイプの金属触媒である。均一系触媒は、ロジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、パラジウム、または白金などの金属の1つまたは組み合わせと、炭化水素含有配位子(これは、リン、窒素、酸素、炭素、および硫黄などの金属原子に結合する原子を含んでもよい)を組み込んだ可溶性金属化合物である。
【0048】
別のタイプの有用な水素化触媒は、少なくとも1つの金属酸化物、金属酸化物の混合物、または金属酸化物、水酸化物、および/もしくは炭酸塩の混合物の還元から得られる。このような触媒は、伸びた「骨格」金属構造のスポンジ金属触媒に似た構造を有する。しかしながら、これらは、一般的に、溶解したアルミニウムもケイ素も含まない。このような触媒は、酸化鉄または酸化コバルトなどのバルク金属酸化物の還元によって調製することができる。または、バルク金属酸化物前駆体は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、およびマンガンの酸化物の1つまたは複数を含む金属酸化物の混合物として調製することができる。さらに、金属水酸化物または金属炭酸塩を金属酸化物混合物に含めてもよい。国際特許出願WO98/04515および米国特許第6,005,145号を参照のこと(後者は参考として本明細書で援用される)。
【0049】
水素化反応は、通常、100〜5000psi(0.69〜34.5MPa)、好ましくは300〜1500psi(2.1〜10.3MPa)、より好ましくは500〜1000psi(3.4〜6.9MPa)の圧力で行われる。水素分圧は、一般的に50〜4000psi(0.34〜27.6MPa)、好ましくは100〜1000psi(0.69〜6.9MPa)、より好ましくは250〜750psi(1.7〜5.2MPa)である。水素:5−シアノ吉草酸アルキルのモル比は、一般的に2:1〜200:1、より好ましくは2:1〜100:1である。
【0050】
水素化反応の温度は40〜220℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。
【0051】
反応は、好ましくは、空気の非存在下で行われる。
【0052】
任意に、水素化反応は溶媒の存在下で行うことができる。反応を妨げない任意の溶媒を使用することができ、反応収率を高める量および/または反応から熱を除去する量で使用することができる。適切な溶媒として、水、アルコール、エステル、炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アンモニア、および水酸化アンモニウムが挙げられる。好ましい溶媒は、アンモニア、メタノール、水、およびこれらの溶媒の混合物である。一般的に、溶媒が用いられる場合、溶媒:5−シアノ吉草酸アルキルのモル比は1:1〜100:1、好ましくは5:1〜40:1、より好ましくは10:1〜20:1である。
【0053】
水素化反応は任意の適切なタイプの反応器内で行うことができる。適切な反応器として固定層反応器およびスラリー反応器が挙げられる。固定層反応器は、触媒から反応物および生成物を容易に分離するという利点がある。スラリー反応器として、バッチ反応器、連続攪拌タンク反応器、および気泡塔反応器が挙げられる。スラリー反応器において、触媒は、濾過または遠心作用によって反応混合物から除去することができる。
【0054】
用いられる水素化触媒の量は、用いられる反応器のタイプによって決まる。スラリー反応器の場合、触媒は反応器容量の0.1〜約30重量%を占める。好ましくは、触媒の量は、1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
【0055】
固定層反応器の場合、重量時間当たりの空間速度(weight hourly space velocity)は、一般的に0.05〜100hr−1、好ましくは0.1〜10hr−1、より好ましくは1.0〜5.0hr−1の範囲に入る。
【0056】
(ε−カプロラクタムを生成するための6−アミノカプロン酸アルキルの環化)
参考として本明細書で援用される米国特許第4,730,040号は、6−アミノカプロン酸アルキルを6−アミノカプロン酸(これは、高温(特に、150〜370℃)でε−カプロラクタムに環化できる)に加水分解することができるプロセスについて述べている。参考として本明細書で援用される米国特許第5,877,314号は、ルテニウム触媒の存在下で6−アミノカプロン酸アルキルと水素および過剰のアンモニアを反応させることによって、6−アミノカプロン酸アルキルをカプロラクタムおよびカプロラクタム前駆体に変換するプロセスを開示している。アルコール(一般的に、メタノール)は環化前に反応混合物から除去される。
【0057】
(実施例)
本発明は、以下の限定しない実施例によって例示される。
【0058】
(実施例1)
(ホルミルバレロニトリルからシアノ吉草酸メチルへの酸化的エステル化)
本実施例は、直鎖異性体への選択性が増大すると同時に、ホルミルバレロニトリルを一段階でシアノ吉草酸メチル(MCV)に変換できることを示す。
【0059】
ホルミルバレロニトリル(84.4%5FVN、3.7%4FVN、および11.8%3FVN)2.3g、メタノール10g、ならびにオルトジクロロベンゼン(GC内部標準)0.5gを含む溶液の試料を、10重量%の固体触媒(表1に示す)の存在下、500psigの空気の下で50℃で1時間加熱した。生成物を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。変換を表1に示す。この表において、FVN線状性=100*5FVN/(3FVN+4FVN+5FVN)である。MCV線状性=100*M5CV/(M3CV+M4CV+M5CV)。
【0060】
【表1】
【0061】
(実施例2)
(直鎖および分枝鎖シアノ吉草酸メチルの分離)
本実施例は、分枝鎖異性体を商業的に実現可能な蒸留プロセス(頭部圧力10トル)において除去できることを示す。
【0062】
