JP2004361191A - 振動子の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定部2および屈曲振動片を備える振動子1Aを支持するための支持構造を提供する。支持構造は、基板7、および基板7表面上に支持されており、固定部2に対して接合されるべき複数のボンディングワイヤ3を備えている。振動子1Aをボンディングワイヤ3によって基板7に接触しない状態で支持する。複数のボンディングワイヤ3が、固定部2の中心線2cに対して一方の側2aに対して接続されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、振動子の支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特許文献1には、振動型ジャイロスコープ用の振動子を支持部材によって支持するのに際して、支持部材を細長い棒状物とし、支持部材を複雑に曲折させ、振動子を支持している。支持部材を振動子上の電極に対して電気的に接続することも記載されている。特許文献1記載の支持構造で、振動子が、2枚の圧電板を貼り合わせてなる柱状の振動子である。そして、振動子の厚み方向中央を通る平面において、振動のノード点近傍を支持する。これによって、振動が外部へと漏れにくいようにし、振動子の振動を安定化させ、角速度の検出精度の向上を試みている。
【特許文献2】
特開2003−28648号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば振動子が一層小型化してくると、このような支持構造によっても、例えば高温領域において、かなり大きい温度ドリフトが発生することがあった。例えば、低温〜室温領域で駆動インピーダンスが一定していても、60℃〜70℃から駆動インピーダンスが立ち上がり、温度ドリフトを生じさせることがあった。
【0004】本発明の課題は、電気的接続のための端子部を備える振動子を支持するための支持構造であって、振動子を小型化することが可能であり、かつ広い温度範囲にわたって駆動インピーダンスを一定とし、温度ドリフトを低減できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、振動子の固定部に対して接合されるべき複数のボンディングワイヤを備えており、振動子をボンディングワイヤによって基板に接触しない状態で支持し、かつ複数のボンディングワイヤが、固定部の中心線に対して一方の側に対して接続されていることを特徴とする。
【0006】本発明者は、振動子の端子部に対して電気信号を供給したり、あるいは振動子の端子部から電気信号をパッケージ基板に伝送するためのボンディングワイヤに着目した。そして、基板上に固定されたボンディングワイヤを振動子に対して接合し、振動子を基板から浮上した状態で支持することを想到した。振動子を小型化することによって、振動子を浮上状態で支持するのに必要な構造強度が、ボンディングワイヤによって得られる。
【0007】しかし、このような支持方法によっても、例えば高温領域において、かなり大きい温度ドリフトが発生することがあった。本発明者は、こうした一部温度範囲における温度ドリフトの原因について検討した結果、以下の知見を得た。例えば本発明者が設定したあるモデル系では、駆動周波数fdが40kHz近辺であり、離調周波数Δfが1kHz近辺である。この場合、比較的リジッドに振動子を基板表面にボンディングワイヤで支持すると、支持構造全体の共振周波数frが上昇し、駆動周波数fdに接近することがあった。この場合には、例えば高温領域や低温領域など一部温度領域において、駆動インピーダンスが上昇し、温度ドリフトが生ずることがある。
【0008】第一の発明においては、複数のボンディングワイヤが、固定部の中心線に対して一方の側に対して接続する構造を採用することによって、振動子を柔軟に支持し、一部温度領域における駆動インピーダンスの上昇を抑制することができる。
【0009】第二の発明は、固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および基板表面上に支持されており、振動子の固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、振動子をボンディングワイヤによって基板に接触しない状態で支持し、かつボンディングワイヤ内に空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0010】第二の発明においては、前記ボンディングワイヤ内に空隙部を形成することによって、振動子を柔軟に支持し、一部温度領域における駆動インピーダンスの上昇を抑制できるように、支持構造全体の共振周波数を制御することができる。
