JP2004363506A - 停電時における電子部品実装機の保護方法および保護装置 - Google Patents

停電時における電子部品実装機の保護方法および保護装置 Download PDF

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利幸 小山
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Abstract

【課題】停電発生時に電子部品実装機を破損させる危険性を解消できるようにする。
【解決手段】電子部品実装機へ供給される電圧を監視する。停電時に、バックアップ電源により電子部品実装機を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行う。かつ、その後に、電子部品実装機の各駆動軸を制御した状態で、駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停電時における電子部品実装機の保護方法および保護装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図面を参照して、停電時における電子部品実装機の従来の保護方法について説明する。
【0003】
図13は、停電時における従来の保護装置を示すブロック図である。工場電源10を停電保護装置2へ接続し、停電保護装置2から電子部品実装機1へ電源を接続させている。停電保護装置2は、停電検出回路3と、バッテリー4と、電源供給切替回路5とを備えている(たとえば、非特許文献1)。
【0004】
通常、停電非発生時は、停電保護装置2を通過させ、工場電源10を直接電子部品実装機1へ供給している。一方、停電発生時は、工場電源10からの電圧供給が停止するために、停電検出回路3によってそのことを検出したうえで、電源供給切替回路5を作動させて、工場電源10の代わりにバッテリー4より電子部品実装機1へ電圧の供給を行なっている。これにより、停電発生時であるにも関わらず、電子部品実装機1は停止することなく生産を継続することができる。
【0005】
図14は、停電時における従来の保護方法を示すフローチャートである。通常は工場電源10からの定格電圧が停電保護装置2に供給されており、これによってバッテリー4への蓄電が行われる(ステップ141)。これとともに、停電保護装置2に設けられた停電検出回路3が停電の有無を監視しており(ステップ142)、停電無しの場合は工場電源10をそのまま電子部品実装機1へ供給する(ステップ143)。
【0006】
このような状況下で、ステップ142で停電検出回路3により停電発生を検出した場合は、バッテリー4に蓄えられていた電気を用いることで、電子部品実装機1へ電気を供給し続け(ステップ144)、停電発生時も、実装を継続させることができる。
【0007】
あわせて、停電が発生して電圧供給を工場電源10からバッテリー4の電源へ切り替えた際には、停電保護装置2において電源供給方法を切り替え中であることを示す警告灯を点灯させるか、もしくは、バッテリー4からの電源供給へ切り替え中にのみ外部へ信号を出力することで、作業者に対し電源が切り替わったことを示す警告を通知する(ステップ145)。作業者は、この警告を受け、停電の復帰までの時間とバッテリー4に蓄えられている電力量とから判断を行い、バッテリー4の電力量では生産継続が不可と判断した場合は電子部品実装機1を停止させ、停電の復帰後に生産を再開させる。また、電力が充分足りると判断した場合は、電子部品実装機1の生産を継続し、停電の復帰により電圧供給がバッテリー4から自動的に工場電源10に切り替わるのを待つ。もしくは、安全面を優先して停電が復帰するまでは電子部品実装機1を意図的に停止させ、停電の復帰後に作業者の操作により生産を再開させる。
【0008】
【非特許文献1】
地福順人著「無停電電源装置 しくみと種類と使い方」電気書院、昭和63年10月
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の方法では、バッテリー4から供給できる電力量の範囲を超えてしまった場合は、電子部品実装機1は再度、停電発生状態になり、電源が供給されず、実装機1の動作が突然停止することになる。この際、実装機1の動作状況により各駆動軸が干渉する位置関係にあった場合は、駆動軸が制御されず惰性で動いた後に停止してしまうことで、これら駆動軸同士の干渉が発生し、機械の一部を破損してしまう問題を有している。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、停電発生時に電子部品実装機を破損させる危険性を解消できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の方法は、電子部品実装機へ供給される電圧を監視し、停電時に、バックアップ電源により前記電子部品実装機を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行い、その後に、前記電子部品実装機の各駆動軸を制御した状態で、駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させるものである。
