JP2004505277A - 生物試料由来のヘキソースモノリン酸の定量分析 - Google Patents

生物試料由来のヘキソースモノリン酸の定量分析 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンデム質量分析計を用いて、生物試料、好ましくは乾燥血液試料のヘキソースモノリン酸(HMP)組成を定量分析する方法、ならびに、乾燥血液スポット試料のような同じ生物試料からアミノ酸、アシルカルニチン、およびHMPの存在量を定量分析する方法に関する。本方法は、ガラクトース血症に関して新生児をスクリーニングするのに有用であり、アミノ酸、有機酸、および脂肪酸の代謝障害に関してスクリーニングする方法と一体化することができる。

Description

【0001】
関連発明
本出願は、2000年7月28日出願で発明の名称が「生物試料由来のヘキソースモノリン酸の定量分析」である米国特許出願第09/627,978号(参照によってその明細書がこの中に組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、生物試料中のヘキソースモノリン酸(HMP)を検出する方法およびその使用に関する。好ましい実施形態において、ガラクトース血症に関して新生児をスクリーニングするために本発明の方法を用いることができる。
【0003】
発明の背景
ガラクトース血症は、新生児の期間に重篤な症状をもたらす致命的な疾患である。ガラクトース血症は、ガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ酵素(GALT)(EC.2.7.7.12)の欠損(OMIM 230400)によって生じる。
【0004】
この疾患において、乳の摂取は、血液および尿中へのガラクトースの蓄積を生じさせ、ガラクトース−1−リン酸(Gal−1−P)の高い細胞内濃度につながる。Gal−1−Pは、いくつかの組織、特に肝臓、脳、および尿細管に有毒であると考えられている(12)。主な症状は乳の摂取後直ぐに現れ、嘔吐、成長障害、肝障害による黄疸、および昏睡を含む。患者は昏睡状態となり、治療が早期に開始されなければ、しばしば、生後数週間で死がおとずれる。ガラクトースフリーの食事での治療は、1または2週間内に症状および兆候の後退を生じさせる。しかしながら、その疾患の低い頻度(デンマークでは約1:35000)および次善の臨床的認識のため、診断がしばしば遅れ、または症状が敗血症または同種免疫と誤って解釈され、遅い介入のせいで後遺症を生じさせる。そのような検討事項は新生児スクリーニングを支持するように思われるが、対立する結論を有する最近の2つの包括的なレビュー(11、9)に示されているように、そのような新生児スクリーニングは未だ賛否両論である。未処置のガラクトース血症の重大な影響:新生児死または重篤な精神薄弱:をめぐる議論は全くなされていない。議論における主な論点は、費用便益比率に影響する疾患の低い頻度、次善のスクリーニングテスト、および例えば知能障害、言語障害、白内障、および高ゴナドトロピン性腺機能低下症のような早期診断および治療にも関わらず生じた長期転帰における後遺症である(13、14、15)。
【0005】
ガラクトース血症に関する新生児スクリーニングのためのいくつかの方法が存在する。それらの中で最も簡単な方法は、還元物質に関して尿を調べることである(すなわち、フェーリング液およびベネディクト液を用いる)。新生児スクリーニングのために一般的に用いられる試験は、乾燥血液スポットサンプル(DBSS)を使用する。Paigenの方法(8)は、生物学的測定法によって、ガラクトースおよびGal−1−Pを定量する。しかしながら、その方法は自動化に適さず、新生児またはその母親の抗生物質による治療に敏感であり、さらに慎重な細菌維持方法が要求される。GALT活性の測定は、Beutler試験の基本である(1、2)。GALTは、熱または湿気による不活化に敏感であり、偽陽性のスクリーニング結果を生じさせる。多くのスクリーニング実験室はPaigen測定法とBeutler測定法とを組み合わせて用い、GALT、ガラクトキナーゼ、およびガラクトースエピメラーゼの欠損を検出することができるが、相対的に高い擬陽性率を有する(11)。そのような疾患は、アルカリホスファターゼ−ガラクトースデヒドロゲナーゼ測定法によっても検出され得る(3、4)。
【0006】
ガラクトース血症をスクリーニングおよび診断するための、改善された、より正確で、迅速で、費用効果を有し、かつ容易な方法に対する必要性がある。
【0007】
発明の概要
本発明は、簡単で、完全自動化され、迅速で、かつ費用効果を有する、ヘキソースモノリン酸(HMP)を検出および定量するためのスクリーニング方法を開発した。本方法を用いて、試料、好ましくは生物試料中のHMPを検出および定量することができる。従って、例えば、異常なHMPレベル(相対値または絶対値の何れか)に関連する疾患の危険性がある患者を診断、スクリーニング、または特定するための指標としてそのような方法を用いることができる。そのような疾患として、必ずしも限定はされないが、ガラクトース血症、果糖尿症、遺伝性果糖不耐性、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ欠損、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損、UDP−ガラクトース−4−プライム−エピメラーゼ(EC5.1.3.2)欠損、および糖尿病が挙げられる。好ましい適用において、新生児におけるガラクトース血症の指標として本方法を用いることができる。本発明の1つの実施形態において、新生児におけるガラクトース血症の診断に本方法を用いることができる。別の実施形態において、例えばガラクトース血症のようなHMP関連疾患のスクリーニングに本発明の方法を用いることができる。別の実施形態において、本スクリーニングの後に例えば遺伝子分析のような他の診断方法を実施し、または他の診断方法と共に本スクリーニングを実施して差し支えない。
【0008】
この中で用いられている定量または定量分析の用語は、試料中のヘキソースモノリン酸および/または特定種類のヘキソースモノリン酸の相対量または絶対量(例えば濃度)を特定する任意の方法を含むことが意図されている。この中で用いられているHMPレベルも、その文脈に沿って、HMPの絶対量および相対量の両方を称する。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、タンデム質量分析(MS/MS)を用いて、血液試料、好ましくは濾紙または他の適切な媒体上の乾燥血液スポットから、HMPレベルを定量的に分析するための新規で迅速な技術を提供する。その新規な方法は、上記のHMP関連疾患、好ましくはガラクトース血症の診断において用いることができる。その新規な方法は、疾患をスクリーニングするのに用いられる先行技術の方法における制限の多くを克服する。
【0010】
別の好ましい実施形態において、本発明は、イオン化に適した形態で生物試料のHMP抽出物を得ることによって生物試料中のHMPレベルを検出および定量する方法を提供する。この中で用いられている「HMP抽出物」は、HMPを抽出するのに適した溶媒での生物試料の抽出物を称する。好ましい実施形態において、メタノールよりも高親水性である溶媒を用いて試料を抽出する。適切な溶媒は、アセトニトリル/水、テトラヒドロフラン/水、メタノール/水、酢酸エチル/水、またはイソプロパノール/水であって差し支えない。より好ましくは、溶媒はアセトニトリル/水の特性に類似の特性を有し、最も好ましくは、溶媒は30−70%(v/v)アセトニトリル/水である。
【0011】
別の実施形態において、抽出前に生物試料を乾燥させる。さらに別の実施形態では、生物試料を例えば濾紙のような適切な媒体上にブロットし、乾燥させ、その後上記のように抽出する。
【0012】
別の実施形態において、適用できる場合には、例えば全血、分画血液成分、組織(例えば肝臓生検切片)、尿、便、胆汁、唾液、汗、または他の腺分泌物のような、多くの生物試料を本発明の方法において用いることができる。好ましくは、生物試料は、適切な媒体上にブロットし、乾燥させ、その後抽出した全血である。
【0013】
抽出に続いて、例えばエレクトロスプレーまたは空圧補助エレクトロスプレー(pneumatically assisted electrospray)(例えばIonSpray)のような技術を用いてHMP抽出物をイオン化し、ガス相イオン流を形成する。プレカーサ分子イオン、HMPの質量電荷比(すなわち259.02 Da/e)を有する分子ガス相イオンを選択およびフラグメント化して、HMPのプロダクトイオンを得る。関心プロダクトイオン、すなわちHMPレベルあるいは例えばGal−1−Pまたはフルクトース−1−Pのような特定HMPの最良の指標となるプロダクトイオンを、検出されたその質量電荷比および得られたそのイオン強度によって選択する。イオン強度は、好ましくは陰イオンモードで記録される。
【0014】
プロダクトイオンのイオン強度を用いて、スペクトル分析によって生物試料中のHMPの定量的存在量(quantitative abundance)を特定しおよび/または試料のイオン強度を既知量または濃度のHMPまたは特定種類のHMPを含む対照のイオン強度と比較することによってHMPまたは特定種類のHMPの濃度を特定しおよび/または生物試料中に存在する特定種類のHMPの相対量を示唆するイオン存在量比(ion abundance ratio)を特定することができる。
【0015】
