JP2004505819A - 4つのスタガ列のノズルを有するインクジェットプリントヘッド - Google Patents
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Abstract
【選択図】図10
Description
(発明の分野)
本発明は一般的に熱インクジェット(TIJ)プリントヘッドに関し、より詳細には、インク滴発生器の高密度スタガ配置を有するモノクロのインクジェットプリントヘッドを用いる、複数の動作モードを有する高性能プリントのシステムおよび方法に関する。
【0002】
(関連技術)
熱インクジェット(TIJ)プリンタは、コンピュータの分野において普及しており広く用いられている。このようなプリンタは、W.J.LloydおよびH.T.Taubによって、「Ink Jet Devices」、Chapter 13 of Output Hardcopy Devices (Ed. R. C. Durbeck および S. Sherr, San Diego: Academic Press, 1988)において、ならびに米国特許第4,490,728号および第4,313,684号において説明されている。インクジェットプリンタは、プリント媒体(紙等)にインクのみが当たるので、高品質のプリントを製作し、コンパクトで持ち運びでき、プリントが高速かつ静かである。
【0003】
インクジェットプリンタは、アレイの特定の規定した位置に個々のドット(または画素)からなるパターンをプリントすることによって、プリント画像を生成する。直線のアレイにおける小さなドットとして都合よく視覚化される、このようなドット位置は、プリントしているパターンによって規定される。したがって、プリント動作は、ドット位置のパターンをインクのドットで満たすことであると表すことができる。
【0004】
インクジェットプリンタは、少量のインクをプリント媒体上に噴出することによってドットをプリントする。インク槽等のインク供給装置が、インク滴発生器にインクを供給する。インク滴発生器は、マイクロプロセッサその他のコントローラによって制御され、マイクロプロセッサによって命令されると、適切な時点でインク滴を噴出する。インク滴噴出のタイミングは、通常、プリントしている画像の画素パターンに対応する。
【0005】
一般にインク滴発生器は、気化すなわち発射チャンバ内にある少量のインクを急速に加熱することによって、オリフィス(ノズル等)を通してインク滴を噴出する。インク滴の気化は通常、小型の薄膜(または発射)抵抗器等、電気ヒータを用いて行われる。インク滴の噴出は、選択した発射抵抗器に通電して、選択した発射チャンバ内にあるインクの薄い層を過熱することによって、行われる。この過熱によって、インクのその薄い層が爆発的に気化し、プリントヘッドの関連するノズルを通ってインク滴が噴出する。
【0006】
噴出したインク滴は、インク滴発生器を収容しているプリントヘッドアセンブリを支持する移動キャリッジアセンブリによって、プリント媒体上に配置される。キャリッジアセンブリは、プリント媒体表面の上方を横切り、プリントしているパターンに応じて、プリントヘッドアセンブリを配置する。キャリッジアセンブリは、「走査軸」に沿ってプリントヘッドアセンブリとプリント媒体とを相対運動させる。一般的に、走査軸の方向はプリント媒体の幅と平行であり、キャリッジアセンブリを1回「走査」させるということは、キャリッジアセンブリがプリントヘッドアセンブリを1回、プリント媒体の幅をほぼ横切って移動させる、ということを意味する。プリント媒体は、通常、走査と走査との間で、「媒体前進軸」に沿ってプリントヘッドに対して前進する。媒体前進軸は、走査軸と垂直である(そして一般的に、プリント媒体の長さに沿っている)。
【0007】
プリントヘッドアセンブリが走査軸に沿って動くにつれて、断続的な線でできた1本のスウォースが生成される。このような断続的な線が重なり合うことによって、プリント画像のテキストまたは画像としての外観が作り出される。媒体前進軸に沿ったこのような断続的な線の密度を、媒体前進軸に沿ったプリント解像度と呼ぶことが多い。したがって、媒体前進軸における断続的な線の密度が高くなるほど、その軸に沿ったプリント解像度も高くなる。
【0008】
媒体前進軸に沿った断続的な線の密度(およびしたがって縦軸プリント解像度)は、連続した走査と走査との間の「ステップ」を調整することによって高くすることができる。例えば、2つのステップを利用して、媒体前進軸に整列したノズルアレイの長さに等しいスウォースをカバーする場合には、これを「2パスプリント」と呼ぶ。この場合のスウォース同士は、非整数のノズルピッチ長さ(紙軸に沿って測定)に等しい距離だけずれており、断続的な線のピッチが二等分できるようになっている。これによって、紙軸に沿った解像度が効果的に2倍になる。しかし、2パスプリントの大きな短所のひとつは、余分なパスによってプリンタの速度が非常に下がってしまう、ということである。例えば、2パスプリントのプリント速度は、1パスプリントの約半分である。プリント速度がこのように非常に下がってしまうことは、いくつかのプリント動作には望ましくないが、他のプリント動作においては許容できる。
【0009】
媒体前進軸に沿った断続的な線の密度を上げるのに用いてもよい別の技法は、ノズル間隔の密度を上げて、1パスプリントにおいて高プリント解像度を提供する、というものである。しかし、高プリント解像度のプリントに必要な高いノズル線密度を可能にするインク滴発生器とノズル構造とを製造することは、非常に困難である。例えば、インク滴発生器は、間隔を詰めることができるように十分微細でなければならず、間隔が詰まるのに伴ってインク滴体積は小さくならなければならず、この小さくなった滴体積では、所望のプリントモードに適合しない場合がある。したがって、あるプリント用途においては、高解像度かつ高速のプリントを可能にし、別のプリント用途においてはまた、高解像度の最高品質のプリントモードを提供するマルチモード動作が可能なインクジェットプリントヘッドが必要とされている。
【0010】
(発明の概要)
