JP2004510686A - メチルホルメートの連続的製造方法 - Google Patents

メチルホルメートの連続的製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、触媒としてのアルカリ金属メトキシドまたはアルカリ土類金属メトキシドの存在下で、耐圧反応器中で、過圧下で、かつ高められた温度で、過剰量のメタノールと一酸化炭素とを反応させることによって、メチルホルメートを製造する方法に関し、その際、少なくとも2個の反応器要素を使用し、好ましくは向流で、約100℃で、かつ約100バールで、反応生成物を固体不含にする脱塩との組み合わせで、極めて経済的に、問題のないメチルホルメートの製造を、任意の好ましい質で、かつ極めて良好な製造能力でおこなうことを可能にする。
さらに、固体不含に脱塩する方法およびこの方法を実施するための装置を記載する。

Description

【0001】
本発明は、メチルホルメートの製造方法、この方法を実施するための装置、およびこの方法によって製造され、特に蟻酸を製造するために使用されるメチルホルメートに関する。
【0002】
メチルホルメートは、工業において、蟻酸を製造するために有利であり、かつ、この目的のために、現在において、メチルホルメートは、アルカリ金属アルコキシドの存在下で、メタノールと一酸化炭素とを反応させることによって、工業的規模で製造されている。しかしながら、この方法の工業的手段は、方法を不便にし、信頼性を低下させ、かつ、エネルギーを浪費するといった問題を生じ、したがって、そのコストは著しく増加する。
【0003】
工業的規模での使用のための完全な方法を見出すために、方法を実施するための技術は、本質的に2つの方向付けで改善されている:その一つの群は、反応器出口において極めて高濃度のメチルホルメートを生じるために、極めて高いCO圧を使用するものであり、他の群は、反応器中、冷却表面上、およびバルブ中での塩沈殿物の形成を回避するために、反応混合物中のメチルホルメートの極めて低い濃度を生じさせる極めて低いCO圧を使用し、かなりの長時間に亘って問題のない操作を可能にするものである。
【0004】
ドイツ特許第926785号明細書(DE−C)では、反応混合物を循環させ、かつ二者択一的に、反応器および冷却器を通過させる高圧工程が開示されている。新鮮なメタノールおよび触媒としてそれに溶解されたナトリウムメトキシドを、反応器頂部に供給し、かつ、一酸化炭素または一酸化炭素を含有するガス混合物を、80〜130℃で操作される反応器底部で、300バールの圧力下で装入する。循環する反応混合物の一部分は、連続的に圧力室を介して排出される。方法は、塩沈殿物を可能な限り少量にするために、ナトリウム 0.25質量%以下の低い触媒濃度を用いて(ナトリウムメトキシド0.59質量%に相当する)実施し、かつ、反応器を、懸濁液中で沈殿した塩を維持するために撹拌する。
【0005】
この公知方法を実施するために、装置に関する高い費用が必要であり;特に、高圧下での撹拌は、結果として、実際には解決できない技術的問題を生じる。高い技術的費用にもかかわらず、いづれにせよ、この方法中の固体沈殿物の形成に関連する困難性を解消することは不可能である。したがって、許容される期間内での方法の問題のない連続的操作は不可能である。これらの理由から、実施において達する製造能力は不十分であり、したがって、この方法は経済的ではない。
【0006】
ドイツ特許第1046602号明細書(DE−C)は、メチルホルメートを製造するための連続的2工程による方法を記載しており、この場合、この方法は、第1工程において、メタノールを、ジャケット冷却管反応器中で反応させ、COで変換率70〜75%にし、この場合、これは、管反応器中の副流(substream)で、複数の箇所で、60〜140℃で、かつ、50〜300バールの圧力で、乱流(turbulent flow)中で、アルカリ金属アルカノレート 0.5〜5質量%の存在下で供給する。その後に、第1工程中で得られた反応混合物は、オートクレーブ中で過剰量のCOで、使用されたメタノールに対して、約90%のメチルホルメート変換率が達成されるまで反応させた。この方法において、反応器中で要求される条件を確実にすること、すなわち、同時に生じる乱流で、特定の反応温度を維持することは困難である。さらに、方法の工業的実施は、著しく困難であり、極めて正確な冷却水温度、CO圧および反応体の流速の調整を必要とする。この方法の第2工程において、冷却は、予め冷却された一酸化炭素の装入および/または第1工程から生じる反応混合物の過冷却によってのみ達成されると考えられる。双方の尺度は、エンクラステーションによって生じる機能障害を回避すべき場合には、装置のための高い費用を必要とする。さらに、沈殿物形成および冷却表面の汚れを回避するために予め精製されたCOが必要である場合には、特に純粋なものを使用することが必要である。しかしながら、実施例において、1674kg/m/hの製造能力が純粋に数学的に導かれるけれども、この方法においてさえも、メチルホルメートの連続的製造を導入することはできず、それというのも、その高い技術的費用、方法条件の設定および調整の著しい困難性、およびブロッケージの内因的の危険性が残るためである。
【0007】
この特許の出願人は、前記方法で生じる困難性を克服するための優れた効果が見出した。この試みは、ドイツ特許第1147214号明細書中に記載された方法を導いた。この明細書において、一酸化炭素の少なくとも2個の副流は、異なるレベルで、搭式反応器中に供給され、これによって、反応器中に異なる反応帯域が形成される。第1帯域中で、アルカリ金属メトキシド 0.12〜0.3モル%を含む、供給されたメタノール 約75〜85%が、150〜200バールのCO圧下で、30〜100℃でメチルホルメートに変換され、かつ、反応器の下部帯域中で、反応は40〜60℃で行われ、約95%の変換率に達する。この方法中で自然に形成される塩様の沈殿物は、規則的かまたは不規則な時間間隔で操作される種々のCO副流の流れを急変させることによって、プラント構成部品上の沈殿が回避されるものと考えられ、その際、すべての流れは、反応混合物の十分な流速を確実にし、かつ、急激な繰り返されるバルブの開閉によって流れを生じされることによって、流れを一定に維持する。しかしながら、実施例によれば、この方法によって、制限された別個の試験中で、約440kg/m/hの製造能力が生じるのみである。
【0008】
また、この方法の変法は、CO流の監視および急変のための高い費用および運転値に適応させるためのバルブ調節を必要とする。それにもかかわらず、プラント構成部品上の触媒およびその分解生成物の沈殿は、延長された操作時間に亘って回避することは不可能であり、この場合、これは、中断および製造能力のさらなる減少を生じる。
【0009】
ドイツ特許出願公開第19506555号明細書(DE−A)で記載された他の高圧工程において、メタノールは、COを用いて、50〜150℃で、210〜250バールの圧力下で、アルカリ金属メトキシド 0.05〜0.2質量%のかなり低い触媒濃度の存在下で、反応器または反応器カスケード中で反応されている。急速な反応は、反応混合物中に装入された一酸化炭素の特に良好な分散液によって達成されるものと考えられ、この場合、これは、ジェットノズルによって吹き入れられることによって達成されるものと考えられる。CO流は、副流として供給されてもよく、かつ、使用される任意の反応器カスケードは、温度プロフィールを有していてもよい。反応器から排出される反応混合物は、約97質量%のメチルホルメートを含有し、かつ、実施例によれば、製造能力は530〜960kg/m/hである。
【0010】
