JP2004362970A - 燃料電池発電システムの純水タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】補強リブの接合後に伝熱チューブのゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブの気密チェックを行う必要がなく、組み付け作業性が良い燃料電池発電システムの純水タンクを提供する。
【解決手段】純水が貯留された純水室14と、純水室14内に配置される伝熱チューブ15とを備え、伝熱チューブ15内のチューブ通路15aに加熱冷媒が流通される燃料電池発電システムの純水タンク10であって、伝熱チューブ15のチューブ通路15aに補強リブ21を配置し、補強リブ21を伝熱チューブ15の内面にろう付けで接合した。
【選択図】 図3
【解決手段】純水が貯留された純水室14と、純水室14内に配置される伝熱チューブ15とを備え、伝熱チューブ15内のチューブ通路15aに加熱冷媒が流通される燃料電池発電システムの純水タンク10であって、伝熱チューブ15のチューブ通路15aに補強リブ21を配置し、補強リブ21を伝熱チューブ15の内面にろう付けで接合した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池発電システムの純水タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池発電システムでは、燃料電池スタックに供給される燃料ガス及び酸化剤ガスを加湿するために純水が必要不可欠となるが、寒冷地等で車両を長時間停車した状態では純水タンク内の純水が凍結する。
【0003】
従って、燃料電池発電システムの始動性を改善するためには、純水タンク内の純水の解凍促進が要求される。そのため、従来では純水タンクとして容量の大きい主タンクとこの主タンクより容量の小さい予備タンクとを備え、主タンクを加熱された冷却水によって、補助タンクをヒータによって暖めることによって純水を解凍する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ヒータを使用する純水タンクの解凍手段は、電線を引き回す必要があると共にヒータの箇所で漏電等の電気事故が発生しないような構造にする必要があるのに対し、冷却水を使用する解凍手段はこのような配慮が必要ない。
【0005】
しかしながら、前記従来例の冷却水を使用する解凍手段は、主タンクを冷却水の配管の近傍に単に配置しているに過ぎないので、解凍性能が低く、純水を迅速に解凍することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本出願人は、純水室の内部に複数の伝熱チューブを配置し、この複数の伝熱チューブ内に加熱冷媒を流通させた純水タンクを提案した。この純水タンクによれば、純水タンク内の純水が伝熱チューブに直接接触するため、解凍性能の向上を図ることができる。そして、伝熱チューブは、貯水効率と解凍性能の面から内外表面積が大きく、且つ、体積の小さい形態が有効であるため、伝熱チューブの形態としては偏平型で、且つ、肉厚の薄くものが望ましい。一方、伝熱チューブの内部には加熱冷媒の流通時に大きな内圧が作用する。従って、伝熱チューブの肉厚を薄く、且つ、内圧に対して強度のある構造とするため、伝熱チューブの内部に補強リブを設けることが必要がある。又、純水タンクに使用される材質としては、イオンの溶出を避けるためにステンレス材を使用するため、上述の形態の伝熱チューブは押し出し成形によって成形できず複数の部品を組み付けることにより形成することになる。
【0007】
具体的には、伝熱チューブ1Aは、図13に示すように、プレス成型等により作成した2つの分割チューブ片部材2を互いに組み付け、この組み付けた分割チューブ片部材2の内部に3つの補強リブ3を組み付けることによって形成される。補強リブ3と分割チューブ片部材2との間は、分割チューブ片部材2の孔2aに外側から溶接を行うことにより接合する。
【0008】
又、他の伝熱チューブ1Bは、図14に示すように、間隔を置いて複数の孔2aが形成された一対の分割チューブ片部材2と孔2aに嵌合される突起3aが左右に突設された補強リブ3とから形成される。2つの分割チューブ片部材2の内部に3本の補強リブ3を配置し、補強リブ3の突起3aを各分割チューブ片部材2の孔2aに填め込み、各孔2aに外側から溶接を行うことにより補強リブ3を各分割チューブ片部材2に接合する。
【0009】
図13の伝熱チューブ1Aは、各箇所の接合強度が溶接状態に大きく依存するため、各孔2aへの溶接状態によって溶接強度にバラツキが出る。図14の伝熱チューブ1Bは、補強リブ3と分割チューブ片部材2との接合強度が溶接状態にあまり依存せずに所定の強度を得ることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−149970号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記いずれの伝熱チューブ1A,1Bも、補強リブ3を分割チューブ片部材2に溶接で接合するため、溶接によって伝熱チューブ1A,1Bのゆがみが大きく、溶接後に伝熱チューブ1A,1Bのゆがみを修正する必要がある。
【0012】
又、分割チューブ片部材2に孔2aを形成するため、溶接後に孔2aが溶接によって密閉されているか否かの漏れをチェックする必要があり、漏れがある場合には補修を行う必要がある。