さらに別の実施形態において、本発明の方法を用いて、例えば血液試料のような生物試料中のHMPまたは特定種類のHMPのレベルを、正常な個体のカットオフレベルと比較することによって、患者において例えばガラクトース血症のようなHMP関連疾患をスクリーニングおよび/または診断することができる。別の実施形態において、本発明は、HMP関連疾患を有しない正常な個体およびHMP関連疾患を有する異常な個体またはHMP関連疾患を発症する危険性を有する個体のHMPレベル(濃度および/またはIAR)のデータベースを作成する方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、スクリーニングおよび/または診断に有用である適切なHMP濃度および/またはIARのカットオフレベルを特定するためのデータベースの使用を提供する。1つの実施形態において、正常な個体におけるHMP濃度およびIARレベルの範囲を、異常な個体の範囲と比較することによって、適切なカットオフレベルを特定することができる。別の実施形態では、本発明の方法を用いて、生物試料中のHMPまたは特定種類のHMPのレベルを、データベース中のレベルおよび対応するHMP関連疾患の状態(正常または異常)と比較することによって、患者においてHMP関連疾患をスクリーニングおよび/または診断することができる。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、HMPレベルおよび対応するHMP関連疾患の状態のデータベースを作成する方法であって:(a)本発明の方法に従って個体のHMPレベルを特定し;(b)前記個体のHMP関連疾患の状態を特定し;(c)(a)および(b)からの情報を用いてデータベースを作成し;(d)必要に応じて、他の個体からの生物試料を用いて工程(a)および(b)を繰り返し;(e)(d)からの情報を前記データベースに入力する;各工程を含んでなる方法を提供する。
【0017】
本発明の別の実施形態において、例えばメタノールのような適切な溶媒を使って、HMP抽出前に、乾燥生物試料、好ましくは血液試料から、アミノ酸およびアシルカルニチンを抽出することができる。更なる分析のためにメタノール抽出物を除去し、残りの生物試料を上記のように再乾燥および処理して差し支えない。1つの生物試料、好ましくは血液試料を、HMPレベルに関して分析するのに加えて、患者においてアミノ酸、有機酸、および脂肪酸の代謝障害をスクリーニングおよび/または診断するのに用いることができるアミノ酸およびアシルカルニチンに関して定量的に分析することができる。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は、HMP関連疾患診断ビジネスを実施する方法であって:HMP関連疾患の診断および/またはスクリーニングおよび/またはHMPレベルのデータベースの開発において用いることができる、本発明の方法に従って生物試料からHMPレベルを特定する方法を提供し;必要に応じて、HMP関連疾患の診断に用いることができるHMPレベルを特定する方法に対する権利を第三者にライセンス付与または売却する;ことを含んでなる方法を提供する。更なる実施形態において、HMP関連疾患診断ビジネスを実施する方法は、HMP関連疾患に関する適切なカットオフレベルを提供し、さらに必要に応じてそのカットオフレベルに対する権利を第三者にライセンス付与または売却することをさらにまたは代わりに含む。さらに他の実施形態では、本ビジネスを実施する方法は、HMPレベルおよび対応するHMP関連疾患の状態のデータベースを提供し、必要に応じてそのデータベースを第三者にライセンス付与または売却する。さらに別の実施形態において、本発明は、HMP関連疾患診断ビジネスを実施する方法であって:第三者によって提供された生物試料のHMPレベルを本発明の方法に従って特定し;例えば、HMPレベルを、HMP関連疾患の指標となるカットオフレベルと比較することによって、そのHMPレベルがHMP関連疾患を示唆するか否かを特定し;さらに、手数料を徴収してその結果を第三者に提供する:ことを含んでなる方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明のビジネス方法は、患者において、アミノ酸、有機酸、および脂肪酸の代謝障害を診断することをさらに含んでいて差し支えない。
【0019】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は本発明の好ましい実施形態を示唆するが、単に例示によって与えられており、本発明の精神および範囲内に含まれる様々な変更および修飾がその詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【0020】
図面の簡単な説明
ここで、図面に関連させて本発明を説明する:
図1は、グルコース−1−リン酸(パネル1A)、ガラクトース−1−リン酸(パネル1B)、およびフルクトース−1−リン酸(パネル1C)の3つの優勢なフラグメントイオンを示す。
【0021】
図2は、0から8mmol/lまでのGal−1−Pの添加濃度範囲の9つの異なる標準血液スポットの3重測定からの標準曲線である。HMPプレカーサイオン(259.02 Da/e)の3つの異なるフラグメントイオン信号強度を各濃度に対して示す。フラグメントイオンは78.96 Da/e、96.97 Da/e、および138.98 Da/eである。直線回帰分析を用いて、傾き(a)、切片(b)、および推定値の標準偏差(SEE)を導く。
【0022】
図3は、ガラクトース血症の患者、GALT活性が低下したQ188R/N314D化合物ヘテロ接合体性の個体、および対照群からの、試料中のヘキソースモノリン酸濃度とイオン存在量比(IAR)とを比較するスキャッチャープロットである。図3は、IARが、78.96 Da/eフラグメントを用いた外部標準化曲線から特定されたHMPの計算濃度と同等のスクリーニング能力(100%感度および100%特異性)を有することを示す。外部標準化による定量化のために3つ全てのHMPフラグメントを用い得ることに注目すべきである。78.96 Da/eフラグメントが最も強いシグナル強度をもたらしたため、そのフラグメントを選択した。
【0023】
図4は、タンデム質量分析計に注入されたHMPの試料を測定することによって得られたイオン強度を表す全イオン電流クロマトグラム(TIC)である。TICは、HMPの3つのイオン化フラグメントの循環測定(cyclic measurements)からの信号の加算によって導かれる。
【0024】
図5は、図4における斜線の時間枠において測定された3つのフラグメントイオンの各々の平均イオン強度のヒストグラムプロットを示す。さらに、図5は、関心フラグメントイオンを検出するのに用いられる質量/電荷設定(mass−to−charge setting)を示唆する。
【0025】
図6は、本発明の1つの実施形態におけるタンデム質量分析計の機器設定を示す3ページプリントアウトである。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、試料、好ましくは生物試料、最も好ましくは血液試料中のHMP含有量を検出および定量分析する方法に関する。HMPとして、必ずしも限定はされないが、Gal−1−P、グルコース−1−リン酸、グルコース−6−リン酸、フルクトース−1−リン酸、フルクトース−3−リン酸、およびフルクトース−6−リン酸が挙げられる。本発明を用いて、例えばガラクトース−1−リン酸、グルコース−1−リン酸、またはフルクトース−1リン酸等のHMPの異常レベル(例えば高いまたは低い)に関連する疾患を有する患者をスクリーニングおよび/または診断し、またはそのような疾患の危険性を有する被験者を特定することができる。好ましくは、本発明を用いて、上昇した(または過剰な)HMPレベルを有する患者をスクリーニングおよび/または診断することができる。
【0027】
より詳細には、上昇したHMP濃度またはIARレベルは、上昇したGal−1−Pレベルに相関する範囲で、ガラクトース血症の指標として用いることができる。適当な血液および/または組織試料を測定することによって検出可能な他の疾患として、必ずしも限定はされないが、遺伝性果糖不耐性(OMIM 229600)、果糖尿症(肝フルクトキナーゼ欠損)(OMIM 229800)、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ欠損(OMIM 229700)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損(OMIM 305900)、UDP−ガラクトース−4−プライム−エピメラーゼ(EC5.1.3.2)欠損、および糖尿病が挙げられる。
【0028】
本発明の方法は、例えば全血、分画血液成分、組織(例えば肝臓生検切片)、尿、便、胆汁、唾液、汗、または他の腺分泌物のような生物試料中のHMPレベルを特定する方法を含む。その方法の例において、個体から全血を得て、例えば好ましくはリントフリーでかつ好ましくは高度に均質な液体吸収能を有する濾紙のような適切な基材または媒体上にブロットする。濾紙は、好ましくはセルロース濾紙である。次に試料を乾燥させる。濾紙上にブロットされた毛細血管全血試料は、世界的に、新生児スクリーニングに用いられる好ましい試料である。当業者は、試料採取の適切な方法に通じている。様々なやり方で試料を採取することができ、例えば、血液試料に関して、(a)皮膚への切込みからの毛細血管血の直接ブロッティング、(b)抗凝血剤を含むチューブ内への採取および続く濾紙への添加、(c)抗凝血剤を含むまたは含まないチューブへの採取、乾燥、およびチューブ内で実施される抽出、(d)抗凝血剤を含むチューブ内への採取および続く一部の分析。
