JP2004039560A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池本体を冷却する不凍液の劣化及びラジエータの放熱負荷を軽減する。
【解決手段】冷間起動時に、バルブAをA1A3連通、バルブBをB1B3連通、バルブCのC1を閉、バルブDを閉とし、水素燃焼器8の燃焼ガスで熱交換器9を加熱する。熱交換器9で加熱された不凍液は、不凍液循環ポンプ12で循環され燃料電池スタック4の温度を運転可能な状態または運転効率が高い状態まで上昇させる。不凍液が所定の温度まで達した後に、バルブCをC1C3連通、バルブDを開として、空気コンプレッサ1から熱交換器9へ空気を導入する。これにより熱交換器9内部の熱交換媒体を不凍液から空気へ入れ替える。熱交換器9内の不凍液は、不凍液ドレインタンク10へ排出され、後に不凍液回収ポンプ11により不凍液リザーバタンクへ回収される。
【選択図】 図1
【解決手段】冷間起動時に、バルブAをA1A3連通、バルブBをB1B3連通、バルブCのC1を閉、バルブDを閉とし、水素燃焼器8の燃焼ガスで熱交換器9を加熱する。熱交換器9で加熱された不凍液は、不凍液循環ポンプ12で循環され燃料電池スタック4の温度を運転可能な状態または運転効率が高い状態まで上昇させる。不凍液が所定の温度まで達した後に、バルブCをC1C3連通、バルブDを開として、空気コンプレッサ1から熱交換器9へ空気を導入する。これにより熱交換器9内部の熱交換媒体を不凍液から空気へ入れ替える。熱交換器9内の不凍液は、不凍液ドレインタンク10へ排出され、後に不凍液回収ポンプ11により不凍液リザーバタンクへ回収される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに係り、特に、冷却性能を向上させた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電する装置である。これにより、燃料の持つ化学エネルギーを運動エネルギー等の他の形態のエネルギーへの変換過程を経ることなく直接電気エネルギーに変換するので、エネルギー変換効率が高い。
【0003】
この燃料電池は、電解質の種類により種々あるが、固体高分子電解質膜を用いたものは、取り扱いが容易で運転温度も比較的低く、車両用電源として期待されている。
【0004】
固体高分子電解質膜としては、プロトン(水素イオン)交換膜であるパーフルオロロカーボンスルホン酸(ナフィオンR :米国、デュポン社)が知られている。このプロトン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池は、通常、80℃程度の動作温度で作動する。通常運転時には、燃料電池本体で発生する反応熱を冷却液を介して外部に放熱して運転温度を維持するとともに、冷間起動時には、速やかに冷却液を運転温度まで加熱する必要がある。
【0005】
このような冷間起動時に冷却媒体を加熱するため、燃料ガスである水素を燃焼させる水素燃焼器の反応熱を利用する熱交換器が使用されている。例えば、特開2000−164233号公報には、燃焼器によって燃料ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させてその反応熱で不凍液(冷却媒体)を加熱する不凍液加熱手段(熱交換器)と、不凍液加熱手段から排出される燃焼廃ガスを、固体高分子型燃料電池スタックの燃料ガス供給経路または酸化剤ガス供給経路の少なくとも一方に供給する燃焼廃ガス供給手段とを備えた燃料電池システムが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムの通常運転時には、燃料ガス(水素リッチガス)中の不純物ガス成分が蓄積して燃料電池スタックの発電効率が低下するため、数分から数10分間隔で燃料系回路内ガスを一掃する水素パージが必要となる。
【0007】
この時、パージされた水素を水素燃焼器で燃焼させて安全な水蒸気として系外に放出している。従来技術では、水素燃焼器は、冷間起動時の不凍液を加熱する構造であるため、この燃焼器で水素パージ時の水素を燃焼させると、燃焼排ガスが不凍液を加熱し、運転温度を維持するため、車両系のラジエータに余計な負荷をかけてしまうという問題点があった。
【0008】
これを防ぐため、通常運転時には、不凍液が熱交換器を通らないように不凍液経路を構成することが考えられるが、下記の2つの問題点が生じる。
【0009】
まず第1の問題点は、不凍液経路を一方閉にして不凍液が循環しないようにした場合には、停留した不凍液が過熱され、不凍液の劣化が促進されてしまう。燃料電池スタック内での漏電を防止するために、不凍液には導電率を増大させる安定剤や酸化防止剤の添加が困難であるので、この時の加熱による劣化は顕著である。また、加熱された不凍液を介しての熱伝達は避けられないため、車両系のラジエータに余計な負荷をかけてしまうことは避けられない。
【0010】
第2の問題点は、不凍液経路を両方閉にして不凍液が循環しないようにした場合には、不凍液を介しての熱伝達は防止できるが、閉じ込められた不凍液の劣化は促進され、また加熱して圧力増大した不凍液の漏れ、および熱交換器や管路が破損する恐れもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、供給された燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電するとともに不凍液で冷却される燃料電池本体と、少なくとも該燃料電池本体の燃料極排ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させる燃焼器と、該燃焼器による燃焼ガスで前記不凍液を加熱する熱交換器と、を備え、燃料電池起動後に、前記不凍液が所定の温度に達した後は、前記熱交換器内の熱交換媒体の一つを空気に入れ替えることを要旨とする燃料電池システムである。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池起動後に、不凍液温度が所定の温度に達した後は、熱交換器内の熱交換媒体の一つを空気に入れ替えるため、水素パージ時の燃焼熱を空気に伝えて放出することができ、不凍液の劣化を防止し、ラジエータや不凍液ポンプの大型化を防止することができるという効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
次に、図1,図2、図3を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を詳細に説明する。図1は、燃料電池システムの全体構成図、図2は不凍液(以下、LCCとも呼ぶ)を加熱する熱交換器の媒体経路を簡易的に示す断面図、図3は燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。
【0014】
本実施形態及び以下の実施形態で説明する燃料電池システムは、氷点下まで温度が下がる屋外での使用を考慮したもので、特に自動車用電源として好適なものである。
【0015】
まず、図1に基づいて燃料電池システムの全体構成を説明する。燃料電池システムは、空気を圧送する空気コンプレッサ(または空気ブロア)1と、水素を供給する水素供給手段2と、空気コンプレッサ1から圧送された空気及び水素供給手段2から供給された水素を加湿する加湿器3と、加湿器3からの空気及び水素を用いて発電する燃料電池スタック(燃料電池本体)4と、燃料電池スタック4の空気極の空気圧力を調整する空気圧調整弁5と、燃料電池スタック4の燃料極から不純物を含んだ燃料ガスを放出する(一掃する)パージバルブ6と、燃料電池スタック4を適温に保つ不凍液の熱を外部に放出するラジエータ7と、水素供給手段2又は燃料電池スタック4の燃料極からの水素リッチガスを燃焼する水素燃焼器(燃焼器)8と、水素燃焼器8の燃焼ガスで不凍液を加熱する熱交換器9と、熱交換器9から排燃焼ガスを外部へ導く排気ダクト20と、熱交換器9から排出された不凍液を蓄える不凍液ドレインタンク10と、不凍液ドレインタンクに蓄えた不凍液を図外の不凍液リザーバタンクへ送出する不凍液回収ポンプ11と、不凍液を燃料電池スタック4を含む流路に循環させる不凍液循環ポンプ12と、燃料電池スタック4の内部の不凍液温度を検出する温度センサ(温度検出手段)13と、バルブA,B,C,Dと、燃料電池システム全体及びバルブA〜Dを制御するコントローラ14と、を備えている。
【0016】
水素供給手段2は、高圧水素タンク、水素吸蔵合金タンク、液化水素タンク等に貯蔵した水素を取り出し、水素ガス圧力を調整して加湿器3に供給するものである。加湿器3は、空気コンプレッサ1からの空気、および水素供給源2からの水素をそれぞれ加湿して燃料電池スタック4へ供給する。
【0017】
燃料電池スタック4は、供給された空気及び水素により直接発電して、図示しない外部負荷へ電力を供給する。燃料電池スタック4は、内部に不凍液流路を備え、燃料電池スタック4で発生する反応熱を不凍液に伝えて放熱するようになっている。また燃料電池スタック4内部の不凍液流路には、不凍液温度を検出する温度検出手段である温度センサ13が設けられ、この検出信号はコントローラ14へ入力されている。コントローラ14は、温度センサ13の検出信号に基づいて、バルブA〜Dを制御することにより、熱交換器9内の熱交換媒体の入れ替えを制御する(制御手段)。
【0018】
バルブA,B,Cは、3方弁であり、バルブDは開閉弁または全閉とすることができる絞り弁である。バルブA,Bは、協同して燃料電池スタック4を循環する不凍液の流路を、ラジエータ7と熱交換器9とに切り替える。バルブCは、熱交換器9内の不凍液を密閉したり、同不凍液を不凍液ドレインタンク10へ排出させたり、熱交換器9内の加熱された空気を外部へ排出させる。バルブDが開くと、空気コンプレッサ1からの圧送空気が熱交換器9に導入される。
【0019】
コントローラ14は、例えば、マイクロプロセッサ等で構成され、その内部に記憶したプログラムの制御により、燃料電池システム及びバルブA,B,C,Dの切り替え又は開閉を制御する。
【0020】
水素供給手段2またはパージバルブ6から水素リッチガスが水素燃焼器8に供給される。ここで水素を燃焼させた燃焼ガスは、燃料電池システムの冷間起動時に不凍液を加熱する熱交換器9に供給される。熱交換器9から排出した燃焼ガスは外部へ排出される。
【0021】
通常運転時には、コントローラ14の制御により、バルブAはA1とA2が連通し、バルブBはB1とB2が連通する。これにより、不凍液循環ポンプ12から送り出された不凍液は、バルブA、ラジエータ7、バルブB、燃料電池スタック4、不凍液循環ポンプ12の経路を循環して、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7から外部へ放出する。
【0022】
燃料電池システムの冷間起動時には、不凍液が低温であるので、通常約80℃程度の運転温度まで上昇させる必要がある。この場合、コントローラ14の制御により、バルブAはA1とA3が連通し、バルブBはB1とB3が連通する。これにより、不凍液循環ポンプ12から送り出された不凍液は、バルブA、熱交換器9、バルブB、燃料電池スタック4、不凍液循環ポンプ12の経路を循環して、熱交換器9により加熱される。
【0023】
このとき、パージバルブ6から、または図示しない経路により水素供給手段2から直接に、水素燃焼器8へ水素リッチガスが供給される。そして、この水素と、図示しない空気供給源から供給される空気中の酸素とが水素燃焼器8で燃焼し、この燃焼排ガスを熱交換器9に供給して、熱交換器9に不凍液加熱用の熱を供給する。
【0024】
次いで、上記不凍液の加熱が終了、即ち温度センサ13が検出する燃料電池スタック4内部の不凍液温度が所定の運転温度まで上昇したときに、コントローラ14は、バルブAのA1とA2、バルブBのB1とB2をそれぞれ連通させ、通常運転時の不凍液循環路を構成する。その後バルブDを開くと共に、バルブCのC1とC3を連通させる。これにより、空気コンプレッサ1から供給された空気は、バルブDを介して熱交換器9に供給される。この空気により熱交換器9内の不凍液は、バルブCを経由して、不凍液ドレインタンク10へ排出され、熱交換器9内部の熱交換媒体が不凍液から空気へ入れ替わる。
【0025】
熱交換器9内部の不凍液が排出された後、コントローラ14は、バルブCのC1とC2とを連通させ、熱交換器9で加熱された空気の系外排出経路を開く。尚、不凍液ドレインタンク10に排出された不凍液は、後に不凍液回収ポンプ11により、図外の不凍液リザーバタンクへ戻される。
【0026】
こうして、冷間起動時に不凍液温度が所定の温度に達した後には、熱交換器9の内部の熱交換媒体が不凍液から空気へ入れ替えられる。このため、以後、燃料極パージにより燃料極から放出された水素リッチガスが水素燃焼器8で燃焼されても、不凍液が加熱されることが無くなり、不凍液の劣化を防止すると共に、ラジエータ7の負荷が大きくなることはなく、ラジエータ7や不凍液循環ポンプ12の大型化を防止することができる。
【0027】
