JP2004359982A - Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶ディスプレイ装置用透明導電膜あるいは抵抗膜式タッチパネル装置等の高抵抗透明導電膜等の形成に使用する高密度ITOスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°C、圧力0.15〜1MPaで加圧焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却するラメラ構造の相を備えるITO焼結体スパッタリングターゲット及びその製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ装置用透明導電膜あるいは抵抗膜式タッチパネル装置等の高抵抗透明導電膜等の形成に使用する高密度ITOスパッタリングターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ITOは液晶ディスプレイ装置用透明導電膜あるいは抵抗膜式タッチパネル装置用高抵抗透明導電膜として需要が急速に伸びている。
一般に、このようなITO透明導電膜はスパッタリングによって形成されている。スパッタリングターゲットは粉末焼結法によって形成されるが、ITO(インジウム錫複合酸化物)焼結体を構成する成分のうち、酸化錫は酸化インジウムに比べて蒸気圧が高く焼結性が悪くなり、さらに酸化錫が偏析し易いという問題がある。
ITOターゲットの焼結性が悪いと全体として密度が低下し、空孔が多くなるが、このような低密度ターゲットを使用してスパッタリングすると、ターゲットの表面にノジュールが多数形成され、パーティクルの発生が多くなり、成膜速度が低下し、さらには成膜がばらつき、膜厚分布が悪化して膜特性が悪くなるという多くの問題が発生する。
【0003】
上記のITOターゲットの密度低下は、酸化錫の濃度が20wt%を超えると大きくなる。酸化錫の量を増加させて高抵抗の膜を形成する代表的なものに抵抗膜式タッチパネルへの利用がある。
このタッチパネルは2枚の透明導電膜を利用して、双方にある電位差を持たせてバイアスをかけ、スイッチが押された位置を電圧降下によって特定するという構成をもつものである。その位置の特定を正確に行うためには、電圧降下を精度よく測定できなければならない。そのためには、300〜1000Ω/□程度の高い表面抵抗率を有する均一な厚さをもつ透明導電膜が必要となる。
【0004】
従来から良く知られている、5〜10wt%程度の酸化錫を含有するITO膜の体積抵抗率は、およそ0.2〜0.4mΩ・cmであるが、このような低い体積抵抗率の膜で300〜1000Ω/□という高い表面抵抗率を実現するためには、膜厚が2〜13nmという極めて薄い膜を基板面内に均一に成膜しなければならず、技術的難易度が非常に高い。
また、タッチパネルはその機能上、耐屈曲性、耐カール性、耐擦化(ペンスライド)性等の特性も厳しいものが求められる。
【0005】
さらに、基板面内で均一な特性を有するため、10nm以上に厚い膜厚で、かつ300〜1000Ω/□という高い表面抵抗率とするためには、膜の体積抵抗率は0.3mΩ・cm以上が必要であり、このような膜を形成するためのスパッタリングターゲットが要求されている。
しかし、上記のようにノジュールが多数形成され、パーティクルの発生が多く、成膜がばらつき、膜厚分布が悪化するようなスパッタリングターゲットでは、上記のような特性を満足できるものではない。
この低密度ITOについての問題を抵抗膜式タッチパネルに基づいて説明したが、一般の透明導電膜に共通の問題であり、低抵抗ITOターゲットにおいても同様の問題がある。
このようなことから、平均密度を7.0g/cm以上に高密度化させようというITOターゲットの提案がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、一般にこのような場合、ターゲットの組織が改善されているわけではなく、希望的な高密度化の数値条件にすぎず、必ずしも高密度のターゲットを得られるとは言えない問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−73123号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決したもので、液晶ディスプレイ装置用透明導電膜あるいは抵抗膜式タッチパネル装置等の高抵抗透明導電膜等の形成に使用する高密度ITOスパッタリングターゲット、特に抵抗膜式タッチパネル装置等の画面位置確定のために使用される300〜1000Ω/□程度の高い表面抵抗率を有する透明導電膜の形成に有用である高密度ITOスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することにある。
携帯用端末機などの使用されるタッチパネルを例にあげると、例えばPET基板のような材料に成膜されるが、熱、湿度、アルカリ腐蝕、屈曲やカールなどの機械的変形、ペン衝突摩耗などの種々の環境に耐える必要があるが、本発明のITO焼結体スパッタリングターゲットで成膜した透明導電膜はこのような問題も解決することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来から広く用いられている5〜20wt%程度の酸化錫を含有するITO焼結体スパッタリングターゲット、さらには20wt%よりも多くの酸化錫を含有するターゲットにおいて、ターゲットの組織を改善し、均一かつ安定的に密度を向上させることによって上記の問題を解決できるとの知見を得た。
この知見に基づき、本発明は、
