JP2005005164A - 燃料電池発電システム用の純水タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】純水凍結時の体積膨張に充分に耐え得ることができ、且つ、加熱された冷媒の冷媒流れを妨げることのない、高強度で軽量な燃料電池発電システム用の純水タンクを提供する。
【解決手段】燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ加湿器に供給して純水タンクから供給される純水で加湿した後、その加湿した燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池発電システムに使用される純水タンク6であって、純水タンク6は、外タンク16と、この内側に配置された内タンク17と、外タンク16と内タンク17との間に形成された流通路18と、内タンク17の内部に複数配置され、流通路18から加熱された冷媒を流入させる流路21を有したチューブ22とから構成されており、その流通路18に、外タンク16と内タンク17とを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材31を設けた。
【選択図】 図5
【解決手段】燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ加湿器に供給して純水タンクから供給される純水で加湿した後、その加湿した燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池発電システムに使用される純水タンク6であって、純水タンク6は、外タンク16と、この内側に配置された内タンク17と、外タンク16と内タンク17との間に形成された流通路18と、内タンク17の内部に複数配置され、流通路18から加熱された冷媒を流入させる流路21を有したチューブ22とから構成されており、その流通路18に、外タンク16と内タンク17とを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材31を設けた。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池発電システム用の純水タンクに関し、詳細には、純水凍結時の体積膨張による過大圧力に耐え得る燃料電池発電システム用の純水タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護などの観点から、従来より利用されてきたガソリンやディーゼルなどの液体燃料の代替えとして、水素と酸素を燃料源として電気を生成する燃料電池発電システムを駆動源としたFCEV車(fuel cell electiric vehicle)の開発が行われている。
【0003】
この燃料電池発電システムは、燃料ガスとしての水素をイオン伝導性膜を挟んで配された電極の一方に供給し、酸化剤ガスとしての酸素を他方の電極に供給してこれらを反応させることにより、電力を発生させるものである。前記水素と酸素の前記電極への供給に際しては、発電作用の活性化及びイオン伝導性膜の劣化防止のために、タンク内に貯水した純水で水素と酸素を加湿する必要がある。
【0004】
ところで、寒冷地などのような外気温度が氷点以下のところへ自動車などの車両を長時間停車させておくと、純水タンク内の純水が凍結し、燃料電池発電システムが始動不可能となる。この燃料電池発電システムを始動させるには、凍結した純水の氷塊を融解する必要がある。
【0005】
例えば、燃料電池発電システムの起動時に、加熱した冷媒を純水タンクの周囲に流通させることにより該純水タンク内の凍結した純水の氷塊を融解し、また、純水タンクに付設した予備タンクの周囲にヒータを設け、そのヒータによる熱で予備タンク内の氷塊を融解させるようにした、発電システムが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の発電システムでは、加熱した冷媒を純水タンクの周囲に流通させるだけでは凍結した冷媒を急速に融解することは難しいため、純水タンクに比べて容量を少なくした予備タンクを前記純水タンクに付設し、その予備タンク内の氷塊をヒータで融解することによって、より早く純水を燃料電池へ供給可能としている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−149970号公報(第3頁及び第4頁、第1図及び第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この発電システムでは、純水が凍結した際の体積膨張でタンクに過大な圧力が作用するため、タンクの強度を確保するためにタンク壁部(タンクの板厚)の厚みを厚くする必要がある。タンク壁部の厚みが厚くなると、純水タンクの重量が増加し、結果として車両の重量も増すことになる。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、寒冷地などの低温環境下において純水タンク内の純水が凍結しても、タンク壁部の厚みを厚くすることなく純水凍結時の体積膨張に充分に耐え得ることができ、且つ、加熱された冷媒の冷媒流れを妨げることのない、高強度で軽量な燃料電池発電システム用の純水タンクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ加湿器に供給して純水タンクから供給される純水で加湿した後、その加湿した燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池発電システムに使用される純水タンクであって、前記純水タンクは、加熱された冷媒を流入させる外タンクと、この外タンクの内側に配置され、前記純水を貯水する内タンクと、該外タンクと該内タンクとの間に形成された、前記加熱された冷媒が流れる流通路と、該内タンクの内部に複数配置され、該流通路から加熱された冷媒を流入させる流路を有したチューブとから構成されており、前記流通路に、前記