JP6904561B2 - 乾燥血液試料保存基材 - Google Patents

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Description

本発明は、血液試料を乾燥状態で保存する乾燥血液試料保存基材に関する。
乾燥血液試料保存基材は紙製カード状の基材であり、検体から採取した血液が滴下され、室温で2〜3時間放置されて乾燥後、パンチで血液スポットがくり抜かれ、くり抜いたディスクがチューブ等に取りこまれて血液検査に使用される(非特許文献1)。
乾燥血液試料保存基材を使用した血液検査では、採血量が比較的低量であり、また全血から薬物を抽出することにより、血しょう分離のための遠心分離が不要である等の利点がある。更には室温保存により、ドライアイスや冷凍庫が不要となり、また遠隔施設から容易に輸送できるという利点もある。
乾燥血液試料保存基材には、滴下された血液スポットの中心部をパンチでくり抜く部分パンチ分析法がある(非特許文献2)。しかしながらこの手法では血液のヘマトクリック値により、パンチでくり抜いた部分の血液成分が変動する虞がある。
また、定量の血液試料をスポットして、滴下された血液スポットの全体をパンチでくり抜くパンチ分析法がある(非特許文献2)。更には予めカットしたディスクに定量の血液試料をスポットするプリカット分析法がある(非特許文献3)。しかしながらこれらの手法では、定量の血液試料をマイクロピペット等により滴下する必要があり、熟練度や労力を有する。
また、濾紙小片に血液を吸収後に乾燥させて採取する定量吸収ミクロサンプル法がある(非特許文献4)。この手法はヘマトクリック値に影響を受けず、しかも血液に濾紙小片を浸すだけで一定量の血液試料が得られる。しかしながらこの手法は器具が複雑である。
A.J. Wilhelm, J.C.G. den Burger, E.L. Swart, Therapeutic drug monitoring by dried blood spot: progress to date and future directions,Clin. Pharmacokinet. 53 (2014) 961-973. P.M. De Kesel, S. Capiau, W.E. Lambert, C.P. Stove, Current strategies for coping with the hematocrit problem in dried blood spot analysis, Bioanalysis. 6 (2014) 1871-1874. N. Youhnovski, A.Bergeron, M.Furtado, F.Garofolo, Pre-cut dried blood spot (PCDBS): an alternative to dried blood spot (DBS) technique to overcome hematocrit impact, Rapid Commun Mass Spectrom. 25 (2011) 2951-2958. Spooner N1, Denniff P, Michielsen L, De Vries R, Ji QC, Arnold ME, Woods K, Woolf EJ, Xu Y, Boutet V, Zane P, Kushon S, Rudge JB.A device for dried blood microsampling in quantitative bioanalysis: overcoming the issues associated blood hematocrit.Bioanalysis. 7 (2015) 653-659.
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ヘマトクリック値に影響を受けずに血液試料を適切に保存でき、しかも簡易な構造で熟練度や労力を要しない乾燥血液試料保存基材を提供することを目的とする。
本発明にかかる乾燥血液試料保存基材は、血液試料を乾燥状態で保存する乾燥血液試料保存基材であって、セルロース濾紙製の母材板と、粘着テープと、滴下された血液試料を乾燥状態で保持するセルロース濾紙製の血液保持ディスクと、を有し、前記血液保持ディスクは前記母材板と離隔されて前記粘着テープにより前記母材板に貼り付けられている、ことを特徴とする。
本発明によれば、ヘマトクリック値に影響を受けずに血液試料を適切に保存でき、しかも血液試料を保存する際に熟練度や労力を要しない。
