JP2004511248A - 乳酸菌における異種遺伝子産物の製造のための改良発酵法 - Google Patents
乳酸菌における異種遺伝子産物の製造のための改良発酵法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004511248A JP2004511248A JP2002536077A JP2002536077A JP2004511248A JP 2004511248 A JP2004511248 A JP 2004511248A JP 2002536077 A JP2002536077 A JP 2002536077A JP 2002536077 A JP2002536077 A JP 2002536077A JP 2004511248 A JP2004511248 A JP 2004511248A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- medium
- lactic acid
- promoter
- culture
- protein
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/74—Vectors or expression systems specially adapted for prokaryotic hosts other than E. coli, e.g. Lactobacillus, Micromonospora
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N1/00—Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/67—General methods for enhancing the expression
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/14—Hydrolases (3)
- C12N9/16—Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)
- C12N9/22—Ribonucleases RNAses, DNAses
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
- Virology (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Abstract
(ii) 遺伝子を発現させる流加培養又は連続培養条件下で組換え細菌を培養し、かつ
(iii) 組換え細菌又は遺伝子産物を回収する工程
からなる、乳酸菌において異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造するための流加培養又は連続方法。好ましくは、培養培地は、化学的に定義されているか、又は酵母抽出物で任意に補充された合成培地である。
Description
発明の分野
本発明は、最も広い観点で、組換えDNA技術を用いて組換えの細菌細胞、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造する分野、特に乳酸菌宿主細胞における遺伝子発現系の使用に関する。詳細には、この発明は、異種のペプチド、ポリペプチド又は酵素及び医薬的に活性な生成物を含むタンパク質の乳酸菌における効果的な製造を可能にするような遺伝子発現系を用いる流加培養又は連続的な発酵法を提供する。
【0002】
従来技術及び技術背景
所望の遺伝子産物の過剰発現のための適切な系を選択するには、多くの検討を行う必要がある。重要な問題には、必要とされる異種遺伝子産物の収率、発現系を用いる損害(cost)及び生産宿主で産生される組換え遺伝子産物の確実性/生物活性が含まれる。
異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の高レベルな生産は宿主細胞に負担となるので、培養期間の延長を避け、非生産変異体を選択する危険性を最小限にするため、誘導性、つまり生産生物の増殖中に抑制され得る制御可能な遺伝子発現系を使用するのが有利な可能性がある。
【0003】
産業規模での生産に適当な誘導性発現系を開発するには、系の誘導が技術的な困難性を伴わないか、高価であるか、もしくは毒性の物質の使用を伴わないことも重要である。生産生物から得られる生成物の量に加えて、生産される遺伝子産物の純度が極めて重要である。全細胞溶解物に含まれる生成物の高収率は、望ましくない宿主細胞成分を除くために必要な以降の下流処理の工程中に実質的に減少される可能性がある。したがって、グラム−陰性細菌の周辺細胞質又はグラム−陽性細菌の細胞外環境いずれかへの分泌が、一般的には好ましい。
【0004】
これまでのところ、エシェリキア・コリとバシラス・ズブチルスが、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質の組換え生産用に最も広く使用される細菌宿主生物である。これらの生物の分子生物学は、他の全原核細胞微生物のそれを上回るレベルに特徴付けられており、この広範囲な研究は、これらの細菌における異種遺伝子の容易なクローニングと発現を可能にする遺伝的手段の大きなコレクションを生じる基礎を形成している。
【0005】
しかし、最近10年のあいだ、同種又は異種のペプチド、ポリペプチド及びタンパク質の生産用細胞工場としての乳酸菌(LAB)、特にラクトコッカス・ラクチスの開発に焦点が集まっている。LABは、幾つかの点で異種遺伝子産物の製造に有利である。医薬上の適用のための組換えペプチド、ポリペプチド及びタンパク質の生産と投与は、世界中で規定の当局によって厳密な要求を受けている。例えば、大部分のグラム−陰性細菌の細胞壁成分であるエンドトキシンは、最終製品には存在すべきではない。乳酸菌は、エンドトキシンを生産せず、そのために、魅力的なタンパク質生産宿主生物となっている。加えて、エル.ラクティス株を含む幾つかの乳酸菌株は、細胞外プロテアーゼを生産せず、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を分泌でき、遺伝子産物の安定性を高く確保し、その後の精製を容易にすることができる
【0006】
乳酸菌で用いるための誘導性遺伝子発現系を見込む幾つかの計画(Kok, 1996; Kuipersら、1997; Djordjevic 及びKlaenhammer, 1998)は、エル.ラクティス及びそのファージにおける遺伝子発現の制御に焦点をあてた研究をとおして達成されている。有用な乳酸菌発現系には、エル.ラクティスにおける抗微生物ペプチドのナイシンの生合成を制御する2成分系からの遺伝的要素に基づくNICE系が含まれる(de Ruyterら、1996)。2つの他の有用な誘導性発現系は、エル.ラクティスバクテリオファージO31(O’Sullivanら、1996; Walker 及びKlaenhammer, 1998)とr1t(Nautaら、1997)由来の遺伝的要素に基づいている。
トランスポゾン、組込みベクター又はプラスミド中のプロモーターレスレポーター遺伝子(van der Vossenら、1987;Israelsen 及び Hansen, 1993;Sandersら、1998)を用い、LABで誘導性プロモーターを同定した。これらのプロモーターは、pH(Israelsenら、1995)及び塩濃度(Sandersら、1998)のような環境変化によって誘導される。
【0007】
宿主細胞により生じる代謝産物又は宿主細胞の成長中に天然に生じる条件によって誘導される遺伝子発現系は、低コスト及び誘導因子の食品グレードの状態により産業上興味深い。したがって、エル.ラクティスで用いるための新規な遺伝子発現系の開発で、共有されている公表された国際特許出願WO 94/16086 及びWO 98/10079に開示されるようなpH誘導性のP170及びその誘導体を含む誘導性プロモーターを利用した。P170プロモーターからの転写は、定常期への同時移行中に低pHによって誘導され、つまり発現が指数的成長期中に抑制される。最近の研究で、P170プロモーターは詳細に特徴づけられ、本来の発現レベルは、制御に影響することなく遺伝工学により約150〜200倍に増加された(Madsenら、1999)。
【0008】
乳酸菌宿主細胞を用いて費用−効果的な遺伝子産物レベルに達するための試みは将来有望であるが、しかし、そのような生産系の生産性を増すには持続的な産業上の必要性がある。さらに、培地が生産物の最終消費者に健康上危険な可能性がある潜在的に危険な成分を含まない発酵法を提供する必要がある。そのような望ましくない成分の例には動物ウイルス及びプリオンが含まれ、その存在は、窒素成分などの動物由来成分を含む従来の発酵培地中で完全に除くことができない。しかし、最も現在使用されている発酵培地は、そのような動物由来成分を含む化学的に定義されない培地である。
したがって、絶対に安全で、所望の遺伝子産物を現在の製造法と同一、好ましくはより高い収率で提供できる、異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造する方法を提供することが、強く求められている。
【0009】
乳酸菌宿主細胞を用いる異種遺伝子産物の現在の製造法は、化学的に定義されていない、栄養素がリッチな培地中での宿主細胞の回分培養に基づいている。この発明は、そのような製造法における化学的に定義される、つまり合成培地の使用を包含する。従来の回分法でのそのような培地の使用は、遺伝子産物の収率を、従来の栄養素がリッチで化学的に定義されていない培地で達成されるよりも著しく低くすることが分かった。しかし、この問題は、製造法を連続法又は流加培養法として行うことによって克服できることが分かった。
【0010】
発明の要約
したがって、この発明は、最も広い観点では、(i)異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び操作可能に連結される、コード配列の発現を制御するための適当な制御ヌクレオチド配列からなる組換え乳酸菌を構築し、(ii)遺伝子を発現させる流加培養又は連続培養条件下で組換え細菌を培養し、かつ(iii)組換え細菌、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を回収する工程からなる、乳酸菌において異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造する方法を提供する。
【0011】
適当な制御ヌクレオチド配列には、構成プロモーター又は制御可能な、つまり誘導性のプロモーターが含まれる。制御可能なプロモーターが使用される例では、そのようなプロモーターは、組換え菌の培養中に存在する環境因子によって制御されることが好ましく、それは、培地に誘導性物質を追加する必要がないことを意味する。特に有用な制御可能なプロモーターには、WO 94/16086及びWO 98/10079に開示される乳酸菌pH制御可能なプロモーターP170及びその誘導体が含まれる。
さらなる観点では、この発明は、以下からなる乳酸菌を培養するための化学的に定義される基礎培地(LM1 培地)に関する。
【0012】
【表2】
【0013】
a Neidhardtら、J. Bacteriol. 119:736−747から
b ビタミン: 0.4μMビオチン、10μMピリドキサル−HCl、2.3μM葉酸、2.6μMリボフラビン、8μMナイアシンアミド、3μMチアミン−HCl 及び2μMパントテン酸塩
c 微量栄養素: 0.003μM (NH4)6(MO7)24、0.4μM H3BO4、0.03μM CoCl2、0.01μM CuSO4、0.08μM MnCl2及び0.01μM ZnSO4
【0014】
さらなる観点では、この発明は、リン酸塩と酢酸ナトリウムを除くLM1培地の全成分を3倍量で含む(各量はLM1培地と同一レベルに維持される)乳酸菌を培養するための化学的に定義される培地(LM3培地)、及びリン酸塩と酢酸ナトリウムを除くLM1培地の全成分を5倍量で含む(各量はLM1培地と同一レベルで維持される)乳酸菌を培養するための化学的に定義される培地(LM5培地)に関する。
【0015】
発明の詳細な開示
この発明のひとつの主たる目的は、組換え乳酸菌を製造し、乳酸菌で異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造する改良法を提供することである。
ここで用いられるように、用語「乳酸菌」は、優勢に製造される酸として乳酸を含む酸の製造とともに糖を発酵するグラム−陽性の微好気性又は嫌気性の細菌を示す。産業上もっとも有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種及びプロピオニバクテリウム種に見られる。さらに、乳酸菌群には、単独で又は乳酸菌との組み合わせで食品のスターター培養物として頻繁に用いられ、厳密には嫌気性細菌群に属する乳酸生産菌、ビフィドバクテリア、つまりビフィドバクテリア種が一般的には含まれる。
【0016】
