JP2004500687A - 燃料電池装置とその運転方法 - Google Patents

Abstract

非常遮断装置を備えた燃料電池装置、特に車両駆動分野に使用される燃料電池装置において、該装置の主要な点に幾つかのセンサを設け、その測定値から燃料電池装置が限界的な運転状態に近付いていることを検知すると、非常遮断装置により燃料電池への水素の供給を停止し、更に必要に応じて電流及び／又は電圧移送装置の接続解除及び／又は分断に至る他の対策を行わせる。本発明によれば燃料電池自体の限界的運転状態と共に、事故等による自動車の限界的状態をも検出し対策を講ずることができる。

Description

【０００１】
本発明は、非常遮断装置を備えた燃料電池装置に関する。更に本発明は、自動車における、この種非常遮断装置を備えた燃料電池装置の運転方法に関する。
【０００２】
ドイツ特許第１９６３０８４２号明細書から、燃料電池の非常遮断装置は公知である。この装置は、ガス配管を介して互いに接続された複数の単電池を備える１つの燃料電池と、故障発生時にこの燃料電池を非常遮断する手段とを有する。故障時の大きな損害を回避するため、非常遮断時に個々の燃料電池のガス接続を互いに切り離すガス配管接続中断手段を持つ。更に、米国特許第５１９３６３５号明細書から、燃料電池スタックを車両の駆動装置のエネルギー担体として使用する、燃料電池駆動装置を備えた車両が公知である。
【０００３】
自動車における後者のシステムは、燃料電池装置が、「温度」、「圧力」等のパラメータや他の重要な量に関し限界点に近付いた際、燃料電池、特に水素供給或いは全体の燃料電池装置の水素ガスタンクから生ずる爆発の危険を顧慮した安全対策を施していない欠点がある。
【０００４】
特に車両の分野で使用される燃料電池装置において、特別な安全対策は一般に講じられていない。その場合、例えば車両事故によって短絡が生じた際、燃料電池装置が消費されることのない電流を更に発生し続けるという事実に鑑みて、電撃の危険を抑止する安全対策が正に不可欠である。
【０００５】
本発明の課題は、燃料電池装置に対し適した安全対策を提供し、その燃料電池の運転方法を提供することにある。
【０００６】
この課題は、冒頭に挙げた方式の燃料電池装置において、本発明によれば、請求項１の特徴によって解決される。それらの構成例は、関連する従属請求項に記載してある。自動車におけるこのような燃料電池装置の運転方法は、唯一の方法に関する請求項に示してある。
【０００７】
本発明の対象は、非常遮断装置を備えた燃料電池装置である。更に、本発明の対象は、自動車での燃料電池装置の運転方法であって、燃料電池装置及び／又は自動車において限界的な運転状態に達する危険が生ずるや否や、この燃料電池装置及び／又は改質器を自動的に遮断し、燃料供給を停止し及び／又は電流及び／又は電圧移送装置を隔離することを保証するものである。
【０００８】
特に、非常遮断装置はスタック及び／又は端板及び／又はスタックのハウジングに制御測定装置を備え、一定の運転状態（温度、圧力、電圧）が起きた際、燃料供給および／又は電気的接続を自動的に絶ち、または絶縁する。この結果、燃料電池装置は直ちに遮断される。
【０００９】
本発明においては、燃料電池装置の主要な点に設けた幾つかのセンサから、測定装置にこの装置の運転状態及び／又は短絡についての情報を与える。測定値の１つから、この装置が限界的な運転状態に近付いていることが明らかになると、接続された制御装置が自動的に燃料の供給を遮断する。なお、ここで「燃料」とは、プロセスガスだけでなく、改質器に流入する燃料をも意味する。
【００１０】
この対策でシステムを鎮静化できない場合、制御装置は「電流及び／又は電圧移送装置」の結合解除を、そして必要に応じその分断をも行わせ及び／又は全ての弁の閉鎖を行う。
【００１１】
なお、「電流及び／又は電圧移送装置」とは、５００Ｖ迄の電圧を移送する電流ケーブル及び集電器、電気導体及び／又は配電盤を意味する。
【００１２】
本発明のその他の細部及び特徴を、以下、実施例を参照した図の説明により明らかにする。
【００１３】
図１で１は自動車（ＫＦＺ）を示し、例えば駆動装置としての電動機３と、該駆動装置に電力を供給する燃料電池装置１０を備えている。燃料電池装置は、好適には所謂ＰＥＭ（プロトン交換膜）燃料電池、特に８０〜３００℃の常温より高温で動作するＨＴ（高温）燃料電池である。ＰＥＭ燃料電池は、改質により、例えばメタノールのようなアルコールやガソリンから得られる水素又は水素リッチガスと、酸化剤としての酸素、特に周囲空気中の酸素とで運転される。
【００１４】
なお完璧を期すため、付加的に排出管８を示しており、これにより純水素での運転時に生成水を排出し又は水素リッチガスで運転する際になお存在する排ガスを排出する。更にセンサ６，６’、６”を備え、それらの信号は制御装置２０に与えられる。これについては、更に以下において個々に説明する。
【００１５】
燃料電池装置１０と電動機３の電気的接続は、故障時に遮断せねばならない。図１の燃料電池装置１０は非常遮断装置２０を備え、短絡及び／又は限界的運転状態に達することに伴う危険時に、電気導体、配電盤等の全ての電流及び／又は電圧移送装置を自動的に自動車及び／又はスタックから切り離し、かつ燃料供給を止める。この非常遮断装置は、先ず少なくとも燃料供給を断ち、更に必要なら電流及び／又は電圧移送装置の接続解除及び／又は分断のようなその他の対策を行う。なおその際重要なのは、燃料電池の限界的運転状態も、また例えば事故等による自動車の限界状態も考慮し、燃料電池装置全体を遮断することである。
【００１６】
図２は非常遮断装置を個々に示す。入力２１〜２５として、一連のセンサ信号を受け取る測定制御装置２０を備えている。センサとして、一方では少なくとも「温度Ｔ」、「圧力Ｐ」及び「電圧Ｕ」に対するものが、他方では更に所謂クラッシュセンサが設けられている。これら多数のセンサ群が、装置の特定の位置に設けられている。特にクラッシュセンサは、図１に示す自動車１の場合バンパに配置され又はエアバッグやシートベルトのベルト固定具に結合されている。図１において、これらセンサを各々６，６’、６”で示す。
【００１７】
図２は、例として全体でｎ個のセンサのうちの５個を示している。更に燃料電池装置１０は改質器１５を備えている。即ち、改質器１５は燃料を燃料電池装置１０のプロセスガスとして水素リッチガスに改質する。他のプロセスガス、即ち酸化剤は例えば空気中から得る。
【００１８】
図２には、例示的にプロセスガス用の弁１３，１４及び燃料用の弁１７が存在する。これらセンサの１つが動作すると、直ちに制御装置が働き、必要に応じて制御信号を生ずる。
【００１９】
測定制御装置２０では、受信した信号に応じ、好ましくはコンピュータ支援制御装置に記憶した特性と比較し、限界値を検出し、この限界値に達すると非常遮断器装置が働く。このことは、限界運転状態に達しそうな危険があると、直ちに燃料電池装置及び／又は改質器を自動的に遮断するように、規準が規定されていることを意味する。更に改質器への燃料供給も停止する。更にまた電流及び／又は電圧移送装置も全て不活性化する。
【００２０】
以上、電気車両、特に自動車で使用される燃料電池装置について説明した。同様な原理は、燃料電池装置の他の使用分野にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図１】電動機の動力源として燃料電池装置を備えた自動車を示す。
【図２】燃料電池装置とこれにより駆動される電動機の非常遮断装置の回路図を示す。
【符号の説明】
１　　　　　　　自動車
３　　　　　　　電動機
６、６’、６”　 クラッシュセンサ
８　　　　　　　排出管
１０　　　　　　燃料電池装置
１３、１４　　　プロセスガス用の弁
１５　　　　　　改質器
１７　　　　　　燃料用の弁
２０　　　　　　測定制御装置（非常遮断装置）
２１〜２５　　　センサ入力端