上述の従来技術における限界を克服するために、そして、本明細書を読み理解すれば明白になるその他の限界を克服するために、本発明は、高解像度の1パスプリントを行う高密度のインク滴発生器を含む複数の動作モードが可能な、モノクロのインクジェットプリントヘッドにおいて実施される。特に、本発明は、単一の行の解像度の2倍よりも高い紙軸プリント解像度で1パスプリントを行うことができる。本発明は、インク滴発生器およびノズルの高密度のアレイに関連する諸問題のうちの少なくとも1つに取り組み、高プリント解像度を有する高品質の1パスプリントを行う。さらに、本発明では、所望のプリント速度、プリント解像度、およびプリント品質次第で、複数のプリントモードでプリントすることができる。
【0011】
本発明の高性能のモノクロのインクジェットプリントヘッドは、プリントヘッド構造上に配置した、インク滴発生器の高密度スタガ配置を含む。それぞれのインク滴発生器は、プリントヘッド構造内に形成された、インク供給装置に液通した薄膜構造であり、ノズルを有する。インク滴発生器にはインクが供給され、適切な時点で加熱され関連するノズルから噴出される。インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものは、少なくとも3つの軸のそれぞれに沿って配置した、複数のインク滴発生器を含む。この3つの軸は、互いに略平行で互いから間隔を置いて配置されている。単一の軸に沿った複数のインク滴発生器は、他の軸に沿った複数のインク滴発生器に対してスタガ配置されている。単一の軸に沿った複数のインク滴発生器はそれぞれ軸ピッチを有し、スタガ配置することによって、これらの軸を組み合わせたものの実効ピッチが、この軸ピッチの何分の一かになる。好ましい実施形態において、1つの軸に沿った複数のインク滴発生器はそれぞれ、軸ピッチが約1/300インチ(約85μm)であり、したがって、4つの軸に沿った4つの複数のインク滴発生器を好ましく配置したものを有する本発明のプリントヘッドの実効ピッチは、約1/1200インチ(約21μm)になる。このように実効ピッチを小さくする(そして結果としてプリント解像度を上げる)ということは、所望のプリント解像度を提供するのに必要な走査の数が少なくなり、その結果、高解像度のプリントが高速で行われる、ということを意味する。
【0012】
本発明において用いる、インク滴発生器の高密度配置は、製造アーティファクトを受ける可能性があり、このような製造アーティファクトは、プリント品質に影響を与える可能性がある。すなわち、ノズルを形成するのに用いる製造工程によって、インク滴の飛翔経路が変化する可能性がある。本発明は、所望のプリント解像度、速度、および品質次第で、複数のプリントモードの動作を可能にすることによって、このようなプリント品質の低下を克服する。本発明はまた、本発明のインクジェットプリントヘッドを用いた複数のプリントモードでの高性能のプリントの方法も含む。
【0013】
本発明の他の態様および利点とそのより完全な理解とは、以下の詳細な説明を、例として本発明の原理を説明する添付図面とともに読めば、明らかとなろう。さらに、本発明の範囲は、上記の発明の概要または下記の詳細な説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定される、ということが意図される。
【0014】
好ましい実施形態を説明する以下の説明および添付図面を参照すれば、本発明をさらに理解することができる。添付図面とともに好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、他の特徴および利点が明白になろう。添付図面は、例として本発明の原理を説明する。
【0015】
図面を通して、同じ参照符号は対応する部分を表す。
【0016】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の以下の説明において、添付図面を参照する。添付図面は、説明の一部を形成し、添付図面において、例示として、それによって本発明を実施することができる具体的な例が示される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、構造的変更を行ってもよい、ということが理解されなければならない。
【0017】
I.一般的概念
本発明は、インク滴発生器を高密度に交互配置したすなわちスタガ配置した、モノクロのプリントヘッドにおいて実施される。この配置によって、本発明で高解像度かつ高速のプリントが行われる。本発明は、少なくとも3つの軸に沿った少なくとも3つのグループになるよう配置されたインク滴発生器を有する。軸グループは、対応する軸に沿って(列グループになるよう、等)配置した、複数のインク滴発生器を含む。それぞれの軸は、基準軸と略平行な中心線を有する。1つの軸グループは、他の軸グループに対してスタガ配置されている。それぞれの軸グループは軸ピッチを有し、スタガ配置の結果のひとつは、プリントヘッドの実効(すなわち組合わせ)ピッチが、軸ピッチの何分の一かになる、ということである。インク滴発生器のスタガ配置では、媒体前進軸における実効ノズル密度を上げることによって、より少ないパスでより高解像度のプリントが可能になり、高いプリント速度が高解像度で提供される。
【0018】
さまざまなプリントモードを可能にするプリントヘッド設計を利用することによって、本発明は、品質、速度、またはそれらの組み合わせを、特定のプリント用途にしたがって最適化することができる。構造的および電気的な変更については、Joe Torgersonその他による、本願と同日に出願された、「COMPACT HIGH−PERFORMANCE, HIGH−DENSITY INK JET PRINTHEAD」という名称の、本願と同時係属の、ヒューレット・パッカード社の事件整理番号第10003553−1号である米国特許出願番号第 号において説明されている。品質を最高にするプリントモードで本発明を動作させると、プリントヘッドは、プリントヘッドからプリント媒体上へのインク滴配置の精度のわずかな変化にも影響されやすくなる。プリントヘッド製造工程のアーティファクトは、プリントヘッド全体にわたってインク滴の飛翔経路をばらつかせる可能性がある、プリントヘッド内での幾何学的ばらつきである。この誤差は、高品質のプリントについては一般的に許容できる。しかし、最高品質のプリントについては、このばらつきの影響は許容し得ない。