外タンクと前記内タンクとを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材を、前記加熱された冷媒の冷媒流れ方向と略平行に延在して設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記タンク補強部材は、前記外タンクと前記内タンクを連結させる一対の連結片と、この一対の連結片の基端部同士を結合させ、前記内タンクに溶接される固定片と、前記外タンクに形成された孔部に挿入固定される、前記連結片の先端部に形成された突起部と、前記固定片に形成された溶接用孔部とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記連結片に、その長手方向に沿って断続的に切欠き部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか一つに記載される燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記チューブ内に、該チューブを補強するチューブ補強部材を設け、該チューブの長手方向両端部より突出する前記チューブ補強部材の先端部を、前記外タンクに形成された孔部に挿入固定させた、ことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、外タンクと内タンクとの間に形成された流通路に、該外タンクと該内タンクとを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材を設けたので、内タンク壁部の厚みを厚くすることなく、内外タンク間の圧力及び純水凍結時の体積膨張による該内タンクへの圧力を、このタンク補強部材によって受け止めることができる。したがって、外タンク及び内タンクからなる純水タンクの重量増加を最小限に抑えることができる。また、タンク補強部材を冷媒流れ方向と略平行に延在して設けたので、流通路を流れる加熱された冷媒を遮ることなくスムーズに冷媒を流すことができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、外タンクと内タンクを連結させる一対の連結片の基端部同士を結合させる固定片に、内タンクに溶接するための溶接用孔部を形成しているので、溶接時の熱応力がこの溶接用孔部によって分散されるため、連結片に歪みが生じるのを防止できる。したがって、連結片の先端部に形成された突起部の前記外タンクに形成された孔部への挿入作業を容易に行うことができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、連結片の長手方向に沿って断続的に切欠き部を形成したので、流通路を分断することなく自由に加熱された冷媒を流すことが可能となり、また、通路抵抗も減少させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、チューブ内に設けたチューブ補強部材の該チューブ両端から突出する先端部を、外タンクに形成された孔部に挿入固定させたので、内タンクとの溶接を行わずに、このチューブ補強部材によって外タンクの補強を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態は、燃料電池発電システム用の純水タンクに本発明を適用したものである。
【0019】
「燃料電池発電システムの概略説明」
始めに、燃料電池発電システムを、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、本発明の純水タンクを備えた燃料電池発電システムの概略構成図である。図1中、細い実線αは酸素(空気)の流通経路、太い破線βは水素の流通経路、細い破線γは冷却液の流通経路、太い実線δは加湿用の純水の流通経路をそれぞれ示す。
【0020】
燃料電池スタック1は、圧縮水素タンク2より燃料ガスである水素が導入される燃料極3と、外部から取り入れられる酸化剤ガスである空気が導入される空気極4とを備える。そして、この燃料電池スタック1では、燃料極3に導入された水素と、空気極4に導入された酸素とを、これら燃料極3と空気極4の間に配置された電解質膜(図示は省略する)を介して反応させることにより発電させるようになっている。
【0021】
燃料電池スタック1に供給される水素と酸素は、発電作用の活性化及び電解質膜の劣化防止のため加湿器5で加湿される。加湿器5には、純水を貯水すると共に燃料電池発電システムを停止したときに燃料電池スタック1内に残存する純水を回収する純水タンク6に貯水された純水が、純水導出パイプ7と純水汲み上げポンプ8とにより供給される。
【0022】
純水タンク6は、加湿器5に供給する純水を所定量貯水して置く貯水タンクとして使用される他、例えば氷点下の外気温度以下の下に燃料電池発電システムを停止して長時間停止させたときに燃料電池スタック1内の純水が凍って破裂するのを防止するために、システム運転終了後に純水経路内の純水を純水回収パイプ9を介して抜き取り貯水しておくのにも使用される。
【0023】
また、燃料電池スタック1では、発電時に発熱するため、この燃料電池スタック1にラジエータ10から冷却液ポンプ11により冷却液を循環させ、当該燃料電池スタック1を冷却するようにしている。冷却液には、例えば不凍液(LLC液)が使用される。
【0024】
また、冷却液経路12には、ラジエータ10をバイパス(迂回)するバイパス通路13が設けられている。燃料電池発電システムの始動時には、この冷却液経路12に設けた3方弁14によって、前記ラジエータ10をバイパスさせるようにしている。このバイパス通路13は、燃料電池発電システムの始動時にのみ使用され、システム運転時には、このバイパス通路13には冷却液が流れないように制御される。
【0025】
さらに、バイパス通路13には、冷却液を加熱するための電熱又は水素燃焼熱を利用したヒータ15が設置されており、このヒータ15によって冷却液を加熱して燃料電池スタック1の暖気促進を図り、早急に発電システムを起動可能としている。