未反応のメタノールは、反応混合物の蒸留の後に再利用される。しかしながら、触媒の再循環は提供されす、したがって、かなり多量の固体廃棄物が、低い触媒濃度にもかかわらず、粗生成物の後処理の後に生じる。さらに、原則として可能な高い変換率の開発は、プラント中のエンクラステーションの沈殿の相当なリスクを含み、したがって、ここでは、さらに、別個の試験において測定された本質的に良好な製造能力を著しく減少させる、プラントの中断時間が生じるものと推測される。さらに、プラントの資本経費は高く、それというのも高い工程圧のためであり、したがって、方法は経済的に十分に満足のいくものではない。
【0011】
前記の高圧工程は、メタノールとCOとの高い変換率を達成するが、しかしながら、記載されたような技術的困難性およに経済的欠点を生じ、特に、高い資本経費およびプラント構成部品中での塩の沈殿を引き起こす。
【0012】
高圧工程に対して二者択一的なプロセス技術は、約10〜100バールの低いCO圧で操作される低圧工程によって提供される。これらの反応条件は、低いメタノール変換を導くが、しかしながら、一般的に塩の沈殿を回避する。さらに、低圧工程は、種々の実施態様において公知である。
【0013】
ドイツ特許第863046号明細書では、メチルホルメートの連続的製造方法が開示されており、この場合、これは、ドイツ特許第880588号明細書中で記載されたものの改善された実施態様である。この方法において、ナトリウム 1〜2.5質量%(メタノールが使用される場合にはナトリウムメトキシド 2.3〜5.9質量%に相当する)を含有するナトリウムアルカノレートの溶液を、85〜90℃で、10〜30バールの圧力下で、一酸化炭素と反応させる。ドイツ特許第863046号明細書の方法では、アルカノール ナトリウムアルカノレート溶液および一酸化炭素を、反応器を介して一度に、向流で通過させるが、その一方で、ドイツ特許第880588号明細書(DE−C)の改善された方法では、反応体は、反応器を介して並流で循環される。反応条件温度、液相の流速および圧力は、少なくとも、溶液中で触媒として使用されるアルカリ金属アルカノレートを維持するのに必要なアルカノールの量が、未変換のままである程度に設定される。改善された方法において、反応器を通す経過中において形成されるメチルホルメートおよび過剰量のメタノールは、反応器から、CO流と一緒に、その平衡蒸気圧に相当する量で排出される。CO流の流れは、メチルホルメートが系から可能な限り完全に除去される程度に設定される。反応器中に残留するCO流を冷却し、連行された化合物メタノールおよびメチルホルメートを凝縮し、かつ、液体混合物を循環から排出する。冷却された一酸化炭素はその後にもう一度、反応温度に予熱され、かつ反応器に再循環される。
【0014】
この方法で得られるメタノール/メチルホルメート混合物は、メタノール 38〜40質量%を含む。この場合、これは、分別蒸留され、かつ、メタノールは同様に循環中に戻される。ドイツ特許第880588号明細書(DE−C)で記載された方法の改善された実施態様では、たったの収量3.1kgのメチルホルメートが、実施例中のデータによれば、770lの容量を有する反応器から1時間当たりに得られる。これは、たったの4.0kg/m/hの製造能力に相当する。これと同様に低い製造能力である方法は、工業的規模における製造においては完全に問題外である。さらに、通常高い触媒濃度は、著しい欠点を付随するものである:反応中において、一般には、触媒活性の著しい減少がみられるが、それというのも、回避不可能なアルカリ金属ホルメートの形成のためである。この理由から、循環の一部分において、通常は、触媒を含有するメタノールは排出されるべきであり、かつ、相当量の新鮮な触媒溶液を添加すべきである。循環する一酸化炭素を冷却および再加熱し、かつ、メチルホルメート希釈液を蒸留する。この方法で必要とされるエネルギー消費は、わずかなものではない。
【0015】
ドイツ特許第2243811号明細書では、メチルホルメートの連続的製造方法が開示されており、この場合、これは、メタノールを、一酸化炭素を含有するガスと一緒に、50〜130℃で、アルカリ金属メトキシド 0.4〜1.5質量%の存在下で、可浸され、好ましくは別個に冷却されたトレイを有するカラム中で、向流で反応させる。
【0016】
CO部分圧は、40〜150バールであってもよく、かつ、カラム中での反応体の滞留時間は、50〜1500秒であってもよい。カラムを通過させた後に底部で得られる反応混合物は、メチルホルメート 20〜70質量%を含有する。この場合、これは、蒸留によって後処理される。
【0017】
複雑なカラム構造物の高い資本経費とは別に、主な欠点は、供給されるメタノールおよび一酸化炭素成分の部分のみが方法において消費され、かつ、触媒の大部分があまり使用されないことである。これは、COを予熱し、かつ、カラム底部から取り出されるすべての反応混合物を蒸留するためのエネルギー消費によってさらに増加して付加的な高コストを導く。最終的には、蒸留物からの触媒含有残留物および塩含有残留物の沈殿といった技術的問題を生じる。
【0018】
米国特許第4661624号明細書(US−A)は、メチルホルメートの製造方法を記載しており、この場合、メタノールは、70〜130℃で、5〜70バールの圧力下で、ナトリウムアルコキシド触媒 1〜8モル%(使用されたアルコールに基づいて、ナトリウムメトキシド 1.7〜13.5質量%に相当する)の存在下で、COと反応される。この方法は、変換が、使用されるアルコールの2〜10%に制限される程度に調整され、結果として、反応器中の塩の沈殿が完全に回避されるが、しかしながら、反応生成物中のメチルホルメートの含量は、たったの1〜19質量%である。排出される反応混合物は、蒸留によって後処理され、この場合、これは、組み込まれた熱系中で反応熱を利用する場合であっても、その低いメチルホルメート含量の理由から、不当に高いエネルギー量を要求するものである。ここで、溶解された触媒と一緒に蒸留した後に得られるメタノールは、方法中に戻される。しかしながら、必要とされる活性触媒の高い濃度によって、工程にかなり多量の新鮮な触媒を連続的に添加することが必要である。さらに、供給される一酸化炭素を含有するガスの使用は十分ではない。
【0019】
ドイツ特許出願公開第4309731号明細書は、メチルホルメートの製造方法に関し、この場合、これは、メタノールを、部分的に混合帯域中で、一酸化炭素または一酸化炭素を含有するガスと一緒に、60〜100℃で、10〜300バール(実施例中においては、57バール)の圧力で、アルカリ金属メトキシド 0.4〜1.5質量%の存在下で反応させる。ここで得られた混合物は、COで飽和され、かつ、後反応帯域に通され、その際、反応は、他の出発材料を装入することなく完了する。また、この方法で、反応混合物中での低い濃度のメチルホルメートのみが得られ、したがって、方法のエネルギー平衡は望ましくない。
【0020】
ドイツ特許第2710726号明細書は、メタノール中で、アルカリ金属メトキシドまたはアルカリ土類金属メトキシド 0.2〜2.5質量%の溶液を、反応器を通して循環させ、その際、液相は、下部区分に存在し、その際、上部は、一酸化炭素 20〜100体積%を含有する気相を含む。反応は、70〜110℃で、20〜110バールの圧力で実施される。メタノール触媒溶液は、装置を用いて反応器中に供給され、この場合、これは、高い流速で気相中に装入される液体ジェットを噴霧する(たとえば、衝撃板)かまたは気相からガスを引き抜き、それを微小の気泡として液相中に装入する(たとえば、ベンチュリ管)。
【0021】