図2は、本実施形態で用いる熱交換器9の概略構造を説明する模式断面図である。熱交換器9は、例えば熱交換器を介して熱交換する二つの熱交換媒体が互いに直角方向に流れる直交流形(直交形)のプレートフィン型の熱交換器である。対向する2枚のプレート9bは、その間に浪板型又は葛折り型のフィン9cを挟み込んで一体に接合されている。このフィン9cにより伝熱面積が増大され、燃焼ガスからプレート9bへの熱伝導性が向上する。そして、このプレート対を一定の間隔で複数配列して、熱交換器9を構成している。
【0028】
このフィン9cを含むプレート9b間の空間部分には、紙面に垂直な方向に加熱媒体である燃焼ガスが流れる加熱媒体流路9eが形成され、その入口は水素燃焼器8に、その出口は排気ダクト20に、それぞれ接続されている。
【0029】
フィンを含まないプレート9b間の空間には、図中右から左へ被加熱媒体である不凍液または空気が流れる被加熱媒体流路9fが形成され、2つの熱交換媒体の流路は互いに直交する形で交互に設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の動作を説明する。図1のバルブA,B,Cの作動状態は大別して、モード▲1▼冷間起動時:〔A1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉〕と、モード▲2▼通常運転時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開〕との2通りのモードがある。
【0031】
冷間起動時のモード▲1▼においては、バルブはA1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜熱交換器9間を循環する回路が構成される。そして水素燃焼器8の燃焼ガスを加熱媒体として熱交換器9で加温された不凍液が燃料電池スタック4を循環することにより、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなる温度まで加温する。
【0032】
燃料電池車両のように、燃料電池システムが発電停止状態で、長時間屋外に放置される場合、冬季であれば、零下数十度までシステム温度が低下することもある。このため、燃料電池スタック内の凝結水は凍結して氷となり、反応ガス通路の流通を妨げることがある。燃料電池の発電を開始するためには、このような氷を融解する必要がある。また燃料電池の特性や運用方法によっては、運転開始可能温度よりも高い温度である所定温度まで、予め燃料電池スタック等を加温してから発電開始することもある。このように、燃料電池特性や運用方法によって、冷間と判断する温度を決定することができる。
【0033】
通常運転時のモード▲2▼においては、バルブA〜Dは、A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成される。これにより、不凍液循環ポンプ12の吐出量を制御しながら燃料電池スタック4の発熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4の温度が目標運転温度となるように調整する。また、熱交換器9の熱交換媒体流路にはD1より供給された空気が流通し、加熱された空気はC1C2を経て、外部に放出されるので、不凍液を加熱することがない。
【0034】
次に、図3のフローチャートを参照して、本実施形態におけるコントローラ14の制御ロジックを説明する。尚、図3のフローチャートでは、冷間時か否かをを示すフラグである冷間FLGを使用し、冷間時は冷間FLG=1、非冷間時(起動初期、および通常運転時)は冷間FLG=0とする。また、このフローチャートの開始時の燃料電池システムの初期状態は、モード▲2▼のバルブ状態とし、冷間FLG=0とする。
【0035】
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)10において、温度センサ13の検出値を読み込んで、燃料電池スタック4内の不凍液(LLC)温度T1を計測する。次いで、S12で冷間FLGを読み取る。S14で、LLC温度T1を冷間判断温度T10と比較することで、冷間か否かを判断する。
【0036】
本実施形態においては、冷間判断温度T10は、燃料電池スタック4内の氷の融解を確認できる温度とし、少ない計測位置で燃料電池スタック4全体の氷解を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0037】
S14でT1≦T10の場合は冷間と判断し、S16へ進む。S16では、冷間FLGが0か否かを判定する。S16で冷間FLG=0の場合は、S18で冷間FLG=1とした後に、S20で、モード▲2▼の初期状態からモード▲1▼の冷間起動時状態に移行し、S10へ戻る。
【0038】
すなわち、S20では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)バルブDを閉じ、熱交換器9及びLCC通路への空気供給を止める。(2)C1を閉じ(C2C3連通)、LLCのドレイン口を閉じる。(3)A1A3、B1B3を連通し、熱交換器9〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。
【0039】
S16で冷間FLG≠0の場合は、既にモード▲1▼冷間起動時状態への移行が完了していると判断して、S22へ移り、そのモード▲1▼状態を継続させ、S10へ戻る。
【0040】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は、冷間ではないと判断してS24へ移る。S24では、冷間FLG=1か否かを判定し、冷間FLG=1の場合は、S26で、モード▲1▼冷間起動時状態からモード▲2▼通常運転時状態に移行する。
【0041】
すなわち、S26では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)A1A2、B1B2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)C1C3連通し、LLCのドレイン口を開ける。(3)Dを開け、熱交換器9の熱交換媒体流路や管路中のLLCを空気パージにより不凍液ドレインタンク10に回収する。
【0042】
次いで、S28で、LLCの回収に必要な時間が経過した後に、C1C2を連通し、加熱空気の外部放出経路を確保する。なお、LLC回収に必要な時間は実験により確定させる。S28の操作後に、S30で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0043】
S24の判定で、冷間FLG≠1(冷間FLG=0)の場合は、既にモード▲2▼通常運転時状態への移行が完了していると判断して、S32へ移り、その状態モード▲2▼を継続させ、終了する。
【0044】
なお、通常運転時は、燃料電池スタック4の反応熱により燃料電池スタック4内LLC温度T1>T10となるため、この制御は起動時のみに実行することもできる。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態によれば、燃料電池起動後に不凍液が所定の温度に達した後は、熱交換器内の熱交換媒体を空気に入れ替えるため、水素パージ時に燃焼ガスが不凍液を加熱することがないので、ラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液循環ポンプの大型化を防止することができる。
【0046】
また、不凍液加熱頻度が減るため、不凍液の劣化や導電率の上昇、また不凍液の圧力増大による漏れ、および熱交換器や管路の破損を防止できる。
【0047】
また、空気パージにより不凍液を不凍液ドレインタンクに排出するので、無駄に外部へ排出することなく不凍液を容易に回収でき、不凍液量を減少させることなく熱交換媒体を空気に替えることができる。
【0048】
また、水素パージ時に加熱された空気は、燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気されるので、排気経路を簡素化でき、システムの大型化を防止することができる。
【0049】
また、燃料電池スタック内の不凍液温度に基づいて熱交換媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池スタックの起動時間短縮を両立できる、即ち、熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの第2実施形態を説明する。図4は、第2実施形態の燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。燃料電池システムの全体構成及び熱交換器の構成は、図1、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0051】
第2実施形態におけるバルブA,B,C,Dの作動状態は大別して、モード▲1▼冷間起動時:〔A1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉〕と、モード▲3▼通常運転時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D閉〕と、モード▲4▼通常運転中の水素パージ時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開〕との3モードがある。
【0052】
モード▲1▼冷間起動時は、第1実施形態のモード▲1▼と同じである。モード▲3▼通常運転時は、第1実施形態のモード▲2▼とバルブDが閉である点が異なっている。すなわち、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調するが、熱交換器9の熱交換媒体流路にはC1C2より自然流入した空気がある。モード▲4▼通常運転中の水素パージ時は、第1実施形態のモード▲2▼と同じである。
【0053】
次に、図4のフローチャートを参照して、これらのバルブ作動を切替える制御ロジックについて、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。尚、第1実施形態と同様の冷間FLG及び冷間判断温度T10に加えて、水素パージFLGを使用する。この水素パージFLGは燃料電池発電システムの制御において、水素パージを実施する場合に1、そうでない場合には0に設定されている。
【0054】
まず、モード▲3▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=0と、水素パージFLG=0と、を初期状態とする。
【0055】
S10からS22までは、第1実施形態と同様である。S14のLLC温度T1と冷間判断温度T10との比較判断で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断し、S24へ進むことも第1実施形態と同様である。
【0056】
S24の冷間FLG=1か否かの判断で、冷間FLG=1の場合は、S42へ進む。S42では、モード▲1▼冷間起動時状態からモード▲3▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S42では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)A1A2、B1B2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)C1C3連通し、LLCのドレイン口を開ける。(3)バルブDを開け、熱交換器9の熱交換媒体流路や管路中のLLCを空気パージにより不凍液ドレインタンク10に回収する。
【0057】
その後、LLCの回収に必要な時間が経過した後に、S44で、C1C2を連通し、加熱空気の外部放出経路を確保し、Dを閉とし空気供給を止める。なお、LLC回収に必要な時間は実験により確定させる。このS44の操作後に、S46で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0058】
S24の判定で、冷間FLG≠1の場合は、通常運転時にあると判断して、S48へ進み、水素パージFLGを読込む。S50で水素パージFLG=1か否かの判断を行う。水素パージFLG=1の場合は、S52へ進み、モード▲4▼通常運転水素パージ時の作動を実施する。すなわちバルブDを開として、空気を熱交換器9の熱交換媒体流路へ送る。加熱された空気はC1C2を経て外部に排出される。
【0059】
その後、パージされた水素の燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間が経過した後に、S54で、バルブDを閉としてモード▲4▼作動を終了させて、S10へ戻る。このモード▲4▼終了時には、システム状態は、モード▲3▼通常運転状態となる。なお、水素燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間は水素パージ時間に依り、決定される。
【0060】
