JP2004509896A - 二環式ヘテロ芳香族化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
(技術分野)
本発明は、糖蛋白ホルモン作働活性または拮抗活性を有する化合物、詳細には黄体形成ホルモン(LH)作働活性を有する化合物に関する。本発明はさらに、二環式ヘテロ芳香族誘導体、それを含む医薬組成物、ならびに医学的療法での、特には受胎能の制御としての使用に向けたその化合物の使用に関する。
【0002】
(背景技術)
ゴナドトロピン類は、代謝、体温調節および生殖プロセスなどの各種身体機能において重要な役割を果たす。例えば下垂体ゴナドトロピンFSHは、卵胞成長および成熟の刺激において中枢的な役割を果たし、一方でLHは排卵を誘発する(Sharp, R. M. Clin Endocrinol. 33: 787−807, 1990; Dorrington and Armstrong, Recent Prog. Horm. Res. 35: 301−342, 1979)。現在LHは、FSHとの併用で、卵巣刺激、すなわちin vitro受精(IVF)における卵巣の過剰刺激および不妊の無排卵女性における排卵誘発(Insler, V., Int. J. Fertility 33: 8597,1988, Navot and Rosenwaks, J. Vitro Fert. Embryo Transfer 5: 3−13, 1988)、ならびに男性生殖機能不全および男性不妊症に関して、臨床的に使用されている。
【0003】
ゴナドトロピン類は特異的な生殖腺細胞型に作用して、卵巣および精巣の分化およびステロイド産生を開始する。これらの下垂体および胎盤ホルモンの作用には、G蛋白結合受容体の大きいファミリーの構成員である特異的な細胞膜受容体が介在している。これらは、7つの膜横断領域を有する1種類のポリペプチドからなり、Gs蛋白と相互作用して、アデニルシクラーゼの活性化を生じさせることができる。
【0004】
治療用のゴナドトロピン類は、入手源としてのヒト尿から単離することができるが、純度が低い(Morse et al, Amer. J. Reproduct. Immunol. and Microbiology 17: 143, 1988)。別法としてそれらは、組換えゴナドトロピンとして製造することができる。
【0005】
他の治療用蛋白の場合と同様、ゴナドトロピンは皮下投与または筋肉投与する必要がある。しかしながら、例えば経口または経皮経路で投与することができる小分子でその受容体を活性化することが有利であると考えられる。
【0006】
(発明の開示)
本発明は、ゴナドトロピン受容体の一つを選択的に活性化するそのような低分子量ホルモン類縁体の製造について説明するものである。それは、本発明の主要な利点の一つであると考えるべきである。
【0007】
そこで本発明は、下記一般式Iによる二環式ヘテロ芳香族誘導体あるいはその化合物の薬学的に許容される塩に関する。
【0008】
【化2】
式中、
R1は(3−8C)シクロアルキル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;好ましくはR1は(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;
R2は(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニルまたは(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;
R3は(1−8C)アルキル、(3−8C)シクロアルキル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;
YはCHまたはNであり;
ZはNH2またはOHであり;
AはS、N(H)、N(R4)、Oまたは結合であり;R4はR2について記載のものと同じ基から選択することができ;
BはN(H)、Oまたは結合である。
【0009】
R1における環系は、R5、NHR5、N(R4)R5、OR5および/またはSR5から選択される1以上の置換基で置換されていても良く;R5は(6−14C)アリール、(4−13C)ヘテロアリール、(6−14C)アリールカルボニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(3−8C)シクロアルキル、(6−14C)アリールスルホニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(6−14C)アリールアミノスルホニル、(6−14C)アリールオキシスルホニル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(2−8C)アルケニルスルホニル、(2−8C)アルケノキシカルボニルもしくは(1−8C)アルキル、(1−8C)アルキルカルボニル、(1−8C)アルキルスルホニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニル、(1−8C)アルコキシカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニルまたは(1−8C)アルコキシスルホニルであり;これらにおけるアルキル基は、ヒドロキシル、(1−8C)アルコキシ、(2−7C)ヘテロシクロアルキル(1−8C)アルコキシ、(3−8C)シクロアルキル(1−8C)アルコキシ、(6−14C)アリール(1−8C)アルコキシ、(4−13C)ヘテロアリール(1−8C)アルコキシ、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(3−8C)シクロアルキル、(6−14C)アリール、(4−13C)ヘテロアリール、(1−8C)アルコキシカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルオキシ、(6−14C)アリールカルボニルオキシ、(1−8C)アルキルカルボニル、(6−14C)アリールカルボニル、アミン、(1−8C)アルキルアミノカルボニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルアミノ、(6−14C)アリールカルボニルアミノ、(6−14C)(ジ)アリールアミノ、(ジ)[(1−3C)アルコキシ(1−3C)アルキル]アミノおよび/または(1−8C)(ジ)アルキルアミノから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。好ましくはR1における置換基は、NHR5またはOR5から選択される。R1での置換基におけるR5は好ましくは、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(6−14C)アリールカルボニルもしくは(1−8C)アルキル、(1−8C)アルキルカルボニルまたは(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニルであり;それらにおけるアルキル基は、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(4−13C)ヘテロアリール、(1−8C)アルコキシカルボニル、(1−8C)アルキルアミノカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルアミノ、(6−14C)アリールカルボニルアミノ、アミンおよび/または(1−8C)(ジ)アルキルアミノで置換されていても良い。アルキル基での最も好ましい置換基は、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノ、アミンおよび(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニルである。R1で最も好ましいものは、上記の置換基のうちの1個で置換されていても良いフェニルであり、その置換は好ましくはメタ位でのものである。
【0010】
本発明による化合物において、X1−X2はC=C、C(O)−NH、NH−C(O)、C(O)−O、O−C(O)、C=NまたはN=Cである。R5が(1−8C)アルキルスルホニル、(6−14C)アリールスルホニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(1−8C)アルコキシカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニル、(6−14C)アリールアミノスルホニル、(1−8C)アルコキシスルホニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(2−8C)アルケニルスルホニル、(2−8C)アルケノキシカルボニルまたは(6−14C)アリールオキシスルホニルである場合、X1−X2はさらにSまたはOであっても良い。
【0011】
本発明による好ましい化合物は、BがN(H)または結合であり、および/またはZがNH2である一般式Iによる化合物である。これらの好ましい化合物のうち、BがN(H)または結合であり、ZがNH2であるものが特に好ましい。より好ましいものは、好ましくは上記のBおよびZについての定義以外に、R1がN(R4)R5、NHR5、R5、OR5および/またはSR5から選択される1以上の置換基で、好ましくはNHR5またはOR5で置換されていても良い(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであると定義される化合物である。
【0012】
上記の全ての化合物におけるYとして好ましいものはNであり、Bとして好ましいものはN(H)または結合である。Bが結合である場合、R3は好ましくは(2−7C)ヘテロシクロアルキルである。
【0013】
さらに、上記の全ての化合物において、X1−X2は好ましくはC=C、C=NまたはN=Cであり、最も好ましくはC=Cである。R5が(1−8C)アルキルスルホニル、(6−14C)アリールスルホニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(1−8C)アルコキシカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニル、(6−14C)アリールアミノスルホニル、(1−8C)アルコキシスルホニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(2−8C)アルケニルスルホニル、(2−8C)アルケノキシカルボニルまたは(6−14C)アリールオキシスルホニルである場合、X1−X2として好ましいものは、上記で定義の基以外にSでもある。
【0014】
最も好ましいものは、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((N,N−ジエチルアミノ)−カルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(メトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(アリルオキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(エトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((モルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジノカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((N,N−ジメチルアミノ)カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドの群から選択される化合物である。
【0015】
本発明から除外されるものとして、化合物5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(ピペリジン−1−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル、5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(モルホリン−4−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルおよび5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルがある。
【0016】
この放棄は、文献(Chem. Pharm. Bull. 18 (7), 1385−1393 (1970))における開示に関するものである。
【0017】
(発明を実施するための最良の形態)
式Iの定義で使用される(1−8C)アルキルという用語は、1〜8個の炭素原子を有する分岐または未分岐アルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシルおよびオクチルである。(1−6C)アルキル基が好ましく、(1−3C)アルキル基が最も好ましい。
【0018】
(2−8C)アルケニルという用語は、2〜8個の炭素原子を有する分岐または未分岐アルケニル基を意味し、エテニル、2−ブテニルなどがある。(1−6C)アルケニル基が好ましく、(1−3C)アルケニル基が最も好ましい。
【0019】
(2−8C)アルキニルという用語は、2〜8個の炭素原子を有する分岐または未分岐アルキニル基を意味し、エチニルおよびプロピニルなどがある。最も好ましいのは(2−4C)アルキニル基である。
【0020】
(6−14C)アリールという用語は、6〜14個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基を意味し、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、アントラニルなどがあり、それらはヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、(1−8C)アルキルカルボニルアミノ、(1−8C)アルキルアミノカルボニルまたは(1−8C)(ジ)アルキルアミノなど(これらに限定されるものではない)の1以上の置換基で置換されていても良く、そのアルキル部分は前記で定義されたものと同じ意味を有する。より好ましいものは(6−10C)アリール基である。最も好ましい芳香族炭化水素基はフェニルである。
【0021】
(3−8C)シクロアルキルという用語は、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。
【0022】
(2−7C)ヘテロシクロアルキルという用語は、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有し、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも有するヘテロシクロアルキル基を意味する。好ましいヘテロ原子はNまたはOである。含窒素ヘテロシクロアルキル基は、炭素原子または窒素原子を介して結合していてもよい。最も好ましいヘテロシクロアルキル基はピペリジン、モルホリンおよびピロリジンである。
【0023】
(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニルという用語は、カルボニル基に結合した、前記で定義の2〜7個の炭素原子を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0024】
(1−8C)アルコキシという用語は、1〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基であって、そのアルキル部分が前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。(1−6C)アルコキシ基が好ましく、(1−3C)アルコキシ基が最も好ましい。
【0025】
(1−8C)アルコキシカルボニルという用語は、アルコキシカルボニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。(1−6C)アルコキシカルボニル基が好ましく、(1−3C)アルコキシカルボニル基が最も好ましい。
【0026】
(2−8C)アルケノキシカルボニルという用語は、アルケノキシカルボニル基であって、そのアルケニル基が2〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。(2−6C)アルケノキシカルボニル基が好ましく、(2−3C)アルケノキシカルボニル基が最も好ましい。
【0027】
(1−8C)アルコキシスルホニルという用語は、アルコキシスルホニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。(1−6C)アルコキシスルホニル基が好ましく、(1−3C)アルコキシスルホニル基が最も好ましい。
【0028】
(1−8C)(ジ)アルキルアミノという用語は、1〜8個の炭素原子を有する(ジ)アルキルアミノ基であって、そのアルキル部分が前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)(ジ)アルキルアミノ基である。
【0029】
ジ[(1−3C)アルコキシ(1−3C)アルキル]アミノという用語は、(ジ)[アルコキシアルキル]アミノ基であって、そのアルキル部分およびアルコキシ部分の両方が1〜3個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。
【0030】
(6−14C)(ジ)アリールアミノという用語は、6〜14個の炭素原子を有する(ジ)アリールアミノ基であって、そのアリール部分が前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)(ジ)アリールアミノ基である。最も好ましい(ジ)アリールアミノ基は(ジ)フェニルアミノである。
【0031】
(1−8C)アルキルチオという用語は、1〜8個の炭素原子を有するアルキルチオ基であって、そのアルキル部分が前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。最も好ましいものは(1−4C)アルキルチオ基である。
【0032】
(6−14C)アリールオキシカルボニルという用語は、アリールオキシカルボニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。最も好ましいものはフェノキシカルボニル基である。
【0033】