液体循環路は、循環液体で適切な温度設定を可能にする熱交換器および液体乱流(turbulent liquid flow)を維持する電力ポンプを含む。操作において、新鮮なメタノールメトキシド溶液は、連続的に反応器に供給され、かつ、反応混合物の相当する量は排出され、かつ蒸留によって後処理されなければならない。
【0022】
この明細書によれば、反応混合物が、メチルホルメート 約44〜65質量%を含有する程度に、出発材料の供給および排出を設定することが、熱力学的理由から有利である。沈殿物の形成が許容される場合には、82質量%のメチルホルメート含量を有する反応器排出物を得ることができる。このような沈殿物は、この明細書によれは、許容可能であるとされるが、これは、単に、制限された時間に亘って実施された一つの独立した実験に基づくものである。任意の場合において、このような沈殿物は、使用される高流量の循環ポンプおよび任意の衝撃要素またはベンチュリー管の摩耗を増加させる。この物質 44〜65質量%のみを含有する混合物からのメチルホルメートの単離は、高いエネルギーコストを導く。また、この方法の高い運転コストは、高い触媒濃度(6個の実施例中5個の場合において、2.5質量%)によって生じる高い触媒消費量、および蒸留残留物の適切な廃棄コストにより生じる。方法の他の欠点は、反応生成物のメチルホルメート含量の増加が、製造能力の減少を引き起こすことである。
【0023】
さらに、前記の公知方法に関連する欠点および困難性を克服するために、従来記載されたもの以外の方法によって種々の試みがなされた。
【0024】
したがって、錯化剤、特に、環状ポリエーテル(EP−B−0048891)、表面活性安定化剤、たとえば、アルカリ金属ペルフルオロアルカンスルホネート(EP−B−0596483)または不活性、極性、非プロトン性の溶剤(EP−A−0251112)の添加による、沈殿物形成の回避および/または製造能力の改善が記載されている。他の試みは、他の触媒、たとえばアミジン誘導体(EP−A−0104875)またはアミンとエチレンオキシドとの組み合わせ物の添加を含む。これらのすべての方法は、付加的な有機材料を反応混合物中に装入し、かつこれらの材料が後処理の後に廃棄されなければならないといった欠点を有し、この場合、これは、達成される任意の収量の改善によって得られる利点を相殺するものである。さらに、提案された添加剤の購入費用は、その工業的使用に関しての過度の障害となる。
【0025】
驚くべきことに、以下に記載された方法が使用される場合には、メチルホルメートが問題のない方法で、良好な収率で、かつ特に高い費用がかからず、複雑な添加剤を用いずに製造することが見出された。
【0026】
本発明の方法は、過圧下で、かつ、高められた温度で、触媒としてのアルカリ金属メトキシドまたはアルカリ土類金属メトキシドの存在下で、耐圧反応器中で、過剰量のメタノールと一酸化炭素とを反応させ、反応生成物から形成されたメチルホルメートを分離し、本質的にメチルホルメートを含まない液相を反応器に再循環させ、再循環される液相の一部分を排出し、かつ新鮮な触媒溶液を供給する、メチルホルメートを製造する方法を提供し、その際、反応を、少なくとも2個の反応器要素を有するカスケード中で、80〜120℃で、90〜180バールの一酸化炭素圧下で、液体供給物の質量に対して、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ土類金属アルコキシド 0.05〜0.5質量%の存在下で実施し、その際、単位時間当たりに供給される出発材料の量比、反応体の反応温度、圧力および反応器要素中での滞留時間は、本質的に、触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールから成り、反応器中の反応条件下で、新鮮な反応生成物中で、実際に完全に溶解させたままであるのに必要とされる最小限のメタノール量がなおも未反応である程度に設定され、反応器からのすべての排出物を、ストリッピング装置に通過させ、その際、本質的に、メチルホルメートを反応混合物からストリッピングさせ、残留する液相の一部分のTRは、反応器中に再循環され、かつ、一部分のTAが排出され、その際、TR:TA分流比は、脱ガス反応生成物のアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメートに依存して調整され、それによって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の固体沈殿物が、工程中のいずれも箇所においても生じることなく、かつ、残留触媒および触媒分解生成物は、脱塩装置中の排出部分から固体不含になるまで取り除かれ、かつ、残留メタノールは直接的にかまたは間接的に反応器中に戻される。
【0027】
本発明の方法は、有利には、2〜5個、好ましくは2〜4個のカスケード型反応器要素を用いて実施される。反応混合物の液相は、本質的にメタノール、メチルホルメートおよび溶解された活性触媒および消費触媒なら成り、この場合、これは、並流かまたは向流で、反応カスケードを介して、本質的にCOまたはCO含有ガス混合物から成る気相に通過させてもよい。向流操作が好ましい。
【0028】
本発明の方法は、好ましくは90〜110℃で実施される。好ましい圧力の範囲は、110〜160バール、特に110〜140バールである。さらに、方法を高い圧力で実施してもよいことは自明であるが、しかしながら、これは、結果として、本発明の方法の利点の一つが失われることになる。
【0029】
本発明の方法で使用される触媒は、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ土類金属アルコキシド、好ましくはメトキシドである。好ましくは、アルカリ金属メトキシド、特にナトリウムメトキシドおよびカリウムメトキシドであり、この場合、これは、さらに、相互の混合物中で使用されてもよい。特別な工程条件下で、たとえば、通常のメチルホルメート濃度よりも高いものが、別個の工程において生じる場合には、カリウムメトキシドの使用が有利であってもよい。純粋に経済的な観点から、たとえば、触媒基質の費用および/または能力は、さらに、可能な触媒の一つまたはこれらの組み合わせ物の使用のための決定に影響してもよい。
【0030】
反応に使用される触媒は、回避不可能な二次的反応によって、触媒的に不活性な基質に変換される。したがって、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物からの痕跡量の水、痕跡量のCOは、カーボネートの形成を導き、アルコキシドと製造されたメチルホルメートとの反応は、アルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメートを導き、かつ、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物と一酸化炭素との直接的反応は、さらに、副生成物としてのアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメートを形成する。
【0031】
二次的反応によって触媒から形成されたすべての触媒的に不活性の生成物は、すべて一緒にして、以下に“消費触媒(consumed catalyst)”または“触媒分解生成物(catalyst degradation product)”として示す。
【0032】
好ましい触媒濃度は、液体供給物の質量に対して、0.1〜0.3質量%、たとえば、0.2質量%である。
【0033】