混合シアノ吉草酸メチル300グラムを、500mlポットを備えたバッチ20プレート1インチOldershaw蒸留器への供給原料として使用した。GCにより分析した供給材料の組成は、14.3%M4CV、7.7%M3CV、および75.9%M5CVであることが判明し、残りは主としてメタノールおよび5FVNからのアセタールであった。蒸留は、0℃冷却器を用いて10トル(1.3×10−3MPa)での全還流で始めた。低沸点溶剤は、全還流で、主として冷却器を通って塔から出た。全還流で、塔は、150℃のポットおよび頭部では102℃で定常状態に達した。次いで、留出物を、蒸気スプリッティングヘッド(vapor splitting head)を用いて100:1還流比で5ml留分で取り出した。13留分の間に、頭部温度は102℃から122℃に上がった。最初の3留分の組成は、M5CVなし、50〜70%のM4CV、および5〜8%のM3CVを示し、残りは低沸点不純物であった。このことから、分枝鎖異性体の蒸気圧は直鎖シアノバレレートよりかなり高いことが分かった。蒸留を続け、運転の後半になってM5CVの多量の画分(各25グラム)がオーバーヘッドに取り込まれ、線状性は99.5%を超えた。最後のポット試料(出発300グラムのうちの26グラム)は0.14%のM4CVを示し、M3CVは検出できなかった。この48時間蒸留における高沸点溶剤生産率は開始M5CVの1%しかなかった。蒸留器の頭部温度は10トルで123℃で一定になり、これはM5CVの蒸気圧についての参考文献と一致している。これは、M4CVとM5CVとの沸点の差が20℃より大きいことを示している。
【0063】
(実施例3)
(Raney(登録商標)コバルト触媒を用いた6−アミノカプロン酸メチルの合成)
本実施例は、Raney(登録商標)コバルト触媒の存在下で5−シアノ吉草酸メチルを6−アミノカプロン酸メチルに水素化できることを示す。
【0064】
100mLステンレス鋼製高圧攪拌反応器(Parr反応器)にメタノール26.0gおよびRaney(登録商標)コバルト2724(W.R.Grace)0.5gを充填した。次いで、反応器を、カップを頭部に取り付けることで組み立て、100psigの窒素で圧力試験し、水素でパージした。次いで、反応器を水素で250psigまで加圧し、一定に攪拌しながら反応温度(75℃)まで加熱した。5−シアノ吉草酸メチル(M5CV)10.23g、1−メチル−2−ピロリドン(内部標準)0.5g、およびメタノール5.0gを、予め充填した添加シリンダから反応器へ、添加シリンダを水素で加圧することで添加した。次いで、反応器内の圧力を所望のレベル(500psig,3.5MPa)まで上げ、運転の全期間(1.2時間)を通じてそのレベルに維持した。反応中、反応器内のディップレッグに接続したサンプルポートを通じて、試料1mLを反応器から定期的に採取した。試料を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。時間の関数としてのM5CVの変換、6−アミノカプロン酸メチル(6MAC)およびカプロラクタム(CL)の選択性および収率を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
(実施例4)
(Raney(登録商標)ニッケル触媒を用いた6−アミノカプロン酸メチルの合成)
本実施例の目的は、Raney(登録商標)ニッケルの存在下で、5−シアノ吉草酸メチルを6−アミノカプロン酸メチルに水素化できることを示すことである。
【0067】
100mLステンレス鋼製高圧攪拌反応器(Parr反応器)にメタノール26.0gおよびRaney(登録商標)Ni2400(W.R.Grace)0.25gを充填した。次いで、反応器を、カップを頭部に取り付けることで組み立て、100psig(0.7MPa)の窒素で圧力試験し、水素でパージした。次いで、反応器を水素で250psig(1.75MPa)まで加圧し、一定に攪拌しながら反応温度(70℃)まで加熱した。5−シアノ吉草酸メチル(M5CV)10.0g、1−メチル−2−ピロリドン(NMP,内部標準)0.5g、およびメタノール5.0gを、予め充填した添加シリンダから反応器へ、添加シリンダを水素で加圧することで添加した。次いで、反応器内の圧力を所望のレベル(500psig,3.5MPa)まで上げ、運転の全期間(3.9時間)を通じてそのレベルに維持した。反応中、反応器内のディップレッグに接続したサンプルポートを通じて、試料(1.0mL)を反応器から定期的に採取した。試料を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。時間の関数としてのM5CVの変換、6−アミノカプロン酸メチル(6MAC)およびカプロラクタム(CL)の選択性および収率を表3に示す。
【0068】
【表3】
(発明の分野)
本発明は、6−アミノカプロン酸アルキルおよび/またはカプロラクタムを生成するプロセスに関する。
【0002】
(発明の背景)
商業的に、カプロラクタムは出発材料としてシクロヘキサンを用いたプロセスによって製造される。次いで、カプロラクタムは重合されて、ナイロン−6が生成される。コスト上の理由で、商業プロセスにおいて現在用いられている6炭素のシクロヘキサン出発材料ではなく、4炭素の出発材料であるブタジエンを用いてカプロラクタムを生成することが望ましい。
【0003】
ブタジエンとHCNを反応させて3−ペンテンニトリル(3PN)を生成できることが知られている。3PNをカプロラクタムに変換する1つのプロセスは、3PNをアジポニトリル(ADN)に変換することを伴う。次いで、ADNは部分的に水素化されて6−アミノカプロニトリルになり、次いで、6−アミノカプロニトリルは、加水分解、その後の環化によってカプロラクタムに変換される。例えば、米国特許第6,069,246号を参照のこと。部分的な水素化反応によって、かなりの量のヘキサメチレンジアミン(HMD)が生成される。
【0004】
3PNをカプロラクタムに変換する第2のプロセスは、3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化によって得られる5−ホルミルバレロニトリルの還元的アミノ化を伴う。次いで、この還元的アミノ化生成物は加水分解にかけられ、環化される。米国特許第6,048,997号は、少なくとも1つのVIII族金属を含む触媒の存在下で、2−、3−、および4−ペンテンニトリルを含む混合物と一酸化炭素および水素を反応させて、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリルを含む混合物を生成するプロセスを開示している。米国特許第5,986,126号は、5−ホルミルバレロニトリルが不安定であり、枝分かれしている3−および4−ホルミルバレロニトリルからの5−ホルミルバレロニトリルの分離が蒸留中にこうむる収率低下のために実行不可能であることを教示している。この問題を避けるために、米国特許第5,986,126号は、分枝鎖異性体からの直鎖生成物の分離が、ホルミルバレロニトリルを還元的アミノ化してアミノニトリル(例えば、6−アミノカプロニトリル)およびジアミンを生成した後に下流で可能であることを教示している。この第2のプロセスでは、かなりの量のHMDが生成される。
【0005】