【0026】
[純水タンクの構成]
次に、前記した燃料電池発電システムで使用される純水タンク6の構成について図2〜図5を参照して説明する。図2は外タンクの天板を省略して示す純水タンク6の斜視図、図3は純水タンク6の横断面図、図4は純水タンク6の縦断面図、図5は純水タンク6の分解斜視図である。
【0027】
純水タンク6は、図2に示すように、外タンク16と内タンク17とを有し、該外タンク16の内側に純水23を貯水する内タンク17を設置した二重構造とされている。さらに、この純水タンク6は、外タンク16と内タンク17との間に形成される流通路18に加熱された冷却液(LLC液)を流入させるジャケット構造とされている。
【0028】
外タンク16と内タンク17は、何れもイオンの発生の影響が少ないステンレス鋼材により形成されており、大きさの異なる相似形状とされた箱形形状とされている。流通路18は、図3及び図4に示すように、内タンク17の外側面と外タンク16の内側面との間だけでなく、内タンク17の上下面と外タンク16の上下内面との間にも形成されている。つまり、内タンク17の全周囲に亘って前記外タンク16との間に流通路18が形成されている。
【0029】
外タンク16には、加熱された冷却液が流れる冷却液経路12と接続される導入パイプ19と排出パイプ20とが設けられている。導入パイプ19は、燃料電池スタック1から流れ出た冷却液を純水タンク6内へと導入させ、排出パイプ20は、純水タンク6からラジエータ10へと冷却液を排出させる。
【0030】
内タンク17の内部には、加熱された冷却液が流れる流路21が形成されたチューブ22が複数設けられている。チューブ22は、内部に冷却液を流通させる通孔として形成される流路21を長さ方向に貫通させた平板として形成されている。また、チューブ22は、内タンク17に貯水する純水23の貯水効率と融解性能の観点から内外表面積が大きく且つ体積が小さい方が有効であることから、肉厚を薄くした偏平型のチューブ構造とされている。
【0031】
そして、チューブ22は、内タンク17の内部にほぼ平行となるように所定間隔を置いて配置されている。これらチューブ22の配置間隔は、内タンク17に貯水される純水23が凍結して固まった氷塊を溶かすために、できるだけ狭くすることが好ましいが、余り狭くしてしまうと純水23の貯水量を確保することが困難となる。そのため、これらチューブ22の配置間隔は、純水23の貯水量と氷塊の融解との観点からその所定間隔が選定される。
【0032】
また、チューブ22の内部には、図5に示すように、該チューブ22を補強するチューブ補強部材29が設けられている。チューブ補強部材29は、チューブ22の長手方向に沿って延在する平板として形成され、該チューブ22の両端部より突出している。このチューブ補強部材29の先端部は、該チューブ補強部材29の長手方向と相対向する外タンク16の側壁面16a(一方の側壁面は図示は省略する)に形成された孔部30に挿入固定されている。なお、このチューブ補強部材29の先端部と孔部30とは溶接され、当該孔部30から冷却液が漏れ出ないようにされている。
【0033】
このように、チューブ22内に設けたチューブ補強部材29の先端部を外タンク16の側壁面16aに形成した孔部30に挿入固定させることで、内タンク17との溶接を行わずに、当該チューブ補強部材29によって外タンク16の補強を行うことができる。
【0034】
また、内タンク17内に配置された複数のチューブ22のうち隣り合う二つの各チューブ22の途中には、前記チューブ22の流路21と連通する流路を有した連結部材24が設けられている。この連結部材24は、内タンク17に貯水された純水23を加湿器5へ供給するための純水吸上げパイプ25を略中央に挿入配置させるための孔部26を高さ方向に有した矩形体(箱形状)として形成されている。
【0035】
そして特に、この実施の形態では、図5及び図6に示すように、チューブ補強部材29の先端部が突出する前記流通路18を除く残りの流通路18には、外タンク16と内タンク17とを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材31が設けられている。
【0036】
このタンク補強部材31は、内タンク17及び外タンク16間の圧力及び純水凍結時の体積膨張による内タンク17に掛かる圧力に対して、純水タンク6が充分に耐えられるようにその機械的強度を高める役目をする。また、タンク補強部材31は、前記加熱された冷却液の冷媒流れ方向と略平行に延在して設けられており、前記流通路18を流れる加熱された冷却液を遮ることなくスムーズに冷却液を流すことができるようになっている。
【0037】
このような役目をするタンク補強部材31は、図5及び図7に示すように、外タンク16と内タンク17を連結させる一対の連結片32,32と、この一対の連結片32,32の基端部同士を連結させ、内タンク17に溶接される固定片33と、外タンク16の側壁面16b,16cに形成された孔部34に挿入固定される、連結片32,32の先端部に形成された突起部35と、固定片33に形成された溶接用孔部36とから構成されている。
【0038】
前記構成のように、一対の連結片32,32と固定片33とにより断面略コ字状のタンク補強部材31とすることで、当該タンク補強部材31の機械的強度が高まるため、内タンク17と外タンク16の壁厚(板厚)が薄くても充分に純水タンク6の強度を高めることができる。これにより、純水タンク6の重量増加も最小限度に抑えることができ、また、チューブ22の取り付けによる内タンク17のゆがみにも対応できる。
【0039】
そして、前記構成からなるタンク補強部材31は、内タンク17の外壁面17a,17b(残りの外壁面は図示は省略する)に対して溶接することによって固定されている。溶接箇所は、固定片33に形成された長孔形状の溶接用孔部36を、前記内タンク17との溶接箇所としている。このため、タンク補強部材31と内タンク17との溶接を前記溶接用孔部36において行うと、溶接時の熱応力がこの溶接用孔部36によって分散されるため、連結片32,32に歪みが生じるのを防止することができる。