(6−14C)アリールオキシスルホニルという用語は、アリールオキシスルホニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。最も好ましいものはフェノキシスルホニル基である。
【0034】
(6−14C)アリール(1−8C)アルキルという用語は、7〜22個の炭素原子を有するアリールアルキル基であって、そのアルキル基が(1−8C)アルキル基であり、そのアリール基が前記で定義の(6−14C)アリール基であるものを意味する。より好ましいものは、(6−10C)アリール(1−4C)アルキル基である。ベンジルなどのフェニル(1−4C)アルキル基が最も好ましいアリールアルキル基である。
【0035】
(4−13C)ヘテロアリールという用語は、4〜13個の炭素原子、好ましくは4〜9個の炭素原子を有し、N、Oおよび/またはSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも有する置換もしくは未置換の芳香族基を意味し、イミダゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、インドリル、アクリジノリル、フリルまたはピリジルなどがある。ヘテロアリール基上の置換基は、アリール基について列記した置換基の群から選択することができる。好ましいヘテロアリール基は、チエニル、フリル、ピリジルおよびピリミジルである。含窒素ヘテロアリール基は、炭素原子または窒素原子を介して結合していてもよい。
【0036】
ハロゲンという用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0037】
(2−7C)ヘテロシクロアルキル(1−8C)アルコキシという用語は、(1−8C)アルコキシ基に結合した、前記で定義の2〜7個の炭素原子を有するヘテロシクロアルキル基であって、そのアルコキシ部分が前記で定義の意味を有するものを意味する。より好ましいものは、(2−5C)ヘテロシクロアルキル(1−4C)アルコキシ基である。
【0038】
(3−8C)シクロアルキル(1−8C)アルコキシという用語は、(1−8C)アルコキシ基に結合した、前記で定義の3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基であって、そのアルコキシ部分が前記で定義の意味を有するものを意味する。より好ましいものは、(3−6C)シクロアルキル(1−4C)アルコキシ基である。
【0039】
(6−14C)アリール(1−8C)アルコキシという用語は、(1−8C)アルコキシ基に結合した、前記で定義の6〜14個の炭素原子を有するアリール基であって、そのアルコキシ部分が前記で定義の意味を有するものを意味する。より好ましいものは、(6−10C)アリール(1−4C)アルコキシ基であり、フェニル(1−4C)アルコキシ基が最も好ましい。(4−13C)ヘテロアリール(1−8C)アルコキシ基は、そのヘテロアリール環にN、OおよびSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも有する(6−14C)アリール(1−8C)アルコキシ基の類縁体である。より好ましいものは、(4−9C)ヘテロアリール(1−4C)アルコキシ基である。
【0040】
(1−8C)アルキルカルボニルという用語は、アルキルカルボニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)アルキルカルボニル基であり、(1−4C)アルキルカルボニル基が最も好ましい。
【0041】
(6−14C)アリールカルボニルという用語は、アリールカルボニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)アリールカルボニル基であり、フェニルカルボニル基が最も好ましい。
【0042】
(1−8C)アルキルスルホニルという用語は、アルキルスルホニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)アルキルスルホニル基であり、(1−4C)アルキルスルホニル基が最も好ましい。
【0043】
(2−8C)アルケニルスルホニルという用語は、アルケニルスルホニル基であって、そのアルケニル基が2〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(2−6C)アルケニルスルホニル基であり、(2−4C)アルケニルスルホニル基が最も好ましい。
【0044】
(6−14C)アリールスルホニルという用語は、アリールスルホニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)アリールスルホニル基であり、フェニルスルホニル基が最も好ましい。
【0045】
(1−8C)アルキルカルボニルオキシという用語は、アルキルカルボニルオキシ基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)アルキルカルボニルオキシ基である。最も好ましいものは(1−4C)アルキルカルボニルオキシ基である。
【0046】
(6−14C)アリールカルボニルオキシという用語は、アリールカルボニルオキシ基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)アリールカルボニルオキシ基であり、フェニルカルボニルオキシ基が最も好ましい。
【0047】
(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニルという用語は、(ジ)アルキルアミノカルボニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)(ジ)アルキルアミノカルボニル基であり、(1−4C)(ジ)アルキルアミノカルボニル基が最も好ましい。
【0048】
(6−14C)(ジ)アリールアミノカルボニルという用語は、(ジ)アリールアミノカルボニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)(ジ)アリールアミノカルボニル基であり、(ジ)フェニルアミノカルボニル基が最も好ましい。
【0049】
(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニルという用語は、(ジ)アルキルアミノスルホニル基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)(ジ)アルキルアミノスルホニル基であり、(1−4C)(ジ)アルキルアミノスルホニル基が最も好ましい。
【0050】
(6−14C)(ジ)アリールアミノスルホニルという用語は、(ジ)アリールアミノスルホニル基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)(ジ)アリールアミノスルホニル基であり、(ジ)フェニルアミノスルホニル基が最も好ましい。
【0051】
(1−8C)アルキルカルボニルアミノという用語は、アルキルカルボニルアミノ基であって、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(1−6C)アルキルカルボニルアミノ基であり、(1−4C)アルキルカルボニルアミノ基が最も好ましい。
【0052】
(6−14C)アリールカルボニルアミノという用語は、アリールカルボニルアミノ基であって、そのアリール基が6〜14個の炭素原子を有し、前記で定義されたものと同じ意味を有するものを意味する。より好ましいものは(6−10C)アリールカルボニルアミノ基であり、フェニルカルボニルアミノ基が最も好ましい。
【0053】
(2−7C)ヘテロシクロアルキルオキシという用語は、酸素原子に結合した、前記で定義の2〜7個の炭素原子を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。最も好ましいものは(2−5C)ヘテロシクロアルキルオキシ基である。
【0054】
(3−8C)シクロアルキルオキシという用語は、酸素原子に結合した、前記で定義の3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0055】
(6−14C)アリールオキシという用語は、酸素原子に結合した、前記で定義の6〜14個の炭素原子を有するアリール基を意味する。より好ましいものは(6−10C)アリールオキシ基であり、フェノキシ基が最も好ましい。(4−13C)ヘテロアリールオキシ基は、ヘテロアリール環においてN、OおよびSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも有する(6−14C)アリールオキシ基の類縁体である。より好ましいものは(4−9C)ヘテロアリールオキシ基である。
【0056】
上記の式Iの化合物が、LH受容体に結合することができ、作働性LH活性を示すことが明らかになっている。
【0057】
本発明はさらに、一般式Iを有する二環式ヘテロ芳香族誘導体またはそれの塩を含む医薬組成物に関する。
【0058】
そこで本発明による化合物を、治療法に用いることができる。本発明のさらに別の態様は、受胎能力制御用の医薬品製造における、一般式Iを有する二環式ヘテロ芳香族化合物の使用に関する。好ましくは本発明の化合物を用いて、LH受容体を活性化する。
【0059】
本発明の二環式ヘテロ芳香族誘導体は、1以上のキラル炭素原子を有していてもよい。従ってその化合物は、キラル的に純粋な化合物として、あるいはジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物として得られる場合がある。キラル的に純粋な化合物を得る方法は当業界で公知であり、例えば結晶化またはクロマトグラフィーがある。
【0060】
治療用途の場合、式Iの化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容される塩である。しかしながら、式Iによる塩基の酸付加塩も、例えば薬学的に許容される化合物の製造または精製において用いることができる。薬学的に許容されるか否かとは無関係に、全ての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0061】
酸付加塩の例としては、塩酸、リン酸、硫酸、好ましくは塩酸などの鉱酸、ならびにクエン酸、酒石酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸などの有機酸から誘導されるものなどがある。
【0062】
本明細書においては有効成分とも称される式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩のための好適な投与経路は、筋肉注射、皮下注射、静脈注射または腹腔内注射、経口投与および経鼻投与である。好ましくはその化合物は、経口投与することができる。有効成分またはその医薬組成物の正確な用量および投与法は必ず、達成すべき治療効果(不妊治療;妊娠)によって決まるものであり、特定の化合物、投与経路、ならびにその医薬品の投与を受ける個々の患者の年齢および状態に応じて変動し得る。
【0063】
非経口投与では、吸着への依存性が高い他の投与方法と比較してより少ない用量が望まれる。しかしながら、ヒトの場合の用量は好ましくは、0.0001〜25mg/kg体重を含有する。所望の用量は、1回用量として、または1日を通じて適切な間隔で投与される複数の小分け用量として提供することができ、あるいは女性被投与者の場合、月経周期を通じて適切な日数間隔で投与される用量として提供することができる。用量ならびに投与法は、女性および男性の被投与者間で異なる場合がある。
【0064】
in vitroまたはex vivoでの使用の場合、IVF用途の場合のように、本発明の化合物は、濃度約0.01〜5μg/mLでインキュベーション培地で使用すべきである。
【0065】
そこで本発明は、薬学的に許容される補助剤および場合により他の治療薬との混合における、式による二環式ヘテロ芳香族化合物を含む医薬組成物に関するものでもある。その補助剤は、組成物の他の成分と適合性であり、被投与者に対して有害性がないという意味において「許容できる」ものでなければならない。
【0066】
医薬組成物には、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(経皮投与、口腔内投与および舌下投与など)、膣投与または非経口投与(皮下投与、筋肉投与、静脈投与および皮内投与など)に好適なものなどがある。その組成物は、例えばGennaroらの著述(Gennaro et al., Remington′s Pharmaceutical Sciences (18th ed., Mack Publishing company, 1990、特にPart 8: Pharfnaceutical Preparations and Their Manufacture参照))に記載のものなどの方法を用いて、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。
【0067】
そのような方法には、有効成分を補助剤と組み合わせる段階などがある。補助成分とも称される補助剤には、充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、香味剤および湿潤剤などの当業界で一般的なものなどがある(上記Gennaroの著述を参照)。
【0068】
経口投与に好適な医薬組成物は、丸薬、錠剤またはカプセルなどの別個の用量単位として、あるいは粉剤もしくは粒剤として、あるいは液剤または懸濁液として提供することができる。有効成分はまた、ボーラスまたはペーストとして提供することもできる。組成物はさらに、加工を施して直腸投与用の坐剤または浣腸剤とすることができる。
【0069】
非経口投与の場合、好適な組成物には、水系および非水系の無菌注射剤などがある。組成物は、例えば密封バイアルおよびアンプルなどの単位用量または多用量の容器に入れて提供することができ、使用に先だって、水などの無菌液体担体を加えることのみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で保管することができる。
【0070】
経鼻吸入による投与に好適な組成物または製剤には、用量計量式加圧エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器などによって発生させることができる微粒子またはミストなどがある。
【0071】
本発明の二環式ヘテロ芳香族誘導体はまた、放出速度調節膜の中に入った活性材料の核からなる移植可能な医薬機器の形態で投与することもできる。そのような移植物は皮下または局所的に施すべきものであり、比較的長期間にわたって、例えば数週間ないし数年にわたってほぼ一定速度で有効成分を放出する。移植可能な医薬機器自体の製造方法は、例えば欧州特許0303306号(AKZO N. V.)に記載のように、当業界では公知である。
【0072】
したがって、本発明による化合物は、自然のLHと同じ臨床用途に用いることができ、異なる安定性特性を示し、異なった形態で投与できるという利点を有する。
【0073】
式(I−a)によって表されるB=NHである本発明の化合物は、一般に、式(II)の酸と式(III)のアミンとの当業界で公知の縮合に従って製造することができる。
【0074】
【化3】
【0075】
上記の反応は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)または塩化メチレンなどの非プロトン性溶媒のような好適な溶媒中にて室温で、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)またはブロモトリピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DiPEA)などの3級アミン塩基のようなカップリング試薬を用いて行われる。
【0076】
同様に、式(I−b)によって表されるB=Oである式(I)の化合物は、一般構造式(II)を有する酸と式(IV)のアルコールを原料として、式(I−a)の化合物について前述したものと同じ方法で製造することができる。
【0077】
【化4】
【0078】
式(I−c)によって表されるBが結合である式(I)の化合物は、THFなどの非プロトン性溶媒中、式(V)の誘導体と適切な有機金属試薬との反応によって得ることができる。関係する置換反応が文献に記載されている(S. V. Frye, M. C. Johnson, N. L. Valvano, J. Org. Chem. 56: 3750, 1991)。式(V)のワインレブアミド(Weinreb Amides)は、式(I−a)のアミドの製造について記載の条件を用いて、式(II)の酸およびN−メトキシ−N−メチルアミンから合成することができる。
【0079】
【化5】
【0080】
中間体である酸(II)の好適な製造方法は、一般構造式(VI)のエチルエステルの当業界で公知の塩基によるケン化である。ケン化は、高温(40℃〜還流)の含水ジオキサン中での水酸化リチウム、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基存在下に行ない、それに続いて酸による後処理を行う。
【0081】
【化6】
【0082】
式(VII)の二環式ラクタムは、相当するイミン(VIII)の製造における有用な出発原料である。代表的な実験ではそのラクタムは、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中、高温(60℃〜還流)にてホスホリルクロライドを用いて、相当するクロロイミンに変換される。エタノール中好適な触媒の存在下に、水素などの還元剤で処理することで、一般式(VIII)の所望のイミンを単離することができる。関係する還元については、文献に報告がある(例えば、E. Bisagni, C. Landras, S. Thirot and C. Huel, Tetrahedron 52: 10427, 1996参照)。
【0083】
【化7】
【0084】
一般構造式(VII)の二環式ラクタムは、TBTU/DiPEAなどのカップリング剤の作用下でのアミノマロン酸ジエチルと(IX)型の酸の縮合ならびに塩基性条件下でエタノール中での中間体アミドの環化によって製造することができる。同時に起こる脱エトキシカルボニル化による芳香族化によって、(VII)型の二環式化合物が得られる。別の手順においては、グリシンエチルエステルを、アミノマロン酸ジエチルに代えて用いることができる。例えばBlancoらの報告を参照のこと(M. Blanco, M. G. Lorenzo, I. Perillo, C. B. Schapira, J. Heterocycl. Chem. 33: 361, 1996)。中間体アミドの環化は、塩化スズ(IV)によって行うこともできる。塩化スズ(IV)を用いた関連する系での閉環は文献で報告されている(A. C. Veronese, R. Callegari, C. F. Morelli, Tetrahedron 51: 12277, 1995)。