第1の実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材を説明する図であり、そのうち(A)は平面図であり、(B)は断面図である。 第2の実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材を説明する図であり、そのうち(A)は平面図であり、(B)は断面図である。 実施例1にかかる乾燥血液試料保存基材を説明する図であり、そのうち(A)は作製した乾燥血液試料保存基材の写真図であり、(B)は血液試料が滴下された状態の写真図であり、(C)は分析に供される血液保持ディスクの写真図である。 実施例2にかかる乾燥血液試料保存基材を説明する図であり、そのうち(A)は作製した乾燥血液試料保存基材の写真図であり、(B)は血液試料が滴下された状態の写真図であり、(C)は分析に供される血液保持ディスクの写真図である。 定量吸収型乾燥血液ディスク(Volumetric Absorptive Paper Disc:VAPD)と定量吸収型乾燥血液ミニディスク(Volumetric Absorptive Paper Disc mini: VAPD mini)とにおいて、血中濃度分析結果を比較する図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
(1)第1実施形態
本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材900は図1に示され、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
乾燥血液試料保存基材900は、母材板100と、粘着テープ200と、血液保持ディスク300と、を有する。
母材板100はセルロース濾紙で形成されており、複数の開口部が設けられている。母材板100の寸法は特に限定されるものではないが、例えば縦65mm〜85mm、横95mm〜115mm、厚さ0.87mm〜1.07mmであり、好ましくは縦75mm、横105mm、厚さ0.97mmである。開口部の形状は例えば直径6.5mm〜7.5mmの円形であり、好ましくは直径7.0mmの円形である。なお、開口部の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形等とすることも可能である。
セルロース濾紙は厚さが厚く、濾過速度の速い濾紙を使用することが好ましい。セルロース濾紙は、α-セルロース99%以上のセルロース繊維を原料とすることが好ましい。セルロース濾紙は、例えば、アドバンテック社のペーパークロマトグラフィー用濾紙を採用することができ、例えば質量285g/m3、濾水時間20秒(JIS P 3801により、ヘルツベルヒ濾過速度試験器を使用し、10cm2の濾紙面において、20℃、100mLの蒸留水を0.98Paの圧力にて濾過する時間である。)、灰分0.1%、湿潤破裂強さ10kPaの濾紙を使用できる。
また、セルロース濾紙の吸水度は、20℃で例えば17cm/10分〜19cm/10分であるが、好ましくは18cm/10分である。セルロース濾紙の吸水量は、例えば5分で960〜1000(ml/m2)であり、好ましくは989ml/m2である。直径5.5mmの円形の血液保持ディスク300の場合、吸水量は5分で22.5〜24.5μlであり、好ましくは23.5μlである。
母材板100の各々の開口部の一方側には、開口端を閉塞するように粘着テープ200が貼り付けられている。粘着テープの形状は特に限定されるものではないが、例えば円形である。粘着テープは特に限定されるものではないが、例えばセロハンテープ、ガムテープ等であり、好ましくはセロハンテープである。粘着テープは、例えば3Mジャパン社のスコッチテープを使用することができ、品番としては例えばNo.811を使用できる。
粘着テープ200の粘着面には、母材板100の開口部の内周面から間隔をあけて開口部内の略中央に配置されるように血液保持ディスク300が貼り付けられている。血液保持ディスク300は、例えば母材板100と同様のセルロース濾紙製であり、滴下された血液試料を乾燥状態で保持する。滴下される血液試料は特に限定されるものではなく、例えば静脈血や抹消血である。なお血液保持ディスク300を定量吸収型乾燥血液ディスク(Volumetric Absorptive Paper Disc:VAPD)と称することも可能である。