驚くべきことに、二次的反応による触媒の消費は、反応器要素のカスケーディング(cascading)によって著しく減少させることができる。これは、反応器要素のカスケーディングが、別個の反応要素中に存在する反応混合物の逆混合を大きく抑制するといった事実に基づいていてもよく、この場合、これは、多くの従来の方法とは対照的に、本発明の方法においては、比較的低いメチルホルメート濃度が、触媒が供給される帯域中にいきわたるといった他の有利な結果を有する(この場合、これは、従来の方法中においては示されていない)。
【0034】
これは、高く、経済的に有利な変換が、低い触媒濃度にもかかわらず達成され、かつ、極めて少量の消費触媒のみが工程から除去されるといった利点を生じる。
【0035】
前記に示された反応条件下で、約30%の触媒が、反応器要素および下流の後処理要素を介しての反応体の単流(single pass)中に消費される。この百分率が評価される場合には、触媒消費の絶対値が、方法の経済性に関して決定的であることに留意する。本発明による合成中で要求される低い触媒濃度に依存して、この絶対値は、公知方法と比較して極めて低い。通常は、脱塩工程を介して排出される未消費触媒および消費触媒の量に相当する新鮮な触媒のメタノール溶液の量を、反応器中に供給しなければならない。
【0036】
補われた触媒は、10〜50質量%濃度(可能な限り濃縮した値)、好ましくは20〜40質量%濃度、たとえば、30質量%濃度のメタノール溶液の形で供給される。
【0037】
合成反応器への反応体の供給は、有利には、メタノールと一酸化炭素とのモル比が、3:1〜0.5:1、好ましくは2:1〜1:1である程度に調整される。
【0038】
さらに、方法の汎用性は、ガスが、反応鎖の第1反応器要素かまたは2個の第1反応器要素で装入される場合には増加し、その際、別個の要素に供給されたガス量は、その特に望ましい反応条件を確立するために、必要に応じて変更することが可能である。
【0039】
反応器要素の番号付けは、一酸化炭素(図中、5)が装入され、かつ、反応生成物(6)が取り除かれる反応鎖の末端から始める。
【0040】
本発明の方法が実施される場合には、反応要素中の反応条件が、75〜95%、好ましくは80〜95%の反応熱が、反応経路の最初の2個の副区分中でに生じ、かつ、5〜25%、好ましくは5〜15%の反応熱が、第2副区分中で生じるように設定することが特に有利であると見出された。ここでは、副区分、特に、第1副区分が、複数の反応器要素で構成されていてもよい。反応は、好ましくは3個の反応器要素で実施されてもよく、かつ、35〜50%の反応熱がそれぞれ第1反応器要素および第2反応器要素中で生じ、かつ、5〜15%の反応熱が、第3要素中で生じるように調整される。たとえば、50%、40%および10%であるか、あるいは46%、46%および8%の反応熱が、それぞれ第1、第2および第3反応器要素中で放出されてもよい。
【0041】
さらに、鎖中の最後の反応要素は、供給物によってのみ冷却されるように反応カスケードを操作することも可能である。
【0042】
本発明の方法の経済的観点において、反応条件を、反応生成物が、5〜40質量%、好ましくは10〜25質量%のメタノールおよび、60〜95質量%、好ましくは75〜90質量%のメチルホルメートならびに消費触媒および未消費触媒を含有するように選択することは、特に有利である。
【0043】
さらに、反応体の導入および反応条件を、導入される一酸化炭素の90〜99%、好ましくは95〜99%が、メチルホルメートに変換される程度に、適合させることは特に有利である。
【0044】
一酸化炭素、メタノールおよび触媒は、反応帯域中で混合され、かつ、ガスの良好な分散は、急速な反応を可能にする。たとえば、ジェットノズルを介して反応器中にガスを導入するかまたは適した撹拌機、たとえば高速撹拌機を用いて、反応器中にガスを分散させることは有利である。それぞれの反応器要素のための外側循環路を用いての混合は、さらに有利である。一酸化炭素流は、一つの箇所でかまたは一つの反応要素中に導入されてもよいか、あるいは複数個の副流として反応器の種々の箇所でかまたは種々の反応器要素中に装入されてもよい。
【0045】
メチルホルメートの合成は、本発明の方法で、反応器カスケード中に存在する反応混合物の固体不含にする後処理によって続けられる。主に、後処理は、合成中で使用される圧力下で実施されてもよい。しかしながら、特に、蒸留による後処理に必要な温度にするために、反応混合物を5〜25バール、好ましくは10〜20バールの圧力に、ストリッピング装置の上流で減圧することは、より有利である。循環流を可能な限り少量に維持し、かつ、圧縮機中での凝縮を回避するために、生じる相対的に少量の放出ガスを、好ましくはおおよそ室温にかまたは周囲温度に冷却し、連行されたメタノールおよびメチルホルメートを凝縮し、その後に有利にはCO圧縮機の上流箇所にすべて再循環させ、かつ、再度合成中に供給する。
【0046】
減圧後に維持される反応生成物のすべての液相は、この場合、たとえば、メチルホルメート 約75質量%、メタノール 25質量%未満、および残留触媒(分解触媒および未分解触媒)ならびに痕跡量のジメチルエーテル、一酸化炭素さらには他の不活性溶剤を含有する混合物から成り、引き続いて、蒸留装置で処理し、メチルホルメートの大部分を蒸発させる。通常は、反応生成物中に存在するメタノールの一定量が同時に蒸発される。メチルホルメートの蒸発のために、反応生成物上の圧力は、有利にはさらに減少され、それによって、1.2〜2,5バール、好ましくは1.5〜2.0バールの圧力が蒸留装置頂部で確立される。蒸発に関して必要とされる気化熱の少なくとも一部分は、一般には、熱反応生成物中に存在する。残りは、蒸発装置の直接的加熱かまたは熱伝達媒体の供給によって補われる。
【0047】
製造されるメチルホルメートの望ましい純度に依存して、蒸留装置中の還流比は、85〜90質量%純度のメチルホルメートを頂部から取り出すことができる程度に設定される。
【0048】
メチルホルメートが分離除去された後に残存する反応混合物の一部分は、本質的に、活性触媒および消費触媒を含有するメタノールから成る。この溶液は、反応カスケードに直接的に再循環されるTRの一部分、および循環路から排出されるTAの一部分に分配される。前記のように、TR:TA分流は、脱ガス反応生成物のアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメート含量に依存して調整され、この目的は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の固体沈殿物が、工程のいずれの箇所においても生じないように分流を設定することである。これは、TRおよびTAを、脱塩装置によって、工程中に生じる不活性触媒の量が、反応器を通しての単流中および他の工程中で消費される量に相当するように設定することで達成される。勿論、いくらかの活性のままの触媒は脱塩装置に装入され、したがって、この分は工程中に存在する。
【0049】
反応器出口中でのアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメートの含量が、0.05〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.3質量%であるように分流を調整することは有利である。
【0050】
経験によれば、メチルホルメートが分離除去された後に残留する触媒含有メタノール 20〜80%が排出されることで、合成の一貫した操作が維持される。
【0051】
触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールの排出された部分TAは、その後に、固体不含になるまで脱塩される。この目的のために、十分な蒸気および/または温水および可能な場合には付加的な熱を、本質的に完全に蒸発されるメタノールおよび生じる触媒分解生成物の水性溶液のための脱塩装置中で、液相中に装入する。“触媒分解生成物”の表現は、本明細書中においては、残留する活性触媒および水から形成されたアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む。
