JP2004358325A - シリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機Si化合物が含まれる排気ガスの浄化を行うことができるシリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒装置を提供すること。
【解決手段】本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有することを特徴とする。本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物を分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっており、触媒金属の被毒が抑えられている。このため、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有することを特徴とする。本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物を分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっており、触媒金属の被毒が抑えられている。このため、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に含まれる有機Siを分解するシリカ分解触媒およびシリカ分解触媒を有する排ガス浄化用触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装用の塗料や印刷用のインク等の塗料は、通常、着色料や顔料が溶剤に溶解して形成されている。そして、塗料を被塗布物に塗布し、溶剤を揮発させることで、顔料が被塗装面に残留することで、塗装や印刷がなされている。溶剤には、一般には、有機溶剤が用いられている。
【0003】
これらの塗料は、被塗布物の表面に塗布し、塗布後に溶剤を揮発させることで、被塗布物の表面に塗膜を形成することで、塗装や印刷が行われている。
【0004】
塗布時に塗料から揮発する有機溶剤を無害化、脱臭する必要がある。有機溶剤の浄化は、たとえば、特許文献1に示された触媒酸化法を用いて行われている。触媒酸化法は、触媒表面で空気中の酸素と有機溶剤を反応させ、CO2やH2Oとする方法である。そして、有機溶剤を酸化する触媒には、通常、白金系の貴金属触媒が用いられている。
【0005】
近年は、塗膜質の向上や印刷文字のつや出し等を目的として、塗料中にケイ素化合物(有機Si化合物)を共存させるようになってきている。有機Si化合物が含まれた塗料から揮発した溶剤中には、微量の有機Si化合物が含まれることがある。有機Si化合物が含まれた塗料から揮発した溶剤も、従来と同様な触媒装置を用いて分解されている。
【0006】
しかしながら、揮発した溶剤中に含まれる有機Si化合物は、触媒貴金属により分解されると、CO2,H2O以外にSiO2を生じる。有機Si化合物が分解して生成するSiO2は、触媒貴金属を被毒し、触媒貴金属の浄化性能を低下させるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−210334号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、有機Si化合物が含まれる排気ガスの浄化を行うことができるシリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者らは有機Si化合物を分解可能な触媒をSiO2の影響を受けにくい状態で保持したシリカ分解触媒およびシリカ分解触媒を有する排ガス浄化用触媒装置とすることで上記課題を解決できる音を見出した。
【0010】
すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種のアルカリ系金属と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物をCO2,H2OおよびSiO2に分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっている。すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、SiO2被毒による触媒金属の分解性能の低下が抑えられている。この結果、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【0012】
また、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を分解するシリカ分解触媒と、浄化される排ガス流に対して、シリカ分解触媒の下流に配置された排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(シリカ分解触媒)
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有する。
【0015】
触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属である。すなわち、触媒金属を有することで、浄化される排ガス中の有機Si化合物が分解される。触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属であれば特に限定されるものではない。たとえば、貴金属、重金属、遷移金属の少なくとも一種をあげることができる。また、原料や製造に要するコスト、廃棄後の環境負荷等の観点から、触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0016】
アルカリ系金属は、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種である。アルカリ系金属は、触媒金属において有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引する。この吸引により、触媒金属表面からSiO2が移動する。この結果、触媒金属が露出し、あらたに排ガスの浄化を行うことが可能となる。すなわち、アルカリ系金属を有することで、SiO2による触媒金属の被毒が抑えられ、本発明のシリカ分解触媒の浄化性能の低下が抑えられる。アルカリ系金属は、シリカ分解触媒を担持する担体との反応性から、La、Caより選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】