血液保持ディスク300の形状は特に限定されるものではないが、例えば直径5.0mm〜6.0mmの円形であり、好ましくは直径5.5mmの円形である。なお、血液保持ディスク300の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形等とすることも可能である。血液保持ディスク300の厚さは例えば0.87mm〜1.07mmであり、好ましくは0.97mmである。
母材板100の開口部の内周面と血液保持ディスク300の外周面との間の距離は、特に限定されるものではないが例えば0.73mm〜0.77mmであり、好ましくは0.75mmである。
母材板100は、その上面及び下面にクラフト紙からなる補強板400が貼り付けられて挟持されている。補強板400は母材板100の開口部を露出するようにクラフト開口部を有する。クラフト開口部の形状は特に限定されるものではないが、例えば直径14mm〜16mmの円形であり、好ましくは直径15mmの円形である。なお、クラフト開口部の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形等とすることも可能である。
次に本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材900の使用形態を説明する。
血液試料をスポイトで血液保持ディスク300上に例えば1乃至3ドロップを滴下する。スポイトで滴下する血液試料の合計のドロップ体積は、特に限定されるものではないが例えば25〜75μlである。滴下された血液試料は血液保持ディスク300に吸収されて保持される。この時、余分の血液試料は、血液保持ディスク300の外周面と母材板100の開口部の内周面との間の間隙を通り超えて、血液保持ディスク300の周りの母材板100に吸収される。また、血液保持ディスク300の外周面と母材板100の開口部の内周面との間の間隙があるから、仮に血液試料が低ヘマトクリック値であっても過剰に血液保持ディスク300の周りの母材板100に吸収されにくい。
このように本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材900では、血液試料をスポイトで血液保持ディスク300上に1乃至3ドロップを滴下するだけで、血液試料のヘマトクリック値に影響されること無く、一定量の血液が血液保持ディスク300に保持される。
余分の血液試料が吸収された母材板100と血液試料がドロップされた血液保持ディスク300は、例えば室温にて乾燥されて、乾燥状態で保存、輸送される。血液試料の分析時には、血液保持ディスク300を粘着テープ200から剥がして使用される。
(2)第2実施形態
本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材910は図2に示され、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
乾燥血液試料保存基材910は、母材板110と、粘着テープ210と、血液保持ディスク310と、を有する。
母材板110は第1実施形態と同様にセルロース濾紙で形成されている。母材板110の寸法は特に限定されるものではないが、例えば第1実施形態と同様である。
血液保持ディスク310は、例えば母材板110と同様のセルロース濾紙製であり、滴下された血液試料を乾燥状態で保持する。血液保持ディスク310の形状は特に限定されるものではないが、例えば直径2.5mm〜3.5mmの円形であり、好ましくは直径3.0mmの円形である。直径3.0mmの円形の血液保持ディスク310の場合、セルロース濾紙の吸水量は5分で6.68〜7.28μlであり、好ましくは7.0μlである。
本実施形態の血液保持ディスク310は上述の第1実施形態と比較して直径が小さいため、定量吸収型乾燥血液ミニディスク(Volumetric Absorptive Paper Disc mini: VAPD mini)と称することも可能である。本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材では、上述の第1実施形態と比較して小型の血液保持ディスクに少量の血液試料を滴下して血液試料を保持するのに好適である。滴下される血液試料は特に限定されるものではないが、例えば静脈血のみならず抹消血等の少量の血液試料に好適である。
