JP2004511236A - 核酸差異を含有するポリヌクレオチドを同定かつ単離する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法に関する。その方法は、選択的スプライシング事象およびそれに対応するスプライシングアイソフォームを検出かつ同定するのに、かつゲノム間のゲノムDNA差異を検出するのに有用であるだろう。本発明による方法は、一本鎖トラップの使用に基づく。一本鎖トラップは、一本鎖結合タンパク質の使用を含むことが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオテクノロジー分野に関し、かつ異なるソース、起源、環境または異なる生理的状況に由来するポリヌクレオチド間の核酸の差異を同定かつクローン化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の遺伝子のヌクレオチド配列は、単一種内の個体間で、単一個体内の細胞間で、同一細胞内の両染色体間で異なる。かかる差異は、挿入、欠失、点突然変異によって、または細菌、カビ、菌類およびウイルスによる感染により外来DNAもしくはRNAを獲得することによって、DNAの遺伝的変異または環境変化から生じる可能性がある。例えば、病原体による、所定の薬物に対する突然の耐性獲得は、欠失によって、またはゲノム中の新しい配列の獲得によって生じる。あるいは、病原は、ゲノム領域の挿入または欠失の結果生じる。例えば、遺伝性精神遅滞の最も一般的な原因である脆弱X症候群は、リボソーム停止によりタンパク質合成が抑制される結果となる、脆弱XmRNAの5’非翻訳領域における複数のCGCトリヌクレオチドの挿入が一部原因である(Feng 等, Science 268: 731−4, 1995)。ヌクレオチド配列の変化は、細胞に大きな影響を及ぼし得る。例えば、多くの腫瘍および多くの遺伝病は、特定のヌクレオチド配列の変化、または変異に起因する。タンパク質をコードするヌクレオチド配列の変異によって、変化したポリペプチド配列、場合によっては、変化した生物活性を有するタンパク質が生成される結果となり得る。単一タンパク質の活性の変化は時として、生物体全体の生理機能に大きな影響を及ぼし得る。
【0003】
癌および遺伝病を治療するための、有効な予防的診断法および治療法を開発するために、疾患発生の一因となる遺伝子突然変異を最初に同定しなければならない。通常、突然変異は、その正常配列が既に分かっているクローン化遺伝子の研究で同定されている(例えば、Suzanne 等, Science 244: 217,1989; Kerem 等, Science 245: 1073,1989を参照のこと)。つまり、遺伝子は最初に、疾患に関連すると同定され、疾患状態と相関する特定の配列変化が引き続き同定される。
【0004】
ゲノムDNAの変異に加えて、ヌクレオチド配列の変異もまた、単一遺伝子から転写された、異なるメッセンジャーRNA分子間で起こる。実際、一部の遺伝子のプレmRNAが様々な方法でスプライスされて、異なるmRNAが産生され、したがって異なる機能を示すタンパク質アイソフォームが合成される。かかる選択的スプライシングは、細胞の型、発生の段階、または細胞の化学的もしくは物理的環境によって異なる。プレmRNAの選択的スプライシングは、遺伝子発現の定量的制御に影響を及ぼし、タンパク質の機能的多様性をもたらし得る、強力かつ可変性な調節メカニズムである。
【0005】
遺伝子発現を調節するメカニズムとして、選択的スプライシングが普及することによって、それは、ヒト疾患を引き起こす変化に対する非常に可能性の高い標的となる。スプライシング機構は、いくつかの状況で変化し得る。例えば、遺伝子突然変異は、生理的なスプライシング部位を不活性化、または潜在的なスプライシング部位を明らかにすることによって、スプライシングのプロフィールを乱し得る。特に、遺伝子点突然変異は、スプライシング接合部を変化させるか、または除去し、異常に切断された転写物、または正常に欠失したエクソンを含有する、かつ/もしくは正常に存在する別のエクソンを含まない転写物のいずれかを生じる正常なスプライシングを妨げる可能性がある。
【0006】
スプライシング変化の多数の例が、疾患またはそれに関連した障害と関連している。実際に、疾患に関連する遺伝子突然変異の15%が、RNAスプライシングのプロセスを変化させる。多くの癌関連遺伝子が選択的にスプライスされ、それらの発現によって、多数のスプライス変異体が産生される(MercatanteおよびKole, Pharmacol Ther 2000,85: 237−43)。これらの大部分の変異体の機能は明確に定義されていないが、一部は、細胞死制御機構に関連する拮抗活性を有する。数多くの癌および癌細胞株では、スプライス変異体の比は頻繁にシフトし、そのため、抗アポトーシスのスプライス変異体が優勢である。したがって、これらのスプライス変異体のキャラクタリゼーションによって、新規な治療標的を同定し、新規な薬物および新規な診断手段をデザインすることができる。
【0007】
様々な技術が、核酸の配列変異を同定するのに用いられている。例えば、制限断片長多型(RFLP)分析では、ヌクレオチド配列の突然変異または変化により生じた制限部位を検出し(Kan 等, Lancet ii: 910,1978参照);変性勾配ゲル電気泳動法および一本鎖DNA電気泳動移動度の研究では、電気泳動ゲルにおけるバンドの移動度の変化によってヌクレオチド配列の差異を同定し(Myers等, Nature 313: 495,1985; Orita等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2766,1989参照);化学的な切断分析では、ヘテロ二重鎖DNAにおけるミスマッチ部位を同定し(Cotton, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397, 1988参照);RNアーゼ切断分析では、RNA−DNAまたはRNA−RNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチ部位を同定する(Myers等, Science 230: 1242, 1985; Maniatis 等 ,米国特許第4,946,773号参照)。
【0008】
核酸差異を同定する上述の方法それぞれに関する重大な問題は、対象の遺伝子の予備知識が一般に必要とされることである。
かかる差異を示す遺伝子の予備知識なく、核酸差異を検出し、最終的に続いて同定するために、最近3つの方法が開発されている。これらの方法は、関連ポリヌクレオチドの相補鎖を互いにアニールし、核酸差異以外は二重鎖分子を形成し、したがってヘテロ二重鎖を形成することができるであろうという事実に基づいている。その差異が単一ヌクレオチドの差異または小さな挿入もしくは欠失にある場合、ミスマッチした二重鎖が形成される。その差異が大きなヌクレオチド領域を含む場合、内部一本鎖領域を有する二重鎖が形成される。
【0009】
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願番号:WO99/36575には、核酸の2つのソース集団内でのハイブリダイゼーションから形成されたミスマッチ二重鎖核酸分子を、MutSなどのミスマッチ二重鎖に結合することができる酵素を用いてサンプルの残りから単離する方法が開示されている。しかしながら、この技術は、数個のヌクレオチドのミスマッチ領域よりも大きい内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖には適用されない。
【0010】
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,535号には、異なる集団からの核酸鎖を互いにハイブリダイズさせ、その結果ヘテロ二重鎖が形成される方法が開示されている。次いで、ヘテロ二重鎖に依存する手法でそれらのヘテロ二重鎖を切断し、切断産物を単離し、核酸集団において異なる遺伝子配列を同定するのに使用する。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願番号:WO99/46043には、ヘテロ二重鎖の内部ループを、かかるヘテロ二重鎖の二本鎖領域を消化することによって回収する方法が開示されている。しかしながら、これらの最後から2つの方法は、その断片のみを単離することはできるが、核酸差異を含有する完全長ポリヌクレオチドを直接単離することができない。
【0011】
本発明は、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチド、または前記核酸差異を取り囲む領域を含む、その断片を単離する方法であって、前記核酸差異が、ヌクレオチドの大きな領域の挿入もしくは欠失、または置換にある方法を開示する。かかる方法は特に、ゲノム挿入/または欠失、選択的スプライシング事象および配列伸長の反復を単離することに対して興味深い。これらの技術の利点の一つは、核酸差異のみならず、フランキング配列、および前記核酸差異を含む完全長ポリヌクレオチドでさえも単離することである。次いで、かかる完全長ポリヌクレオチドは、いくつかの用途、例えばクローニングおよび/またはシークエンスに利用できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリヌクレオチドサンプルにおける核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの単離方法に関し、前記方法は、少なくとも1つの内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(本明細書ではISSRHと呼ぶ)を一本鎖トラップ(本明細書ではSSTと呼ぶ)で選択することを含み、前記ISSRHは前記関連ポリヌクレオチド間で形成され、かつ前記内部一本鎖領域は前記核酸差異を表す。
【0013】
本発明の実施形態において、前記一本鎖トラップは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。本発明の好ましい実施形態では、前記一本鎖トラップは、二本鎖DNAと比較して、一本鎖DNAに選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。さらに好ましい実施形態では、前記REは、RNAと比較してDNAに選択的な親和性を有する。さらに好ましい実施形態では、前記REは、一本鎖DNAを選択するのに用いられる条件下にて、二本鎖DNAおよび一本鎖RNAと比較して、一本鎖DNAに選択的な親和性を有する。
【0014】
他の好ましい実施形態では、前記REは抗体である。他の好ましい実施形態では、前記REはペプチドである。さらに他の好ましい実施形態において、前記REはタンパク質である。さらに好ましくは、前記REは、一本鎖結合タンパク質(SSB)である。またさらに好ましくは、前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択される。さらに好ましくは、前記REは大腸菌SSBである。さらに他の好ましい実施形態において、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REは、BNDCであることがさらに好ましい。
【0015】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖ポリヌクレオチドを含有する。前記一本鎖ポリヌクレオチドは、(+)鎖および(−)鎖のどちらも含むことが好ましい。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖ポリヌクレオチドを含有する。その他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖分子および二本鎖分子のどちらも含有する。
【0016】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルはDNAを含有する。好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルはcDNAを含有する。他の好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルはゲノムDNAを含有する。他の好ましい実施形態では、RNAを含有し、好ましくはmRNAを含有する。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、DNAおよびRNAのどちらも、好ましくはcDNAおよびmRNAのどちらも含有する。
【0017】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一ソースまたは単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。
【0018】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子由来のポリヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または遺伝子の限定セット由来のcDNAまたはmRNAを含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドサンプルは、複合ポリヌクレオチド混合物を含む。好ましい実施形態において、そのポリヌクレオチド混合物は、cDNA収集物、mRNA収集物、またはcDNA収集物とmRNA収集物の両方を含む。
【0019】
特に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプルにおける核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの単離方法に関するものであり、前記方法は、以下の段階:
(a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドサンプルを得る段階;
(b)前記サンプルに存在するポリヌクレオチドをアニールして、前記関連ポリヌクレオチド間でISSRHを形成させる段階;
(c)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;を含む。
【0020】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、ポリヌクレオチドのサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0021】
任意に、前記方法は、アニーリング段階(b)前に前記サンプル中の前記ポリヌクレオチドを変性させる追加の段階を含む。
任意に、前記方法は、ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する追加の段階を含み、前記追加の段階は段階(c)の前に行う。
【0022】
任意に、前記方法は、段階(b)の後に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含み、前記追加の段階は、好ましくは段階(c)の後、さらに好ましくは浄化段階後に行う。
任意に、その方法は、ポリヌクレオチド末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートする追加の段階を含む。前記方法は、段階(b)の後に、ポリヌクレオチドの末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートする追加の段階を含むことが好ましい。前記ライゲーション段階は、前記浄化段階後、前記平滑末端化段階後、または前記浄化および平滑末端化段階の後に、行うことがさらに好ましい。任意に、前記方法は、好ましくは増幅段階後、さらに好ましくは増幅段階後およびクローニング段階または核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドの単離の別のサイクルの前に、ポリヌクレオチドの末端からアダプターを完全にまたは一部除去する追加の段階を含む。
【0023】
任意に、前記方法は、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを増幅する追加の段階を含む。
任意に、前記単離方法は、数回、好ましくは1、2、3または5回繰り返し行ってもよい。
【0024】
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドをクローン化する最終段階を含む。
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドの前記核酸差異を、好ましくはDNAシークエンスを用いて同定する最終段階を含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、DNAサンプルにおいて核酸差異を有する関連DNA分子を単離する方法に関し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するDNAサンプルを得る段階:
b)前記サンプル中のDNA分子を変性させる段階:
c)前記の変性されたDNA分子をアニールして、前記関連DNA分子間でISSRHを形成させる段階;
d)ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する段階;
e)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
f)前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを、PCRを用いて増幅する段階;を含む。
【0026】
任意に前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、DNA分子のサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(e)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。
【0027】
他の実施形態において、本発明は、DNAサンプル中の核酸差異を有する関連DNA分子の単離方法に関し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連DNA分子を含有するDNAサンプルを得る段階;
b)前記サンプル中のDNA分子を変性させる段階;
c)前記変性DNA分子をアニールして、前記関連DNA分子間でISSRHを形成させる段階;
e)前記ISSRHの末端にアダプターをライゲートする段階;
f)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
g)前記一本鎖トラップによって選択された前記ISSRHを、PCRを用いて増幅する段階;を含む。
【0028】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、DNA分子のサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(f)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。任意に、前記方法は、前記の増幅されたISSRHの末端から前記アダプターを完全にまたは一部除去する追加の段階を含む。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明の方法のいずれかにおける前記ISSRHの選択は、以下の段階:
i)前記ISSRH内の前記内部一本鎖領域を前記REに結合させ、続いて内部一本鎖領域含有ヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を形成させる条件下にて、前記サンプルを前記REと混合する段階;
ii)前記サンプルから前記ISSRH−RE複合体を分離する段階;を含む。
【0030】
代替方法としては、前記一本鎖トラップは、以下の段階:
i)前記REを固定化する段階;
ii)前記の固定化されたREを前記のアニールしたサンプルと接触させて、前記ISSRH内の前記内部一本鎖領域を前記REに結合させ、続いて、内部一本鎖領域含有ヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を形成させる段階;
iii)未結合ポリヌクレオチドを除去する段階;を含む。
【0031】
任意に、本発明のいずれかの選択方法は、前記ISSRH−RE複合体から前記関連ポリヌクレオチドを回収する追加の段階を含むことが可能である。
特に、本発明は、選択的スプライシングにかけられたポリヌクレオチドを単離する方法であって、
a)スプライシングアイソフォームを含有する二本鎖cDNAサンプルを得る段階;
b)前記cDNAを変性させて、一本鎖cDNAを得る段階;
c)異なるスプライシングアイソフォームからの一本鎖cDNA間でISSRHを形成させる条件下にて、前記一本鎖cDNAをアニールする段階であって、内部一本鎖領域が前記選択的スプライシング事象を含む段階;
d)前記ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する段階;
e)平滑末端化されたcDNAの末端にアダプターをライゲートする段階;
f)SSTを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
g)前記の選択されたcDNAを増幅する段階;を含む方法に関する。
【0032】
任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、ポリヌクレオチドのサイズが低減される、追加の低減段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0033】
一実施形態において、前記cDNAサンプルは、単一ソース、単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記cDNAサンプルは、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。
【0034】
一実施形態において、前記cDNAサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子由来のcDNAを含む。他の実施形態では、cDNAサンプルは、複合ポリヌクレオチド混合物を含む。好ましい実施形態では、cDNA混合物は、cDNA収集物、mRNA収集物、またはcDNA収集物およびmRNA収集物のどちらも含む。
【0035】
本発明は、本発明の方法のいずれかを実施するためのキットもまた包含する。
本発明は、本発明のいずれかの方法によって得ることができるISSRH−REを包含する。本発明は、本発明のいずれかの方法によって得られたISSRH−REもまた包含する。
【0036】
本発明は、本発明の方法のいずれかを用いて得られたライブラリーもまた包含する。前記ライブラリーは、少なくとも1つの核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されることが好ましい。前記ライブラリーは、選択的スプライシングアイソフォームまたは選択的スプライシング事象において濃縮されることがさらに好ましい。
【0037】
本発明は、本発明のいずれかの方法を用いて単離されたいずれかのポリヌクレオチド、またはその断片を包含する。前記の単離されたポリヌクレオチドは、核酸差異を有するポリヌクレオチドであることが好ましい。一実施形態において、前記の単離されたポリヌクレオチドは、選択的スプライシングによって同一遺伝子から誘導される。好ましい実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、他方のポリヌクレオチドと比較して、一方のポリヌクレオチド中に少なくとも1つのエクソンまたはエクソンの一部が存在することで異なる。他の好ましい実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、一方のポリヌクレオチド中の1つのエクソンが他方のポリヌクレオチド中の異なるエクソンと置換されることで異なる。他の実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、同一遺伝子の突然変異体と比較して、1つの遺伝子のヌクレオチド配列の挿入、欠失または置換によって異なる。
【0038】
本発明は、好ましくは厳密な条件下にて、好ましくは特異的に、本発明のいずれかの方法を用いて単離されたポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドもまた包含する。前記ポリヌクレオチドは、好ましくは厳密な条件下にて、好ましくは特異的に、本発明の方法のいずれかを用いて単離された核酸とハイブリダイズできることが好ましい。
【0039】
一実施形態において、前記核酸差異は、少なくとも6、8、10、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、500、1000、1500、2000、3000、5000、10000または50000個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含む。前記核酸差異は、10、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、500、1000、1500、3000または5000個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことが好ましい。前記核酸差異は、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、または500個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことがさらに好ましい。前記核酸差異は、15、18、20、25、50、75、100、または150個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことがまたさらに好ましい。
【0040】
本発明は、すべてのオリゴヌクレオチド、好ましくは、本発明のいずれかの方法によって単離されたポリヌクレオチドを用いて核酸差異を検出するようデザインすることが可能なプライマーおよびプローブもまた包含する。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法を説明する。核酸差異のかかる単離方法は、本発明の核心である一本鎖トラップ(SST)の使用を特徴とする。
【0042】
特に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドを単離することに関し、前記方法は、内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)を、一本鎖トラップ(SST)を用いて選択する段階を含み、前記ヘテロ二重鎖は、前記関連ポリヌクレオチド間で形成され、かつ前記一本鎖領域は前記核酸差異を表す。本発明の好ましい実施形態において、前記SSTは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。前記REは、二本鎖DNAと比較して、一本鎖DNAに対して選択的な親和性を特徴とする、タンパク質またはペプチドであることが好ましい。前記REは、一本鎖DNAに対する特異的親和性を特徴とする、タンパク質またはペプチドであることがさらに好ましい。前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択されることがさらに好ましい。前記REは大腸菌SSBであることがさらに好ましい。他の好ましい実施形態では、前記REは、抗体、好ましくは自己抗体である。さらに他の好ましい実施形態では、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REはBNDCであることがさらに好ましい。
【0043】
第1段階は、対象の関連ポリヌクレオチドを含有するサンプルを得ることであり、前記サンプルは、標的核酸集団または複合核酸集団のいずれかを含む。次に、ポリヌクレオチドサンプル中のポリヌクレオチドをアニールして、二重鎖を形成する。次いで、一本鎖トラップを用いて、1つまたはいくつかの内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖を精製し、それによって、その内部一本鎖領域は、前記ヘテロ二重鎖を形成するためにアニールされた前記関連ポリヌクレオチド間の核酸差異に相当する。
【0044】
したがって、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法を包含し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するサンプルを得る段階;
b)前記サンプルに存在するポリヌクレオチドをアニールして、前記関連ポリヌクレオチド間で内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)を形成する段階;
c)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;を含む。
【0045】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、ポリヌクレオチドのサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0046】
任意に、前記方法は、前記サンプルが二本鎖ポリヌクレオチドを含有する場合に、アニーリング段階(b)前に、前記サンプル中の前記ポリヌクレオチドを変性させる追加の段階を含む。
任意に、前記方法は、ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する追加の段階を含み、前記追加の段階は、段階(b)の後および段階(c)の前に行われる。その追加の段階は、浄化段階と呼ぶ。
【0047】
任意に、前記方法は、段階(b)の後に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含み、前記追加の段階は、好ましくは段階(c)の前、さらに好ましくは浄化段階後に行う。
任意に、その方法は、オリゴヌクレオチドアダプターをポリヌクレオチドにライゲートして、その後のクローニングおよび/またはその後の増幅を可能にする追加の段階を含む。前記アダプターライゲーションは、その方法の都合の良いいずれかの段階で行うことが可能である。例えば、前記アダプターライゲーションは、前記アニーリング段階後または前記平滑末端化段階後に行われる。前記ライゲーション段階は、前記浄化段階および平滑末端化段階後に行われることが好ましい。代替方法としては、前記ライゲーション段階は、SSTを用いた選択段階後に行われる。任意に、ライゲートされたアダプターは、その方法の都合の良いいずれかの段階で、好ましくは増幅段階後に、およびクローニング段階もしくは核酸差異を含有するポリヌクレオチドに対する濃縮の別のサイクルの前にポリヌクレオチドから切断される。前記アダプターの切断は、対象のポリヌクレオチドをクローン化する任意の段階である。
【0048】
任意に、前記方法は、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅する追加の段階を含む。
任意に、前記単離方法、あるいはアニーリングおよび選択段階にあり、かつ任意に低減段階、変性段階、浄化段階、平滑末端化段階、アダプターライゲーション段階、アダプター除去段階、およびPCR増幅段階からなる濃縮サイクルを数回、好ましくは1〜5回繰り返し行う。
【0049】
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドをクローン化する最終段階を含む。
任意に、前記単離方法は、好ましくはDNAシークエンスを用いて、前記の単離されたポリヌクレオチドの前記核酸差異を同定する最終段階を含む。
【0050】
[定義]
本明細書において同義で用いられる「核酸分子(1つまたは複数)」および「ポリヌクレオチド(1つまたは複数)」という用語は、RNAまたはDNA(一本鎖または二本鎖、コーディング鎖、相補鎖またはアンチセンス鎖)、または単鎖もしくは二重鎖状の複数のヌクレオチドのRNA/DNAハイブリッド配列を含む(上記の種それぞれを詳細に指定することは可能であるが)。特に、それはゲノムDNA(gDNA)、相補DNA(cDNA)、プレメッセンジャーRNA(プレmRNA)、不完全にスプライスされたmRNA、およびメッセンジャーRNA(mRNA)を包含する。
【0051】
本明細書において「ヌクレオチド」という用語は、一本鎖もしくは二重鎖状態における任意の長さのRNA、DNA、またはRNA/DNAハイブリッド配列を含む分子を説明するために形容詞として使用される。さらに正確には、「ヌクレオチド配列」という表現は、核酸物質自体を包含し、したがって、特定のDNAもしくはRNA分子を生物化学的に特徴づける配列情報(つまり、4つの塩基文字の中で選択される文字列)に限定されない。
【0052】
本明細書において「ヌクレオチド」という用語もまた、分子を意味する個々のヌクレオチドまたは様々なヌクレオチド、あるいはプリンまたはピリミジン、リボースまたはデオキシリボースの糖部位、およびリン酸基、またはオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの場合におけるホスホジエステル結合を含む、大きな核酸分子の個々のユニットを指すために名詞として使用される。また、本明細書において「ヌクレオチド」という用語は、(a)選択的結合(alternative linking)基、(b)プリンの類似型、(c)ピリミジンの類似型、または(d)類似糖などの少なくとも1種類の修飾を含む「修飾ヌクレオチド」を包含する意味で用いられる。例えば、類似結合基の中では、プリン、ピリミジン、および糖が挙げられ、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開番号:WO95/04064を参照のこと。本発明の好ましい修正形態には、限定されないが、5−フルオロウラシル,5−ブロモウラシル,5−クロロウラシル,5−ヨードウラシル,ヒポキサンチン,キサンチン,4−アセチルシトシン,5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル,5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン,5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル,ジヒドロウラシル,β−D−ガラクトシルクエオシン(galactosylqueosine),イノシン,N6−イソペンテニルアデニン,1−メチルグアニン,1−メチルイノシン, 2,2−ジメチルグアニン, 2−メチルアデニン,2−メチルグアニン, 3−メチルシトシン, 5−メチルシトシン, N6−アデニン, 7−メチルグアニン, 5−メチルアミノメチルウラシル, 5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル,β−D−マンノシルクエオシン(mannosylqueosine),5’−メトキシカルボキシメチルウラシル,5−メトキシウラシル,2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン,ウラシル−5−オキシ酢酸(v)yブトキソシン(ybutoxosine),擬ウラシル(pseudouracil),クエオシン(queosine),2−チオシトシン,5−メチル−2−チオウラシル,2−チオウラシル,4−チオウラシル,5−メチルウラシル,ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル,ウラシル−5−オキシ酢酸,5−メチル−2−チオウラシル,3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル,および2,6−ジアミノプリンが含まれる。本発明のポリヌクレオチド配列は、合成、組換え、ex vivoでの産生、またはそれらの組み合わせを含むいずれかの方法によって、ならびに当技術分野で公知のいずれかの精製方法を用いて作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,378,825号;同第5,386,023号;同第5,489,677号;同第5,602,240号;および同第5,610,289号に記述されているように、メチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオシドならびに混合主鎖化合物を有するものを製造することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,264,562号および同第5,264,564号に記述されているように、ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,223,618号に記述されているように、エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,223,618号に記述されているように、ホスフィネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,469,863号に記述されているように、アルキルホスホネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,610,289号または同第5,625,050号に記述されているように、3’−デオキシ−3’−メチレンホスホネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,256,775号または米国特許第5,366,878号に記述されているように、ホスホラミダイトオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開番号:WO94/17093およびWO94/17093に記述されるように、アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,476,925号に記述されているように、3’−デオキシ−3’−アミノホスホルアミデートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,023,243号に記述されているように、ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,302号および同第5,177,198号に記述されているように、ボラノホスフェートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。
【0053】
本明細書において「相補(相補的)」または「その補体」という用語は、相補領域全体を通して、別の指定のポリヌクレオチドとワトソン−クリック型塩基対を形成することが可能なポリヌクレオチドの配列を指すために使用される。ワトソン−クリック型塩基対は、2つの水素結合によりアデニン残基に連結したチミンまたはウラシル残基、3つの水素結合によって連結したシトシンおよびグアニン残基を有する二重らせんDNAにおいて見られるように、それらの配列同一性によって互いに水素結合することができるヌクレオチドを意味する。本発明の目的で、第1ポリヌクレオチド中の各塩基がその相補的塩基と対をなす場合、第1ポリヌクレオチドは、第2ポリヌクレオチドに相補的であると考えられる。相補的塩基対は一般に、AとT(またはAとU)、またはCとGである。本明細書において「補体」は、「相補的ポリヌクレオチド」、「相補的核酸」および「相補的ヌクレオチド配列」の同義語として使用される。これらの用語は、2つのポリヌクレオチドが実際に結合すると考えられる特定の一連の条件ではなく、単にそれらの配列に基づく対のポリヌクレオチドに適用される。別段の指定がない限り、すべての相補的ポリヌクレオチドは、考察されるポリヌクレオチドの全長にわたって完全に相補的である。
【0054】
本明細書において使用される「単離(された)ポリヌクレオチド」という用語は、そのポリヌクレオチドが、その元の環境(つまり、それが天然に存在する場合の自然環境)から取り除かれることを必要とする。例えば、生体動物に存在する天然ポリヌクレオチドは単離されないが、自然体系において共存する物質の一部またはすべてと区別される同一ポリヌクレオチドが単離される。かかるポリヌクレオチドはベクターの一部であることが可能であり、かつ/またはかかるポリヌクレオチドは、組成物の一部であることが可能であり、かつそのベクターまたは組成物がその自然環境の一部ではないという点からさらに単離することが可能である。具体的には、天然に存在する染色体(染色体の拡散など)、人工的な染色体ライブラリー、ゲノムライブラリー、および核酸のin vitro標本として、または宿主細胞が異種なin vitro標本であるか、もしくは単一コロニーの異種集団としてプレーティングされる、トランスフェクトされた/形質転換された宿主細胞の標本として、存在するcDNAライブラリーが、「単離ポリヌクレオチド」の定義から除外される。具体的には、指定のポリヌクレオチドが、ベクター分子における核酸インサート数の5%未満を占める上記のライブラリーもまた除外される。さらに、細胞全体のゲノムDNAまたは細胞全体のRNA標本(機械的に切断された、または酵素により消化された前記の細胞全体の標本を含む)が除外される。さらに具体的には、in vitro標本としての、または対象のポリヌクレオチドが電気泳動媒体中の異種ポリヌクレオチドからさらに分離されない(例えば、アガロースゲルまたはナイロンブロットにおいて異種バンド集団から単一バンドを切除することによる更なる分離)電気泳動(それのブロットトランスファーを含む)により分離された異種サンプルとしての、上記の細胞全体の標本が除外される。
【0055】
本明細書において同義で用いられる「精製」または「濃縮」という用語は、完全な精製または濃縮を必要とするわけではなく;むしろ、それらは相対的な定義として意図される。SSTを用いて、少なくとも1桁、好ましくは2桁または3桁、さらに好ましくは4桁または5桁のオーダーに核酸差異を含有するポリヌクレオチドを精製することが、特に企図される。例として、濃度0.1%から濃度10%への精製は2桁のオーダーである。本明細書において「精製された」という用語は、限定されないが、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド、炭水化物、脂質等を含む他の化合物から分離されたポリヌクレオチドを説明するために使用される。「精製された」という用語はまた、線状ポリヌクレオチドから共有結合的に閉環しているポリヌクレオチドを分離する場合を説明するために使用される場合がある。サンプルの少なくとも約50%、好ましくは60〜75%が単一ポリヌクレオチド配列および配座(線状に対して共有結合的な閉環状)を示す場合、ポリヌクレオチドは実質上純粋である。実質的に純粋なポリヌクレオチドは通常、それぞれポリヌクレオチドサンプルの約50%(重量/重量)、好ましくは60〜90%、さらに通常、約95%を占め、約99%を超える純度であることが好ましい。ポリヌクレオチドの純度、または均一性は、サンプルのアガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動などの当技術分野で公知の数多くの手段によって、続いてゲルを染色して単一バンドを可視化することによって示される。特定の目的で、HPLCまたは当技術分野で公知の他の手段を用いて、より高い分解能を提供することができる。代わりの実施形態として、異質ポリヌクレオチド(DNA、RNA、または両方)に対する「最低」純度%として、ポリヌクレオチドの精製が表される。好ましい実施形態として、そのポリヌクレオチドは、異質ポリヌクレオチドに対してそれぞれ、少なくとも;純度10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、96%、98%、99%、または100%である。さらに好ましい実施形態として、そのポリヌクレオチドは、異質ポリヌクレオチドに対して、または担体に存在するもの以外のすべての化合物および分子に対する重量/重量比として、任意の位〜小数点以下第3位の範囲、90%〜100%(例えば、少なくとも純度99.995%)のポリヌクレオチド)の純度を有する。小数点以下第3位までの純度%を表す各数字は、純度の個々の種類として主張することが可能である。
【0056】
本明細書において使用される「cDNA」という用語は、完全なmRNA鋳型から合成される相補的DNAまたはその断片を意味する。例えば、cDNAという用語は、所定のmRNAから合成された完全長cDNAおよび前記mRNAから誘導されたいずれかのESTを意味する。
「(+)鎖」という用語は、所定の遺伝子のmRNAに類似する配列を有するDNAまたはRNA鎖を意味し、「(−)鎖」という用語は、対象のmRNAに対してアンチセンスおよび相補的配列を有するDNAまたはRNA鎖を意味する。
【0057】
「二重鎖」という用語は、二本鎖領域を含むポリヌクレオチドを意味する。完全な二重鎖または「ホモ二重鎖」は完全に相補的な鎖を含み、したがって完全な二本鎖分子である。「ヘテロ二重鎖」とは、完全に相補的ではない領域を含有し、したがってポリヌクレオチド末端または内部に位置する一本鎖領域もまた有し、したがって内部一本鎖領域またはミスマッチを形成する二本鎖ポリヌクレオチドを意味する。かかるヘテロ二重鎖は、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドに由来する(+)一本鎖および(−)一本鎖のハイブリダイゼーションから生じる。少なくとも1つの内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖は、本明細書においてISSRHと呼ばれる。核酸差異が、他方の関連ポリヌクレオチドと比較して、一方の関連するポリヌクレオチドの領域の追加または欠失にある場合、かかる内部一本鎖領域は「内部一本鎖ループ」である。核酸差異が、他方の関連ポリヌクレオチドと比較して、一方の関連ポリヌクレオチドのある領域の別の領域による置換にある場合、かかる内部一本鎖領域は「内部一本鎖バブル」である。
【0058】
本明細書で使用される「一本鎖トラップ」という用語は、サンプル中に含まれる他の物質、つまり一本鎖領域を含有しない他のポリヌクレオチド、ポリペプチド、炭水化物、および脂質から、少なくとも1つの一本鎖核酸領域を含有する分子を選択する手段を意味する。かかる分子は、その化学的性質にかかわらず一本鎖核酸分子または任意の分子であることが可能であり、前記分子中の前記一本鎖領域の位置にかかわらず、一本鎖核酸領域である少なくとも1つの領域を含有する。
【0059】
本明細書で使用される「関連ポリヌクレオチド」とは、異なる配列を有するか、または他方と比較して一方のポリヌクレオチドから欠失もしくは追加される1つまたは少数の領域を除いて、同一配列を有するポリヌクレオチドを意味する。通常の関連ポリヌクレオチドは、同一遺伝子のスプライシングアイソフォーム、または同一遺伝子の別の対立遺伝子と比較してゲノム欠失または追加を有する遺伝子である。かかる関連ポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、mRNA、完全長cDNAなどの完全長ポリヌクレオチド、またはその断片である。
【0060】
「核酸差異」という用語は、本質的に領域の挿入、欠失または置換にある関連ポリヌクレオチド間のヌクレオチド差異を意味する。具体的には、数塩基対のみのヌクレオチド差異にあるミスマッチは本発明から除外される。
「選択的スプライシング事象」という用語は、選択的スプライシングによって同一遺伝子または同一プレmRNAから生じる2つのポリヌクレオチド間に存在する配列変異を示す。この用語は、前記配列変異を含有する、スプライシングアイソフォームまたはその断片を含むポリヌクレオチドもまた意味する。前記配列変異は、少なくとも1つのエクソンもしくはエクソンの一部の挿入または欠失によって特徴づけられることが好ましい。「選択的スプライシング事象」という用語は、本来のスプライシング事象、エクソンのスキッピング(Dietz 等, Science 259,680 (1993); Liu 等, Nature Genet. 16,328−329 (1997); Nystrm−Lahti 等 Genes Chronaosornes Cancer 26: 372−375 (1999))、細胞の環境条件(例えば、細胞の種類または物理的刺激)またはスプライシングの異常を引き起こす突然変異が原因のディファレンシャル・スプライシング(Siffert 等, Nature Genetics 18: 45−48 (1998))を包含する。
【0061】
[ポリヌクレオチドのサンプル]
本明細書において使用される「ポリヌクレオチドサンプル」という用語は、少なくとも2種類の異なるポリヌクレオチド種、つまり完全に同一ではない配列を有するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの収集物を含有するサンプルを意味する。前記ポリヌクレオチドサンプルは、DNA(ゲノムDNAもしくはgDNA、またはcDNA)、RNA(mRNA、プレmRNA、または一部スプライスされたRNA)、またはそれらの混合物を含有することが可能である。前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖、二本鎖分子、または一本鎖核酸分子と二本鎖核酸分子との混合物を含有することが可能であり、その各形態は、本発明の実施形態である。前記ポリヌクレオチドサンプルは、(+)鎖と(−)鎖との混合物を含有することが好ましい。前記ポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖ポリヌクレオチドのみを、または二本鎖ポリヌクレオチドを大部分含有することが好ましい。さらに好ましくは、前記ポリヌクレオチドサンプルは、cDNAのみを、またはcDNAを大部分含有するが、一本鎖cDNAもまた本発明によって考察される。
【0062】
一実施形態において、ポリヌクレオチドサンプルは、単一ソース、単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含有する。当業者が思い描くことができるすべてのソース、すべての生理的および環境条件は、本発明の範囲内である。前記の所定の生理的条件は、健康条件、病理的条件、アポトーシス条件、分化条件、未分化条件からなる群から選択されることが好ましい。
【0063】
他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、少なくとも2種類のソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。このような異なる生理的条件または環境条件には、限定されないが、対照対実験、健康対感染、X感受性対X耐性、未分化対分化、正常対形質転換細胞が含まれる。
【0064】
本明細書において、生体サンプルから、またはcDNAもしくはgDNAライブラリーから生じる前記ポリヌクレオチドサンプルは、「複合ポリヌクレオチドサンプル」と呼ばれるだろう。本明細書において使用される「複合ポリヌクレオチドサンプル」という用語は、その一部が未知である不特定多数の遺伝子に由来するポリヌクレオチド収集物を意味する。一方、かなり限定された数のポリヌクレオチド種を含有する前記ポリヌクレオチドサンプルは、本明細書において「標的ポリヌクレオチドサンプル」と呼ばれるだろう。かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来するポリヌクレオチドを含有する。本明細書において使用される「限定セットの遺伝子」という用語は、有限数の公知の遺伝子、好ましくは少なくとも2、3、5、10、50、100または500個の定義された遺伝子に由来するポリヌクレオチドを意味する。
【0065】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、標的ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、複合ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、標的ポリヌクレオチドサンプル由来のポリヌクレオチドと複合ポリヌクレオチドサンプル由来のポリヌクレオチドのどちらも含む。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、共に混合された複合ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。
【0066】
選択的スプライシング事象を同定するための好ましいポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖cDNA収集物または混合された少なくとも2種類の二本鎖cDNA収集物にあるポリヌクレオチドサンプルである。選択的スプライシング事象を同定する他の実施形態において、そのポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖cDNA収集物または混合された少なくとも2種類の一本鎖cDNA収集物を含有する。前記一本鎖cDNA収集物(1種または複数種)は、(+)一本鎖および(−)一本鎖を含むことが好ましい。ポリヌクレオチドサンプル中の選択的スプライシング事象を同定する好ましい実施形態において、対象の遺伝子に対する固有のポリヌクレオチド種をcDNA収集物と混合する。前記の固有のポリヌクレオチド種を過剰に、つまりcDNA収集物と比較して、1.01:1〜100:1、好ましくは1.1:1〜10:1、さらに好ましくは1.5:1〜6:1の比の範囲で添加する。その結果得られた、かかるポリヌクレオチドサンプルは、cDNA収集物中の対象の遺伝子(1つまたは複数)に対して存在するすべてのスプライシング事象をさらに効率的に同定するのに有用である。
【0067】
ゲノムの差異を同定するための好ましいポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖gDNA収集物または混合された少なくとも2種類の二本鎖gDNA収集物を含有するポリヌクレオチドサンプルである。他の実施形態において、ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖gDNA収集物または混合された少なくとも2種類の一本鎖gDNA収集物を含有する。前記一本鎖gDNA収集物(1種または複数種)は、(+)一本鎖および(−)一本鎖を含むことが好ましい。