【0029】
本発明の好ましい実施形態に従って、ある量の生物試料、すなわち全血、分画血液、唾液、汗、尿、便、胆汁、組織ホモジネート、または他の腺分泌物を、濾紙または他の適切な物質上に置き、約10−100℃、より好ましくは室温、さらに好ましくは19−26度で乾燥させることによって、試料を調製する。濾紙は、好ましくはセルロース濾紙であるが、他のタイプの基材も適用できる。例えば抗凝血剤処理した全血、血液画分、唾液、尿または組織ホモジネートのような、チューブ中の液体試料も適用することができる。濾紙上にブロットされる量は、通常50−100μlの範囲であり、好ましくは約75μlである。
【0030】
乾燥後、固定量(通常3.2μm径の円板状であり、通常、約3.5μlの試料を表す)の乾燥血液濾紙試料を濾紙からパンチし、マイクロプレートまたは他の適切な容器に入れる。HMP、好ましくはGal−1−Pを抽出するのに適した溶媒を用いて、乾燥血液試料からHMPを抽出する。1つの実施形態において、HMPを抽出するのに適した溶媒は極性溶媒である。別の実施形態では、溶媒はメタノールより高親水性であるものが好ましい。好ましくは、溶媒は水に混和性のものである。好ましくは、十分な極性を確保するため水が存在する。適切な溶媒の例は、限定はされないが、アセトニトリル/水、好ましくは30:70から70:30(v/v)まで、さらに好ましくは1:1(v/v)アセトニトリル/水に類似の特性を有する溶媒である。他の適切な溶媒は、酢酸エチル/水、テトラヒドロフラン/水、メタノール/水、またはイソプロパノール/水であって差し支えない。最も好ましくは、抽出バッファーは、アセトニトリル:水(1:1)(v/v)である。約50−1000μl、好ましくは約150μlの抽出バッファーと共に、約5−100分間、好ましくは20分間、好ましくは室温辺りで、濾紙をインキュベートする。当業者は他の温度も適用できることを理解するであろうが、室温は便利でかつ蒸発による溶媒損失を伴う問題を生じさせないため、室温が好ましい。
【0031】
好ましくは約100−200μlの、得られた溶液または抽出物の試料を好ましくは遠心して残骸を除去し(すなわち約18000−10000gで10分間)、その後、試料中のHMPの定量分析のためにタンデム質量分析を行い、その際、溶液をイオン化し、イオンを脱溶媒和させ(desolvate)、その後それらの質量電荷比によってイオンおよびそのフラグメントを単離および検出する。イオン化の前に、必要に応じて試料を液体クロマトグラフィーにかけて、抽出物中の粒子状の残骸または干渉もしくは信号抑制化合物を取り除いても差し支えない。
【0032】
試料調製の特定方法がこの中に記載されているが、本方法を実施するのに用いられる質量分析計によるHMP検出および分析に適している試料調製の任意の形態が適切であることを当業者が理解することに注意すべきである。例えば、試料調製の方法は、試料の性質(すなわち、血液、唾液、または組織)および/または用いられる質量分析計の型によって変化するであろう。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、HMPの抽出に適した溶媒での抽出の前に、本発明の乾燥生物試料、好ましくは血液を、例えばアミノ酸およびアシルカルニチンの抽出等、HMP以外の成分を抽出するのに適した別の溶媒(例えばメタノール)で予備抽出して差し支えない。そのようにして得られた抽出物自体を分析して、特定アミノ酸またはアシルカルニチンレベルに関連する疾患をスクリーニングすることができる。例えば、フェニルアラニンレベルの上昇は、フェニルケトン尿症を示唆するであろう。Rashedらの方法に従って分析を実施して、フェニルケトン尿症をスクリーニングすることができる(10)。その後、その予備抽出乾燥血液スポットを回収し、好ましくは窒素下で乾燥し、さらに上記のようにHMPを抽出するのに適した溶媒で抽出して、上記のようにHMPに関してスクリーニングすることができる。従って、好ましい実施形態において、本発明は、1つの乾燥血液スポットを用いて、例えばガラクトース血症のようなHMP関連疾患、ならびにアミノ酸、有機酸および脂肪酸の代謝障害(例えばフェニルケトン尿症)のようなアミノ酸およびアシルカルニチンの異常レベルに関連する疾患の両方をスクリーニングすることができる。
【0034】
質量分析
本発明のHMPレベルを分析する好ましい方法は、タンデム質量分析によるものである。
【0035】
タンデム質量分析計は、最初に粒子をイオン化し、その後その質量電荷比(m/z)に基づいてそれらを分離する。タンデム質量分析計は、タンデムに配置された、少なくとも2つのマスフィルター、好ましくは四重極フィルターを有する。第1のマスフィルター(Q1)は、プレカーサイオン質量電荷比(HMPの場合約259.02 Da/e)を伝達するように設定される。伝達イオンは、窒素のような不活性ガスを含む衝突セル(Q2)中に導かれる。選択されたイオンがガス分子と衝突した時、それらイオンがフラグメント化し、プロダクトイオンを生じる。第2のマスフィルター(Q3)は、選択されたプロダクトイオン質量電荷比を検出器[Selected Reaction Monitoring(SRM)]に伝達するように設定される。次に、当業界で公知の技術を用いて、プロダクトイオンのイオン強度を特定することができる。HMPは、各々対応する質量電荷比:約78.96 Da/e、96.97 Da/e、および138.98 Da/eを有する3つの優勢なプロダクトイオン:[PO、[HPO、および[(CO)HPOを有する。当業者は、この中で提供されているm/z値が、分子質量の計算の仕方またはタンデム質量分析計の校正の仕方に依存して僅かに変動し得ることを理解するであろう。
【0036】
多くのタンデム質量分析計は、第1と第2のマスフィルターの間に、フラグメント化部分または衝突セルを有する。フラグメント化部分は、通常、イオン拘束装置(ion containment device)としてラジオ周波数のみの形態で操作され、約3ミリトルの圧力で衝突ガスを含む四重極マスフィルターである。第1および第2のマスフィルターは、フラグメント化部分の何れかの側に置かれた四重極である。三重の四重極装置において、それら四重極は通常Q1、Q2、およびQ3と称され、Q2はフラグメント化部分または衝突セルである。第3の四重極Q3がTOF部分に置き換えられているいわゆる飛行時間(TOF)装置を用いることも可能である。しかしながら、多くの他のタンデムまたは別の質量分析計が公知であり、分析および四重極フィルターの様々な組合せが挙げられ、本発明の方法を提供するのに用いることができる。可能な構成は、イオントラップ、TOF−TOF、Q−TOF、ポスト−ソース分解を用いるTOF、質量分析イオン運動エネルギー分光計(MIKES)、四重極イオントラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FI−ICR)、およびプレカーサイオンの予備選択(preselection)後にプロダクトイオンスペクトルを作ることができる他の方法を含む。
【0037】
例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、空圧補助エレクトロスプレーイオン化(例えばIonSpray)、液体二次イオン(LSI)、高速原子衝突(FAB)、高速イオン衝突(FIB)、およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)のようなパルスイオン化ソース等、粒子をイオン化する様々な手段がある。本発明の好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)および空圧補助エレクトロスプレーイオン化(例えばIonSpray)である。
【0038】
未知量のHMPを含む試料から、各イオン化フラグメントまたはプロダクトイオンのどの程度が特異的にGal−1−Pを表すのかを現在は特定することはできないが、[POフラグメントが最も大量に存在しかつ試料中のGal−1−Pの最良の指標となることが特定されている。[HPOフラグメントまたはプロダクトイオンは、フルクトース−1−リン酸の最高の指標となり、従って、好ましくは、フルクトース−1−リン酸レベルに関連する疾患の診断においてそのフラグメントが用いられる。すなわち、HMP関連疾患のスクリーニングまたは診断に用いられる好ましい関心プロダクトイオンは、その疾患に基づいて変化するであろう。さらに、グルコースとフルクトースとの等モル混合物を静脈投与によって乳児に与えた場合、本発明によって測定したHMPの濃度の上昇を生じさせないことが認められた。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、リン酸基がヘキソースの環構造の一部である炭素原子に結合している場合、m/z 78.96プロダクトイオン(すなわち[POが予想以上に優勢である。このことは、例えばガラクトース−1−リン酸およびフルコース−1−リン酸のようなアルドヘキソース−1−モノリン酸に関してそうである。リン酸基が環構造の一部ではない側鎖炭素原子に結合している場合には、m/z 96.97プロダクトイオン(すなわち[HPO)が優勢である。このことは、例えばグルコース−6−リン酸、フルクトース−1−リン酸およびフルクトース−6−リン酸のような、ケトヘキソース−1−モノリン酸またはケトヘキトース−6−モノリン酸においてそうである。
【0040】