血液保持ディスク310の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形等とすることも可能である。血液保持ディスク310の厚さは例えば0.87mm〜1.07mmであり、好ましくは0.97mmである。
粘着テープ210は、両方の面に粘着面を有する両面テープである。血液保持ディスク310は、粘着テープ210を介して、母材板110に貼り付けられている。
粘着テープ210の形状は特に限定されるものではないが、血液保持ディスク310の形状と平面視にて同一であることが好ましい。粘着テープ210は、例えばニチバン社のリムカを使用することができ、品番としては例えばNW-R15を使用できる。
母材板110は、第1実施形態と同様に、その上面及び下面にクラフト紙からなる補強板410が貼り付けられて挟持されている。補強板410は、母材板110に貼り付けられた血液保持ディスク310を露出するようにクラフト開口部を有する。クラフト開口部の形状は特に限定されるものではないが、例えば直径14mm〜16mmの円形であり、好ましくは直径15mmの円形である。なお、クラフト開口部の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形等とすることも可能である。
次に本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材910の使用形態を説明する。
血液試料をスポイトで血液保持ディスク310上に例えば1又は2ドロップを滴下する。スポイトで滴下する血液試料の合計のドロップ体積は、特に限定されるものではないが例えば15〜50μlである。滴下された血液試料は血液保持ディスク310に吸収されて保持される。この時、余分の血液試料は、血液保持ディスク310の下側の円周辺部から母材板110に吸収される。
また、血液保持ディスク310は、粘着テープ210を介して、母材板110に貼り付けられているため、血液保持ディスク310から母材板110に血液試料が直接的に吸収されることはなく、仮に血液試料が低ヘマトクリック値であっても過剰に母材板110に吸収されにくい。
このように本実施形態にかかる乾燥血液試料保存基材910では、血液試料をスポイトで血液保持ディスク310上に1又は2ドロップを滴下するだけで、血液試料のヘマトクリック値に影響されること無く、一定量の血液が血液保持ディスク310に保持される。
余分の血液試料が吸収された母材板110と血液試料がドロップされた血液保持ディスク310は、例えば室温にて乾燥されて、乾燥状態で保存、輸送される。血液試料の分析時には、血液保持ディスク310を粘着テープ210から剥がして使用される。
1.実施例1
1-1.乾燥血液試料保存基材の作成
セルロース濾紙として、アドバンテック社製のペーパークロマトグラフィー用濾紙No.590(厚さ:0.97 mm、吸水速度:18 cm/10分、20℃)を使用した。このセルロース濾紙を使用して、横105mm縦75mm厚さ0.97mmの母材板を作成した。母材板には直径7mmの円形の開口部を格子状に6個作成した。粘着テープとして、3Mジャパン社製のスコッチテープNo.811、12mmを使用した。この粘着テープを母材板の円形の開口部を閉塞させるように貼り付けた。また上記のセルロース濾紙を使用して、直径5.5mm厚さ0.97mmの円形の血液保持ディスクを作成した。血液保持ディスクは、粘着テープの粘着面に、開口部の内周面から間隔をあけて開口部内の中央に配置された。母材板は、その上面及び下面にクラフト紙が貼り付けられて補強された。クラフト紙は母材板の開口部を露出するように円形のクラフト開口部が形成された。クラフト開口部の直径は15mmであった。クラフト紙は、コクヨ社製のレーザープリンター用厚紙、LBP-F31を使用した。このようにして作成した乾燥血液試料保存基材を図3(A)に示す。
次に、血液試料をスポイトで血液保持ディスク上に2ドロップを滴下させた。滴下された血液試料は血液保持ディスクに吸収されて保持され、余分の血液試料は血液保持ディスクの外周面と母材板の開口部の内周面との間の間隙を通り超えて、血液保持ディスクの周りの母材板に吸収された。この状態を図3(B)に示す。
余分の血液試料が吸収された母材板と血液試料がドロップされた血液保持ディスクは室温にて乾燥され、乾燥された血液保持ディスクは粘着テープから剥離され、チューブに入れられて分析に供された(図3(C))。
1-2.保持された血液の体積とヘマトクリットレベル