【0085】
【化8】
【0086】
炭酸カリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの非求核性塩基の影響下の非プロトン性溶媒中でのブロモ酢酸エチルによる式(IX)の酸の処理によって、一般構造式(X)の芳香族ラクトンを得ることができる。関連する構造が文献に記載されている(C. Bhakta, Indian J. Chem. Sect. B. 25: 189, 1986)。
【0087】
【化9】
【0088】
塩基性条件下でのマロン酸ジエチルによる式(XI)のビニル誘導体の処理によって、共役付加を起こさせる。得られる中間体付加物を、塩化スズ(IV)介在反応と後処理によって環化させて、式(XII)の二環式化合物とすることができる。別法として、マロン酸tert−ブチルエチルを、マロン酸ジエチルに代えてこの手順で用いることができる。
【0089】
【化10】
【0090】
DDQなどの好適な酸化剤で処理することで、あるいはキシレンなどの適切な溶媒中、高温でパラジウム触媒で処理することで、式(XII)の誘導体の芳香族化が生じて、一般式(XIII)のキナゾリンまたはキノリン化合物となる。コバヤシらの報告も参照のこと(K. Kobayashi, T. Uneda, K. Takada, H. Tanaka, T. Kitamura, O. Morikawa, H. Konishi, J. Org. Chem. 62: 664, 1997)。
【0091】
【化11】
【0092】
別の方法では、一般式(XIV)のメチルピリ(ミ)ジンを、低温(−78℃)下にTHFなどの好適な非プロトン性溶媒中、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)またはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)などの強塩基を用いてメチル基で脱プロトンする。次にそのアニオンを、3−エトキシアクリル酸エチルと反応させる。共役付加後、文献(K. Kobayashi, K. Takada, H. Tanaka, T. Uneda, T. Kitamura, Chem. Lett.: 25, 1996 ; K. Kobayashi, T. Uneda, K. Takada, H. Tanaka, T. Kitamura, O. Morikawa, H. Konishi, J. Org. Chem. 62: 664, 1997)に記載のように、一般式(XIII)のキノリンまたはキナゾリンへの環化が起こる。
【0093】
【化12】
【0094】
一般式(XV)を有するクロライドを塩基性条件下に(N−アルキル)β−アラニンエチルエステル(XVI)で処理することで、一般式(XVII)の二環式化合物が生じる。関連する変換については、文献に記載がある(P. Y. Boamah, N. Haider, G. Heinisch, Arch. Pharm. (Weinheim) 323: 207, 1990)。
【0095】
【化13】
【0096】
R6=Hである式(XVII)の化合物を、高温にてパラジウム/活性炭を用いて、式(XVIII)の誘導体に酸化することができる(例えば、M. Onda, K. Kawakami, Chem. Pharm. Bull. 20: 1484, 1972参照)。R6=Hまたはアルキルである式(XVII)の化合物は、文献(H. Ishii, Chem. Pharm. Bull. 26: 864, 1978; J. I. DeGraw, P. H. Christie, W. T. Colwell, F. M. Sirotnak, J. Med. Chem. 35 : 320, 1992)に記載の方法に従って、DDQを用いて式(XVIII)のイミンに変換することができる。
【0097】
【化14】
【0098】
別法として、式(XVIII)のイミンは、式(VIII)の位置異性体類縁体と同様に(上記を参照のこと)して、すなわちPOCl3を用いるクロロイミンへの変換およびそれに続く水素および適切な触媒を用いる脱ハロゲン化によって、式(XIX)の相当するラクタムから製造することができる。
【0099】
【化15】
【0100】
式(XIX)のラクタムは、好適な塩基存在下での式(XX)のアミノピリ(ミ)ジンのマロン酸クロロエチルによるアシル化によって製造することができる。その後、塩基(エタノール中ナトリウムエトキシド)または塩化スズ(IV)の作用下での中間体非環状マロンアミドの閉環によって、(XIX)型の二環式ラクタムが得られる。同様の変換が文献に報告されている(例えば、A. C. Veronese, R. Callegari, C. F. Morelli, Tetrahedron 51: 12277, 1995; W. Stadlbauer, S. Prattes, W. Fiala, J. Heterocycl. Chem. 35: 627, 1998参照)。
【0101】
【化16】
【0102】
式(XX)のアミノピリ(ミ)ジンの置換パターンに応じて、マロン酸ジエチルの塩化スズ(IV)介在カップリングと、それに続く好適な溶媒中高温(例:ジフェニルエーテル中240℃)での環化によって、式(XIX)のラクタムを製造することができる。
【0103】
同様にして、(XXII)型のラクトンを、マロン酸クロロエチルによる式(XXI)のラクタムのO−アシル化とそれに続く環化によって製造することができる。
【0104】
【化17】
【0105】
一般式(XXIII)のフロピリ(ミ)ジンは、アセトン中で炭酸カリウムを用いる(XXI)型のラクタムの選択的O−アルキル化と、それに続くエタノール中ナトリウムエトキシドの作用下での閉環によって得ることができる。
【0106】
【化18】
【0107】
一般式(XXIV)のチエノピリ(ミ)ジンは、強塩基の作用下でのメルカプト酢酸エチルによるクロライド(XV)の処理によって得ることができる。代表的な実験では、1当量のクロライド(XV)を、THF中で、1.5当量のメルカプト酢酸エチルおよび2当量のカリウムtert−ブトキシドと反応させる。この条件下で、非環状スルフィドは自然環化を起こして、一般式(XXIV)のチエノピリ(ミ)ジンを形成する。R1がニトロなどの電子吸引基で置換された(ヘテロ)アリールである場合に、上記の環化は、中間体チオエーテルの単離とそれに続くトルエン/EtOH中還流温度でのDIPEAなどの3級塩基での処理によるチオフェン環形成が関与する2段階手順によって行われる。
【0108】
【化19】
【0109】
一般式(IX)のピリ(ミ)ジンカルボキシレートは、高温(40℃〜還流)下、水および1,4−ジオキサンまたはメタノールなどの有機共溶媒の混合液中での水酸化リチウムもしくは水酸化カリウムなどの強塩基を用いる式(XXV)のアルコキシカルボニルピリ(ミ)ジンのケン化と、それに続く酸性後処理によって得ることができる。W=CO2アルキルである場合、R7は好ましくはベンジルとして、置換基Wは影響されない状態としながら、ベンジルエステル官能基の選択的水素化を行うことができるようにする。
【0110】
【化20】
【0111】
式(XXV)の化合物は、一酸化炭素および適切なアルコール(R7OH、XXVI)存在下でのクロライド(XV)のパラジウム触媒アルコキシカルボニル化によって製造することができると考えられる。同様の変換が、文献に記載されている(例えば、Y. Bessard, R. Crettaz, Heterocycles 51: 2589, 1999参照)。
【0112】
【化21】
【0113】
ビニルトリブチルスタンナンまたはテトラビニルスタンナンとクロライド(XV)とのパラジウム触媒反応によって、一般構造式(XI)のビニルピリ(ミ)ジンが得られる。この種の変換は、文献でかなり報告されている(例えば、L. L. Gundersen, A. K. Bakkestuen, A. J. Aasen, H. Oeveras, F. Rise, Tetrahedron 50: 9743, 1994 ; F. Guillier, F. Nivoliers, A. Godard, F. Marsais, G. Queguiner, J. Heterocycl. Chem. 36: 1157, 1999参照)。
【0114】
一般式(XV)のクロライドの置換パターンに応じて、一般式(XI)のビニルピリ(ミ)ジンを、メチレントリフェニルホスファンによるクロライドの置換とそれに続く(パラ)ホルムアルデヒドとの反応によって製造することもできる。
【0115】
【化22】
【0116】
同様に、THFなどの非プロトン性溶媒中、パラジウム触媒存在下にトリメチルアルミニウムで一般式(XV)のクロライドを処理することで、一般式(XIV)のメチルピリ(ミ)ジンが得られる。関連する合成が、文献で発表されている(Q. Lu, I. Mangalagiu, T. Benneche and K. Undheim, Acta Chem. Sc. 51: 302, 1997)。
【0117】
【化23】
【0118】
式(XXI−a)によって表されるY=Nである式(XXI)の化合物は、いくつかの文献に基づく手法を用いて製造することができる。
【0119】
【化24】
【0120】
例えば、R1=(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールである式(XXI−a)の誘導体は、Wが前記で定義の通りであるエチルエステル(XXVII)とアルデヒド(XXVIII)およびイソチオ尿素(XXIX−a)、イソ尿素(XXIX−b)、モノ置換グアニジン(XXIX−c)、ジ置換グアニジン(XXIX−d)またはアミジン(XXIX−e)である化合物(XXIX)との縮合によって合成することができる。
【0121】
【化25】
【0122】
代表的な実験では、成分(XXVII)、(XXVIII)および(XXIXa〜e)を、エタノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフランまたはピリジンなどの適切な溶媒中に懸濁させ、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドなどの塩基を加える。反応は高温(70℃〜還流)下、行なう。 (例えば、S. Kambe, K. Saito and H. Kishi, Synthesis: 287, 1979; A. M. Abd−Elfattah, S. M. Hussain and A. M. El−Reedy, Tetrahedron 39: 3197,1983; S. M. Hussain, A. A. El−Barbary and S. A. Mansour, J. Heterocycl. Chem. 22: 169, 1985参照)。W=C(O)OEtの場合、DDQまたは酸素などの酸化剤を加えると芳香族化が起こる。関連する環化は、適切な連結基を用いて、メリフィールド(Merrifield)樹脂などの固体担体で行うこともできる(例えば、A. L. Mrzinzik and E. R. Felder, J. Org. Chem. 63: 723, 1998; T. Masquelin, D. Sprenger, R. Baer, F. Gerber and Y. Mercadal, Helv. Chim. Acta 81 : 646, 1998参照)。
【0123】
式(XX−a)によって表されるY=Nである一般式(XX)の化合物は、マロニトリルを用いて、同様の縮合戦略によって製造することができる。
【0124】
【化26】
【0125】
別法として、一般式(XX)の化合物は、アンモニア水および1,4−ジオキサンなどの適切な有機共溶媒を用いる式(XV)のクロライドのアンモニア分解によって得ることができる。この変換は、DMFなどの非プロトン性溶媒中、塩化アンモニウムおよびDiPEAなどの3級アミン塩基を用いて行うこともできる。
【0126】
【化27】
【0127】
一般式(XV)の塩化物は、高温(60℃〜還流)下、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中、ラクタム(XXI)のPOCl3との当業界で公知の反応によって合成することができる。
【0128】
【化28】
【0129】
Y=Nであり、R1が(6−14C)アリールや(4−13C)ヘテロアリールではない式(XV)の誘導体は、各種求核剤による式(XXX)の誘導体におけるClのモノ置換によって製造することができる。関連する置換反応は文献に記載されている(例えば、S. Kohra, Y. Tominaga and A. Hosomi, J. Heterocycl. Chem. 25: 959, 1988 ; A. A. Santilli, D. H. Kim and S. V. Wanser, J. Heterocycl. Chem. 8: 445, 1971; J. Clark, M. S. Shannet, D. Korakas and G. Varvounis, J. Heterocycl. Chem. 30: 1065, 1993; S. Tumkevicius, Liebigs Ann. Org. Bioorg. Chem. 9: 1703, 1995)。
【0130】
【化29】
【0131】
式(XXI−b)によって表されるY=CH、A=SおよびW=CNである一般式(XXI)のピリジン化合物は、Milartの報告(P. Milart, Tetrahedron 54: 15643−15656, 1998)に記載の方法に従って、一般構造式(XXXI)のα,β−不飽和ジニトリルの二硫化炭素およびヨウ化アルキルR2−Iによる順次アルキル化による一般式(XXXII)の化合物形成によって得ることができる。Pesekeの報告(K. Peseke, Z. Chem. 29: 442−443 (1989))に記載の方法による酸性条件下での式(XXXII)の化合物の環化によって、一般式(XXI−b)のピリジン化合物が得られる。
【0132】
【化30】
【0133】
式(XXI−c)によって表されるAが結合であり、Y=CHであり、Wが前記で定義の通りである一般式(XXI)の化合物は、ジメチルスルホキシドなどの好適な溶媒中、酸素存在下で、カリウムtert−ブトキシドなどの強塩基を用いる、一般式(XXXIII)のα,β−不飽和ケトンの、Wが前記で定義の通りである一般式(XXXIV)のアミドとの反応によって製造することができる。関連する環化が、文献に記載されている(R. Jain, F. Roschangar, M. A. Ciufolini, Tetrahedron Lett. 36: 3307, 1995)。
【0134】
【化31】
【0135】
受容体結合の測定方法ならびにゴナドトロピンの生理活性を測定するためのin vitroおよびin vivoアッセイは公知である。通常は、発現受容体を被験化合物と接触させ、結合または機能的応答の刺激もしくは阻害を測定する。
【0136】
機能的応答を測定するため、LH受容体遺伝子、好ましくはヒト受容体をコードする単離されたDNAを、好適な宿主細胞で発現させる。そのような細胞は、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞であり得ると考えられるが、他の細胞も好適である。好ましくはその細胞は哺乳動物起源のものである(Jia et al, Mol. Endocrin., 5: 759−776, 1991)。
【0137】
組換えLH発現細胞系を構築する方法は、当業界では公知である(Sambrook et al., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, latest edition)。受容体の発現は、所望の蛋白をコードするDNAの発現によって得られる。部位指向的突然変異誘発、別の配列の連結、PCRおよび好適な発現系の構築のための技術はいずれも、現在当業界で公知である。所望の蛋白をコードするDNAの部分または全体を、標準的な固相法を用いて合成的に構築して、好ましくは連結を容易にするための制限部位を含めることができる。包含されたコード配列の転写および翻訳のための好適な制御要素を、DNAコード配列に与えることができる。公知のように、細菌などの原核宿主および酵母、植物細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞などの真核宿主などの非常に多様な宿主と適合性である発現系が、現在入手可能である。
【0138】
そこで、受容体を発現する細胞を被験化合物と接触させて、結合または機能的応答の刺激もしくは阻害を観察することができる。
【0139】
発現受容体を含む別途単離した細胞膜を用いて、化合物の結合を測定することができる。
【0140】
結合の測定には、放射能標識または蛍光標識化合物を用いることができる。基準化合物としては、ヒト組換えLHを用いることができる。別法では、競争結合アッセイを行うこともできる。
【0141】
別のアッセイでは、受容体介在cAMP蓄積の刺激を測定することで、LH受容体作働薬化合物のスクリーニングを行う。そこで、そのような方法では、宿主細胞の細胞表面での受容体の発現とその細胞の被験化合物への曝露を行う。次に、cAMPの量を測定する。受容体に結合した際に被験化合物が阻害効果を有するか刺激効果を有するかに応じて、cAMPのレベルは低下したり上昇したりする。
【0142】
曝露細胞における例えばcAMPレベルの直接測定以外に、受容体コードDNAによるトランスフェクションに加えて、発現がcAMPのレベルに応答するレポーター遺伝子をコードする第2のDNAによってもトランスフェクションされる細胞系を用いることができる。そのようなレポーター遺伝子は、誘導可能cAMPであると考えられるか、あるいは新規なcAMP応答性要素に結合されるような様式で構築されると考えられる。一般にレポーター遺伝子発現は、変化するcAMPレベルに反応性の応答要素によって制御することができると考えられる。好適なレポーター遺伝子は例えば、LacZ、アルカリホスファターゼ、ホタルルシフェラーゼおよび緑色蛍光蛋白である。そのようなトランスアクチベーションアッセイの原理は当業界で公知であり、文献に記載されている(例えば、Stratowa, Ch, Himmler, A and Czernilofsky, A. P. (1995) Curr. Opin. Biotechnol. 6: 574)。
