JP2004362643A - 光情報記録媒体及び光情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録媒体、及び記録線速度14m/s以上で記録したときであっても、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録方法を提供する。
【解決手段】同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板16のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層18が形成され、グルーブに沿って情報の記録再生を行う光情報記録媒体であって、ランドにプリピットLPP14が形成されており、プリピットの深さをa、プリピット部における記録層18の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上である光情報記録媒体、及び光情報記録媒体に14m/s以上の記録線速度で情報の記録を行う光情報記録方法である。
【選択図】 図2
【解決手段】同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板16のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層18が形成され、グルーブに沿って情報の記録再生を行う光情報記録媒体であって、ランドにプリピットLPP14が形成されており、プリピットの深さをa、プリピット部における記録層18の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上である光情報記録媒体、及び光情報記録媒体に14m/s以上の記録線速度で情報の記録を行う光情報記録方法である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体及び光情報記録方法に関し、特に、色素を含有する記録層が形成された光情報記録媒体及び該光情報記録媒体への光情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが提案されている。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そしてさらに必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
【0004】
このようなDVD−Rにおいて、近年、4倍速以上(記録線速度14m/s以上)の高速記録の要求が高まっている。光情報記録媒体における最適記録パワーは、概ね、記録速度の平方根に比例することが知られている。例えば、4倍速記録における最適記録パワーは、1倍速における最適記録パワーの約2倍である。このとき、記録速度が大きいほど、短い時間で大きなエネルギーが照射されるため、記録ピット部の変形が大きくなる傾向がある。記録ピットの変形が大きいと、高変調度が得られ、再生信号のC/Nが高くなる一方で、隣接するトラックへの信号の漏れ込みが大きくなる、即ち、クロストークが大きくなるという問題がある。記録密度が高いほど、トラックピッチが短いため、このクロストークの影響が大きい。
また、DVD−Rのように、記録トラックの間にあるランド部に、アドレス信号をもつランドプリピット(LPP)が形成されているような場合に、記録トラックに大きなピットが形成されるとアドレス情報を読みとりにくくなり、LPPエラーの原因となるという問題がある。
【0005】
従って、高速記録に対応するためには、LPP信号を大きくする必要がある。従来、LPP信号を大きくする方法としては、1)LPPの大きさを大きくする(例えば、特許文献1、2参照。)、2)LPPをグルーブ側にシフトさせる、などが知られている。しかし、いずれも、グルーブ部に記録されるユーザーデータのピットに影響を及ぼし、ユーザーデータのエラーレートが悪化するという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−237101号公報
【特許文献2】
特開2002−208187号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録媒体を提供することにある。
また、本発明の目的は、記録線速度14m/s以上で記録したときであっても、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
本発明は、同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層が形成され、前記グルーブに沿って情報の記録再生を行う光情報記録媒体であって、前記ランドにプリピットが形成されており、該プリピットの深さをa、プリピット部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上であることを特徴とする光情報記録媒体である。
前記グルーブの半値幅を250〜350nm、深さを50〜150nmとすることが好ましい。
また、本発明は、方法の態様によると、前記光情報記録媒体に、14m/s以上の記録線速度で情報の記録を行うことを特徴とする光情報記録方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報記録媒体は、同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層が形成され、前記グルーブに沿って記録再生を行う光情報記録媒体であって、前記ランドにプリピットが形成されており、該プリピットの深さをa、プリピット部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上であることを特徴としている。
以下、先ず、本発明の光情報記録媒体について説明する。
【0010】
<光情報記録媒体>
本発明の光情報記録媒体としては、例えば、DVD−R等の情報の書き込みが可能な追記型の光情報記録媒体である。
【0011】
DVD−R等の光情報記録媒体では、2枚の基板(第1の基板、第2の基板)を貼り合わせてなり、少なくとも第1の基板には、記録層が形成されている。その他に、反射層、保護層等が適宜形成されていることが好ましい。また、第2の基板にも、第1の基板と同様に、記録層、光反射層等が順次形成された構成としてもよく、いわゆる保護基板(ダミー基板)として層を形成しない構成としてもよい。
以下、DVD−R等の光情報記録媒体を例に、本発明の光情報記録媒体の上記基板および各層について説明する。なお、層構成や材料等は、単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