血液保持ディスクに保持された血液の体積とヘマトクリットレベルの影響を調べた。ヘマトクリックレベルは20,30,40,50,60,70%の血液試料を準備した。各血液試料における血液保持ディスクに保持された血液の体積を調べた結果、保持される血液の体積は精度管理の基準(<15%)に適合し、ヘマトクリット値30%〜60%の血液試料の保持体積は5%以内で一致した。結果を下記表1に示す。
Figure 0006904561
1-3.血中クロザピン濃度分析
クロザピンは統合失調症治療薬として承認されているが、無顆粒球症等の致死性の副作用があるため、定期的な血液モニタリングが義務付けられている。本実施例にかかる乾燥血液試料保存基材を使用して、血液試料中のClozapine (CLZ)及びその代謝物、Desmethylclozapine (DMC)、Clozapine N-oxide (CNO)を測定した。
乾燥血液が保持された血液保持ディスクを粘着テープから剥がし、2 ml エッペンドルフチューブに入れ、0.1M炭酸ナトリウム (Na2CO3, pH11.7)水溶液500μlを加え、ボルテックスで撹拌した。このチューブに1000 ng/ml の内部標準液(2-methylolanzapine)20μlを加え、ボルテックスで撹拌、15分間超音波処理した。このサンプルに酢酸エチル(試薬特級、和光純薬)800μlを加え、60秒間ボルテックスで撹拌、遠心分離後 (10,000 回転/分、10分間、4 ℃)、上澄400μl を取りサンプルチューブに入れた。このサンプルチューブの溶媒を窒素気流(40℃、20 分間)で蒸発した後、移動相溶液60μlを加えてボルテックスで撹拌し、オートサンプラーで20μlを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に注入測定した。直ちに測定しない場合は-20℃で保存した。
HPLCの分離カラムにはC18逆相カラム、Gemini C18、150x4.5mm、(島津ジーエルシー)を用いた。移動相には、38%メタノール(v/v) を含む50 mM リン酸緩衝溶液 (pH 2.1)を用い、流速は1ml/minに設定した。 Coulochem II (ESA)には Model 5011A 分析セル及びModel 5020 ガードセルを装着し、負荷電圧はGuard Cell:400 mV, E1: 300 mV, E2: -150 mV、感度は100nA、出力はフルスケール1Vに設定した。 Coulochem IIからのチャートを波形解析ソフト(PowerChrom)で流出時間及びピーク面積を計算してデーターファイルに保存し、血中濃度の計算と結果の保管には「クロザピン血中濃度検量線データーシート」と「クロザピン血中濃度データーシート」(Excel VBA)を用いた。データーファイルから内部標準物質(IS)に対するCLZ及び代謝産物、DMC、CNOのピーク面積比を求めた。
下記表2は、CLZ、DMC及びCNOの測定値についての傾き及び切片を示す。
Figure 0006904561
表2に示すCLZ、DMC及びCNOについての検量線は、100-1000 ng/mlの範囲で直線性を示した(相関係数 R>0.994)。
1-4.血中クロザピン濃度の日内変動及び日差変動
本実施例にかかる乾燥血液試料保存基材を使用して、血液試料中のCLZ、DMC及びCNOの測定値の日内変動及び日差変動を測定した。低濃度精度管理(QC)(Quality Control: LOQ x3)、中濃度QC (低濃度QCと高濃度QCの幾何平均)、及び高濃度QC(最高分析濃度x0.75)として各々150、350及び750 ng/mlの薬剤濃度を含む血液保持ディスクについて日内、日差変動を求めた。下記表3は、CLZ、DMC及びCNOの測定値の日内変動及び日差変動を示す。
Figure 0006904561
表3に示すように、CLZ、DMC及びCNOについての日内変動(Intra-assay)及び日差変動(Inter-assay)は精度管理の基準(相対誤差及び相対標準偏差 <15 %)に適合した。
1-5.各ヘマトクリック値の血液試料中のCLZ濃度等の測定
ヘマトクリック値が30,40,50,60%の血液試料を準備した。各血液試料にCLZ、DMC及びCNOを各々750 ng/ml添加して血液保持ディスクに滴下し、乾燥及び抽出後、各血液試料中のCLZ、DMC及びCNOの濃度を測定した。50%ヘマトクリットの測定値を100%としてヘマトクリットの効果を評価した。下記表4は、CLZ、DMC及びCNOの測定値を示す。
Figure 0006904561
