JP2004363178A - 巻線コイル部品 - Google Patents

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宗和 犬伏
Takaomi Toi
孝臣 問井
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Abstract

【課題】漏れ磁束量の増加を抑制しながら直流重畳特性を改善する。
【解決手段】コア部材2のコア巻芯部3に巻線5を巻回して成る巻線コイル部品1において、コア巻芯部3の少なくとも一周面側には、コア巻芯部3に巻回された巻線5から成るコイルを間隔を介して覆う磁性含有層11を形成する。この磁性含有層11を、非磁性層10を介してコア部材2の両端部にそれぞれ接続する。コイルにより生じた磁束は、コア巻芯部3から、コア部材2の一端側の非磁性層10と、磁性含有層11と、コア部材2の他端側の非磁性層10とを順に通ってコア巻芯部3に戻る磁路を構成する。この磁路は非磁性層10を通る開磁路となっている。開磁路とすることにより、直流重畳特性を改善できる。また、非磁性層10から磁束が漏れ易い方向に磁性含有層11を設けたので、漏れ磁束量の増加を抑制できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性体から成るコア部材のコア巻芯部に巻線を巻回して成る巻線コイル部品に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図7(a)には巻線コイル部品の一例(例えば特許文献1参照)が外観斜視図により示され、図7(b)には図7(a)のA−A部分の模式的な断面図が示され、さらに、図7(c)には図7(a)の巻線コイル部品の内部構造が斜視図により示されている。この巻線コイル部品30は、磁性体から成るコア部材31と、巻線32(32a,32b)とを有して構成されている。コア部材31は、巻線32(32a,32b)が巻回形成されるコア巻芯部33と、このコア巻芯部33の両端部にそれぞれ設けられる鍔部34(34a,34b)とを有して構成されている。
【0003】
また、鍔部34aの表面には、電極35a,35bが互いに間隔を介し図7(c)の天面側から底面側に掛けて形成されている。また同様に、鍔部34bの表面にも、電極36a,36bが互いに間隔を介し天面側から底面側に掛けて形成されている。それら電極35a,35b,36a,36bには、それぞれ、巻線32a,32bの別々の端部が接続されている。
【0004】
さらに、鍔部34a,34bにより挟まれている領域には、コア巻芯部33に巻回形成されている巻線32を覆う非磁性の絶縁被覆層37が設けられ(図7(b)参照)、その絶縁被覆層37の上側には磁性を有する絶縁被覆層38が形成されている。なお、この巻線コイル部品30の製造工程では、図7(c)に示されるようにコア部材31のコア巻芯部33に巻線32(32a,32b)を巻回形成した後に、その巻線32を覆う非磁性の絶縁被覆層37と磁性を持つ絶縁被覆層38とを順に積層形成していく。この磁性を持つ絶縁被覆層38が形成された後の状態が図7(d)の斜視図に示されている。
【0005】
さらに、電極35a,35b,36a,36bのそれぞれと、巻線32の端部とを覆う電極層40(40a,40b),41(41a,41b)が鍔部34(34a,34b)上に形成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−8931号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示される巻線コイル部品30においては、コア巻芯部33に巻線32(32a,32b)が巻回されて成るコイルにより生じた磁束は、例えば図7(b)の矢印αに示されるように、コア巻芯部33から、コア部材31の一端側の鍔部34aと、磁性を持つ絶縁被覆層38と、コア部材31の他端側の鍔部34bとを順に通ってコア巻芯部33に戻る磁路を構成する。この磁路は、その経路の全てが磁性を有する部分を通る閉磁路である。
【0008】