従って、本発明の1つの実施形態において、アルドヘキソース−1−モノリン酸濃度またはレベルを特定するため、あるいはアルドヘキソース−1−モノリン酸関連疾患の診断またはスクリーニングのため、あるいはアルドヘキソース−1−モノリン酸関連疾患のスクリーニングおよび/または診断のためにHMP濃度またはレベルのデータベースを開発する際に、好ましい関心プロダクトイオンは、[PO、すなわち78.96 m/zプロダクトイオンであろう。本発明の別の実施形態において、アルドヘキソース−6−モノリン酸およびケトヘキソース−1−または6−モノリン酸の濃度またはレベルを特定するため、あるいはアルドヘキソース−6−モノリン酸およびケトヘキソース−1−または6−モノリン酸に関連する疾患の診断またはスクリーニングのため、あるいはアルドヘキソース−6−モノリン酸およびケトヘキソース−1−または6−モノリン酸に関連する疾患のスクリーニングおよび/または診断のためにHMP濃度またはレベルのデータベースを開発する際に、好ましい関心プロダクトイオンは、[HPO、すなわち96.97 m/zプロダクトイオンであろう。
【0041】
標準化および診断適用
結果を校正し、偽陽性および偽陰性を最小化するための様々な標準化技術が本発明において考えられている。例えば外部標準を用いて、健康な個体から採取されかつGALT活性が阻害される条件下(例えば低温、すなわち1−25℃、好ましくは1−9℃)で濾紙上にブロットされた全血試料に、既知量のHMP、好ましくはGal−1−Pを添加することができる。各分析の実施において、試験試料と同様にそのような一連の外部標準を処理することができる。
【0042】
内部標準も使用できる。例えば、本発明者は、SRM遷移259.02−78.96と259.02−96.97とのイオン存在量比(IAR)の電位、すなわち、共にプレカーサイオン259.02 Da/eから生じるフラグメント78.96 Da/eの信号強度対フラグメント96.97 Da/eの信号強度の比を分析した。そのIARは、78.96 Da/eフラグメントを用いた外部標準化曲線から特定されたHMPの計算濃度と同等のスクリーニング能力(100%感度および100%特異性)を有する。
【0043】
さらに、Gal−1−Pの同位体標識内部標準を内部標準として用いることができる。基本的に、非標識Gal−1−Pを越える質量増加、好ましくは3Da以上の質量増加をもたらす安定な同位体で標識した任意のHMPが適している。リン酸基上に標識を配置させるとプレカーサイオンおよびプロダクトイオンの両方において質量増加が得られるため、標識内部標準からの信号干渉を防止するためにリン酸基上に標識を配置させるのが好ましい。このことは、標識リン酸基を作り出すような内部標準の潜在的加水分解の評価も可能にするであろう。
【0044】
患者のHMP濃度またはIARを、HMP疾患、すなわちガラクトース血症の指標となるカットオフレベルの値と比較することによって、HMPレベルの上昇を特定することができる。正常な個体および例えばガラクトース血症患者のようなHMP関連疾患を有する個体において認められるHMP濃度またはIARレベルから、適切なカットオフレベルを特定することができる。本発明の方法に従って、疾患を有するまたは有しないことが分かっている被験者の試料を定量分析することによって、正常なおよび異常なHMP濃度またはIARレベルのデータベースを開発することができる。正常な個体およびガラクトース血症患者の指標となるHMP濃度またはIARレベルを特定し、それに基づいて診断に用いるカットオフ値を特定する。データベースは継続的に更新することができる。そのようなデータベースを作成する方法も、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。HMP濃度の上昇またはIARの上昇は、Gal−1−Pのレベルの上昇に相関し、従ってガラクトース血症の仮診断を可能にする。
【0045】
現在の発明者は、0.94mMを超えるHMPレベルまたは1.41IARが、ガラクトース血症を潜在的に示唆することを特定した。しかしながら、最も指標となるのは、2.6mMと5.2mMの間のHMPレベル、または1.69−1.76のIARであり、その範囲は、78.96 Da/eフラグメントを用いる外部標準化によって特定された実施例における全ての平均患者濃度を含む。従って、GALT帰無遺伝子(GALT null allele)およびデュアルテ遺伝子(Duarte allele)に関して化合物ヘテロ接合体性の個体の検出が望まれている場合には、その実施例に基づくガラクトース血症に関するカットオフは、0.95から2.5mmol/lまでのHMP濃度および1.42から1.68までのIARであり、より好ましくは0.95から1.43mmol/lまでのHMP濃度および1.42から1.56までのIAEである。本発明者は、データの分析によって特定された新生児スクリーニングのための好ましいカットオフが、GALT遺伝子(デュアルテ突然変異)における部分分断突然変異および完全分断突然変異に関する化合物へテロ接合体を検出すべきか否かに依存して、1.2mMまたは2.0mMのHMP(1.49または1.63のIAR)であることを推奨する。低い方のHMP濃度およびIAR値は、ガラクトース血症患者、ならびに部分的分断GALT遺伝子(デュアルテ遺伝子)および完全分断GALT遺伝子を担持する化合物へテロ接合体の検出を可能にするであろう。高い方のHMP濃度およびIAR値は、両方の対立遺伝子における完全不活化GALT遺伝子を有する個体、すなわちガラクトース患者の検出をもたらすであろう。
【0046】
類似の方法を用いて、他のHMP関連疾患に関する適切なカットオフレベルを特定することができる。
【0047】
この中で概説された本発明のスクリーニング方法を、単独で、または他の診断指標と組み合わせて用いることができる。本発明の方法は、遺伝子解析のような更なる診断追跡のために個体をスクリーニングするのに用いることができる。この中に概説されている方法は、HMP関連疾患診断ビジネスを実施するための方法においても用いることができる。
【0048】
以下の非限定的実施例は、本発明を例証する:
実施例
初めに
以下の実施例は、新生児の血液濾紙試料中のHMPの含有量を定量する方法について記載する。
【0049】
装置および材料
以下の装置および材料を下記の実施例において用いた:
装置
(a)Puncher Wallac, Delfia 乾燥血液スポットパンチャー1296−071、製造番号LR52500、パンチヘッドの直径:3.2mm
(b)8−チャンネルピペット、Labsystems F 24449、製造番号4510
(c)PE−Sciex API 365 タンデム質量分析器(IonSprayソースを装備)(Perkin Elmer−Sciex, Toronto, Canada、製造番号0029712PT)
(d)Perkin−Elmerシリーズ200オートサンプラー、Perkin Elmer corporation, Norwalk Connecticut, USA、製造番号293N8040613)
(e)Shimadzu LC−10Avdpポンプ、Shimadzu corporation, Kyoto, Japan, 品番228−39000−92、製造番号C20963502470
(f)Power Macintosh G3コンピューター、製造番号XB81303HBBW
(g)Neo Chromソフトウェア、バージョン1.0g
(h)Analytical weight, Sartorius、製造番号71004423、Kebolab, Denmark
材料
(a)ガラクトース−1−リン酸(カタログ番号G−0380、ロット番号32H703(1);グルコース−1−リン酸(カタログ番号G−6875);およびフルクトース−1−リン酸(カタログ番号F−1127)はSigma Chemical Co.から購入した
(b)アセトニトリル、Aldrich、カタログ番号A/0627/15
(c)Millipore Milli−Q A10(社内システム)からの超高品質(UHQ)水
(d)マイクロプレート用のシーリングフィルム、Nunc、カタログ番号236366
(e)ポリスチレンマイクロタイタープレート、円錐底ウェル、Nunc、カタログ番号245128
(f)抽出/実施バッファー:500ml UHQ−水および500mlのアセトニトリル、0.45μmナイロン−66フィルター(Varian Chromatography System)で濾過し、ヘリウムを噴霧することによって脱気した
(g)濾紙、Schleicher and Schuell、カタログ番号2992
(h)EDTAバイアル、Venojet, VT−100TK、0.1ml EDTA 0.47M、ロット番号97122L7
(i)試料ガラス、WR 1270、14.5x100mm、Thueringer Pharma glass、Germany。
【0050】
材料および方法
試薬
ガラクトース−1−リン酸、グルコース−1−リン酸、およびフルクトース−1−リン酸はSigmaから購入した(Sigma Chemical Co., St.Louis, USA)。抽出液/移動相は、社内のMill−Qシステム(Millipore, USA)からの超高品質水とアセトニトリル(Aldrich, USA)との1:1混合物であった。使用前に、その溶液を0.45μmナイロン−66フィルター(Varian Chromatography Systems)で濾過し、さらにヘリウムを噴霧することによって脱気した。
【0051】
被験者および血液試料