【0019】
本発明は、複数の動作モードを提供することによって、この問題に取り組む。所望のプリント速度、解像度、および品質次第で、異なるモードが利用できる。例えば、以下にさらに説明するように、本発明は、通常速度での高品質の1パス双方向1200dpiモードと、これよりも比較的低速だがより高品質の2パス1200dpiモードとで、プリントすることができる。このようなさまざまなモードによって、本発明のプリントヘッドは、プリント用途次第で、速度と品質との折り合いをつけることができる。例えば、双方向単一パス1200dpiモードは、すべての軸グループを同時に用いるので、ノズルのレイアウトによって決まる特定のインク滴の飛翔経路の誤差のために、いくらか品質が低下する傾向がある。これよりも低速の2パス1200dpiモードは、軸グループの一部を用いるので、そのようなノズルのレイアウトによって決まる飛翔経路の誤差をなくすことができる。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明は、ブラックのインクを用い4つの複数のインク滴発生器を有する、プリントヘッドを含む。4つの複数のインク滴発生器はそれぞれ、4つの軸のうちの1つに沿って配置されている。4つの軸はそれぞれ、基準軸に平行で、横方向に、互いから間隔を置いて配置されている。以下で詳細に説明するように、1つの軸に沿った複数のインク滴発生器はそれぞれ(すなわち、1つの軸グループは)、基準軸に関する軸ピッチ(例示的実施形態においては300dpi)を有し、4つの軸グループすべてによって、基準軸に対して軸ピッチの1/4である組合わせ実効ピッチ(好ましい実施形態においては1200dpi)が提供される。したがって、本発明は、基準軸に対してノズルをスタガ配置することによって、プリントヘッド全体の実効ピッチ(およびノズル密度)を4倍にする。これによって、1パスプリントは、以前では4パスプリント(ノズルの軸グループが単一であると仮定)で達成することができたものと同等のプリント解像度を有することができる。別の好ましい実施形態において、プリントヘッドは、軸グループのうちの選択した2つを用い、このプリントヘッドが、軸ピッチの1/2である組合わせ実効ピッチを有するようにする。この実施形態は、前述のプリントヘッド製造のアーティファクトの影響をなくす、2パス単方向プリントを行う。さらにこの実施形態は、上記実施形態が提供するのと同じプリント解像度を提供する。
【0021】
II.構造上の概観
図1は、本発明を組み込んだプリントシステム全体のブロック図である。プリントシステム100は、インク等の物質を、紙であってもよいプリント媒体102上にプリントするのに用いることができる。プリントシステム100は、プリントデータを生成するホストシステム105(コンピュータやマイクロプロセッサ等)に結合している。プリントシステム100は、コントローラ110、電源120、プリント媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、および複数のスイッチングデバイス135を含む。プリントヘッドアセンブリ150には、インク供給装置115が液通しており、プリントヘッドアセンブリ150に選択的にインクを供給する。プリント媒体搬送装置125は、プリントシステム100に対してプリント媒体102(紙等)を動かす手段を提供する。同様に、プリントヘッドアセンブリ150をキャリッジアセンブリ130が支持し、プリント媒体102の上方のコントローラ110が指示する特定の位置にプリントヘッドアセンブリ150を動かす手段を提供する。
【0022】
プリントヘッドアセンブリ150は、プリントヘッド構造160を含む。以下でより詳細に説明するように、本発明のプリントヘッド構造160は、基板(図示せず)を含む複数のさまざまな層を含む。基板は、例えばシリコン等の任意の好適な材料(好ましくは熱膨張係数が小さい)でできている、単一の材料でできた単一の基板であってよい。プリントヘッド構造160はまた、プリントヘッド構造160内に形成した、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの165も含む。プリントヘッド構造160は、プリントヘッドアセンブリ150からインク滴を噴出させる複数の素子を含む。プリントヘッド構造160はまた、スイッチングデバイス135にエネルギーを供給する電気的インターフェース170も含む。そしてスイッチングデバイス135は、インク滴発生器の高密度スタガ配置165に電力を供給する。
【0023】
プリントシステム100の動作中、電源120は、コントローラ110、プリント媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に、制御した電圧を供給する。さらに、コントローラ110がホストシステム105からプリントデータを受信し、そのデータを処理して、プリンタ制御情報と画像データとにする。処理したデータ、画像データ、ならびにその他静的および動的に生成したデータは、プリントシステム100を効率的に制御するために、プリント媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に供給される。
【0024】
例示的プリントシステム
図2は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを組み込んだ例示的プリントシステムであり、説明の目的のためにのみ示す。図2に示すように、プリントシステム200は、プリント媒体を保持するトレイ222を含む。プリント動作が開始すると、プリント媒体が、好ましくはシートフィーダ226を用いて、媒体前進方向227にトレイ222からプリントシステム200内へと搬送される。次にこのプリント媒体は、プリントシステム200内でU字方向に搬送され、入ってきたときと逆方向に、出力トレイ228に向かって出る。直線の紙経路等の他のプリント媒体経路もまた、用いてもよい。
【0025】