【0143】
活性化合物を選択するため、10−5Mでの試験でLHを基準として用いる場合の最大活性の20%を超える活性が得られなければならない。別の基準では、EC50値が<10−5M、好ましくは<10−7Mでなければならないと考えられる。
【0144】
当業者であれば、所望のEC50値が被験化合物によって決まることは明らかであろう。例えば、10−5M未満のEC50を有する化合物は、薬剤選択の候補であると一般に考えられる。好ましくはその値は、10−7M、より好ましくは10−8Mより低い。しかしながら、それより高いEC50を有するが、特定の受容体について選択的である化合物であっても、より良好な候補剤となり得る。
【0145】
LH受容体作働化合物についてのスクリーニングは、マウスライジッヒ細胞バイオアッセイを用いて行うこともできる(Van Damme, M., Robersen, D. and Diczfalusy, E. (1974); Acta Endocrinol. 77: 655−671 Mannaerts, B., Kloosterboer, H. and Schuurs, A. (1987); Neuroendocrinology of reproduction. R. Rolland et al. Eds., Elsevier Science Publishers B. V., 49−58)。このアッセイでは、LH受容体介在テストステロン産生の刺激を、雄マウスから単離したライジッヒ細胞(Leydig cells)で測定することができる。
【0146】
LH受容体作働化合物のin vivo活性を測定するため、未成熟マウスにおける排卵誘発を調べることができる。このアッセイでは、未成熟雌マウスを尿FSHで準備刺激し、約48時間後にLH作働化合物で処理することができる。LH作働薬処理後に動物を屠殺し、輸卵管中の卵子の数を顕微鏡で評価することができる。
【0147】
本発明の化合物は、現在LHまたはhCGが用いられる投与法で臨床的に使用することができる。それには、男性または女性の性機能低下性生殖機能不全患者でのLH置換、中間期投与による排卵誘発(排卵誘発(OI)または黄体の制御された過剰刺激(COH)もしくは刺激などがある。
【0148】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0149】
実施例
実施例1
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(メトキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
(a)5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−ヒドロキシ−ピリミジン
硫酸S−メチルイソチオ尿素(139mg)、3−メトキシベンズアルデヒド(243μL)、シアノ酢酸エチル(112μL)および炭酸カリウム(145mg)の脱水エタノール(2mL)中混合物を60℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却して0℃とし、濾過し、透明溶液が得られるまで残留物を水(H2O)で加熱した。溶液を2N HCl水溶液でpH2の酸性とし、氷浴で冷却して0℃とした。得られた結晶を濾取し、真空乾燥した。
【0150】
収量:186mg;
MS−ESI:[M+H]+=274.2;
TLC:Rf=0.50、シリカゲル、塩化メチレン(CH2Cl2)/メタノール(CH3OH)9/1(体積比)。
【0151】
(b)6−クロロ−5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン
5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−ヒドロキシ−ピリミジン(実施例1a、305mg)の脱水1,4−ジオキサン(1mL)溶液を撹拌したものに、オキシ塩化リン(0.75mL)を加えた。N,N−ジメチルアニリン1滴を加えた。80℃で3時間後、混合物を氷浴で冷却して0℃とし、破砕氷をゆっくり加えた。発熱反応が終了した後、H2O(3mL)を加えた。固体を濾取し、真空乾燥した。
【0152】
収量:244mg;
MS−ESI:[M+H]+=292.2;
TLC:Rf=0.86、シリカゲル、CH2Cl2。
【0153】
(c)5−アミノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
2−メルカプト酢酸エチル(92μL)および6−クロロ−5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン(実施例1b、244mg)の脱水テトラヒドロフラン(THF)(4mL)溶液を撹拌しながら、それにカリウムtert−ブトキシド(150mg)を加えた。1時間後、混合物を氷浴で冷却して0℃とし、H2O(10mL)で希釈した。固体を濾取し、真空乾燥した。
【0154】
収量:260mg;
MS−ESI:[M+H]+=376.2;
TLC:Rf=0.44、シリカゲル、CH2Cl2
(d)5−アミノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸
5−アミノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(実施例1c、9.27g)を1,4−ジオキサン(270mL)およびH2O(30mL)の混合物に溶かした。水酸化リチウム(10g)を加え、混合物を80℃で48時間撹拌した。1,4−ジオキサンを留去によって混合物から除去し、残留物をH2Oに取った。残った溶液を、3N HCl水溶液を加えることでpH2の酸性とした。得られた沈殿を濾去し、H2Oで洗浄した。沈殿中の痕跡量の水を、1,4−ジオキサンおよびジエチルエーテルとの共沸留去によって除去し、50℃で終夜真空乾燥した。
【0155】
収量:8.45g;
MS−ESI:[M+H]+=348.0;
TLC:Rf=0.2、シリカゲル、CH2Cl2/CH3OH=9/1(体積比)。
【0156】
(e)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
5−アミノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸(実施例1d、7.0g)を脱水CH2Cl2(100mL)に溶かした。ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(8.0g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(6.6mL)およびtert−ブチルアミン(4.0mL)を加え、混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を5%NaHCO3水溶液(100mLで2回)および1M HCl水溶液(100mLで2回)で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル(EtOAc)=1/0から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0157】
収量:6.5g;
MS−ESI:[M+H]+=403.0;
HPLC:Rf=33.56分、カラム:3μmルナ(Luna)C−18(2)100×2.0mm、流量0.25mL/分、オーブン温度40℃、検出210nm+254nm、溶離液H2O/アセトニトリル(CH3CN)/CH3OH=50分で70/28.5/1.5から0/95/5(体積比)。
【0158】
(f)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1e、1.8g)を脱水CH2Cl2(30mL)に溶かし、得られた溶液を冷却して0℃とした。三臭化ホウ素(1.28mL)の脱水CH2Cl2(30mL)溶液を滴下し、混合物を室温で終夜撹拌した。飽和NaHCO3水溶液を、発熱反応が終了するまで反応混合物に滴下した。その後、CH2Cl2を留去によって混合物から除去し、大量のEtOAcを加えた。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0159】
収量:1.3g;
MS−ESI:[M+H]+=389.2;
HPLC:Rf=17.44分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN/CH3OH=50分で90/9.5/0.5から0/95/5(体積比)。
【0160】
(g)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(メトキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)を脱水CH2Cl2(5mL)に溶かした。DIPEA(500μL)およびクロルギ酸メチル(199μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、30分でCH3CN/H2O=10/90から90/10(体積比)とする勾配でルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0161】
収量:93mg;
MS−ESI:[M+H]+=447.4;
HPLC:Rf=17.56分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で40/60から0/100(体積比)。
【0162】
実施例2
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(アリルオキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)とクロルギ酸アリル(274μL)との反応を、実施例1gに記載の方法に従って行った。標題化合物を、30分でCH3CN/H2O=10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0163】
収量:102mg;
MS−ESI:[M+H]+=473.4;
HPLC:Rf=19.82分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で40/60から0/100(体積比)。
【0164】
実施例3
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)とクロルギ酸ベンジル(368μL)との反応を、実施例1gに記載の方法に従って行った。標題化合物を、30分でCH3CN/H2O=10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0165】
収量:112mg;
MS−ESI:[M+H]+=523.2;
HPLC:Rf=22.22分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で40/60から0/100(体積比)。
【0166】
実施例4
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−ベンジルオキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)とクロルギ酸p−ニトロベンジル(554mg)との反応を実施例1gに記載の方法に従って行った。標題化合物を、30分でCH3CN/H2O=10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0167】
収量:47mg;
MS−ESI:[M+H]+=568.4;
HPLC:Rf=21.45分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で40/60から0/100(体積比)。
【0168】
実施例5
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(フェノキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)のクロルギ酸フェニル(324μL)との反応を、実施例1gに記載の方法に従って行った。標題化合物を、30分でCH3CN/H2O=10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0169】
収量:89mg;
MS−ESI:[M+H]+=509.4;
HPLC:Rf=21.12分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で40/60から0/100(体積比)。
【0170】
実施例6
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、400mg)のクロルギ酸p−ニトロ−フェニル(207mg)との反応を、実施例1gに記載の方法に従って行った。減圧下で溶媒留去することで、粗標題化合物を得た。
【0171】
収量:569mg;
MS−ESI:[M+H]+=554.6;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0172】
実施例7
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((N,N−ジエチルアミノ)−カルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例1f、100mg)を脱水CH2Cl2(5mL)に溶かし、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)数滴を加えた。ジエチルカルバモイルクロライド(68mg)およびDIPEA(217μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、CH3CN/H2O=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0173】
収量:75mg;
MS−ESI:[M+H]+=488.4;
TLC:Rf=0.6、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=1/1(体積比)。
【0174】
実施例8
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジノカルボニルオキシ)フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例6、142mg)をCH2Cl2に溶かした。1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(117μL)およびDIPEA(224μL)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。標題化合物を、CH3CN/H2O=45分で20/80から100/00(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0175】
収量:76mg;
MS−ESI:[M+H]+=498.2;
HPLC:Rf=13.90分、カラム:5μmルナC−18(2)150×4.60mm、流量1mL/分、検出210nm、溶離液H2O/CH3CN=15分で40/60から0/100(体積比)。
【0176】
実施例9
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−トルエンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
(a)5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−6−ヒドロキシ−ピリミジン
硫酸S−メチルイソチオ尿素(69.0g)、3−ニトロベンズアルデヒド(75.0g)、シアノ酢酸エチル(56.0mL)および炭酸カリウム(72.5g)の脱水EtOH(1500mL)中混合物を60℃で16時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却して0℃とした。得られた沈殿を濾過し、脱水EtOHで洗浄し、熱水(100℃)に溶かした。溶液を冷却して室温とし、2N HClでpH2の酸性とし、氷浴で冷却してとし0℃とした。得られた沈殿を濾過し、氷水で洗浄した。沈殿中の残留水分を、1,4−ジオキサンとの共沸留去で除去した。
【0177】
収量:54.0mg;
MS−ESI:[M+H]+=289.0;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、DCM/MeOH=9/1(体積比)。
【0178】
(b)6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン
5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−6−ヒドロキシ−ピリミジン(実施例9(a)、25.0g)の脱水1,4−ジオキサン(300mL)溶液を撹拌したものに、POCl3(100mL)を加えた。90℃で3時間後、混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。残留物を1,4−ジオキサン(100mL)に溶かし、得られた溶液を冷却して0℃とした。氷水を注意深く加えた。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄した。沈殿中の残留水分を、1,4−ジオキサンとの共沸留去によって除去した。
【0179】
収量:26.0g;
MS−ESI:[M+H]+=307.0;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0180】
(c)エチル5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−6−(エトキシカルボニルメチルチオ)−ピリミジン
2−メルカプト酢酸エチル(9.3mL)および6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン(実施例9(b)、26.0g)のEtOH(250mL)およびDCM(250mL)混合液溶液を撹拌したものに、DIPEA(15.7mL)を加えた。室温で1時間後、0.1N HCl水溶液(500mL)を混合物に加え、それを次にDCMで抽出し(500mLで3回)、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0181】