Department of Clinical Genetics, Rigshospitalet University Hospital, Copenhagen, Denmarkでの医療記録から、1984年から1998年の期間にガラクトース血症を有すると診断された22名の患者を同定した。全ての診断は、GALT遺伝型分析によって確認された。デンマーク新生児スクリーニングプログラムは、通常生後5から7日までに得られた、Schleicher & Schuell 2992フィルター上に採取された乾燥血液スポット試料(DBSS)を利用する。ルーチン分析の後、生物試料バンクにおいてDBSSを20℃で保存する(7)。初期のDBSSの残留物が12人のガラクトース血症患者から利用できた。ルーチン新生児スクリーニングプログラムによって分析された後にガラクトース血症とは同定されなかった生後7−10日の明らかに健康な乳児からのDBSS残留物を無作為に2055個集めることによって、参照群を確立した。出生時体重および血液採取が行われた時の生後年齢に関する情報は、血液試料データ形式から得られた。糖質注入群は、5%(w/v)グルコースおよび5%(w/v)フルクトースを混合して含む静脈内輸液を受けた新生児集中治療患者の試料から構成される。その群は、糖質注入の間のルーチン臨床化学検査のために使用して余ったEDTA−血液からDBSSを作ることによって、匿名で評価した。ヘキソースモノリン酸(HMP)安定性群は、20℃で1、2、5、および10年間(各保存期間について160試料)の間保存した無作為DBSSから構成される。
【0052】
外部濃度標準
異なる濃度のGal−1−Pを含むストック溶液を、0.9%(w/v)NaCl/水で調製した。健康な空腹時の成人女性からEDTA−バイアル中に血液を採取した。内因性GALT活性を抑制するため、4℃に血液を冷却した。1930mlの予め冷却した血液に、Gal−1−Pの各ストック溶液から70mlを加えた。混合物を穏やかに反転させた。濾紙(Shleicher & Schuell、カタログ番号2992)上に、Gal−1−Pを混入した血液75μlをピペットで取ることによって、血液スポット濃度標準を調製した。室温で1晩標準試料を乾燥させ、続いて、ジップロックプラスチックバッグ中において20℃で保存した。標準試料は以下の濃度の添加Gal−1−Pを含む:0;0.0625;0.125;0.25;0.50;1.0;2.0;4.0;8.0mM。濾紙上にスポッティングする前に4℃または室温で21時間までの間プレインキュベートしておいた0.0625mmol/lのGal−1−Pを混入したEDTA−血液から作られたDBSSを測定することによって、外部標準の調製の間におけるGal−1−Pの安定性を評価した。
【0053】
ガラクトース−1−リン酸の抽出
DBSSからGal−1−Pを抽出するのに用いられる溶媒の最適組成を特定するため、一連の溶媒の何れかの溶媒を10%ずつ10−90%(v/v)の濃度範囲で変化させて、アセトニトリルと水、メタノールと水、およびメタノールとアセトニトリルの様々な混合物を試験した。以下の変更を加えて、試料調製部分に記載のように、抽出溶媒を用いてマイクロタイタープレート中の0.5mmol/lのGal−1−P濃度標準の抽出物を調製した:脱溶媒和およびイオン形成に対する溶媒組成の影響を評価するため、穏やかな窒素ガスの流れの下、45℃で全ての抽出物を蒸発させ、さらにアセトニトリル:水(1:1)中に再溶解させ、タンデムMS装置に注入し、記載のようにカウントした。
【0054】
試料調製
各DBSSから、直径3.2mmの1つのディスクをパンチして、円錐底マイクロタイタープレート中のブランクウェルに入れた。8−チャンネルピペットを用いて各ウェルに抽出溶液(150μl)を添加し、そのプレートを接着性フィルム(Nunc, Sealing type SI、カタログ番号236366)で密閉した。オービタルシェーカー(orbital shaker)上で20分間穏やかに回転させることによって抽出を実施し、100μlを新しいマイクロタイタープレートに写し、そのプレートを接着性フィルムで密封した。1800gで10分間遠心することによって濾紙の糸屑を沈降させて、自動注入口およびチューブ系の詰まりを防止した。
【0055】
三重で外部標準群をマイクロタイタープレートに装填した。患者試料は二重で測定し、糖質注入群からの試料は三重で測定した。標準群、患者群、糖質注入群からの各測定の前に、ブランク試料(抽出溶液)を装填し、試料の残留の可能性を完全に回避した。ブランクによって分けることなく、参照群からの試料を1つずつ測定した。測定の20番目の試料は全て、0.5mmol/lのGal−1−Pを含む対照試料であった。処理されたマイクロタイタープレートを、4℃に設定したペルチエ(Peltier)冷却素子を取り付けたPerkin−Elmer Series 200オートサンプラー(Perkin−Elmer Corporation, Norwalk, USA)に装填した。パンチングを含めて、300試料の調製に通常1−1.5時間要した。
【0056】
タンデム質量分析計
エレクトロスプレーソース(IonSpray)を備えたAPI−365タンデム質量分析計(PE−Sciex, Toronto, Canada)において全ての測定を実施した。検討した全ての脱プロトン化HMP(259.02 Da/e)が、以下の適用における飛越し選択反応モニタリング(interlaced selected reaction monitoring)(SRM)機能として測定された138.98 Da/e、96.97 Da/e、および78.96 Da/eの3つの優勢なフラグメントへの衝突−誘導解離を受けることが特定された:
A)Gal−1−P、グルコース−1−リン酸、およびフルクトース−1−リン酸のフラグメント化パターンの研究のため、移動相中に溶解させた各物質の20μmol/l溶液を15μl/分でタンデム質量分析計に注入した。以下に指示する装置設定(例えば図4−6に指示されている)を用いて、20の複数チャンネル加算スキャン(multiple channel addition scan)を集めた;
B)処理されたDBSSの分析のため、Shimadzu LC−10 Advpポンプ(Shimadzu Corporation, Kyoto, Japan)によって運ばれる70μl/分移動相の一定の流速で8μlの各試料抽出物を注入し、注入サイクルの間にSRMをモニタリングした。1.5分の試料から試料へのサイクル時間で試料注入を行ったが、より早い流速が用いられる場合には、その間隔をかなり短縮させることができる。
【0057】
全体に亘り、−4.9kVのニードル電圧、−25eVの衝突エネルギー、2(製造元単位)に設定した窒素衝突ガス、および各SRMに関して滞留時間500msを用いて、陰イオンモードで装置を操作した。
【0058】
データ加工
Macintosh Power PCプラットフォームにおいて動くNeochromソフトウェア、バージョン1.0(PE−Sciex)を用いて生データファイルからイオン強度を抽出した。Windows(登録商標)用のMicrosoft Excelバージョン5.0cを用いて、気付く部分を除いて、標準化のために259.02/78.96イオン遷移から得られた信号を用いて、直線回帰によって標準曲線を作った。標準曲線を表す方程式を用いて、分析試料中のHMPの含有量を計算した。遷移259.02/96.97に対する遷移259.02/78.96のイオン存在量比(IAR)を各試料について計算した。
【0059】
統計方法
SPSSバージョン9.0ソフトウェアを統計解析に用いた。Mann−Whitney Uテストを用いて群間の変数を比較した。スピアマンの順位相関テストを用いて相関性を調べた。一元配置の分散分析(One−way ANOVA)を用いて、測定内および測定間の変動計数(CV)を特定した。直線回帰分析を用いて、校正曲線に関して推定値の信頼区間および標準偏差を特定した。全てのテストは両側検定であり、帰無仮説に関してp<0.05である場合に統計的に有意であると考えられた。
【0060】
分析精度
対照資料(0.5mmol/l Gal−1−P濃度標準)を8つの別個の測定において57回定量し、one−way ANOVAによってCVを特定した。
【0061】
遺伝子型解析
DBSS残留物から抽出されたポリメラーゼ連鎖反応−増幅DNAの制限分析によって、極端なHMP濃度およびIARを有する参照群からの試料のGALT遺伝子型を特定した。
【0062】
結果
ヘキソースモノリン酸のフラグメント化パターン
タンデム質量分析は、以前の所見(15)と一致して、脱プロトン化HMP(259.02 Da/e)が、138.98 Da/e、96.97 Da/e、および78.96 Da/eの3つの優勢なフラグメントに解離することを示した。フラグメントの予想構造は、それぞれ[(CO)HPO、[HPO、および[POである。HMPの構造に依存して、フラグメント78.96 Da/eおよび96.97 Da/eの相対的存在量に顕著な差がある(図1)。1−置換アルドース−モノリン酸(グルコース−1−リン酸およびGal−1−P)に関して78.96 Da/eフラグメントの信号が優勢である(図1、パネルAおよびB)が、ケトースモノリン酸のフルコース−1−リン酸に関しては96.97 Da/eフラグメントが優勢であった(図1、パネルC)。6−置換アルドースモノリン酸のグルコース−6−リン酸に関しても96.97 Da/eフラグメントが優勢であった(データは示されていない)。それら結果は、リン酸基が環構造の一部である炭素原子に結合している場合にm/z78.96 プロダクトイオン[POが優勢であり、リン酸基が環構造の一部ではない側鎖炭素原子に結合している場合にm/z96.97プロダクトイオン[HPOが優勢であることを示唆する。
【0063】
ガラクトース−1−リン酸の抽出