【0068】
(生体サンプル)
本発明は、特定の制限なく、ポリヌクレオチドを含有するすべての生体サンプルを包含する。特に、本発明による生体サンプルは、細胞、組織、器官、固定もしくは非固定の外科的もしくは生検標本、例えば骨髄穿刺液、または全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液、および呼吸器、腸管および尿生殖器の様々な外分泌物、涙、唾液、乳、白血球、細胞培養上清液などの体液を含む生体液から得られる。サンプルの起源は、動物(好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒト)、植物、ウイルス、細菌、原生動物または真菌であることが可能である。サンプルは、真核生物、原核生物、または非細胞生物であってもよい。特に組織、器官、生体液または生検材料に由来する場合、生体サンプル中に含まれる細胞を、利用可能な細胞の数を増やすために培養することができる。そのサンプルは、単一型からの細胞または混合細胞型の細胞を含有することが可能である。その細胞、組織および標本は、正常な個体または疾患もしくは障害を有する患者に由来するものであることが可能である。その疾患または障害は例えば、癌、神経変性疾患、炎症性疾患、心循環器疾患、免疫疾患、肥満症などの体重の疾患等である。いずれかの特定の細胞、細胞型、病理細胞、発生または疾患進行の特定の状態での細胞が本発明において考察される。
【0069】
(複合ポリヌクレオチドサンプルの作製)
複合ポリヌクレオチドサンプルの作製は、所定の状況(サンプル内の差異)において発現した遺伝子を表すポリヌクレオチドの全集団内に存在するすべての核酸差異を系統的に単離するのに特に適している。例えば複合cDNAサンプルを用いて、生体サンプル全体の所定の状況において存在するすべてのスプライシング事象またはすべてのスプライシングアイソフォームを単離することができる。複合ポリヌクレオチドサンプルの作製は、2種類以上の異なる状況(サンプル間の差異)を表すポリヌクレオチドの2つ以上の集団全体の間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのにもまた適している。例えば、2種類以上の生体サンプルからのポリヌクレオチドを混合することから得られる、かかる複合cDNAサンプルは、異なる生体サンプル間の差次的発現から生じる選択的スプライシング事象またはアイソフォームを単離するのに有用である。一方、2種類以上の菌株のゲノムを混合することから得られる、かかる複合gDNAサンプルは、それらの菌株間のゲノム差異を単離するのに有用である。
【0070】
〈ゲノムDNAサンプルの作製〉
それらは当業者にはよく知られており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれるGilman 等「Current Protocols in Molecular Biology」, Volume 1, Chapter 2 (Ausubel 等, eds, John Wiley & Sons, New York, N. Y., 1994)に記載の技術が含まれる。
【0071】
〈RNAサンプルの作製〉
複合ポリヌクレオチドサンプルは、全RNA中で濃縮された集団から、またはmRNA中で濃縮された集団から作製することが可能である。
全mRNAの抽出方法は当技術分野で公知であり、例えばその開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等, (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, vol. 1, ch. 7; 上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, Chapter 4;ChomczynskiおよびSacchi, (1987) Anal. Biochefra. 162: 156−159に記述されている。通常、全RNAの単離は、塩化グアニジウムまたはチオシアン酸グアニジウムなどのカオトロピック剤の存在下で行い、続いてフェノール、クロロホルムなどの溶媒または両方のサンプルを用いて、RNAの抽出を行うが、その代わりに他の洗浄剤および抽出剤を使用することができる。全RNAの抽出に、いくつかの市販のキット、例えばUS73750キット(Amersham社)およびRneasyキット(キアゲン社)も利用することができる。
【0072】
代替方法として、複合ポリヌクレオチドサンプルをメッセンジャーRNAから作製することが可能である。これらのmRNAは、製品供給元からまたは当業者にはよく知られている数多くの方法の1つから得ることができる。例えばポリTオリゴヌクレオチドの使用(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Aviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 69: 1408−1412,1972)を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、メッセンジャーRNAを生体サンプルまたは全RNA抽出物から直接単離することができる。通常、オリゴ(dT)−セルロースによるクロマトグラフィーまたはmRNA分子のポリアデニル化3’−部分に結合する能力を有する他のクロマトグラフ媒体によって、mRNAは全RNAから単離される。mRNAを作製するために、いくつかの市販のキット、例えばPharmacia Biotech社(ニュージャージー州ピスキャタウェイ)1995、カタログ番号27−9255−01および番号27−9254−01;Stratagene社(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)1995、カタログ番号200347、200345、200348、200349、および200344、US72700キット(Amersham社)またはoligo−dTビーズキット(Dynal社)も利用することができる。プレmRNAまたは不完全にスプライスされたプレmRNAによる汚染を防ぐために、細胞質ゾルの全RNAからmRNAを作製することが好ましい。これは、Rneasyキット(N 74103、Quiagen社)を用いて行うことができる。市販のmRNAライブラリーおよび/または公的に入手可能なmRNAライブラリーもまた、本発明に従って使用することができる。例えば、LABIMO社およびCLONTECH社は、異なる組織に由来するヒト全RNAまたはポリA+RNAを販売している。
【0073】
〈cDNAサンプルの作製〉
本発明の好ましい実施形態において、本発明の複合ポリヌクレオチドサンプルは、当技術分野で公知の数多くの方法の1つを用いて、全RNAまたはメッセンジャーRNAから作製されたcDNA分子を含有する。
【0074】
一般に、これらの方法は、mRNA鋳型およびオリゴヌクレオチドプライマーから一本鎖cDNAを合成するための逆転写酵素の使用を含む。実験の詳細は、例えばその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, volume 1, chapter 5、およびSambrook 等, supra, volume 2, chapter 8に記述されている。
【0075】
数多くの逆転写酵素が文献に記述されおり、かつ市販されている。例えば、最も使用されている逆転写酵素は、AMVおよびMMLVウイルス逆転写酵素である。さらに、Therrnus flavusおよびTherrnus therrnoplailusHB−8(Promega社)からの逆転写酵素活性を有するいくつかの耐熱性DNAポリメラーゼもまた使用することができる。好ましい実施形態では、伸長をブロックし得るRNA二次構造を不安定化するために、かなりの高温で第1cDNA鎖を合成することができる逆転写酵素、例えば約42℃で働くAMV逆転写酵素および60℃までで働くTth逆転写酵素を使用し、結果として、向上した忠実度および効率を有する最初のmRNA集団を表すと考えられる長いcDNAが得られる。他の実施形態において、cDNA合成のより高い収率を得るため、かつcDNA合成中のRNA分解を防ぐために、リボヌクレアーゼH活性を持たない逆転写酵素を使用する。かかるRNアーゼH−逆転写酵素は、変異または欠失により逆転写酵素活性を有する公知のいずれかの酵素から作製することができる。その代わりとしては、かかるRNアーゼH−逆転写酵素は市販されている(参照:18053−017、Life Technologies社)。
【0076】
第1cDNA鎖を作製するために、2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、つまりランダムもしくはセミランダムプライマー、およびオリゴdTプライマーを使用することが可能である。ランダムオリゴヌクレオチドは、好ましくは長さ4〜10ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ6ヌクレオチドである。この方法は当業者にはよく知られており、RNA鋳型のランダムな異なる位置で逆転写を開始させる。その代わりに、セミランダムプライマー、つまりi)更なる増幅を可能にする内部プライマー配列および/または更なるクローニングを可能にする制限部位を含有する安定化領域、ii)ランダム領域、およびiii)プライマーを周期的にハイブリダイズさせる最小限のプライミングの領域を含有するプライマーを使用することが可能である。更なる実験の詳細は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO99/4640に記述されている。ランダムもしくはセミランダムプライマーと異なり、オリゴdTプライマーは、mRNAのポリAテールから逆転写を開始することを可能にする。そのプライマーは、好ましくは長さ4〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ約15ヌクレオチドである。オリゴdTプライマーの最後の3’ヌクレオチドを変性させて、ポリAテールのごく最初でDNA合成を開始させることがさらに好ましい。
【0077】
任意に、必要な場合には新たに合成されたcDNAから鋳型RNAを同定、選択または分類するために、標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用してもよい。分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって、標識化を用いることが可能である。例えば、有用な標識には、放射性物質(32p、35S、3H、125Iを含む)、蛍光染料(5−ブロモデオキシウリジン、フルオレセイン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニンを含む)またはビオチンが含まれる。オリゴヌクレオチドの非放射性標識の例は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、フランス特許番号:FR7810975に、またはUrdea等 (1988) もしくはSanchez−Pescador 等(1988)によって記述されている。さらに、標識オリゴヌクレオチドは、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、1991年にUrdea 等によって記述されている、または欧州特許番号:EP 0 225 807(Chiron)に記述されている分岐DNAプローブなど、シグナル増幅を可能にする構造特性を有することができる。
【0078】
次いで二本鎖cDNAは、例えば自己プライミング(上記の Sambrook 等, p.8.14参照)および置換合成(それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、上記の Sambrook 等, p.8.15; Klickstein 等, Current Protocols in Molecular Biology,1995, p. 5.5.1−5.5.14参照)を含む当技術分野で公知の方法のいずれか1つを用いて、得られた一本鎖cDNA鋳型から合成される。好ましい技術では、大腸菌RナーゼH、大腸菌DNAポリメラーゼおよび大腸菌DNAリガーゼが使用される。第二鎖合成の最終段階は通常、平滑末端を有するcDNA分子を得るための、T4DNAポリメラーゼの使用を含む。
【0079】
任意に、レアなmRNAを表すcDNAが得られる最良の結果を得るために、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,637,685号;Sankhavaram 等, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88,1943−1947; Ko (1990), Nucl. Acids. Res.18,5709; および Bonaldo 等, Genome Res. 6: 791−806に記載の技術を含む、当業者には公知の技術を用いて、正規化されたcDNAライブラリー、つまり豊富な転写物の大部分において枯渇したライブラリーを作製することが可能である。
【0080】
(標的ポリヌクレオチドサンプルの作製)
この場合には、ポリヌクレオチドサンプルは、所定の生体サンプルまたはDNAライブラリー(つまり、複合ポリヌクレオチドサンプル)に存在するポリヌクレオチドの全セットを含有するわけではなく、1つの遺伝子もしくは限定セットの遺伝子から得られるまたそれに由来する、限定セットのポリヌクレオチド種のみを含有する。
【0081】
かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは特に、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ所定の環境または生理的条件を表すポリヌクレオチド間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのに適している。例えば、標的cDNAサンプルを用いて、所定の状況において単一遺伝子または限定セットの遺伝子に存在するすべての選択的スプライシング事象を研究することができる。
【0082】
かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ2種類以上の異なる環境もしくは生理的条件を表すポリヌクレオチド間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのにもまた適している。例えば、2種類以上の異なる状況を表す2種類以上の異なる標的cDNAサンプルからのポリヌクレオチドを混合することによって得られた標的cDNAサンプルは、単一遺伝子または限定数の遺伝子に対する状況の中の差異を表すすべてのスプライシング事象を単離するのに有用である。
【0083】
限定数のポリヌクレオチド種を含有する標的ポリヌクレオチドサンプルは、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、最初の複合ポリヌクレオチドサンプルから得ることができる。
当業者に公知の選択方法を用いて、複合ポリヌクレオチド集団の中から、対象のポリヌクレオチド種を選択することが可能である。例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, Volume 1, Chapter 6に記述されているように、前記単一遺伝子もしくは前記限定セットの遺伝子に由来する対象のポリヌクレオチドに特異的に結合することが可能なハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNAまたはgDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、対象のポリヌクレオチドを検出かつ単離することが可能である。代替方法として、CLONTECH Laboratories社からのRecAに基づく技術を用いて、標的クローンを単離することができる。RecAは、一本鎖DNAプローブおよび相同的二本鎖DNA分子間での複合体の形成を促進し、このため、標的配列を含有する二本鎖プラスミドを直接単離することが可能となる。RecAに基づく選択手順を実施するために、必要なものは、200〜300bpのビオチン化プローブを増幅するためのプライマーをデザインするのに十分な、各標的遺伝子からの配列情報のみである。次いで、これらのPCR産物を変性させ、RecAとの複合体を形成し、所定の複合DNAライブラリー内での標的クローンの選択に使用する。[更なる詳細については、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Clontech社からのClonCapture cDNA Selection Kit User Manual (参照:PT3246−1)を参照のこと]。Clontech社のRecAに基づく技術を使用する代わりに、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gibco−BRL社からのジーン・トラッパー(Gene Trapper)技術を使用することが考えられる。
【0084】
代替方法として、対象のポリヌクレオチド種に特異的なプライマーを、ランダム、セミランダムまたはオリゴdTプライマーなどの非特異的プライマーの代わりに使用することを除いては、「cDNAサンプルの作製」という題名のセクションに記載の方法を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、RNAサンプル、好ましくはmRNAサンプルから二本鎖cDNAを選択的に合成することが可能である。好ましくは、かかるプライマーは、できる限り多くのスプライシングアイソフォームに対応するcDNAを合成することができるように、対象の遺伝子(1つまたは複数)の転写部分の予測される大部分の3’末端とハイブリダイズするようにデザインされる。さらに好ましくは、そのプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の最後のエクソンにポリアデニル化部位を含有する領域とハイブリダイズすることが可能なようにデザインされる。代替方法として、そのプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)によってコードされるタンパク質(1種または複数種)に対して、最後のコーディングエクソン、好ましくは3’から終止コドンとハイブリダイズすることが可能なようにデザインされる。任意に、選択的な異なる大部分の3’エクソンとハイブリダイズすることが可能ないくつかのプライマーを、選択的な3’エクソンの存在に関して既に蓄積されている実験知識に基づく、または当業者に公知のソフトウェアを用いた選択的スプライシングに関する予測に基づく同一遺伝子に対してデザインすることができる。
【0085】
増幅の方法を用いて、本明細書の他に開示されているような、標的ポリヌクレオチドサンプルを得ることが好ましい。EPA−320 308、WO9320227およびEP−A−439 182に記載のリガーゼ連鎖反応(LCRまたはギャップLCR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、RT−PCR)およびGuatelli 等, (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 35: 273−286および Compton (1991) Nature. 350 (6313): 9192に記載の核酸配列に基づく増幅(NASBA)などの技術、欧州特許出願第4544610号に記載のQ−β増幅、Walker 等, (1996) Clin. Chem. 42: 9−13およびEP A 684 315記載の鎖置換による増幅、およびPCT公開番号:WO9322461に記載の標的仲介増幅などの技術を含む、増幅の直線的または対数的方法を用いることができる。上記の文献の開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。代替方法として、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Marshall 等, (1994) PCR Methods and Applications. 4: 80−84に記載の非対称ギャップLCR(RT−AGLCR)を用いて、RNAを直接増幅することが可能である。そのPCR技術は、本発明で使用するのに最も好ましい増幅技術である。様々なPCR技術が当業者に知られている。PCR技術を再検討するために、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、White (1997) B. A. Ed. in Methods in Molecular Biology 67: Humana Press,Totowa; Erlich, (1992) PCR Technology; Principles and Applications for DNA Amplification.W. H. Freeman and Co., New York; 題名「PCR Methods and Applications」の出版物 (1991, Cold Spring Harbor Laboratory Press)参照。最初のポリヌクレオチドサンプルが主にRNAを含有する場合、「複合ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションに上述されている技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、二本鎖cDNAが最初に合成される。次いで、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来する対象のcDNAは、好ましくはPCR技術(「Current Protocols in Molecular Biology」,Volume 2, Chapter 15)を用いて、対象の単一遺伝子または限定セットの遺伝子に特異的なプライマーで前記二本鎖cDNAサンプルから選択的に増幅される。実際には、少なくとも1組のプライマーが、以下に示す対象の各遺伝子に対して特異的にデザインされる。第1オリゴヌクレオチドプライマーは、対象のcDNAの5’末端にできる限り隣接してアニールするようにデザインされ、第2オリゴヌクレオチドプライマーは、対象のcDNA3’末端にできるだけ隣接してアニールするようにデザインされることが好ましい。数組のプライマーを、選択的な5’および/もしくは3’エクソンの存在に関して既に蓄積されている実験知識に基づく、または当業者には公知のデータベース検索およびいずれかのソフトウェアを用いた選択的スプライシングに関する予測に基づく同一遺伝子に対して、異なる選択的な大部分の3’エクソンもしくは5’エクソンとハイブリダイズするようにデザインすることが可能である。したがって、当業者には容易に理解できるように、各標的遺伝子に対応する二本鎖cDNA分子の標的混合物が得られ、選択的スプライシング事象が2つのPCRプライマー間に位置する領域で起こる場合には、前記標的遺伝子の異なるスプライシングアイソフォームが表現される。いくつかの遺伝子に由来する標的cDNAサンプルが所望の場合には、PCRを同じチューブ中で、または好ましくは遺伝子のセットが大きい場合、最終の標的cDNAサンプルを得るために次いで共にプールされる最初のcDNAサンプルの異なるアリコート中で並行して行うことができる。
【0086】
同様に、最初のポリヌクレオチドサンプルが主にゲノムDNAを含有する場合には、標的DNAサンプルは、好ましくはPCRによって、さらに好ましくは広範囲のPCR技術を用いて、対象の特異的遺伝子または限定セットの遺伝子に特異的なプライマーで得られる。好ましくは、第1オリゴヌクレオチドプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の大部分の5’末端にアニールし、第2オリゴヌクレオチドプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の部分の大部分の3’末端にアニールする。したがって、得られる産物は、単一遺伝子または限定セットの遺伝子から生じる、異なるポリヌクレオチド種を含む二本鎖ポリヌクレオチドサンプルである。
【0087】
標的ポリヌクレオチドサンプルの作製の代わりに、所定のポリヌクレオチド種または限定セットのポリヌクレオチド種およびそのポリヌクレオチドに対して存在する核酸差異を選択し、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、本発明による方法の後の段階で単離することができる。例えば、対象のポリヌクレオチド種は、ハイブリダイズされた対象のポリヌクレオチドの読出しを可能にする特異的標識オリゴヌクレオチドを用いて、核酸差異を有するポリヌクレオチド中で濃縮された複合ポリヌクレオチドサンプルから単離することができる。
【0088】
(ポリヌクレオチドサンプルの低減)
任意に、複合もしくは標識ポリヌクレオチドサンプルである最初のポリヌクレオチドサンプルを作製するために、低減段階を行うことが可能である。代替方法としては、単離プルプロセスの都合のよい段階で、前記選択段階の後でさえ、低減段階を行うことができる。低減は、好ましくはシークエンス技術を用いて核酸差異を実際に同定する最終段階を促進するために、対象のポリヌクレオチドを小さな断片に切断することによるプロセスである。ポリヌクレオチドを5’および/または3’のシングルパスによってシークエンスできる場合、シークエンス段階はさらに効率的かつ経済的である。したがって、断片のサイズは、好ましくは1000bpを超えないほうがよい。断片の長さは、400〜1000bpであることが好ましく、さらに好ましくは約700bpである。
かかる低減は、ポリヌクレオチドのサイズを約1000bp以下に低減することを可能にする断片化によって達成することができる。その断片化は、当技術分野で公知の方法、例えば酵素的、化学的、機械的等に達成することが可能である。
【0089】
好ましい実施形態において、ウシ膵臓DNアーゼIで穏やかに消化することによって、ポリヌクレオチドが分解される。この酵素によって、Mn2+の存在下にてDNAの二本鎖切断が起こる。その切断はランダムであり、酵素濃度、温度および/またはインキュベーション時間を変化させることによって調節することができる。他の実施形態では、他のエンドヌクレアーゼ、例えば制限エンドヌクレアーゼで切断または消化することによって、断片化を達成することができる。
【0090】
任意に、適切なサイズ、好ましくは1000bp以下のサイズを有する断片を選択するために、断片化産物をさらに処理することができる。例えば、得られた断片化産物をゲル電気泳動によって分離し、400〜1000bpに相当するバンドをゲルから切り出し、数多くの既存の方法の1つによって回収することが可能である。代替方法としては、カラムクロマトグラフィーまたは当技術分野で公知の方法によって、ポリヌクレオチド断片を分離することができる。
本明細書において、低減段階にかけられたポリヌクレオチドサンプルは、「低減された」と表される。
【0091】
[アニーリング段階]
この段階の目的は、M0ポリヌクレオチドサンプルからの一本鎖分子を、少なくともある領域にわたって相補的である鎖を含有する二重鎖にアニーリングし、その結果少なくとも一部二本鎖である二重鎖を形成することである。しかしながら、ポリヌクレオチドサンプルM0が主に二本鎖分子を含有する場合、アニーリング前の変性の追加段階が一本鎖分子を得るのに必要である。
【0092】
本明細書において使用される「変性」という用語は、両方の鎖の相補塩基間の結合を分解することによって、二本鎖核酸分子がその構成物の一本鎖、(+)極性を有する一方の鎖および(−)極性を有する他方の鎖に転換されるプロセスを意味する。
【0093】
本明細書において同義で用いられる「アニーリング」、「再生」、「ハイブリダイゼーション」という用語は、一方は(−)鎖であり、他方が(+)鎖である2本の核酸鎖を連結して、二本鎖分子、または二重鎖を形成するプロセスを意味し、前記連結は、両方の鎖の相補塩基間の水素結合によって仲介される。これらの核酸鎖は、2本のDNA鎖または1本のDNA鎖および1本のRNA鎖または2本のRNA鎖のいずれかである。
【0094】
(二本鎖分子の変性)
変性プロセスにおいて、MOポリヌクレオチドサンプルは変性条件にさらされ、その結果、サンプル中の個々の核酸鎖は互いに分離され、このため、M0に存在するポリヌクレオチドすべてとは限らないが、大部分が一本鎖分子となる。再生は、例えば高温、好ましくは約95℃を超える温度、低いイオン強度、酸性またはアルカリ性pH、および/またはホルムアミドもしくは尿素などの特定の溶媒を使用することによって達成される。核酸を変性させる方法は当技術分野でよく知られている(例えば、experimental details in material and methods of Cotton 等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 : 4397,1988; Shenk 等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72: 989,1975; Steger Nuc. Acids Res.22: 2760,1994;それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。
【0095】
(一本鎖分子のアニーリング)
一本鎖分子のみを、または一本鎖分子を主に含有するポリヌクレオチドサンプルを、個々の鎖が互いにアニールするようにアニーリング条件にさらす。アニーリング条件は、例えばアニーリングを生じさせる温度、イオン強度、pHおよび溶媒の値である。高いイオン強度および/または低い温度などのアニーリングを促進する条件、およびハイブリダイゼーションの厳密さを調整するためのこれらの条件の変動は当技術分野でよく知られており(上記のSambrook等, 1989; 上記のAusubel 等 Current Protocols in Molecular Biology)、サーモサイクラーで保持されるフェノール系エマルジョン中で(Kohne等,(1977) Biochemistry, 16 N 24, 5329−5341)、または攪拌によって(Miller and Riblet, Nucl. Acid. Res. (1995) 23: 2339)、ハイブリダイゼーションが実現されるPERT技術が含まれる。それらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。アニーリングの時間は、所望のハイブリダイゼーションの反応および程度において配列の複雑さに応じて変化させることができる。アニーリング条件は、所望の相補性のレベルに有利なように調整することもできる。
【0096】
いずれかの適切な手段(例えば、エッペンドルフ型チューブなど)を用いて、液相中または適切な支持体上でアニーリングを行うことが好ましい。ハイブリダイゼーションは、少量で、好ましくは10〜1000μl、さらに好ましくは10〜500μlで行うことがさらに好ましい。核酸物質の量は、当業者によって決定することが可能である。一般に0.1〜100μgの量が用いられる。
【0097】
アニーリング段階にかけられたポリヌクレオチドサンプルは、「アニールされる」と記述される。
変性段階およびアニーリング段階では、数種類の構造の分子が生成される。その一部を図1に図示する。
【0098】
α型分子:これらの分子は、完全もしくはほぼ完全な二本鎖の二重鎖またはホモ二重鎖である。例えば、この種類の分子は、所定の遺伝子の1つのスプライシングアイソフォームに対応する完全長一本鎖cDNAが、同一のアイソフォームに対応する相補的完全長cDNA鎖とアニールする場合に形成される。
【0099】
β型分子:これらの分子は、一方または両端に一本鎖テールを有する不完全な二重鎖である。例えば、mRNAの変性、逆転写の早期停止、内部プライミングなどの現象によって、切断されたcDNA鎖が産生され得る。切断されたcDNA鎖が切断されていない相補鎖とアニールした場合、新たに形成された二重鎖は、一方または両端に一本鎖テールを有するだろう。一方、かかる二重鎖は、同一遺伝子の異なるスプライシングアイソフォームに属する2本の鎖の間に形成し、一方のアイソフォームは、他方と比較して一方の末端のエクソン領域の追加または欠失を特徴とする。
【0100】
γ型分子:これらの分子は、一方または両端の一本鎖テールの存在を特徴とする1つまたは複数の内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖である。例えば、かかる分子は、遺伝子のスプライシングアイソフォームに対応する切断されたcDNA鎖が同一遺伝子の他のアイソフォームの完全長相補鎖とアニールする場合に得られ、そのアイソフォームは、それらの5’末端および3’末端の両方で共通のエクソンを共有する。アイソフォームが単に領域の挿入または欠失によって異なる場合、内部一本鎖ループが形成される。アイソフォームが単に、他の領域によるある領域の置換によって異なる場合、内部一本鎖バブルが形成される。
【0101】
δ型分子:これらの分子は、それらの末端に一本鎖テールが存在しないことを特徴とする1つまたは複数の内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖である。例えば、この種類の分子は、遺伝子の一方のスプライシングアイソフォームに対応する完全長cDNA鎖が同一遺伝子のその他のアイソフォームに対応する完全長相補的cDNA鎖とアニールした場合に形成され、そのアイソフォームは、それらの5’末端および3’末端の両方で共通のエクソンを共有する。一方、これらの構造は、ゲノムDNAからの鎖が、領域の挿入もしくは欠失を特徴とする変異を含むが、同一遺伝子に対応するゲノムDNAの相補鎖とアニールする場合に存在する。
【0102】
σ型分子:その分子は完全に一本鎖の分子である。一本鎖分子のこの集団は、別の鎖にアニールしなかった、変性段階によって生成された個々の鎖の集団に相当する。
γおよびδ分子によって図1に表される、内部一本鎖領域(1つまたは複数)有するヘテロ二重鎖またはISSRHは、以下の本発明によって包含される対象の分子である。というのは、それらは、例えば選択的スプライシング事象、ゲノム挿入もしくは欠失、または配列反復の伸長に対応する核酸差異を含むからである。実際には、核酸差異を除いて相補的な2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、2種類のポリヌクレオチド間の前記核酸差異に対応する1つまたは複数の内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二本鎖分子を形成するだろう。
【0103】
(浄化および平滑末端化段階)
ISSRHを選択するための一本鎖トラップの効率を向上させるために、アニールしたサンプルの一部の分子上に存在する《寄生的な》一本鎖領域、換言すれば、完全に一本鎖の分子(図1のσ分子)もしくは二重鎖の一本鎖末端(図1のβおよびγ分子)などの内部領域に対応しないすべての一本鎖DNA領域は、平滑末端化手順によって最終的に完了する浄化手順を用いて取り出すことが可能である。特に、β型およびγ型分子の一本鎖末端が除去され、完全な一本鎖のσ型分子もまた除去される。したがって、γ型分子はδ型分子に転換され、β型分子はα型分子に転換される。
【0104】
本明細書において同義で用いられる「浄化」、「浄化する」または「浄化された」という用語は、対象のサンプルにおけるポリヌクレオチドからの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域の部分的または完全な除去を意味する。
浄化段階は、ISSRHの一本鎖トラップの効率および特異性を妨げると考えられる内部一本鎖領域と異なる一本鎖断片の存在を実質的に低減するために用いられる。それは任意の段階であるが、最初のサンプルがランダムな低減段階にかけられる場合には必須である。核酸二重鎖から一本鎖末端を取り除くため、かつ一本鎖分子を除去するために、当技術分野では様々な技術を利用することができる。例えば、一本鎖末端および遊離の一本鎖分子は、エキソヌクレアーゼVIなどの一本鎖特異的なエキソヌクレアーゼを用いて消化することができる(参照により本明細書に組み込まれる、Kroeker 等 Biochemistry 15: 4463,1976)。5’末端もしくは3’末端から一本鎖DNAを消化するが、遊離末端なしの一本鎖DANに作用することができないエキソヌクレアーゼVIIは、β型およびγ型分子の一本鎖テールを消化し、σ型分子を取り除くが、ISSRHの内部一本鎖領域には作用しないだろう。エキソヌクレアーゼVIIは、その作用様式によって、処理後に単一ヌクレオチドのオーバーハングが残る結果となることから、二本鎖DNAを平滑末端化するのには適していないことを留意するのは重要である。同様の適切な酵素特性を有する他の酵素を使用することができる。
【0105】
好ましい一実施形態において、浄化段階は、一本鎖核酸分子を消化することが可能なエキソヌクレアーゼ、好ましくはエキソヌクレアーゼVIIを用いて行われる。
本明細書において同義で用いられる「平滑末端化する」、「平滑末端化」または「平滑末端化された」という用語は、一方の鎖が他方の鎖よりも長いのではなく、両方の鎖の末端が互いに平滑なポリヌクレオチドを得るために、二本鎖ポリヌクレオチドの末端を修飾することを意味する。
【0106】
この平滑末端化段階は、前の浄化段階なしで行ってもよい任意の段階であるが、浄化段階に加えて、行うことが好ましい。それは2つの目的:i)一本鎖トラップの効率および特異性を妨げる一本鎖末端の除去、相乗的には浄化段階への寄与、ii)最終的なアダプターライゲーションのための二重鎖末端の作製を果たす。しかしながら、非平滑末端を有する断片を生じるランダムな低減段階が行われ、アダプターライゲーションが望まれる場合には、平滑末端化段階は必須である。
【0107】
この平滑末端化段階の他の利点は、必要または所望の場合にはいつでも、本発明の一本鎖トラップを用いた選択段階後に回収されたポリヌクレオチドのその後の増幅に適切な形にポリヌクレオチドを転化することである。かかる増幅によって、必要な場合には、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離するための新たな濃縮サイクルを実施することを可能となるだろう。PCRにより増幅することができる形でのアニールしたサンプル中に存在するポリヌクレオチドの転化は、アダプターをポリヌクレオチド末端にライゲートすることによって行うことが可能である。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、平滑末端化段階はほとんどの場合、ライゲーション段階前の必須条件であるだろう。
【0108】
二本鎖DNAを平滑末端化する技術は当技術分野でよく知られている(Hyone Myong Eun, chapter 6, pp 367, 368, 382, 383, 「Enzymology Primer for Recombinaxtt DNA Technology」, Academic Press, 1996; Gubler, Methods Enzymol. 152: 330,1987;上記の Sambrook 等, pg. 5.45;それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。それらは、T4DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片(Pol Ik)の使用を含む。例えば、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性および5’→3’DNAポリメラーゼ活性を示すT4DNAポリメラーゼは、二本鎖DNA分子の3’突出末端の消化を完了し、劣性3’末端のためにギャップを充填して、平滑末端を有するDNA分子を生成するだろう。
【0109】
好ましい一実施形態において、平滑末端化段階は、ポリメラーゼ、好ましくはT4 DNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片を用いて行われる。さらに好ましい実施形態では、平滑末端化段階は、T4 DNAポリメラーゼを用いて行われる。
【0110】
[一本鎖トラップ]
本発明の方法の重要な段階は、サンプルの残りからの、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有するヘテロ二重鎖分子またはISSRHの集団の単離段階である。ポリヌクレオチドの残りからISSRHのこのサブセットを分離することによって、次いで核酸差異を非常に容易に同定することができる。
【0111】
本発明において、一本鎖トラップ、つまりサンプル中の一本鎖領域を含む分子を選択する手段を用いて、ISSRHの集団が選択かつ単離される。本発明の一本鎖トラップは、好ましくは一本鎖ポリヌクレオチドに結合させるのに用いられる条件下にて、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する「認識エレメント」(RE)に基づく。選択的な親和性とは、REが二本鎖ポリヌクレオチドよりも一本鎖ポリヌクレオチドに高い親和性を有すると理解されたい。一本鎖ポリヌクレオチドに対する前記親和性は、二本鎖ポリヌクレオチドよりも、少なくとも101、102、103、104、105、106、107、108以上高い。
【0112】
好ましい実施形態において、REは、一本鎖DNAを選択するのに用いられる条件下にて、一本鎖DNAに対して高い親和性を有するが、二本鎖DNAまたは一本鎖RNAに対してほとんど親和性を有しない、さらに好ましくは親和性を有しない。DNAを選択するのに使用される条件下にて、RNAと比較してDNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはRNAに対してほとんど親和性を有さない、またさらに好ましくはRNAに対して親和性を有さないREがさらに好ましい。
【0113】
他の好ましい実施形態において、認識エレメントは、一本鎖RNAに対して高い親和性を有するが、二本鎖RNAに対してはほとんど親和性を持たない、さらに好ましくは親和性を持たない。RNAを選択するのに使用される条件下にて、DNAと比較してRNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはDNAに対してほとんど親和性を持たない、またさらに好ましくはDNAに対して親和性を持たないREがさらに好ましい。
【0114】
(認識エレメントとしてのタンパク質の使用)
本発明の一連の好ましいREは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有するペプチドおよびタンパク質である。好ましい実施形態では、前記REは、一本鎖DNAを選択するのに使用される条件下にて、一本鎖DNAに高い親和性を有するが、二本鎖DNAまたは一本鎖RNAに対してほとんど親和性を持たない、さらに好ましくは親和性を持たない。一本鎖DNAに対して範囲108〜1011M−1の親和性を有するREがさらに好ましく、二本鎖DNAに対するそれらの親和性は104〜105M−1を超えない。DNAを選択するのに使用される条件下にて、RNAと比較してDNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはRNAに対してほとんど親和性を持たない、またさらに好ましくはRNAに対して親和性を持たないREがさらに好ましい。
【0115】
本発明のREは、一本鎖ポリヌクレオチドに対するそれらの結合親和性に関して、記述または明記される。好ましい結合親和性には、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×l0−l2M、10−l2M、5×l0−l3M、10−l3M、5×l0−l4M、10−14M、5×l0−l5M、および10−15M未満の解離定数またはKdを有するものが含まれる。
【0116】
本発明の好ましいREは、一本鎖結合タンパク質(SSB)として公知のタンパク質である。本明細書においてSSBは、RNAよりもDNAに対して、かつ二重鎖DNAよりも一本鎖DNAに対して強い選択性を有する結合タンパク質として定義される。SSBは密接かつ共同的に結合し、ヘリカーゼおよびトポイソメラーゼで見られるDNA依存性ATPアーゼ活性などの他の酵素活性を触媒しない。SSBは原核生物と真核生物の両方で見られる。最もよく研究されている原核生物のSSBはファージT4の遺伝子32(gp32)の産物および大腸菌SSBである。大腸菌SSBおよびgp32はそれぞれ、Promega社(M3011)およびAmbion社(2422)から購入することができる。最もよく研究されている真核生物のSSBは、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1である(SSBタンパク質についての更なる情報については、その開示内容全体が参照により組み込まれる、Kornberg and Baker, Chapter 10, 「DNA Replication」, second edition W. H. Freeman and Company, New York; およびChase (1986) Ann. Rev. Biochem. 55: 103−36を参照のこと)。二本鎖DNAと比較して一本鎖DNAに対する選択的な親和性を保持するSSBの相同体または変異体は、REとして本発明によって包含される。
【0117】
本発明の他の実施形態において、RNAポリメラーゼ、リコンビナーゼ、例えばRecAおよびUVsX、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、および乳酸脱水素酵素など、様々な程度の特異性で一本鎖DNAに結合する他のタンパク質、ならびにそれらの相同体または変異体をREとして使用してもよい(Grosse 等 Eur J Biochem (1986) 160 (3): 459−67; Chase 等 (1986) 上記の文献; Ando and Morrical (1998) 283: 785−96)。
【0118】
さらに他の実施形態では、REは、一本鎖ポリヌクレオチド(DNA、RNA、または両方)に選択的に結合することが可能な抗体である。一般に、一本鎖ポリヌクレオチドに特異的な抗体は、プリンおよびピリミジンヌクレオチドに対する特異性を有する抗体である。実際には、入手しやすいプリンおよびピリミジンヌクレオチドは一本鎖ポリヌクレオチドに存在し、二本鎖ポリヌクレオチドには存在しない。REとして使用することができる抗体の例は:いくつかのリウマチ性疾患において、特定の種類の癌および全身性エリテマトーデスなどの他の疾患において見られるような、一本鎖DNAに結合する自己抗体である(その開示内容全体が参照により組み込まれる、Swanson等,Biochemistry 1996 36: 1624−33; StevensおよびGlick, Biochemistry 1999 38: 560−8)。一本鎖DNAに特異的なかかる抗体は、Scimedex社(SSD96参照)から購入することができる。代替方法として、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を示す抗体を見つけるために、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、抗体ライブラリーをスクリーニングすることが可能である。代替方法として、一本鎖ポリヌクレオチに選択的な親和性を有するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を当業者に公知のいずれかの技術を用いて作製することが可能である。
【0119】
さらに他の実施形態において、REは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチド(DNA、RNAまたは両方)に対して選択的な親和性を有するペプチドである。かかるペプチドは、何千万個のペプチドを含有するペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって見つけることができる。ペプチドライブラリーは、バクテリオファージ上で作成するか、または直接的な化学合成から得ることができる。例えば、ファージペプチドライブラリー法においては、所定の長さのランダムな遺伝子を合成し、バクテリオファージ遺伝子中に挿入する。対象のペプチド配列を同定したら、それらを化学合成することができる。この概念は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、BaumbachおよびHammond, BioPharm., May 1992,24に詳細に記述されている。
【0120】
所望の長さまたは所望の範囲の長さの核酸差異を認識することが可能なREを使用することができることに留意すべきである。かかるREは、抗体もしくはペプチドライブラリーのスクリーニングおよびDNAシャッフリングおよびDNAファミリーシャッフリングなどのin vitroでのタンパク質進化技術を含む、当業者に公知の方法を用いて開発することが可能である[これらのシャッフリング法の例に関しては、Yano, T等, (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95,5511−5515; Zhang, J. H等, (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94,4504−4509; Chang, C.−C.等,(1999) Nat. Biotechnol. 17,793−797;Kikuchi, M.等, (2000) Gene 243,133−137を参照のこと]。
【0121】
〈選択段階〉
選択段階は以下のように行われる。認識エレメントを溶液中のポリヌクレオチドサンプルと混合し、その結果、サンプル中のポリヌクレオチドの一本鎖領域に対するREの結合が溶液中で起こる。結合段階後、RE−ポリヌクレオチド複合体が、サンプル中の遊離ポリヌクレオチドの残りから分離される。当業者であれば容易に理解されるように、遊離ポリヌクレオチドから、ポリヌクレオチドに結合したタンパク質またはペプチドを分離するのには、たくさんの可能性が存在する。これらの可能性は2種類の主要なカテゴリーに分類される。
【0122】
第一カテゴリーでは、タンパク質またはペプチドをポリヌクレオチドと区別する一般的な特性を用いて分離を行う。例えば、ポリヌクレオチドに結合したタンパク質の遊離ポリヌクレオチドからの分離は、ニトロセルロースが二本鎖DNAには結合しないがタンパク質に結合する能力を有することから、ニトロセルロースフィルターを用いて行うことが可能である(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記のCurrent Protocols in Molecular Biology, Volufrze 2, Chapter 12を参照のこと)。タンパク質と相互作用するポリヌクレオチドを遊離ポリヌクレオチドから単離するための他の可能性は、1:1のフェノール−クロロホルムなどの溶媒で抽出を行うことである(Invitrogen, San Diego, Calif. 1995 catalog p.63を参照のこと)。
【0123】
第二カテゴリーでは、標的分子、つまりREが固定化リガンドによって捕獲されることを特徴とするアフィニティー技術によって、分離が達成される。第一カテゴリーでは、リガンドは、標的自体、つまり無修飾形の標的タンパク質またはペプチドに対する親和性を有する。例えば、従来の多くのタンパク質のアフィニティー精製プロセスでは、固定化アフィニティーリガンドとしてモノクローナル抗体が使用されている。このように、例えばREがSSBタンパク質である場合、SSBとISSRHとの間で形成された複合体は、SSBタンパク質に特異的に結合する抗体を固定化リガンドとして用いることによって、サンプルの残りから分離することが可能である。
【0124】
第二サブカテゴリーにおいて、固定化リガンドに対して親和性部位を含有するようにするために、REが修飾される。例えば、REはビオチン化される。次いで、ビオチン化REおよびポリヌクレオチドサンプルを共に混合し、ビオチン化REと一本鎖領域を有するポリヌクレオチド分子との間で、この結合段階中に形成された複合体を、数多くのビオチン/ストレプトアビジン精製システムのうちの1つを用いて、ポリヌクレオチドサンプルの残りから分離する。REを修飾する他の手法は、REに添加された融合タグを含有する組換えREタンパク質を生成することである。この手法では、ペプチドまたはタンパク質タグ(特に、アフィニティーテール、切断可能なリンカー、およびマーカー配列とも呼ばれる)をコードするポリヌクレオチドを、対象の遺伝子(例えば、大腸菌SSBタンパク質の遺伝子)の5’末端または3’末端に付ける。得られた遺伝子融合は宿主細胞中で発現し、コードされた組換え融合タンパク質は、当技術分野で公知の方法を用いて、遺伝子工学によるタグの特性に基づいて、混入する宿主タンパク質から単離される。この手法を用いて(時として、アフィニティータグタンパク質精製システムと呼ばれる)、精製された標識REタンパク質が得られ、一本鎖領域を有するポリヌクレオチドをポリヌクレオチドサンプルの残りから分離するのに使用することができる。例えば、標識SSBタンパク質と一本鎖領域を有するポリヌクレオチド分子との間の複合体は溶液中で形成される。次いで、タグに特異的に結合するアフィニティーリガンドが固定化されているアフィニティーマトリックスにサンプルを通すことによって、これらの複合体を溶液から除去する。
【0125】
上述の方法において、REは最初に、いわゆる結合段階において溶液中でその一本鎖ポリヌクレオチド標的との複合体を形成する。次いで、RE−ポリヌクレオチド複合体を遊離ポリヌクレオチドから精製する。本発明の更なる実施形態として、これらの2つの段階を組み合わせ、同時に行ってもよい。例えば、REを固体マトリックス上に固定化し、一本鎖領域を含まないポリヌクレオチドから、一本鎖領域を有するポリヌクレオチドを分離するために、サンプルをアフィニティーマトリックスに適用することが可能である。