この方法の第一工程で、組換え乳酸菌は、所望の異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列、及びそれに操作可能に連結される、コード配列の発現を制御するための適当な制御ヌクレオチド配列を含むよう構築される。そのような構築は、当該分野で周知の方法、例えばSambrookら(1989)に記載される方法を用いて行うことができる。
【0017】
有用な具体例では、所望の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、リパーゼ、ペプチダーゼ、キモシンのような乳凝固活性を有するアスパラギン酸プロテアーゼ、ペプシン及び微生物由来のアスパラギン酸プロテアーゼをはじめとするプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、アミラーゼと他の澱粉分解酵素を含む炭水化物代謝に関与する酵素、グルコースオキシダーゼ及びヘキソースオキシダーゼを例として含むオキシドリダクターゼ、及び溶解酵素を含む酵素をコードする配列、キャプシドタンパク質のようなウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列、微生物細胞表面タンパク質構造をコードする配列及び例えばナイシン、ロイテリン及びペディオシンのようなバクテリオシンをコードする配列から選択される。また、ヌクレオチド配列は、抗生物質耐性を付与する遺伝子産物をコードする配列であってもよい。
【0018】
特に興味深い例では、組換え乳酸菌は、微生物毒素を含む生物学的に機能的な遺伝子産物、免疫学的に活性なペプチド又はポリペプチド、医薬上活性なペプチド、ポリペプチド又はタンパク質及び抗微生物学的に活性なペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0019】
この明細書で、免疫学的に活性な遺伝子産物は、少なくとも1つのエピトープを含むいずれかのアミノ酸配列を含む。そのような配列は、ワクチン及び/又は診断剤として有用で、ヒトを含む哺乳動物のような動物の免疫化が必要なあらゆる病原性生物に由来することができる。コードするヌクレオチド配列によって発現されるエピトープは、培養培地へ細胞から分泌されるものであってもよく、あるいは宿主生物の外表面に位置し、それにより組換え細胞自体のワクチンとしての適用を可能にすることが理解される。あるいは、エピトープは、細胞から単離される際には、細胞内に生ずることができる。エピトープを発現させる別の興味深い手段は、免疫学的に活性型のエピトープが融合タンパク質の一部として発現されるように、別のコード配列にエピトープをコードするヌクレオチド配列を挿入することによる。
【0020】
詳細な例では、コードヌクレオチド配列は、マイコバクテリアの抗原決定基つまりエピトープ、すなわちヒトを含む動物への投与時に体液性及び/又は細胞性免疫反応に刺激作用を有する免疫学的に活性なオリゴペプチド又はポリペプチドをコードする。特に、そのようなコード配列は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、エム.ボビス及びエム.アフリカヌムを含む、「結核複合体」として一般的に言及されるマイコバクテリア種の群に属する生物に由来していてもよい。マイコバクテリア起源のそのような抗原性遺伝子産物は、結核皮膚試験で結核ワクチン及び/又は診断試薬として使用できる可能性を有する。乳酸菌のような安全な非病原性生物におけるヒト及び動物が用いるワクチン及び診断上活性な剤の産業上の生産が非常に有利であることは明らかである。
【0021】
さらなる有利な具体例では、コードするヌクレオチド配列は、モノクローナル及びポリクローナル抗体を含む抗体をコードする配列である。そのようなコード配列は、鳥、哺乳動物及びヒトを含むあらゆる動物源に由来することができる。
本発明の方法によれば、組換え細胞は、コードヌクレオチド配列に操作可能に連結された少なくとも1つの構成プロモーター又は少なくとも1つの制御可能なプロモーターを含んでいてもよく、用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが結合できる部位を示すために通常の意味で用いられる。
【0022】
プロモーター領域は、本発明によれば、いずれかの原核細胞に由来してもよいが、好ましい例では、上記の種を含む乳酸菌種及びビフィドバクテリウム種に由来する。有用な具体例では、プロモーター領域は、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスを含むラクトコッカス・ラクティス、例えばMG1363と称される株[この株はラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリスとしても文献(Nautaら、1996)で言及される]、及びラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス生物型ジアセチルラクティスのプロモーター領域に由来する。プロモーターP170からなる領域及びその誘導体(その例はWO98/10079に開示される)を含む組換え乳酸菌の構築に有用な本発明によるかかるプロモーター領域の例は、WO94/16086に示されている。
【0023】
上記のとおり、組換え乳酸菌で用いられるプロモーターは制御可能なプロモーター又は誘導性プロモーターであるのが、所定の目的のためには有利である。プロモーターを制御又は誘導する因子には、温度及び光のような物理的条件、例えばIPTG、トリプトファン、乳酸塩又はナイシンのような化学物質を含むプロモーター配列の活性を制御できる物理的かつ化学的なあらゆる因子が含まれる。現在好ましい例では、この発明で使用される制御可能なプロモーターは、培養工程中に生じる環境因子又は成長条件因子によって制御される。そのような制御可能なプロモーターを用いる利点は、培養培地に誘導性化合物又は制御化合物を加える必要がないことである。そのような制御因子は、pH、成長温度、酸素含量、熱ショック遺伝子の発現を誘導する温度シフト、イオン強度/NaCl含量を含む成長培地の組成、細胞内又は乳酸/乳酸塩を含む代謝物の培地中での蓄積、必須細胞構成物又はその前駆体の有無、細菌の成長期又は細菌の成長速度から選択される。
【0024】
プロモーターが、その誘導又は制御が成長培地に存在する1以上の物質によって制御されるプロモーターであるときに、通常そのような培地の成分ではない物質、例えば抗生物質又はバクテリオシンが、本発明によれば、環境又は成長条件因子として一般には含まれないことは理解されたい。
【0025】
ひとつの好ましい例では、プロモーターと異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチドは、プラスミド、トランスポゾン因子、バクテリオファージ又はコスミドのような自律複製レプリコンで乳酸菌に導入される。少なくともコード配列が宿主細胞染色体に組みこまれる条件でプロモーターとコード配列を導入することが、コード配列の細胞での維持を安定にするので、有利であり得る。あるいは、異種のコード配列は、選択された宿主生物の染色体に天然に存在するプロモーターに操作可能に連結される位置で宿主細胞の染色体に導入される。つまり、さらなる具体例では、異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結されるプロモーターは、コード配列と天然には結合していないプロモーターである。
【0026】
さらに有利な具体例では、コードヌクレオチド配列は、遺伝子産物が細胞膜を越えて培地に分泌されることを許容するシグナルペプチド(SP)をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結される。SPは、 Sec−依存性分泌タンパク質に存在するN−末端伸長である。典型的なSPの構造は、3つの異なる領域を含む: (i) 正に帯電したアミノ酸、リジン及びアルギニンを幾つか含むN−末端領域; (ii) 中心の疎水性コア及び; (iii) シグナルペプチダーゼによって認識される配列モチーフを含む親水性C−末端。分泌のために標的化されるタンパク質は、N−末端にシグナル配列又はシグナルペプチド(SP)を含む。SPは、細胞膜を介する移動中に細胞の分泌機序の成分であるリーダー又はシグナルペプチダーゼによって認識され、切断される。SPは、グラム−陽性細菌で通常25アミノ酸〜35アミノ酸(aa)以上の大きさである。SPは、配列ホモロジーを共有しないが、しばしば1以上の塩基性aaを含むアミノ末端、7以上のaaの中心疎水性コア及びシグナルペプチダーゼによって認識されるモチーフを含む親水性カルボキシ末端からなる。エル.ラクティス由来の利用可能なSPの調査は、主に分泌されるラクトコッカスタンパク質であるUsp45由来のSPの使用を示唆した(van Asseldonkら、1990)。このSPは、エル.ラクティスで幾つかの異種タンパク質の分泌に機能的であることが報告された(van Asseldonkら、1993)。
【0027】
詳細な具体例では、シグナルペプチドは、Usp45シグナルペプチドと配列MKFNKKRVAIAT−FIALIFVSFFTISSQDAQAAERS (SEQ ID NO: 1)を有するシグナルペプチドからなる群から選択される。
本発明による方法の以降の工程では、こうして得た組換え乳酸菌を、所望の遺伝子産物をコードする配列を発現させる流加培養又は連続培養条件で培養し、培養中(連続時)又は培養工程の終了時(流加培養時)に、細胞、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質を分離する従来技術を用いて組換え細胞又はペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を回収する。
【0028】
もっとも広い意味において、表現「流加培養」は、1以上の栄養素が培養中に培養容器又はバイオリアクターに供給され、培養細胞と遺伝子産物が操作の最後まで依然として封入される培養技術として定義される。幾つかの場合、全ての栄養素は、徐々にバイオリアクターに供給される。ここで用いられるように表現「連続培養」は、全栄養素が連続的に培養容器又はバイオリアクターに添加され、培地及び/又は細胞培養の画分が供給された栄養素と同一の流速で除かれ、一定の培養量を維持する培養法を記載するために用いられる。
本発明のこれらの培養方法とは逆に、従来の「回分」培養は、好気処理中における分子酸素及びpH調整のための化学物質を除いて、培養操作中に必要な全栄養素が培養の開始前に培地に添加される方法である。
【0029】
時間−温度条件、pH条件及び通気条件、関連する際には、バイオリアクターへの栄養素の供給速度は、使用される乳酸菌の特定の型に依存するであろう。そのような条件の詳細な例を、以下の実施例で示す。一般的に、上記条件下の流加培養は、15〜40℃の温度範囲かつ4〜8のpH範囲で24〜72時間行われる。この発明による連続培養法は、数100時間のような長期間のあいだこれらの温度とpH条件で行ってもよい。
【0030】
方法の現在好ましい具体例では、組換え乳酸菌は、化学的に定義される培地で培養される。ここで用いられるように表現「化学的に定義される培地」は、定義されない窒素又は炭素源、例えば動物又は植物のタンパク質もしくはタンパク質加水分解組成物又は例えば糖蜜もしくはコーンスティープリカーのような複雑な炭素源を本質的に含まないが、窒素源がアンモニア又はアミノ酸のような十分に定義された無機又は有機化合物であり、かつ炭素源がグルコースのような十分に定義された糖である培地を意味する。さらに、そのような合成培地は、塩、例えば硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩及びアルカリならびにアルカリ土類金属の塩化物、ビタミン及び微量栄養素のような無機成分を含む。この発明の目的のため、化学的に定義された培地の例をここに示す。これらの培地は単なる例であることを認識されたい。当業者は、上記の培養条件下で組換え乳酸菌の培養を許容する他の培地を提供できるであろう。
【0031】
この方法で用いられる合成培地は、炭素源を含む必要がある。炭素源の濃度は、組換え乳酸菌の種類と選択された培養条件に依存する。有用な具体例では、炭素源はグルコースである。好ましい具体例では、培養中のグルコース濃度は、流加培養法での制御されたグルコース供給によって、又は連続培養法での完全なグルコース含有完全培地の供給によって、少なくとも約0.5g/Lの予備選択濃度に維持される。培養培地中のグルコース濃度は、少なくとも5g/L、例えば少なくとも10、15、20、30、40、50、80又は100 g/Lであることが好ましい。
【0032】
本発明によれば、流加培養法で培地へのグルコース供給を制御するひとつの簡便な方法は、バイオリアクターのpH制御手段にそのような供給を連結又は接続することである。こうして、グルコースの供給が、pHを制御する基礎の自動添加制御手段によって作動される。同様に、連続培養法では、完全培地の供給は、pHのオーキソスタット(auxostat)原理によるpHの制御に関連付けることができる。