[基板]
基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.4mmとすることが好ましい。
【0013】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ、ランド)が、螺旋状又は同心円状に形成されている。グルーブのトラックピッチは、0.4〜0.9μmとすることが好ましく、0.45〜0.85μmとすることがより好ましく、0.5〜0.8μmとすることがさらに好ましい。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、50〜150nmとすることが好ましく、85〜135nmとすることがより好ましく、100〜130nmとすることがさらに好ましい。さらに、グルーブの半値幅は、200〜400nmとすることが好ましく、280〜380nmとすることがより好ましく、250〜350nmとすることがさらに好ましい。
【0014】
また、グルーブとグルーブとの間のランドと呼ばれる領域には、予め決められた規則に従って配置された、ランドプリピット(LPP)が形成されている。このLPPの位置を検出することによって、アドレス情報の取得及びデータ記録時の位置決めが行われる。
【0015】
また、記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上及び記録層の変質防止などの目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;及びシランカップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲、好ましくは0.01〜10μmの範囲で設けられる。
【0016】
[記録層]
DVD−Rの場合、記録層に用いる色素は特に限定されないが、使用可能な色素の例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、イミダゾキノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色素、オキソノール系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。これらの色素のうちでは、シアニン色素、フタロシアニン系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。
【0017】
記録層を形成するための塗布液の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独又は二種以上を適宜併用することができる。好ましくは、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤である。なお、塗布液中には、所望により褪色防止剤や結合剤を添加してもよいし、更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、そして潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0018】
褪色防止剤の代表的な例としては、ニトロソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩を挙げることができる。これらの例は、例えば、特開平2−300288号、同3−224793号、及び同4−146189号等の各公報に記載されている。
【0019】
結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。結合剤を使用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素100質量部に対して0.2〜20質量部、好ましくは、0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0020】
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0021】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜200nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0022】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0023】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、記録するための化合物の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0024】
本発明においては、LPPの深さをa、LPP部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上となるように、基板及び記録層を形成している。前記b/aは、LPP部における色素が埋まる度合いを示している。すなわち、本発明においては、b/aの値を0.5以上と規定することにより、LPP部における色素の埋まりが少ないため、グルーブに記録されるユーザーデータのエラーレートへの影響を低減することができる。以下、LPPの深さをa、LPP部における記録層の窪みの深さをbなどを図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の光情報記録媒体の上方から見たランド10とグルーブ12とランドプリピット(LPP)14を示す部分模式図であり、図2は図1におけるLPP14の断面を部分的に示す模式断面図である。なお、図1、図2においては、基板16上に、記録層18、反射層20が積層された形態を示している。
【0026】
図1に示すように、2つのグルーブ12の間にランド10が位置し、ランド10には、LPP14が形成されている。図1において、AはLPP14の長さを示し、BはLPP14の幅を示し、CはLPPの位置(ランドの中心部からの距離)を示す。また、図2に示すように、LPP14は基板に形成されていて、LPP14が位置する記録層18の部位、すなわち、LPP14部における記録層は窪みとなっている。図2において、aはLPP14の深さを示し、bはLPP14部における記録層の窪みの深さを示している。
【0027】
前記b/aの値としては、好ましくは0.55以上であり、より好ましくは0.58以上である。また、上限は0.9である。
【0028】
前記b/aの値を0.5以上とする手段としては、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの手法が挙げられる。