【0040】
その結果、連結片32,32に形成した突起部35の前記外タンク16の孔部34への挿入作業を容易なものとすることができる。これら突起部35と孔部34との組み付けが容易になる分、該突起部35と孔部34の嵌め合いクリアランスを小さくすることができ、そこでの溶接歪みを小さくすることができる。
【0041】
この一方、図8に示すように、固定片33を有しない単なる連結片32,32をタンク補強部材31として使用した場合には、チューブ22の取り付け時に生じる内タンク17のゆがみと薄板同士の隅肉溶接という点から、内タンク17への溶接が困難となる。溶接による連結片32,32自体のゆがみで、突起部35の位置出し精度が悪くなり、突起部35と孔部34との組み付けが困難となる。しかしながら、本実施の形態では、断面略コ字状としたタンク補強部材31を使用していることで、これらの問題を解決している。
【0042】
なお、図9には、連結片32,32の長手方向に沿って断続的にその連結片32,32の一部を切り欠いた切欠き部37を形成した例を示してある。この切欠き部37を連結片32,32に断続的に形成することで、流通路18を分断することなく加熱された冷却液をスムーズに流すことが可能となり、また、通路抵抗も低減させることができる。
【0043】
「凍結した純水の融解動作」
次に、凍結した純水の融解動作について説明する。前記した燃料電池発電システムの起動時に、純水タンク6内の純水23が凍結している場合には、3方弁14を切り換えてラジエータ10に冷却液が流れないようにし、当該冷却液をバイパス通路13へ流すようにする。そして、そのバイパス通路13に設けたヒータ15で冷却液を加熱し、その加熱した冷却液を冷却液ポンプ11で循環させ、純水タンク6へと送り込む。
【0044】
すると、加熱された冷却液は、外タンク16に設けられた導入パイプ19から純水タンク6に形成された空隙部18に流れ込み、内タンク17の外周囲全体に渡って流れることになる。また、空隙部18からそれぞれのチューブ22に形成された流路21へと流れ、最終的に排出パイプ20から排出され、冷却液経路12へと再び戻る。また、前記した二つのチューブ22を連結させた連結部材24の流路27にも加熱された冷却液が流入する。
【0045】
その冷却液の純水タンク6への流入過程で、加熱された冷却液の熱が内タンク17及びチューブ22の壁面を通し、当該内タンク17内の凍結した氷塊へ伝わり、その熱で氷りが融解し始める。その後、冷却液の熱は、内タンク17及びチューブ22の壁面から融解水、氷りという経路で伝わり、やがて氷りは全て融解される。そして、融解された融解水は、純水23として純水吸上げパイプ25より吸い上げられて加湿器5へと供給される。
【0046】
チューブ22間では、図10に示すように、縦長の氷り28は浮力により傾き、その一部がチューブ22の壁面(伝熱壁面)に接触するため、当該氷り28の融解が非常に早い。一方、純水吸上げパイプ25の近傍部では、図10に示すように、純水吸上げパイプ25の周囲に形成された氷り28やパイプ25内の氷り(図示は省略する)は、連結部材24内を流れる加熱された冷却液の熱がこの連結部材24の壁面を通して伝わることで融解される。
【0047】
特に、この連結部材24の孔部26に挿入配置された純水吸上げパイプ25に形成された氷り28は、チューブ22間に配置された場合に比べて容積が小さいため、連結部材24の壁面から伝わる熱により急速に融解し易い。さらに、純水吸上げパイプ25から見ると、この純水吸上げパイプ25の周囲を取り囲むようにして連結部材24が設けられていることから、より多くの熱がパイプ周辺に形成された氷り28に伝達されることになる。このため、純水吸上げパイプ25の周囲に形成された氷り28は、燃料電池発電システムの起動に際して、純水タンク6内で最も早く融解させたい部分の氷りであることから、この連結部材24に形成した孔部26に純水吸上げパイプ25を挿入配置させることは融解効率を高める上で非常に高い効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の純水タンクを備えた燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図2】図2は、外タンクの天板を省略して示す純水タンクの斜視図である。
【図3】図3は、純水タンクの横断面図である。
【図4】図4は、純水タンクの縦断面図である。
【図5】図5は、純水タンクの分解斜視図である。
【図6】図6は、チューブ補強部材の先端部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図7】図7は、タンク補強部材の突起部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図8】図8は、連結片のみをタンク補強部材として用いた場合において、突起部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図9】図9は、タンク補強部材の連結片の一部に切欠き部を断続的に形成した例を示す斜視図である。
【図10】図10は、チューブ間に凍結した氷りが浮力により傾いてその一部がチューブの壁面に接触した様子を示した要部拡大断面図である。
【図11】図11は、連結部材に形成された孔部に挿入配置された純水吸上げパイプに氷りが形成された状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…燃料電池スタック
5…加湿器
6…純水タンク
16…外タンク
17…内タンク
22…チューブ
23…純水
28…氷り
29…チューブ補強部材
31…タンク補強部材
32…連結片
33…固定片
34…外タンクに形成された孔部
36…溶接用孔部
37…切欠き部