【0013】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、補強リブの接合後に伝熱チューブのゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブの気密チェックを行う必要がなく、組み付け作業性が良い燃料電池発電システムの純水タンクを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、純水が貯留された純水室と、この純水室内に配置される伝熱チューブとを備え、伝熱チューブ内のチューブ通路に加熱冷媒が流通される燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの前記チューブ通路に補強リブを配置し、この補強リブを伝熱チューブの内面にろう付けで接合したことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記補強リブをろう付けするろう材は、箔状のろう材を使用したことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの前記チューブ通路に前記補強リブと共に箔状のろう材をセットし、このセットした箔状のろう材とは別の補強ろう材を折り曲げ、この折り曲げた補強ろう材の弾性復帰力でセットしたろう材を支持したことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの長さより前記補強リブを短く設定し、前記補強リブを前記伝熱チューブの端部付近の内部には配置しないことを特徴とする。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、伝熱チューブの内部に補強リブをろう付けで接合するため、ゆがみがほとんど発生しない。又、伝熱チューブの側面に孔を開口することなく伝熱チューブの内部に補強リブを接合できる。以上より、補強リブの組み付け後に伝熱チューブのゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブの気密チェックを行う必要がなく、組み付け作業性が良い。
【0019】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ろう材の投入量を箔材の幅で容易に管理することができるため、適正な量によるろう付けが可能である。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、ろう付け過程で温度が上昇し、箔状のろう材が柔らかくなって自立できずに倒れると補強リブと伝熱チューブとの間に流入するろう材の量が不足することになるが、ろう材が倒れるのを補強ろう材によって阻止されるため、溶出したろう材の大部分が補強リブと伝熱チューブの内面との間に流れ込み、適正なろう付けがなされる。
【0021】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、伝熱チューブの両端を溶接でタンク外壁に固定する場合には、溶接の熱が伝熱チューブの内面に伝達されるが、伝熱チューブの端部付近には補強リブが配置されていないため、補強リブを接合するろう材が高温に加熱されない。従って、補強リブを接合するろう材が蒸発して接合不良になることを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示し、図1は本発明の純水タンク10を備え、自動車に搭載された燃料電池発電システムの概略構成図、図2は純水タンク10の横断面図、図3は純水タンク10の縦断面図、図4は伝熱チューブ15の一部斜視図、図5は伝熱チューブ15の端部付近の拡大斜視図、図6は内周壁11aに伝熱チューブ15の端部を挿入する状態の斜視図、図7は内周壁11aに伝熱チューブ15の端部を溶接した状態の断面図である。
【0024】
図1において、燃料電池スタック110は、燃料ガスとして圧縮水素タンク120より純水素が導入される燃料極111と、酸化剤ガスとして外部から取り入れた空気が導入される空気極112とを備え、これら燃料極111に導入された純水素と空気極112に導入された空気中の酸素とを、図外の電解質膜を介して反応させることにより発電させる。
【0025】
燃料電池スタック110に供給される前記水素および空気は、発電作用の活性化および電解質膜の劣化防止のため加湿器130で加湿され、この加湿器130に純水タンク10に貯留された純水が、純水供給パイプ132と純水汲み上げポンプ131とにより供給される。
【0026】
氷点下の外気温条件下で、燃料電池発電システムを停止して長時間停車すると、燃料電池スタック110等のコンポーネントにて破裂を招くおそれがあるため、その対策として運転終了時に純水経路内の純水を抜き取っておくことが必要で、その抜き取った純水は純水戻しパイプ133を介して前記純水タンク10に戻され、ここで貯留される。
【0027】
また、前記燃料電池スタック110では、発電時に発熱するため、この燃料電池スタック110にラジエータ114から冷却液ポンプ141により冷却液を循環させ、燃料電池スタック110を冷却するようにしている。
【0028】
このラジエータ140と燃料電池スタック110とを循環する冷却液として不凍液が用いられている。
【0029】
また、冷却液経路142にはラジエータ140をバイパスするバイパス通路143を設け、3方弁144により燃料電池発電システムの始動時にのみラジエータ140をバイパスさせるようにしている。
【0030】
更に、バイパス通路143に冷却液(不凍液)を加熱するための電熱または水素燃料熱を利用したヒータ145を設置することで、燃料電池スタック110の暖機促進を図れるようにしている。
【0031】
尚、図1中、細い実線αは空気の流通経路、一点鎖線βは水素の流通経路、破線γは不凍液の流通経路、太い実線δは加湿用の純水の流通経路を示す。
【0032】
次に、上記純水タンク10の構成を説明する。図2及び図3に示すように、純水タンク10は、上方が開口された直方体のタンク筐体11とこの上面を塞ぐ上蓋12によって外方が囲まれている。タンク筐体11は、内周壁11aと外周壁11bの2重構造であり、内周壁11aと外周壁11bの間に加熱媒体通路13が形成されている。加熱冷媒通路13は、底面と4つの側面に亘って形成されている。
【0033】
内周壁11aの内部が純水室14とされ、この純水室14に純水が貯留されている。純水室14と加熱冷媒通路13とは内周壁11aを介して底面と4側面の全域で隣接されている。
【0034】
純水室14には間隔を置いて複数の伝熱チューブ15が配置されている。この各伝熱チューブ15の両端は内周壁11aにそれぞれ固定されており、伝熱チューブ15の内部のチューブ通路15aは熱媒体通路13に開口されている。伝熱チューブ15の詳しい構成は、下記する。
【0035】