(1)色素飽和溶解度が小さい色素、溶剤を選択する
色素の飽和溶解度が、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%となるように色素、溶剤を選択する。
(2)色素濃度を低濃度とする
記録層用塗布液の色素濃度を低濃度とする。具体的には、色素飽和溶解度に対する濃度の比が好ましくは0.02〜0.9、より好ましくは0.05〜0.8、さらに好ましくは0.1〜0.7に設定する。
(3)塗布環境湿度を調整する
記録層用塗布液を塗布するに際しての環境湿度を調整する。環境湿度は、好ましくは20〜50%RHであり、より好ましくは25〜45%RHであり、さらに好ましくは30〜40%RHである。
【0029】
[反射層]
記録層の上には特に情報の再生時における反射率の向上の目的で反射層が設けられる。反射層の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組み合わせて用いてもよい。又は合金として用いてもよい。特に好ましくはAu、Agもしくはその合金である。反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより記録層の上に形成することができる。反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲で設けられる。
【0030】
[接着層]
接着層は、反射層と、保護層又は保護基板との間に形成される層である。
接着層を構成する接着剤としては、紫外線硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような紫外線硬化性樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましく、10〜100μmの範囲が特に好ましい。
【0031】
接着層を構成する接着剤の他の例を挙げる。該接着剤は、放射線照射により硬化可能な樹脂であって、分子中に2個以上の放射線官能性の二重結合を有する樹脂であり、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などがあげられる。好ましくは2官能以上のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。
【0032】
2官能の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレートなどに代表される脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものを用いることができる。
【0033】
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートや公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。
さらに、公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。
【0034】
また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートなどの環状構造を有するものも用いることができる。
【0035】
前記放射線としては、電子線および紫外線を使用することができる。紫外線を使用する場合には以下の化合物に光重合開始剤を添加することが必要となる。光重合開始剤として芳香族ケトンが使用される。芳香族ケトンは、特に限定されないが、紫外線照射光源として通常使用される水銀灯の輝線スペクトルを生ずる。254,313,865nmの波長において吸光係数の比較的大なるものが好ましい。その代表例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−2ジエトキシアセトフェノン、Michler’sケトンなどがあり、種々の芳香族ケトンが使用できる。芳香族ケトンの混合比率は、化合物(a)100質量部に対し0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。紫外線硬化型接着剤としてあらかじめ光開始剤を添加したものが市販しており、それを使用してもかまわない。紫外線光源としては、水銀ランプ又はメタルハライドランプが用いられる。該ランプとしては20〜300W/cmのものを用い、0.1〜20秒間照射される。基板とランプとの距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
【0036】
電子線加速器としてはスキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できるが、好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が100〜1000kV、好ましくは150〜300kVであり、吸収線量として0.5〜20Mrad、好ましくは1〜10Mradである。加速電圧が10kV以下の場合は、エネルギーの透過量が不足し1000kVを超えると重合に使われるエネルギー効率が低下しコスト的に好ましくない。
【0037】
[保護層、保護基板]
保護層又は保護基板は、水分の侵入やキズの発生を防止する。保護層を構成する材料としては、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、なかでも紫外線硬化樹脂であることが好ましい。該紫外線硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「SD−640」等の紫外線硬化樹脂を挙げることができる。また、SD−347(大日本インキ化学工業社製)、SD−694(大日本インキ化学工業製)、SKCD1051(SKC社製)等を使用することができる。保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
また、保護層が、レーザー光路として使用される層構成においては、透明性を有することが必要とされる。ここで、「透明性」とは、記録光および再生光に対して、該光を透過する(透過率:90以上)ほどに透明であることを意味する。
【0038】
保護層は、スピンコート法により形成することができる。スピンコート法を適用することで、記録層にダメージ(色素の溶解、色素と保護層材料との化学反応等)を与えることなく保護層を形成することができる。スピンコートする際の回転数は、均一な層形成および記録層へのダメージの防止の観点から、50〜8000rpmとすることが好ましく、100〜5000rpmとすることがより好ましい。