【0011】第三の発明は、固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および基板表面上に支持されており、振動子の固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、振動子をボンディングワイヤによって基板に接触しない状態で支持し、かつボンディングワイヤが、幅または厚さの小さい部分を備えていることを特徴とする。
【0012】第三の発明においては、前記ボンディングワイヤ内に幅または厚さの小さい部分を形成することによって、振動子を柔軟に支持し、一部温度領域における駆動インピーダンスの上昇を抑制できるように、支持構造全体の共振周波数を制御することができる。
【0013】第四の発明は、固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および基板表面上に支持されており、振動子の固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、振動子を前記ボンディングワイヤによって基板に接触しない状態で支持し、かつボンディングワイヤが、ねじれ部分を有する帯状物からなることを特徴とする。
【0014】第四の発明においては、前記ボンディングワイヤを帯状物によって形成し、かつ帯状物にねじれ部分を形成している。これによって、振動子が少なくとも2方向に振動変位しやすくなり、振動子を柔軟に支持し、一部温度領域における駆動インピーダンスの上昇を抑制できるように、支持構造全体の共振周波数を制御することができる。
【0015】第五の発明においては、少なくとも一対の前記ボンディングワイヤの一方の形状または材質が他方と異なり、かつ一対のボンディングワイヤが同等のバネ定数を有する。
これによって、一対のボンディングワイヤの形状や材質と異なる場合に同等のバネ定数を与えることで、振動子の不要な振動モードに基づく温度ドリフトを低減できる。
【0016】ここで、同等のバネ定数とは以下の意味である。
少なくとも1方向のワイヤ曲げ、または伸縮に対する弾性が同等であることを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
【0018】振動子の材質は限定されないが、圧電単結晶が好ましく、水晶、ニオブ酸リチウム単結晶、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶が特に好ましい。
【0019】振動子の寸法は限定されない。しかし、振動子の重量や寸法が大きいと、ボンディングワイヤに加わる重力が大きくなり、長期間経過時にボンディングワイヤが変形する可能性がある。このため、ボンディングワイヤの変形による振動への影響を抑制するという観点からは、振動子の幅を10mm以下とすることが好ましく、5mm以下とすることがさらに好ましい。また、同様の観点からは、振動子の重量を5mg以下とすることが好ましく、1mg以下とすることが一層好ましい。また、振動子の厚さを0.3mm以下とすることが好ましく、0.2mm以下とすることが更に好ましい。
【0020】基板の材質は特に限定されず、いわゆるパッケージ用途に用いられている絶縁性材料、例えばセラミックス、ガラス、樹脂を使用できる。
【0021】ボンディングワイヤの振動子への接合方法は限定されないが、超音波ボンディング、スポット溶接、導電性接着剤、半田付けが好ましい。
【0022】ボンディングワイヤは、振動子の端子部に対して電気的に接続されている。ここで、好適な実施形態においては、ボンディングワイヤが振動子の端子部に対して接合されている。しかし、ボンディングワイヤは、端子部に対して直接接合されている必要はない。例えば、ボンディングワイヤの先端を振動子の端子部以外の領域に対して接合し、ボンディングワイヤの先端と端子部とを、例えば振動子上の配線や振動子とは別体の電線を通して、電気的に接続することができる。
【0023】振動子は、基板に直接接触しない状態で支持する必要があり、これによって振動子の振動の阻害を防止する。好適な実施形態においては、振動子と基板との間隔は、0.1mm以上であり、更に好ましくは0.2mm以上である。
【0024】ボンディングワイヤの材質は特に限定されないが、導電性材料である必要があり,また柔軟性ないし可撓性を有する材料であることが好ましい。この観点からは、金めっき付銅、金めっき付ニッケル、ニッケル、アルミニウムが好ましい。
【0025】ボンディングワイヤの幅と厚さは特に限定されないが、振動子を長期間にわたって安定して支持するという観点からは、幅25μm、厚さ10μm以上であることが好ましく、幅50μm、厚さ20μm以上であることが更に好ましい。また、支持構造全体の小型化という観点からは、幅200μm、厚さ80μm以下であることが好ましく、幅100μm、厚さ40μm以下であることが更に好ましい。