プリント媒体は、プリントシステム200内に入るとプリントゾーン230内で一時停止し、次に、本発明のプリントヘッドアセンブリ150を少なくとも1つ支持するキャリッジアセンブリ130が、走査軸234の方向にプリント媒体を横切って動き(すなわち走査し)、その上にインク滴のスウォースをプリントする。プリントヘッドアセンブリ150は、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。さらに、プリントヘッドアセンブリ150はインク供給装置115に結合している。インク供給装置は、内蔵されたインク供給装置(内蔵されたインク槽等)であってよい。または、プリントヘッドアセンブリ150は、柔軟性を有する管路を介して、インク供給装置115に液通していてもよい。さらにまたは、インク供給装置115は、プリントヘッドアセンブリ150とは別個のまたはプリントヘッドアセンブリ150から分離可能で、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されている、1つまたはそれよりも多いインク容器であってもよい。
【0026】
図3は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを支持する、図2のプリントシステムの例示的キャリッジアセンブリを示す概略図である。キャリッジアセンブリ130は、プリントヘッドアセンブリ150を支持する走査キャリッジ320を含む。プリントヘッドアセンブリ150は、走査キャリッジ320に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。走査キャリッジ320にはコントローラ110が結合しており、プリントヘッドアセンブリ150に制御情報を提供する。
【0027】
走査キャリッジ320は、走査軸234の直線経路方向に沿って可動である。ステッパモータ等のキャリッジモータ350が、位置コントローラ354(コントローラ110と連絡している)からのコマンドにしたがって、走査軸234に沿って走査キャリッジ320を搬送する。位置コントローラ354にはメモリ358が設けられて、位置コントローラ354が走査軸234に沿った自らの位置を知ることができるようにしている。位置コントローラ354は、プリント媒体102をインクリメントに搬送するプラテンモータ362(ステッパモータ等)に結合している。プリント媒体102は、プリント媒体102とプラテン370との間に加えられる圧力によって動く。プリントシステム200の電気的構成要素(キャリッジモータ350やプラテンモータ362等)を起動する電力、および、プリントヘッドアセンブリ150にインク滴を噴出させるエネルギーは、電源120が供給する。
【0028】
プリント動作は、プリント媒体102をトレイ222から供給し、プラテンモータ362を、したがってプラテン370を媒体前進軸227方向に回転させることによってプリント媒体102をプリントゾーン230内へと搬送することによって、行われる。プリント媒体102がプリントゾーン230内に正確に配置されると、キャリッジモータ350が、プリント媒体102の上方に走査軸234に沿って走査キャリッジ320およびプリントヘッドアセンブリ150を配置して(すなわち走査して)、プリントを行う。1回の走査または複数回の走査の後、プリント媒体102は、プラテンモータ362によって媒体前進軸227に沿ってインクリメントに移動し、それによって、プリント媒体102の他の領域がプリントゾーン230内に配置される。走査キャリッジ320が再びプリント媒体102を横切って走査し、インク滴の別のスウォースをプリントする。このプロセスは、所望のプリントデータがプリント媒体102上にプリントされるまで繰り返され、プリントされた時点で、プリント媒体102は出力トレイ228内に排出される。
【0029】
III.プリントヘッドの構成
本発明のプリントヘッドは、高解像度のプリントを高速で行う、インク滴発生器の高密度交互配置を含む。好ましい実施形態において、少なくとも3つの軸に沿って、複数のインク滴発生器が配置される。1つの軸に沿った複数のインク滴発生器はそれぞれ(1つの軸グループは)、基準軸に沿って測定された軸ピッチを有する。例えば、例示的実施形態において、軸ピッチは1/300インチに等しい。プリントヘッド上に4つの軸グループがあると仮定すると、このスタガ配置によって、1200dpiという実効プリント解像度が提供される。製造アーティファクトがプリント品質に影響を与える傾向があるが、本発明は、複数の動作モードを提供することによって、この影響を緩和する。以下に詳細に説明するように、本発明のプリントヘッドは、プリント速度および品質についての要求次第で、複数のプリントモードで動作することができる。
【0030】
図4は、本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図であり、説明の目的のためにのみ示す。以下に、図2のプリントシステム200等の典型的なプリントシステムとともに用いる典型的なプリントヘッドアセンブリを参照して、本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、いかなるプリントヘッドおよびプリンタの構成に組み込んでもよい。図1および図2を図4とともに参照して、プリントヘッドアセンブリ150は、熱インクジェットヘッドアセンブリ402とプリントヘッド本体404とから成っている。熱インクジェットヘッドアセンブリ402は、テープ自動ボンディング(TAB)アセンブリと通常呼ばれる柔軟性を有する材料であってもよく、相互接続パッド412を含んでいてもよい。相互接続パッド412は、例えば接着材料によって、プリントヘッドアセンブリ150(プリントカートリッジとも呼ばれる)に好適に固定される。接触パッド408は、キャリッジアセンブリ130上の電極(図示せず)と位置合わせされ、それと電気的に接触している。
【0031】
交互配置したインク滴発生器の高密度のアレイ
