JP2004501135A - アミノカプロニトリルの蒸留分離方法 - Google Patents

アミノカプロニトリルの蒸留分離方法 Download PDF

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Abstract

6−アミノカプロニトリルを、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンを含む混合物から蒸留分離する方法であって、a)ヘキサメチレンジアミンを混合物から分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が1質量%未満の混合物(I)を得、b)6−アミノカプロニトリルの全て又は一部を混合物(I)から分離して、蒸留条件で6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰し且つ熱応力下での6−アミノカプロニトリルの2量化反応では形成され得ない物質の含有量が1質量%未満である混合物(II)を得、そしてc)存在するヘキサメチレンジアミンの全て又は一部を混合物(II)から分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より高い混合物(IV)及びヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より低い混合物(V)を得ることを特徴とする方法。

Description

【0001】
本発明は、6−アミノカプロニトリルを、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンを含む混合物から蒸留分離する方法に関し、特に、上記蒸留分離方法であって、
a)混合物からヘキサメチレンジアミンを分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が1質量%未満の混合物(I)を得、
b)混合物(I)から6−アミノカプロニトリルの全て又は一部を分離して、蒸留条件で6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰し且つ熱応力下での6−アミノカプロニトリルの2量化反応では形成され得ない物質の含有量が1質量%未満である混合物(II)を得、そして
c)混合物(II)からこの時存在するヘキサメチレンジアミンの全て又は一部を分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より高い混合物(IV)及びヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より低い混合物(V)を得ることを特徴とする方法に関する。
【0002】
6−アミノカプロニトリルが、カプロラクタム又はポリアミドの製造に使用することができることは知られている。6−アミノカプロニトリルは、このような用途には高い純度を持つことが必要である。
【0003】
6−アミノカプロニトリルは、アジポジニトリルの部分接触水素化により通常製造される。このアジポジニトリルは触媒の存在下にブタジエンを2重ヒドロシアン化することにより得られる。得られる6−アミノカプロニトリルは、通常、6−アミノカプロニトリル、未反応アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミン、場合により溶剤、ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質、アジポジニトリルより高温で沸騰する物質、及び他の副生物を含む混合物である。
【0004】
前記高純度のアミノカプロニトリルを得るために、このような混合物からアミノカプロニトリルを製造する方法として、膨大の数のものが知られている。例えば、WO96/20931及びWO97/23454に記載されている。
【0005】
これらの方法の不利は、混合物から充分に高純度の6−アミノカプロニトリルを回収するために高いエネルギー消費量が必要なことである。
【0006】
本発明の目的は、技術的に簡単で、経済的で、且つ上記不利を回避して、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル、ヘキサメチレンジアミン、場合により溶剤、及び他の二次成分を含む混合物から充分に高純度の6−アミノカプロニトリルを回収することを可能にする方法を提供することにある。
【0007】
本発明者等は、上記目的が冒頭に規定した方法により達成されることを見出した。
【0008】
6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル、ヘキサメチレンジアミン、及び必要により溶剤、ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質、アジポジニトリルより高温で沸騰する物質、及び他の副生物を含む混合物の製造方法は、それ自体公知である。
【0009】
従って、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンを含む混合物は、アジポジニトリルの部分接触水素化により得ることができる。
【0010】
6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンの合計に対して、このような混合物は、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、特に20〜70質量%の6−アミノカプロニトリル、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、特に20〜70質量%のヘキサメチレンジアミンを通常含んでおり、残りが未反応アジポジニトリルに当たる。
【0011】
上記観察を考慮すれば、水素化は、本発明の方法においては臨界的ではない。混合物は、水素化の後、それ自体公知の方法、例えばろ過により、触媒から取り出されるか、或いは混合物を反応器から除去し、触媒を反応器に残すことにより取り出される。後者は固定床水素化の場合に好ましい。
【0012】
水素化は、溶剤存在下に行うことが有利である。好適な溶剤としては、有機溶剤、例えばアルコール、好ましくはアルカノール、特にC〜Cアルカノール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール又はs−ブタノール);エステル、好ましくはアルカンカルボン酸のエステル、特にC〜Cアルカンカルボン酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸又は酪酸)とアルカノール、特にC〜Cアルカノール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール又はs−ブタノール)とのエステル;エーテル、例えば直鎖又は環式エーテル(例、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル又はテトラヒドロフラン);炭化水素、例えば脂肪族又は芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン又はp−キシレン);アミン、例えば第1級、第2級又は第3級アミン;ラクトン、例えばブチロラクトン;ラクタム、例えばカプロラクタム、ピロリドン又はN−メチルピロリドン;及びアミド;又は無機溶剤、例えばアンモニア、或いはこれらの混合物を挙げることができる。
【0013】
好ましい溶剤としては、アルコール、特にメタノール及びエタノール、芳香族炭化水素、特にトルエン、及びアンモニア、或いはこれらの混合物である。
【0014】
水素化を溶剤の存在下に行う場合、反応混合物がこの溶剤を含むであろう。本発明の方法の前に、溶剤をそれ自体公知の方法、例えば蒸留又は精留により反応混合物から分離することが有利である。
【0015】
この分離を、1基以上、2又は3基の蒸留装置で分別蒸留により実施することが有利である。
【0016】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔(これらは副排出口(side discharge)付き又は無しである)である。
【0017】
副生物、例えば、ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質及び/又はアジポジニトリルより高温で沸騰する物質が、水素化において形成され得る。
【0018】
本発明において、ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質は、適当な蒸留条件にてヘキサメチレンジアミンより低い沸点を有する化合物を意味すると理解される。
【0019】
ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質の例としては、ヘキサメチレンイミン、へキシルアミン、アミノメチルシクロペンチルアミン及びジアミノシクロヘキサンを挙げることができる。このような化合物は、水素化から得られる混合物中に、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンの合計に対して、全量で10質量%まで、好ましくは5質量%までの量で存在している。
【0020】
本発明の方法の前に、ヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質を、それ自体公知の方法、例えば蒸留又は精留により反応混合物から分離するとが有利である。
【0021】
この分離は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置で分別蒸留により行うことが有利である。
【0022】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔(これらは副排出口付き又は無しである)である。
【0023】
使用される溶剤及びヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質を、工程a又は予めに、分離除去を同時にすることができる。好ましくは、使用される溶剤をまず分離し(工程a0)、次いでヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質を分離する(工程a1)。
【0024】
工程a1は、環境大気圧未満の圧力で、好ましくは500ミリバール未満の絶対気圧で行われる。
【0025】
本発明によれば、ヘキサメチレンジアミンは工程aで分離され、混合物(I)が得られ、混合物(I)は、混合物(I)に対して5質量%未満、好ましくは1質量%未満のヘキサメチレンジアミンを含んでいる。
【0026】
この分離は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置で分別蒸留により行うことが有利である。
【0027】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔(これらは副排出口付き又は無しで、副排出口付きが好ましい)である。
【0028】
工程aは、環境大気圧未満の圧力で、好ましくは500ミリバール未満の絶対気圧で行われる。
【0029】
好ましい一態様においては、ヘキサメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する物質は、一緒に分離され、即ち工程a1及びaが一緒に実施される。
【0030】
この操作において、ヘキサメチレンジアミンを副排出口より回収することが有利である。
【0031】
特に好ましい一態様においては、使用される塔は、供給口と排出口との間の領域に分離段(separating plate)を有する。
【0032】
本発明によれば、6−アミノカプロニトリルを工程b)で混合物(I)から分離し、蒸留条件下で6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰し且つ熱応力下での6−アミノカプロニトリルの2量化反応では形成され得ない物質の含有量が2質量%未満、好ましくは0.1質量%未満である混合物(II)を得る。
【0033】
この分離は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置で分別蒸留により行うことが有利である。
【0034】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔(これらは副排出口付き又は無しで、副排出口付きが好ましい)である。
【0035】
工程bは、環境大気圧未満の圧力で、好ましくは500ミリバール未満の絶対気圧で行われる。
【0036】
本発明によれば、ここで存在するヘキサメチレンジアミンの全て又は一部を混合物(II)から工程c)において分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より高い混合物(IV)及びヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より低い混合物(V)を得る。
【0037】
この分離は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置で分別蒸留により行うことが有利である。
【0038】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔(これらは副排出口付き又は無しである)である。
【0039】
工程cは、環境大気圧未満の圧力で、好ましくは500ミリバール未満の絶対気圧で行われる。
【0040】
好ましい一態様において、工程aの圧力は、工程cの圧力より低くすべきである。
【0041】
別の好ましい態様において、工程cで得られる混合物(IV)を、工程aに再循環することができ、混合物(IV)は蒸気であることが好ましい。
【0042】
本発明の工程bの別の態様において、6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰する物質を高い含有量にして、混合物(IIa)を得、そして混合物(IIa)から6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰する成分を分離して、6−アミノカプロニトリル含有量が混合物(II)より高い混合物(VI)及び6−アミノカプロニトリル含有量が混合物(II)より低い混合物(VII)を得る。
【0043】
別の好ましい態様において、混合物(VII)を工程bに再循環する。
【0044】
混合物(V)のヘキサメチレンジアミン含有量は、混合物(V)の質量に対して、5000ppm以下、好ましくは0〜1000ppm、特に0〜200ppmであることが有利である。6−アミノカプロニトリル以外の混合物(V)の成分の合計は、混合物(V)の質量に対して、5000ppm以下、好ましくは0〜500ppm、特に0〜200ppmであることが有利である。
【0045】
本発明の方法の方法の合計エネルギー消費量は、工程a、b及びc(及び必要によりa0及びa1)として計算される。このエネルギー消費量は、分離を2工程a及びc(及び必要によりa0及びa1)のみで行った場合に要求されるエネルギー消費量より低く、分離された6−アミノカプロニトリル中におけるヘキサメチレンジアミン量の同じものが達成される。
【0046】
【実施例】
[実施例]
蒸留塔K1において、200kg/hの水素化混合物(29%のヘキサメチレンジアミン、42%の6−アミノカプロニトリル、27%のアジポジニトリル、0.5%の低沸点成分及び1.5%の高沸点成分を含有)を分離し、主として低沸点成分を含むもの1.5kg/hを塔頂から取り出した。
【0047】
6−アミノカプロニトリル含有量が110ppmのヘキサメチレンジアミンを58kg/hで副排出口から取り出した。0.2%のヘキサメチレンジアミン含有量のもの156.5kg/hを、塔K1の底部で取り出した。この塔を90kg/hの蒸気で操作した。第二蒸留塔K2において、塔K1から取り出された塔底生成物は蒸留され、ヘキサメチレンジアミン含有量0.3%の6−アミノカプロニトリル116.5kg/hを塔頂から取り出した。6−アミノカプロニトリル含有量2%のもの58kg/hを塔底から取り出した。塔K2の塔頂生成物が第三蒸留塔で蒸留され、17kg/hの蒸気が塔頂から取り出され、塔K1に再循環された。塔K2は30kg/hの蒸気で操作した。ヘキサメチレンジアミン含有量45ppmの6−アミノカプロニトリル99.5kg/hを塔K3の副排出口から取り出した。塔K3は5kg/hの蒸気で操作した。塔K2及びK3の蒸気消費量は95kg/hであった。
【0048】
[比較例]
実施例に従い蒸留塔K1において、200kg/hの水素化混合物(29%のヘキサメチレンジアミン、42%の6−アミノカプロニトリル、27%のアジポジニトリル、0.5%の低沸点成分及び1.5%の高沸点成分を含有)を分離し、主として低沸点成分を含むもの1.5kg/hを塔頂から取り出した。
【0049】
6−アミノカプロニトリル含有量が115ppmのヘキサメチレンジアミンを58kg/hで副排出口から取り出した。0.05%のヘキサメチレンジアミン含有量のもの156.5kg/hを、塔K1の底部で取り出した。このヘキサメチレンジアミン含有量を塔底で得るために、140kg/hの蒸気が必要であった。
【0050】
第二蒸留塔K2において、塔K1から取り出された塔底生成物を蒸留し、6−アミノカプロニトリル116.5kg/hを塔頂から取り出した。塔頂排出物のヘキサメチレンジアミン含有量は800ppmであった。塔は30kg/hの蒸気で操作した。
【0051】
比較例の塔K1のエネルギー消費量(140kg/h)は、実施例の塔K1及びK3のエネルギー消費量(95kg/h)より大きいにも拘わらず、達成されたACNの純度は、比較例の方が明らかに劣っていた。