【0026】ボンディングワイヤによって振動子の上面を支持することができる。この場合は、振動子がボンディングワイヤの端部から下へと向かってつり下げられる。この形態は、支持構造全体の厚さを低減するという観点から好適である。
【0027】あるいは、ボンディングワイヤによって振動子の下面を支持することができる。この形態は、振動子を長期間にわたって安定に支持するという観点からは好適である。
【0028】基板の種類は特に限定されないが、パッケージ用基板であることが好ましい。
【0029】好適な実施形態においては、振動子が、回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープ用の振動子である。
【0030】振動子の形態は限定されない。好適な実施形態においては、振動子が、屈曲振動片と、この屈曲振動片を固定する固定部とを備えており、この固定部がボンディングワイヤに対して接合されている。これによって、振動片の屈曲振動に対する支持構造の影響を最小限に抑えることができ、支持構造の影響による振動子ごとの振動状態のバラツキを抑制できる。
【0031】図1、図2は、この実施形態に係る振動子1Aを示す。振動子1Aは、固定部2と、固定部2から突出する一対の検出振動片13A、13Bと、固定部2から突出する一対の支持部5と、支持部5の先端に設けられている駆動振動片14A、14B、14C、14Dとを備えている。駆動時には、図1に示すように、各駆動振動片14A、14B、14C、14Dが、支持部5への付け根を中心として矢印Aのように屈曲振動する。この状態で、図2に示すように、振動子1Aを、振動子1Aに略垂直に延びる回転軸Zの周りに回転させる。すると、支持部5が固定部2への付け根を中心として矢印Bのように屈曲振動し、各検出振動片13A、13Bがその反作用によって固定部2への付け根を中心として矢印Cのように屈曲振動する。各検出振動片13A、13Bにおいて発生した電気信号に基づいて、Z軸を中心とする回転角速度を算出する。17、18は貫通孔であり、19は駆動電極であり、20は検出電極である。
【0032】ここで、固定部2上には端子部4が設けられている。各端子部4と、駆動振動片、検出振動片上の電極とは、図示しない配線を通して電気的に接続されている。前述した各ボンディングワイヤが各端子に対して電気的に接続される。
【0033】この際、図1、図2の例においては、第一の発明に従い、基部2を中心線2cに沿って分けたときの一方の側2a内に端子部4が設けられている。そして、各ボンディングワイヤ3の一端は、基板7上の端子部6に対して接合されている。ボンディングワイヤ3の他端は、固定部2の一方の側2a内にある端子部4に対して結合されている。ボンディングワイヤ3の他端は、固定部2の他方の側2b内には接合されていない。
【0034】このような支持構造を採用すると、振動子1Aが、図2において、振動子1AがX軸方向へと向かって容易に変位できる形で柔軟に支持される。
【0035】図3〜図6は、いずれも、第一の発明に係る支持構造を模式的に示す平面図である。図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)においては、図1に示す振動子1Aのうち、固定部2およびその周辺のみを図示してある。いずれの例においても、基部2を中心線2cに沿って分けたときの一方の側2a内に端子部4が設けられている。そして、各ボンディングワイヤ3の一端は、基板7上の端子部6に対して接合されている。ボンディングワイヤ3の他端は、固定部2の一方の側2a内にある端子部4に対して結合されている。
【0036】好適な実施形態においては、ボンディングワイヤが、基板7から見て固定部の中心線2cおよび固定部の中心線に対して他方の側2bの上方を通過する。このような形態のボンディングワイヤを採用することによって、ボンディングワイヤの変位が一層容易になり、駆動ドリフトの低減に有効である。
【0037】図6はこの実施形態に係るものである。図6(a)は、複数本、例えば4本のボンディングワイヤ8を、振動子1Aの固定部2上に取り付ける直前の状態を示し、図6(b)は、ボンディングワイヤ8を、振動子1Aの固定部2に取り付けた状態を示す。
【0038】各ボンディングワイヤ8は、アーチ状に湾曲した本体8bと、本体8bの一端に設けられた取り付け部8cと、本体8bの他端に設けられた取り付け部8aとを備えている。取り付け部8aを、固定部2の一方の側2aに取り付けて固定し、取り付け部8cを基板7上に固定する。この結果、各ボンディングワイヤ8は、固定部2の上の空間を通り、固定部の中心線2cおよび他方の側2b上を通過し、更に固定部2のある平面を通過して基板7上に達することになる。
【0039】なお、図6の例においては、各ボンディングワイヤ8の取り付け部8aがボンディングワイヤの内側を向いている。しかし、例えば図7に示すように、固定部2側の取り付け部8dが、ボンディングワイヤ8Aから見て外側を向くようにできる。