本発明のシリカ分解触媒においては、触媒金属およびアルカリ系金属は、上記特性を発揮できる形態であれば、酸化物や他の元素との複合酸化物を形成していてもよい。
【0018】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属とアルカリ金属のモル比が、1.0:2.0〜0.1であることが好ましい。なお、このモル比は、それぞれの金属が形成した酸化物のモル比である。モル比が1.0:2.0より小さくなる(アルカリ金属量が大きくなる)と、触媒金属量が不足することとなり有機Si化合物の分解が不十分となり、モル比が1.0:0.1より大きくなる(アルカリ金属量が少なくなる)と、有機Si化合物が触媒金属により分解して生成したSiO2の移動が不十分となり、触媒金属が被毒するようになる。
【0019】
触媒金属およびアルカリ系金属は、触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体に担持されることで、本発明のシリカ分解触媒を浄化される有機Si化合物が含まれる排ガス中に保持できる。また、触媒担体に担持されることで、担持量を調節することが可能となり、排ガスに含まれる有機Si化合物量による触媒性能の調節が可能となる。
【0020】
触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体が触媒担体基材と、担持層と、からなることで、触媒担体の表面積が広くなることで触媒金属およびアルカリ系金属と排ガスの接触量が多くなり、シリカ分解触媒の浄化性能が向上する。
【0021】
触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0022】
また、本発明のシリカ分解触媒は、その製造方法が限定されるものではない。
【0023】
本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引して触媒金属をSiO2の被毒を生じさせなくするアルカリ系金属と、を有することで、有機Si化合物の分解浄化を長寿命で行うことができる。また、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解浄化することができることから、有機Si化合物が含まれる排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒装置において、補助触媒として用いることができる。
【0024】
(排ガス浄化用触媒装置)
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、シリカ分解触媒と、排ガス浄化用触媒と、を有する。
【0025】
シリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解する。本発明の排ガス浄化用触媒装置のシリカ分解触媒には、上記シリカ分解触媒を用いることができる。
【0026】
排ガス浄化用触媒は、排ガスを浄化する触媒であり、浄化される排ガス流に対して、シリカ分解触媒の下流に配置されている。
【0027】
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、シリカ分解触媒が排ガス中に含まれる有機Si化合物を浄化した後に、排ガス浄化用触媒が排ガスのその他の成分を浄化する。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、排ガスに有機Si化合物が含まれていても、シリカ分解触媒が有機Si化合物を除去するので、排ガス浄化用触媒が有機Si化合物の被毒による浄化性能の低下が生じなくなっている。
【0028】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有することが好ましい。
【0029】
触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属である。すなわち、触媒金属を有することで、浄化される排ガス中の有機Si化合物が分解される。触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属であれば特に限定されるものではない。たとえば、貴金属、重金属、遷移金属の少なくとも一種をあげることができる。また、原料や製造に要するコスト、廃棄後の環境負荷等の観点から、触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0030】
アルカリ系金属は、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種である。アルカリ系金属は、触媒金属において有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引する。この吸引により、触媒金属表面からSiO2が移動する。この結果、触媒金属が露出し、あらたに排ガスの浄化を行うことが可能となる。すなわち、アルカリ系金属を有することで、SiO2による触媒金属の被毒が抑えられ、シリカ分解触媒の有機Si化合物の浄化性能の低下が抑えられる。アルカリ系金属は、シリカ分解触媒を担持する担体との反応性から、La、Caより選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0031】
シリカ分解触媒においては、触媒金属およびアルカリ系金属は、上記特性を発揮できる形態であれば、酸化物や他の元素との複合酸化物を形成していてもよい。
【0032】
シリカ分解触媒は、触媒金属とアルカリ金属のモル比が、1.0:2.0〜0.1であることが好ましい。なお、このモル比は、それぞれの金属が形成した酸化物のモル比である。モル比が1.0:2.0より小さくなる(アルカリ金属量が大きくなる)と、触媒金属量が不足することとなり有機Si化合物の分解が不十分となり、モル比が1.0:0.1より大きくなる(アルカリ金属量が少なくなる)と、有機Si化合物が触媒金属により分解して生成したSiO2の移動が不十分となり、触媒金属が被毒するようになる。