1.ITOスパッタリングターゲットにおいて、ラメラ構造の相を備えることを特徴とするITO焼結体スパッタリングターゲット
2.ラメラ構造の相を1%以上備えることを特徴とする上記1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
3.ラメラ構造の相を10%以上備えることを特徴とする上記1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
4.ラメラ構造の相を30%以上備えることを特徴とする上記1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
5.ターゲット表面にラメラ構造の相を備えることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
6.20〜50wt%の酸化錫を含有することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
7.30〜40wt%の酸化錫を含有することを特徴とする上記6記載のITO焼結体スパッタリングターゲット
8.焼結体密度が6.3〜7.2g/cmであることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲットを提供する。
【0009】
本発明はさらに
9.酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°Cで焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とするITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法
10.酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°Cで焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法
11.降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とする上記9又は10記載のITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
通常、ITO膜透明導電膜形成用のITO焼結体スパッタリングターゲットは、酸化錫含有量が5〜10wt%のものが広く使用されている。この組成のものが選択される理由は、主に低抵抗膜を形成するためである。
一方、ITO焼結体スパッタリングターゲット中の酸化錫含有量を10〜50wt%と高くすることができる。このようなターゲットを使用する場合、体積抵抗率が0.3mΩ・cm以上の高抵抗膜が容易に形成することが可能となり、抵抗膜式タッチパネル等に好適な、高い表面抵抗率を有する透明導電膜を得ることができる。
【0011】
スパッタリング法は、陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面している陽極側の基板にターゲット材料とほぼ同組成の膜を積層することによって行われる薄膜形成方法であり、処理時間や供給電力等を調節することによって、安定した成膜速度で数nmの薄い膜から数十μmの厚い膜まで形成できる。
ITOのスパッタリングは、成膜時のプロセスコントロールが比較的容易で、生産性が高いという理由から、工業的にはDCマグネトロンスパッタリング法が広く用いられている。
本発明は、このような成膜方法に好適なスパッタリングターゲットを提供する。
【0012】
一般に、ITOのスパッタリングにおいては、長時間スパッタリングを継続することでターゲットエロージョン面にノジュールと呼ばれる黒色の突起物が発生する。
ノジュールは、スパッタリング積算電力量の増加とともに急速に増加し、このため成膜速度が低下したり、膜の抵抗率が変化したりする。これらのことを補正するために、頻繁に投入スパッタパワーやスパッタガス組成を調整することが必要とされる。
さらに、ノジュール部はそれが発生していない部分と比べると電気伝導度が劣るため、DCスパッタリングではアーキングという異常放電を引き起こす原因となる。アーキングが発生すると、それに付随してパーティクルダストが発生し、膜不良の一因となる場合が生じる。
【0013】
このようなことから、ノジュールが過度に増大してきた状態においては、一旦スパッタリング操作を停止して装置の真空を破り、ターゲット表面に発生したノジュールを除去する作業が必要となり、大幅に生産性を低下させる原因となっている。
ITOターゲットに発生するノジュールを抑制するためには、ターゲットを高密度化することが有効であることは、以前からよく知られた事実である。これにより、ノジュールの発生核となるターゲット中の空孔が減少し、ターゲット自身の電気伝導も向上するため、安定的にDCスパッタリングを継続することが可能となる。
【0014】
しかし、酸化錫を含有するITOターゲットでは密度を向上させることが難しく、特に酸化錫含有量20〜50wt%といった高濃度酸化錫ITO焼結体スパッタリングターゲットを密度6.3〜7.2g/cm程度に均一に高密度化すること極めて難しかった。
これは酸化錫の蒸気圧が高いために、ITOを焼結する際、酸化錫中の酸素が熱によって解離し、さらには酸化錫自体が蒸発するためである。当然のことながら、酸化錫の含有量が高くなると、この現象は顕著になる。
