JP5290350B2 - 透明電極膜 - Google Patents
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Description
このITO膜を形成する方法として、真空蒸着法やスパッタリング法など、一般に物理蒸着法と言われている手段によって行われており、特に操作性や膜の安定性からマグネトロンスパッタリング法を用いて形成されている。
スパッタリング法による膜の形成は、陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面している陽極側の基板にターゲット材料とほぼ同組成の膜を積層することによって行われる。
スパッタリング法による被覆法は処理時間や供給電力等を調節することによって、安定した成膜速度でオングストローム単位の薄い膜から数十μmの厚い膜まで形成できるという特徴を有している。
その1つは、膜質が均一でなく、かつ回路形成時のエッチング特性が悪いことである。近年ディスプレー装置や表示入力装置においては、画素密度を増大させて緻密な画面とすることが求められているが、これに伴って透明電極パターンの緻密化が要求されている。例えば、液晶ディスプレー装置においては配線幅が20〜50μmという細線に形成される部分もあり、高度のエッチング加工性が要求されている。
このようなITOの透明電極膜の欠点を改善したものとして、IXO(In2O3−ZnO)膜の提案がなされている。しかし、これはITO膜に比べエッチング性が著しく大きいが、導電性に劣り、また酸やアルカリ等に対する耐薬品性あるいは耐水性等が不十分であるという問題がある。さらに向上したエッチング性が災いとなって、オーバーエッチングとなる傾向があり、必ずしも適切な材料とは言い難い面がある。
さらに、このノジュールに起因する異常放電やスプラッシュが原因となってスパッタチャンバ内に粗大な粒子(パーティクル)が浮遊し、これが形成している膜に付着して品質を低下させる原因となる。
以上から、実際の製造に際しては、ターゲットに発生したノジュールを定期的に除去することが必要となり、これが著しく生産性を低下させるという問題があり、ノジュールの発生の少ないターゲットが求められている。
一般に、微粉砕はジルコニアビーズ及びジルコニアの内壁をもつ容器を使用して行われているが、このような粉砕メディアからの汚染(コンタミ)、すなわちジルコニアがターゲット材に混入するという問題があった。
また、一方では加圧状態での焼結が必要であり、密度をさらに上昇させるために設備をよりいっそう大型にする必要があるという問題があり、さらに工業的にも効率の良い方法とは言えなかった。
本願発明の狙いとする相対密度97%以上を達成できる技術でない。また、この特許文献4には透過率の記載が一切がなく、参考にできるレベルの技術とは言えない。
このような成分組成が異なる材料で、製造工程が異なり、作製されたターゲット及び膜の組織、特性が大きく異なることになる。また、この特許文献5においては、本願発明の企図する組成、相対密度、透過率を実現できる記載はないので、参考とすることもできない。
このような成分組成が異なる材料では製造工程が異なり、作製されたターゲット及び膜の組織、特性が大きく異なることになる。特許文献6においては、本願発明の企図する組成、相対密度、透過率を実現できる記載はないので、参考にできない。
このような成分組成が異なる材料では製造工程が異なり、作製されたターゲット及び膜の組織、特性が大きく異なることになる。特許文献7、8においては、本願発明の企図する組成、透過率を実現できる記載はないので、参考にできない。
また、この透明電極膜を形成するスパッタリングプロセスにおいて、ノジュールの形成や異常放電を少なくすることができるターゲットを提供する。
さらにターゲットの製造に際して、焼結性の高い粉体を供給するための粉砕工程において、粉砕メディア(ジルコニア)からの汚染(コンタミ)を無視できる組成のターゲットを提供する。
1.酸化インジウム中に酸化ジルコニウム5重量%(超)〜10重量%含有することを特徴とする透明電極膜
2.酸化インジウム中に酸化ジルコニウム5重量%(超)〜10重量%含有することを特徴とする透明電極膜を形成するためのスパッタリングターゲット
を提供する。
3.EPMA観察によるジルコニウム相の径が5μm以下であることを特徴とする上記2記載の透明電極膜を形成するためのスパッタリングターゲット。
面積抵抗は比抵抗を透明導電膜の厚みで割った値で表される。したがって、透明導電膜の面積導電率は導電率(比抵抗の逆数)と、膜厚の積で表現され、この導電率σ(Ω−1・cm−1)は膜に含まれるキャリヤ(正孔又は電子)の持つ電荷e(クーロン)とキャリヤ移動度μ(cm2/V・sec)及びキャリヤ濃度n(cm−3)の積で表される(σ(Ω−1・cm−1)=e・μ・n)。
したがって、透明導電膜の導電率を向上させ、比抵抗(抵抗率とも云う)と面積抵抗とを低下させるためには、キャリヤ移動度μ(cm2/V・sec)及びキャリヤ濃度n(cm−3)のいずれか一方又は双方を増大させればよい。
他方、このことから酸化ジルコニウム(ZrO2)の含有量が5重量%を超え増加していくに伴って、得られる膜の比抵抗は高くなっていくことが理解できる。したがって、ある程度高い比抵抗を有する膜を得るためには、このジルコニウム濃度の調整が有効であることが分かった。すなわち、このような比較的高い比抵抗を有する膜は、タッチパネルの原料としてさらに有効である。