【0033】
触媒金属およびアルカリ系金属は、触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体に担持されることで、本発明のシリカ分解触媒を浄化される有機Si化合物が含まれる排ガス中に保持できる。また、触媒担体に担持されることで、担持量を調節することが可能となり、排ガスに含まれる有機Si化合物量による触媒性能の調節が可能となる。
【0034】
触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体が触媒担体基材と、担持層と、からなることで、触媒担体の表面積が広くなることで触媒金属およびアルカリ系金属と排ガスの接触量が多くなり、シリカ分解触媒の浄化性能が向上する。
【0035】
触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0036】
排ガス浄化用触媒は、シリカ分解触媒により有機Si化合物が除去された排ガスを浄化する触媒である。すなわち、排ガス浄化用触媒は、シリカ分解触媒により有機Si化合物が除去された排ガスを浄化できる触媒を有するものであれば、特に限定されない。従来公知の排ガス浄化用触媒を用いることができる。排ガス浄化用触媒は、触媒貴金属を有することが好ましい。触媒貴金属としては、たとえば、Pt、Pd、Rhをあげることができる。
【0037】
また、排ガス浄化用触媒も、シリカ分解触媒と同様に、触媒貴金属が触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0038】
本発明の排ガス浄化用承知において、シリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒は、従来公知の形態とすることができる。すなわち、それぞれの触媒を、粒状、ハニカム状、フォーム状等のいずれの形態としてもよい。
【0039】
本発明の排ガス浄化用触媒装置において、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒との距離は、特に限定されるものではない。すなわち、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒との間にすき間があっても、両触媒が当接していても、どちらでもよい。また、両触媒が一体の触媒を形成していてもよい。具体的には、同一の触媒担体に、シリカ分解触媒と、排ガス浄化用触媒とが担持されてなる触媒である。
【0040】
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0042】
本発明の実施例として、有機Si化合物を分解するシリカ分解触媒を製造した。
【0043】
(実施例1)
(シリカ分解触媒の製造)
まず、硝酸ランタン水溶液および硝酸鉄水溶液を調整し、両水溶液を混合して、LaがLa2O3換算で100g/L、FeがFe2O3換算で20g/Lで含まれる混合水溶液を調整した。この混合水溶液は、FeとLaとがモル比で1:1.4の割合で含まれている。
【0044】
つづいて、φ30mm、軸方向の長さ50mm、200セルのセル数を有する円柱状のセラミックス製のハニカム体の表面に活性アルミナを150g/Lの担持量で担持させた担持層を有するアルミナコート担体を準備した。このアルミナコート担体は、比表面積が120m2/Lであった。
【0045】
このアルミナコート担体を混合水溶液に浸漬した後に乾燥させた。その後、300℃で1時間の加熱処理を施した。
【0046】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、LaおよびFeをLa2O3換算およびFe2O3換算で合計で54g/Lの担持量で担持している。また、FeとLaとがモル比で1:1.4の割合である。
【0047】
(実施例2)
まず、CuO粉末(ナカライテスク株式会社製)200gを500gの水に分散させ、その後、アルミナゾル(日産化学工業株式会社製、商品名:AS−200)100gを加えた。この分散溶液をボールミルでミリングしてスラリーを調整した。
【0048】
つづいて、200セルのセル数を有するセラミックス製のハニカム体の表面に調整されたスラリーをコートし、乾燥した後に、300℃、1時間の焼成を行った。
【0049】
そして、このスラリーがコートされた担体を1mol/LのCa(OH)2水溶液中に浸漬し、乾燥、200℃、1時間の焼成を行った。
【0050】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、CuおよびCaをCuO換算およびCaO換算で合計で31g/Lの担持量で担持している。また、CuとCaとがモル比で1:0.15の割合である。
【0051】
(実施例3)
MnO2粉末(株式会社東洋ソーダ製電解二酸化マンガン)100g、NiO換算で75gの硝酸ニッケル六水和物290g、硝酸ランタン六水和物104gとを400mlの水に分散させ、スラリーを調整した。
【0052】
つづいて、200セルのセル数を有するセラミックス製のハニカム体の表面に調整されたスラリーをコートし、乾燥した後に、300℃、2時間の焼成を行った。
【0053】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、Mn、NiおよびLaをMnO2換算、NiO換算およびLa2O3換算で合計で65g/Lの担持量で担持している。また、Mn、NiとLaとがモル比で1.15:1.00:0.24の割合である。
【0054】
(比較例1)
Laを用いない以外は実施例1と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0055】
なお、本比較例においては、アルミナコート担体の硝酸鉄水溶液(52g/L水溶液)への浸漬、乾燥を繰り返し行うことで、所望量のFe2O3の担持を行った。
【0056】
本比較例のFeの担持量は、Fe2O3換算で18g/Lの担持量で担持している。
【0057】
(比較例2)
Ca(OH)2を用いない以外は実施例2と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0058】