図5は、本発明のインク滴発生器の交互配置を示す、図4に示すプリントヘッドアセンブリの概略平面図である。プリントヘッドアセンブリは、複数のノズル510と第1のインク供給スロット520と第2のインク供給スロット530とを有する、本発明の高性能のプリントヘッド500を含む。インク供給スロット520、530は、インク供給装置115からインク滴発生器にインクを供給する。それぞれのノズル510には、対応するインク滴発生器の高密度のアレイ(図示せず)が液通しており、このアレイは、好ましくはノズル510の下にある。このアレイのインク滴発生器は、複数の高抵抗の発射抵抗器(図示せず)を含む。この発射抵抗器は、それぞれのノズル510からインク滴を噴出するために、インク供給スロット520、530が供給するインクを発射チャンバ内で加熱する。
【0032】
複数のノズル510は、少なくとも3つの軸に沿ったインク滴発生器のグループ(軸グループ)になるよう配置されている。これらの軸は、互いに基準軸Lに対して横方向に間隔を置いて配置されている。図5に示すように、好ましい実施形態において、本発明の高性能のプリントヘッド500は、それぞれが別個の軸に沿って配置された、4つのグループのノズル510を含む。特に、第1のグループのノズルは第1の軸540に沿って配置され、第2のグループのノズルは第2の軸550に沿って配置され、第3のグループのノズルは第3の軸560に沿って配置され、第4のグループのノズルは第4の軸570に沿って配置されている。これらの軸540、550、560、570はそれぞれ、互いにおよび基準軸Lに平行である。使用中には、基準軸Lは、好ましくは図2および図3に示す媒体前進軸227に整列している。
【0033】
図6は、本発明のノズルの交互配置すなわちスタガ配置を平面図でさらに示すことを意図する、他の概略図である。好ましい実施形態において、軸グループのノズルすなわちノズルを列配置したものはそれぞれ、基準軸Lに関して同じ中心間距離すなわち軸ピッチPを有する。4つのグループのノズル540、550、560、570は、互いに対してスタガ配置され、4つのグループすべての組合わせ中心間距離P4(基準軸Lに対して)がP/4、すなわち軸ピッチPの1/4、に等しいようになっている。言い換えれば、各グループは互いに対してスタガ配置され、プリントヘッド500が任意の1つの特定のグループのノズルの実効解像度の4倍の実効解像度を有することができるようにしている。
【0034】
いかなる単一のグループの解像度も効果的に2倍にするよう交互配置した、2つのグループのノズルが2組ある。グループ540とグループ560とは、第1の対のグループを形成している。グループ540とグループ560とは互いに対してスタガ配置されており、基準軸Lに関する第1の対の組合わせ中心間距離P2が、P/2、すなわち軸ピッチPの1/2、に等しいようになっている。同様に、グループ550とグループ570とは、第2の対のグループを形成している。グループ550とグループ570とは互いに対してスタガ配置されており、基準軸Lに関する第2の対の組合わせ中心間距離P2が、P/2、すなわち軸ピッチPの1/2、に等しいようになっている。
【0035】
例示的実施形態において、基準軸Lに関する単一のグループの軸ピッチPは、1/300インチに等しく、それぞれのグループに、300dpiという実効解像度を提供する。したがって、第1の対(グループ540およびグループ560)または第2の対(グループ550およびグループ570)は、基準軸Lに対して1/600インチに等しい組合わせすなわち実効ピッチを有する。4つのスタガ配置したグループ(540、550、560、および570)をすべて組合わせたものは、基準軸Lに対して1/1200インチという組合わせすなわち実効ノズルピッチを有し、プリントヘッド500に1200dpiという実効解像度を提供する。
【0036】
図6は、インク供給スロット520、530に沿って配置したそれぞれの軸グループ(540、550、560、または570)を示す。インク供給スロットはそれぞれ、互いに対向する長手方向の縁を2つ有し、それぞれの長手方向の縁に隣接して1つの軸グループが配置されている。図6に示すように、好ましい実施形態において、第1の軸グループ540(グループ1)と第2の軸グループ550(グループ2)とは、第1のインク供給スロット520の互いに対向する側に配置されており、第3の軸グループ560(グループ3)と第4の軸グループ570(グループ4)とは、第2のインク供給スロット530の互いに対向する側に配置されている。それぞれの軸グループのノズルは略同一線上にあるものとして示すが、特定の軸グループのノズルには、例えば滴噴出器のタイミング遅延を補償するために、中央線からわずかに外れているものがあってもよい、ということが理解されるべきである。
【0037】
プリントヘッドの複数モード動作
しかし、複数のグループのノズルを有することに伴う問題になりそうなもののひとつは、グループ間で、製造によって引き起こされる幾何学的ばらつきがある可能性がある、ということである。このような幾何学的ばらつきがあると、ノズルのグループ間でインク滴の飛翔経路がばらつく結果になる可能性がある。すなわち、図7は、製造工程によって生じる凹み(すなわちくぼみ)700を示す、図5に示すプリントヘッドの断面図(A−A’)である。この断面図は、軸グループ540、550、560、570それぞれの1つのノズルを貫いて描かれている。
【0038】
ノズル510を製造する技法のひとつは、ノズル510を含むオリフィス層710をバリアー層720に取り付けることを含む。この工程は、熱および圧力を用いてオリフィス層710をバリアー層720に積層する段階を含む。この積層する段階によって、オリフィス層がインク供給スロット520、530に向かって曲がる傾向があり、オリフィス層710に凹み700が作り出される。この凹み700は、インク供給スロット520、530の互いに対向する縁に沿って配置されたノズルの軸グループから噴出されるインク滴の飛翔経路を変化させる。したがって、プリントヘッド500の表面に垂直な飛翔経路を有する代わりに、インク滴の飛翔経路は、プリントヘッド500の平面に平行でインク供給スロット520、530に向かう方向の成分を有してしまう。
【0039】