最適な抽出溶媒は、指示された濃度範囲に亘りメタノール:水混合物およびメタノール:アセトニトリル混合物で抽出した試料からの最適信号よりもそれぞれ3倍および9倍高いイオン強度をもたらす30−70%アセトニトリル/水(v/v)であることが特定された(データは示していない)。従って、アセトニトリル:水(1:1)(v/v)を全ての適用において抽出のために用いた。
【0064】
外部標準化
3つの優勢HMPフラグメントを添加Gal−1−Pの濃度に対してプロットした(図2)。全ての実験において、0から8mmol/lまでの添加Gal−1−Pの範囲内において、3つ全てのフラグメントが直線標準曲線を作成した(r=0.994から1.000)。96.97 Da/eフラグメントから誘導された標準曲線は、添加Gal−1−Pの低濃度範囲(<0.0625mmol/l)において高いイオン強度の傾向を示した。さらには、新生児スクリーニング試料中の計算HMP濃度は、78.96 Da/eまたは138.98 Da/eフラグメントが標準化に用いられた場合よりも、96.97 Da/eフラグメントが標準化に用いられた場合に、平均で0.1mmol/l高かった。この差は、低い(<0.0625mmol/l)HMP濃度範囲において排除された。計算HMP濃度における差は、アルドースモノリン酸に対するケトースモノリン酸の比が高いこと、または、外部濃度標準を作成するのに用いられる成人血液に比べて新生児スクリーニング試料中の干渉化合物のレベルが高いことによるものであろう。78.96 Da/eまたは138.98 Da/eフラグメントを用いた標準化によって特定されたHMP濃度の間に有意差は無かった。Gal−1−Pを混入した新鮮に採取したEDTA−血液の4℃または室温での1晩のインキュベートは、Gal−1−Pは細胞外コンパートメントに加えられかつ細胞内に存在するGALTに曝されないため、予想されたような信号の低下の証拠を全く示さなかった。全てのカテゴリーの試料に関して、78.96 Da/eフラグメントのイオン存在量は、138.98 Da/eフラグメントの存在量よりも平均で7−9倍高かったが、96.97 Da/eフラグメントに対する78.98 Da/eフラグメントのIARは疾患の状態によって変化し、ガラクトース血症患者において最も高かった(図3)。78.96 Da/eフラグメントのイオン強度はGal−1−Pフラグメント化パターンに関連しかつ過剰なGal−1−Pを含有する試料(Gal−1−Pを混入した濃度標準およびガラクトース血症試料)において最も高い信号強度をもたらすことから、Gal−1−Pの定量のために78.96 Da/eフラグメントのイオン強度を用いることが決定された。
【0065】
分析精度
0.54mmol/lの平均HMP濃度での測定内および測定間CVがそれぞれ11%および13%であることを特定した。LARに関して、1.44ユニットでの測定内および測定間CVはそれぞれ1.5%および4.1%であった。従って、測定内および測定間CVの二乗累積(quadratic summation)によって誘導された全分析精度は、17%(HMP濃度)および4.4%(LAR)であった。
【0066】
ヘキソースモノリン酸の安定性
様々な期間−20℃で保存されたDBSSの分析は、僅かではあるが統計的に有意なHMPの状態の変化を示した。HMP含有量の中間値は、10.6年の経過の間に0.15から0.12mmol/lまで低下した(P=0.001)が、一方、IARは0.80から0.84まで上昇した(P=0.01)。いずれの関連性についても適当なカーブフィッティングモデルは明らかでなく、その変化は、記録文書の患者試料の分析から得られた結果の修正を要請するにはあまりに僅かであると考えられた。
【0067】
参照群
2055の参照試料におけるHMPの中間濃度は0.15mmol/l(−0.08−0.94mmol/l)であった(図3)。96.97 Da/eフラグメントに対する78.96 Da/eフラグメントのIARの中間値は0.80(0.32−1.41)であった。HMP濃度およびIARのいずれも、血液採取時の生後年齢または出生時体重(≧2500g)に相関しなかった。しかしながら、低出産体重児(<2500g)(n=114)に関して、HMP濃度およびIARの両方が、出生時体重と正に相関した(それぞれP<0.01およびp<0.05)。1.44mmol/lの極端なHMP濃度および1.57のIARを有する1つの試料が、DNA突然変異解析によって、GALT酵素におけるデュアルテ(Duarte)(N314D)およびQ188R突然変異に関する化合物へテロ接合体性であることが示され、参照群から除かれた。
【0068】
ガラクトース血症患者
患者試料の特徴を表1に示す。HMP濃度は2.6から5.2mmol/lまでの範囲に亘り、IARは1.69−1.76の範囲であった。血液採取時の生後年齢とHMP濃度との間に弱い相関性があった(P<0.05)が、表1に挙げられたパラメーターとの間で他の相関性は無かった。
【0069】
糖質−注入新生児
集中治療新生児は、191(12−312)ml/24時間の中間速度で5%グルコース(w/v)および5%フルクトース(w/v)溶液の注入を受けた。参照群と比較して、糖質負荷群(n=10)は、僅かではあるが、有意に抑制されたレベルのHMPおよびIARを有していた(中間値はそれぞれ0.062mmol/lおよび0.42であり、比較において共にp<0.001であった)。しかしながら、96.97 Da/eフラグメントが標準化に用いられた場合、HMP濃度に差は全く無かった。糖質注入の速度は、IARと負に相関した(p<0.001)が、HMP濃度とは相関しなかった。
【0070】
診断精度
図3は、HMP濃度およびIARに関して、化合物へテロ接合体群および参照群と患者群とを比較する。新生児スクリーニングに関して、HMP濃度について0.95−2.5mmol/lの範囲のカットオフおよびIARについて1.42−1.68の範囲のカットオフを用いることによって、100%の感度および特異性をもたらした。Q188R/N314D化合物へテロ接合体の検出が望ましい場合には、HMPについて0.95−1.43mmol/lの範囲のカットオフおよびIARについて1.42−1.56の範囲のカットオフを用いることによって100%の感度および特異性を得ることができる。後者のカットオフの範囲は、共に、全分析精度に基づいて、対応するテストの2標準偏差に等しい。
【0071】
同じ乾燥血液スポットを用いたアミノ酸、アシルカルニチン、およびHMPに関するスクリーニング
本発明は、同じ乾燥血液スポットの2つの連続抽出を首尾よく行った。第1の抽出は、Rashed et al.(10)に記載されているように、アミノ酸およびアシルカルニチンの内部標準を含むメタノールを用いて実施した。タンデム質量分析によってアミノ酸およびアシルカルニチン値を測定し、コンピューターアルゴリズムによって計算した(表1を参照)。残りの血液スポットを窒素流によって乾燥させ、HMPに関してこの中に記載されている第2の抽出法を直接実施した。この第2の親水性抽出は、新鮮な血液スポットにおいて抽出が実施された場合と同じ結果をもたらすことが証明されている。
【0072】
本発明は、ガラクトース血症の新生児スクリーニングに適用可能な新規な検査を開発した。その検査の本質は、タンデムMSによるGal−1−Pを示唆するHMPまたはHMPフラグメントイオンの定量分析である。本発明の方法を適応させて(すなわち、各疾患を示唆するHMPイオンを検出および定量することによって)、他のHMP関連疾患をスクリーニングすることができる。最適の結果を得るためには、本発明のガラクトース血症スクリーニング方法に基づいて被験者がGal−1−Pの代謝に問題を有するか否かを特定するため、スクリーニング前に被験者はガラクトースを含む食事に曝されなければならない。従って、ガラクトースを含まない非経口的栄養法、または有効な授乳の前のサンプリングは、偽陰性のスクリーニング結果をもたらす可能性があり、Gal−1−Pの血液含有量を減らす輸血および他の対策も同様である。しかしながら、そのような制限は、Gal−1−Pおよびガラクトースの他の測定法でも存在する。本測定法は酵素不活化の問題に影響を受けない。
【0073】
78.96 Da/eフラグメントを用いる外部標準化によって計算されたHMPの濃度は、Gal−1−P濃度(図2)およびガラクトース血症(図3)と相関した。2055の参照試料群と12の患者試料群との間にHMP濃度の重複は全くなく、100%の診断感度および特異性をもたらした。糖質注入は、新生児集中治療患者において、HMPまたはIARの上昇を生じさせなかった。最初の参照群からの試料は、1.44mmol/lの上昇したHMP濃度を有しており、明らかに参照群および患者群の両方から分離可能である。遺伝子型の特定は、完全なGALT不活化突然変異(Q188R)および部分分断デュアルテ(Duarte)突然変異(N314D)に関する化合物へテロ接合体を示した。その遺伝子型を有する被験者は正常GALT活性の僅か5%しか持たず、生まれた年に食事療法を受けるように薦められる(12)。従って、新生児スクリーニングに関して1.2mmol/l HMPのカットオフ値が主張された。そのカットオフ値は、100%の感度および特異性でガラクトース血症患者を検出し、おそらく、治療が求められるほとんどの化合物へテロ接合体を含むであろう。
【0074】