【0126】
本発明の好ましい実施形態において、一本鎖トラップは以下のようにデザインされる。REは「一本鎖結合タンパク質」、好ましくは大腸菌SSBである。SSBとISSRHとの結合は、比較的高いイオン強度、0.2M〜0.8M NaCl、さらに好ましくは約0.3M NaClを有するバッファー中で生じる。これらのイオン条件下で、大腸菌SSBの結合は、一本鎖DNAに対して高度に特異的である。
【0127】
さらに好ましい実施形態では、大腸菌SSBは、精製タグ、好ましくはHisタグをそのNH2またはCOOH末端に有するように遺伝子改変されている。HisタグSSBを対象のポリヌクレオチドサンプルと混合し、その結果、標識SSBと一本鎖領域を有するポリヌクレオチドとの間の複合体が溶液中で形成する。次いで、Hisタグ融合タンパク質を精製するためにデザインされた固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)マトリックスにサンプルを通すことによって、これらの複合体を溶液から除去する。標識タンパク質のアフィニティー精製に用いられる、当技術分野で公知のかかるIMACマトリックスは、様々な供給元(例えば、Novagen社など)から購入することができる。次いで、競合的な対リガンド、好ましくはイミダゾール、または非常に高いイオン強度のバッファーを使用することによって、HisタグSSB/DNA複合体を溶出する。
【0128】
任意に、対象のISSRHをREから遊離させるために、ポリペプチドからポリヌクレオチドを分離するための当業者に公知のいずれかの技術を用いて、単離されたISSRH−RE複合体を処理する。例えば、フェノール・クロロホルム抽出、続いて最終的にはクロロホルム抽出、およびアルコール沈殿段階を実施することが可能である。代替方法としては、ISSRH−RE複合体をプロテアーゼまたはプロテアーゼのカクテルで処理して、複合体のタンパク質部分を分解し、続いて核酸部分、つまりISSRHを取り出す。
【0129】
任意に、サンプルからのISSRHの回収を最大限にするために、本発明の一本鎖トラップを用いたISSRHの選択を、好ましくは新しいREを用いて同一サンプルで数回繰り返し行う。前記選択は1〜5回行うことが好ましい。繰り返しの最適回数は、主に各回でトラップされるISSRHの相対量およびトラップするのに利用可能なREの量に応じて異なるだろう。
【0130】
当業者であれば、ポリヌクレオチドサンプルからISSRHを選択する上述の技術は、本発明の実施形態の一部の説明を表すということを理解されよう。様々な変更または修正は当業者には明らかであり、本発明の範囲または精神から逸脱することなく加えることができる。
【0131】
(認識エレメントとしての物質の使用)
また、本発明により包含される認識エレメントは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を示す物質である。かかる物質は、前記ポリヌクレオチドと前記物質との間の会合の性質に関係なく、可逆的方法で一本鎖ポリヌクレオチドが、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して選択的に会合する支持体または物質であることが可能である。かかる会合は、吸収、吸着、または他の可逆型の会合である。
【0132】
REとして用いるのに好ましい物質は、ポリヌクレオチドサンプルを分画するのに使用される支持体であり、一本鎖ポリヌクレオチドを特異的に保持することが可能であり、限定されないが、MAB(ベントナイトカラム上のメチル化アルブミン)もしくはMAK(珪藻土カラム上のメチル化アルブミン)などのメチル化アルブミンカラム、またはベンゾイル化−ナフトイル化DEAEセルロース(BNDC)カラムが含まれる。
【0133】
本発明の好ましい実施形態において、当業者に公知の技術を用いて、カラムを作製するのに、かかる物質が使用される。かかる物質は使い捨てシリンジに充填されることが好ましい。洗浄段階後、一本鎖ポリヌクレオチドを選択的に保持するカラムに、ポリヌクレオチドサンプルを通す。結合の条件は、使用される支持体の種類によって異なり、当業者によって容易に理解されるだろう。MAKカラムを使用する場合、好ましい洗浄バッファーおよび結合バッファーは、pH6.7に調節されたバッファーであり、イオン強度は0.6M NaCl〜1.6M NaClである。BNDCカラムを使用する場合、好ましい洗浄および結合バッファーは、1M NaClバッファーである。好ましいが任意の洗浄段階の後、次いで、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、保持された一本鎖ポリヌクレオチドをカラムから溶出して、前記一本鎖ポリヌクレオチドと前記支持体との間に形成された種類の会合を分断する。例えば、より高いイオン強度を有するバッファーを使用する。時に、段階的な塩勾配を用いてもよい。結局のところ、異なるpH条件を有するバッファーを使用することが可能である。MAKカラムを使用する場合、i)結合バッファーのイオン強度〜1.6M NaClの範囲の段階的な塩勾配、および最終的にii)pH7、10.7および次いで11.6に調節された1M NaCl、バッファーを用いて、溶出を行うことが好ましい。BNDCカラムを使用する場合には、ホルムアルデヒド50%を含有する1M NaClバッファーを用いて、溶出を行うことが好ましい。実験条件についての更なる詳細は、BNDCおよびMAKについてはDaviesおよびMiller, J Lab Clin Med (1981) 98: 549−57; BNDCについてはNelson 等, Nature Genetics (1993) 4: 11−17; MAKについてはBraun,Z. Naturforsh. (1975) 30: 248−252; MABについてはShirobokov 等, Biokhimiaa (1975) 40: 531−537)に記述されている。それらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
任意に、サンプルからのISSRHの回収を最大限にするために、本発明の一本鎖トラップを用いたISSRHの選択が、前記カラムにサンプルを流すことによって、同一サンプルで数回繰り返し行われる。前記選択は1〜5回行うことが好ましい。繰り返しの最適回数は、主に各回でトラップされるISSRHの相対量およびトラップするのに利用可能なREの量に応じて異なるだろう。
【0135】
当業者であれば、ポリヌクレオチドサンプルからISSRHを選択する上述の技術は、本発明の実施形態の一部の説明を表すということを理解されよう。様々な変更または修正が当業者には明らかであり、本発明の範囲または精神から逸脱することなく加えることができる。
【0136】
選択段階後に得られたポリヌクレオチドの集団はISSRHにおいて濃縮される。かかる濃縮された集団をクローン化して、核酸差異を含有するポリヌクレオチドで濃縮されたライブラリーが得られる。次いで、濃縮されたライブラリーをシークエンスすることによって、これらの差異を正確に同定する。代替方法としては、濃縮が十分でない場合には、クローニング段階前に濃縮サイクルをもう1回行うことが可能である。
【0137】
[アダプターのライゲーションおよび切断]
任意に、本発明による方法においてアダプターを使用して、対象のポリヌクレオチドを続いてクローニングまたは続いて増幅することができる。したがって、アダプターのライゲーション段階の目的は、更なるクローニングまたは増幅に適した形に、選択されたポリヌクレオチドを転換することである。当業者には容易に理解されるように、ポリヌクレオチドへのアダプター配列のライゲーションは、一本鎖トラップによって選択段階から回収されたポリヌクレオチドの増幅を可能にし、その結果最終クローニング段階が容易になるだけではなく、必要な場合には、新しい濃縮サイクルを再開することを可能にする。
【0138】
アダプターは、増幅プライマーに対して少なくとも1つの結合部位を含有し、かつその後の増幅に対して効率的なハイブリダイゼーション部位として働くのに十分長くなければならない。アダプターは、長さ10〜40ヌクレオチドであることが好ましい。アダプターは、長さ20〜30ヌクレオチドであることがさらに好ましい。プライマーは、必要または所望の場合には容易に除去されるように、デザインすることも好ましい。例えば、アダプターは、その配列内のどこかに、つまり対象のポリヌクレオチドにライゲートされるであろう末端の近く(ライゲーション部位)、遊離末端の近く(遠位部位)、または好ましくはライゲーション部位の近くであるが内部に制限部位を有する。次いで、アダプター内の制限部位の位置に応じて、適切な制限酵素でポリヌクレオチドサンプルを単に消化することによって、制限酵素部位を含有するアダプターを少なくとも一部または完全に除去する。好ましくは、限定されないがNot I、Eco RI、Hind IIIを含む、レア制限部位が選択され、その結果、アダプターを除去した際、対象のポリヌクレオチド内では望ましくない内部切断はほとんど起こらない。この状況での望ましくない切断は、正確な核酸差異の同定を妨げる可能性のあるもの、換言すれば、主に前記核酸差異を有する領域内またはその隣接する周囲内で起こると考えられる切断である。アダプター配列はさらに好ましくは、その後のクローニングを簡単かつ柔軟にする、複数の制限酵素部位、またさらに好ましくは複数のレア制限部位を含む。かかるオリゴヌクレオチドアダプターは、化学合成を含む、当業者に公知のいずれかの材料および方法を用いて完全に人工的に合成するか、または製品供給元から購入することができる。
【0139】
好ましいアダプターは、長い方が1〜3ヌクレオチド長い、異なるサイズの2つの相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることによって形成される。短い方だけがその5’末端でリン酸化される。2つのオリゴヌクレオチドは、アダプターライゲーション部位が平滑であるのに対して、遠位部位は1〜3ヌクレオチドの5’一本鎖テールを表すようにデザインされる。遠位部位でのこの4’突出領域の役割は、ライゲーション段階中のいずれかのアダプター重合プロセスを避けることである。
【0140】
アダプターは、当技術分野でよく知られている技術を用いて、ポリヌクレオチドの末端にライゲートすることが可能である。アダプターは、化学的または酵素的に付けられる。ポリヌクレオチドは、T4 DNAリガーゼを用いてアダプターにライゲートすることが好ましい。アダプターは、ポリヌクレオチドの平滑末端に付けることが好ましい。
【0141】
任意に、ライゲートされたアダプターは、本発明による方法においてポリヌクレオチドから切断される。アダプターは適切な制限酵素で切断することが好ましい。アダプターの切断は、クローニングに対して任意の段階である。したがって、代替の実施形態として、アダプターは、クローニング段階前に完全もしくは一部除去されるか、インタクトにクローン化される。
【0142】
[増幅]
本発明のいずれかの方法を用いて単離されたポリヌクレオチドを増幅するこの任意の段階は、2つの目的:i)クローニング、その後の分析または濃縮の別の回など、その後の段階の効率を高めるために、得られる単離ポリヌクレオチドの量を増加すること、ii)組換え細菌による内部一本鎖領域の最終的な修復を防ぐことによって、単離された核酸差異のクローニングの効率を高めることを果たす。
【0143】
本明細書中で、特に「標的ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションで開示されている技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、増幅を行うことが可能である。PCRが好ましい増幅技術である。
PCRを行うために、ポリヌクレオチド末端が既知でなければならない。したがって、アダプターのライゲーション段階は、ほとんどの場合、増幅前に必要である。一方、ポリヌクレオチド末端が既知かつ均一である場合には、PCRを用いて標的にされ、低減段階にかけられていない最初のポリヌクレオチドサンプルの場合と同様に、アダプターのライゲーションは必須ではない(実施例4および7を参照のこと)。
【0144】
アダプターをライゲートする場合には、かかる単離ポリヌクレオチドを増幅するために、プライマーを特異的にデザインすることが可能である。かかるプライマーは、ライゲートされたアダプターと特異的にハイブリダイズすることができるようにデザインされることが好ましい。
【0145】
低減段階を行うことなく、PCRを用いた標的化段階に、最初のポリヌクレオチドサンプルをかける場合には、単離ポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーは、標的ポリヌクレオチドサンプルを作製するのに使用されるプライマーと同一であるか、または標的ポリヌクレオチドサンプルを作製するのに使用されるプライマーに対して内部のプライマーであることが可能である。
【0146】
[クローニング]
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記の Sambrook 等, Volume 1, Chapters 1,2 and 3, and Volume 2, Chapter 8に記載されているような当業者に公知のいずれかの技術を用いて、核酸差異を含む単離ポリヌクレオチドを適切なベクターでクローン化して、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されるライブラリーを得ることが可能である。宿主細胞において複製する多種多様なクローニングベクターが利用可能であり、核酸配列が未知の場合でさえ、クローニングベクター中に外来ポリヌクレオチドを導入する技術が十分確立されている(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Klickstein 等,Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel 等 eds, 上記の文献, pp 5.5.1−5.5.14)。
【0147】
クローニングに使用されるベクターは当業者にはよく知られており、プラスミド、コスミド、YAC、HAC、ファージ等が挙げられる。容易に配列決定できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号P2211、P2551)、RNAプローブが容易に作製できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号P2129、P2221、P1091、P1101、P1241、P2211、P2551、Q6301、Q6121、Q6111;Promega社(ウィスコンシン州マディソン)RNAプローブ作製キット、1994/95カタログ番号P1280、P1300、P1290、P2020、P1270、P1071、P1250、P2580、P2590もまた参照のこと)、クローン化産物によりコードされるポリペプチドが容易に発現できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号eP2211、P2551、Q6111;Promega社(ウィスコンシン州マディソン)市販のin vitro翻訳キット、1994/95カタログ番号L4540、L4970、L4152、L4330、L4140、L4410、L1030、L1020も参照)、デザインされたベクターが市販されている。例えば、クローニングは、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen社(カリフォルニア州サンディエゴ)、カタログ番号K4500−01)を用いて行われる。必要な場合には、これらのベクターのいずれかを用いて、例えばクローン化されたインサートを除去し、ニックトランスレーションまたはランダムプライミング法(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等, 上記の文献, Chapter 1を参照のこと)を用いてそれを標識することによって、ポリヌクレオチドプローブを作製することができる。
【0148】
公知の手順(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook等,上記の文献,pp. 1. 74−1.75参照)に従って、組換えベクターを適切な宿主細胞に導入し、その中で複製する。細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、ショウジョウバエ細胞等の実質的に任意の宿主細胞において複製するようにデザインされた特異的ベクターを利用することができる(例えば、Invitrogen社(カリフォルニア州サンディエゴ)、1995 カタログ番号V780−20、V044−50、V004−50;その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Yates 等 Nature 313: 812,1985もまた参照のこと)。組換え細菌によるISSRHを含有する選択されたポリヌクレオチドの内部一本鎖領域の作製を避けるために、PCR増幅段階をクローニング前に行うことが可能である。代替方法としては、DNA修復システムにおいて欠陥のある菌株を使用してもよい。
【0149】
クローニングは、個々の単離断片を互いから本質的に分離する。任意に、クローニング前の分離段階は、当業者に公知のいずれかの技術を用いて行うことが可能である。例えば、SSTで選択されたポリヌクレオチドは、ゲル電気泳動、および特定のサイズもしくはサイズの範囲の断片によって分離し、他のサイズの断片から単離することができる。次いで、個々のサイズ分画された集団をベクターにクローン化する。
【0150】
(核酸差異において濃縮されたライブラリー)
核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリーは、本発明によって包含される。「核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリー」という用語は、本発明による一本鎖トラップによって選択されたポリヌクレオチドを含むライブラリーを意味する。核酸差異において濃縮されたライブラリーは濃縮%で示され、それによって、ライブラリーは、核酸差異1%〜100%を含有し、1から100までのいずれかの整数が本発明の詳細な実施形態として含まれる。上記の実施形態は、「少なくとも」「X」%の核酸差異として表され、「X」は1から100までのいずれかの整数に等しい。一方、核酸差異の濃縮のレベルが、1倍の増大として、または「少なくとも」1倍の増大として表され、それによって、非核酸差異に対する核酸差異の増大または非へテロ二重鎖ポリヌクレオチドに対するヘテロ二重鎖の増大の倍数は、2から10,000までのいずれかの整数である。
【0151】
本発明は、所定の状況(例えば、生理学的、環境、実験、もしくは自然)を特徴づける核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたいずれかのライブラリーを包含する。本発明は、異なる状況(例えば、異なる組織、病的に対して健康な)を特徴づける核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたいずれかのライブラリーもまた包含する。最初のポリヌクレオチドサンプルM0に応じて、かつ低減段階を行うかどうかに応じて、4種類のライブラリーを得ることができる:
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられていない複合ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは核酸差異を含有するポリヌクレオチドのライブラリーを形成する。例えば、この技術を用いて、選択的スプライシング事象にかけられた遺伝子のアイソフォームに対応するcDNAのライブラリーが得られる;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられた複合ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、核酸差異を含有するポリヌクレオチド断片のライブラリーを形成する。例えば、この技術を用いて、完全長スプライシングアイソフォームではなく、選択的スプライシングにおいて、つまり核酸差異および周囲の配列を含有する断片において濃縮されたライブラリーが得られる;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられていない標的ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子から生じる核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリーを形成する;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられた標的ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に関連する核酸差異を含有するポリヌクレオチド断片のライブラリーを形成する。
【0152】
異なる起源のポリヌクレオチドが混合された最初のサンプルから構成される、異なるディファレンシャルライブラリーが本発明にとって特に興味深い。好ましくは、2種類の異なる状況(例えば、健康対病的、アポトーシス対非アポトーシス等)由来のポリヌクレオチドを混合して最初のポリヌクレオチドサンプルが得られる、それらのディファレンシャルライブラリーは本発明によって包含される。したがって、かかるサンプルで得られたライブラリーは、両方の状況間で存在する核酸差異に特有なポリヌクレオチドにおいて濃縮される。
【0153】
本発明の他の目的は、それらがクローン化されるかどうかに関わらず、本発明の方法のいずれかによって単離されたポリヌクレオチドに関する。一実施形態において、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関するものであり、前記ポリヌクレオチド配列は、核酸差異を含有する、核酸差異から本質的になる、または核酸差異にある。好ましい実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、選択的スプライシング事象を含む、選択的スプライシング事象から本質的になる、または選択的スプライシング事象にある。他の実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、所定の状況または環境に関わらず、核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象を含む、核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象から本質的になる、または核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象にある。第2のさらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、1つの試験状況に存在し、かつ参照状況に存在しない核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象を含む、それから本質的になる、またはそれにある。
【0154】
本発明のいずれかの方法によって単離されたポリヌクレオチドの断片もまた本発明によって包含される。好ましい断片は、核酸差異を含む、核酸差異から本質的になる、または核酸差異からなる断片である。他の好ましい断片は、核酸差異を検出するためのプライマーおよびプローブとして使用される断片である。かかるプライマーおよびプローブのデザインについては以下にさらに記述する。
【0155】
本発明のいずれかの方法を用いて単離された、ポリヌクレオチドのいずれか、またはその断片、ならびに本発明のいずれかの方法を用いて同定される核酸差異を検出するようにデザインされたプライマーおよびプローブは、固体支持体上に便利に固定化される。その固体支持体は重要ではなく、当業者によって選択することができる。したがって、ラテックス粒子、微粒子、磁気ビーズ、非磁気ビーズ(ポリスチレンビーズを含む)、膜(ニトロセルロース片を含む)、プラスチックチューブ、マイクロタイターウェルの壁、ガラスもしくはシリコンチップ、ヒツジ(または他の適切な動物の)赤血球およびduracytesはすべて適切な例である。本発明のいずれかのポリヌクレオチド、プライマーもしくはプローブ、またはそのセットを含むアレイが特に興味深い。
【0156】
[差異の同定]
任意に、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを同定の段階にかけることができる。かかるポリヌクレオチドを最初に、適切なベクターにクローン化し、宿主細胞中で複製し、培養液中で保持することができる個々のクローンを得るために単離することが好ましい。それぞれの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Myers 等, Nature 313: 495,1985; Cotton 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397,1988; Myers 等, Science 230: 1242,1985; Orita 等, Proc. Natl.Acad. Sci. USA 86: 2766,1989に記載の方法を含む、当業者に公知のいくつかの方法によって核酸差異の分析を行うことが可能である。核酸差異を同定するための好ましい方法は、直接シークエンスである。DNAシークエンスは単調な手順であり、多くのプロトコルおよび試薬が当技術分野では容易に利用することができる(例えば、United States Biochemical社(オハイオ州クリーブランド)から市販のSequenaseキット、1994/95カタログ番号70770、71350、および70700を参照のこと)。
【0157】
核酸差異が同定されたら、核酸差異が実際に適切な位置に存在し、本発明の方法を行った場合に導入される実験的人工産物の結果ではないことを確認するために、最初のサンプル(1つまたは複数)からの対応するポリヌクレオチド(1つまたは複数)(またはその一部)をクローン化することは一般に価値がある。
【0158】
同定された核酸差異が既知の遺伝子で生じるかどうかを決定するために、利用可能な遺伝子配列データベース(例えば、GenBank、EMBL、DDBJなど)を検索することもまた一般に価値がある。一方、本発明は、同定された核酸差異を含有する未知または一部が既知の遺伝子の少なくとも一部の配列を同定することを可能とする。部分配列が同定されれば、完全な遺伝子をクローニングすることが可能な技術を容易に利用することができる(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等 ,上記の文献, Chapters 8 , 9; Klickstein 等 ,Current Procotols in Molecular Biology, Ausubel 等, eds, John Wiley & Sons, New York, N. Y., 1995, Chapter 5を参照のこと)。
【0159】
関連ポリヌクレオチドが、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的状況のサンプルを混合することによって得られるサンプルから単離される場合、ディファレンシャルライブラリーの場合と同様に、1種または複数種の最初のサンプル中に存在する核酸差異は、以下に示す状況間の実際の差異から得られる核酸差異と区別することが可能である。最初のサンプルそれぞれに存在する同定された核酸差異を有するポリヌクレオチドの検出は、前記の同定された核酸差異に特異的なプライマーまたはプローブを用いて、混合サンプル中に存在する同定された核酸差異を有するポリヌクレオチドの検出と並行して行われる。最初のサンプル間の差異に対して特異的な核酸差異が混合サンプルにおいてのみ検出されると考えられるのに対して、他の核酸差異は他のサンプルにおいて検出されるだろう。かかる検出は、ハイブリダイゼーションに基づく方法および増幅に基づく方法を含む当業者に公知のいずれかの技術を用いて行うことが可能である。
【0160】
好ましい実施形態において、各サンプル(すべての最初のサンプルおよび混合サンプル)からのポリヌクレオチドを、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、簡便な固体支持体、例えばフィルター、膜もしくはバイオチップ上にスポットする。次いで、それらのアレイしたポリヌクレオチドを、同定された異なる核酸差異に結合するいくつかのポリヌクレオチドプローブと独立してハイブリダイズさせる。分析のために、核酸差異1つ当たり1対のプローブを使用することが好ましい。オリゴヌクレオチドプローブ対は、特異的ポリヌクレオチドに対して特異的であるようにデザインされることが好ましい。例えば、1対のプローブのうちの1つのプローブは、選択的にスプライシングされる特定の領域の存在に対して特異的であるのに対して、他方のプローブは同一領域の排除に対して特異的である。プライマーおよびプローブのデザインに対する更なる指示を以下に示す。
【0161】
このように、この方法を用いて、同定された核酸差異が所定のソース、環境または生理的状況に由来するサンプル中に存在するか、それが混合サンプル中にのみ存在するかどうかを決定することが可能である。混合サンプル中にのみ存在する核酸差異は、考慮されるソース、環境または生理的状況の間に存在する差異に起因している。さらに、かかる検出によって、異なるソース、環境または生理的状況における関連ポリヌクレオチド種の相対比率を測定かつ比較することも可能となる。このように比較することによって、一部の状況において一部のポリヌクレオチド種が存在するか、または存在しないかだけでなく(定性的変化)、スプライシングプロフィールにおける最終的な変化(定量的変化)もまた明らかとなるだろう。
【0162】
[キット]
本発明の方法のいずれかを行うのに使用されるキットもまた、本発明によって包含される。実際に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有するポリヌクレオチドの単離に用いるキットを包含し、前記キットは、
a)前記サンプル中のポリヌクレオチドをアニールするための試薬;
b)二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント;
c)前記REを用いた、ISSRHを選択するための試薬;を備える。
【0163】
ポリヌクレオチドをアニールするための前記試薬は、当業者に公知の試薬のいずれか、好ましくは本明細書に記載の試薬のいずれかである。さらに好ましくは、前記試薬は、一本鎖ポリヌクレオチドのアニーリングを促進するための公知のいずれかのバッファーまたは溶媒である。
【0164】
一実施形態において、前記REは抗体、好ましくは一本鎖DNA分子に選択的に結合することが可能な自己抗体である。他の実施形態では、前記REはペプチドである。さらに他の実施形態では、前記REはタンパク質である。前記REは一本鎖結合タンパク質(SSB)であることがさらに好ましい。またさらに好ましくは、前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択される。またさらに好ましくは、前記REは大腸菌SSBである。さらに他の実施形態では、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REはBNDCであることがさらに好ましい。
【0165】
選択段階に使用される前記試薬は、前記REがISSRHに結合することを可能にし、前記ポリヌクレオチドサンプルからISSRH−RE複合体を分離することを可能にする試薬を含む。かかる試薬は、前記選択段階で使用されるREが決定され、結合および分離させる操作手順が決定されれば、当業者には明らかであるだろう。「一本鎖トラップ」という題名のセクションおよび実施例のセクションにおいて、使用する試薬の例を挙げる。例えば、REがタンパク質である場合には、前記試薬は、結合バッファーと、限定されないが、ニトロセルロースフィルターおよびフェノール・クロロホルムを含む、複合体を形成していない核酸からタンパク質−核酸複合体を分離するためのいずれかの手段を含む。一方、HisタグSSBを使用する場合、前記試薬は、標識タンパク質が結合するであろう、Ni−NTAヒス*結合樹脂などのアフィニティーマトリックス、ならびに結合、洗浄および溶出バッファーを含む。あるいは、前記REがカラムとして使用できる材料である場合、前記試薬は、洗浄、結合および溶出バッファーを含む。
【0166】
任意に前記キットは、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適切なサイズにポリヌクレオチドのサイズを低減するための低減試薬を含む。好ましい実施形態では、前記低減試薬は、ポリヌクレオチドを断片化することが可能な断片化酵素、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含む。さらに好ましい実施形態において、前記酵素はDNアーゼIである。他の好ましい実施形態では、前記酵素は、エンドヌクレアーゼ、好ましくは制限エンドヌクレアーゼである。
【0167】
任意に、前記キットは変性試薬を含む。かかる変性試薬は、低いイオン強度、酸性もしくはアルカリ性pHを有するバッファー、および/またはホルムアミドもしくは尿素などの特定の溶媒であることが可能である。
任意に、前記キットは、ISSRH上の内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去するための浄化試薬を含む。好ましい一実施形態において、前記浄化試薬は、内部一本鎖領域ではないが、二本鎖ポリヌクレオチドの一本鎖遊離末端を含む一本鎖核酸分子を消化することが可能なエキソヌクレアーゼ、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含む。さらに好ましい実施形態において、前記エキソヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼVIIである。
【0168】
任意に、前記キットは、段階(b)の後に得られるポリヌクレオチドを平滑末端化するための平滑末端化試薬を含む。好ましくは、かかる平滑末端化試薬は、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性と5’→3’DNAポリメラーゼ活性の両方を示すDNAポリメラーゼ、ならびにかかる平滑末端化を行うためのバッファーを含む。好ましい一実施形態では、前記DNAポリメラーゼは、T4 DNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片である。
【0169】
任意に、前記キットは、ポリヌクレオチド末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートするためのライゲート試薬を含む。かかるライゲート試薬は、本明細書に記述されるようにデザインされたオリゴヌクレオチドアダプター、リガーゼならびにライゲーションを行うためのバッファーを含む。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドアダプターは、少なくとも1つの制限酵素部位、好ましくは少なくとも1つのレア制限部位を含む。前記リガーゼはT4 DNAリガーゼであることが好ましい。任意に、前記キットは、前記のライゲートしたアダプターを除去するためのアダプター除去試薬も含む。前記アダプター除去試薬は、前記制限部位に対する制限酵素、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含むことが好ましい。
【0170】
任意に、前記キットは、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを増幅するための増幅試薬を含む。かかる増幅試薬は、耐熱性DNAポリメラーゼおよびPCRを行うためのバッファーを含むことが好ましい。任意に、前記増幅試薬は、単離されたポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるプライマーも含む。かかるプライマーは、前記のライゲートされたアダプターとハイブリダイズすることが可能であり、かつPCRで使用するのに適していることが好ましい。
【0171】
[用途]
本発明による方法を用いて、
i)単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ所定の状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、前記単一遺伝子または限定セットの遺伝子に対して標的にされた、かつ単一状況からのポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。例えば、前記遺伝子または前記限定セットの遺伝子に対するすべてのスプライシングアイソフォームを対象の組織などの所定の状況において単離することが可能である。他の例では、疾患の候補遺伝子などの1つの遺伝子または限定セットの遺伝子の異なる対立遺伝子(または、好ましくは、標的DNAサンプルが低減された場合には、かかる対立遺伝子間の核酸差異)を所定の疾患状態などの所定の状況において単離することができる。
【0172】
ii)単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ異なる状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、異なる起源由来のサンプルを混合することから得られるが、前記単一遺伝子または前記限定セットの遺伝子に対して標的にされたポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。かかるアプローチは、対照対実験サンプル、病気のサンプル対健康なサンプル、組織特異的サンプル対他の組織特異的サンプルなど、2種類以上の異なる状況に由来する関連ポリヌクレオチドを比較するのに特に有用である。例えば、所定の遺伝子または限定セットの遺伝子、例えば所定の疾患の候補遺伝子の関連ポリヌクレオチド(または、好ましくは、標的ポリヌクレオチドサンプルが低減された場合には、核酸差異)に対する関連ポリヌクレオチドを、患者対健康なヒトにおいて、両方の個体に由来する複合DNAサンプルを混合し、次いで上述のように標的化段階を行うことによって単離することができる。
【0173】
iii)所定の状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、単一状況由来の複合ポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。例えば、所定の状況を表す選択的スプライシング事象(またはcDNAサンプルが低減される場合には、すべての選択的スプライシング事象)にさらされた転写物に対応するすべてのアイソフォームを単離することができる。
【0174】
iv)異なるソース、起源または状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、異なる起源に由来するサンプルを混合することによって得られる複合ポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。かかるアプローチは、対照対実験サンプル、病気のサンプル対健康なサンプル、組織特異的サンプル対他の組織特異的サンプル等の、2種類以上の異なるソース、起源または状況に由来する関連ポリヌクレオチドを比較するのに特に有用である。例えば、選択的スプライシング(または、cDNAサンプルが低減される場合には、すべての選択的スプライシング事象)にさらされた転写物に対応するすべてのアイソフォームを、対照対実験のヒトにおいて、両方の個体に由来する複合DNAサンプルを混合することによって単離することができる。他の例として、2つの菌株間のゲノムDNA差異を、2種類の異なるゲノムDNAを混合し、次いで本発明の方法を適用することによって同定することができる。
【0175】
これらの技術の利点の1つは、核酸差異だけではなく、フランキング配列(低減段階が行われる場合)、さらに対応する全長ポリヌクレオチド(低減段階が行われない場合)もまた単離することである。したがって、同定されれば、差異およびフランキング配列の知識から、核酸差異に特異的であるオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。さらに、かかる核酸差異は、所定の環境に特異的または多様な状況間での差異に特異的であると思われ、したがって、核酸差異に特異的なだけではなく、前記環境または環境間の差異にも特異的なオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。
【0176】
次いで、核酸差異に特異的であり、最終的に所定の状況または状況間の差異にも特異的である、かかるオリゴヌクレオチドをスクリーニングおよび診断アッセイで使用して、試験すべきサンプル中に核酸差異が存在するかどうか、最終的にはサンプルが特異的状況に由来するかどうかを検出することが可能である。それらは、遺伝子治療のアプローチのアンチセンスツールとして使用することもできる。
【0177】
(ペプチドの発現)
本発明による核酸差異を含有するポリヌクレオチド、またはその断片、好ましくは、低減段階にかけられていないcDNAを使用して、それらがコードするポリペプチドまたはその一部を発現させることが可能である。当業者によく知られている技術を用いて、かかるポリヌクレオチドを発現ベクターにおいてクローン化し、発現させる。本発明は、本発明による方法のいずれかによって選択された核酸差異を含有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを包含する。本発明は、前記の選択されたポリヌクレオチドの断片によってコードされるポリペプチドもまた包含する。さらに、本発明は、前記の選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの断片を包含する。
【0178】
(核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出)
核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出は、当業者に公知のいずれかの検出技術を用いて、前記核酸差異に特異的なプローブまたはプライマーを使用して行うことが可能である。核酸サンプルは、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNAを含む様々なソース、または組織サンプルから得られた核酸を含む。一部の用途では、標識された特異的プローブとハイブリダイズすることができるか、または特異的プライマーを用いて増幅されたポリヌクレオチドを、発現ベクター、シークエンシングベクター、もしくはin vitro転写ベクターなどのベクターにクローン化して、サンプル中で検出されたポリヌクレオチドのキャラクタリゼーションおよび発現を促進することができる。
【0179】
核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出は、当業者に公知のハイブリダイゼーション技術を用いて、1種または数種類の特異的ハイブリダイゼーションプローブを使用して行うことが可能である。前記プローブとハイブリダイズすることができる核酸の存在を検出するのに用いられる方法には、 サザンブロット法、ノーザンブロット法、ドットブロット法、コロニーハイブリダイゼーション法、およびプラークハイブリダイゼーション法などの公知の技術が含まれる。例えば、標識プローブとハイブリダイズすることができる配列を含有する、試験すべき核酸サンプルを標識プローブと接触させる。サンプル中の核酸が二本鎖である場合、それをプローブと接触させる前に変性させる。一部の用途では、核酸サンプルをニトロセルロースもしくはナイロン膜などの表面上に固定化する。前記ハイブリダイゼーションは、厳密な条件下にて行うことが好ましい。厳密な条件のセットは当技術分野ではよく知られている。
【0180】
代替方法としては、当業者に公知の増幅方法を用いて、「標的ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションで本明細書に記述されているものを含むサンプル中に存在するポリヌクレオチドの特異的な核酸差異を検出することができる。PCR技術は、本発明で用いられるのに好ましい増幅技術である。
【0181】
〈プライマーおよびプローブの作製〉
プローブの融解温度、プライマーもしくはプローブの長さ、溶液のイオン強度、およびG+C含有率(通常、10〜75%、好ましくは35〜60%、さらに好ましくは40〜55%)を考慮し、プライマーおよびプローブのデザインは当業者にはよく知られている。かかるプライマーおよびプローブは一般に、長さ8〜1000ヌクレオチド、好ましくは長さ10〜100ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ15〜30ヌクレオチドである。増幅の目的では、およそ同じTmを有する一対のプライマーが好ましい。GC含有率およびオリゴヌクレオチドの融解温度に基づくOSPソフトウェア(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hillierおよび Green (1991) PCR Methods Appl., 1: 124−8)を用いて、または8量体の振動数相違法(Griffais 等, 1991)に基づくPC−Rare(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、http :// bioinformatics. weizmann. ac. il/software/PC Rare/doc/manuel. html)を用いてデザインすることが可能である。
【0182】
核酸差異に特異的なプローブを以下のようにデザインすることが可能である。核酸差異が領域の追加または欠失にある場合、プローブは、前記領域に(図2aのプローブO+)、前記領域と5’もしくは3’隣接領域の1つとの間の接合領域に(図2aのプローブO+’)、または前記領域が欠失している場合に共に連結される前記領域に隣接する領域5’および3’間の接合に(図2aのプローブO−)にのみ結合するようデザインすることが可能である。第1タイプおよび第2タイプのプローブによって、前記領域を含有するポリヌクレオチドを検出することが可能となるのに対して(選択的エクソンを有するスプライシングアイソフォーム、挿入もしくは伸長の繰り返しを有するゲノム領域)、第3タイプのプローブによって、前記領域が存在しないポリヌクレオチドの検出が可能となる(選択的にスプライスされたエクソンを含まないスプライシングアイソフォーム、挿入のない、または欠失を有するゲノム領域)。
【0183】
核酸差異が別の(R2)領域による領域(R1)の置換にある場合、2つ以上のエクソンが転写物上の所定の位置で選択的に使用される選択的スプライシングの場合と同様に、R1またはR2領域に(図2bのプローブO1またはO2)、またはR1もしくはR2領域と、5’もしくは3’隣接領域の1つとの間の接合領域に(図2bのプローブO1’またはO2’)のみ結合するようにデザインすることが可能である。
【0184】
核酸差異に特異的なプライマーを以下のようにデザインすることができる。核酸差異が領域の追加または欠失にある場合、前記領域の隣接領域に結合するようにプライマーをデザインすることが可能である。前記領域を含有するポリヌクレオチドの増幅産物は、前記領域が存在しないポリヌクレオチドの増幅産物よりも長いだろう。したがって、アンプリコンのサイズから、所定のエクソンが存在するか、存在しないかを決定することができるだろう。
【0185】
核酸差異が、別の(R2)領域による領域(R1)の置換にある場合、2つ以上のエクソンが転写物上の所定の位置で選択的に使用される選択的スプライシングの場合と同様に、前記領域の5’および3’隣接領域に結合するようにプライマーをデザインすることができる。選択的に使用されるエクソンの長さが異なるという条件で、アンプリコンのサイズから、エクソンが存在するかを決定することができるだろう。代替方法としては、少なくとも1種類のプライマーを、R1もしくはR2と、それらの5’もしくは3’隣接領域のうちの1つとの間の接合領域に特異的に結合するようにデザインすることができる。この場合には、エクソンが存在するかどうかを決定することを可能にするのは、アンプリコンの存在または非存在である。
【0186】
ケースバイケースで、核酸差異を検出するように、他の種類のプライマーおよびプローブをデザインすることができることは当業者には明らかだろう。
プライマーおよびプローブを含む、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを、所望の場合には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的手段によって検出することが可能である、当技術分野で公知のいずれかの標識を組み込むことによって標識することができる。その検出可能なポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であることが可能であり、in vitro転写、ニックトランスレーション、もしくはキナーゼ反応を含む、当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。
【0187】
本発明の特定の実施形態において、1組のプライマーまたはプローブを、所定の環境を表す核酸差異を含有するポリヌクレオチドに基づいて生成することが可能である(例えば、所定の組織/細胞/細胞小器官における特異的な発現、胚の発生または疾患の発生など、プロセスの発生の所定の段階での発現)。かかるプライマーまたはプローブは特定のコンテクストのマーカーとして使用することができる。したがって、本発明は、コンテクスト・マーカーとしての本発明のポリヌクレオチドの使用を包含する。
【0188】
かかるプライマーおよびプローブは、例えばin situ PCRまたは免疫化学を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、未知の起源のサンプル、例えば法医学サンプル、異物部位へ転移している分化した腫瘍を同定するのに、または組織断面における異なる組織タイプを分化するのに商業的に有用である。本発明のプライマーおよびプローブは、未知の環境の同一性を決定する方法において使用することができる。未知の環境の同一性を決定することの一部として、本発明のポリヌクレオチドを使用して、その未知の環境が何であるか、および未知のサンプルが何であるかを決定するのに使用することができる。
【0189】
かかるプライマーは、使用するプローブまたはプライマーのセットが所定の疾患または障害に特異的である場合、診断用途においても有用である。数セットのプローブが所定の疾患の異なる段階で利用可能である場合、かかるプローブは、前記疾患の進化および最終的な治療の効果を追跡するのにもまた有用である。したがって、かかるセットのプライマーおよびプローブは、薬理学的対象の分子を試験するのに有用である。このように、本発明は、治療的または診断的対象の分子の同定にもまた関するものである。
【0190】
かかるプライマーおよびプローブは、所定の薬物に対して病原抵抗性の同定のコンテクストにおいてもまた有用である。実際に、所定の病原体による所定の薬物に対する突然の抵抗性獲得が、欠失によって引き起こされるか、またはゲノムにおける新規な配列の獲得につながる場合、適切な治療を前記個体に提供するために、本発明のプライマーおよびプローブを使用して、所定の個体において同定される病原体のかかる抵抗性を検出することができる。
【0191】
さらに、多数の選択的スプライシング事象の検出に対して特異的なセットのプライマーおよびプローブは、対照の状況と比較して試験状況においてそれらの選択的スプライシング事象をモニターすることによって、スプライシング機構に影響を及ぼすことが可能な分子を試験するのに有用である。
【0192】
(アレイを用いたmRNAアイソフォームの定量化)
本発明のいずれかの方法を用いて同定した核酸差異によって、かかる核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの相対比率を測定するために使用することが可能なオリゴヌクレオチドプローブをデザインすることが可能となる。例えば、異なるアイソフォームの相対比率は、本発明のいずれかの方法を用いて同定された、異なる選択的スプライシング事象に対して特異的なプライマーを用いて決定することができる。かかる決定に用いられるオリゴヌクレオチドアレイは以下のように作製することが可能である。
【0193】
1)本発明の方法によって同定された各選択的スプライシング事象に対して、一対のオリゴヌクレオチドをデザインする。一対のうち第1オリゴヌクレオチドは一方のアイソフォームに対して特異的であり(例えば、選択的にスプライスされるエクソンまたはエクソンの一部を含有するオリゴヌクレオチド)、第2オリゴヌクレオチドは他方のアイソフォームに対して特異的である(例えば、選択的にスプライスされる前記エクソンまたは前記エクソンの一部を含有しないオリゴヌクレオチド)。かかるオリゴヌクレオチドのデザインに関するさらに詳細な説明については、図2および「プライマーおよびプローブの生成」という題名のセクションを参照のこと。
【0194】
2)次いで、所定のアイソフォームに対して特異的なオリゴヌクレオチドの異なる対をいずれかの適切な支持体上にアレイする(マクロアレイまたはマイクロアレイ)。
3)次いで、かかるアレイは、分析すべき所定のソース、環境または生理的状況に特有な異なるプローブとハイブリダイズさせる。かかる特有のプローブは、分析すべき前記ソース、環境または生理的状況から単離されたmRNAの逆転写によって得られ、したがって複合一本鎖cDNAプローブを生じる。
【0195】
4)各アイソフォームの相対比率は、各オリゴヌクレオチド対のシグナル強度の比によって測定される。かかる比は、各対に対して決定される。かかる比のセットは、分析される前記状況に特有である。かかるセットの比は、分析される各ソース、環境または生理的状況に対して決定され、次いで比較される。