又、外周壁11bには入口パイプ17と出口パイプ18が設けられ、入口パイプ17及び出口パイプ18は上記した冷却液経路142に接続されている。そして、冷却液経路142の加熱冷媒としての冷却液が加熱媒体通路13及び各伝熱チューブ15のチューブ通路15aを流通するようになっている。
【0036】
純水供給パイプ132は、外部より上蓋12を介して純水室14内に導かれ、その先端開口部が純水室14の底面近傍に配置されている。
【0037】
純水戻しパイプ133(図2及び図3に図示せず)は、外部より上蓋12を介して純水室14内に導かれ、その先端開口部が純水室14の天井位置に配置されている。
【0038】
次に、上記伝熱チューブ15の構成、製造方法、内周壁11aへの固定方法を説明する。図4に示すように、プレス成型等により作成した2つの分割チューブ片部材20を互いに組み付け、この組み付けた2つの分割チューブ片部材20によって伝熱チューブ15の形状が偏平形で、且つ、内部に上下方向に細長いチューブ通路15aが形成されている。このチューブ通路15aの上下方向の3箇所に補強リブ21が配置されている。
【0039】
各補強リブ21は、コ字形状を有し、各分割チューブ片部材20の内面にろう付けで接合されている。補強リブ21は、図5に示すように、2つの分割チューブ片部材20の内部に挿入し、所定位置で仮固定する。この仮固定された補強リブ21の上面の両端部に沿って長手方向に連続的にろう材22を供給し、所定温度に加熱する。すると、ろう材22が溶解し、溶解したろう材22が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との隙間に流れ込み、この流れ込んだろう材22が温度低下で固化することによって接合される。このろう付け工程において、補強リブ21のチューブ通路15aへの仮固定は、図5に示すように、補強リブ21の端部を分割チューブ片部材20にスポット的に溶接aすることによって容易に行うことができる。
【0040】
次に、このようにして作成した各伝熱チューブ15の両端は、図6及び図7に示すように、内周壁11aの各チューブ挿入孔23に挿入し、伝熱チューブ15の端部を内周壁11aに溶接aでそれぞれ接合する。ここで、図7に示すように、伝熱チューブ15の端部が内周壁11aのチューブ挿入孔23よりわずかに突出するような寸法関係に設定しておけば、伝熱チューブ15と内周壁11aとの間に溶接糊代が確保されるため、溶接aを容易に行うことができ、好ましい。
【0041】
上記した伝熱チューブ15によれば、伝熱チューブ15の内部に補強リブ21をろう付けで接合し、ろう付け接合は伝熱チューブ15にほとんどゆがみを発生させない。又、ろう付け接合は、従来例のように分割チューブ片部材20の側面に孔を開口することなく内部に補強リブ21を接合できる。以上より、補強リブ21の接合後に伝熱チューブ15のゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブ15の気密チェックを行う必要もなく、組み付け作業性が良い。
【0042】
ところで、伝熱チューブ15を内周壁11aにろう付けする工程では、純水室14を水密に保持するため、チューブ挿入孔23の箇所に隙間ができないようにする必要がある。ここで、伝熱チューブ15はろう付け接合でゆがみがほとんど発生しないため、チューブ挿入孔23に伝熱チューブ15を挿入した状態で予め予定された設計通りのクリアランスしか発生せず、溶接aによって容易に、且つ、確実にクリアランスを埋めることができる。
【0043】
次に、上記純水タンク10の作用を説明する。自動車の運転時には、純水タンク10の純水が純水供給パイプ132より加湿器130等に供給される。そして、運転終了時には加湿器130等に供給された全ての純水が純水戻しパイプ133より純水タンク10に戻される。
【0044】
そして、設置場所の温度が氷点下以下(例えば−30℃)で燃料電池発電システム1が起動されると、0℃以上の高温に暖められた冷却液が純水タンク10内の加熱冷媒通路13及び伝熱チューブ15のチューブ通路15aに流通し、その通過の際に低温の純水と熱交換し、純水タンク10内の純水が解凍される。
【0045】
一方、設置場所の温度が氷点下以下(例えば−30℃)で燃料電池発電システムの運転が終了すると、純水タンク10内の純水が徐々に凍結し、凍結による体積膨張によって伝熱チューブ15の外側より内側に向かって圧力が加わる。又、凍結によって純水の体積が膨張して純水の上面が上昇するが、その際に伝熱チューブ15の外周面に接触している氷が伝熱チューブ15の外周面を滑りつつ上昇することになる。この際に伝熱チューブ15の外周面に従来例のように溶接ビートの凹凸があると抵抗となり、氷の上昇が妨げられて伝熱チューブ15や内周壁11aに応力が発生するが、本発明では上記実施形態のように伝熱チューブ15の外周面に凹凸を全く形成することなく構成できるため、凍結時の応力を極力小さく抑えることができる。
【0046】
図8は内周壁11aの変形例を示し、コ字状壁体30と伝熱チューブ15の斜視図である。図8に示すように、内周壁は、底面部30aとその両端より立設された2枚の側面部30bがコ字状壁体30と、このコ字状壁体30の開口側面に後に張り付けられるプレート状の側面部(図示せず)とから構成される。コ字状壁体30の各側面部30bには、その対向位置にチューブ挿入孔23がそれぞれ形成されている。そして、伝熱チューブ15を一方の側面部30b側から他方の側面部30b側に貫通させるようにして挿入する。この挿入に際して伝熱チューブ15の断面形状がゆがみにより変形しておれば非常に挿入が困難であるが、本発明の伝熱チューブ14には補強リブ21の接合によるゆがみがほとんど発生しないため、非常にスムーズに挿入できる。
【0047】
図9は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第1変形例を示す正面図である。図9に示すように、この第1変形例では2枚の箔状のろう材31を使用し、2枚の箔状のろう材31を補強リブ21の上面の両端に垂直にそれぞれ配置する。そして、所定温度に加熱すると、箔状のろう材31が溶解し、溶解したろう材31が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との隙間に流れ込み、この流れ込んだろう材31が温度低下で固化することによって接合される。
【0048】