純粋な合成培地を用いて十分な収率の遺伝子産物を得ることができることが分かったが、収率は、上記の化学的に定義された培地を酵母抽出物とともに供給することでさらに増加できることが見出された。酵母抽出物の適当な量は、例えば1〜5g/Lの範囲のような0.1〜10g/Lの範囲の量である。したがって、この明細書で、「化学的に定義された培地」は、適当な量の酵母抽出物で富化された化学的に定義された培地を含んでいてもよい。
【0033】
この発明の主たる目的は、遺伝子産物を高収率で製造する方法を提供することである。したがって、好ましい具体例では、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の収率は、少なくとも5mg/L、より好ましくは少なくとも10mg/L、例えば少なくとも50mg/Lを含む少なくとも20mg/Lである。特に好ましい具体例では、得られる収率は、少なくとも150mg/L及び少なくとも200mg/Lを含む少なくとも100mg/Lである。
上記のように、この発明は、さらなる観点では、以下からなる、細菌を培養するための具体的に化学的に定義された基礎培地(LM1培地)に関する:
【0034】
【表3】
【0035】
a Neidhardtら、J. Bacteriol. 119:736−747から
b ビタミン:0.4μMビオチン、10μMピリドキサル−HCl、2.3μM葉酸、2.6μMリボフラビン、8μMナイアシンアミド、3μMチアミン−HCl 及び2μMパントテン酸塩
c 微量栄養素: 0.003μM (NH4)6(MO7)24、0.4μM H3BO4、0.03μM CoCl2、0.01μM CuSO4、0.08μM MnCl2及び0.01μM ZnSO4
【0036】
また、各量がLM1培地と同一レベルに維持されている、リン酸塩及び酢酸ナトリウムを除くLM1培地の全成分を3倍量で含むLM3培地、及び各量がLM1培地と同一レベルに維持されている、リン酸塩及び酢酸ナトリウムを除くLM1培地の全成分を5倍量で含むLM5培地と称される培地を含むLM1培地由来の化学的に定義された培地が提供される。
また、上記のように、この発明の化学的に定義された培地は、適当な所定の炭素源で補充される必要がある。したがって、有用な具体例では、上記培地はいずれも、一般に5〜40g/Lのような2〜50g/Lの範囲を含む1〜100g/Lの範囲の量のグルコースで補充される。
【0037】
この発明は、以下の実施例及び図でさらに詳述されるであろう:
図1は、ここで用いられるプラスミドを発現するSNaseの概略図である。フラスコ培養又は発酵槽中のGM17培地で得られる分泌されたSNaseの収率(単位/ml)を右に示す。
図2は、グルコース濃度とpH値が異なる所定の培地における発酵実験から得た最大OD600値を示す: 5.5、■; 6.0、▲; 6.5、●; 及び 7.0、◆。
図3A〜Dは、異なるpH値で発酵した後のLM3−30 培地中のエル.ラクティス株SMBI111(中程度のコピープラスミド、SP310mut2)による成長動態(OD600、◆)とSNase産生(単位/ml、■)を示す。(A) pH 5.5; (B) pH 6.0; (C) pH 6.5; (D) pH 7.0。
【0038】
図4A〜Bは、pH 5.5(■)、6.0(▲)、6.5(●)及び7.0(◆)のLM3−15 培地での成長中(A)及びLM3−30培地での成長中(B)のSMBI111についてのOD600に対するSNase活性を示す。
図5は、pH 6.5のLM3−30培地で発酵後のエル.ラクティスSMBI111由来の培養上清のSDS−PAGE分析を示す。レーン1〜9は、図3Cでヌクレアーゼ活性を分析した培養試料に相当する。10μlの粗培養上清を各レーンに充填した。分子量(キロダルトン)を右に示す。▲は、分泌されたSNaseの位置を示す。
【0039】
図6A〜Cは、乳酸カリウムの添加によるP170の誘導を示す。SMBI111をpH 7.0のLM3−30培地中に成長させた。OD600がほぼ0.7である矢印で示した時点で、水(6A)、200 mM乳酸カリウム(6B)又は200 mM塩化カリウム(6C)を培養物に加えた。OD600を▲として、ヌクレアーゼ活性(単位/ml)を■として示す。
図7A〜Dは、異なるpH値(A) pH 5.5、(B) pH 6.0、(C) 6.5のLM5−5培地における流加培養発酵中のSMBI111によるSNase産生の動態を示す。7A〜7Cで、OD600を▲かつヌクレアーゼ活性(単位/ml)を■として示す。7Dは、異なるpH値: 5.5、■; 6.0、▲; 及び6.5、●のOD600に対するSNase活性を示す。点線は、高いOD600値で散乱が生じることを示している。結果として、幾つかの介在するOD600値をパネルDで省略した。
【0040】
図8は、グルコール濃度が異なり: 50 mM NaClを有するLM1−5中5 g/l; LM3−15中15 g/l; LM3−30中30 g/l; 及び流加培養中に徐々に加えられる70 g/l以上、かつpH値が異なる所定の培地での発酵によるSMBI111から得られるSNaseの最終収率を示す: 7.0、白色棒; 6.5、点線棒; 6.0、縞の棒;及び5.5、黒色棒。
図9A〜Bは、pH 6.5のLM5−5培地におけるSMBI104株(高−コピープラスミド、SP310mut2)の流加培養発酵を示す。(A)成長動態(OD600、 ▲)及びSNase産生(単位/ml、■)。(B)流加培養発酵後のSMBI104の培養上清のSDS−PAGE分析。レーン1〜9は、図9Aでヌクレアーゼ活性を分析した培養試料に相当する。粗培養上清10μlを各レーンに充填した。分子量(キロダルトン)を右に示す。▲は、分泌されたSNaseの位置を示す。
【0041】
図10は、pH制御単位に応じて水酸化カリウムと培地を発酵槽に同時に添加した フォキソスタット(phauxostat)におけるpH6.5でのAMJ627のLM5−50培地中での培養を示す。実験中、発酵槽に添加するベースと培地の量の比を異なる値に設定した。バーは、添加した全容量(ベース+培地)リットル当たりの水酸化物のモル数として算出される、異なる比に起因する入口の緩衝能を示す。培養物中の乳酸塩濃度を▲で示し、希釈率を■として示す。OD600と SNase活性(単位/mL)は、それぞれ◆と●として示す。
【0042】
図11は、同時に開始した回分培養(□)に比較した2つの異なる培地添加速度(△: 0.14 L/h及び○: 0.07L/h) でのSMBI111の短期ケモスタット培養中のOD600 (黒塗り(filled)記号)とSNase活性(白抜き(open)記号)を示す。全ての場合にLM5−50培地、pH 6.5を用いた。及び
図12は、新鮮な培地を連続的に加え、ろ液を除去しながらの、pH 6.5のLM5−50培地におけるSMBI111の培養中のOD600(黒塗り◇)とSNase活性(白抜き◇)を示すが、細胞を培養容器に再利用した。同時に開始した回分培養の結果を比較して示す(□)。
【0043】
実施例
材料と方法
細菌株、プラスミド及び成長条件
この研究で用いた株とプラスミドを表4に挙げる。
大腸菌株DH10B (Grantら、1990)を、適当な時にエリスロマイシン200 μg/mlを補充した LB培地中で37℃で成長させた。ラクトコッカス・ラクティス株 MG1363 (Gasson, 1983)を、必要であれば、エリスロマイシン1μg/mlを補充した GM17培地(5g/L グルコースを有する1.5 x M17)に30℃で常套的に成長させた。全てのフラスコと発酵槽の実験を30℃で行った。
P170プロモーターの誘導を避けるために、前培養物をArgM17 培地(Madsenら、1999)中で成長させ、0.5〜1.0のOD600で回収した。細胞を洗浄し、pH6.8の冷20mMリン酸カリウム緩衝液で20倍に濃縮した。懸濁液のアリコート1 mlを−70℃でグリセロールとともに凍結し(35%最終濃度)、発酵槽培地1Lの接種に用いた。
【0044】
【表4】
【0045】
発酵に用いた所定の基礎培地、LM1は、JensenとHammer (1993)によって開発されるSA培地に由来した。この後者の培地は、以下の組成を有する(mM又は培地中での有無):
【0046】
【表5】
【0047】
a Neidhardtら、J. Bacteriol. 119:736−747から
b ビタミン: 0.4μMビオチン、10μMピリドキサル−HCl、2.3μM葉酸、2.6μMリボフラビン、8μMナイアシンアミド、3μMチアミン−HCl及び2μMパントテン酸塩
c 微量栄養素: 0.003μM (NH4)6(MO7)24、0.4μM H3BO4、0.03μM CoCl2、0.01μM CuSO4、0.08μM MnCl2及び0.01μM ZnSO4
【0048】
SA培地と比較して、NaCl、NH4Cl、トリシン(tricine)とMOPSをLM1培地中で除き、リン酸塩(K2HPO4とKH2PO4)の濃度を10 mM に(緩衝ストック溶液のpH 7から)上げ、0.1 mMクエン酸を加えて鉄塩の沈降を妨げた。LM3及びLM5と称される培地で、リン酸塩緩衝液と酢酸ナトリウムを除く全成分をそれぞれ3倍と5倍に増した。培地の名称の最終的な案は、g/Lでのグルコース濃度を示す(例えばLM1−5は5 g/Lグルコースを含む)。HClを用いてpHを調整し、発酵中に2 M又は5 MのKOHを自動的に加え、pHを維持した。全容量2Lのアプリコン(Applikon)ディッシュの底ガラス容器を1Lの培養に用いた。攪拌速度は、300rpmであった。
【0049】
クローニング法、形質転換、PCR及びDNAシーケンシング
PCR増幅とDNAシーケンシングを含むDNA操作は、標準的な手法(Sambrookら、1989)にしたがって行った。大腸菌由来のプラスミドDNAをJet Prepカラム(Genomed)を用いて単離した。Holo及びNes (1989)によって記載されるように、エル.ラクティスをエレクトロポレーションで形質転換した。
【0050】
pH及び成長期制御遺伝子発現及び分泌のためのプラスミドの構築
エル.ラクティスについてのpH及び成長期制御分泌ベクターは、WO 98/10079 とMadsenら(1999)に開示され、ブタペスト条約の下、受託番号DSM 11137で寄託されるプラスミドpAMJ586のP170プロモーター誘導体をUsp45シグナル配列(van Asseldonkら、1990)と組み合わせて構築した。プラスミドpAMJ586をBamHIとSalIで消化し、lacLMレポーター遺伝子を、lacLM リボソーム結合部位(Israelsenら、1995)、Usp45シグナルペプチド及びBglII、PstI及びSalI制限部位からなるイン−フレームのマルチクローニング部位を含む158 bpのDNAフラグメントで置換した。PstI部位は、シグナル配列中のPstI部位の位置のためにユニークではない。この158 bpのDNAフラグメントは、鋳型としてのpNZ1020(Usp45シグナルペプチドを有するプラスミド)及びUspプライマー1 (5’ TAG TAG GAT CCC GGG TCT AGA TTA GGG TAA CTT TGA AAG GAT ATT CCT CAT GAA AAA AAA GAT TAT CTC AGC 3’) (SEQ ID NO: 2) 及びUspプライマー2 (5’ ACG CGT CGA CCT GCA GAG ATC TTG TGT CAG CGT AAA CAC C 3’) (SEQ ID NO: 3)のプライマーを用いてPCRにより合成した。PCR産物をBamHIとSalIで消化し、同じ酵素で予め消化したpAMJ586に連結し、pSMA610を得た。
【0051】
pSMA610は、マルチクローニング部位の後に転写ターミネーターを含まない。したがって、大腸菌の転写ターミネーター、rrnCtt’ (Albrechtsenら、1990)を、鋳型としてのpHBA102 (Albrechtsenら、1990)及びプライマーTer 1 (5’ TAG TAG TCG ACA ACC GGG TGT TGG GAG 3’) (SEQ ID NO: 4) とrrnctt XhoI (5’ GGC CGC TCG AGG GCG CAA AAT AGC GAT 3’) (SEQ ID NO: 5)を用いてPCR増幅した。フラグメントをXhoIとSalIで消化し、pSMA610のSalI部位に挿入した。得られたベクターを、pAMJ219と称した。
【0052】
高コピー数のP170−ベースの発現ベクター、pAMJ325を、高コピーベクターpTRKH4 (O’Sullivan及びKlaenhammer, 1993a)に、pAMJ752由来の強力なP170プロモーター(Madsenら、1999)、lacLMリボソーム結合部位及び新たなマルチクローニング部位を含むPCRフラグメントを挿入して構築した。プラスミドpTRKH4をXbaIで消化し、次いでクレノウフラグメントで平滑末端化した。PCRフラグメントを、鋳型としてのpAMJ752及びpAK80rev2 (5’ CCC ATT TAG CCG TCA TTT CAG 3’) (SEQ ID NO: 6) とLBEp041 (5’ GTC GAC CTG CAG ACT AGT GAT ATC AGA TCT AGC CAT GGG GAA TAT CCT TTC AAA GTT 3’) (SEQ ID NO: 7)のプライマーを用いて増幅により得た。PCRフラグメントをクレノウ処理したpTRKH4に平滑末端で連結し、pAMJ325を得た。大腸菌の転写ターミネーター、rrnCtt’を、鋳型としてのpAMJ219及び上記のTer 1 ならびにrrnctt XhoIのプライマーを用いてPCR増幅後にpAMJ325に挿入した。得られた高−コピー数発現ベクターを、pAMJ328と称した。pAMJ325とpAMJ328は、分泌シグナルをエンコードする遺伝子を含まない。