【0052】
この操作において、蒸気および/または温水の量は、水溶液中の触媒およびその分解生成物が確かに維持される程度に設定される。一般に、この条件は、脱塩装置からの水性排出物中での触媒分解生成物の濃度が、5〜20質量%、好ましくは6〜12質量%、たとえば、8質量%である場合に適応する。
【0053】
好ましくは、蒸気を2〜6バール、好ましくは3〜5バールの圧力で、たとえば、直接蒸気の形で、脱塩装置に供給する。
【0054】
蒸留装置を含む組み込まれた熱系の一部分として、脱塩装置を操作することは特に経済的に重要であり、その際、脱塩装置頂部で排出されるメタノール蒸気は、蒸留装置に供給される。
【0055】
この場合において、脱塩装置頂部の圧力を、この装置頂部から蒸気流が直接的に蒸留装置に供給することができるように選択することは、特に有利である。
【0056】
本発明において、固体不含になるまで、残留する活性触媒および消費触媒を含有するメタノールを脱塩するために使用される方法は、同様に、本発明の対象である。方法のこの部分の特別な重要性は、固体が生じることなく、完全なメチルホルメート合成の実施を可能にすることである。
【0057】
触媒とは別に、合成中で消費されるメタノールは、反応器カスケード中に供給されるべきである。本発明の方法で使用されるメタノールは、ケミカルグレードであるかまたはテクニカルグレードのメタノールである。さらに、この場合、他の工程、たとえば、メチルホルメートの蟻酸およびメタノールへの水素化から再循環させることも可能である。極めて低い触媒消費量を確実にするために、含水量が100ppm未満、好ましくは30ppm未満、特に好ましくは5〜15ppmのメタノールを使用することが好ましい。
【0058】
いくつかの理由から、かつ、反応体の極めて高い変換を達成するために、一酸化炭素を含有し、かつ、CO含量 45〜100体積%、好ましくは70〜100体積%、特に90〜100体積%を有するガス混合物の形で、一酸化炭素を使用することは有利である。このようなガス混合物を使用する場合には、総圧は、好ましくは、一酸化炭素部分圧が90〜180バールであるように設定される。
【0059】
CO含有ガス相は、合成条件下で不活性であるガス、たとえば、水素、窒素、炭化水素を含有していてもよい。
【0060】
一定の条件下において、たとえば、本発明の方法が、他の工程かまたは特に望ましい獲得条件が提供される組み込まれた熱系の一部として操作される場合には、さらに、約50体積%のCOを含有する廃ガスを用いて、本発明の方法を操作することが、経済的に有利であってもよい。方法が工程条件の変更に適応可能であることに依存して、任意の望ましい純度でのメチルホルメートの良好な収率は、このような廃ガスを使用する場合にも達成することができる。使用されたCOに対して、90モル%およびさらには95モル%のメチルホルメートの収量は、通常は、本発明の方法によって達成される。使用されたメタノールに対して、収率は、高い百分率でCOまたは純粋なCOを含有する、CO含有ガス混合物を使用する場合には、実際には100モル%である。
【0061】
本発明の他の利点は、脱塩装置から排出された廃水が、15〜30ppm、一般には約20ppmのメタノールのみを含み、すなわち、実際にはメタノールを含まないことである。
【0062】
方法で使用された冷却器は、河川の水および/または冷水を用いて運転される。
【0063】
本発明の方法は、低い触媒濃度および中程度の圧力で、80質量%を超える最終的なメチルホルメート濃度で、400〜1000kg/m/hの高い空時収量を達成することを可能にする。低い触媒濃度は、出発材料コストを著しく減少させるために必要であるが、その一方で、中程度の合成圧は、高圧プラントのための高い資本コストを回避する。さらに、本発明の方法は、塩の沈殿が生じないようにプラントを調整することが可能であり、その結果、そのブロッケージの問題がなくなり、かつ、プラントの有効性およびそれによる年間の処理能力が著しく増加する。メタノール変換は、典型的な低圧工程の場合よりも著しく高く、したがって、循環されるメタノール量はさらに著しく少なくなる。本発明の後処理は、極めて少量のエネルギーのみを必要とし、それにもかかわらず、非常に高い濃度のメチルホルメートを導き、この場合、これは、他の反応、たとえば蟻酸への水素化に、直接的に使用することができる。
【0064】
本発明の方法の他の有利な特徴は、反応条件の変更に適応するその優れた能力であり、この場合、これは、最終生成物の特に望ましい質を設定する目的のために必要である。さらに、方法は、その有効性によって、異なる触媒、異なる触媒量および異なるCOの質を用いて、同一および同様の装置で、問題なく実施することができる。特に技術的な利点は、本発明の方法のパラメーターが、触媒および触媒分解生成物、たとえば、アルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメートの沈殿を生じることなく、広い範囲で変更できるということである。この理由から、固体沈積がプラントの内表面上で、特に、熱交換器表面上で形成されることなく、したがって、公知の高圧工程の場合において通常生じるような、別個のプラント区分での温度調整および管のブロッケージに関する問題が、完全に回避される。
【0065】
反応中の変換は、圧力および温度の調整によって影響されうる熱力学的平衡の点において、かつ、反応器中の反応体の化学量論比および/または滞留時間によっての双方において調整することができる。最終的な高い変換率は、後処理中に生じ、かつ、反応中に再循環されるべき、未消費出発材料の量を減少させる。理論量 90〜99%のCO変換は、有用であることが見出された。
【0066】
本発明の方法の他の利点は、数多くの公知方法とは対照的な高いCO変換により、未反応COの再循環が全く必要でないことであり、この場合、これは、圧縮機のための資本コストを減少させるか、あるいは、少量の未反応一酸化炭素の再循環が望ましい場合には、これは、最小限の圧縮操作を用いて行うことができる。
【0067】
従来の低圧工程をかなり上廻る、90〜160バールの使用圧力を有する本発明の方法は、従来の命名法によれば、中圧工程〜高圧工程である。100バールを上廻る公知方法において、触媒が再循環されることはない。使用されたすべての触媒は、反応器を介しての単流の後に失われる。公知の高圧および中圧工程中で生じる他の複雑性は、メチルホルメート/メタノール/塩懸濁液の形成であり、この場合、これは、複雑な固体の取り扱いによってのみ塩から分離することができる。
【0068】
触媒再循環が必要な公知の低圧工程および中圧工程の場合には、循環路中への水の導入は、厳密に回避され、それというのも、触媒が水によって分解されるためである。しかしながら、消費触媒は、さらにこれらの工程において、系から除去されるべきであり、同様に、この場合、固体の取り扱い技術の方法、たとえば、濾過および遠心分離によって排出されなければならばい。
【0069】
驚くべきことに、本発明の方法で、未消費触媒の一部分を、装置構成部品中、特に熱交換器上でエンクラステーションを生じることなく、再循環できることが見出された。さらに、本発明の方法は、固体の技術的に複雑な取り扱いを完全に回避し、それというのも、驚くべきことに、固体不含になるまで、純粋な熱的蒸留手段によってこの分離をおこない、消費触媒が水性溶液として排出され、かつ、水の導入にもかかわらず、未消費触媒の相当量が、合成中に再循環させることが可能であることを見出した。