【0012】
このようにすると、電子部品実装機の各駆動軸を制御して、干渉が発生せず停電発生時に電子部品実装機の破損を確実に防止できて安全を確保でき、しかも自動復帰可能な状態で停止させることができる。
【0013】
また本発明の方法は、上記において、停電の解除を監視して、停電が解除されたときに、停電発生時の実装動作停止の際のエラーの発生の有無を確認したうえで、実装動作を再開させるものである。
【0014】
このようにすると、停電発生時に安全に電子部品実装機を停止させることができるうえに、停電発生時以外は実装動作を常に継続できるという効果が得られる。
【0015】
さらに本発明の方法は、上記において、電子部品実装機の複数の駆動軸を制御するための複数の制御機器のうち、停電の際に干渉するおそれのある駆動軸のための制御機器について、停電時にバックアップ電源により電力を供給することにより駆動軸を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行うとともに、その後に、前記駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させ、かつ、停電の際に干渉するおそれのない駆動軸のための制御機器については、停電時に、駆動軸を駆動させる処理を行わないものである。
【0016】
このようにすると、停電の際に干渉するおそれのある駆動軸のための制御機器について、停電時にバックアップ電源により電力を供給することにより干渉を避けるように処理することができるとともに、停電の際に干渉するおそれのない駆動軸のための制御機器については、停電時に、駆動軸を駆動させる処理を行わないため、停電時に必要最小限の制御機器に電力を供給するだけで足り、したがって余分な電力を消費せずにバックアップ電源の電力を効率的に使用することができる。
【0017】
本発明の装置は、電子部品実装機へ供給される工場電源の電圧を監視する停電検出回路と、工場電源を前記電子部品実装機に供給するとともに、前記停電検出回路によって停電の発生が検出されたときに工場電源からバックアップ電源に切り換えて前記電子部品実装機に供給する電源切替装置と、停電時に、前記バックアップ電源により前記電子部品実装機を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行うとともに、その後に、前記電子部品実装機の各駆動軸を制御した状態で、駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる手段とを備え、前記停電検出回路とバックアップ電源とが別の装置として分けられた状態で設けられているようにしたものである。
【0018】
このようなものであると、停電検出回路とバックアップ電源とが別の装置として分けられた状態で設けられているため、電子部品実装機全体や駆動軸の制御機器についての消費電力毎にバックアップ電源の容量を任意に選定可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1は、本発明の保護方法を適用可能な一般の電子部品実装機1の概略斜視図である。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図2〜図6を用いて説明する。
図2においては、停電保護装置2の停電検出回路3から電子部品実装機1のコントローラ6へ、配線11により直接信号を伝達させている。4はバックアップ電源としてのバッテリー、5は電源供給切替回路、10は工場電源である。
【0021】
次に、このような構成にもとづく、停電発生時の停電検出方法を説明する。
停電検出回路3により工場電源10における停電の発生の有無を常時チェックさせ、停電が発生していない場合は、停電検出回路3から信号は発しない。電源供給切替回路5では、停電検出回路3からの信号が受信されない場合は、工場電源10をそのまま電子部品実装機1へと出力する。
【0022】
停電検出回路3が停電発生を検出した際は、まず電源供給切替回路5へ停電発生を示す信号を送信する。その信号を受信することで、電源供給切替回路5は、出力を、工場電源10からバッテリー4に蓄電されている電気へ切り替える。同時に、停電検出回路3は、停電が発生したことを示す信号を配線11を介して電子部品実装機用コントローラ6へも送信する。信号を受信した電子部品実装機用コントローラ6は、信号を受信した時点で実装を行っていた部品の実装動作を全て完了する処理を行い、その後に、電子部品実装機1の各駆動軸を制御した状態で、安全な位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる。