このように閉磁路を構成することにより、磁路から漏れる磁束(漏れ磁束)を小さく抑制することができるが、この場合、閉磁路内で磁気飽和が生じ易くなり、直流重畳特性が悪くなるという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、漏れ磁束を抑制しながら、直流重畳特性の向上が図れる巻線コイル部品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、磁性体により構成され両端間にコア巻芯部を形成したコア部材を有し、このコア部材のコア巻芯部に巻線が巻回形成されて成る巻線コイル部品において、コア部材の少なくとも一周面側には、コア巻芯部に巻回された巻線から成るコイルを間隔を介して覆う磁性含有層が形成され、この磁性含有層は、非磁性体材料から成る非磁性層を介しコア部材の両端側にそれぞれ接続されており、前記コイルにより生じた磁束はコア巻芯部から、コア部材の一端側の非磁性層と、磁性含有層と、コア部材の他端側の非磁性層とを順に通ってコア巻芯部に戻る磁路を構成し、当該磁路は非磁性層を通る開磁路と成していることを特徴としている。
【0011】
また、この発明の別の構成の一つは、コア部材の両端部には、コア巻芯部の鍔部がそれぞれ形成され、非磁性層は前記鍔部に設けられ、磁性含有層は、前記非磁性層を介して前記鍔部にそれぞれ接続されており、コイルにより生じた磁束は、前記磁性含有層と前記非磁性層と前記鍔部と前記コア巻芯部を通る磁路を構成することを特徴としている。
【0012】
この発明のさらに別の構成の一つは、非磁性層がコイルと磁性含有層との間にも充填形成されていることを特徴としている。さらに、この発明の別の構成の一つは、コア部材のコア巻芯部は板状と成し、巻線コイル部品は、板状のコア巻芯部が回路基板と平行になる姿勢で回路基板に配設される横置きタイプの巻線コイル部品と成しており、この巻線コイル部品を回路基板に配置した際に天面側となるコア巻芯部面上の全面および鍔部の鍔面に非磁性層が設けられ、この非磁性層の天面側の全面が磁性含有層により覆われていることを特徴としている。さらにまた、この発明の別の構成の一つは、磁性含有層が、磁粉を含有した樹脂により構成されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1(a)には本発明に係る巻線コイル部品の一実施形態例が模式的な斜視図により示され、図1(b)には図1(a)の巻線コイル部品の側面図が示され、図1(c)には図1(a)の巻線コイル部品を底面側から見た図が示されている。この実施形態例の巻線コイル部品1は、図2の斜視図に示されるようなコア部材2を有し、このコア部材2は磁性体材料(例えば透磁率μが200以上の磁性体材料(例えばフェライト))から成り、板状のコア巻芯部3と、このコア巻芯部3の両端部に設けられた鍔部4(4A,4B)とを有して構成されている。
【0015】
このコア部材2のコア巻芯部3に図1(a)〜(c)に示されるように巻線5が巻回形成されている。その巻線5は導線(例えば銅線)に絶縁体が被覆されて成る絶縁被覆導線である。この巻線5は、コア巻芯部3に単層に巻回形成される場合と、多層に巻回形成される場合とがあり、その巻線5の巻回形態は、例えば仕様等により決定される。なお、巻線5の線径は巻線コイル部品1の大きさや、巻線コイル部品に対して要求されているインダクタンス値などの様々な点を考慮して定められるものであり、巻線5の線径の数値は特に限定されるものではないが、その線径の具体例を挙げると、例えば直径φ20μm〜150μm程度である。
【0016】
この実施形態例の巻線コイル部品1は板状のコア巻芯部3が回路基板7と平行になる姿勢でもって回路基板7に配設される横置きタイプの巻線コイル部品である。この巻線コイル部品1は、鍔部4A,4Bが巻線コイル部品1の脚として機能して回路基板7上に配置される。この実施形態例では、それら鍔部4A,4Bの底部側の内側角部はカットされてテーパ面Cと成している(図1(b)参照)。あるいは、図4に示されるように、それら鍔部4A,4Bの底部側の内側角部に丸みを付けて曲面Rとしてもよい。そのように、鍔部4A,4Bの底部側の内側角部をテーパ面Cあるいは曲面Rとして、鍔部4A,4Bの底部側をやや細くする構成とすることにより、コア巻芯部3の撓みに起因した応力を逃がすことができる。これにより、コア巻芯部3の撓みに対する巻線コイル部品1の強度を強めることができる。なお、もちろん、鍔部4(4A,4B)の底部側の内側角部のカット面Cの傾きや曲面Rの曲率は、鍔部4と回路基板7との接触面積や、鍔部4の強度などを考慮しながら、コア巻芯部3の撓みに対する巻線コイル部品1の強度を強めることができるように設定されるものであり、数値が限定されるものではない。
【0017】