【0070】
さらに本発明は、本発明の前記方法によって、
A)合成群、この場合、これは、本質的に
A1)新鮮なメタノール、新鮮なメタノール触媒のために再循環される触媒含有メタノールおよび一酸化炭素を含有するガス混合物のための供給管路、それぞれ反応生成物および残留ガスのための少なくとも一つの排出管路、液流中でのガス流の良好な分散を生じ、かつ維持するための装置、ならびに温度および圧力を調整するための機器を有する、少なくとも2個の別個に加熱および冷却可能な反応要素を有する反応器、
A2)反応生成物を後処理圧に減圧するための冷却要素を備え、かつ、反応生成物のための供給管路、ならびに残留ガスおよび液相のための排出管路を備えた減圧装置から成り、
B)後処理群、この場合、これは、本質的に、
B1)液相のための供給管路、および本質的にメチルホルメートのための排出管路および残留する触媒含有メタノールのための排出管路を備えた、反応生成物の液相から本質的にメチルホルメートを分離するための蒸留装置、
B2)蒸留装置から排出される残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノール流を、副流TRおよびTAに分配するための調整可能な分流器、
B3)残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための入口、および温水または蒸気のための入口、およびメタノール蒸気のための出口および水性塩溶液のための出口を備えた、加熱要素および冷却要素を備えていてもよく、かつ固体不含になるまで操作される脱塩装置
から成り、
C)連結管路、および必要である場合には、プラント区分AおよびBの要素間で反応関与物および生成物を適切に運搬するためのポンプ、および出発材料のための供給管路、ならびにメチルホルメートのための排出管路および廃ガスのための排出管路
を含む、メチルホルメートを製造するためのプラントを提供する。
【0071】
図は、図式的に、かつ、例として、メチルホルメートを製造するための本発明のプラントおよびそれに組み込まれた本発明の脱塩装置を示す。好ましい実施態様において、脱塩装置は、蒸留装置を有する直接的に組み込まれた熱系を形成する。
【0072】
図の区分Aは、3個の反応要素を含む反応器(1)および新鮮なメタノールのための供給管路(2)、再循環された触媒含有メタノールのための供給管路(3)、新鮮なメタノール触媒溶液のための供給管路(4)および一酸化炭素を含有するガス混合物のための供給管路(5)、反応生成物のための排出管路(6)および残留ガスのための排出管路(7)、液流中でのガス流の良好な分散を生じかつ維持するための装置(8)、および反応生成物を後処理圧に減圧するための冷却要素(9)を備えた減圧装置(10)、反応生成物のための供給管路(11)、および残留ガスのための排出管路(12)および液相のための排出管路(13)を含む合成群を示す。
【0073】
図の区分Bは、反応生成物の液相から本質的にメチルホルメートを分離するための蒸留装置(14)、ならびに液相のための供給管路(15)および本質的にメチルホルメートのための排出管路(16)および残留する触媒含有メタノールのための排出管路(17)、残留触媒および蒸留装置から排出された触媒分解生成物を含有するメタノール流を副流TRおよびTAに分配するための調整可能な分流器(18)、固体不含にする脱塩装置(19)、ならびに残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための入口(20)および温水または蒸気のための入口(21)、およびメタノール蒸気のための出口(22)および水性塩溶液(23)のための出口、蒸留装置(14)の管路(16)から生じるメチルホルメートのための冷却装置(24)、および冷却されたメチルホルメートのための出口(25)および残留ガスのための出口(26)を含む後処理群を示す。さらに、図は、捕助的装置としてのポンプ(27aおよび27b)を示す。
【0074】
反応器要素は、槽反応器または管反応器として構成されていてもよい。それぞれの反応器要素を、単一の装置単位として配置することは必要ではない。むしろ、直列で連結された複数個の反応器要素の機能を実施する任意の反応器構造を使用することが可能である。したがって、少なくとも2個、好ましくは2個〜5個、特に2個〜4個の反応帯域に、適した間隔で分配された別個の反応器を使用することは容易に可能である。反応器要素が以下で引用される場合には、これは、さらに、別個の反応器に分配された反応帯域を含むとみなされる。逆にいえば、また、“反応帯域”の用語は、単一の反応器要素を包含する。また、このような反応器は、槽反応器または管反応器として構成されてもよい。
【0075】
有利には反応器要素は、それ自体調節可能な、反応体および生成物のための供給管路および排出管路を有し、かつ、必要である場合には、それ自体が加熱または冷却可能な外側循環路を有する。さらに、反応器要素の温度および圧力は、別個に調整することができる。カスケードは、温度プロフィールを有していてもよいか、さもなければ、一定の温度で操作することができる。内部冷却系またはジャケット冷却器であるか、または熱交換器を含む外側循環路を有する反応器は、本発明の方法に使用することができる。
【0076】
本発明のプラントに有利な構造的特徴は、帯域に分けられた単一の反応器を用いる場合に、有利に達成される。
【0077】
したがって、帯域中で加熱および/または冷却することができる反応器を配置することは有利である。
【0078】
さらに、このような単一反応器は、有利には、その長さが分けられ、さらに別個の反応帯域に分配された、反応体のための複数個の供給管路および排出物のための排出管路を有し、適切である場合には、反応帯域に分配された加熱および/または冷却可能な外側循環路を有する。
【0079】
反応体の良好な分散のために、反応器または反応器要素中に取り付けされた装置は、たとえば、シーブトレイ、フリットまたはジェットノズルである。帯域に分けられた反応器要素または反応器がバッフルおよび/または撹拌装置を有することは、さらに有利である。
【0080】
本発明の製造プラントの蒸留装置B1は、供給流からメチルホルメートを蒸留する機能、すなわち、選択的蒸発によってこれを分離除去する機能を有する。蟻酸の製造に適したメチルホルメートを製造するために、一般には、簡単なストリッピングカラムは、蒸留タスクに関して十分である。しかしながら、さらに、頂部で高純度のメチルホルメート流を取り出すことが可能な精留区分を有するカラムを提供することが可能である。このカラムは、その後に、還流下で、精留カラムとして操作される。
【0081】
このようなカラムは、本質的には、分離プレートを備えた管状中空体から成り、必要である場合には、帯域中で加熱または冷却されていてもよく、かつ、適した箇所で脱ガス反応生成物のための入口、頂部で蒸留物を取り出すための出口、および底部で触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールを取り出すための出口を有し、かつ、適切である場合には、液状かまたはガス状の熱交換媒体のための他の供給管路を有する。
【0082】
頂部を介して、脱ガス反応生成物から要求される純度でメチルホルメートを取り出すのに十分な分離効率を有するカラムの使用は有利である。
【0083】