【0053】
スタフィロコッカス・アウレウスのヌクレアーゼの発現ベクターへのクローニング
スタフィロコッカス・アウレウスのヌクレアーゼ(SNase)を分泌する発現ベクターの適正を評価するため、シグナルペプチドをエンコードする遺伝子を欠くNucB遺伝子(Davisら、1977; Le Loirら、1994)を、2つのプライマーNuc1 (5’ GGA AGA TCT TCA CAA ACA GAT AAC GGC 3’) (SEQ ID NO: 8) 及びNuc2 (5’ ACG CGT CGA CGA ATT CGA TCT AAA AAT TAT AAA AGT GCC 3’) (SEQ ID NO: 9)を用いてPCR増幅した。プライマーの下線配列は、それぞれBglII及びSalI制限部位を示す。これらのプライマーを設計して、翻訳停止コドンの直後に168個のC−末端アミノ酸のコード配列と63 bpを含む567 bpのDNAフラグメントをPCR増幅させた。871 bpのEcoRIフラグメントに全SNase遺伝子を含むプラスミドpBS::nuc (Le Loirら、1994)を、プライマーNuc1及びNuc2とともにPCR反応で鋳型として用いた。増幅したフラグメントを、次いでBglIIとSalIで消化し、pSMA610に挿入して、Usp45シグナルペプチドへのnucB遺伝子の翻訳融合体を生じた。得られたプラスミドをpAMJ166と命名した。
【0054】
最近の別の研究では、シグナルペプチドプローブベクターpΔSPNucを開発し、これを用いてラクトコッカス・ラクティス由来の新規な分泌シグナルを分析した(Ravnら、2000)。SP310の最適化されたシグナルペプチド誘導体、配列MKFNKKRVAIATFIALIFVSFFTISSQDAQAAERS (SEQ ID NO: 1)を有するSP310mut2をpΔSPNucに挿入し、プラスミド p310mut2を得た。
【0055】
最大レベルのヌクレアーゼ分泌を研究するため、pAMJ752に位置する最も強力なP170誘導体(Madsenら、1999)をUsp45及び最適化されたSP310mut2シグナルペプチドそれぞれと組み合わせた。これらの構築のため、pAMJ166とp310mut2をBamHIとSalIで消化し、シグナルペプチドをエンコードする遺伝子とヌクレアーゼ遺伝子を含む900 bpのフラグメントを精製し、P170プロモーター、エリスロマイシン耐性遺伝子及びクエン酸塩プラスミドレプリコン(Israelsenら、1995)を含むpAMJ752のBamHI−SalIフラグメントに連結し、プラスミドpSMBI93とpSMBI109それぞれを生じた。pSMBI93とpSMBI109をエル.ラクティスに形質転換し、株SMBI105とSMBI111を得た。
【0056】
ヌクレアーゼ分泌に対する高コピー数の影響を研究するため、pAMJ328ベースの2つのヌクレアーゼ発現プラスミドを構築した。同様にして消化したpAMJ328にp310mut2由来の900 bpのBamHI−SalIフラグメントとpAMJ166を挿入して、pSMBI91とpSMBI98を構築した。エル.ラクティスへのpSMBI91とpSMBI98の形質転換により、株SMBI104とSMBI106を得た。
【0057】
ヌクレアーゼ活性測定
培養上清のヌクレアーゼ活性を、基質として超音波処理したサケのDNAと共にインキュベートし、次いで氷冷過塩素酸に沈降させ、次いで260 nm (A260)で吸光度を測定して決定した。適当な希釈液の試料10μlをアッセイ緩衝液(1 mg/ml DNA、0.1 mg/mlウシ血清アルブミン、10 mM CaCl2、25 mM Tris−HCl pH 8,8) 500μlに加え、37℃でインキュベートした。30分後、氷冷4% (w/v)過塩素酸500μlを加えた。大きなDNAフラグメントを0℃で15〜30分沈降させ、最後に遠心分離により酸可溶性分解産物から分離した。上清でA260を測定した。各試料について「ゼロ時」に相当する A260を得るため、アッセイ緩衝液500μlを500μlの4% PCAと0℃で混合し、適当な希釈液試料10μl (希釈緩衝液: 0.1 mg/ml ウシ血清アルブミン、10 mM CaCl2、25 mM Tris−HCl pH 8,8)を加え、上記のように沈降させた。ヌクレアーゼ1単位を、天然のDNAから酸可溶性ポリヌクレオチド1μmolを1分当たりに生じるヌクレアーゼ量として定義する。試料ml当たりの SNase活性単位は、式
【数1】
[10は、混合ヌクレオチドに対する260nmでのミリモルの吸光度係数であり、1.01は最終容量mlである]によってA260から得られる。適当な範囲でΔA260を得るため、アッセイを行う前に、高活性試料を0.06〜0.12単位/mlに希釈した。
【0058】
タンパク質の特徴づけとSDS−PAGE
製造者の指示にしたがって、SDS−トリス−グリシン緩衝液中の12% ポリアクリルアミドゲル(NOVEX, San Diego, CA, US)で分離することにより、培養上清を分析した。製造者の指示に従って、ゲルをクマシーブリリアントブルーR250 (Merck KGaA, 64261 Darmstadt, Germany)で染色した。分子量マーカーMark12TM (NOVEX, San Diego, CA, US)を分子量の大きさの評価に用いた。
【0059】
中程度のコピー数プラスミド及び高コピー数プラスミドの細胞当たりの相対的なコピー数の粗決定
培養物を、30℃で一晩GM17培地(5g/Lグルコースを有する1.5xM17)で成長させた。一晩の培養物を新鮮な培地で20倍に希釈し、プラスミド抽出用に試料10 mlを細胞の成長中に回収した。プラスミド DNAを、O’SullivanとKlaenhammer (1993b)のプロトコルにしたがって、等量の細胞から抽出した。各プラスミドを50μlのTris−EDTA緩衝液に溶解し、SalIで消化した後、アガロースゲルの電気泳動により分析した。
【0060】
実施例1
栄養リッチな培地を用いるフラスコ培養と発酵槽培養におけるエス.アウレウスのヌクレアーゼの分泌
1.1. フラスコ培養
プラスミドpSMBI91、pSMBI93、pSMBI98及びpSMBI109を発現する4つのヌクレアーゼそれぞれをエル.ラクティスMG1363に形質転換し、GM17培地中フラスコで一晩成長させた後にヌクレアーゼ活性を測定した。結果を図1に要約する。
【0061】
pAK80骨格に基づく中程度のコピー数ベクターを用いて、Usp45シグナルペプチドの使用により、SP310mut2シグナルペプチドの使用に対して収率が約18%高い分泌ヌクレアーゼを得た。この違いは、高コピー数ベクターpTRKH4を発現に用いる際には、約23%とわずかに高い。 高コピーベクターの使用により、中程度のコピーベクターに対して力価が2.5〜3である分泌SNaseの収率が増した。この増加は、アガロースゲル電気泳動によって決定されたように(データ示さず)、pAK80に対し4倍高いコピー数のpTRKH4に一致している。このことは、高コピー数プラスミドの使用が、分泌系の飽和をもたらさないことを示している。これらの結果は、プラスミドのコピー数と分泌SNaseの収率との正の相関関係を立証したLangellaとLe Loir (1999)によって行われた研究と一致している。
【0062】
1.2. 発酵槽培養
P170を細胞内に位置するβ−ガラクトシダーゼの生産の駆動に用いた先の実験(Israelsenら、1995)で、同一培地でのフラスコ培養に対して5倍の高い収率が、発酵槽中での低いpH5.5での培養によって得られた。この収率増加は、乳酸の生産のためにpHが徐々に低下し、成長のごく最後にのみ5.7〜5.8に達するフラスコ培養に比較して、長期間にわたって活性なP170プロモーターの単なる結果であると思われる。
【0063】
制御された−pH発酵の使用が分泌産物の生産レベルをも改善するかどうかを研究するため、発酵槽中でpH5.5のGM17培地で成長させた4つのヌクレアーゼ発現株から得たヌクレアーゼの収率を測定し、分析した。遺伝子発現誘導の動態を追跡するため、試料を異なるOD600値で採取し、ヌクレアーゼ活性に対して分析した。β−ガラクトシターゼを用いる同様の研究から予想されるように、ヌクレアーゼの顕著な成長期−依存性生産が、4つの試験株全てで観察された(データ示さず)。4つの株全てについて、最大分泌レベルは、上記のフラスコ培養実験に対して発酵槽実験で約3〜4倍高かった(図1)。また、SNase分泌に対するUsp45の使用は、SP310mut2の使用に比較してわずかに効率的であった(〜12−17 %)。最大収率は、Usp45シグナルペプチドと組合わせた高コピー数ベクターを用いて分泌SNaseについて約10単位/mlであった。
【0064】
実施例2
回分発酵を用いる合成培地におけるSNaseのpH及び成長期依存性発現
定常期へ移行中の低pHでのP170プロモーターからの発現の誘導は、栄養リッチなGM17培地で以前に立証されている(Israelsenら、1995; Madsenら、1999)。このリッチな培地は、医薬品生産での大多数の適用に許容されないであろう。というのは、成分の幾つかが動物ウイルス、プリオン又はアレルギー性因子の潜在的な原因であるからである。したがって、プロモーターの制御がGM17又は別のリッチな培地の使用に依存している場合には、P170発現系の適用範囲が厳密に制限されるであろう。この実験は、異種タンパク質の有効な発現が、合成、つまり所定の培地中で制御可能なP170発現系を用いて達成できるかどうかを決定することを目的とした。
【0065】
合成培地中でのP170からのSNaseの制御された発現と分泌についての第一試験として、株SMBI111を、JensenとHammer(1993、上記参照)に記載されるSA培地ベースの合成培地LM1−5で培養した。LM1−5 培地は、GM17と同一のグルコース濃度、つまり5 g/Lを含み、50 mM NaClを加えて低溶質濃度を補償した。pH 5.5、6.0、6.5及び7.0それぞれで同時に4個の発酵槽培養物を成長させた。指数期から定常期まで間隔をあけて採取した培養試料の上清をヌクレアーゼ活性についてアッセイした。ヌクレアーゼ生産は、pH 5.5で0.81単位/ml、pH 6.0で0.15単位/mlに達し、pH 6.5と7.0に維持した2つの発酵槽中ではそれぞれ0.05単位/ml未満のままであった。
これらの結果は、pH調節が所定の培地で維持されることを明らかに立証した。さらに、定常期への移行中に生じたヌクレアーゼ発現は、所定の複雑な培地中におけるP170プロモーターの同一の制御パターンを確証している(データ示さず)。
【0066】
また、結果は、生産収率が、GM17培地を用いて達成された収率より約4倍低い(0.81単位/ml対 3.11単位/ml、図1参照)が、最大ODはわずか25%低いことを示した。定常期への移行に伴う生理学的な代謝事象は、所定のLM1−5とGM17で異なることが予想される。LM1−5培養では、最大ODに達し、酸の生産が停止してからわずか3時間の分離された指数増殖は、グルコースが消費されたことを示している。ごくわずかな量のヌクレアーゼが、成長停止後に生じた。GM17では、ヌクレアーゼの生産は、 成長と酸の生産の終了から少なくとも4時間を含む6時間のあいだに生じた。したがって、リッチな培地が、グルコースの涸渇後にタンパク質の合成を支持できる代替的な炭素源とエネルギー源を提供しているものと考えられる。
【0067】
この実験から、GM17のような栄養がリッチで複雑な培地にみられるpHと成長に依存した発現系の制御パターンは、合成培地又は所定の培地に維持されることが結論付けられる。しかし、異種遺伝子産物の収率は、リッチな培地を用いて達成される収率よりも所定の培地で著しく低かった。
【0068】
実施例3
回分発酵を用いる基質濃度の高い所定の培地におけるP170発現系の生産性と動態
この実験では、培地の成分量を増すことによりSNaseの収率を改善することを試みた。2セットの発酵槽実験を行い、基礎培地LM3、つまりLM3−15とLM3−30(上記参照)中でグルコース濃度をそれぞれ15 g/Lと30 g/Lに上げた。株SMBI111を、それぞれpH 5.5、 6.0、6.5及び7.0のこれらの培地中に成長させた。図2に例示するように、最終的な細胞密度はグルコース濃度に比例して増加しなかった。直線的な関係の欠失は、低いpH値で最も顕著であった。これは、利用可能な炭素源が消費される前に乳酸又は他の代謝産物によって成長がしばしば阻害される乳酸菌には周知の現象である(Kashket, 1987; Loubierer、1997)。 乳酸の阻害作用は、細胞膜を介する分離していない酸の拡散能力に関連していると思われ、細胞質の酸性化と膜の潜在的な非結合を引き起こす。作用は、全体的な乳酸/乳酸塩の大きな画分が非分離形態で存在する低いpH値ではかなり深刻になる。したがって、グルコース濃度の増加は、pHに依存して、あるレベルまで高収率のバイオマスを生じるにすぎないであろう(図2)。