例えば、図7を参照して、第1のインク滴730は第1のノズルから噴出されており、第2のインク滴740は第2のノズルから噴出されている。オリフィス層710に凹み700があるので、第1のインク滴730の飛翔経路は、わずかにインク供給スロット520に向かって傾いており、第2のインク滴740の飛翔経路はわずかにインク供給スロット520に向かって傾いていて、第1のインク滴730とは反対方向に変化する。同様に、第3のノズルからの第3のインク滴750と第4のノズルからの第4のインク滴760とも、同様の相違点を有する。プリントヘッド500とプリント媒体との間の間隔にばらつきがあるために、飛翔経路の角度が異なる、滴発生器から来るインク滴の媒体上の相対位置は、予測できない誤差成分を有している。
【0040】
本発明のプリントヘッドの設計は、所望のプリント速度、解像度、および品質次第で異なるプリントモードを可能にすることによって、このような飛翔経路の影響を克服する。特に、本発明は、4つの軸グループすべてを用いて1パス1200dpi双方向モードで動作することができるプリントモードと、より高品質のプリントには、軸グループのうちの選択した2つを用いて2パス単方向モードで動作することができるプリントモードとを可能にする。例えば、好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも以下のプリントモードを可能にする。すなわち、(1)4つの軸グループすべてのノズルが動作している双方向1パス1200dpiモードと、(2)軸グループ540(グループ1)および560(グループ3)のみ、または軸グループ550(グループ2)および570(グループ4)のみを用いて、より低速ではあるがより高品質のプリントを行う、単方向2パス1200dpiモードである。双方向1パス1200dpiモード(4つの軸グループすべてが同時に動作)によって、プリント媒体の上方をプリントヘッド500が一回動くことで、カバー範囲をフルの1200dpiのスウォースにすることができる。図7に関して説明するように、このモードでのプリントでは、軸グループ540(グループ1)と軸グループ550(グループ2)との間、および軸グループ560(グループ3)と軸グループ570(グループ4)との間に飛翔経路誤差がある傾向がある。この結果、特に垂直線をプリントすると、縁がいくらかでこぼこになってしまう。
【0041】
単方向2パス1200dpiモードでは、フルの1200dpiのスウォースを生成するには、プリント媒体の上方をプリントヘッドが4回動く必要がある(1キャリッジ走査方向のみにプリントが行われるからである)。このモードでは、プリント媒体の上方でのプリントヘッド500の1回のパスについて、第1の対の軸グループ(グループ540、560)か第2の対(グループ550、570)かのどちらか一方を一緒に用いる。図7で示すように、それぞれの対の軸グループのノズルは、同じ飛翔経路誤差を有する、または相対飛翔経路誤差がゼロである、傾向がある。これによって、誤差に関連する相対ノズル飛翔経路がなくなり、テキスト文字の垂直線または垂直な側面のでこぼこが少なくなる。しかし、このモードには、4つの軸グループすべてのノズルを同時に用いる双方向1200dpiモードに対して、プリントに必要な全時間が2倍以上になってしまう、という短所がある。300dpiの倍数である解像度を用いて図7を説明したが、解像度を上げるこの方法は、いかなる基準解像度に適用してもよい、ということに注意するべきである。
【0042】
図8は、図5のプリントヘッドの非常に簡略化した平面図と基本要素の配置とを示す、代表例である。プリントヘッド500は基板800を含む。基板800の上には、ノズル510の下方に配置された複数のインク滴発生器が配置されている。基板は、軸グループのインク滴発生器までインクを運ぶ、第1および第2のインク供給スロット520、530を含む。インク供給スロット520、530は、基準軸Lの横方向に互いに間隔を置いて配置されている。インク滴発生器は、好ましくはインク供給スロット520、530に隣接して配置されており、インク供給スロット520、530と滴発生器との間の流体の流動抵抗を最小にする。
【0043】
好ましい実施形態において、第1のインク供給スロット520は、縁1と縁2で示す2つの長手方向の縁を有し、第2のインク供給スロットは、縁3と縁4で示す同様の縁を有する。第1のインク供給スロット520については、軸グループ540、550がそれぞれ長手方向の縁1、2に隣接して配置されている。第2のインク供給スロット530については、軸グループ560、570がそれぞれ長手方向の縁3、4に隣接して配置されている。または、中央スロットの周りに配置した、2つの縁送り列および2つの列等、列が4つの他の実施形態を用いてもよい。
【0044】
滴発生器(円で示す位置)はそれぞれ、インクを噴出するノズルすなわちオリフィスと、インクを沸騰させるヒータ抵抗器と、ヒータ抵抗器に結合してヒータ抵抗器に電流パルスを供給する、電界効果トランジスタ等のスイッチング回路とを含む。滴発生器はさらに、基本要素と呼ばれるグループに分けて配置されている(図8において基本要素1、基本要素2、等で示す)。特定の基本要素の態様のひとつは、その特定の基本要素に電力を供給する基本要素電力リード線を有している、ということである。この基本要素電力リード線は、残りの基本要素それぞれの基本要素電力リード線それぞれとは別個に通電することができる。したがって、特定の基本要素内のそれぞれのスイッチング回路に関連する「電力リード線」すべてに、1つの特定の基本要素電力リード線が結合する。スイッチング回路が電界効果トランジスタ(FET)である場合には、特定の基本要素内のそれぞれのFETのソースまたはドレイン接続のそれぞれに、特定の基本要素選択リード線が結合する。
【0045】
本発明の別の態様は、特定の基本要素において、それぞれのスイッチングデバイスに結合した、別個にアドレス可能なゲートリード線がある、ということである。スイッチングデバイスがFETである場合、ゲートリード線はFETのゲート接続に結合する。特定のスイッチングデバイスが作動すると、電流パルスが基本要素電力リード線からスイッチング回路を通り、ヒータ抵抗器を通って流れ、戻り線すなわち接地線を通って戻る。特定のスイッチングデバイスが作動するためには、そのスイッチングデバイスに関連するゲートリード線と基本要素電力線とを、同時に作動しなければならない。プリントヘッドの動作中、ゲートリード線が一度に1つずつ、順次作動する。その結果、1つの特定の基本要素内では、1度に作動することができるスイッチングデバイスは1つのみである。しかし、基本要素のうちのいくつかまたはすべてを同時に動作することができる。