この実施形態例では、図3(a)〜(c)に示されるように、鍔部4A,4Bの各々の底部側表面を覆うように電極8(8A,8B)が形成されている。それら電極8A,8Bのうちの一方側(ここでは便宜的に電極8Aとする)に巻線5の巻き始め部分が接合され当該巻線5の巻き始め部分は電気的に電極8Aに接続されている(図1(c)参照)。また、他方側の電極8(8B)には巻線5の巻き終わり部分が上記同様に接合され当該巻線5の巻き終わり部分は電気的に電極8Bに接続されている。例えば、回路基板7における鍔部4A,4Bの各々の設定の配設位置には、それぞれ、電極パッドが形成されており、鍔部4A,4Bがそれぞれ回路基板7の設定の配設位置に例えば半田を介して接合することにより、鍔部4A,4Bの各電極8(8A,8B)がそれぞれ回路基板7側の電極パッドに接続する。これにより、巻線5は、電極8と、回路基板7側の電極パッドとを介して、回路基板7に形成されている回路に導通することができる。
【0018】
電極8の構成は特に限定されるものではないが、ここでは、その電極8の一例を述べる。例えば電極8は多層構造と成す。つまり、鍔部4の底部側表面上にはAgやCu等の下地導電体層が形成される。この下地導電体層は、例えば、ペースト状の導電体をディップ工法や印刷等の技術により鍔部4の底部側表面上に塗布した後に、例えば700〜1000℃の高温で焼き付けることにより、鍔部4の底部側表面上に積層形成される。このように焼き付けにより下地導電体層を積層形成することによって、鍔部4の底部側表面と下地導電体層との接合を強固にすることができる。
【0019】
その下地導電体層の上側には、例えば、Ni層と、Cu層と、Sn層とが順に電解バレルめっき等の方法により積層形成される。それら各層の厚みの具体的な一例を挙げると、例えば、そのNi層の厚みは1μm〜3μm程度であり、Cu層の厚みは2μm〜6μm程度であり、Sn層の厚みは5μm〜25μm程度である。Ni層は、例えば電極8と回路基板7側の電極パッドとを接合するための半田の溶融温度に対して耐熱性がある。また、Cu層は、その半田に対する巻線5の導線(例えば銅線)の食われ性を高めることができる。さらに、Sn層は、巻線(銅線)5と電極8との接合強度を高めることができる。なお、下地導電体層の上側に積層形成される導体層は上述の構成に限られない。例えば、導体層は、Ni層とCu層とSn層が上記とは異なる順序で積層されて成るものであってもよい。また、上記例では導体層は三層構造であったが、単層や二層や四層以上の多層構造であってもよい。さらに、導体層は、複数種の金属から成る合金層を有して構成されていてもよい。さらにまた、導体層は、めっき以外の手法により形成されてもよい。
【0020】
電極8には、例えば、巻線5の端部(巻き始め部分および巻き終わり部分)が熱圧着等の技術を利用して、接合される。巻線5の端部と電極8とを熱圧着により接合する場合には、その熱によって電極8の最上層のSn層が溶融して、巻線5の端部の一部又は全部がSn層に埋設されるので、電極8と巻線5の接合面積が増加して電極8と巻線5の接合強度を高めることができる。また、図1(c)に示されるように、電極8に対して巻線5の端部を傾けて(例えばθ=10°〜70°)配設することでも、電極8と巻線5との接合面積を広くできるので、電極8と巻線5の接合強度をより高めることができる。
【0021】
また、この実施形態例では、図3(b)に示されるように、鍔部4の底面位置に対する電極8の上端位置の高さHは、鍔部4の底面位置に対するコア巻芯部3の底面位置の高さHよりも低くなっている。これにより、鍔部4を覆う電極8の範囲を小さく抑制することができるため、渦電流による損失を低減することができる。
【0022】
この実施形態例では、巻線コイル部品1を回路基板7に搭載したときに天面側となるコア部材2の一周面側(つまり、巻線5が巻回形成されたコア巻芯部面上全面および鍔部4A,4Bの鍔面)に絶縁性を持つ非磁性層10が形成されている。非磁性層10は非磁性体材料により構成されており、その非磁性体材料の例を挙げると、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂や、紫外線硬化性樹脂などがある。そのような非磁性体材料は、ディップ工法や印刷等の技術によって、コア部材2の天面側部分に塗布形成することができる。ディップ工法や印刷等の塗布技術を利用することにより、コア部材2の天面側部分だけに選択的に非磁性体材料を形成することができる。このため、例えば、コア部材2(鍔部4)の底部側の電極8上に絶縁性を持つ非磁性体材料が形成されることを防止することができる。これにより、巻線コイル部品1と回路基板7の導通不良を回避することができる。つまり、電極8上に絶縁性の非磁性体材料が付着すると、その付着した非磁性体材料により電極8の導電性が劣化して巻線コイル部品1と回路基板7間の導通不良が発生し易くなる。これに対して、電極8上に非磁性体材料が付着することを防止できることによって、そのような巻線コイル部品1と回路基板7間の導通不良問題を回避できる。