収量:28.0g;
MS−ESI:[M+H]+=390.4;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0182】
(d)5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
エチル5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−6−(エトキシカルボニルメチルチオ)−ピリミジン(実施例9(c)、28.0g)およびDIPEA(30mL)のトルエン(150mL)およびEtOH(150mL)の混合液中混合物を、還流温度(100℃)で16時間撹拌した。混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。トルエンとの共沸留去によって、残留DIPEAを除去した。
【0183】
収量:28.0g;
MS−ESI:[M+H]+=391.2;
TLC:Rf=0.6、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0184】
(e)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]−ピリミジン−6−カルボキサミド
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−チエノ[2,3−d]−ピリミジン−6−カルボン酸エチル(実施例9d、780mg)を1,4−ジオキサン(10mL)に溶かした。エタノール(10mL)および塩化スズ(II)(1.1g)を加え、反応混合物を90℃で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮後、残留物をEtOAc(50mL)に再度溶解させ、4M NaOH水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。得られた誘導体5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(558mg)におけるエチルエステル基を、実施例1dに記載の方法を用いてケン化して相当する酸(430mg)とし、次にtert−ブチルアミン(200μL)と反応させて、相当するtert−ブチルアミドを得た(実施例1eによる)。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0185】
収量:391mg;
MS−ESI:[M+H]+=388.0;
TLC:Rf=0.43、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0186】
(f)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−トルエンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カ ルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)を脱水ピリジン(5mL)に溶かした。p−トルエンスルホニルクロライド(70mg)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、0.1M HCl水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0187】
収量:63mg;
MS−ESI:[M+H]+=542.4;
HPLC:Rf=23.46分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN/CH3OH=50分で10/72/17/1から10/18/68/4(体積比)。
【0188】
実施例10
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ビニルスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、2.5g)を、CH2Cl2(25mL)およびピリジン(25mL)の混合液に溶かした。2−ブロモ−エタンスルホニルクロライドを、文献記載の方法に従って製造した(Bull. Chem. Soc. Jpn. 39, 1937−1941 (1966))。2−ブロモ−エタンスルホニルクロライド(2g)のCH2Cl2(5mL)溶液を滴下し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0189】
収量:1.4g;
MS−ESI:[M+H]+=478.6;
TLC:Rf=0.80、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0190】
実施例11
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−ピペリジノエタンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ビニルスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例10、87mg)を脱水THF(5mL)に溶かした。ピペリジン(181μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、最初に溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、次にCH3CN/0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(TFA)=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよび0.1%TFA水溶液の混合液から凍結乾燥した。
【0191】
収量:89mg(TFA塩);
MS−ESI:[M+H]+=563.4;
HPLC:Rf=18.4分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:H2O/CH3CN=25分で60/40から0/100(体積比)。
【0192】
実施例12
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(チオモル ホリン−4−イル)−エタンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
チオモルホリン(184μL)とtert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ビニルスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例10、87mg)との反応を、実施例11に記載の方法に従って行った。標題化合物を、最初に溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、次にCH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよび0.1%TFA水溶液の混合液から凍結乾燥した。
【0193】
収量:120mg(TFA塩);
MS−ESI:[M+H]+=581.2;
HPLC:Rf=17.2分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で60/40から0/100(体積比)。
【0194】
実施例13
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(ビス−(2−メトキシエチル)−アミノ)−エタンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
ビス−(2−メトキシエチル)アミン(244mg)とtert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ビニルスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例10、87mg)との反応を、実施例11に記載の方法に従って行った。標題化合物を、最初に溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、次にCH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよび0.1%TFA水溶液の混合液から凍結乾燥した。
【0195】
収量:60mg(TFA塩);
MS−ESI:[M+H]+=611.4;
HPLC:Rf=17.9分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で60/40から0/100(体積比)。
【0196】
実施例14
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(N−メチルピペラジノ)−エタンスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
N−メチルピペラジン(184μL)とtert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ビニルスルホンアミド)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例10、87mg)との反応を、実施例11に記載の方法に従って行った。標題化合物を、最初に溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、次にCH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよび0.1%TFA水溶液の混合液から凍結乾燥した。
【0197】
収量:85mg(TFA塩);
MS−ESI:[M+H]+=578.4;
HPLC:Rf=16.1分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=25分で60/40から0/100(体積比)。
【0198】
実施例15
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(メトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサ ミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)を脱水CH2Cl2(5mL)に溶かした。クロルギ酸メチル(199μL)およびDIPEA(500μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、CH3CN/10%CH3CN水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0199】
収量:80mg;
MS−ESI:[M+H]+=446.2;
HPLC:Rf=20.44分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:20分でリン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=10/72/18から10/18/72(体積比)。
【0200】
実施例16
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(アリルオキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)とクロルギ酸アリル(274μL)との反応を、実施例15に記載の方法を用いて実施した。標題化合物を、CH3CN/10%CH3CN水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0201】
収量:66mg;
MS−ESI:[M+H]+=472.2;
HPLC:Rf=22.37分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/72/18から10/18/72(体積比)。
【0202】
実施例17
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)とクロルギ酸ベンジル(368μL)との反応を、実施例15に記載の方法を用いて実施した。標題化合物を、CH3CN/10%CH3CN水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0203】
収量:112mg;
MS−ESI:[M+H]+522.4;
HPLC:Rf=24.10分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/72/18から10/18/72(体積比)。
【0204】
実施例18
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(エトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)とクロルギ酸エチル(247μL)との反応を、実施例15に記載の方法を用いて実施した。標題化合物を、CH3CN/10%CH3CN水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0205】
収量:74mg;
MS−ESI:[M+H]+=460.4;
HPLC:Rf=21.77分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/72/18から10/18/72(体積比)。
【0206】
実施例19
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、100mg)とクロルギ酸フェニル(324μL)との反応を、実施例15に記載の方法を用いて実施した。標題化合物を、CH3CN/10%CH3CN水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0207】
収量:47mg;
MS−ESI:[M+H]+=508.4;
HPLC:Rf=23.25分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/72/18から10/18/72(体積比)。
【0208】
実施例20
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ−[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2、3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例9e、1g)を脱水CH2Cl2(10mL)に溶かした。次に、クロルギ酸p−ニトロ−フェニル(520mg)の脱水CH2Cl2(10mL)溶液を滴下し、反応混合物を室温で撹拌した。1時間後、反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0209】
収量:1.42g;
MS−ESI:[M+H]+=553.6;
TLC:Rf=0.7、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0210】
実施例21
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((モルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例20、142mg)を、脱水CH2Cl2(5mL)に溶かした。モルホリン(112μL)およびDIPEA(225μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0211】
収量:22mg;
MS−ESI:[M+H]+=501.2;
HPLC:Rf=8.62分、カラム:ルナC−18(実施例8参照)、溶離液:H2O/CH3CN=15分で40/60から0/100(体積比)。
【0212】
実施例22
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(o−アニシジノカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロフェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例20、142mg)とオルト−アニシジン(159mg)との尿素カップリングを、実施例21に記載の方法に従って行った。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0213】
収量:18mg;
MS−ESI:[M+H]+=537.2;
HPLC:Rf=12.94分、カラム:ルナC−18(実施例8参照)、溶離液:H2O/CH3CN=15分で40/60から0/100(体積比)。
【0214】
実施例23
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジノカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例20、142mg)の1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(118μL)との尿素カップリングを、実施例21に記載の方法に従って行った。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0215】
収量:18mg;
MS−ESI:[M+H]+=497.2;
HPLC:Rf=11.19分、カラム:ルナC−18(実施例8参照)、溶離液:H2O/CH3CN=15分で40/60から0/100(体積比)。
【0216】
実施例24
tert−ブチル5−ヒドロキシ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
(a)2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−6−メチル−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチル
硫酸S−メチルイソチオ尿素(13.9g)、3−メトキシベンズアルデヒド(7.5g)、アセト酢酸エチル(6.5g)および炭酸水素ナトリウム(21g)のDMF(200mL)中混合物を、70℃で18時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温とし、ジエチルエーテルで希釈し、H2Oおよび飽和NaCl水溶液で洗浄した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0217】
