JP4337312B2 - 低背型巻線コイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクタ部品やトランス部品等を構成する低背型巻線コイルに関するものである。
【0002】
【背景技術】
図6には特開2000-124656号公報に開示されている巻線コイルの一例が示されている。この巻線コイル30は、I型磁芯31と、I型磁芯31に巻回形成されるコイル巻線32と、I型磁芯31の周囲を間隔を介して囲繞する磁気シールド部33とを有して構成されている。I型磁芯31は、コイル巻線32が巻回形成される巻き胴部36と、この巻き胴部36の両端部にそれぞれ形成され巻き胴部36よりも張り出した鍔部37a,37bとを有して構成されている。
【0003】
この巻線コイル30の構成では、コイル巻線32が巻回形成されたI型磁芯31は、回路基板35に実装される。また、磁気シールド部33は、I型磁芯31と間隔を介して、I型磁芯31とは別に回路基板35に取り付けられる。そのI型磁芯31の鍔部37a,37bの側部と、磁気シールド部33との間の間隔Sは、0.3 mm〜2.0mmの範囲内の寸法となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
磁気シールド部33は、周囲への漏洩磁束の放出を抑制して近傍に配置される電子部品に磁気的悪影響を与えることを防止するものである。しかしながら、この巻線コイル30の構成では、磁気シールド部33は、I型磁芯31とは別に回路基板35に取り付けられるために、磁気シールド部33とI型磁芯31との間の間隔が製品毎に異なり易い。磁気シールド部33とI型磁芯31間の間隔Sは、巻線コイル30の特性(特に、インダクタンス値L)に関与するものであることから、当該磁気シールド部33とI型磁芯31間の間隔Sのばらつきに起因して、巻線コイル30の特性がばらついてしまうという問題が発生する。
【0005】
また、この巻線コイル30の構成では、コイル巻線32から成るコイルの磁束が磁気シールド部33により閉磁路を形成しないように、I型磁芯31と磁気シールド部33間の間隔Sは広くなっている。このため、巻線コイル30の実効透磁率μは低いものである。これにより、巻線コイル30に目的のインダクタンス値Lを持たせるためには、コイル巻線32の巻回数を多くする必要があり、巻線コイル30の抵抗値が大きくなってしまう。また、直流重畳特性が劣化するという問題が発生する。さらに、I型磁芯31と磁気シールド部33間の間隔Sが大きいために、巻線コイル30の小型化が難しいという問題もある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、特性のばらつきを抑制することができ、しかも、低抵抗で、厚さが1mm以下の低背型巻線コイルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、コイル巻線と、コイル巻線が巻回形成される平型のコア巻芯部と、このコア巻芯部の軸長方向の両端にそれぞれ設けられコア巻芯部に巻回形成されたコイル巻線の層の厚み以上に膨出形成される平型のコア鍔部とを有し、これら平型のコア巻芯部と平型のコア鍔部のそれぞれ平型の面の上面は巻線コイルの天面向きと成し下面は巻線コイルの底面向きと成す姿勢で配置されていて、底面と天面間の全体の厚みが1mm以下の薄さであり、底面側を回路基板に搭載して当該回路基板の表面に実装される表面実装型の低背型巻線コイルであって、コア巻芯部の両側方側には該コア巻芯部の軸長方向に沿わせて該コア巻心部およびコア鍔部を両側方側から挟み込む形態で平型の磁気シールド部が配置されて、当該磁気シールド部の両端部が前記コア軸心部の両端のそれぞれ対応するコア鍔部の側面にギャップを介して接着接続されており、この磁気シールド部は、コア巻芯部にコイル巻線が巻回されて成るコイルの厚み以上の厚みを持ち、また、当該磁気シールド部の底面と天面間の厚みは前記コア鍔部の底面と天面間の厚みよりも薄い厚みに形成されて磁気シールド部の天面は前記コア鍔部の天面よりも低位に位置されており、前記両磁気シールド部間に挟み込まれた形態で配置されているコア鍔部の底面には電極が形成されていて、当該電極の面は前記磁気シールド部の底面よりも下側に突き出した低位に位置されており、このコア巻芯部の一端側のコア鍔部に形成されている電極面にはコイル巻線の巻き始め側の端部が接続され、他端側のコア鍔部の電極面にはコイル巻線の巻き終わり側の端部が接続されていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1には本発明に係る低背型巻線コイルの一実施形態例が模式的な斜視図により示され、図2には図1に示す低背型巻線コイルを底面側から見た平面図が示されている。