【0196】
本明細書において「アイソフォーム・モニタリングアレイ」と呼ばれる、かかるアレイは、所定の生体プロセスにおいて、または所定の刺激に対する生理応答において、様々な病理の原因である遺伝子の同定、シグナル伝達経路に関与する遺伝子の同定、予後もしくは診断のためのマーカーの同定、試験化合物(ゲノム薬理学(genopharmacology))の治療可能性の予想または向上、薬理ゲノミクス、腫瘍の分類等の様々な用途において貴重なツールであるだろう。
【0197】
〈ゲノム薬理学における使用〉
その目的は、病理的状況における試験化合物の保護効果を評価することである。例えば、その細胞が一部の神経変性側面を模倣することが可能な細胞モデルを用いて、試験化合物の神経保護効果をどのように決定するかを調べてみよう。例えば、所定の処理Tの後、これらの細胞はアポトーシスとなる。前記化合物の神経保護効果は以下のように決定することができる:
1)限定セットの遺伝子、アポトーシスに関与する公知の遺伝子の選択的スプライシング事象は、刺激された細胞(病理的状況)からのサンプルと未処理の細胞(正常な状況)からのサンプルとが混合された、適切な標的cDNAサンプルを用いて同定される。
【0198】
2)同定された核酸差異に対して特異的なアイソフォーム・モニタリングアレイを、上述のように作製し、次いで異なる状況:i)未処理の細胞、ii)刺激された細胞、およびiii)刺激され、かつ処理された細胞に特有な複合cDNAプローブとハイブリダイズさせる。
3)スプライシングアイソフォームの比のセットを3つの状況それぞれにおいて決定する。試験化合物の神経保護効果は、病理的状況から離れた、かつ正常な状況に近い比を生じるその能力によって評価される。
【0199】
〈腫瘍の分類における使用〉
癌患者の管理を託されている病理学者および臨床医は、2つの主要な問題、即ち、疾患の進化および癌治療に対するその感受性を確実に予想する、従来の組織学的および臨床的な特徴の中で、疾患の広範な不均一性および因子の欠如に直面している。例えば、明らかに同じ予後タイプの乳癌は、患者の治療および結果としての生存に対するそれらの応答性において大きく異なる。各患者の治療を個別化することができるように、新しい予後因子および予測因子が必要とされている。スプライシングのレベルでヒト腫瘍において起こる修飾をモニターすることが可能なオリゴヌクレオチドのアレイは、より均一な臨床結果で不均一な癌を腫瘍のサブタイプに分類するのに、かつ可能性のある新しい予後因子および予想因子を同定するのに非常に有用であるだろう。かかるアレイは以下のようにデザインすることができる:
【0200】
1)限定セットの遺伝子、癌、例えば乳癌に関与することが知られている遺伝子の選択的スプライシング事象は、異なる乳癌患者由来のサンプルが混合された、適切な標的cDNAサンプルを用いて同定される。
2)同定された核酸差異に対して特異的なアイソフォーム・モニタリングアレイを上述のように作製し、次いで、それぞれが所定のがん患者に特有である複合cDNAプローブとハイブリダイズさせる。このように、各患者に特有である、アイソフォーム比のセットが得られる。
【0201】
各患者の臨床状態が明確であるという条件で、異なる癌状況(異なるタイプの乳癌、異なるステージの所定の癌など)に特有なスプライシングプロフィールが得られる。例えば、かかるプロフィールを分析することによって、あるグループにおいて、明らかに均一な異なるサブグループの患者を異なる臨床パラメーター(もう一方のグループと比較して一方のグループにおける転移の非存在、所定の治療に応答する差異等)で区別することが可能となる。さらに、分類されていない患者に対して得られたプロフィールとかかるプロフィールとの比較は、前記の分類されていない患者に固有の診断および予後に役立つ。
【0202】
(スクリーニング)
本発明による核酸差異を含有するポリヌクレオチド、特に上述の差異に特異的であるようにデザインされたプライマーまたはプローブを使用して、以下に示す技術を含む当業者に公知のいずれかの技術を用いてゲノムまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等,上記の文献 Chapters 8 および9を参照のこと)。例えば、低減されたサンプルで核酸差異が同定されている場合、かかる核酸差異を含有する完全長ポリヌクレオチドは、前記差異に特異的なプライマーおよびプローブを用いて、スクリーニングライブラリー、好ましくはほぼ完全長のポリヌクレオチドを含有するライブラリーによって、取り出すことが可能である。他の例では、必ずしも既知の機能である必要はないが、特異的な機能を発揮すると考えられる定義領域(例えば、機能ドメイン)が所定の状況下にて選択的にスプライスされることが示された場合、このドメインに特異的なプライマーおよびプローブを使用して、同様なドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、好ましくは同一タンパク質ファミリーに属するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取り出すことができる。当技術分野では公知のように、有効なライブラリースクリーニングでは、厳密なハイブリダイゼーション条件が必要とされる。厳密なハイブリダイゼーション条件の多くの適切なセットは当技術分野ではよく知られている(例えば、Sambrook 等,上記の文献 Chapters 8 を参照のこと)。
【0203】
(アンチセンス)
細胞において正常に転写された鎖に対して反対の鎖からの転写を可能にするために、選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドをクローン化する。この実施形態によるライブラリーはアンチセンスライブラリーと呼ばれる。それらは、所定の遺伝子の発現を変化させることが可能なアンチセンスポリヌクレオチドを含有し、さらに所定のスプライシングアイソフォームに対して特異的である。次いで、かかるアンチセンスライブラリーを対象の細胞にトランスフェクトし、所定の表現型の変化が研究される。かかるトランスフェクションに続いて、表現型変異の分析は通常、発現ベクターに安定に組み込まれているクローンを選択して行われる。かかるアンチセンスライブラリーを使用する主な利点は、発現が変化しており、選択された表現型を生じる遺伝子を同定するだけでなく、どのスプライシングアイソフォームが影響を受けているかを同定する能力である。本発明は、選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドで作製されたアンチセンスライブラリーを包含する。
【0204】
本発明は、単一種として選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドに相補的な配列を有するアンチセンスポリヌクレオチドもまた包含する。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、所定のスプライシングアイソフォームに相補的な配列を含むことが好ましい。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、選択的にスプライスされたエクソンに、または前記の選択的にスプライスされたエクソンと隣接するエクソンとの間の接合部の少なくとも1つに相補的な配列を含むことがさらに好ましい。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、前記の選択的にスプライスされたエクソンを含有するアイソフォームに特異的であるだろう。一方、かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、選択的にスプライスされたエクソンが存在しない場合、フランキングエクソン間の接合部に相補的な配列を含む。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、前記の選択的にスプライスされたエクソンを含有しないアイソフォームに特異的であるだろう。前記アンチセンスポリヌクレオチドの発現に便利なかかるアンチセンスポリヌクレオチドまたはベクターを使用して、対応する遺伝子の発現を修飾すること、好ましくは前記遺伝子の1つまたはいくつかの選択的にスプライスされたmRNAの発現を修飾すること、さらに好ましくは前記発現を抑制することが可能である。かかるアンチセンスポリヌクレオチドまたはベクターを使用して、所定のスプライシングアイソフォームの発現を減少させることによって、またはスプライシングを抑制することによって、1つの遺伝子の選択的スプライシングプロフィールを修飾することも可能である。遺伝子治療で使用するのに適したアンチセンスポリヌクレオチドをデザインする方法は、例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO95/24223、 Sczakiel G. 等 (1995 Trends Microbiol. 3 (6): 213−217)、Green 等, (Ann. Rev. Biochem. 55: 569−597 1986) 、 Izant およびWeintraub(Cell 1984 Apr; 36 (4): 1007−15)、および Rossi 等 (Pharmacol. Ther. 50: 245−254, (1991))に記載の技術を含み、当業者によく知られている。
【0205】
【実施例】
以下の実施例によって、本発明の特定の実施形態を説明する。それらは、本発明を例証するものであり、制限するものではない。
【0206】
[実施例1:SSBタンパク質を用いた一本鎖トラップ]
本発明による好ましい認識エレメントは大腸菌SSBである。一本鎖領域を有するポリヌクレオチドのサブセットに特異的に結合する大腸菌SSBの能力を以下に示すとおりアッセイした。
1)SSBタンパク質を用いたゲル遅延(gel retardation)アッセイ
a)原理
2つの隣接領域xおよびy(xは長さ103bpの配列であり、yは長さ74bpの配列である)を含む第1二重鎖ポリヌクレオチド(いわゆる、参照ポリヌクレオチド)を、以下の順番x、z、yで3つの隣接領域(xおよびyは参照ポリヌクレオチドの配列と同一であり、zは介在配列である)を有する等量の第2二重鎖ポリヌクレオチドと混合した。個々の核酸鎖が互いに分離するように、得られたサンプルを変性条件にさらした。次いで、個々の鎖が互いにアニールするように、そのサンプルをアニーリング条件にさらした。次いで、2種類のポリヌクレオチドが得られた:1)完全に相補的な鎖、つまり、同じ参照分子の相補的な個々の鎖を有する参照分子の個々の鎖(xy)または介在配列を含有する相補鎖を有する介在配列を含有する個々の鎖(xyz)のいずれか、をアニールすることによって形成されたホモ二重鎖;2)不完全な相補鎖、つまり、介在配列を含有する相補鎖(xyz)を有する参照分子の個々の鎖(xy)を、アニールすることによって形成されたヘテロ二重鎖。ホモ二重鎖は、完全に二本鎖のポリヌクレオチドであるのに対して、ヘテロ二重鎖は、内部一本鎖領域を有する二重鎖分子、つまりISSRHであった。次いで、ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖分子を含むサンプルを大腸菌SSBタンパク質と混合した。ヘテロ二重鎖分子のみと安定かつ特異的な複合体を形成する大腸菌SSBタンパク質の能力を、ゲル遅延アッセイを用いて分析した。
【0207】
b)実験条件および結果
約2000bpのDNA断片(F)をプラスミドにクローン化した。この断片の中央には固有のSmal部位が存在した。インサートFを含有するプラスミドベクターはSmal(プラスミドベクターに他のSmal部位は存在しない)によってデザインされた。9、12、15、17、30、40、67、および150bpの平滑末端化された二本鎖DNA断片をインサートFのSmal部位においてクローン化した。9種類の異なる構築物が得られた:1つの構築物はインサートFのみを含有し(つまり、参照xyポリヌクレオチド)、8つの構築物は、それぞれ9、12、15、17、30、40、67、および150の介在配列を有するインサートFを含有した(つまり、zのサイズがそれぞれ9〜150bpと異なる、xzy構造を有するポリヌクレオチド)。FのSmal部位を取り囲む約200bpの領域を増幅するために、2種類のPCRプライマーをデザインした。さらに詳細には、一方のプライマーの結合部位は、Smal部位から約100bpに位置し、他方のプライマーの結合部位は、Smal部位の他方の側に、それから約100bp離れて位置した。上述の2種類のプライマーを用いて、9ポリヌクレオチドを、上述の9種類の構築物をPCR増幅することによって産生した。参照分子と呼ばれる、インサートFのみを含有する構築物を増幅することによって得られたポリヌクレオチドは、長さ約200bpであり、Smal部位の中央に位置した。他の構築物を増幅することによって得られた他の8種類のポリヌクレオチドは、それぞれ9、12、15、17、30、40、67、および150bpの介在配列によるSmal部位の置換によって参照分子のみと異なった。介在配列を含有する8種類のポリヌクレオチドxzyのそれぞれを、等量の参照ポリヌクレオチドxyと混合し、以下に示すように変性/再生および大腸菌と共にインキュベートした。それらのうちの3種類で得られた結果を図3に示す。
実験A:z=17bp
【0208】
参照分子xy500ngを、50mM酢酸ナトリウム(25℃でpH4,5)、280mM NaClおよび4,5mM ZnSO4を含有するバッファー30μl中のxz1y分子500ngと共に40℃で15分間インキュベートした。次いで、得られたサンプルの半分(15μl)を37℃で15分間インキュベートし、次いで、4%アクリルアミドゲル上に添加した(ライン1)。その他の半分を大腸菌SBB6μgと混合し、37℃で15分間インキュベートし、ゲル上に添加した(ライン2)。
【0209】
レーン1において、2つのバンド、(a)および(b)が見られ、(a)はxyホモ二重鎖分子に相当し、(b)はxz1yホモ二重鎖分子に相当する。全く同じパターンがレーン2で観察された。この観察から、SSBは、2つのホモ二重鎖分子のいずれかとの安定な複合体を形成することはできないことが結論付けられる。
【0210】
xy分子500ngを、H2O27μlの最終量でxz1y分子500ngと混合した。変性させるために、そのサンプルを98℃で2分間インキュベートし、次いで40℃でインキュベートした。次いで、10×アニーリングバッファー[500mM酢酸ナトリウム(25℃でpH4、5)、2.8M NaClおよび45mM ZnSO4]3μlを直ちに添加し、その結果得られたサンプルを、アニーリングのために40℃で15分間インキュベートした。次いで、その溶液の半分(15μl)を37℃で15分間インキュベートし、次いで4%アクリルアミドゲル上に添加した(ライン3)。後の半分を大腸菌SSB6μgと混合し、37℃で15分間インキュベートし、ゲル上に添加した(ライン4)。
【0211】
レーン1と比較すると、レーン3において、(a)および(b)よりもゆっくり移動する追加のバンド(ab)の出現を確認することができる。上述のように、これらの新しい形は、変性/アニーリング段階の結果として生成されたヘテロ二重鎖分子に相当する。レーン4において、ヘテロ二重鎖分子に相当するこれらの追加のバンド(ab)が消失するのに対して、非常に遅れ、かつ(ab)ヘテロ二重鎖とSSBタンパク質との間に形成されたISSRH−RE複合体に相当する新しいバンドが現れる。この観察から、SSBは、17ヌクレオチドの内部一本鎖ループを有する二重鎖構造との安定な複合体を形成することができると結論付けられる。
実験BおよびC:z=30または40bp
【0212】
これらの実験では、実験Aと同じ実験条件を用いた。唯一異なるのは、Bでは、介在配列z2が長さ30bpの配列であるのに対して、Cでは、z3の長さが40bpであることである。観察されたプロフィールは、AよりもBおよびCで同じであった。これは、驚くべきことではないが、SSBが、30および40ヌクレオチドの一本鎖ループを有するポリヌクレオチドとの安定かつ特異的な複合体を形成することができることを意味する。
2)SSB一本鎖トラップの検出限界
15、17、30、40、67、および150ヌクレオチドの一本鎖ループを有するヘテロ二重鎖に関して、強いシフトが認められたのに対して、対応するホモ二重鎖分子では、シフトが認められなかった。しかしながら、12ヌクレオチドのループを含有するヘテロ二重鎖の小部分のみがSSBによって保持され、9ヌクレオチドのループを含有するヘテロ二重鎖ではシフトは認められなかった。
【0213】
これらの結果から、大腸菌SSBタンパク質は、少なくとも15ヌクレオチドの一本鎖領域を有するポリヌクレオチドとの安定かつ特異的な複合体を形成することができると結論付けた。15ヌクレオチド未満の長さであるエクソンはごくわずかであることから、大腸菌SSBタンパク質は、選択的スプライシング事象を同定するためにデザインされた一本鎖トラップにおいて適切な認識エレメントである。
【0214】
[実施例2:所定の条件において見出されるすべての選択的スプライシングアイソフォームの単離]
この方法は、選択的スプライシングにさらされたmRNAを同定し、かつ所定のコンテクストで見出された対応する選択的スプライシング事象を特徴づけることができる。図4によってこの方法を説明する。
1)複合cDNAサンプルの作製
最初のサンプルは、ポリヌクレオチド、好ましくは対象のソース(例えば、脳などの組織型)から単離されたmRNAから産生された二本鎖cDNAを含有するサンプルである。代わりに、それは、一本鎖cDNA、mRNA、またはcDNA−mRNAハイブリッドを含有してもよい。mRNAは、製品供給元から、または当業者に公知の数多くの方法の1つによって得られる。mRNA作製の一方法を以下に記述する。
【0215】
a)mRNAサンプルの作製
異なる組織に由来するヒト全RNAまたはポリA+RNAは、LABIMO社およびCLONTECH社から購入し、以下に示すようにcDNAライブラリーを作製するために使用される。購入したRNAは、酸性グアニジウムチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出を用いて細胞または組織から単離される(ChomczyniskiおよびSacchi,上記の文献)。Aviv およびLeder,上記の文献によって述されているように、オリゴdTクロマトグラフィーの2つのパスによって、ポリA+RNAを全RNA(LABIMO)から単離し、リボソームRNAを除去する。
【0216】
ポリA+RNAの質および完全性を以下のように調べる。確実にmRNAが分解しないように、伸長因子1もしくは伸長因子2など遍在するmRNAに対応するプローブと、ノーザンブロットをハイブリダイズさせる。リボソームの配列によるポリA+RNAの汚染を、ノーザンブロットおよび28rRNAの配列から得られたプローブを用いて調べる。続いて、rRNAを5%未満有するmRNA標本をライブラリー構築に使用する。外来配列(原核生物または真菌の)により汚染されたRNAでライブラリーを構築するのを避けるために、細菌の16Sリボソーム配列の存在および高度に発現した2種類の真菌のmRNAの存在もまた、PCRを用いて調べる。最終的に、インタクトなmRNAおよび低レベルな内在性もしくは外来性汚染を含有するRNAサンプルが、その後の段階のために保持される。
【0217】
b)cDNAサンプルの作製
次いで、インタクトなmRNAおよび低レベルな内在性もしくは外来性汚染を含有する、対象のmRNAサンプルのアリコート、例えばmRNA10μgを使用して、耐熱性逆転写酵素、好ましくはAMV逆転写酵素、およびmRNAのポリAテールからの逆転写を開始することを可能にするオリゴdTプライマーを用いて、第1鎖cDNAを合成する。場合によっては、オリゴdTプライマーは、ポリAテールの5’末端で合成を開始するために3’変性ヌクレオチドを有する。第1鎖cDNAを生成した後、第2鎖が、3種類、つまりRNアーゼH、大腸菌DNAポリメラーゼI、および大腸菌DNAリガーゼのカクテルを用いて合成される。RNアーゼHが、逆転写後に得られたRNA/DNAハイブリッドを除去する際、大腸菌DNAポリメラーゼIは第2cDNA鎖を生成する。次いで、新たに合成された第2cDNA鎖を大腸菌DNAリガーゼでライゲートする。第2鎖cDNA合成が終了すると、残りのRNAは分解し、得られた二本鎖cDNAは、RNアーゼH、RNアーゼA、T4 DNAポリメラーゼ、および大腸菌DNAリガーゼを含有する酵素カクテルを用いて平滑末端化される。
【0218】
その結果得られたM0サンプルは、対象の生理的状況から抽出されたmRNAに由来する二本鎖cDNAを含む。
2)選択的スプライシングアイソフォームにおいて濃縮されたサンプルの作製
濃縮プロセスは以下のとおり、5つの段階、つまり変性/アニーリング段階、浄化/平滑末端化段階、アダプターライゲーション段階、選択段階および増幅段階を含む。
【0219】
a)M0サンプルの変性/アニーリングによるヘテロ二重鎖の形成
二本鎖分子が確実にそれらの一本鎖構成要素に分離するように、二本鎖DNAサンプルM0を変性条件にさらす(例えば、10mMトリス(pH8)、5mM EDTA中で98℃にて2分間)。次いで、個々の一本鎖分子が互いにアニールするように、得られた一本鎖DNAサンプルをアニーリング条件にさらす(好ましくは、120mM NaCl、10mM トリス(pH8.0)を含有するバッファー中で30℃にて12〜78時間)。次いで、得られたDNA混合物をエタノールで沈殿させる。変性/アニーリング段階後に得られた新たなサンプルをM0’とする。
【0220】
b)サンプルM0’の浄化および平滑末端化
浄化および平滑末端化段階はそれぞれ、エキソヌクレアーゼVIIおよびファージT4 DNAポリメラーゼで行うことが好ましい。最初に、30mM リン酸カリウム(pH7、9)、8mM Na2・EDTA、10mM β−メルカプトエタノール中で42℃にて30分間、M0’からのDNA0、2〜5μgを、エキソヌクレアーゼVII2〜10単位とインキュベートする。次いで、サンプルの浄化(clean up)を、QIAGEN社から市販のMinElute(登録商標)Cleanup Systemを用いて行い、その結果得られたDNA分子を、0、2mMの各dNTPの存在下にて、50mMトリスHCl(pH8)、50mM KCl、5mM MgCl2、5mM DTT、BSA50μg/ml中でT4 DNAポリメラーゼ2〜10単位と共に12℃で20分間インキュベートする。次に、DNA浄化を再度、QIAGEN社から市販のMinElute(登録商標)Cleanup Systemを用いて行う。浄化/平滑末端化段階後に得られた新たなサンプルをM0’’とする。
【0221】
c)オリゴヌクレオチドアダプターのライゲーション
その方法のこの段階は、アダプター、好ましくはNotIアダプターをサンプルM0’’に存在する平滑末端化ポリヌクレオチドの末端へライゲートすることにある。
【0222】
好ましい実施形態では、Notlアダプターは以下のように得られる:200μlの容積で100mM NaCl、10mM トリスHCl(pH8)、1mM EDTA中で、配列:5’OH−CCCGCCACGTCCAAGCGGCCGCAG−3’OH(配列番号:1)を有する第1合成オリゴヌクレオチド3nmolを、配列:5’−PO4−CTGCGGCCGCTTGGACGTGGCG−3’OH(配列番号:2)を有する第2オリゴヌクレオチド3nmolと混合する。次いで、その混合物を最初に、90℃で2分間置き、続いて40℃で30分間置く。ここでアダプターは、ライゲーション反応にそのまま使用できる。
【0223】
ライゲーション反応は以下のとおり行われる:M0’’からのDNA0、1〜2μgおよびアダプター2〜10μgを、66mMトリスHCl(pH8)、6、6mM MgCl2、10mM DDT、66mM ATP、5%PEG8000中にて最終容積100μlでT4 DNAリガーゼ50ワイス(Weiss)単位と共に混合する。次いで、この反応混合物を10℃で5〜15時間置く。ライゲーション反応の最後で、フェノール抽出に続いて、エタノール沈殿を行う。アダプターライゲーション後、新たなサンプルをM0’’’と呼ぶ。
【0224】
d)一本鎖トラップを用いた、内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)の選択
サンプルM0’’’は、末端にアダプターを含有する二本鎖ポリヌクレオチドのサンプルである。このサンプルは本質的に、2種類の分子、二重鎖(完全に相補的な)および1つまたはいくつかの内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖を含む。選択的スプライシング事象に対応するM0’’’サンプルからのISSRHは、大腸菌の組換えHisタグSSBタンパク質を含む一本鎖トラップを用いて、サンプルの残りから単離することが好ましい。このHisタグSSBタンパク質は、Dabrowskiおよび KurによってProtein Expression and Purification 16,96−102 (1999)に記述されているプロトコルを用いて有利に生成される。手元のHisタグSSBタンパク質を用いて、ISSRHの選択を以下のように行うことができる:1)10mMトリス(pH7.8)、280mM塩化ナトリウム中で37℃にて30分間、M0’’’サンプルをHisタグSSB5μgと共にインキュベートし、その結果HisタグSSB/ISSRH複合体が形成される。2)次いで、得られた混合物を、Novagen社から市販のNi−NTAヒス*結合樹脂で充填されたクロマトグラフィーカラム上に直接適用し、その結果HisタグSSB/ISSRH複合体がその樹脂に結合する。次いで、洗浄バッファー(20mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.8)でカラムを2回または3回洗浄し、次いで、イミダゾール溶出バッファー(20mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、500mMイミダゾール、pH6)でカラムを溶出することによって、ISSRHを回収する。次いで、溶出されたHisタグSSB/ISSRH複合体をプロテイナーゼKで処理し、その結果複合体のタンパク質画分が乱され、ISSRHが遊離する。次に、プロテイナーゼKを取り除くために、フェノール抽出を行い、次いで、その結果得られた除タンパクされた混合物のISSRHをエタノール沈殿によって濃縮する。
【0225】
一本鎖トラップ後、サンプルをISSRH(またはASEを有する核酸)で濃縮する。この新たなサンプルをM1と呼ぶ。任意に、本発明の一本鎖トラップを含むこの選択段階を数回繰り返して、ISSLHの回収を好ましくは1〜3倍に最大限にすることが可能である。
【0226】
e)M1サンプルのPCRによる増幅
上記の選択段階後、M1サンプル中のポリヌクレオチドを、選択されたポリヌクレオチドの両端にライゲートされたアダプター中のプライマー結合部位に結合することが可能なプライマーを用いてPCRによって増幅する。例えば、配列:5’−ACGTCCAAGCGGCCGCAG−3’(配列番号:3)を有するプライマーを使用することができる。
M1のPCR増幅によって生成された新たなサンプルをM1aとする。
【0227】
f)M1aのクローニング(選択肢1)またはM1aの更なる濃縮(選択肢2)
この濃縮サイクル後、ASE(1種または複数種)を示すポリヌクレオチドを直接クローン化することが可能である(選択肢1)。代替方法としては、濃縮をもう1回を実施してもよい(選択肢2)。
【0228】
f1)選択肢1:M1aのクローニング
適切な付着末端または平滑末端で作製されたいずれかのクローニングベクターおよび当業者に公知の技術を用いて、ASEを含有するポリヌクレオチドをクローン化する。クローン化された単離ポリヌクレオチドは、核酸差異において濃縮されたライブラリー(NAD−Lib)、さらに正確には選択的スプライシングアイソフォームにおいて濃縮されたライブラリー(ASI−Lib)を形成する。任意に、かかるポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの両端に存在する、Not Iなどの制限酵素部位のいずれかを用いて消化することが可能である。かかる消化段階によって、クローニングを促進するであろう付着末端が形成される。
【0229】
f2)選択肢2:アダプター切断
上述の5つの段階(変性/アニーリング;浄化および平滑末端化、アダプターライゲーション、一本鎖トラップ、PCR増幅)からなるASE濃縮の新たな回を行う前に、M1aのDNA分子上に存在するアダプターを、アダプター上に存在する制限酵素部位のいずれかを用いたサンプルの消化によって有利に除去する。濃縮サイクルをもう1回行うには、NotIなどのアダプター配列間のいくつかのハイブリダイゼーションの問題を避けるために、アダプターを消化することが好ましい。この消化後に得られた新たなサンプルをM1adとする。ここでM1adは、変性/アニーリング段階で始まり、PCR増幅段階で終わるASE濃縮の新たな回にすぐ入ることができる。
第2回のASE濃縮の後に得られた、濃縮されたサンプルをM2aとする。ここで再び、M2aサンプルの濃縮されたポリヌクレオチドをクローン化してもよいし、またはASE濃縮の新たな回にかけてもよい。
【0230】
[実施例3:所定の条件における特異的遺伝子の選択的スプライシング事象の単離および同定]
以下のプロトコルは、特異的遺伝子(遺伝子X)の異なるスプライシングアイソフォームの同定を提供する。実施例3に開示の方法を図5および図6によって説明する。
1)低減された標的cDNAサンプルの作製
M0サンプルは、遺伝子Xに特異的な二本鎖cDNA断片のサンプルである。それは、以下のように、RT−PCRに続いてRT−PCR産物の断片化によって得られる。
【0231】
a)標的cDNAサンプルの作製
第1段階では、単離されたmRNAまたは市販のmRNAを、実施例2に記載の技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて一本鎖cDNAに転換する。
【0232】
次いで、上記の逆転写産物の少量のアリコートを、対象の遺伝子、つまり遺伝子Xに特異的なプライマーを用いたPCR反応において鋳型として使用する。そのプライマーは、対象のcDNAの大部分を増幅することできるようにデザインすることが好ましい。つまり例えばポリアデニル化部位に相当する領域において、第1プライマーは遺伝子Xの転写開始部位のできる限り近くでアニールし、第2プライマーはメッセンジャーXの3’末端のできる限り近くでアニールする。増幅する領域が非常に長い、通常6Kbを超える長さである場合、例えばBoehringer Mannheim社からのExpand(登録商標)long template PCRシステムなどの広範囲のPCRシステムが使用される。次いで、Xの異なるスプライシングアイソフォームを含有する二本鎖ポリヌクレオチドのサンプルが得られる。
【0233】
b)cDNAサンプルの低減
次に、遺伝子Xのスプライシングアイソフォームの断片を得るために、低減段階が行われる。RT−PCR産物は、Novagen社から市販のDnase Shotgun Cleavageキットの材料および条件を用いて、平均サイズ約600bpを有する断片にまで切断される。次いで、得られたポリヌクレオチド断片を1%〜1.5%アガロースゲル上で電気泳動によって分離し、200〜800bpに相当するバンドを切り出す。範囲200〜800bpのDNA断片を、当技術分野でよく知られている数多くの既存の方法の1つによってアガロースバンドから回収する。低減された標的cDNAサンプルをM0とする。
【0234】
2)特異的ASEにおいて濃縮されたライブラリーの作製
遺伝子Xに特異的であり、対象の元のサンプル(1つまたは複数)に存在するASE中へのM0サンプルの濃縮は、実施例2に記載の場合と同じ手順を用いて得られる。簡潔に言えば、遺伝子Xに特異的な断片を変性させ、次いで再生する。M0サンプル中に遺伝子Xのいくつかのアイソフォームが存在する場合、ASEにさらされた領域を表す鎖がエクソン(1つまたは複数)もしくはその一部(1つまたは複数)を欠くか、または追加のエクソン(1つまたは複数)もしくはその一部を有する相補鎖にアニールするたびに、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二重鎖ポリヌクレオチドが生成されるだろう。ここで、アニーリング段階後のサンプルをM0’と呼ぶ。
【0235】
次いで、M0’サンプルにおける変性/再生されたポリヌクレオチドを浄化し、平滑末端化する。次に、その後の増幅およびクローニングを促進するために、アダプターをライゲートする。次いで、本発明の一本鎖トラップを用いて、ISSRHを選択する。PCR増幅後、ASEを含有するポリヌクレオチドは直接クローン化されるか、または濃縮にもう一回かけられる。プロセスの終わりに、遺伝子Xに対してASEを有する短い断片において濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)が得られる。
【0236】
3)ASEの同定
次いで、遺伝子Xに特異的なクローン化ASEを以下のように同定する。ASE濃縮ライブラリーを最初にシークエンスし、当業者に公知のいずれかのバイオインフォマティクスツールを用いて、得られた配列をASEの存在に関して分析する。
【0237】
低減段階のために、遺伝子Xの異なるASEは、互いに独立して同定される場合が多い。というのは、その異なるASEが、低減段階後に得られた異なる断片に相当する、異なる単離ポリヌクレオチド種上に存在するためである。したがって、少なくとも2つの独立したASEが所定のメッセンジャーに対して同定され次第、次の段階で、この遺伝子の異なるアイソフォームを決定する。例えば、図6に示すように、4種類の異なるアイソフォーム、つまり11、12、13および14を、2つの独立したASE、つまりエクソンまたはエクソンの一部が存在する、または存在しない2つのASEであるAおよびBを用いて生成される。可能性のあるこれら4つのアイソフォームに関して、最初のサンプルにおけるこれらの4つの異なるアイソフォームの全11通りの組み合わせが可能である。しかしながら、可能性のあるこれら11通りの組み合わせのうち7通りは、2つのASEの存在を明らかにする。
【0238】
その状況は、ASEの数が増大するに従って、さらに非常に複雑になる。さらに説明するために、以下を例にとってみよう。遺伝子XがプレmRNAに転写され、2種類のスプライシングアイソフォーム、約3kbメッセンジャーのX1およびX2が生じると仮定する。X1は:1)それが、分子(第1ASE)の5’部分に位置する80ヌクレオチドの追加のエクソンを有し;2)それが、分子(第2ASE)の中央に位置する25ヌクレオチドのエクソンと、分子(第3ASE)の3’部分に位置する65ヌクレオチドのエクソンである、2つのエクソンを欠いている;という点でX2と異なるとさらに仮定する。そのため、本発明の方法を適用すると、遺伝子Xを特徴づける3つのASEは同定することができるが、低減段階のために、かつこれらの3つのASEが他のASEから遠位にあることから、ほぼ間違いなく、それらは独立して同定されるだろう。したがって、この段階では、遺伝子Xの異なるアイソフォームが何であるかを決定することはできない。実際には、3つのASEでおそらく生成することができるアイソフォームの総数は23=8であり、3つのASEに相当する組み合わせの数は非常に大きい。
【0239】
Xの異なるアイソフォームの同定は以下のように行われる。第1段階において、遺伝子Xのすべての異なるアイソフォームのライブラリーが作製される。例えば、RT−PCRは上述のように行われ、得られたサンプルのポリヌクレオチドを対象のベクターにクローン化する。このように、すべての異なるXアイソフォームがライブラリーにおいて表現するだろう。
【0240】
第2段階において、Xのすべての異なるアイソフォームのライブラリーのクローン、好ましくはライブラリーの96〜384個のクローンが、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、固体支持体、たとえばフィルター、膜またはバイオチップ上にアレイされる。同一のアレイされたいくつかのライブラリーが作製される。
【0241】
第3段階では、アレイされたライブラリーを、遺伝子Xの同定された異なるASEと結合するいくつかのプローブと独立してハイブリダイズさせる。各プローブは、所定のASEに対して特異的であるようにデザインすることが好ましい。例えば、プローブは、それが前記エクソンの一部、または前記エクソンと周囲のエクソンとの接合部と特異的にハイブリダイズする場合、選択的にスプライスされた特定のエクソンの包含に特異的である。代替方法としては、前記エクソンがスプライスされた場合に共に連結されるエクソンと、存在する場合には前記エクソンを取り囲むエクソンと、の間の接合部と特異的にハイブリダイズする場合には、前記エクソンの排除に対して特異的であるようにプローブをデザインすることが可能である。したがって、この方法を用いて、選択的スプライシングにかけられた異なるエクソンが存在するかどうかを、アレイされたライブラリーの各クローンについて決定し、その結果、各クローンについて相当するアイソフォームが何であるかを正確に推測することが可能である。例えば、独立した2つのASEが同定されている場合(例えば、ASE1およびASE2)、ASE1において選択的にスプライスされたエクソン配列(エクソン1)を認識するであろう第1オリゴヌクレオチド(オリゴ1)をデザインすることが可能であり、ASE2において選択的にスプライスされたエクソン配列(エクソン2)を認識するであろう第2オリゴヌクレオチド(オリゴ2)をデザインすることができる。オリゴ1とのアレイされたライブラリーの第1ハイブリダイゼーションは、エクソン1が各クローンに存在するかどうかの情報を与える(ハイブリダイゼーションシグナルはエクソン1が存在することを示し、シグナルはエクソン1が存在しないことは示さない)。ライブラリーのオリゴ2との第2ハイブリダイゼーションは、各クローンにおいてエクソン2が存在するかどうかの情報を与える。そのように、クローンがオリゴ1とはハイブリダイズするが、オリゴ2とハイブリダイズしない場合、これによって、エクソン1が存在し、エクソン2が存在しないアイソフォームが存在することが明らかとなる。別のクローンがオリゴ1ともオリゴ2ともハイブリダイズしない場合、これは、エクソン1およびエクソン2が欠けている遺伝子Xのアイソフォームが存在することを示している。
【0242】
[実施例4:所定の条件における特異的遺伝子のスプライシングアイソフォームの単離および同定]
所定の状況における単一プレmRNAに由来する、異なるスプライシングアイソフォームを以下のように同定することができる。最初に、メッセンジャーXに特異的なASEにおいて濃縮されたライブラリーは、先の実施例で記述するように作製される。次いで、クローン化ASEの配列を、濃縮されたライブラリーをシークエンスすることによって同定する。最後に、メッセンジャーXの異なるアイソフォームを含有するライブラリーを、当業者に公知のいずれかの技術を用いて作製する。そのライブラリーからのクローンを固体支持体上にアレイし、次いで、各クローン上に存在するASEを同定し、かつ先の実施例で記述するように異なるXアイソフォームを推論するために、メッセンジャーXの異なるASEに結合することができるプローブとハイブリダイズさせる。
【0243】
代替方法として、低減段階が省略されていることを除いては、実施例3に記載の手順と本質的に同じ手順を用いて、単一遺伝子のスプライシングアイソフォームを作製することができる。したがって、ASEおよび濃縮ループ後のその周囲の配列を本質的に含有する短い断片を得る代わりに、この方法によって、ASE、好ましくは完全長スプライシングアイソフォームを含有する長いポリヌクレオチドが生成される。この方法のフローチャートを図7に示す。この場合、予備的なRT−PCR段階によって、平滑末端を有するポリヌクレオチド種が生成することから、平滑末端化段階も必要ではないこともまた留意されたい。さらに、予備的なRT−PCR段階に使用される同じプライマーを濃縮の他の回に使用することができるため、アダプターライゲーションもまた、濃縮の他の回を行うのに必要ではない。
【0244】
[実施例5:所定の薬物に対するそれらの感受性の点で異なる、所定の病原体の2種類の株のゲノム間での配列差異の同定]
以下のプロトコルによって、所定の薬物に対するそれらの感受性の点で異なる、所定の細菌病原体の2種類の株のゲノム間での配列差異が同定される。
【0245】
両方の株からのゲノムDNAを、当技術分野でよく知られている技術(Current Protocols in Molecular Biology, Volume 1, Chapter 2.4参照)を用いて単離する。次いで、第1株のゲノムDNA2〜5μgを、第2株の等量のゲノムDNAと混合する。得られたDNA混合物を3つのチューブに分ける。次いで、3種類のDNAの混合物をそれぞれ、異なる6塩基カッター制限エンドヌクレアーゼ、例えばEcoRV、PvuIIおよびDraIで消化し、その結果、各混合物におけるDNA分子の平均サイズは、約4〜5Kbに低減される。制限エンドヌクレアーゼを用いてDNA分子を消化する条件は、当業者にはよく知られている。通常、供給業者によって提供される適切なバッファーを用いて、DNA1μgまたは2μgを、全反応容積50μlで制限エンドヌクレアーゼ2〜5単位を用いて37℃にて1時間消化する。3通りの異なる低減パターンが用いられる理由は、切断が核酸差異中で生じ、このため、前記核酸差異の同定が妨げられる可能性を低減するためである。したがって、異なる手段、ここでは異なる制限酵素によって断片化を行うことによって、それぞれの核酸差異が低減段階によってインタクトなままであり、続いて同定される可能性が高くなる。消化後に得られた3種類のDNA混合物をM0EcoRV、M0PvuII、およびM0DraIとする。
【0246】
次いで、それらの3種類の混合物で、実施例2に記述した手順と本質的に同じ手順を行い、2種類の株の間に存在する配列差異に関連するDNA断片において濃縮された3種類の新たな混合物が得られる。簡単に言うと、M0EcoRV、M0PvuII、およびM0DraI混合物のDNA断片を変性させ、次いで再生する。株のうちの1つが、1つまたはいくつかの欠失または1つまたはいくつかの挿入によって他の株と異なる場合、核酸差異に関連する領域を表す1つの株からの鎖が他の株からの相補鎖にアニールすると、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二重鎖ポリヌクレオチドが形成し得る。次に、再生段階後に得られた3種類のサンプル(M0’EcoRV、M0’PvuII、およびM0’DraI)を浄化、平滑末端化およびアダプターライゲーション段階にかける。ここで、その結果得られた混合物をM0’’’EcoRV、M0’’’PvuII、およびM0’’’DraIと呼ぶ。次いで、これら3種類の混合物中のISSRHを、本発明の一本鎖トラップを用いて選択する。BNDCカラムを、SSTのREとして使用することが好ましい。M0’EcoRV、M0’PvuII、およびM0’DraIを1M NaClに調節し、次いで、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaClで予め平衡化しておいたBNDC100mgと混合する。その混合物を室温で1〜4時間攪拌する。次いで、高い塩濃度にてBNDCは二本鎖DNAを保持しないが、一本鎖DNAを保持することができるため、BNDCを14,000rpmで3分間ペレットにし、その上清を捨てる。次いで、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaClバッファーで2〜3回、BNDCを洗浄する。各洗浄で、BNDCを最初に再懸濁し、懸濁液中で2〜5分間保持し、遠心分離りよってペレットにし、次いで上清を捨てる。BNDC、主にISSRHを結合させたポリヌクレオチドは、溶出バッファー(50%ホルムアミド、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaCl)500μl中に洗浄されたBNDCを再懸濁し、懸濁液中でそのBNDCを5分間保持し、次いで、5分間遠心分離することによってBNDCをペレットにし、上清を回収することによって回収される。次いで、回収されたポリヌクレオチドをエタノール沈殿させる。
【0247】
一本鎖トラップによって選択された3種類の混合物をPCR増幅した後、配列差異を含有するポリヌクレオチドを直接クローン化するか、またはもう1回濃縮にかける。プロセスの終わりに、2種類の株間の配列差異を有するDNA断片において濃縮されたライブラリーが得られる(NAD−Li)。これらの配列差異は、ライブラリーをシークエンスすることによって、または当業者に公知のいずれかの方法によって特徴づけることができる。
【0248】
[実施例6:いくつかの条件における単一遺伝子の選択的スプライシング事象の単離および同定]
図8に示すこの方法によって、いくつかのソース、環境または生理学的条件間の差異に特有な選択的スプライシング事象において濃縮されたcDNAライブラリーを得ることができる。
【0249】
この方法は、濃縮法が実施されるcDNAサンプルが、単一ソース由来のものではなく、共に混合された異なるcDNAサンプルからのものであるという違いを有するが、実施例3に記載の段階と同じ段階を含む。
簡単に言えば、いくつかの標的cDNAサンプルを、異なるソース、環境または生理学的条件に由来する最初のサンプルからの遺伝子Xに対して作製する。次いで、濃縮手順が実施されるポリヌクレオチドサンプルを構成するために、等量のこれらの標的cDNAサンプルを共に混合する。
【0250】
次いで、実施例3に記載の手順と同じ手順を用いてASE同定を行う。しかしながら、同定されたASEが、混合ポリヌクレオチドサンプルを得るのに使用されるcDNAサンプルの1つまたは複数内における選択的スプライシングアイソフォームの存在(サンプル内の差異)から、または異なるcDNAサンプルにおける異なる選択的スプライシングアイソフォームの存在(サンプル間の差異)から生じるかどうかを決定するために、混合ポリヌクレオチドサンプルから生じるポリヌクレオチドを、各ポリヌクレオチドサンプルそれぞれから生じるポリヌクレオチドと並行してスポッティングする。したがって、混合サンプルにおいて、1つまたはいくつかの最初のポリヌクレオチドサンプルにおいても同定されたASEは、結果としてサンプル内の差異から生じるのに対して、混合サンプルのみで同定され、最初のcDNAサンプルのいずれでも同定されないASEは、サンプル間の差異から生じるだろう。
【0251】
[実施例7:いくつかの条件における単一遺伝子の選択的スプライシングアイソフォームの単離および同定]
図9に示すこの方法によって、いくつかの生理的条件に対する単一遺伝子または限定セットの遺伝子のcDNAアイソフォームのライブラリーが得られる。濃縮法が実施されるcDNAサンプルが単一ソースに由来するものではなく、実施例6で記述されているように共に混合された、異なるcDNAサンプルに由来するものであることを除いては、実施例4に記載の手順と同じ手順を用いる。
【0252】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して説明されている。本発明の精神および範囲から逸脱することのない様々な修正形態および変化は、当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
配列一覧のフリーテキスト
配列のソース:/注記=「合成構築物」(Sequence source:/note=”synthetic construct”)
【図面の簡単な説明】
【図1】
核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離するための本発明の方法のいくつかの段階を図示する。Moサンプルは、黒の太線で示される二本鎖ポリヌクレオチドを含む。核酸差異を有する2種類の関連ポリヌクレオチドを破線で表す。分子αは、完全またはほぼ完全なホモ二重鎖を表す。分子βは、一本鎖テールを有する二重鎖を表す。分子σは一本鎖分子を表す。分子γは、内部一本鎖領域および一本鎖テールを有するヘテロ二重鎖を表す。分子δは、内部一本鎖領域および平滑末端を有するヘテロ二重鎖を表す。白い長方形はアダプターを表す。
【図2】
核酸差異に対して特異的なプローブの選択を図示する。関連ポリヌクレオチドにおいて同一の領域は開いたボックスである。オリゴヌクレオチドプローブは黒の太線で表し、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドに対して局在化している。図2aにおいて、関連ポリヌクレオチドは、領域の追加/欠失によって異なる(影付きのボックス)。図2bにおいて、関連ポリヌクレオチドは、ある領域の他の領域による置換によって異なる(縞のボックス)。
【図3】
大腸菌SSBタンパク質を用いた一本鎖トラップの効率を示すゲルリターデイションアッセイのハーフトーンの複写である。3種類のサンプル(A、BおよびC)は等量の2種類のポリヌクレオチドを含み、一方のポリヌクレオチドは領域yに隣接する領域xからなり、他方は隣接領域x、zおよびyからなる。z領域の長さは3種類のサンプルの間で異なる:Aの場合、z1=17bp;Bの場合、z2=30bp;Cの場合、z3=40bpである。変性/再生を意味するライン「D/R」で、「−」はこの段階が無いことを意味し、「+」はこの段階があることを意味する。SSBラインでは、「−」は、SSBタンパク質を全く使用しないことを意味し、「+」はSSBタンパク質を使用することを意味する。一般的な3種類の分子:ホモ二重鎖分子(a=xy、b=xzly;c=xz2y; d=xz3y);ヘテロ二重鎖分子(ab、ac et ad)およびISSRH−SSB複合体(ab/SSB、ac/SSBおよびad/SSB)が見出された。
【図4】
核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドで濃縮されたライブラリー(NAD−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返してもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は図2に開示されている。
【図5】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子の選択的スプライシング事象で濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返してもよい濃縮ループを示す。この方法についての他の情報は図3に開示されている。
【図6】
低減段階を含む、単一遺伝子または限定セットの遺伝子の選択的スプライシング事象を同定する方法を用いた選択的スプライシング事象の分析を示す。2つの選択的スプライシング事象(AおよびB)は、可能性のある4種類のアイソフォーム(I1、I2、I3、I4)を導き、最初のサンプルにおいて可能性のある11通りの組み合わせのうち、これら4種類のアイソフォームの7通りの組み合わせから、これらの2種類のASEが同定される。更なる詳細については、実施例3の「ASEの同定」のセクションを参照のこと。
【図7】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子に対するアイソフォームのライブラリー(ASI−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例4に開示されている。
【図8】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子、およびいくつかの生理的条件に対する選択的スプライシング事象で濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例6に開示されている。
【図9】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子、およびいくつかの生理的条件に対するアイソフォームのライブラリー(ASI−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例7に開示されている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオテクノロジー分野に関し、かつ異なるソース、起源、環境または異なる生理的状況に由来するポリヌクレオチド間の核酸の差異を同定かつクローン化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の遺伝子のヌクレオチド配列は、単一種内の個体間で、単一個体内の細胞間で、同一細胞内の両染色体間で異なる。かかる差異は、挿入、欠失、点突然変異によって、または細菌、カビ、菌類およびウイルスによる感染により外来DNAもしくはRNAを獲得することによって、DNAの遺伝的変異または環境変化から生じる可能性がある。例えば、病原体による、所定の薬物に対する突然の耐性獲得は、欠失によって、またはゲノム中の新しい配列の獲得によって生じる。あるいは、病原は、ゲノム領域の挿入または欠失の結果生じる。例えば、遺伝性精神遅滞の最も一般的な原因である脆弱X症候群は、リボソーム停止によりタンパク質合成が抑制される結果となる、脆弱XmRNAの5’非翻訳領域における複数のCGCトリヌクレオチドの挿入が一部原因である(Feng 等, Science 268: 731−4, 1995)。ヌクレオチド配列の変化は、細胞に大きな影響を及ぼし得る。例えば、多くの腫瘍および多くの遺伝病は、特定のヌクレオチド配列の変化、または変異に起因する。タンパク質をコードするヌクレオチド配列の変異によって、変化したポリペプチド配列、場合によっては、変化した生物活性を有するタンパク質が生成される結果となり得る。単一タンパク質の活性の変化は時として、生物体全体の生理機能に大きな影響を及ぼし得る。
【0003】
癌および遺伝病を治療するための、有効な予防的診断法および治療法を開発するために、疾患発生の一因となる遺伝子突然変異を最初に同定しなければならない。通常、突然変異は、その正常配列が既に分かっているクローン化遺伝子の研究で同定されている(例えば、Suzanne 等, Science 244: 217,1989; Kerem 等, Science 245: 1073,1989を参照のこと)。つまり、遺伝子は最初に、疾患に関連すると同定され、疾患状態と相関する特定の配列変化が引き続き同定される。
【0004】