本比較例のCuの担持量は、CuO換算で28g/Lの担持量で担持している。
【0059】
(比較例3)
硝酸Laを用いない以外は、実施例3と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0060】
本比較例のMnおよびNiの担持量は、MnO2換算およびNiO換算で合計で55g/Lの担持量であった。
【0061】
上記各シリカ分解触媒を用いて、実施例の排ガス浄化用触媒装置を製造した。
【0062】
(排ガス浄化用触媒装置の製造)
本実施例において製造された排ガス浄化用触媒装置は、所定の温度に昇温された浄化される排ガスが内部を流れる管路と、管路中に配設されたシリカ分解触媒と、管路中でありかつシリカ分解触媒の下流側に配設された排ガス浄化用触媒と、から構成される。
【0063】
排ガス浄化用触媒装置を構成するシリカ分解触媒には、上記実施例および比較例のシリカ分解触媒を用いた。
【0064】
排ガス浄化用触媒は、セラミックス基材の表面にアルミナよりなる担持層を形成し、担持層にPtを担持したPt担持触媒が用いられた。
【0065】
Pt担持触媒の製造は、まず、シリカ分解触媒において用いられたアルミナコート担体を製造し、このアルミナコート担体をPt水溶液に浸漬し、乾燥、焼成することで製造された。Pt担持触媒におけるPtの担持量は、1.5g/Lであった。
【0066】
シリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒を管路中の所定の位置に配設した。なお、実施例の排ガス浄化用触媒装置において、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒の対向した端面間の距離は、5mmであった。排ガス浄化用触媒装置の構成を図1に示した。
【0067】
(評価)
排ガス浄化用触媒装置の評価として、試験ガスの浄化を行い、排出されたガス中の炭化水素(THC)およびアセトアルデヒドの浄化率を測定した。なお、浄化される試験ガスは、表1に示した組成を有するものであり、300℃に加熱された状態で、35NL/minの流量で排ガス浄化用触媒装置の管路内を流れた。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例および比較例において作成されたシリカ分解触媒のそれぞれを用いて浄化率を測定し、表2、3および図2、3に示した。表2にはTHCの浄化率の測定結果を、表3にはアセトアルデヒドの浄化率の測定結果を示した。
【0070】
なお、比較例4として、排ガス浄化用触媒のみ(シリカ分解触媒を配設せず)の場合の浄化率を測定した。また、比較例5として、シリカ分解触媒に排ガス浄化用触媒を用いた、すなわち、管路中に二つの排ガス浄化用触媒が配設された場合の浄化率を測定した。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表および図より、実施例および比較例のいずれにおいても、初期の浄化率は95%以上の高い値を示している。
【0074】
しかしながら、100時間後においては、各比較例の浄化率は、各実施例よりも大幅に低下している。このことは、有機Si化合物(オクタメチルシロキサン)が分解して生じたSiO2が排ガス浄化用触媒の触媒貴金属を被毒したことにより、浄化率が低下したことを示す。すなわち、被毒による触媒貴金属の触媒性能の低下が生じない初期においては、実施例と同様に高い浄化率を示すことができるが、時間の経過とともに触媒貴金属が被毒することとなり、浄化率が低下している。これに対して、各実施例は、シリカ分解触媒が試験ガス中の有機Si化合物を分解浄化しているため、排ガス浄化用触媒に到達した試験ガス中には有機Si化合物が含まれなくなり、排ガス浄化用触媒の職引き金属が被毒されなくなっている。この結果、各実施例の排ガス浄化用触媒装置は、高い浄化率を維持できた。
【0075】
【発明の効果】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物をCO2,H2OおよびSiO2に分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっている。すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、SiO2被毒による触媒金属の分解性能の低下が抑えられている。この結果、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【0076】
また、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】排ガス浄化用触媒装置の構成を示した図である。
【図2】THC浄化率の測定結果を示した図である。
【図3】アセトアルデヒド浄化率の測定結果を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に含まれる有機Siを分解するシリカ分解触媒およびシリカ分解触媒を有する排ガス浄化用触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装用の塗料や印刷用のインク等の塗料は、通常、着色料や顔料が溶剤に溶解して形成されている。そして、塗料を被塗布物に塗布し、溶剤を揮発させることで、顔料が被塗装面に残留することで、塗装や印刷がなされている。溶剤には、一般には、有機溶剤が用いられている。
【0003】
これらの塗料は、被塗布物の表面に塗布し、塗布後に溶剤を揮発させることで、被塗布物の表面に塗膜を形成することで、塗装や印刷が行われている。
【0004】
塗布時に塗料から揮発する有機溶剤を無害化、脱臭する必要がある。有機溶剤の浄化は、たとえば、特許文献1に示された触媒酸化法を用いて行われている。触媒酸化法は、触媒表面で空気中の酸素と有機溶剤を反応させ、CO2やH2Oとする方法である。そして、有機溶剤を酸化する触媒には、通常、白金系の貴金属触媒が用いられている。
【0005】
近年は、塗膜質の向上や印刷文字のつや出し等を目的として、塗料中にケイ素化合物(有機Si化合物)を共存させるようになってきている。有機Si化合物が含まれた塗料から揮発した溶剤中には、微量の有機Si化合物が含まれることがある。有機Si化合物が含まれた塗料から揮発した溶剤も、従来と同様な触媒装置を用いて分解されている。
【0006】
しかしながら、揮発した溶剤中に含まれる有機Si化合物は、触媒貴金属により分解されると、CO2,H2O以外にSiO2を生じる。有機Si化合物が分解して生成するSiO2は、触媒貴金属を被毒し、触媒貴金属の浄化性能を低下させるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−210334号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、有機Si化合物が含まれる排気ガスの浄化を行うことができるシリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者らは有機Si化合物を分解可能な触媒をSiO2の影響を受けにくい状態で保持したシリカ分解触媒およびシリカ分解触媒を有する排ガス浄化用触媒装置とすることで上記課題を解決できる音を見出した。
【0010】
すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種のアルカリ系金属と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物をCO2,H2OおよびSiO2に分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっている。すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、SiO2被毒による触媒金属の分解性能の低下が抑えられている。この結果、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【0012】
また、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を分解するシリカ分解触媒と、浄化される排ガス流に対して、シリカ分解触媒の下流に配置された排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(シリカ分解触媒)
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有する。
【0015】
触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属である。すなわち、触媒金属を有することで、浄化される排ガス中の有機Si化合物が分解される。触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属であれば特に限定されるものではない。たとえば、貴金属、重金属、遷移金属の少なくとも一種をあげることができる。また、原料や製造に要するコスト、廃棄後の環境負荷等の観点から、触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0016】
アルカリ系金属は、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種である。アルカリ系金属は、触媒金属において有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引する。この吸引により、触媒金属表面からSiO2が移動する。この結果、触媒金属が露出し、あらたに排ガスの浄化を行うことが可能となる。すなわち、アルカリ系金属を有することで、SiO2による触媒金属の被毒が抑えられ、本発明のシリカ分解触媒の浄化性能の低下が抑えられる。アルカリ系金属は、シリカ分解触媒を担持する担体との反応性から、La、Caより選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】
本発明のシリカ分解触媒においては、触媒金属およびアルカリ系金属は、上記特性を発揮できる形態であれば、酸化物や他の元素との複合酸化物を形成していてもよい。
【0018】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属とアルカリ金属のモル比が、1.0:2.0〜0.1であることが好ましい。なお、このモル比は、それぞれの金属が形成した酸化物のモル比である。モル比が1.0:2.0より小さくなる(アルカリ金属量が大きくなる)と、触媒金属量が不足することとなり有機Si化合物の分解が不十分となり、モル比が1.0:0.1より大きくなる(アルカリ金属量が少なくなる)と、有機Si化合物が触媒金属により分解して生成したSiO2の移動が不十分となり、触媒金属が被毒するようになる。
【0019】
触媒金属およびアルカリ系金属は、触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体に担持されることで、本発明のシリカ分解触媒を浄化される有機Si化合物が含まれる排ガス中に保持できる。また、触媒担体に担持されることで、担持量を調節することが可能となり、排ガスに含まれる有機Si化合物量による触媒性能の調節が可能となる。
【0020】
触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体が触媒担体基材と、担持層と、からなることで、触媒担体の表面積が広くなることで触媒金属およびアルカリ系金属と排ガスの接触量が多くなり、シリカ分解触媒の浄化性能が向上する。
【0021】
触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0022】
また、本発明のシリカ分解触媒は、その製造方法が限定されるものではない。
【0023】
本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引して触媒金属をSiO2の被毒を生じさせなくするアルカリ系金属と、を有することで、有機Si化合物の分解浄化を長寿命で行うことができる。また、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解浄化することができることから、有機Si化合物が含まれる排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒装置において、補助触媒として用いることができる。