【0010】
この実施形態例の低背型巻線コイル1は、コイル巻線2と、コイル巻線2が巻回形成される平型のコア巻芯部3と、コア巻芯部3の両端側に設けられる平型のコア鍔部4a,4bと、コア巻芯部3の両側方側に設けられる磁気シールド部5a,5bと、コア鍔部4a,4bの底面に設けられる接続用電極6a,6bとを有して構成されている。
【0011】
コイル巻線2は例えば銅等の導線に被覆が施されている被覆導線であり、例えば、導線の径φは20〜150μmの範囲内となっている。
【0012】
図3にはコア巻芯部3およびコア鍔部4a,4bが抜き出されて側面図により示されている。これらコア巻芯部3とコア鍔部4a,4bは、例えば金型を利用したプレス成型により一体成型されて成るものであり、フェライト等の磁性体により構成されている。
【0013】
コア巻芯部3には、図4(a)の平面図および図4(b)の側面図に示されるように、コイル巻線2が巻回されてコイル8が形成される。なお、このコイル巻線2の巻回数は、低背型巻線コイル1の仕様等により定められている設定のインダクタンス値Lに応じて設定されるものであり、巻回数が特に限定されるものではない。また、コイル巻線2は、コア巻芯部3に単層に巻回される場合と、2層以上の多層に巻回される場合とがあり、このようなコア巻芯部3におけるコイル巻線2の層数は、設定の巻回数に基づいて適宜に設定されるものである。
【0014】
コア鍔部4a,4bは、コア巻芯部3よりも膨出形成されており、そのコア巻芯部3に対するコア鍔部4a,4bの膨出量ΔB,ΔB’は、コア巻芯部3に巻回されるコイル巻線2の層の厚みd以上となっている。かつ、薄型化の観点から、コア鍔部4a,4bの厚みhは、1mm以下となっている。コア鍔部4a,4bがコア巻芯部3よりも膨出形成されていることから、コア巻芯部3にコイル巻線2を巻回する際に、コイル巻線2がコア巻芯部3からはみ出してしまうことを防止することができる。なお、コア鍔部4a,4bの横方向の膨出量ΔBと、厚み方向の膨出量ΔB’とは、それぞれコイル巻線2の層の厚みd以上であれば、互いに異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0015】
この実施形態例において最も特徴的なことは、コア巻芯部3の軸長方向に沿う一対の磁気シールド部5a,5bがコア巻芯部3とコア鍔部4a,4bの一体成型体を両側方側から挟み込む形態で配置され、これら磁気シールド部5a,5bは、それぞれ、コア鍔部4a,4bの両方に接続されていることである。
【0016】
磁気シールド部5a,5bは、それぞれ、フェライト等の磁性体により構成されており、当該磁気シールド部5a,5bの厚みHは、コイル巻線2がコア巻芯部3に巻回されて成るコイル8の厚みhc(図4(b)参照)よりも厚くなっている。また、磁気シールド部5a,5bは、接着材料であるエポキシ等の樹脂を介してコア鍔部4a,4bに接続されており、磁気シールド部5a,5bとコア鍔部4a,4b間には接着材料によるギャップGが形成されている。この実施形態例では、そのギャップGは、0.03mm≦G≦0.20mmの範囲内のギャップとなっている。
【0017】
このように、磁気シールド部5a,5bをコア鍔部4a,4bに接続させ、これら磁気シールド部5a,5bとコア鍔部4a,4b間の間隔を狭くすることによって、コア巻芯部3とコア鍔部4a,4bと磁気シールド部5a,5bにより、コイル8の磁束の閉磁路が形成される。この結果、低背型巻線コイル1の実効透磁率μを高めることができる。このため、低背型巻線コイル1が設定のインダクタンス値Lを得るためのコイル巻線2の巻回数を少なくすることができて、低背型巻線コイル1の抵抗値Rdcを下げることができる。
【0018】
また、図5のグラフに表されるギャップGと低背型巻線コイル1の実効透磁率μとの関係例に示されるように、ギャップGが、0.03mm≦G≦0.20mmの範囲内にある場合には、ギャップGの変化量に対する実効透磁率μの変動量を小さく抑制することができる。このため、コア鍔部4a,4bと磁気シールド部5a,5b間のギャップGが0.03mm≦G≦0.20mmの範囲内であれば、製品間でギャップGにばらつきが生じても、低背型巻線コイル1のインダクタンス値Lのばらつきを小さく抑えることができる。
【0019】