【0023】
ここで、バッテリー4に蓄電される電力量は、停電が発生してから、停電発生時に実装工程の途中である部品が実装を完了できるまでの間の電子部品実装機1の動作に対して消費される量であれば良い。従って、バッテリー4の容量は、電子部品実装機1の実装工程で実装時間が最長となる条件の時に消費される電力に対応した分だけあれば良い。
【0024】
次に、図2の構成にもとづく停電保護機能を、図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、電子部品実装機1の定格電圧(例えば3相200V)を、工場電源10から停電保護装置2へ接続し供給する。そして供給された定格電圧にてバッテリー4を蓄電させる(ステップ31)。次に、停電検出回路3による停電発生の有無の監視が開始される(ステップ32)。停電発生が無い通常の場合は、工場電源10をそのまま出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続を工場電源10側にして、電子部品実装機1へ電源を供給させる(ステップ33)。そして、その状態においても、常時、停電発生の有無を監視する(ステップ32)。
【0025】
停電が発生した場合は、バッテリー4の電源に切り替えて出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続をバッテリー4側へ切替えて、電子部品実装機1へ電源を供給する(ステップ34)。また、電子部品実装機用コントローラ6へも停電検出回路3より停電発生を通知し(ステップ35)、停電時における電子部品実装機1の保護のために、現工程の実装動作を完了した後に電子部品実装機1を停止させる(ステップ36)。
【0026】
次に、このような停電時の保護機能の概要を、図4のタイミングチャートを用いて説明する。
停電検出回路3が停電の発生を検出した際に、電源供給切替回路5と電子部品実装機用コントローラ6とへ信号を送信する。電源供給回路5は、その信号を受信することで、電源供給を工場電源10からバッテリー4へと切替え、電子部品実装機用コントローラ6は電子部品実装機1に関し電子部品の実装行程から停止処理へとソフトを切替える。
【0027】
図5は、電源保護用のバッテリー4の蓄電量を消費しきる前に停電が復帰した場合のタイミングチャートである。この場合に、停電検出回路3は、停電の復帰後、電源供給切替回路5へ送信する停電発生を示す信号をOFFにする。これにより、電源供給切替回路5は、電源供給をバッテリー4から工場電源10へと切替える。
【0028】
電子部品実装機1は停電復帰後も機械が停止した状態を保持するが、実装機1の電源としては常に定格電圧が供給されているため、機械の電源が落ちることはない。このため、この状態で再度スタートSWを押すことで、電子部品実装機1は実装動作を再開できることとなる。
【0029】
図6は、電源保護用のバッテリー4の蓄電量を消費した後に停電が復帰した場合のタイミングチャートである。停電検出回路3からの停電発生を示す信号がONのまま、バッテリー4の蓄電を消費し切る時間を経過してしまうため、電子部品実装機1へ供給する定格電圧がなくなり、この時点で電子部品実装機1の電源が落ちてしまう。よって、実装動作を再開するには、停電復帰を待ち、再度、電子部品実装機1の電源を立上げたうえで、実装を再開する必要がある。
【0030】
従って、バッテリー4の蓄電量の差で、実装再開の手間が変わってくる。このため、停電発生の頻度、時間の条件からバッテリー4の蓄電量を決定することになる。
【0031】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図2と図7〜図9とを用いて説明する。
【0032】
この実施の形態2では、図2の構成によって、まず、実施の形態1の場合と同様に処理を行う。すなわち、停電が発生したことを示す信号を受信した電子部品実装機用コントローラ6は、信号を受信した時点で実装していた部品の実装動作を全て完了する処理を行い、その後に、電子部品実装機1の各駆動軸を制御した状態で、安全な位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる。
【0033】
そして、この実施の形態2では、その後に停電が解除されると、停電検出回路3が停電の解除を検知し、その信号を電源供給切替回路5へ送信する。電源供給切替回路5は、その信号の受信によりバッテリー4からの電源供給を工場電源10からの供給へと切替える。それと同時に停電検出回路3は、停電が解除されたことを示す信号を電子部品実装機用コントローラ6へも送信する。信号を受信した電子部品実装機用コントローラ6は、停電発生時の実装動作を停止した際に何かエラーを発生していないかを確認し、エラーが発生していない場合は実装動作を再開させる。