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池発電システム用の純水タンクに関し、詳細には、純水凍結時の体積膨張による過大圧力に耐え得る燃料電池発電システム用の純水タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護などの観点から、従来より利用されてきたガソリンやディーゼルなどの液体燃料の代替えとして、水素と酸素を燃料源として電気を生成する燃料電池発電システムを駆動源としたFCEV車(fuel cell electiric vehicle)の開発が行われている。
【0003】
この燃料電池発電システムは、燃料ガスとしての水素をイオン伝導性膜を挟んで配された電極の一方に供給し、酸化剤ガスとしての酸素を他方の電極に供給してこれらを反応させることにより、電力を発生させるものである。前記水素と酸素の前記電極への供給に際しては、発電作用の活性化及びイオン伝導性膜の劣化防止のために、タンク内に貯水した純水で水素と酸素を加湿する必要がある。
【0004】
ところで、寒冷地などのような外気温度が氷点以下のところへ自動車などの車両を長時間停車させておくと、純水タンク内の純水が凍結し、燃料電池発電システムが始動不可能となる。この燃料電池発電システムを始動させるには、凍結した純水の氷塊を融解する必要がある。
【0005】
例えば、燃料電池発電システムの起動時に、加熱した冷媒を純水タンクの周囲に流通させることにより該純水タンク内の凍結した純水の氷塊を融解し、また、純水タンクに付設した予備タンクの周囲にヒータを設け、そのヒータによる熱で予備タンク内の氷塊を融解させるようにした、発電システムが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の発電システムでは、加熱した冷媒を純水タンクの周囲に流通させるだけでは凍結した冷媒を急速に融解することは難しいため、純水タンクに比べて容量を少なくした予備タンクを前記純水タンクに付設し、その予備タンク内の氷塊をヒータで融解することによって、より早く純水を燃料電池へ供給可能としている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−149970号公報(第3頁及び第4頁、第1図及び第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この発電システムでは、純水が凍結した際の体積膨張でタンクに過大な圧力が作用するため、タンクの強度を確保するためにタンク壁部(タンクの板厚)の厚みを厚くする必要がある。タンク壁部の厚みが厚くなると、純水タンクの重量が増加し、結果として車両の重量も増すことになる。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、寒冷地などの低温環境下において純水タンク内の純水が凍結しても、タンク壁部の厚みを厚くすることなく純水凍結時の体積膨張に充分に耐え得ることができ、且つ、加熱された冷媒の冷媒流れを妨げることのない、高強度で軽量な燃料電池発電システム用の純水タンクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ加湿器に供給して純水タンクから供給される純水で加湿した後、その加湿した燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池発電システムに使用される純水タンクであって、前記純水タンクは、加熱された冷媒を流入させる外タンクと、この外タンクの内側に配置され、前記純水を貯水する内タンクと、該外タンクと該内タンクとの間に形成された、前記加熱された冷媒が流れる流通路と、該内タンクの内部に複数配置され、該流通路から加熱された冷媒を流入させる流路を有したチューブとから構成されており、前記流通路に、前記外タンクと前記内タンクとを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材を、前記加熱された冷媒の冷媒流れ方向と略平行に延在して設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記タンク補強部材は、前記外タンクと前記内タンクを連結させる一対の連結片と、この一対の連結片の基端部同士を結合させ、前記内タンクに溶接される固定片と、前記外タンクに形成された孔部に挿入固定される、前記連結片の先端部に形成された突起部と、前記固定片に形成された溶接用孔部とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記連結片に、その長手方向に沿って断続的に切欠き部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか一つに記載される燃料電池発電システム用の純水タンクであって、前記チューブ内に、該チューブを補強するチューブ補強部材を設け、該チューブの長手方向両端部より突出する前記チューブ補強部材の先端部を、前記外タンクに形成された孔部に挿入固定させた、ことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、外タンクと内タンクとの間に形成された流通路に、該外タンクと該内タンクとを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材を設けたので、内タンク壁部の厚みを厚くすることなく、内外タンク間の圧力及び純水凍結時の体積膨張による該内タンクへの圧力を、このタンク補強部材によって受け止めることができる。したがって、外タンク及び内タンクからなる純水タンクの重量増加を最小限に抑えることができる。また、タンク補強部材を冷媒流れ方向と略平行に延在して設けたので、流通路を流れる加熱された冷媒を遮ることなくスムーズに冷媒を流すことができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、外タンクと内タンクを連結させる一対の連結片の基端部同士を結合させる固定片に、内タンクに溶接するための溶接用孔部を形成しているので、溶接時の熱応力がこの溶接用孔部によって分散されるため、連結片に歪みが生じるのを防止できる。