Claims (11)

1. 非常遮断装置を備え、該装置が、センサ信号の入力端と、燃料配管及び／又はプロセスガス配管のための弁並びに電流又は電圧導体等を不活性化するための制御導体の出力端とを、非常遮断を実現すべく備える測定制御装置を持つことを特徴とする非常遮断装置を備えた燃料電池装置。
2. 電気的車両駆動分野で使用されることを特徴とする請求項１記載の装置。
3. 自動車に使用されることを特徴とする請求項２記載の装置。
4. 非常遮断装置（２０）が、温度（Ｔ）、圧力（Ｐ）及び／又は電圧（Ｕ）のための複数のセンサを備えることを特徴とする請求項１から３の１つに記載の装置。
5. クラッシュセンサ（６，６’、６”）が自動車（１）に設けられたことを特徴とする請求項３記載の装置。
6. クラッシュセンサ（６）がバンパに設けられたことを特徴とする請求項５記載の装置。
7. クラッシュセンサ（６’）が少なくとも１つのエアバッグに接続されたことを特徴とする請求項６記載の装置。
8. クラッシュセンサ（６”）が安全ベルト、特に運転手席のシートベルトに接続されたことを特徴とする請求項６記載の装置。
9. 一方で温度（Ｔ）、圧力（Ｐ）及び／又は電圧（Ｕ）のためのセンサ群が、他方でクラッシュセンサ（６，６’、６”）のセンサ群が、夫々自動車（１）の幾つかの位置に設けられたことを特徴とする請求項３記載の装置。
10. 測定制御装置（２０）が、測定値を処理しかつ記憶した運転特性と比較するマイクロコントローラを備えることを特徴とする請求項１から９の１つに記載の装置。
11. 燃料電池装置及び／又は自動車の限界運転状態に達した際、燃料電池装置を副次的機器、特に必要に応じて設けた改質器を含めて自動的に遮断し、燃料供給を停止し及び／又は電流及び／又は電圧移送装置の全てを不活性化することを特徴とする自動車における燃料電池装置の運転方法。