【0069】
したがって、P170プロモーターを用いてSNaseのような異種タンパク質の生産を改善するためには、高いpHを要する高収率のバイオマスと6.0未満のpHで最適であるべきであるP170プロモーターの高活性とにバランスが必要である。しかし、興味深いことに、より濃縮された培地LM3−30ではpH 6.0と6.5でもSNaseは生産されたが、SNase発現はpH 7.0で依然として抑制された(図3A〜D)。成長期の依存性は、pH 5.5、6.0及び6.5で明らかに観察された(図4A〜B)。また、P170が誘導される細胞密度は高いpH値では高度であることが観察された。グルコース濃度が十分に増加すれば、SNaseはpH 7.0で生じることすら予想される。
【0070】
pH 6.5のLM3−30 培地における SNaseの生産は、SDS−PAGEで分析した(図5)。SNaseの22 kDaのタンパク質のバンドが、定常期への移行後に明らかに検出された(図5、レーン5)。上清は、ごく少量の他のタンパク質を含むと思われる。
これらの実験の結果は、5 g/L (実施例2参照)〜15 g/Lの所定中でのグルコース濃度の増加は、遺伝子産物の収率を著しく増すことも示した。また、さらなるグルコース濃度の増加、つまりLM3培地中での15から30 g/Lへの増加は、pH 6.0〜6.5でSNaseの収率を3.7〜12倍にそれぞれ増すことが観察された。
【0071】
実施例4
乳酸カリウムの添加によるP170発現系におけるSNase産生の回分発酵法における誘導
図3及び4に示す結果は、乳酸がP170を誘導し得ることを示唆した。乳酸濃度は、培養物中の細胞密度に強く相関している。細胞成長とP170誘導に対する乳酸塩の阻害作用は、ともにpHに依存している。pH 7.0に維持して、LM3−30培地で3つの同時発酵を行った。OD600 0.7〜0.8では、乳酸カリウム(pH 7.0)又は塩化カリウムを、200 mMの最終濃度まで加えた。この乳酸塩濃度は、LM3−30培地では通常OD600 7で達するであろう。双方の塩の添加はわずかに成長速度を減じたが、乳酸カリウムの添加のみがSNase産生を誘導した(図6A〜C)。これは、エル.ラクティスにおけるP170活性が乳酸塩によって誘導されることを示している。実際上の観点から、乳酸塩の添加は、他の点ではP170プロモーターの活性に最適ではない条件下で発現の誘導に用いられ得る。
【0072】
実施例 5
流加培養発酵法を用いて利用可能な基質のレベルを増すことによる、P170発現系における遺伝子産物収率のさらなる増加
実施例3に示すように、pH 6.0〜6.5でのSNase収率は、回分発酵法でLM3培地中のグルコース濃度を15から30 g/Lに増すことによって、3.7〜12倍にそれぞれ増した。
【0073】
より高いグルコース濃度の使用を含むため、さらなる最適化が期待される。P170発現系ベースの他の株構築物を用いる回分発酵実験では、50〜80 g/Lまでのグルコースの濃度増加が遺伝子産物の収率を増すことは以前に観察された。しかし、発酵時間も、おそらくは浸透圧によって成長が遅くなったために延長された(データ示さず)。これを避けるために、グルコースの段階添加用の流加培養発酵系を設定した。濃縮グルコース溶液(500 g/L)の添加用ポンプを、発酵槽のpHコントローラーのベースポンプの出力に接続した。この設定では、pH制御用のKOHを加えながらグルコースが同時に添加される。グルコースの供給により培養物中の酸の産生が比例し、細胞密度と基質の要求に厳密に相関していた。他の培養成分(酢酸塩とリン酸塩除く)の濃度は、高い細胞密度での栄養の涸渇を妨げるためにLM1に比較して5倍に増した。グルコースの初期濃度は、5g/L (LM5−5培地)であった。
【0074】
SMBI111を、pH 5.5、6.0及び6.5にそれぞれ調整したLM5−5培地を含む3つの発酵槽に接種した。酸の生産でpHが低下する時にグルコースの添加を開始し、積極的な成長中、添加速度を増した。全培養物中で、最大ODに達した後、酸の生産とグルコースの添加が続いた。SNaseの全収率の大部分が、この段階で生産された(図7A〜D)。各pHで、SNaseの全収率は、回分発酵に比較して改善された。異なる培地中で異なるpH値での最終的なSnase収率を、図8に要約する。最低pH値は低グルコース濃度でSNaseの産生に最適であったこと、及びこのパターンはグルコース濃度が増すにつれて徐々に変化したことが、明らかに示されている。これらの流加培養発酵では、最高のSNase収率、つまり33.1単位/mlは、pH 6.5で得られた。
【0075】
実施例6
P170発現系を含む高コピー数ベクター株でのpH制御流加培養発酵
高コピー数プラスミドpSMBI 91を含む株SMBI104を、株SMBI111(中程度のコピー数プラスミド)中で最高量のSNaseを示した条件、つまりpH 6.5でpH制御グルコース供給を伴うLM5−5培地下の発酵槽中で成長させた(図9A〜B)。達成された最終的な収率は54単位/ml、つまりSMBI111から得た収率(33単位/ml)より64%高く、コピー数の作用がGM17でのこれらの条件下ほど強くないことを示している。発現機序又は分泌系でのボトルネックは、高コピー数プラスミドを流加培養発酵で用いる際の高い収率の欠失に起因していると思われる。図9Bから分かるように、この実験で成長させたLM5−5培地から得られる上清は、宿主タンパク質をごくわずかにのみ含み、きわめて純粋であった。一般的に、異種産物(SNase)の量は上清に存在する全タンパク質の50%を越えた。したがって、わずか1回の又はごく少数の精製工程の使用により、純粋な医薬品グレードの生産物が生じるはずである。
【0076】
流加培養発酵条件下のラクトコッカス・ラクティスでP170発現系を用いるこれらの実験で得られた最大産生能は、培養上清ml当たり分泌SNase 54単位であった。SNaseの比活性の予備測定に基づけば(約550単位/mg)、この活性は分泌されたSNaseの約100 mg/Lに相当する。タンパク質産生についての報告のように、異なる遺伝子発現系の効率を比較するのは異なる遺伝子産物を用いるために難しいだろうか。しかし、最近、LangellaとLe Loir (1999)は、エル.ラクティスにおける分泌研究のため同一のSNaseの使用を記載した。高コピー数ベクターで強力な構成プロモーターと合成プロペプチドを用いて、これらの著者らは、リッチな培地を用いるフラスコ実験で10〜25 mg/Lの分泌SNaseを得た。
【0077】
実施例7
流加培養発酵法におけるP170発現系で得られる遺伝子産物収率のさらなる改善
産生能を潜在的に増す努力において、実験I実施例6に似た別の流加培養実験を行ったが、LM5−5培地を、1〜10 g/Lの量範囲の酵母抽出物で補充した。5 g/L量の酵母抽出物において、分泌SNase の収率は、約225 mg/L SNase に相当する123単位/mlに増した。これは、我々の知る限り、乳酸菌についてこれまでに報告されている分泌異種タンパク質の最高量である。
【0078】
実施例8
連続培養設定の使用による延長生産期
実施例1〜7に記載される回分培養発酵と流加培養発酵において、異種産物の合成を、グルコースの欠失から、又は代謝産物(主に乳酸)の蓄積から最終的に停止する。連続培養の種々の方法を適用して、生産期を延長することができた。3つの異なる方法を30℃かつpH 6.5でLM5−50培地中のSMBI111又は株AMJ 627を用いる短期実験で試験した。最初の2つの実験をフォキソスタット及びケモスタット培養として行った。第三の実験には、細胞のリサイクル発酵、つまりフィルター単位を介した新鮮な培地の一定の流入(inlet)と培養培地の流出(outlet)を用いる一定培養量での培養を含めた。
【0079】
8.1 フォキソスタット−培養
フォキソスタットの設定には、1Lの作動容量発酵槽、10 Lの新鮮なLM5−50培地のレザバーと5モルの水酸化カリウムのレザバーを含めた。ベースと培地の発酵槽への添加用ポンプは、pHコントローラーに応じて同時にスイッチを入れ、切った。第三ポンプを用い、水準管から流出量を排出して発酵容器に一定容量を維持した。培地と緩衝液レザバーを電子バランスで設置し、添加量のモニターに用いた。希釈率は、これらの値から算出した。流入中のベースと培地との割合は、培地添加ポンプの流速を変えて変えることができる。それにより、全添加量L当たりの水酸化カリウムのモル数を制御することができた。この数は、Martinと Hemfling (1976)によるフォキソスタット法の最初の記載における培地の緩衝能BCRに相当している。ラクトコッカス・ラクティスのフォキソスタット培養における乳酸濃度は、同一値に達することが予測される。
【0080】
この実験に用いた株AMJ627は、プラスミドpAMJ166を有するMG1363であった。この株はSMBI111に似ているが、SP310mut2及びAMJ752誘導体の代わりにUsp45シグナルペプチドとP170の AMJ586誘導体を含む。
図10は、BCR、乳酸濃度、希釈率、光学密度及びSNase活性を示す。最初の期の調整後、BCRを0.22モル/Lに設定した。乳酸濃度は 0.20〜0.23モル/Lに増し、SNase活性は20〜30単位/mLに増した。しかし、光学密度と希釈率は、この期のあいだに着実に減少した。おそらくは、成長阻害は乳酸の生産に起因していた。
【0081】
0.22モル/LのBCRでの操作から20時間後、値を0.11モル/Lに再設定した。乳酸濃度が低下し、希釈率が徐々に増した。次の8.5時間中に、わずかに低い値でOD600が安定化され、SNase活性は徐々に8単位/mLまで減少した。BCRを0.18モル/Lに再調整すると、希釈率はすぐに低下したが、次の14時間のあいだ再度増加した。一方、 SNaseレベルはわずかに10単位/mLまで増加した。
全容量10 Lの新鮮な培地を加えた。培地の添加を止めると、培養物が定常期に成長できた。最終的なSNase活性は同一培地での同時の回分培養より高く、27 単位/mLに対し53単位/mLであった。
【0082】
方法はこの実験中に定常状態に達しなかったが、培養物の成長と生産性が、発酵槽に供給される培地と水酸化カリウムとの割合の変化に反応していたことは明らかである。比較的高レベルのSNaseが0.22モル/Lの緩衝能で達せられたが、これらの条件下で成長速度と希釈率は低下していた。緩衝能が最初に0.11モル/Lまで低下し、次いで0.18モル/Lまで再上昇すると、希釈率は高いがSNaseレベルが低かった。最適な緩衝能値は、0.18〜0.22モル/Lの可能性がある。
【0083】
8.2 ケモスタットでの培養
SMBI111を、3M水酸化カリウムの添加によりpHを6.5に維持した31Lの発酵槽で成長させた。約5のOD600値で、2つの発酵槽への培地添加を異なる速度0.07及び0.14 L/hで開始した。容量は、水準管から培養物を排出するポンプにより一定に維持した。
【0084】
培養物中の光学密度とSNase活性を、図11に示す。回分培養は9.9の最大OD600に14時間以内で達し、16時間で酸の産生を止めた。SNase活性は、発酵終了時に17単位/mLであった。2つの連続的な発酵を16〜17時間以上行い、それぞれ1.65 Lと3.0 Lの全体的な培地処理量を得た。最大光学密度は、双方の場合とも回分培養より低く、後のODの低下から、特異的な成長速度が希釈率より低いことが示された(図11)。しかし、最大ODが達せられてから少なくとも6時間のあいだSNaseレベルが増しつづけ、10時間後に培地の添加を止めた時のみ10〜20%まで低下した。発酵槽培養物と出口から回収した培養物における全体的なヌクレアーゼ活性を以下の表に示す(幾つかの追加生産は、回収した培養物中で生じ得る)。
【0085】
【表6】
【0086】
双方の連続発酵によって、SNaseの全体収率が回分培養より高くなった。最高希釈率では、培地L当たりの収率が、回分培養よりも低かった。しかし、発酵の容易さにおける作業時間の損害を培地の損害に比較すると、連続法は、培地調整と装置の清浄化ならびに滅菌のための中断時間で分離される一連の回分法に比較して依然として有利であろう。
いずれの場合にも、細胞密度は最初の14〜15時間後に低下し、生産性は32時間後に低下した。これは、おそらくは培養物に生産される乳酸菌からの阻害によって生じた。高い密度で生産を安定にするには、流入培地のグルコース濃度を乳酸があまり産生されない値に低減する必要があるであろう。
【0087】
8.3 細胞をリサイクルする培養及び培地の連続置換
上記のケモスタットの実験では、生産能は、容器からの培養物の連続除去により低下した。これは、細胞を容器にリサイクルして回避された。