また、この実施形態例では、磁気シールド部5a,5bの厚みHは、コア鍔部4a,4bの厚みhよりも僅かに(例えば、0.1〜0.2mm程度)薄くなっている。このようにすると、次に示すような効果を得ることができる。例えば、磁気シールド部5a,5bの厚み方向の中心位置と、コア鍔部4a,4bの厚み方向の中心位置とが一致するように、磁気シールド部5a,5bをそれぞれコア鍔部4a,4bに接続すると設定した場合に、コア鍔部4a,4bの設定の取り付け位置に対して磁気シールド部5a,5bが加工精度に起因して厚み方向にずれてしまっても、磁気シールド部5a,5bがコア鍔部4a,4bよりも外側にはみ出すことを防止することができる。例えば、磁気シールド部5a,5bの厚みHがコア鍔部4a,4bの厚みhと等しいと、磁気シールド部5a,5bが設定の取り付け位置からずれてコア鍔部4a,4bに接続された場合に、低背型巻線コイル1全体の厚みはコア鍔部4a,4bの厚みに磁気シールド部5a,5bのずれ量を加算した値となる。その磁気シールド部5a,5bのずれ量にはばらつきが生じるため、低背型巻線コイル1全体の厚みがばらつくという問題が生じる。これに対して、この実施形態例では、磁気シールド部5a,5bがコア鍔部4a,4bよりも外側にはみ出すことを防止することができるので、低背型巻線コイル1全体の厚みは、コア鍔部4a,4bの厚みhとなり、低背型巻線コイル1全体の厚みのばらつきを抑制することができる。
【0020】
さらに、この実施形態例では、磁気シールド部5a,5bは、上記したような厚みHの寸法条件を考慮しつつ、コア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとの飽和磁束密度がほぼ等しくなるように、その寸法が設定されている。具体的には、例えば、コア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとが同じ磁性材料により構成されている場合には、磁気シールド部5aの軸長方向に直交する面による断面積S1と、磁気シールド部5bの軸長方向に直交する面による断面積S2との合計の断面積が、コア巻芯部3の軸長方向に直交する面による断面積Sとほぼ等しくなるように(つまり、S=S1+S2の数式が成立するように)コア巻芯部3と磁気シールド部5a,5bのそれぞれの寸法が設定される。コア巻芯部3と磁気シールド部5a,5bが、そのような寸法を持つことにより、より効率の良い低背型巻線コイル1を得ることができる。
【0021】
なお、磁気シールド部5a,5bのそれぞれの断面形状は、正方形状であることが好ましい。それというのは、磁気シールド部5a,5bの断面形状が正方形状とすることにより、磁気シールド部5a,5bをコア鍔部4a,4bに接続する際に、磁気シールド部5a,5bの縦横の違いを気にすることなく、磁気シールド部5a,5bをコア鍔部4a,4bに接続させることができることとなる。これにより、磁気シールド部5a,5bをコア鍔部4a,4bに接続させる作業の効率を高めることができる。
【0022】
ところで、低背型巻線コイル1は表面実装型の部品であり、例えば、図1に示すような姿勢でもって回路基板10に実装される。回路基板10に実装する際に、回路基板10の表面に対向するコア鍔部4a,4bの面(つまり、底面)には接続用電極6a,6bが形成されている。コア鍔部4aの接続用電極6aとコア鍔部4bの接続用電極6bとのうちの一方側の電極にはコイル巻線2の巻き始め側の端部の裸導線(被覆が除去された導線)が例えば熱圧着により接続され、他方側の電極にはコイル巻線2の巻き終わり側の端部の裸導線が同様に接続されている。
【0023】
この実施形態例では、接続用電極6a,6bが形成されている高さ位置と、コイル巻線2が巻回形成されている高さ位置とが異なる。このため、その高低差によって、コア巻芯部3とコア鍔部4a,4bとの境界領域においてコイル巻線2の一部が浮いた状態となることが懸念されるが、この実施形態例では、それを防止するために、コア巻芯部3とコア鍔部4a,4bとの境界領域には、図3に示されるような傾斜平面Cが形成されている。これにより、コイル巻線2は傾斜平面Cに添って接続用電極6a,6bの高さ位置まで導かれるので、コイル巻線2の一部分が浮いてしまう問題を防止することができる。なお、その傾斜平面Cに代えて、球面状の面を形成してもよい。
【0024】
また、この実施形態例では、接続用電極6a,6bは長方形状と成しており、この接続用電極6a,6bの端縁に対してコイル巻線2の端部は傾きをもって配置されている。例えば、その傾きθは、10°〜70°程度の角度と成している。これにより、例えば、コイル巻線2の端部が接続用電極6a,6bの端縁に対して直交するように配置される場合に比べて、コイル巻線2の端部が接続用電極6a,6bに接触する長さを長くすることができる。これにより、コイル巻線2の端部と接続用電極6a,6bとの接合強度を高めることができる。