【0023】
この実施形態例では、磁性を有する磁性含有層11が非磁性層10の天面側全面に積層形成されている。換言すれば、コア巻芯部3に巻線5が巻回形成されて成るコイルと、磁性含有層11との間に非磁性層10が充填形成されると共に、鍔部4の鍔面と磁性含有層11との間にも非磁性層10が形成されている。
【0024】
この実施形態例では、磁性含有層11は、磁粉を含有した樹脂により構成されている。この磁性含有層11を非磁性層10に積層形成する場合には、例えば、ディップ工法や印刷等の塗布技術により形成することができる。そのようなディップ工法や印刷は単純な工法であるために、ディップ工法や印刷等により磁性含有層11を形成することによって、製造工程の簡略化や、巻線コイル部品1の製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
この磁性含有層11において、樹脂に対する磁粉の含有率は、製造上の問題などの様々な点を考慮して設定されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、その樹脂に対する磁粉の含有率を20%〜70%程度にする。このような含有率とすることにより、巻線コイル部品1全体の実効透磁率が高くなる。これにより、巻線コイル部品1が設定のインダクタンス値を持つために必要な巻線5の巻回数を削減することができて、巻線5の直流電流に対する抵抗を小さくすることができる。これにより、巻線コイル部品1の導通損失を抑制することが可能となる。また、磁性含有層11における磁粉の含有率を高めることにより、漏れ磁束量を抑制することができる。
【0026】
この実施形態例では、巻線コイル部品1が上記のように構成されているので、コア巻芯部3に巻線5が巻回されて成るコイルにより生じた磁束は、例えば図1(b)の矢印αに示されるように、コア巻芯部3から、コア部材2の一端側の鍔部4(4A)とその上面の非磁性層10部分と、磁性含有層11と、コア部材2の他端側の非磁性層10部分と鍔部4(4B)とを順に通ってコア巻芯部3に戻る磁路を構成する。この磁路は、途中、非磁性層10を通る開磁路と成している。
【0027】
このように巻線5から成るコイルにより生じた磁束の磁路が開磁路となっていることにより、直流重畳特性を向上させることができる。本発明者は、その効果を実験により確認している。その実験では、次に示すようなサンプルA〜Cの3種の巻線コイル部品を作製し、それら各サンプルA〜Cの各々について、直流重畳特性と、漏れ磁束量とをそれぞれ測定した。
【0028】
サンプルAは、図5に示されるように、鍔部4の鍔面と磁性含有層11との間に非磁性層10が形成されておらず、巻線5のコイルにより生じた磁束の磁路が閉磁路のものである。サンプルBは、この実施形態例において特徴的な構成を有して、鍔部4の鍔面と磁性含有層11との間に非磁性層10が形成され、その鍔部4と磁性含有層11間の非磁性層10部分の厚みdが0.05mmのものであり、巻線5のコイルにより生じた磁束の磁路が開磁路のものである。サンプルCもサンプルBと同様に、巻線5のコイルにより生じた磁束の磁路が開磁路のものであり、このサンプルCは、鍔部4と磁性含有層11間の非磁性層10部分の厚みdが0.2mmである。サンプルA〜Cは、上記した鍔部4と磁性含有層11間の非磁性層10の厚み(0mmも含む)以外の条件は同様である。
【0029】
それらサンプルA〜Cの各々の直流重畳特性は、300mAの直流電流を巻線5に通電したときのコイル(巻線コイル部品1)のインダクタンス値の低下変化率により求めた。また、漏れ磁束量は、巻線コイル部品1から天面側に距離0.1mm離れた位置に銅板を配置したときと、銅板を配置しなかったときとのそれぞれのコイル(巻線コイル部品1)のインダクタンス値を測定し、銅板無し時のインダクタンス値に対する銅板有り時のインダクタンス値の低下率を漏れ磁束量として求めた。この実験結果が表1に表されている。
【0030】
【表1】
Figure 2004363178
【0031】
この実験結果にも示されるように、巻線5のコイルにより生じた磁束の磁路を開磁路(サンプルB,C参照)とすることにより、磁路が閉磁路(サンプルA参照)であるものに比べて、直流重畳特性を格段に改善することができる。このように直流重畳特性を改善できる理由は、開磁路とすることにより、コア部材2の磁気飽和が起こりにくくなるからである。また、磁路が非磁性層10を通る開磁路であるために、その非磁性層10から磁束が漏れ易くなる虞があるが、非磁性層10を通る磁束は天面側に漏れ易く、この実施形態例では、その非磁性層10の天面側には磁性含有層11が設けられている。このため、磁路を開磁路としても、その磁性含有層11によって非磁性層10に起因した漏れ磁束を抑制することができる。