前記の2つの3PNに基づくプロセスは両方とも、かなりの量のHMDを生成する。商業的カプロラクタム操作において副産物としてHMDがあることは必ずしも望ましいとは限らない。従って、かなりの量のHMDを生成することなくブタジエンをカプロラクタムに変換するプロセスが必要とされる。本発明はこのようなプロセスを提供する。
【0006】
(発明の簡単な概要)
本発明は、大量のHMDを生成しない、6−アミノカプロン酸アルキルを製造するための3PNに基づくプロセスである。本発明は、以下を含むプロセスによって、これを達成する:
(a)VIII族金属を含むヒドロホルミル化触媒の存在下で3−ペンテンニトリルと一酸化炭素および水素を反応させて、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN)を含む第1の反応生成物を生成すること;
(b)第1の反応生成物から、本質的に3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリルからなるFVN混合物を単離すること;
(c)(i)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物とアルコール、分子酸素含有ガス、およびパラジウム含有触媒を接触させて、第2の反応生成物を生成すること、または
(ii)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、分子酸素含有ガスの存在下でFVN混合物を酸化させて3−、4−、および5−シアノ吉草酸を含む酸化生成物を生成し、酸化生成物とアルコールを反応させて第2の反応生成物を生成すること、
のいずれかによって、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルを含む第2の反応生成物を生成するようにFVN混合物を反応させること;
(d)蒸留によって5−シアノ吉草酸アルキルを単離すること、および
(e)水素化触媒の存在下で5−シアノ吉草酸アルキルと水素を反応させて、6−アミノカプロン酸アルキルを含む第3の反応生成物を生成すること(6−アミノカプロン酸アルキルのアルキル基はアルコールと同数の炭素原子を含む)。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、6−アミノカプロン酸アルキルを生成するプロセスに関する。適切なアルキル基はC1−C12直鎖または分枝鎖アルキル基である。好ましくは、アルキル基はメチルまたはエチルである。より好ましくは、アルキル基はメチルである。
【0008】
(3−ペンテンニトリルの生成)
3−ペンテンニトリル(3PN)は、アジポニトリル生産中に中間体として商業的に生産される。3PNの合成は当該分野で周知である。例えば、米国特許第3,496,215号および同第5,821,378号を参照のこと(これらの開示は参考として本明細書で援用される)。
【0009】
(3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化)
3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN)を含む反応生成物を生成するための3−ペンテンニトリルのヒドロホルミル化(すなわち、3−ペンテンニトリルと一酸化炭素および水素との反応)は、VIII族元素を含む触媒の存在下で行われる。ヒドロホルミル化反応の温度は、室温〜約200℃、好ましくは50〜150℃の間で変化してもよい。圧力は、好ましくは0.15〜10MPa、より好ましくは0.2〜5MPaである。
【0010】
好ましい触媒はロジウム化合物である。適切な化合物の例として、Rh(CO)2(DPM),[DPM=t−C4H9−COCHCO−t−C4H9];Rh(CO)2(acac),[acac=アセチルアセトネート];Rh2O3;Rh4(CO)12;Rh6(CO)16;[Rh(OAc)2]2,[OAc=アセテート];およびRh(エチルヘキサノエート)2が挙げられる。好ましくは、触媒は、Rh(CO)2(acac)、Rh(CO)2(DPM)、または[Rh(OAc)2]2である。
【0011】
これらの触媒は、単座または二座ホスフィン、ホスホナイト、ホスフィナイト、またはホスファイト化合物などのリン含有配位子と組み合わせて使用することができる。このような配位子の例として、トリアリールホスファイト(例えば、トリフェニルホスファイト);トリアリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン);およびビス(ジリールホスフィノ)アルカン(例えば、ジフェニルホスフィノエタン)が挙げられる。さらに、多座ホスファイト化合物を配位子として使用することができる。これらの一例として、以下の構造式を有する化合物が挙げられる:
【0012】
【化1】
【0013】
式中、R1およびR2は同じまたは異なる一価アリール基であり、Xはn価の有機架橋基であり、nは2〜6の整数である。R1およびR2は置換されてもよい。このような配位子は、例えば、米国特許第5,710,344号で述べられており、この開示は参考として本明細書で援用される。
【0014】
3−ペンテンニトリルと触媒のモル比は、一般的に、100:1〜100,000:1、好ましくは、500:1〜10,000:1である。配位子とロジウムのモル比は、一般的に、0.5:1〜10:1である。
【0015】
ヒドロホルミル化反応のための水素と一酸化炭素のモル比は、一般的に、100:1〜1:10の範囲であり、好ましくは、4.0:1〜0.5:1の範囲である。不活性ガスも、水素および一酸化炭素の供給材料に存在してよい。
【0016】
ヒドロホルミル化反応は溶媒の存在下で行うことができる。適切な溶媒として、不活性溶媒またはヒドロホルミル化生成物それ自体からなる溶媒が挙げられる。適切な不活性溶媒として、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ニトリル、エーテル、アミドおよび尿素誘導体、飽和炭化水素、ならびにケトンが挙げられる。適切な溶媒のいくつかの例として、トルエン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、Texanol(登録商標)(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ベンゾニトリル、N−メチルピロリジノン、およびN,N−ジメチルエチルウレアが挙げられる。
【0017】
ヒドロホルミル化反応は連続形式またはバッチ形式で行うことができる。反応は、気泡塔反応器、連続攪拌タンク反応器、トリクルベッド反応器、および液体オーバーフロー反応器(liquid−overflow reactor)などの様々な反応器内で行うことができる。反応しなかった水素、一酸化炭素、3−ペンテンニトリル、および任意の溶媒を回収し、ヒドロホルミル化反応器に再循環させてもよい。