【0034】
次に、停電保護機能を図7のフローチャートを用いて説明する。
まず、電子部品実装機1の定格電圧(例えば3相200V)を、工場電源10から停電保護装置2へ接続し供給する。そして供給された定格電圧にてバッテリー4を蓄電させる(ステップ701)。次に停電検出回路3による停電発生の有無の監視が開始される(ステップ702)。停電発生が無い通常の場合は、工場電源10をそのまま出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続を工場電源10側にして、電子部品実装機1へ電源を供給させる(ステップ703)。そして、その状態においても、常時、停電発生の有無を監視する(ステップ702)。
【0035】
停電が発生した場合は、バッテリー4の電源に切り替えて出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続をバッテリー4側へ切替えて、電子部品実装機1へ電源を供給する(ステップ704)。また、電子部品実装機用コントローラ6へも停電検出回路3より停電発生を通知し(ステップ705)、停電時における電子部品実装機1の保護のために、現工程の実装動作を完了した後に電子部品実装機1を停止させる(ステップ706)。
【0036】
停電発生後も停電検出回路3は停電の状況の監視を継続し(ステップ707)、停電中はバッテリー4からの電源の供給を続行する(ステップ708)。停電が解除された場合には、バッテリー4からの電源供給から工場電源10への供給へと切替え(ステップ709)、そして、電子部品実装機用コントローラ6へも停電検出回路3より停電解除を通知する(ステップ710)。そして、電子部品実装機1でエラーが発生しておらず、実装再開が可能か判断した上で、実装動作を再開させる(ステップ711)。
【0037】
次に、停電保護機能の概要を図8のタイミングチャートを用いて説明する。
ここで図8は、電源保護用のバッテリー4の蓄電量を消費しきる前に停電が復帰した場合のタイミングチャートである。停電検出回路3は、停電の復帰後、電源供給切替回路5へ送信する停電発生を示す信号をOFFにする。これにより、電源供給切替回路5は、電源供給をバッテリー4から工場電源10へと切替える。同時に、停電検出回路3は、電子部品実装機コントローラ6へ停電解除を示す信号を送信する。これにより、電子部品実装機コントローラ6は、電子部品実装機1でエラーが発生しておらず、実装再開が可能か判断した上で、電子部品実装装置1を、実装動作停止から再び実装動作開始とさせる。
【0038】
図9は、電源保護用のバッテリー4の蓄電量を消費した後に停電が復帰した場合のタイミングチャートである。停電検出回路3からの停電発生を示す信号がONのまま、バッテリー4の蓄電を消費し切る時間を経過してしまうため、電子部品実装機1へ供給する定格電圧がなくなり、この時点で電子部品実装機1の電源が落ちてしまう。従って、停電が解除され、バッテリー4からの電源供給が工場電源10からの供給へと切り替わり、また、停電検出回路3から停電解除の信号が電子部品実装機コントローラ6へ送信されても、電子部品実装機1の電源スイッチがONされていないため、その信号を受信することができずに実装動作を再開することができない。よって、再度、電子部品実装機1の電源を立ち上げた上で実装を再開する必要がある。
【0039】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図3および図10〜図12を用いて説明する。
【0040】
図10の構成においては、停電検出回路3は、電源切替装置7とは別の装置として分けられた状態で設けられている。そして、停電検出回路3から電子部品実装機1と電源切替装置7へと直接に信号を伝達させている。1は電子部品実装機、4はバッテリー、5は電源供給切替回路、6は電子部品実装機用コントローラ、10は工場電源である。
【0041】
次に、このような構成にもとづく、停電発生時の停電検出方法を説明する。
停電検出回路3により工場電源10における停電の発生の有無を常時チェックさせ、停電が発生していない場合は、停電検出回路3から信号は発しない。電源切替装置7内の電源供給切替回路5では、停電検出回路3からの信号が受信されない場合は、工場電源10をそのまま電子部品実装機1へと出力する。停電検出回路3が停電発生を検出した際は、まず電源切替装置7内の電源供給切替回路5へ停電発生を示す信号を送信する。電源供給切替回路5は、その信号を受信することで、その出力を、工場電源10からバッテリー4に蓄電されている電気へ切り替える。同時に、停電検出回路3は、停電が発生したことを示す信号を電子部品実装機用コントローラ6へも送信する。信号を受信した電子部品実装機用コントローラ6は、信号を受信した時点で実装を行っていた部品の実装動作を全て完了する処理を行い、その後に、電子部品実装機1の各駆動軸を制御した状態で、安全な位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる。