なお、保護層に紫外線硬化樹脂を使用した場合は、スピンコート法により保護層を形成した後、該保護層上から紫外線照射ランプ(メタルハライドランプ)により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させる。
また、形成する保護層の厚みムラを無くすため、樹脂を硬化させる前に一定時間放置する等の処理を適宜行ってもよい。
【0039】
DVD−Rの場合は、保護層に代わって、紫外線効果樹脂等からなる接着層および保護基板としての基板(厚さ:0.6mm程度、材質については前記基板と同様)を積層する。
すなわち、反射層を形成した後、紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業(株)製SD640等)をディスク上に吐出し、例えば、保護基板としてのポリカーボネート基板(厚さ:0.6mm)を載置し、スピンコートと同様に高回転で紫外線硬化樹脂を振り切った後、基板上から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化して貼り合わせる。接着層の厚みは20〜60μmである。
【0040】
<光情報記録方法>
本発明の光情報記録方法は、次のようにして行われる。まず、未記録の前述の光情報記録媒体を所定の線速度(14m/s以上)にて回転させながら、対物レンズを介してレーザー光などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層の色素がその光を吸収して局所的に温度上昇し、所望の空隙(ピット)が生成してその光学特性が変わることにより情報が記録される。
【0041】
レーザー光の記録波形は、1つのピットの形成する際には、パルス列でも1パルスでもかまわない。実際に記録しようとする長さ(ピットの長さ)に対する割合が重要である。
レーザー光のパルス幅としては、実際に記録しようとする長さに対して20〜95%の範囲が好ましく、30〜90%の範囲がより好ましく、35〜85%の範囲が更に好ましい。ここで、記録波形がパルス列の場合には、その和が上記の範囲にあることを指す。
【0042】
レーザー光のパワーとしては、記録線速度によって異なるが、線速度が14m/sの場合、15.0〜20.0mWの範囲が好ましく、16.5〜19.5mWの範囲がより好ましく、17.0〜19.0mWの範囲が更に好ましい。また、線速度が2倍になった場合には、レーザー光のパワーの好ましい範囲は、それぞれ21/2倍となる。
【0043】
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.62以上が好ましく、0.65以上がより好ましい。
【0044】
本発明においては、記録光として300〜700nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザーを用いることができる。
【0045】
本発明においては、記録線速度を14m/s(4倍速)以上としたが、21m/s(6倍速)以上が好ましく、28m/s(8倍速)以上がより好ましい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
射出成形にて、ポリカーボネート樹脂を、スパイラル状(螺旋状)のグルーブ(深さ:130nm、幅300nm、トラックピッチ:0.74μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmの基板を成形した。下記色素Aと下記色素Bとを質量比6:4の比率で1.20gを、2,2,3,3−テトラフルオロペンタノール100mlに溶解した塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により上記基板のグルーブが形成された面上に塗布し、記録層を形成した。次に、記録層上に銀をスパッタして膜厚約150nmの反射層を形成した後、紫外線硬化樹脂を接着剤として用いてダミー基板と貼り合わせて光ディスク(光情報記録媒体)を作製した。
なお、本実施例において、LPPの長さ(図1における「A」)は300nmであり、LPP位置(図1における「C」)は370nmであり、LPPの深さaとLPP部における記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)は0.56であった。
【0048】
【化1】
【0049】
[比較例1]
LPPの深さaとLPPの記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の光ディスクを作製した。
【0050】
[比較例2]
LPPの長さを400nmとしたこと、及びLPPの深さaとLPP部の記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例2の光ディスクを作製した。
【0051】
[比較例3]
LPP位置(C)を200nmとした(溝側に寄せた)こと、及びLPPの深さaとLPP部の記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例3の光ディスクを作製した。
【0052】
[評価]
ディスクドライブ装置(DDU−1000、パルステック工業(株)製、レーザー波長:660nm、開口率:0.6)を用いて線速度を3.5〜28m/sまで変えて8−16変調信号を記録した。記録パワーは、それぞれの光ディスクでジッターが最も小さくなる記録パワーに設定した。その後、記録レーザー波長と同波長のレーザーを用いて再生し、記録後のLPPエラーレート、及びPIエラー(訂正可能なエラー)を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、b/aの値が0.5以上の実施例1は、LPPエラーレート及びPIエラーが小さく、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立することができたことが分かる。これに対して、b/aの値が0.5以下の比較例1〜3においては、LPPエラーレート及びPIエラーの双方をともに小さくすることができず、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立することができなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、記録線速度14m/s以上で記録したときであっても、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体を上方から見たランド、グルーブ、及びランドプリピットを示す部分模式図である。
【図2】図1に示すランドプリピットの断面を部分的に示す模式断面図である。