本発明では、酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°Cで焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することによって、安定的に密度6.3〜7.2g/cmの高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットを製造することが可能となった。
焼結温度が1400°C未満では焼結が十分でなく、また1650°Cを超えると密度が低下するので、温度1400〜1650°Cとする。焼結条件としては、常圧又は加圧焼結を行うことができる。加圧焼結の場合、圧力1MPaを超える条件では、密度向上が飽和し無駄となるので1MPa以下とすることが望ましい。
【0015】
降温速度は特に重要であり、10〜100°C/hrで少なくとも700°Cまで冷却することが望ましい。これによって、高密度のITO焼結体スパッタリングターゲットを安定して製造することができる。
降温速度100°Cを超えると、本発明の狙いとする高密度化が達成できない。一般に自然放冷ではおよそ200°C/hrであり、本発明はこれよりもはるかに遅い冷却速度となる。冷却時間はおよそ8時間から48時間程度かけて行う。降温速度は少ないほど良いが10°C/hr未満ではトータルの冷却時間が長すぎて製造効率が悪くなるので、10°C/hr以上とするのが望ましい。
これは、従来の常圧及び加圧酸素雰囲気焼結で得られていた密度5.5〜6.0g/cm程度のITO焼結体スパッタリングターゲットよりも、はるかに高い密度を有するものであり、これによって従来よりもスパッタリング中に発生するノジュールやアーキングを低減し、長期に亘って安定的に一定条件で、スパッタリング操業を行うことが可能になった。
【0016】
本発明の上記製造工程によって得られるITO焼結体ターゲットは、高密度化された組織の固有の構造を呈する。すなわち、図1に示すように、ITO焼結体ターゲットにおいて、錫リッチ相(黒部分)、インジウムリッチ相(灰色部分)以外に層状(インジウムリッチ層と錫リッチ層がサンドイッチ構造になっている)のラメラ構造(図において縞状に見える部分)の相を有する。白く見える部分は空孔である。
この酸化錫量が増加し、ラメラ構造の層が増加するにしたがって、密度の著しい向上が見られる。ターゲット内の酸化錫の量にもよるが、ラメラ構造の相を1%以上備えること、好ましくは、ラメラ構造の相を10%以上備えること、さらに好ましくはラメラ構造の相を30%以上備えることが望ましい。これによって、高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットが得られる。
参考までに、ラメラ構造の相を有しないITO焼結体スパッタリングターゲットの電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0017】
ラメラ構造の相はターゲット表面にも現れる。このようなラメラ構造の層は緻密構造と、さらには成膜の均一性を高めることができる。
ITOターゲットの酸化錫の含有量は20〜50wt%に適用でき、ターゲット組織の中で上記ラメラ構造を多く発生させることができ、密度を飛躍的に向上させることができる。特に、30〜40wt%の酸化錫を含有するITO焼結体スパッタリングターゲットに有効である。
これによってターゲット組織を均一にし、かつ焼結体密度が6.3〜7.2g/cmである高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットを得ることができる。そして、ITOのスパッタリングにおいて発生するターゲットエロージョン面に形成されるノジュールを減少させ、アーキング及びそれに付随してパーティクルダストを抑制する著しい効果が得られる。
また、ノジュールの発生核となるターゲット中の空孔が減少し、ターゲット自身の電気伝導も向上するため、安定的にDCスパッタリングを継続することが可能となり、生産性を向上させることができる。
【0018】
【実施例及び比較例】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内で、実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【0019】
(実施例及び比較例)
ITOスパッタリングターゲットの原材料として、平均粒子径3μm以下の酸化インジウム粉末と同程度の酸化錫粉末を使用し、これらの粉末を表1に記載する酸化錫含有量の条件で均一に湿式粉砕混合した。
このスラリーにPVA等のバインダーを添加した後、乾燥造粒した。この酸化インジウム−酸化錫混合粉末を金型に均一充填し、冷間油圧プレスで70MPaの圧力を加えて成形し、さらに160MPaの圧力で冷間静水圧プレスした。
上記成形体を純酸素雰囲気中、温度1580°Cで10時間焼結し、次にこれを、実施例と比較例で降温速度を変化させて700°Cまで冷却し、さらに自然放冷した。
このようにして得られた焼結体の表面を、平面研削盤でダイヤモンド砥石を用いて研削し、さらに側片を、ダイヤモンドカッターを用いて切断した。このターゲット切断ピースを銅製のバッキングプレートにメタルボンディングし、ターゲット表面を研磨仕上げしてITOスパッタリングターゲットとした。
表1に、実施例1〜3及び比較例1〜3のターゲットの酸化錫含有量、降温速度、ラメラ相の量及び密度を示す。
【0020】
【表1】
Figure 2004359982
【0021】
上記表1に示す通り、実施例1〜3では、酸化錫含有量20〜50wt%といった高濃度酸化錫ITO焼結体スパッタリングターゲットにおいて、焼結後、降温速度10〜100°C/hrで冷却することにより、密度6.3〜7.2g/cmに高密度化することができた。