【0042】
ここでバッテリー4に蓄電される電力量は、停電が発生してから、停電発生時に実装行程の途中である部品が実装を完了できる間の電子部品実装機1の動作に対して消費される量であれば良い。従って、バッテリー4の容量は、電子部品実装機1の実装工程で実装時間が最長となる条件の時に消費される電力に対応した分だけあれば良い。
【0043】
図11の構成は、電源切替装置7とは別の装置として構成された停電検出回路3から電子部品実装機1と電源切替装置7へと信号を伝達させている点で、図10のものと共通している。しかし、この図11の構成では、電子部品実装機1において、停電時に電源供給を継続する制御機器8と継続しない制御機器9とに分け、継続する制御機器8には電源切替装置7を介して電源を供給し、継続しない制御機器9には工場電源10を直接に接続させている。制御機器8、9は、それぞれ、電子部品実装機1の駆動軸の駆動モータ12をコントロールするためのモータドライバーによって構成されている。図11において、4はバッテリー、5は電源供給切替回路、6は電子部品実装機用コントローラである。
【0044】
停電発生時の動作を、図11を用いて説明する。
停電検出回路3により工場電源10の停電の発生の有無を常時チェックさせ、停電が発生していない場合は、停電検出回路3から信号は発生しない。電源切替装置7内の電源供給切替回路5では、停電発生回路3からの信号が受信されない場合は、工場電源10をそのまま電子部品実装機1へと出力する。停電発生回路3が停電発生を検出した際は、まず電源切替装置7内の電源供給切替回路5へ停電発生を示す信号を送信する。その信号を受信することで、電源供給切替回路5は、出力を工場電源10からバッテリー4に蓄電されている電源へ切り替える。同時に、停電検出回路3は、停電が発生したことを示す信号を電子部品実装機コントローラ6へも送信する。信号を受信した電子部品実装機コントローラ6は、信号を受信した時点で実装を行っていた部品の実装動作を全て完了する処理を行い、その後に、各駆動軸を制御した状態のまま安全な位置で、かつ次部品の実装が可能な状態で実装動作を停止させる。
【0045】
ここで実装動作を停止する際に、コントローラ6により制御された状態で停止できるのは、バッテリー4からの電源供給を継続されている制御機器8のみである。それ以外の制御機器9は、停電発生時点で電源の供給が停止されるため、コントローラ6の制御が効かない惰性の状態で動作した後に停止する。
【0046】
従って、電源供給を継続する制御機器8としては、駆動軸同士の干渉を引き起こす可能性がある機器だけを抽出する。制御機器9は、干渉発生に関係ないものであり、電源供給の継続対象から除外する。
【0047】
このように電源供給を継続する制御機器8を特定することで、バッテリー4には余分な電気を蓄える必要がなくなり、干渉を防ぐのに必要とされるだけの適当な電気を供給できるバッテリー4を選定することが可能となる。
【0048】
次に、停電保護機能を図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、電子部品実装機1の定格電圧(例えば3相200V)を、電源切替装置7へ接続し供給する。そして供給された定格電圧にてバッテリー4を蓄電させる(ステップ31)。次に、停電検出回路3による停電発生の有無の監視が開始される(ステップ32)。停電発生が無い通常の場合は、工場電源10をそのまま出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続を工場電源10側にして、電子部品実装機1へ電源を供給させる(ステップ33)。そして、その状態においても常時、停電発生の有無を監視する(ステップ32)。
【0049】
停電が発生した場合は、バッテリー4の電源へ切り替えて出力すると判断し、電源供給切替回路5の接続をバッテリー4側へ切替えて、電子部品実装機1へ電源を供給する(ステップ32)。また、電子部品実装機用コントローラ6へも停電発生を停電検出回路3より停電発生を通知し(ステップ35)、電子部品実装機1を停止させる。
【0050】
図12は、駆動軸の干渉防止の目的で、制御機器8、9への電源供給を、停電時に電源供給を継続する制御機器8と継続しない制御機器9とで分けた場合のタイミングチャートである。停電検出回路3が停電発生を検出した際に、電源供給切替回路5と電子部品実装機コントローラ6へ信号を送信する。そして、その信号を受信することで、電源供給切替回路5は電源供給を工場電源10からバッテリー4の電源へと切替え、電子部品実装機用コントローラ6は電子部品の実装行程から停止処理へとソフトを切替える。
【0051】
このとき、コントローラ6は、全ての駆動軸に対して停止処理を実行するが、電源供給が継続される制御機器8にて駆動される駆動軸のみ、指令どおりの動作で停止することになる。これに対し、電源供給が継続されなくなる制御機器9にて駆動される駆動軸は、指令どおりではなく、停電発生直後に残留している電源で対応しきれる動作で停止することになる。しかしながら、電源供給が継続されなくなる制御機器9にて駆動される駆動軸として、干渉発生に関係しない軸のみを選定しているため、機械の破損は発生せず、安全に停止することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電子部品実装機の供給電源に長時間にわたる停電が発生した場合でも、安全、確実に電子部品実装機を停止させることができ、かつ、停電復旧後に余分な手間をかけずに電子部品実装機の生産再稼働を行い得るという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護方法を適用可能な一般の電子部品実装機の概略斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の保護方法を実施するための装置を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1の保護方法を示すフローチャート
【図4】図3の保護方法にもとづくタイミングチャート
【図5】図3の保護方法にもとづく他のタイミングチャート
【図6】図3の保護方法にもとづくさらに他のタイミングチャート
【図7】本発明の実施の形態2の保護方法を示すフローチャート
【図8】図7の保護方法にもとづくタイミングチャート
【図9】図7の保護方法にもとづく他のタイミングチャート
【図10】本発明の実施の形態3の保護方法を実施するための装置を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態3の保護方法を実施するための他の装置を示すブロック図
【図12】図11の保護方法にもとづくタイミングチャート
【図13】従来の停電時における電子部品実装機の保護装置を示すブロック図
【図14】従来の停電時における電子部品実装機の保護方法を示すフローチャート
【符号の説明】
1 電子部品実装機
2 停電保護装置
3 停電検出回路
4 バッテリー
5 電源供給切替回路

Claims (4)

  1. 電子部品実装機へ供給される電圧を監視し、停電時に、バックアップ電源により前記電子部品実装機を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行い、その後に、前記電子部品実装機の各駆動軸を制御した状態で、駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させることを特徴とする停電時における電子部品実装機の保護方法。
  2. 停電の解除を監視して、停電が解除されたときに、停電発生時の実装動作停止の際のエラーの発生の有無を確認したうえで、実装動作を再開させることを特徴とする請求項1記載の停電時における電子部品実装機の保護方法。
  3. 電子部品実装機の複数の駆動軸を制御するための複数の制御機器のうち、停電の際に干渉するおそれのある駆動軸のための制御機器について、停電時にバックアップ電源により電力を供給することにより駆動軸を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行うとともに、その後に、前記駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させ、
    かつ、停電の際に干渉するおそれのない駆動軸のための制御機器については、停電時に、駆動軸を駆動させる処理を行わない、ことを特徴とする請求項1または2記載の停電時における電子部品実装機の保護方法。
  4. 電子部品実装機へ供給される工場電源の電圧を監視する停電検出回路と、
    工場電源を前記電子部品実装機に供給するとともに、前記停電検出回路によって停電の発生が検出されたときに工場電源からバックアップ電源に切り換えて前記電子部品実装機に供給する電源切替装置と、
    停電時に、前記バックアップ電源により前記電子部品実装機を駆動させて、停電発生時に実装を行っていた部品の実装動作を完了する処理を行うとともに、その後に、前記電子部品実装機の各駆動軸を制御した状態で、駆動軸どうしが干渉しない位置かつ次部品の実装が可能な位置で実装動作を停止させる手段とを備え、
    前記停電検出回路とバックアップ電源とが別の装置として分けられた状態で設けられていることを特徴とする停電時における電子部品実装機の保護装置。
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