ゲノムDNAの変異に加えて、ヌクレオチド配列の変異もまた、単一遺伝子から転写された、異なるメッセンジャーRNA分子間で起こる。実際、一部の遺伝子のプレmRNAが様々な方法でスプライスされて、異なるmRNAが産生され、したがって異なる機能を示すタンパク質アイソフォームが合成される。かかる選択的スプライシングは、細胞の型、発生の段階、または細胞の化学的もしくは物理的環境によって異なる。プレmRNAの選択的スプライシングは、遺伝子発現の定量的制御に影響を及ぼし、タンパク質の機能的多様性をもたらし得る、強力かつ可変性な調節メカニズムである。
【0005】
遺伝子発現を調節するメカニズムとして、選択的スプライシングが普及することによって、それは、ヒト疾患を引き起こす変化に対する非常に可能性の高い標的となる。スプライシング機構は、いくつかの状況で変化し得る。例えば、遺伝子突然変異は、生理的なスプライシング部位を不活性化、または潜在的なスプライシング部位を明らかにすることによって、スプライシングのプロフィールを乱し得る。特に、遺伝子点突然変異は、スプライシング接合部を変化させるか、または除去し、異常に切断された転写物、または正常に欠失したエクソンを含有する、かつ/もしくは正常に存在する別のエクソンを含まない転写物のいずれかを生じる正常なスプライシングを妨げる可能性がある。
【0006】
スプライシング変化の多数の例が、疾患またはそれに関連した障害と関連している。実際に、疾患に関連する遺伝子突然変異の15%が、RNAスプライシングのプロセスを変化させる。多くの癌関連遺伝子が選択的にスプライスされ、それらの発現によって、多数のスプライス変異体が産生される(MercatanteおよびKole, Pharmacol Ther 2000,85: 237−43)。これらの大部分の変異体の機能は明確に定義されていないが、一部は、細胞死制御機構に関連する拮抗活性を有する。数多くの癌および癌細胞株では、スプライス変異体の比は頻繁にシフトし、そのため、抗アポトーシスのスプライス変異体が優勢である。したがって、これらのスプライス変異体のキャラクタリゼーションによって、新規な治療標的を同定し、新規な薬物および新規な診断手段をデザインすることができる。
【0007】
様々な技術が、核酸の配列変異を同定するのに用いられている。例えば、制限断片長多型(RFLP)分析では、ヌクレオチド配列の突然変異または変化により生じた制限部位を検出し(Kan 等, Lancet ii: 910,1978参照);変性勾配ゲル電気泳動法および一本鎖DNA電気泳動移動度の研究では、電気泳動ゲルにおけるバンドの移動度の変化によってヌクレオチド配列の差異を同定し(Myers等, Nature 313: 495,1985; Orita等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2766,1989参照);化学的な切断分析では、ヘテロ二重鎖DNAにおけるミスマッチ部位を同定し(Cotton, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397, 1988参照);RNアーゼ切断分析では、RNA−DNAまたはRNA−RNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチ部位を同定する(Myers等, Science 230: 1242, 1985; Maniatis 等 ,米国特許第4,946,773号参照)。
【0008】
核酸差異を同定する上述の方法それぞれに関する重大な問題は、対象の遺伝子の予備知識が一般に必要とされることである。
かかる差異を示す遺伝子の予備知識なく、核酸差異を検出し、最終的に続いて同定するために、最近3つの方法が開発されている。これらの方法は、関連ポリヌクレオチドの相補鎖を互いにアニールし、核酸差異以外は二重鎖分子を形成し、したがってヘテロ二重鎖を形成することができるであろうという事実に基づいている。その差異が単一ヌクレオチドの差異または小さな挿入もしくは欠失にある場合、ミスマッチした二重鎖が形成される。その差異が大きなヌクレオチド領域を含む場合、内部一本鎖領域を有する二重鎖が形成される。
【0009】
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願番号:WO99/36575には、核酸の2つのソース集団内でのハイブリダイゼーションから形成されたミスマッチ二重鎖核酸分子を、MutSなどのミスマッチ二重鎖に結合することができる酵素を用いてサンプルの残りから単離する方法が開示されている。しかしながら、この技術は、数個のヌクレオチドのミスマッチ領域よりも大きい内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖には適用されない。
【0010】
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,535号には、異なる集団からの核酸鎖を互いにハイブリダイズさせ、その結果ヘテロ二重鎖が形成される方法が開示されている。次いで、ヘテロ二重鎖に依存する手法でそれらのヘテロ二重鎖を切断し、切断産物を単離し、核酸集団において異なる遺伝子配列を同定するのに使用する。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願番号:WO99/46043には、ヘテロ二重鎖の内部ループを、かかるヘテロ二重鎖の二本鎖領域を消化することによって回収する方法が開示されている。しかしながら、これらの最後から2つの方法は、その断片のみを単離することはできるが、核酸差異を含有する完全長ポリヌクレオチドを直接単離することができない。
【0011】
本発明は、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチド、または前記核酸差異を取り囲む領域を含む、その断片を単離する方法であって、前記核酸差異が、ヌクレオチドの大きな領域の挿入もしくは欠失、または置換にある方法を開示する。かかる方法は特に、ゲノム挿入/または欠失、選択的スプライシング事象および配列伸長の反復を単離することに対して興味深い。これらの技術の利点の一つは、核酸差異のみならず、フランキング配列、および前記核酸差異を含む完全長ポリヌクレオチドでさえも単離することである。次いで、かかる完全長ポリヌクレオチドは、いくつかの用途、例えばクローニングおよび/またはシークエンスに利用できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリヌクレオチドサンプルにおける核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの単離方法に関し、前記方法は、少なくとも1つの内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(本明細書ではISSRHと呼ぶ)を一本鎖トラップ(本明細書ではSSTと呼ぶ)で選択することを含み、前記ISSRHは前記関連ポリヌクレオチド間で形成され、かつ前記内部一本鎖領域は前記核酸差異を表す。
【0013】
本発明の実施形態において、前記一本鎖トラップは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。本発明の好ましい実施形態では、前記一本鎖トラップは、二本鎖DNAと比較して、一本鎖DNAに選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。さらに好ましい実施形態では、前記REは、RNAと比較してDNAに選択的な親和性を有する。さらに好ましい実施形態では、前記REは、一本鎖DNAを選択するのに用いられる条件下にて、二本鎖DNAおよび一本鎖RNAと比較して、一本鎖DNAに選択的な親和性を有する。
【0014】
他の好ましい実施形態では、前記REは抗体である。他の好ましい実施形態では、前記REはペプチドである。さらに他の好ましい実施形態において、前記REはタンパク質である。さらに好ましくは、前記REは、一本鎖結合タンパク質(SSB)である。またさらに好ましくは、前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択される。さらに好ましくは、前記REは大腸菌SSBである。さらに他の好ましい実施形態において、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REは、BNDCであることがさらに好ましい。
【0015】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖ポリヌクレオチドを含有する。前記一本鎖ポリヌクレオチドは、(+)鎖および(−)鎖のどちらも含むことが好ましい。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖ポリヌクレオチドを含有する。その他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖分子および二本鎖分子のどちらも含有する。
【0016】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルはDNAを含有する。好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルはcDNAを含有する。他の好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルはゲノムDNAを含有する。他の好ましい実施形態では、RNAを含有し、好ましくはmRNAを含有する。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、DNAおよびRNAのどちらも、好ましくはcDNAおよびmRNAのどちらも含有する。
【0017】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一ソースまたは単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。
【0018】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子由来のポリヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または遺伝子の限定セット由来のcDNAまたはmRNAを含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドサンプルは、複合ポリヌクレオチド混合物を含む。好ましい実施形態において、そのポリヌクレオチド混合物は、cDNA収集物、mRNA収集物、またはcDNA収集物とmRNA収集物の両方を含む。
【0019】
特に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプルにおける核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの単離方法に関するものであり、前記方法は、以下の段階:
(a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドサンプルを得る段階;
(b)前記サンプルに存在するポリヌクレオチドをアニールして、前記関連ポリヌクレオチド間でISSRHを形成させる段階;
(c)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;を含む。
【0020】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、ポリヌクレオチドのサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0021】
任意に、前記方法は、アニーリング段階(b)前に前記サンプル中の前記ポリヌクレオチドを変性させる追加の段階を含む。
任意に、前記方法は、ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する追加の段階を含み、前記追加の段階は段階(c)の前に行う。
【0022】
任意に、前記方法は、段階(b)の後に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含み、前記追加の段階は、好ましくは段階(c)の後、さらに好ましくは浄化段階後に行う。
任意に、その方法は、ポリヌクレオチド末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートする追加の段階を含む。前記方法は、段階(b)の後に、ポリヌクレオチドの末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートする追加の段階を含むことが好ましい。前記ライゲーション段階は、前記浄化段階後、前記平滑末端化段階後、または前記浄化および平滑末端化段階の後に、行うことがさらに好ましい。任意に、前記方法は、好ましくは増幅段階後、さらに好ましくは増幅段階後およびクローニング段階または核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドの単離の別のサイクルの前に、ポリヌクレオチドの末端からアダプターを完全にまたは一部除去する追加の段階を含む。
【0023】
任意に、前記方法は、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを増幅する追加の段階を含む。
任意に、前記単離方法は、数回、好ましくは1、2、3または5回繰り返し行ってもよい。
【0024】
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドをクローン化する最終段階を含む。
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドの前記核酸差異を、好ましくはDNAシークエンスを用いて同定する最終段階を含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、DNAサンプルにおいて核酸差異を有する関連DNA分子を単離する方法に関し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するDNAサンプルを得る段階:
b)前記サンプル中のDNA分子を変性させる段階:
c)前記の変性されたDNA分子をアニールして、前記関連DNA分子間でISSRHを形成させる段階;
d)ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する段階;
e)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
f)前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを、PCRを用いて増幅する段階;を含む。
【0026】
任意に前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、DNA分子のサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(e)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。
【0027】
他の実施形態において、本発明は、DNAサンプル中の核酸差異を有する関連DNA分子の単離方法に関し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連DNA分子を含有するDNAサンプルを得る段階;
b)前記サンプル中のDNA分子を変性させる段階;
c)前記変性DNA分子をアニールして、前記関連DNA分子間でISSRHを形成させる段階;
e)前記ISSRHの末端にアダプターをライゲートする段階;
f)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
g)前記一本鎖トラップによって選択された前記ISSRHを、PCRを用いて増幅する段階;を含む。
【0028】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、DNA分子のサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(f)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。任意に、前記方法は、前記の増幅されたISSRHの末端から前記アダプターを完全にまたは一部除去する追加の段階を含む。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明の方法のいずれかにおける前記ISSRHの選択は、以下の段階:
i)前記ISSRH内の前記内部一本鎖領域を前記REに結合させ、続いて内部一本鎖領域含有ヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を形成させる条件下にて、前記サンプルを前記REと混合する段階;
ii)前記サンプルから前記ISSRH−RE複合体を分離する段階;を含む。
【0030】
代替方法としては、前記一本鎖トラップは、以下の段階:
i)前記REを固定化する段階;
ii)前記の固定化されたREを前記のアニールしたサンプルと接触させて、前記ISSRH内の前記内部一本鎖領域を前記REに結合させ、続いて、内部一本鎖領域含有ヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を形成させる段階;
iii)未結合ポリヌクレオチドを除去する段階;を含む。
【0031】
任意に、本発明のいずれかの選択方法は、前記ISSRH−RE複合体から前記関連ポリヌクレオチドを回収する追加の段階を含むことが可能である。
特に、本発明は、選択的スプライシングにかけられたポリヌクレオチドを単離する方法であって、
a)スプライシングアイソフォームを含有する二本鎖cDNAサンプルを得る段階;
b)前記cDNAを変性させて、一本鎖cDNAを得る段階;
c)異なるスプライシングアイソフォームからの一本鎖cDNA間でISSRHを形成させる条件下にて、前記一本鎖cDNAをアニールする段階であって、内部一本鎖領域が前記選択的スプライシング事象を含む段階;
d)前記ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する段階;
e)平滑末端化されたcDNAの末端にアダプターをライゲートする段階;
f)SSTを用いて、前記ISSRHを選択する段階;
g)前記の選択されたcDNAを増幅する段階;を含む方法に関する。
【0032】
任意に、前記方法は、段階(c)後および段階(e)前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含む。任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、ポリヌクレオチドのサイズが低減される、追加の低減段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0033】
一実施形態において、前記cDNAサンプルは、単一ソース、単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記cDNAサンプルは、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。
【0034】
一実施形態において、前記cDNAサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子由来のcDNAを含む。他の実施形態では、cDNAサンプルは、複合ポリヌクレオチド混合物を含む。好ましい実施形態では、cDNA混合物は、cDNA収集物、mRNA収集物、またはcDNA収集物およびmRNA収集物のどちらも含む。
【0035】
本発明は、本発明の方法のいずれかを実施するためのキットもまた包含する。
本発明は、本発明のいずれかの方法によって得ることができるISSRH−REを包含する。本発明は、本発明のいずれかの方法によって得られたISSRH−REもまた包含する。
【0036】
本発明は、本発明の方法のいずれかを用いて得られたライブラリーもまた包含する。前記ライブラリーは、少なくとも1つの核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されることが好ましい。前記ライブラリーは、選択的スプライシングアイソフォームまたは選択的スプライシング事象において濃縮されることがさらに好ましい。
【0037】
本発明は、本発明のいずれかの方法を用いて単離されたいずれかのポリヌクレオチド、またはその断片を包含する。前記の単離されたポリヌクレオチドは、核酸差異を有するポリヌクレオチドであることが好ましい。一実施形態において、前記の単離されたポリヌクレオチドは、選択的スプライシングによって同一遺伝子から誘導される。好ましい実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、他方のポリヌクレオチドと比較して、一方のポリヌクレオチド中に少なくとも1つのエクソンまたはエクソンの一部が存在することで異なる。他の好ましい実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、一方のポリヌクレオチド中の1つのエクソンが他方のポリヌクレオチド中の異なるエクソンと置換されることで異なる。他の実施形態では、前記の単離されたポリヌクレオチドは、同一遺伝子の突然変異体と比較して、1つの遺伝子のヌクレオチド配列の挿入、欠失または置換によって異なる。
【0038】
本発明は、好ましくは厳密な条件下にて、好ましくは特異的に、本発明のいずれかの方法を用いて単離されたポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドもまた包含する。前記ポリヌクレオチドは、好ましくは厳密な条件下にて、好ましくは特異的に、本発明の方法のいずれかを用いて単離された核酸とハイブリダイズできることが好ましい。
【0039】
一実施形態において、前記核酸差異は、少なくとも6、8、10、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、500、1000、1500、2000、3000、5000、10000または50000個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含む。前記核酸差異は、10、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、500、1000、1500、3000または5000個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことが好ましい。前記核酸差異は、12、15、18、20、25、50、75、100、150、200、300、または500個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことがさらに好ましい。前記核酸差異は、15、18、20、25、50、75、100、または150個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことがまたさらに好ましい。
【0040】
本発明は、すべてのオリゴヌクレオチド、好ましくは、本発明のいずれかの方法によって単離されたポリヌクレオチドを用いて核酸差異を検出するようデザインすることが可能なプライマーおよびプローブもまた包含する。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法を説明する。核酸差異のかかる単離方法は、本発明の核心である一本鎖トラップ(SST)の使用を特徴とする。
【0042】
特に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドを単離することに関し、前記方法は、内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)を、一本鎖トラップ(SST)を用いて選択する段階を含み、前記ヘテロ二重鎖は、前記関連ポリヌクレオチド間で形成され、かつ前記一本鎖領域は前記核酸差異を表す。本発明の好ましい実施形態において、前記SSTは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む。前記REは、二本鎖DNAと比較して、一本鎖DNAに対して選択的な親和性を特徴とする、タンパク質またはペプチドであることが好ましい。前記REは、一本鎖DNAに対する特異的親和性を特徴とする、タンパク質またはペプチドであることがさらに好ましい。前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択されることがさらに好ましい。前記REは大腸菌SSBであることがさらに好ましい。他の好ましい実施形態では、前記REは、抗体、好ましくは自己抗体である。さらに他の好ましい実施形態では、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REはBNDCであることがさらに好ましい。
【0043】
第1段階は、対象の関連ポリヌクレオチドを含有するサンプルを得ることであり、前記サンプルは、標的核酸集団または複合核酸集団のいずれかを含む。次に、ポリヌクレオチドサンプル中のポリヌクレオチドをアニールして、二重鎖を形成する。次いで、一本鎖トラップを用いて、1つまたはいくつかの内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖を精製し、それによって、その内部一本鎖領域は、前記ヘテロ二重鎖を形成するためにアニールされた前記関連ポリヌクレオチド間の核酸差異に相当する。
【0044】
したがって、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法を包含し、前記方法は、以下の段階:
a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するサンプルを得る段階;
b)前記サンプルに存在するポリヌクレオチドをアニールして、前記関連ポリヌクレオチド間で内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)を形成する段階;
c)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;を含む。
【0045】
任意に、前記方法は、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適したサイズに、ポリヌクレオチドのサイズを低減する追加の段階を含む。その低減段階は、段階(c)の前、さらに好ましくは段階(b)の前に行うことが好ましい。
【0046】
任意に、前記方法は、前記サンプルが二本鎖ポリヌクレオチドを含有する場合に、アニーリング段階(b)前に、前記サンプル中の前記ポリヌクレオチドを変性させる追加の段階を含む。
任意に、前記方法は、ISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する追加の段階を含み、前記追加の段階は、段階(b)の後および段階(c)の前に行われる。その追加の段階は、浄化段階と呼ぶ。
【0047】
任意に、前記方法は、段階(b)の後に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する追加の段階を含み、前記追加の段階は、好ましくは段階(c)の前、さらに好ましくは浄化段階後に行う。
任意に、その方法は、オリゴヌクレオチドアダプターをポリヌクレオチドにライゲートして、その後のクローニングおよび/またはその後の増幅を可能にする追加の段階を含む。前記アダプターライゲーションは、その方法の都合の良いいずれかの段階で行うことが可能である。例えば、前記アダプターライゲーションは、前記アニーリング段階後または前記平滑末端化段階後に行われる。前記ライゲーション段階は、前記浄化段階および平滑末端化段階後に行われることが好ましい。代替方法としては、前記ライゲーション段階は、SSTを用いた選択段階後に行われる。任意に、ライゲートされたアダプターは、その方法の都合の良いいずれかの段階で、好ましくは増幅段階後に、およびクローニング段階もしくは核酸差異を含有するポリヌクレオチドに対する濃縮の別のサイクルの前にポリヌクレオチドから切断される。前記アダプターの切断は、対象のポリヌクレオチドをクローン化する任意の段階である。
【0048】
任意に、前記方法は、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅する追加の段階を含む。
任意に、前記単離方法、あるいはアニーリングおよび選択段階にあり、かつ任意に低減段階、変性段階、浄化段階、平滑末端化段階、アダプターライゲーション段階、アダプター除去段階、およびPCR増幅段階からなる濃縮サイクルを数回、好ましくは1〜5回繰り返し行う。
【0049】
任意に、前記単離方法は、前記の単離されたポリヌクレオチドをクローン化する最終段階を含む。
任意に、前記単離方法は、好ましくはDNAシークエンスを用いて、前記の単離されたポリヌクレオチドの前記核酸差異を同定する最終段階を含む。
【0050】
[定義]
本明細書において同義で用いられる「核酸分子(1つまたは複数)」および「ポリヌクレオチド(1つまたは複数)」という用語は、RNAまたはDNA(一本鎖または二本鎖、コーディング鎖、相補鎖またはアンチセンス鎖)、または単鎖もしくは二重鎖状の複数のヌクレオチドのRNA/DNAハイブリッド配列を含む(上記の種それぞれを詳細に指定することは可能であるが)。特に、それはゲノムDNA(gDNA)、相補DNA(cDNA)、プレメッセンジャーRNA(プレmRNA)、不完全にスプライスされたmRNA、およびメッセンジャーRNA(mRNA)を包含する。
【0051】
本明細書において「ヌクレオチド」という用語は、一本鎖もしくは二重鎖状態における任意の長さのRNA、DNA、またはRNA/DNAハイブリッド配列を含む分子を説明するために形容詞として使用される。さらに正確には、「ヌクレオチド配列」という表現は、核酸物質自体を包含し、したがって、特定のDNAもしくはRNA分子を生物化学的に特徴づける配列情報(つまり、4つの塩基文字の中で選択される文字列)に限定されない。
【0052】
本明細書において「ヌクレオチド」という用語もまた、分子を意味する個々のヌクレオチドまたは様々なヌクレオチド、あるいはプリンまたはピリミジン、リボースまたはデオキシリボースの糖部位、およびリン酸基、またはオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの場合におけるホスホジエステル結合を含む、大きな核酸分子の個々のユニットを指すために名詞として使用される。また、本明細書において「ヌクレオチド」という用語は、(a)選択的結合(alternative linking)基、(b)プリンの類似型、(c)ピリミジンの類似型、または(d)類似糖などの少なくとも1種類の修飾を含む「修飾ヌクレオチド」を包含する意味で用いられる。例えば、類似結合基の中では、プリン、ピリミジン、および糖が挙げられ、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開番号:WO95/04064を参照のこと。本発明の好ましい修正形態には、限定されないが、5−フルオロウラシル,5−ブロモウラシル,5−クロロウラシル,5−ヨードウラシル,ヒポキサンチン,キサンチン,4−アセチルシトシン,5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル,5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン,5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル,ジヒドロウラシル,β−D−ガラクトシルクエオシン(galactosylqueosine),イノシン,N6−イソペンテニルアデニン,1−メチルグアニン,1−メチルイノシン, 2,2−ジメチルグアニン, 2−メチルアデニン,2−メチルグアニン, 3−メチルシトシン, 5−メチルシトシン, N6−アデニン, 7−メチルグアニン, 5−メチルアミノメチルウラシル, 5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル,β−D−マンノシルクエオシン(mannosylqueosine),5’−メトキシカルボキシメチルウラシル,5−メトキシウラシル,2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン,ウラシル−5−オキシ酢酸(v)yブトキソシン(ybutoxosine),擬ウラシル(pseudouracil),クエオシン(queosine),2−チオシトシン,5−メチル−2−チオウラシル,2−チオウラシル,4−チオウラシル,5−メチルウラシル,ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル,ウラシル−5−オキシ酢酸,5−メチル−2−チオウラシル,3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル,および2,6−ジアミノプリンが含まれる。本発明のポリヌクレオチド配列は、合成、組換え、ex vivoでの産生、またはそれらの組み合わせを含むいずれかの方法によって、ならびに当技術分野で公知のいずれかの精製方法を用いて作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,378,825号;同第5,386,023号;同第5,489,677号;同第5,602,240号;および同第5,610,289号に記述されているように、メチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオシドならびに混合主鎖化合物を有するものを製造することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,264,562号および同第5,264,564号に記述されているように、ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,223,618号に記述されているように、エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,223,618号に記述されているように、ホスフィネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,469,863号に記述されているように、アルキルホスホネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,610,289号または同第5,625,050号に記述されているように、3’−デオキシ−3’−メチレンホスホネートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,256,775号または米国特許第5,366,878号に記述されているように、ホスホラミダイトオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開番号:WO94/17093およびWO94/17093に記述されるように、アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,476,925号に記述されているように、3’−デオキシ−3’−アミノホスホルアミデートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,023,243号に記述されているように、ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,302号および同第5,177,198号に記述されているように、ボラノホスフェートオリゴヌクレオチドを作製することが可能である。
【0053】
本明細書において「相補(相補的)」または「その補体」という用語は、相補領域全体を通して、別の指定のポリヌクレオチドとワトソン−クリック型塩基対を形成することが可能なポリヌクレオチドの配列を指すために使用される。ワトソン−クリック型塩基対は、2つの水素結合によりアデニン残基に連結したチミンまたはウラシル残基、3つの水素結合によって連結したシトシンおよびグアニン残基を有する二重らせんDNAにおいて見られるように、それらの配列同一性によって互いに水素結合することができるヌクレオチドを意味する。本発明の目的で、第1ポリヌクレオチド中の各塩基がその相補的塩基と対をなす場合、第1ポリヌクレオチドは、第2ポリヌクレオチドに相補的であると考えられる。相補的塩基対は一般に、AとT(またはAとU)、またはCとGである。本明細書において「補体」は、「相補的ポリヌクレオチド」、「相補的核酸」および「相補的ヌクレオチド配列」の同義語として使用される。これらの用語は、2つのポリヌクレオチドが実際に結合すると考えられる特定の一連の条件ではなく、単にそれらの配列に基づく対のポリヌクレオチドに適用される。別段の指定がない限り、すべての相補的ポリヌクレオチドは、考察されるポリヌクレオチドの全長にわたって完全に相補的である。
【0054】
本明細書において使用される「単離(された)ポリヌクレオチド」という用語は、そのポリヌクレオチドが、その元の環境(つまり、それが天然に存在する場合の自然環境)から取り除かれることを必要とする。例えば、生体動物に存在する天然ポリヌクレオチドは単離されないが、自然体系において共存する物質の一部またはすべてと区別される同一ポリヌクレオチドが単離される。かかるポリヌクレオチドはベクターの一部であることが可能であり、かつ/またはかかるポリヌクレオチドは、組成物の一部であることが可能であり、かつそのベクターまたは組成物がその自然環境の一部ではないという点からさらに単離することが可能である。具体的には、天然に存在する染色体(染色体の拡散など)、人工的な染色体ライブラリー、ゲノムライブラリー、および核酸のin vitro標本として、または宿主細胞が異種なin vitro標本であるか、もしくは単一コロニーの異種集団としてプレーティングされる、トランスフェクトされた/形質転換された宿主細胞の標本として、存在するcDNAライブラリーが、「単離ポリヌクレオチド」の定義から除外される。具体的には、指定のポリヌクレオチドが、ベクター分子における核酸インサート数の5%未満を占める上記のライブラリーもまた除外される。さらに、細胞全体のゲノムDNAまたは細胞全体のRNA標本(機械的に切断された、または酵素により消化された前記の細胞全体の標本を含む)が除外される。さらに具体的には、in vitro標本としての、または対象のポリヌクレオチドが電気泳動媒体中の異種ポリヌクレオチドからさらに分離されない(例えば、アガロースゲルまたはナイロンブロットにおいて異種バンド集団から単一バンドを切除することによる更なる分離)電気泳動(それのブロットトランスファーを含む)により分離された異種サンプルとしての、上記の細胞全体の標本が除外される。
【0055】
本明細書において同義で用いられる「精製」または「濃縮」という用語は、完全な精製または濃縮を必要とするわけではなく;むしろ、それらは相対的な定義として意図される。SSTを用いて、少なくとも1桁、好ましくは2桁または3桁、さらに好ましくは4桁または5桁のオーダーに核酸差異を含有するポリヌクレオチドを精製することが、特に企図される。例として、濃度0.1%から濃度10%への精製は2桁のオーダーである。本明細書において「精製された」という用語は、限定されないが、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド、炭水化物、脂質等を含む他の化合物から分離されたポリヌクレオチドを説明するために使用される。「精製された」という用語はまた、線状ポリヌクレオチドから共有結合的に閉環しているポリヌクレオチドを分離する場合を説明するために使用される場合がある。サンプルの少なくとも約50%、好ましくは60〜75%が単一ポリヌクレオチド配列および配座(線状に対して共有結合的な閉環状)を示す場合、ポリヌクレオチドは実質上純粋である。実質的に純粋なポリヌクレオチドは通常、それぞれポリヌクレオチドサンプルの約50%(重量/重量)、好ましくは60〜90%、さらに通常、約95%を占め、約99%を超える純度であることが好ましい。ポリヌクレオチドの純度、または均一性は、サンプルのアガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動などの当技術分野で公知の数多くの手段によって、続いてゲルを染色して単一バンドを可視化することによって示される。特定の目的で、HPLCまたは当技術分野で公知の他の手段を用いて、より高い分解能を提供することができる。代わりの実施形態として、異質ポリヌクレオチド(DNA、RNA、または両方)に対する「最低」純度%として、ポリヌクレオチドの精製が表される。好ましい実施形態として、そのポリヌクレオチドは、異質ポリヌクレオチドに対してそれぞれ、少なくとも;純度10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、96%、98%、99%、または100%である。さらに好ましい実施形態として、そのポリヌクレオチドは、異質ポリヌクレオチドに対して、または担体に存在するもの以外のすべての化合物および分子に対する重量/重量比として、任意の位〜小数点以下第3位の範囲、90%〜100%(例えば、少なくとも純度99.995%)のポリヌクレオチド)の純度を有する。小数点以下第3位までの純度%を表す各数字は、純度の個々の種類として主張することが可能である。
【0056】
本明細書において使用される「cDNA」という用語は、完全なmRNA鋳型から合成される相補的DNAまたはその断片を意味する。例えば、cDNAという用語は、所定のmRNAから合成された完全長cDNAおよび前記mRNAから誘導されたいずれかのESTを意味する。
「(+)鎖」という用語は、所定の遺伝子のmRNAに類似する配列を有するDNAまたはRNA鎖を意味し、「(−)鎖」という用語は、対象のmRNAに対してアンチセンスおよび相補的配列を有するDNAまたはRNA鎖を意味する。
【0057】
「二重鎖」という用語は、二本鎖領域を含むポリヌクレオチドを意味する。完全な二重鎖または「ホモ二重鎖」は完全に相補的な鎖を含み、したがって完全な二本鎖分子である。「ヘテロ二重鎖」とは、完全に相補的ではない領域を含有し、したがってポリヌクレオチド末端または内部に位置する一本鎖領域もまた有し、したがって内部一本鎖領域またはミスマッチを形成する二本鎖ポリヌクレオチドを意味する。かかるヘテロ二重鎖は、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドに由来する(+)一本鎖および(−)一本鎖のハイブリダイゼーションから生じる。少なくとも1つの内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖は、本明細書においてISSRHと呼ばれる。核酸差異が、他方の関連ポリヌクレオチドと比較して、一方の関連するポリヌクレオチドの領域の追加または欠失にある場合、かかる内部一本鎖領域は「内部一本鎖ループ」である。核酸差異が、他方の関連ポリヌクレオチドと比較して、一方の関連ポリヌクレオチドのある領域の別の領域による置換にある場合、かかる内部一本鎖領域は「内部一本鎖バブル」である。
【0058】
本明細書で使用される「一本鎖トラップ」という用語は、サンプル中に含まれる他の物質、つまり一本鎖領域を含有しない他のポリヌクレオチド、ポリペプチド、炭水化物、および脂質から、少なくとも1つの一本鎖核酸領域を含有する分子を選択する手段を意味する。かかる分子は、その化学的性質にかかわらず一本鎖核酸分子または任意の分子であることが可能であり、前記分子中の前記一本鎖領域の位置にかかわらず、一本鎖核酸領域である少なくとも1つの領域を含有する。
【0059】
本明細書で使用される「関連ポリヌクレオチド」とは、異なる配列を有するか、または他方と比較して一方のポリヌクレオチドから欠失もしくは追加される1つまたは少数の領域を除いて、同一配列を有するポリヌクレオチドを意味する。通常の関連ポリヌクレオチドは、同一遺伝子のスプライシングアイソフォーム、または同一遺伝子の別の対立遺伝子と比較してゲノム欠失または追加を有する遺伝子である。かかる関連ポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、mRNA、完全長cDNAなどの完全長ポリヌクレオチド、またはその断片である。
【0060】
「核酸差異」という用語は、本質的に領域の挿入、欠失または置換にある関連ポリヌクレオチド間のヌクレオチド差異を意味する。具体的には、数塩基対のみのヌクレオチド差異にあるミスマッチは本発明から除外される。
「選択的スプライシング事象」という用語は、選択的スプライシングによって同一遺伝子または同一プレmRNAから生じる2つのポリヌクレオチド間に存在する配列変異を示す。この用語は、前記配列変異を含有する、スプライシングアイソフォームまたはその断片を含むポリヌクレオチドもまた意味する。前記配列変異は、少なくとも1つのエクソンもしくはエクソンの一部の挿入または欠失によって特徴づけられることが好ましい。「選択的スプライシング事象」という用語は、本来のスプライシング事象、エクソンのスキッピング(Dietz 等, Science 259,680 (1993); Liu 等, Nature Genet. 16,328−329 (1997); Nystrm−Lahti 等 Genes Chronaosornes Cancer 26: 372−375 (1999))、細胞の環境条件(例えば、細胞の種類または物理的刺激)またはスプライシングの異常を引き起こす突然変異が原因のディファレンシャル・スプライシング(Siffert 等, Nature Genetics 18: 45−48 (1998))を包含する。
【0061】
[ポリヌクレオチドのサンプル]
本明細書において使用される「ポリヌクレオチドサンプル」という用語は、少なくとも2種類の異なるポリヌクレオチド種、つまり完全に同一ではない配列を有するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの収集物を含有するサンプルを意味する。前記ポリヌクレオチドサンプルは、DNA(ゲノムDNAもしくはgDNA、またはcDNA)、RNA(mRNA、プレmRNA、または一部スプライスされたRNA)、またはそれらの混合物を含有することが可能である。前記ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖、二本鎖分子、または一本鎖核酸分子と二本鎖核酸分子との混合物を含有することが可能であり、その各形態は、本発明の実施形態である。前記ポリヌクレオチドサンプルは、(+)鎖と(−)鎖との混合物を含有することが好ましい。前記ポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖ポリヌクレオチドのみを、または二本鎖ポリヌクレオチドを大部分含有することが好ましい。さらに好ましくは、前記ポリヌクレオチドサンプルは、cDNAのみを、またはcDNAを大部分含有するが、一本鎖cDNAもまた本発明によって考察される。
【0062】
一実施形態において、ポリヌクレオチドサンプルは、単一ソース、単一環境または単一生理的条件に由来するポリヌクレオチドを含有する。当業者が思い描くことができるすべてのソース、すべての生理的および環境条件は、本発明の範囲内である。前記の所定の生理的条件は、健康条件、病理的条件、アポトーシス条件、分化条件、未分化条件からなる群から選択されることが好ましい。
【0063】
他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、少なくとも2種類のソース、環境または生理的条件に由来するサンプルからのポリヌクレオチドの混合物を含む。このような異なる生理的条件または環境条件には、限定されないが、対照対実験、健康対感染、X感受性対X耐性、未分化対分化、正常対形質転換細胞が含まれる。
【0064】
本明細書において、生体サンプルから、またはcDNAもしくはgDNAライブラリーから生じる前記ポリヌクレオチドサンプルは、「複合ポリヌクレオチドサンプル」と呼ばれるだろう。本明細書において使用される「複合ポリヌクレオチドサンプル」という用語は、その一部が未知である不特定多数の遺伝子に由来するポリヌクレオチド収集物を意味する。一方、かなり限定された数のポリヌクレオチド種を含有する前記ポリヌクレオチドサンプルは、本明細書において「標的ポリヌクレオチドサンプル」と呼ばれるだろう。かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来するポリヌクレオチドを含有する。本明細書において使用される「限定セットの遺伝子」という用語は、有限数の公知の遺伝子、好ましくは少なくとも2、3、5、10、50、100または500個の定義された遺伝子に由来するポリヌクレオチドを意味する。
【0065】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドサンプルは、標的ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、複合ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、標的ポリヌクレオチドサンプル由来のポリヌクレオチドと複合ポリヌクレオチドサンプル由来のポリヌクレオチドのどちらも含む。さらに他の実施形態では、前記ポリヌクレオチドサンプルは、共に混合された複合ポリヌクレオチドサンプルに由来するポリヌクレオチドを含む。
【0066】
選択的スプライシング事象を同定するための好ましいポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖cDNA収集物または混合された少なくとも2種類の二本鎖cDNA収集物にあるポリヌクレオチドサンプルである。選択的スプライシング事象を同定する他の実施形態において、そのポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖cDNA収集物または混合された少なくとも2種類の一本鎖cDNA収集物を含有する。前記一本鎖cDNA収集物(1種または複数種)は、(+)一本鎖および(−)一本鎖を含むことが好ましい。ポリヌクレオチドサンプル中の選択的スプライシング事象を同定する好ましい実施形態において、対象の遺伝子に対する固有のポリヌクレオチド種をcDNA収集物と混合する。前記の固有のポリヌクレオチド種を過剰に、つまりcDNA収集物と比較して、1.01:1〜100:1、好ましくは1.1:1〜10:1、さらに好ましくは1.5:1〜6:1の比の範囲で添加する。その結果得られた、かかるポリヌクレオチドサンプルは、cDNA収集物中の対象の遺伝子(1つまたは複数)に対して存在するすべてのスプライシング事象をさらに効率的に同定するのに有用である。
【0067】
ゲノムの差異を同定するための好ましいポリヌクレオチドサンプルは、二本鎖gDNA収集物または混合された少なくとも2種類の二本鎖gDNA収集物を含有するポリヌクレオチドサンプルである。他の実施形態において、ポリヌクレオチドサンプルは、一本鎖gDNA収集物または混合された少なくとも2種類の一本鎖gDNA収集物を含有する。前記一本鎖gDNA収集物(1種または複数種)は、(+)一本鎖および(−)一本鎖を含むことが好ましい。
【0068】
(生体サンプル)
本発明は、特定の制限なく、ポリヌクレオチドを含有するすべての生体サンプルを包含する。特に、本発明による生体サンプルは、細胞、組織、器官、固定もしくは非固定の外科的もしくは生検標本、例えば骨髄穿刺液、または全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液、および呼吸器、腸管および尿生殖器の様々な外分泌物、涙、唾液、乳、白血球、細胞培養上清液などの体液を含む生体液から得られる。サンプルの起源は、動物(好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒト)、植物、ウイルス、細菌、原生動物または真菌であることが可能である。サンプルは、真核生物、原核生物、または非細胞生物であってもよい。特に組織、器官、生体液または生検材料に由来する場合、生体サンプル中に含まれる細胞を、利用可能な細胞の数を増やすために培養することができる。そのサンプルは、単一型からの細胞または混合細胞型の細胞を含有することが可能である。その細胞、組織および標本は、正常な個体または疾患もしくは障害を有する患者に由来するものであることが可能である。その疾患または障害は例えば、癌、神経変性疾患、炎症性疾患、心循環器疾患、免疫疾患、肥満症などの体重の疾患等である。いずれかの特定の細胞、細胞型、病理細胞、発生または疾患進行の特定の状態での細胞が本発明において考察される。
【0069】
(複合ポリヌクレオチドサンプルの作製)
複合ポリヌクレオチドサンプルの作製は、所定の状況(サンプル内の差異)において発現した遺伝子を表すポリヌクレオチドの全集団内に存在するすべての核酸差異を系統的に単離するのに特に適している。例えば複合cDNAサンプルを用いて、生体サンプル全体の所定の状況において存在するすべてのスプライシング事象またはすべてのスプライシングアイソフォームを単離することができる。複合ポリヌクレオチドサンプルの作製は、2種類以上の異なる状況(サンプル間の差異)を表すポリヌクレオチドの2つ以上の集団全体の間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのにもまた適している。例えば、2種類以上の生体サンプルからのポリヌクレオチドを混合することから得られる、かかる複合cDNAサンプルは、異なる生体サンプル間の差次的発現から生じる選択的スプライシング事象またはアイソフォームを単離するのに有用である。一方、2種類以上の菌株のゲノムを混合することから得られる、かかる複合gDNAサンプルは、それらの菌株間のゲノム差異を単離するのに有用である。
【0070】
〈ゲノムDNAサンプルの作製〉
それらは当業者にはよく知られており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれるGilman 等「Current Protocols in Molecular Biology」, Volume 1, Chapter 2 (Ausubel 等, eds, John Wiley & Sons, New York, N. Y., 1994)に記載の技術が含まれる。