【0018】
ヒドロホルミル化反応生成物は、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル、ならびに変換されなかった2−、3−、および4−ペンテンニトリル、触媒、および高沸点溶剤を含む。当業者に周知の熱的に穏やかな蒸発法を用いることで、触媒および高沸点溶剤からFVN混合物を分離することができる。このような技法は、ローリングフィルムエバポレーター(rolling−film evaporator)、流下薄膜型エバポレーター、またはワイプドフィルムエバポレーター(wiped−film evaporator)などの一段階フラッシュエバポレーターの使用を含む。FVN混合物から分離された高沸点溶剤および触媒は、ヒドロホルミル化反応器に戻して再循環させることができる。
【0019】
触媒およびFVN混合物の分解を避けるために、一般的に、フラッシュ蒸発間の接触時間は短いことが好ましい。接触時間は1秒〜1時間の間で変化してもよく、好ましくは1〜5分である。フラッシュ蒸発は商業的に実行可能な操作条件下で行われる。温度は75〜200℃の範囲であるべきである。好ましい範囲は100〜130℃である。圧力は、13.3〜1333Pa、好ましくは、66.6〜666.5Paの間で変化してもよい。
【0020】
(5−ホルミルバレロニトリルの酸化的エステル化)
5−シアノ吉草酸アルキルは、5−ホルミルバレロニトリル(5−FVNまたは5FVN)の酸化的エステル化によって製造することができる。このプロセスでは、5−FVNは、パラジウム含有触媒の存在下でアルコールおよび酸素含有ガスに暴露される。
【0021】
FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物と分子酸素含有ガスを接触させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルを含む反応生成物(混合ACV)を生成する。好ましくは、酸化は、空気の存在下で100〜5000psig(0.7〜34.5MPa)の圧力で行われる。より好ましくは、圧力は500〜2000psig(3.4〜13.8MPa)である。このような反応条件は高い変換率をもたらす。反応は連続プロセスとして行ってもよい。
【0022】
本発明の酸化的エステル化工程は約20℃〜約120℃の温度で行うことができる。好ましくは、温度は約40℃〜約80℃の範囲である。酸化的エステル化は発熱をともなうので、約50℃以上で市販の反応器を操作することが、熱除去および関連費用が経済上の考慮すべき事柄となるので好ましい。通常の低コストの冷却水の使用が可能な温度を選択することが好ましい。
【0023】
酸化的エステル化において用いられるアルコールは、後の反応工程を妨げない任意のアルコールでよい。好ましくは、アルコールは直鎖または分枝鎖のC1〜C12アルコールである。より好ましくは、アルコールはメタノールまたはエタノールである。反応は、化学量論的に過剰なアルコールの存在下で都合よく行うことができる。
【0024】
酸化的エステル化用の適切な溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、およびエステルからなる群より選択することができる。特に重要なものは、酸化的エステル化用の溶媒としても機能することができるアルコールである。アルコールとアルデヒドの比は1:1〜50:1である。
【0025】
パラジウム含有触媒は、5−ホルミルバレロニトリルの酸化的エステル化を触媒することができる任意のパラジウム触媒でよい。好ましくは、触媒は、European Patent Application 199530に記載のようなパラジウムベースの不均一系触媒である。適切な触媒の例として、Pd4TeZnPb、Pd4TeZnPbBi、およびPd4TeZnが挙げられる。
【0026】
本発明による酸化的エステル化プロセスを商業的に実施する実際の方法は、当該分野において一般に知られている任意の空気酸化法でよく、一例として、攪拌を伴うまたは攪拌を伴わないバッチ反応器、プラグ流れまたは逆混合を伴う連続反応器、および向流反応器などが挙げられるが、これに限定されない。
【0027】
5−シアノ吉草酸アルキルは、分留によって反応混合物から分離することができる。酸化的エステル化による生成物のバルクから沸点が非常に低いアルコール(メタノールが好ましい)を分離するのに、蒸発段階が用いられる。この分離は、1.3×10−3MPa〜6.5×10−2MPa、好ましくは、6.5×10−3MPa〜3.5×10−2MPaの圧力で達成される。メタノールがほぼ完全に除去できるようにエバポレーター温度が設定される(80〜200℃、より好ましくは100〜150℃)。メタノールに富む留出物の流れは酸化的エステル化に再利用される。次いで、今やメタノールを含まない熱的に安定な化合物である混合ACV生成物は、従来の多段蒸留塔において精製される。
【0028】
混合ACV生成物は、5−シアノ吉草酸アルキルならびにその分枝鎖異性体である4−シアノ吉草酸アルキルおよび3−シアノ吉草酸アルキルを含む混合物である。混合物は、1.3×10−3MPa〜6.5×10−2MPa、好ましくは、6.5×10−3MPa〜3.5×10−2MPaの圧力で蒸留することができる。プロセスの1つの可能な構成において、混合ACVの流れは蒸留塔の中間部分に供給される。分枝鎖材料はオーバーヘッドに取り込まれ、燃焼されるか、または特殊化学薬品に変換することができる。精製された直鎖材料は塔リボイラーから出て、直接、水素化に供給することができる。塔温度は、一般的に100〜250℃、好ましくは140〜200℃である。
【0029】
(エステル化後のFVNの酸化)
酸化的エステル化の代わりとして、FVN混合物をアルコールの非存在下で酸化し、次いで、エステル化することができる。米国特許第5,840,959号で教示されたプロセス(この場合、5−ホルミル吉草酸メチルが酸化されてアジピン酸モノメチルが生成される)と同様のプロセスによって、5−シアノ吉草酸を、5−ホルミルバレロニトリルの酸化によって製造することができる。
【0030】
FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物と分子酸素含有ガスを接触させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸を含む反応生成物を生成する。触媒を用いて、または触媒なしで、大気圧または高圧で、FVNを酸化することができる。米国特許第4,537,987号および同第4,931,590号は、酸化反応を促進するためにアルカリ金属酸化物(例えば、0.001〜0.5重量%の量の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム)およびコバルトまたはマンガンの金属塩(例えば、0.0001〜0.1重量%の量の酢酸コバルトまたは酢酸マンガン)を使用できることを教示している。これらの触媒は本発明と共に使用できるが、このような触媒の非存在下で酸化反応を行うことが好ましい。