【符号の説明】
10 ランド
12 グルーブ
14 ランドプリピット(LPP)
16 基板
18 記録層
20 反射層
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体及び光情報記録方法に関し、特に、色素を含有する記録層が形成された光情報記録媒体及び該光情報記録媒体への光情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが提案されている。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そしてさらに必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
【0004】
このようなDVD−Rにおいて、近年、4倍速以上(記録線速度14m/s以上)の高速記録の要求が高まっている。光情報記録媒体における最適記録パワーは、概ね、記録速度の平方根に比例することが知られている。例えば、4倍速記録における最適記録パワーは、1倍速における最適記録パワーの約2倍である。このとき、記録速度が大きいほど、短い時間で大きなエネルギーが照射されるため、記録ピット部の変形が大きくなる傾向がある。記録ピットの変形が大きいと、高変調度が得られ、再生信号のC/Nが高くなる一方で、隣接するトラックへの信号の漏れ込みが大きくなる、即ち、クロストークが大きくなるという問題がある。記録密度が高いほど、トラックピッチが短いため、このクロストークの影響が大きい。
また、DVD−Rのように、記録トラックの間にあるランド部に、アドレス信号をもつランドプリピット(LPP)が形成されているような場合に、記録トラックに大きなピットが形成されるとアドレス情報を読みとりにくくなり、LPPエラーの原因となるという問題がある。
【0005】
従って、高速記録に対応するためには、LPP信号を大きくする必要がある。従来、LPP信号を大きくする方法としては、1)LPPの大きさを大きくする(例えば、特許文献1、2参照。)、2)LPPをグルーブ側にシフトさせる、などが知られている。しかし、いずれも、グルーブ部に記録されるユーザーデータのピットに影響を及ぼし、ユーザーデータのエラーレートが悪化するという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−237101号公報
【特許文献2】
特開2002−208187号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録媒体を提供することにある。
また、本発明の目的は、記録線速度14m/s以上で記録したときであっても、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
本発明は、同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層が形成され、前記グルーブに沿って情報の記録再生を行う光情報記録媒体であって、前記ランドにプリピットが形成されており、該プリピットの深さをa、プリピット部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上であることを特徴とする光情報記録媒体である。
前記グルーブの半値幅を250〜350nm、深さを50〜150nmとすることが好ましい。
また、本発明は、方法の態様によると、前記光情報記録媒体に、14m/s以上の記録線速度で情報の記録を行うことを特徴とする光情報記録方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報記録媒体は、同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層が形成され、前記グルーブに沿って記録再生を行う光情報記録媒体であって、前記ランドにプリピットが形成されており、該プリピットの深さをa、プリピット部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上であることを特徴としている。
以下、先ず、本発明の光情報記録媒体について説明する。
【0010】
<光情報記録媒体>
本発明の光情報記録媒体としては、例えば、DVD−R等の情報の書き込みが可能な追記型の光情報記録媒体である。
【0011】
DVD−R等の光情報記録媒体では、2枚の基板(第1の基板、第2の基板)を貼り合わせてなり、少なくとも第1の基板には、記録層が形成されている。その他に、反射層、保護層等が適宜形成されていることが好ましい。また、第2の基板にも、第1の基板と同様に、記録層、光反射層等が順次形成された構成としてもよく、いわゆる保護基板(ダミー基板)として層を形成しない構成としてもよい。
以下、DVD−R等の光情報記録媒体を例に、本発明の光情報記録媒体の上記基板および各層について説明する。なお、層構成や材料等は、単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
[基板]
基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.4mmとすることが好ましい。
【0013】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ、ランド)が、螺旋状又は同心円状に形成されている。グルーブのトラックピッチは、0.4〜0.9μmとすることが好ましく、0.45〜0.85μmとすることがより好ましく、0.5〜0.8μmとすることがさらに好ましい。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、50〜150nmとすることが好ましく、85〜135nmとすることがより好ましく、100〜130nmとすることがさらに好ましい。さらに、グルーブの半値幅は、200〜400nmとすることが好ましく、280〜380nmとすることがより好ましく、250〜350nmとすることがさらに好ましい。
【0014】
また、グルーブとグルーブとの間のランドと呼ばれる領域には、予め決められた規則に従って配置された、ランドプリピット(LPP)が形成されている。このLPPの位置を検出することによって、アドレス情報の取得及びデータ記録時の位置決めが行われる。
【0015】
また、記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上及び記録層の変質防止などの目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;及びシランカップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲、好ましくは0.01〜10μmの範囲で設けられる。