表4に示すように、ヘマトクリット値30%-60%の血液中のCLZ、DMC及びCNOの測定値は精度管理の基準(<15%)に適合した。
1-6. 血液保持ディスクに保持されたCLZ等の安定性
血液保持ディスク中の薬剤の安定性を調べるために低濃度及び高濃度QCについて継時変化を測定した。CNOは容易に還元されてCLZに変換するために長時間放置した血液検体のCLZ濃度は見かけ上高くなる。この影響を調べるために低濃度及び高濃度QCについて継時変化を測定し、血中の継時変化と比較する。血液保持ディスクに保持された血液中のCLZ、DMC及びCNOについて、室温保存状態における3日後、6日後及び13日後における安定性を調べた。下記表5は、CLZ、DMC及びCNOの安定性を示す。
Figure 0006904561
表5に示すように、血液中のCLZ、DMC及びCNOは室温で約2週間安定であった。
2.実施例2
2-1.乾燥血液試料保存基材の作成
実施例1と同様に、セルロース濾紙として、アドバンテック社製のペーパークロマトグラフィー用濾紙No.590(厚さ:0.97 mm、吸水速度:18 cm/10分、20℃)を使用した。このセルロース濾紙を使用して、横105mm縦75mm厚さ0.97mmの母材板を作成した。粘着テープとして、株式会社ニチバン社製の両面テープナイスタック「リムカ」NW-R15を使用した。この粘着テープの一方の粘着面を母材板の上面に貼り付けた。また上記のセルロース濾紙を使用して、直径3.0mm厚さ0.97mmの円形の血液保持ディスクを作成した。血液保持ディスクは、母材板の上面に貼り付けられた粘着テープの他方の粘着面に貼り付けられた。このようにして血液保持ディスクは、粘着テープを介して、母材板に貼り付けられた。母材板は、その上面及び下面にクラフト紙が貼り付けられて補強された。クラフト紙には、母材板に貼り付けられた血液保持ディスクを露出するように円形のクラフト開口部が形成された。クラフト開口部の直径は15mmであった。クラフト紙は、コクヨ社製のレーザープリンター用厚紙、LBP-F31を使用した。このようにして作成した乾燥血液試料保存基材を図4(A)に示す。
次に、血液試料をスポイトで血液保持ディスク上に2ドロップを滴下させた。滴下された血液試料は血液保持ディスクに吸収されて保持され、余分の血液試料は、血液保持ディスクの下側の円周辺部から母材板に吸収された。この状態を図4(B)に示す。
余分の血液試料が吸収された母材板と血液試料がドロップされた血液保持ディスクは室温にて乾燥され、乾燥された血液保持ディスクは粘着テープから剥離され、チューブに入れられて分析に供された(図4(C))。
2-2.保持された血液の体積とヘマトクリットレベル
血液保持ディスクに保持された血液の体積とヘマトクリットレベルの影響を調べた。ヘマトクリックレベルは20,30,40,50,60,70%の血液試料を準備した。各血液試料における血液保持ディスクに保持された血液の体積を調べた結果、保持される血液の体積は精度管理の基準(<15%)に適合し、ヘマトクリット値30%〜60%の血液試料の保持体積は10%以内で一致した。結果を下記表6に示す。
Figure 0006904561
2-3.血中クロザピン濃度分析
実施例1と同様に、本実施例にかかる乾燥血液試料保存基材を使用して、血液試料中のClozapine (CLZ)及びその代謝物、Desmethylclozapine (DMC)、Clozapine N-oxide (CNO)を測定した。下記表7は、CLZ、DMC及びCNOの測定値についての傾き及び切片を示す。
Figure 0006904561
表7に示すCLZ、DMC及びCNOについての検量線は、100-1000 ng/mlの範囲で直線性を示した(相関係数 R>0.993)。
2-4.血中クロザピン濃度の日内変動及び日差変動
実施例1と同様に、本実施例にかかる乾燥血液試料保存基材を使用して、血液試料中のCLZ、DMC及びCNOの測定値の日内変動及び日差変動を測定した。下記表8は、CLZ、DMC及びCNOの測定値の日内変動及び日差変動を示す。
Figure 0006904561
表8に示すように、CLZ、DMC及びCNOについての日内変動(Intra-assay)及び日差変動(Inter-assay)は精度管理の基準(相対誤差及び相対標準偏差 <15 %)に適合した。
2-5.各ヘマトクリック値の血液試料中のCLZ濃度等の測定