【0031】
好ましくは、酸化は、空気の存在下、高圧で行われる。このような反応条件は高い変換率をもたらす。反応は連続プロセスとして行ってもよい。
【0032】
高い変換および選択性を得るために、大気圧(約1MPa)よりも高い空気の圧力、好ましくは、10バール(1MPa)を超える空気の圧力が必要とされる。より好ましくは、空気を使用する場合、全圧は約20バール(2MPa)以上であるべきである。より高い圧力(例えば、40〜65バール(4〜6.5MPa))が反応性を改善することもあるが、より高い設備費用を必要とする場合がある。約20〜40バール(2〜4MPa)の空気の圧力が現実的かつ商業的に許容できる範囲である。
【0033】
本発明の酸化工程は約20℃から約120℃と高い温度で行うことができる。好ましくは、温度は約40℃〜約80℃の範囲である。酸化は発熱をともなうので、約50℃以上で市販の反応器を操作することが、熱除去および関連費用が経済上の考慮すべき事柄となるので好ましい。通常の低コストの冷却水の使用が可能な温度を選択することが好ましい。
【0034】
本発明による酸化プロセスを商業的に実施する実際の方法は、当該分野において一般に知られている任意の無触媒ヘテロ相空気酸化法による方法でよく、一例として、攪拌を伴うまたは攪拌を伴わないバッチ反応器、プラグ流れまたは逆混合を伴う連続反応器、向流反応器などが挙げられるが、これに限定されない。米国特許第5,840,959号は、5−ホルミル吉草酸アルキルの酸化の場合、現実的な熱除去の考慮すべき事柄のために、好ましい反応器操作法が、最適とは言えない変換であることを教示している。しかしながら、本発明における3−、4−、および5−シアノ吉草酸の沸点が高いために、考えられる最高の変換および選択性で酸化反応を行うことが好ましい。このような操作によって、関連する蒸留条件と共に再循環ループを動かす必要性がなくなる。
【0035】
酸化の後に、生成物をエステル化することができる。均一系触媒または不均一系触媒の存在下で適切なカルボン酸とアルコールを反応させることによって、有機エステルを製造することができる。最も一般的な均一系触媒の1つが硫酸であり、最も一般的な不均一系触媒がイオン交換樹脂である。不均一系酸性触媒は、その活性、選択性、再利用性、非腐食性、および均一系触媒に関連する廃水処理が実質的に無いという理由で多くの用途において有用であることが判明している。本発明において、エステル化プロセスは、1〜4個の炭素原子を有する第1級アルコールの存在下で行われる。操作に必要とされる温度は25〜150℃であり、好ましい範囲は70〜120℃である。エステルの高収率を達成するために、酸とエステルの反応は過剰のアルコールの存在下で行われる。使用される好ましい触媒は、高度架橋構造を有する、スルホン酸タイプのカチオン交換樹脂である。名前が示すとおり、これらの樹脂は酸の形で用いられる。これらの触媒、その特性、および調製方法は米国特許第3,037,052号に教示されている。これらの触媒は市販されており、商標Amberlyst−15(Rohm & Haas Company)で販売されている。反応は非水系で行われ、反応物および触媒は実質的に無水である。反応はバッチ形式または連続形式で行うことができる。
【0036】
本発明では、3−、4−、および5−シアノ吉草酸の混合物と直鎖または分枝鎖C1−C12アルコールを反応させて、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルの混合物を生成する。より好ましくは、アルコールはメタノールまたはエタノールである。5−シアノ吉草酸アルキルは、酸化的エステル化についての前述の説明で述べたように分留によって反応混合物から単離される。
【0037】
(5−シアノ吉草酸メチルの水素化)
5−シアノ吉草酸アルキルから6−アミノカプロン酸アルキルを生成するためのニトリル基の水素化は、金属触媒の存在下で、任意に液体溶媒中で達成することができる。適切な金属触媒は様々なタイプの触媒でよい。触媒は、反応を触媒するのに有効な量で用いられる。例えば、スポンジ金属触媒、均一系触媒、ならびに還元金属酸化物触媒および混合金属酸化物触媒を使用してもよい。担持金属触媒も使用してよい。適切な活性金属として、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、クロム、オスミウム、および白金が挙げられる。
【0038】
スポンジ金属は、本発明に有用な触媒の一クラスである。スポンジ金属は、溶解したアルミニウムと共に金属の伸びた「骨格」または「スポンジ様」構造を有し、任意に、助触媒を含む。スポンジ金属はまた、表面の含水酸化物、吸収された含水ラジカル、および孔中の水素気泡を含んでもよい。スポンジ金属触媒は、米国特許第1,628,190号に記載のプロセスによって製造することができ、この開示は参考として本明細書で援用される。
【0039】
好ましいスポンジ金属として、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、および白金が挙げられる。スポンジニッケルまたはスポンジコバルトが触媒として特に適している。スポンジ金属は、IA族(リチウム、ナトリウム、およびカリウム)、IB族(銅、銀、および金)、IVB族(チタンおよびジルコニウム)、VB族(バナジウム)、VIB族(クロム、モリブデン、およびタングステン)、VIIB族(マンガン、レニウム)、ならびにVIII族(鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金)金属からなる群より選択される1または複数の助触媒によって活性化されてもよい。助触媒は、所望の結果を生じるのに有用な量で使用することができる。例えば、助触媒の量は、スポンジ金属の50重量%未満の任意の量、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%でよい。
【0040】
スポンジニッケル触媒は、主としてニッケルおよびアルミニウムを含む。アルミニウムは、一般的に、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、および/または水酸化アルミニウムの形である。ある特定の化合物群の水素化のための活性および選択性を高めるために、鉄および/またはクロムなどの少量の他の金属もまた元素の形または化学的に結合した形で存在してよく、スポンジニッケルに添加されてもよい。クロムおよび/または鉄で活性化されたスポンジニッケルを触媒として使用することが特に好ましい。