また、この酸化ジルコニウムドーパントは、耐酸性に関してITOの成分であるSnO2程高くないがZnO程卑ではなく、適度なエッチング特性が得られるという優れた特長がある。
このジルコニウム相はターゲット中では異相であり、これが大きくなると長時間のスパッタリングにおいてはノジュールの発生やアーキングの原因となり、極端な場合はスパッタ膜の組成が不均一となる可能性もある。したがって、このようなジルコニウム含有析出相を5μm以下とし、均一分散させることによってノジュールの発生やアーキングを防止することができる。
ターゲットの密度を向上させるためには、成形前の粉体が細かければ細かいほど良いことが知られている。酸化インジウムに加えるドーパントとして上記の酸化ジルコニウム(ジルコニア)を用いることができると同時に、酸化ジルコニウムを微粉砕用のメディアとして用いる、即ちジルコニアビーズやジルコニアライニングの容器を使用して粉砕することができ、粉砕メディア自体が汚染源(コンタミ源)とならないという大きな利点がある。
これによって、粉砕のレベルを向上させ、従来に比べてはるかに高純度でかつ高密度のスパッタリングターゲットを得ることができる。
また、このような高密度ターゲットを使用することにより、ノジュールの発生を抑え、このノジュールに起因する異常放電やスプラッシュが原因となって生ずるパーティクルの発生を抑え、導電膜の品質低下を効果的に抑制できるという特長を有する。
酸化インジウム(In2O3)粉に酸化ジルコニウム(ZrO2)粉を6、7、8重量%となるように秤量した後、ジルコニア(ZrO2)ボール(ビーズ)を粉砕メディアとして用い、アトライタで混合・微粉砕を行い、メジアン径で0.8μmの混合粉体スラリーを得た。なお、上記酸化ジルコニウム粉を6、7、8重量%とした場合について、それぞれ実施例1、2、3とする。
このスラリーを造粒し、球状の造粒粉を得た。さらにこの造粒粉をプレス成型し、さらにCIP(等方冷間プレス)を行った。そしてこの成形体を酸素雰囲気中1640°Cの温度で4時間焼結を行い、焼結体(以下、「IZO焼結体」という。)を得た。焼結密度は99%以上に達した。この焼結体を研削、切断を行い、所定形状のスパッタリング用ターゲットに加工した。
スパッタガス : Ar+O2
スパッタガス圧 : 0.5Pa
電力量 : 60W
成膜速度 : 約300Å/min
この場合のノジュールの発生量(被覆率)を測定したが、本実施例のIZO焼結体におけるノジュールの被覆率は10%以下であった。
また、比較のために、同様の条件で作製したITO膜(比較例1)及びIXO膜(比較例2)の比抵抗(Ω・cm)及び550nmでの透過率%の膜特性を表1に掲載した。
この表1から明らかなように、比抵抗は高くなり、透過率は本発明の実施例と比較例1のITOとは殆ど遜色なく、本発明の実施例の良好な可視光の透過率と高い比抵抗を示しているのが分かる。また、酸化ジルコニウムの増加量とスパッタリングにより得られた膜の比抵抗とはある程度相関があり、酸化ジルコニウムの増加とともに膜の比抵抗が高くなる傾向が見られた。
一般に、ITO膜に対して本発明のIZO焼結体ターゲットを使用したIZO膜は基板温度を上げて成膜した状態での膜特性には大差ないが、室温で成膜した膜での特性がより優れているという結果が得られた。
これに対し、比較例1及び2のターゲットの密度はそれぞれ93%、87%であり、本実施例よりも低く悪い結果が得られた。そして、ノジュール被覆率は70%に達した。
さらに、酸化ジルコニウムの濃度が増した場合に、固溶しきれずにジルコニウム相(酸化ジルコニウム相)が析出してくる様子を観察した。図1は、酸化ジルコニウム含有量6wt%のターゲット(実施例1)のEPMA観察結果(1000倍)である。この図1では、ジルコニウム相の径が1μm未満の微細な析出物が見られる。この程度の析出物は、スパッタリングの際のノジュールやアーキングの発生はなく、またスパッタ膜の組成が不均一となる虞もない。
また、比較例1及び2では、本実施例と同等の0.8μm以下までの粉砕を実施すると、ジルコニアのコンタミが著しく増大しているのが確認できた。
表3から明らかなように、ITOである比較例1に対して、基板温度が室温の場合及び200°Cの場合、いずれも本実施例であるIZOのエッチング速度が勝っていることが分かる。特に基板温度が200°Cの場合に、その差が著しい。
また、比較例2のIXOでは室温のエッチング性は92700Å/min、200°Cでは90900Å/minと異常に高いが、反面オーバーエッチングになりやすく、好ましくない。
Claims (2)
- 酸化ジルコニウム5重量%(超)〜10重量%含有し、残部が酸化インジウムであって、比抵抗が5.4×10−3Ωcm以上であり、波長550nmでの透過率が99%以上であることを特徴とする透明電極膜。
- HCl:H2O:HNO3=1:1:0.08の混酸によるエッチング速度が、18800Å/min以上、19920Å/min以下であることを特徴とする請求項1記載の透明電極膜。
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