収量:7.3g;
MS−ESI:[M+H]+=321.0;
TLC:Rf=0.2、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/1(体積比)。
【0218】
(b)2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−5−カルボン酸エチル
2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−6−メチル−1,4−ジヒドロ−ピリミジン−5−カルボン酸エチル(実施例24a、7.65g)を、トルエン(200mL)およびCH2Cl2(100mL)の混合液に溶かした。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(5.45g)を加え、反応混合物を室温で15分間撹拌した。0.2M NaOH水溶液(250mL)を加えた。有機層を分液し、H2O(250mLで2回)および飽和NaCl水溶液(250mLで2回)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=4/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0219】
収量:4.0g;
MS−ESI:[M+H]+=319.2;
TLC:Rf=0.4、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/1(体積比)。
【0220】
(c)5−ヒドロキシ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル
2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−6−メチルピリミジン−5−カルボン酸エチル(実施例24b、318mg)の脱水THF(2mL)溶液を、−78℃に冷却した調製したばかりのLDAの脱水THF溶液(1mL)に加えた。混合物を−78℃で30分間撹拌し、3−エトキシアクリレート(217μL)を加えた。混合物を3時間撹拌しながら、−78℃から室温へと昇温させた。0.1M HCl水溶液(20mL)を反応混合物に加え、それを次に、EtOAc(25mL)で抽出した。有機層を水(25mL)および飽和NaCl水溶液(25mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、CH3OHから再結晶した。
【0221】
収量:38mg;
MS−ESI:[M+H]+=371.2;
TLC:Rf=0.6、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=2/3(体積比)。
【0222】
(d)tert−ブチル5−ヒドロキシ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
5−ヒドロキシ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル(実施例24c、38mg)をに、1,4−ジオキサン(4mL)および1M KOH水溶液(0.5mL)の混合液に溶かした。混合物を48時間還流させ、冷却して室温とし、0.1M HCl水溶液(15mL)を加えることで酸性とした。混合物をCH2Cl2(15mL)で抽出した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に溶媒留去して、5−ヒドロキシ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−キナゾリン−6−カルボン酸を得た。それをDMF(2mL)に溶かした。tert−ブチルアミン(53μL)およびTBTU(96mg)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。EtOAc(15mL)を加え、有機層を飽和NaHCO3水溶液(15mL)および飽和NaCl水溶液(15mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に溶媒留去した。標題化合物を最初に、溶離液としてヘプタン/EtOAc=7/3(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。次にそれを、10%CH3CN水溶液/CH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で57/40/3から7/90/3(体積比)という勾配でのHPLCによって精製した。標題化合物を、水および1,4−ジオキサンの混合液から凍結乾燥した。
【0223】
収量:25mg;
MS−ESI:[M+H]+=398.2;
HPLC:Rf=9.75分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN/CH3OH=15分で5/35/57/3から5/10/81/4(体積比)。
【0224】
実施例25
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
(a)5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−ビニル−ピリミジン
6−クロロ−5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン(実施例1b、1.46g)を1,4−ジオキサン(10mL)に懸濁させた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(350mg)を加え、混合物に窒素雰囲気の吹き込みを行った。テトラビニルスズ(1.26mL)を加え、混合物を5時間還流した。反応混合物を、EtOAc(100mL)およびH2O(100mL)の混合物に投入した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、ヘプタン/CH2Cl2=1/0から1/3(体積比)を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0225】
収量:1.05g;
MS−ESI:[M+H]+=284.2;
TLC:Rf=0.4、シリカゲル、ヘプタン/CH2Cl2=1/2(体積比)。
【0226】
(b)5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−(1,1−ビス−(エトキシカルボニル)プロプ−3−イル)ピリミジン
5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−ビニル−ピリミジン(実施例25a)を、エタノール(2mL)およびトルエン(2mL)の混合液に溶かした。炭酸カリウム(690mg)およびマロン酸ジエチル(272μL)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を、0.5M HCl水溶液(25mL)およびEtOAc(50mL)の混合物に投入した。有機層をH2O(50mL)および飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてトルエン/EtOAc=100/0から95/5(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0227】
収量:344mg;
MS−ESI:[M+H]+=444.2;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、トルエン/EtOAc=95/5(体積比)。
【0228】
(c)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチル
5−シアノ−4−(3−メトキシフェニル)−2−メチルチオ−6−(1,1−ビス(エトキシカルボニル)プロプ−3−イル)ピリミジン(実施例25b、81mg)を、脱水CH2Cl2(1mL)に溶かした。塩化スズ(IV)の1M CH2Cl2(1mL)溶液を滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。H2O(10mL)およびEtOAc(10mL)を反応混合物に加えた。有機層をH2O(10mL)および飽和NaCl水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=1/0から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0229】
収量:24mg;
MS−ESI:[M+H]+=372.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/1(体積比)。
【0230】
(d)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル−キナゾリン−6−カルボン酸エチル
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチル(実施例25c、22mg)をCH2Cl2(1mL)に溶かした。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンの0.06M CH2Cl2(1.2mL)溶液を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてトルエン/EtOAc=95/5(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0231】
収量:20mg;
MS−ESI:[M+H]+=370.0;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=1/3(体積比)。
【0232】
(e)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル(実施例25d、490mg)を1,4−ジオキサン15mLに溶かし、2M KOH水溶液(3mL)を加えた。混合物を5時間加熱還流し、次に70℃で76時間加熱した。混合物を冷却して室温とし、0.5M HCl水溶液を加えた。混合物をCH2Cl2で抽出し(50mLで2回)、合わせた有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮して粗標題化合物を得た。
【0233】
収量:406mg(粗取得物);
MS−ESI:[M+H]+=342.2;
TLC:Rf=0.0、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=2/3(体積比)。
【0234】
(f)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸の1.8M DMF(1.8mL)溶液に、TBTU(173mg)およびtert−ブチルアミン(951)を加えた。反応混合物を2時間撹拌し、EtOAc(25mL)および飽和NaHCO3水溶液(50mL)の混合物に投入した。有機相を分液し、0.5M HCl水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、次に脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=1/0から2/3(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物を、1.5当量のHClを含むジオキサンおよび水の混合液から凍結乾燥した。
【0235】
収量:44mg;
MS−ESI:[M+H]+=397.2;
HPLC:Rf=21.52分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/70/20から10/10/80(体積比)。
【0236】
実施例26
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(ピロリジン−1−イル)−エトキシ)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
(a)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−メトキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド(実施例25f、1.5g)の脱水CH2Cl2溶液を冷却して0℃とした。BBr3(1.1mL)のCH2Cl2(25mL)溶液を滴下し、滴下終了後に、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物をCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(200mL)を注意深く加えた。全ての固体が溶解するまで、混合物を1.5時間高撹拌した。水層をCH2Cl2で2回抽出した。最初の有機層を飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=1/0から1/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0237】
収量:930mg;
MS−ESI:[M+H]+=383.4;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=2/3(体積比)。
【0238】
(b)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(ピロリジン−1−イル)−エトキシ)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
K2CO3(1.0g)、1−(2−クロロエチル)ピロリジン塩酸塩(66mg)およびtert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ヒドロキシフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド(実施例26a、121mg)のアセトン中混合物を、終夜加熱還流した。混合物を冷却して室温とし、固体を濾去し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をEtOAcに取り、水およびブラインで洗浄した。有機相を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、10%CH3CN水溶液/CH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で72/25/3から27/70/3(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、水、TFAおよびCH3CNの混合液から凍結乾燥した。
【0239】
収量:42mg(TFA塩);
MS−ESI:[M+H]+=480.4;
HPLC:Rf=12.93分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/70/20から10/10/80(体積比)。
【0240】
実施例27
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
(a)5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−6−[(トリフェニルホスファニリデン)−メチル]−ピリミジン
脱水メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(29.5g)のジメトキシエタン(400mL)懸濁液に−78℃で、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を加えた。混合物を−78℃で1時間撹拌し、6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン(実施例9b、10.1g)のジメトキシエタン(100mL)溶液を加え、冷却浴を外した。1時間後、反応が完結し、水(15mL)を加えた。固体を濾去してから反応混合物を濃縮して暗色残留物を得た。それを酢酸エチルとともに撹拌して懸濁液を得た。濾過、水およびブラインによる残留物の洗浄、そしてMgSO4による有機層の脱水を行い、次に減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=4/1から1/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0241】
収量:7.04g;
MS−ESI:[M+H]+=299.2;
TLC:Rf=0.4、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0242】
(b)5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−6−ビニル−ピリミジン
5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−6−[(トリフェニルホスファニリデン)−メチル]−ピリミジン(実施例27a、7.04g)のTHF(64mL)溶液を、60℃で1時間にわたり、ホルムアルデヒド水溶液(37重量%、3.55mL)で処理した。混合物を冷却して室温とした後、それをEtOAc(100mL)で希釈し、水で洗浄し(50mLで2回)、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=9/1から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0243】
収量:1.42g;
MS−ESI:[M+H]+=547.2;
TLC:Rf=0.6、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0244】
(c)(2−(5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−ピリミジン−6−イル)−エチル)−マロン酸tert−ブチルエチル