【0046】
簡単にする目的のために、図8では基本要素当たり3個または4個の滴発生器しか示していないが、大部分のプリントヘッドの設計では、基本要素当たり10個よりも多い滴発生器を有する傾向がある、ということが理解される。さらに、図8ではそれぞれの軸グループの滴発生器を長手方向の縁から等距離である(略同一線上にある)ものとして示すが、アドレスパルスのタイミングおよびキャリッジ速度を補償するために、長手方向の縁からわずかに変化する距離に配置される滴発生器があってもよい、ということが理解されなければならない、ということに注意するべきである。
【0047】
例示的実施形態において、軸グループはそれぞれ、4つの基本要素に分けられている。この例示的実施形態において、26個のゲートリード線がある。基本要素はそれぞれ26個のノズルを有し、軸グループ当たり全部で104個のノズルがある。基本要素はそれぞれ、26個のゲートリード線のそれぞれについて多くても1個のアドレス接続を有する。プリントシステムは、動作中ゲートリード線を通じて循環するので、1つの基本要素内では一度に1つの滴発生器しか動作できない。しかし、大部分のゲートリード線は基本要素間で共用されているので、複数の基本要素を同時に発射することができる。好ましい実施形態において、同時動作することができる、走査軸234において(すなわち、媒体前進軸227を横切り、軸Lを横切って)重なり合っている基本要素が、少なくとも3つ、好ましくは4つある。これによって、単一の走査ではるかにより完璧により高解像度でカバーすることができる。
【0048】
図9は、本発明のプリントヘッド500の一部切欠き等角図を概略的に示す。プリントヘッド500は、基板(シリコン等)を含み、その上にさまざまなデバイスおよび薄膜層が形成された、薄膜下部構造すなわちダイ800を含む。プリントヘッド500はまた、バリアー層720の上に配置されたオリフィス層710も含む。バリアー層720は、基板800の上にある。基板800は、高密度にスタガ配置されたインク滴発生器を含む。インク滴発生器は、第1のインク供給スロット520の周りに配置された、インク滴発生器の第1の列900と、インク滴発生器の第2の列910とを含む。オリフィス層710内にはノズル510が形成され、それぞれのノズル510の下にインク滴発生器があるように配置されている。第1のインク供給スロット520を通じてインクがインク滴発生器に供給され、インク滴発生器において、インクが加熱されノズル510を通って噴出される。
【0049】
図7に関して前述したように、オリフィス層710をバリアー層720に取り付けるのに、通常、積層プロセスが用いられる。このプロセスは、ノズル510から噴出すべきインク滴の飛翔経路に影響を与える仕方で、オリフィス層を変形する傾向がある。結果として生じる飛翔経路の変化は、1つの特定のインク供給スロットを挟んで略程度が同じで反対方向である傾向がある。したがって、例えば、軸グループ540(グループ1)の飛翔経路の変化は軸グループ560(グループ3)と同じであるが、軸グループ550(グループ2)に対しては反対方向である。図9はバリアー層720とオリフィス層710とを別個の層として示すが、他の実施形態においては、1つの一体化したバリアーおよびオリフィス層として形成してもよい、ということに注意するべきである。
【0050】
図10は、オリフィス層を取り除いてインク滴発生器の交互配置すなわちスタガ配置を示した状態の、本発明のプリントヘッドの部分平面図を示す。すなわち、プリントヘッド500は、基板800上に配置したインク滴発生器1000を含む。インク滴発生器1000の上にあるノズル510は、グループ1、グループ2、グループ3、およびグループ4を含む軸グループになるよう配置されている。インク滴発生器の各軸グループは、基準軸Lに対して横方向に、互いに間隔を置いて配置されている。好ましい実施形態において、基準軸Lは媒体前進軸227に整列している。インク滴発生器の単一の列は、ある解像度1/P(プリント媒体の上方でのプリントヘッド500の単一のパスについて)を有すると考えることができる。この解像度は、例示的実施形態において300dpiである。このような、軸グループのスタガ配置を用いることによって、実効解像度は、4つの軸グループすべてで動作するときには4/Pに上がり、4つの軸グループのうちの適切に選択した2つで動作するときには2/Pに上がる。
【0051】
ある特定の軸グループの軸ピッチPは、基準軸L上に投影した、または基準軸Lにしたがって測定した、互いに最も近い2つのインク滴発生器同士の間の中心間距離に等しい。好ましい実施形態において、Pは1/300インチに等しい。グループ1、2、3、および4は、いかなる最隣接の2つのグループについても、基準軸Lに沿って互いに対してP/4すなわち1/1200インチだけスタガ配置されている。図示のように、これによって、P/4(例示的実施形態においては1/1200インチ)に等しい組合わせ中心間距離(これもまた、基準軸Lに沿って測定)が提供される。この配置では、グループ1と3との組合わせ中心間距離P13は、P/2、すなわち1/600インチに等しい。グループ2と4との組合わせ中心間距離P24もまた、P/2に等しい。この高密度のスタガ配置によって、本発明のプリントヘッドは、プリント速度、プリント品質、および解像度を最適化する要求次第で、複数のプリントモードで動作することができる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で行った。これは、網羅的であることすなわち本発明を開示した厳密な形式に限定することを意図するものではない。したがって、前述の説明は限定的ではなく例示的であると考えるべきであり、当業者であれば、併記の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態を変形してもよいということが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を組み込んだプリントシステム全体のブロック図である。
【図2】本発明を組み込んだ例示的プリントシステムであり、説明の目的のためにのみ示す図である。