【0040】第二の発明においては、ボンディングワイヤ内に空隙部を形成することによって、振動子を柔軟に支持し、一部温度領域における駆動インピーダンスの上昇を抑制する。図8〜図13はこの実施形態に係るものである。
【0041】第二の発明においては、空隙部の形態は特に限定されず、円形、矩形など任意の平面的形状を有していてよい。図8(a)のボンディングワイヤ9には、円形の空隙部9aが列状に多数形成されている。図8(b)のボンディングワイヤ10は、長尺部10cに拡幅部10aが設けられており、この中に矩形の空隙部10bが形成されている。
【0042】図9、図10、図11は、第二の発明の実施形態に係る支持構造の組み立て例を示す。図9には、導電性材料からなる枠体11を示す。枠体11には、振動子を配置することを意図した中央穴11aが設けられている。本例の枠体11は基板表面上に載置されている。
【0043】図10においては、枠体11上に絶縁体12を載置した状態を示した。絶縁体12は、外枠12aと、外枠12aから中央穴11aへと向かって突出する突出部12bとを備えている。図11においては、絶縁体12上に各ボンディングワイヤ16A、16B、16Cを載置した状態を示す。各ボンディングワイヤ16A、16B、16Cの先端部分17は、振動子の固定部上の端子部4へと接続される。各ボンディングワイヤ16Cには、更に空隙部18が形成されている。
【0044】図12においては、絶縁体12上に各ボンディングワイヤ16A、16B、16Dを載置した状態を示す。各ボンディングワイヤ16A、16B、16Dの先端部分17は、振動子の固定部上の端子部4へと接続される。各ボンディングワイヤ16Dには、更に空隙部18Aが形成されている。
【0045】図13においては、絶縁体12上に各ボンディングワイヤ16D、16E、16Fを載置した状態を示す。各ボンディングワイヤ16E、16F、16Dの先端部分17は、振動子の固定部上の端子部4へと接続される。各ボンディングワイヤ16Dには、更に空隙部18Aが形成されている。
【0046】第三の発明においては、前記ボンディングワイヤ内に幅または厚さの小さい部分を形成することによって、振動子を柔軟に支持する。図14(a)、(b)はこうしたボンディングワイヤを例示する図である。図14(a)においては、ボンディングワイヤ22は帯状を呈しており、ボンディングワイヤ22が、一定幅の本体部分22aと、幅の相対的に小さい狭幅部分22bとを備えている。また、図14(b)においては、ボンディングワイヤ23は、一定厚さの本体部分23aと、厚さの相対的に小さい薄膜部23bとを備えている。
【0047】第四の発明においては、ボンディングワイヤを帯状物によって形成し、かつ帯状物にねじれ部分を形成している。これによって、振動子が少なくとも2方向に振動変位しやすくなり、振動子を柔軟に支持できる。図15〜図19はこの実施形態に係るものである。
【0048】図15は、本例の支持構造を模式的に示す平面図であり、図16は、図15の支持構造をY軸方向から見た模式的正面図であり、図17は、図15の支持構造をX軸方向から見た模式的正面図である。本例においては2種類のボンディングワイヤ25、26を使用している。ボンディングワイヤ26は、曲折部分26aと、基板7への取り付け部分26bとを備えている。ボンディングワイヤ25は、帯状物をねじることによって形成されている。ボンディングワイヤ25は、具体的には、基板2への取り付け部分25a、基板7への取り付け部分25c、およびこれらを連結する本体部分25bを備えている。取り付け部分25a、25cは、X−Y平面に対して略平行に延びている。本体部分25bは、取り付け部分25a、25cに対してねじられており、Y−Z平面に対して略平行に延びている。このような形態のボンディングワイヤ25を使用すると、本体部分25bに対して略垂直な方向(X軸方向)へと向かって振動子が柔軟に支持される。
【0049】図18は、第四の発明の実施形態に係るボンディングワイヤ30を示す斜視図である。図18は、例えば4個のボンディングワイヤ30を示した。ボンディングワイヤ30は、基板へと矢印Fのように取り付けられる。取り付け部30aから、細長い帯状部30bが立ち上がっており、連結部30cを通して、略コの字形状の曲折部30dを通過し、取り付け部30eに至る。取り付け部30eは、矢印Eのように、振動子の固定部2に対して取り付けられるものである。
【0050】ここで、本例のボンディングワイヤ30は全体として帯状物からなっている。そして、ボンディングワイヤ30は、主としてX−Z平面内で変形しやすい立ち上がり部30bと、主としてZ−Y平面内で変形しやすい曲折部30dとを備えている。曲折部30dは、立ち上がり部30bに対してねじられた位置関係にある。この結果、ボンディングワイヤ30の全体が、X−Y−Z軸のいずれの方向に向かっても、図19に模式的に示すように容易に変位し得る。