接線流量ろ過装置(Vivaflow 50, 0.2μm, Vivascience)を、シリコンチューブを介して1Lの発酵槽に接続した。SMBI111を発酵槽中のpH 6.5のLM5−50培地で成長させた。約5の光学密度で、新鮮なLM5−50培地の培養物への添加を0.13 L/hの速度で開始した。同時に、培養物から培地の接線流量ろ過を開始した。発酵槽に再循環された非透過ガス(retentate)の流量は40〜45 mL/minであり、約2 mL/minのろ過速度が調整されて、培養量が一定に保たれた。
【0088】
全容量3 Lの培地を24時間以内に培養物に供給した。この時間中、光学密度は19.8に増し、SNase活性は41単位/mLに増した(図12)。全体的なSNase収率は、回収ろ液中の71,000 単位を含む112,000単位であった。
この場合、生産細胞が培養物から損失されず、最終的にろ過が高い細胞密度によって阻害されるか、生理学的な制限がさらなる成長とSNase産生を妨げるまで、方法を続けることができる。生産性のさらなる改善は、培養pH、基質濃度及び流速の最適化で達成され得る。
【0089】
参考文献
Albrechtsen B, Squires CL, Li S 及びSquires C (1990) Antitermination of characterized transcriptional terminators by the Escherichia coli rrnG leader region. J Mol. Biol. 213:123−134.
Davis A, Moore IB, Parker DS 及び Taniuchi H (1977). Nuclease B. A possible precursor of nuclease A, an extracellular nuclease of Staphylococcus aureus. J. Biol. Chem. 252:6544−6553.
de Ruyter PG, Kuipers OP 及びde Vos WM (1996). Controlled gene expression systems for Lactococcus lactis with the food−grade inducer nisin. Appl. Environ. Microbiol. 62:3662−3667.
Djordjevic GM 及びKlaenhammer TR (1998). Inducible gene expression systems in Lactococcus lactis. Mol. Biotechnol. 9:127−139.
Gasson MJ (1983) Plasmid complements of Streptococcus lactis NCDO712 and other lactic acid streptococci after protoplast−induced curing. J. Bacteriol. 154:1−9.
Grant SG, Jesse J, Bloom FR 及びanahan D (1990). Differential plasmid rescue from transgenic mouse DNAs into Escherichia coli methylation−restriction mutants. Proc. Natl. Acad. Sci USA 87:4645−4649.
Holo H 及びNess IF (1989). High−Frequency Transformation, by Electroporation, of Lactococcus lactis subsp. cremoris Grown with Glycine in Osmolytically Stabilized Media.Appl. Environ. Microbiol 55:3119−3123.
Israelsen H及びHansen EB (1993). Insertion of Transposon Tn917 Derivatives into the Lactococcus lactis subsp. lactis Chromosome. Appl. Environ. Microbiol. 59:21−26.
Israelsen H, Maden SM, Vrang A, Hansen EB 及びJohansen E (1995). Cloning and partial characterization of regulated promoters from Lactococcus lactis Tn917−lacZ integrants with the new promoter probe, pAK80. Appl. Environ. Microbiol 61:2540−2547.
Jensen PR及びHammer K (1993). Minimal Requirements for Exponential Growth of Lactococcus lactis. Appl. Environ. Microbiol. 59:4363−4366.
Kashket ER (1987). Bioenergetics of lactic acid bacteria: cytoplasmatic pH and osmotolerance. FEMS Microbiol. Lett. 46:233−244.
Kok J (1996). Inducible gene expression and environmentally regulated genes in lactic acid bacteria. Antonie van Leeuwenhook 70:129−145.
Kuipers OP, de Ruyter PG, Kleerebezem M 及びde Vos WM (1997). Controlled overpro−
duction of proteins by lactic acid bacteria. Trends Biotechnol. 15:135−140.
Langella P 及びLe Loir Y (1999). Heterologous protein secretion in Lactococcus lactis: a novel antigen delivery system. Braz. J. Med. Biol. Res. 32:191−198.
Le Loir Y, Gruss A, Ehrlich SD 及びLangella P (1994). Direct screening of recombinants in gram−positive bacteria using the secreted staphylococcal nuclease as a reporter. J. Bacteriol. 178:4333.
Le Loir Y, Gruss A, Ehrlich SD 及び Langella P (1998). A nine−residue synthetic propeptide enhances secretion efficiency of heterologous proteins in Lactococcus lactis. J. Bacteriol.
180:1895−1903.
Loubiere P, Cocaign−Bousquet M, Matos J, Goma G 及び Lindley ND (1997). Influence of end−products inhibition and nutrient limitations on the growth of Lactococcus lactis subsp. lactis. J. Appl. Microbiol. 82:95−100.
Madsen SM, Arnau J, Vrang A, Givskov M及び Israelsen H (1999). Molecular characterization of the pH−inducible and growth phase−dependent promoter P170 of Lactococcus lactis. Mol. Microbiol. 32:75−87.
Martin, G:A. 及びHempfling, W.P. (1976). A method for the regulation of microbial population density during continuous culture at high growth rates. Arch. Microbiol. 107:41−47.
Nauta A, van Sinderen D, Karsens H, Smit E, Venema G 及びKok J (1997). Design of thermolabile bacteriophage repressor mutants by comparative molecular modeling. Nat. Biotechnol. 15:980−983.
O’Sullivan DJ 及び Klaenhammer TR (1993a). High− and low−copy−number Lactoccus shuttle cloning vectors with features for clone screening. Gene 137:227−231.
O’Sullivan DJ 及び Klaenhammer TR (1993b) Rapid Mini−Prep Isolation of High−Quality Plasmid DNA from Lactococcus and Lactobacillus spp. Appl. Environ. Microbiol. 59:2730−2733.
O’Sullivan DJ, Walker SA, West SG 及び Klaenhammer TR (1996). Development of an expression strategy using a lytic phage to trigger explosive plasmid amplification and gene expression. Biotechnology (N.Y.) 14:82−87.
Poquet I, Ehrlich SD及びGruss A (1998). An export−specific reporter designed for grampositive bacteria: application to Lactococcus lactis. J. Bacteriol. 180:1904−1912.
Ravn P, Arnau J, Madsen SM, Vrang A 及びIsraelsen H (2000). The development of TnNuc and its use for the isolation of novel secretion signals in Lactococcus lactis. Gene 242:347−356.
Sambrook J, Fritsch EF 及びManiatis T (1989). Molecular cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory.
Sanders JW, Venema G, Kok J 及びLeenhouts K (1998). Identification of a sodium chloride−regulated promoter in Lactococcus lactis by single−copy chromosomal fusion with a reporter gene. Mol. Gen. Genet. 257:681−685.
van Asseldonk M, Rutten G, Oteman, M, Siezen RJ, de Vos WM 及びSimons G (1990). Gene 95:155−160.
van Asseldonk M, Simons A, Visser H, de Vos WM 及び Simons G (1993). Cloning, nucleotide sequence, and regulatory analysis of the Lactococcus lactis dnaJ gene. J. Bacteriol. 175:1637−1644.
van der Vossen JM, van der Lelie D 及びVenema G (1987). Isolation and characterization of Streptococcus cremoris Wg2−specific promoters. Appl. Environ. Microbiol. 53:2452−2457.
Walker SA 及びKlaenhammer TR (1998). Molecular characterization of a phage−inducible middle promoter and its transcriptional activator from the lactococcal bacteriophage phi31. J. Bacteriol. 180:921−931.