一般に、カラムは、メチルホルメートを85〜90質量%の純度で回収するために設計される(残り=メタノール)。形成されたメチルホルメートは、有利には、簡単なストリッピングカラム中で、分離プレートを用いることなく、70〜80質量%(反応混合物中の濃度)から85〜90質量%の濃度が達成される程度に、反応混合物から留去される。これは、95〜97%の純度のメチルホルメートを生じる蒸留に対してかなり低いエネルギーを要求する。本発明によって製造され、かつ85〜90質量%の純度を有するメチルホルメートは、多くの工業的使用を有する。特に、蟻酸を製造するための水素化に直接的に使用することができる。
【0084】
脱塩装置B3は、本質的に、必要である場合には、帯域中で加熱または冷却可能な精留カラムから成り、この場合、これは、分離プレートを備えていてもよく、かつ、適した箇所で、残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための供給管路、および温水および/または蒸気のための供給管路、頂部で蒸留物を取り出すための排出管路、および底部で触媒分解生成物を含有する水を取り出すための排出管路を備えている。この精留カラムは、頂部で、100ppm未満、好ましくは30ppm未満、特に約5〜15ppmの水を含有するメタノールを取り出すのに十分な分離効率を有することを必要とする。一般に、簡単なストリッピングカラムは、この目的のために十分である。
【0085】
脱塩装置に供給される蒸気または温水は、装置中に導入されるか、または好ましくは、残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールための入口の帯域より下部で、特に底部帯域に導入される。
【0086】
脱塩装置頂部で取り出されるメタノールは凝縮されてもよく、かつ、合成群に再循環されるかまたはこのような圧力下で蒸発されてもよく、この場合、これは、ガス状熱伝達媒体として、蒸留装置に供給することができる。その後に、これは、蒸留カラム底部で、他の蒸発器を必要としてもよい。
【0087】
しかしながら、直接的に組み込まれた熱系として、蒸留装置および脱塩装置を操作することは特に有利であり、経済的であり、この場合、これは、脱塩装置頂部の圧力を、十分に高い値に設定することによって、ガス状熱伝達媒体として蒸留装置中に直接的に導入されるように、そこから排出されたメタノール蒸気に対して操作することは特に有利であり、かつ経済的である。主として、同様の組み込み構造によって、蒸留カラムおよび脱塩カラムを、液相のための側面出口および側面入口を備えた一つのカラムに組み合わせることも可能である。
【0088】
さらに、本発明の特に経済的な実施態様は、後処理装置、特に脱塩装置を、反応器からの熱を用いて運転し、適切である場合には、熱ポンプを取り付ける。
【0089】
また、本発明は、本質的に、帯域中で、必要である場合には、加熱または冷却可能な精留カラムから成る前記の固体不含にする脱塩装置を提供し、この場合、これは、分離プレートを備えていてもよく、かつ、残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノール、および温水および/または蒸気のための入口を適した位置で有し、頂部で蒸留物を取り出すための出口、および底部で触媒分解生成物を含有する水を取り出すための出口を有しており、かつ、その際、分離効率は、頂部で、100ppm未満、好ましくは30ppm未満、特に約5〜15ppmの水を含有するメタノールを取り出すのに十分である。
【0090】
好ましい実施態様において、脱塩装置に提供された蒸気または温水を装置中に導入するか、または好ましくは残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための入口の帯域よりも下部、特に底部帯域に導入する。
【0091】
さらに、本発明は、蒸留装置および脱塩装置の前記の組み合わせを提供し、この場合、脱塩装置頂部からの排出されたメタノール蒸気は、熱伝達媒体として、蒸留装置に導入される。以下の例は、本発明の方法およびこの方法を実施するために使用された本発明の装置を例証するものである。
【0092】
実施例
例1
それぞれ2lの容量を有し、かつ、それぞれ熱交換器を含む外側循環路、液相のための供給管路、頂部帯域でガス相のための排出管路、液相のための排出管路、および底部帯域でガス相のためのジェットノズル入口を備えた3個の直立型管反応器を、直列に互いに連結させ、それによって、最下部反応器の底部で導入されたガス相が、連続して、3個すべての反応器を介して上方に流れることができ、かつ、最上部反応器の頂部帯域で供給された液相が、連続して、3個すべての反応器を介して下方に流れることができる。
【0093】
この合成装置は、12個の試験を実施するために使用され、その際、メタノールおよびメタノールアルカリ金属メトキシド溶液の形での触媒は、反応器カスケードの頂部で供給され、かつ、COはジェットノズルを介して下部から供給された。供給流は、第1表に示した。反応器中の圧力および温度は、同様に第1表に示した値に設定した。
【0094】
反応器カスケード底部で取り出された生成物は、減圧装置中で、15バールの圧力に減圧され、かつ、生じた放出ガスは、2工程冷却器中で室温に冷却され、メタノールおよびメチルホルメートを同伴するガスを凝縮した。残留するガス相は、反応器カスケードに再循環され、かつ、組み合わされた液相は、ガスクロマトグラフィーおよび湿式化学分析によって、メチルホルメートに関して分析した。
【0095】
第1表の最後の4列は、得られた実験結果を示す。
【0096】
表中に使用された略記は、以下の意味を有する。
【0097】
STYは使用されたすべての反応器の総量に基づく製造能力であり、NaOMeは、ナトリウムメトキシド、KOMeはカリウムメトキシドおよびMeFoはメチルホルメートである。
【0098】
示された変換率は、使用されたメタノールに基づく。
【0099】
さらに、反応生成物を後処理するために、メチルホルメートを約1.8バールの圧力で、カラムに供給されたメタノール蒸気によって、ストリッピングする。
【0100】
このカラムの底部で取り出されたメタノールおよび消費触媒および未消費触媒の混合物を、分流器に通し、その際、混合物の1/3を反応器カスケードに再循環させ、かつ、2/3を脱塩カラムに供給した。脱塩カラムにおいて、供給された触媒含有メタノール溶液および塩含有メタノール溶液は、4バールの蒸気で、約2バールの内部圧力で処理した。供給された蒸気の量は、実際には水不含のメタノール蒸気をカラム頂部で取り出すことができるように設定される。このメタノール蒸気は、有利には、熱伝達媒体として、直接的に蒸留カラム中に導入される。アルカリ金属水酸化物水溶液およびアルカリ金属ホルメート水溶液は、脱塩カラムの底部で取り出される。
【0101】
例2
長さ200cmおよび内径4.5cmを有し、かつ、内部熱交換管、底部帯域で液相およびガス相のための入口、および頂部帯域で液相およびガス相のための出口を備え、その際、ガス相のための入口は、ジェットノズルとして配置されている、2個の管反応器(容量=3.15l)は、最下部反応器の底部で導入された液相および気相が、連続して、3個すべての反応器を介して、並流で、上方に流れることができる程度に、互いに直列に連結させた。
【0102】
この合成装置は、19個の試験を実施するために使用され、その際、メタノール、メタノールアルカリ金属メトキシド溶液の形での触媒で、ジェットノズルを介して、COは底部から反応器カスケードに供給された。供給流は、第2表に示されている。反応器中の圧力および温度は、同様に、第2表で示された値に設定された。
【0103】
第2表の最後の4列は、得られた実験結果を示す。
【0104】
反応生成物の他の後処理は、例1に示したように実施された。
【0105】
第1表 向流での試験
【0106】
【表1】
Figure 2004510686
【0107】
1)液体供給物の質量に基づく。