この第1変形例では、ろう材31の投入量を箔材の幅で容易に管理することができるため、適正な量によるろう付けが可能である。
【0049】
図10は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第2変形例を示す正面図である。図10に示すように、この第2変形例では、2枚の箔状のろう材31と共に、1枚の同じく箔状の補強ろう材32を使用する。2枚の箔状のろう材31は、第1変形例と同様に、補強リブ21の上面の両端に垂直にそれぞれ配置し、その2枚の箔状のろう材31の間に補強ろう材32を折曲し、その端部を各ろう材31に当接させるようにして配置する。つまり、補強ろう材32の弾性復帰力により2枚のろう材31を分割チューブ片部材20の内面に押圧することによって箔状のろう材31を支持する。
【0050】
ここで、補強ろう材32を使用しない場合には、所定温度に加熱し、箔状のろう材31が柔らかくなって自立できずに倒れると補強リブ21と分割チューブ片部材20との間に流入するろう材の量が不足することになる。しかし、第2変形例では、箔状のろう材31が倒れるのを補強ろう材32によって阻止される。従って、溶出したろう材31の大部分が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との間に流れ込み、適正な量によるろう付けがなされる。
【0051】
図11及び図12は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第3変形例を示し、図11はその伝熱チューブ15の斜視図、図12は伝熱チューブ15を内周壁11aに溶接した状態の断面図である。
【0052】
図11に示すように、この第3変形例では、伝熱チューブ15の長さより補強リブ21を短く設定し、補強リブ21が伝熱チューブ15の端部付近の内部には配置しないで中央部分にのみ配置されている。
【0053】
つまり、補強リブ21が伝熱チューブ15の端部にまで配置されている場合には、伝熱チューブ15の両端を溶接aで内周壁11aに固定する場合に、溶接の熱が伝熱チューブ15の内面に伝達されて補強リブ21を接合するろう材が高温に加熱されるため、ろう材が蒸発して接合不良になる恐れがある。しかし、第3変形例では、溶接の熱が伝熱チューブ15の内面に伝達されるが、伝熱チューブ15の端部付近に補強リブ21が配置されていないため、補強リブ21を接合するろう材が高温に加熱されない。従って、補強リブ21を接合するろう材が蒸発して接合不良になることを防止できる。
【0054】
また、温媒(加熱媒体)の抵抗を低減するため、伝熱チューブ15の両端は、タンク筐体11の外壁から飛び出さないように形成するが、実際はタンク筐体11からの伝熱チューブ15の突出寸法を約1mm程度にして、この1mm程度分を溶接にて溶かし込んでタンクの外壁と接合している。
【0055】
このため、補強リブ21が伝熱チューブ21の端部まで設けられていると、溶接で伝熱チューブを溶かす時、ろう材22が揮発してろう付け不良を起こし、伝熱チューブ15とタンク筐体11の外壁との接合部分に漏れが発生するが、本実施形態では、補強リブ21は伝熱チューブ15の端部付近に配置されていないので、補強リブを接合するろう材が高温に加熱されることがなく、ろう材が蒸発して接合不良になることがない。
【0056】
尚、前記実施形態では、伝熱チューブ15内に補強リブ21を3箇所に配置したが、1又は2箇所でも良く、又、4箇所以上でも良い。
【0057】
尚、前記実施形態では、燃料電池発電システムは電気自動車に搭載される場合として説明したが、家庭用などの燃料電池発電システムとして利用されるものであっても本発明は同様に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、本発明の純水タンクを備え、自動車に搭載された燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、純水タンクの横断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、純水タンクの縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、伝熱チューブの一部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、伝熱チューブの端部付近の拡大斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、内周壁に伝熱チューブの端部を挿入する状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、内周壁に伝熱チューブの端部が溶接された状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の内周壁の変形例を示し、コ字状体と伝熱チューブの斜視図である。
【図9】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第1変形例を示す正面図である。
【図10】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第2変形例を示す正面図である。
【図11】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第3変形例を示し、その伝熱チューブの斜視図である。
【図12】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第3変形例を示し、伝熱チューブを内周壁に溶接した状態の断面図である。
【図13】本出願人が先に提案した伝熱チューブの一部斜視図である。
【図14】本出願人が先に提案した他の伝熱チューブの一部斜視図である。
【符号の説明】
10 純水タンク
14 純水室
15 伝熱チューブ
15a チューブ通路
21 補強リブ
22 ろう材
31 箔状のろう材
32 補強ろう材