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、ここで用いられるプラスミドを発現するSNaseの概略図である。フラスコ培養又は発酵槽中のGM17培地で得られる分泌されたSNaseの収率(単位/ml)を右に示す。
【図2】
図2は、グルコース濃度とpH値が異なる所定の培地における発酵実験から得た最大OD600値を示す: 5.5、■; 6.0、▲; 6.5、●; 及び 7.0、◆。
【図3】
図3A〜Dは、異なるpH値で発酵した後のLM3−30 培地中のエル.ラクティス株SMBI111(中程度のコピープラスミド、SP310mut2)による成長動態(OD600、◆)とSNase産生(単位/ml、■)を示す。(A) pH 5.5; (B) pH 6.0; (C) pH 6.5; (D) pH 7.0。
【図4A〜B】
図4A〜Bは、pH 5.5(■)、6.0(▲)、6.5(●)及び7.0(◆)のLM3−15 培地での成長中(A)及びLM3−30培地での成長中(B)のSMBI111についてのOD600に対するSNase活性を示す。
【図5】
図5は、pH 6.5のLM3−30培地で発酵後のエル.ラクティスSMBI111由来の培養上清のSDS−PAGE分析を示す。レーン1〜9は、図3Cでヌクレアーゼ活性を分析した培養試料に相当する。10μlの粗培養上清を各レーンに充填した。分子量(キロダルトン)を右に示す。▲は、分泌されたSNaseの位置を示す。
【図6A〜C】
図6A〜Cは、乳酸カリウムの添加によるP170の誘導を示す。SMBI111をpH 7.0のLM3−30培地中に成長させた。OD600がほぼ0.7である矢印で示した時点で、水(6A)、200 mM乳酸カリウム(6B)又は200 mM塩化カリウム(6C)を培養物に加えた。OD600を▲として、ヌクレアーゼ活性(単位/ml)を■として示す。
【図7A〜D】
図7A〜Dは、異なるpH値(A) pH 5.5、(B) pH 6.0、(C) 6.5のLM5−5培地における流加培養発酵中のSMBI111によるSNase産生の動態を示す。7A〜7Cで、OD600を▲かつヌクレアーゼ活性(単位/ml)を■として示す。7Dは、異なるpH値: 5.5、■; 6.0、▲; 及び6.5、●のOD600に対するSNase活性を示す。点線は、高いOD600値で散乱が生じることを示している。結果として、幾つかの介在するOD600値をパネルDで省略した。
【図8】
図8は、グルコール濃度が異なり: 50 mM NaClを有するLM1−5中5 g/l; LM3−15中15 g/l; LM3−30中30 g/l; 及び流加培養中に徐々に加えられる70 g/l以上、かつpH値が異なる所定の培地での発酵によるSMBI111から得られるSNaseの最終収率を示す: 7.0、白色棒; 6.5、点線棒; 6.0、縞の棒;及び5.5、黒色棒。
【図9A〜B】
図9A〜Bは、pH 6.5のLM5−5培地におけるSMBI104株(高−コピープラスミド、SP310mut2)の流加培養発酵を示す。(A)成長動態(OD600、 ▲)及びSNase産生(単位/ml、■)。(B)流加培養発酵後のSMBI104の培養上清のSDS−PAGE分析。レーン1〜9は、図9Aでヌクレアーゼ活性を分析した培養試料に相当する。粗培養上清10μlを各レーンに充填した。分子量(キロダルトン)を右に示す。▲は、分泌されたSNaseの位置を示す。
【図10】
図10は、pH制御単位に応じて水酸化カリウムと培地を発酵槽に同時に添加した フォキソスタットにおけるpH6.5でのAMJ627のLM5−50培地中での培養を示す。実験中、発酵槽に添加するベースと培地の量の比を異なる値に設定した。バーは、添加した全容量(ベース+培地)リットル当たりの水酸化物のモル数として算出される、異なる比に起因する入口の緩衝能を示す。培養物中の乳酸塩濃度を▲で示し、希釈率を■として示す。OD600と SNase活性(単位/mL)は、それぞれ◆と●として示す。
【図11】
図11は、同時に開始した回分培養(□)に比較した2つの異なる培地添加速度(△: 0.14 L/h及び○: 0.07L/h) でのSMBI111の短期ケモスタット培養中のOD600 (黒塗り記号)とSNase活性(白抜き記号)を示す。全ての場合にLM5−50培地、pH 6.5を用いた。
【図12】
図12は、新鮮な培地を連続的に加え、ろ液を除去しながらの、pH 6.5のLM5−50培地におけるSMBI111の培養中のOD600(黒塗り◇)とSNase活性(白抜き◇)を示すが、細胞を培養容器に再利用した。同時に開始した回分培養の結果を比較して示す(□)。
Claims (24)
- i) 異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列、及び操作可能に連結される、コード配列の発現を制御するための適当な制御ヌクレオチド配列からなる組換え乳酸菌を構築し、
(ii) 遺伝子を発現させる流加培養又は連続培養条件下で組換え細菌を培養し、かつ
(iii) 組換え細菌又はペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を回収する工程からなる、乳酸菌において異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を製造する方法。 - 組換え細胞が、コード配列に操作可能に連結される構成プロモーターを含む請求項1に記載の方法。
- 組換え細胞が、コード配列に操作可能に連結される制御可能なプロモーターを含む請求項1に記載の細胞。
- 制御可能なプロモーターが、pH、成長温度、酸素含量、熱ショック遺伝子の発現を誘導する温度シフト、イオン強度とNaCl含量を含む成長培地の組成、必須細胞構成物又はその前駆体の有無、細胞内又は培地中での代謝産物の蓄積、乳酸菌の成長期及び乳酸菌の成長速度からなる群から選択される因子によって制御される請求項3に記載の方法。
- 制御可能なプロモーターが、乳酸菌由来である請求項3又は4に記載の方法。
- 制御可能なプロモーターが、WO98/10079に開示されるpH制御可能なP170プロモーター又はpH制御可能なその誘導体である請求項5に記載の方法。
- プロモーターが、自律複製レプリコンで乳酸菌に導入される請求項1又は2に記載の方法。
- プロモーターが、異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列と天然に結合していないプロモーターである請求項1又は2に記載の方法。
- 異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質が、酵素及び医薬的に活性な化合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- コードするヌクレオチド配列が、シグナルペプチド(SP)をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結される請求項1に記載の方法。
- シグナルペプチドが、Usp45シグナルペプチドと配列MKFNKKRVAIATFIALIFVSFFTISSQDAQAAERS (SEQ ID NO: 1)を有するシグナルペプチドからなる群から選択される請求項10に記載の方法。
- 乳酸菌が、化学的に定義される培地中で培養される請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- グルコースの濃度が、制御されたグルコース供給によって少なくとも約0.5g/Lの好ましい濃度で維持される請求項12に記載の方法。
- グルコースの培地への供給制御が、pH制御に関連している請求項13に記載の方法。
- 化学的に定義される培地が、酵母抽出物によって補充される請求項12に記載の方法。
- 酵母抽出物の量が、0.1〜10g/Lの範囲である請求項15に記載の方法。
- 異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の収率が、少なくとも5mg/Lである請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
- 異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の収率が、少なくとも100mg/Lである請求項17に記載の方法。
- 異種のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の収率が、少なくとも200mg/Lである請求項18に記載の方法。
- 各量がLM1培地と同一レベルに維持されている、リン酸塩及び酢酸ナトリウムを除く、請求項20に記載の培地の全成分を3倍量で含む細菌を培養するための化学的に定義される培地(LM3培地)。
- 各量がLM1培地と同一レベルに維持されている、リン酸塩及び酢酸ナトリウムを除く、請求項20に記載の培地の全成分を5倍量で含む細菌を培養するための化学的に定義される培地(LM5培地)。
- 1〜100g/Lの範囲の量でグルコースを含む請求項20〜22のいずれかに記載の化学的に定義される培地。
- 化学的に定義される培地が、請求項20〜23のいずれかに定義される培地である請求項12に記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US69220500A | 2000-10-20 | 2000-10-20 | |
PCT/DK2001/000693 WO2002033109A2 (en) | 2000-10-20 | 2001-10-19 | Fermentation method for production of heterologous gene products in lactic acid bacteria |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004511248A true JP2004511248A (ja) | 2004-04-15 |
JP2004511248A5 JP2004511248A5 (ja) | 2005-12-22 |
JP4399158B2 JP4399158B2 (ja) | 2010-01-13 |
Family
ID=24779648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002536077A Expired - Lifetime JP4399158B2 (ja) | 2000-10-20 | 2001-10-19 | 乳酸菌における異種遺伝子産物の製造のための改良発酵法 |
Country Status (12)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7358067B2 (ja) |
EP (1) | EP1356073B1 (ja) |
JP (1) | JP4399158B2 (ja) |
AT (1) | ATE449861T1 (ja) |
AU (2) | AU1040102A (ja) |
CA (1) | CA2426084C (ja) |
DE (1) | DE60140626D1 (ja) |
DK (1) | DK1356073T3 (ja) |
ES (1) | ES2336647T3 (ja) |
NZ (1) | NZ525394A (ja) |
PT (1) | PT1356073E (ja) |
WO (1) | WO2002033109A2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101915950B1 (ko) | 2018-01-09 | 2018-11-07 | 주식회사 쎌바이오텍 | 시스타틴을 발현 및 분비하는 위장관 질환 치료 약물 전달용 미생물 및 그를 포함하는 위장관 질환 예방 또는 치료용 약제학적 조성물 |
KR101915951B1 (ko) | 2018-01-09 | 2018-11-07 | 주식회사 쎌바이오텍 | P8 단백질을 발현 및 분비하는 위장관 질환 치료 약물 전달용 미생물 및 그를 포함하는 위장관 질환 예방 또는 치료용 약제학적 조성물 |
US10138290B2 (en) | 2010-10-05 | 2018-11-27 | Novo Nordisk Healthcare Ag | Process for protein production |
WO2021049764A1 (ko) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 주식회사 쎌바이오텍 | 유산균 유래 p8 단백질의 발현 컨스트럭트를 포함하는 대장 질환의 치료 또는 예방용 조성물 |
Families Citing this family (31)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB9521568D0 (en) * | 1995-10-20 | 1995-12-20 | Lynxvale Ltd | Delivery of biologically active polypeptides |
EP1239032A1 (en) * | 2001-03-02 | 2002-09-11 | Société des Produits Nestlé S.A. | Lactic acid bacteria as agents for treating and preventing allergy |
US7780961B2 (en) * | 2001-05-03 | 2010-08-24 | Actogenix N.V. | Self-containing Lactococcus strain |
AU2003298291A1 (en) * | 2002-11-15 | 2004-06-15 | Universiteit Gent | Self-containing lactobacillus strain |
EP1708741B1 (en) * | 2003-12-24 | 2016-03-30 | Aduro Biotech | Recombinant nucleic acid molecules encoding fusion proteins comprising antigens and bacterial secretory signal polypeptides, expression cassettes, and bacteria, and methods of use thereof |
US7842289B2 (en) | 2003-12-24 | 2010-11-30 | Aduro Biotech | Recombinant nucleic acid molecules, expression cassettes, and bacteria, and methods of use thereof |
BRPI0614966A2 (pt) * | 2005-08-26 | 2016-09-13 | Cerenis Therapeutics Holding S A | vetor de expressão, bactéria de ácido lático, apolipoproteína isenta de endotoxina, e, método de produção de uma apolipoproteína isenta de endotoxina |
GB0522303D0 (en) * | 2005-11-01 | 2005-12-07 | Chiron Srl | Culture method |
DK2119450T3 (da) | 2005-11-29 | 2013-05-06 | Actogenix Nv | Induktion af mucosal tolerance over for pankreatisk ø-beta-celle-autoantigener |
EA200870204A1 (ru) * | 2006-01-27 | 2009-04-28 | Юниверсити Оф Массачусетс | Системы и способы производства биотоплива и связанных с этим материалов |
US7935804B2 (en) | 2006-03-01 | 2011-05-03 | Aduro Biotech | Engineered Listeria and methods of use thereof |
ES2595729T3 (es) * | 2007-01-12 | 2017-01-03 | Intrexon Actobiotics Nv | Promotores de Lactococcus y usos de los mismos |
ES2492468T3 (es) | 2007-01-25 | 2014-09-09 | Actogenix N.V. | Tratamiento de enfermedad inmunitaria por administración a través de la mucosa de antígenos usando Lactobacillus genéticamente modificado |
KR101574355B1 (ko) | 2007-04-26 | 2015-12-11 | 추가이 세이야쿠 가부시키가이샤 | 고농도 아미노산 함유 배지를 사용한 세포의 배양 방법 |
BRPI0908206A8 (pt) * | 2008-02-27 | 2018-05-22 | Qteros Inc | métodos para conversão de plantas em combustíveis e em produtos químicos por ação sequencial de dois micro-organismos |
US20090286294A1 (en) * | 2008-04-04 | 2009-11-19 | University Of Massachusetts | Methods and Compositions for Improving the Production of Fuels in Microorganisms |
US20100105114A1 (en) * | 2008-06-11 | 2010-04-29 | University Of Massachusetts | Methods and Compositions for Regulating Sporulation |