さらには、78.96 Da/eと96.97 Da/eとの間のIARは、参照群と、化合物へテロ接合体群と、患者群との間を明らかに区別することができた(後者の群において顕著な上昇が認められた)。図3において、参照群はIARの大きな変動を有するが、ガラクトース血症群はしっかりと集団化したIAR値(純水なGal−1−PのIARに近い)を有することが明らかである。可能性のある説明は、低いHMP濃度を有する参照群において、干渉HMPがIARの可変性に寄与するという説明である。ガラクトース血症試料において、Gal−1−Pフラグメントパターンは定量的理由のため優位であり、IARは純水なGal−1−Pの値に近づくことが予測されるであろう。IARにおいて両方のイオン強度が同程度影響を受けるため、IARの使用は外部濃度標準を使用することなくスクリーニングを可能にし、それによって試料調製およびデータプロセッシングが簡素化され、試料の不均質性によって生じる信号の変動が排除される。化合物ヘテロ接合体および患者を100%の感度および特異性で検出すると考えられる1.5のカットオフ値が提案される。しかしながら、IARの最適値は、タンデムMS装置の構成に依存して、スクリーニング実験室の間で異なるであろう。
【0075】
本研究におけるガラクトース血症試料は、臨床的に発見されかつ平均18(6−36)日の年齢で診断された患者に由来するものである(表1)。試料採取の時から丸2日間の報告までの期間を想定して、新生児スクリーニングは平均13日まで、10/12の患者において診断時間を早めることができた。
【0076】
本発明の方法は、Gal−1−Pではなく全HMP含有量を定量するため、ヘキソースリン酸の代謝に問題のある他の疾患の診断およびモニタリングにおいて本方法を用いることができる。他のHMPに加えて、検出可能な分析物として、多リン酸化ヘキソースが挙げられる。例えば、質量分析においてポストソース分解によってそれら2リン酸ヘキソースがHMPを生じさせる場合、2リン酸ヘキソースは干渉するであろう。試料は、前述したように、例えば尿または組織ホモジネートのような、血液以外の媒体を含んでいて差し支えない。そのような検討材料に関連する疾患として、遺伝性果糖不耐性(OMIM 229600)、果糖尿症(肝フルクトキナーゼ欠損)(OMIM 229800)、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ欠損(OMIM 229700)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損(OMIM 305900)、UDP−ガラクトース−4−プライム−エピメラーゼ(EC5.1.3.2)欠損、および糖尿病が挙げられる。
【0077】
好ましい実施形態において、本発明はガラクトース血症をスクリーニングする新規な方法を提供する。本方法は新生児スクリーニングサービスによるルーチンでの使用のために採取された試料の微量を用いる。試料調製は簡単である。一般的試薬のみが必要とされる。本方法は、安定な分析物、Gal−1−Pを定量する。分析および解釈は完全に自動化されており、診断精度は卓越しているように思われる。増加する数の診断設備は、例えばアミノ酸、有機酸、および脂肪酸(10、6)の代謝における疾患をスクリーニングするためのタンデムMSを有するため、ガラクトース血症をスクリーニングするためにもタンデムMSを用いることは経済的であろう。
【0078】
さらに、本発明は、同じ乾燥血液スポットの2つの異なる抽出物を首尾よく作成する。その抽出物を用いて、2つの異なる成分を定量的に分析した。第1の抽出はアミノ酸およびアシルカルチニンに関して行われ、それを定量的に分析し、さらに例えばフェニルケトン尿症のような関連疾患をスクリーニングするのに用いることができる。上記のように第2の抽出法はHMPに関するものである。その第2の親水性抽出は、新鮮な血液スポットにおいて抽出が実施された場合と同じ結果をもたらすことが証明されている。
【0079】
本発明の方法は、試料当り1.5分(溶媒輸送システムの流速を高めることによって短縮できる)のように迅速であり、タンデム質量分析計を用いる通常のルーチン検査に加えるのに経済的でかつ容易である。
【0080】
本発明は、現在好ましい実施例であると考えられているものを参照して記載されているが、その開示された実施例に本発明は限定されないことを理解すべきである。それとは逆に、本発明は、添付請求項の精神および範囲内に含まれる様々な変更および等価な構成を対象にすることが意図されている。全ての文献、特許、および特許出願は、各文献、特許または特許出願のそれぞれが特異的かつ個別的にその全体が参照によって組み込まれることが示唆されているのと同様に、その全体が参照によってこの中に組み込まれる。
【0081】
【表1】
Figure 2004505277
【表2】
Figure 2004505277

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、グルコース−1−リン酸(パネル1A)、ガラクトース−1−リン酸(パネル1B)、およびフルクトース−1−リン酸(パネル1C)の3つの優勢なフラグメントイオンを示す
【図2】
図2は、0から8mmol/lまでのGal−1−Pの添加濃度範囲の9つの異なる標準血液スポットの3重測定からの標準曲線である
【図3】
図3は、ガラクトース血症の患者、GALT活性が低下したQ188R/N314D化合物ヘテロ接合体性の個体、および対照群からの試料中のヘキソースモノリン酸濃度とイオン存在量比(IAR)とを比較するスキャッチャープロットである
【図4】
図4は、タンデム質量分析計に注入されたHMP試料を測定することによって得られたイオン強度を表す全イオン電流クロマトグラム(TIC)である
【図5】
図5は、図4における斜線の時間枠において測定された3つのフラグメントイオンの各々の平均イオン強度のヒストグラムプロットを示す
【図6】
図6は、本発明の1つの実施形態におけるタンデム質量分析計の機器設定を示す3ページプリントアウトである

Claims (48)

  1. 生物試料中のヘキソースモノリン酸を検出および定量分析する方法において:
    (a)イオン化に適した形態の生物試料抽出物を得る;
    (b)前記抽出物をイオン化してガス相イオン流を形成する;
    (c)ヘキソースモノリン酸の質量電荷比を有するプレカーサ分子イオンを選択する;
    (d)前記プレカーサ分子イオンをフラグメント化してヘキソースモノリン酸のプロダクトイオンを得る;
    (e)質量電荷比によって他のプロダクトイオンから関心プロダクトイオンを選択する;
    (f)前記関心プロダクトイオンを検出し、そのイオン強度を得る;
    (g)前記プロダクトイオンのイオン強度を用いて、
    (i)前記生物試料中のヘキソースモノリン酸の定量的存在量をスペクトル分析によって特定する;および/または
    (ii)対照試料または既知濃度のヘキソースモノリン酸および/または特定種類のヘキソースモノリン酸を含む試料のイオン強度と比較することによって、前記生物試料中のヘキソースモノリン酸または特定種類のヘキソースモノリン酸の濃度を特定する;および/または
    (iii)前記生物試料中に存在する特定種類のヘキソースモノリン酸の相対量を示唆するイオン存在量比(IAR)を特定する;
    各工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記工程(a)において、分析すべき生物試料を得て、該生物試料を乾燥させ、さらに該試料からヘキソースモノリン酸を抽出するのに適した溶媒で前記乾燥試料を抽出することによって、イオン化に適した生物試料のヘキソースモノリン酸抽出物を得ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記生物試料を適切な媒体上にブロットし、その後乾燥することを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 前記適切な媒体が濾紙であることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 前記ヘキソースモノリン酸を抽出するのに適した溶媒が、メタノールより高親水性の溶媒であることを特徴とする請求項2記載の方法。
  6. 前記溶媒が、アセトニトリル/水、酢酸エチル/水、テトラヒドロフラン/水、メタノール/水、およびイソプロテレノール/水、ならびにそれらと同様の特性を有する溶媒よりなる群から選択されることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記溶媒が、30:70から70:30(v/v)までのアセトニトリル/水であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記溶媒が、1:1(v/v)のアセトニトリル/水であることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記生物試料が、全血、分画血液成分、組織、尿、便、胆汁、唾液、汗、およびその他の腺分泌物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 前記生物試料が全血試料であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 前記血液試料を適切な媒体上にブロットし、乾燥し、その後ヘキソースモノリン酸の抽出に適した溶媒を用いて抽出することを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記適切な媒体が濾紙であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 前記工程(b)から(c)までがタンデム質量分析計において行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  14. イオン強度が陰イオンモードで記録されることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記工程(b)が、エレクトロスプレーまたは空圧補助エレクトロスプレーイオン化によってイオン流を形成することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  16. 前記ヘキソースモノリン酸のプレカーサ分子イオンの質量電荷比が259.02 Da/eであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  17. 前記関心プロダクトイオンが、[PO、[HPO、および[(CO)HPOであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  18. 前記関心プロダクトイオンの質量電荷比が、[POに関して78.96 Da/e、[HPOに関して96.97 Da/e、[(CO)HPOに関して138.98 Da/eであることを特徴とする請求項17記載の方法。