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池発電システムの純水タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池発電システムでは、燃料電池スタックに供給される燃料ガス及び酸化剤ガスを加湿するために純水が必要不可欠となるが、寒冷地等で車両を長時間停車した状態では純水タンク内の純水が凍結する。
【0003】
従って、燃料電池発電システムの始動性を改善するためには、純水タンク内の純水の解凍促進が要求される。そのため、従来では純水タンクとして容量の大きい主タンクとこの主タンクより容量の小さい予備タンクとを備え、主タンクを加熱された冷却水によって、補助タンクをヒータによって暖めることによって純水を解凍する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ヒータを使用する純水タンクの解凍手段は、電線を引き回す必要があると共にヒータの箇所で漏電等の電気事故が発生しないような構造にする必要があるのに対し、冷却水を使用する解凍手段はこのような配慮が必要ない。
【0005】
しかしながら、前記従来例の冷却水を使用する解凍手段は、主タンクを冷却水の配管の近傍に単に配置しているに過ぎないので、解凍性能が低く、純水を迅速に解凍することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本出願人は、純水室の内部に複数の伝熱チューブを配置し、この複数の伝熱チューブ内に加熱冷媒を流通させた純水タンクを提案した。この純水タンクによれば、純水タンク内の純水が伝熱チューブに直接接触するため、解凍性能の向上を図ることができる。そして、伝熱チューブは、貯水効率と解凍性能の面から内外表面積が大きく、且つ、体積の小さい形態が有効であるため、伝熱チューブの形態としては偏平型で、且つ、肉厚の薄くものが望ましい。一方、伝熱チューブの内部には加熱冷媒の流通時に大きな内圧が作用する。従って、伝熱チューブの肉厚を薄く、且つ、内圧に対して強度のある構造とするため、伝熱チューブの内部に補強リブを設けることが必要がある。又、純水タンクに使用される材質としては、イオンの溶出を避けるためにステンレス材を使用するため、上述の形態の伝熱チューブは押し出し成形によって成形できず複数の部品を組み付けることにより形成することになる。
【0007】
具体的には、伝熱チューブ1Aは、図13に示すように、プレス成型等により作成した2つの分割チューブ片部材2を互いに組み付け、この組み付けた分割チューブ片部材2の内部に3つの補強リブ3を組み付けることによって形成される。補強リブ3と分割チューブ片部材2との間は、分割チューブ片部材2の孔2aに外側から溶接を行うことにより接合する。
【0008】
又、他の伝熱チューブ1Bは、図14に示すように、間隔を置いて複数の孔2aが形成された一対の分割チューブ片部材2と孔2aに嵌合される突起3aが左右に突設された補強リブ3とから形成される。2つの分割チューブ片部材2の内部に3本の補強リブ3を配置し、補強リブ3の突起3aを各分割チューブ片部材2の孔2aに填め込み、各孔2aに外側から溶接を行うことにより補強リブ3を各分割チューブ片部材2に接合する。
【0009】
図13の伝熱チューブ1Aは、各箇所の接合強度が溶接状態に大きく依存するため、各孔2aへの溶接状態によって溶接強度にバラツキが出る。図14の伝熱チューブ1Bは、補強リブ3と分割チューブ片部材2との接合強度が溶接状態にあまり依存せずに所定の強度を得ることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−149970号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記いずれの伝熱チューブ1A,1Bも、補強リブ3を分割チューブ片部材2に溶接で接合するため、溶接によって伝熱チューブ1A,1Bのゆがみが大きく、溶接後に伝熱チューブ1A,1Bのゆがみを修正する必要がある。
【0012】
又、分割チューブ片部材2に孔2aを形成するため、溶接後に孔2aが溶接によって密閉されているか否かの漏れをチェックする必要があり、漏れがある場合には補修を行う必要がある。
【0013】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、補強リブの接合後に伝熱チューブのゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブの気密チェックを行う必要がなく、組み付け作業性が良い燃料電池発電システムの純水タンクを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、純水が貯留された純水室と、この純水室内に配置される伝熱チューブとを備え、伝熱チューブ内のチューブ通路に加熱冷媒が流通される燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの前記チューブ通路に補強リブを配置し、この補強リブを伝熱チューブの内面にろう付けで接合したことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記補強リブをろう付けするろう材は、箔状のろう材を使用したことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの前記チューブ通路に前記補強リブと共に箔状のろう材をセットし、このセットした箔状のろう材とは別の補強ろう材を折り曲げ、この折り曲げた補強ろう材の弾性復帰力でセットしたろう材を支持したことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3記載の燃料電池発電システムの純水タンクであって、前記伝熱チューブの長さより前記補強リブを短く設定し、前記補強リブを前記伝熱チューブの端部付近の内部には配置しないことを特徴とする。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、伝熱チューブの内部に補強リブをろう付けで接合するため、ゆがみがほとんど発生しない。又、伝熱チューブの側面に孔を開口することなく伝熱チューブの内部に補強リブを接合できる。以上より、補強リブの組み付け後に伝熱チューブのゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブの気密チェックを行う必要がなく、組み付け作業性が良い。