【0032】
すなわち、この実施形態例では、鍔部4と磁性含有層11間に非磁性層10を配置して巻線5のコイルによる磁束の磁路を開磁路とすることにより、漏れ磁束量を殆ど増加させることなく、直流重畳特性を改善することが可能となる。なお、この実施形態例では、磁性含有層11の厚みは、巻線コイル部品1の小型・低背化を考慮しながら、巻線5のコイルによる磁束や、非磁性層10の厚みや、磁性含有層11の透磁率などに基づいて漏れ磁束量を抑制できる厚みに設定されている。
【0033】
なお、この発明はこの実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態をも採り得る。例えば、この実施形態例では、非磁性層10および磁性含有層11はコア部材2の天面側だけに積層形成されていたが、例えば、図6の斜視図に示されるように、コア部材2の天面側および側面側に非磁性層10を形成し、その非磁性層10の天面側と側面側を覆うように磁性含有層11を形成してもよい。
【0034】
さらに、この実施形態例では、磁性含有層11は磁粉入り樹脂により構成されていたが、磁性含有層11を構成する材料は、磁性含有層11の製造手法や、磁性含有層11に対して要求される透磁率や、例えば巻線コイル部品1の低背・小型化を考慮した磁性含有層11に対して許容される層の厚み等の様々な要素を考慮して適宜に定められるものであり、この実施形態例に示した磁粉入り樹脂に限定されるものではない。例えば、磁性含有層11を磁性体から成る板状部材又はフィルムにより構成し、その磁性含有層11の少なくとも両端部を接着剤によりコア部材2に接着接合してもよい。この場合には、その接着剤を非磁性の接着材料により構成することにより、当該接着剤を非磁性層10として機能させることができる。
【0035】
さらに、この実施形態例では、鍔部4の底部側の内側角部にはカット面C又は曲面Rが形成されてコア巻芯部3の撓みに起因した巻線コイル部品1の強度を高める構成を備えていたが、例えば、コア巻芯部3の撓みに起因した巻線コイル部品1の強度劣化の心配が少ない、あるいは、その巻線コイル部品1の強度劣化を他の手段により回避できる場合には、鍔部4の底部側の内側角部にカット面C又は曲面Rが形成されていない構成であってもよい。上記のように、鍔部4の形状は限定されるものではない。
【0036】
さらに、この実施形態例では、コア巻芯部3は板状であったが、例えば、直方体状や円柱状や多角柱状などの他の形状であってもよく、コア巻芯部3の形状によらずに、この実施形態例と同様の構成を備えることにより、この実施形態例と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態例では、巻線コイル部品1は横置きタイプのものであったが、この発明は、横置きタイプの巻線コイル部品に限定されるものではなく、例えばコア巻芯部を回路基板に対して直交する向きにして回路基板に配置される縦置きタイプの巻線コイル部品にも適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、コア部材の少なくとも一周面側には、コア巻芯部に巻回された巻線から成るコイルを間隔を介して覆う磁性含有層が形成され、この磁性含有層は非磁性層を介しコア部材の両端側にそれぞれ接続されている構成とした。このため、巻線のコイルにより生じた磁束は、コア巻芯部から、コア部材の一端側の非磁性層と、磁性含有層と、コア部材の他端側の非磁性層とを順に通ってコア巻芯部に戻る磁路を構成し、この磁路は非磁性層を通る開磁路と成している。
【0038】
このように、コイルの磁束の磁路を開磁路とすることにより、磁路が閉磁路である場合に比べて、コア部材が直流電流に対して磁気飽和しづらくなって直流重畳特性を改善することができる。
【0039】
また、コイルの磁束の磁路を非磁性層を通る開磁路とすることにより、その非磁性層に起因して漏れ磁束量の増加が懸念されるところであるが、この発明では、非磁性層から磁束が漏れ易い方向に磁性含有層が配置されるので、磁路を開磁路としても、漏れ磁束量の増加を抑制することができる。
【0040】
したがって、この発明において特徴的な構成を備えることによって、漏れ磁束量の増加を抑制しながら、直流重畳特性を改善することができる巻線コイル部品を提供することができる。