S50の判定で、水素パージFLG≠1の場合は、S56へ進み、モード▲3▼通常運転時の作動を継続させて、S10へ戻る。
【0061】
以上説明したように第2実施形態によれば、通常運転中の燃料ガス一掃時(水素パージ時)に、熱交換器へ空気を供給するので、空気を圧送するブロアーやコンプレッサの負荷を必要最小限にしてシステムの効率低下を最小限に抑えることができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
次に、図5、図6を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を詳細に説明する。図5は、第3実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図6は、第3実施形態の制御ロジックの要部を示すフローチャートである。
【0063】
図5では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,コントローラ14は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0064】
図5において、本実施形態の燃料電池システムは、図1に示した第1実施形態の構成に加えて、純水を貯蔵する純水タンク15と、純水タンク15に熱的に接して設けられ熱交換器9の排ガスで純水タンク15を加熱する純水タンク加熱管(純水タンク加熱手段)16と、熱交換器9から排出される燃焼ガスを系外へ直接排出するか、純水タンク加熱管16を介して排出するかを切り替える3方弁であるバルブEと、を備えている。
【0065】
純水タンク15は、図外の加湿器3により空気または水素を加湿するための純水を貯蔵するものであり、純水タンク内の純水または氷の温度を測定する図示しない純水温度センサ(純水温度検出手段)を備えている。純水温度センサの検出値は、コントローラ(制御手段)14へ入力され、純水タンク内の純水または氷の温度に基づく純水タンクの加温制御に使用している。
【0066】
熱交換器9から排出した燃焼ガスは、バルブEを経て外部へ排出、または純水タンク15に熱的に接触して配置された純水タンク加熱管16を介して純水タンク15を加熱したのち外部へ排出される。なお、燃料電池スタック4の起動時間の短縮が目的である場合は、本実施形態のように不凍液を加熱して燃料電池スタック4の加温を優先させるべきである。
【0067】
バルブEの作動状態は大別して、モード▲5▼純水タンク加熱時:〔E1E2連通〕、モード▲6▼純水タンク非加熱時:〔E1E3連通〕の2通りがある。
【0068】
モード▲5▼純水タンク加熱時においては、熱交換器9から排出した燃焼ガスはE1E2を経て、純水タンク加熱管16を介して純水タンク15を加熱したのち外部へ排出される。
【0069】
モード▲6▼純水タンク非加熱時においては、熱交換器9から排出した燃焼ガスはE1E3を経て、外部へ直接排出される。
【0070】
次に、図6のフローチャートを参照して、これらの作動を切替える制御ロジックを説明する。このフローチャートの開始時に、初期状態として、モード▲6▼のバルブ状態にあるものとする。
【0071】
まず、S60で純水タンク内の純水(または氷)の温度T2を純水温度センサにより計測する。
【0072】
次いでS62で、温度T2を解凍判断温度T20と比較することで純水の解凍を判断する。解凍判断温度T20は、少ない計測位置でタンク全体の解凍を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0073】
S62の判断で、T2≧T20の場合は、純水タンク内が解凍していると判断して、S64へ進み、モード▲6▼作動〔E1E3連通〕を実施または継続する。
【0074】
S62の判断で、T2≧T20でない場合は、純水タンク内が未解凍と判断して、S66へ進み、モード▲5▼作動〔E1E2連通〕を実施または継続する。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、熱交換器で不凍液を加熱した後の燃焼器排ガスで、さらに純水タンクを加熱するので、水素燃焼器の反応熱を有効に使い、システムの効率を向上させることができる。
【0076】
また、純水タンク内の純水または氷の温度により純水タンクの加温を実施するので、水温上昇による純水の気化促進に由来する純水量の減少や、イオン溶け込み量増加による純水導電率の上昇を防止することができる。
【0077】
〔第4実施形態〕
次に、図7、図8、図9を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を詳細に説明する。図7は、第4実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図8は、熱交換器29の熱交換媒体経路を簡易的に表した断面図、図9は、第4実施形態の制御ロジックを示すフローチャートである。
【0078】
図7では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,コントローラ14、及び純水タンク15は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0079】
まず、回路構成を説明する。水素供給手段2、またはパージバルブ6を介して燃料電池スタック4の燃料極から水素リッチガスが水素燃焼器8に供給される。この水素リッチガスは、空気と共に水素燃焼器8で燃焼させ、燃焼ガスは熱交換器29に供給される。熱交換器29から排出した燃焼ガスは、排気ダクト20を介して外部へ排出される。
【0080】
燃料電池スタック4に接続された流路から不凍液循環ポンプ12により圧送される不凍液は、バルブFのF1F2連通時はラジエータ7を経由して燃料電池スタック4を冷却し、F1F3連通時は熱交換器29を経由して燃料電池スタック4を加熱する。
【0081】
空気コンプレッサ1から供給された空気は、バルブHのH1から供給され、熱交換器29の中間媒体流路、バルブG(G1G2)を経由して、熱交換器29の燃焼ガス排出流路に接続される。また、バルブGのG3には純水ドレインタンク17が接続され、熱交換器29から排出された純水は、純水ドレインタンク17に一時貯留される。純水ドレインタンク17の純水は純水回収ポンプ18により図外の純水タンクに戻される。
【0082】
次に、図8の模式断面図を参照して、本実施形態で用いる熱交換器9の概略構造を説明する。熱交換器29は、熱交換器を介して熱交換する二つの熱交換媒体が互いに直角方向に流れる直交流形(直交形)のプレートフィン型の熱交換器である。但し、加熱媒体流路29eと被加熱媒体流路29hとの間に、中間媒体流路29gが設けられ、加熱媒体により被加熱媒体が直接加熱されないようになっている。
【0083】
対向する2枚のプレート29bは、その間に浪板型又は葛折り型のフィン29cを挟み込んで一体に接合されている。このフィン29cにより伝熱面積が増大され、燃焼ガスからプレート29bへの熱伝導性が向上する。そして、このプレート対と、2枚のプレート29dとを交互に一定の間隔で複数配列して、熱交換器29を構成している。
【0084】
このフィン29cを含むプレート29b間の空間部分には、紙面に垂直な方向に加熱媒体である燃焼ガスが流れる加熱媒体流路29eが形成され、その入口は水素燃焼器8に、その出口は排気ダクト20に、それぞれ接続されている。
【0085】
プレート29bとプレート29dとの間の空間には、図中右から左へ中間媒体である純水または空気が流れる中間媒体流路29gが形成されている。隣り合う2枚のプレート29dの間は、被加熱媒体である不凍液(LLC)が流れる被加熱媒体流路9hが設けられている。
【0086】
この熱交換器29の構造により、加熱媒体の熱は、フィン29c及びプレート29bを介して、中間媒体に伝えられ、中間媒体の熱は、プレート29dを介して被加熱媒体に伝えられるようになっている。
【0087】
図7のそれぞれ3方弁を用いたバルブF,G,H,Iの作動状態は大別して、モード▲7▼ 冷間起動時:〔F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通〕と、モード▲8▼ 通常運転時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)〕と、の2通りがある。
【0088】
モード▲7▼冷間起動時においては、バルブの状態は、F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜熱交換器29間を循環する回路が構成され、燃焼ガスを加熱媒体、純水(または氷)を中間媒体とした熱交換器29で加温された不凍液が、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなるように加温する。
【0089】
ここで、不凍液としてエチレングリコールの50%水溶液を用いた場合は、熱伝導率は、およそ不凍液=0.43W/m/Kに対して、水=0.61W/m/K、氷=2.2W/m/Kであり、中間媒体である純水または氷を介して不凍液を加熱できる。
【0090】
モード▲8▼通常運転時においては、バルブの状態は、F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調する。また、熱交換器29の中間媒体流路にはH1より供給された空気が流通し、加熱された空気はG1G2を経て、外部に放出される。
【0091】
ここで、熱伝導率は、およそ、空気=0.026W/m/Kであるため、モード▲8▼における中間媒体である空気を介して不凍液に伝えられる熱量は、モード▲7▼の状態と比べて、極めて小さくなる。
【0092】
次に、図9のフローチャートを参照して、これらの作動を切替える制御ロジックを説明する。このフローチャートの処理が開始されるときの初期状態は、モード▲7▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=1とする。
【0093】
まずS10で、燃料電池スタック4内のLLC(=不凍液)の温度T1を温度センサ13により計測する。次いで、S12で冷間FLGを読み取る。
【0094】
次いで、S14で、温度T1を冷間判断温度T10と比較することで冷間を判断する。冷間判断温度T10は、少ない計測位置で燃料電池スタック4全体の氷解を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0095】
S14の判定で、T1≦T10の場合は冷間と判断して、S70へ進み、初期状態すなわちモード▲7▼状態を継続して、S10へ戻る。
【0096】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断して、S72へ進み、冷間FLG=1か否かを判定する。
【0097】
S72で冷間FLG=1の場合は、S74に進み、モード▲7▼冷間起動時状態からモード▲8▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S74では、次の(1)〜(4)の処理を行う。(1)F1F2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)I3を閉じ、中間媒体流路への水供給を止める。(3)G1G3を連通し、純水ドレイン経路を確保する。(4)H1H3を連通し、熱交換器29の中間媒体流路や管路中の純水を空気パージによりド純水レインタンク17に回収する。
【0098】
その後、純水の回収に必要な時間が経過した後に、S76で、G1G2を連通し、空気の外部経路を確保する。なお、純水回収に必要な時間は実験により確定させる。このS76操作実施後に、S78で冷間FLG=0として、S10に戻る。
【0099】
S72の判定で、冷間FLG≠1の場合は、既にモード▲8▼通常運転時状態への移行が完了していると判断して、S80へ進み、その状態モード▲8▼を継続させて、S10へ戻る。
【0100】
なお、通常運転時は、燃料電池スタック4の反応熱により燃料電池スタック4内LLC温度T1>T10となるため、この制御は起動時のみに実行することもできる。
【0101】
以上説明した本実施形態によれば、通常運転時は熱交換器の中間媒体を空気とするため、水素パージ時の燃焼ガスによる不凍液加熱を小さくできるので、車両系のラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液循環ポンプの大型化を防止することができる。
【0102】
また、不凍液加熱頻度が減るため、不凍液の劣化や導電率の上昇、また不凍液の圧力増大による漏れ、および熱交換器や管路の破損を防止できる。
【0103】
また、空気パージを実施して純水を純水ドレインタンクに蓄えるので、無駄に外部へ排出することなく純水を容易に回収でき、純水量を減少させることなく中間媒体を空気に替えることができる。
【0104】
また、水素パージ時に加熱された空気は、燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気されるので、経路を簡素化でき、システムの大型化を防止することができる。