【0108】
2)使用されたメタノールに基づく。
【0109】
第2表 並流での試験
【0110】
【表2】
Figure 2004510686
【0111】
【表3】
Figure 2004510686

【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明によるメチルホルメートを製造する装置を示す概略図

Claims (11)

  1. 過圧下で、高められた温度で、触媒としてのアルカリ金属メトキシドまたはアルカリ土類金属メトキシドの存在下に耐圧反応器中で、過剰量のメタノールと一酸化炭素とを反応させ、反応生成物から形成されたメチルホルメートを分離し、本質的にメチルホルメート不含の液相を反応器に再循環させ、その際、再循環される液相の一部分を排出し、新鮮な触媒溶液を供給することによってメチルホルメートを製造する方法において、反応を、少なくとも2個の反応器要素を含むカスケード中で、80〜120℃で、90〜180バールの一酸化炭素圧下で、液体供給物の質量に対して、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ土類金属アルコキシド 0.05〜0.5質量%の存在下で実施し、
    単位時間当たりに供給された出発材料の量比、反応体の反応温度、圧力および反応要素中での滞留時間は、使用される触媒およびその分解生成物を反応器中の反応条件下で、新鮮な反応生成物中で実際に完全に溶解させたままであるのに必要な最小限のメタノール量が、未反応なままである程度に設定し、反応器からの全ての排出物を、本質的に、メチルホルメートを反応混合物からストリッピングさせるストリッピング装置に通し、残留する液相のTRの一部分を、反応器に再循環させ、TAの一部分を排出し、その際、TR:TA分流比は、脱ガス反応生成物のアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメート含量に依存して、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が工程のいずれの箇所においても生じることがない程度に調整され、
    残留する触媒および触媒分解生成物を、脱塩装置中の排出部分から固体不含になるまで除去し、残留メタノールを直接的にかまたは間接的に反応器中に戻すことを特徴とする、メチルホルメートを製造する方法。
  2. 2〜5個の反応器要素を用いて実施する、請求項1に記載の方法。
  3. TR:TA分流比を調整し、反応器出口での反応生成物のアルカリ金属ホルメートまたはアルカリ土類金属ホルメート含量を、0.05〜0.5質量%にする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 蒸気および/または温水、および必要である場合には付加的な熱を、メチルホルメートの分離除去後に残留する、本質的に、触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールから成る液相の排出部分TAに、脱塩装置中で、メタノールを本質的に完全に蒸発させ、触媒分解生成物の水性溶液が得られる程度の量で供給する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 脱塩装置を、蒸留装置を含む組み込まれた熱系として運転し、脱塩装置の頂部から排出されるメタノール蒸気を蒸留装置に供給する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の方法によって、メチルホルメートを製造するプラントにおいて、
    A)合成群、この場合、これは、本質的に
    A1)新鮮なメタノールのための供給管路、新鮮なメタノール触媒溶液のために再循環された触媒含有メタノールのための供給管路、ならびに一酸化炭素を含有するガス混合物のための供給管路、それぞれ反応生成物および残留ガスのための少なくとも一つの排出管路、液流中でガス流を良好に分散させかつ維持するための装置、および温度および圧力調整のための機器を含む、少なくとも2個の別個に加熱および冷却可能な反応器要素を有する反応器、
    A2)反応生成物を後処理圧に減圧するための冷却要素を備え、かつ、反応生成物のための供給管路および残留ガスおよび液相のための排出管路を備えた減圧装置、
    から成り、
    B)後処理群、この場合、これは、本質的に、
    B1)液相のための供給管路、および本質的にメタルホルメートのための排出管路および残留する触媒含有メタノールのための排出管路を備えた、反応生成物の液相から本質的にメチルホルメートを分離するための蒸発装置、
    B2)蒸発装置から排出される残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノール流を副流TRおよびTAに分配するための調節可能な分流器、
    B3)残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための入口、および温水または蒸気のための入口、およびメタノール蒸気および塩水溶液のための出口を備えた、加熱要素および冷却要素を備えていてもよく、固体不含になるまで操作される脱塩装置
    から成り、かつ、
    C)連結管路、および必要である場合には、反応関与物および生成物をプラント区分Aおよび区分Bの要素間で適切に運搬するためのポンプ、および出発材料のための供給管路、およびメチルホルメートおよび廃ガスのための排出管路、
    を含む、請求項1に記載の方法によってメチルホルメートを製造するプラント。
  7. 使用される蒸留装置B1がカラムであり、この場合、このカラムの分離効率は、要求される純度のメチルホルメートを、頂部を介して脱ガス反応生成物から取り出すのに十分である、請求項6に記載のプラント。
  8. 脱塩装置B3が、本質的に、必要である場合には帯域中で加熱されたかまたは冷却されてもよい精留カラムから成り、この場合、このカラムは、分離プレートを備えてもよく、かつ、適切な位置で、残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための供給管路および温水および/または蒸気のための供給管路、頂部で蒸留物を取り出すための排出管路、かつ底部で触媒分解生成物を含有する水を取り出すための排出管路を備えており、その分離効率は、頂部で、100ppm未満、好ましくは30ppmm未満、特に好ましくは約5〜15ppmの水を含有するメタノールを取り出すのに十分である、請求項6または7に記載のプラント。
  9. 本質的に、必要である場合には帯域中で加熱または冷却されてもよい精留カラムから成る脱塩装置において、この場合、このカラムは、分離プレートを備えていてもよく、かつ、適した位置で、残留触媒および触媒分解生成物を含有するメタノールのための供給管路および温水および/または蒸気のための供給管路、頂部で蒸留物を取り出すための排出管路、および底部で触媒分解生成物を含有する水を取り出すための排出管路を備えており、かつ、その分離効率は、頂部で、100ppm未満の水を含有するメタノールを取り出すのに十分である、脱塩装置。
  10. 蒸留装置B1および請求項9に記載の脱塩装置の組み合わせ物において、脱塩装置の頂部から排出されるメタノール蒸気が、熱交換媒体として、連結管路かまたは同等の組み込まれた構造物を経て、蒸留装置に運ばれる、蒸留装置B1および請求項9に記載の脱塩装置の組み合わせ物。
  11. 請求項1に記載の方法によって製造されるメチルホルメート。
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