【0071】
〈RNAサンプルの作製〉
複合ポリヌクレオチドサンプルは、全RNA中で濃縮された集団から、またはmRNA中で濃縮された集団から作製することが可能である。
全mRNAの抽出方法は当技術分野で公知であり、例えばその開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等, (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, vol. 1, ch. 7; 上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, Chapter 4;ChomczynskiおよびSacchi, (1987) Anal. Biochefra. 162: 156−159に記述されている。通常、全RNAの単離は、塩化グアニジウムまたはチオシアン酸グアニジウムなどのカオトロピック剤の存在下で行い、続いてフェノール、クロロホルムなどの溶媒または両方のサンプルを用いて、RNAの抽出を行うが、その代わりに他の洗浄剤および抽出剤を使用することができる。全RNAの抽出に、いくつかの市販のキット、例えばUS73750キット(Amersham社)およびRneasyキット(キアゲン社)も利用することができる。
【0072】
代替方法として、複合ポリヌクレオチドサンプルをメッセンジャーRNAから作製することが可能である。これらのmRNAは、製品供給元からまたは当業者にはよく知られている数多くの方法の1つから得ることができる。例えばポリTオリゴヌクレオチドの使用(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Aviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 69: 1408−1412,1972)を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、メッセンジャーRNAを生体サンプルまたは全RNA抽出物から直接単離することができる。通常、オリゴ(dT)−セルロースによるクロマトグラフィーまたはmRNA分子のポリアデニル化3’−部分に結合する能力を有する他のクロマトグラフ媒体によって、mRNAは全RNAから単離される。mRNAを作製するために、いくつかの市販のキット、例えばPharmacia Biotech社(ニュージャージー州ピスキャタウェイ)1995、カタログ番号27−9255−01および番号27−9254−01;Stratagene社(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)1995、カタログ番号200347、200345、200348、200349、および200344、US72700キット(Amersham社)またはoligo−dTビーズキット(Dynal社)も利用することができる。プレmRNAまたは不完全にスプライスされたプレmRNAによる汚染を防ぐために、細胞質ゾルの全RNAからmRNAを作製することが好ましい。これは、Rneasyキット(N 74103、Quiagen社)を用いて行うことができる。市販のmRNAライブラリーおよび/または公的に入手可能なmRNAライブラリーもまた、本発明に従って使用することができる。例えば、LABIMO社およびCLONTECH社は、異なる組織に由来するヒト全RNAまたはポリA+RNAを販売している。
【0073】
〈cDNAサンプルの作製〉
本発明の好ましい実施形態において、本発明の複合ポリヌクレオチドサンプルは、当技術分野で公知の数多くの方法の1つを用いて、全RNAまたはメッセンジャーRNAから作製されたcDNA分子を含有する。
【0074】
一般に、これらの方法は、mRNA鋳型およびオリゴヌクレオチドプライマーから一本鎖cDNAを合成するための逆転写酵素の使用を含む。実験の詳細は、例えばその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, volume 1, chapter 5、およびSambrook 等, supra, volume 2, chapter 8に記述されている。
【0075】
数多くの逆転写酵素が文献に記述されおり、かつ市販されている。例えば、最も使用されている逆転写酵素は、AMVおよびMMLVウイルス逆転写酵素である。さらに、Therrnus flavusおよびTherrnus therrnoplailusHB−8(Promega社)からの逆転写酵素活性を有するいくつかの耐熱性DNAポリメラーゼもまた使用することができる。好ましい実施形態では、伸長をブロックし得るRNA二次構造を不安定化するために、かなりの高温で第1cDNA鎖を合成することができる逆転写酵素、例えば約42℃で働くAMV逆転写酵素および60℃までで働くTth逆転写酵素を使用し、結果として、向上した忠実度および効率を有する最初のmRNA集団を表すと考えられる長いcDNAが得られる。他の実施形態において、cDNA合成のより高い収率を得るため、かつcDNA合成中のRNA分解を防ぐために、リボヌクレアーゼH活性を持たない逆転写酵素を使用する。かかるRNアーゼH−逆転写酵素は、変異または欠失により逆転写酵素活性を有する公知のいずれかの酵素から作製することができる。その代わりとしては、かかるRNアーゼH−逆転写酵素は市販されている(参照:18053−017、Life Technologies社)。
【0076】
第1cDNA鎖を作製するために、2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、つまりランダムもしくはセミランダムプライマー、およびオリゴdTプライマーを使用することが可能である。ランダムオリゴヌクレオチドは、好ましくは長さ4〜10ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ6ヌクレオチドである。この方法は当業者にはよく知られており、RNA鋳型のランダムな異なる位置で逆転写を開始させる。その代わりに、セミランダムプライマー、つまりi)更なる増幅を可能にする内部プライマー配列および/または更なるクローニングを可能にする制限部位を含有する安定化領域、ii)ランダム領域、およびiii)プライマーを周期的にハイブリダイズさせる最小限のプライミングの領域を含有するプライマーを使用することが可能である。更なる実験の詳細は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO99/4640に記述されている。ランダムもしくはセミランダムプライマーと異なり、オリゴdTプライマーは、mRNAのポリAテールから逆転写を開始することを可能にする。そのプライマーは、好ましくは長さ4〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ約15ヌクレオチドである。オリゴdTプライマーの最後の3’ヌクレオチドを変性させて、ポリAテールのごく最初でDNA合成を開始させることがさらに好ましい。
【0077】
任意に、必要な場合には新たに合成されたcDNAから鋳型RNAを同定、選択または分類するために、標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用してもよい。分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって、標識化を用いることが可能である。例えば、有用な標識には、放射性物質(32p、35S、3H、125Iを含む)、蛍光染料(5−ブロモデオキシウリジン、フルオレセイン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニンを含む)またはビオチンが含まれる。オリゴヌクレオチドの非放射性標識の例は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、フランス特許番号:FR7810975に、またはUrdea等 (1988) もしくはSanchez−Pescador 等(1988)によって記述されている。さらに、標識オリゴヌクレオチドは、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、1991年にUrdea 等によって記述されている、または欧州特許番号:EP 0 225 807(Chiron)に記述されている分岐DNAプローブなど、シグナル増幅を可能にする構造特性を有することができる。
【0078】
次いで二本鎖cDNAは、例えば自己プライミング(上記の Sambrook 等, p.8.14参照)および置換合成(それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、上記の Sambrook 等, p.8.15; Klickstein 等, Current Protocols in Molecular Biology,1995, p. 5.5.1−5.5.14参照)を含む当技術分野で公知の方法のいずれか1つを用いて、得られた一本鎖cDNA鋳型から合成される。好ましい技術では、大腸菌RナーゼH、大腸菌DNAポリメラーゼおよび大腸菌DNAリガーゼが使用される。第二鎖合成の最終段階は通常、平滑末端を有するcDNA分子を得るための、T4DNAポリメラーゼの使用を含む。
【0079】
任意に、レアなmRNAを表すcDNAが得られる最良の結果を得るために、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,637,685号;Sankhavaram 等, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88,1943−1947; Ko (1990), Nucl. Acids. Res.18,5709; および Bonaldo 等, Genome Res. 6: 791−806に記載の技術を含む、当業者には公知の技術を用いて、正規化されたcDNAライブラリー、つまり豊富な転写物の大部分において枯渇したライブラリーを作製することが可能である。
【0080】
(標的ポリヌクレオチドサンプルの作製)
この場合には、ポリヌクレオチドサンプルは、所定の生体サンプルまたはDNAライブラリー(つまり、複合ポリヌクレオチドサンプル)に存在するポリヌクレオチドの全セットを含有するわけではなく、1つの遺伝子もしくは限定セットの遺伝子から得られるまたそれに由来する、限定セットのポリヌクレオチド種のみを含有する。
【0081】
かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは特に、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ所定の環境または生理的条件を表すポリヌクレオチド間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのに適している。例えば、標的cDNAサンプルを用いて、所定の状況において単一遺伝子または限定セットの遺伝子に存在するすべての選択的スプライシング事象を研究することができる。
【0082】
かかる標的ポリヌクレオチドサンプルは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ2種類以上の異なる環境もしくは生理的条件を表すポリヌクレオチド間に存在するすべての核酸差異を続いて単離するのにもまた適している。例えば、2種類以上の異なる状況を表す2種類以上の異なる標的cDNAサンプルからのポリヌクレオチドを混合することによって得られた標的cDNAサンプルは、単一遺伝子または限定数の遺伝子に対する状況の中の差異を表すすべてのスプライシング事象を単離するのに有用である。
【0083】
限定数のポリヌクレオチド種を含有する標的ポリヌクレオチドサンプルは、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、最初の複合ポリヌクレオチドサンプルから得ることができる。
当業者に公知の選択方法を用いて、複合ポリヌクレオチド集団の中から、対象のポリヌクレオチド種を選択することが可能である。例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記の「Current Protocols in Molecular Biology」, Volume 1, Chapter 6に記述されているように、前記単一遺伝子もしくは前記限定セットの遺伝子に由来する対象のポリヌクレオチドに特異的に結合することが可能なハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNAまたはgDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、対象のポリヌクレオチドを検出かつ単離することが可能である。代替方法として、CLONTECH Laboratories社からのRecAに基づく技術を用いて、標的クローンを単離することができる。RecAは、一本鎖DNAプローブおよび相同的二本鎖DNA分子間での複合体の形成を促進し、このため、標的配列を含有する二本鎖プラスミドを直接単離することが可能となる。RecAに基づく選択手順を実施するために、必要なものは、200〜300bpのビオチン化プローブを増幅するためのプライマーをデザインするのに十分な、各標的遺伝子からの配列情報のみである。次いで、これらのPCR産物を変性させ、RecAとの複合体を形成し、所定の複合DNAライブラリー内での標的クローンの選択に使用する。[更なる詳細については、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Clontech社からのClonCapture cDNA Selection Kit User Manual (参照:PT3246−1)を参照のこと]。Clontech社のRecAに基づく技術を使用する代わりに、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gibco−BRL社からのジーン・トラッパー(Gene Trapper)技術を使用することが考えられる。
【0084】
代替方法として、対象のポリヌクレオチド種に特異的なプライマーを、ランダム、セミランダムまたはオリゴdTプライマーなどの非特異的プライマーの代わりに使用することを除いては、「cDNAサンプルの作製」という題名のセクションに記載の方法を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、RNAサンプル、好ましくはmRNAサンプルから二本鎖cDNAを選択的に合成することが可能である。好ましくは、かかるプライマーは、できる限り多くのスプライシングアイソフォームに対応するcDNAを合成することができるように、対象の遺伝子(1つまたは複数)の転写部分の予測される大部分の3’末端とハイブリダイズするようにデザインされる。さらに好ましくは、そのプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の最後のエクソンにポリアデニル化部位を含有する領域とハイブリダイズすることが可能なようにデザインされる。代替方法として、そのプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)によってコードされるタンパク質(1種または複数種)に対して、最後のコーディングエクソン、好ましくは3’から終止コドンとハイブリダイズすることが可能なようにデザインされる。任意に、選択的な異なる大部分の3’エクソンとハイブリダイズすることが可能ないくつかのプライマーを、選択的な3’エクソンの存在に関して既に蓄積されている実験知識に基づく、または当業者に公知のソフトウェアを用いた選択的スプライシングに関する予測に基づく同一遺伝子に対してデザインすることができる。
【0085】
増幅の方法を用いて、本明細書の他に開示されているような、標的ポリヌクレオチドサンプルを得ることが好ましい。EPA−320 308、WO9320227およびEP−A−439 182に記載のリガーゼ連鎖反応(LCRまたはギャップLCR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、RT−PCR)およびGuatelli 等, (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 35: 273−286および Compton (1991) Nature. 350 (6313): 9192に記載の核酸配列に基づく増幅(NASBA)などの技術、欧州特許出願第4544610号に記載のQ−β増幅、Walker 等, (1996) Clin. Chem. 42: 9−13およびEP A 684 315記載の鎖置換による増幅、およびPCT公開番号:WO9322461に記載の標的仲介増幅などの技術を含む、増幅の直線的または対数的方法を用いることができる。上記の文献の開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。代替方法として、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Marshall 等, (1994) PCR Methods and Applications. 4: 80−84に記載の非対称ギャップLCR(RT−AGLCR)を用いて、RNAを直接増幅することが可能である。そのPCR技術は、本発明で使用するのに最も好ましい増幅技術である。様々なPCR技術が当業者に知られている。PCR技術を再検討するために、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、White (1997) B. A. Ed. in Methods in Molecular Biology 67: Humana Press,Totowa; Erlich, (1992) PCR Technology; Principles and Applications for DNA Amplification.W. H. Freeman and Co., New York; 題名「PCR Methods and Applications」の出版物 (1991, Cold Spring Harbor Laboratory Press)参照。最初のポリヌクレオチドサンプルが主にRNAを含有する場合、「複合ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションに上述されている技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、二本鎖cDNAが最初に合成される。次いで、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来する対象のcDNAは、好ましくはPCR技術(「Current Protocols in Molecular Biology」,Volume 2, Chapter 15)を用いて、対象の単一遺伝子または限定セットの遺伝子に特異的なプライマーで前記二本鎖cDNAサンプルから選択的に増幅される。実際には、少なくとも1組のプライマーが、以下に示す対象の各遺伝子に対して特異的にデザインされる。第1オリゴヌクレオチドプライマーは、対象のcDNAの5’末端にできる限り隣接してアニールするようにデザインされ、第2オリゴヌクレオチドプライマーは、対象のcDNA3’末端にできるだけ隣接してアニールするようにデザインされることが好ましい。数組のプライマーを、選択的な5’および/もしくは3’エクソンの存在に関して既に蓄積されている実験知識に基づく、または当業者には公知のデータベース検索およびいずれかのソフトウェアを用いた選択的スプライシングに関する予測に基づく同一遺伝子に対して、異なる選択的な大部分の3’エクソンもしくは5’エクソンとハイブリダイズするようにデザインすることが可能である。したがって、当業者には容易に理解できるように、各標的遺伝子に対応する二本鎖cDNA分子の標的混合物が得られ、選択的スプライシング事象が2つのPCRプライマー間に位置する領域で起こる場合には、前記標的遺伝子の異なるスプライシングアイソフォームが表現される。いくつかの遺伝子に由来する標的cDNAサンプルが所望の場合には、PCRを同じチューブ中で、または好ましくは遺伝子のセットが大きい場合、最終の標的cDNAサンプルを得るために次いで共にプールされる最初のcDNAサンプルの異なるアリコート中で並行して行うことができる。
【0086】
同様に、最初のポリヌクレオチドサンプルが主にゲノムDNAを含有する場合には、標的DNAサンプルは、好ましくはPCRによって、さらに好ましくは広範囲のPCR技術を用いて、対象の特異的遺伝子または限定セットの遺伝子に特異的なプライマーで得られる。好ましくは、第1オリゴヌクレオチドプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の大部分の5’末端にアニールし、第2オリゴヌクレオチドプライマーは、対象の遺伝子(1つまたは複数)の部分の大部分の3’末端にアニールする。したがって、得られる産物は、単一遺伝子または限定セットの遺伝子から生じる、異なるポリヌクレオチド種を含む二本鎖ポリヌクレオチドサンプルである。
【0087】
標的ポリヌクレオチドサンプルの作製の代わりに、所定のポリヌクレオチド種または限定セットのポリヌクレオチド種およびそのポリヌクレオチドに対して存在する核酸差異を選択し、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、本発明による方法の後の段階で単離することができる。例えば、対象のポリヌクレオチド種は、ハイブリダイズされた対象のポリヌクレオチドの読出しを可能にする特異的標識オリゴヌクレオチドを用いて、核酸差異を有するポリヌクレオチド中で濃縮された複合ポリヌクレオチドサンプルから単離することができる。
【0088】
(ポリヌクレオチドサンプルの低減)
任意に、複合もしくは標識ポリヌクレオチドサンプルである最初のポリヌクレオチドサンプルを作製するために、低減段階を行うことが可能である。代替方法としては、単離プルプロセスの都合のよい段階で、前記選択段階の後でさえ、低減段階を行うことができる。低減は、好ましくはシークエンス技術を用いて核酸差異を実際に同定する最終段階を促進するために、対象のポリヌクレオチドを小さな断片に切断することによるプロセスである。ポリヌクレオチドを5’および/または3’のシングルパスによってシークエンスできる場合、シークエンス段階はさらに効率的かつ経済的である。したがって、断片のサイズは、好ましくは1000bpを超えないほうがよい。断片の長さは、400〜1000bpであることが好ましく、さらに好ましくは約700bpである。
かかる低減は、ポリヌクレオチドのサイズを約1000bp以下に低減することを可能にする断片化によって達成することができる。その断片化は、当技術分野で公知の方法、例えば酵素的、化学的、機械的等に達成することが可能である。
【0089】
好ましい実施形態において、ウシ膵臓DNアーゼIで穏やかに消化することによって、ポリヌクレオチドが分解される。この酵素によって、Mn2+の存在下にてDNAの二本鎖切断が起こる。その切断はランダムであり、酵素濃度、温度および/またはインキュベーション時間を変化させることによって調節することができる。他の実施形態では、他のエンドヌクレアーゼ、例えば制限エンドヌクレアーゼで切断または消化することによって、断片化を達成することができる。
【0090】
任意に、適切なサイズ、好ましくは1000bp以下のサイズを有する断片を選択するために、断片化産物をさらに処理することができる。例えば、得られた断片化産物をゲル電気泳動によって分離し、400〜1000bpに相当するバンドをゲルから切り出し、数多くの既存の方法の1つによって回収することが可能である。代替方法としては、カラムクロマトグラフィーまたは当技術分野で公知の方法によって、ポリヌクレオチド断片を分離することができる。
本明細書において、低減段階にかけられたポリヌクレオチドサンプルは、「低減された」と表される。
【0091】
[アニーリング段階]
この段階の目的は、M0ポリヌクレオチドサンプルからの一本鎖分子を、少なくともある領域にわたって相補的である鎖を含有する二重鎖にアニーリングし、その結果少なくとも一部二本鎖である二重鎖を形成することである。しかしながら、ポリヌクレオチドサンプルM0が主に二本鎖分子を含有する場合、アニーリング前の変性の追加段階が一本鎖分子を得るのに必要である。
【0092】
本明細書において使用される「変性」という用語は、両方の鎖の相補塩基間の結合を分解することによって、二本鎖核酸分子がその構成物の一本鎖、(+)極性を有する一方の鎖および(−)極性を有する他方の鎖に転換されるプロセスを意味する。
【0093】
本明細書において同義で用いられる「アニーリング」、「再生」、「ハイブリダイゼーション」という用語は、一方は(−)鎖であり、他方が(+)鎖である2本の核酸鎖を連結して、二本鎖分子、または二重鎖を形成するプロセスを意味し、前記連結は、両方の鎖の相補塩基間の水素結合によって仲介される。これらの核酸鎖は、2本のDNA鎖または1本のDNA鎖および1本のRNA鎖または2本のRNA鎖のいずれかである。
【0094】
(二本鎖分子の変性)
変性プロセスにおいて、MOポリヌクレオチドサンプルは変性条件にさらされ、その結果、サンプル中の個々の核酸鎖は互いに分離され、このため、M0に存在するポリヌクレオチドすべてとは限らないが、大部分が一本鎖分子となる。再生は、例えば高温、好ましくは約95℃を超える温度、低いイオン強度、酸性またはアルカリ性pH、および/またはホルムアミドもしくは尿素などの特定の溶媒を使用することによって達成される。核酸を変性させる方法は当技術分野でよく知られている(例えば、experimental details in material and methods of Cotton 等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 : 4397,1988; Shenk 等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72: 989,1975; Steger Nuc. Acids Res.22: 2760,1994;それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。
【0095】
(一本鎖分子のアニーリング)
一本鎖分子のみを、または一本鎖分子を主に含有するポリヌクレオチドサンプルを、個々の鎖が互いにアニールするようにアニーリング条件にさらす。アニーリング条件は、例えばアニーリングを生じさせる温度、イオン強度、pHおよび溶媒の値である。高いイオン強度および/または低い温度などのアニーリングを促進する条件、およびハイブリダイゼーションの厳密さを調整するためのこれらの条件の変動は当技術分野でよく知られており(上記のSambrook等, 1989; 上記のAusubel 等 Current Protocols in Molecular Biology)、サーモサイクラーで保持されるフェノール系エマルジョン中で(Kohne等,(1977) Biochemistry, 16 N 24, 5329−5341)、または攪拌によって(Miller and Riblet, Nucl. Acid. Res. (1995) 23: 2339)、ハイブリダイゼーションが実現されるPERT技術が含まれる。それらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。アニーリングの時間は、所望のハイブリダイゼーションの反応および程度において配列の複雑さに応じて変化させることができる。アニーリング条件は、所望の相補性のレベルに有利なように調整することもできる。
【0096】
いずれかの適切な手段(例えば、エッペンドルフ型チューブなど)を用いて、液相中または適切な支持体上でアニーリングを行うことが好ましい。ハイブリダイゼーションは、少量で、好ましくは10〜1000μl、さらに好ましくは10〜500μlで行うことがさらに好ましい。核酸物質の量は、当業者によって決定することが可能である。一般に0.1〜100μgの量が用いられる。
【0097】
アニーリング段階にかけられたポリヌクレオチドサンプルは、「アニールされる」と記述される。
変性段階およびアニーリング段階では、数種類の構造の分子が生成される。その一部を図1に図示する。
【0098】
α型分子:これらの分子は、完全もしくはほぼ完全な二本鎖の二重鎖またはホモ二重鎖である。例えば、この種類の分子は、所定の遺伝子の1つのスプライシングアイソフォームに対応する完全長一本鎖cDNAが、同一のアイソフォームに対応する相補的完全長cDNA鎖とアニールする場合に形成される。
【0099】
β型分子:これらの分子は、一方または両端に一本鎖テールを有する不完全な二重鎖である。例えば、mRNAの変性、逆転写の早期停止、内部プライミングなどの現象によって、切断されたcDNA鎖が産生され得る。切断されたcDNA鎖が切断されていない相補鎖とアニールした場合、新たに形成された二重鎖は、一方または両端に一本鎖テールを有するだろう。一方、かかる二重鎖は、同一遺伝子の異なるスプライシングアイソフォームに属する2本の鎖の間に形成し、一方のアイソフォームは、他方と比較して一方の末端のエクソン領域の追加または欠失を特徴とする。
【0100】
γ型分子:これらの分子は、一方または両端の一本鎖テールの存在を特徴とする1つまたは複数の内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖である。例えば、かかる分子は、遺伝子のスプライシングアイソフォームに対応する切断されたcDNA鎖が同一遺伝子の他のアイソフォームの完全長相補鎖とアニールする場合に得られ、そのアイソフォームは、それらの5’末端および3’末端の両方で共通のエクソンを共有する。アイソフォームが単に領域の挿入または欠失によって異なる場合、内部一本鎖ループが形成される。アイソフォームが単に、他の領域によるある領域の置換によって異なる場合、内部一本鎖バブルが形成される。
【0101】
δ型分子:これらの分子は、それらの末端に一本鎖テールが存在しないことを特徴とする1つまたは複数の内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖である。例えば、この種類の分子は、遺伝子の一方のスプライシングアイソフォームに対応する完全長cDNA鎖が同一遺伝子のその他のアイソフォームに対応する完全長相補的cDNA鎖とアニールした場合に形成され、そのアイソフォームは、それらの5’末端および3’末端の両方で共通のエクソンを共有する。一方、これらの構造は、ゲノムDNAからの鎖が、領域の挿入もしくは欠失を特徴とする変異を含むが、同一遺伝子に対応するゲノムDNAの相補鎖とアニールする場合に存在する。
【0102】
σ型分子:その分子は完全に一本鎖の分子である。一本鎖分子のこの集団は、別の鎖にアニールしなかった、変性段階によって生成された個々の鎖の集団に相当する。
γおよびδ分子によって図1に表される、内部一本鎖領域(1つまたは複数)有するヘテロ二重鎖またはISSRHは、以下の本発明によって包含される対象の分子である。というのは、それらは、例えば選択的スプライシング事象、ゲノム挿入もしくは欠失、または配列反復の伸長に対応する核酸差異を含むからである。実際には、核酸差異を除いて相補的な2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、2種類のポリヌクレオチド間の前記核酸差異に対応する1つまたは複数の内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二本鎖分子を形成するだろう。
【0103】
(浄化および平滑末端化段階)
ISSRHを選択するための一本鎖トラップの効率を向上させるために、アニールしたサンプルの一部の分子上に存在する《寄生的な》一本鎖領域、換言すれば、完全に一本鎖の分子(図1のσ分子)もしくは二重鎖の一本鎖末端(図1のβおよびγ分子)などの内部領域に対応しないすべての一本鎖DNA領域は、平滑末端化手順によって最終的に完了する浄化手順を用いて取り出すことが可能である。特に、β型およびγ型分子の一本鎖末端が除去され、完全な一本鎖のσ型分子もまた除去される。したがって、γ型分子はδ型分子に転換され、β型分子はα型分子に転換される。
【0104】
本明細書において同義で用いられる「浄化」、「浄化する」または「浄化された」という用語は、対象のサンプルにおけるポリヌクレオチドからの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域の部分的または完全な除去を意味する。
浄化段階は、ISSRHの一本鎖トラップの効率および特異性を妨げると考えられる内部一本鎖領域と異なる一本鎖断片の存在を実質的に低減するために用いられる。それは任意の段階であるが、最初のサンプルがランダムな低減段階にかけられる場合には必須である。核酸二重鎖から一本鎖末端を取り除くため、かつ一本鎖分子を除去するために、当技術分野では様々な技術を利用することができる。例えば、一本鎖末端および遊離の一本鎖分子は、エキソヌクレアーゼVIなどの一本鎖特異的なエキソヌクレアーゼを用いて消化することができる(参照により本明細書に組み込まれる、Kroeker 等 Biochemistry 15: 4463,1976)。5’末端もしくは3’末端から一本鎖DNAを消化するが、遊離末端なしの一本鎖DANに作用することができないエキソヌクレアーゼVIIは、β型およびγ型分子の一本鎖テールを消化し、σ型分子を取り除くが、ISSRHの内部一本鎖領域には作用しないだろう。エキソヌクレアーゼVIIは、その作用様式によって、処理後に単一ヌクレオチドのオーバーハングが残る結果となることから、二本鎖DNAを平滑末端化するのには適していないことを留意するのは重要である。同様の適切な酵素特性を有する他の酵素を使用することができる。
【0105】
好ましい一実施形態において、浄化段階は、一本鎖核酸分子を消化することが可能なエキソヌクレアーゼ、好ましくはエキソヌクレアーゼVIIを用いて行われる。
本明細書において同義で用いられる「平滑末端化する」、「平滑末端化」または「平滑末端化された」という用語は、一方の鎖が他方の鎖よりも長いのではなく、両方の鎖の末端が互いに平滑なポリヌクレオチドを得るために、二本鎖ポリヌクレオチドの末端を修飾することを意味する。
【0106】
この平滑末端化段階は、前の浄化段階なしで行ってもよい任意の段階であるが、浄化段階に加えて、行うことが好ましい。それは2つの目的:i)一本鎖トラップの効率および特異性を妨げる一本鎖末端の除去、相乗的には浄化段階への寄与、ii)最終的なアダプターライゲーションのための二重鎖末端の作製を果たす。しかしながら、非平滑末端を有する断片を生じるランダムな低減段階が行われ、アダプターライゲーションが望まれる場合には、平滑末端化段階は必須である。
【0107】
この平滑末端化段階の他の利点は、必要または所望の場合にはいつでも、本発明の一本鎖トラップを用いた選択段階後に回収されたポリヌクレオチドのその後の増幅に適切な形にポリヌクレオチドを転化することである。かかる増幅によって、必要な場合には、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離するための新たな濃縮サイクルを実施することを可能となるだろう。PCRにより増幅することができる形でのアニールしたサンプル中に存在するポリヌクレオチドの転化は、アダプターをポリヌクレオチド末端にライゲートすることによって行うことが可能である。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、平滑末端化段階はほとんどの場合、ライゲーション段階前の必須条件であるだろう。
【0108】
二本鎖DNAを平滑末端化する技術は当技術分野でよく知られている(Hyone Myong Eun, chapter 6, pp 367, 368, 382, 383, 「Enzymology Primer for Recombinaxtt DNA Technology」, Academic Press, 1996; Gubler, Methods Enzymol. 152: 330,1987;上記の Sambrook 等, pg. 5.45;それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。それらは、T4DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片(Pol Ik)の使用を含む。例えば、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性および5’→3’DNAポリメラーゼ活性を示すT4DNAポリメラーゼは、二本鎖DNA分子の3’突出末端の消化を完了し、劣性3’末端のためにギャップを充填して、平滑末端を有するDNA分子を生成するだろう。
【0109】
好ましい一実施形態において、平滑末端化段階は、ポリメラーゼ、好ましくはT4 DNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片を用いて行われる。さらに好ましい実施形態では、平滑末端化段階は、T4 DNAポリメラーゼを用いて行われる。
【0110】
[一本鎖トラップ]
本発明の方法の重要な段階は、サンプルの残りからの、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有するヘテロ二重鎖分子またはISSRHの集団の単離段階である。ポリヌクレオチドの残りからISSRHのこのサブセットを分離することによって、次いで核酸差異を非常に容易に同定することができる。
【0111】
本発明において、一本鎖トラップ、つまりサンプル中の一本鎖領域を含む分子を選択する手段を用いて、ISSRHの集団が選択かつ単離される。本発明の一本鎖トラップは、好ましくは一本鎖ポリヌクレオチドに結合させるのに用いられる条件下にて、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する「認識エレメント」(RE)に基づく。選択的な親和性とは、REが二本鎖ポリヌクレオチドよりも一本鎖ポリヌクレオチドに高い親和性を有すると理解されたい。一本鎖ポリヌクレオチドに対する前記親和性は、二本鎖ポリヌクレオチドよりも、少なくとも101、102、103、104、105、106、107、108以上高い。
【0112】
好ましい実施形態において、REは、一本鎖DNAを選択するのに用いられる条件下にて、一本鎖DNAに対して高い親和性を有するが、二本鎖DNAまたは一本鎖RNAに対してほとんど親和性を有しない、さらに好ましくは親和性を有しない。DNAを選択するのに使用される条件下にて、RNAと比較してDNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはRNAに対してほとんど親和性を有さない、またさらに好ましくはRNAに対して親和性を有さないREがさらに好ましい。
【0113】
他の好ましい実施形態において、認識エレメントは、一本鎖RNAに対して高い親和性を有するが、二本鎖RNAに対してはほとんど親和性を持たない、さらに好ましくは親和性を持たない。RNAを選択するのに使用される条件下にて、DNAと比較してRNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはDNAに対してほとんど親和性を持たない、またさらに好ましくはDNAに対して親和性を持たないREがさらに好ましい。
【0114】
(認識エレメントとしてのタンパク質の使用)
本発明の一連の好ましいREは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有するペプチドおよびタンパク質である。好ましい実施形態では、前記REは、一本鎖DNAを選択するのに使用される条件下にて、一本鎖DNAに高い親和性を有するが、二本鎖DNAまたは一本鎖RNAに対してほとんど親和性を持たない、さらに好ましくは親和性を持たない。一本鎖DNAに対して範囲108〜1011M−1の親和性を有するREがさらに好ましく、二本鎖DNAに対するそれらの親和性は104〜105M−1を超えない。DNAを選択するのに使用される条件下にて、RNAと比較してDNAに対して選択的な親和性を有する、さらに好ましくはRNAに対してほとんど親和性を持たない、またさらに好ましくはRNAに対して親和性を持たないREがさらに好ましい。
【0115】
本発明のREは、一本鎖ポリヌクレオチドに対するそれらの結合親和性に関して、記述または明記される。好ましい結合親和性には、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×l0−l2M、10−l2M、5×l0−l3M、10−l3M、5×l0−l4M、10−14M、5×l0−l5M、および10−15M未満の解離定数またはKdを有するものが含まれる。
【0116】
本発明の好ましいREは、一本鎖結合タンパク質(SSB)として公知のタンパク質である。本明細書においてSSBは、RNAよりもDNAに対して、かつ二重鎖DNAよりも一本鎖DNAに対して強い選択性を有する結合タンパク質として定義される。SSBは密接かつ共同的に結合し、ヘリカーゼおよびトポイソメラーゼで見られるDNA依存性ATPアーゼ活性などの他の酵素活性を触媒しない。SSBは原核生物と真核生物の両方で見られる。最もよく研究されている原核生物のSSBはファージT4の遺伝子32(gp32)の産物および大腸菌SSBである。大腸菌SSBおよびgp32はそれぞれ、Promega社(M3011)およびAmbion社(2422)から購入することができる。最もよく研究されている真核生物のSSBは、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1である(SSBタンパク質についての更なる情報については、その開示内容全体が参照により組み込まれる、Kornberg and Baker, Chapter 10, 「DNA Replication」, second edition W. H. Freeman and Company, New York; およびChase (1986) Ann. Rev. Biochem. 55: 103−36を参照のこと)。二本鎖DNAと比較して一本鎖DNAに対する選択的な親和性を保持するSSBの相同体または変異体は、REとして本発明によって包含される。
【0117】
本発明の他の実施形態において、RNAポリメラーゼ、リコンビナーゼ、例えばRecAおよびUVsX、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、および乳酸脱水素酵素など、様々な程度の特異性で一本鎖DNAに結合する他のタンパク質、ならびにそれらの相同体または変異体をREとして使用してもよい(Grosse 等 Eur J Biochem (1986) 160 (3): 459−67; Chase 等 (1986) 上記の文献; Ando and Morrical (1998) 283: 785−96)。
【0118】
さらに他の実施形態では、REは、一本鎖ポリヌクレオチド(DNA、RNA、または両方)に選択的に結合することが可能な抗体である。一般に、一本鎖ポリヌクレオチドに特異的な抗体は、プリンおよびピリミジンヌクレオチドに対する特異性を有する抗体である。実際には、入手しやすいプリンおよびピリミジンヌクレオチドは一本鎖ポリヌクレオチドに存在し、二本鎖ポリヌクレオチドには存在しない。REとして使用することができる抗体の例は:いくつかのリウマチ性疾患において、特定の種類の癌および全身性エリテマトーデスなどの他の疾患において見られるような、一本鎖DNAに結合する自己抗体である(その開示内容全体が参照により組み込まれる、Swanson等,Biochemistry 1996 36: 1624−33; StevensおよびGlick, Biochemistry 1999 38: 560−8)。一本鎖DNAに特異的なかかる抗体は、Scimedex社(SSD96参照)から購入することができる。代替方法として、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を示す抗体を見つけるために、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、抗体ライブラリーをスクリーニングすることが可能である。代替方法として、一本鎖ポリヌクレオチに選択的な親和性を有するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を当業者に公知のいずれかの技術を用いて作製することが可能である。
【0119】
さらに他の実施形態において、REは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチド(DNA、RNAまたは両方)に対して選択的な親和性を有するペプチドである。かかるペプチドは、何千万個のペプチドを含有するペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって見つけることができる。ペプチドライブラリーは、バクテリオファージ上で作成するか、または直接的な化学合成から得ることができる。例えば、ファージペプチドライブラリー法においては、所定の長さのランダムな遺伝子を合成し、バクテリオファージ遺伝子中に挿入する。対象のペプチド配列を同定したら、それらを化学合成することができる。この概念は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、BaumbachおよびHammond, BioPharm., May 1992,24に詳細に記述されている。
【0120】
所望の長さまたは所望の範囲の長さの核酸差異を認識することが可能なREを使用することができることに留意すべきである。かかるREは、抗体もしくはペプチドライブラリーのスクリーニングおよびDNAシャッフリングおよびDNAファミリーシャッフリングなどのin vitroでのタンパク質進化技術を含む、当業者に公知の方法を用いて開発することが可能である[これらのシャッフリング法の例に関しては、Yano, T等, (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95,5511−5515; Zhang, J. H等, (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94,4504−4509; Chang, C.−C.等,(1999) Nat. Biotechnol. 17,793−797;Kikuchi, M.等, (2000) Gene 243,133−137を参照のこと]。
【0121】
〈選択段階〉
選択段階は以下のように行われる。認識エレメントを溶液中のポリヌクレオチドサンプルと混合し、その結果、サンプル中のポリヌクレオチドの一本鎖領域に対するREの結合が溶液中で起こる。結合段階後、RE−ポリヌクレオチド複合体が、サンプル中の遊離ポリヌクレオチドの残りから分離される。当業者であれば容易に理解されるように、遊離ポリヌクレオチドから、ポリヌクレオチドに結合したタンパク質またはペプチドを分離するのには、たくさんの可能性が存在する。これらの可能性は2種類の主要なカテゴリーに分類される。
【0122】
第一カテゴリーでは、タンパク質またはペプチドをポリヌクレオチドと区別する一般的な特性を用いて分離を行う。例えば、ポリヌクレオチドに結合したタンパク質の遊離ポリヌクレオチドからの分離は、ニトロセルロースが二本鎖DNAには結合しないがタンパク質に結合する能力を有することから、ニトロセルロースフィルターを用いて行うことが可能である(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記のCurrent Protocols in Molecular Biology, Volufrze 2, Chapter 12を参照のこと)。タンパク質と相互作用するポリヌクレオチドを遊離ポリヌクレオチドから単離するための他の可能性は、1:1のフェノール−クロロホルムなどの溶媒で抽出を行うことである(Invitrogen, San Diego, Calif. 1995 catalog p.63を参照のこと)。
【0123】
第二カテゴリーでは、標的分子、つまりREが固定化リガンドによって捕獲されることを特徴とするアフィニティー技術によって、分離が達成される。第一カテゴリーでは、リガンドは、標的自体、つまり無修飾形の標的タンパク質またはペプチドに対する親和性を有する。例えば、従来の多くのタンパク質のアフィニティー精製プロセスでは、固定化アフィニティーリガンドとしてモノクローナル抗体が使用されている。このように、例えばREがSSBタンパク質である場合、SSBとISSRHとの間で形成された複合体は、SSBタンパク質に特異的に結合する抗体を固定化リガンドとして用いることによって、サンプルの残りから分離することが可能である。
【0124】
第二サブカテゴリーにおいて、固定化リガンドに対して親和性部位を含有するようにするために、REが修飾される。例えば、REはビオチン化される。次いで、ビオチン化REおよびポリヌクレオチドサンプルを共に混合し、ビオチン化REと一本鎖領域を有するポリヌクレオチド分子との間で、この結合段階中に形成された複合体を、数多くのビオチン/ストレプトアビジン精製システムのうちの1つを用いて、ポリヌクレオチドサンプルの残りから分離する。REを修飾する他の手法は、REに添加された融合タグを含有する組換えREタンパク質を生成することである。この手法では、ペプチドまたはタンパク質タグ(特に、アフィニティーテール、切断可能なリンカー、およびマーカー配列とも呼ばれる)をコードするポリヌクレオチドを、対象の遺伝子(例えば、大腸菌SSBタンパク質の遺伝子)の5’末端または3’末端に付ける。得られた遺伝子融合は宿主細胞中で発現し、コードされた組換え融合タンパク質は、当技術分野で公知の方法を用いて、遺伝子工学によるタグの特性に基づいて、混入する宿主タンパク質から単離される。この手法を用いて(時として、アフィニティータグタンパク質精製システムと呼ばれる)、精製された標識REタンパク質が得られ、一本鎖領域を有するポリヌクレオチドをポリヌクレオチドサンプルの残りから分離するのに使用することができる。例えば、標識SSBタンパク質と一本鎖領域を有するポリヌクレオチド分子との間の複合体は溶液中で形成される。次いで、タグに特異的に結合するアフィニティーリガンドが固定化されているアフィニティーマトリックスにサンプルを通すことによって、これらの複合体を溶液から除去する。
【0125】
上述の方法において、REは最初に、いわゆる結合段階において溶液中でその一本鎖ポリヌクレオチド標的との複合体を形成する。次いで、RE−ポリヌクレオチド複合体を遊離ポリヌクレオチドから精製する。本発明の更なる実施形態として、これらの2つの段階を組み合わせ、同時に行ってもよい。例えば、REを固体マトリックス上に固定化し、一本鎖領域を含まないポリヌクレオチドから、一本鎖領域を有するポリヌクレオチドを分離するために、サンプルをアフィニティーマトリックスに適用することが可能である。
【0126】
本発明の好ましい実施形態において、一本鎖トラップは以下のようにデザインされる。REは「一本鎖結合タンパク質」、好ましくは大腸菌SSBである。SSBとISSRHとの結合は、比較的高いイオン強度、0.2M〜0.8M NaCl、さらに好ましくは約0.3M NaClを有するバッファー中で生じる。これらのイオン条件下で、大腸菌SSBの結合は、一本鎖DNAに対して高度に特異的である。
【0127】
さらに好ましい実施形態では、大腸菌SSBは、精製タグ、好ましくはHisタグをそのNH2またはCOOH末端に有するように遺伝子改変されている。HisタグSSBを対象のポリヌクレオチドサンプルと混合し、その結果、標識SSBと一本鎖領域を有するポリヌクレオチドとの間の複合体が溶液中で形成する。次いで、Hisタグ融合タンパク質を精製するためにデザインされた固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)マトリックスにサンプルを通すことによって、これらの複合体を溶液から除去する。標識タンパク質のアフィニティー精製に用いられる、当技術分野で公知のかかるIMACマトリックスは、様々な供給元(例えば、Novagen社など)から購入することができる。次いで、競合的な対リガンド、好ましくはイミダゾール、または非常に高いイオン強度のバッファーを使用することによって、HisタグSSB/DNA複合体を溶出する。
【0128】
任意に、対象のISSRHをREから遊離させるために、ポリペプチドからポリヌクレオチドを分離するための当業者に公知のいずれかの技術を用いて、単離されたISSRH−RE複合体を処理する。例えば、フェノール・クロロホルム抽出、続いて最終的にはクロロホルム抽出、およびアルコール沈殿段階を実施することが可能である。代替方法としては、ISSRH−RE複合体をプロテアーゼまたはプロテアーゼのカクテルで処理して、複合体のタンパク質部分を分解し、続いて核酸部分、つまりISSRHを取り出す。
【0129】
任意に、サンプルからのISSRHの回収を最大限にするために、本発明の一本鎖トラップを用いたISSRHの選択を、好ましくは新しいREを用いて同一サンプルで数回繰り返し行う。前記選択は1〜5回行うことが好ましい。繰り返しの最適回数は、主に各回でトラップされるISSRHの相対量およびトラップするのに利用可能なREの量に応じて異なるだろう。
【0130】
当業者であれば、ポリヌクレオチドサンプルからISSRHを選択する上述の技術は、本発明の実施形態の一部の説明を表すということを理解されよう。様々な変更または修正は当業者には明らかであり、本発明の範囲または精神から逸脱することなく加えることができる。
【0131】
(認識エレメントとしての物質の使用)
また、本発明により包含される認識エレメントは、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を示す物質である。かかる物質は、前記ポリヌクレオチドと前記物質との間の会合の性質に関係なく、可逆的方法で一本鎖ポリヌクレオチドが、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して選択的に会合する支持体または物質であることが可能である。かかる会合は、吸収、吸着、または他の可逆型の会合である。
【0132】
REとして用いるのに好ましい物質は、ポリヌクレオチドサンプルを分画するのに使用される支持体であり、一本鎖ポリヌクレオチドを特異的に保持することが可能であり、限定されないが、MAB(ベントナイトカラム上のメチル化アルブミン)もしくはMAK(珪藻土カラム上のメチル化アルブミン)などのメチル化アルブミンカラム、またはベンゾイル化−ナフトイル化DEAEセルロース(BNDC)カラムが含まれる。
【0133】
本発明の好ましい実施形態において、当業者に公知の技術を用いて、カラムを作製するのに、かかる物質が使用される。かかる物質は使い捨てシリンジに充填されることが好ましい。洗浄段階後、一本鎖ポリヌクレオチドを選択的に保持するカラムに、ポリヌクレオチドサンプルを通す。結合の条件は、使用される支持体の種類によって異なり、当業者によって容易に理解されるだろう。MAKカラムを使用する場合、好ましい洗浄バッファーおよび結合バッファーは、pH6.7に調節されたバッファーであり、イオン強度は0.6M NaCl〜1.6M NaClである。BNDCカラムを使用する場合、好ましい洗浄および結合バッファーは、1M NaClバッファーである。好ましいが任意の洗浄段階の後、次いで、当業者に公知のいずれかの方法を用いて、保持された一本鎖ポリヌクレオチドをカラムから溶出して、前記一本鎖ポリヌクレオチドと前記支持体との間に形成された種類の会合を分断する。例えば、より高いイオン強度を有するバッファーを使用する。時に、段階的な塩勾配を用いてもよい。結局のところ、異なるpH条件を有するバッファーを使用することが可能である。MAKカラムを使用する場合、i)結合バッファーのイオン強度〜1.6M NaClの範囲の段階的な塩勾配、および最終的にii)pH7、10.7および次いで11.6に調節された1M NaCl、バッファーを用いて、溶出を行うことが好ましい。BNDCカラムを使用する場合には、ホルムアルデヒド50%を含有する1M NaClバッファーを用いて、溶出を行うことが好ましい。実験条件についての更なる詳細は、BNDCおよびMAKについてはDaviesおよびMiller, J Lab Clin Med (1981) 98: 549−57; BNDCについてはNelson 等, Nature Genetics (1993) 4: 11−17; MAKについてはBraun,Z. Naturforsh. (1975) 30: 248−252; MABについてはShirobokov 等, Biokhimiaa (1975) 40: 531−537)に記述されている。それらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
任意に、サンプルからのISSRHの回収を最大限にするために、本発明の一本鎖トラップを用いたISSRHの選択が、前記カラムにサンプルを流すことによって、同一サンプルで数回繰り返し行われる。前記選択は1〜5回行うことが好ましい。繰り返しの最適回数は、主に各回でトラップされるISSRHの相対量およびトラップするのに利用可能なREの量に応じて異なるだろう。
【0135】
当業者であれば、ポリヌクレオチドサンプルからISSRHを選択する上述の技術は、本発明の実施形態の一部の説明を表すということを理解されよう。様々な変更または修正が当業者には明らかであり、本発明の範囲または精神から逸脱することなく加えることができる。
【0136】
選択段階後に得られたポリヌクレオチドの集団はISSRHにおいて濃縮される。かかる濃縮された集団をクローン化して、核酸差異を含有するポリヌクレオチドで濃縮されたライブラリーが得られる。次いで、濃縮されたライブラリーをシークエンスすることによって、これらの差異を正確に同定する。代替方法としては、濃縮が十分でない場合には、クローニング段階前に濃縮サイクルをもう1回行うことが可能である。
【0137】
[アダプターのライゲーションおよび切断]
任意に、本発明による方法においてアダプターを使用して、対象のポリヌクレオチドを続いてクローニングまたは続いて増幅することができる。したがって、アダプターのライゲーション段階の目的は、更なるクローニングまたは増幅に適した形に、選択されたポリヌクレオチドを転換することである。当業者には容易に理解されるように、ポリヌクレオチドへのアダプター配列のライゲーションは、一本鎖トラップによって選択段階から回収されたポリヌクレオチドの増幅を可能にし、その結果最終クローニング段階が容易になるだけではなく、必要な場合には、新しい濃縮サイクルを再開することを可能にする。
【0138】
アダプターは、増幅プライマーに対して少なくとも1つの結合部位を含有し、かつその後の増幅に対して効率的なハイブリダイゼーション部位として働くのに十分長くなければならない。アダプターは、長さ10〜40ヌクレオチドであることが好ましい。アダプターは、長さ20〜30ヌクレオチドであることがさらに好ましい。プライマーは、必要または所望の場合には容易に除去されるように、デザインすることも好ましい。例えば、アダプターは、その配列内のどこかに、つまり対象のポリヌクレオチドにライゲートされるであろう末端の近く(ライゲーション部位)、遊離末端の近く(遠位部位)、または好ましくはライゲーション部位の近くであるが内部に制限部位を有する。次いで、アダプター内の制限部位の位置に応じて、適切な制限酵素でポリヌクレオチドサンプルを単に消化することによって、制限酵素部位を含有するアダプターを少なくとも一部または完全に除去する。好ましくは、限定されないがNot I、Eco RI、Hind IIIを含む、レア制限部位が選択され、その結果、アダプターを除去した際、対象のポリヌクレオチド内では望ましくない内部切断はほとんど起こらない。この状況での望ましくない切断は、正確な核酸差異の同定を妨げる可能性のあるもの、換言すれば、主に前記核酸差異を有する領域内またはその隣接する周囲内で起こると考えられる切断である。アダプター配列はさらに好ましくは、その後のクローニングを簡単かつ柔軟にする、複数の制限酵素部位、またさらに好ましくは複数のレア制限部位を含む。かかるオリゴヌクレオチドアダプターは、化学合成を含む、当業者に公知のいずれかの材料および方法を用いて完全に人工的に合成するか、または製品供給元から購入することができる。
【0139】
好ましいアダプターは、長い方が1〜3ヌクレオチド長い、異なるサイズの2つの相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることによって形成される。短い方だけがその5’末端でリン酸化される。2つのオリゴヌクレオチドは、アダプターライゲーション部位が平滑であるのに対して、遠位部位は1〜3ヌクレオチドの5’一本鎖テールを表すようにデザインされる。遠位部位でのこの4’突出領域の役割は、ライゲーション段階中のいずれかのアダプター重合プロセスを避けることである。
【0140】
アダプターは、当技術分野でよく知られている技術を用いて、ポリヌクレオチドの末端にライゲートすることが可能である。アダプターは、化学的または酵素的に付けられる。ポリヌクレオチドは、T4 DNAリガーゼを用いてアダプターにライゲートすることが好ましい。アダプターは、ポリヌクレオチドの平滑末端に付けることが好ましい。
【0141】
任意に、ライゲートされたアダプターは、本発明による方法においてポリヌクレオチドから切断される。アダプターは適切な制限酵素で切断することが好ましい。アダプターの切断は、クローニングに対して任意の段階である。したがって、代替の実施形態として、アダプターは、クローニング段階前に完全もしくは一部除去されるか、インタクトにクローン化される。
【0142】
[増幅]
本発明のいずれかの方法を用いて単離されたポリヌクレオチドを増幅するこの任意の段階は、2つの目的:i)クローニング、その後の分析または濃縮の別の回など、その後の段階の効率を高めるために、得られる単離ポリヌクレオチドの量を増加すること、ii)組換え細菌による内部一本鎖領域の最終的な修復を防ぐことによって、単離された核酸差異のクローニングの効率を高めることを果たす。
【0143】
本明細書中で、特に「標的ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションで開示されている技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、増幅を行うことが可能である。PCRが好ましい増幅技術である。
PCRを行うために、ポリヌクレオチド末端が既知でなければならない。したがって、アダプターのライゲーション段階は、ほとんどの場合、増幅前に必要である。一方、ポリヌクレオチド末端が既知かつ均一である場合には、PCRを用いて標的にされ、低減段階にかけられていない最初のポリヌクレオチドサンプルの場合と同様に、アダプターのライゲーションは必須ではない(実施例4および7を参照のこと)。
【0144】
アダプターをライゲートする場合には、かかる単離ポリヌクレオチドを増幅するために、プライマーを特異的にデザインすることが可能である。かかるプライマーは、ライゲートされたアダプターと特異的にハイブリダイズすることができるようにデザインされることが好ましい。
【0145】
低減段階を行うことなく、PCRを用いた標的化段階に、最初のポリヌクレオチドサンプルをかける場合には、単離ポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーは、標的ポリヌクレオチドサンプルを作製するのに使用されるプライマーと同一であるか、または標的ポリヌクレオチドサンプルを作製するのに使用されるプライマーに対して内部のプライマーであることが可能である。
【0146】
[クローニング]
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、上記の Sambrook 等, Volume 1, Chapters 1,2 and 3, and Volume 2, Chapter 8に記載されているような当業者に公知のいずれかの技術を用いて、核酸差異を含む単離ポリヌクレオチドを適切なベクターでクローン化して、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されるライブラリーを得ることが可能である。宿主細胞において複製する多種多様なクローニングベクターが利用可能であり、核酸配列が未知の場合でさえ、クローニングベクター中に外来ポリヌクレオチドを導入する技術が十分確立されている(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Klickstein 等,Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel 等 eds, 上記の文献, pp 5.5.1−5.5.14)。
【0147】
クローニングに使用されるベクターは当業者にはよく知られており、プラスミド、コスミド、YAC、HAC、ファージ等が挙げられる。容易に配列決定できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号P2211、P2551)、RNAプローブが容易に作製できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号P2129、P2221、P1091、P1101、P1241、P2211、P2551、Q6301、Q6121、Q6111;Promega社(ウィスコンシン州マディソン)RNAプローブ作製キット、1994/95カタログ番号P1280、P1300、P1290、P2020、P1270、P1071、P1250、P2580、P2590もまた参照のこと)、クローン化産物によりコードされるポリペプチドが容易に発現できるように(例えば、Promega社(ウィスコンシン州マディソン)、1994/95カタログ番号eP2211、P2551、Q6111;Promega社(ウィスコンシン州マディソン)市販のin vitro翻訳キット、1994/95カタログ番号L4540、L4970、L4152、L4330、L4140、L4410、L1030、L1020も参照)、デザインされたベクターが市販されている。例えば、クローニングは、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen社(カリフォルニア州サンディエゴ)、カタログ番号K4500−01)を用いて行われる。必要な場合には、これらのベクターのいずれかを用いて、例えばクローン化されたインサートを除去し、ニックトランスレーションまたはランダムプライミング法(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等, 上記の文献, Chapter 1を参照のこと)を用いてそれを標識することによって、ポリヌクレオチドプローブを作製することができる。
【0148】
公知の手順(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook等,上記の文献,pp. 1. 74−1.75参照)に従って、組換えベクターを適切な宿主細胞に導入し、その中で複製する。細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、ショウジョウバエ細胞等の実質的に任意の宿主細胞において複製するようにデザインされた特異的ベクターを利用することができる(例えば、Invitrogen社(カリフォルニア州サンディエゴ)、1995 カタログ番号V780−20、V044−50、V004−50;その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Yates 等 Nature 313: 812,1985もまた参照のこと)。組換え細菌によるISSRHを含有する選択されたポリヌクレオチドの内部一本鎖領域の作製を避けるために、PCR増幅段階をクローニング前に行うことが可能である。代替方法としては、DNA修復システムにおいて欠陥のある菌株を使用してもよい。
【0149】
クローニングは、個々の単離断片を互いから本質的に分離する。任意に、クローニング前の分離段階は、当業者に公知のいずれかの技術を用いて行うことが可能である。例えば、SSTで選択されたポリヌクレオチドは、ゲル電気泳動、および特定のサイズもしくはサイズの範囲の断片によって分離し、他のサイズの断片から単離することができる。次いで、個々のサイズ分画された集団をベクターにクローン化する。
【0150】
(核酸差異において濃縮されたライブラリー)
核酸差異を含有する関連ポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリーは、本発明によって包含される。「核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリー」という用語は、本発明による一本鎖トラップによって選択されたポリヌクレオチドを含むライブラリーを意味する。核酸差異において濃縮されたライブラリーは濃縮%で示され、それによって、ライブラリーは、核酸差異1%〜100%を含有し、1から100までのいずれかの整数が本発明の詳細な実施形態として含まれる。上記の実施形態は、「少なくとも」「X」%の核酸差異として表され、「X」は1から100までのいずれかの整数に等しい。一方、核酸差異の濃縮のレベルが、1倍の増大として、または「少なくとも」1倍の増大として表され、それによって、非核酸差異に対する核酸差異の増大または非へテロ二重鎖ポリヌクレオチドに対するヘテロ二重鎖の増大の倍数は、2から10,000までのいずれかの整数である。
【0151】
本発明は、所定の状況(例えば、生理学的、環境、実験、もしくは自然)を特徴づける核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたいずれかのライブラリーを包含する。本発明は、異なる状況(例えば、異なる組織、病的に対して健康な)を特徴づける核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたいずれかのライブラリーもまた包含する。最初のポリヌクレオチドサンプルM0に応じて、かつ低減段階を行うかどうかに応じて、4種類のライブラリーを得ることができる:
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられていない複合ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは核酸差異を含有するポリヌクレオチドのライブラリーを形成する。例えば、この技術を用いて、選択的スプライシング事象にかけられた遺伝子のアイソフォームに対応するcDNAのライブラリーが得られる;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられた複合ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、核酸差異を含有するポリヌクレオチド断片のライブラリーを形成する。例えば、この技術を用いて、完全長スプライシングアイソフォームではなく、選択的スプライシングにおいて、つまり核酸差異および周囲の配列を含有する断片において濃縮されたライブラリーが得られる;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられていない標的ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子から生じる核酸差異を含有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリーを形成する;
最初のポリヌクレオチドサンプルが、低減段階にかけられた標的ポリヌクレオチドサンプルである場合、単離されたポリヌクレオチドは、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に関連する核酸差異を含有するポリヌクレオチド断片のライブラリーを形成する。
【0152】
異なる起源のポリヌクレオチドが混合された最初のサンプルから構成される、異なるディファレンシャルライブラリーが本発明にとって特に興味深い。好ましくは、2種類の異なる状況(例えば、健康対病的、アポトーシス対非アポトーシス等)由来のポリヌクレオチドを混合して最初のポリヌクレオチドサンプルが得られる、それらのディファレンシャルライブラリーは本発明によって包含される。したがって、かかるサンプルで得られたライブラリーは、両方の状況間で存在する核酸差異に特有なポリヌクレオチドにおいて濃縮される。
【0153】
本発明の他の目的は、それらがクローン化されるかどうかに関わらず、本発明の方法のいずれかによって単離されたポリヌクレオチドに関する。一実施形態において、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関するものであり、前記ポリヌクレオチド配列は、核酸差異を含有する、核酸差異から本質的になる、または核酸差異にある。好ましい実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、選択的スプライシング事象を含む、選択的スプライシング事象から本質的になる、または選択的スプライシング事象にある。他の実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、所定の状況または環境に関わらず、核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象を含む、核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象から本質的になる、または核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象にある。第2のさらに好ましい実施形態において、本発明は、本発明のいずれかの方法によって単離された関連ポリヌクレオチドを含有する組成物に関連し、前記ポリヌクレオチド配列は、1つの試験状況に存在し、かつ参照状況に存在しない核酸差異、好ましくは選択的スプライシング事象を含む、それから本質的になる、またはそれにある。
【0154】
本発明のいずれかの方法によって単離されたポリヌクレオチドの断片もまた本発明によって包含される。好ましい断片は、核酸差異を含む、核酸差異から本質的になる、または核酸差異からなる断片である。他の好ましい断片は、核酸差異を検出するためのプライマーおよびプローブとして使用される断片である。かかるプライマーおよびプローブのデザインについては以下にさらに記述する。
【0155】
本発明のいずれかの方法を用いて単離された、ポリヌクレオチドのいずれか、またはその断片、ならびに本発明のいずれかの方法を用いて同定される核酸差異を検出するようにデザインされたプライマーおよびプローブは、固体支持体上に便利に固定化される。その固体支持体は重要ではなく、当業者によって選択することができる。したがって、ラテックス粒子、微粒子、磁気ビーズ、非磁気ビーズ(ポリスチレンビーズを含む)、膜(ニトロセルロース片を含む)、プラスチックチューブ、マイクロタイターウェルの壁、ガラスもしくはシリコンチップ、ヒツジ(または他の適切な動物の)赤血球およびduracytesはすべて適切な例である。本発明のいずれかのポリヌクレオチド、プライマーもしくはプローブ、またはそのセットを含むアレイが特に興味深い。
【0156】
[差異の同定]
任意に、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを同定の段階にかけることができる。かかるポリヌクレオチドを最初に、適切なベクターにクローン化し、宿主細胞中で複製し、培養液中で保持することができる個々のクローンを得るために単離することが好ましい。それぞれの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Myers 等, Nature 313: 495,1985; Cotton 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397,1988; Myers 等, Science 230: 1242,1985; Orita 等, Proc. Natl.Acad. Sci. USA 86: 2766,1989に記載の方法を含む、当業者に公知のいくつかの方法によって核酸差異の分析を行うことが可能である。核酸差異を同定するための好ましい方法は、直接シークエンスである。DNAシークエンスは単調な手順であり、多くのプロトコルおよび試薬が当技術分野では容易に利用することができる(例えば、United States Biochemical社(オハイオ州クリーブランド)から市販のSequenaseキット、1994/95カタログ番号70770、71350、および70700を参照のこと)。
【0157】
核酸差異が同定されたら、核酸差異が実際に適切な位置に存在し、本発明の方法を行った場合に導入される実験的人工産物の結果ではないことを確認するために、最初のサンプル(1つまたは複数)からの対応するポリヌクレオチド(1つまたは複数)(またはその一部)をクローン化することは一般に価値がある。
【0158】
同定された核酸差異が既知の遺伝子で生じるかどうかを決定するために、利用可能な遺伝子配列データベース(例えば、GenBank、EMBL、DDBJなど)を検索することもまた一般に価値がある。一方、本発明は、同定された核酸差異を含有する未知または一部が既知の遺伝子の少なくとも一部の配列を同定することを可能とする。部分配列が同定されれば、完全な遺伝子をクローニングすることが可能な技術を容易に利用することができる(例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等 ,上記の文献, Chapters 8 , 9; Klickstein 等 ,Current Procotols in Molecular Biology, Ausubel 等, eds, John Wiley & Sons, New York, N. Y., 1995, Chapter 5を参照のこと)。
【0159】
関連ポリヌクレオチドが、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的状況のサンプルを混合することによって得られるサンプルから単離される場合、ディファレンシャルライブラリーの場合と同様に、1種または複数種の最初のサンプル中に存在する核酸差異は、以下に示す状況間の実際の差異から得られる核酸差異と区別することが可能である。最初のサンプルそれぞれに存在する同定された核酸差異を有するポリヌクレオチドの検出は、前記の同定された核酸差異に特異的なプライマーまたはプローブを用いて、混合サンプル中に存在する同定された核酸差異を有するポリヌクレオチドの検出と並行して行われる。最初のサンプル間の差異に対して特異的な核酸差異が混合サンプルにおいてのみ検出されると考えられるのに対して、他の核酸差異は他のサンプルにおいて検出されるだろう。かかる検出は、ハイブリダイゼーションに基づく方法および増幅に基づく方法を含む当業者に公知のいずれかの技術を用いて行うことが可能である。
【0160】
好ましい実施形態において、各サンプル(すべての最初のサンプルおよび混合サンプル)からのポリヌクレオチドを、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、簡便な固体支持体、例えばフィルター、膜もしくはバイオチップ上にスポットする。次いで、それらのアレイしたポリヌクレオチドを、同定された異なる核酸差異に結合するいくつかのポリヌクレオチドプローブと独立してハイブリダイズさせる。分析のために、核酸差異1つ当たり1対のプローブを使用することが好ましい。オリゴヌクレオチドプローブ対は、特異的ポリヌクレオチドに対して特異的であるようにデザインされることが好ましい。例えば、1対のプローブのうちの1つのプローブは、選択的にスプライシングされる特定の領域の存在に対して特異的であるのに対して、他方のプローブは同一領域の排除に対して特異的である。プライマーおよびプローブのデザインに対する更なる指示を以下に示す。
【0161】
このように、この方法を用いて、同定された核酸差異が所定のソース、環境または生理的状況に由来するサンプル中に存在するか、それが混合サンプル中にのみ存在するかどうかを決定することが可能である。混合サンプル中にのみ存在する核酸差異は、考慮されるソース、環境または生理的状況の間に存在する差異に起因している。さらに、かかる検出によって、異なるソース、環境または生理的状況における関連ポリヌクレオチド種の相対比率を測定かつ比較することも可能となる。このように比較することによって、一部の状況において一部のポリヌクレオチド種が存在するか、または存在しないかだけでなく(定性的変化)、スプライシングプロフィールにおける最終的な変化(定量的変化)もまた明らかとなるだろう。
【0162】
[キット]
本発明の方法のいずれかを行うのに使用されるキットもまた、本発明によって包含される。実際に、本発明は、ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有するポリヌクレオチドの単離に用いるキットを包含し、前記キットは、
a)前記サンプル中のポリヌクレオチドをアニールするための試薬;
b)二本鎖ポリヌクレオチドと比較して、一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント;
c)前記REを用いた、ISSRHを選択するための試薬;を備える。
【0163】
ポリヌクレオチドをアニールするための前記試薬は、当業者に公知の試薬のいずれか、好ましくは本明細書に記載の試薬のいずれかである。さらに好ましくは、前記試薬は、一本鎖ポリヌクレオチドのアニーリングを促進するための公知のいずれかのバッファーまたは溶媒である。
【0164】
一実施形態において、前記REは抗体、好ましくは一本鎖DNA分子に選択的に結合することが可能な自己抗体である。他の実施形態では、前記REはペプチドである。さらに他の実施形態では、前記REはタンパク質である。前記REは一本鎖結合タンパク質(SSB)であることがさらに好ましい。またさらに好ましくは、前記REは、大腸菌SSB、ファージT4の遺伝子32の産物、アデノウイルスDBPおよび子ウシ胸腺UP1からなる群から選択される。またさらに好ましくは、前記REは大腸菌SSBである。さらに他の実施形態では、前記REは、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース(BNDC)、ベントナイト上のメチル化アルブミン(MAB)および珪藻土上のメチル化アルブミン(MAK)からなる群から選択される物質である。前記REはBNDCであることがさらに好ましい。
【0165】
選択段階に使用される前記試薬は、前記REがISSRHに結合することを可能にし、前記ポリヌクレオチドサンプルからISSRH−RE複合体を分離することを可能にする試薬を含む。かかる試薬は、前記選択段階で使用されるREが決定され、結合および分離させる操作手順が決定されれば、当業者には明らかであるだろう。「一本鎖トラップ」という題名のセクションおよび実施例のセクションにおいて、使用する試薬の例を挙げる。例えば、REがタンパク質である場合には、前記試薬は、結合バッファーと、限定されないが、ニトロセルロースフィルターおよびフェノール・クロロホルムを含む、複合体を形成していない核酸からタンパク質−核酸複合体を分離するためのいずれかの手段を含む。一方、HisタグSSBを使用する場合、前記試薬は、標識タンパク質が結合するであろう、Ni−NTAヒス*結合樹脂などのアフィニティーマトリックス、ならびに結合、洗浄および溶出バッファーを含む。あるいは、前記REがカラムとして使用できる材料である場合、前記試薬は、洗浄、結合および溶出バッファーを含む。
【0166】
任意に前記キットは、好ましくは断片化によって、さらに好ましくはシングルパスDNAシークエンスに適切なサイズにポリヌクレオチドのサイズを低減するための低減試薬を含む。好ましい実施形態では、前記低減試薬は、ポリヌクレオチドを断片化することが可能な断片化酵素、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含む。さらに好ましい実施形態において、前記酵素はDNアーゼIである。他の好ましい実施形態では、前記酵素は、エンドヌクレアーゼ、好ましくは制限エンドヌクレアーゼである。
【0167】
任意に、前記キットは変性試薬を含む。かかる変性試薬は、低いイオン強度、酸性もしくはアルカリ性pHを有するバッファー、および/またはホルムアミドもしくは尿素などの特定の溶媒であることが可能である。
任意に、前記キットは、ISSRH上の内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去するための浄化試薬を含む。好ましい一実施形態において、前記浄化試薬は、内部一本鎖領域ではないが、二本鎖ポリヌクレオチドの一本鎖遊離末端を含む一本鎖核酸分子を消化することが可能なエキソヌクレアーゼ、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含む。さらに好ましい実施形態において、前記エキソヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼVIIである。
【0168】
任意に、前記キットは、段階(b)の後に得られるポリヌクレオチドを平滑末端化するための平滑末端化試薬を含む。好ましくは、かかる平滑末端化試薬は、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性と5’→3’DNAポリメラーゼ活性の両方を示すDNAポリメラーゼ、ならびにかかる平滑末端化を行うためのバッファーを含む。好ましい一実施形態では、前記DNAポリメラーゼは、T4 DNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片である。
【0169】
任意に、前記キットは、ポリヌクレオチド末端にオリゴヌクレオチドアダプターをライゲートするためのライゲート試薬を含む。かかるライゲート試薬は、本明細書に記述されるようにデザインされたオリゴヌクレオチドアダプター、リガーゼならびにライゲーションを行うためのバッファーを含む。好ましくは、前記オリゴヌクレオチドアダプターは、少なくとも1つの制限酵素部位、好ましくは少なくとも1つのレア制限部位を含む。前記リガーゼはT4 DNAリガーゼであることが好ましい。任意に、前記キットは、前記のライゲートしたアダプターを除去するためのアダプター除去試薬も含む。前記アダプター除去試薬は、前記制限部位に対する制限酵素、ならびにかかる消化を行うためのバッファーを含むことが好ましい。
【0170】
任意に、前記キットは、前記一本鎖トラップによって選択されたISSRHを増幅するための増幅試薬を含む。かかる増幅試薬は、耐熱性DNAポリメラーゼおよびPCRを行うためのバッファーを含むことが好ましい。任意に、前記増幅試薬は、単離されたポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるプライマーも含む。かかるプライマーは、前記のライゲートされたアダプターとハイブリダイズすることが可能であり、かつPCRで使用するのに適していることが好ましい。
【0171】
[用途]
本発明による方法を用いて、
i)単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ所定の状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、前記単一遺伝子または限定セットの遺伝子に対して標的にされた、かつ単一状況からのポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。例えば、前記遺伝子または前記限定セットの遺伝子に対するすべてのスプライシングアイソフォームを対象の組織などの所定の状況において単離することが可能である。他の例では、疾患の候補遺伝子などの1つの遺伝子または限定セットの遺伝子の異なる対立遺伝子(または、好ましくは、標的DNAサンプルが低減された場合には、かかる対立遺伝子間の核酸差異)を所定の疾患状態などの所定の状況において単離することができる。
【0172】
ii)単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来し、かつ異なる状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、異なる起源由来のサンプルを混合することから得られるが、前記単一遺伝子または前記限定セットの遺伝子に対して標的にされたポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。かかるアプローチは、対照対実験サンプル、病気のサンプル対健康なサンプル、組織特異的サンプル対他の組織特異的サンプルなど、2種類以上の異なる状況に由来する関連ポリヌクレオチドを比較するのに特に有用である。例えば、所定の遺伝子または限定セットの遺伝子、例えば所定の疾患の候補遺伝子の関連ポリヌクレオチド(または、好ましくは、標的ポリヌクレオチドサンプルが低減された場合には、核酸差異)に対する関連ポリヌクレオチドを、患者対健康なヒトにおいて、両方の個体に由来する複合DNAサンプルを混合し、次いで上述のように標的化段階を行うことによって単離することができる。
【0173】
iii)所定の状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、単一状況由来の複合ポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。例えば、所定の状況を表す選択的スプライシング事象(またはcDNAサンプルが低減される場合には、すべての選択的スプライシング事象)にさらされた転写物に対応するすべてのアイソフォームを単離することができる。
【0174】
iv)異なるソース、起源または状況を表す関連ポリヌクレオチド間に存在する核酸差異を、異なる起源に由来するサンプルを混合することによって得られる複合ポリヌクレオチドサンプルを用いて同定することができる。かかるアプローチは、対照対実験サンプル、病気のサンプル対健康なサンプル、組織特異的サンプル対他の組織特異的サンプル等の、2種類以上の異なるソース、起源または状況に由来する関連ポリヌクレオチドを比較するのに特に有用である。例えば、選択的スプライシング(または、cDNAサンプルが低減される場合には、すべての選択的スプライシング事象)にさらされた転写物に対応するすべてのアイソフォームを、対照対実験のヒトにおいて、両方の個体に由来する複合DNAサンプルを混合することによって単離することができる。他の例として、2つの菌株間のゲノムDNA差異を、2種類の異なるゲノムDNAを混合し、次いで本発明の方法を適用することによって同定することができる。
【0175】
これらの技術の利点の1つは、核酸差異だけではなく、フランキング配列(低減段階が行われる場合)、さらに対応する全長ポリヌクレオチド(低減段階が行われない場合)もまた単離することである。したがって、同定されれば、差異およびフランキング配列の知識から、核酸差異に特異的であるオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。さらに、かかる核酸差異は、所定の環境に特異的または多様な状況間での差異に特異的であると思われ、したがって、核酸差異に特異的なだけではなく、前記環境または環境間の差異にも特異的なオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。
【0176】
次いで、核酸差異に特異的であり、最終的に所定の状況または状況間の差異にも特異的である、かかるオリゴヌクレオチドをスクリーニングおよび診断アッセイで使用して、試験すべきサンプル中に核酸差異が存在するかどうか、最終的にはサンプルが特異的状況に由来するかどうかを検出することが可能である。それらは、遺伝子治療のアプローチのアンチセンスツールとして使用することもできる。
【0177】
(ペプチドの発現)
本発明による核酸差異を含有するポリヌクレオチド、またはその断片、好ましくは、低減段階にかけられていないcDNAを使用して、それらがコードするポリペプチドまたはその一部を発現させることが可能である。当業者によく知られている技術を用いて、かかるポリヌクレオチドを発現ベクターにおいてクローン化し、発現させる。本発明は、本発明による方法のいずれかによって選択された核酸差異を含有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを包含する。本発明は、前記の選択されたポリヌクレオチドの断片によってコードされるポリペプチドもまた包含する。さらに、本発明は、前記の選択されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの断片を包含する。
【0178】
(核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出)
核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出は、当業者に公知のいずれかの検出技術を用いて、前記核酸差異に特異的なプローブまたはプライマーを使用して行うことが可能である。核酸サンプルは、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNAを含む様々なソース、または組織サンプルから得られた核酸を含む。一部の用途では、標識された特異的プローブとハイブリダイズすることができるか、または特異的プライマーを用いて増幅されたポリヌクレオチドを、発現ベクター、シークエンシングベクター、もしくはin vitro転写ベクターなどのベクターにクローン化して、サンプル中で検出されたポリヌクレオチドのキャラクタリゼーションおよび発現を促進することができる。
【0179】
核酸差異を含有するポリヌクレオチドの検出は、当業者に公知のハイブリダイゼーション技術を用いて、1種または数種類の特異的ハイブリダイゼーションプローブを使用して行うことが可能である。前記プローブとハイブリダイズすることができる核酸の存在を検出するのに用いられる方法には、 サザンブロット法、ノーザンブロット法、ドットブロット法、コロニーハイブリダイゼーション法、およびプラークハイブリダイゼーション法などの公知の技術が含まれる。例えば、標識プローブとハイブリダイズすることができる配列を含有する、試験すべき核酸サンプルを標識プローブと接触させる。サンプル中の核酸が二本鎖である場合、それをプローブと接触させる前に変性させる。一部の用途では、核酸サンプルをニトロセルロースもしくはナイロン膜などの表面上に固定化する。前記ハイブリダイゼーションは、厳密な条件下にて行うことが好ましい。厳密な条件のセットは当技術分野ではよく知られている。
【0180】
代替方法としては、当業者に公知の増幅方法を用いて、「標的ポリヌクレオチドサンプルの作製」という題名のセクションで本明細書に記述されているものを含むサンプル中に存在するポリヌクレオチドの特異的な核酸差異を検出することができる。PCR技術は、本発明で用いられるのに好ましい増幅技術である。
【0181】
〈プライマーおよびプローブの作製〉
プローブの融解温度、プライマーもしくはプローブの長さ、溶液のイオン強度、およびG+C含有率(通常、10〜75%、好ましくは35〜60%、さらに好ましくは40〜55%)を考慮し、プライマーおよびプローブのデザインは当業者にはよく知られている。かかるプライマーおよびプローブは一般に、長さ8〜1000ヌクレオチド、好ましくは長さ10〜100ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ15〜30ヌクレオチドである。増幅の目的では、およそ同じTmを有する一対のプライマーが好ましい。GC含有率およびオリゴヌクレオチドの融解温度に基づくOSPソフトウェア(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hillierおよび Green (1991) PCR Methods Appl., 1: 124−8)を用いて、または8量体の振動数相違法(Griffais 等, 1991)に基づくPC−Rare(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、http :// bioinformatics. weizmann. ac. il/software/PC Rare/doc/manuel. html)を用いてデザインすることが可能である。
【0182】
核酸差異に特異的なプローブを以下のようにデザインすることが可能である。核酸差異が領域の追加または欠失にある場合、プローブは、前記領域に(図2aのプローブO+)、前記領域と5’もしくは3’隣接領域の1つとの間の接合領域に(図2aのプローブO+’)、または前記領域が欠失している場合に共に連結される前記領域に隣接する領域5’および3’間の接合に(図2aのプローブO−)にのみ結合するようデザインすることが可能である。第1タイプおよび第2タイプのプローブによって、前記領域を含有するポリヌクレオチドを検出することが可能となるのに対して(選択的エクソンを有するスプライシングアイソフォーム、挿入もしくは伸長の繰り返しを有するゲノム領域)、第3タイプのプローブによって、前記領域が存在しないポリヌクレオチドの検出が可能となる(選択的にスプライスされたエクソンを含まないスプライシングアイソフォーム、挿入のない、または欠失を有するゲノム領域)。
【0183】
核酸差異が別の(R2)領域による領域(R1)の置換にある場合、2つ以上のエクソンが転写物上の所定の位置で選択的に使用される選択的スプライシングの場合と同様に、R1またはR2領域に(図2bのプローブO1またはO2)、またはR1もしくはR2領域と、5’もしくは3’隣接領域の1つとの間の接合領域に(図2bのプローブO1’またはO2’)のみ結合するようにデザインすることが可能である。
【0184】
核酸差異に特異的なプライマーを以下のようにデザインすることができる。核酸差異が領域の追加または欠失にある場合、前記領域の隣接領域に結合するようにプライマーをデザインすることが可能である。前記領域を含有するポリヌクレオチドの増幅産物は、前記領域が存在しないポリヌクレオチドの増幅産物よりも長いだろう。したがって、アンプリコンのサイズから、所定のエクソンが存在するか、存在しないかを決定することができるだろう。
【0185】
核酸差異が、別の(R2)領域による領域(R1)の置換にある場合、2つ以上のエクソンが転写物上の所定の位置で選択的に使用される選択的スプライシングの場合と同様に、前記領域の5’および3’隣接領域に結合するようにプライマーをデザインすることができる。選択的に使用されるエクソンの長さが異なるという条件で、アンプリコンのサイズから、エクソンが存在するかを決定することができるだろう。代替方法としては、少なくとも1種類のプライマーを、R1もしくはR2と、それらの5’もしくは3’隣接領域のうちの1つとの間の接合領域に特異的に結合するようにデザインすることができる。この場合には、エクソンが存在するかどうかを決定することを可能にするのは、アンプリコンの存在または非存在である。
【0186】
ケースバイケースで、核酸差異を検出するように、他の種類のプライマーおよびプローブをデザインすることができることは当業者には明らかだろう。
プライマーおよびプローブを含む、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを、所望の場合には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的手段によって検出することが可能である、当技術分野で公知のいずれかの標識を組み込むことによって標識することができる。その検出可能なポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であることが可能であり、in vitro転写、ニックトランスレーション、もしくはキナーゼ反応を含む、当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。
【0187】
本発明の特定の実施形態において、1組のプライマーまたはプローブを、所定の環境を表す核酸差異を含有するポリヌクレオチドに基づいて生成することが可能である(例えば、所定の組織/細胞/細胞小器官における特異的な発現、胚の発生または疾患の発生など、プロセスの発生の所定の段階での発現)。かかるプライマーまたはプローブは特定のコンテクストのマーカーとして使用することができる。したがって、本発明は、コンテクスト・マーカーとしての本発明のポリヌクレオチドの使用を包含する。
【0188】
かかるプライマーおよびプローブは、例えばin situ PCRまたは免疫化学を含む当業者に公知のいずれかの方法を用いて、未知の起源のサンプル、例えば法医学サンプル、異物部位へ転移している分化した腫瘍を同定するのに、または組織断面における異なる組織タイプを分化するのに商業的に有用である。本発明のプライマーおよびプローブは、未知の環境の同一性を決定する方法において使用することができる。未知の環境の同一性を決定することの一部として、本発明のポリヌクレオチドを使用して、その未知の環境が何であるか、および未知のサンプルが何であるかを決定するのに使用することができる。
【0189】
かかるプライマーは、使用するプローブまたはプライマーのセットが所定の疾患または障害に特異的である場合、診断用途においても有用である。数セットのプローブが所定の疾患の異なる段階で利用可能である場合、かかるプローブは、前記疾患の進化および最終的な治療の効果を追跡するのにもまた有用である。したがって、かかるセットのプライマーおよびプローブは、薬理学的対象の分子を試験するのに有用である。このように、本発明は、治療的または診断的対象の分子の同定にもまた関するものである。
【0190】
かかるプライマーおよびプローブは、所定の薬物に対して病原抵抗性の同定のコンテクストにおいてもまた有用である。実際に、所定の病原体による所定の薬物に対する突然の抵抗性獲得が、欠失によって引き起こされるか、またはゲノムにおける新規な配列の獲得につながる場合、適切な治療を前記個体に提供するために、本発明のプライマーおよびプローブを使用して、所定の個体において同定される病原体のかかる抵抗性を検出することができる。
【0191】
さらに、多数の選択的スプライシング事象の検出に対して特異的なセットのプライマーおよびプローブは、対照の状況と比較して試験状況においてそれらの選択的スプライシング事象をモニターすることによって、スプライシング機構に影響を及ぼすことが可能な分子を試験するのに有用である。
【0192】
(アレイを用いたmRNAアイソフォームの定量化)
本発明のいずれかの方法を用いて同定した核酸差異によって、かかる核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドの相対比率を測定するために使用することが可能なオリゴヌクレオチドプローブをデザインすることが可能となる。例えば、異なるアイソフォームの相対比率は、本発明のいずれかの方法を用いて同定された、異なる選択的スプライシング事象に対して特異的なプライマーを用いて決定することができる。かかる決定に用いられるオリゴヌクレオチドアレイは以下のように作製することが可能である。
【0193】
1)本発明の方法によって同定された各選択的スプライシング事象に対して、一対のオリゴヌクレオチドをデザインする。一対のうち第1オリゴヌクレオチドは一方のアイソフォームに対して特異的であり(例えば、選択的にスプライスされるエクソンまたはエクソンの一部を含有するオリゴヌクレオチド)、第2オリゴヌクレオチドは他方のアイソフォームに対して特異的である(例えば、選択的にスプライスされる前記エクソンまたは前記エクソンの一部を含有しないオリゴヌクレオチド)。かかるオリゴヌクレオチドのデザインに関するさらに詳細な説明については、図2および「プライマーおよびプローブの生成」という題名のセクションを参照のこと。
【0194】
2)次いで、所定のアイソフォームに対して特異的なオリゴヌクレオチドの異なる対をいずれかの適切な支持体上にアレイする(マクロアレイまたはマイクロアレイ)。
3)次いで、かかるアレイは、分析すべき所定のソース、環境または生理的状況に特有な異なるプローブとハイブリダイズさせる。かかる特有のプローブは、分析すべき前記ソース、環境または生理的状況から単離されたmRNAの逆転写によって得られ、したがって複合一本鎖cDNAプローブを生じる。
【0195】
4)各アイソフォームの相対比率は、各オリゴヌクレオチド対のシグナル強度の比によって測定される。かかる比は、各対に対して決定される。かかる比のセットは、分析される前記状況に特有である。かかるセットの比は、分析される各ソース、環境または生理的状況に対して決定され、次いで比較される。
【0196】
本明細書において「アイソフォーム・モニタリングアレイ」と呼ばれる、かかるアレイは、所定の生体プロセスにおいて、または所定の刺激に対する生理応答において、様々な病理の原因である遺伝子の同定、シグナル伝達経路に関与する遺伝子の同定、予後もしくは診断のためのマーカーの同定、試験化合物(ゲノム薬理学(genopharmacology))の治療可能性の予想または向上、薬理ゲノミクス、腫瘍の分類等の様々な用途において貴重なツールであるだろう。
【0197】
〈ゲノム薬理学における使用〉
その目的は、病理的状況における試験化合物の保護効果を評価することである。例えば、その細胞が一部の神経変性側面を模倣することが可能な細胞モデルを用いて、試験化合物の神経保護効果をどのように決定するかを調べてみよう。例えば、所定の処理Tの後、これらの細胞はアポトーシスとなる。前記化合物の神経保護効果は以下のように決定することができる:
1)限定セットの遺伝子、アポトーシスに関与する公知の遺伝子の選択的スプライシング事象は、刺激された細胞(病理的状況)からのサンプルと未処理の細胞(正常な状況)からのサンプルとが混合された、適切な標的cDNAサンプルを用いて同定される。
【0198】
2)同定された核酸差異に対して特異的なアイソフォーム・モニタリングアレイを、上述のように作製し、次いで異なる状況:i)未処理の細胞、ii)刺激された細胞、およびiii)刺激され、かつ処理された細胞に特有な複合cDNAプローブとハイブリダイズさせる。
3)スプライシングアイソフォームの比のセットを3つの状況それぞれにおいて決定する。試験化合物の神経保護効果は、病理的状況から離れた、かつ正常な状況に近い比を生じるその能力によって評価される。
【0199】
〈腫瘍の分類における使用〉
癌患者の管理を託されている病理学者および臨床医は、2つの主要な問題、即ち、疾患の進化および癌治療に対するその感受性を確実に予想する、従来の組織学的および臨床的な特徴の中で、疾患の広範な不均一性および因子の欠如に直面している。例えば、明らかに同じ予後タイプの乳癌は、患者の治療および結果としての生存に対するそれらの応答性において大きく異なる。各患者の治療を個別化することができるように、新しい予後因子および予測因子が必要とされている。スプライシングのレベルでヒト腫瘍において起こる修飾をモニターすることが可能なオリゴヌクレオチドのアレイは、より均一な臨床結果で不均一な癌を腫瘍のサブタイプに分類するのに、かつ可能性のある新しい予後因子および予想因子を同定するのに非常に有用であるだろう。かかるアレイは以下のようにデザインすることができる:
【0200】
1)限定セットの遺伝子、癌、例えば乳癌に関与することが知られている遺伝子の選択的スプライシング事象は、異なる乳癌患者由来のサンプルが混合された、適切な標的cDNAサンプルを用いて同定される。
2)同定された核酸差異に対して特異的なアイソフォーム・モニタリングアレイを上述のように作製し、次いで、それぞれが所定のがん患者に特有である複合cDNAプローブとハイブリダイズさせる。このように、各患者に特有である、アイソフォーム比のセットが得られる。
【0201】
各患者の臨床状態が明確であるという条件で、異なる癌状況(異なるタイプの乳癌、異なるステージの所定の癌など)に特有なスプライシングプロフィールが得られる。例えば、かかるプロフィールを分析することによって、あるグループにおいて、明らかに均一な異なるサブグループの患者を異なる臨床パラメーター(もう一方のグループと比較して一方のグループにおける転移の非存在、所定の治療に応答する差異等)で区別することが可能となる。さらに、分類されていない患者に対して得られたプロフィールとかかるプロフィールとの比較は、前記の分類されていない患者に固有の診断および予後に役立つ。
【0202】
(スクリーニング)
本発明による核酸差異を含有するポリヌクレオチド、特に上述の差異に特異的であるようにデザインされたプライマーまたはプローブを使用して、以下に示す技術を含む当業者に公知のいずれかの技術を用いてゲノムまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook 等,上記の文献 Chapters 8 および9を参照のこと)。例えば、低減されたサンプルで核酸差異が同定されている場合、かかる核酸差異を含有する完全長ポリヌクレオチドは、前記差異に特異的なプライマーおよびプローブを用いて、スクリーニングライブラリー、好ましくはほぼ完全長のポリヌクレオチドを含有するライブラリーによって、取り出すことが可能である。他の例では、必ずしも既知の機能である必要はないが、特異的な機能を発揮すると考えられる定義領域(例えば、機能ドメイン)が所定の状況下にて選択的にスプライスされることが示された場合、このドメインに特異的なプライマーおよびプローブを使用して、同様なドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、好ましくは同一タンパク質ファミリーに属するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取り出すことができる。当技術分野では公知のように、有効なライブラリースクリーニングでは、厳密なハイブリダイゼーション条件が必要とされる。厳密なハイブリダイゼーション条件の多くの適切なセットは当技術分野ではよく知られている(例えば、Sambrook 等,上記の文献 Chapters 8 を参照のこと)。
【0203】
(アンチセンス)
細胞において正常に転写された鎖に対して反対の鎖からの転写を可能にするために、選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドをクローン化する。この実施形態によるライブラリーはアンチセンスライブラリーと呼ばれる。それらは、所定の遺伝子の発現を変化させることが可能なアンチセンスポリヌクレオチドを含有し、さらに所定のスプライシングアイソフォームに対して特異的である。次いで、かかるアンチセンスライブラリーを対象の細胞にトランスフェクトし、所定の表現型の変化が研究される。かかるトランスフェクションに続いて、表現型変異の分析は通常、発現ベクターに安定に組み込まれているクローンを選択して行われる。かかるアンチセンスライブラリーを使用する主な利点は、発現が変化しており、選択された表現型を生じる遺伝子を同定するだけでなく、どのスプライシングアイソフォームが影響を受けているかを同定する能力である。本発明は、選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドで作製されたアンチセンスライブラリーを包含する。
【0204】
本発明は、単一種として選択的スプライシング事象を含むポリヌクレオチドに相補的な配列を有するアンチセンスポリヌクレオチドもまた包含する。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、所定のスプライシングアイソフォームに相補的な配列を含むことが好ましい。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、選択的にスプライスされたエクソンに、または前記の選択的にスプライスされたエクソンと隣接するエクソンとの間の接合部の少なくとも1つに相補的な配列を含むことがさらに好ましい。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、前記の選択的にスプライスされたエクソンを含有するアイソフォームに特異的であるだろう。一方、かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、選択的にスプライスされたエクソンが存在しない場合、フランキングエクソン間の接合部に相補的な配列を含む。かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、前記の選択的にスプライスされたエクソンを含有しないアイソフォームに特異的であるだろう。前記アンチセンスポリヌクレオチドの発現に便利なかかるアンチセンスポリヌクレオチドまたはベクターを使用して、対応する遺伝子の発現を修飾すること、好ましくは前記遺伝子の1つまたはいくつかの選択的にスプライスされたmRNAの発現を修飾すること、さらに好ましくは前記発現を抑制することが可能である。かかるアンチセンスポリヌクレオチドまたはベクターを使用して、所定のスプライシングアイソフォームの発現を減少させることによって、またはスプライシングを抑制することによって、1つの遺伝子の選択的スプライシングプロフィールを修飾することも可能である。遺伝子治療で使用するのに適したアンチセンスポリヌクレオチドをデザインする方法は、例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO95/24223、 Sczakiel G. 等 (1995 Trends Microbiol. 3 (6): 213−217)、Green 等, (Ann. Rev. Biochem. 55: 569−597 1986) 、 Izant およびWeintraub(Cell 1984 Apr; 36 (4): 1007−15)、および Rossi 等 (Pharmacol. Ther. 50: 245−254, (1991))に記載の技術を含み、当業者によく知られている。
【0205】
【実施例】
以下の実施例によって、本発明の特定の実施形態を説明する。それらは、本発明を例証するものであり、制限するものではない。
【0206】
[実施例1:SSBタンパク質を用いた一本鎖トラップ]
本発明による好ましい認識エレメントは大腸菌SSBである。一本鎖領域を有するポリヌクレオチドのサブセットに特異的に結合する大腸菌SSBの能力を以下に示すとおりアッセイした。
1)SSBタンパク質を用いたゲル遅延(gel retardation)アッセイ
a)原理
2つの隣接領域xおよびy(xは長さ103bpの配列であり、yは長さ74bpの配列である)を含む第1二重鎖ポリヌクレオチド(いわゆる、参照ポリヌクレオチド)を、以下の順番x、z、yで3つの隣接領域(xおよびyは参照ポリヌクレオチドの配列と同一であり、zは介在配列である)を有する等量の第2二重鎖ポリヌクレオチドと混合した。個々の核酸鎖が互いに分離するように、得られたサンプルを変性条件にさらした。次いで、個々の鎖が互いにアニールするように、そのサンプルをアニーリング条件にさらした。次いで、2種類のポリヌクレオチドが得られた:1)完全に相補的な鎖、つまり、同じ参照分子の相補的な個々の鎖を有する参照分子の個々の鎖(xy)または介在配列を含有する相補鎖を有する介在配列を含有する個々の鎖(xyz)のいずれか、をアニールすることによって形成されたホモ二重鎖;2)不完全な相補鎖、つまり、介在配列を含有する相補鎖(xyz)を有する参照分子の個々の鎖(xy)を、アニールすることによって形成されたヘテロ二重鎖。ホモ二重鎖は、完全に二本鎖のポリヌクレオチドであるのに対して、ヘテロ二重鎖は、内部一本鎖領域を有する二重鎖分子、つまりISSRHであった。次いで、ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖分子を含むサンプルを大腸菌SSBタンパク質と混合した。ヘテロ二重鎖分子のみと安定かつ特異的な複合体を形成する大腸菌SSBタンパク質の能力を、ゲル遅延アッセイを用いて分析した。
【0207】
b)実験条件および結果
約2000bpのDNA断片(F)をプラスミドにクローン化した。この断片の中央には固有のSmal部位が存在した。インサートFを含有するプラスミドベクターはSmal(プラスミドベクターに他のSmal部位は存在しない)によってデザインされた。9、12、15、17、30、40、67、および150bpの平滑末端化された二本鎖DNA断片をインサートFのSmal部位においてクローン化した。9種類の異なる構築物が得られた:1つの構築物はインサートFのみを含有し(つまり、参照xyポリヌクレオチド)、8つの構築物は、それぞれ9、12、15、17、30、40、67、および150の介在配列を有するインサートFを含有した(つまり、zのサイズがそれぞれ9〜150bpと異なる、xzy構造を有するポリヌクレオチド)。FのSmal部位を取り囲む約200bpの領域を増幅するために、2種類のPCRプライマーをデザインした。さらに詳細には、一方のプライマーの結合部位は、Smal部位から約100bpに位置し、他方のプライマーの結合部位は、Smal部位の他方の側に、それから約100bp離れて位置した。上述の2種類のプライマーを用いて、9ポリヌクレオチドを、上述の9種類の構築物をPCR増幅することによって産生した。参照分子と呼ばれる、インサートFのみを含有する構築物を増幅することによって得られたポリヌクレオチドは、長さ約200bpであり、Smal部位の中央に位置した。他の構築物を増幅することによって得られた他の8種類のポリヌクレオチドは、それぞれ9、12、15、17、30、40、67、および150bpの介在配列によるSmal部位の置換によって参照分子のみと異なった。介在配列を含有する8種類のポリヌクレオチドxzyのそれぞれを、等量の参照ポリヌクレオチドxyと混合し、以下に示すように変性/再生および大腸菌と共にインキュベートした。それらのうちの3種類で得られた結果を図3に示す。
実験A:z=17bp
【0208】
参照分子xy500ngを、50mM酢酸ナトリウム(25℃でpH4,5)、280mM NaClおよび4,5mM ZnSO4を含有するバッファー30μl中のxz1y分子500ngと共に40℃で15分間インキュベートした。次いで、得られたサンプルの半分(15μl)を37℃で15分間インキュベートし、次いで、4%アクリルアミドゲル上に添加した(ライン1)。その他の半分を大腸菌SBB6μgと混合し、37℃で15分間インキュベートし、ゲル上に添加した(ライン2)。
【0209】
レーン1において、2つのバンド、(a)および(b)が見られ、(a)はxyホモ二重鎖分子に相当し、(b)はxz1yホモ二重鎖分子に相当する。全く同じパターンがレーン2で観察された。この観察から、SSBは、2つのホモ二重鎖分子のいずれかとの安定な複合体を形成することはできないことが結論付けられる。
【0210】
xy分子500ngを、H2O27μlの最終量でxz1y分子500ngと混合した。変性させるために、そのサンプルを98℃で2分間インキュベートし、次いで40℃でインキュベートした。次いで、10×アニーリングバッファー[500mM酢酸ナトリウム(25℃でpH4、5)、2.8M NaClおよび45mM ZnSO4]3μlを直ちに添加し、その結果得られたサンプルを、アニーリングのために40℃で15分間インキュベートした。次いで、その溶液の半分(15μl)を37℃で15分間インキュベートし、次いで4%アクリルアミドゲル上に添加した(ライン3)。後の半分を大腸菌SSB6μgと混合し、37℃で15分間インキュベートし、ゲル上に添加した(ライン4)。
【0211】
レーン1と比較すると、レーン3において、(a)および(b)よりもゆっくり移動する追加のバンド(ab)の出現を確認することができる。上述のように、これらの新しい形は、変性/アニーリング段階の結果として生成されたヘテロ二重鎖分子に相当する。レーン4において、ヘテロ二重鎖分子に相当するこれらの追加のバンド(ab)が消失するのに対して、非常に遅れ、かつ(ab)ヘテロ二重鎖とSSBタンパク質との間に形成されたISSRH−RE複合体に相当する新しいバンドが現れる。この観察から、SSBは、17ヌクレオチドの内部一本鎖ループを有する二重鎖構造との安定な複合体を形成することができると結論付けられる。
実験BおよびC:z=30または40bp
【0212】
これらの実験では、実験Aと同じ実験条件を用いた。唯一異なるのは、Bでは、介在配列z2が長さ30bpの配列であるのに対して、Cでは、z3の長さが40bpであることである。観察されたプロフィールは、AよりもBおよびCで同じであった。これは、驚くべきことではないが、SSBが、30および40ヌクレオチドの一本鎖ループを有するポリヌクレオチドとの安定かつ特異的な複合体を形成することができることを意味する。
2)SSB一本鎖トラップの検出限界
15、17、30、40、67、および150ヌクレオチドの一本鎖ループを有するヘテロ二重鎖に関して、強いシフトが認められたのに対して、対応するホモ二重鎖分子では、シフトが認められなかった。しかしながら、12ヌクレオチドのループを含有するヘテロ二重鎖の小部分のみがSSBによって保持され、9ヌクレオチドのループを含有するヘテロ二重鎖ではシフトは認められなかった。
【0213】
これらの結果から、大腸菌SSBタンパク質は、少なくとも15ヌクレオチドの一本鎖領域を有するポリヌクレオチドとの安定かつ特異的な複合体を形成することができると結論付けた。15ヌクレオチド未満の長さであるエクソンはごくわずかであることから、大腸菌SSBタンパク質は、選択的スプライシング事象を同定するためにデザインされた一本鎖トラップにおいて適切な認識エレメントである。
【0214】
[実施例2:所定の条件において見出されるすべての選択的スプライシングアイソフォームの単離]
この方法は、選択的スプライシングにさらされたmRNAを同定し、かつ所定のコンテクストで見出された対応する選択的スプライシング事象を特徴づけることができる。図4によってこの方法を説明する。
1)複合cDNAサンプルの作製
最初のサンプルは、ポリヌクレオチド、好ましくは対象のソース(例えば、脳などの組織型)から単離されたmRNAから産生された二本鎖cDNAを含有するサンプルである。代わりに、それは、一本鎖cDNA、mRNA、またはcDNA−mRNAハイブリッドを含有してもよい。mRNAは、製品供給元から、または当業者に公知の数多くの方法の1つによって得られる。mRNA作製の一方法を以下に記述する。
【0215】
a)mRNAサンプルの作製
異なる組織に由来するヒト全RNAまたはポリA+RNAは、LABIMO社およびCLONTECH社から購入し、以下に示すようにcDNAライブラリーを作製するために使用される。購入したRNAは、酸性グアニジウムチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出を用いて細胞または組織から単離される(ChomczyniskiおよびSacchi,上記の文献)。Aviv およびLeder,上記の文献によって述されているように、オリゴdTクロマトグラフィーの2つのパスによって、ポリA+RNAを全RNA(LABIMO)から単離し、リボソームRNAを除去する。
【0216】
ポリA+RNAの質および完全性を以下のように調べる。確実にmRNAが分解しないように、伸長因子1もしくは伸長因子2など遍在するmRNAに対応するプローブと、ノーザンブロットをハイブリダイズさせる。リボソームの配列によるポリA+RNAの汚染を、ノーザンブロットおよび28rRNAの配列から得られたプローブを用いて調べる。続いて、rRNAを5%未満有するmRNA標本をライブラリー構築に使用する。外来配列(原核生物または真菌の)により汚染されたRNAでライブラリーを構築するのを避けるために、細菌の16Sリボソーム配列の存在および高度に発現した2種類の真菌のmRNAの存在もまた、PCRを用いて調べる。最終的に、インタクトなmRNAおよび低レベルな内在性もしくは外来性汚染を含有するRNAサンプルが、その後の段階のために保持される。
【0217】
b)cDNAサンプルの作製
次いで、インタクトなmRNAおよび低レベルな内在性もしくは外来性汚染を含有する、対象のmRNAサンプルのアリコート、例えばmRNA10μgを使用して、耐熱性逆転写酵素、好ましくはAMV逆転写酵素、およびmRNAのポリAテールからの逆転写を開始することを可能にするオリゴdTプライマーを用いて、第1鎖cDNAを合成する。場合によっては、オリゴdTプライマーは、ポリAテールの5’末端で合成を開始するために3’変性ヌクレオチドを有する。第1鎖cDNAを生成した後、第2鎖が、3種類、つまりRNアーゼH、大腸菌DNAポリメラーゼI、および大腸菌DNAリガーゼのカクテルを用いて合成される。RNアーゼHが、逆転写後に得られたRNA/DNAハイブリッドを除去する際、大腸菌DNAポリメラーゼIは第2cDNA鎖を生成する。次いで、新たに合成された第2cDNA鎖を大腸菌DNAリガーゼでライゲートする。第2鎖cDNA合成が終了すると、残りのRNAは分解し、得られた二本鎖cDNAは、RNアーゼH、RNアーゼA、T4 DNAポリメラーゼ、および大腸菌DNAリガーゼを含有する酵素カクテルを用いて平滑末端化される。
【0218】
その結果得られたM0サンプルは、対象の生理的状況から抽出されたmRNAに由来する二本鎖cDNAを含む。
2)選択的スプライシングアイソフォームにおいて濃縮されたサンプルの作製
濃縮プロセスは以下のとおり、5つの段階、つまり変性/アニーリング段階、浄化/平滑末端化段階、アダプターライゲーション段階、選択段階および増幅段階を含む。
【0219】
a)M0サンプルの変性/アニーリングによるヘテロ二重鎖の形成
二本鎖分子が確実にそれらの一本鎖構成要素に分離するように、二本鎖DNAサンプルM0を変性条件にさらす(例えば、10mMトリス(pH8)、5mM EDTA中で98℃にて2分間)。次いで、個々の一本鎖分子が互いにアニールするように、得られた一本鎖DNAサンプルをアニーリング条件にさらす(好ましくは、120mM NaCl、10mM トリス(pH8.0)を含有するバッファー中で30℃にて12〜78時間)。次いで、得られたDNA混合物をエタノールで沈殿させる。変性/アニーリング段階後に得られた新たなサンプルをM0’とする。
【0220】
b)サンプルM0’の浄化および平滑末端化
浄化および平滑末端化段階はそれぞれ、エキソヌクレアーゼVIIおよびファージT4 DNAポリメラーゼで行うことが好ましい。最初に、30mM リン酸カリウム(pH7、9)、8mM Na2・EDTA、10mM β−メルカプトエタノール中で42℃にて30分間、M0’からのDNA0、2〜5μgを、エキソヌクレアーゼVII2〜10単位とインキュベートする。次いで、サンプルの浄化(clean up)を、QIAGEN社から市販のMinElute(登録商標)Cleanup Systemを用いて行い、その結果得られたDNA分子を、0、2mMの各dNTPの存在下にて、50mMトリスHCl(pH8)、50mM KCl、5mM MgCl2、5mM DTT、BSA50μg/ml中でT4 DNAポリメラーゼ2〜10単位と共に12℃で20分間インキュベートする。次に、DNA浄化を再度、QIAGEN社から市販のMinElute(登録商標)Cleanup Systemを用いて行う。浄化/平滑末端化段階後に得られた新たなサンプルをM0’’とする。
【0221】
c)オリゴヌクレオチドアダプターのライゲーション
その方法のこの段階は、アダプター、好ましくはNotIアダプターをサンプルM0’’に存在する平滑末端化ポリヌクレオチドの末端へライゲートすることにある。
【0222】
好ましい実施形態では、Notlアダプターは以下のように得られる:200μlの容積で100mM NaCl、10mM トリスHCl(pH8)、1mM EDTA中で、配列:5’OH−CCCGCCACGTCCAAGCGGCCGCAG−3’OH(配列番号:1)を有する第1合成オリゴヌクレオチド3nmolを、配列:5’−PO4−CTGCGGCCGCTTGGACGTGGCG−3’OH(配列番号:2)を有する第2オリゴヌクレオチド3nmolと混合する。次いで、その混合物を最初に、90℃で2分間置き、続いて40℃で30分間置く。ここでアダプターは、ライゲーション反応にそのまま使用できる。
【0223】
ライゲーション反応は以下のとおり行われる:M0’’からのDNA0、1〜2μgおよびアダプター2〜10μgを、66mMトリスHCl(pH8)、6、6mM MgCl2、10mM DDT、66mM ATP、5%PEG8000中にて最終容積100μlでT4 DNAリガーゼ50ワイス(Weiss)単位と共に混合する。次いで、この反応混合物を10℃で5〜15時間置く。ライゲーション反応の最後で、フェノール抽出に続いて、エタノール沈殿を行う。アダプターライゲーション後、新たなサンプルをM0’’’と呼ぶ。
【0224】
d)一本鎖トラップを用いた、内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)の選択
サンプルM0’’’は、末端にアダプターを含有する二本鎖ポリヌクレオチドのサンプルである。このサンプルは本質的に、2種類の分子、二重鎖(完全に相補的な)および1つまたはいくつかの内部一本鎖領域を有するヘテロ二重鎖を含む。選択的スプライシング事象に対応するM0’’’サンプルからのISSRHは、大腸菌の組換えHisタグSSBタンパク質を含む一本鎖トラップを用いて、サンプルの残りから単離することが好ましい。このHisタグSSBタンパク質は、Dabrowskiおよび KurによってProtein Expression and Purification 16,96−102 (1999)に記述されているプロトコルを用いて有利に生成される。手元のHisタグSSBタンパク質を用いて、ISSRHの選択を以下のように行うことができる:1)10mMトリス(pH7.8)、280mM塩化ナトリウム中で37℃にて30分間、M0’’’サンプルをHisタグSSB5μgと共にインキュベートし、その結果HisタグSSB/ISSRH複合体が形成される。2)次いで、得られた混合物を、Novagen社から市販のNi−NTAヒス*結合樹脂で充填されたクロマトグラフィーカラム上に直接適用し、その結果HisタグSSB/ISSRH複合体がその樹脂に結合する。次いで、洗浄バッファー(20mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.8)でカラムを2回または3回洗浄し、次いで、イミダゾール溶出バッファー(20mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、500mMイミダゾール、pH6)でカラムを溶出することによって、ISSRHを回収する。次いで、溶出されたHisタグSSB/ISSRH複合体をプロテイナーゼKで処理し、その結果複合体のタンパク質画分が乱され、ISSRHが遊離する。次に、プロテイナーゼKを取り除くために、フェノール抽出を行い、次いで、その結果得られた除タンパクされた混合物のISSRHをエタノール沈殿によって濃縮する。
【0225】
一本鎖トラップ後、サンプルをISSRH(またはASEを有する核酸)で濃縮する。この新たなサンプルをM1と呼ぶ。任意に、本発明の一本鎖トラップを含むこの選択段階を数回繰り返して、ISSLHの回収を好ましくは1〜3倍に最大限にすることが可能である。
【0226】
e)M1サンプルのPCRによる増幅
上記の選択段階後、M1サンプル中のポリヌクレオチドを、選択されたポリヌクレオチドの両端にライゲートされたアダプター中のプライマー結合部位に結合することが可能なプライマーを用いてPCRによって増幅する。例えば、配列:5’−ACGTCCAAGCGGCCGCAG−3’(配列番号:3)を有するプライマーを使用することができる。
M1のPCR増幅によって生成された新たなサンプルをM1aとする。
【0227】
f)M1aのクローニング(選択肢1)またはM1aの更なる濃縮(選択肢2)
この濃縮サイクル後、ASE(1種または複数種)を示すポリヌクレオチドを直接クローン化することが可能である(選択肢1)。代替方法としては、濃縮をもう1回を実施してもよい(選択肢2)。
【0228】
f1)選択肢1:M1aのクローニング
適切な付着末端または平滑末端で作製されたいずれかのクローニングベクターおよび当業者に公知の技術を用いて、ASEを含有するポリヌクレオチドをクローン化する。クローン化された単離ポリヌクレオチドは、核酸差異において濃縮されたライブラリー(NAD−Lib)、さらに正確には選択的スプライシングアイソフォームにおいて濃縮されたライブラリー(ASI−Lib)を形成する。任意に、かかるポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの両端に存在する、Not Iなどの制限酵素部位のいずれかを用いて消化することが可能である。かかる消化段階によって、クローニングを促進するであろう付着末端が形成される。
【0229】
f2)選択肢2:アダプター切断
上述の5つの段階(変性/アニーリング;浄化および平滑末端化、アダプターライゲーション、一本鎖トラップ、PCR増幅)からなるASE濃縮の新たな回を行う前に、M1aのDNA分子上に存在するアダプターを、アダプター上に存在する制限酵素部位のいずれかを用いたサンプルの消化によって有利に除去する。濃縮サイクルをもう1回行うには、NotIなどのアダプター配列間のいくつかのハイブリダイゼーションの問題を避けるために、アダプターを消化することが好ましい。この消化後に得られた新たなサンプルをM1adとする。ここでM1adは、変性/アニーリング段階で始まり、PCR増幅段階で終わるASE濃縮の新たな回にすぐ入ることができる。
第2回のASE濃縮の後に得られた、濃縮されたサンプルをM2aとする。ここで再び、M2aサンプルの濃縮されたポリヌクレオチドをクローン化してもよいし、またはASE濃縮の新たな回にかけてもよい。
【0230】
[実施例3:所定の条件における特異的遺伝子の選択的スプライシング事象の単離および同定]
以下のプロトコルは、特異的遺伝子(遺伝子X)の異なるスプライシングアイソフォームの同定を提供する。実施例3に開示の方法を図5および図6によって説明する。
1)低減された標的cDNAサンプルの作製
M0サンプルは、遺伝子Xに特異的な二本鎖cDNA断片のサンプルである。それは、以下のように、RT−PCRに続いてRT−PCR産物の断片化によって得られる。
【0231】
a)標的cDNAサンプルの作製
第1段階では、単離されたmRNAまたは市販のmRNAを、実施例2に記載の技術を含む、当業者に公知のいずれかの技術を用いて一本鎖cDNAに転換する。
【0232】
次いで、上記の逆転写産物の少量のアリコートを、対象の遺伝子、つまり遺伝子Xに特異的なプライマーを用いたPCR反応において鋳型として使用する。そのプライマーは、対象のcDNAの大部分を増幅することできるようにデザインすることが好ましい。つまり例えばポリアデニル化部位に相当する領域において、第1プライマーは遺伝子Xの転写開始部位のできる限り近くでアニールし、第2プライマーはメッセンジャーXの3’末端のできる限り近くでアニールする。増幅する領域が非常に長い、通常6Kbを超える長さである場合、例えばBoehringer Mannheim社からのExpand(登録商標)long template PCRシステムなどの広範囲のPCRシステムが使用される。次いで、Xの異なるスプライシングアイソフォームを含有する二本鎖ポリヌクレオチドのサンプルが得られる。
【0233】
b)cDNAサンプルの低減
次に、遺伝子Xのスプライシングアイソフォームの断片を得るために、低減段階が行われる。RT−PCR産物は、Novagen社から市販のDnase Shotgun Cleavageキットの材料および条件を用いて、平均サイズ約600bpを有する断片にまで切断される。次いで、得られたポリヌクレオチド断片を1%〜1.5%アガロースゲル上で電気泳動によって分離し、200〜800bpに相当するバンドを切り出す。範囲200〜800bpのDNA断片を、当技術分野でよく知られている数多くの既存の方法の1つによってアガロースバンドから回収する。低減された標的cDNAサンプルをM0とする。
【0234】
2)特異的ASEにおいて濃縮されたライブラリーの作製
遺伝子Xに特異的であり、対象の元のサンプル(1つまたは複数)に存在するASE中へのM0サンプルの濃縮は、実施例2に記載の場合と同じ手順を用いて得られる。簡潔に言えば、遺伝子Xに特異的な断片を変性させ、次いで再生する。M0サンプル中に遺伝子Xのいくつかのアイソフォームが存在する場合、ASEにさらされた領域を表す鎖がエクソン(1つまたは複数)もしくはその一部(1つまたは複数)を欠くか、または追加のエクソン(1つまたは複数)もしくはその一部を有する相補鎖にアニールするたびに、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二重鎖ポリヌクレオチドが生成されるだろう。ここで、アニーリング段階後のサンプルをM0’と呼ぶ。
【0235】
次いで、M0’サンプルにおける変性/再生されたポリヌクレオチドを浄化し、平滑末端化する。次に、その後の増幅およびクローニングを促進するために、アダプターをライゲートする。次いで、本発明の一本鎖トラップを用いて、ISSRHを選択する。PCR増幅後、ASEを含有するポリヌクレオチドは直接クローン化されるか、または濃縮にもう一回かけられる。プロセスの終わりに、遺伝子Xに対してASEを有する短い断片において濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)が得られる。
【0236】
3)ASEの同定
次いで、遺伝子Xに特異的なクローン化ASEを以下のように同定する。ASE濃縮ライブラリーを最初にシークエンスし、当業者に公知のいずれかのバイオインフォマティクスツールを用いて、得られた配列をASEの存在に関して分析する。
【0237】
低減段階のために、遺伝子Xの異なるASEは、互いに独立して同定される場合が多い。というのは、その異なるASEが、低減段階後に得られた異なる断片に相当する、異なる単離ポリヌクレオチド種上に存在するためである。したがって、少なくとも2つの独立したASEが所定のメッセンジャーに対して同定され次第、次の段階で、この遺伝子の異なるアイソフォームを決定する。例えば、図6に示すように、4種類の異なるアイソフォーム、つまり11、12、13および14を、2つの独立したASE、つまりエクソンまたはエクソンの一部が存在する、または存在しない2つのASEであるAおよびBを用いて生成される。可能性のあるこれら4つのアイソフォームに関して、最初のサンプルにおけるこれらの4つの異なるアイソフォームの全11通りの組み合わせが可能である。しかしながら、可能性のあるこれら11通りの組み合わせのうち7通りは、2つのASEの存在を明らかにする。
【0238】
その状況は、ASEの数が増大するに従って、さらに非常に複雑になる。さらに説明するために、以下を例にとってみよう。遺伝子XがプレmRNAに転写され、2種類のスプライシングアイソフォーム、約3kbメッセンジャーのX1およびX2が生じると仮定する。X1は:1)それが、分子(第1ASE)の5’部分に位置する80ヌクレオチドの追加のエクソンを有し;2)それが、分子(第2ASE)の中央に位置する25ヌクレオチドのエクソンと、分子(第3ASE)の3’部分に位置する65ヌクレオチドのエクソンである、2つのエクソンを欠いている;という点でX2と異なるとさらに仮定する。そのため、本発明の方法を適用すると、遺伝子Xを特徴づける3つのASEは同定することができるが、低減段階のために、かつこれらの3つのASEが他のASEから遠位にあることから、ほぼ間違いなく、それらは独立して同定されるだろう。したがって、この段階では、遺伝子Xの異なるアイソフォームが何であるかを決定することはできない。実際には、3つのASEでおそらく生成することができるアイソフォームの総数は23=8であり、3つのASEに相当する組み合わせの数は非常に大きい。
【0239】
Xの異なるアイソフォームの同定は以下のように行われる。第1段階において、遺伝子Xのすべての異なるアイソフォームのライブラリーが作製される。例えば、RT−PCRは上述のように行われ、得られたサンプルのポリヌクレオチドを対象のベクターにクローン化する。このように、すべての異なるXアイソフォームがライブラリーにおいて表現するだろう。
【0240】
第2段階において、Xのすべての異なるアイソフォームのライブラリーのクローン、好ましくはライブラリーの96〜384個のクローンが、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、固体支持体、たとえばフィルター、膜またはバイオチップ上にアレイされる。同一のアレイされたいくつかのライブラリーが作製される。
【0241】
第3段階では、アレイされたライブラリーを、遺伝子Xの同定された異なるASEと結合するいくつかのプローブと独立してハイブリダイズさせる。各プローブは、所定のASEに対して特異的であるようにデザインすることが好ましい。例えば、プローブは、それが前記エクソンの一部、または前記エクソンと周囲のエクソンとの接合部と特異的にハイブリダイズする場合、選択的にスプライスされた特定のエクソンの包含に特異的である。代替方法としては、前記エクソンがスプライスされた場合に共に連結されるエクソンと、存在する場合には前記エクソンを取り囲むエクソンと、の間の接合部と特異的にハイブリダイズする場合には、前記エクソンの排除に対して特異的であるようにプローブをデザインすることが可能である。したがって、この方法を用いて、選択的スプライシングにかけられた異なるエクソンが存在するかどうかを、アレイされたライブラリーの各クローンについて決定し、その結果、各クローンについて相当するアイソフォームが何であるかを正確に推測することが可能である。例えば、独立した2つのASEが同定されている場合(例えば、ASE1およびASE2)、ASE1において選択的にスプライスされたエクソン配列(エクソン1)を認識するであろう第1オリゴヌクレオチド(オリゴ1)をデザインすることが可能であり、ASE2において選択的にスプライスされたエクソン配列(エクソン2)を認識するであろう第2オリゴヌクレオチド(オリゴ2)をデザインすることができる。オリゴ1とのアレイされたライブラリーの第1ハイブリダイゼーションは、エクソン1が各クローンに存在するかどうかの情報を与える(ハイブリダイゼーションシグナルはエクソン1が存在することを示し、シグナルはエクソン1が存在しないことは示さない)。ライブラリーのオリゴ2との第2ハイブリダイゼーションは、各クローンにおいてエクソン2が存在するかどうかの情報を与える。そのように、クローンがオリゴ1とはハイブリダイズするが、オリゴ2とハイブリダイズしない場合、これによって、エクソン1が存在し、エクソン2が存在しないアイソフォームが存在することが明らかとなる。別のクローンがオリゴ1ともオリゴ2ともハイブリダイズしない場合、これは、エクソン1およびエクソン2が欠けている遺伝子Xのアイソフォームが存在することを示している。
【0242】
[実施例4:所定の条件における特異的遺伝子のスプライシングアイソフォームの単離および同定]
所定の状況における単一プレmRNAに由来する、異なるスプライシングアイソフォームを以下のように同定することができる。最初に、メッセンジャーXに特異的なASEにおいて濃縮されたライブラリーは、先の実施例で記述するように作製される。次いで、クローン化ASEの配列を、濃縮されたライブラリーをシークエンスすることによって同定する。最後に、メッセンジャーXの異なるアイソフォームを含有するライブラリーを、当業者に公知のいずれかの技術を用いて作製する。そのライブラリーからのクローンを固体支持体上にアレイし、次いで、各クローン上に存在するASEを同定し、かつ先の実施例で記述するように異なるXアイソフォームを推論するために、メッセンジャーXの異なるASEに結合することができるプローブとハイブリダイズさせる。
【0243】
代替方法として、低減段階が省略されていることを除いては、実施例3に記載の手順と本質的に同じ手順を用いて、単一遺伝子のスプライシングアイソフォームを作製することができる。したがって、ASEおよび濃縮ループ後のその周囲の配列を本質的に含有する短い断片を得る代わりに、この方法によって、ASE、好ましくは完全長スプライシングアイソフォームを含有する長いポリヌクレオチドが生成される。この方法のフローチャートを図7に示す。この場合、予備的なRT−PCR段階によって、平滑末端を有するポリヌクレオチド種が生成することから、平滑末端化段階も必要ではないこともまた留意されたい。さらに、予備的なRT−PCR段階に使用される同じプライマーを濃縮の他の回に使用することができるため、アダプターライゲーションもまた、濃縮の他の回を行うのに必要ではない。
【0244】
[実施例5:所定の薬物に対するそれらの感受性の点で異なる、所定の病原体の2種類の株のゲノム間での配列差異の同定]
以下のプロトコルによって、所定の薬物に対するそれらの感受性の点で異なる、所定の細菌病原体の2種類の株のゲノム間での配列差異が同定される。
【0245】
両方の株からのゲノムDNAを、当技術分野でよく知られている技術(Current Protocols in Molecular Biology, Volume 1, Chapter 2.4参照)を用いて単離する。次いで、第1株のゲノムDNA2〜5μgを、第2株の等量のゲノムDNAと混合する。得られたDNA混合物を3つのチューブに分ける。次いで、3種類のDNAの混合物をそれぞれ、異なる6塩基カッター制限エンドヌクレアーゼ、例えばEcoRV、PvuIIおよびDraIで消化し、その結果、各混合物におけるDNA分子の平均サイズは、約4〜5Kbに低減される。制限エンドヌクレアーゼを用いてDNA分子を消化する条件は、当業者にはよく知られている。通常、供給業者によって提供される適切なバッファーを用いて、DNA1μgまたは2μgを、全反応容積50μlで制限エンドヌクレアーゼ2〜5単位を用いて37℃にて1時間消化する。3通りの異なる低減パターンが用いられる理由は、切断が核酸差異中で生じ、このため、前記核酸差異の同定が妨げられる可能性を低減するためである。したがって、異なる手段、ここでは異なる制限酵素によって断片化を行うことによって、それぞれの核酸差異が低減段階によってインタクトなままであり、続いて同定される可能性が高くなる。消化後に得られた3種類のDNA混合物をM0EcoRV、M0PvuII、およびM0DraIとする。
【0246】
次いで、それらの3種類の混合物で、実施例2に記述した手順と本質的に同じ手順を行い、2種類の株の間に存在する配列差異に関連するDNA断片において濃縮された3種類の新たな混合物が得られる。簡単に言うと、M0EcoRV、M0PvuII、およびM0DraI混合物のDNA断片を変性させ、次いで再生する。株のうちの1つが、1つまたはいくつかの欠失または1つまたはいくつかの挿入によって他の株と異なる場合、核酸差異に関連する領域を表す1つの株からの鎖が他の株からの相補鎖にアニールすると、内部一本鎖領域(1つまたは複数)を有する二重鎖ポリヌクレオチドが形成し得る。次に、再生段階後に得られた3種類のサンプル(M0’EcoRV、M0’PvuII、およびM0’DraI)を浄化、平滑末端化およびアダプターライゲーション段階にかける。ここで、その結果得られた混合物をM0’’’EcoRV、M0’’’PvuII、およびM0’’’DraIと呼ぶ。次いで、これら3種類の混合物中のISSRHを、本発明の一本鎖トラップを用いて選択する。BNDCカラムを、SSTのREとして使用することが好ましい。M0’EcoRV、M0’PvuII、およびM0’DraIを1M NaClに調節し、次いで、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaClで予め平衡化しておいたBNDC100mgと混合する。その混合物を室温で1〜4時間攪拌する。次いで、高い塩濃度にてBNDCは二本鎖DNAを保持しないが、一本鎖DNAを保持することができるため、BNDCを14,000rpmで3分間ペレットにし、その上清を捨てる。次いで、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaClバッファーで2〜3回、BNDCを洗浄する。各洗浄で、BNDCを最初に再懸濁し、懸濁液中で2〜5分間保持し、遠心分離りよってペレットにし、次いで上清を捨てる。BNDC、主にISSRHを結合させたポリヌクレオチドは、溶出バッファー(50%ホルムアミド、50mMトリスHCl(pH8)、1M NaCl)500μl中に洗浄されたBNDCを再懸濁し、懸濁液中でそのBNDCを5分間保持し、次いで、5分間遠心分離することによってBNDCをペレットにし、上清を回収することによって回収される。次いで、回収されたポリヌクレオチドをエタノール沈殿させる。
【0247】
一本鎖トラップによって選択された3種類の混合物をPCR増幅した後、配列差異を含有するポリヌクレオチドを直接クローン化するか、またはもう1回濃縮にかける。プロセスの終わりに、2種類の株間の配列差異を有するDNA断片において濃縮されたライブラリーが得られる(NAD−Li)。これらの配列差異は、ライブラリーをシークエンスすることによって、または当業者に公知のいずれかの方法によって特徴づけることができる。
【0248】
[実施例6:いくつかの条件における単一遺伝子の選択的スプライシング事象の単離および同定]
図8に示すこの方法によって、いくつかのソース、環境または生理学的条件間の差異に特有な選択的スプライシング事象において濃縮されたcDNAライブラリーを得ることができる。
【0249】
この方法は、濃縮法が実施されるcDNAサンプルが、単一ソース由来のものではなく、共に混合された異なるcDNAサンプルからのものであるという違いを有するが、実施例3に記載の段階と同じ段階を含む。
簡単に言えば、いくつかの標的cDNAサンプルを、異なるソース、環境または生理学的条件に由来する最初のサンプルからの遺伝子Xに対して作製する。次いで、濃縮手順が実施されるポリヌクレオチドサンプルを構成するために、等量のこれらの標的cDNAサンプルを共に混合する。
【0250】
次いで、実施例3に記載の手順と同じ手順を用いてASE同定を行う。しかしながら、同定されたASEが、混合ポリヌクレオチドサンプルを得るのに使用されるcDNAサンプルの1つまたは複数内における選択的スプライシングアイソフォームの存在(サンプル内の差異)から、または異なるcDNAサンプルにおける異なる選択的スプライシングアイソフォームの存在(サンプル間の差異)から生じるかどうかを決定するために、混合ポリヌクレオチドサンプルから生じるポリヌクレオチドを、各ポリヌクレオチドサンプルそれぞれから生じるポリヌクレオチドと並行してスポッティングする。したがって、混合サンプルにおいて、1つまたはいくつかの最初のポリヌクレオチドサンプルにおいても同定されたASEは、結果としてサンプル内の差異から生じるのに対して、混合サンプルのみで同定され、最初のcDNAサンプルのいずれでも同定されないASEは、サンプル間の差異から生じるだろう。
【0251】
[実施例7:いくつかの条件における単一遺伝子の選択的スプライシングアイソフォームの単離および同定]
図9に示すこの方法によって、いくつかの生理的条件に対する単一遺伝子または限定セットの遺伝子のcDNAアイソフォームのライブラリーが得られる。濃縮法が実施されるcDNAサンプルが単一ソースに由来するものではなく、実施例6で記述されているように共に混合された、異なるcDNAサンプルに由来するものであることを除いては、実施例4に記載の手順と同じ手順を用いる。
【0252】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して説明されている。本発明の精神および範囲から逸脱することのない様々な修正形態および変化は、当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
配列一覧のフリーテキスト
配列のソース:/注記=「合成構築物」(Sequence source:/note=”synthetic construct”)
【図面の簡単な説明】
【図1】
核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離するための本発明の方法のいくつかの段階を図示する。Moサンプルは、黒の太線で示される二本鎖ポリヌクレオチドを含む。核酸差異を有する2種類の関連ポリヌクレオチドを破線で表す。分子αは、完全またはほぼ完全なホモ二重鎖を表す。分子βは、一本鎖テールを有する二重鎖を表す。分子σは一本鎖分子を表す。分子γは、内部一本鎖領域および一本鎖テールを有するヘテロ二重鎖を表す。分子δは、内部一本鎖領域および平滑末端を有するヘテロ二重鎖を表す。白い長方形はアダプターを表す。
【図2】
核酸差異に対して特異的なプローブの選択を図示する。関連ポリヌクレオチドにおいて同一の領域は開いたボックスである。オリゴヌクレオチドプローブは黒の太線で表し、核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドに対して局在化している。図2aにおいて、関連ポリヌクレオチドは、領域の追加/欠失によって異なる(影付きのボックス)。図2bにおいて、関連ポリヌクレオチドは、ある領域の他の領域による置換によって異なる(縞のボックス)。
【図3】
大腸菌SSBタンパク質を用いた一本鎖トラップの効率を示すゲルリターデイションアッセイのハーフトーンの複写である。3種類のサンプル(A、BおよびC)は等量の2種類のポリヌクレオチドを含み、一方のポリヌクレオチドは領域yに隣接する領域xからなり、他方は隣接領域x、zおよびyからなる。z領域の長さは3種類のサンプルの間で異なる:Aの場合、z1=17bp;Bの場合、z2=30bp;Cの場合、z3=40bpである。変性/再生を意味するライン「D/R」で、「−」はこの段階が無いことを意味し、「+」はこの段階があることを意味する。SSBラインでは、「−」は、SSBタンパク質を全く使用しないことを意味し、「+」はSSBタンパク質を使用することを意味する。一般的な3種類の分子:ホモ二重鎖分子(a=xy、b=xzly;c=xz2y; d=xz3y);ヘテロ二重鎖分子(ab、ac et ad)およびISSRH−SSB複合体(ab/SSB、ac/SSBおよびad/SSB)が見出された。
【図4】
核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドで濃縮されたライブラリー(NAD−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返してもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は図2に開示されている。
【図5】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子の選択的スプライシング事象で濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返してもよい濃縮ループを示す。この方法についての他の情報は図3に開示されている。
【図6】
低減段階を含む、単一遺伝子または限定セットの遺伝子の選択的スプライシング事象を同定する方法を用いた選択的スプライシング事象の分析を示す。2つの選択的スプライシング事象(AおよびB)は、可能性のある4種類のアイソフォーム(I1、I2、I3、I4)を導き、最初のサンプルにおいて可能性のある11通りの組み合わせのうち、これら4種類のアイソフォームの7通りの組み合わせから、これらの2種類のASEが同定される。更なる詳細については、実施例3の「ASEの同定」のセクションを参照のこと。
【図7】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子に対するアイソフォームのライブラリー(ASI−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例4に開示されている。
【図8】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子、およびいくつかの生理的条件に対する選択的スプライシング事象で濃縮されたライブラリー(ASE−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例6に開示されている。
【図9】
単一遺伝子または限定セットの遺伝子、およびいくつかの生理的条件に対するアイソフォームのライブラリー(ASI−Lib)を得る方法のいくつかの段階を示すフローチャートである。破線は、必要な場合には数回繰り返し行ってもよい濃縮ループを示す。この方法についての更なる情報は実施例7に開示されている。
Claims (32)
- ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有する関連ポリヌクレオチドを単離する方法であって、
少なくとも1つの内部一本鎖領域を含有するヘテロ二重鎖(ISSRH)を一本鎖トラップ(SST)で選択する段階を含み、前記ISSRHが前記関連ポリヌクレオチド間で形成され、前記内部一本鎖領域が前記核酸差異を表し、かつSSTが、二本鎖ポリヌクレオチドと比較して一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む方法。 - 以下の段階:
(a)前記関連ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドサンプルを得る段階;
(b)核酸差異を有する前記関連ポリヌクレオチド間でISSRHを形成させるために、前記サンプルに存在するポリヌクレオチドをアニーリングする段階;
(c)一本鎖トラップを用いて、前記ISSRHを選択する段階;を含む、請求項1に記載の方法。 - ポリヌクレオチドのサイズを低減する段階をさらに含む、請求項2に記載の方法。
- 前記アニーリング段階(b)の前に前記サンプル中の前記ポリヌクレオチドを変性させる段階を含む、請求項2又は3に記載の方法。
- 前記段階(c)の前にISSRHの内部一本鎖領域以外の一本鎖領域を除去する段階を含む、請求項2〜4の何れかに記載の方法。
- 前記段階(b)の後、段階(c)の前に得られたポリヌクレオチドを平滑末端化する段階を含む、請求項2〜5の何れかに記載の方法。
- ポリヌクレオチドの末端にアダプターをライゲートする段階を含む、請求項2〜6の何れかに記載の方法。
- 前記アダプターが、前記ポリヌクレオチドの末端から完全にまたは一部除去される、請求項7に記載の方法。
- 前記一本鎖トラップによって選択された前記ISSRHを増幅する段階を含む、請求項1〜8の何れかに記載の方法。
- 前記関連ポリヌクレオチドの前記単離が繰り返し行われる、請求項1〜9の何れかに記載の方法。
- 前記の単離された関連ポリヌクレオチドをクローン化する最終段階を含む、請求項1〜10の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルが、単一ソース、環境または生理的条件からのポリヌクレオチドを含む、請求項1〜11の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルが、少なくとも2種類の異なるソース、環境または生理的条件からのポリヌクレオチドの混合物を含む、請求項1〜11の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルがcDNAを含む、請求項1〜13の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルがゲノムDNAを含む、請求項1〜13の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルが、単一遺伝子または限定セットの遺伝子に由来するポリヌクレオチドを含む、請求項1〜15の何れかに記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドサンプルが、複合ポリヌクレオチド混合物である、請求項1〜15の何れかに記載の方法。
- 前記一本鎖トラップが、二本鎖DNAと比較して一本鎖DNAに対して選択的な親和性を有する認識エレメント(RE)の使用を含む、請求項1〜17の何れかに記載の方法。
- 前記一本鎖トラップが、以下の段階:
a)前記ISSRH中の前記内部一本鎖領域を前記REに結合させ、続いてヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を含有する内部一本鎖領域を形成させる条件下にて、前記サンプルを前記REと混合する段階;
b)前記ISSRH−RE複合体を前記サンプルから分離する段階;を含む、請求項1〜18の何れかに記載の方法。 - 前記一本鎖トラップが、以下の段階:
a)前記REを固定化する段階;
b)前記の固定化されたREを前記アニール化されたサンプルと接触させて、前記ISSRH中の前記内部一本鎖領域を前記REと結合させ、続いて、内部一本鎖領域含有ヘテロ二重鎖−認識エレメント(ISSRH−RE)複合体を形成する段階;
c)未結合のポリヌクレオチドを除去する段階;
を含む、請求項1〜18の何れかに記載の方法。 - 前記関連ポリヌクレオチドを前記ISSRH−RE複合体から回収する段階を含む、請求項19又は20に記載の方法。
- 前記REが一本鎖結合タンパク質である、請求項1〜21の何れかに記載の方法。
- 前記一本鎖結合タンパク質が大腸菌SSBである、請求項22に記載の方法。
- 前記REが、ベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロース、ベントナイト上のメチル化アルブミンおよび珪藻土上のメチル化アルブミンからなる群から選択される物質である、請求項1〜21の何れかに記載の方法
- 前記REがベンゾイル化−ナフトイル化−DEAE−セルロースである、請求項24に記載の方法。
- 前記核酸差異が少なくとも6個のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含む、請求項1〜25の何れかに記載の方法。
- 請求項1〜26の何れかに記載の方法によって得られる、単離または精製されたポリヌクレオチド。
- 請求項1〜26の何れかに記載の方法によって得られる、核酸差異を有するポリヌクレオチドにおいて濃縮されたライブラリー。
- 請求項1〜26の何れかに記載の方法を用いて同定された核酸差異と、厳密な条件下にて特異的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド。
- 請求項1〜26の何れかに記載の方法によって得ることができるISSRH−RE複合体。
- 請求項1〜26の何れかに記載の方法によって得るISSRH−RE複合体。
- ポリヌクレオチドサンプル中の核酸差異を有するポリヌクレオチドを単離するためのキットであって、
a)前記サンプル中に存在するポリヌクレオチドをアニールするための試薬;
b)二本鎖ポリヌクレオチドと比較して一本鎖ポリヌクレオチドに対して選択的な親和性を有する認識エレメント;
c)前記REによって一本鎖領域を選択するための試薬;を備えるキット。
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