【0041】
スポンジコバルト触媒もまたアルミニウムを含み、助触媒を含んでもよい。好ましい助触媒はニッケルおよびクロム(例えば、触媒の重量に基づいて約2重量%の量)である。
【0042】
適切なスポンジ金属触媒の例として、Degussa BLM 112W、W.R.Grace Raney(登録商標)2400、Activated Metals A−4000TM、およびW.R.Grace Raney(登録商標)2724が挙げられる。
【0043】
担持金属水素化触媒は本発明に有用な別の種類の触媒である。このような触媒は固体支持体上の金属触媒からなる。このような任意の触媒を触媒的に有効な量で使用することができる。担持金属触媒に含まれる好ましい金属として、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、パラジウム、および白金が挙げられる。ルテニウムが特に好ましい。1種類を超える金属を使用してもよい。反応を妨げない任意の固体支持体を使用することができる。好ましい固体支持体として、二酸化チタン、多孔性酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化ランタン、二酸化ジルコニウム、活性炭、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、およびゼオライトが挙げられる。
【0044】
特に好ましい固体支持体は、二酸化チタン、多孔性酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、および活性炭である。特に有用な担持金属触媒は、担持ルテニウム触媒(例えば、二酸化チタン上のルテニウム)である。1種類を超える支持体および/または1種類を超える触媒元素の混合物を使用することも許容可能である。
【0045】
金属を支持体に配置する任意の方法を使用することができる。いくつかの方法が当該分野で周知である。ある方法は、支持体上への金属の蒸着を使用する。別の方法は、金属を支持体に塗布するフレーム溶射法を使用する。別の方法は、金属塩または金属酸化物の溶液を支持体に塗布する。この工程の後に、支持体の乾燥、次いで、塩または酸化物の還元を行う。別の方法は、容易に熱分解することができる金属塩を支持体に塗布する。適切な金属塩として、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、銅、銀、および金の1または複数のカルボニル錯体またはヒドリド錯体が挙げられる。
【0046】
金属は、一般的に、担持触媒の総重量に対して0.1〜90重量%で固体支持体に塗布される。金属は、好ましくは0.5〜50重量%であり、より好ましくは2〜25重量%である。
【0047】
均一系触媒は、本発明に有用な別のタイプの金属触媒である。均一系触媒は、ロジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、パラジウム、または白金などの金属の1つまたは組み合わせと、炭化水素含有配位子(これは、リン、窒素、酸素、炭素、および硫黄などの金属原子に結合する原子を含んでもよい)を組み込んだ可溶性金属化合物である。
【0048】
別のタイプの有用な水素化触媒は、少なくとも1つの金属酸化物、金属酸化物の混合物、または金属酸化物、水酸化物、および/もしくは炭酸塩の混合物の還元から得られる。このような触媒は、伸びた「骨格」金属構造のスポンジ金属触媒に似た構造を有する。しかしながら、これらは、一般的に、溶解したアルミニウムもケイ素も含まない。このような触媒は、酸化鉄または酸化コバルトなどのバルク金属酸化物の還元によって調製することができる。または、バルク金属酸化物前駆体は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、クロム、モリブデン、タングステン、およびマンガンの酸化物の1つまたは複数を含む金属酸化物の混合物として調製することができる。さらに、金属水酸化物または金属炭酸塩を金属酸化物混合物に含めてもよい。国際特許出願WO98/04515および米国特許第6,005,145号を参照のこと(後者は参考として本明細書で援用される)。
【0049】
水素化反応は、通常、100〜5000psi(0.69〜34.5MPa)、好ましくは300〜1500psi(2.1〜10.3MPa)、より好ましくは500〜1000psi(3.4〜6.9MPa)の圧力で行われる。水素分圧は、一般的に50〜4000psi(0.34〜27.6MPa)、好ましくは100〜1000psi(0.69〜6.9MPa)、より好ましくは250〜750psi(1.7〜5.2MPa)である。水素:5−シアノ吉草酸アルキルのモル比は、一般的に2:1〜200:1、より好ましくは2:1〜100:1である。
【0050】
水素化反応の温度は40〜220℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。
【0051】
反応は、好ましくは、空気の非存在下で行われる。
【0052】
任意に、水素化反応は溶媒の存在下で行うことができる。反応を妨げない任意の溶媒を使用することができ、反応収率を高める量および/または反応から熱を除去する量で使用することができる。適切な溶媒として、水、アルコール、エステル、炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アンモニア、および水酸化アンモニウムが挙げられる。好ましい溶媒は、アンモニア、メタノール、水、およびこれらの溶媒の混合物である。一般的に、溶媒が用いられる場合、溶媒:5−シアノ吉草酸アルキルのモル比は1:1〜100:1、好ましくは5:1〜40:1、より好ましくは10:1〜20:1である。
【0053】
水素化反応は任意の適切なタイプの反応器内で行うことができる。適切な反応器として固定層反応器およびスラリー反応器が挙げられる。固定層反応器は、触媒から反応物および生成物を容易に分離するという利点がある。スラリー反応器として、バッチ反応器、連続攪拌タンク反応器、および気泡塔反応器が挙げられる。スラリー反応器において、触媒は、濾過または遠心作用によって反応混合物から除去することができる。
【0054】
用いられる水素化触媒の量は、用いられる反応器のタイプによって決まる。スラリー反応器の場合、触媒は反応器容量の0.1〜約30重量%を占める。好ましくは、触媒の量は、1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
【0055】
固定層反応器の場合、重量時間当たりの空間速度(weight hourly space velocity)は、一般的に0.05〜100hr−1、好ましくは0.1〜10hr−1、より好ましくは1.0〜5.0hr−1の範囲に入る。
【0056】
(ε−カプロラクタムを生成するための6−アミノカプロン酸アルキルの環化)
参考として本明細書で援用される米国特許第4,730,040号は、6−アミノカプロン酸アルキルを6−アミノカプロン酸(これは、高温(特に、150〜370℃)でε−カプロラクタムに環化できる)に加水分解することができるプロセスについて述べている。参考として本明細書で援用される米国特許第5,877,314号は、ルテニウム触媒の存在下で6−アミノカプロン酸アルキルと水素および過剰のアンモニアを反応させることによって、6−アミノカプロン酸アルキルをカプロラクタムおよびカプロラクタム前駆体に変換するプロセスを開示している。アルコール(一般的に、メタノール)は環化前に反応混合物から除去される。
【0057】
(実施例)
本発明は、以下の限定しない実施例によって例示される。
【0058】
(実施例1)
(ホルミルバレロニトリルからシアノ吉草酸メチルへの酸化的エステル化)
本実施例は、直鎖異性体への選択性が増大すると同時に、ホルミルバレロニトリルを一段階でシアノ吉草酸メチル(MCV)に変換できることを示す。
【0059】
ホルミルバレロニトリル(84.4%5FVN、3.7%4FVN、および11.8%3FVN)2.3g、メタノール10g、ならびにオルトジクロロベンゼン(GC内部標準)0.5gを含む溶液の試料を、10重量%の固体触媒(表1に示す)の存在下、500psigの空気の下で50℃で1時間加熱した。生成物を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。変換を表1に示す。この表において、FVN線状性=100*5FVN/(3FVN+4FVN+5FVN)である。MCV線状性=100*M5CV/(M3CV+M4CV+M5CV)。
【0060】
【表1】
【0061】
(実施例2)
(直鎖および分枝鎖シアノ吉草酸メチルの分離)
本実施例は、分枝鎖異性体を商業的に実現可能な蒸留プロセス(頭部圧力10トル)において除去できることを示す。
【0062】
混合シアノ吉草酸メチル300グラムを、500mlポットを備えたバッチ20プレート1インチOldershaw蒸留器への供給原料として使用した。GCにより分析した供給材料の組成は、14.3%M4CV、7.7%M3CV、および75.9%M5CVであることが判明し、残りは主としてメタノールおよび5FVNからのアセタールであった。蒸留は、0℃冷却器を用いて10トル(1.3×10−3MPa)での全還流で始めた。低沸点溶剤は、全還流で、主として冷却器を通って塔から出た。全還流で、塔は、150℃のポットおよび頭部では102℃で定常状態に達した。次いで、留出物を、蒸気スプリッティングヘッド(vapor splitting head)を用いて100:1還流比で5ml留分で取り出した。13留分の間に、頭部温度は102℃から122℃に上がった。最初の3留分の組成は、M5CVなし、50〜70%のM4CV、および5〜8%のM3CVを示し、残りは低沸点不純物であった。このことから、分枝鎖異性体の蒸気圧は直鎖シアノバレレートよりかなり高いことが分かった。蒸留を続け、運転の後半になってM5CVの多量の画分(各25グラム)がオーバーヘッドに取り込まれ、線状性は99.5%を超えた。最後のポット試料(出発300グラムのうちの26グラム)は0.14%のM4CVを示し、M3CVは検出できなかった。この48時間蒸留における高沸点溶剤生産率は開始M5CVの1%しかなかった。蒸留器の頭部温度は10トルで123℃で一定になり、これはM5CVの蒸気圧についての参考文献と一致している。これは、M4CVとM5CVとの沸点の差が20℃より大きいことを示している。
【0063】
(実施例3)
(Raney(登録商標)コバルト触媒を用いた6−アミノカプロン酸メチルの合成)
本実施例は、Raney(登録商標)コバルト触媒の存在下で5−シアノ吉草酸メチルを6−アミノカプロン酸メチルに水素化できることを示す。
【0064】
100mLステンレス鋼製高圧攪拌反応器(Parr反応器)にメタノール26.0gおよびRaney(登録商標)コバルト2724(W.R.Grace)0.5gを充填した。次いで、反応器を、カップを頭部に取り付けることで組み立て、100psigの窒素で圧力試験し、水素でパージした。次いで、反応器を水素で250psigまで加圧し、一定に攪拌しながら反応温度(75℃)まで加熱した。5−シアノ吉草酸メチル(M5CV)10.23g、1−メチル−2−ピロリドン(内部標準)0.5g、およびメタノール5.0gを、予め充填した添加シリンダから反応器へ、添加シリンダを水素で加圧することで添加した。次いで、反応器内の圧力を所望のレベル(500psig,3.5MPa)まで上げ、運転の全期間(1.2時間)を通じてそのレベルに維持した。反応中、反応器内のディップレッグに接続したサンプルポートを通じて、試料1mLを反応器から定期的に採取した。試料を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。時間の関数としてのM5CVの変換、6−アミノカプロン酸メチル(6MAC)およびカプロラクタム(CL)の選択性および収率を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
(実施例4)
(Raney(登録商標)ニッケル触媒を用いた6−アミノカプロン酸メチルの合成)
本実施例の目的は、Raney(登録商標)ニッケルの存在下で、5−シアノ吉草酸メチルを6−アミノカプロン酸メチルに水素化できることを示すことである。
【0067】
100mLステンレス鋼製高圧攪拌反応器(Parr反応器)にメタノール26.0gおよびRaney(登録商標)Ni2400(W.R.Grace)0.25gを充填した。次いで、反応器を、カップを頭部に取り付けることで組み立て、100psig(0.7MPa)の窒素で圧力試験し、水素でパージした。次いで、反応器を水素で250psig(1.75MPa)まで加圧し、一定に攪拌しながら反応温度(70℃)まで加熱した。5−シアノ吉草酸メチル(M5CV)10.0g、1−メチル−2−ピロリドン(NMP,内部標準)0.5g、およびメタノール5.0gを、予め充填した添加シリンダから反応器へ、添加シリンダを水素で加圧することで添加した。次いで、反応器内の圧力を所望のレベル(500psig,3.5MPa)まで上げ、運転の全期間(3.9時間)を通じてそのレベルに維持した。反応中、反応器内のディップレッグに接続したサンプルポートを通じて、試料(1.0mL)を反応器から定期的に採取した。試料を、Restex(登録商標)−5アミンカラム(15m×0.25mm)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。時間の関数としてのM5CVの変換、6−アミノカプロン酸メチル(6MAC)およびカプロラクタム(CL)の選択性および収率を表3に示す。