【0019】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ろう材の投入量を箔材の幅で容易に管理することができるため、適正な量によるろう付けが可能である。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、ろう付け過程で温度が上昇し、箔状のろう材が柔らかくなって自立できずに倒れると補強リブと伝熱チューブとの間に流入するろう材の量が不足することになるが、ろう材が倒れるのを補強ろう材によって阻止されるため、溶出したろう材の大部分が補強リブと伝熱チューブの内面との間に流れ込み、適正なろう付けがなされる。
【0021】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、伝熱チューブの両端を溶接でタンク外壁に固定する場合には、溶接の熱が伝熱チューブの内面に伝達されるが、伝熱チューブの端部付近には補強リブが配置されていないため、補強リブを接合するろう材が高温に加熱されない。従って、補強リブを接合するろう材が蒸発して接合不良になることを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示し、図1は本発明の純水タンク10を備え、自動車に搭載された燃料電池発電システムの概略構成図、図2は純水タンク10の横断面図、図3は純水タンク10の縦断面図、図4は伝熱チューブ15の一部斜視図、図5は伝熱チューブ15の端部付近の拡大斜視図、図6は内周壁11aに伝熱チューブ15の端部を挿入する状態の斜視図、図7は内周壁11aに伝熱チューブ15の端部を溶接した状態の断面図である。
【0024】
図1において、燃料電池スタック110は、燃料ガスとして圧縮水素タンク120より純水素が導入される燃料極111と、酸化剤ガスとして外部から取り入れた空気が導入される空気極112とを備え、これら燃料極111に導入された純水素と空気極112に導入された空気中の酸素とを、図外の電解質膜を介して反応させることにより発電させる。
【0025】
燃料電池スタック110に供給される前記水素および空気は、発電作用の活性化および電解質膜の劣化防止のため加湿器130で加湿され、この加湿器130に純水タンク10に貯留された純水が、純水供給パイプ132と純水汲み上げポンプ131とにより供給される。
【0026】
氷点下の外気温条件下で、燃料電池発電システムを停止して長時間停車すると、燃料電池スタック110等のコンポーネントにて破裂を招くおそれがあるため、その対策として運転終了時に純水経路内の純水を抜き取っておくことが必要で、その抜き取った純水は純水戻しパイプ133を介して前記純水タンク10に戻され、ここで貯留される。
【0027】
また、前記燃料電池スタック110では、発電時に発熱するため、この燃料電池スタック110にラジエータ114から冷却液ポンプ141により冷却液を循環させ、燃料電池スタック110を冷却するようにしている。
【0028】
このラジエータ140と燃料電池スタック110とを循環する冷却液として不凍液が用いられている。
【0029】
また、冷却液経路142にはラジエータ140をバイパスするバイパス通路143を設け、3方弁144により燃料電池発電システムの始動時にのみラジエータ140をバイパスさせるようにしている。
【0030】
更に、バイパス通路143に冷却液(不凍液)を加熱するための電熱または水素燃料熱を利用したヒータ145を設置することで、燃料電池スタック110の暖機促進を図れるようにしている。
【0031】
尚、図1中、細い実線αは空気の流通経路、一点鎖線βは水素の流通経路、破線γは不凍液の流通経路、太い実線δは加湿用の純水の流通経路を示す。
【0032】
次に、上記純水タンク10の構成を説明する。図2及び図3に示すように、純水タンク10は、上方が開口された直方体のタンク筐体11とこの上面を塞ぐ上蓋12によって外方が囲まれている。タンク筐体11は、内周壁11aと外周壁11bの2重構造であり、内周壁11aと外周壁11bの間に加熱媒体通路13が形成されている。加熱冷媒通路13は、底面と4つの側面に亘って形成されている。
【0033】
内周壁11aの内部が純水室14とされ、この純水室14に純水が貯留されている。純水室14と加熱冷媒通路13とは内周壁11aを介して底面と4側面の全域で隣接されている。
【0034】
純水室14には間隔を置いて複数の伝熱チューブ15が配置されている。この各伝熱チューブ15の両端は内周壁11aにそれぞれ固定されており、伝熱チューブ15の内部のチューブ通路15aは熱媒体通路13に開口されている。伝熱チューブ15の詳しい構成は、下記する。
【0035】
又、外周壁11bには入口パイプ17と出口パイプ18が設けられ、入口パイプ17及び出口パイプ18は上記した冷却液経路142に接続されている。そして、冷却液経路142の加熱冷媒としての冷却液が加熱媒体通路13及び各伝熱チューブ15のチューブ通路15aを流通するようになっている。
【0036】
純水供給パイプ132は、外部より上蓋12を介して純水室14内に導かれ、その先端開口部が純水室14の底面近傍に配置されている。
【0037】
純水戻しパイプ133(図2及び図3に図示せず)は、外部より上蓋12を介して純水室14内に導かれ、その先端開口部が純水室14の天井位置に配置されている。
【0038】
次に、上記伝熱チューブ15の構成、製造方法、内周壁11aへの固定方法を説明する。図4に示すように、プレス成型等により作成した2つの分割チューブ片部材20を互いに組み付け、この組み付けた2つの分割チューブ片部材20によって伝熱チューブ15の形状が偏平形で、且つ、内部に上下方向に細長いチューブ通路15aが形成されている。このチューブ通路15aの上下方向の3箇所に補強リブ21が配置されている。
【0039】