【0051】図20は、第五の発明に係る支持構造を示す。本例では、振動子1A下の基板7Aは、平板部7aと段差部7bとを備えており、振動子1Aの真下に平板部7aと段差部7bとが存在する。振動子1Aは、例えば2種類のボンディングワイヤ28Aと28Bとによって基板7A上に支持されている。ここで、ボンディングワイヤ28Aは28Bよりも長くなる。従って、ボンディングワイヤ28Aと28Bとの材質、厚さおよび幅を同じにすると、ボンディングワイヤ28Aのバネ定数は、28Bのバネ定数よりも小さくなり、変形し易くなる。そうすると、振動子1Aにおいて、不要な厚み方向の振動成分が増大しやすくなる。
【0052】これを防止するためには、ボンディングワイヤ28Aと28Bとのバネ定数を同程度とすることが好ましい。このためには以下の方法を例示できる。
(1)ボンディングワイヤ28Aの厚さt1を28Bの厚さt2よりも大きくする。
(2)ボンディングワイヤ28Aの幅を28Bの幅よりも大きくする。
(3)ボンディングワイヤ28Aの材質を28Bの材質よりも変形しにくい材質にする。
【0053】
【実施例】図1、図2に示す振動子1Aを作製し、基板上に実装した。具体的には、厚さ0.1mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、厚さ100オングストロームのクロム膜と、厚さ1500オングストロームの金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングした。
【0054】このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子1Aの外形を形成した。メタルマスクを使用して、厚さ100オングストロームのクロム膜上に厚さ2000オングストロームの金膜を電極膜として形成した。振動子1Aの寸法は、縦2mm、横2mm、厚さ0.1mmであり、重量は約0.2mgであった。
【0055】振動子1Aをパッケージに実装した。ただし、基板7はアルミナセラミックスによって形成し、接点パッドは金によって形成し、枠体11はSUSによって形成し、絶縁体12はポリイミド樹脂によって形成した。各ボンディングワイヤは、銅膜線を金によってメッキすることで製造した。各ボンディングワイヤを絶縁体12に対して接着し、振動子1Aに対して超音波ボンディングによって接合した。
【0056】ここで、実施例として、ワイヤボンディングの形態を、図1、図6、図11、図14(a)、図14(b)、図15、図18に示す各形態とした。
【0057】そして、各例について、−40℃から+85℃の間の駆動インピーダンスの温度変化を測定した。実施例においては、全温度範囲について駆動インピーダンスはきわめて緩やかに直線的に変化しており、顕著な温度ドリフトは見られなかった。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電気的接続のための端子部を備える振動子を支持するための支持構造であって、振動子を小型化することが可能であり、かつ広い温度範囲にわたって駆動インピーダンスを一定とし、温度ドリフトを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明の実施形態に係る振動子1Aの支持構造を示す平面図である。
【図2】第一の発明の実施形態に係る振動子1Aの支持構造を示す平面図である。
【図3】(a)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図であり、(b)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図である。
【図4】(a)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図であり、(b)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図である。
【図5】(a)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図であり、(b)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を示す平面図である。
【図6】(a)は、第一の発明に係る固定部2の支持構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の支持構造の模式的平面図である。
【図7】ボンディングワイヤ8Aを模式的に示す斜視図である。
【図8】(a)は、第二の発明で使用するボンディングワイヤ9の一例を示す平面図であり、(b)は、他のボンディングワイヤ10の一例を示す平面図である。
【図9】基板7上に載置する枠体11を示す平面図である。
【図10】枠体11および絶縁体12を示す平面図である。
【図11】枠体11、絶縁体12、ボンディングワイヤ16A、16Bおよび第二の発明に係るボンディングワイヤ16Cを示す平面図である。