【0105】
さらに、温度センサにより燃料電池スタック内の不凍液温度を検出し、この温度に基づいてコントローラが中間媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池スタックの起動時間短縮を両立、即ち熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0106】
〔第5実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの第5実施形態を説明する。図10は、第5実施形態の燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。燃料電池システムの全体構成及び熱交換器の構成は、図7、図8に示した第4実施形態と同様である。
【0107】
第5実施形態におけるバルブF,G,H,Iの作動状態は大別して、モード▲7▼冷間起動時:〔F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通〕と、モード▲9▼通常運転時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3閉、I3閉(I1I2連通)〕と、モード(10)通常運転中の水素パージ時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)〕と、の3通りがある。
【0108】
モード▲7▼冷間起動時は、第4実施形態のモード▲7▼と同じである。モード▲9▼通常運転時は、第4実施形態のモード▲8▼とH1、H3が閉である点が異なっている。すなわち、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調するが、熱交換器29の中間媒体流路にはC1C2より自然流入した空気がある。 モード(10)通常運転中の水素パージ時は、第4実施形態のモード▲8▼と同じである。
【0109】
次に、図10のフローチャートを参照して、これらのバルブF,G,H,Iの作動を切替える制御ロジックを第4実施形態と異なる部分を説明する。このフローチャートの処理が開始されるときの初期状態は、モード▲7▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=1と、水素パージ実施を表す水素パージFLG=0とする。
【0110】
S10からS70は、図9の第4実施形態と同様である。S14で、温度T1を冷間判断温度T10と比較することで冷間を判断することも同様である。
【0111】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断して、S72へ進み、冷間FLG=1か否かを判定する。
【0112】
S72で、冷間FLG=1の場合は、S90へ進み、モード▲7▼冷間起動時状態からモード▲9▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S90では、次の(1)〜(4)の処理を行う。(1)F1F2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)I3を閉とする。(3)G1G3を連通し、熱交換器29から中間媒体である純水を純水ドレインタンク17へ導く経路を開ける。(4)H1H3を連通してコンプレッサ1から空気を導入し、熱交換器29の中間媒体流路や管路中の純水を空気パージにより純水ドレインタンク17に回収する。
【0113】
その後、純水の回収に必要な時間が経過した後に、S92で、G1G2を連通して、加熱空気の外部放出経路を確保し、H1、H3を閉とし空気供給を止める。このS92の操作実施後に、S94で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0114】
S72で、冷間FLG≠1の場合は、通常運転時にあると判断して、S96へ進み、水素パージFLGを読込み、S98で水素パージFLG=1か否かを判定する。
【0115】
S98で、水素パージFLG=1の場合は、S100へ進み、モード(10)通常運転中の水素パージ時の作動を実施する。すなわちH1H3を連通として、空気を熱交換器の中間被加熱媒体流路へ送る。加熱された空気はG1G2を経て外部に排出される。
【0116】
その後、パージされた水素燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間が経過した後に、S102で、H1、H3を閉としてモード(10)作動を終了させ、S10へ戻る。モード(10)作動終了時には、モード▲9▼通常運転状態となる。
【0117】
S98で、水素パージFLG≠1の場合は、S104へ進み、モード▲9▼通常運転時の作動を継続させて、S10へ戻る。
【0118】
以上説明したように本実施形態によれば、通常運転の燃料ガス一掃時(水素パージ時)にのみ、空気を供給するので、空気を圧送するブロアーやコンプレッサの負荷を必要最小限にしてシステムの効率低下を最小限に抑えることができる。
【0119】
〔第6実施形態〕
次に、図11、図12、図13を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を詳細に説明する。図11は、第6実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図12,13は、第6実施形態の制御ロジックを示すフローチャートである。
【0120】
図11では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,及びコントローラ14は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0121】
まず、図11を参照して回路構成を説明する。燃料電池スタック4からの不凍液は、不凍液循環ポンプ12により圧送され、ラジエータ7及び熱交換器9に至る。ラジエータ7または熱交換器9からの不凍液は、3方弁Fにより選択されて、燃料電池スタック4へ帰還する。即ち3方弁Fの切換により、不凍液を熱交換器9で加熱するか、ラジエータ7で放熱するかを切り替えるようになっている。
【0122】
水素燃焼器8と熱交換器9との間には、3方弁Jが設けられ、水素燃焼器8による燃焼ガスを外部へ排出するか、熱交換器9へ供給するするかを切り替え可能となっている。
【0123】
また、熱交換器9からの燃焼ガスは、排気ダクト20を介して3方弁KのK1に入り、そのまま系外へ排出するか(K3)、純水タンク加熱管16を介して排出する(K2)かを切り替え可能となっている。
【0124】
純水タンク15は、これに熱的に接触して配置された純水タンク加熱管16を介して燃焼ガスにより加熱できるようになっている。
【0125】
次に、図12のフローチャートを説明する。まず、S110で、燃料電池スタック4内のLLC(=不凍液)の温度T1を温度センサ13により計測する。次いで、S112で温度T1と冷間判断温度T10とを比較し、冷間か否かを判断する。
【0126】
S112で、T1≦T10の場合は、モード(11)冷間起動時と判断して、S114へ進み、J1J2を連通し、燃焼ガスでLLCを加熱して、F1F3を連通し、燃料電池スタック4〜熱交換器9間を循環する回路が構成され、燃焼ガスを加熱媒体とした熱交換器9で加温された不凍液が、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなるように加温する。
【0127】
S112で、T1≦T10でない場合は、モード(12)通常運転時と判断して、S116へ進み、J1J3を連通し、水素パージ時は燃焼ガスを外部へ排出する。また、F1F2を連通し、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調する。
【0128】
次に、図13のフローチャートを説明する。まず、S60で、純水タンク内の純水(または氷)の温度T2を純水温度センサにより計測する。次に、S62で、純水温度T2と解凍判断温度T20とを比較し、純水タンク内が解凍しているか否かを判断する。
【0129】
S62で、T2≧T20の場合は、タンク内純水解凍と判断して、S120へ進み、モード(14)作動を実施し、K1K3を連通し、燃焼ガスを外部へ排出する。
【0130】
S62で、T2≧T20でない場合は、タンク内純水未解凍と判断し、モード(13)作動を実施し、K1K2を連通し、燃焼ガスで純水タンクを加熱する。
【0131】
次に、本実施形態の変形例の構成図を図14に示す。不凍液が加熱されてT10以上になった後に、純水タンク15がいまだ凍結している場合には、純水タンク15を加熱する必要があるので、図14に示すように、J3側に排出された排気を再びK1側に導入する排気バイパス流路19を設けてもよい。この時、J1J3およびL3L2を連通して排気をバイパスすると同時にJ4J2およびL1L4を連通することにより、熱交換器内の燃焼ガスを空気に入れ替えることができる。
【0132】
以上説明した第6実施形態によれば、暖機後に熱交換器内の燃焼ガスを空気に入れ替えることにより、ラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液ポンプの大型化を防止することができる。また、構成の簡素化により、システムを小型化できる。
【0133】
また、燃料電池本体内の不凍液温度に基づいて熱交換媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池本体の起動時間短縮を両立し、熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0134】
また、熱交換器で不凍液を加熱した後の燃焼器排ガスで、さらに純水タンクを加熱するので、燃焼器反応熱を有効に利用し、システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0135】
また、純水タンク内の純水または氷の温度に基づいて純水タンクの加熱を制御するので、過度な水温上昇による純水の気化や、イオン溶け込み量増加による純水導電率の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を説明する構成図である。
【図2】第1実施形態に用いる熱交換器の媒体通路を模式的に説明する断面図である。
【図3】第1実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図4】第2実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図5】本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明する構成図である。
【図6】第3実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を説明する構成図である。
【図8】第4実施形態に用いる熱交換器の媒体通路を模式的に説明する断面図である。
【図9】第4実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図10】第5実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図11】本発明に係る燃料電池システムの第6実施形態を説明する構成図である。
【図12】第6実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図13】第6実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図14】第6実施形態の変形例を説明する構成図である。
【符号の説明】
1 空気コンプレッサ
2 水素供給手段
3 加湿器
4 燃料電池スタック
5 空気圧調整弁
6 パージバルブ
7 ラジエータ
8 水素燃焼器
9 熱交換器
10 不凍液ドレインタンク
11 不凍液回収ポンプ
12 不凍液循環ポンプ
13 温度センサ
14 コントローラ
15 純水タンク
16 純水タンク加熱管
17 純水ドレインタンク
18 純水回収ポンプ
19 排気パイパス流路
20 排気ダクト
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに係り、特に、冷却性能を向上させた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電する装置である。これにより、燃料の持つ化学エネルギーを運動エネルギー等の他の形態のエネルギーへの変換過程を経ることなく直接電気エネルギーに変換するので、エネルギー変換効率が高い。
【0003】
この燃料電池は、電解質の種類により種々あるが、固体高分子電解質膜を用いたものは、取り扱いが容易で運転温度も比較的低く、車両用電源として期待されている。
【0004】