【0016】
[記録層]
DVD−Rの場合、記録層に用いる色素は特に限定されないが、使用可能な色素の例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、イミダゾキノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色素、オキソノール系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。これらの色素のうちでは、シアニン色素、フタロシアニン系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。
【0017】
記録層を形成するための塗布液の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独又は二種以上を適宜併用することができる。好ましくは、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤である。なお、塗布液中には、所望により褪色防止剤や結合剤を添加してもよいし、更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、そして潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0018】
褪色防止剤の代表的な例としては、ニトロソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩を挙げることができる。これらの例は、例えば、特開平2−300288号、同3−224793号、及び同4−146189号等の各公報に記載されている。
【0019】
結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。結合剤を使用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素100質量部に対して0.2〜20質量部、好ましくは、0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0020】
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0021】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜200nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0022】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0023】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、記録するための化合物の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0024】
本発明においては、LPPの深さをa、LPP部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上となるように、基板及び記録層を形成している。前記b/aは、LPP部における色素が埋まる度合いを示している。すなわち、本発明においては、b/aの値を0.5以上と規定することにより、LPP部における色素の埋まりが少ないため、グルーブに記録されるユーザーデータのエラーレートへの影響を低減することができる。以下、LPPの深さをa、LPP部における記録層の窪みの深さをbなどを図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の光情報記録媒体の上方から見たランド10とグルーブ12とランドプリピット(LPP)14を示す部分模式図であり、図2は図1におけるLPP14の断面を部分的に示す模式断面図である。なお、図1、図2においては、基板16上に、記録層18、反射層20が積層された形態を示している。
【0026】
図1に示すように、2つのグルーブ12の間にランド10が位置し、ランド10には、LPP14が形成されている。図1において、AはLPP14の長さを示し、BはLPP14の幅を示し、CはLPPの位置(ランドの中心部からの距離)を示す。また、図2に示すように、LPP14は基板に形成されていて、LPP14が位置する記録層18の部位、すなわち、LPP14部における記録層は窪みとなっている。図2において、aはLPP14の深さを示し、bはLPP14部における記録層の窪みの深さを示している。
【0027】
前記b/aの値としては、好ましくは0.55以上であり、より好ましくは0.58以上である。また、上限は0.9である。
【0028】
前記b/aの値を0.5以上とする手段としては、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの手法が挙げられる。
(1)色素飽和溶解度が小さい色素、溶剤を選択する
色素の飽和溶解度が、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%となるように色素、溶剤を選択する。
(2)色素濃度を低濃度とする
記録層用塗布液の色素濃度を低濃度とする。具体的には、色素飽和溶解度に対する濃度の比が好ましくは0.02〜0.9、より好ましくは0.05〜0.8、さらに好ましくは0.1〜0.7に設定する。
(3)塗布環境湿度を調整する
記録層用塗布液を塗布するに際しての環境湿度を調整する。環境湿度は、好ましくは20〜50%RHであり、より好ましくは25〜45%RHであり、さらに好ましくは30〜40%RHである。
【0029】
[反射層]
記録層の上には特に情報の再生時における反射率の向上の目的で反射層が設けられる。反射層の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組み合わせて用いてもよい。又は合金として用いてもよい。特に好ましくはAu、Agもしくはその合金である。反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより記録層の上に形成することができる。反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲で設けられる。
【0030】
[接着層]
接着層は、反射層と、保護層又は保護基板との間に形成される層である。
接着層を構成する接着剤としては、紫外線硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような紫外線硬化性樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましく、10〜100μmの範囲が特に好ましい。
【0031】
接着層を構成する接着剤の他の例を挙げる。該接着剤は、放射線照射により硬化可能な樹脂であって、分子中に2個以上の放射線官能性の二重結合を有する樹脂であり、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などがあげられる。好ましくは2官能以上のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。
【0032】
2官能の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレートなどに代表される脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものを用いることができる。
【0033】
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートや公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。
さらに、公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。
【0034】
また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートなどの環状構造を有するものも用いることができる。
【0035】
前記放射線としては、電子線および紫外線を使用することができる。紫外線を使用する場合には以下の化合物に光重合開始剤を添加することが必要となる。光重合開始剤として芳香族ケトンが使用される。芳香族ケトンは、特に限定されないが、紫外線照射光源として通常使用される水銀灯の輝線スペクトルを生ずる。254,313,865nmの波長において吸光係数の比較的大なるものが好ましい。その代表例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−2ジエトキシアセトフェノン、Michler’sケトンなどがあり、種々の芳香族ケトンが使用できる。芳香族ケトンの混合比率は、化合物(a)100質量部に対し0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。紫外線硬化型接着剤としてあらかじめ光開始剤を添加したものが市販しており、それを使用してもかまわない。紫外線光源としては、水銀ランプ又はメタルハライドランプが用いられる。該ランプとしては20〜300W/cmのものを用い、0.1〜20秒間照射される。基板とランプとの距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
【0036】
電子線加速器としてはスキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できるが、好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が100〜1000kV、好ましくは150〜300kVであり、吸収線量として0.5〜20Mrad、好ましくは1〜10Mradである。加速電圧が10kV以下の場合は、エネルギーの透過量が不足し1000kVを超えると重合に使われるエネルギー効率が低下しコスト的に好ましくない。
【0037】
[保護層、保護基板]
保護層又は保護基板は、水分の侵入やキズの発生を防止する。保護層を構成する材料としては、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、なかでも紫外線硬化樹脂であることが好ましい。該紫外線硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「SD−640」等の紫外線硬化樹脂を挙げることができる。また、SD−347(大日本インキ化学工業社製)、SD−694(大日本インキ化学工業製)、SKCD1051(SKC社製)等を使用することができる。保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
また、保護層が、レーザー光路として使用される層構成においては、透明性を有することが必要とされる。ここで、「透明性」とは、記録光および再生光に対して、該光を透過する(透過率:90以上)ほどに透明であることを意味する。
【0038】
保護層は、スピンコート法により形成することができる。スピンコート法を適用することで、記録層にダメージ(色素の溶解、色素と保護層材料との化学反応等)を与えることなく保護層を形成することができる。スピンコートする際の回転数は、均一な層形成および記録層へのダメージの防止の観点から、50〜8000rpmとすることが好ましく、100〜5000rpmとすることがより好ましい。
なお、保護層に紫外線硬化樹脂を使用した場合は、スピンコート法により保護層を形成した後、該保護層上から紫外線照射ランプ(メタルハライドランプ)により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させる。
また、形成する保護層の厚みムラを無くすため、樹脂を硬化させる前に一定時間放置する等の処理を適宜行ってもよい。
【0039】
DVD−Rの場合は、保護層に代わって、紫外線効果樹脂等からなる接着層および保護基板としての基板(厚さ:0.6mm程度、材質については前記基板と同様)を積層する。
すなわち、反射層を形成した後、紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業(株)製SD640等)をディスク上に吐出し、例えば、保護基板としてのポリカーボネート基板(厚さ:0.6mm)を載置し、スピンコートと同様に高回転で紫外線硬化樹脂を振り切った後、基板上から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化して貼り合わせる。接着層の厚みは20〜60μmである。
【0040】
<光情報記録方法>
本発明の光情報記録方法は、次のようにして行われる。まず、未記録の前述の光情報記録媒体を所定の線速度(14m/s以上)にて回転させながら、対物レンズを介してレーザー光などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層の色素がその光を吸収して局所的に温度上昇し、所望の空隙(ピット)が生成してその光学特性が変わることにより情報が記録される。