したがって、連結片の先端部に形成された突起部の前記外タンクに形成された孔部への挿入作業を容易に行うことができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、連結片の長手方向に沿って断続的に切欠き部を形成したので、流通路を分断することなく自由に加熱された冷媒を流すことが可能となり、また、通路抵抗も減少させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、チューブ内に設けたチューブ補強部材の該チューブ両端から突出する先端部を、外タンクに形成された孔部に挿入固定させたので、内タンクとの溶接を行わずに、このチューブ補強部材によって外タンクの補強を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態は、燃料電池発電システム用の純水タンクに本発明を適用したものである。
【0019】
「燃料電池発電システムの概略説明」
始めに、燃料電池発電システムを、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、本発明の純水タンクを備えた燃料電池発電システムの概略構成図である。図1中、細い実線αは酸素(空気)の流通経路、太い破線βは水素の流通経路、細い破線γは冷却液の流通経路、太い実線δは加湿用の純水の流通経路をそれぞれ示す。
【0020】
燃料電池スタック1は、圧縮水素タンク2より燃料ガスである水素が導入される燃料極3と、外部から取り入れられる酸化剤ガスである空気が導入される空気極4とを備える。そして、この燃料電池スタック1では、燃料極3に導入された水素と、空気極4に導入された酸素とを、これら燃料極3と空気極4の間に配置された電解質膜(図示は省略する)を介して反応させることにより発電させるようになっている。
【0021】
燃料電池スタック1に供給される水素と酸素は、発電作用の活性化及び電解質膜の劣化防止のため加湿器5で加湿される。加湿器5には、純水を貯水すると共に燃料電池発電システムを停止したときに燃料電池スタック1内に残存する純水を回収する純水タンク6に貯水された純水が、純水導出パイプ7と純水汲み上げポンプ8とにより供給される。
【0022】
純水タンク6は、加湿器5に供給する純水を所定量貯水して置く貯水タンクとして使用される他、例えば氷点下の外気温度以下の下に燃料電池発電システムを停止して長時間停止させたときに燃料電池スタック1内の純水が凍って破裂するのを防止するために、システム運転終了後に純水経路内の純水を純水回収パイプ9を介して抜き取り貯水しておくのにも使用される。
【0023】
また、燃料電池スタック1では、発電時に発熱するため、この燃料電池スタック1にラジエータ10から冷却液ポンプ11により冷却液を循環させ、当該燃料電池スタック1を冷却するようにしている。冷却液には、例えば不凍液(LLC液)が使用される。
【0024】
また、冷却液経路12には、ラジエータ10をバイパス(迂回)するバイパス通路13が設けられている。燃料電池発電システムの始動時には、この冷却液経路12に設けた3方弁14によって、前記ラジエータ10をバイパスさせるようにしている。このバイパス通路13は、燃料電池発電システムの始動時にのみ使用され、システム運転時には、このバイパス通路13には冷却液が流れないように制御される。
【0025】
さらに、バイパス通路13には、冷却液を加熱するための電熱又は水素燃焼熱を利用したヒータ15が設置されており、このヒータ15によって冷却液を加熱して燃料電池スタック1の暖気促進を図り、早急に発電システムを起動可能としている。
【0026】
[純水タンクの構成]
次に、前記した燃料電池発電システムで使用される純水タンク6の構成について図2〜図5を参照して説明する。図2は外タンクの天板を省略して示す純水タンク6の斜視図、図3は純水タンク6の横断面図、図4は純水タンク6の縦断面図、図5は純水タンク6の分解斜視図である。
【0027】
純水タンク6は、図2に示すように、外タンク16と内タンク17とを有し、該外タンク16の内側に純水23を貯水する内タンク17を設置した二重構造とされている。さらに、この純水タンク6は、外タンク16と内タンク17との間に形成される流通路18に加熱された冷却液(LLC液)を流入させるジャケット構造とされている。
【0028】
外タンク16と内タンク17は、何れもイオンの発生の影響が少ないステンレス鋼材により形成されており、大きさの異なる相似形状とされた箱形形状とされている。流通路18は、図3及び図4に示すように、内タンク17の外側面と外タンク16の内側面との間だけでなく、内タンク17の上下面と外タンク16の上下内面との間にも形成されている。つまり、内タンク17の全周囲に亘って前記外タンク16との間に流通路18が形成されている。
【0029】
外タンク16には、加熱された冷却液が流れる冷却液経路12と接続される導入パイプ19と排出パイプ20とが設けられている。導入パイプ19は、燃料電池スタック1から流れ出た冷却液を純水タンク6内へと導入させ、排出パイプ20は、純水タンク6からラジエータ10へと冷却液を排出させる。
【0030】
内タンク17の内部には、加熱された冷却液が流れる流路21が形成されたチューブ22が複数設けられている。チューブ22は、内部に冷却液を流通させる通孔として形成される流路21を長さ方向に貫通させた平板として形成されている。また、チューブ22は、内タンク17に貯水する純水23の貯水効率と融解性能の観点から内外表面積が大きく且つ体積が小さい方が有効であることから、肉厚を薄くした偏平型のチューブ構造とされている。
【0031】
そして、チューブ22は、内タンク17の内部にほぼ平行となるように所定間隔を置いて配置されている。これらチューブ22の配置間隔は、内タンク17に貯水される純水23が凍結して固まった氷塊を溶かすために、できるだけ狭くすることが好ましいが、余り狭くしてしまうと純水23の貯水量を確保することが困難となる。そのため、これらチューブ22の配置間隔は、純水23の貯水量と氷塊の融解との観点からその所定間隔が選定される。