WO2010025935A1 (en) * | 2008-09-08 | 2010-03-11 | Jurag Separation A/S | Process for controlling the ph and level of target ions of a liquid composition |
US20100086981A1 (en) * | 2009-06-29 | 2010-04-08 | Qteros, Inc. | Compositions and methods for improved saccharification of biomass |
AU2010239313A1 (en) * | 2009-04-20 | 2011-11-17 | Qteros, Inc. | Compositions and methods for fermentation of biomass |
EP2275527A1 (en) | 2009-07-17 | 2011-01-19 | ActoGeniX NV | Animal component-free culture medium for bacterial fermentation |
DK2493922T3 (en) | 2009-10-26 | 2017-04-24 | Hoffmann La Roche | Process for preparing a glycosylated immunoglobulin |
WO2011081658A2 (en) * | 2009-12-15 | 2011-07-07 | Qteros, Inc. | Methods and compositions for producing chemical products from c. phytofermentants |
GB2478791A (en) * | 2010-03-19 | 2011-09-21 | Qteros Inc | Ethanol production by genetically-modified bacteria |
EP2791317B1 (en) * | 2011-12-15 | 2017-02-01 | Serum Institute Of India Private Limited | A novel process of cultivating bacteria for yield improvement of capsular polyoses |
PT2802652T (pt) | 2012-01-12 | 2019-09-10 | Endo Global Ventures | Enzimas de clostridium histolyticum |
CN105378480B (zh) | 2013-07-04 | 2018-06-12 | 豪夫迈·罗氏有限公司 | 检测血清样品中抗药物抗体的干扰抑制性免疫测定 |
CN104988107B (zh) * | 2015-05-19 | 2018-06-08 | 中国农业科学院兰州兽医研究所 | 一种高效表达口蹄疫病毒抗原基因的重组乳酸杆菌及其制备方法和应用 |
CN111254103B (zh) * | 2019-11-19 | 2023-06-02 | 河南省生物工程技术研究中心 | 一种非洲猪瘟基因工程疫苗高密度发酵补料培养基及发酵工艺 |
CN112795527A (zh) * | 2021-03-05 | 2021-05-14 | 昆明理工大学 | 二氢蝶呤醛缩酶基因的用途 |
CN112813085B (zh) * | 2021-03-05 | 2023-03-31 | 昆明理工大学 | 焦磷酸酶基因的用途 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0677110B2 (en) * | 1992-12-30 | 2010-01-27 | Bioneer A/S | Recombinant lactic acid bacterium containing an inserted promoter |
ATE226637T1 (de) | 1996-09-06 | 2002-11-15 | Bioteknologisk Inst | Milchsäurebakterielles regulierbares expressionssystem |
AU772650B2 (en) * | 1999-08-06 | 2004-05-06 | Bioneer A/S | Method of isolating secretion signals in lactic acid bacteria and novel secretion signals isolated from lactococcus lactis |
-
2001
- 2001-10-19 AT AT01978228T patent/ATE449861T1/de active
- 2001-10-19 JP JP2002536077A patent/JP4399158B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 2001-10-19 US US09/982,531 patent/US7358067B2/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-10-19 PT PT01978228T patent/PT1356073E/pt unknown
- 2001-10-19 ES ES01978228T patent/ES2336647T3/es not_active Expired - Lifetime
- 2001-10-19 EP EP01978228A patent/EP1356073B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-10-19 CA CA2426084A patent/CA2426084C/en not_active Expired - Lifetime
- 2001-10-19 DK DK01978228.3T patent/DK1356073T3/da active
- 2001-10-19 AU AU1040102A patent/AU1040102A/xx active Pending
- 2001-10-19 AU AU2002210401A patent/AU2002210401B2/en not_active Expired
- 2001-10-19 WO PCT/DK2001/000693 patent/WO2002033109A2/en active Application Filing
- 2001-10-19 NZ NZ525394A patent/NZ525394A/en not_active IP Right Cessation
- 2001-10-19 DE DE60140626T patent/DE60140626D1/de not_active Expired - Lifetime
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10138290B2 (en) | 2010-10-05 | 2018-11-27 | Novo Nordisk Healthcare Ag | Process for protein production |
KR101915950B1 (ko) | 2018-01-09 | 2018-11-07 | 주식회사 쎌바이오텍 | 시스타틴을 발현 및 분비하는 위장관 질환 치료 약물 전달용 미생물 및 그를 포함하는 위장관 질환 예방 또는 치료용 약제학적 조성물 |
KR101915951B1 (ko) | 2018-01-09 | 2018-11-07 | 주식회사 쎌바이오텍 | P8 단백질을 발현 및 분비하는 위장관 질환 치료 약물 전달용 미생물 및 그를 포함하는 위장관 질환 예방 또는 치료용 약제학적 조성물 |
WO2019139229A1 (en) * | 2018-01-09 | 2019-07-18 | Cell Biotech Co., Ltd. | Microorganism for delivering drug for treatment of gastrointestinal disease, which expresses and secretes p8 protein, and pharmaceutical composition for preventing or treating gastrointestinal disease, which includes the same |
WO2019139228A1 (en) * | 2018-01-09 | 2019-07-18 | Cell Biotech Co., Ltd. | Microorganism for delivering drug for treatment of gastrointestinal disease, which expresses and secretes cystatin, and pharmaceutical composition for preventing or treating gastrointestinal disease, which includes the same |
US11117953B2 (en) | 2018-01-09 | 2021-09-14 | Cell Biotech Co., Ltd. | Microorganism for delivering drug for treatment of gastrointestinal disease, which expresses and secretes cystatin, and pharmaceutical composition for preventing or treating gastrointestinal disease, which includes the same |
US11298385B2 (en) | 2018-01-09 | 2022-04-12 | Cell Biotech Co., Ltd. | Microorganism for delivering drug for treatment of gastrointestinal disease, which expresses and secretes P8 protein, and pharmaceutical composition for preventing or treating gastrointestinal disease, which includes the same |
WO2021049764A1 (ko) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 주식회사 쎌바이오텍 | 유산균 유래 p8 단백질의 발현 컨스트럭트를 포함하는 대장 질환의 치료 또는 예방용 조성물 |
KR20210031129A (ko) * | 2019-09-11 | 2021-03-19 | 주식회사 쎌바이오텍 | 유산균 유래 p8 단백질의 발현 컨스트럭트를 포함하는 대장 질환의 치료 또는 예방용 조성물 |
KR102281858B1 (ko) | 2019-09-11 | 2021-07-26 | 주식회사 쎌바이오텍 | 유산균 유래 p8 단백질의 발현 컨스트럭트를 포함하는 대장 질환의 치료 또는 예방용 조성물 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1356073B1 (en) | 2009-11-25 |
JP4399158B2 (ja) | 2010-01-13 |
WO2002033109A3 (en) | 2003-09-04 |
DK1356073T3 (da) | 2010-04-06 |
US20020137140A1 (en) | 2002-09-26 |
AU1040102A (en) | 2002-04-29 |
PT1356073E (pt) | 2010-02-15 |
AU2002210401B2 (en) | 2006-07-20 |
DE60140626D1 (de) | 2010-01-07 |
EP1356073A2 (en) | 2003-10-29 |
ES2336647T3 (es) | 2010-04-15 |
US7358067B2 (en) | 2008-04-15 |
CA2426084A1 (en) | 2002-04-25 |
ATE449861T1 (de) | 2009-12-15 |
WO2002033109A2 (en) | 2002-04-25 |
NZ525394A (en) | 2005-12-23 |
CA2426084C (en) | 2013-12-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4399158B2 (ja) | 乳酸菌における異種遺伝子産物の製造のための改良発酵法 | |
AU2002210401A1 (en) | Fermentation method for production of heterologous gene products in lactic acid bacteria | |
EP0946711A1 (en) | Improved expression vectors | |
WO2007022623A1 (en) | Regulation of heterologous recombinant protein expression in methylotrophic and methanotrophic bacteria | |
JPH08503612A (ja) | 細菌におけるポリペプチド産生の調節方法 | |
EP2445929B1 (en) | A method for transforming a bacterium belonging to the streptococcus genus by natural competence | |
CN101168741B (zh) | 乳酸乳球菌食品级分泌表达载体及其制备方法和应用 | |
CA2923957C (en) | Glycosylation method | |
US6133023A (en) | Lactic acid bacterial regulatable expression system | |
ES2266871T3 (es) | Casetes de expresion procariotas reguladas por el cinc. | |
Mathiesen et al. | Heterologous protein production in Lactobacillus (plantarum) using pSIP vectors | |
EP3981879A1 (en) | Method of producing a recombinant protein in a host cell which has a disabled rhamnose metabolism as well as expression vectors, host cells and recombinant proteins thereof | |
JP2752092B2 (ja) | Deoプロモーターを有する発現プラスミド及び該プラスミドを含む細菌宿主 | |
US20200032226A1 (en) | Oligosaccharyltransferase polypeptide | |
Wooldridge et al. | Sensitivity of Escherichia coli to cloacin DF13 involves the major outer membrane protein OmpF | |
EP1680508B1 (en) | Site-specific intestinal delivery and/or production of biologically active substances | |
KR101175725B1 (ko) | 신규한 그람 양성균 박테리아 발현 시스템 | |
CA2567501A1 (en) | An expression system comprising operably linked rgg gene and gtfg promoter | |
AU757106B2 (en) | Lactic acid bacterial regulatable expression system | |
WO2023193837A1 (en) | Expression vector for production of recombinant proteins in prokaryotic host cells | |
US20030082778A1 (en) | Regulation of promoter activity in cells | |
WO2000008174A1 (en) | β-CASEIN EXPRESSING CONSTRUCTS | |
Zhua et al. | FEMS Microbiology Letters Advance Access published July 7, 2015 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040830 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040830 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20050214 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050214 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051003 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080404 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090714 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090911 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091013 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091026 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4399158 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |