JP5690068B2 - 環状染色体コンホメーション捕捉(4c) - Google Patents

環状染色体コンホメーション捕捉(4c) Download PDF

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Description

本発明は核空間における2以上のヌクレオチド配列の相互作用の頻度の分析に関する。診断および予後判定のためにゲノム再編成を検出するための手段として、相互作用における変化を用いる。
哺乳類の核構造に関する研究は、細胞型を特定する遺伝子の正確な発現を可能にしつつ2メートルのDNAがどのようにして直径10μmの核内に折り畳まれるのか、およびこれがどのようにして各細胞周期中に忠実に伝えられるのかを理解することを目的としている。この分野における進歩は主として顕微鏡検査研究によるものであり、これは、ゲノムが核空間において非ランダムに配置されることを明らかにした。例えば、密に詰め込まれた異質染色質が、より疎な真正染色質から分離され、染色体は核空間内の異なる領域を占拠する2。核配置と転写活性との間には複雑な関係が存在する。転写は核の内部の至るところで生じるが、染色体上でクラスター化している活性遺伝子は、主として、それらの染色体領域の末端または外部に位置する。染色体領域、動原体または核周辺部のような比較的大きな核指標(nuclear landmark)に対して評価された場合、個々の遺伝子はそれらの転写状態の変化に際して移動しうる。さらに、βグロビン遺伝子座および少数の選択された他の遺伝子に関する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により最近示されたとおり、染色体上で数十メガ塩基離れた活発に転写される遺伝子が核内で会合しうる。ゲノム構成は、転写のほかに、複製、組換えの協調性および遺伝子座の転座(これは悪性疾患を招きうる)の確率ならびに後成的プログラムの設定および再設定に関連している。これらの観察に基づき、細胞核におけるDNAの構造的構成はゲノム機能に対する中心的寄与因子であると考えられている。
in vivoにおけるゲノム遺伝子座の空間的構成に対する洞察を可能にする種々のアッセイが開発されている。RNA-TRAPと称される1つのアッセイが開発されており(Carterら (2002) Nat. Genet. 32, 623)、これは、新生RNA転写産物へのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)の標的化、およびそれに続く、近傍のクロマチン上のHRP触媒ビオチン沈着の定量を含む。
開発されているもう1つのアッセイは染色体コンホメーション捕捉(chromosome conformation capture)(3C)技術と称され、これは、ゲノム領域の構造的構成を研究するための手段となる。3C技術は、2つの与えられたDNA制限断片の間の架橋頻度の定量PCR分析を含み、これは核空間内のそれらの接近性の尺度を与える(図1を参照されたい)。この技術は、元々は酵母における染色体のコンホメーションを分析するために開発されたが(Dekkerら, 2002)、複雑な哺乳類遺伝子クラスターにおける遺伝子発現とクロマチンのフォールディング(折り畳み)との関係を調べるために応用されている(例えば、Tolhuisら, 2002; Palstraら, 2003; およびDrissenら, 2004を参照されたい)。簡潔に説明すると、3C技術は、細胞のin vivoホルムアルデヒド架橋、および制限酵素でのクロマチンの核消化、ならびにそれに続く、1つの複合体へと架橋されたDNA断片の連結を含む。ついで連結産物をPCRにより定量する。該PCR増幅工程は、増幅しようとするDNA断片のそれぞれに関する配列情報の知見を要する。したがって、3C技術は、選択されたDNA断片の間の相互作用頻度の尺度となる。
3C技術はゲノムの選択部分間の相互作用要素を特定するために開発されたものであり、どちらの技術も、分析する全制限断片に対するプライマーの設計を要する。最近、選択されたDNA断片と物理的に相互作用するDNAセグメントに関してゲノム全体を非偏向的にスクリーニングすることを可能にする新規方法が開発された。それらは3C技術に基づくものであり、「4C技術」と総称される。4C技術は、選択されたDNA断片と物理的に相互作用するDNAセグメントに関してゲノム全体を非偏向的にスクリーニングすることを可能にする。4C技術は、選択された制限断片(「ベイト(bait)」)への架橋DNA断片の選択的連結に基づくものである。4C技術においては、細胞の集団におけるベイトにより捕捉されたDNA断片の全てを、環化連結産物から増幅する2つのベイト特異的プライマーを使用するインバースPCRにより同時に増幅する。
これらのDNA環を得るために、本質的に2つの方法が行われうる。1つの方法は、標準的な3C連結工程中(すなわち、DNAが尚も架橋されている間)の環の形成に基づくものである(Zhaoら (2006) Nat Genet 38, 1341-7)。この場合、環形成は、ベイト断片の両末端が捕捉制限断片の両末端に連結されることを要する。複数の制限断片が互いに架橋される場合、環は尚も形成されうるが、それらは2以上の捕捉断片を含有する可能性があり、したがってより大きくなる。脱架橋後、外側を向くベイト特異的プライマーを使用するインバースPCRにより捕捉DNA断片を直接的に増幅する。この設定においては、4または6塩基対を認識する制限酵素が使用されうる。しかし、この方法においては4塩基対切断酵素が好ましい。なぜなら、それらは、より小さな制限断片(平均サイズ256bp; これに対して、6塩基対切断酵素では〜4kb)を生成し、捕捉DNA断片の線状PCR増幅は、平均産物サイズが小さいことを要求するからである。したがって、本質的に、この方法は、(a)架橋DNAのサンプルを準備し、(b)一次制限酵素(例えば、4bpまたは5bpの切断酵素)で該架橋DNAを消化し、(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(d)架橋を逆転させ、(e)関心のあるヌクレオチド配列に隣接するDNA配列にそれぞれがハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅する工程を含む。該DNA配列間の相互作用の頻度を決定することを補助するために、増幅された配列をアレイにハイブリダイズさせることが可能である。
第2の方法は、本明細書および本発明者らの同時係属出願WO2007/004057に記載されているとおり、有利には、クロマチンが脱架橋された後のDNA環の形成に基づくものである。それに記載されているとおり、4C技術は、選択された遺伝子座と相互作用するDNA断片に関する、ゲノム全体の非偏向探索を可能にする。簡潔に説明すると、3C分析は通常どおりに行われるが、PCR工程が省略される。3C鋳型は、標的配列または「ベイト」(例えば、選択された遺伝子を含む選択された制限断片)を、関心のある多数の異なるヌクレオチド配列(この遺伝子のゲノム環境を代表するもの)に連結された状態で含有する。該鋳型を別の二次制限酵素で切断し、ついで再連結して小さいDNA環を形成させる。有利には、少なくとも1つのプライマーが標的配列にハイブリダイズする、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標的ヌクレオチド配列に連結された関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅する。第2のプライマーも、好ましくは、関心のあるヌクレオチドに両プライマーが隣接するよう、標的配列にハイブリダイズする。あるいは、第2のプライマーは、それらの2つのプライマーが関心オリゴヌクレオチドに隣接するよう、二次制限部位に連結されたアダプター配列にハイブリダイズする。典型的には、これは、独立した増幅反応の間で高い再現性を示す、与えられた組織に特異的なPCR断片のパターンを与える。HindIIIおよびDpnIIが一次および二次制限酵素として使用されうる。次に、増幅された断片を標識し、場合によっては、アレイ(典型的には、同じ組合せの制限酵素で消化されたゲノムDNAを含有する対照サンプルに対するもの)にハイブリダイズさせることが可能である。したがって、標的ヌクレオチド配列と相互作用する関心のある全ヌクレオチド配列が増幅されるよう、3C技術は修飾されている。事実上、これは、分析したい断片に特異的なプライマーで増幅反応を行う代わりに、関心のあるヌクレオチド配列に隣接するDNA配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅を行うことを意味する。好都合なことに、4Cは、PCR増幅工程に含まれるPCRプライマーの設計に対して偏向せず、したがって、相互作用性DNA要素に関して完全ゲノムを探索するために用いられうる。
核空間において互いに接触するDNA遺伝子座に関してゲノム全体を非偏向的に系統的にスクリーニングしうるハイスループット技術に対する重要な必要性が存在する。
さらに、未知の位置において生じ疾患に関連づけられうる挿入、欠失、転座、逆位および再編成に関してゲノムを分析するための、ならびにゲノム内の複数の配列で生じる複数の相互作用の同時分析を可能にするそのような技術における改良が必要とされている。
WO2007/004057
Carterら (2002) Nat. Genet. 32, 623 Dekker, J., Rippe, K., Dekker, M., and Kleckner, N. 2002. Capturing chromosome conformation. Science 295: 1306-11. Tolhuis, B., Palstra, R.J., Splinter, E., Grosveld, F., and de Laat, W. 2002. Looping and interaction between hypersensitive sites in the active beta-globin locus. Molecular Cell 10: 1453-65. Palstra, R.J., Tolhuis, B., Splinter, E., Nijmeijer, R., Grosveld, F., and de Laat, W. 2003. The beta-globin nuclear compartment in development and erythroid differentiation. Nat Genet 35: 190-4. Drissen R, Palstra RJ, Gillemans N, Splinter E, Grosveld F, Philipsen S, de Laat W. 2004. The active spatial organization of the beta-globin locus requires the transcription factor EKLF. Genes Dev 18:2485-90. Zhaoら (2006) Nat Genet 38, 1341-7
本発明は3Cおよび4C技術における改良ならびにそれらに関連した技術を提供するものである。
発明の概括
現在応用されている3C技術は、分析すべき各断片に関する特異的配列情報の知見を要するというPCR増幅工程の制約のため、限られた数の選択されたDNA-DNA相互作用の分析を可能にするに過ぎない。さらに、長距離DNA相互作用に関する候補として制限断片を選択することは、通常は入手不可能な、関心のある遺伝子座の相当量の前提知識(例えば、超感受性部位の位置)を要する。これまでに記載されている多数の長距離DNA-DNA相互作用の機能的関連性を考えれば、関心のある配列(例えば、遺伝子プロモーター、エンハンサー、絶縁体、サイレンサー、複製起点またはMAR/SAR)または関心のあるゲノム領域(例えば、遺伝子密集もしくは遺伝子過疎領域または反復要素)とループ形成するDNA要素に関してランダムにスクリーニングしうることは、調節ネットワークに関与する配列の位置決定(マッピング)を著しく促進しうる。
本発明は、核空間内の2以上のヌクレオチド配列の相互作用の頻度のハイスループット分析をもたらす4C技術(すなわち、共局在化クロマチンの捕捉および特徴づけ(capture and characterise co-localised chromatin))およびそれにおける改良に関する。4C技術は、長距離DNA-DNA相互作用を特定する(例えば、染色体の折り畳みを研究する)ために用いられうるが、ヒト被験者における形質または疾患の根底にありうる平衡および非平衡ゲノム再編成、例えば転座(トランスロケーション; translocation)、逆位、欠失、増幅などを特定するためにも用いられうる。
通常、4C技術は、単一の選択された標的配列(「ベイト」)により捕捉されたDNA断片を分析するためのマイクロアレイの使用を含む(Simonisら, Nature Genetics 2006)。マイクロアレイは、それが、限られたダイナミックレンジしかもたらさないという欠点を有する。なぜなら、該アレイ上に存在するプローブは飽和可能であり、これはシグナル強度の定量分析をより困難にするからである。ハイスループット配列決定は、無制限のダイナミックレンジをもたらして、この問題を回避する。それは、配列の絶対数を提供するため、定量的でもある。
また、複数の標的配列とのDNA相互作用を同時に分析することが好ましい。これは、4Cに基づく全ての用途、特に、4Cに基づく、ゲノム再編成の分析に言えることである。4C技術は、ゲノム再編成の存在に関してゲノム全体を非偏向的に走査することを可能にする診断手段として用いられうる。全ての配列(すなわち、制限断片)を一緒に捕捉する、各染色体に沿った一連の標的配列を使用することが可能である。ついで、ゲノム再編成を特定するために、その「ベイト」により捕捉された配列を特定する。
捕捉された断片は各標的配列(「ベイト」)に関して別々に配列決定されうる。しかし、好ましくは、全ての標的配列で形成された全ての連結産物が同時に分析される。このためには、各読取りが連結接合部に向けられる必要があり、標的配列と捕捉配列との両方を明らかに特定するのに十分な配列情報を得る必要がある。
本発明の概略的態様
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に示されている。
第1の態様においては、関心のある1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法であって、(a)架橋されたDNAのサンプルを準備し、(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(d)該架橋を逆転させ、(e)場合によっては、該ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化し、(f)場合によっては、既知ヌクレオチド組成の1以上のDNA配列を、関心のある1以上のヌクレオチド配列に隣接する利用可能な二次制限酵素消化部位に連結し、(g)関心のあるヌクレオチド配列に隣接するDNA配列に各プライマーがハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅し、(h)該増幅配列をアレイにハイブリダイズさせ、(i)該DNA配列間の相互作用の頻度を決定する工程を含んでなる方法を提供する。
第2の態様においては、1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法であって、(a)架橋されたDNAのサンプルを準備し、(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(d)該架橋を逆転させ、(e)場合によっては、該ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化し、(f)該ヌクレオチド配列を環化し、(g)該標的ヌクレオチド配列に連結された1以上のヌクレオチド配列を増幅し、(h)場合によっては、該増幅配列をアレイにハイブリダイズさせ、またはハイスループット配列決定により該増幅配列を分析し、(i)該DNA配列間の相互作用の頻度を決定することを含んでなる方法を提供する。
第3の態様においては、第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行う工程を含んでなる、特定の病態を示す1以上のDNA-DNA相互作用を特定するための方法であって、工程(a)において、罹患細胞および非罹患細胞から架橋DNAのサンプルを準備し、該罹患細胞および非罹患細胞からのDNA配列間の相互作用の頻度における相違が、該染色体鋳型の線状構成における相違(例えば、ゲノム再編成)を示し、これが特定の形質または病態を示す、方法を提供する。
第4の態様においては、第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行う工程を含んでなる、DNA-DNA相互作用における変化により引き起こされる又は該変化に関連した疾患または症候群の診断または予後判定の方法であって、工程(a)が、被験者から架橋DNAのサンプルを準備することを含み、工程(i)が、該DNA配列間の相互作用の頻度を非罹患対照のものと比較することを含み、該対照から得た値と該被験者から得た値との相違が、該被験者が該疾患もしくは症候群に罹患していることを示す又は該被験者が該疾患もしくは症候群に罹患することになることを示す、方法を提供する。
第5の態様においては、第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行う工程を含んでなる、DNA-DNA相互作用における変化により引き起こされる又は該変化に関連した疾患または症候群の診断または予後判定の方法であって、工程(a)が、被験者から架橋DNAのサンプルを準備することを含み、該方法が、(j)疾患に関連したゲノム再編成を受けた1以上の遺伝子座を特定する追加工程を含む、方法を提供する。
第6の態様においては、(a)サンプルを1以上の物質と接触させ、(b)第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行うことを含んでなる、DNA-DNA相互作用をモジュレーションする1以上の物質を特定するためのアッセイ方法であって、工程(a)が、架橋されたDNAを該サンプルから準備することを含み、(i)該物質の存在下のDNA配列間の相互作用の頻度と、(ii)該物質の非存在下の該DNA配列間の相互作用の頻度との相違が、該DNA-DNA相互作用をモジュレーションする物質の指標となる、方法を提供する。
第7の態様においては、(a)第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行い、(b)DNA配列間の相互作用の頻度を対照のものと比較する工程を含んでなる、平衡および/または非平衡再編成(例えば、転座)の位置を検出するための方法であって、該対照と比較した場合の該サンプルにおける低から高へのDNA-DNA相互作用頻度の変化が切断点(breakpoint)の位置を示す、方法を提供する。
第8の態様においては、(a)第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行い、(b)DNA配列間の相互作用の頻度を対照のものと比較する工程を含んでなる、平衡および/または非平衡逆位を位置を検出するための方法であって、該対照と比較した場合の該サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の逆転パターンが逆位を示す、方法を提供する。
第9の態様においては、(a)第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行い、(b)DNA配列間の相互作用の頻度を対照のものと比較する工程を含んでなる、欠失の位置を検出するための方法であって、該対照と比較した場合の該サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の減少が欠失を示す、方法を提供する。
第10の態様においては、(a)第1の態様の方法の工程(a)〜(i)を行い、(b)DNA配列間の相互作用の頻度を対照のものと比較する工程を含んでなる、重複の位置を検出するための方法であって、該対照と比較した場合の該被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少が重複または挿入を示す、方法を提供する。
第11の態様においては、本明細書に記載されているアッセイ方法により得られた又は得られうる物質を提供する。
第12の態様においては、関心のある1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との1以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法であって、(a)架橋されたDNAのサンプルを準備し、(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(d)該架橋を逆転させ、(e)該連結ヌクレオチド配列を配列決定する工程を含んでなる方法を提供する。
第13の態様においては、サンプルにおけるゲノム再編成の存在を決定するための方法であって、(a)核酸(例えば、ゲノムDNA)のサンプルを準備し、ここで、該核酸は、疑われるゲノム再編成の位置に隣接した既知配列のヌクレオチド配列を含み、(b)該DNAを一次制限酵素で消化して複数の制限断片を形成させ、(c)場合によっては、該制限断片を精製し、(d)該制限断片を連結して環化DNAを形成させ、(e)場合によっては、該環化DNAを精製し、(f)該環化DNAを二次制限酵素で消化して複数の制限断片を形成させ、(g)該制限断片を連結して環化DNAを形成させ、(h)既知配列のヌクレオチド配列にハイブリダイズする1以上のプライマーを使用して、疑われるゲノム再編成を増幅し、(i)疑われるゲノム再編成を配列決定することを含んでなる方法を提供する。
第14の態様においては、各標的配列の一次制限酵素認識部位または二次制限酵素認識部位を場合によっては含む、直に隣接する約6〜50塩基対の核酸配列のデータベースを提供する。
第15の態様においては、ゲノム内の全ての関連する一次および二次制限酵素認識部位に直に隣接する約12〜50塩基対の核酸配列のデータベースを提供する。
第16の態様においては、特定された捕捉配列のそれぞれのゲノム位置を決定するための、核酸配列のデータベースの使用を提供する。
第17の態様においては、本明細書に記載されており実施例または図面のいずれかに参照されているのと実質的に同じ方法または物質またはデータベースまたは使用を提供する。
3C技術の原理。 (a)4C技術の1つの実施形態の原理。制限酵素として例えばHindIII(H)を使用して常法により3C分析を行う。架橋の逆転の後、DNA混合物は、多数の異なる断片に連結された第1(標的)ヌクレオチド配列を含有する。第1(標的)ヌクレオチド配列特異的プライマーを使用して、例えばDpnII環上で、インバースPCRのような増幅方法を用いて、これらの断片を増幅し標識する。標識された増幅産物を、本明細書に記載されているとおりアレイにハイブリダイズさせることが可能である。HindIIIおよびDpnIIは具体例として示されており、制限酵素(例えば、6または8、および4または5塩基対切断酵素)の他の組合せも使用されうる。(b)2つの独立した胎児肝臓(L1、L2)および脳(B1、B2)サンプルからゲル電気泳動により分離されたPCRの結果。(c)マイクロアレイプローブの位置の概要図。HindIII部位から100bp以内でプローブを設計した。したがって、各プローブは1つの可能な連結パートナーを分析する。 4C技術はRad23A(染色体8)のゲノム環境を検出する。示されているのは、マウス染色体10、11、12、14、15、7および8(上から下へ;示されている領域は、各対応動原体から同一距離におけるものである)上の〜15Mb以上のゲノム領域に位置するプローブに関する未処理比(Rad23Aに関する4Cシグナルを、対照サンプルで得られたシグナルで割り算したもの)である。4C技術が線状染色体鋳型付近のゲノム断片を検出することを示している、染色体8(第7行)上の(Rad23A)ベイトの周囲の強力なシグナルの大きなクラスターに注目されたい(相互作用頻度がゲノム部位分離に反比例することに合致している)。高いシグナル強度を示すベイト付近にシスで連結されている領域が大きく(>5Mb)、このことは、例えば、切断点から1MB以上離れているベイトの場合でさえも転座が検出されうることを示唆していることに注目されたい。 転写組織(胎児肝臓)および非転写組織(胎児脳)に関する染色体7(〜135Mb)上のβグロビンの4C相互作用(移動平均アプローチにより分析した)。βグロビンとの長距離相互作用が組織間で異なっている(該遺伝子の転写状態に基づくものであろう)ことに注目されたい。該組織には無関係に、強力な4Cシグナルは該ベイトの周囲の大きな領域(>5Mb)を際立たせている。 UrosおよびErafは胎児肝細胞内でβグロビンと相互作用する。4Cアプローチは、2つの遺伝子、すなわちErafおよびUrosが、〜30Mb離れて位置するβグロビン遺伝子座と>30Mbにわたって相互作用することを示している。これらの2つの相互作用は、Osborneら, Nature Genetics 36, 1065 (2004)に記載されているとおり、異なる技術(蛍光in situハイブリダイゼーション)により既に判明していた。この例は、4C技術により検出される長距離相互作用がFISHにより実証可能であり核接近性を真に反映しうることを示している。 4C技術は、シスで連結された無関係なゲノム領域間の転位(transition)を正確に特定する。これらの実験のために、マウス染色体8上のRad23A遺伝子座内に(相同組換えにより)挿入されたヒトβグロビン遺伝子座調節領域(LCR)カセット(〜20kb)を含有するトランスジェニックマウスを使用した。この挿入に関してホモ接合であるトランスジェニックマウスのE14.5胎児肝臓上で4C技術を行った。組換えカセット(HS2)内のHindIII断片を「4Cベイト」として使用した。4C技術は該トランスジェニックカセットの両末端を正確に定め(下行:ヒトLCR(〜20kb)におけるプローブのみが4Cシグナルを与え、〜380kbのヒトβグロビン配列の残部におけるプローブはそれを与えない)、マウス染色体8上の組込みの位置を明らかに示す(上パネル:染色体8上のシグナル(組込み位置に関するもの;矢印を参照されたい)を6つの他のマウス染色体(完全染色体が示されている)上のシグナルと比較している)ことを、該データは示している。この例は、異所組込みDNA断片(ウイルス、トランスジーンなど)のゲノム位置を検出するために4C技術が用いられうることを示している。それは、シスで連結されている無関係なゲノム領域間の転位が正確に特定可能であり、それを用いてゲノム切断点および転座パートナーを特定しうることを示している。 HS2およびβグロビンに関するプロファイルは非常に類似しているため、4C技術は再現性あるデータを与える。βグロビン遺伝子βメジャー(major)(上の2行)またはβグロビンHS2(下の2行)をベイトとして使用して、E14.5胎児肝臓上で4つの生物学的に独立した4C実験を行った。これらのベイトは線状染色体鋳型上では〜40kb離れているが、核空間内では接近していることが既に示されている(Tolhuisら, Molecular Cell 10, 1453 (2002))。示されているのは、βグロビン遺伝子座から20〜20Mb離れているマウス染色体7上の〜5Mb領域である。該データは、独立した実験間の高い再現性を示しており、核空間内で接近している2つの断片が、ゲノム内の他の場所に位置する相互作用性パートナーを共有することを示している。 4C技術は、健常者(上)および転座を有する患者(A;B)(下)からの細胞内の配列X(染色体A上)とのDNA-DNA相互作用頻度を測定するために適用される。DNA-DNA相互作用頻度を表すシグナル強度(Y軸)が、線状染色体鋳型上に配置されたプローブ(X軸)に対してプロットされている。正常細胞においては、配列X付近の染色体A上で頻繁なDNA-DNA相互作用が検出される。患者の細胞においては、切断点(BP)の反対側に位置する染色体A上のプローブに関して、相互作用頻度における50%の減少が観察される(灰色の曲線(患者)を黒色の線(健常者)と比較されたい)。さらに、転座は染色体Bの一部を配列Xに物理的に接近して配置させ、今や染色体B上のこの領域で、頻繁なDNA-DNA相互作用が観察される。この染色体上の低から高への相互作用頻度の急な変化はその切断点の位置を示している。 4C技術により(平衡)逆位が検出されうる。非罹患被験者(点線曲線)と比較して罹患被験者(実線曲線)においては、DNA-DNA相互作用頻度(4C技術によりハイブリダイゼーションシグナル強度として測定される)の逆転パターンが観察され、これは逆位の存在およびサイズを示す。 4C技術によるヘテロ接合欠失の検出。非罹患被験者(黒色曲線)と比較した場合の罹患被験者(灰色曲線)におけるDNA-DNA相互作用頻度(4C技術によりハイブリダイゼーションシグナル強度として測定される)の減少を伴うプローブは該欠失領域の位置およびサイズを示す。該罹患被験者の欠失領域における残留ハイブリダイゼーションシグナルは無傷対立遺伝子(ヘテロ接合欠失)に由来する。欠失は、典型的には、直接的に該欠失領域を越えて位置するプローブに関するシグナル強度の増加を伴う(該欠失の右側においては灰色曲線が黒色曲線の上にあることに注目されたい)。なぜなら、これらの領域は、物理的接近性において、4C配列(ベイト)に、より近くなるからである。 4C技術により検出された重複。正常被験者(点線曲線)と比較した場合の患者(実線曲線)におけるハイブリダイゼーションシグナルの増加を伴うプローブは重複の位置およびサイズを示す。4C技術により検出される重複は、典型的には、該重複領域を越えるプローブに関して、非罹患被験者と比較した場合の罹患被験者におけるハイブリダイゼーションシグナルの減少を伴う(重複は4C配列からのそれらのゲノム部位分離を増加させる)。 4C技術により示されるβグロビンとの長距離相互作用。a,染色体7および2つの無関係な染色体(8および14)とのβグロビンHS2の相互作用を示す、対照ハイブリダイゼーションシグナルに対する4Cの未処理比。b-c,染色体7上の2つの異なる1〜2Mb領域に沿ってプロットされた、2つの独立した胎児肝臓(上、赤色)および胎児脳サンプル(下、青色)に関する未処理データ。2つの胎児肝臓サンプル(b)または2つの脳サンプル(c)において、相互作用の高再現性クラスターが観察される。d-e,同一領域に関する移動平均データ。偽発見率は5%に設定された(点線)。f,染色体7上の活性(胎児肝臓、上)および不活性(胎児脳、下)βグロビンとの相互作用の領域の概要図。 活性および不活性βグロビンは、それぞれ、活性および不活性染色体領域と相互作用する。a,遺伝子Uros(βグロビンから〜30Mb離れている)を含有する4Mb領域に沿ってプロットされた、胎児肝臓(4C移動平均、上)におけるβグロビン長距離相互作用、胎児肝臓(対数目盛、中)および遺伝子の位置(下)におけるマイクロアレイ発現分析の間の比較。これは、活性βグロビンが、他の活発に転写される遺伝子と優先的に相互作用することを示している。b,グロビンから〜38Mb離れて位置するOR遺伝子クラスターの周囲の胎児脳における同じ比較。これは、不活性βグロビンが不活性領域と優先的に相互作用することを示している。c,遺伝子含量および活性に関する、胎児肝臓(左)および脳(右)におけるβグロビンと相互作用する領域の特徴づけ。 遍在的に発現されるRad23Aは、胎児肝臓および脳における非常に類似した活性領域と相互作用する。a,胎児肝臓(上、赤色)および脳(下、青色)における活性Rad23Aと相互作用する染色体8上の領域の概要図。b,染色体8の3Mb領域に沿ってプロットされた、胎児肝臓(上の2つのパネル)におけるRad23A長距離相互作用およびマイクロアレイ発現分析(対数目盛)、胎児脳(パネル3および4)におけるRad23A長距離相互作用(4C移動平均)およびマイクロアレイ発現分析(対数目盛)ならびに遺伝子の位置(下パネル)の間の比較。c,遺伝子含量および活性に関する、胎児肝臓(左)および脳(右)におけるRad23Aと相互作用する領域の特徴づけ。 低温FISHは、4C技術が相互作用領域を真に特定することを証明している。a,いくつかがβグロビン遺伝子座(緑)および/またはUros(赤)を含有する10個を超える核を示す(200nm)凍結切片の部分の例。切片化のため、多数の核はこれらの2つの遺伝子座に関するシグナルを含有しない。b-d,完全(b)または部分的(c)に重複するシグナルおよび接触シグナル(d)の例であり、これらは全て、相互作用に関して陽性と評価された。e-g,非接触対立遺伝子を含有する核(e-f)およびβグロビンのみを含有する核(g)の例であり、これらは全て、相互作用に関して陰性と評価された。h-i,低温FISHの結果の概要図。βグロビン(h)およびRad23A(i)との相互作用の百分率が、4C技術により陽性(赤の矢じり)および陰性(青の矢じり)と特定された領域に関して染色体の上に示されている。それらの2つの組織に対して同じBACを使用した。胎児肝臓および脳において2つの異なるOR遺伝子クラスター間で低温FISHにより測定された相互作用頻度が染色体の下に示されている。 HS2およびβメジャー(major)の4C分析は非常に類似した結果を示す。(a)4つの独立したE14.5肝臓サンプルの未処理4Cデータは、HS2(上)およびβメジャー(下)との相互作用の、非常に類似したパターンを示している。(b)HS-2実験において相互作用に関して陽性と評価されたプローブと、βメジャー実験において相互作用に関して陽性と評価されたプローブとの間には大きな重複が存在する。 βグロビンと相互作用する領域はお互いとも頻繁に接触する。胎児肝臓においてβグロビンと相互作用すると4C技術により特定された、活発に転写される遺伝子を含有する2つの領域(約60Mb離れている)は、5.5%の、低温FISHによる共局在化頻度を示し、これはバックグラウンド共局在化頻度より有意に高かった。 複数の標的配列と相互作用するDNA断片の標識のために単一の染料を使用する多重4Cにより示されたヘテロ接合欠失の例。健常者(対照)に対する、患者(サンプル)において観察された相互作用頻度の比が、右側に示されている。 第1切断点から2Mb(A)または1.3Mb(B)上流(「左側」)に位置する標的ヌクレオチド配列を使用する4Cにより示される、白血病患者において存在する欠失の存在。欠失は欠失領域においてDNA相互作用シグナルの減少を引き起こすが、最終切断点の直下流(「右側」)の配列に関するDNA:DNA相互作用頻度の増加をも引き起こすことに注目されたい。これは、標的ヌクレオチド配列Bとの相互作用を詳細に調べた場合に特に明らかである(下の2つのグラフを参照されたい)。4Cデータに基づいて、該欠失領域の各側におけるプライマーを設計し、配列決定により切断点を特定した。無修飾文字は欠失の上流の配列であり、太字で示されているのは挿入ヌクレオチドであり、下線で示されているのは該欠失の下流の配列である。 複数の標的配列と相互作用するDNA断片の標識のために単一の染料を使用する多重4Cにより示されたヘテロ接合逆位。健常者(対照)に対する、患者(サンプル)において観察された相互作用頻度の比が、右側に示されている。標的ヌクレオチド配列に対する切断点の位置が異なる場合には、切断点付近の比が異なりうることに注目されたい。 隣接する標的ヌクレオチド配列間で色が交互に入れ替わり、これは、飽和ハイブリダイゼーションシグナルが原因で欠失を検出できない標的ヌクレオチド配列(青色)に近い欠失の検出(赤色)を可能にする。アレイ上のプローブの量が飽和していない場合には、欠失において青色シグナルも減少するであろう。 隣接する標的ヌクレオチド配列間で色が交互に入れ替わり、これは逆位の検出(赤色)を可能にする。健常者(対照)に対する、患者(サンプル)において観察された相互作用頻度の比が、右側に示されている。単一染料実験(図2を参照されたい)と比較して、交互に入れ替わる染料の使用は逆位のような再編成の検出を促進したことに注目されたい。標的ヌクレオチド配列に対する切断点の位置が異なる場合には、切断点付近の比が異なりうることにも注目されたい。 異なる標的配列と相互作用するDNA断片の標識のために異なる染料を使用する4Cにより示されるヘテロ接合逆位の例。逆位の切断点が、対照サンプルにおいては存在していない、患者における赤色および緑色シグナルの位置により示されている。より多くの色の導入が再編成の検出を促進することに注目されたい(例えば、図4および5を比較されたい)。 平衡転座の検出。線状染色体鋳型上で隣接する標的配列間で染料が交互に入れ替わるように使用される2つの特有の染料で各染色体を標識する。転座が平衡している場合、それらの2つの染色体特異的染料のそれぞれは、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに隣接する互いに排他的なセットのプローブ上で、強力なハイブリダイゼーションシグナルを生成するはずである。この無関係な染色体上の切断点は、陽性ハイブリダイゼーションシグナルを示す2つのセットのプローブの間に位置する。切断点における及び切断点の後の親染色体シグナルは対照の強度の半分になるであろう(図には示されていない)。 平衡転座の検出の原理の証明。R. Burnettら, Blood, Vol 84, No 4 (August 15), 1994: pp 1232-1236に記載されているとおりのt(1;7)転座の検出。標的ヌクレオチド配列は染色体7上のTCRβ遺伝子座に隣接し、赤色シグナルは、TCRβ遺伝子座の上流に位置する標的配列とのDNA:DNA相互作用を表し、青色シグナルは、TCRβ遺伝子座の下流に位置する標的配列とのDNA:DNA相互作用を表す。示されているのは、染色体1上で見出された相互作用性DNAシグナルである。上パネルは理論シグナル分布を示す。中および下パネルは実際のシグナル分布を示す。下パネルは、染色体鋳型と並置された、個々のプローブの分解能(resolution)におけるシグナルを示す。平衡転座の場合には、切断点に隣接する標的ヌクレオチド配列は、転座パートナー染色体の線状染色体鋳型上で互いに直に隣接する互いに排他的な組合せの染色体間DNA相互作用シグナルを示すことに注目されたい。配列決定された切断点の位置(Burnettら, 1994に記載されている)が下パネルにおいて矢印で示されている。 非平衡転座の検出に関する理論上の例。線状染色体鋳型上で隣接する標的配列間で染料が交互に入れ替わるように使用される2つの特有の染料で各染色体を標識する。切断点におけるDNAの喪失を伴って転座(すなわち、非平衡転座)が生じた場合、それらの2つの染色体特異的染料のそれぞれは、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに直に隣接しない無関係な染色体上の互いに排他的なセットのプローブ上で、強力なハイブリダイゼーションシグナルを生成するであろう。欠失領域が示されている。 非平衡転座の検出。RJ Galjaardら, Am J Med Genet A. 2003 Aug 30;121(2):168-73に記載されているとおりのt(4;7)転座の検出。標的ヌクレオチド配列は染色体7に位置づけられ、示されている相互作用性DNAシグナルは染色体4上に位置づけられる。染色体7上の切断点の上流(5’)および下流(3’)に位置する2つの標的配列を使用した。染色体4上に位置する相互作用性DNAシグナルが示されている(両方の標的配列に関して青色)。この患者においては染色体4上の相互作用性DNA断片のクラスター間の領域が欠失している。上:完全染色体4に関するシグナル。下パネル4Cデータ:染色体4上の切断点付近の11.5MB領域におけるシグナル。これらの4Cデータに基づいて、転座切断点を含有する染色体4上のHindIII制限断片を特定し、それを使用して配列決定により該切断点を位置決定した。この図の下に該配列を示す。ここで、下線配列は染色体4由来であり、太字配列は7および4の両方において見出されたものであり、無修飾文字で示されている配列は染色体7由来である。 DNA相互作用の染色体特異的標識。染色体3上に出現する青色シグナルおよび染色体1上に出現するオレンジ色シグナルは転座パートナー染色体および切断点の凡その位置を示す。 標的ヌクレオチド配列(赤色:ホームアドレス(home address))に連結された関心のあるPCR増幅ヌクレオチド配列(青色:トラベルアドレス(travel address))の配列決定。プライマー(赤色)(その少なくとも1つは標的ヌクレオチド配列に相補的である)を使用して増幅を行った。場合によっては、示されているとおり、PCR産物の末端にアダプター(緑色)が種々の方法で導入されうる。 4Cは平衡転座および逆位を正確に検出する(A-B)。4C技術は平衡転座t(1;7)を検出する。(A)健常対照サンプルにおいては、染色体7上のTCRB遺伝子座の反対側に位置する標的断片a(赤色)およびb(青色)は染色体1上の領域を捕捉しない。(B)平衡転座t(1;7)(p35;q35)を含有するHSB-2細胞系において、各TCRB標的断片は染色体1上の領域を捕捉する。捕捉された領域は数メガベースのサイズを有し(拡大図1)、互いに直に隣接し(拡大図2)、既にクローニングされている切断点(矢印)に隣接する。他の染色体の結果については図S1を参照されたい。(C-D)4Cは平衡逆位を検出する。(C)健常対照サンプルにおいては、染色体7上のTCRB遺伝子座の反対側に位置する標的断片a(赤色)およびb(青色)は染色体7上の他の場所の大きな領域を捕捉しない。(D)T-ALL患者サンプルにおいては、各TCRB標的断片は染色体7の他方の末端における追加的領域を捕捉する。最も5'側の標的断片(a;赤色)はHOXAクラスターの5'側の領域を捕捉し、最も3'側の標的断片(b;青色)はHOXAクラスターの3'側の領域を捕捉し、これは逆位を示す。捕捉された領域は数メガメースのサイズを有し(拡大図1)、互いに直に隣接し(拡大図2)、このことは、該逆位が平衡していることを示している。両標的断片は6kb領域内のHOXA9付近の切断点(矢印)を特定する。〜60kbのウィンドウサイズを用いて、移動平均データをプロットした。拡大図は未処理シグナル強度を示す。 4Cは非平衡再編成を正確に検出する。(A)4Cは、先天性奇形を有する未出生児からの細胞系における微小欠失と組合された転座t(4;7)(p15.2;q35)(すなわち、非平衡再編成)を正確に検出する。染色体7上の切断点の反対側に位置していた標的断片a(赤色)およびb(青色)は共に、染色体4上の数メガベースにわたる断片を捕捉する(他の染色体上のシグナルに関しては図35を参照されたい)。高いシグナルを有するそれらの2つの捕捉領域は互いに直には隣接せず、このことは、転座が染色体4上の欠失を伴うことを示している。(B)それぞれ小文字および大文字で示されている染色体7および4の配列を伴う、切断点の1つの配列(矢印)。(C)4CはT-ALL患者のサンプルにおけるホモ接合欠失を正確に特定する。染色体9上の19.3Mbに位置する標的断片は、対照サンプル(上)と比較した場合の患者サンプル(下)における高いシグナルを欠く領域(矢印の間)(9p21上の〜2Mbの欠失示す)を特定する。欠失の3'側のシグナルは、患者においては対照のものより高い。なぜなら、この領域は、欠失のため、標的断片に、より接近しているからである。(D)該欠失を証明する、(C)における矢印により示される切断点を越える配列。この図においてプロットされているのは未処理シグナル強度である。欠失領域における稀な高いシグナルは、これらのプローブが非特異的ハイブリダイゼーションを示すことを示している。 4CスクリーニングはTCRBの新規転座パートナーとしてLMO3を特定する。5つの特徴づけされていないT-ALL患者サンプルを、染色体7上のTCRB遺伝子座付近の標的断片を使用して4Cでスクリーニングした。(A)1つの患者サンプルにおいては、転座t(7;12)(q35;p12.3)を示す高いシグナルが染色体12上に特異的に出現した。すべての他の染色体上のシグナルに関しては図S4を参照されたい。欠失は染色体12上の転座部位(矢印)から数メガベースの位置に存在する(拡大図1)。該転座部位はLMO3遺伝子付近の6kb領域内に存在する(拡大図2)。(B)t(7;12)(q35;p12.3)の両切断点の配列であり、大文字のヌクレオチドは12由来であり、小文字のヌクレオチドは7由来であり、斜字体のヌクレオチドは起源不明である。(C)t(7;12)(q35;p12.3)の転座部位の概要図。TCRBのエンハンサーはLMO3遺伝子の70kb下流に位置する。〜60kbのウィンドウサイズを用いて、移動平均データをプロットした。拡大図は未処理シグナル強度を示す。 健常対照およびt(1;7)(p35;q35)を含有するサンプルにおける全ての染色体にわたる4Cシグナル。黒色の矢じりは標的配列の位置を示す。赤色の矢じりは転座部位の位置を示す。〜60kbのウィンドウサイズを用いて、移動平均データをプロットした。Y軸上の目盛(任意単位)は全ての染色体に関して同一である。 制限断片対形成末端配列決定(restriction-fragment-paired-end-sequencing)。(A)制限断片対形成末端配列決定の概要図。(B)染色体7上のTCRBとHOXAとの間の逆位の切断点配列(図30を参照されたい)。黒色の配列は、捕捉断片から非捕捉断片への転位を示すプローブ間の、4C技術で見出されたHOXA内の位置に位置する。赤色の配列は該黒色配列から制限断片対形成末端配列決定で見出されたものであり、TCRB遺伝子座内に位置する。 t(4;7)(p15.2;q35)を含有するサンプルにおける2つの異なる染色体7標的断片で得られた全ての染色体にわたる4Cシグナル。黒色の矢じりは標的配列の位置を示す。赤色の矢じりは転座部位の位置を示す。〜60kbのウィンドウサイズを用いて、移動平均データをプロットした。Y軸上の目盛(任意単位)は全ての染色体に関して同一である。 2つのT-ALL患者サンプル(そのうちの1つはt(7:12)転座を含有する)における染色体7上のTCRB遺伝子座付近の標的配列で得られた全ての染色体にわたる4Cシグナル。黒色の矢じりは標的配列の位置を示す。赤色の矢じりは転座部位の位置を示す。〜60kbのウィンドウサイズを用いて、移動平均データをプロットした。Y軸上の目盛(任意単位)は全ての染色体に関して同一である。 T-ALL患者サンプルにおけるLMO3発現。アフィメトリックス(affymetrix)遺伝子発現アレイ上で遺伝子発現を測定した。t(7;12)(q35;p12.3)を含有する患者においてはLMO3が発現されるが、その他の患者においては発現されない。 Solexa配列決定により分析すべき4C PCRプライマーおよび産物。Solexaにより産生された配列(矢印)はまず、「DpnIIプライマー」(GATC(すなわち、DpnII認識部位)を含む18ヌクレオチド)を読取り、ついで捕捉配列を読取る。 Solexaアダプター配列を含有する5'突出部を有するプライマーを使用するPCRの結果。比較のために、標準的なプライマーで得られた結果(左から右へレーン1、5、9;突出部無し)も示す。 4C-配列決定からの結果。 プライマーセット3(139Mb)は、(染色体7上の〜142Mb、すなわち、ベイトから3Mb離れた)HSB-2 T-ALL細胞系における切断点を越える染色体1配列を捕捉する。比較のために、マイクロアレイの結果を示す。該マイクロアレイ実験のために使用した標的配列(ベイト)は、切断点に、より近い(<1Mb)ことに注目されたい。このことは、なぜそれが染色体1上の切断点をより良好に位置決定するのかを説明するものである。
適切には、工程(c)または(f)における連結反応はDNA環の形成をもたらす。
適切には、工程(h)は、配列決定(例えば、ハイスループット配列決定)による、標的配列と関心のある架橋配列との間の連結産物の分析を含む。
適切には、該方法は、工程(g)における多重(マルチプレックス)PCRの使用を含む、関心のある1以上のヌクレオチド配列との2以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するためのものである。
適切には、該方法は、工程(g)における標的配列のそれぞれから得られたPCR産物の一部または全部のプール、およびそれに続く、それらのDNA相互作用の同時分析を含む、関心のある1以上のヌクレオチド配列との2以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するためのものである。
適切には、2以上の増幅された配列を、プールおよびアレイへのハイブリダイゼーションによる分析の前に示差的に標識する。
適切には、異なる染色体上に配列が存在する場合には、2以上の増幅された配列を同一に標識し、アレイへのハイブリダイゼーションにより分析する。
適切には、DNA-DNA相互作用シグナル間の重複が最小になるのに十分な程度に遠い距離を隔てて同一染色体上に配列が存在する場合には、2以上の増幅配列を同一に標識する。
適切には、標的配列と関心のある捕捉配列との間で形成された連結接合部を分析するために、ハイスループット配列決定を用いる。
適切には、配列決定は、増幅配列の末端への、配列決定に必要なアダプター配列の付加により、標的配列と関心のある捕捉配列との間で形成された連結接合部に向けられる。
適切には、配列決定は、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーへの、5'突出部としての配列決定に必要なアダプター配列の全部または一部の付加により、標的配列と関心のある捕捉配列との間で形成された連結接合部に向けられる。
適切には、配列決定は、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーへのビオチン基質または他の部分の結合、およびそれに続く、該PCR増幅物の、ストレプトアビジンまたはその他により媒介される精製により、標的配列と関心のある捕捉配列との間で形成された連結接合部に向けられる。
適切には、配列決定は、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位から400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ヌクレオチド以内の関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを設計することにより、標的配列と関心のある捕捉配列との間の連結接合部に向けられる。
適切には、配列決定は、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを設計して、それらが、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位に部分的または完全に重複するようにすることにより、標的配列と関心のある捕捉配列との間の連結接合部に向けられる。
適切には、多重化またはプール化PCRサンプルを分析する場合、各標的配列および関心のある各捕捉配列を明らかに特定するために、該連結接合部の各側において十分な配列情報(例えば、12ヌクレオチド以上)が得られるよう、配列を連結接合部を越えて読み取る。
適切には、標的ヌクレオチド配列は、ゲノム再編成、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、絶縁体(insulator)、マトリックス結合領域、遺伝子座制御領域、転写単位、複製起点、組換えホットスポット、転座切断点、動原体、テロメア、遺伝子密集領域、遺伝子過疎領域、反復要素および(ウイルス)組込み部位よりなる群から選ばれる。
適切には、標的ヌクレオチド配列は、疾患に関連している若しくは疾患を引き起こすヌクレオチド配列、または疾患に関連している若しくは疾患を引き起こす遺伝子座から線状DNA鋳型上の15Mbまで若しくはそれ以降に位置するヌクレオチド配列である。
適切には、標的ヌクレオチド配列は、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL1、IGH、LYL1、TAL1、TAL2、LMO2、TCRα/δ、TCRβおよびHOX、または“Catalogue of Unbalanced Chromosome Aberrations in Man” 2nd edition. Albert Schinzel. Berlin: Walter de Gruyter, 2001. ISBN 3-11-011607-3に記載されているとおりの疾患に関連している他の遺伝子座よりなる群から選ばれる。
適切には、標的配列は、該相互作用性配列が全染色体またはゲノムをカバーするよう、線状ゲノム鋳型に沿って分布している。
適切には、一次制限酵素は、6〜8bpの認識部位を認識する制限酵素である。
適切には、一次制限酵素は、BglII、HindIII、EcoRI、BamHI、SpeI、PstIおよびNdeIよりなる群から選ばれる。
適切には、一次制限酵素は、反復配列におけるその非存在または反復配列における発現に基づいて選ばれる。
適切には、二次制限酵素は、4または5bpヌクレオチド配列認識部位を認識する制限酵素である。
適切には、二次制限酵素認識部位は、標的ヌクレオチド配列内の一次制限部位から約350bp以降に位置する。
適切には、低から高への相互作用頻度の変化は平衡および/または非平衡遺伝的再編成の位置を示す。
適切には、対照と比較した場合の被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の逆転パターンは平衡および/または非平衡逆位を示す。
適切には、対照と比較した場合の被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の減少は、より離れた領域に関するDNA-DNA相互作用頻度の増加と組合されて、平衡および/または非平衡欠失を示す。
適切には、対照と比較した場合の被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少は平衡および/または非平衡重複または挿入を示す。
適切には、該方法を行う前に、スペクトル核型分析および/またはFISHを用いる。
適切には、該疾患は遺伝的疾患である。
適切には、該疾患は癌である。
適切には、2以上の標的配列と相互作用するヌクレオチド配列を増幅する。
適切には、標的配列は、病態に関連していることが知られているゲノム遺伝子座またはその付近に位置する。
適切には、標的配列は、再編成の位置に関する前提知識を伴わずに選ばれ、相互作用性配列が全染色体またはゲノムをカバーするように配置され、特定された相互作用性配列は、染色体内および染色体間で生じたゲノム再編成および線状染色体地図の再構築を可能にする。
適切には、増幅配列を標識する。
適切には、増幅配列をゲノム内のそれらの位置に応じて示差的に標識する。
適切には、該方法は平衡および/または非平衡再編成、転座、逆位、欠失、重複または挿入の検出のためのものである。
適切には、アレイハイブリダイゼーション工程の代わりに配列決定工程を行う。
適切には、標的ヌクレオチド配列および関心のあるヌクレオチド配列の両方を配列決定により特定する。
適切には、アダプター配列をPCR産物に連結する。
適切には、2以上の標的配列と相互作用する配列を、それぞれ、別々のPCR反応において増幅する。
適切には、2以上の標的配列と相互作用する配列を、それぞれ、別々のPCR反応において増幅し、ついで同時分析のためにプールする。
適切には、2以上の標的配列と相互作用する配列を多重PCRにより増幅する。
利点
本発明は多数の利点を有する。これらの利点は以下の説明から明らかであろう。
1つの例としては、2以上の標的配列との相互作用が単一実験において、例えば単一アレイ上で分析されうるよう、4C技術は多重化されうる。
もう1つの例としては、未知の位置でのゲノム全体におけるゲノムDNA内の再編成に関してスクリーニングするために、多重化4C技術が用いられうる。
もう1つの例としては、捕捉DNA断片を分析するために、マイクロアレイの代わりにハイスループット配列決定が用いられうる。さらには、多重化および配列決定の改良が組合されうる。
もう1つの例としては、多重化の代わりに、異なる標的配列により捕捉された関心のある配列を各標的配列ごとに別々に増幅し、ついでプールしてマイクロアレイ上で同時に分析することが可能である。
もう1つの例としては、多重化の代わりに、異なる標的配列により捕捉された関心のある配列を各標的配列ごとに別々に増幅し、ついでプールしてハイスループット配列決定により同時に分析することが可能である。
1つの例としては、本発明は、それが、とりわけ、商業的に有用なヌクレオチド配列、方法、プローブおよびアレイを提供する点で有利である。
もう1つの例としては、本発明は、それが、核空間内の2以上のヌクレオチド配列の相互作用の頻度のハイスループット分析を提供する点で有利である。
もう1つの例としては、通常の3C技術を用いる場合には、それぞれの単一のDNA-DNA相互作用を、特有のプライマーペアを含む特有のPCR反応により分析しなければならないため、本発明は有利である。したがって、PCRが自動化されさえすればハイスループット分析が可能であるが、非常に多数のプライマーにかかるコストが高くなり過ぎる。したがって、DNA-DNA相互作用のハイスループット(全ゲノム)分析は通常の3C技術では実施不可能である。これとは対照的に、本発明は今や、数千のDNA-DNA相互作用の同時スクリーニングを可能にする。本発明のDNA-DNA相互作用のハイスループット分析は分析の規模および分解能を著しく増加させるであろう。
もう1つの例としては、通常の3C技術を用いる場合には、スクリーニングは、オリゴヌクレオチドプライマーが設計され適切に配置され分析に含められたDNA配列に対して偏向するため、本発明は有利である。そのようなオリゴヌクレオチドプライマーの選択は、典型的には、例えば(遠い)エンハンサーおよび/または他の調節要素/超感受性部位(被検ヌクレオチド配列と架橋すると考えられるもの)の位置に関する知見に基づく。したがって、通常の3Cは、PCR反応工程に含まれるPCRプライマーの設計に対して偏向するが、4Cは非偏向であり、相互作用性DNA要素に関して全ゲノムを探索するために使用されうる。これは、4Cにおける架橋配列の増幅が、被検ヌクレオチド配列と架橋する配列の推定知見に基づかないからである。むしろ、4Cの1つの実施形態においては、第1(標的)ヌクレオチド配列と架橋する配列は、そのヌクレオチド配列にハイブリダイズするPCRプライマーを使用して増幅されうる。したがって、本発明はDNA-DNA相互作用に関する非偏向全ゲノムスクリーニングを可能にする。
もう1つの例においては、通常の3C技術の利用は単一のDNA-DNA相互作用の選択的増幅を可能にするに過ぎないため、本発明は有利である。これは、アレイにハイブリダイズされた場合、情報を提供しない。本発明においては、第1(標的)ヌクレオチド配列と相互作用する全断片が増幅(例えば、選択的に増幅)されるよう、該技術が改良された。
もう1つの例においては、核酸、例えば染色体における、あらゆるタイプの転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成のような平衡または非平衡遺伝的異常を検出するために4C技術が用いられうるため、本発明は有利である。4C技術(これはDNA断片の接近性を測定する)は、ある転座、欠失、逆位、重複および他の遺伝的再編成(例えば、平衡または非平衡転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成)を受ける被験者の素因さえも決定しうる。現在の方法に対する利点は、それが、変化の厳密な位置を知ることを要求されないことである。なぜなら、「4Cベイト」(分析される一次および二次制限酵素認識部位により定められる)が該変化から(例えば、1メガベースまたは更にはそれ以上)離れて位置している場合でさえも再編成を検出するために4C技術が用いられうる程度の分解能を4C技術が有するからである。現在の方法に対するもう1つの利点は、それが、平衡および非平衡ゲノム再編成の両方に関する同時非偏向全ゲノム探索を可能にすることである。もう1つの利点は、4C技術が変化の正確な位置決定を可能にすることである。なぜなら、それは、2つの(一次)制限部位の間で変化が生じたそのような2つの制限部位を定めるために用いられうるからである。もう1つの利点は、固定前に細胞を培養する必要がないことである。したがって、例えば、ゲノム再編成に関して充実性腫瘍を分析することも可能である。
もう1つの例としては、4C技術は前悪性状態における(すなわち、細胞の全てがこれらの変化を含有する前の)変化(例えば、再編成)をも検出しうるため、本発明は有利である。したがって、該技術は疾患の診断だけでなく疾患の予後判定においても用いられうる。
もう1つの例としては、本発明のアレイ設計は、既存のゲノムタイリング(genomic tiling)アレイ、例えばNimblegenゲノムタイリングアレイと比較して特に有利である。なぜなら、該設計は、単一アレイ当たり、ゲノムの遥かに大きい部分の表示を可能にするからである。1つの例としては、ヘキサヌクレオチド配列を認識する制限酵素の場合、例えば、全ヒトまたはマウスゲノムをカバーするためには、それぞれ約385,000プローブを有する約3個のアレイで十分である。6bp超を認識する制限酵素の場合、例えば、全ヒトまたはマウスゲノムをカバーするためには、約385,000プローブの単一アレイが使用されうる。該アレイ設計の利点は、(1)各プローブが、独立した連結事象を分析するため、情報性に富んでいて、結果の解釈を著しく促進し、(2)ゲノムの大きな表示が、費用効果的な単一アレイ上に配置されうることである。
4C技術は、細胞遺伝学的アプローチ(光学顕微鏡検査、FISH、SKYなど)により初めに検出された十分には特徴づけられていない再編成を詳細に位置決定するために有利に用いられうる。
4C技術は、複数の遺伝子座の近くで生じた再編成の組合せに関する単一アレイ上の同時スクリーニングのために有利に用いられうる。
発明の詳細な説明
3C技術
3C法はDekkerら (2002)、Tolhuisら (2002)、Palstraら (2003)、Splinterら (2004)およびDrissenら (2004)に詳細に記載されている。簡潔に説明すると、3Cは、架橋DNAを一次制限酵素で消化し次いで非常に低いDNA濃度で連結することにより行われる。これらの条件下、分子内の架橋断片の連結は分子間のランダム断片の連結より著しく有利である。ついで架橋を逆転させ、遺伝子座特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個々の連結産物を検出し定量する。2つの特異的遺伝子座の架橋頻度(X)を、対照および架橋鋳型を使用する定量的PCR反応により決定し、Xを、該対照鋳型に対する、該架橋鋳型で得られた産物の量の比として表す。
本発明においては、Splinterら, (2004) Methods Enzymol. 375, 493-507により記載されている方法(すなわち、ホルムアルデヒド固定、(一次)制限酵素消化、架橋DNA断片の再連結およびDNA精製)を用いて、3C鋳型を調製する。簡潔に説明すると、サンプル、例えば細胞、組織または核を、架橋剤、例えばホルムアルデヒドを使用して固定する。ついで、該架橋核のコンテクスト(状況)においてDNAが消化されるよう、一次制限酵素消化を行う。ついで、非架橋DNA断片間の連結(すなわち、分子間またはランダム連結)に比べて架橋DNA断片間の連結(すなわち、分子内連結)に有利に働く低いDNA濃度(例えば、約3.7ng/μl)で、分子内連結を行う。つぎに、該架橋を逆転させ、該DNAを精製することが可能である。生じた3C鋳型は、連結される制限断片を含有する。なぜなら、それらは核空間内で元々近かったからである。
該分子内連結工程前に該DNAを消化するために一次制限酵素が使用されるため、該一次制限酵素に対する酵素認識部位は、第1(標的)ヌクレオチド配列、および連結されたヌクレオチド配列を分離するであろう。したがって、一次認識部位は、第1(標的)ヌクレオチド配列と該連結ヌクレオチド配列(すなわち、連結された第2配列)との間に位置する。
ヌクレオチド配列
本発明は、データベースにおいて入手可能でありうるヌクレオチド配列(例えば、3C鋳型、4C鋳型、DNA鋳型、増幅鋳型、DNA断片およびゲノムDNA)の使用を含む。
該ヌクレオチド配列はゲノム由来、合成由来または組換え由来のDNAまたはRNA(例えば、cDNA)でありうる。例えば、組換えヌクレオチド配列は、PCRクローニング技術を用いて調製されうる。これは、クローニングしたい該配列の領域に隣接するプライマーのペアを作製すること、該プライマーを、例えば哺乳類(例えば、動物またはヒト細胞)または非哺乳類細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させること、所望の領域の増幅をもたらす条件下でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うこと、該増幅断片を(例えば、アガロースゲル上で該反応混合物を精製することにより)単離すること、および該増幅DNAを回収することを含むであろう。該プライマーは、該増幅DNAが適当なクローニングベクター内にクローニングされうるよう適当な制限酵素認識部位を含有するよう設計されうる。
該ヌクレオチド配列は、センスもしくはアンチセンス鎖またはそれらの組合せに相当するかどうかには無関係に、二本鎖または一本鎖でありうる。
いくつかの態様には、該ヌクレオチド配列は一本鎖DNA、例えば一本鎖プライマーおよびプローブであることが好ましい。
いくつかの態様には、該ヌクレオチド配列は二本鎖DNA、例えば二本鎖3Cおよび4C鋳型であることが好ましい。
いくつかの態様には、該ヌクレオチド配列はゲノムDNA、例えば1以上のゲノム遺伝子座であることが好ましい。
いくつかの態様には、該ヌクレオチド配列は染色体DNAであることが好ましい。
該ヌクレオチド配列は第1(標的)ヌクレオチド配列および/または第2ヌクレオチド配列を含みうる。
一次および二次制限酵素認識部位は互いに異なり、典型的には、該ヌクレオチド配列内で1回のみ見出されるであろう。
1つの態様においては、一次および二次制限酵素認識部位により分離された(例えば、分けられた又は隔てられた)第1ヌクレオチド配列および(例えば、それに連結された)第2ヌクレオチド配列を含む環化ヌクレオチド配列を提供し、ここで、第1ヌクレオチド配列は標的ヌクレオチド配列であり、第2ヌクレオチド配列は、ゲノムDNAを(例えばin vivoまたはin vitroで)架橋することにより入手可能である。一次および二次制限酵素認識部位は互いに異なり、典型的には、該ヌクレオチド配列内で1回のみ見出されるであろう。
もう1つの態様においては、一次および二次制限酵素認識部位により分離された(例えば、分けられた又は隔てられた)第1ヌクレオチド配列および(例えば、それに連結された)第2ヌクレオチド配列を含む環化ヌクレオチド配列を提供し、ここで、第1ヌクレオチド配列は標的ヌクレオチド配列であり、第1および第2ヌクレオチド配列は、(a)ゲノムDNAを(例えば、in vivoまたはin vitroで)架橋し、(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(d)該架橋を逆転させ、(e)該ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化して該ヌクレオチド配列を環化する工程を含む方法により入手可能である。
好ましくは、第2ヌクレオチド配列は第1(標的)ヌクレオチド配列を横断(例えば、二分)する。したがって、該ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列を含み、これは、第1(標的)ヌクレオチド配列を、2つの部分または断片(例えば、凡そ2つの等しい大きさの部分または断片)に分離する。典型的には、該部分または断片は少なくとも約16ヌクレオチド長である。
もう1つの態様においては、含まれる各標的配列の一次制限酵素認識部位に直に隣接する及び場合によっては該認識部位を含み、各標的配列を特定するために本明細書に記載の方法において使用されうる、6〜50塩基対の配列のデータベースを提供する。
もう1つの態様においては、ゲノム内の全ての一次制限酵素認識部位に直に隣接し、特定された捕捉配列のそれぞれのゲノム位置を決定するために本明細書に記載の方法において使用されうる、12〜50塩基対の配列のデータベースを提供する。
もう1つの態様においては、含まれる標的配列のそれぞれの関連二次制限酵素認識部位に直に隣接する及び場合によっては該認識部位を含み、各標的配列を特定するために本明細書に記載の方法において使用されうる、6〜50塩基対の配列のデータベースを提供する。
もう1つの態様においては、ゲノム内の全ての関連二次制限酵素認識部位に直に隣接し、特定された捕捉配列のそれぞれのゲノム位置を決定するために本明細書に記載の方法において使用されうる、12〜50塩基対の配列のデータベースを提供する。
第1ヌクレオチド配列
第1ヌクレオチド配列は標的ヌクレオチド配列である。
本明細書中で用いる「標的ヌクレオチド配列」なる語は、1以上の配列(例えば、関心のある1以上のヌクレオチド配列または未知ヌクレオチド配列組成の1以上の配列)を特定するために、それと架橋するベイト(bait)配列として使用される配列を意味する。
標的ヌクレオチド配列は既知配列である。
架橋は、標的ヌクレオチド配列およびそれに架橋された配列が核空間内で元々近かったことを示す。配列が互いに近い頻度を決定することにより、例えば、核の空間環境(例えば、in vivoまたはin vitro)における染色体および染色体領域のコンホメーションを理解することが可能となる。さらに、例えば、エンハンサーまたは他の転写調節要素が、シスまたは更にはトランスで位置する遠隔プロモーターと連絡する場合の、ゲノム内の複雑な構造的構成を理解することが可能である。さらに、同一染色体上に(シスで)存在するヌクレオチド配列および他の染色体上に(トランスで)存在するヌクレオチド配列に対する、与えられたゲノム領域の配置を理解することさえも可能である。したがって、核空間内の部位を頻繁に共有する異なる染色体上のヌクレオチド配列を位置決定することが可能である。さらに、平衡および/または非平衡遺伝的異常、例えば平衡および/または非平衡転座、欠失、逆位、重複および他の遺伝的再編成(例えば、1以上の染色体における欠失または転座)を検出することさえも可能である。これに関して、遺伝的異常はDNA-DNA相互作用の変化を引き起こし、該変化が生じた位置が検出可能である。
本発明における第1(標的)ヌクレオチド配列は、1以上の他の配列との核空間内の相互作用の頻度を決定することが望まれる任意の配列でありうる。
1つの実施形態においては、第1(標的)ヌクレオチド配列は約350bp長より大きい。なぜなら、一次制限部位から約350bpまたはそれ以上の位置で第1(標的)ヌクレオチド配列を切断する二次制限酵素が選択されるからである。これは、トポロジー束縛による環形成における偏向を最小にしうる(Rippeら (2001) Trends in Biochem. Sciences 26, 733-40)。
適切には、第2ヌクレオチド配列を増幅するために使用される少なくとも2つの増幅プライマーの最小長がそれぞれ約16塩基であることから、増幅後の第1(標的)ヌクレオチド配列は少なくとも約32bpを含む。
好ましい実施形態においては、第1(標的)ヌクレオチド配列は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、絶縁体、マトリックス結合領域、遺伝子座制御領域、転写単位、複製起点、組換えホットスポット、転座切断点、動原体、テロメア、遺伝子密集領域、遺伝子過疎領域、反復要素、(ウイルス)組込み部位、欠失および/もしくは突然変異が何らかの効果(例えば、疾患、生理的、機能的または構造的効果)に関連しているヌクレオチド配列、例えばSNP(一塩基多型)、またはそのような欠失および/もしくは突然変異を含有するヌクレオチド配列、または他の配列との核空間内の相互作用の頻度を決定することが望まれる任意の配列を完全または部分的(例えば、断片)に含むか、あるいはそれらに近い(例えば、接近している)ことが可能である。
前記のとおり、第1(標的)ヌクレオチド配列は、例えば欠失および/または突然変異のような遺伝的異常が何らかの効果(例えば、疾患)に関連しているヌクレオチド配列を完全または部分的(例えば、断片)に含むか、あるいはそれらに近い(例えば、接近している)ことが可能である。したがって、本発明のこの実施形態においては、第1(標的)ヌクレオチド配列は、変化が疾患(例えば、遺伝性または先天性疾患)に関連または相関づけられている、物理的DNA鋳型上またはゲノム領域内で隣接したヌクレオチド配列(例えば、遺伝子または遺伝子座)でありうる。言い換えると、第1(標的)ヌクレオチド配列は、臨床的表現型に対するその関連性に基づくものであることが可能であり、あるいは該関連性に基づいて選択されることが可能である。好ましい実施形態においては、該変化は1以上の染色体における変化であり、該疾患は、例えば、それにおける1以上の欠失、1以上の転座、1以上の重複および/または1以上の逆位などの結果としてのものでありうる。そのような遺伝子/遺伝子座の非限定的な例として、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL1、免疫グロブリン遺伝子座、LYL1、TAL1、TAL2、LMO2、TCRα/δ、TCRβ、HOXおよび種々のリンパ芽球性白血病における他の遺伝子座が挙げられる。