炭酸カリウム(1.88g)およびマロン酸tert−ブチルエチルをEtOH(82mL)に懸濁させ、5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−6−ビニルピリミジン(実施例27b、2.71g)のトルエン/CH2Cl2(33mL)溶液をゆっくり加えた(約1.5時間)。添加完了後、混合物をさらに40分間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、水(2回)およびブラインで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/CH2Cl2=1/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0245】
収量:1.42g;
MS−ESI:[M+H]+=487.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0246】
(d)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−7,8−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチル
{2−[5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−ピリミジン−6−イル]−エチル}−マロン酸tert−ブチルエチル(実施例27c、1.40g)のCH2Cl2(15mL)溶液を冷却して0℃とした。SnCl4の溶液(1M CH2Cl2溶液、11.5mL)を滴下し、氷浴を外し、溶液を室温でさらに30分間撹拌した。水(64mL)およびEtOAc(64mL)を加え、全ての固体が溶解するまで混合物を高撹拌した。有機相を水およびブラインで洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮して、標題化合物を粗生成物として得た。
【0247】
収量:1.19g(粗取得物);
MS−ESI:[M+H]+=387.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0248】
(e)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル
粗5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−7,8−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチル(実施例27d、1.19g)のCH2Cl2(31mL)溶液を冷却して0℃とした。DDQ(1.14g)のトルエン(31mL)溶液を滴下し、氷浴を外し、溶液を室温でさらに30分間撹拌した。混合物をCH2Cl2(約100mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(100mLで3回)およびブライン(50mLで2回)で洗浄した。合わせた水層をCH2Cl2で逆抽出した。合わせた有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=9/1から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0249】
収量:735mg;
MS−ESI:[M+H]+=385.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0250】
(f)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロ−フェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エチル(実施例27e、1.54g)およびSnCl2−2H2O(4.52g)の1,4−ジオキサン(35mL)中混合物に、EtOH(35mL)および濃HCl水溶液(690 l)を加えた。反応混合物を90℃で5時間撹拌した。冷却して室温とし、減圧下に濃縮した後、残留物をEtOAc(35mL)に懸濁させた。2M NaOHを加えることで混合物をpH10とし、THFおよびブラインを加えた。得られた混合物を40分間撹拌してから、有機層を分液し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=9/1から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0251】
収量:818mg;
MS−ESI:[M+H]+=355.2;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0252】
(g)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸エステル(実施例27f、658mg)の1,4−ジオキサン溶液を、70℃で18時間にわたり、KOH水溶液(2M、4.2mL)で処理した。反応混合物を冷却して室温とした後、それを4N HClでpH1の酸性とした。混合物をCH2Cl2で抽出した(3回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮して、粗標題化合物を得た。
【0253】
収量:215mg;
MS−ESI:[M+H]+=327.2;
TLC:Rf=0、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0254】
(h)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボン酸(実施例27g、192mg)の相当するtert−ブチルアミドへの変換を、実施例1eに記載の手順に従って行った。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=9/1から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0255】
収量:243mg;
MS−ESI:[M+H]+=382.2;
HPLC:Rf=6.57分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=20分で45/55から0/100(体積比)。
【0256】
実施例28
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(モルホリン−4−イル)−アセトアミド)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
(a)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−ブロモアセトアミド)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−アミノフェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド(実施例27h、791mg)のCH2Cl2(60mL)懸濁液に、DIPEA(1.08mL)を加え、次にブロモアセチルクロライド(242 l)のCH2Cl2(20mL)溶液をゆっくり加えた。室温で40分後、反応混合物を飽和NHCO3水溶液で洗浄し(3回)、次に脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。粗標題化合物を、それ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0257】
収量:1.20g(粗取得物);
MS−ESI:[M+H]+=504.2;
TLC:Rf=0.4、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0258】
(b)tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−(モルホリン−4−イル)−アセトアミド)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−ブロモアセトアミド)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド(実施例28a、88mg)のアセトニトリル溶液に、モルホリン(148 l)を加え、混合物を18時間撹拌した。その後、CH2Cl2(15mL)を加え、混合物を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてCH2Cl2/MeOH=1/0から9/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物を、1.5当量のHClを含むアセトニトリルと水の混合液から凍結乾燥した。
【0259】
収量:82mg(HCl塩);
MS−ESI:[M+H]+=509.2;
HPLC:Rf=13.00分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液H2O/CH3CN=20分で75/25から0/100(体積比)。
【0260】
実施例29
tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((N−(tert−ブチル)−グリシニル)−アミノ)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボ キサミド
tert−ブチルアミン(275μL)とtert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(2−ブロモアセトアミド)−フェニル)−キナゾリン−6−カルボキサミド(実施例28a、130mg)との反応を、実施例28bに記載の方法に従って行った。標題化合物を、最初に溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、次にCH3CN/0.1%TFA水溶液=30分で10/90から90/10(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびHCl水溶液の混合液から凍結乾燥した。
【0261】
収量:28mg(HCl塩);
MS−ESI:[M+H]=495.4;
HPLC:Rf=12.93分、カラム:ルナC−18(実施例1e参照)、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/H2O/CH3CN=20分で10/70/20から10/10/80(体積比)。
【0262】
実施例30
5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−7−ヒドロキシ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
(a)6−アミノ−5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)ピリミジン
6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−メチルチオ−ピリミジン(実施例9b、10.0g)の溶液を、水酸化アンモニウム(28%NH3水溶液、15mL)で処理し、混合物を終夜撹拌した。生成した結晶を濾取し、水で洗浄した。生成物を50℃で真空乾燥して、標題化合物を得た。
【0263】
収量:8.9g;
MS−ESI:[M+H]+=288.2;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0264】
(b)2−(アミノ−[6−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−ピリミジン−5−イル]−メチレン)マロン酸ジエチル
6−アミノ−5−シアノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)ピリミジン(実施例30a、5.74g)の1,2−ジクロロプロパン(200mL)懸濁液に、マロン酸ジエチル(9.1mL)を加えた。混合物を冷却して0℃とし、SnCl4(14mL)の1,2−ジクロロプロパン(50mL)溶液を滴下した。滴下終了後、懸濁液を18時間加熱還流した。混合物を放冷して室温とし、固体を沈殿させた後、1,2−ジクロロプロパンを注意深く傾斜法にて除去した。完全に溶解するまで、得られた固体をEtOAc(300mL)および水(300mL)とともに撹拌した。有機層を水(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。標題化合物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=1/0から3/2(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0265】
収量:3.78g;
MS−ESI:[M+H]+=448.4;
TLC:Rf=0.2、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0266】
(c)5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−7−ヒドロキシ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
2−(アミノ−[6−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−ニトロフェニル)−ピリミジン−5−イル]−メチレン)−マロン酸ジエチル(実施例30b、1.34g)のジフェニルエーテル(30mL)懸濁液を、窒素気流下に240℃で2時間加熱した。混合物を冷却して室温とした後、ヘプタンを加え(200mL)、固体を濾取した。標題化合物を、溶離液としてCH2Cl2/アセトン=1/0から4/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0267】
収量:590mg;
MS−ESI:[M+H]+=402.4;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、CH2Cl2/アセトン=9/1(体積比)。
【0268】
実施例31
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((チオモルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
(a)5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−ピリミジン
ベンズアミジン塩酸塩(16.4g)、3−ニトロベンズアルデヒド(15.1g)、シアノ酢酸エチル(11.2mL)および炭酸カリウム(16.6g)の脱水EtOH(250mL)中混合物を、60℃で8時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却して0℃とした。得られた沈殿を濾取し、脱水EtOHで洗浄し、透明溶液が得られるまで水(100℃)で加熱した。溶液を冷却して50℃とし、2N HCl水溶液を加えることでpH2の酸性とし、氷浴で冷却して0℃とした。得られた沈殿を濾取し、氷水で洗浄した。残留水分を、1,4−ジオキサンとの共沸留去によって除去した。
【0269】
収量:15.0g;
MS−ESI:[M+H]+=319.2;
TLC:Rf=0.3、シリカゲル、DCM/MeOH=9/1(体積比)。
【0270】
(b)6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−ピリミジン
5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−ピリミジン(実施例31(a)、15.0g)およびジメチルアニリン(0.5mL)の脱水1,4−ジオキサンp.a.(200mL)溶液を撹拌しながら、それにPOCl3(50mL)をに加えた。90℃で3時間後、温混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物を1,4−ジオキサンに溶かし、氷水を加えた。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄した。残留水分を、1,4−ジオキサンとの共沸留去によって除去した。
【0271】
収量:15.8g;
MS−ESI:[M+H]+=337.4;
TLC:Rf=0.8、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0272】
(c)エチル5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−6−(エトキシカルボニルメチルチオ)−ピリミジン
窒素雰囲気下で、2−メルカプト酢酸エチル(5.15mL)および6−クロロ−5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−ピリミジン(実施例31(b)、15.8g)のEtOH(125mL)およびDCM(125mL)混合液溶液を撹拌しながら、それにDIPEA(8.71mL)を加えた。室温で2時間後、完全に溶解するまで混合物をDCMで希釈し、0.5N HCl水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0273】
収量:19.7g;
MS−ESI:[M+H]+=421.2;
TLC:Rf=0.7、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0274】
(d)5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
エチル5−シアノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−6−(エトキシカルボニルメチルチオ)−ピリミジン(実施例31(c)、19.7g)の脱水EtOH(100mL)およびトルエンp.a.(100mL)混合液溶液を撹拌しながら、それにDIPEA(20.0mL)を加えた。100℃で48時間後、混合物を冷却して0℃とした。得られた沈殿を濾過し、冷EtOHで洗浄し、40℃で真空乾燥した。
【0275】
収量:17.0g;
MS−ESI:[M+H]+=421.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0276】
(e)5−アミノ−4−(3−アミノフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル
塩化スズ(II)(23.0g)の脱水EtOH(250mL)溶液を、5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(実施例31(d)、16.6g)の1,4−ジオキサンp.a.(250mL)溶液に加えた。37%HCl水溶液(6.9mL)を加え、混合物を16時間加熱還流した(90℃)。混合物を放冷して室温とし、減圧下に濃縮した。残留物をEtOAc(500mL)に懸濁させた。4N NaOH水溶液を加えて、pHを10〜11とした。飽和NaCl水溶液を加えることで混合物を希釈した。有機層を分液し、脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0277】
収量:17.0g;
MS−ESI:[M+H]+=421.2;
TLC:Rf=0.5、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0278】
(f)5−アミノ−4−(3−アミノフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸
5−アミノ−4−(3−アミノフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル(実施例31(e)、17.0g)の1,4−ジオキサン(210mL)および水(80mL)の混合液溶液に、水酸化カリウム(20.0g)を加えた。90℃で16時間後、混合物を冷却して0℃とした。得られた沈殿を濾過し、水(300mL)に懸濁させ、冷却して0℃とした。2Nクエン酸水溶液を加えることで混合物をpH3の酸性とし、0℃〜室温で2時間撹拌した。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、40℃で真空乾燥した。
【0279】
収量:13.3g;
MS−ESI:[M+H]+=363.0;
TLC:Rf=0.2、シリカゲル、DCM/MeOH=95/5(体積比)。
【0280】
(g)tert−ブチル5−アミノ−4−(3−アミノフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
5−アミノ−4−(3−アミノフェニル)−2−フェニル−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸(実施例31(f)、13.3g)のDCM(250mL)およびDMF(50mL)混合液中の混合物に、窒素雰囲気下でDIPEA(15.3mL)、tert−ブチルアミン(9.3mL)およびTBTU(14.1g)を加えた。室温で3時間後、混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、0.1N HCl水溶液および飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EtOAc=3/7から1/1(体積比)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。
【0281】
収量:14.7g;
MS−ESI:[M+H]+=418.4;
TLC:Rf=0.4、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=3/2(体積比)。
【0282】
(h)tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−アミノフェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例31(g)、2.0g)を脱水CH2Cl2(20mL)に溶かした。次に、クロルギ酸p−ニトロ−フェニル(520mg)の脱水CH2Cl2(10mL)溶液を滴下し、反応混合物を室温で撹拌した。3時間後、反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を脱水し(MgSO4)、減圧下に濃縮した。
【0283】
収量:2.9g;
MS−ESI:[M+H]+=583.2;
TLC:Rf=0.6、シリカゲル、ヘプタン/EtOAc=1/1(体積比)。
【0284】
(i)tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((チオモルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例31(h)、150mg)の塩化メチレン(5mL)溶液にチオモルホリン(300μL)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。次に、反応混合物をCH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0285】
収量:89mg;
MS−ESI:[M+H]+=547.2;
HPLC:Rf=11.71分、カラム:ルナC−18(2)、3μm、100×2.0mm、検出UV=210nm、オーブン温度=40℃、流量=0.25mL/分、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/水/ACN=10/30/60から10/5/85(体積比)、溶離時間=20分。
【0286】
実施例32
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((N,N−ジメチルアミノ)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、0.50mL)およびtert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例31(h)、250mg)の塩化メチレン(5mL)溶液にジメチルアミン塩酸塩(150mg)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。次に、反応混合物をCH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0287】
収量:75mg;
MS−ESI:[M+H]+=489.2;
HPLC:Rf=19.58分、カラム:ルナC−18(2)、3μm、100×2.0mm、検出UV=210nm、オーブン温度=40℃、流量=0.25mL/分、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/水/ACN=10/60/30から10/5/85(体積比)、溶離時間=20分。
【0288】
実施例33
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((モルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド
tert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−(p−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド(実施例31(h)、150mg)の塩化メチレン(5mL)溶液にモルホリン(250mg)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。次に、反応混合物をCH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。標題化合物を、H2O/CH3CN=45分で80/20から0/100(体積比)という勾配でのルナC−18カラムを用いるHPLCによって精製した。標題化合物を、1,4−ジオキサンおよびH2Oの混合液から凍結乾燥した。
【0289】
収量:63mg;
MS−ESI:[M+H]+=489.2;
HPLC:Rf=19.39分、カラム:ルナC−18(2)、3μm、100×2.0mm、検出UV=210nm、オーブン温度=40C、流量=0.25mL/分、溶離液:リン酸緩衝液50mM pH2.1/水/ACN=10/60/30から10/5/85(体積比)、溶離時間=20分。
【0290】
実施例34
CHO−LHおよびCHO−FSH in vitro 生理活性
ヒトLH受容体で安定にトランスフェクションされ、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を命令するcAMP応答性要素(CRE)/プロモーターで共トランスフェクションされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で、化合物のLH作働活性を調べた。Gs結合LH受容体へのリガンドの結合によってcAMPの増加が生じ、それが次にルシフェラーゼレポーター構築物のトランスアクチベーション増加を誘発する。発光カウンターを用いて、ルシフェラーゼシグナルを定量した。被験化合物について、EC50値(被験化合物誘発半最大値(50%)刺激の濃度)を計算した。それに関しては、ソフトウェアプログラムGraphPad PRISM、バージョン3.0(GraphPad software Inc., San Diego)を用いた。結果から、実施例9、11、12、13、14、25および27の化合物についてのEC50値が、10−6〜10−7Mの範囲にあることが示された。実施例1、2、3、4、5、17、22、26、28、29、31および33の化合物は10−7〜10−8MのEC50値を示し、実施例7、15、16、18、21、23および32の化合物のEC50値は10−8Mより低かった。
Claims (15)
- 下記一般式Iによる二環式ヘテロ芳香族化合物または該化合物の薬学的に許容される塩。
R1は、(3−8C)シクロアルキル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;それらはいずれも、N(R4)R5、NHR5、R5、OR5および/またはSR5から選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R2は、(1−4C)アルキル、(2−4C)アルケニル、(2−4C)アルキニル、(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;
R3は、(1−8C)アルキル、(3−8C)シクロアルキル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールであり;
R4は、R2について記載のものと同じ基から選択することができ;
R5は、(6−14C)アリール、(4−13C)ヘテロアリール、(6−14C)アリールカルボニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(2−8C)アルケニルスルホニル、(2−8C)アルケノキシカルボニル、(3−8C)シクロアルキル、(6−14C)アリールスルホニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(6−14C)アリールアミノスルホニル、(6−14C)アリールオキシスルホニル、(2−8C)アルケニル、(2−8C)アルキニルまたは(1−8C)アルキル、(1−8C)アルキルカルボニル、(1−8C)アルキルスルホニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニル、(1−8C)アルコキシカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニルあるいは(1−8C)アルコキシスルホニルであり;それらにおけるアルキル基は、ヒドロキシル、(1−8C)アルコキシ、(2−7C)ヘテロシクロアルキル(1−8C)アルコキシ、(3−8C)シクロアルキル(1−8C)アルコキシ、(6−14C)アリール(1−8C)アルコキシ、(4−13C)ヘテロアリール(1−8C)アルコキシ、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(3−8C)シクロアルキル、(6−14C)アリール、(4−13C)ヘテロアリール、(1−8C)アルコキシカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルオキシ、(6−14C)アリールカルボニルオキシ、(1−8C)アルキルカルボニル、(6−14C)アリールカルボニル、アミン、(1−8C)アルキルアミノカルボニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルアミノ、(6−14C)アリールカルボニルアミノ、(6−14C)(ジ)アリールアミノ、(ジ)[(1−3C)アルコキシ(1−3C)アルキル]アミノおよび/または(1−8C)(ジ)アルキルアミノから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
YはCHまたはNであり;
ZはNH2またはOHであり;
AはS、N(H)、N(R4)、Oまたは結合であり;
BはN(H)、Oまたは結合であり;
X1−X2は、C=C、C(O)−NH、NH−C(O)、C(O)−O、O−C(O)、C=N、N=Cまたはさらに、R5が(1−8C)アルキルスルホニル、(6−14C)アリールスルホニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニル、(6−14C)アリールアミノカルボニル、(1−8C)アルコキシカルボニル、(6−14C)アリールオキシカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノスルホニル、(6−14C)アリールアミノスルホニル、(1−8C)アルコキシスルホニル、(6−14C)アリールオキシスルホニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニル、(2−8C)アルケニルスルホニルまたは(2−8C)アルケノキシカルボニルである場合にはSもしくはOであり;
ただし、前記化合物は5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(ピペリジン−1−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチル、5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(モルホリン−4−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルおよび5−ヒドロキシ−2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルではない。] - BがN(H)または結合である請求項1に記載の化合物。
- ZがNH2である請求項1または2に記載の化合物。
- R1がN(R4)R5、NHR5、R5、OR5またはSR5から選択される1以上の置換基で置換されていても良い(6−14C)アリールまたは(4−13C)ヘテロアリールである請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
- R5が(6−14C)アリールカルボニル、(2−7C)ヘテロシクロアルキルカルボニルまたは(1−8C)アルキル、(1−8C)アルキルカルボニル、(1−8C)(ジ)アルキルアミノカルボニルであり;それらにおけるアルキル基が、(2−7C)ヘテロシクロアルキル、(4−13C)ヘテロアリール、(1−8C)アルコキシカルボニル、(1−8C)アルキルアミノカルボニル、(1−8C)アルキルカルボニルアミノ、(6−14C)アリールカルボニルアミノ、アミンおよび/または(1−8C)(ジ)アルキルアミノで置換されていても良い請求項4に記載の化合物。
- R1が、1以上の置換基で置換されていても良いフェニルである請求項4または5に記載の化合物。
- R1がメタ位で置換されている請求項6に記載の化合物。
- YがNである請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
- BがN(H)であるか、またはBが結合であってR3が(2−7C)ヘテロシクロアルキルである請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
- X1−X2がC=C、C=N、SまたはN=Cである請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
- X1−X2がC=CまたはSである請求項10に記載の化合物。
- tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((N,N−ジエチルアミノ)−カルボニルオキシ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(メトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(アリルオキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(エトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−((モルホリン−4−イル)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、tert−ブチル5−アミノ−2−メチルチオ−4−(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジノカルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドまたはtert−ブチル5−アミノ−2−フェニル−4−(3−((N,N−ジメチルアミノ)−カルボニルアミノ)−フェニル)−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドの群から選択される化合物。
- 治療法で使用される請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
- 薬学的に許容される補助剤との混合で、請求項1から12のいずれか一項に記載の二環式ヘテロ芳香族化合物または該化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
- 受胎能力制御用の医薬品製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の二環式ヘテロ芳香族誘導体または該化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
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