【0041】
コア巻芯部の両端部に鍔部が設けられ、磁性含有層が、非磁性層を介して前記鍔部に接続されているものにあっては、コイルにより生じた磁束は、磁性含有層と非磁性層と鍔部とコア巻芯部を通る磁路を構成し、この磁路も、上記同様に非磁性層を通る開磁路となっていることから、上記同様に、漏れ磁束量の増加を抑制しながら、直流重畳特性を改善することができるという効果を得ることができる。
【0042】
コイルと磁性含有層との間にも非磁性層が充填形成されているものにあっては、磁性含有層からコイル側への磁束の漏れを抑制することができる。
【0043】
横置きタイプの巻線コイル部品は天面側に磁束が漏れ易く、その漏れ磁束によって巻線コイル部品の周囲に配置されている別の部品に悪影響を与える虞があるが、この横置きタイプの巻線コイル部品を回路基板に配置したときに天面側となる部分の全面が磁性含有層により覆われている構成とするによって、その天面側の磁性含有層により漏れ磁束を抑制することができて、周囲の部品に対して与える悪影響を小さく抑制することができる。また、横置きタイプの巻線コイル部品は小型・低背化が容易である。
【0044】
磁性含有層が磁粉入りの樹脂により構成されているものにあっては、磁性含有層を簡単な工法により形成することができるので、巻線コイル部品の製造工程の簡略化を図ることができて、巻線コイル部品の製造コストを低減することができる。これにより、巻線コイル部品の低コスト化を図ることができる。また、磁粉入り樹脂により磁性含有層を構成することにより、その磁性含有層を非常に薄く形成することが可能であるので、巻線コイル部品の小型化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻線コイル部品の一実施形態例を説明するための図である。
【図2】図1の巻線コイル部品のコア部材を抜き出して示したモデル図である。
【図3】図2のコア部材に電極を形成した状態を説明するための図である。
【図4】コア部材のその他の形態例を説明するための図である。
【図5】本発明者が行った実験に用いたサンプルの一つを示したモデル図である。
【図6】巻線コイル部品のその他の実施形態例を示した模式的な斜視図である。
【図7】特許文献1に記載されている巻線コイル部品の一つを説明するための図である。
【符号の説明】
1 巻線コイル部品
2 コア部材
3 コア巻芯部
4 鍔部
5 巻線
10 非磁性層
11 磁性含有層

Claims (5)

  1. 磁性体により構成され両端間にコア巻芯部を形成したコア部材を有し、このコア部材のコア巻芯部に巻線が巻回形成されて成る巻線コイル部品において、コア部材の少なくとも一周面側には、コア巻芯部に巻回された巻線から成るコイルを間隔を介して覆う磁性含有層が形成され、この磁性含有層は、非磁性体材料から成る非磁性層を介しコア部材の両端側にそれぞれ接続されており、前記コイルにより生じた磁束はコア巻芯部から、コア部材の一端側の非磁性層と、磁性含有層と、コア部材の他端側の非磁性層とを順に通ってコア巻芯部に戻る磁路を構成し、当該磁路は非磁性層を通る開磁路と成していることを特徴とする巻線コイル部品。
  2. コア部材の両端部には、コア巻芯部の鍔部がそれぞれ形成され、非磁性層は前記鍔部に設けられ、磁性含有層は、前記非磁性層を介して前記鍔部にそれぞれ接続されており、コイルにより生じた磁束は、前記磁性含有層と前記非磁性層と前記鍔部と前記コア巻芯部を通る磁路を構成することを特徴とする請求項1記載の巻線コイル部品。
  3. 非磁性層はコイルと磁性含有層との間にも充填形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の巻線コイル部品。
  4. コア部材のコア巻芯部は板状と成し、巻線コイル部品は、板状のコア巻芯部が回路基板と平行になる姿勢で回路基板に配設される横置きタイプの巻線コイル部品と成しており、この巻線コイル部品を回路基板に配置した際に天面側となるコア巻芯部面上の全面および鍔部の鍔面に非磁性層が設けられ、この非磁性層の天面側の全面が磁性含有層により覆われていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の巻線コイル部品。
  5. 磁性含有層は、磁粉を含有した樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の巻線コイル部品。
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