固体高分子電解質膜としては、プロトン(水素イオン)交換膜であるパーフルオロロカーボンスルホン酸(ナフィオンR :米国、デュポン社)が知られている。このプロトン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池は、通常、80℃程度の動作温度で作動する。通常運転時には、燃料電池本体で発生する反応熱を冷却液を介して外部に放熱して運転温度を維持するとともに、冷間起動時には、速やかに冷却液を運転温度まで加熱する必要がある。
【0005】
このような冷間起動時に冷却媒体を加熱するため、燃料ガスである水素を燃焼させる水素燃焼器の反応熱を利用する熱交換器が使用されている。例えば、特開2000−164233号公報には、燃焼器によって燃料ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させてその反応熱で不凍液(冷却媒体)を加熱する不凍液加熱手段(熱交換器)と、不凍液加熱手段から排出される燃焼廃ガスを、固体高分子型燃料電池スタックの燃料ガス供給経路または酸化剤ガス供給経路の少なくとも一方に供給する燃焼廃ガス供給手段とを備えた燃料電池システムが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムの通常運転時には、燃料ガス(水素リッチガス)中の不純物ガス成分が蓄積して燃料電池スタックの発電効率が低下するため、数分から数10分間隔で燃料系回路内ガスを一掃する水素パージが必要となる。
【0007】
この時、パージされた水素を水素燃焼器で燃焼させて安全な水蒸気として系外に放出している。従来技術では、水素燃焼器は、冷間起動時の不凍液を加熱する構造であるため、この燃焼器で水素パージ時の水素を燃焼させると、燃焼排ガスが不凍液を加熱し、運転温度を維持するため、車両系のラジエータに余計な負荷をかけてしまうという問題点があった。
【0008】
これを防ぐため、通常運転時には、不凍液が熱交換器を通らないように不凍液経路を構成することが考えられるが、下記の2つの問題点が生じる。
【0009】
まず第1の問題点は、不凍液経路を一方閉にして不凍液が循環しないようにした場合には、停留した不凍液が過熱され、不凍液の劣化が促進されてしまう。燃料電池スタック内での漏電を防止するために、不凍液には導電率を増大させる安定剤や酸化防止剤の添加が困難であるので、この時の加熱による劣化は顕著である。また、加熱された不凍液を介しての熱伝達は避けられないため、車両系のラジエータに余計な負荷をかけてしまうことは避けられない。
【0010】
第2の問題点は、不凍液経路を両方閉にして不凍液が循環しないようにした場合には、不凍液を介しての熱伝達は防止できるが、閉じ込められた不凍液の劣化は促進され、また加熱して圧力増大した不凍液の漏れ、および熱交換器や管路が破損する恐れもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、供給された燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電するとともに不凍液で冷却される燃料電池本体と、少なくとも該燃料電池本体の燃料極排ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させる燃焼器と、該燃焼器による燃焼ガスで前記不凍液を加熱する熱交換器と、を備え、燃料電池起動後に、前記不凍液が所定の温度に達した後は、前記熱交換器内の熱交換媒体の一つを空気に入れ替えることを要旨とする燃料電池システムである。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池起動後に、不凍液温度が所定の温度に達した後は、熱交換器内の熱交換媒体の一つを空気に入れ替えるため、水素パージ時の燃焼熱を空気に伝えて放出することができ、不凍液の劣化を防止し、ラジエータや不凍液ポンプの大型化を防止することができるという効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
次に、図1,図2、図3を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を詳細に説明する。図1は、燃料電池システムの全体構成図、図2は不凍液(以下、LCCとも呼ぶ)を加熱する熱交換器の媒体経路を簡易的に示す断面図、図3は燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。
【0014】
本実施形態及び以下の実施形態で説明する燃料電池システムは、氷点下まで温度が下がる屋外での使用を考慮したもので、特に自動車用電源として好適なものである。
【0015】
まず、図1に基づいて燃料電池システムの全体構成を説明する。燃料電池システムは、空気を圧送する空気コンプレッサ(または空気ブロア)1と、水素を供給する水素供給手段2と、空気コンプレッサ1から圧送された空気及び水素供給手段2から供給された水素を加湿する加湿器3と、加湿器3からの空気及び水素を用いて発電する燃料電池スタック(燃料電池本体)4と、燃料電池スタック4の空気極の空気圧力を調整する空気圧調整弁5と、燃料電池スタック4の燃料極から不純物を含んだ燃料ガスを放出する(一掃する)パージバルブ6と、燃料電池スタック4を適温に保つ不凍液の熱を外部に放出するラジエータ7と、水素供給手段2又は燃料電池スタック4の燃料極からの水素リッチガスを燃焼する水素燃焼器(燃焼器)8と、水素燃焼器8の燃焼ガスで不凍液を加熱する熱交換器9と、熱交換器9から排燃焼ガスを外部へ導く排気ダクト20と、熱交換器9から排出された不凍液を蓄える不凍液ドレインタンク10と、不凍液ドレインタンクに蓄えた不凍液を図外の不凍液リザーバタンクへ送出する不凍液回収ポンプ11と、不凍液を燃料電池スタック4を含む流路に循環させる不凍液循環ポンプ12と、燃料電池スタック4の内部の不凍液温度を検出する温度センサ(温度検出手段)13と、バルブA,B,C,Dと、燃料電池システム全体及びバルブA〜Dを制御するコントローラ14と、を備えている。
【0016】
水素供給手段2は、高圧水素タンク、水素吸蔵合金タンク、液化水素タンク等に貯蔵した水素を取り出し、水素ガス圧力を調整して加湿器3に供給するものである。加湿器3は、空気コンプレッサ1からの空気、および水素供給源2からの水素をそれぞれ加湿して燃料電池スタック4へ供給する。
【0017】
燃料電池スタック4は、供給された空気及び水素により直接発電して、図示しない外部負荷へ電力を供給する。燃料電池スタック4は、内部に不凍液流路を備え、燃料電池スタック4で発生する反応熱を不凍液に伝えて放熱するようになっている。また燃料電池スタック4内部の不凍液流路には、不凍液温度を検出する温度検出手段である温度センサ13が設けられ、この検出信号はコントローラ14へ入力されている。コントローラ14は、温度センサ13の検出信号に基づいて、バルブA〜Dを制御することにより、熱交換器9内の熱交換媒体の入れ替えを制御する(制御手段)。
【0018】
バルブA,B,Cは、3方弁であり、バルブDは開閉弁または全閉とすることができる絞り弁である。バルブA,Bは、協同して燃料電池スタック4を循環する不凍液の流路を、ラジエータ7と熱交換器9とに切り替える。バルブCは、熱交換器9内の不凍液を密閉したり、同不凍液を不凍液ドレインタンク10へ排出させたり、熱交換器9内の加熱された空気を外部へ排出させる。バルブDが開くと、空気コンプレッサ1からの圧送空気が熱交換器9に導入される。
【0019】
コントローラ14は、例えば、マイクロプロセッサ等で構成され、その内部に記憶したプログラムの制御により、燃料電池システム及びバルブA,B,C,Dの切り替え又は開閉を制御する。
【0020】
水素供給手段2またはパージバルブ6から水素リッチガスが水素燃焼器8に供給される。ここで水素を燃焼させた燃焼ガスは、燃料電池システムの冷間起動時に不凍液を加熱する熱交換器9に供給される。熱交換器9から排出した燃焼ガスは外部へ排出される。
【0021】
通常運転時には、コントローラ14の制御により、バルブAはA1とA2が連通し、バルブBはB1とB2が連通する。これにより、不凍液循環ポンプ12から送り出された不凍液は、バルブA、ラジエータ7、バルブB、燃料電池スタック4、不凍液循環ポンプ12の経路を循環して、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7から外部へ放出する。
【0022】
燃料電池システムの冷間起動時には、不凍液が低温であるので、通常約80℃程度の運転温度まで上昇させる必要がある。この場合、コントローラ14の制御により、バルブAはA1とA3が連通し、バルブBはB1とB3が連通する。これにより、不凍液循環ポンプ12から送り出された不凍液は、バルブA、熱交換器9、バルブB、燃料電池スタック4、不凍液循環ポンプ12の経路を循環して、熱交換器9により加熱される。
【0023】
このとき、パージバルブ6から、または図示しない経路により水素供給手段2から直接に、水素燃焼器8へ水素リッチガスが供給される。そして、この水素と、図示しない空気供給源から供給される空気中の酸素とが水素燃焼器8で燃焼し、この燃焼排ガスを熱交換器9に供給して、熱交換器9に不凍液加熱用の熱を供給する。
【0024】
次いで、上記不凍液の加熱が終了、即ち温度センサ13が検出する燃料電池スタック4内部の不凍液温度が所定の運転温度まで上昇したときに、コントローラ14は、バルブAのA1とA2、バルブBのB1とB2をそれぞれ連通させ、通常運転時の不凍液循環路を構成する。その後バルブDを開くと共に、バルブCのC1とC3を連通させる。これにより、空気コンプレッサ1から供給された空気は、バルブDを介して熱交換器9に供給される。この空気により熱交換器9内の不凍液は、バルブCを経由して、不凍液ドレインタンク10へ排出され、熱交換器9内部の熱交換媒体が不凍液から空気へ入れ替わる。
【0025】
熱交換器9内部の不凍液が排出された後、コントローラ14は、バルブCのC1とC2とを連通させ、熱交換器9で加熱された空気の系外排出経路を開く。尚、不凍液ドレインタンク10に排出された不凍液は、後に不凍液回収ポンプ11により、図外の不凍液リザーバタンクへ戻される。
【0026】
こうして、冷間起動時に不凍液温度が所定の温度に達した後には、熱交換器9の内部の熱交換媒体が不凍液から空気へ入れ替えられる。このため、以後、燃料極パージにより燃料極から放出された水素リッチガスが水素燃焼器8で燃焼されても、不凍液が加熱されることが無くなり、不凍液の劣化を防止すると共に、ラジエータ7の負荷が大きくなることはなく、ラジエータ7や不凍液循環ポンプ12の大型化を防止することができる。
【0027】
図2は、本実施形態で用いる熱交換器9の概略構造を説明する模式断面図である。熱交換器9は、例えば熱交換器を介して熱交換する二つの熱交換媒体が互いに直角方向に流れる直交流形(直交形)のプレートフィン型の熱交換器である。対向する2枚のプレート9bは、その間に浪板型又は葛折り型のフィン9cを挟み込んで一体に接合されている。このフィン9cにより伝熱面積が増大され、燃焼ガスからプレート9bへの熱伝導性が向上する。そして、このプレート対を一定の間隔で複数配列して、熱交換器9を構成している。
【0028】
このフィン9cを含むプレート9b間の空間部分には、紙面に垂直な方向に加熱媒体である燃焼ガスが流れる加熱媒体流路9eが形成され、その入口は水素燃焼器8に、その出口は排気ダクト20に、それぞれ接続されている。
【0029】
フィンを含まないプレート9b間の空間には、図中右から左へ被加熱媒体である不凍液または空気が流れる被加熱媒体流路9fが形成され、2つの熱交換媒体の流路は互いに直交する形で交互に設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の動作を説明する。図1のバルブA,B,Cの作動状態は大別して、モード▲1▼冷間起動時:〔A1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉〕と、モード▲2▼通常運転時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開〕との2通りのモードがある。
【0031】
冷間起動時のモード▲1▼においては、バルブはA1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜熱交換器9間を循環する回路が構成される。そして水素燃焼器8の燃焼ガスを加熱媒体として熱交換器9で加温された不凍液が燃料電池スタック4を循環することにより、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなる温度まで加温する。
【0032】
燃料電池車両のように、燃料電池システムが発電停止状態で、長時間屋外に放置される場合、冬季であれば、零下数十度までシステム温度が低下することもある。このため、燃料電池スタック内の凝結水は凍結して氷となり、反応ガス通路の流通を妨げることがある。燃料電池の発電を開始するためには、このような氷を融解する必要がある。また燃料電池の特性や運用方法によっては、運転開始可能温度よりも高い温度である所定温度まで、予め燃料電池スタック等を加温してから発電開始することもある。このように、燃料電池特性や運用方法によって、冷間と判断する温度を決定することができる。