  19. [POプロダクトイオンがアルドヘキソース−1−モノリン酸の最良の指標となり、かつ[HPOプロダクトイオンがアルドヘキソース−6−モノリン酸あるいはケトヘキソース−1−モノリン酸またはケトヘキソース−6−モノリン酸の何れかの最良の指標となることを特徴とする請求項18記載の方法。
  20. Gal−1−Pがアルドヘキソース−1−モノリン酸であり、かつ生物試料中の[POフラグメントのイオン強度を既知濃度のGal−1−Pを含む対照試料のイオン強度と比較することによって、[POフラグメントを用いて生物試料中のGal−1−Pの濃度の指標となるアルドヘキソース−1−モノリン酸の濃度を特定することを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 質量電荷比が78.96 Da/eから96.97 Da/eまでのプロダクトイオンのイオン存在量比を、生物試料中のGal−1−P濃度の指標として用いることを特徴とする請求項18記載の方法。
  22. それぞれ請求項20または21記載の方法を用いて編成された、正常およびガラクトース血症の患者のGal−1−P濃度および/またはIARレベルのデータベース。
  23. ガラクトース血症の指標となるヘキソースモノリン酸濃度およびIARレベルのカットオフレベルを特定するための請求項22記載のデータベース。
  24. 請求項20または21記載の方法によって特定された試験患者の生物試料中のヘキソースモノリン酸濃度および/またはIARレベルを、ガラクトース血症の指標となるカットオフレベルの値と比較することによって、ガラクトース血症をスクリーニングおよび/または診断する方法。
  25. ヘキソースモノリン酸のカットオフレベルが0.95−2.6mmol/lヘキソースモノリン酸濃度および/または1.41−1.68 IARであり、カットオフ値を越えるレベルがガラクトース血症の指標となることを特徴とする請求項24記載の方法。
  26. カットオフレベルが1.2mmol/lヘキソースモノリン酸濃度および/または1.5 IARであることを特徴とする請求項25記載の方法。
  27. 前記生物試料が、ヘキソースモノリン酸を抽出するのに適した溶媒で抽出された全血試料であることを特徴とする請求項24記載の方法。
  28. 前記溶媒が、30:70から70:30(v/v)までのアセトニトリル/水であることを特徴とする請求項27記載の方法。
  29. 請求項1記載の方法を用いて開発された、正常個体およびヘキソースモノリン酸関連疾患を有する個体のヘキソースモノリン酸濃度および/またはIARレベルのデータベース。
  30. ヘキソースモノリン酸関連疾患の指標となるカットオフレベルを特定するための請求項29記載のデータベースの使用。
  31. 請求項1記載の方法を用いて患者におけるヘキソースモノリン酸レベル特定し、さらに、疾患の指標となるヘキソースモノリン酸のカットオフレベルと前記患者のヘキソースモノリン酸レベルとを比較することによって、個体におけるヘキソースモノリン酸関連疾患を診断する方法。
  32. 前記ヘキソースモノリン酸関連疾患が、ガラクトース血症(OMIM 230400)、遺伝性果糖不耐性(OMIM 229600)、果糖尿症(肝フルクトキナーゼ欠損)(OMIM 229800)、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ欠損(OMIM 229700)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損(OMIM 305900)、UDP−ガラクトース−4−プライム−エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)欠損、および糖尿病よりなる群から選択されることを特徴とする請求項31記載の方法。
  33. ヘキソースモノリン酸を抽出するのに適した溶媒で生物試料を抽出する前に、適切な溶媒を用いて乾燥生物試料からアミノ酸およびアシルカルニチンを抽出し、最初の抽出物を形成してそれを定量分析のために除去し、さらに残りの生物試料を再乾燥させることを特徴とする請求項3記載の方法。
  34. 前記生物試料が全血であることを特徴とする請求項33記載の方法。
  35. 前記適切な溶媒がメタノールであることを特徴とする請求項33記載の方法。
  36. アミノ酸、有機酸、および脂肪酸の代謝障害、ならびにヘキソースモノリン酸の代謝障害の両方をスクリーニングするための方法であることを特徴とする請求項33記載の方法。
  37. フェニルケトン尿症およびガラクトース血症の両方をスクリーニングするための方法であることを特徴とする請求項36記載の方法。
  38. 前記関心プロダクトイオンが[POであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  39. [POのイオン強度を用いて、生物試料中のアルドヘキソース−1−モノリン酸の濃度またはレベルを特定することを特徴とする請求項38記載の方法。
  40. アルドヘキソース−1−モノリン酸の濃度またはレベルを、疾患の指標となるアルドヘキソース−1−モノリン酸のカットオフ濃度またはレベルと比較することを特徴とする、アルドヘキソース−1−モノリン酸関連疾患を診断するための請求項39記載の方法。
  41. 前記疾患がガラクトース血症であることを特徴とする請求項40記載の方法。
  42. 前記関心プロダクトイオンが、[HPOであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  43. [HPOのイオン強度を用いて、生物試料中のアルドヘキソース−6−モノリン酸および/またはケトヘキソース−1−モノリン酸および/またはケトヘキソース−6−モノリン酸の濃度またはレベルを特定することを特徴とする請求項42記載の方法。
  44. ヘキソースモノリン酸レベルおよび対応するヘキソースモノリン酸関連疾患の状態のデータベースを作成する方法において:
    (a)請求項1記載の方法に従って個体のヘキソースモノリン酸レベルを特定する;
    (b)前記個体のヘキソースモノリン酸関連疾患の状態を特定する;
    (c)前記工程(a)および(b)からの情報を用いてデータベースを作成する;
    (d)必要に応じて、他の個体からの生物試料を用いて前記工程(a)および(b)を繰り返す;
    (e)前記工程(d)からの情報を前記データベースに入力する;
    各工程を含んでなる方法。
  45. ヘキソースモノリン酸関連疾患を有する個体と有さない個体とのヘキソースモノリン酸レベルを比較することを含んで成る、ヘキソースモノリン酸関連疾患の指標となるヘキソースモノリン酸カットオフレベルを特定するための請求項44記載の方法によって作成されたデータベースの使用。
  46. 請求項1記載の方法に従ってヘキソースモノリン酸レベルを特定し、該ヘキソースモノリン酸レベルを、データベースのヘキソースモノリン酸レベルおよび対応するヘキソースモノリン酸関連疾患の状態と比較し、前記特定されたヘキソースモノリン酸レベルがヘキソースモノリン酸関連疾患を示唆するか否かを特定することを含んで成る、ヘキソースモノリン酸関連疾患の診断における請求項44記載の方法によって作成されたデータベースの使用。
  47. ヘキソースモノリン酸関連疾患診断ビジネスを実施する方法において:
    ヘキソースモノリン酸関連疾患の診断および/またはスクリーニングおよび/またはヘキソースモノリン酸レベルのデータベースの開発において用いることができる、請求項1記載の方法に従って生物試料からヘキソースモノリン酸レベルを特定する方法を提供する;
    ヘキソースモノリン酸関連疾患の診断に用いることができるヘキソースモノリン酸レベルを特定する方法に対する権利を第三者にライセンス付与または売却する;
    各工程を含むことを特徴とする方法。
  48. ヘキソースモノリン酸関連疾患診断ビジネスを実施する方法において:
    第三者によって提供された生物試料のヘキソースモノリン酸レベルを請求項1記載の方法に従って特定する;
    前記ヘキソースモノリン酸レベルがヘキソースモノリン酸関連疾患を示唆するか否かを特定する;
    手数料を徴収してその結果を第三者に提供する:
    各工程を含むことを特徴とする方法。
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