【図12】枠体11、絶縁体12、ボンディングワイヤ16A、16Bおよび第二の発明に係るボンディングワイヤ16Dを示す平面図である。
【図13】枠体11、絶縁体12、ボンディングワイヤ16E、16Fおよび第二の発明に係るボンディングワイヤ16Dを示す平面図である。
【図14】(a)は、第三の発明で使用するボンディングワイヤ22を示す平面図であり、(b)は、第三の発明で使用するボンディングワイヤ23を示す平面図である。
【図15】振動子の固定部2をボンディングワイヤ26および第四の発明に係るボンディングワイヤ25によって支持している構造を模式的に示す平面図である。
【図16】図15の支持構造をY軸側から見た模式的正面図である。
【図17】図15の支持構造をX軸側から見た模式的正面図である。
【図18】第四の発明で使用するボンディングワイヤ30を示す斜視図である。
【図19】ボンディングワイヤ30を示す斜視図である。
【図20】高さの異なるボンディングワイヤ28A、28Bによって振動子1Aを支持している構造を示す正面図である。
【符号の説明】1A 振動子 2 固定部 2a 一方の側
2b 他方の側 2c 中心線 3 ボンディングワイヤ
4、6 端子部 7 基板 8、8A 湾曲したボンディングワイヤ 9、10、16C、16D 空隙部の設けられたボンディングワイヤ 9a、10b、18、18A、18B 空隙部 11 枠体
22 幅の小さい部分が設けられたボンディングワイヤ 22b幅の小さい部分 23 厚さの小さい部分が設けられたボンディングワイヤ 23b 厚さの小さい部分が設けられたボンディングワイヤ
25、30 ねじれ部分を有する帯状物からなるボンディングワイヤ
Claims (8)
- 固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、前記振動子の前記固定部に対して接合されるべき複数のボンディングワイヤを備えており、前記振動子を前記ボンディングワイヤによって前記基板に接触しない状態で支持し、かつ前記複数のボンディングワイヤが、前記固定部の中心線に対して一方の側に対して接続されていることを特徴とする、振動子の支持構造。 - 前記ボンディングワイヤが、前記基板から見て前記固定部の中心線および前記固定部の中心線に対して他方の側の上方を通過することを特徴とする、請求項1記載の支持構造。
- 固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、前記振動子の前記固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、前記振動子を前記ボンディングワイヤによって前記基板に接触しない状態で支持し、かつ前記ボンディングワイヤ内に空隙部が形成されていることを特徴とする、振動子の支持構造。 - 固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、前記振動子の前記固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、前記振動子を前記ボンディングワイヤによって前記基板に接触しない状態で支持し、かつ前記ボンディングワイヤが、幅または厚さの小さい部分を備えていることを特徴とする、振動子の支持構造。 - 固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、前記振動子の前記固定部に対して接合されるべきボンディングワイヤを備えており、前記振動子を前記ボンディングワイヤによって前記基板に接触しない状態で支持し、かつ前記ボンディングワイヤが、ねじれ部分を有する帯状物からなることを特徴とする、振動子の支持構造。 - 固定部および屈曲振動片を備える振動子を支持するための支持構造であって、
基板、および前記基板表面上に支持されており、前記振動子の前記固定部に対して接合されるべき少なくとも一対のボンディングワイヤを備えており、
前記振動子を前記ボンディングワイヤによって前記基板に接触しない状態で支持し、
前記一対の前記ボンディングワイヤの一方の形状または材質が他方と異なり、かつ一対の前記ボンディングワイヤが同等のバネ定数を有することを特徴とする、振動子の支持構造。 - 前記基板がパッケージ用基板であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の支持構造。
- 前記振動子が、回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープ用の振動子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の支持構造。
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