【0032】
また、チューブ22の内部には、図5に示すように、該チューブ22を補強するチューブ補強部材29が設けられている。チューブ補強部材29は、チューブ22の長手方向に沿って延在する平板として形成され、該チューブ22の両端部より突出している。このチューブ補強部材29の先端部は、該チューブ補強部材29の長手方向と相対向する外タンク16の側壁面16a(一方の側壁面は図示は省略する)に形成された孔部30に挿入固定されている。なお、このチューブ補強部材29の先端部と孔部30とは溶接され、当該孔部30から冷却液が漏れ出ないようにされている。
【0033】
このように、チューブ22内に設けたチューブ補強部材29の先端部を外タンク16の側壁面16aに形成した孔部30に挿入固定させることで、内タンク17との溶接を行わずに、当該チューブ補強部材29によって外タンク16の補強を行うことができる。
【0034】
また、内タンク17内に配置された複数のチューブ22のうち隣り合う二つの各チューブ22の途中には、前記チューブ22の流路21と連通する流路を有した連結部材24が設けられている。この連結部材24は、内タンク17に貯水された純水23を加湿器5へ供給するための純水吸上げパイプ25を略中央に挿入配置させるための孔部26を高さ方向に有した矩形体(箱形状)として形成されている。
【0035】
そして特に、この実施の形態では、図5及び図6に示すように、チューブ補強部材29の先端部が突出する前記流通路18を除く残りの流通路18には、外タンク16と内タンク17とを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材31が設けられている。
【0036】
このタンク補強部材31は、内タンク17及び外タンク16間の圧力及び純水凍結時の体積膨張による内タンク17に掛かる圧力に対して、純水タンク6が充分に耐えられるようにその機械的強度を高める役目をする。また、タンク補強部材31は、前記加熱された冷却液の冷媒流れ方向と略平行に延在して設けられており、前記流通路18を流れる加熱された冷却液を遮ることなくスムーズに冷却液を流すことができるようになっている。
【0037】
このような役目をするタンク補強部材31は、図5及び図7に示すように、外タンク16と内タンク17を連結させる一対の連結片32,32と、この一対の連結片32,32の基端部同士を連結させ、内タンク17に溶接される固定片33と、外タンク16の側壁面16b,16cに形成された孔部34に挿入固定される、連結片32,32の先端部に形成された突起部35と、固定片33に形成された溶接用孔部36とから構成されている。
【0038】
前記構成のように、一対の連結片32,32と固定片33とにより断面略コ字状のタンク補強部材31とすることで、当該タンク補強部材31の機械的強度が高まるため、内タンク17と外タンク16の壁厚(板厚)が薄くても充分に純水タンク6の強度を高めることができる。これにより、純水タンク6の重量増加も最小限度に抑えることができ、また、チューブ22の取り付けによる内タンク17のゆがみにも対応できる。
【0039】
そして、前記構成からなるタンク補強部材31は、内タンク17の外壁面17a,17b(残りの外壁面は図示は省略する)に対して溶接することによって固定されている。溶接箇所は、固定片33に形成された長孔形状の溶接用孔部36を、前記内タンク17との溶接箇所としている。このため、タンク補強部材31と内タンク17との溶接を前記溶接用孔部36において行うと、溶接時の熱応力がこの溶接用孔部36によって分散されるため、連結片32,32に歪みが生じるのを防止することができる。
【0040】
その結果、連結片32,32に形成した突起部35の前記外タンク16の孔部34への挿入作業を容易なものとすることができる。これら突起部35と孔部34との組み付けが容易になる分、該突起部35と孔部34の嵌め合いクリアランスを小さくすることができ、そこでの溶接歪みを小さくすることができる。
【0041】
この一方、図8に示すように、固定片33を有しない単なる連結片32,32をタンク補強部材31として使用した場合には、チューブ22の取り付け時に生じる内タンク17のゆがみと薄板同士の隅肉溶接という点から、内タンク17への溶接が困難となる。溶接による連結片32,32自体のゆがみで、突起部35の位置出し精度が悪くなり、突起部35と孔部34との組み付けが困難となる。しかしながら、本実施の形態では、断面略コ字状としたタンク補強部材31を使用していることで、これらの問題を解決している。
【0042】
なお、図9には、連結片32,32の長手方向に沿って断続的にその連結片32,32の一部を切り欠いた切欠き部37を形成した例を示してある。この切欠き部37を連結片32,32に断続的に形成することで、流通路18を分断することなく加熱された冷却液をスムーズに流すことが可能となり、また、通路抵抗も低減させることができる。
【0043】
「凍結した純水の融解動作」
次に、凍結した純水の融解動作について説明する。前記した燃料電池発電システムの起動時に、純水タンク6内の純水23が凍結している場合には、3方弁14を切り換えてラジエータ10に冷却液が流れないようにし、当該冷却液をバイパス通路13へ流すようにする。そして、そのバイパス通路13に設けたヒータ15で冷却液を加熱し、その加熱した冷却液を冷却液ポンプ11で循環させ、純水タンク6へと送り込む。
【0044】
すると、加熱された冷却液は、外タンク16に設けられた導入パイプ19から純水タンク6に形成された空隙部18に流れ込み、内タンク17の外周囲全体に渡って流れることになる。また、空隙部18からそれぞれのチューブ22に形成された流路21へと流れ、最終的に排出パイプ20から排出され、冷却液経路12へと再び戻る。また、前記した二つのチューブ22を連結させた連結部材24の流路27にも加熱された冷却液が流入する。
【0045】