各補強リブ21は、コ字形状を有し、各分割チューブ片部材20の内面にろう付けで接合されている。補強リブ21は、図5に示すように、2つの分割チューブ片部材20の内部に挿入し、所定位置で仮固定する。この仮固定された補強リブ21の上面の両端部に沿って長手方向に連続的にろう材22を供給し、所定温度に加熱する。すると、ろう材22が溶解し、溶解したろう材22が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との隙間に流れ込み、この流れ込んだろう材22が温度低下で固化することによって接合される。このろう付け工程において、補強リブ21のチューブ通路15aへの仮固定は、図5に示すように、補強リブ21の端部を分割チューブ片部材20にスポット的に溶接aすることによって容易に行うことができる。
【0040】
次に、このようにして作成した各伝熱チューブ15の両端は、図6及び図7に示すように、内周壁11aの各チューブ挿入孔23に挿入し、伝熱チューブ15の端部を内周壁11aに溶接aでそれぞれ接合する。ここで、図7に示すように、伝熱チューブ15の端部が内周壁11aのチューブ挿入孔23よりわずかに突出するような寸法関係に設定しておけば、伝熱チューブ15と内周壁11aとの間に溶接糊代が確保されるため、溶接aを容易に行うことができ、好ましい。
【0041】
上記した伝熱チューブ15によれば、伝熱チューブ15の内部に補強リブ21をろう付けで接合し、ろう付け接合は伝熱チューブ15にほとんどゆがみを発生させない。又、ろう付け接合は、従来例のように分割チューブ片部材20の側面に孔を開口することなく内部に補強リブ21を接合できる。以上より、補強リブ21の接合後に伝熱チューブ15のゆがみを修正する必要がなく、且つ、伝熱チューブ15の気密チェックを行う必要もなく、組み付け作業性が良い。
【0042】
ところで、伝熱チューブ15を内周壁11aにろう付けする工程では、純水室14を水密に保持するため、チューブ挿入孔23の箇所に隙間ができないようにする必要がある。ここで、伝熱チューブ15はろう付け接合でゆがみがほとんど発生しないため、チューブ挿入孔23に伝熱チューブ15を挿入した状態で予め予定された設計通りのクリアランスしか発生せず、溶接aによって容易に、且つ、確実にクリアランスを埋めることができる。
【0043】
次に、上記純水タンク10の作用を説明する。自動車の運転時には、純水タンク10の純水が純水供給パイプ132より加湿器130等に供給される。そして、運転終了時には加湿器130等に供給された全ての純水が純水戻しパイプ133より純水タンク10に戻される。
【0044】
そして、設置場所の温度が氷点下以下(例えば−30℃)で燃料電池発電システム1が起動されると、0℃以上の高温に暖められた冷却液が純水タンク10内の加熱冷媒通路13及び伝熱チューブ15のチューブ通路15aに流通し、その通過の際に低温の純水と熱交換し、純水タンク10内の純水が解凍される。
【0045】
一方、設置場所の温度が氷点下以下(例えば−30℃)で燃料電池発電システムの運転が終了すると、純水タンク10内の純水が徐々に凍結し、凍結による体積膨張によって伝熱チューブ15の外側より内側に向かって圧力が加わる。又、凍結によって純水の体積が膨張して純水の上面が上昇するが、その際に伝熱チューブ15の外周面に接触している氷が伝熱チューブ15の外周面を滑りつつ上昇することになる。この際に伝熱チューブ15の外周面に従来例のように溶接ビートの凹凸があると抵抗となり、氷の上昇が妨げられて伝熱チューブ15や内周壁11aに応力が発生するが、本発明では上記実施形態のように伝熱チューブ15の外周面に凹凸を全く形成することなく構成できるため、凍結時の応力を極力小さく抑えることができる。
【0046】
図8は内周壁11aの変形例を示し、コ字状壁体30と伝熱チューブ15の斜視図である。図8に示すように、内周壁は、底面部30aとその両端より立設された2枚の側面部30bがコ字状壁体30と、このコ字状壁体30の開口側面に後に張り付けられるプレート状の側面部(図示せず)とから構成される。コ字状壁体30の各側面部30bには、その対向位置にチューブ挿入孔23がそれぞれ形成されている。そして、伝熱チューブ15を一方の側面部30b側から他方の側面部30b側に貫通させるようにして挿入する。この挿入に際して伝熱チューブ15の断面形状がゆがみにより変形しておれば非常に挿入が困難であるが、本発明の伝熱チューブ14には補強リブ21の接合によるゆがみがほとんど発生しないため、非常にスムーズに挿入できる。
【0047】
図9は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第1変形例を示す正面図である。図9に示すように、この第1変形例では2枚の箔状のろう材31を使用し、2枚の箔状のろう材31を補強リブ21の上面の両端に垂直にそれぞれ配置する。そして、所定温度に加熱すると、箔状のろう材31が溶解し、溶解したろう材31が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との隙間に流れ込み、この流れ込んだろう材31が温度低下で固化することによって接合される。
【0048】
この第1変形例では、ろう材31の投入量を箔材の幅で容易に管理することができるため、適正な量によるろう付けが可能である。
【0049】
図10は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第2変形例を示す正面図である。図10に示すように、この第2変形例では、2枚の箔状のろう材31と共に、1枚の同じく箔状の補強ろう材32を使用する。2枚の箔状のろう材31は、第1変形例と同様に、補強リブ21の上面の両端に垂直にそれぞれ配置し、その2枚の箔状のろう材31の間に補強ろう材32を折曲し、その端部を各ろう材31に当接させるようにして配置する。つまり、補強ろう材32の弾性復帰力により2枚のろう材31を分割チューブ片部材20の内面に押圧することによって箔状のろう材31を支持する。
【0050】
ここで、補強ろう材32を使用しない場合には、所定温度に加熱し、箔状のろう材31が柔らかくなって自立できずに倒れると補強リブ21と分割チューブ片部材20との間に流入するろう材の量が不足することになる。しかし、第2変形例では、箔状のろう材31が倒れるのを補強ろう材32によって阻止される。従って、溶出したろう材31の大部分が補強リブ21と分割チューブ片部材20の内面との間に流れ込み、適正な量によるろう付けがなされる。
【0051】