Claims (7)

  1. 6−アミノカプロニトリルを、6−アミノカプロニトリル、アジポジニトリル及びヘキサメチレンジアミンを含む混合物から蒸留分離する方法であって、
    a)混合物からヘキサメチレンジアミンを分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が1質量%未満の混合物(I)を得、
    b)混合物(I)から6−アミノカプロニトリルの全て又は一部を分離して、蒸留条件で6−アミノカプロニトリルより高温で沸騰し且つ熱応力下での6−アミノカプロニトリルの2量化反応では形成され得ない物質の含有量が1質量%未満である混合物(II)を得、そして
    c)混合物(II)からこの時存在するヘキサメチレンジアミンの全て又は一部を分離して、ヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より高い混合物(IV)及びヘキサメチレンジアミン含有量が混合物(II)より低い混合物(V)を得ることを特徴とする方法。
  2. ヘキサメチレンジアミンを、工程a)における副排出口に再循環する請求項1に記載の方法。
  3. ヘキサメチレンジアミンとヘキサメチレンジアミンより低温で沸騰する成分とを一緒に分離する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程c)で分離された混合物(IV)の全て又は一部を、工程a)に再循環する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 工程c)から工程a)に再循環された混合物(IV)が蒸気である請求項4に記載の方法。
  6. 混合物(VII)の全て又は一部を工程b)に再循環する請求項5に記載の方法。
  7. 工程b)の圧力が、塔底温度が185℃を超えないように選択される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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