【0033】
通常運転時のモード▲2▼においては、バルブA〜Dは、A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成される。これにより、不凍液循環ポンプ12の吐出量を制御しながら燃料電池スタック4の発熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4の温度が目標運転温度となるように調整する。また、熱交換器9の熱交換媒体流路にはD1より供給された空気が流通し、加熱された空気はC1C2を経て、外部に放出されるので、不凍液を加熱することがない。
【0034】
次に、図3のフローチャートを参照して、本実施形態におけるコントローラ14の制御ロジックを説明する。尚、図3のフローチャートでは、冷間時か否かをを示すフラグである冷間FLGを使用し、冷間時は冷間FLG=1、非冷間時(起動初期、および通常運転時)は冷間FLG=0とする。また、このフローチャートの開始時の燃料電池システムの初期状態は、モード▲2▼のバルブ状態とし、冷間FLG=0とする。
【0035】
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)10において、温度センサ13の検出値を読み込んで、燃料電池スタック4内の不凍液(LLC)温度T1を計測する。次いで、S12で冷間FLGを読み取る。S14で、LLC温度T1を冷間判断温度T10と比較することで、冷間か否かを判断する。
【0036】
本実施形態においては、冷間判断温度T10は、燃料電池スタック4内の氷の融解を確認できる温度とし、少ない計測位置で燃料電池スタック4全体の氷解を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0037】
S14でT1≦T10の場合は冷間と判断し、S16へ進む。S16では、冷間FLGが0か否かを判定する。S16で冷間FLG=0の場合は、S18で冷間FLG=1とした後に、S20で、モード▲2▼の初期状態からモード▲1▼の冷間起動時状態に移行し、S10へ戻る。
【0038】
すなわち、S20では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)バルブDを閉じ、熱交換器9及びLCC通路への空気供給を止める。(2)C1を閉じ(C2C3連通)、LLCのドレイン口を閉じる。(3)A1A3、B1B3を連通し、熱交換器9〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。
【0039】
S16で冷間FLG≠0の場合は、既にモード▲1▼冷間起動時状態への移行が完了していると判断して、S22へ移り、そのモード▲1▼状態を継続させ、S10へ戻る。
【0040】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は、冷間ではないと判断してS24へ移る。S24では、冷間FLG=1か否かを判定し、冷間FLG=1の場合は、S26で、モード▲1▼冷間起動時状態からモード▲2▼通常運転時状態に移行する。
【0041】
すなわち、S26では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)A1A2、B1B2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)C1C3連通し、LLCのドレイン口を開ける。(3)Dを開け、熱交換器9の熱交換媒体流路や管路中のLLCを空気パージにより不凍液ドレインタンク10に回収する。
【0042】
次いで、S28で、LLCの回収に必要な時間が経過した後に、C1C2を連通し、加熱空気の外部放出経路を確保する。なお、LLC回収に必要な時間は実験により確定させる。S28の操作後に、S30で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0043】
S24の判定で、冷間FLG≠1(冷間FLG=0)の場合は、既にモード▲2▼通常運転時状態への移行が完了していると判断して、S32へ移り、その状態モード▲2▼を継続させ、終了する。
【0044】
なお、通常運転時は、燃料電池スタック4の反応熱により燃料電池スタック4内LLC温度T1>T10となるため、この制御は起動時のみに実行することもできる。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態によれば、燃料電池起動後に不凍液が所定の温度に達した後は、熱交換器内の熱交換媒体を空気に入れ替えるため、水素パージ時に燃焼ガスが不凍液を加熱することがないので、ラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液循環ポンプの大型化を防止することができる。
【0046】
また、不凍液加熱頻度が減るため、不凍液の劣化や導電率の上昇、また不凍液の圧力増大による漏れ、および熱交換器や管路の破損を防止できる。
【0047】
また、空気パージにより不凍液を不凍液ドレインタンクに排出するので、無駄に外部へ排出することなく不凍液を容易に回収でき、不凍液量を減少させることなく熱交換媒体を空気に替えることができる。
【0048】
また、水素パージ時に加熱された空気は、燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気されるので、排気経路を簡素化でき、システムの大型化を防止することができる。
【0049】
また、燃料電池スタック内の不凍液温度に基づいて熱交換媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池スタックの起動時間短縮を両立できる、即ち、熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの第2実施形態を説明する。図4は、第2実施形態の燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。燃料電池システムの全体構成及び熱交換器の構成は、図1、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0051】
第2実施形態におけるバルブA,B,C,Dの作動状態は大別して、モード▲1▼冷間起動時:〔A1A3連通,B1B3連通、C1閉(C2C3連通)、D閉〕と、モード▲3▼通常運転時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D閉〕と、モード▲4▼通常運転中の水素パージ時:〔A1A2連通,B1B2連通、C1C2連通、D開〕との3モードがある。
【0052】
モード▲1▼冷間起動時は、第1実施形態のモード▲1▼と同じである。モード▲3▼通常運転時は、第1実施形態のモード▲2▼とバルブDが閉である点が異なっている。すなわち、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調するが、熱交換器9の熱交換媒体流路にはC1C2より自然流入した空気がある。モード▲4▼通常運転中の水素パージ時は、第1実施形態のモード▲2▼と同じである。
【0053】
次に、図4のフローチャートを参照して、これらのバルブ作動を切替える制御ロジックについて、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。尚、第1実施形態と同様の冷間FLG及び冷間判断温度T10に加えて、水素パージFLGを使用する。この水素パージFLGは燃料電池発電システムの制御において、水素パージを実施する場合に1、そうでない場合には0に設定されている。
【0054】
まず、モード▲3▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=0と、水素パージFLG=0と、を初期状態とする。
【0055】
S10からS22までは、第1実施形態と同様である。S14のLLC温度T1と冷間判断温度T10との比較判断で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断し、S24へ進むことも第1実施形態と同様である。
【0056】
S24の冷間FLG=1か否かの判断で、冷間FLG=1の場合は、S42へ進む。S42では、モード▲1▼冷間起動時状態からモード▲3▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S42では、次の(1)〜(3)の処理を行う。(1)A1A2、B1B2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)C1C3連通し、LLCのドレイン口を開ける。(3)バルブDを開け、熱交換器9の熱交換媒体流路や管路中のLLCを空気パージにより不凍液ドレインタンク10に回収する。
【0057】
その後、LLCの回収に必要な時間が経過した後に、S44で、C1C2を連通し、加熱空気の外部放出経路を確保し、Dを閉とし空気供給を止める。なお、LLC回収に必要な時間は実験により確定させる。このS44の操作後に、S46で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0058】
S24の判定で、冷間FLG≠1の場合は、通常運転時にあると判断して、S48へ進み、水素パージFLGを読込む。S50で水素パージFLG=1か否かの判断を行う。水素パージFLG=1の場合は、S52へ進み、モード▲4▼通常運転水素パージ時の作動を実施する。すなわちバルブDを開として、空気を熱交換器9の熱交換媒体流路へ送る。加熱された空気はC1C2を経て外部に排出される。
【0059】
その後、パージされた水素の燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間が経過した後に、S54で、バルブDを閉としてモード▲4▼作動を終了させて、S10へ戻る。このモード▲4▼終了時には、システム状態は、モード▲3▼通常運転状態となる。なお、水素燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間は水素パージ時間に依り、決定される。
【0060】
S50の判定で、水素パージFLG≠1の場合は、S56へ進み、モード▲3▼通常運転時の作動を継続させて、S10へ戻る。
【0061】
以上説明したように第2実施形態によれば、通常運転中の燃料ガス一掃時(水素パージ時)に、熱交換器へ空気を供給するので、空気を圧送するブロアーやコンプレッサの負荷を必要最小限にしてシステムの効率低下を最小限に抑えることができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
次に、図5、図6を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を詳細に説明する。図5は、第3実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図6は、第3実施形態の制御ロジックの要部を示すフローチャートである。
【0063】
図5では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,コントローラ14は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0064】
図5において、本実施形態の燃料電池システムは、図1に示した第1実施形態の構成に加えて、純水を貯蔵する純水タンク15と、純水タンク15に熱的に接して設けられ熱交換器9の排ガスで純水タンク15を加熱する純水タンク加熱管(純水タンク加熱手段)16と、熱交換器9から排出される燃焼ガスを系外へ直接排出するか、純水タンク加熱管16を介して排出するかを切り替える3方弁であるバルブEと、を備えている。
【0065】
純水タンク15は、図外の加湿器3により空気または水素を加湿するための純水を貯蔵するものであり、純水タンク内の純水または氷の温度を測定する図示しない純水温度センサ(純水温度検出手段)を備えている。純水温度センサの検出値は、コントローラ(制御手段)14へ入力され、純水タンク内の純水または氷の温度に基づく純水タンクの加温制御に使用している。
【0066】
熱交換器9から排出した燃焼ガスは、バルブEを経て外部へ排出、または純水タンク15に熱的に接触して配置された純水タンク加熱管16を介して純水タンク15を加熱したのち外部へ排出される。なお、燃料電池スタック4の起動時間の短縮が目的である場合は、本実施形態のように不凍液を加熱して燃料電池スタック4の加温を優先させるべきである。
【0067】
バルブEの作動状態は大別して、モード▲5▼純水タンク加熱時:〔E1E2連通〕、モード▲6▼純水タンク非加熱時:〔E1E3連通〕の2通りがある。
【0068】