【0025】
さらに、この実施形態例では、コイル巻線2の端部の少なくとも一部が接続用電極6a,6bに埋設されて接続されている構成としている。これにより、コイル巻線2の端部と接続用電極6a,6bとの接触面積を増加させている。このことも、コイル巻線2の端部と接続用電極6a,6bとの接合強度を高める要因の一つとなっている。
【0026】
さらにまた、接続用電極6a,6bは、前述の如く、それぞれ、コイル巻線2の巻回形成されている位置よりも外側の位置に形成されている。これにより、コイル巻線2から成るコイル8と、接続用電極6a,6bとの位置がずれて、過電流損失を低減することができる。
【0027】
この実施形態例では、接続用電極6a,6bがそれぞれ半田を介して回路基板10に接続されることにより、低背型巻線コイル1のコイル巻線2(コイル8)は、回路基板10の回路に組み込まれる構成と成している。その接続用電極6a,6bの半田接続の信頼性を高いものとするために、この実施形態例では、接続用電極6a,6bは次に示すような多層構造を有している。
【0028】
例えば、AgやCu等のペースト状の導電体をディップや印刷等の技術によりコア鍔部4a,4bの底面に厚み0.1〜0.2mm程度に形成し、当該導電体を例えば700〜1000℃の高温で焼き付けて電極を形成する。この電極の上に、NiとCuとSnを順に積層形成して多層構造の接続用電極6a,6bが構成される。例えば、Ni層の厚みは1〜3μm程度であり、Cu層の厚みは2〜6μm程度であり、Sn層の厚みは2〜25μm程度である。
【0029】
Snは融点が低く、半田を溶融させるための熱で溶融する。このことから、接続用電極6a,6bの最上層をSn層とすることにより、低背型巻線コイル1を回路基板10に半田により実装するときに、半田を溶融させるための加熱によりSnも溶融して、当該Snは半田に拡散し半田と強固に接合することができる。
【0030】
また、Cuは半田接続時の加熱により、半田の内部に拡散し易いので、コイル巻線2の導線としてCu線が利用される場合には、半田接続時のコイル巻線2のCuの半田への拡散によって不具合が発生する虞がある。これに対して、接続用電極6a,6bの中にCu層を設けることにより、半田加熱時に、そのCu層のCuが半田に拡散することで、半田の内部に拡散するコイル巻線2のCuの割合を減少させることができる。このコイル巻線2のCuの半田への拡散の抑制によって、コイル巻線2のCuの半田への拡散の悪影響を軽減することができる。
【0031】
さらに、接続用電極6a,6bの最下層としてAg層又はCu層が形成されているが、AgやCuは半田に拡散し易い。この実施形態例では、そのAg層又はCu層の上に、半田に拡散し難いNiの層を形成したので、最下層のAg又はCuが半田に拡散するのを防止することができる。つまり、半田による電極損傷を防止することができる。
【0032】
この実施形態例では、少なくとも表面実装の姿勢で天面側に配置されるコイル巻線2部分の上側は、絶縁部材である樹脂(図示せず)により覆われている。これにより、コイル巻線2を保護することができて、低背型巻線コイル1の信頼性を向上させることができる。また、その保護用の樹脂として、安価であるエポキシ樹脂を利用すると、低コスト化を図ることができる。さらに、コイル巻線2の全体を覆うように樹脂を設けることにより、信頼性をより一層向上させることが可能となる。さらにまた、表面実装の姿勢で天面となる低背型巻線コイル1の上面全面に保護用の樹脂を設ける構成とすると、コア鍔部4a,4bと磁気シールド部5a,5b上にも共通に樹脂が形成されることから、コア鍔部4a,4bと磁気シールド部5a,5bはその樹脂によっても接続されることとなり、コア鍔部4a,4bと磁気シールド部5a,5b間の接合強度を高めることができる。
【0033】
以上のように、この実施形態例の特有な構成を備えることにより、低背型巻線コイル1の全体の厚みを1mm以下の薄型としても、十分な機械的な強度と、優れた電気的特性を低背型巻線コイル1に持たせることができる。
【0034】
なお、この発明は、この実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得るものである。
【0035】