他の例は以下のような電子的データベースに記載されている:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=cancerchromosomes
http://cgap.nci.nih.gov/Chromosomes/Mitelman
http://www.progenetix.net/progenetix/P14603437/ideogram.html
http://www.changbioscience.com/cytogenetics/cyto1.pl?query=47,xy
http://www.possum.net.au/
http://www.lmdatabases.com/
http://www.wiley.com/legacy/products/subject/life/borgaonkar/index.html
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=OMIM
http://www.sanger.ac.uk/PostGenomics/decipher/
http://agserver01.azn.nl:8080/ecaruca/ecaruca.jsp。
他の例は“Catalogue of Unbalanced Chromosome Aberrations in Man”2nd edition. Albert Schinzel. Berlin: Walter de Gruyter, 2001. ISBN 3-11-011607-3に記載されている。
1つの実施形態においては、「隣接」なる語は、2つの隣接配列間に介在ヌクレオチドが存在しないように「直に隣接」していることを意味する。
もう1つの実施形態においては、核酸配列および一次制限酵素認識部位の場合の「隣接」なる語は、該核酸配列と該一次制限酵素認識部位との間に介在ヌクレオチドが存在しないように「直に隣接」していることを意味する。
第2ヌクレオチド配列
第2ヌクレオチド配列は、(例えば、in vivoまたはin vitroで)ゲノムDNAを架橋することにより入手可能である、得られる、特定される、または特定可能である。
第2ヌクレオチド配列(例えば、関心のあるヌクレオチド配列)は、架橋剤でサンプルを処理し該架橋DNA断片を消化/連結した後、第1(標的)ヌクレオチド配列に連結される。そのような配列は第1(標的)ヌクレオチド配列に架橋され(なぜなら、それらは核空間内で元々近かったからである)、第1(標的)ヌクレオチド配列に連結される[なぜなら、連結条件は、ランダム連結事象と比べて架橋DNA断片間の連結(分子内連結)に有利に働くからである]。
改変、例えば転座、欠失、逆位、重複および他の遺伝的再編成に基づく疾患は、一般に、異常なDNA-DNA相互作用により引き起こされる。4C技術はDNA-DNA相互作用頻度を測定し、これは、主として、ゲノム部位分離の関数である。すなわち、DNA-DNA相互作用頻度は、同じ物理的DNA鋳型上に存在する2つのDNA遺伝子座間の直線距離(キロベース単位)に反比例する(Dekkerら, 2002)。したがって、新たな及び/又は物理的に異なるDNA鋳型を与える改変はDNA-DNA相互作用の改変を伴い、これは4C技術により測定されうる。
適切には、第2ヌクレオチド配列は少なくとも40塩基対である。
タンパク質を他の近傍タンパク質および核酸に架橋するためには、架橋剤、例えばホルムアルデヒドが使用されうる。したがって、2以上のヌクレオチド配列は、これらのヌクレオチド配列(の1つ)に結合したタンパク質を介してのみ、架橋されうる。本発明においては、ヌクレオチド配列を直接的に架橋する架橋剤を含む、ホルムアルデヒド以外の架橋剤も使用されうる。DNAを架橋する因子の具体例には、UV光、マイトマイシンC、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、1,3-ブタジエンジエポキシド、シス ジアミンジクロロ白金(II)およびシクロホスファミドが含まれるが、これらに限定されるものではない。
適切には、該架橋剤は、比較的短い距離(例えば、約2オングストローム)を架橋する架橋を形成し、それにより、逆転されうる密接な相互作用を選択する。
架橋は、例えば、2%ホルムアルデヒド中、室温で細胞をインキュベートすることにより、例えば、2%ホルムアルデヒドを添加された10mlのDMEM-10%FCS中、1×107細胞を室温で10分間インキュベートすることにより行われうる。
一次制限酵素
本明細書中で用いる「一次制限酵素」なる語は、架橋されたDNAを消化するために使用される第1の制限酵素を意味する。
一次制限酵素は、分析すべき標的配列(例えば、遺伝子座)のタイプに応じて選択される。消化条件を最適化するために予備実験を行うことが望ましい。
一次制限酵素は、DNAの少なくとも8bpまたはそれ以上の配列を認識する制限酵素から選択されうる。一次制限酵素は、DNAの少なくとも7bpまたはそれ以上の配列を認識する制限酵素から選択されうる。一次制限酵素は、DNAの少なくとも6bpまたはそれ以上の配列を認識する制限酵素から選択されうる。いくつかの実施形態では、一次制限酵素は、DNAの4bpおよび/または5bpの配列を認識する制限酵素から選択されうる。
より少ない頻度の切断酵素を使用すれば、各ベイトにより捕捉(カバー)されるゲノム距離が増加する。
DNAの6bpの配列を認識する制限酵素には、AclI, HindIII, SspI, BspLU11I, AgeI, MluI, SpeI, BglII, Eco47III, StuI, ScaI, ClaI, AvaIII, VspI, MfeI, PmaCI, PvuII, NdeI, NcoI, SmaI, SacII, AvrII, PvuI, XmaIII, SplI, XhoI, PstI, AflII, EcoRI, AatII, SacI, EcoRV, SphI, NaeI, BsePI, NheI, BamHI, NarI, ApaI, KpnI, SnaI, SalI, ApaLI, HpaI, SnaBI, BspHI, BspMII, NruI, XbaI, BclI, MstI, BalI, Bsp1407I, PsiI, AsuIIおよびAhaIIIが含まれるが、これらに限定されるものではない。
DNAの6bpを超える配列を認識する制限酵素には、BbvC I, AscI, AsiS I, Fse I, Not I, Pac I, Pme I, Sbf I, SgrA I, Swa I, Sap I, Cci NI, FspA I, Mss I, Sgf I, Smi I, Srf IおよびSse8387 Iが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明のいくつかの態様においては、6bp配列を認識する制限酵素の場合、BglII, HindIIIまたはEcoRIが好ましい。
DNAの4または5bpの配列を認識する制限酵素には、TspEI, MaeII, AluI, NlaIII, HpaII, FnuDII, MaeI, DpnI, MboI, HhaI, HaeIII, RsaI, TaqI, CviRI, MseI, Sth132I, AciI, DpnII, Sau3AIおよびMnlIが含まれるが、これらに限定されるものではない。1つの実施形態においては、二次制限酵素はNlaIIIおよび/またはDpnIIである。
「一次制限酵素認識部位」なる語は、一次制限酵素により認識され切断されるヌクレオチド配列内の部位を意味する。
いくつかの実施形態においては、該制限酵素は、反復DNA、または反復DNAにおいて比較的に過少発現されるDNAを消化しない。これは、解釈可能な読取りの数を増加させうる。
二次制限酵素
本明細書中で用いる「二次制限酵素」なる語は、一次制限酵素消化、架橋DNAの連結、脱架橋および(場合によって行う)DNA精製の後に場合によっては使用される第2の制限酵素を意味する。1つの実施形態においては、関心のあるヌクレオチド配列に隣接する二次制限酵素認識部位への既知ヌクレオチド組成の配列の連結を可能にする、関心のあるヌクレオチド配列への所定のDNA末端の付与をもたらすために、二次制限酵素を使用する。
1つの実施形態においては、関心のあるヌクレオチド配列に隣接する(例えば、その各側または末端に存在する)二次制限酵素認識部位への既知ヌクレオチド組成の配列の連結は、標的ヌクレオチド配列に隣接する二次制限酵素認識部位と関心のある連結ヌクレオチド配列との間の分子内連結を有利にする希釈された条件下での連結を含む。これは、関心のある未知配列に既知標的ヌクレオチド配列が隣接するDNA環の形成を有効にもたらす。
もう1つの実施形態においては、関心のあるヌクレオチド配列に隣接する(例えば、その各側または末端に存在する)二次制限酵素認識部位への既知ヌクレオチド組成の配列の連結は、既知ヌクレオチド組成のユニークDNA配列の付加、およびそれに続く、関心のあるヌクレオチド配列に隣接する二次制限酵素認識部位と、既知ヌクレオチド組成の、導入されたユニークDNA配列との間の分子間連結を有利にする条件下での連結を含む。
1つの実施形態においては、二次制限酵素は、二次制限酵素部位が一次制限部位から約350bp(例えば、350〜400bp)以内に存在しないように選択される。
もう1つの実施形態においては、二次制限酵素は、同じ二次制限酵素部位が、連結ヌクレオチド配列(すなわち、連結架橋配列)内に位置する可能性があるように選択される。該連結ヌクレオチド配列および第1(標的)ヌクレオチド配列の末端は、適合性の付着(または平滑)末端でありうるため、該DNAを環化するために該配列を連結することさえ可能である。したがって、該消化工程後、該DNAの分子内相互作用を有利にする希釈された条件下での連結、および場合によっては、該適合性末端を介した該DNAの環化を行う。
好ましくは、二次制限酵素認識部位は4または5bpヌクレオチド配列認識部位である。DNAの4または5bpの配列を認識する酵素には、TspEI, MaeII, AluI, NlaIII, HpaII, FnuDII, MaeI, DpnI, MboI, HhaI, HaeIII, RsaI, TaqI, CviRI, MseI, Sth132I, AciI, DpnII, Sau3AIおよびMnlIが含まれるが、これらに限定されるものではない。
好ましい実施形態においては、二次制限酵素はNlaIIIおよび/またはDpnIIである。
「二次制限酵素認識部位」なる語は、二次制限酵素により認識され切断されるヌクレオチド配列内の部位を意味する。
二次制限酵素での消化の後、もう1つの連結反応を行う。1つの実施形態においては、この連結反応は既知ヌクレオチド配列組成のDNA配列を、標的ヌクレオチド配列に連結される1以上の配列の二次制限酵素消化部位に連結する。
いくつかの実施形態においては、該方法は、ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化する工程を省く。
いくつかの実施形態においては、該方法は、既知ヌクレオチド組成の1以上のDNA配列を、関心のある1以上のヌクレオチド配列に隣接する利用可能な二次制限酵素消化部位に連結することを省く。
三次制限酵素
本明細書中で用いる「三次制限酵素」なる語は、増幅前に環化DNAを線状化するために、二次制限酵素工程の後で場合によって使用されうる第3の制限酵素を意味する。
好ましくは、三次制限酵素は、6bpまたはそれ以上のヌクレオチド認識部位を認識する酵素である。
好ましくは、三次制限酵素は一次制限酵素認識部位と二次制限酵素認識部位との間で第1(標的)ヌクレオチド配列を消化する。当業者に理解されるとおり、三次制限酵素は、増幅プライマーがもはやハイブリダイズできないほどに一次および二次制限酵素認識部位に近すぎる位置で第1(標的)ヌクレオチド配列を消化しないことが望ましい。したがって、増幅プライマーが尚もハイブリダイズしうるよう、一次および二次制限酵素認識部位から、使用プライマーの長さと少なくとも同じ距離離れて、三次制限酵素認識部位が位置することが好ましい。
好ましい実施形態においては、三次制限酵素はDNAの6bpの配列を認識するものである。
「三次制限酵素認識部位」なる語は、三次制限酵素により認識され切断されるヌクレオチド配列内の部位を意味する。
認識部位
制限エンドヌクレアーゼは、DNAの糖-リン酸バックボーンを切断する酵素である。ほとんどの実施状況においては、与えられた制限酵素は僅か数塩基の伸長内の二本鎖DNAの両鎖を切断する。制限酵素の基質は、認識部位/配列と称される二本鎖DNAの配列である。
制限認識部位の長さは、使用される制限酵素に応じて様々である。認識配列の長さは、どの程度頻繁に該酵素がDNAの配列において切断するかを定める。
1つの例として、いくつかの制限酵素はDNAの4bpの配列を認識する。DNAの4bpの配列を認識する配列および酵素には、AATT (TspEI), ACGT (MaeII), AGCT (AluI), CATG (NlaIII), CCGG (HpaII), CGCG (FnuDII), CTAG (MaeI), GATC (DpnI, DpnII, Sau3AIおよびMboI), GCGC (HhaI), GGCC (HaeIII), GTAC (RsaI), TCGA (TaqI), TGCA (CviRI), TTAA (MseI), CCCG (Sth132I), CCGC (AciI) およびCCTC (MnlI)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
もう1つの例として、いくつかの制限酵素はDNAの6bpの配列を認識する。DNAの6塩基対(bp)の配列を認識する配列および酵素には、AACGTT (AclI), AAGCTT (HindIII), AATATT (SspI), ACATGT (BspLU11I), ACCGGT (AgeI), ACGCGT (MluI), ACTAGT (SpeI), AGATCT (BglII), AGCGCT (Eco47III), AGGCCT (StuI), AGTACT (ScaI), ATCGAT (ClaI), ATGCAT (AvaIII), ATTAAT (VspI), CAATTG (MfeI), CACGTG (PmaCI), CAGCTG (PvuII), CATATG (NdeI), CCATGG (NcoI), CCCGGG (SmaI), CCGCGG (SacII), CCTAGG (AvrII), CGATCG (PvuI), CGGCCG (XmaIII), CGTACG (SplI), CTCGAG (XhoI), CTGCAG (PstI), CTTAAG (AflII), GAATTC (EcoRI), GACGTC (AatII), GAGCTC (SacI), GATATC (EcoRV), GCATGC (SphI), GCCGGC (NaeI), GCGCGC (BsePI), GCTAGC (NheI), GGATCC (BamHI), GGCGCC (NarI), GGGCCC (ApaI), GGTACC (KpnI), GTATAC (SnaI), GTCGAC (SalI), GTGCAC (ApaLI), GTTAAC (HpaI), TACGTA (SnaBI), TCATGA (BspHI), TCCGGA (BspMII), TCGCGA (NruI), TCTAGA (XbaI), TGATCA (BclI), TGCGCA (MstI), TGGCCA (BalI), TGTACA (Bsp1407I), TTATAA (PsiI), TTCGAA (AsuII) およびTTTAAA (AhaIII)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
もう1つの例として、いくつかの制限酵素はDNAの7bpの配列を認識する。DNAの7bpの配列を認識する配列および酵素には、CCTNAGG (SauI), GCTNAGC (EspI), GGTNACC BstEIIおよびTCCNGGA PfoIが含まれるが、これらに限定されるものではない。
もう1つの例として、いくつかの制限酵素はDNAの8bpの配列を認識する。DNAの8bpの配列を認識する配列および酵素には、ATTTAAAT (SwaI), CCTGCAGG (Sse8387I), CGCCGGCG (Sse232I), CGTCGACG (SgrDI), GCCCGGGC (SrfI), GCGATCGC (SgfI), GCGGCCGC (NotI), GGCCGGCC (FseI), GGCGCGCC (AscI), GTTTAAAC (PmeI)およびTTAATTAA (PacI)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
いくつかのこれらの酵素は、in vivoでメチル化されうる配列CGを含有する。いくつかの制限酵素はこのメチル化に感受性であり、該メチル化配列を切断しない。例えば、HpaIIは配列CCmGGを切断しないが、そのアイソシゾマーMspIはこの修飾に非感受性であり、該メチル化配列を切断する。したがって、いくつかの場合には、真核生物メチル化感受性酵素は使用されない。
1つの実施形態においては、認識部位は消化部位である。
1つの実施形態においては、制限酵素認識部位は制限酵素消化部位である。
環化
本発明の1つの実施形態においては、4C用の材料は、3C鋳型を二次制限酵素で消化し次いで連結することによりDNA環を作製することにより調製される。
好ましくは、一次制限部位から約350bp(例えば、350〜400bp)を超える位置で第1(標的)ヌクレオチド配列を切断する二次制限酵素が選択される。有利には、これはトポロジー束縛による環形成における偏向を最小にする(Rippeら (2001) Trends in Biochem. Sciences 26, 733-40)。
好ましくは、二次制限酵素は、4または5bpの制限酵素認識部位を認識する頻繁に切断する切断酵素である。したがって、増幅中の全連結断片の、等しい増幅効率のための最小制限断片を得ることが可能である。
二次制限酵素消化および連結の前に、DNA鋳型は、一次制限部位から約350〜400bpを超える位置に位置する第1(標的)ヌクレオチド配列内の1つの二次酵素認識部位と、連結されたヌクレオチド配列(すなわち、第2ヌクレオチド配列)内に位置するもう1つの二次酵素認識部位とを含む。
好ましくは、1時間以上〜一晩にわたって二次制限酵素消化工程を行い、ついで該酵素の熱不活性化を行う。
好ましくは、当技術分野で公知の通常の方法/キットを用いて、この反応混合物中のDNAを精製する。
該二次制限酵素消化工程後、1つの二次制限酵素部位は、第1(標的)ヌクレオチド配列内の一次制限部位から350〜400bpを超える位置に位置し、もう1つの二次制限酵素部位は連結ヌクレオチド配列(すなわち、第2ヌクレオチド配列)内に位置するであろう。該連結ヌクレオチド配列および第1(標的)ヌクレオチド配列の末端は適合性末端であるため、該DNAを環化するために、それらの配列を連結することが可能である。
ついで、該消化工程の後、分子内相互作用および該適合性末端を介した該DNAの環化に有利な希釈された条件下で連結を行う。
好ましくは、約1〜5ng/μlのDNA濃度で該連結反応を行う。
好ましくは、約16〜25℃で1時間以上(例えば、2、3、4時間またはそれ以上)、該連結反応を行う。
したがって、該連結反応後、環化DNAが調製されうる。該環化DNAは、少なくとも二次制限酵素または一次もしくは二次制限酵素に対する認識部位を含む。第1(標的)ヌクレオチド配列を含有する環化DNAにおいては、一次制限酵素認識部位および二次制限酵素認識部位は第1(標的)ヌクレオチド配列および連結ヌクレオチド配列(すなわち、第2ヌクレオチド配列)の末端を定める。したがって、第1(標的)ヌクレオチド配列および連結ヌクレオチド配列は一次制限酵素認識部位および二次制限酵素認識部位により分離される(例えば、分けられる)。
増幅
4C DNA鋳型を増幅するために、1以上の増幅反応が行われうる。
当業者に公知の多種多様な方法を用いて、DNA増幅が行われうる。例えば、DNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(Saikiら, 1988);連結媒介PCR、Qbレプリカーゼ増幅(Cahill, FosterおよびMahan, 1991; ChetverinおよびSpirin, 1995; Katanaev, KurnasovおよびSpirin, 1995);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegrenら, 1988; Barany, 1991);セルフサステインド(self-sustained)配列複製系(Fahy, KwohおよびGingeras, 1991)および鎖置換(strand displacement)増幅(Walkerら, 1992)を用いて増幅されうる。
適切には、PCRを用いてDNAを増幅する。「PCR」は、K. B. Mullis, 米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,965,188号の方法を意味し、これらは、クローニングまたは精製を伴わずにゲノムDNAの混合物中のヌクレオチド配列のセグメントの濃度を増加させるための方法を記載している。
1つの実施形態においては、インバースPCRを用いる。インバースPCR(IPCR)(Ochmanら (1988) Genetics 120(3), 621-3)は、既知配列の領域に隣接するDNA配列の迅速in vitro増幅のための方法である。該方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いるが、それは、通常の方向の逆方向に向いたプライマーを有する。該リバースプライマーに対する鋳型は、環を形成するよう自分自身に連結された制限断片である。インバースPCRは、分子遺伝学における多数の用途、例えば、転移因子に隣接する配列の増幅および特定を有する。効率および再現性を増加させるために、三次制限酵素を使用して、増幅前にDNA環を線状化することが好ましい。好ましくは、6bpまたはそれ以上の切断酵素である三次制限酵素を使用する。好ましくは、三次制限酵素は一次制限酵素部位と二次制限酵素部位との間で第1(標的)ヌクレオチド配列を切断する。
二次制限酵素での3C鋳型の消化、随意的(場合によって行う)環化、連結(例えば、希釈された条件下の連結)および第1(標的)ヌクレオチド配列含有環の随意的線状化は、増幅のためのDNA鋳型(「4C DNA鋳型」)を与える。
該増幅工程のために、関心のあるヌクレオチド配列に隣接するDNA配列に各プライマーがハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。好ましい実施形態においては、関心のあるヌクレオチド配列に隣接する標的配列に各プライマーがハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。
1つの実施形態においては、プライマーのハイブリダイゼーションの場合における「隣接」なる語は、関心のあるヌクレオチド配列の一端(例えば、5’末端)の隣のDNA配列に少なくとも1つのプライマーがハイブリダイズし、関心のあるヌクレオチド配列の他方の末端(例えば、3’末端)のDNA配列に少なくとも1つのプライマーがハイブリダイズすることを意味する。好ましくは、関心のあるヌクレオチド配列の一端(例えば、5’末端)の隣のDNA配列に少なくとも1つのフォワードプライマーがハイブリダイズし、関心のあるヌクレオチド配列の他方の末端(例えば、3’末端)のDNA配列に少なくとも1つのリバースプライマーがハイブリダイズする。
好ましい実施形態においては、プライマーのハイブリダイゼーションの場合における「隣接」なる語は、関心のあるヌクレオチド配列の一端(例えば、5’末端)の隣の標的配列に少なくとも1つのプライマーがハイブリダイズし、関心のあるヌクレオチド配列の他方の末端(例えば、3’末端)の標的配列に少なくとも1つのプライマーがハイブリダイズすることを意味する。好ましくは、関心のあるヌクレオチド配列の一端(例えば、5’末端)の隣の標的配列に少なくとも1つのフォワードプライマーがハイブリダイズし、関心のあるヌクレオチド配列の他方の末端(例えば、3’末端)の標的配列に少なくとも1つのリバースプライマーがハイブリダイズする。
本明細書中で用いる「プライマー」なる語は、精製された制限消化物における場合と同様に天然に存在するか又は合成的に製造されるかには無関係に、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(すなわち、適当な温度およびpHにおける、ヌクレオチドおよび誘導因子、例えばDNAポリメラーゼの存在下)に配置された場合に合成開始点として作用しうるオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは、好ましくは、増幅における最大効率のためには一本鎖であるが、二本鎖でありうる。二本鎖の場合、まず、プライマーを処理して、その鎖を分離した後、伸長産物の調製に使用する。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導因子の存在下で伸長産物の合成を開始させるのに十分な程度に長くなければならない。プライマーの厳密な長さは、温度、プライマーの起源および該方法の用途を含む多数の要因に左右される。
適切には、プライマーは少なくとも15、好ましくは少なくとも16、17、18、19または20、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチド長である。好ましくは、増幅プライマーは16〜30ヌクレオチド長である。
好ましくは、プライマーは、第1(標的)ヌクレオチド配列と第2(捕捉)ヌクレオチド配列とを分離する一次および二次制限酵素認識部位に可能な限り近くなるように設計される。プライマーは、一次および二次制限酵素認識部位から約100ヌクレオチド以内、例えば約90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1ヌクレオチド離れるよう設計されうる。
適切には、プライマーは、一次および二次制限酵素認識部位と部分的または完全に重複するよう設計されうる。
適切には、増幅プライマーは、その3'末端が第2ヌクレオチド配列に対して外側に向くよう設計される。
1つの実施形態においては、増幅は、増幅産物の末端への追加的配列の付加と組合されうる。好ましくは、これらの追加的配列は、ハイスループット配列決定に必要なアダプター配列である。適切には、プライマーは突出部(例えば、5'突出部)を含有する。適切には、該突出部は、ハイスループット配列決定に必要なアダプター配列の一部または全部を加える。適切には、プライマーは、ハイスループット配列決定における配列決定反応を開始させるために使用される配列の一部または全部を加える突出部(例えば、5'突出部)を含有する。したがって、1つの実施形態においては、プライマーは、一次および/または二次制限酵素認識部位と部分的または完全に重複し、該プライマーには5'突出部として該アダプターおよび配列決定開始配列が付加されている。それに加えて又はその代わりに、プライマーは、ゲノム4C鋳型からのPCR産物の後続の分離を可能にする結合部分(例えば、ビオチン)を含有する。
用いる増幅方法がインバースPCRである場合、4C鋳型の約100〜400ngのDNA(約50μlのPCR反応混合物当たり)上で、または複製PCR反応が再現可能な結果を与え(図1を参照されたい)PCR反応当たり最大数の連結事象を含む他の量のDNA上で、増幅反応を行うことが好ましい。
好ましくは、Expand Long Template PCR System(Roche)を用いBuffer 1を該製造業者の説明に従い使用して、インバースPCR増幅反応を行う。
サンプル
本明細書中で用いる「サンプル」なる語はその通常の意味を有する。サンプルは、架橋されている又は架橋されうるDNAを含む任意の物理的実体でありうる。該サンプルは生物学的材料であることが可能であり、あるいは生物学的材料に由来することが可能である。
サンプルは、1以上の実体(例えば、1以上の細胞、1以上の核または1以上の組織サンプル)であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。該実体は、クロマチンのようなDNAが存在する任意の実体であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。サンプルは、1以上の単離された細胞または1以上の単離された組織サンプルまたは1以上の単離された核であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
サンプルは生細胞および/または死細胞および/または核ライセートおよび/または単離されたクロマチンであることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
サンプルは罹患および/または非罹患被験者であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
サンプルは、疾患に罹患している疑いのある被験者であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
サンプルは、将来的に疾患に罹患する可能性に関して試験される被験者であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
サンプルは、生存可能または生存不可能な患者の物質であることが可能であり、あるいはそれらに由来することが可能である。
3C鋳型の調製に使用する細胞および組織の固定はSplinterら, (2004) Methods Enzymol. 375, 493-507に詳細に記載されている。
標識
好ましくは、ヌクレオチド配列(例えば、増幅された4C DNA鋳型、プライマーまたはプローブなど)を標識して、それらの下流用途、例えばアレイハイブリダイゼーションを補助する。例えば、ランダムプライミングまたはニックトランスレーションを用いて、4C DNA鋳型を標識することが可能である。
本明細書に記載されているヌクレオチド配列を特に増幅工程中に標識するためには、多種多様な標識(例えば、レポーター)が使用されうる。適当な標識には、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光または色素原物質および基質、補因子、インヒビター、磁気粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教示している特許には、US-A-3817837; US-A-3850752; US-A-3939350; US-A-3996345; US-A-4277437; US-A-4275149およびUS-A-4366241が含まれる。
他の標識には、βガラクトシダーゼ、インベルターゼ、グリーン蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、βグルクロニダーゼ、エキソ-グルカナーゼおよびグルコアミラーゼが含まれるが、これらに限定されるものではない。蛍光標識、および蛍光試薬(特定の化学的特性を有するよう特別に合成されたもの)も使用されうる。蛍光を測定するための多種多様な方法が利用可能である。例えば、いくつかの蛍光標識は励起または発光スペクトルにおける変化を示し、いくつかの蛍光標識は共鳴エネルギー転移を示し(ここで、一方の蛍光レポーターは蛍光を喪失し、もう一方の蛍光レポーターは蛍光を獲得する)、いくつかの蛍光標識は蛍光の喪失(消光)または出現を示し、いくつかは回転運動を表示する。
標識のための十分な物質を得るために、反応当たりの増幅サイクル数を増加させる代わりに複数の増幅をプールすることが可能である。あるいは、増幅反応の最終サイクルに標識ヌクレオチドを導入することが可能である(例えば、30サイクルのPCR(標識無し) + 10サイクルのPCR(+標識))。
アレイ
特に有利な実施形態においては、本明細書に記載されている方法に従い調製された4C DNA鋳型をアレイにハイブリダイズさせることが可能である。したがって、第1(標的)ヌクレオチド配列と核部位を頻繁に共有するヌクレオチド配列(例えば、ゲノム断片)を特定するために、アレイ(例えば、マイクロアレイ)技術が用いられうる。
本発明においては、既存のアレイ、例えば発現およびゲノムアレイが使用されうる。しかし、本発明は、本明細書に記載されている新規アレイ(例えば、DNAアレイ)を提供することをも追求する。
「アレイ」は、合成的または生合成的に調製され多種多様な形態(例えば、可溶性分子のライブラリー、および樹脂ビーズ、シリカチップまたは他の固体支持体に係留されたオリゴのライブラリー)において生物活性に関してスクリーニングされうる核酸の意図的に作製された集合体である。また、「アレイ」なる語は、実質的に任意の長さ(例えば、1〜約1000ヌクレオチド単量体長)の核酸を基体上にスポットすることにより調製されうる核酸のライブラリーを含む。
アレイ技術ならびにそれに関連した種々の技術および用途は多数のテキストおよび文書に全般的に記載されている。これらには、Lemieuxら, 1998, Molecular Breeding 4, 277-289, SchenaおよびDavis. Parallel Analysis with Biological Chips. in PCR Methods Manual (eds. M. Innis, D. Gelfand, J. Sninsky), SchenaおよびDavis, 1999, Genes, Genomes and Chips. In DNA Microarrays: A Practical Approach (ed. M. Schena), Oxford University Press, Oxford, UK, 1999), The Chipping Forecast (Nature Genetics special issue; January 1999 Supplement), Mark Schena (Ed.), Microarray Biochip Technology, (Eaton Publishing Company), Cortes, 2000, The Scientist 14[17]:25, GwynneおよびPage, Microarray analysis: the next revolution in molecular biology, Science, 1999 August 6; ならびにEakinsおよびChu, 1999, Trends in Biotechnology, 17, 217-218が含まれる。
アレイ技術は分子生物学における伝統的方法の欠点を克服する。そのような伝統的方法は、一般に「1実験で1遺伝子」に基づいて機能して、低い処理量しか与えず、遺伝子機能の「全体像」を理解することが不可能である。現在、アレイ技術の主要用途には、配列(遺伝子/遺伝子突然変異)の特定および遺伝子の発現レベル(存在量)の決定が含まれる。遺伝子発現プロファイリングは、場合によってはプロテオミクス技術と組合された、アレイ技術を利用することが可能である(Celisら, 2000, FEBS Lett, 480(1):2-16; LockhartおよびWinzeler, 2000, Nature 405(6788):827-836; Khanら, 1999, 20(2):223-9)。アレイ技術の他の用途、例えば遺伝子発見、癌研究(Marx, 2000, Science 289: 1670-1672; Scherfら 2000, Nat Genet;24(3):236-44; Rossら, 2000, Nat Genet. 2000 Mar;24(3):227-35)、SNP分析(Wangら, 1998, Science, 280(5366):1077-82)、薬物発見、ファーマコゲノミクス、疾患診断(例えば、マイクロフルイディクス装置を使用するもの:Chemical & Engineering News, February 22, 1999, 77(8):27-36)、毒物学(RockettおよびDix (2000), Xenobiotica, 30(2):155-77; Afshariら, 1999, Cancer Res1;59(19):4759-60)およびトキシコゲノミクス(toxicogenomics)(機能性ゲノミクスと分子毒物学との融合分野)も当技術分野で公知である。
一般に、ライブラリーのメンバーを空間的に分離することにより、任意のライブラリーを、秩序だった様態で、アレイ内に配置することが可能である。アレイ化のための適当なライブラリーの具体例には、とりわけ、核酸ライブラリー(DNA、cDNA、オリゴヌクレオチドなどのライブラリーを含む)、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質ライブラリー、ならびに任意の分子を含むライブラリー、例えばリガンドライブラリーが含まれる。
一般に、サンプルの拡散および混合を制限するために、サンプル(例えば、ライブラリーのメンバー)を固相、好ましくは固体基体上に固定または固定化する。好ましい実施形態においては、DNA結合リガンドのライブラリーが調製されうる。特に、該ライブラリーは、膜および無孔性基体、例えばプラスチックおよびガラスを含む実質的に平面の固相に固定化されうる。さらに、サンプルは、好ましくは、索引(すなわち、特定のサンプルの参照または入手)が促されるよう配置される。典型的には、サンプルは格子形態内にスポットとして適用される。この目的には、一般的なアッセイ系が適合化されうる。例えば、アレイは、1つのウェル内に複数のサンプルを伴う又は各ウェル内に単一のサンプルを伴うマイクロプレートの表面上に固定化されうる。さらに、固体基体は膜、例えばニトロセルロースまたはナイロン膜(例えば、ブロット実験において使用される膜)でありうる。代替的基体には、ガラス、またはシリカに基づく基体が含まれる。したがって、サンプルは、当技術分野で公知の任意の適当な方法により、例えば電荷相互作用、あるいはウェルの壁もしくは底または該膜の表面への化学結合により固定化される。他の配置および固定手段、例えばピペッティング、滴接触(drop-touch)、圧電手段、インクジェットおよびバブルジェット(登録商標)技術、静電気適用なども用いられうる。ケイ素に基づくチップの場合、該チップ上にサンプルを配置し固定するために写真平板が利用されうる。
サンプルは、固体基体上に「スポット」することにより配置されうる。これは、手により、またはサンプルを蒸着するためのロボット工学を利用することにより行われうる。一般に、アレイはマクロアレイまたはマイクロアレイとして記載され、その相違はサンプルスポットのサイズである。マクロアレイは、典型的には、約300ミクロン以上のサンプルスポットサイズを含有し、既存のゲルおよびブロットスキャナーにより容易にイメージングされうる。マイクロアレイにおけるサンプルスポットサイズは、典型的には、直径200ミクロン未満であり、これらのアレイは、通常、数千個のスポットを含有する。したがって、マイクロアレイは、専門化されたロボット工学およびイメージング装置を要することがあり、それらは注文により製造される必要があるかもしれない。装備技術はCortese, 2000, The Scientist 14[11]:26の総説に全般的に記載されている。
DNA分子の固定化ライブラリーを製造するための技術は当技術分野において既に記載されている。一般に、ほとんどの従来技術方法は、例えば、固体基体上の種々の異なる位置に配列の種々の順列を形成させるためにマスキング技術を用いる一本鎖核酸分子ライブラリーの合成法を記載したものである。米国特許第5,837,832号は、非常に大規模な集積化技術に基づく、ケイ素基体に固定化されたDNAアレイを製造するための改良方法を記載している。特に、米国特許第5,837,832号は、本発明の固体化DNAライブラリーを製造するために用いられうる、基体上の空間的に限定された位置において特定のプローブセットを合成するための「タイリング(tiling)」と称される方法を記載している。米国特許第5,837,832号は、同様に用いられうるそれ以前の技術に関する参考文献も記載している。
アレイは、写真蒸着化学を用いることによっても構築されうる。
それぞれの異なるライブラリーメンバー(例えば、特有のペプチド配列)をアレイ内の異なる所定位置に配置する方法で、ペプチド(またはペプチド模倣体)のアレイを表面上で合成することも可能である。各ライブラリーメンバーの種類は該アレイ内のその空間的位置により決定される。所定分子(例えば、標的またはプローブ)と反応性ライブラリーメンバーとの間の結合相互作用が生じる該アレイ内の位置を決定し、それにより、空間的位置に基づいて該反応性ライブラリーメンバーの配列を特定する。これらの方法は米国特許第5,143,854号; WO90/15070およびWO92/10092; Fodorら (1991) Science, 251: 767; DowerおよびFodor (1991) Ann. Rep. Med. Chem., 26: 271に記載されている。
検出を補助するために、典型的には、標識、例えば任意の容易に検出可能なレポーター、例えば蛍光、生物発光、りん光、放射能などのレポーターが使用される(前記のとおり)。そのようなレポーター、それらの検出、標的/プローブへの結合などは本明細書に記載されている。また、プローブおよび標的の標識はShalonら, 1996, Genome Res 6(7):639-45に開示されている。
DNAアレイの具体例は以下のとおりである。
形態1:プローブcDNA(500〜5,000塩基長)を、ロボットスポッティングを用いてガラスのような固体表面に固定化し、別々に又は混合物中の1組の標的にさらす。この方法は、Stanford University (EkinsおよびChu, 1999, Trends in Biotechnology, 1999, 17, 217-218)において開発されたと広く認識されている。
形態II:オリゴヌクレオチド(20〜25マーのオリゴ、好ましくは40〜60マーのオリゴ)またはペプチド核酸(PNA)プローブのアレイを、in situ(チップ上)で、または通常の合成およびそれに続くチップ上への固定化により合成する。該アレイを標識化サンプルDNAにさらし、ハイブリダイズさせ、相補的配列の種類/存在量を決定する。そのようなDNAチップはGeneChip(登録商標)としてAffymetrix, Inc.により販売されている。AgilentおよびNimblegenも適当なアレイ(例えば、ゲノムタイリンフアレイ)を提供している。
いくつかの商業的に入手可能なマイクロアレイ形態の具体例を以下の表1に記載する(MarshallおよびHodgson, 1998, Nature Biotechnology, 16(1), 27-31も参照されたい)。
Figure 0005690068
Figure 0005690068
アレイに基づくアッセイからデータを得るために、プローブとヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションの存在または非存在を示すシグナルを検出する。本発明は更に、直接的および間接的標識技術を含む。例えば、直接的標識は、アレイ関連プローブにハイブリダイズするヌクレオチド配列内に蛍光染料を直接的に取り込ませる(例えば、染料は、標識ヌクレオチドまたはPCRプライマーの存在下、酵素的合成によりヌクレオチド配列内に取り込まれる)。直接的標識法は、典型的には、類似した化学構造および特性を有する蛍光染料の一団を使用して、強力なハイブリダイゼーションシグナルを得るものであり、簡便に実施される。核酸の直接的標識を含む好ましい実施形態においては、多蛍光比較アレイ分析においてシアニンまたはアレクサ類似体を使用する。他の実施形態においては、マイクロアレイプローブへのハイブリダイゼーションの前または後に、エピトープを核酸内に取り込ませるために、間接的標識法を用いることが可能である。ハイブリダイズ複合体を標識するために、1以上の染色法および試薬(例えば、エピトープに結合して、ハイブリダイズ種のエピトープへの染料分子の結合により蛍光シグナルを与える蛍光分子)を使用する。
データ分析も、アレイを含む実験の重要な部分である。アレイ実験からの生データは、典型的には、イメージであり、これは、行列(行が例えば遺伝子を表し、列が例えば種々のサンプル、例えば組織または実験条件を表す表)に変換される必要があり、各升目内の数は、例えば、特定のサンプルにおける特定の配列(好ましくは、第1(標的)ヌクレオチド配列に連結された第2配列)の発現を特徴づける。根底にある生物学的過程に関する知識を得るためには、これらの行列を更に分析する必要がある。データ分析(教師有り及び教師無しデータ分析ならびにバイオインフォマティクスアプローチを含む)の方法はBrazmaおよびVilo J (2000) FEBS Lett 480(1):17-24に開示されている。
本明細書に記載されているとおり、標識され次いでアレイにハイブリダイズされる1以上のヌクレオチド配列(例えば、DNA鋳型)は、特有の特徴を有する配列の小さな伸長に富むヌクレオチド配列を含む[すなわち、第1(標的)ヌクレオチド配列に3C法中に連結された一次制限酵素認識部位ヌクレオチド配列と、それらのそれぞれの隣接二次制限酵素認識部位との間のヌクレオチド配列に伸長する]。
単一のアレイは複数(例えば、2以上)のベイト配列を含みうる。
染色体地図
さらに、本明細書においては、染色体地図(例えば、線状染色体地図)の(再)構築およびこれらの染色体地図における変化の診断的特定のために、空間的または物理的接近性の結果として架橋されたDNA断片の特徴づけを含む方法を記載する。
好都合にも、そのような技術は、例えば物理的染色体地図を再構築するために及びゲノム再編成の結果としてのこれらの地図における変化を特定するために、診断目的に適用されうる。
該方法論は、疾患に必ずしも関連していないが或る形質(例えば、精神的または行動的形質)に対する素因を被験者に与えうる(自然)ゲノム変異を特定するためにも用いられうる。
1つの態様においては、個体の少なくとも1つの線状染色体地図を構築するための方法であって、(a)該個体から核酸サンプルを得、(b)該サンプル中の核酸を架橋し、(c)該核酸を一次制限酵素で消化し、(d)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(e)該架橋を逆転させ、(f)該連結産物を分析し、(g)少なくとも1つの線状染色体地図を構築し、(h)該個体の線状染色体地図における1以上のゲノム再編成を特定する工程を含んでなる方法を提供する。
もう1つの態様においては、(a)架橋DNAのサンプルを一次制限酵素で消化し、(b)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、(c)該架橋を逆転させ、(d)該連結産物を分析し、(e)少なくとも1つの線状染色体地図を作成し、(f)該線状染色体地図において1以上のゲノム再編成を特定し、(g)前記の1以上のゲノム再編成を疾患または形質と相関させる工程を含んでなる、染色体における1以上のゲノム再編成により引き起こされる疾患を診断し又は形質を特定するための方法を提供する。
プローブ
本明細書中で用いる「プローブ」なる語は、関心のある別の分子(例えば、別のオリゴヌクレオチド)にハイブリダイズしうる分子(例えば、精製された制限消化物における場合と同様に天然に存在するか又は合成的に、組換え的に若しくはPCR増幅により製造されたかどうかには無関係に、オリゴヌクレオチド)を意味する。プローブがオリゴヌクレオチドである場合、それは一本鎖または二本鎖でありうる。プローブは、特定の標的(例えば、遺伝子配列)の検出、特定および単離において有用である。本明細書に記載されているとおり、本発明において使用されるプローブは、酵素(例えば、ELISAおよび酵素に基づく組織化学的アッセイ)、蛍光、放射能および発光系を含む(これらに限定されるものではない)いずれかの検出系において検出可能となるよう、標識で標識されうると想定される。
アレイおよびマイクロアレイに関しては、「プローブ」なる語は、該プローブにハイブリダイズしたヌクレオチド配列を検出するためにアレイに固定される任意のハイブリダイズ可能な物質を表すために用いられる。好ましくは、これらのプローブは25〜60マーまたはそれより長い。
プローブ設計のための方法はWO95/11995、EP 717,113およびWO97/29212に記載されている。
4Cは相互作用に関する非偏向全ゲノム探索を可能にするため、ゲノム内の全ての可能な(例えば、ユニーク/非反復性)一次制限酵素認識部位を調べるプローブを伴うアレイを調製することが有利である。したがって、アレイの設計は一次制限酵素の選択によってのみ左右され、実際の第1または第2ヌクレオチド配列には左右されない。
本発明においては既存のアレイが使用されうるが、代替的な形態を用いることが好ましい。
1つの形態においては、一次制限酵素により消化される部位の近くにアレイ上の1以上のプローブがハイブリダイズしうるよう、該プローブを設計する。より好ましくは、プローブは一次制限酵素認識部位の約20bp以内に位置する。より好ましくは、プローブは一次制限酵素認識部位の約50bp以内に位置する。
適切には、プローブは一次制限酵素認識部位の約100bp(例えば、約0〜100bp、約20〜100bp)以内に位置する。
好ましい形態においては、一次制限酵素により消化される部位の各側における100bp以内に単一の特有(ユニーク)なプローブが設計される。
もう1つの好ましい形態においては、一次制限部位により消化される部位の位置に対する、二次制限酵素により消化される部位の位置を考慮する。この形態においては、与えられた長さのプローブが一次および二次制限酵素認識部位間で設計されるのに十分な程度に大きな距離離れた最も近い二次制限酵素認識部位を有する、一次制限酵素により消化される部位の各側においてのみ、単一の特有なプローブが設計される。この形態においては、例えば、特定の一次制限酵素認識部位の側において、それが、同じ側の10bp以内に二次制限酵素認識部位を有する場合には、その一次制限酵素認識部位の側においてはプローブは設計されない。
もう1つの形態においては、アレイ上のプローブは、それが、一次制限酵素により消化される部位のいずれかの側にハイブリダイズしうるよう設計される。適切には、一次制限酵素認識部位の各側において単一のプローブが使用されうる。
さらにもう1つの形態においては、一次制限酵素認識部位の各側において2以上のプローブ(例えば、3、4、5、6、7または8以上)が設計されることが可能であり、ついでそれらは、同じ連結事象を調べるために使用されうる。各一次制限酵素認識部位に対するプローブの数および位置に関しては、その隣接する二次制限酵素認識部位の厳密なゲノム位置が考慮されうる。
さらにもう1つの形態においては、2以上のプローブ(例えば、3、4、5、6、7または8以上)が、最も近い二次制限酵素認識部位には無関係に、各一次制限酵素認識部位の近くに設計されうる。この形態においては、すべてのプローブは、尚も、一次制限酵素認識部位の近く(好ましくは、該制限部位の300bp以内)に位置すべきである。
好都合にも、後者の設計、そしてまた、一次制限酵素認識部位(の一方の側)当たり1個のプローブを使用する設計は、与えられた一次制限酵素と組合された、異なる二次制限酵素の使用を可能にする。
好都合にも、一次制限酵素認識部位当たり複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8以上)のプローブの使用は、個々のプローブの性能が乏しいことによる偽陰性結果を得る問題を最小にしうる。さらに、それはまた、単一チップ実験で得られたデータの信頼性を向上させ、統計的に妥当な結論を導き出すのに要求されるアレイの数を減少させる。
アレイにおいて使用するプローブは40ヌクレオチド長を超えることが可能であり、等温性(iso-thermal)でありうる。
好ましくは、反復DNA配列を含有するプローブは除外される。
第1ヌクレオチド配列に直に隣接する又は近い制限部位に関する分析のためのプローブは、非常に強力なハイブリダイゼーションシグナルを与えると予想され、同様にプローブ設計から除外されうる。
アレイは、哺乳類(例えば、ヒト、マウス(例えば、染色体7))、脊椎動物(例えば、ミノカサゴ)または非脊椎動物(例えば、細菌、酵母、真菌または昆虫(例えば、ショウジョウバエ))ゲノムを含む任意のゲノムをカバーしうる。
もう1つの好ましい実施形態においては、アレイは、各ユニーク一次制限酵素部位の周囲に、および制限酵素消化部位に可能な限り近くに、2〜6個のプローブを含有する。
好ましくは、制限酵素消化の部位からの最大距離は約300bpである。
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、哺乳類または非哺乳類ゲノムをカバーする制限酵素(例えば、HindIII、EcoRI、BglIIおよびNotI)に関するアレイを提供する。好都合にも、本明細書に記載されているアレイの設計は、分析を同一種において行う場合には、各標的配列に関してアレイを再設計する必要性を回避する。
プローブのセット
本明細書中で用いる「プローブのセット」なる語は、ゲノム内の一次制限酵素に関する一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つにハイブリダイズするプローブの一式または集合体を意味する。
したがって、もう1つの態様においては、ゲノムDNA内の一次制限酵素に関する一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つに隣接する核酸配列に配列上相補的なプローブのセットを提供する。
適切には、プローブのセットは、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つに隣接する最初の25〜60(例えば、35〜60、45〜60、または50〜60)以上のヌクレオチドに配列上相補的である。プローブのセットは一次制限酵素認識部位の片側(例えば、いずれかの側)または両側に配列上相補的でありうる。したがって、プローブは、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つの各側に隣接する核酸配列に配列上相補的でありうる。
また、該セットのための1以上のプローブが設計されうるウィンドウ(例えば、一次制限酵素認識部位から300bpまたはそれ未満、例えば250bp、200bp、150bpまたは100bp)を定めることが可能である。プローブを設計するためのウィンドウを定めるのに重要な因子としては、例えば、GC含量、ヘアピン構造を形成しうる回文配列、単一タイプのヌクレオチドの伸長への最大サイズが挙げられる。したがって、プローブのセットは、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから300bp未満の核酸配列に配列上相補的でありうる。
また、各制限部位付近の最適プローブを特定するために、一次制限酵素認識部位から約100bpのウィンドウを定めることが可能である。
本発明の他の実施形態においては、プローブのセットは、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから300bp未満の配列に相補的である、および/またはゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから200〜300bpの配列に相補的である、および/またはゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから100〜200bpの配列に相補的である。
本発明の他の実施形態においては、プローブのセットは、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから0〜300bp未満の配列に相補的である、および/またはゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから0〜200bpの配列に相補的である、および/またはゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから0〜100bp(例えば、ゲノムDNA内の一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つから約10、20、30、40、50、60、70、80または90bp)の配列に相補的である。
ゲノムDNA内の各一次制限酵素認識部位に隣接する配列にハイブリダイズしうる2以上のプローブでさえも設計されうる。
プローブは重複または部分重複しうる。プローブが重複する場合、該重複は、好ましくは10ヌクレオチド未満である。
各一次制限酵素認識部位に隣接する最初の1〜300ヌクレオチド(例えば、1〜20、1〜40、1〜60、1〜80、1〜100、1〜120、1〜140、1〜160、1〜180、1〜200、1〜220、1〜240、1〜260または1〜280)に相当するPCR断片も使用されうる。
一次制限酵素認識部位および最初の隣接する二次制限酵素認識部位に隣接する各ゲノム部位に厳密に一致するプローブとして、PCR断片も使用されうる。したがって、プローブ配列は、一次制限酵素認識部位のそれぞれ1つと最初の隣接する二次制限酵素認識部位のそれぞれ1つとの間の配列の全部または一部に一致しうる。
典型的には、プローブ、プローブのアレイまたはプローブのセットが支持体上に固定化される。支持体(例えば、固体支持体)は、種々の材料、例えばガラス、シリカ、プラスチック、ナイロンまたはニトロセルロースから構成されうる。支持体は、好ましくは強固であり、平面の表面を有する。支持体は、典型的には、約1〜10,000,000個の空間的に位置特定可能な異なる領域またはセル(升目)を有する。約10〜1,000,000個または約100〜100,000個または約1000〜100,000個のセルを有する支持体が一般的である。セルの密度は、典型的には、1平方センチメートル内に少なくとも約1000、10,000、100,000または1,000,000セルである。いくつかの支持体においては、すべてのセルがプローブのプール化混合物またはプローブのセットにより占拠される。他の支持体においては、いくつかのセルがプローブのプール化混合物またはプローブのセットにより占拠され、他のセルは、少なくとも合成法により入手可能な程度の純度まで、単一タイプのオリゴヌクレオチドにより占拠される。
好ましくは、本明細書に記載されているアレイは、一次制限酵素認識部位(これは、6bp切断制限酵素の場合、例えば、ヒトまたはマウスゲノム当たり約750,000回出現する)1個当たり2以上のプローブを含む。
>6bpの認識配列を認識する制限酵素の場合、例えば完全ヒトまたはマウスゲノムをカバーするためには、各制限部位の各側に1プローブとして、約2×750,000プローブの単一アレイが使用されうる。
好ましいアレイ設計においては、アレイ上に存在する、与えられたヌクレオチド配列のプローブ分子の総数は、そのようなアレイにハイブリダイズさせる4Cサンプル中に存在する相同性断片に対して大過剰である。4C技術の性質を考慮すると、線状クロマチン鋳型上の分析されるヌクレオチド配列に近いゲノム領域を代表する断片は4Cハイブリダイゼーションサンプルにおいて大過剰であろう(図2に記載されているとおり)。そのような豊富な断片のハイブリダイゼーション効率に関する定量的情報を得るためには、ハイブリダイズさせるサンプルの量を減少させること、および/またはアレイ上の与えられたオリゴヌクレオチド配列プローブの分子の数を増加させることが必要かもしれない。
したがって、例えば遺伝子プロモーター要素と頻繁に接触する調節性DNA要素の検出のためには、選択されたゲノム領域(例えば、約0.5〜10Mb)のみを表すプローブを伴うが、アレイ上の複数(例えば、約100、200、1000)の位置に存在する各ユニークプローブを伴うアレイを使用することが必要かもしれない。そのような設計は、ある部位(例えば、関心のある遺伝子)の周囲の局所(例えば、約10Mb以内)ゲノム再編成(例えば、欠失、逆位、重複など)を検出する診断目的にも好ましいかもしれない。
アレイは、約3×750,000プローブ、4×750,000プローブ、5×750,000プローブまたは好ましくは6×750,000プローブを含みうる。より好ましくは、アレイは、各制限部位の各側に2、3、4、5、6、7または8以上のプローブを伴う6×750,000プローブを含みうる。最も好ましくは、アレイは、各制限部位の各側に3プローブを伴う6×750,000プローブを含む。
プローブのアレイまたはプローブのセットは支持体上で段階的に合成されることが可能であり、あるいは予め合成された形態で付着されうる。合成の1つの方法はVLSIPS.TM(US 5,143,854およびEP 476,014に記載されている)であり、これは、高密度小型化アレイ内のオリゴヌクレオチドプローブの合成を方向づけるための光の使用を含む。合成サイクル数を減少させるためのマスクの設計のためのアルゴリズムがUS 5,571,639およびUS. 5,593,839に記載されている。EP 624,059に記載されているとおり、機械的に束縛された流路により単量体を支持体のセルに運搬することによるコンビナトリアル(組合せ)法によってもアレイを合成することが可能である。アレイは、インクジェットプリンターを使用して支持体上に試薬をスポットすることによっても合成されうる(例えば、EP 728,520を参照されたい)。
本発明の場合、「実質的にプローブのセット」または「実質的にプローブのアレイ」なる語は、プローブの該セットまたは該アレイが、全ての又は完全なプローブセットまたはアレイの少なくとも約50、60、70、80、90、95、96、97、98または99%を含むことを意味する。好ましくは、プローブのセットまたはアレイは、全ての又は完全なプローブセット(すなわち、100%)である。
好ましい実施形態においては、該アレイは、与えられたゲノム内に存在する各一次制限酵素認識部位の各側当たり単一のユニークプローブを含む。このプローブ数が、単一アレイにより含有されうるプローブの数を超える場合、該アレイは、好ましくは、与えられた種の完全ゲノムの表現(representation)を尚も含有しうるが、それは、より低い分解能においてであり、例えば、線状染色体鋳型上に配置されているとおりの2、3、4、5、6、7、8、9、10、102、103、104 個などのプローブのうちの1つが該アレイ上に存在しうる。ヒトまたはその他の完全ゲノムを最適未満の分解能でカバーするそのようなアレイは、例えば転座パートナーを見出したい場合には、同じゲノムの一部をカバーする高分解能アレイより好ましいかもしれない。
好ましくは、より低い分解能での、与えられた種の完全ゲノムの表現は、一次制限酵素での消化の後に得られる単一の制限断片をそれぞれが表すアレイ上のプローブにより得られる。好ましくは、これは、同じ制限断片にハイブリダイズするプローブを2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100(例えば、2〜100)個などごとに無視することにより得られる。
好ましくは、より低い分解能での、与えられた種の完全ゲノムの表現は、線状染色体鋳型に沿って等しく分布するプローブを含む。好ましくは、これは、最高プローブ密度を示すゲノム領域における1以上のプローブを無視することにより得られる。
ハイブリダイゼーション
本明細書中で用いる「ハイブリダイゼーション」なる語は、「核酸の鎖が塩基対形成により相補鎖と結合する過程」および例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術において行われる増幅の過程を含むものとする。
選択的ハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド配列は、少なくとも20、好ましくは少なくとも25または30、例えば少なくとも40、60または100以上の連続的ヌクレオチドの領域にわたって、対応する相補的ヌクレオチド配列に対して、一般には少なくとも75%、好ましくは少なくとも85または90%、より好ましくは少なくとも95%または98%相同である。
「特異的ハイブリダイゼーション」は、ストリンジェントな条件下(例えば、65℃および0.1×SSC{1×SSC = 0.15M NaCl、0.015M Na-クエン酸 pH7.0})での、特定のヌクレオチド配列のみに対する分子の結合、二重らせん化またはハイブリダイゼーションを意味する。ストリンジェントな条件は、プローブがその標的配列にはハイブリダイズするが他の配列にはハイブリダイズしないような条件である。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、状況によって異なる。より長い配列は、より高い温度で、特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、一定のイオン強度およびpHにおいて特定の配列に関する熱融解温度(Tm)より約5℃低くなるよう選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(一定のイオン強度、pHおよび核酸濃度において)である(標的配列はTmで一般には過剰に存在するため、該プローブの50%は平衡状態で占められる)。典型的には、ストリンジェントな条件は、pH 7.0〜8.3において少なくとも約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を含み、温度は少なくとも約30℃(短いプローブの場合)である。ストリンジェントな条件は、不安定化剤、例えばホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニウム塩の添加によっても達成されうる。
当業者により理解されるとおり、同一ヌクレオチド配列を特定または検出するためには、最高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを用いることが可能であり、類似または関連したポリヌクレオチド配列を特定または検出するためには、中等度の(または低い)ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを用いることが可能である。
標識または未標識ヌクレオチド配列への、プローブのアレイのハイブリダイゼーションのための方法も記載されている。個々のハイブリダイゼーション反応条件は、ハイブリダイゼーションを改変する(例えば、プローブ/標的結合ストリンジェンシーを増加または減少させる)ために制御されうる。例えば、反応温度、陰イオンおよび陽イオンの濃度、界面活性剤の添加などは全て、アレイプローブおよび標的分子のハイブリダイゼーション特性を改変しうる。
相互作用の頻度
制限断片の連結頻度の定量はそれらの架橋頻度の尺度を与える。適切には、これは、Splinterら (2004) (前掲)に記載されている通常の3C技術において用いられるのと同様のPCRを用いて達成されうる。簡潔に説明すると、PCR産物の形成は、Typhoon 9200イメージャー (Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)を使用して、臭化エチジウム染色アガロースゲル上で分離した後、シグナル強度を走査することにより測定されうる。適切には、Splinterら (2004) (前掲)にも記載されているとおり、データの正確な解釈のために、いくつかの対照を使用する。
本明細書に記載されている4C技術は核空間内の2以上のヌクレオチド配列の相互作用の頻度のハイスループット分析をもたらすため、本明細書に記載されているアレイを使用して制限断片の連結頻度を定量することが好ましい。
定量のためには、4Cサンプルに関して得られたシグナルを、対照サンプルに関して得られたシグナルに対して正規化することが可能である。4Cサンプルおよび対照サンプルは、異なる及び区別可能な標識(例えば、染料)で標識され、該アレイに同時にハイブリダイズされる。対照サンプルは、典型的には、全DNA断片(すなわち、第1(標的)ヌクレオチド配列に連結された全ての潜在的な第2ヌクレオチド配列)を等モル量で含有し、ハイブリダイゼーション効率における偏向を排除するために、それらは第2ヌクレオチド配列にサイズにおいて類似しているべきである。したがって、対照鋳型は、典型的には、一次および二次制限酵素の両方で消化され4C鋳型と同じ方法(例えば、ランダムプライミング)により標識された(4C鋳型を得るために用いられるのと同じ遺伝的バックグラウンドの)ゲノムDNAを含有する。そのような対照鋳型は、ハイブリダイゼーション効率におけるプローブ間の相違に関して補正することを可能にする。対照アレイシグナルに対する4Cアレイシグナルの正規化は、ランダム事象に対する富化に関して結果を表すことを可能にする。
標識された4C鋳型でさえも、示差的に標識された対照サンプルの存在下または非存在下、1以上の示差的に標識された他の4C鋳型の存在下または非存在下、アレイにハイブリダイズされうる。他の4C鋳型はこの4C鋳型に無関係でありうる。例えば、それは、異なる組織から得られることが可能であり、および/または異なるセットのインバースPCRプライマーで得られることが可能である。例えば、第1の4C鋳型は患者の物質であり、第2の4C鋳型は、健常被験者または対照サンプルから得られうる。
遺伝的再編成に関して予想される顕著なハイブリダイゼーションパターンを考慮すると、罹患被験者を健常被験者と比較することが常に必要なわけではない。したがって、同じ患者または被験者からの異なる遺伝子座をそれぞれが調べる複数(例えば、2以上)の4C鋳型を1つ(例えば、1以上)のアレイにハイブリダイズさせることが可能である。
4C鋳型は(例えば、二色または多色ハイブリダイゼーションで)示差的に標識されることが可能であり、および/またはそのような遺伝子座が通常、異なる染色体上に存在する若しくはDNA-DNA相互作用シグナル間の最小重複に十分な距離離れて同じ染色体上に存在する場合には、同一に標識されることが可能である。一例として、T細胞白血病を有する被験者からの物質を加工して、TCRα/β(転座を検出するために1つの色で標識される)ならびにMLL、TAL1、HOX11およびLMO2(他の遺伝的再編成を検出するために同じ第2の色でそれぞれ標識される)に関する4C鋳型を得ることが可能である。これらの5つの4C鋳型を1つのアレイにハイブリダイズさせることが可能であり、これは、該疾患に関連したゲノム再編成に関する複数の遺伝子座における同時分析を可能にする。
相互作用頻度の定量のために、絶対シグナル強度または対照サンプルに対する比を考慮することも可能である。また、線状染色体鋳型上で隣接するプローブのシグナルを用いて、相互作用性染色体領域を特定することが可能である。そのような位置情報は、好ましくは、線状染色体鋳型上に該プローブを配置し、例えば移動平均または移動メジアンアプローチを用いるスライディング・ウィンドウ(sliding window)アプローチにより絶対シグナル強度または対照鋳型シグナルに対する比を分析することにより分析される。
本明細書に記載されている方法により得られた、関心のある1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との1以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を用いて、線状染色体地図の一部または全部を再構築し、染色体内および染色体間で生じた平衡および非平衡ゲノム再編成(そのような再編成は形質または疾患の指標となる)を特定することが可能である。
アッセイ方法
本発明のもう1つの態様においては、DNA-DNA相互作用をモジュレーションする1以上の物質を特定するためのアッセイ方法を提供する。
本明細書中で用いる「モジュレーション」なる語は、DNA-DNA相互作用を妨げる、減少させる、抑制する、回復させる、上昇させる、増加させる、またはそれに影響を及ぼすことを意味する。
いくつかの場合には、DNA-DNA相互作用をモジュレーションするのに使用する2以上の物質を一緒に評価することが望ましいかもしれない。これらの場合には、そのような追加的物質を第1の物質と同時に又は第1の物質の後に加えることにより、アッセイを容易に修飾することが可能である。
本発明の方法はまた、DNA-DNA相互作用の活性のモジュレーションに関して幾つかの物質を試験するスクリーニングでありうる。
本発明のアッセイ方法は、物質の小規模および大規模の両方のスクリーニングならびに定量アッセイに適していると予想される。
そのような治療用物質の医学的使用は、薬物開発計画自体およびそのような物質を含む医薬組成物と同様に、本発明の範囲内である。薬物開発計画は、例えば、本明細書に記載されている方法により特定された又は特定可能な物質を採用し、場合によっては、それを修飾し(例えば、その構造を修飾し、および/または該部分を含む新規組成物を得)、更なる研究(例えば、毒性研究および/または活性、構造もしくは機能に関する研究)を行うことを含みうる。治験を非ヒト動物に対して行うことが可能であり、最終的にはヒトに対して行うことが可能である。そのような治験は、一般には、種々の投与量レベルの効果を決定することを含む。薬物開発計画は、(例えば、構造および/または機能を予想する、可能なアゴニストまたはアンタゴニストを特定する、類似構造または機能を有しうる他の部分を探索する、などのために)スクリーニングにより特定された部分を分析するためにコンピューターを利用することが可能である。
診断試験