モード▲5▼純水タンク加熱時においては、熱交換器9から排出した燃焼ガスはE1E2を経て、純水タンク加熱管16を介して純水タンク15を加熱したのち外部へ排出される。
【0069】
モード▲6▼純水タンク非加熱時においては、熱交換器9から排出した燃焼ガスはE1E3を経て、外部へ直接排出される。
【0070】
次に、図6のフローチャートを参照して、これらの作動を切替える制御ロジックを説明する。このフローチャートの開始時に、初期状態として、モード▲6▼のバルブ状態にあるものとする。
【0071】
まず、S60で純水タンク内の純水(または氷)の温度T2を純水温度センサにより計測する。
【0072】
次いでS62で、温度T2を解凍判断温度T20と比較することで純水の解凍を判断する。解凍判断温度T20は、少ない計測位置でタンク全体の解凍を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0073】
S62の判断で、T2≧T20の場合は、純水タンク内が解凍していると判断して、S64へ進み、モード▲6▼作動〔E1E3連通〕を実施または継続する。
【0074】
S62の判断で、T2≧T20でない場合は、純水タンク内が未解凍と判断して、S66へ進み、モード▲5▼作動〔E1E2連通〕を実施または継続する。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、熱交換器で不凍液を加熱した後の燃焼器排ガスで、さらに純水タンクを加熱するので、水素燃焼器の反応熱を有効に使い、システムの効率を向上させることができる。
【0076】
また、純水タンク内の純水または氷の温度により純水タンクの加温を実施するので、水温上昇による純水の気化促進に由来する純水量の減少や、イオン溶け込み量増加による純水導電率の上昇を防止することができる。
【0077】
〔第4実施形態〕
次に、図7、図8、図9を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を詳細に説明する。図7は、第4実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図8は、熱交換器29の熱交換媒体経路を簡易的に表した断面図、図9は、第4実施形態の制御ロジックを示すフローチャートである。
【0078】
図7では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,コントローラ14、及び純水タンク15は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0079】
まず、回路構成を説明する。水素供給手段2、またはパージバルブ6を介して燃料電池スタック4の燃料極から水素リッチガスが水素燃焼器8に供給される。この水素リッチガスは、空気と共に水素燃焼器8で燃焼させ、燃焼ガスは熱交換器29に供給される。熱交換器29から排出した燃焼ガスは、排気ダクト20を介して外部へ排出される。
【0080】
燃料電池スタック4に接続された流路から不凍液循環ポンプ12により圧送される不凍液は、バルブFのF1F2連通時はラジエータ7を経由して燃料電池スタック4を冷却し、F1F3連通時は熱交換器29を経由して燃料電池スタック4を加熱する。
【0081】
空気コンプレッサ1から供給された空気は、バルブHのH1から供給され、熱交換器29の中間媒体流路、バルブG(G1G2)を経由して、熱交換器29の燃焼ガス排出流路に接続される。また、バルブGのG3には純水ドレインタンク17が接続され、熱交換器29から排出された純水は、純水ドレインタンク17に一時貯留される。純水ドレインタンク17の純水は純水回収ポンプ18により図外の純水タンクに戻される。
【0082】
次に、図8の模式断面図を参照して、本実施形態で用いる熱交換器9の概略構造を説明する。熱交換器29は、熱交換器を介して熱交換する二つの熱交換媒体が互いに直角方向に流れる直交流形(直交形)のプレートフィン型の熱交換器である。但し、加熱媒体流路29eと被加熱媒体流路29hとの間に、中間媒体流路29gが設けられ、加熱媒体により被加熱媒体が直接加熱されないようになっている。
【0083】
対向する2枚のプレート29bは、その間に浪板型又は葛折り型のフィン29cを挟み込んで一体に接合されている。このフィン29cにより伝熱面積が増大され、燃焼ガスからプレート29bへの熱伝導性が向上する。そして、このプレート対と、2枚のプレート29dとを交互に一定の間隔で複数配列して、熱交換器29を構成している。
【0084】
このフィン29cを含むプレート29b間の空間部分には、紙面に垂直な方向に加熱媒体である燃焼ガスが流れる加熱媒体流路29eが形成され、その入口は水素燃焼器8に、その出口は排気ダクト20に、それぞれ接続されている。
【0085】
プレート29bとプレート29dとの間の空間には、図中右から左へ中間媒体である純水または空気が流れる中間媒体流路29gが形成されている。隣り合う2枚のプレート29dの間は、被加熱媒体である不凍液(LLC)が流れる被加熱媒体流路9hが設けられている。
【0086】
この熱交換器29の構造により、加熱媒体の熱は、フィン29c及びプレート29bを介して、中間媒体に伝えられ、中間媒体の熱は、プレート29dを介して被加熱媒体に伝えられるようになっている。
【0087】
図7のそれぞれ3方弁を用いたバルブF,G,H,Iの作動状態は大別して、モード▲7▼ 冷間起動時:〔F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通〕と、モード▲8▼ 通常運転時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)〕と、の2通りがある。
【0088】
モード▲7▼冷間起動時においては、バルブの状態は、F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜熱交換器29間を循環する回路が構成され、燃焼ガスを加熱媒体、純水(または氷)を中間媒体とした熱交換器29で加温された不凍液が、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなるように加温する。
【0089】
ここで、不凍液としてエチレングリコールの50%水溶液を用いた場合は、熱伝導率は、およそ不凍液=0.43W/m/Kに対して、水=0.61W/m/K、氷=2.2W/m/Kであり、中間媒体である純水または氷を介して不凍液を加熱できる。
【0090】
モード▲8▼通常運転時においては、バルブの状態は、F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)となっており、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調する。また、熱交換器29の中間媒体流路にはH1より供給された空気が流通し、加熱された空気はG1G2を経て、外部に放出される。
【0091】
ここで、熱伝導率は、およそ、空気=0.026W/m/Kであるため、モード▲8▼における中間媒体である空気を介して不凍液に伝えられる熱量は、モード▲7▼の状態と比べて、極めて小さくなる。
【0092】
次に、図9のフローチャートを参照して、これらの作動を切替える制御ロジックを説明する。このフローチャートの処理が開始されるときの初期状態は、モード▲7▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=1とする。
【0093】
まずS10で、燃料電池スタック4内のLLC(=不凍液)の温度T1を温度センサ13により計測する。次いで、S12で冷間FLGを読み取る。
【0094】
次いで、S14で、温度T1を冷間判断温度T10と比較することで冷間を判断する。冷間判断温度T10は、少ない計測位置で燃料電池スタック4全体の氷解を判断するため、0℃に多少の余裕(例えば、2〜5℃)を加算した値に設定するのが望ましい。
【0095】
S14の判定で、T1≦T10の場合は冷間と判断して、S70へ進み、初期状態すなわちモード▲7▼状態を継続して、S10へ戻る。
【0096】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断して、S72へ進み、冷間FLG=1か否かを判定する。
【0097】
S72で冷間FLG=1の場合は、S74に進み、モード▲7▼冷間起動時状態からモード▲8▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S74では、次の(1)〜(4)の処理を行う。(1)F1F2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)I3を閉じ、中間媒体流路への水供給を止める。(3)G1G3を連通し、純水ドレイン経路を確保する。(4)H1H3を連通し、熱交換器29の中間媒体流路や管路中の純水を空気パージによりド純水レインタンク17に回収する。
【0098】
その後、純水の回収に必要な時間が経過した後に、S76で、G1G2を連通し、空気の外部経路を確保する。なお、純水回収に必要な時間は実験により確定させる。このS76操作実施後に、S78で冷間FLG=0として、S10に戻る。
【0099】
S72の判定で、冷間FLG≠1の場合は、既にモード▲8▼通常運転時状態への移行が完了していると判断して、S80へ進み、その状態モード▲8▼を継続させて、S10へ戻る。
【0100】
なお、通常運転時は、燃料電池スタック4の反応熱により燃料電池スタック4内LLC温度T1>T10となるため、この制御は起動時のみに実行することもできる。
【0101】
以上説明した本実施形態によれば、通常運転時は熱交換器の中間媒体を空気とするため、水素パージ時の燃焼ガスによる不凍液加熱を小さくできるので、車両系のラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液循環ポンプの大型化を防止することができる。
【0102】
また、不凍液加熱頻度が減るため、不凍液の劣化や導電率の上昇、また不凍液の圧力増大による漏れ、および熱交換器や管路の破損を防止できる。
【0103】
また、空気パージを実施して純水を純水ドレインタンクに蓄えるので、無駄に外部へ排出することなく純水を容易に回収でき、純水量を減少させることなく中間媒体を空気に替えることができる。
【0104】
また、水素パージ時に加熱された空気は、燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気されるので、経路を簡素化でき、システムの大型化を防止することができる。
【0105】
さらに、温度センサにより燃料電池スタック内の不凍液温度を検出し、この温度に基づいてコントローラが中間媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池スタックの起動時間短縮を両立、即ち熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0106】
〔第5実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの第5実施形態を説明する。図10は、第5実施形態の燃料電池システムの制御ロジックを示すフローチャートである。燃料電池システムの全体構成及び熱交換器の構成は、図7、図8に示した第4実施形態と同様である。
【0107】
第5実施形態におけるバルブF,G,H,Iの作動状態は大別して、モード▲7▼冷間起動時:〔F1F3連通,G1閉(G2G3連通)、H2H3連通、I1I3連通〕と、モード▲9▼通常運転時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3閉、I3閉(I1I2連通)〕と、モード(10)通常運転中の水素パージ時:〔F1F2連通,G1G2連通、H1H3連通、I3閉(I1I2連通)〕と、の3通りがある。
【0108】
モード▲7▼冷間起動時は、第4実施形態のモード▲7▼と同じである。モード▲9▼通常運転時は、第4実施形態のモード▲8▼とH1、H3が閉である点が異なっている。すなわち、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調するが、熱交換器29の中間媒体流路にはC1C2より自然流入した空気がある。 モード(10)通常運転中の水素パージ時は、第4実施形態のモード▲8▼と同じである。
【0109】
次に、図10のフローチャートを参照して、これらのバルブF,G,H,Iの作動を切替える制御ロジックを第4実施形態と異なる部分を説明する。このフローチャートの処理が開始されるときの初期状態は、モード▲7▼のバルブ状態と、冷間を判断する冷間FLG=1と、水素パージ実施を表す水素パージFLG=0とする。
【0110】
S10からS70は、図9の第4実施形態と同様である。S14で、温度T1を冷間判断温度T10と比較することで冷間を判断することも同様である。
【0111】
S14の判定で、T1≦T10でない場合は冷間ではないと判断して、S72へ進み、冷間FLG=1か否かを判定する。