例えば、この実施形態例では、コア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとが、同じ磁性材料により構成される例を示したが、それらコア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとは、異なる磁性材料により構成されていてもよい。この場合にも、コア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとは飽和磁束密度がほぼ等しいことが好ましいので、磁性材料の差違を考慮して、コア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとの飽和磁束密度が等しくなるように、それらコア巻芯部3と、磁気シールド部5a,5bとの寸法を設定することが望ましい。
【0036】
さらに、この実施形態例では、接続用電極6a,6bは多層構造を有していたが、接続用電極6a,6bは多層構造でなくともよい。
【0037】
さらに、低背型巻線コイル1の上側に設ける保護用の絶縁部材として、エポキシ樹脂を例に挙げたが、例えば、樹脂に磁性粉を含有させた材料を保護用の絶縁部材として、低背型巻線コイル1の上側に設ける構成としてもよい。この場合には、磁性粉によって低背型巻線コイル1の実効透磁率μを例えば20%程度向上させることも可能となる。さらに、保護用の絶縁部材として、熱硬化型の樹脂を用いてもよい。この場合には、低背型巻線コイル1の上側にその熱硬化型の樹脂を塗布し、その後に、その熱硬化型の樹脂を熱硬化させることにより、その硬化した保護用の樹脂によって、低背型巻線コイル1の強度を高めることができる。
【0038】
【発明の効果】
この発明によれば、磁気シールド部をコア鍔部に接続させる構成とした。このため、磁気シールド部とコア鍔部との間の間隔が製品間で大きく異なるという問題を抑制することができる。磁気シールド部とコア鍔部間の間隔は、低背型巻線コイルのインダクタンス値Lに関与するものであることから、磁気シールド部とコア鍔部間の間隔の製品間でのばらつきが抑制できることにより、低背型巻線コイルのインダクタンス値Lのばらつきを抑制することができる。
【0039】
また、磁気シールド部はコア鍔部に接着材料により接続されており、その接着材料による磁気シールド部とコア鍔部間の間隔を、0.03mm以上、かつ、0.20mm以下の範囲内というような狭い間隔とすることにより、コイルの磁路長が短くなって、低背型巻線コイルの実効透磁率を高めることができる。これにより、低背型巻線コイルに対して要求されているインダクタンス値を得るためのコイル巻線の巻回数を削減することができて、低背型巻線コイルの抵抗値を下げることができる。
【0040】
さらに、磁気シールド部とコア鍔部間の間隔が、0.03mm以上、かつ、0.20mm以下の範囲内であるものにあっては、磁気シールド部をコア鍔部に接続する際の加工精度の問題から、磁気シールド部とコア鍔部間の間隔がばらついても、その間隔が0.03mm以上、かつ、0.20mm以下の範囲内であれば、磁気シールド部とコア鍔部間の間隔の変化量に対する低背型巻線コイルの実効透磁率の変動量は小さいので、低背型巻線コイルの実効透磁率のばらつきを小さく抑制することができる。これにより、磁気シールド部とコア鍔部間の間隔ばらつきに起因した低背型巻線コイルのインダクタンス値Lのばらつきを抑制することができる。
【0041】
このように、この発明の構成を備えることによって、電気的性能に優れた低背型巻線コイルを提供することができる。
【0042】
ところで、表面実装の姿勢で天面側となる巻線コイルの上方側に磁気シールド部を配置する構成が考えられる。しかしながら、この構成では、厚み方向にコア巻芯部と磁気シールド部が配置されることとなるので、その構成を採用して、巻線コイル全体の厚みを1mm以下に薄くしようとすると、平型のコア巻芯部の厚みを薄くしなければならない。このため、コア巻芯部の機械的な強度が弱くなったり、コア巻芯部が撓む等の問題が発生する虞がある。
【0043】
これに対して、この発明では、平型のコア巻芯部の側方側に平型の磁気シールド部を配置した。このため、低背型巻線コイル全体の厚みを1mm以下に薄くしようとする際に、前記構成のものよりも、コア巻芯部の厚みを厚くすることができる。これにより、コア巻芯部の強度劣化の問題や撓み問題を抑制することができる。このように、この発明の構成では、機械的な強度が強くて1mm以下の薄さを持つ低背型巻線コイルを得ることができる。
【0044】