一方、比較例3、4では降温速度が大きすぎ、密度6.0g/cm以上のターゲットを得ることはできなかった。
【0022】
実施例1〜4及び比較例1〜4で作製したターゲットを、次に示す条件でスパッタリングし、得られた膜の特性を測定した。
また、約50時間の連続スパッタ後の積算電力量80kWHrにおけるターゲット表面に発生したノジュール量を定性評価した。表2に、膜厚、面積抵抗率、体積抵抗率、ノジュール発生量を示す。
ターゲットサイズ:127×508×6.35mm
スパッタガス:Ar+O
スパッタガス圧:0.5Pa
スパッタガス流量:300SCCM
スパッタガス中の酸素濃度:1vol%
漏洩磁束密度:0.1T
投入スパッタパワー:1500W
【0023】
【表2】
Figure 2004359982
【0024】
上記表2に示す通り、実施例1〜4では、膜厚約20nmで、表面抵抗率400〜1000Ω/□、体積抵抗率0.7〜1.8mΩ・cmの膜が得られた。また、これらの膜を形成するために使用したターゲットの連続スパッタ後のノジュール発生量は、いずれも少ないという結果が得られた。
一方、比較例1、2ではターゲットの密度が低いため、ノジュールの発生量が極めて多いという結果になった。
【0025】
【発明の効果】
以上に示すように、本発明は酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°C、圧力0.0〜1MPaで加圧焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで冷却するものであるが、ターゲット組織の中でラメラ構造の相を形成し、密度を飛躍的に向上させることができるという優れた効果を有する。特に、20〜50wt%の酸化錫を多く含有するITO焼結体スパッタリングターゲットに極めて有効である。
また、10wt%未満の酸化錫を含有するITO焼結体スパッタリングターゲットにおいても、焼結条件及び降温条件を変えることによってラメラ構造の相を形成でき、このようなラメラ構造の相の存在によって、さらに密度を向上させることが可能である。
これによってターゲット組織を均一にするとともに、焼結条件及び降温速度を変えることによって、焼結体密度が6.3〜7.2g/cmである高密度ITO焼結体スパッタリングターゲットを得ることができる。
そして、ITOのスパッタリングにおいて発生するノジュールを減少させ、アーキング及びそれに付随するパーティクルダストを抑制する著しい効果が得られる。
また、ノジュールの発生核となるターゲット中の空孔が減少し、ターゲット自身の電気伝導も向上するため、安定的にDCスパッタリングを継続することが可能となり、生産性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラメラ構造の相を有するITO焼結体スパッタリングターゲットの電子顕微鏡写真である(実施例4:倍率×1000)。
【図2】ラメラ構造の相を有しないITO焼結体スパッタリングターゲットの電子顕微鏡写真である(比較例4:倍率×1000)。

Claims (11)

  1. ITOスパッタリングターゲットにおいて、ラメラ構造の相を備えることを特徴とするITO焼結体スパッタリングターゲット。
  2. ラメラ構造の相を1%以上備えることを特徴とする請求項1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  3. ラメラ構造の相を10%以上備えることを特徴とする請求項1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  4. ラメラ構造の相を30%以上備えることを特徴とする請求項1記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  5. ターゲット表面にラメラ構造の相を備えることを特徴請求項1〜4のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  6. 20〜50wt%の酸化錫を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  7. 30〜40wt%の酸化錫を含有することを特徴とする請求項6記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  8. 焼結体密度が6.3〜7.2g/cmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲット。
  9. 酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°Cで焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とするITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
  10. 酸化錫と酸化インジウムの混合粉末をプレス成形し、この成形体を純酸素雰囲気中、温度1400〜1650°Cで焼結し、さらに降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
  11. 降温速度10〜100°C/hrで少なくとも900°Cまで冷却することを特徴とする請求項9又は10記載のITO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
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