現在のところ、種々のゲノム再編成を、利用可能な分子細胞遺伝学的技術により検出することは依然として困難である。アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション技術(アレイ-CGH)は、35〜300Kbの分解能を有する、染色体増幅および/または欠失の検出のための新たに開発された技術であるが、この技術は、平衡転座および染色体逆位を検出するには適していない。一方、スペクトル核型分析(SKY)または通常の核型分析は、しばしば、染色体転座および多数の変化の検出のために患者の物質に対して行われるが。転座切断点を定めるための分解能が低く、通常、それぞれ10〜50Mbおよび5〜10Mbである。その結果、両方の方法、特にSKYにより得られた結果は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)および分子切断点クローニング法のような、時間を消費する及び労働集約的な妥当性判断実験に付されることになる。
4C技術は、物理的に連結されたDNA配列間の相互作用頻度の変化に基づいて任意の染色体再編成を検出しうる方法を含む。したがって、4C技術は、ほとんどのヒト悪性疾患/多重先天性奇形または精神遅滞に関する(頻発性)染色体再編成の特定に有用である。4C技術の重要な利点は、それが、わずか数千塩基対の領域への該切断点の非常に正確な位置決定を可能にすることである。4C技術のもう1つの利点は、該切断点の厳密な位置に関する前提知識が要求されないことである。なぜなら、4Cベイト配列が切断点から1〜5Mb離れて位置する場合でさえも、切断点が検出されるからである。これはまた、大きな切断点領域をカバーする特異的染色体再編成の検出のために同じベイト配列が使用されうるという利点を有する。4C技術によるゲノム再編成の正確な位置決定は、疾患または遺伝的異常の根底にある異常発現遺伝子の特定を著しく促進し、これは、遺伝子型-表現型相関をより深く理解するための重要な寄与をなし、治療意思決定を補助し、重要な予後判定情報を付加する。
本発明の1つの実施形態においては、疾患の診断または予後判定のための基礎を得るために、被験者からの正常値または標準値を確立する。これは、正常被験者(例えば、動物またはヒト)から採取されたサンプルを試験することにより達成されうる。DNA-DNA相互作用の頻度は、それを陽性対照の希釈系列と比較することにより定量されうる。ついで、正常サンプルから得られた標準値を、疾患または障害に罹患している又は罹患する可能性のある被験者からのサンプルから得られた値と比較することが可能である。標準と被験者の値との間の偏差は病態の存在を確定する。
そのような診断アッセイは、個々の治療計画の効力を評価するよう適合化されることが可能であり、動物研究、臨床治験または個々の患者の治療のモニターにおいて用いられうる。疾患の診断の基礎を得るために、DNA-DNA相互作用に関する正常または標準的なプロファイルを確立することが可能である。正常サンプルから得られた標準値を、障害または疾患の罹患可能性のある被験者からのサンプルから得られた値と比較することが可能である。標準と被験者の値との間の偏差は病態の存在を確定する。疾患が確定された場合、既存の治療剤を投与することが可能であり、治療プロファイルまたは値を得ることが可能である。最終的に、該値が更に進行するか又は正常もしくは標準パターンに回復するかどうかを評価するために、該方法を規則的に繰返すことが可能である。数日間または数ヶ月間にわたる治療の効力を示すために、連続的治療プロファイルを用いることが可能である。
4C技術は、分析されるヌクレオチド配列にシスで連結されたゲノムDNAの少なくとも5Mbを正確に検出する(図2〜3および5を参照されたい)。好都合にも、4C技術は、選択された4C配列(ベイト)と再編成配列との間のゲノム部位分離における変化を伴う任意のゲノム異常を検出するために用いられうる。そのような変化は、例えば、ゲノム部位分離における増加または減少であることが可能であり、あるいは4C配列(ベイト)に近位(例えば、15Mbまで又はそれ以上)の配列の過少発現(欠失の場合)または過剰発現(重複の場合)でありうる。典型的には、そのようなゲノム異常または再編成は、疾患、例えば癌(例えば白血病)および本明細書に記載されている他の遺伝性または先天性疾患の原因であり、あるいはそのような疾患に関連している。
遺伝的異常(例えば、ゲノムまたは染色体異常、例えば、平衡および/または非平衡ゲノムまたは染色体異常)には、核酸(例えば、染色体)の再編成、転座、逆位、挿入、欠失および他の突然変異、そしてまた、染色体の一部または全部の喪失または獲得が含まれるが、これらに限定されるものではない。それらは、先天的障害および後天的疾患、例えば悪性疾患を含む遺伝的障害または疾患の主要原因である。多数の再編成においては、2つの異なる染色体が関わる。このようにして、遺伝子(または遺伝子の断片)が個々の染色体の正常な生理的状況から外れ、非関連遺伝子または遺伝子断片(しばしば、癌遺伝子または癌原遺伝子)に隣接して受容染色体に位置する。
悪性疾患には、急性白血病、悪性リンパ腫および充実性腫瘍が含まれうる。改変の非限定的な具体例としては、NHLにおいて頻繁に見出されるt(14;18)、小児前駆体B-ALLにおいて頻繁に見出されるt(12;21)、急性白血病におけるllq23(MLL(骨髄性-リンパ様白血病または混合系列白血病)遺伝子)異常の存在が挙げられる。
染色体領域llq23におけるMLL遺伝子はALLおよび急性骨髄球様白血病(AML)の両方における幾つかの転座に関与している。現在までに、少なくとも10個のパートナー遺伝子が特定されている。これらの転座の幾つか、例えばt(4;11) (q21;q23)、t(11;19) (q23;p13)およびt(1;11) (p32;q23)は、主として、ALLにおいて見出され、一方、t(1;11) (q21;q23)、t(2;11) (p21;q23)、t(6;11) (q27;q23) およびt(9;11) (p22;q23)のような他のものは、たいていは、AMLにおいて見出される。llq23領域が関わる再編成は、乳児急性白血病において非常に頻繁に見出され(約60〜70%)、それより遥かに少数ではあるが、小児および成人白血病においても見出される(それぞれ約5%)。
リンパ様悪性疾患における再編成には、しばしば、IgまたはTCR遺伝子が関わる。具体例には、バーキットリンパ腫において見出される3つのタイプの転座(t(8;14)、t(2;8)およびt(8;22))が含まれ、この場合、それぞれ、Ig重鎖(IGH)、Igカッパ(IGK)またはIgラムダ(IGL)遺伝子セグメントにMYC遺伝子が結合している。この範疇におけるもう1つの一般的なタイプの転座は、主要NHL型の1つである濾胞性リンパ腫の約90%において見出されるt(14;18) (q32;q21)である。この転座においては、BCL2遺伝子は、JH遺伝子セグメント内の又はJH遺伝子セグメントに隣接するIGH遺伝子座内の領域に再編成される。この染色体異常の結果はBCL2タンパク質(これは、プログラムされた細胞死を抑制することにより成長制御における生存因子としての役割を果たしている)の過剰発現である。
BCL2遺伝子は3つのエキソンよりなるが、これらは大きな領域にわたって散在している。これらのうち、最後のエキソンは大きな3'非翻訳領域(3’UTR)をコードしている。この3'UTRは、多数のt(14;18)切断点がクラスター化しており「主要切断点領域(major breakpoint region)」と称される2つの領域の1つであり、t(14;18)転座に関与しているその他の切断点領域はBCL2遺伝子座の20〜30kb下流に位置し、「副次的クラスター領域(minor cluster region)」と称される。第3のBCL2切断点領域であるVCR(変異体クラスター領域)はBCL2遺伝子座の5'側に位置し、とりわけ、変異体転座、すなわちt(2;18)およびt(18;22)に関与しており、この場合、IGKおよびIGL遺伝子セグメントがパートナー遺伝子である。
したがって、一例として、4C技術は、与えられた臨床表現型に対する頻繁な関連性に基づいて選択された遺伝子座付近または遺伝子座内の遺伝的異常に関する患者の物質のスクリーニングに適用されうる。そのような遺伝子座の他の非限定的な具体例としては、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL1、免疫グロブリン遺伝子座、LYL1、TAL1、TAL2、LMO2、TCRα/δ、TCRβ、HOXおよび種々のリンパ芽球性白血病における他の遺伝子座が挙げられる。
好都合にも、遺伝的異常が疑われる場合、本明細書に説明されているとおり、該異常の存在を実証し位置決定するための第1の且つ唯一のスクリーニングとして4C技術が適用されうる。
ゲノム再編成の検出
本発明の特に好ましい実施形態においては、本明細書に記載されている方法は、ゲノム再編成の検出のために用いられうる。
現在、ゲノム再編成、例えば転座切断点を検出することは非常に困難である。例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)マイクロアレイは幾つかのタイプの再編成を検出しうるが、転座を検出しない。患者において転座が疑われるが染色体パートナーが未知である場合、転座パートナーを見出し切断点位置の凡その推定を得るためにスペクトル核型分析(SKY)が行われうる。しかし、分解能が非常に乏しく(通常、〜50Mbより良くない)、通常、追加的な詳細な位置決定(これは時間を消費し高価である)が要求される。これは、通常、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を使用して行われ、これは再び、限定された分解能を与える。FISHを用いた場合、切断点は最高分解能で+/-50kb領域に位置決定されうる。
DNA-DNA相互作用頻度は、本来、ゲノム部位分離の関数である。すなわち、DNA-DNA相互作用頻度は、同じ物理的DNA鋳型上に存在する2つのDNA遺伝子座間の直線距離(キローベース単位)に反比例する(Dekkerら, 2002)。したがって、1以上の新たな物理的DNA鋳型を生成する転座は切断点付近のDNA-DNA相互作用の変化を伴い、これは4C技術により測定されうる。転座は、切断された染色体(DNA)アームの物理的連結(相互作用)の結果であるため、転座に基づく疾患は、典型的には、異常なDNA-DNA相互作用により引き起こされる。
したがって、転座の検出のために、罹患被験者と非罹患被験者との間で異なるDNA-DNA相互作用を特定するために4C技術が用いられうる。
一例として、4C技術は、本明細書に記載されているとおり、与えられた臨床表現型に対する頻繁な関連性に基づいて選択された遺伝子座付近の転座に関する患者の物質のスクリーニングに適用されうる。
患者において転座が疑われるが染色体パートナーが未知である場合、スペクトル核型分析(SKY)のような現在利用可能な方法を用いて初期位置決定が行われうる。これは転座パートナーを特定することが可能であり、切断点位置の非常に粗い推定(通常、〜50Mbより良くない分解能)をもたらしうる。ついで、例えば2Mb、5Mb、10Mb、20Mb(または本明細書に記載されている他の間隔)ごとに位置するこの領域内の「ベイト」配列を使用する4C技術を適用して、切断点を詳細に位置決定し、例えば、転座の結果として過誤発現される遺伝子を特定することが可能である。
典型的には、転座は、4Cベイト配列を含有する染色体以外の染色体またはその同じ染色体上の低から高への相互作用頻度の急な変化により特定される。
好ましい実施形態においては、被験者からのサンプルは前悪性状態のものである。
好ましい実施形態においては、被験者からのサンプルは、出生前診断のための羊水穿刺により得られた、培養された又は培養されていない羊膜細胞よりなる。
好ましいアレイ設計においては、単一アレイ上に存在するプローブは、与えられた種の完全ゲノムを最高分解能で表現する。したがって、4C技術により転座などを検出するためのアレイは、与えられた種(例えば、ヒト)のゲノムにおける各一次制限酵素認識部位の各側に相補的な本明細書に記載のプローブを含有する。
もう1つの好ましい設計においては、単一アレイ上に存在するプローブは、与えられた種の完全ゲノムを、最高ではない分解能で表現する。したがって、4C技術により転座などを検出するためのアレイは、与えられた種(例えば、ヒト)のゲノムにおける各一次制限酵素認識部位の片側のみに相補的な本明細書に記載のプローブを含有する。
もう1つの好ましい設計においては、単一アレイ上に存在するプローブは、与えられた種の完全ゲノムを、最高ではない分解能で表現する。したがって、4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、与えられた種(例えば、ヒト)のゲノムの線状鋳型に沿って配置された1つおきの一次制限酵素認識部位の片側に相補的な本明細書に記載のプローブを含有する。
4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、一次制限酵素での消化後に得られた単一の制限断片をそれぞれが表現する本明細書に記載のプローブを含有する。好ましくは、これは、同じ制限断片にハイブリダイズするプローブを2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100個などごとに無視することにより得られる。4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、線状染色体鋳型に沿って等しく分布する本明細書に記載のプローブを含有しうる。好ましくは、これは、最高プローブ密度を示すゲノム領域における1以上のプローブを無視することにより得られる。
もう1つの好ましい設計においては、単一アレイ上に存在するプローブは、与えられた種の完全ゲノムを、最高ではない分解能で表現する。したがって、4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、与えられた種(例えば、ヒト)のゲノムの線状鋳型に沿って配置された3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100個などごとの一次制限酵素認識部位の片側に相補的な本明細書に記載のプローブを含有する。4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、100キロベースごとに単一プローブを伴う完全ゲノムを表現する本明細書に記載のプローブを含有しうる。4C技術により転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成を検出するためのアレイは、ユニークプローブ配列により表現されうるゲノム内の各一次制限酵素認識部位を表現する本明細書に記載のプローブを含有しうる。
もう1つの好ましいアレイ設計においては、単一アレイ上の本明細書に記載のプローブは、転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成に関与していることが知られている全遺伝子座の周囲の、所定サイズ、例えば50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、1Mb、2Mb、3Mb、4Mb、5Mb、6Mb、7Mb、8Mb、9Mbまたは10Mb(例えば、約50kb〜10Mb)のゲノム領域を表現する。
もう1つの好ましいアレイ設計においては、単一アレイ上の本明細書に記載のプローブは、転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成に関与していることが知られている選択された遺伝子座の周囲の、所定サイズ、例えば50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、1Mb、2Mb、3Mb、4Mb、5Mb、6Mb、7Mb、8Mb、9Mbまたは10Mb(例えば、約50kb〜10Mb)のゲノム領域を表現する。選択は、経験的な基準で行われることが可能であり、例えば、それらは、所定タイプの疾患に関与する遺伝子座のみを表現しうる。
もう1つの好ましいアレイ設計においては、単一アレイ上の本明細書に記載のプローブは、染色体(の一部)または複数の染色体の例えば100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、600kb、700kb、800kb、900kb、1Mb、2Mb、3Mb、4Mb、5Mb、6Mb、7Mb、8Mb、9Mb、10Mb、20Mb、30Mb、40Mb、50Mb、60Mb、70Mb、80Mb、90Mbまたは100Mb(例えば、100kb〜10Mb)の、関心のあるゲノム領域を表現し、各プローブは、各プローブ配列におけるハイブリダイゼーションシグナル強度の定量的測定を可能にするために複数(例えば、10、100、1000)回表現される。
好ましい実験設計においては、4C配列(ベイト)は、実際の再編成配列(すなわち、転座の場合には切断点)から約0kb、10kb、20kb、30kb、40kb、50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、1Mb、2Mb、3Mb、4Mb、5Mb、6Mb、7Mb、8Mb、9Mb、10Mb、11Mb、12Mb、13Mb、14Mbまたは15Mb(例えば、約0〜15Mb)またはそれ以上の距離以内に位置する。
好ましいハイブリダイゼーションにおいては、罹患被験者および非罹患被験者から1つの配列(4Cベイト)で得られた2つの示差的に標識された4C鋳型を同一アレイに同時にハイブリダイズさせる。DNA-DNA相互作用における相違は、シス(4Cベイトと同じ染色体上)およびトランス(転座パートナー上)での切断点の検出を可能にする。
好ましいハイブリダイゼーションにおいては、罹患被験者および非罹患被験者から1つの配列(4Cベイト)で得られた複数の示差的に標識された4C鋳型を同一アレイに同時にハイブリダイズさせる。DNA-DNA相互作用における相違は、シス(4Cベイトと同じ染色体上)およびトランス(転座パートナー上)での切断点の検出を可能にする。
好都合にも、単一アレイへの3個以上のサンプルの同時ハイブリダイゼーションを可能にする、二色ではなく多色の、マイクロアレイ上での分析が用いられうる。
好ましいハイブリダイゼーションにおいては、罹患被験者から1つの配列(4Cベイト)で得られた複数の示差的に標識された4C鋳型、および非罹患被験者からの1つの示差的に標識された4C鋳型を、同一アレイに同時にハイブリダイズさせる。DNA-DNA相互作用における相違は、シス(4Cベイトと同じ染色体上)およびトランス(転座パートナー上)での切断点の検出を可能にする。
もう1つの好ましいハイブリダイゼーションにおいては、別の可能な転座パートナーをそれぞれが表現する2つの異なる配列(4Cベイト)で得られた、同じ非罹患被験者からの2つの示差的に標識された4C鋳型を、同一アレイに同時にハイブリダイズさせる。関心のある配列(4Cベイト)を含有する染色体に無関係な染色体の線状鋳型上で観察される強力なハイブリダイゼーションシグナルのクラスターは転座パートナー染色体および該転座パートナー上の切断点を特定する。
もう1つの好ましいハイブリダイゼーションにおいては、別の可能な転座パートナーをそれぞれが表現する複数の異なる配列(4Cベイト)で得られた、同じ非罹患被験者からの複数の示差的に標識された4C鋳型を、同一アレイに同時にハイブリダイズさせる。関心のある配列(4Cベイト)を含有する染色体に無関係な染色体の線状鋳型上で観察される強力なハイブリダイゼーションシグナルのクラスターは転座パートナー染色体および関心のある配列に関するその切断点を特定する。
転座、欠失、逆位、重複および他のゲノム再編成の、4C技術による検出のために使用する物質(材料)は、罹患被験者および/または非罹患被験者からの生細胞および/または死細胞および/または核ライセートおよび/または単離されたクロマチンなど(本明細書に記載されているとおり)を架橋する(そして更に、記載されているとおりに加工する)ことにより得られうる。
逆位の検出
逆位(例えば、平衡逆位)は、比較ゲノムハイブリダイゼーション技術のような方法によっては検出できないが、(平衡)逆位が4C配列(ベイト)に近い(例えば、約1〜15Mbまたはそれ以上まで)場合には特に、4C技術により検出されうる。
(平衡)逆位の検出は、罹患被験者と非罹患被験者との間で異なっていたDNA-DNA相互作用を特定することに基づく。逆位は、4C配列(ベイト)とみなされる同じ染色体上の近傍の配列に対して測定された、再編成領域の全ての(しかし、最も中心に位置している)配列の物理的DNA鋳型上の相対位置(キロベース単位)を変化させる。DNA-DNA相互作用頻度はゲノム部位分離に逆相関するため、罹患被験者は、非罹患被験者と比較した場合に、再編成ゲノム領域内に位置する全プローブに関するハイブリダイゼーション強度の逆転パターンを与える。したがって、4C技術は(平衡)逆位の位置およびサイズの特定を可能にする。
本発明のこの態様においては、好ましい専用アレイ設計は、逆位または他の再編成が疑われる遺伝子座の周囲の、与えられたサイズ、例えば約50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、1Mb、2Mb、3Mb、4Mb、5Mb、6Mb、6Mb、7Mb、8Mb、9Mbまたは10Mb(例えば、50kb〜10Mb)のゲノム領域を表現する単一アレイ上のプローブを含む。
もう1つの好ましい専用アレイ設計においては、単一アレイ上のプローブは、逆位または他の再編成が疑われる遺伝子座の周囲の、与えられたサイズ(50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、1Mb、2Mbなど)のゲノム領域を表現する。シグナル強度の信頼性ある定量的分析のためには、アレイ上に存在するプローブの量は、典型的には、該アレイにハイブリダイズする対応断片の量に対して大過剰である。したがって、各プローブをアレイ上に複数回(例えば、10、20、50、100、1000回など)存在させる必要があるかもしれない。また、アレイにハイブリダイズさせる鋳型の量を滴定することが必要かもしれない。
欠失の検出
欠失の検出は、罹患被験者と非罹患被験者との間で異なっていたDNA-DNA相互作用の特定に基づく。欠失は、該欠失領域の近く(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15Mbまたはそれ以上)に位置する4C配列(ベイト)とのDNA相互作用の非存在を招く。これは、該欠失が両方の対立遺伝子上に存在する場合(ホモ接合)には、再編成領域内に位置する全プローブに関するハイブリダイゼーションシグナルの完全な非存在を招くことが可能であり、あるいは該欠失が一方の対立遺伝子上にのみ存在する場合(ヘテロ接合)には、非罹患被験者に対する罹患被験者のシグナル強度の減少を招きうる。欠失は、物理的DNA鋳型上、より遠い配列を、分析される4C配列(ベイト)に、より接近させ、これは、該欠失領域を直接越えて位置するプローブに関する、より強力なハイブリダイゼーションシグナルを与える。
重複の検出
重複の検出は、典型的には、罹患被験者と非罹患被験者との間で異なるDNA-DNA相互作用の特定に基づく。重複領域内のプローブは、対照非罹患被験者からのシグナルと比較して、該再編成領域の近く(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15Mbまたはそれ以上)に位置する4C配列(ベイト)とのハイブリダイゼーションシグナルの増強を示す。該重複領域を越えるプローブは4C配列から更に遠く、その結果、対照非罹患被験者からのシグナルと比較してハイブリダイゼーションシグナルの減少を示す。
好ましくは、対照と比較した場合の被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少は重複または挿入を示す。
好ましくは、対照と比較した場合の被験者サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加、および/またはより遠い領域に関するDNA-DNA相互作用頻度の減少は、重複または挿入を示す。
出生前診断
好都合にも、4C技術は出生前診断にも用いられうる。
当技術分野で公知の種々の方法を用いて、胎児から核酸を得ることが可能である。一例として、羊水穿刺を用いて羊水を得、それから懸濁状態の胎児細胞を抽出し、数日間培養することが可能である(Mercier & Bresson (1995) Ann. Gnt., 38, 151-157)。ついで該細胞からの核酸を抽出することが可能である。絨毛膜絨毛の採集は、該培養工程を省略し羊水の採集を回避することを可能にしうる。これらの技術はより早期(絨毛膜絨毛の採集のためには妊娠7週まで及び羊水穿刺のためには13〜14週)に適用可能であるが、流産のリスクの若干の増加を伴う。
核酸を得るために、臍帯レベルでの胎児血液の直接的な採集も用いられうるが、典型的には、これは、この技術に精通した臨床家のチームを必要とする(Donnerら (1996) Fetal Diagn. Ther., 10, 192-199)。
好都合にも、遺伝的異常(例えば、ゲノムまたは染色体異常)、例えば染色体および核酸における再編成、転座、逆位、挿入、欠失および他の突然変異がこの段階で検出されうる。
好ましくは、遺伝的異常(例えば、ゲノムまたは染色体異常)、例えば染色体21、18、13、XまたはYにおける再編成、転座、逆位、挿入、欠失および他の突然変異、そしてまた、染色体21、18、13、XまたはYの一部または全部の喪失または獲得が検出されうる。なぜなら、これらは、胎児における異常の大多数が生じる染色体だからである。
ゲノム組込み部位の決定
4C技術はまた、ゲノム内の異なる位置に複数のコピーが挿入された場合にも、ウイルスおよびトランスジーンなどのゲノム組込み部位の決定を可能にする(図3に記載されているとおり)。
ある転座を獲得する素因の決定
好都合なことに、4C技術は、遺伝的異常に頻繁に関与する遺伝子座のゲノム環境を測定するために、非罹患被験者にも適用されうる。このように、ある遺伝的異常を獲得する該被験者の素因を決定することが可能である。
したがって、本明細書に記載されている医学的用途に加えて、本発明は診断において使用されうる。
多重(マルチプレックス)4C
本発明は、関心のある1以上のヌクレオチド配列との複数の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度の同時分析を可能にする。増幅は、多重PCRを用いて達成されうる。そのような方法は、平衡および非平衡ゲノム再編成、すなわち、ゲノム内のいずれかの場所で生じた可能性のある転座、逆位、欠失および重複に関する非偏向スクリーニングを可能にする。該方法は、非常に高い分解能、典型的には20キロベース以内(平均5kb)で、再編成の切断点を特定するために使用されうる。該方法を、前記のとおりの診断用途、例えば出生前診断、出生後診断において、ならびに腫瘍および他の罹患サンプルの分析のために使用して、疾患の根底にある又は疾患に対する素因を被験者にもたらすゲノム再編成を特定することが可能である。関心のある増幅ヌクレオチド配列は、適合化された4Cマイクロアレイ(前記のとおり)上で、またはゲノムタイリングマイクロアレイ上で、または本明細書に詳細に記載されている配列決定により分析されうる。
疾患に関連していることが知られている複数の遺伝子座における再編成の同時スクリーニング
多数の疾患、症候群または表現型に関して、原因となる複数の可能なDNA変化が公知であり、疾患/症候群/表現型の根底にある厳密な再編成を特定するために被験者をスクリーニングする必要がある。例えば、リンパ芽球性白血病の場合、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL、免疫グロブリン遺伝子座、LYL1、TAL1、TAL2、TCRα/δ、TCRβ、HOXおよび恐らくは他の遺伝子座が関わる再編成が該疾患の根底にあり、与えれた疾患を有する患者においてどの遺伝子座および再編成が関与しているのかを特定するために4C技術が適用されうる。
この実施形態においては、4C技術は、関心のある遺伝子座のそれぞれに向けられる。各遺伝子座を別々に分析することが可能であるが、複数の遺伝子座を単一アレイ上で同時に分析することも可能である。したがって、4Cスクリーニングは、再編成に関して分析する必要のある遺伝子座のそれぞれの近くの1以上の標的ヌクレオチド配列と相互作用するDNA要素の(インバース)PCR増幅を含みうる。これらの遺伝子座における又は該遺伝子座の近くの標的配列は、本明細書に記載されている基準に基づいて選択される。
関心のあるヌクレオチド配列の増幅を各標的ヌクレオチド配列に関して別々に行うことが可能であり、あるいは多重(インバース)PCRにより1つの反応容量において同時に行うことが可能である。後者は、種々の標的ヌクレオチド配列と相互作用する、関心のあるヌクレオチド配列が、該分析を損なうことなく同一に標識されうる場合に好ましい。これは、例えば、異なる染色体上に遺伝子座が位置する場合、またはDNA-DNA相互作用シグナル間の最小重複に十分な程度に遠い距離離れて同じ染色体上に遺伝子座が位置する場合、または異なる標的ヌクレオチド配列から増幅されたDNA-DNA相互作用間の重複がゲノム再編成の検出を妨げない場合に当てはまりうる。
種々の標的ヌクレオチド配列と相互作用する、関心のあるヌクレオチド配列の増幅は、好ましくは、DNA-DNA相互作用の各セットが異なって標識される必要がある場合またはインバースPCRプライマーセットが互いの増幅効率を妨げる場合には、別々に行われうる。
種々の標的ヌクレオチド配列と相互作用する、関心のある示差的または同一に標識された配列は、前記のとおり、完全ゲノム(例えば、高密度アレイまたはタイリングアレイ)または選択されたゲノム部分を表現するプローブを含有する単一または複数のマイクロアレイにハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションシグナルは、対照サンプルで得られたものと比較され、この場合、対照サンプルと比較して該試験において測定されたDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少は、試験サンプルにおけるDNA再編成を示す。
ゲノム内の未知位置における再編成に関する非偏向全ゲノムスクリーニング
第2の実施形態においては、再編成が未知である及び/又は未知位置で生じる場合の罹患(または非罹患)被験者からのサンプルにおける再編成を特定するための非偏向全ゲノムスクリーニングに、4C技術を適用する。この実施形態においては、該再編成に近い標的配列は選択され得ない。したがって、該標的配列が該疾患に関連していることは知られておらず、また、疑われない。むしろ、調べるべきクロマチンの十分なカバーが得られるよう、それらは、選択されたゲノムの全体またはゲノムの一部にわたって分布するよう選択される。好ましくは、ゲノム全体がカバーされる。
例えば、標的配列は、関心のあるそれらの相互作用配列(たいていは、標的配列を直に取り囲む配列、すなわち、標的配列から5、10、15、20、25、30、35、40または45〜45Mb以内の配列である)が、ゲノムの全体もしくは実質部分または染色体または染色体の一部をカバーするよう選択される。これは、任意の被験者または細胞型に存在する物理的染色体地図の再構築を可能にする。
線状染色体鋳型上の隣接する2つの標的配列が重複相互作用DNA配列(すなわち、重複しているゲノム環境)を有するためには、それらは、例えば、お互いから5、10、15、20、25、30、35、40、45または50〜100Mb離れている必要がある。したがって、〜10Mb離れた標的配列で全ゲノム(2〜3×109bp)をカバーするためには、200〜300個の標的配列が要求される。〜50Mb離れた標的配列で全ゲノムをカバーするためには、40〜60個の標的配列が要求される。究極的な実施形態においては、全ゲノムをカバーするために、染色体当たりただ1つの標的配列が要求される。
標的配列と相互作用する、関心のある全てのヌクレオチド配列は、多重(インバース)PCRにより一緒に単一反応混合物(または限られた数の反応混合物)中で、あるいは後にプールされうる別々の(インバース)PCR反応において、4Cの場合と同様に増幅される。多重PCRは、種々の標的ヌクレオチド配列と相互作用する、関心のあるヌクレオチド配列が、該分析を損なうことなく同一に標識されうる場合に好ましい。与えられた標的配列に属するDNA-DNA相互作用の各組合せが異なって標識される必要がある場合および/またはインバースPCRプライマーセットが互いの増幅効率を妨げる場合には、増幅は各標的ヌクレオチド配列ごとに別々に行われる。
欠失、挿入および重複ならびに(平衡および非平衡)逆位のような染色体内再編成の特定
1つの好ましい実施形態においては、試験サンプル(例えば、患者サンプル)からの標的配列のセットと相互作用する全ての増幅DNA配列を同一に標識し、全ゲノム相互作用頻度を対照サンプル(例えば、健常被験者からのもの)のこれらと比較する。対照サンプルおよび試験サンプルは同一アレイに異なる色でハイブリダイズされることが可能であり、あるいはそれらは、異なるアレイにハイブリダイズされ比較されることが可能である。対照サンプルと比較した場合の試験サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少は試験サンプルにおける重複/挿入または欠失を示す。それは逆位をも示しうる。
図18および19は、このようにして4Cにより特定された欠失を示す。
もう1つの好ましい実施形態においては、試験サンプル(例えば、患者サンプル)からの標的配列のセットと相互作用する増幅DNA配列は二色で標識され、この場合、それらの色は、線状染色体鋳型上で隣接する標的配列に関して交互となる。隣接する標的配列は、それらの配列が重複するのに十分な程度に線状染色体鋳型上で接近している。したがって、隣接する標的配列は、例えば、お互いから5、10、15、20、25、30、35、40、45〜50Mb離れていることが可能である。そのような実験計画は、与えられた標的配列に近い飽和ハイブリダイゼーションシグナルにより再編成が見落とされることを防ぐ。全ゲノム相互作用頻度は対照サンプル(例えば、健常被験者からのもの)のこれらと比較される。対照サンプルおよび試験サンプルは示差的に標識され同一アレイにハイブリダイズされることが可能であり、あるいはそれらは、異なるアレイにハイブリダイズされ比較されることが可能である。対照サンプルと比較した場合の試験サンプルに関するDNA-DNA相互作用頻度の増加または減少は試験サンプルにおける重複/挿入または欠失を示す。それは逆位をも示しうる。
逆位を特定するため、ゲノムの再編成部分に隣接する又は該再編成部分内の標的配列に関する後続の4C分析を行うことが可能である。対照サンプルと比較した場合のハイブリダイゼーションシグナルの逆転パターンは試験サンプルにおける逆位を示す。これを図20に示す。
もう1つの好ましい実施形態においては、染色体鋳型上に並置された異なる標的配列と相互作用する、関心のあるヌクレオチド配列は、異なる染料で標識される。再編成は、対照サンプルと比較した場合の患者サンプルにおける相互作用DNAシグナルの出現または消失により検出される。これを図21〜23に示す。
平衡および非平衡転座の特定
もう1つの好ましい実施形態においては、複数の染料(例えば、48種類の染料)が利用可能であり、各染色体は2つの特有の染料で標識され、この場合、線状染色体鋳型上で隣接する標的配列間でそれらの染料が交互となるよう、標識が行われる。全てのDNA断片は、全ゲノムを表現するプローブを含有するアレイに一緒にハイブリダイズされうる。試験サンプルにおいては見出されるが対照サンプルにおいては見出されない染色体間のDNA-DNA相互作用の特定は転座を示し、2つの再編成染色体を特定する。無関係な染色体上の低から高へのシグナルの変化はDNA切断点付近の一次制限酵素認識部位を特定する。
転座が平衡している場合、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに直に隣接する互いに排他的なプローブセット上で2つの染色体特異的染料のそれぞれは強力なハイブリダイゼーションシグナルを与えるはずである。この無関係な染色体上の切断点は、陽性ハイブリダイゼーションシグナルを示す2つのプローブセットの間に位置する。図24を参照されたい。
染色体1:染色体7転座を含む患者サンプルを試験した場合、図25に示す結果が得られた。この特定のサンプルにおいては、アレイ上の標的配列は、HindIII部位の隣に位置する選択された配列を表現していた(標的配列の偏向に関しては前記を参照されたい)。
切断点におけるDNAの喪失を伴って転座(すなわち、非平衡転座)が生じた場合、それらの2つの染色体特異的染料のそれぞれは、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに直に隣接しない無関係な染色体上の互いに排他的なプローブセット上で、強力なハイブリダイゼーションシグナルを生成する。染色体間DNA-DNA相互作用を示す2つのプローブセットの間の無関係な染色体上に位置するプローブは、喪失したゲノム領域を表現する。この領域の最も外側のプローブは、無関係な染色体上の切断点の近くの制限部位を示す(図26を参照されたい)。
切断点における未知量の欠失DNAを伴う染色体4:染色体7転座を含む患者サンプルを試験した場合、図27に示す結果が得られた。この特定のサンプルにおいては、アレイ上の標的配列は再び、HindIII部位の隣に位置する選択された配列を表現していた。該結果は、該転座および該欠失(約2Mb)の両方が検出されることを示している。
さらにもう1つの好ましい実施形態においては、複数の染料(例えば、24種類の染料)が利用可能であり、各染色体を示差的に標識するために使用される(図28)。したがって、同じ染色体上に存在する標的配列と相互作用する全DNA配列は同一に標識され、他の染色体上に位置するものとは異なる。試験サンプルにおいては見出されるが対照サンプルにおいては見出されない染色体間のDNA-DNA相互作用の特定は転座を示し、それらの2つの再編成染色体を特定する。
転座に関与する染色体に特異的に向けられた後続の4C分析は切断点の特定を可能にする。この場合、1つ又はそれぞれの染色体は2つの特有の染料で標識され、それらの染料は、線状染色体鋳型上で隣接する標的配列と相互作用するDNA断片間で交互となるよう使用される。
転座が平衡している場合、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに直に隣接する互いに排他的なプローブセット上で2つの染色体特異的染料のそれぞれは強力なハイブリダイゼーションシグナルを与えるはずである。この無関係な染色体上の切断点は、陽性ハイブリダイゼーションシグナルを示す2つのプローブセットの間に位置する。
切断点におけるDNAの喪失を伴って転座(すなわち、非平衡転座)が生じた場合、それらの2つの染色体特異的染料のそれぞれは、無関係な染色体の線状鋳型上で互いに直に隣接しない無関係な染色体上の互いに排他的なプローブセット上で、強力なハイブリダイゼーションシグナルを生成する。染色体間DNA-DNA相互作用を示す2つのプローブセットの間の無関係な染色体上に位置するプローブは、喪失したゲノム領域を表現する。この領域の最も外側のプローブは、無関係な染色体上の切断点の近くの制限部位を示す。
もう1つの好ましい実施形態においては、24種類未満の染料が利用可能であり、各染料は、同じ染色体上に存在する標的配列と相互作用する全DNA断片を特有に標識するために使用される。したがって、1、2、3、4、6、8、10、12種類などの染料で、1、2、3、4、6、8、10、12個などの染色体が特有に標識されうる。これらの染色体のそれぞれに属する標識DNA断片は、全ゲノムを表現するプローブを含有するアレイに一緒にハイブリダイズされうる。無関係な染色体上のDNA-DNA相互作用を表すハイブリダイゼーションシグナルの出現はこの染色体を転座パートナーとして特定する。転座に関与する染色体に特異的に向けられる後続の4C分析は切断点の特定を可能にする(前記のとおり)。
もう1つの好ましい実施形態においては、48種類未満の染料が利用可能であり、各染色体は2つの特有の染料で標識され、それらの染料は、線状染色体鋳型上で隣接する標的配列と相互作用するDNA断片間で交互となるよう使用される。したがって、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24種類などの染料で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個などの染色体が特有に標識されうる。全DNA断片は、全ゲノムを表現するプローブを含有するアレイに一緒にハイブリダイズされうる。無関係な染色体上のハイブリダイゼーションシグナルは染色体間DNA-DNA相互作用を表し、この染色体を転座パートナーとして特定する。無関係な染色体上の低から高へのシグナルの変化はDNA切断点付近の一次制限酵素認識部位を特定する。
さらにもう1つの好ましい実施形態においては、48種類未満の染料が利用可能であり、各染色体は3以上の特有の染料で標識され、それらの染料は、線状染色体鋳型上で隣接する標的配列と相互作用するDNA断片間で交互となるよう使用される。全DNA断片は、全ゲノムを表現するプローブを含有するアレイに一緒にハイブリダイズされうる。無関係な染色体上のハイブリダイゼーションシグナルは染色体間DNA-DNA相互作用を表し、この染色体を転座パートナーとして特定する。無関係な染色体上の低から高へのシグナルの変化はDNA切断点付近の一次制限酵素認識部位を特定する。
他の転座切断点の特定方法
前記の方法のいずれかにより1つの染色体上で特定された切断点は次いで、転座パートナー染色体上の切断点を特定するために使用されうる。これは、例えば、その他の染色体の配列内に読み込まれる1つの染色体に特異的なプライマーを使用する、DNA結合部にわたる広範囲(long-range)PCRまたは連結媒介(LM)PCRまたはインバースPCR[(非架橋)ゲノムDNAの制限酵素消化および再連結により得られたDNA環上でのもの]により得られた産物の配列決定により行われうる。
1つの好ましい実施形態においては、ゲノム再編成に関する前記スクリーニングのそれぞれの後、候補切断点付近の標的配列に向けられた専用の4C実験を行って、それらをそのようなものとして明白に特定することが可能である。
種々のタイプのゲノム再編成の検出のための前記の方法の幾つかの態様を組合せて、それらの存在に関して該ゲノムを同時スクリーニングすることが可能である。
4Cアレイの代わりにゲノムタイリングアレイを使用する場合、患者サンプルにおいては観察されるが対照サンプルにおいては観察されない、線状染色体鋳型上に並置されたプローブのシグナル強度の変化は、(DNA切断点付近の一次制限酵素認識部位ではなく)ゲノム再編成に関連した切断点を示す。
配列決定
ハイスループットDNA配列決定は、大きなDNA配列集団を分析するための、手ごろ且つより定量的な、マイクロアレイの代替手段となる見込みがある。ハイスループット配列決定アプローチの具体例はE.Y. Chan, Mutation Reseach 573 (2005) 13-40に挙げられており、末端付近配列決定アプローチ、例えばサイクル伸長アプローチ、ポリメラーゼ読取りアプローチおよびエキソヌクレアーゼ配列決定、革命的配列決定アプローチ、例えばDNAスキャニングおよびナノポア配列決定ならびに直接線形(direct linear)分析を含む(これらに限定されるものではない)。現在のハイスループット配列決定方法の具体例としては、454(ピロ)配列決定、Solexa Genome Analysis System、Agencourt SOLiD配列決定方法(Applied Biosystems)、MS-PET配列決定(Ngら, 2006, http://nar.oxfordjournals.org/cgi/content/full/34/12/e84)が挙げられる。
配列決定は、4Cおよびゲノム相互作用の検出に基づく他のアプローチの結果のハイスループット分析におけるアレイハイブリダイゼーションに取って代わりうる。配列の出現の頻度はゲノムにおける関連性の頻度を示し、前記においてハイブリダイゼーション結果を分析したのと同様に分析されうる。
配列決定は、請求項1に記載の工程a〜gにより得られた鋳型上で行われる。あるいは、配列決定は、Lomvardasら, Cell 126, 403-413, July 28, 2006またはLingら, Science 312, 14 April 2006, 269-272に記載されている方法により得られたPCR産物上で行われうる。
配列決定は、PCR産物の、一方または両方の末端から開始される。PCR産物の両末端は既知ヌクレオチド組成のヌクレオチド配列よりなり(少なくとも一方の末端は標的ヌクレオチド配列である)、標的ヌクレオチド配列に相互作用し連結された関心のあるヌクレオチド配列に隣接している。用いる配列決定方法に応じて、PCR産物の、一方または両方の末端に、アダプターを付加する必要があるかもしれない。アダプターは、関心のある配列決定方法に必要なオリゴヌクレオチド配列であることが可能であり、該オリゴヌクレオチド配列は、例えば、それらが捕捉されることを可能にする部分を含有していても含有していなくてもよい。アダプターは、直接的に又はPCR産物の末端を平滑化した後、PCR産物に連結されうる。あるいは、工程g(請求項1)において使用されるPCRプライマーセットは、アダプター配列に相当する突出部を含有することが可能であり、あるいは、PCR産物の各末端に特異的または非特異的なアダプターの後続の連結に使用されうる制限酵素切断部位を導入する突出部を含有することが可能である。
単一のヌクレオチド標的配列と相互作用するDNA配列を特定するための4C実験においては、関心のあるヌクレオチド配列を特定するために十分な配列情報が得られるよう、配列決定は、一次連結事象(工程c)および/または二次連結事象(工程f)を越えて読取る必要がある。典型的には、これは、関心のあるヌクレオチド配列内へ連結結合部を越えて少なくとも8〜30ヌクレオチドの伸長の配列決定および特定を要する(図28を参照されたい)。
多重4Cにおいては、一緒になって連結産物を形成する標的ヌクレオチド配列および関心のあるヌクレオチド配列の両方を特定するために十分な配列情報が得られるよう、配列決定は、一次連結事象(工程c)および/または二次連結事象(工程f)を越えて読取る必要がある。典型的には、これは、連結結合部の各側における8〜30ヌクレオチドの伸長の配列決定および特定を要する。標的ヌクレオチド配列の特定は、「ホームアドレス」を伴う各連結産物を与える。標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程gにおいて使用されるプライマーは、この「ホームアドレス」を配列決定が明白に特定するのに十分な程度に一次および二次連結結合部から遠い距離に位置する必要がある。配列決定方法に応じて、この距離は、連結結合部から少なくとも0、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100ヌクレオチド離れたものでありうる。
単一および多重4Cにおいて、PCR産物が、標的ヌクレオチド配列に各側で隣接した関心のあるヌクレオチド配列よりなる場合、一次連結接合部を越えるPCR産物の一末端からの読取り及び二次連結接合部を越えるPCR産物の他末端からの読取りは、同じ情報を与える。したがって、PCR産物の一末端から得られた配列はDNA-DNA相互作用の分析に十分である。PCR産物の他末端から得られた配列は、データを相補し又は実証するために用いられうる。図29を参照されたい。
実際の配列反応のプライミングは、それぞれのハイスループット配列決定形態により通常使用される標準的なプライマーを使用して行われうる。それはまた、与えられた標的配列により捕捉された配列を増幅するために使用されるインバースPCRプライマーに部分的または完全に重複する特別に作製された配列決定プライマーで行われうる。これはインバースPCRプライマー配列全体の再読取りを妨げ、捕捉断片の、より多数のヌクレオチドの読取りを可能にし、したがってこれは、より容易に特定されゲノムにマッピング(位置決定)されうる。ついで、これらの特別に作製された配列決定プライマーは、該配列決定プライマーに相補的なDNA鎖として通常使用されるアダプター配列に部分的にアニーリングされうる。
多重設定においては、分析に含まれる各標的断片がそれ自身の特有の配列プライマーを有するよう、アダプター配列とインバースPCR増幅DNA産物の外側末端との両方と重複する多重配列決定プライマーが同時に使用されうる。インバースPCR増幅DNA産物の外側末端(すなわち、インバースPCRプライマー配列)との重複は、標的配列の十分なヌクレオチドが配列決定に尚も利用可能となり、各標的配列(ホームアドレス)が明白に特定されうるようなものであるべきである。同時に分析される標的配列の性質および数に応じて、これは、1つの実施形態においては、配列決定プライマーが、標的配列と捕捉配列との間の結合部を形成する制限部位から1〜20ヌクレオチド離れてハイブリダイズしうることを意味する。また、標的配列と捕捉配列との各組合せの特定は、分析される各DNA断片の両末端の配列情報を与えるジ-タグ(di-tag)配列決定を用いて行われうる。
もう1つの実施形態においては、配列決定プライマーは各標的配列に関して設計され、この場合、該プライマーは、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位に近くなり、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位に部分的または完全に重複しうるよう設計される。1つの実施形態においては、用いるハイスループット配列決定技術はSolexa(Illumina)配列決定である。
1つの実施形態においては、配列決定は一次制限酵素認識部位の側に向けられうる。これは、第2連結工程中に生じるランダム連結事象を読取ることを妨げる。
1つの実施形態においては、配列決定は二次制限酵素認識部位の側に向けられうる。
データ分析
4C技術により分析された連結産物は、「ホームアドレス」(標的ヌクレオチド配列)および関心のある相互作用性ヌクレオチド配列(「トラベルアドレス」)から構成される。単一4Cの場合、この「ホームアドレス」は既知である(分析された1つの標的ヌクレオチド配列)。
多重4Cにおいては、「ホームアドレス」は、得られた標的ヌクレオチド配列を、該分析に含まれる全標的ヌクレオチド配列を含有するライブラリー/データベースと電子的に比較することにより特定される。得られた「トラベルアドレス」(すなわち、関心のあるヌクレオチド配列)は、その配列を、選択された一次および二次制限酵素認識部位の間に位置する全ゲノムDNA断片を含有するライブラリー/データベースと電子的に比較することにより特定される。
データを可視化し分析を促進するために、好ましい実施形態においては、各配列決定連結産物を、「トラベルアドレス」(関心のあるヌクレオチド配列)のゲノム位置において、染色体の線状鋳型に沿って図式的にプロットする。特有のカラーコードは各連結産物の「ホームアドレス」を表し、各連結産物の検出の頻度が図式的に示される。ゲノム再編成は、1つのサンプル(例えば、患者から得られたもの)において測定された各相互作用頻度を、他方のサンプル(例えば、健常被験者からのもの)において測定されたもので割り算することによって検出されうる。また、これらの値は線状染色体鋳型に沿ってプロットされうる。
試験サンプルにおけるDNA-DNA相互作用頻度の減少は欠失を示す。典型的には、これは、標的配列から測定された、最も遠い切断点を越える配列に関するDNA-DNA相互作用頻度の増加と同時に生じる。試験サンプルにおけるDNA-DNA相互作用頻度の増加は重複を示す。典型的には、これは、標的配列から測定された、最も遠い切断点を越える配列に関するDNA-DNA相互作用頻度の減少と同時に生じる。試験サンプルにおけるDNA-DNA相互作用頻度の逆転はゲノム逆位を示す。染色体間のDNA-DNA相互作用の検出は転座を示す。マイクロアレイ分析に関して記載されているのと同様にして、切断点が検出される。
生物マーカー
疾患に関連した転座、逆位および欠失のような再編成の特定は、該疾患を診断するために使用されうる生物マーカーの特定を可能にする。例えば、与えられた再編成を検出するハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーが設計され、患者において該疾患を診断するために使用される。該プライマーを使用して、病態において再編成を受けやすい領域が増幅されるよう、当技術分野で公知の技術によりPCRプローブが設計されうる。増幅産物の性質は該疾患の存在または非存在を示す。あるいは、該再編成の存在または非存在下に排他的にハイブリダイズするハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーが設計されうる。再編成から生じた融合タンパク質は、当技術分野で公知の技術により設計された抗体での抗体検出またはマススペクトロメトリーのような技術により検出されうる。
被験者
「被験者」なる語は、哺乳動物、例えば動物およびヒトを含む。
物質
物質は有機化合物または他の化学物質でありうる。物質は、天然物であるか人工物であるかにかかわらず、任意の適当な起源から入手可能な又は製造される化合物でありうる。物質は、アミノ酸分子、ポリペプチドまたはそれらの化学誘導体またはそれらの組合せでありうる。物質は更には、ポリヌクレオチド分子であることが可能であり、これはセンスもしくはアンチセンス分子、または抗体、例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体もしくはモノクローナルヒト化抗体でありうる。
抗体産生ヒト細胞系を必要としない、ヒト特性を有するモノクローナル抗体を得るための種々の方法が開発されている。例えば、げっ歯類可変領域およびヒト定常領域を連結することにより、有用なマウスモノクローナル抗体が「ヒト化」されている(Winter, G.およびMilstein, C. (1991) Nature 349, 293-299)。これは抗体のヒト抗マウス免疫原性を減少させるが、外来V領域フレームワークのおかげで残存免疫原性が保有されている。さらに、抗原結合特異性は、実質的に、マウスドナーのものである。CDRグラフティングおよびフレームワーク操作(EP 0239400)は、ヒトにおける治療用途に許容されるヒト化マウス抗体を製造することが可能な程度にまで、抗体操作を改善し洗練している。ヒト化抗体は、当技術分野でよく知られた他の方法(例えばUS-A-239400に記載されているもの)を用いても得られうる。
物質は、加水分解可能な二官能性リンカーでありうるリンカーにより実体(例えば、有機分子)に結合されうる。
該実体は設計可能であり、またはペプチドおよび小有機分子のような他の化合物を含みうる化合物のライブラリーから得られうる。
例えば、該実体は、天然物、生物学的巨大分子、または生物学的物質から調製された抽出物、例えば、細菌、真菌または動物(好ましくは哺乳動物)細胞もしくは組織、有機または無機分子、合成物質、半合成物質、構造的または機能的模倣体、ペプチド、ペプチド模倣体、全タンパク質から切断されたペプチド、合成的に(例えば、一例として、ペプチド合成装置を使用して、または組換え技術により、またはそれらの組合せにより)合成されたペプチド、組換え物質、抗体、天然または非天然物、融合タンパク質またはその等価体、およびそれらの突然変異体、誘導体または組合せでありうる。
典型的には、該実体は有機化合物である。いくつかの場合には、該有機化合物は2以上のヒドロカルビル基を含む。この場合、「ヒドロカルビル基」は、少なくともCおよびHを含む基を意味し、場合によっては、1以上の他の適当な置換基を含みうる。そのような置換基の具体例には、ハロ-、アルコキシ-、ニトロ-、アルキル基、環状基などが含まれる。環状基である置換基の可能性に加えて、置換基の組合せが環状基を形成しうる。ヒドロカルビル基が2以上のCを含む場合、それらの炭素は必ずしも互いに連結している必要はない。例えば、該炭素の少なくとも2つは適当な要素または基を介して連結されうる。したがって、ヒドロカルビル基はヘテロ原子を含有しうる。適当なヘテロ原子は当業者に明らかであり、例えば、硫黄、窒素および酸素を包含する。いくつかの用途においては、好ましくは、該実体は少なくとも1つの環状基を含む。該環状基は、多環式基、例えば非縮合多環式基でありうる。いくつかの用途においては、該実体は、別のヒドロカルビル基に連結された少なくとも1つの該環状基を含む。
該実体は、ハロ基、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基を含有しうる。
該実体は、非分枝または分枝鎖でありうる、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキレンおよびアルケニレン基の1以上を含有しうる。
疾患
本発明の態様は、例えばWO-A-98/09985に一覧されているような、疾患の治療および/または予防および/または診断および/または予後判定に使用されうる。
参照の便宜のため、その一覧の一部を以下に示す:マクロファージ抑制および/またはT細胞抑制活性、そしてひいては抗炎症活性;抗免疫活性、すなわち、炎症に関連していない応答を含む細胞性および/または体液性免疫応答に対する抑制効果;ウイルスおよび/または他の細胞内病原体に関連した疾患;細胞外マトリックス成分およびフィブロネクチンにマクロファージおよびT細胞が付着する能力の抑制、ならびにT細胞におけるfas受容体発現のアップレギュレーション;望ましくない免疫反応および炎症、例えば以下のものの抑制:関節炎、例えば慢性関節リウマチ、過敏症に関連した炎症、アレルギー反応、喘息、全身エリテマトーデス、コラーゲン疾患および他の自己免疫疾患、アテローム硬化症、動脈硬化症、アテローム硬化性心疾患、再潅流損傷、心停止、心筋梗塞、血管炎症障害、呼吸窮迫症候群または他の心肺疾患に関連した炎症、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎および胃腸管の他の疾患に関連した炎症、肝線維症、肝硬変または他の肝疾患、甲状腺炎または他の腺疾患、糸球体腎炎または他の腎臓および泌尿器疾患、耳炎または他の耳鼻喉頭疾患、皮膚炎または他の皮膚疾患、歯周病または他の歯科疾患、精巣炎または精巣上体炎、不妊症、精巣外傷または他の免疫関連精巣疾患、胎盤機能不全、胎盤不全、習慣性流産、子癇症、子癇前症および他の免疫および/または免疫関連婦人科疾患、後部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ぶどう膜網膜炎、視神経炎、眼内炎症、例えば網膜炎または嚢胞様黄斑浮腫、交感性眼炎、強膜炎、網膜色素変性症、変性性眼底疾患の免疫および炎症成分、眼外傷の炎症成分、感染により引き起こされる眼炎症、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過剰瘢痕、例えば緑内障濾過手術の後のもの、眼インプラントに対する免疫および/または炎症反応ならびに他の免疫および炎症関連眼疾患、中枢神経系(CNS)において又は任意の他の器官において共に、免疫および/または炎症抑制が有益である自己免疫疾患または状態または障害に関連した炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の治療からの合併症および/または副作用、エイズ関連痴呆症候群、HIV関連脳症、デビック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病および他の変性疾患、CNSの状態または障害、卒中の炎症成分、ポリオ後症候群、精神障害、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎、脳脊髄炎、急性ニューロパシー、亜急性ニューロパシー、慢性ニューロパシー、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、重症筋無力症、偽性脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症の免疫および炎症成分、CNS圧迫またはCNS外傷またはCNSの感染の炎症成分、筋萎縮症およびジストロフィーの炎症成分、ならびに中枢および末梢神経系の免疫および炎症関連疾患、状態または障害、外傷後炎症、敗血症ショック、感染症、手術の炎症性合併症または副作用、骨髄移植または他の移植合併症および/または副作用、遺伝子治療の炎症性および/または免疫合併症および副作用、例えばウイルスキャリヤーの感染によるもの、またはエイズに関連した炎症、体液性および/または細胞性免疫の抑制または阻害、単球またはリンパ球の量を減少させることによる単球または白血球増殖疾患、例えば白血病の治療または改善、天然または人工細胞、組織および器官、角膜、骨髄、臓器、レンズ、ペースメーカー、天然または人工皮膚組織の移植の場合の移植片拒絶の予防および/または治療。具体的な癌関連障害には、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:充実性腫瘍;血液由来腫瘍、例えば白血病;腫瘍転移;良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコーマおよび血管拡張性肉芽腫;慢性関節リウマチ;乾癬;眼血管新生疾患、例えば糖尿病網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス;オスラー・ウェッバー症候群;心筋血管新生;プラーク血管新生;毛細血管拡張;血友病関節症;血管線維腫;創傷顆粒形成;冠状動脈側枝;脳側枝;動静脈奇形;虚血性四肢血管新生;血管新生緑内障;水晶体後線維増殖症;糖尿病性血管新生;ヘリオバクター関連疾患、骨折、血管形成、造血、排卵、月経および胎盤形成。
好ましくは、該疾患は癌、例えば急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄球様白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、血液癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、女性生殖系の癌、男性生殖系の癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児横紋筋肉腫、小児肉腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮内膜肉腫、食道癌、眼癌、胆嚢癌、胃癌、胃腸管癌、毛髪様細胞白血病、頭部頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、下咽頭癌、カポジ肉腫、腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、悪性線維性組織球腫、悪性胸腺腫、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経系癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、口峡癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、傍甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、呼吸系、網膜芽細胞腫、唾液腺癌、皮膚癌、小腸癌、軟部肉腫、胃癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿路系癌、子宮肉腫、膣癌、脈管、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症ならびにウィルムス腫瘍である。
キット
本発明の方法において使用する物質(材料)はキットの製造に理想的に適合される。
そのようなキットは容器を含むことが可能であり、そのそれぞれは、例えば一次制限酵素、二次制限酵素、架橋剤、連結酵素(例えば、リガーゼ)および架橋を逆転させる物質(例えば、プロテイナーゼK)を含む本明細書に記載の方法で使用される種々の試薬(典型的には濃縮形態)の1以上を含有する。
オリゴヌクレオチドは、例えば凍結乾燥形態または溶液形態(例えば、蒸留水または緩衝溶液)などの任意の形態であることが可能であり、同様に容器中で提供されうる。
本発明の好ましい態様においては、本明細書に記載のプローブのセット、アレイおよび場合によっては1以上の標識を含むキットを提供する。
典型的には、一式の説明も含まれる。
用途
好都合にも、本発明は、例えばin vitroまたはin vivoにおけるゲノム遺伝子座のようなヌクレオチド配列の空間的構成に関する情報を得るために使用されうる。
1つの例としては、4C技術は、1以上の遺伝子座の三次元構成を研究するために用いられうる。特に、この技術は、1以上の遺伝子座の三次元構成における1以上の転写因子の役割を研究するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、トランス作用性因子およびシス調節性DNA要素の役割を研究するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、in vitroまたはin vivoにおける長距離遺伝子調節を研究するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、染色体内の接近性および相互作用を研究するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、染色体間の接近性および相互作用を研究するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、絶縁体、遺伝子座制御領域、複製起点、MAR、SAR、動原体、テロメアまたは調節ネットワークにおける関心のある任意の他の配列と共に機能するヌクレオチド配列を特定するために用いられうる。
もう1つの例としては、突然変異および/または欠失がたまたま遠位調節要素に影響を及ぼし従ってそれらの位置決定がそのような情報を提供しない場合に、4C技術は、表現型(疾患)の原因となる遺伝子を特定するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、最終的に、遺伝子座、大きなゲノム領域または更には完全染色体の空間的構成を再構築するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、核空間内で或る染色体を一緒に維持する潜在的アンカー配列を定めるために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、最終的に、互いに対する複数の染色体の位置を高分解能で再構築するために用いられうる。
もう1つの例としては、4C技術は、ゲノム再編成および/または異常、例えば転座、欠失、逆位、重複を検出または特定するための診断(例えば、出生前診断)において用いられうる。
一般的な組換えDNA法・技術
本発明は、特に示されない限り、当業者の能力の範囲内である、化学、分子生物学、微生物、組換えDNAおよび免疫学の通常の技術を用いる。そのような技術は文献において説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. FritschおよびT. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. Mら. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13および16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. CrabtreeおよびA. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; M. J. Gait (編), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; ならびにD. M. J. LilleyおよびJ. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Pressを参照されたい。これらの一般的テキストのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする。
つぎに、実施例により本発明を更に詳しく説明することとするが、該実施例は、本発明の実施において当業者を補助するよう役立つものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(実施例1)
図2、13、14、15、16、17、19に合った材料および方法の節
4C技術
3C技術の手法の初期工程を、既に記載されているとおり(Splinterら (2004). Methods Enzymol 375, 493-507 (2004))に行って、HindIII断片間の連結産物を得た。このHindIII連結3C鋳型(〜50μg)(100ng/μl)を、頻繁に切断する二次制限酵素(50U)(DpnII(HS2, Rad23A)またはNlaIII(β-メジャー))で一晩消化した。DNA環形成における制約(Rippeら (1995) Trends Biochem Sci 20, 500-6)を回避するために、関心のある制限断片(すなわち、「ベイト」)の境界を定めるHindIII制限部位から約350〜400bp以内を切断しない二次制限酵素を選択するよう留意した。二次制限酵素消化後、DNAをフェノール抽出し、エタノール沈殿させ、ついで低濃度で連結し(200Uリガーゼ(Roche)を使用して、14ml中、サンプル50μg、16℃で4時間)て、DpnII-またはDpnII-環形成を促した。連結産物をフェノール抽出し、エタノール沈殿させた(担体としてグリコーゲン(Roche)(20μg/ml)を使用した)。制限酵素SpeI(HS2)、PstI(Rad23A)およびPflmI(β-メジャー)を使用して、一次および二次制限酵素認識部位間で該ベイトを切断する50Uの三次制限酵素で一晩消化することにより、関心のある環を線状化した。この線状化工程は、PCR増幅の第1ラウンド中の後続のプライマーハイブリダイゼーションを促進するために行った。QIAquickヌクレオチド取り出し(250)カラム(Qiagen)を使用して、消化された産物を精製した。
1.2kb(4C-PCR断片の80%は600bpより小さい)までの大きさに調整された断片の線状増幅が保証されるよう注意深く最適化された条件を用い、Expand Long Template PCR系 (Roche)を用いて、PCR反応を行った。PCR条件は以下のとおりであった:94℃で2分間、以下の30サイクル:94℃で15秒間、55℃で1分間および68℃で3分間ならびにそれに続く68℃で7分間の最終工程。増幅の直線範囲を尚も示す鋳型の最大量を決定した。このためには、鋳型の系列希釈物をPCR反応に加え、増幅されたDNA物質をアガロースゲル上で泳動させ、ImageQuantソフトウェアを使用してPCR産物を定量した。典型的には、50μlのPCR反応当たり100〜200ngの鋳型は増幅の直線範囲内の産物を与えた。16〜32個のPCR反応をプールし、QIAquickヌクレオチド取り出し(250)系(Qiagen)を使用して、この4C鋳型を精製した。精製された4C鋳型を標識し、標準的なChIP-チッププロトコール(Nimblegen Systems of Iceland, LLC)を用いてアレイにハイブリダイズさせた。該4C法において使用した一次および二次酵素で消化された示差的に標識されたゲノムDNAを、ハイブリダイゼーション効率における相違に関して補正するための対照鋳型として使用した。各実験において、2つの異なって処理されたサンプルを交互染料配向で標識した。
使用した4Cプライマー配列:
HS2: 5’-ACTTCCTACACATTAACGAGCC-3’,
5’- GCTGTTATCCCTTTCTCTTCTAC-3’
Rad23A: 5’- tcacacgcgaagtaggcc-3’,
5’- ccttcctccaccatgatga-3’
β-メジャー: 5’-AACGCATTTGCTCAATCAACTACTG-3’,
5’-GTTGCTCCTCACATTTGCTTCTGAC-3’。
4Cアレイ
アレイおよび分析はNCBIビルド(build)m34に基づくものであった。HindIII部位の上流および下流の100bpの配列からプローブ(60マー)を選択した。均一なハイブリダイゼーションシグナルのために、CG含量を50%に最適化した。交差ハイブリダイゼーションを避けるために、高い存在量の反復配列(RepBase 10.09)3に対して何らかの類似性を有するプローブを該プローブセットから除いた。また、該ゲノムにおいて3以上のBLASTヒットを示すプローブも該プローブセットから除いた。標準的な設定を用いるMegaBLAST(Zhangら (2000) J Comput Biol 7, 203-14)を用いて、配列アライメントを行った。ヒットは30ntまたはそれより長いアライメントと定義された。
4Cデータ分析
4Cサンプル/ゲノムDNAのシグナル比を各プローブごとに計算し、Nimblegen Systemsにより提供されるSignalMapソフトウェアを使用して該データを可視化した。Rパッケージ(http://www.r-project.org)、SpotfireおよびExcelを使用して、データを分析した。未処理ハイブリダイゼーション比は染色体鋳型に沿って20〜50の陽性4Cシグナルのクラスターを示した。これらのクラスターを定めるために、移動平均を適用した。すべて同一クラスターとして特定された9〜39プローブの範囲の種々のウィンドウサイズを用いた。示されている結果は29プローブ(平均60kb)のウィンドウサイズに基づくものであり、これらを、ランダム化されたデータにわたって行った移動平均と比較した。これを各アレイごとに別々に行った。その結果、すべての測定値はその特異的アレイの最大反応およびノイズに対して評価した。(偽陽性数)/(偽陽性数 + 真陽性数)として定められる偽発見率(False Discovery Rate)(FDR)を以下のとおり決定した:(ランダム化セットにおける陽性数)/(該データにおける陽性数)。FDR < 0.05となる最小値を確定するために、トップ・ダウン(top down)アプローチを用いて、閾値レベルを決定した。
つぎに、生物学的重複実験を比較した。両方の重複実験における閾値を満たすウィンドウを陽性とみなした。ランダム化データを比較する場合、どちらの重複実験においても、どのウィンドウも閾値を超えなかった。染色体鋳型上で直に隣接する陽性ウィンドウを連結して(ギャプは許容されない)、陽性領域を作製した。
発現分析
各組織に関して、Affymetrixプロトコール(マウス430 2アレイ)により、3つの独立したマイクロアレイを行った。RMA ca-ツール(www.bioconductor.org)を用いてデータを正規化し、各プローブセットに関して、それらの3つのマイクロアレイの測定値を平均した。また、複数のプローブセットが同一遺伝子を表す場合、それらも平均した。Mas5calls(Affyライブラリー: www.bioconductor.org)を用いて、「存在」、「非存在」および「境界」呼出し(call)を確定した。全3つのアレイにおいて「存在」呼出しおよび50より大きな発現値を有する遺伝子を、発現されたと称することとした。「胎児肝特異的遺伝子」は、胎児肝臓において発現されたという本発明者らの基準を満たす遺伝子として分類され、胎児脳の5倍を超える高い発現値を有していた。各遺伝子の周囲の全体的な転写活性の尺度を得るために、移動和を適用した。このために、本発明者らは、対数変換された発現値を使用した。各遺伝子ごとに、該遺伝子の開始部位の100kb上流および末端の100kb下流のウィンドウ(該遺伝子自体を含む)において見出された全遺伝子の発現の和を計算した。陽性4C領域の内部で見出された活性遺伝子に関する得られた値(肝臓におけるHS2、脳におけるRad23Aおよび肝臓におけるRad23Aに関して、それぞれ、n = 124、123および208)を、陽性4C領域の外部の活性遺伝子に関して得られた値(それぞれ、n = 153、301および186; ここで、n = 153は、染色体7のテロメアと最も動原体側の相互作用性領域との間に存在する活性な非相互作用性遺伝子の数に対応する)と比較し、片側Wilcoxon順位和検定を用いて、それらの2つの群を比較した。
FISHプローブ
以下のBACクローン(BACPAC Resources Centre)を使用した:Hbb-1に関するRP23-370E12、80.1Mbにおけるchr.7に関するRP23-317H16(OR遺伝子クラスター)、Urosに関するRP23-334E9、118.3 Mbにおけるchr.7に関するRP23-32C19、130.1Mbにおけるchr.7に関するRP23-143F10、73.1Mbにおけるchr.7に関するRP23-470N5、135.0Mbにおけるchr.7に関するRP23-247L11(OR遺伝子クラスター)、Rad23Aに関するRP23-136A15、21.8 Mbにおけるchr.8に関するRP23-307P24および122.4 Mbにおけるchr.8に関するRP23-460F21。染色体7動原体特異的プローブのために、DNAセグメントD7Mit21にアニールするP1クローン5279(Genome Systems Inc.)を使用した。BioPrime Array CGH Genomic Labeling System(Invitrogen)を使用して、ランダムプライム標識プローブを調製した。標識前に、DNAをDpnIIで消化し、DNA清浄および濃縮(clean and concentrator)-5キット(Zymo research)で精製した。消化DNA(300ng)をSpectrumGreen dUTP(Vysis)またはAlexaフルオル(fluor)594 dUTP(Molecular probes)で標識し、GFX PCR DNAおよびGel Band Purificationキット(Amersham Biosciences)で精製して、取り込まれていないヌクレオチドを除去した。標識プローブの特異性を、マウスES細胞から調製された中期スプレッド(spread)に関して試験した。
低温FISH
既に記載されているとおりに5、低温FISHを行った。簡潔に説明すると、E14.5肝臓および脳を4%パラホルムアルデヒド/250mM HEPES(pH7.5)中で20分間固定し、小さい組織塊に切断し、ついで8%パラホルムアルデヒド中、4℃で2時間の別の固定工程を行った。固定された組織塊を室温で20分間、2.3Mスクロース中に浸漬し、試料ホルダー上にマウントし、液体窒素中で急速凍結した。凍結付属装置を備えたReichert Ultramicrotome E(Leica)を使用して、約200nmの超薄凍結切片を切断した。スクロースで満たされたループを使用して、切片をカバーガラスに移し、-20℃で保存した。ハイブリダイゼーションのために、切片をPBSで洗浄してスクロースを除去し、2×SSC中の250ng/ml RNアーゼで37℃で1時間処理し、0.1M HCL中、10分間インキュベートし、一連のエタノール中で脱水し、70%ホルムアミド/2×SSC(pH7.5)中、80℃で8分間変性させた。プローブハイブリダイゼーションの直前に、切片を再び脱水した。500ngの標識プローブを5μgのマウスCotl DNA(Invitrogen)で共沈させ、ハイブミックス(hybmix)(50%ホルムアミド、10% 硫酸デキストラン、2×SSC、50mM リン酸バッファー, pH 7.5)中に溶解させた。プローブを95℃で5分間変性させ、37℃で30分間、再アニールさせ、37℃で少なくとも40時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後の洗浄の後、核をPBS/0.05% Tween-20中、20ng/ml DAPI(Sigma)で対比染色し、Prolong Gold抗退色試薬(Molecular Probes)中でマウントした。
CCDカメラおよびIsis FISH Imaging Systemソフトウェア(Metasystems)を備えたZeiss Axio Imager Z1エピ蛍光顕微鏡(×100プラン・アポクロマート, 1.4油浸対物)を使用して、イメージを集めた。該切片に適用されたプローブの組合せを知らない者により、少なくとも250個のβグロビンまたはRad23A対立遺伝子が分析され、ゲノム内のどこかに位置するBACと重複している又は重複していない、と評価された。4C陽性領域と4C陰性領域に関して測定された値の差の有意性を評価するために、重複適合度検定(G統計)6を行った。結果の概観を表2に示す。
本発明者らは、バックグラウンド(0.4〜3.9%)および真(5〜20.4%)の相互作用頻度の間の統計的に有意な差を見出したが、低温FISHにより測定された頻度は、異なるFISHプロトコールを用いる他の方法により測定されたものより低いことが明らかであろう。切片化はいくつかの相互作用遺伝子座を分離することがあり、したがって低温FISH測定は真の相互作用頻度を若干過小評価するであろう。一方、現在の2Dおよび3D FISH法は、z方向における限られた分解能のため、これらの割合を過大評価するであろう。将来、より特異的なFISHプローブと組合された改良された顕微鏡検査技術は真の相互作用頻度をより良好に示すであろう。
(実施例2)
3C法(すなわち、ホルムアルデヒド固定、(一次)制限酵素消化、架橋DNA断片の再連結およびDNA精製)を、文献(Splinterら, (2004) Methods Enzymol. 375: 493-507)に記載されているのと実質的に同じ方法で行って、核空間内で元々接近していたために連結された制限断片を含有するDNA混合物(「3C鋳型」)を得た。
与えられた制限断片(「ベイト」;それがプロモーター、エンハンサー、絶縁体、マトリックス結合領域、複製起点または任意の他の第1(標的)ヌクレオチド配列を含有するため、選択される)に連結された全断片を増幅するために、インバースPCRを行う。
このために、3C鋳型を二次制限酵素(好ましくは、4または5ヌクレオチド配列を認識する頻繁に切断する酵素)で消化し、ついで、分子内相互作用を有利にする希釈条件下で連結することにより、DNA環を得る。トポロジー束縛(Rippeら, (2001) Trends in Biochem. Sciences 26, 733-40)による環形成における偏向を最小にするために、好ましくは、一次制限部位から> 350〜400bpにおいてベイトを切断する二次制限酵素を選択すべきである。インバースPCR増幅効率および再現性を増加させるために、PCR増幅の前に、特徴的な一次制限部位および二次制限部位の間でベイトを切断する制限酵素(例えば、6bp以上の切断酵素)により、環は最も良く線状化される。
二次制限酵素での3C鋳型の消化、希釈条件下での連結による環化、およびベイト含有環の線状化を、そのようなDNA操作に標準的な条件下で行って、インバースPCR増幅のためのDNA鋳型(「4C鋳型」)を得る。
したがって、10μgの3C鋳型を100μl中、20Uの二次制限酵素で消化し(一晩)、ついで該酵素の熱不活性化およびDNA精製を行う。連結を10ml(1ng/μl DNA)中、50UのT4リガーゼで行い(16℃で4時間、室温で30分間)、ついでDNA精製を行う。最後に、100μl中、20Uの制限酵素で、関心のある環の線状化を行い(一晩)、ついで再びDNA精製を行う。
インバースPCRのために、2つのベイト特異的プライマーを設計する。そのそれぞれは、一次および直に隣接する二次制限酵素認識部位に可能な限り近く、それぞれは、外側を向いたその3'末端を有していて、該制限部位を直接越えてベイト連結断片内に伸長が進行するようになっている。PCR反応当たり最大数の連結事象を含めるために、これらのプライマーでのインバースPCRは、好ましくは、4C鋳型の100〜400ngのDNA(50μlのPCR反応混合物当たり)上で行う。Expand Long Template PCR System (Roche)を使用し、該製造業者の手法に従いバッファー1を使用して、インバースPCRを行う。
以下のPCRサイクルを行う。
1.94℃で2分間、
2.94℃で15秒間、
3.55℃で1分間、
4.68℃で3分間、
5.工程2〜4の29回(または25〜40回のいずれか)の反復、
6.68℃で7分間。
7.終了。
個々のPCR反応間の再現性を分析するために、ゲル電気泳動を行う。典型的には、同一の産物パターンが得られるはずである。
ランダムプライミングによる標識およびアレイハイブリダイゼーションのための十分な物質を得るために、(反応当たりのPCRサイクル数を増加させる代わりに)複数のPCR反応(それぞれ、30サイクルのPCRの後に得た)をプールすることが可能である。ランダムプライムド標識の代替手段として、標識されたヌクレオチドをPCRの最終サイクルに組込むことが可能である(例えば、30サイクル(無標識) + 10サイクル(標識))。
(実施例3)
4C技術を用いる転座の検出
健常被験者からの細胞および染色体AとBとの間に単一の相互転座(切断点は配列Xに近い)を有する患者からの細胞における与えられた染色体A上に存在する与えられた配列Xに関する相互作用頻度を測定するために、4C技術を用いる(図8に示されているとおり)。
正常細胞においては、この分析は、染色体A上の配列Xの0.2〜10Mb内に位置する(ほとんど)全てのプローブに関してハイブリダイゼーションシグナルの上昇(すなわち、Xとの頻繁な相互作用)を示す(強力な架橋シグナルを示す染色体領域の実際のサイズは、大抵は、アレイにハイブリダイズしたサンプルの複雑さに左右される)。同じ染色体A上および他の染色体上のどこにおいても、ハイブリダイゼーションシグナルの上昇を伴うプローブのそのような大きな領域(線状DNA鋳型上)は観察されない。
しかし、患者の細胞においては、切断点の反対側に位置する全ての染色体Aプローブでのハイブリダイゼーションシグナルは〜50%減少し(染色体Aのコピーの1つは尚も無傷なままであり、正常シグナルを生成する)、一方、染色体B上の切断点に隣接するプローブでは、特有(すなわち、正常細胞には存在しない)濃度の、上昇したハイブリダイゼーションシグナルが観察される。実際、染色体B上で無および強力ハイブリダイゼーションシグナルを示すプローブ間の急な変化は染色体B上の切断点の位置を示す。
(実施例4)
4C技術の結果の分析
マウスβ-グロビン遺伝子座制御領域(LCR)のゲノム環境を特徴づけるために、その超感受性部位2(HS2)を含有する制限断片に焦点を合わせて、4C技術を用いた。LCRは、高レベルのβ-グロビン遺伝子発現に要求される強力な赤芽球特異的転写調節要素である。β-グロビン遺伝子座は染色体7上の97Mbの位置に存在し、ここで、それは、嗅ニューロンにおいてのみ転写される嗅覚受容体遺伝子の大きな2.9Mbのクラスター内に存在する。2つの組織(すなわち、LCRが活性でありβ-グロビン遺伝子が高度に転写されるE14.5胎児肝臓、およびLCRが不活性であり該グロビン遺伝子がサイレントであるE14.5胎児脳)において、相互作用を分析した。どちらの場合も、相互作用の大多数は染色体7上の配列で見出され、6つの無関係な染色体(8、10、11、12、13、14)では非常に少数のLCR相互作用が検出されたに過ぎなかった(図12a)。β-グロビンの染色体位置辺りを中心とする5〜10Mbの範囲内で染色体7上の最強シグナルが見出されたが、これは、相互作用頻度が、物理的に連結されたDNA配列間の距離(塩基対単位)に反比例するという見解と一致する。この領域内の相互作用を定量的に解釈することは不可能であった。これらの近傍配列は非常に頻繁にβ-グロビンと一緒になっていて、本発明者らのハイブリダイゼーションサンプルにおけるそれらの大きな過剰発現が対応プローブを飽和させた、と本発明者らは推論している。本発明者らは、1:10および1:100で希釈されたサンプルでハイブリダイゼーションを行い、シグナル強度がプローブの外部および末端においては減少したがこの領域の内部では減少しなかったことを見出しており(データ非表示)、これにより該推論は証明された。
4C法は、高い再現性のデータを与えた。図2b〜cは、β-グロビン遺伝子から約25Mbおよび80Mb離れた染色体7上の2つの1.5Mbの領域に関する対照ハイブリダイゼーションシグナルに対する4Cシグナルの未処理比を示す。この分解能レベルでは、独立に処理されたサンプルからの結果はほとんど同じであった。胎児肝臓および脳のどちらにおいても、陽性シグナルのクラスターが染色体7上で確認され、しばしば、β-グロビンから数十メガベース離れた染色体位置で確認された。これらのクラスターは、典型的には、染色体鋳型上に並置された増加したシグナル比を伴う少なくとも25〜50プローブよりなるものであった(図12b〜c)。該アレイ上の各プローブは、独立した連結事象を分析する。さらに、細胞当たり僅か2コピーのHS2制限断片が存在し、それらのそれぞれは1つの他の制限断片に連結しうるに過ぎない。したがって、20以上の隣接する制限断片での独立した連結事象の検出は、対応遺伝子座が複数細胞内のβ-グロビンLCRと接触することを強く示している。
これらのクラスターの統計的有意性を示すために、個々の実験のデータを染色体地図上に配置し、約60kbのウィンドウサイズで移動平均アルゴリズムを使用して分析した。ランダムにシャッフルされたデータの移動平均分布を用いて、5%の偽発見率を許容する閾値を設定した。この分析は胎児肝臓における66個のクラスターおよび脳における45個のクラスター(これらは重複実験において再現可能に見出された)を特定した(図12d〜f)。実際、高分解能FISHは、そのようなクラスターが、頻繁に相互作用する遺伝子座を真に表すことを証明した(後記を参照されたい)。
このように、4C技術は、染色体位置においてクラスター化した複数の制限断片での独立した連結事象の検出により長距離相互作用性遺伝子座を特定する。
HS2の〜50kb下流に位置するβメジャー遺伝子のゲノム環境を調べる異なるインバースPCRプライマーセットを使用して、完全に独立した一連の4C実験を行った。胎児肝臓においては、βメジャー遺伝子は高度に転写され、LCRと頻繁に接触する。HS2の場合と同様に、βメジャーとの長距離相互作用のほぼ同じクラスターが胎児肝臓および脳の両方において見出され、このことは、これらの遺伝子座がβ-グロビン遺伝子座と頻繁に接触することを更に立証するものである(図16)。
(実施例5)
活性および不活性β-グロビン遺伝子座は異なるゲノム環境を占拠する
2つの組織間の比較は、胎児肝臓における活発に転写されるβ-グロビン遺伝子座が、脳におけるその転写的にサイレントな対応物とは完全に異なる組合せの遺伝子座と相互作用することを示した(τ=-0.03; Spearman順位相関)(図12f)。これは、結果がプローブの配列組成による影響を受けていることを排除した。胎児肝臓においては、相互作用性DNAセグメントは、β-グロビン遺伝子座辺りを中心とする70Mbの領域内に位置し、過半数(40/66)が、染色体7のテロメアに向かって位置していた。胎児脳においては、相互作用性遺伝子座は、胎児肝臓と比べて類似した又はより一層大きな、β-グロビンからの距離において見出され、大多数(43/45)は、染色体7の動原体に向かって位置していた。これらのデータは、該活性および不活性β-グロビン遺伝子座が、染色体7の異なる部分と接触することを示した。
6つの他の染色体(8、10、11、12、13および14)がマイクロアレイ上で表された。これらの染色体上の強力なハイブリダイゼーションシグナルは稀であり、典型的には、線状DNA鋳型上で孤立して現れ、重複実験では存在しないことが多かった。また、これらの染色体にわたる移動平均レベルは、染色体7に関して得られたレベルに、再現可能な様態で決して近づかなかった(図17)。したがって、本発明者のデータは、β-グロビン遺伝子座が、大抵は、同じ染色体上のどこかの遺伝子座と接触することを示し、これは、それ自身の染色体領域の内部のこの遺伝子座の好ましい位置と合致していた。本発明者らは、α-グロビン遺伝子座も該アレイ(染色体11)上に存在し、β-グロビンとの相互作用に関して陽性を示さなかったことに注目しており、これは、マウスα-およびβ-グロビンが核空間内で頻繁には遭遇しないというFISHによる最近の実証に合致している(Brown, J. M.ら (2006) J Cell Biol 172, 177-87)。
染色体7上の観察された長距離相互作用の関連性をより良く理解するために、本発明者らは、相互作用性遺伝子座を遺伝子の染色体位置と比較した。また、2つの組織におけるこれらの位置での転写活性を決定するために、Affymetrix発現アレイ分析を行った。胎児肝臓および脳における相互作用性領域の平均サイズは比較しうるものであったが(それぞれ183kbおよび159kb)、それらの遺伝子含量および活性において劇的な相違が観察された。胎児肝臓においては、β-グロビン相互作用性遺伝子座の80%が1以上の活発に転写される遺伝子を含有し、胎児脳においては、大多数(87%)が、検出可能な遺伝子活性を示さなかった(図14)。したがって、β-グロビン遺伝子座はそれらの2つの組織における非常に異なるゲノム環境内に埋め込まれている。該遺伝子座が活性ではない脳においては、それは主として、染色体7の動原体に向かって位置する転写的にサイレントな遺伝子座と接触する。該遺伝子座が非常に活性である胎児肝臓においては、それは、染色体7のテロメア側に向かって、より目だって位置する活発に転写される領域と優先的に相互作用する。重要なことに、FISHによりなされたこれまでの観察(Osborne, C. S.ら (2004) Nat Genet 36, 1065-71 (2004))に合致して、4C技術は、UrosおよびEraf(β-グロビンから〜30Mb離れている)の両方を、胎児肝臓における活性β-グロビン遺伝子座と相互作用する遺伝子として特定した。興味深いことに、脳においては、β-グロビンの各側ならびにβ-グロビンから17および37Mb離れた位置に位置する染色体7上に存在する2つの他の嗅覚受容体遺伝子クラスターとの接触が観察された。
染色体7上の全ての転写領域が胎児肝臓において活性β-グロビン遺伝子座と相互作用するわけではない。したがって、胎児肝臓において相互作用性遺伝子座により専ら共有されており他の活性領域によっては共有されていない特徴を探索した。β-グロビン遺伝子UrosおよびErafは全て、転写因子の同一セットにより調節されうる赤芽球特異的遺伝子であり、これらの因子が核空間内でそれらの標的遺伝子の発現を調整していることは、興味深い見解である。胎児肝臓において優先的(>5倍以上)に発現される遺伝子を特定するために、E14.5胎児肝臓からのAffymetrix発現アレイデータを胎児脳のものと比較した。そのようなものとして、染色体7上の活性遺伝子の28%が「胎児肝臓特異的」として分類され、そのうちの25%は共局在領域内で見出された。したがって、本発明者らは、該共局在領域において「胎児肝臓特異的」遺伝子の富化を見出さなかった。より重要なことに、66個中49個(74%)の相互作用領域は「胎児肝臓特異的」を含有しておらず、したがって、本発明者らのデータは核空間内での組織特異的遺伝子の同調的発現の証拠を示さなかったと結論づけられる。β-グロビン遺伝子は非常に高率で転写され、つぎの疑問は、該遺伝子座が、高発現遺伝子であるか又は高密度の活性遺伝子を有する領域である高い転写活性の他の領域と優先的に相互作用するのかどうかであった。遺伝子活性の尺度としてAffymetrix計数を用いて、活発に転写される遺伝子の周囲の200kbの領域内の全体的な転写活性を測定するために移動和アルゴリズムを行った。この分析は、染色体7上において、相互作用性遺伝子の周囲の転写活性が非相互作用性遺伝子の周囲ほどは高くないことを示した(p = 0.9867; Wilcoxon順位和)。
(実施例6)
ハウスキーピング遺伝子のゲノム環境は組織間で概ね保存されている
つぎに、両方の組織において同様に発現される遺伝子もそのゲノム環境に切り替えるのかどうかを調べた。Rad23Aは、染色体8上の主にハウスキーピング遺伝子の遺伝子密集クラスター内に存在する遍在的に発現される遺伝子である。E14.5胎児肝臓および脳の両方において、この遺伝子、およびその直接隣接遺伝子の多くは活性である。4C分析を行ったところ、これはRad23Aから70Mbまでの遺伝子座との多数の長距離相互作用を特定した。重要なことに、Rad23Aとの相互作用は胎児肝臓と脳との間で高く相関づけられた(τ=0.73; Spearman順位相関)(図14a)。この場合も、これらの遺伝子座の共有された特徴は、活発に転写される遺伝子をそれらが含有していることであった。したがって、どちらの組織においても、約70%は少なくとも1つの活性遺伝子を含有していた(図14b〜c)。移動和アルゴリズムにより測定したところ、相互作用性遺伝子の周囲の領域は、該染色体上の活性遺伝子と比べて、統計的に有意な、より高いレベルの遺伝子活性を示した(両方の組織に関してp<0.001)。したがって、β-グロビン遺伝子座とは異なり、遺伝子に富む領域内に位置するRad23A遺伝子は、転写活性の上昇を伴う他の染色体領域と距離を隔てて優先的に相互作用する。Rad23Aを含有する染色体領域は主としてその染色体領域の縁部(90%)または外部(10%)に存在することがFISHにより観察された(未公開, D. Noordermeer, M. Branco, A. PomboおよびW. de Laat)。しかし、4C分析は染色体内相互作用を示したに過ぎず、染色体7、10、11、12、13または14上の領域はいずれも、相互作用に関する本発明者らの厳密な基準を再現可能な様態では満たさなかった。したがって、Rad23Aは、主として、2つの非常に異なる組織において類似している染色体内相互作用に関与している。Rad23Aがこれらの無関係な染色体上に好ましい隣接遺伝子座を有する場合、それらは、4C技術のためにここで用いられる条件下で検出されるのに十分なほどに頻繁には相互作用しない。
(実施例7)
高分解能顕微鏡検査による4C技術の妥当性評価
4C技術により得られた結果の妥当性を評価するために、低温FISH実験を行った。低温FISHは、最近開発された顕微鏡検査技術であり、これは、超薄低温切片の調製によりz軸における分解能の改善をもたらしつつ核超微細構造をより良好に維持するという、現在の3D-FISHプロトコールに対する利点を有する(Branco, M. R. & Pombo, A (2006). PLoS Biol 4, e138)。どのくらい頻繁にβ-グロビンまたはRad23A対立遺伝子(常にn>250)が、E14.5肝臓および脳から調製された200nm超薄切片において、選択された15を超える染色体領域と共局在しているのかを測定することにより、4Cデータの妥当性を評価した。重要なことに、低温FISHにより測定された全ての相互作用頻度は4Cの結果と完全に合致した(図16)。例えば、β-グロビンと相互作用することが4C技術により確認された遠隔領域は、4C技術により検出されない介在領域より頻繁に共局在していた(それぞれ、7.4%および9.7%対3.6%および3.5%)。また、胎児脳においてはβ-グロビンと相互作用するが肝臓においては相互作用しないことが4C技術により確認されたそれらの2つの遠隔嗅覚受容体遺伝子クラスターは、脳においてはそれぞれ12.9%および7%の共局在頻度を示し、一方、肝臓切片においては3.6%および1.9%の共局在頻度を示した。要約すると、4C技術により陽性であると特定された遺伝子に関して測定された共局在頻度は全て、バックグラウンド遺伝子座に関して測定された頻度より有意に高かった(p<0.05; G検定)。本発明者らは、4C技術が相互作用性DNA遺伝子座を忠実に特定すると結論づけた。最後に、β-グロビンと相互作用すると確認された遺伝子座がお互いとも頻繁に接触することを示すために、低温FISHを用いた。これは、胎児肝臓における大きな染色体距離で隔てられた2つの活性領域(図17)、および脳における染色体上で遠く離れた2つの不活性OR遺伝子クラスター(図16)に関して該当した。興味深いことに、これらの2つの離れたOR遺伝子クラスター間の頻繁な接触は胎児肝臓においても見出され、この場合、それらは、活発に転写されるβ-グロビン遺伝子座を含有するOR遺伝子クラスターと相互作用しなかった。これらのデータは、異なるOR遺伝子クラスター間の核相互作用が、分析された胎児脳の特殊性ではないことを示した。嗅ニューロン当たり単一の対立遺伝子のみが転写されることを保証するのに要求される多数のOR遺伝子間の連絡をそのような空間的接触が促進すると推測することは興味深い(Shykind, B. (2005) Hum Mol Genet 14 Spec No 1, R33-9)。
(実施例8)
活性および不活性クロマチンドメインの核構成
本明細書に記載されている観察は、活性なゲノム領域だけでなく不活性なゲノム領域も、多数の長距離接触が関わる核空間内の異なる領域を構成していることを示しており、このことは、各DNAセグメントがそれ自身の好ましい組合せの相互作用を有することを強く示唆している。本発明者らのデータは、β-グロビン遺伝子座のスイッチが入ると、それは転写的にサイレントなゲノム環境を離れ、活性ドメインとの相互作用が促される核領域に進入することを示唆している。転写活性化の際のそのような劇的な再配置は、ある発現レベルに到達する組織特異的遺伝子のみの、そしてより重要なことにはβ-グロビンの場合と同様に線状染色体鋳型上の他の活性遺伝子から孤立して存在する組織特異的遺伝子のみの特徴である可能性が十分にあると予想される。不活性ゲノム遺伝子座間および活性ゲノム遺伝子座間の両方において特定される長距離相互作用の広範なネットワークは、間期中の動的運動の結果というよりは染色体コンホメーションにおける細胞間相違を反映していると提示されている(Chakalovaら (2005) Nat Rev Genet 6, 669-77 (2005))。おそらく、細胞分裂後の種々の度合の脱凝縮が該活性ゲノム領域を不活性クロマチンから追い出し(Gilbert, N.ら (2004) Cell 118, 555-66 (2004))、類似クロマチン組成の遠隔遺伝子座間の接触は、主として、クロマチン結合タンパク質間のアフィニティーにより安定化されるのであろう。遠隔遺伝子座間の空間的並置は機能的でありうるが、また、染色体のアンフォールディングパターンの結果を単純化しうる。個々の遺伝子座は、限られた核体積内で移動しうるが、染色体の全般的コンホメーションは細胞周期の全体にわたって概ね維持され、再セット(resetting)のためには細胞分裂を要するであろう。この見解は、核内部における、タグ付きDNA遺伝子座の、限られた運動を示している生細胞イメージング研究(Chubbら (2002) Curr Biol 12, 439-45 (2002))に合致しており、核クロマチン位置情報が、細胞集団内で保存されることなく、細胞分裂中に頻繁に伝えられることを示している研究(Essers, J.ら, Mol Biol Cell 16, 769-75 (2005); Gerlich, D.ら, Cell 112, 751-64 (2003))に良く適合している。
(実施例9)
原理の証明:4C技術は患者サンプルにおける欠失を正確に検出する(図19)
第1切断点から2Mb(A)または1.3Mb(B)上流(「左側」)に位置する標的ヌクレオチド配列を使用する4Cにより示される、白血病患者において存在する欠失の存在。欠失は欠失領域においてDNA相互作用シグナルの減少を引き起こすが、最終切断点の直下流(「右側」)の配列に関するDNA:DNA相互作用頻度の増加をも引き起こすことに注目されたい。これは、標的ヌクレオチド配列Bとの相互作用を詳細に調べた場合に特に明らかである(下の2つのグラフを参照されたい)。4Cデータに基づいて、該欠失領域の各側におけるプライマーを設計し、配列決定により切断点を特定した。無修飾文字は欠失の上流の配列であり、太字で示されているのは挿入ヌクレオチドであり、下線で示されているのは該欠失の下流の配列である。
(実施例10)
原理の証明:4C技術は患者サンプルにおける平衡転座を正確に検出する(図25)
平衡転座の検出の原理の証明。R. Burnettら, Blood, Vol 84, No 4 (August 15), 1994: pp 1232-1236に記載されているとおりのt(1;7)転座の検出。標的ヌクレオチド配列は染色体7上のTCRb遺伝子座に隣接し、赤色シグナルは、TCRb遺伝子座の上流に位置する標的配列とのDNA:DNA相互作用を表し、青色シグナルは、TCRb遺伝子座の下流に位置する標的配列とのDNA:DNA相互作用を表す。示されているのは、染色体1上で見出された相互作用性DNAシグナルである。上パネルは理論シグナル分布を示す。中および下パネルは実際のシグナル分布を示す。下パネルは、染色体鋳型と並置された、個々のプローブの分解能(resolution)におけるシグナルを示す。平衡転座の場合には、切断点に隣接する標的ヌクレオチド配列は、転座パートナー染色体の線状染色体鋳型上で互いに直に隣接する互いに排他的な組合せの染色体間DNA相互作用シグナルを示すことに注目されたい。配列決定された切断点の位置(Burnettら, 1994に記載されている)が下パネルにおいて矢印で示されている。
(実施例11)
原理の証明:4C技術は患者サンプルにおける非平衡転座を正確に検出する(図27)
非平衡転座の検出。RJ Galjaardら, Am J Med Genet A. 2003 Aug 30;121(2):168-73に記載されているとおりのt(4;7)転座の検出。標的ヌクレオチド配列は染色体7に位置づけられ、示されている相互作用性DNAシグナルは染色体4上に位置づけられる。染色体7上の切断点の上流(5’)および下流(3’)に位置する2つの標的配列を使用した。染色体4上に位置する相互作用性DNAシグナルが示されている(両方の標的配列に関して青色)。この患者においては染色体4上の相互作用性DNA断片のクラスター間の領域が欠失している。上:完全染色体4に関するシグナル。下パネル4Cデータ:染色体4上の切断点付近の11.5MB領域におけるシグナル。これらの4Cデータに基づいて、転座切断点を含有する染色体4上のHindIII制限断片を特定し、それを使用して配列決定により該切断点を位置決定した。この図の下に該配列を示す。ここで、下線配列は染色体4由来であり、太字配列は7および4の両方において見出されたものであり、無修飾文字で示されている配列は染色体7由来である。
(実施例12)
4C技術による平衡ゲノム再変性の迅速高分解能特定
要約
遺伝的変異を研究するための現在の技術は、ヒト集団において頻繁に生じ疾患を引き起こしうる平衡染色体再編成(逆位、転座)を特定できないか、またはそれを正確に特定しない。ここで、本発明者らは、4C技術が、切断点の直接的な配列決定を可能にする分解能(〜7キロベース)で平衡逆位および転座ならびに非平衡転座および欠失を検出することを示す。4C技術は、先天異常および白血病の根底にある再編成を特徴づけるために用いられる。T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)におけるT細胞受容体β遺伝子(TCRB)の新規転座パートナーとしてLMO3遺伝子が特定される。これらの結果は、疾患の診断、予後判定、そして最終的には最適な患者のケアにとって重要なゲノム再編成の正確な分析のための有力な新規臨床研究手段として、4C技術を確立するものである。
序論
染色体再編成(欠失、増幅、逆位、転座)は、それらが遺伝子の獲得もしくは喪失、融合遺伝子の生成または転写調節DNA要素の再配置により遺伝子発現に影響を及ぼす場合に特に、疾患の原因となりうる。生殖系列において生じる再編成は先天性欠損を引き起こすことがあり、体細胞組織におけるものは腫瘍形成を引き起こしうる。ヒトゲノム配列決定計画の完了の後、ゲノム多様性はヒト集団において天然で生じ疾患感受性に関連づけられうることが益々明らかになるにつれて、ヒトゲノムにおける構造変異体を特徴づけることが今や主要目標となっている(1-6)。
マイクロアレイに基づく競合ゲノムハイブリダイゼーション(アレイ-CGH)は、数キロベースまたは更にはそれ未満の分解能で染色体増幅または欠失を検出しうる広く用いられているハイスループットゲノミクスアプローチである。CGHは、欠失または増幅において見られるようなDNAコピー数の変化の測定に基づくものであり、したがって、DNA含量の喪失または獲得を伴わないで生じる転座および逆位を特定することができない。どのくらい頻繁にそのような平衡事象が生じるのかは不明であるが、それらは全構造変異の20%までを構成すると推定されている(7)。現在、それらの検出は、主として、染色体核型決定のような細胞遺伝学的アプローチに基づいたものであり、それは、事象(約20%)を見落とし限られた分解能(最大で5〜10メガベース)しかもたらさないという欠点を有する。これは更に、疾患の根底にある実際の遺伝的異常を特定するための労働集約的な分析を必要とする。ここで、本発明者らは、チップ上クロマチン・コンホメーション捕捉(Chromatin Conformation Capture on Chip)(4C)技術が、染色体切断点の直接的なクローニングおよび配列決定を可能にする分解能(〜7kb、後記を参照されたい)で、平衡および非平衡ゲノム再編成の両方を特定することを示す。重要なことに、この高分解能法は、ゲノム全体をスクリーニングするために単一のマイクロアレイの使用を要するに過ぎず、したがって費用効果的である。
4Cでの本発明者らの初期の結果は、クロマチンのフォールディングおよび与えられた遺伝子座の長距離相互作用がどのようなものであれ、線状染色体鋳型上で接近したDNA断片が最も効率的に常に捕捉されて、標的配列の周囲の少なくとも5〜10メガベースの領域内のプローブに関する、強力で、しばしば更には飽和したハイブリダイゼーションシグナルを与えることを示した。これは、柔軟なクロマチン繊維上で、より近くに位置するDNAセグメントが、より頻繁に相互作用するという見解(9)と合致する。局所断片も、標的配列に向かって頻繁にループする数メガベース離れたセグメントより遥かに効率的に捕捉される(8)。無関係な染色体上に位置するプローブからのシグナルの非常に低い頻度により示されるとおり、制限断片のランダムな捕捉は稀である。したがって、4C技術は、標的配列の周囲の染色体鋳型の物理的地図を再構築することを可能にし、したがって、それはゲノム再編成の結果としてのこれらの地図における変化を特定しうるはずである。
材料および方法
サンプルの調製
T-ALL患者のサンプルおよび健常対照T細胞サンプルを、既に記載されているとおり(Vlierbergheら, Leukemia 20, 1245 (Jul, 2006); Simonisら, Nat Genet 38, 1348 (Nov, 2006))に取り扱った。PAP患者に由来する、EBVでトランスフォームされた細胞系を培養し、既に記載されているとおり(Simonisら, Nat Genet 38, 1348 (Nov, 2006); Galjaardら, Am J Med Genet A 121, 168 (Aug 30, 2003))に取り扱った。
4Cアレイ設計
例えばユニークDNA配列のみを選択する既に記載されている基準(Simonisら, Nat Genet 38, 1348 (Nov, 2006))を用いて、HindIII部位から100bp以内における60bpのプローブを設計した。ニンブルゲン(nimblegen)マイクロアレイ上に適合する400,000プローブでゲノム全体をカバーしうるために、選択を行った。第1に、各側に1個ではなくHindIII断片当たりただ1個のプローブを維持することにより、プローブ数を減少させた。第2に、プローブの間隔がゲノムにわたって可能な限り等しくなるよう、プローブを選択した。
4C分析
以下のプライマー配列を使用して、既に記載されているとおりに(2)、4C分析を行った。
TCRBの5’-末端 CATGAAGAAACGAGCACCC CCTTGATGTTTCTCCCTTTACC
TCRBの3’-末端 TGTCAGGCTCTTCTCCTACAC GTCGTCCAGAACACTCACC
動原体t(4;7) AATCCAGGGCTACTTCCAG CCGTGATGCTATCTGCCA
テロメアt(4;7) TGTTGGAAGACCAGGTGAAG TGTCGTGGAAAGCGAGTG
欠失9 CAATCCCAGATACATTCCTCATACAAATACTTTCCAAGACTGGAC
TCRAの3’側 GAATATGTTATGCTTGATCC TTCCATGAGAGAAGTCTAG
SignalMapソフトウェアを使用して、4Cデータを可視化した。4Cデータの全染色体概観図を作成するために、Rパッケージ(http://www.r-project.org)を使用して29プローブのウィンドウサイズでの移動平均を計算した。
制限断片対形成末端配列決定
まず、10μgのゲノムDNAを500μl中、6塩基を認識する10Uの酵素(HindIII、BglIIまたはEcoRI)で消化した(37℃で2時間)。フェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿によりサンプルを精製した。ついでサンプルを2ml中、40Uのリガーゼ(Roche)で16℃で4時間および20℃で30分間連結した。
連結されたサンプルをフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により精製した。
6塩基を認識する酵素に関して記載されているのと同じ条件下、4塩基を認識する制限酵素(例えば、NlaIIまたはDpnII)で第2の消化を行った。後続の連結も前記のとおりであった。サンプルをフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により精製した。選択された断片を50〜100ngのDNAから、以下の条件を用いてPCR増幅した:94℃で3分間、ついで94℃で15秒間、55℃で1分間および72℃で2分間の30サイクル、ならびに72℃で7分間の1回の最終工程。
結果
転座切断点の特定
これを試験するために、まず、7q35上のT細胞受容体β(TCRB)遺伝子座と1p35上のLCK遺伝子座との間に相互転座t(1;7)(p35;q35)を含有するHSB-2 T-ALL細胞系に4C技術を適用した(10)。2つの独立した4C実験を行った。それぞれの実験は、それぞれ462kbおよび239kbの距離のTCRB遺伝子座における切断点のいずれかの側に位置する染色体7上の異なる制限断片との相互作用を分析した。どちらの場合も、染色体7上のTCRB遺伝子座の周囲の強力なハイブリダイゼーションシグナルが健常対照サンプルおよびHSB-2サンプルにおいて観察された。該対照サンプルは全ての他の染色体上ではシグナルを全く示さないか又はバックグラウンドシグナルを示した(図30A;図33)。これに対して、HSB-2サンプルは、特に1p35上のメガベース領域にわたって、追加的な非常に高いシグナルを示した(図30B)。これらのシグナルは、HSB-2における染色体7上の2つの断片により捕捉された染色体1上の制限断片を表し、このことは、これらの染色体の部分が物理的接近したことを示している。染色体7上の最もテロメア側のTCRB標的配列は、染色体1上のLCK遺伝子の動原体側に向いた制限断片を捕捉した。逆に、最も動原体側のTCRB標的配列は、LCKのテロメア側に向いた断片を捕捉した。これはt(1;7)転座の配向と一致している。さらに、両方の実験において染色体1上で捕捉された第1制限断片は、既に特定されている染色体切断点に直に隣接する。したがって、4Cは、転座切断点を、非捕捉制限断片から捕捉制限断片への変化を表すプローブのペアの間の位置に位置づける。この場合、染色体7標的配列との相互作用を分析する2つの4C実験はそれぞれ、27kb以内の平衡t(1;7)転座に関与する染色体1上の切断点を特定する。
逆位の特定
つぎに、本発明者らは、4Cが逆位をも特定しうるかどうかを試験した。FISHおよびマイクロアレイ発現研究に基づいて染色体7上の逆位inv(7)(p15q35)を含有すると疑われる小児T-ALL患者サンプルに4C技術を適用した。この異常は、他の患者に関して既に記載されているとおり(11, 12)、HOXA遺伝子クラスター内へのTCRB遺伝子座の再編成を招く。この場合も、前記のt(1;7)転座を特定したTCRB標的断片の同一セットを使用して2つの実験を行った。それらの2つの標的配列は、4つの患者サンプルのみにおいて、HOXA遺伝子座の周囲の染色体7の他方の側の数メガベースのDNAをカバーする多数の断片を効率的に捕捉した(図30C〜D)。さらに、各標的配列はHOXA遺伝子クラスターの周囲の遠隔染色体領域を捕捉した。このことは、それらの2つの断片が染色体7の異なる部分に連結されていることを示している。最も3'側のTCRB標的断片は最も3'側のHOXA断片を捕捉し、一方、最も5'側のTCRB標的断片は最も5'側のHOXA断片を捕捉し、したがって、これは該遺伝子座間の逆位を示している。HOXAの周囲の2つの捕捉領域は互いに直に隣接しており、このことは、該逆位が平衡であり、HOXA配列の(広範な)喪失を伴わないことを示している。非捕捉断片と捕捉断片との間の転座を示す2つのプローブは切断点の位置を明らかに、それはHOXAクラスターのHOXA9遺伝子付近の6kb領域に位置づけられた(図30D)。この領域が実際に該切断点を含有するという証明は、制限断片対形成配列決定アプローチを用いる配列決定により得られた(図34)。したがって、4C技術は、平衡転座および逆位を検出しうる最初のハイスループットゲノミクスアプローチであると結論づけられる。4C技術によりもたらされる分解能は切断点の直接的なクローニングを可能にする。したがって、4C技術は、そのような高い分解能で平衡遺伝的事象を検出しうる最初の技術である。
非平衡転座の特定
4C技術の潜在能力を、後軸多指症(PAP)の患者に由来するEBVトランスフォーム化細胞系にそれを適用することにより、更に探究した。PAPは、腓骨指の過剰尺骨により特徴づけられる常染色体優性遺伝障害である。患者の細胞は、t(4;7)(p15.2;q35)の微小欠失を伴う染色体4および7の間の非平衡転座を含有すると、核型分析およびFISHにより予め特徴づけられた。しかし、FISHの分解能が限られたものであったため、欠失の度合および切断点の厳密な位置を定めることができなかった(13)。染色体7の再編成部分の別の側に位置する標的断片(それらのうちの1つは、最も近い切断点から4メガベース離れている)とのDNA相互作用をそれぞれが分析する2つの4C実験を行った(後記を参照されたい)。どちらの実験においても、染色体7上だけではなく染色体4上(4p15.2)においてもゲノム断片が捕捉された(図31A; 図35)。平衡転座に関して見出されたものとは対照的に、2つの標的配列により捕捉された染色体4断片は互いに直に隣接していなかった。1つの切断点は17.28Mbの位置に位置しており(NCBI 36)、もう1つは染色体4の20.08Mbの位置に見出された。このことは、t(4;7)転座が染色体4上の2.8Mbの欠失を伴っていたことを示している。捕捉制限断片から非捕捉断片への変化が切断点の位置を実際に示すことを実証するために、4Cデータからは最も不明瞭であった、20.08Mbに位置する切断点をクローニングし、配列決定した(図31B)。これは、遺伝子SLIT2の内部の20.08Mbにおける染色体4上の切断点の位置を証明しており、それが、該切断点を特定するために使用した標的配列から4Mb離れた染色体7上の遺伝子間配列と再編成されていることを示した。これは、切断点が数メガベース離れている場合であっても、4C標的配列がDNA断片を捕捉し再編成を特定しうることを示している。4C分析がゲノム切断点の両側に向けられた場合、それは、転座または逆位が平衡であるか又は欠失のような追加的再編成を伴っている(すなわち、非平衡)かを直接的に特定しうる。
欠失の特定
つぎに、転座に関連していない欠失を4C技術が特定しうるかどうかを調べた。このために、5染色体9p21上のp15/p16遺伝子座のホモ接合欠失を含有することがアレイ-CGHデータにより認められる別の小児T-ALL患者サンプルを分析した。該欠失の厳密なサイズおよび実際の切断点は不明であった。本発明者らは、推定切断点の1つから〜2Mb離れて位置する標的断片を定めた。予想どおり、該欠失領域の境界を定める、プローブシグナルを欠く領域が観察された(図31C)。健常対照サンプルと比べて、患者サンプルにおいては、該欠失の直下流の領域に関するハイブリダイゼーションシグナルの増加が観察される。これは、該領域が、該欠失のため、該線状鋳型上、標的断片に、より接近しているからである。該4Cデータに基づいて、該切断点を越えた増幅を可能にする、〜2Mbの欠失領域に隣接するPCRプライマーを設計した。該PCR産物の配列決定は、該欠失に隣接する2つの切断点の位置を証明した(図31D)。本発明者らは、4C技術がホモ接合欠失を特定しうると結論づけた。ハイブリダイゼーションシグナルの増加を示す、より下流の配列と組合された、ハイブリダイゼーションシグナルの減少を含む領域として、欠失は現れる。
特徴づけされていない患者サンプル
TCRB遺伝子座またはT細胞受容体α(TCRA)遺伝子座に関連した遺伝的再編成に関する、特徴づけされていないT-ALL患者サンプルのスクリーニングに、4C技術を適用した。T-ALLにおいては、TCR遺伝子座の企てられたVDJ組換え中に、染色体転座が頻繁に生じる。T-ALLに関連した反復性遺伝的異常のいずれをも有さないことが予め示されている(データ非表示)5人のT-ALL患者からのサンプルを、TCRB付近の標的配列およびTCRA付近の標的配列を使用する4C技術により分析した。それらのサンプルはいずれも、TCRA遺伝子座との再編成を示さなかった(データ非表示)。また、5つの患者サンプルのうちの4つはTCRBとの再編成を示さず(図36)、これは次いで、FISHにより確認された。しかし、1つの患者サンプルはTCRBと染色体12のp腕との間の転座を示した(図32A; 図36)。また、該患者は染色体12上に大きな欠失を有することが判明し、これはオリゴ-アレイCGH実験により確認された(データ非表示)。この欠失は転座切断点から〜3Mb離れて位置しており、このことも、4C標的配列が長距離にわたる再編成を特定しうること示している。これまでのところ、T-ALLにおける転座t(7;12)( q35;p12.3)は記載されていない。捕捉制限断片と非捕捉制限断片との間の変化を示す染色体12上の2つのプローブは6kb離れており、Lim-domainonly遺伝子LMO3の直下流に位置していた。これらのプローブが、切断点を含有する領域の境界を定めていることを証明するために、制限断片対形成末端配列決定を用いた。両方の誘導体染色体上に存在する切断点の配列決定は、染色体12が、単一ヌクレオチドの喪失を伴わずに再編成されており、一方、染色体7における切断がTCRB配列の約400kbの欠失を伴っていることを示した(図32B)。この欠失は、おそらく、TCRB遺伝子座の企てられたVDJ組換えに関連した欠失事象により生じたものであろう。どちらの切断点も、未知起源の介在塩基対(それぞれ4および18bp)を含有しており、それらは、通常は同様にVDJ組換え中に組込まれるランダムヌクレオチドに相当しうる。興味深いことに、転座はTCRBのエンハンサーをLMO-3遺伝子の70kb下流に配置し(図32C)、これはTCRBに対するその正常位置に匹敵する。LMO3はT-ALL患者サンプルにおいて通常はオフ状態であるが、該遺伝子はこのT-ALLサンプルにおいては高発現されることを、マイクロアレイ発現データは示した(図37)。タンパク質ファミリーメンバーLMO-1およびLMO-2はT-ALLにおけるTCR遺伝子座の発癌性転座パートナーとして既に見出されているが、LMO3はそうではない。興味深いことに、最近、LMO3は神経芽細胞腫における癌遺伝子として作用することが判明した(14)。したがって、遺伝的異常に関する、特徴づけされていない患者サンプルのスクリーニングに適用された4C技術は、それまで未検出であった転座の発見をもたらし、LMO-3を推定新規T細胞癌遺伝子として確定した。
結論
これらのデータは、4C技術を、相互転座および逆位のような平衡遺伝的異常を特定しうる最初のゲノミクスアプローチとして確定するものである。また、4C技術はホモ接合欠失および転座関連欠失を特定しうることが明らかである。4C技術は、捕捉DNAコピー数の変化に基づいてヘテロ接合非平衡事象をも特定しうる。対形成末端配列決定アプローチ(15)または更には全ゲノム(ハイスループット)配列決定と比較した場合の4C技術の主な利点は、平衡再編成の特定が、切断点を含有する単一配列断片の捕捉に基づくものではなく、その代わりに、4C技術は、切断点を越える数メガベースをカバーする多数の断片の捕捉に基づいて平衡再編成を特定することである。例えば、相互転座は、染色体の一部分上に位置する多数の断片の、別の染色体上に配置された標的配列による捕捉に基づいて特定される。これは、該技術を、他のアプローチより確固たるものにする。4つの異なる再編成に関して実証されたとおり、4C技術の分解能は高く、遺伝的切断点の直接的なクローニングおよび配列決定を可能にする。標的配列から数メガベース離れた切断点でさえ容易に特定されうる。分解能は、制限酵素により生成された平均サイズと実質的に同一である。より小さい断片を生成する酵素の使用はこの技術の分解能をより一層増加させるはずである。無傷DNAを含有する細胞が単離(または培養)されうる限り、あらゆる種類の細胞型、例えば血液癌細胞、充実性腫瘍、出生前診断のために採集された羊膜細胞などに、4C技術が適用されうる。本発明者らは、現在、約1千万個の細胞から始めているが、〜50万個のゲノム等価体に由来するPCR増幅連結結合部をハイブリダイズさせて、この量を減少さることが可能である。現在の4C技術は標的配列の選択を要し、したがって、ヒトリンパ腫におけるB細胞受容体(BCR)重鎖および軽鎖遺伝子座またはT-ALLにおけるT細胞受容体遺伝子のような疾患に頻繁に関与する遺伝子座の付近の再編成に関するスクリーニングに特に適している。該技術は、例えば染色体核型分析に基づいて見出された転座または逆位のような、十分には特徴づけられていない再編成の詳細な位置決定にも非常に有用である。
(実施例13)
多重4C-配列決定
実験計画
この実施例は、いくつかのハイスループット配列決定技術の1つ(Solexa)に基づくものであるが、他の形態に適合するよう修飾されうる。4Cの結果の分析のためにSolexa(Illumina)配列決定を用いるためには、配列決定は連結結合部に向けられる。したがって、各標的配列に対するインバースPCRプライマーを、それらが、分析される一次および二次制限酵素認識部位に近くなるように設計した。ここで、本発明者らは、分析される一次(HindIII)および二次(DpnII)制限酵素認識部位と部分的または完全にそれぞれが重複する短いインバースPCRプライマー(18マー)を設計した。Solexaアダプターおよび配列プライミング配列を該インバースPCRプライマーに5'突出部として付加した(図38)。
ヒト染色体7上のそれぞれ85、105および139Mbの位置の3つの標的配列(ベイト)を選択した。これらのベイトのそれぞれにより捕捉された断片を増幅するために使用したプライマーセットは以下のとおりである。
85 Mb:
DpnII-プライマー: atgtgactcctctagatc
アダプターを伴うDpnII-プライマー: aatgatacggcgaccaccgaacactctttccctacacgacgctcttccgatct-atgtgactcctctagatc
HindIII-プライマー: ccctgaacctcttgaagct
アダプターを伴うHindIII-プライマー: caagcagaagacggcatacga-ccctgaacctcttgaagct
105 Mb:
DpnII-プライマー: cggcctccaattgtgatc
アダプターを伴うDpnII-プライマー: aatgatacggcgaccaccgaacactctttccctacacgacgctcttccgatct-cggcctccaattgtgatc
HindIII-プライマー: gaattgcttttggtaagctt
アダプターを伴うHindIII-プライマー: caagcagaagacggcatacga-gaattgcttttggtaagctt
139 Mb:
DpnII-プライマー: ttttagccctgacagatc
アダプターを伴うDpnII-プライマー:
aatgatacggcgaccaccgaacactctttccctacacgacgctcttccgatct-ttttagccctgacagatc
HindIII-プライマー: agtcaaacataagcctaagc
アダプターを伴うHindIII-プライマー: caagcagaagacggcatacga-agtcaaacataagcctaagc
各プライマーセット(アダプターを伴う)を別々のPCR反応において使用した。すなわち、標準的な条件下(Simonisら, Nature Methods 2007, vol.4, 895-901)、3つのPCR反応(反応当たり200ngの鋳型を使用)を行った。7q35上のT細胞受容体ベータ(TCRB)遺伝子座と1p35上のLCK遺伝子座との間の相互転座t(1;7)(p35;q35)を含有するHSB-2 T-ALL細胞系から4C鋳型を調製した(Burnett, R. C.ら, Blood 84, 1232-6 (1994))。PCR産物を図39に示す。
ついで該PCR反応をプライマーセットごとにプールし、Amershamクリーンアップカラム上で精製した。DNA濃度を測定し、各プライマーセットにより増幅された等量の物質を混合した。この混合物をSolexa配列決定により分析した。
Solexa配列決定の結果
読取りの総数(1レーン):4.9 *106配列。
該配列の93%は予想プライマー配列から始まる。
DpnII連結接合部を越える最初の12塩基対(bp)を分析し、ゲノム内の関連DpnII部位に隣接する全12bpゲノム断片(すなわち、HindIII部位に直に隣接するもの)を含有する局所データベースとこれらの12塩基対を比較したところ、37%はユニーク12bp捕捉を含有し、34%は非ユニーク捕捉を含有し、29%は予想12bp捕捉を含有していないことが見出される。
全4.9 *106個の配列のうち、34%はプライマー+ユニーク捕捉を含有し、32%はプライマー+非ユニーク捕捉を含有していた。したがって、合計66%が、予想された最初の30bp配列を含有していた。
プライマーセット当たり、配列の総数およびこれらの配列の性質は以下のとおりである。
Figure 0005690068
捕捉配列をそれらの染色体位置においてプロットした際のデータを図40および41に示す。
要約すると、該データは多重4C配列決定に関する原理の証明を示している。各配列に関して、ベイトおよび捕捉配列が特定されうる。該技術は更に改良されうる。
1.配列決定は、(DpnII部位ではなく)HindIII部位に、より良好に向けられうる。これは、第2連結工程中に生じたランダム連結事象の読取りを防ぐ。
2.それほど頻繁には切断しない酵素(6塩基対切断酵素ではなく7または8塩基対切断酵素)の使用は、各ベイトにより捕捉(カバー)されるゲノム距離を増加させるであろう。
3.反復DNAを消化しない(または反復DNAにおいて比較的過少発現される)制限酵素の使用は解釈可能な読取りの数を増加させるであろう。
他の態様1
1.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法。
2.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、特定の病態またはキャリアー状態を示す1以上のDNA-DNA相互作用を特定するための方法。
3.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、DNA-DNAにおける変化により引き起こされた又は該変化に関連した疾患または症候群またはキャリアー状態の診断または予後判定の方法。
4.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、DNA-DNA相互作用をモジュレーションする1以上の物質を特定するためのアッセイ方法。
5.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、切断点(例えば、転座)の位置を検出するための方法。
6.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、逆位の位置を検出するための方法。
7.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、欠失の位置を検出するための方法。
8.本明細書に記載のヌクレオチド配列またはプローブのアレイまたはプローブのセットまたはアレイの使用を含む、重複の位置を検出するための方法。
9.関心のある1以上のヌクレオチド配列(例えば、1以上のゲノム遺伝子座)との標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法であって、
(a)架橋されたDNAのサンプルを準備し、
(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、
(c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、
(d)該架橋を逆転させ、
(e)場合によっては、該ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化し、
(f)場合によっては、該ヌクレオチド配列を連結し、
(g)関心のあるヌクレオチド配列に隣接する既知DNA配列に各プライマーがハイブリダイズする、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標的ヌクレオチド配列に連結された関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅し、
(h)該増幅配列をアレイにハイブリダイズさせ、または該増幅配列を配列決定し、
(i)該DNA配列間の相互作用の頻度を決定する工程を含む方法。
他の態様2
本発明の更に他の態様を以下に付番項として記載する。
1.一次制限酵素認識部位により隔てられた第1および第2ヌクレオチド配列を含む環化ヌクレオチド配列であって、第1ヌクレオチド配列が標的ヌクレオチド配列であり、第2ヌクレオチド配列が、ゲノムDNAを架橋することにより入手可能である、環化ヌクレオチド配列。
2.標的ヌクレオチド配列が、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、絶縁体、マトリックス結合領域、遺伝子座制御領域、転写単位、複製起点、組換えホットスポット、転座切断点、動原体、テロメア、遺伝子密集領域、遺伝子過疎領域、反復要素および(ウイルス)組込み部位よりなる群から選ばれる、第1項記載の環化ヌクレオチド配列。
3.標的ヌクレオチド配列が、疾患に関連している若しくは疾患を引き起こすヌクレオチド配列、または疾患に関連している若しくは疾患を引き起こす遺伝子座から線状DNA鋳型上の15Mb未満に位置するヌクレオチド配列である、第1項記載の環化ヌクレオチド配列。
4.標的ヌクレオチド配列が、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL1、IGH、LYL1、TAL1、TAL2、LMO2、TCRα/δ、TCRβおよびHOX、または“Catalogue of Unbalanced Chromosome Aberrations in Man” 2nd edition. Albert Schinzel. Berlin: Walter de Gruyter, 2001. ISBN 3-11-011607-3に記載されているとおりの疾患に関連している他の遺伝子座よりなる群から選ばれる、第1〜3項のいずれか1項記載の環化ヌクレオチド配列。
5.一次制限酵素認識部位が、好ましくは、BglII、HindIII、EcoRI、BamHI、SpeI、PstIおよびNdeIよりなる群から選ばれる6〜8bp認識部位である、第1〜4項のいずれか1項記載の環化ヌクレオチド配列。
6.二次制限酵素認識部位が、4または5bpヌクレオチド配列認識部位である、前記項のいずれか1項記載の環化ヌクレオチド配列。
7.二次制限酵素認識部位が、一次制限部位から約350bp以降に位置する、前記項のいずれか1項記載の環化ヌクレオチド配列。
8.該ヌクレオチド配列が標識されている、前記項のいずれか1項記載の環化ヌクレオチド配列。
9.(a)架橋DNAのサンプルを準備し、
(b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、
(c)環化のために該架橋ヌクレオチド配列を連結する工程を含む、環化ヌクレオチド配列の製造方法。
10.PCRを用いて該架橋ヌクレオチド配列を増幅する、第9項記載の製造方法。
11.インバースPCRを用いて該架橋ヌクレオチド配列を増幅する、第10項記載の製造方法。
12.Expand Long Template PCR System(Roche)を用いる、第10項または第11項記載の製造方法。
Figure 0005690068
参考文献
Figure 0005690068
Figure 0005690068

実施例12に関する参考文献
Figure 0005690068
前記説明において挙げた全ての刊行物を参照により本明細書に組み入れることとする。本発明の範囲および精神からの逸脱を伴わない、本発明の記載されている方法および系の種々の修飾および変更が当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい実施形態に関して説明されているが、特許請求されている本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際、分子生物学または関連分野の当業者に明らかな、本発明を実施するための記載されている形態の種々の修飾が、特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。

Claims (22)

  1. 関心のある1以上のヌクレオチド配列との2以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための方法であって、
    (a)架橋されたDNAのサンプルを準備し、
    (b)該架橋DNAを一次制限酵素で消化し、
    (c)該架橋ヌクレオチド配列を連結し、
    (d)該架橋を脱架橋させ、
    (e)該ヌクレオチド配列を二次制限酵素で消化し、
    (f)既知ヌクレオチド組成の1以上のDNA配列を、関心のある1以上のヌクレオチド配列に隣接する利用可能な二次制限酵素消化部位に連結し、
    (g)関心のあるヌクレオチド配列に隣接するDNA配列に各プライマーがハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、多重PCRにより関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅し、
    (h)該増幅配列をアレイにハイブリダイズさせ、
    (i)該DNA配列間の相互作用の頻度を決定し、標的配列と架橋配列との間の連結産物をハイスループット配列決定により分析する工程であって、該配列決定が該増幅配列の末端にアダプター配列を付加することを含む工程を含んでなる、上記方法。
  2. 工程(c)または(f)における連結反応がDNA環の形成をもたらす、請求項1記載の方法。
  3. 工程(h)が、配列決定による、標的配列と関心のある架橋配列との間の連結産物の分析を含む、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 工程(g)における標的配列のそれぞれから得られたPCR産物の一部または全部のプール、およびそれに続く、それらのDNA相互作用の同時分析を含む、関心のある1以上のヌクレオチド配列との2以上の標的ヌクレオチド配列の相互作用の頻度を分析するための、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 2以上の増幅された配列を、プールおよびアレイへのハイブリダイゼーションによる分析の前に示差的に標識する、請求項4記載の方法。
  6. 異なる染色体上に配列が存在する場合には、2以上の増幅された配列を同一に標識し、アレイへのハイブリダイゼーションにより分析する、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. DNA-DNA相互作用シグナル間の重複が最小になるのに十分な程度に遠い距離を隔てて同一染色体上に配列が存在する場合には、2以上の増幅配列を同一に標識する、請求項4記載の方法。
  8. 標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間で形成された連結接合部を分析するために、ハイスループット配列決定を用いる、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 配列決定が、増幅配列の末端への、配列決定に必要なアダプター配列の付加により、標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間で形成された連結接合部について行われる、請求項8記載の方法。
  10. 配列決定が、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーへの、5'突出部としての配列決定に必要なアダプター配列の全部または一部の付加により、標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間で形成された連結接合部について行われる、請求項9記載の方法。
  11. 配列決定が、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーへのビオチン基質または他の部分の結合、およびそれに続く、該PCR増幅物の、ストレプトアビジンまたはその他により媒介される精製により、標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間で形成された連結接合部について行われる、請求項9記載の方法。
  12. 配列決定が、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位から400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ヌクレオチド以内の関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを設計することにより、標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間の連結接合部について行われる、請求項8〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 配列決定が、関心のある1以上のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを設計して、それらが、分析される一次および/または二次制限酵素認識部位に部分的または完全に重複するようにすることにより、標的配列と関心のあるヌクレオチド配列との間の連結接合部について行われる、請求項8〜11のいずれか1項記載の方法。
  14. 多重化またはプール化PCRサンプルを分析する場合、各標的配列および各関心のあるヌクレオチド配列を明らかに特定するために、連結接合部の各側において十分な配列情報が得られるよう、配列を連結接合部を越えて読み取る、請求項8〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 標的ヌクレオチド配列が、ゲノム再編成、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、絶縁体、マトリックス結合領域、遺伝子座制御領域、転写単位、複製起点、組換えホットスポット、転座切断点、動原体、テロメア、遺伝子密集領域、遺伝子過疎領域、反復要素、転写因子結合部位および(ウイルス)組込み部位よりなる群から選ばれる、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 標的ヌクレオチド配列が、疾患に関連している若しくは疾患を引き起こすヌクレオチド配列、または疾患に関連している若しくは疾患を引き起こす遺伝子座から線状DNA鋳型上の15Mbまで若しくはそれ以降に位置するヌクレオチド配列である、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 標的ヌクレオチド配列が、AML1、MLL、MYC、BCL、BCR、ABL1、IGH、LYL1、TAL1、TAL2、LMO2、TCRα/δ、TCRβおよびHOXよりなる群から選ばれる、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. 標的配列が、関心のあるヌクレオチド配列が全染色体またはゲノムをカバーするよう、線状ゲノム鋳型に沿って分布している、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項記載の工程(a)〜(i)を行う工程を含んでなる、サンプル中の特定の病態を示す1以上のDNA-DNA相互作用を検出するための方法であって、工程(a)において、罹患細胞および非罹患細胞から架橋DNAのサンプルを準備し、該罹患細胞および非罹患細胞からのDNA配列間の相互作用の頻度における相違が、該染色体鋳型の線状構成における相違を示し、これが特定の形質または病態を示す、上記方法。
  20. 請求項1〜18のいずれか1項記載の工程(a)〜(i)を行う工程を含んでなる、サンプル中の疾患または症候を示すDNA-DNA相互作用における変化を検出するための方法であって、該サンプルが、被験者からの架橋DNAのサンプルであって、工程(i)が、該DNA配列間の相互作用の頻度を非罹患対照のものと比較することを含み、該対照から得た値と該被験者から得た値との相違が、該サンプルが該被験者が該疾患もしくは症候群に罹患していることを示す又は該被験者が該疾患もしくは症候群に罹患することになることを示すDNA-DNA相互作用における変化を含むことを示す、上記方法。
  21. 平衡および/または非平衡再編成、転座、逆位、欠失、重複または挿入の検出のための、請求項1〜20のいずれか1項記載の方法。
  22. アレイハイブリダイゼーション工程の代わりに配列決定工程を行う、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
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