さらに、本発明は、磁気シールド部の厚みをコア鍔部の厚みよりも薄くしたので、磁気シールド部をコア鍔部に取り付ける際に、磁気シールド部がコア鍔部の設定の取り付け位置である例えば厚み方向の中央部から僅かに厚み方向にずれても、磁気シールド部がコア鍔部よりも外側にはみ出すことを防止することができる。これにより、低背型巻線コイルの厚みはコア鍔部の厚みとなる。磁気シールド部とコア鍔部の取り付けの加工精度によって、低背型巻線コイルの厚みがばらつくという問題を防止することができる。
【0045】
さらに、低背型巻線コイルが表面実装型の部品と成しているものにあっては、実装相手の面に対向するコア鍔部の面に電極を形成し、この電極にコイル巻線の端部を接続することにより、そのコイル鍔部の電極を例えば半田を利用して実装相手の面に接続して低背型巻線コイルを表面実装するだけで、ワイヤなどを用いずに、コイル巻線を実装相手に形成された回路部に組み込むことができる。これにより、低背型巻線コイルの取り付け作業の簡略化を図ることができる。
【0046】
さらにまた、少なくとも表面実装の姿勢で天面側に配置されるコイル巻線部分の上側が絶縁部材により覆われているものにあっては、その絶縁部材によってコイル巻線の保護を図ることができて、低背型巻線コイルの耐久性を高めることができる。さらに、その絶縁部材が、樹脂に磁性粉を含有された材料により構成されるものにあっては、低背型巻線コイルの実効透磁率をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低背型巻線コイルの一実施形態例を示す模式的な斜視図である。
【図2】図1に示す低背型巻線コイルを底面側から見た平面図である。
【図3】実施形態例の低背型巻線コイルを構成するコア部分を抜き出して示した側面図である。
【図4】コア部分にコイル巻線を巻回形成した状態を示すモデル図である。
【図5】コア鍔部と磁気シールド部間のギャップGと、低背型巻線コイルの実効透磁率μとの関係例を示すグラフである。
【図6】従来の巻線コイルの一例を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 低背型巻線コイル
2 コイル巻線
3 コア巻芯部
4 コア鍔部
5 磁気シールド部
6 接続用電極
Claims (4)
- コイル巻線と、コイル巻線が巻回形成される平型のコア巻芯部と、このコア巻芯部の軸長方向の両端にそれぞれ設けられコア巻芯部に巻回形成されたコイル巻線の層の厚み以上に膨出形成される平型のコア鍔部とを有し、これら平型のコア巻芯部と平型のコア鍔部のそれぞれ平型の面の上面は巻線コイルの天面向きと成し下面は巻線コイルの底面向きと成す姿勢で配置されていて、底面と天面間の全体の厚みが1mm以下の薄さであり、底面側を回路基板に搭載して当該回路基板の表面に実装される表面実装型の低背型巻線コイルであって、コア巻芯部の両側方側には該コア巻芯部の軸長方向に沿わせて該コア巻心部およびコア鍔部を両側方側から挟み込む形態で平型の磁気シールド部が配置されて、当該磁気シールド部の両端部が前記コア軸心部の両端のそれぞれ対応するコア鍔部の側面にギャップを介して接着接続されており、この磁気シールド部は、コア巻芯部にコイル巻線が巻回されて成るコイルの厚み以上の厚みを持ち、また、当該磁気シールド部の底面と天面間の厚みは前記コア鍔部の底面と天面間の厚みよりも薄い厚みに形成されて磁気シールド部の天面は前記コア鍔部の天面よりも低位に位置されており、前記両磁気シールド部間に挟み込まれた形態で配置されているコア鍔部の底面には電極が形成されていて、当該電極の面は前記磁気シールド部の底面よりも下側に突き出した低位に位置されており、このコア巻芯部の一端側のコア鍔部に形成されている電極面にはコイル巻線の巻き始め側の端部が接続され、他端側のコア鍔部の電極面にはコイル巻線の巻き終わり側の端部が接続されていることを特徴とする低背型巻線コイル。
- 磁気シールド部の両端部における磁気シールド部とコア鍔部との間の接着材料によるギャップは、0.03mm以上、かつ、0.20mm以下の範囲内のギャップであることを特徴とする請求項1記載の低背型巻線コイル。
- 低背型巻線コイルは表面実装型の部品と成しており、少なくとも表面実装の姿勢で天面側に配置されるコイル巻線部分の上側は保護用の絶縁部材で覆われていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の低背型巻線コイル。
- 保護用の絶縁部材は樹脂に磁性粉を含有させた材料により構成されていることを特徴とする請求項3記載の低背型巻線コイル。
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