その冷却液の純水タンク6への流入過程で、加熱された冷却液の熱が内タンク17及びチューブ22の壁面を通し、当該内タンク17内の凍結した氷塊へ伝わり、その熱で氷りが融解し始める。その後、冷却液の熱は、内タンク17及びチューブ22の壁面から融解水、氷りという経路で伝わり、やがて氷りは全て融解される。そして、融解された融解水は、純水23として純水吸上げパイプ25より吸い上げられて加湿器5へと供給される。
【0046】
チューブ22間では、図10に示すように、縦長の氷り28は浮力により傾き、その一部がチューブ22の壁面(伝熱壁面)に接触するため、当該氷り28の融解が非常に早い。一方、純水吸上げパイプ25の近傍部では、図10に示すように、純水吸上げパイプ25の周囲に形成された氷り28やパイプ25内の氷り(図示は省略する)は、連結部材24内を流れる加熱された冷却液の熱がこの連結部材24の壁面を通して伝わることで融解される。
【0047】
特に、この連結部材24の孔部26に挿入配置された純水吸上げパイプ25に形成された氷り28は、チューブ22間に配置された場合に比べて容積が小さいため、連結部材24の壁面から伝わる熱により急速に融解し易い。さらに、純水吸上げパイプ25から見ると、この純水吸上げパイプ25の周囲を取り囲むようにして連結部材24が設けられていることから、より多くの熱がパイプ周辺に形成された氷り28に伝達されることになる。このため、純水吸上げパイプ25の周囲に形成された氷り28は、燃料電池発電システムの起動に際して、純水タンク6内で最も早く融解させたい部分の氷りであることから、この連結部材24に形成した孔部26に純水吸上げパイプ25を挿入配置させることは融解効率を高める上で非常に高い効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の純水タンクを備えた燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図2】図2は、外タンクの天板を省略して示す純水タンクの斜視図である。
【図3】図3は、純水タンクの横断面図である。
【図4】図4は、純水タンクの縦断面図である。
【図5】図5は、純水タンクの分解斜視図である。
【図6】図6は、チューブ補強部材の先端部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図7】図7は、タンク補強部材の突起部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図8】図8は、連結片のみをタンク補強部材として用いた場合において、突起部が外タンクの孔部に挿入固定される部分を一部破断して示す斜視図である。
【図9】図9は、タンク補強部材の連結片の一部に切欠き部を断続的に形成した例を示す斜視図である。
【図10】図10は、チューブ間に凍結した氷りが浮力により傾いてその一部がチューブの壁面に接触した様子を示した要部拡大断面図である。
【図11】図11は、連結部材に形成された孔部に挿入配置された純水吸上げパイプに氷りが形成された状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…燃料電池スタック
5…加湿器
6…純水タンク
16…外タンク
17…内タンク
22…チューブ
23…純水
28…氷り
29…チューブ補強部材
31…タンク補強部材
32…連結片
33…固定片
34…外タンクに形成された孔部
36…溶接用孔部
37…切欠き部
Claims (4)
- 燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ加湿器(5)に供給して純水タンク(6)から供給される純水(23)で加湿した後、その加湿した燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池(1)に供給して発電させる燃料電池発電システムに使用される純水タンク(6)であって、
前記純水タンク(6)は、加熱された冷媒を流入させる外タンク(16)と、この外タンク(16)の内側に配置され、前記純水(23)を貯水する内タンク(17)と、該外タンク(16)と該内タンク(17)との間に形成された、前記加熱された冷媒が流れる流通路(18)と、該内タンク(17)の内部に複数配置され、該流通路(18)から加熱された冷媒を流入させる流路(21)を有したチューブ(22)とから構成されており、
前記流通路(18)に、前記外タンク(16)と前記内タンク(17)とを連結固定させる断面略コ字状のタンク補強部材(31)を、前記加熱された冷媒の冷媒流れ方向と略平行に延在して設けた
ことを特徴とする燃料電池発電システム用の純水タンク。 - 請求項1記載の燃料電池発電システム用の純水タンク(6)であって、
前記タンク補強部材(31)は、前記外タンク(16)と前記内タンク(17)を連結させる一対の連結片(32)と、この一対の連結片(32)の基端部同士を結合させ、前記内タンク(17)に溶接される固定片(33)と、前記外タンク(16)に形成された孔部(34)に挿入固定される、前記連結片(32)の先端部に形成された突起部(35)と、前記固定片(33)に形成された溶接用孔部(36)とからなる
ことを特徴とする燃料電池発電システム用の純水タンク。 - 請求項2記載の燃料電池発電システム用の純水タンク(6)であって、
前記連結片(32)に、その長手方向に沿って断続的に切欠き部(37)を形成した
ことを特徴とする燃料電池発電システム用の純水タンク。 - 請求項1〜請求項3の何れか一つに記載される燃料電池発電システム用の純水タンク(6)であって、
前記チューブ(22)内に、該チューブ(22)を補強するチューブ補強部材(29)を設け、該チューブ(22)の長手方向両端部より突出する前記チューブ補強部材(29)の先端部を、前記外タンク(16)に形成された孔部(30)に挿入固定させた
ことを特徴とする燃料電池発電システム用の純水タンク。
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