【0068】
【表3】
Claims (20)
- 6−アミノカプロン酸アルキルを製造するプロセスであって、
(a)VIII族金属を含むヒドロホルミル化触媒の存在下で3−ペンテンニトリルと一酸化炭素および水素を反応させて、3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリル(FVN)を含む第1の反応生成物を生成する工程;
(b)第1の反応生成物から、本質的に3−、4−、および5−ホルミルバレロニトリルからなるFVN混合物を単離する工程;
(c)(i)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、FVN混合物とアルコール、分子酸素含有ガス、およびパラジウム含有触媒を接触させて、第2の反応生成物を生成すること、または
(ii)FVN混合物を酸化するのに十分な時間、分子酸素含有ガスの存在下でFVN混合物を酸化させて3−、4−、および5−シアノ吉草酸を含む酸化生成物を生成し、酸化生成物とアルコールを反応させて第2の反応生成物を生成すること、
のいずれかによって、3−、4−、および5−シアノ吉草酸アルキルを含む第2の反応生成物を生成するようにFVN混合物を反応させる工程;
(d)蒸留によって5−シアノ吉草酸アルキルを単離する工程;および
(e)水素化触媒の存在下で5−シアノ吉草酸アルキルと水素を反応させて、6−アミノカプロン酸アルキルを含む第3の反応生成物を生成する工程であり、ここで、アルキル基はアルコールと同数の炭素原子を含む工程を含むことを特徴とするプロセス。 - アルコールが直鎖または分枝鎖C1〜C12アルキルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
- アルコールがメタノールまたはエタノールであることを特徴とする請求項2に記載のプロセス。
- ヒドロホルミル化触媒はロジウム化合物であることを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
- ヒドロホルミル化触媒は、ホスフィン、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスファイト、および多座ホスファイトからなる群より選択される配位子をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
- 工程(a)は、50〜150℃、0.15〜10MPaの圧力、100:1〜1:10の水素:一酸化炭素モル比、および500:1〜10,000:1の3−ペンテンニトリル:触媒モル比で行われることを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
- 第1の反応生成物からFVN混合物を単離するのに、一段階フラッシュエバポレーターが用いられることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
- 分子酸素含有ガスが空気であることを特徴とする請求項7に記載のプロセス。
- 工程(c)は20〜120℃の温度および10バール(1MPa)を超える圧力で行われることを特徴とする請求項8に記載のプロセス。
- 工程(c)は40〜80℃の温度および20〜40バール(2〜4MPa)の圧力で行われることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
- 5−シアノ吉草酸アルキルは分留によって第2の反応生成物から単離されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
- 工程(d)は、1.3×10−3〜6.5×10−2MPaの圧力および100〜250℃の温度で行われることを特徴とする請求項11に記載のプロセス。
- 工程(d)は、6.5×10−3〜3.5×10−2MPaの圧力で行われ、温度は140〜200℃であることを特徴とする請求項12に記載のプロセス。
- 水素化触媒は、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、クロム、オスミウム、および白金からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
- 水素化触媒は、固体支持体上にあるスポンジコバルト、スポンジニッケル、およびルテニウム金属からなる群より選択されることを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
- スポンジコバルトまたはスポンジニッケル触媒は、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、銀、金、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群より選択される少なくとも1つの助触媒を含み、助触媒は、スポンジ触媒の10質量%以下の量で存在することを特徴とする請求項15に記載のプロセス。
- 工程(e)は、1.7〜5.2MPaの水素圧力、2:1〜100:1の水素:5−シアノ吉草酸アルキルモル比、およびアンモニア、メタノール、水、またはそれらの混合物を含む溶媒の存在下で行われることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
- 水素化触媒が、二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、および活性炭からなる群より選択される固体支持体上にあるルテニウム金属であることを特徴とする請求項15に記載のプロセス。
- 固体支持体が二酸化チタンであることを特徴とする請求項18に記載のプロセス。
- (f)6−アミノカプロン酸アルキルを環化して、カプロラクタムを含む第4の反応生成物を形成する工程、および
(g)第4の反応生成物からカプロラクタムを単離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
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