図11及び図12は補強リブ21を伝熱チューブ15のチューブ通路15a内にろう付けする工程の第3変形例を示し、図11はその伝熱チューブ15の斜視図、図12は伝熱チューブ15を内周壁11aに溶接した状態の断面図である。
【0052】
図11に示すように、この第3変形例では、伝熱チューブ15の長さより補強リブ21を短く設定し、補強リブ21が伝熱チューブ15の端部付近の内部には配置しないで中央部分にのみ配置されている。
【0053】
つまり、補強リブ21が伝熱チューブ15の端部にまで配置されている場合には、伝熱チューブ15の両端を溶接aで内周壁11aに固定する場合に、溶接の熱が伝熱チューブ15の内面に伝達されて補強リブ21を接合するろう材が高温に加熱されるため、ろう材が蒸発して接合不良になる恐れがある。しかし、第3変形例では、溶接の熱が伝熱チューブ15の内面に伝達されるが、伝熱チューブ15の端部付近に補強リブ21が配置されていないため、補強リブ21を接合するろう材が高温に加熱されない。従って、補強リブ21を接合するろう材が蒸発して接合不良になることを防止できる。
【0054】
また、温媒(加熱媒体)の抵抗を低減するため、伝熱チューブ15の両端は、タンク筐体11の外壁から飛び出さないように形成するが、実際はタンク筐体11からの伝熱チューブ15の突出寸法を約1mm程度にして、この1mm程度分を溶接にて溶かし込んでタンクの外壁と接合している。
【0055】
このため、補強リブ21が伝熱チューブ21の端部まで設けられていると、溶接で伝熱チューブを溶かす時、ろう材22が揮発してろう付け不良を起こし、伝熱チューブ15とタンク筐体11の外壁との接合部分に漏れが発生するが、本実施形態では、補強リブ21は伝熱チューブ15の端部付近に配置されていないので、補強リブを接合するろう材が高温に加熱されることがなく、ろう材が蒸発して接合不良になることがない。
【0056】
尚、前記実施形態では、伝熱チューブ15内に補強リブ21を3箇所に配置したが、1又は2箇所でも良く、又、4箇所以上でも良い。
【0057】
尚、前記実施形態では、燃料電池発電システムは電気自動車に搭載される場合として説明したが、家庭用などの燃料電池発電システムとして利用されるものであっても本発明は同様に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、本発明の純水タンクを備え、自動車に搭載された燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、純水タンクの横断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、純水タンクの縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、伝熱チューブの一部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、伝熱チューブの端部付近の拡大斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、内周壁に伝熱チューブの端部を挿入する状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、内周壁に伝熱チューブの端部が溶接された状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の内周壁の変形例を示し、コ字状体と伝熱チューブの斜視図である。
【図9】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第1変形例を示す正面図である。
【図10】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第2変形例を示す正面図である。
【図11】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第3変形例を示し、その伝熱チューブの斜視図である。
【図12】補強リブを伝熱チューブのチューブ通路内にろう付けする工程の第3変形例を示し、伝熱チューブを内周壁に溶接した状態の断面図である。
【図13】本出願人が先に提案した伝熱チューブの一部斜視図である。
【図14】本出願人が先に提案した他の伝熱チューブの一部斜視図である。
【符号の説明】
10 純水タンク
14 純水室
15 伝熱チューブ
15a チューブ通路
21 補強リブ
22 ろう材
31 箔状のろう材
32 補強ろう材
Claims (4)
- 純水が貯留された純水室(14)と、この純水室(14)内に配置される伝熱チューブ(15)とを備え、伝熱チューブ(15)内のチューブ通路(15a)に加熱冷媒が流通される燃料電池発電システムの純水タンク(10)であって、
前記伝熱チューブ(15)の前記チューブ通路(15a)に補強リブ(21)を配置し、この補強リブ(21)を伝熱チューブ(15)の内面にろう付けで接合したことを特徴とする燃料電池発電システムの純水タンク(10)。 - 請求項1記載の燃料電池発電システムの純水タンク(10)であって、
前記補強リブ(21)をろう付けするろう材(22),(31)は、箔状のろう材(31)を使用したことを特徴とする燃料電池発電システムの純水タンク(10)。 - 請求項2記載の燃料電池発電システムの純水タンク(10)であって、
前記伝熱チューブ(15)の前記チューブ通路(15a)に前記補強リブ(21)と共に箔状のろう材(31)をセットし、このセットした箔状のろう材(31)とは別の補強ろう材(32)を折り曲げ、この折り曲げた補強ろう材(32)の弾性復帰力でセットしたろう材(31)を支持したことを特徴とする燃料電池発電システムの純水タンク(10)。 - 請求項1〜請求項3記載の燃料電池発電システムの純水タンク(10)であって、
前記伝熱チューブ(15)の長さより前記補強リブ(21)を短く設定し、前記補強リブ(21)を前記伝熱チューブ(15)の端部付近の内部には配置しないことを特徴とする燃料電池発電システムの純水タンク(10)。
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060324 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20081208 |