【0112】
S72で、冷間FLG=1の場合は、S90へ進み、モード▲7▼冷間起動時状態からモード▲9▼通常運転時状態に移行する。すなわち、S90では、次の(1)〜(4)の処理を行う。(1)F1F2を連通し、ラジエータ7〜燃料電池スタック4間を循環するLLC回路を構成する。(2)I3を閉とする。(3)G1G3を連通し、熱交換器29から中間媒体である純水を純水ドレインタンク17へ導く経路を開ける。(4)H1H3を連通してコンプレッサ1から空気を導入し、熱交換器29の中間媒体流路や管路中の純水を空気パージにより純水ドレインタンク17に回収する。
【0113】
その後、純水の回収に必要な時間が経過した後に、S92で、G1G2を連通して、加熱空気の外部放出経路を確保し、H1、H3を閉とし空気供給を止める。このS92の操作実施後に、S94で冷間FLG=0として、S10へ戻る。
【0114】
S72で、冷間FLG≠1の場合は、通常運転時にあると判断して、S96へ進み、水素パージFLGを読込み、S98で水素パージFLG=1か否かを判定する。
【0115】
S98で、水素パージFLG=1の場合は、S100へ進み、モード(10)通常運転中の水素パージ時の作動を実施する。すなわちH1H3を連通として、空気を熱交換器の中間被加熱媒体流路へ送る。加熱された空気はG1G2を経て外部に排出される。
【0116】
その後、パージされた水素燃焼に伴う発熱の外部排出に必要な時間が経過した後に、S102で、H1、H3を閉としてモード(10)作動を終了させ、S10へ戻る。モード(10)作動終了時には、モード▲9▼通常運転状態となる。
【0117】
S98で、水素パージFLG≠1の場合は、S104へ進み、モード▲9▼通常運転時の作動を継続させて、S10へ戻る。
【0118】
以上説明したように本実施形態によれば、通常運転の燃料ガス一掃時(水素パージ時)にのみ、空気を供給するので、空気を圧送するブロアーやコンプレッサの負荷を必要最小限にしてシステムの効率低下を最小限に抑えることができる。
【0119】
〔第6実施形態〕
次に、図11、図12、図13を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を詳細に説明する。図11は、第6実施形態の燃料電池システムの要部構成図、図12,13は、第6実施形態の制御ロジックを示すフローチャートである。
【0120】
図11では、空気コンプレッサ1,水素供給手段2,加湿器3,燃料電池スタック4,空気圧調整弁5,パージバルブ6,温度センサ13,及びコントローラ14は図示を省略しているが、図外に第1実施形態と同様なこれらの構成要素を備えているものとする。
【0121】
まず、図11を参照して回路構成を説明する。燃料電池スタック4からの不凍液は、不凍液循環ポンプ12により圧送され、ラジエータ7及び熱交換器9に至る。ラジエータ7または熱交換器9からの不凍液は、3方弁Fにより選択されて、燃料電池スタック4へ帰還する。即ち3方弁Fの切換により、不凍液を熱交換器9で加熱するか、ラジエータ7で放熱するかを切り替えるようになっている。
【0122】
水素燃焼器8と熱交換器9との間には、3方弁Jが設けられ、水素燃焼器8による燃焼ガスを外部へ排出するか、熱交換器9へ供給するするかを切り替え可能となっている。
【0123】
また、熱交換器9からの燃焼ガスは、排気ダクト20を介して3方弁KのK1に入り、そのまま系外へ排出するか(K3)、純水タンク加熱管16を介して排出する(K2)かを切り替え可能となっている。
【0124】
純水タンク15は、これに熱的に接触して配置された純水タンク加熱管16を介して燃焼ガスにより加熱できるようになっている。
【0125】
次に、図12のフローチャートを説明する。まず、S110で、燃料電池スタック4内のLLC(=不凍液)の温度T1を温度センサ13により計測する。次いで、S112で温度T1と冷間判断温度T10とを比較し、冷間か否かを判断する。
【0126】
S112で、T1≦T10の場合は、モード(11)冷間起動時と判断して、S114へ進み、J1J2を連通し、燃焼ガスでLLCを加熱して、F1F3を連通し、燃料電池スタック4〜熱交換器9間を循環する回路が構成され、燃焼ガスを加熱媒体とした熱交換器9で加温された不凍液が、燃料電池スタック4を発電可能、もしくは発電効率が良くなるように加温する。
【0127】
S112で、T1≦T10でない場合は、モード(12)通常運転時と判断して、S116へ進み、J1J3を連通し、水素パージ時は燃焼ガスを外部へ排出する。また、F1F2を連通し、不凍液が燃料電池スタック4〜ラジエータ7間を循環する回路が構成され、燃料電池スタック4の反応熱をラジエータ7で放熱し、燃料電池スタック4を温調する。
【0128】
次に、図13のフローチャートを説明する。まず、S60で、純水タンク内の純水(または氷)の温度T2を純水温度センサにより計測する。次に、S62で、純水温度T2と解凍判断温度T20とを比較し、純水タンク内が解凍しているか否かを判断する。
【0129】
S62で、T2≧T20の場合は、タンク内純水解凍と判断して、S120へ進み、モード(14)作動を実施し、K1K3を連通し、燃焼ガスを外部へ排出する。
【0130】
S62で、T2≧T20でない場合は、タンク内純水未解凍と判断し、モード(13)作動を実施し、K1K2を連通し、燃焼ガスで純水タンクを加熱する。
【0131】
次に、本実施形態の変形例の構成図を図14に示す。不凍液が加熱されてT10以上になった後に、純水タンク15がいまだ凍結している場合には、純水タンク15を加熱する必要があるので、図14に示すように、J3側に排出された排気を再びK1側に導入する排気バイパス流路19を設けてもよい。この時、J1J3およびL3L2を連通して排気をバイパスすると同時にJ4J2およびL1L4を連通することにより、熱交換器内の燃焼ガスを空気に入れ替えることができる。
【0132】
以上説明した第6実施形態によれば、暖機後に熱交換器内の燃焼ガスを空気に入れ替えることにより、ラジエータに余計な負荷をかけることがなく、ラジエータや不凍液ポンプの大型化を防止することができる。また、構成の簡素化により、システムを小型化できる。
【0133】
また、燃料電池本体内の不凍液温度に基づいて熱交換媒体の入れ替えを制御するので、不凍液の劣化防止と燃料電池本体の起動時間短縮を両立し、熱交換器による不凍液加熱時間を最適化できる。
【0134】
また、熱交換器で不凍液を加熱した後の燃焼器排ガスで、さらに純水タンクを加熱するので、燃焼器反応熱を有効に利用し、システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0135】
また、純水タンク内の純水または氷の温度に基づいて純水タンクの加熱を制御するので、過度な水温上昇による純水の気化や、イオン溶け込み量増加による純水導電率の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を説明する構成図である。
【図2】第1実施形態に用いる熱交換器の媒体通路を模式的に説明する断面図である。
【図3】第1実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図4】第2実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図5】本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明する構成図である。
【図6】第3実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係る燃料電池システムの第4実施形態を説明する構成図である。
【図8】第4実施形態に用いる熱交換器の媒体通路を模式的に説明する断面図である。
【図9】第4実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図10】第5実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図11】本発明に係る燃料電池システムの第6実施形態を説明する構成図である。
【図12】第6実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図13】第6実施形態の制御内容を説明するフローチャートである。
【図14】第6実施形態の変形例を説明する構成図である。
【符号の説明】
1 空気コンプレッサ
2 水素供給手段
3 加湿器
4 燃料電池スタック
5 空気圧調整弁
6 パージバルブ
7 ラジエータ
8 水素燃焼器
9 熱交換器
10 不凍液ドレインタンク
11 不凍液回収ポンプ
12 不凍液循環ポンプ
13 温度センサ
14 コントローラ
15 純水タンク
16 純水タンク加熱管
17 純水ドレインタンク
18 純水回収ポンプ
19 排気パイパス流路
20 排気ダクト
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L バルブ
Claims (14)
- 供給された燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電するとともに不凍液で冷却される燃料電池本体と、
少なくとも該燃料電池本体の燃料極排ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させる燃焼器と、
該燃焼器による燃焼ガスで前記不凍液を加熱する熱交換器と、を備え、
燃料電池起動後に、前記不凍液が所定の温度に達した後は、前記熱交換器内の熱交換媒体の一つを空気に入れ替えることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記空気に入れ替える熱交換媒体の一つを不凍液とすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 不凍液ドレインタンクを備え、前記熱交換器内の熱交換媒体を不凍液から空気に替える時は、空気によるパージを行い、前記熱交換器から排出した不凍液を前記不凍液ドレインタンクに蓄えることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 前記不凍液と入れ替えられた空気は、燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 燃料電池本体内の前記不凍液の温度を検出する温度検出手段と、
該温度検出手段による検出温度に基づいて前記熱交換媒体の入れ替えを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池本体の燃料ガス一掃時に、前記熱交換器の熱交換媒体として空気を供給することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 前記熱交換器は、前記燃焼器の燃焼ガスと前記不凍液とを中間媒体を介して熱交換する熱交換器であり、
前記空気に入れ替える熱交換媒体の一つを前記中間媒体とすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 中間媒体のタンクを備え、前記熱交換器内の中間媒体を空気に替える時は、空気によるパージを行い、前記熱交換器から排出した中間媒体を前記中間媒体のタンクに蓄えることを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
- 前記熱交換器で加熱された空気は、前記燃焼排ガス管路に接続した管路を経て排気することを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
- 前記中間媒体を純水とすることを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池本体の燃料ガス一掃時に、前記熱交換器の中間媒体として空気を供給することを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
- 前記空気に入れ替える熱交換媒体の一つを燃焼ガスとすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 純水を蓄える純水タンクと、
前記燃焼器の燃焼ガスで前記熱交換器を加熱した後に排出される排燃焼ガスで更に前記純水タンクを加熱する純水タンク加熱手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記純水タンク内の純水または氷の温度を検出する純水温度検出手段と、
該純水温度検出手段が検出した温度に基づいて純水タンクの加温を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項13記載の燃料電池システム。
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-
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