実施例1と同様に、ヘマトクリック値が30,40,50,60%の血液試料を準備した。各血液試料にCLZ、DMC及びCNOを各々750 ng/ml添加して血液保持ディスクに滴下し、乾燥及び抽出後、各血液試料中のCLZ、DMC及びCNOの濃度を測定した。50%ヘマトクリットの測定値を100%としてヘマトクリットの効果を評価した。下記表9は、CLZ、DMC及びCNOの測定値を示す。
Figure 0006904561
表9に示すように、ヘマトクリット値30%-60%の血液中のCLZ、DMC及びCNOの測定値は精度管理の基準(<15%)に適合した。
2-6.血液保持ディスクに保持されたCLZ等の安定性
実施例1と同様に、血液保持ディスクに保持された血液中のCLZ、DMC及びCNOについて、室温保存状態における3日後、7日後及び14日後における安定性を調べた。下記表10は、CLZ、DMC及びCNOの安定性を示す。
Figure 0006904561
表10に示すように、血液中のCLZ、DMC及びCNOは室温で約2週間安定であった。
3.Bland-Altman分析
Bland-Altman分析にて、DBS(dried blood spot)滴下された従来の乾燥血液試料保存基材、VAPD(実施例1にかかる血液保持ディスク)及びVAPDmini(実施例2にかかる血液保持ディスク)の測定結果を比較した。なお、Bland-Altman分析とは、2つの測定値の差(a-b)をy軸に、2つの測定値の平均値((a+b)/2)をx軸にプロットした散布図(Bland-Altman plot, Bland-Altman graphs, difference plot)を作成し、それら測定値が内包する系統誤差の有無を可視的,あるいは統計学的に明らかにする方法である。結果を図5に示す。図5に示されているように、これらの測定結果は一致しており、VAPDとVAPDminiは実際の血中濃度分析にも十分使用可能であることが判明した。
乾燥血液試料の保存や運搬に使用できる。
100,110:母材板
200,210:粘着テープ
300,310:血液保持ディスク
400,410:補強板
900,910:乾燥血液試料保存基材

Claims (8)

  1. 血液試料を乾燥状態で保存する乾燥血液試料保存基材であって、
    セルロース濾紙製の母材板と、
    粘着テープと、
    滴下された血液試料を乾燥状態で保持するセルロース濾紙製の血液保持ディスクと、を有し、
    前記血液保持ディスクは前記母材板と離隔されて前記粘着テープにより前記母材板に貼り付けられている、ことを特徴とする乾燥血液試料保存基材。
  2. 前記母材板には、複数の略円形の開口部が設けられ、
    前記粘着テープは、一方の面に粘着面を有する片面テープであり、前記粘着テープは前記母材板の開口部の一方側の開口端を閉塞するように貼り付けられ、
    前記血液保持ディスクは、前記粘着テープの粘着面に、前記開口部の内周面から間隔をあけて前記開口部内に配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の乾燥血液試料保存基材。
  3. 前記粘着テープは、両方の面に粘着面を有する両面テープであり、
    前記血液保持ディスクは、前記粘着テープを介して、前記母材板に貼り付けられている、ことを特徴とする請求項1記載の乾燥血液試料保存基材。
  4. 前記血液保持ディスクを形成する濾紙は吸水度が18cm/10分、20℃であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の乾燥血液試料保存基材。
  5. 前記血液保持ディスクの直径は5.0〜6.0mmであり、前記開口部の内周面と前記血液保持ディスクの外周面との間の距離は0.73mm〜0.77mmであることを特徴とする請求項2記載の乾燥血液試料保存基材。
  6. 前記血液保持ディスクの直径は2.5〜3.5mmであることを特徴とする請求項3記載の乾燥血液試料保存基材。
  7. 前記母材板は、その上面及び下面に貼り付けられたクラフト紙からなる補強板にて挟持されており、前記補強板は前記母材板の開口部を露出するようにクラフト開口部を有することを特徴とする請求項2記載の乾燥血液試料保存基材。
  8. 前記母材板は、その上面及び下面に貼り付けられたクラフト紙からなる補強板にて挟持されており、前記補強板は前記母材板に貼り付けられた血液保持ディスクを露出するようにクラフト開口部を有することを特徴とする請求項3記載の乾燥血液試料保存基材。
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