【0041】
レーザー光の記録波形は、1つのピットの形成する際には、パルス列でも1パルスでもかまわない。実際に記録しようとする長さ(ピットの長さ)に対する割合が重要である。
レーザー光のパルス幅としては、実際に記録しようとする長さに対して20〜95%の範囲が好ましく、30〜90%の範囲がより好ましく、35〜85%の範囲が更に好ましい。ここで、記録波形がパルス列の場合には、その和が上記の範囲にあることを指す。
【0042】
レーザー光のパワーとしては、記録線速度によって異なるが、線速度が14m/sの場合、15.0〜20.0mWの範囲が好ましく、16.5〜19.5mWの範囲がより好ましく、17.0〜19.0mWの範囲が更に好ましい。また、線速度が2倍になった場合には、レーザー光のパワーの好ましい範囲は、それぞれ21/2倍となる。
【0043】
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.62以上が好ましく、0.65以上がより好ましい。
【0044】
本発明においては、記録光として300〜700nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザーを用いることができる。
【0045】
本発明においては、記録線速度を14m/s(4倍速)以上としたが、21m/s(6倍速)以上が好ましく、28m/s(8倍速)以上がより好ましい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
射出成形にて、ポリカーボネート樹脂を、スパイラル状(螺旋状)のグルーブ(深さ:130nm、幅300nm、トラックピッチ:0.74μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmの基板を成形した。下記色素Aと下記色素Bとを質量比6:4の比率で1.20gを、2,2,3,3−テトラフルオロペンタノール100mlに溶解した塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により上記基板のグルーブが形成された面上に塗布し、記録層を形成した。次に、記録層上に銀をスパッタして膜厚約150nmの反射層を形成した後、紫外線硬化樹脂を接着剤として用いてダミー基板と貼り合わせて光ディスク(光情報記録媒体)を作製した。
なお、本実施例において、LPPの長さ(図1における「A」)は300nmであり、LPP位置(図1における「C」)は370nmであり、LPPの深さaとLPP部における記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)は0.56であった。
【0048】
【化1】
【0049】
[比較例1]
LPPの深さaとLPPの記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の光ディスクを作製した。
【0050】
[比較例2]
LPPの長さを400nmとしたこと、及びLPPの深さaとLPP部の記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例2の光ディスクを作製した。
【0051】
[比較例3]
LPP位置(C)を200nmとした(溝側に寄せた)こと、及びLPPの深さaとLPP部の記録層の窪みの深さbとの比の値(b/a)が0.40となるように、色素濃度を0.8g/100ml、塗布環境湿度を60%RHとして記録層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例3の光ディスクを作製した。
【0052】
[評価]
ディスクドライブ装置(DDU−1000、パルステック工業(株)製、レーザー波長:660nm、開口率:0.6)を用いて線速度を3.5〜28m/sまで変えて8−16変調信号を記録した。記録パワーは、それぞれの光ディスクでジッターが最も小さくなる記録パワーに設定した。その後、記録レーザー波長と同波長のレーザーを用いて再生し、記録後のLPPエラーレート、及びPIエラー(訂正可能なエラー)を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、b/aの値が0.5以上の実施例1は、LPPエラーレート及びPIエラーが小さく、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立することができたことが分かる。これに対して、b/aの値が0.5以下の比較例1〜3においては、LPPエラーレート及びPIエラーの双方をともに小さくすることができず、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立することができなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、記録線速度14m/s以上で記録したときであっても、記録データの低エラーレート化と、LPP信号の高品質化とを両立した光情報記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体を上方から見たランド、グルーブ、及びランドプリピットを示す部分模式図である。
【図2】図1に示すランドプリピットの断面を部分的に示す模式断面図である。
【符号の説明】
10 ランド
12 グルーブ
14 ランドプリピット(LPP)
16 基板
18 記録層
20 反射層
Claims (3)
- 同心円状又は螺旋状のグルーブとランドとを有する基板のグルーブとランドを有する面側に色素を含有する記録層が形成され、前記グルーブに沿って情報の記録再生を行う光情報記録媒体であって、
前記ランドにプリピットが形成されており、該プリピットの深さをa、プリピット部における記録層の窪みの深さをbとしたとき、b/aの値が0.5以上であることを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記グルーブの半値幅が250〜350nm、深さが50〜150nmであることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 請求項1または2に記載の光情報記録媒体に、14m/s以上の記録線速度で情報の記録を行うことを特徴とする光情報記録方法。
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- 2003-06-03 JP JP2003157780A patent/JP2004362643A/ja active Pending
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