【図3】本発明のプリントヘッドアセンブリを支持する、図2のプリントシステムの例示的キャリッジアセンブリを示す概略図である。
【図4】本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図である。
【図5】本発明のインク滴発生器のスタガ配置を示す、図4に示すプリントヘッドアセンブリの概略平面図である。
【図6】本発明のノズルの交互配置すなわちスタガ配置を平面図でさらに示すことを意図する、別の概略図である。
【図7】製造工程によって生じる凹みを示す、図5に示すプリントヘッドアセンブリの断面図である。
【図8】図5のプリントヘッドの非常に簡略化した平面図と基本要素の配置とを示す図である。
【図9】プリントヘッドのさまざまな層を示す、図8のプリントヘッドの一部切欠き等角図である。
【図10】オリフィス層を取り除いてインク滴発生器の交互配置すなわちスタガ配置を示した状態の、本発明のプリントヘッドの部分平面図である。
【符号の説明】
165:インク滴発生器
540、550、560:軸グループ
Claims (13)
- あるカラーのインクを含むインク供給装置(115)を含むインクジェットプリント装置であって、
プリントヘッド構造(160)と、
前記インク供給装置(115)に液通し、前記プリントヘッド構造(160)に形成され、互いに略平行で互いから間隔を置いて配置した少なくとも3つの軸(540、550、560)に沿って配置されている、複数のインク滴発生器(165)と、
を備えているインクジェットプリント装置。 - 前記複数のインク滴発生器(165)が、互いに略平行で横方向に互いから間隔を置いて配置した4つの軸(540、550、560、570)に沿って配置されている、請求項1に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記少なくとも3つの軸(540、550、560)に沿って配置した前記複数のインク滴発生器(165)が、前記軸のそれぞれに対してスタガ配置して、プリントヘッドの実効ピッチを小さくする、請求項1に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記プリントヘッドの実効ピッチは、単一の軸に沿って配置した複数のインク滴発生器(165)の実効ピッチの半分未満まで小さくなる、請求項3に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記4つの軸(540、550、560、570)に沿って配置した前記複数のインク滴発生器(165)が、前記軸のそれぞれに対してスタガ配置して、プリントヘッドの実効ピッチを、単一の軸に沿って配置した複数のインク滴発生器(165)の実効ピッチの約1/4まで小さくする、請求項2に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記複数のインク滴発生器(165)のうちの少なくともいくつかは、スタガ配置の方法で前記少なくとも3つの軸のうちの2つに沿って配置されており、単一の軸に沿って配置した複数のインク滴発生器(165)に対してプリント解像度が略2倍になるようにされている、請求項1に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記複数のインク滴発生器(165)に液通するインクを含む流体槽をさらに備えている、請求項1に記載のインク供給装置(115)。
- 前記3つの軸のそれぞれに沿ってインク滴発生器を配置したものは、約1/300インチという軸ピッチを有する軸グループであり、スタガ配置した隣接する2つの軸グループを組み合わせたものは、約1/600インチという実効ピッチを有する、請求項6に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記インクジェットプリント装置が、使い捨て式プリントカートリッジである、請求項1に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記プリントヘッド構造(160)とプリント媒体(102)とを相対運動させる、キャリッジアセンブリ(130)と、
前記複数のインク滴発生器(165)に液通するインク供給装置(115)と、
前記キャリッジアセンブリ(130)の動作を制御するコントローラ(110)と、
をさらに備えている、請求項1に記載のインクジェットプリント装置。 - 高性能のモノクロのインクジェットプリントヘッドであって、
プリントヘッド構造(160)と、
前記プリントヘッド構造(160)上に配置された、インク滴発生器(165)の高密度のアレイであって、
第1の軸に沿って配置され第1の軸グループ(540)を形成する、第1の複数のインク滴発生器と、
第2の軸に沿って配置され第2の軸グループ(550)を形成し、前記第1の軸グループ(540)に対してスタガ配置された、第2の複数のインク滴発生器と、
第3の軸に沿って配置され第3の軸グループ(560)を形成し、前記第1および第2の軸グループ(540、550)に対してスタガ配置された、第3の複数のインク滴発生器と、
を備え、
前記第1、第2、および第3の軸は、基準軸(L)に略平行で、互いから横方向に間隔を置いて配置されている、
アレイと、
を備えている、インクジェットプリントヘッド。 - 第4の軸に沿って配置され第4の軸グループ(570)を形成し、前記第1、第2、および第3の軸グループ(540、550、560)に対してスタガ配置された、第4の複数のインク滴発生器をさらに含み、前記第4の軸は、前記基準軸(L)に略平行で、前記他の軸から横方向に間隔を置いて配置されている、請求項11に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 前記第1および第3の軸グループ(540、560)はそれぞれ、前記基準軸(L)に沿って測定された軸ピッチを有し、前記第1および第3の軸グループ(540、560)を組み合わせたものの実効ピッチは、前記軸ピッチの約1/2である、請求項11に記載のインクジェットプリントヘッド。
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