【0024】
(排ガス浄化用触媒装置)
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、シリカ分解触媒と、排ガス浄化用触媒と、を有する。
【0025】
シリカ分解触媒は、有機Si化合物を分解する。本発明の排ガス浄化用触媒装置のシリカ分解触媒には、上記シリカ分解触媒を用いることができる。
【0026】
排ガス浄化用触媒は、排ガスを浄化する触媒であり、浄化される排ガス流に対して、シリカ分解触媒の下流に配置されている。
【0027】
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、シリカ分解触媒が排ガス中に含まれる有機Si化合物を浄化した後に、排ガス浄化用触媒が排ガスのその他の成分を浄化する。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、排ガスに有機Si化合物が含まれていても、シリカ分解触媒が有機Si化合物を除去するので、排ガス浄化用触媒が有機Si化合物の被毒による浄化性能の低下が生じなくなっている。
【0028】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属と、アルカリ系金属と、を有することが好ましい。
【0029】
触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属である。すなわち、触媒金属を有することで、浄化される排ガス中の有機Si化合物が分解される。触媒金属は、有機Si化合物を分解可能な金属であれば特に限定されるものではない。たとえば、貴金属、重金属、遷移金属の少なくとも一種をあげることができる。また、原料や製造に要するコスト、廃棄後の環境負荷等の観点から、触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0030】
アルカリ系金属は、La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種である。アルカリ系金属は、触媒金属において有機Si化合物が分解して生成したSiO2を吸引する。この吸引により、触媒金属表面からSiO2が移動する。この結果、触媒金属が露出し、あらたに排ガスの浄化を行うことが可能となる。すなわち、アルカリ系金属を有することで、SiO2による触媒金属の被毒が抑えられ、シリカ分解触媒の有機Si化合物の浄化性能の低下が抑えられる。アルカリ系金属は、シリカ分解触媒を担持する担体との反応性から、La、Caより選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0031】
シリカ分解触媒においては、触媒金属およびアルカリ系金属は、上記特性を発揮できる形態であれば、酸化物や他の元素との複合酸化物を形成していてもよい。
【0032】
シリカ分解触媒は、触媒金属とアルカリ金属のモル比が、1.0:2.0〜0.1であることが好ましい。なお、このモル比は、それぞれの金属が形成した酸化物のモル比である。モル比が1.0:2.0より小さくなる(アルカリ金属量が大きくなる)と、触媒金属量が不足することとなり有機Si化合物の分解が不十分となり、モル比が1.0:0.1より大きくなる(アルカリ金属量が少なくなる)と、有機Si化合物が触媒金属により分解して生成したSiO2の移動が不十分となり、触媒金属が被毒するようになる。
【0033】
触媒金属およびアルカリ系金属は、触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体に担持されることで、本発明のシリカ分解触媒を浄化される有機Si化合物が含まれる排ガス中に保持できる。また、触媒担体に担持されることで、担持量を調節することが可能となり、排ガスに含まれる有機Si化合物量による触媒性能の調節が可能となる。
【0034】
触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体が触媒担体基材と、担持層と、からなることで、触媒担体の表面積が広くなることで触媒金属およびアルカリ系金属と排ガスの接触量が多くなり、シリカ分解触媒の浄化性能が向上する。
【0035】
触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0036】
排ガス浄化用触媒は、シリカ分解触媒により有機Si化合物が除去された排ガスを浄化する触媒である。すなわち、排ガス浄化用触媒は、シリカ分解触媒により有機Si化合物が除去された排ガスを浄化できる触媒を有するものであれば、特に限定されない。従来公知の排ガス浄化用触媒を用いることができる。排ガス浄化用触媒は、触媒貴金属を有することが好ましい。触媒貴金属としては、たとえば、Pt、Pd、Rhをあげることができる。
【0037】
また、排ガス浄化用触媒も、シリカ分解触媒と同様に、触媒貴金属が触媒担体に担持されていることが好ましい。触媒担体は、耐熱性材料よりなる触媒担体基材と、触媒担体基材上に形成された耐熱性無機酸化物よりなる担持層と、からなることが好ましい。触媒担体基材および担持層は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、触媒担体基材には、耐熱性セラミックス、耐熱性金属を用いることができ、担持層には、アルミナ等を用いることができる。
【0038】
本発明の排ガス浄化用承知において、シリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒は、従来公知の形態とすることができる。すなわち、それぞれの触媒を、粒状、ハニカム状、フォーム状等のいずれの形態としてもよい。
【0039】
本発明の排ガス浄化用触媒装置において、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒との距離は、特に限定されるものではない。すなわち、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒との間にすき間があっても、両触媒が当接していても、どちらでもよい。また、両触媒が一体の触媒を形成していてもよい。具体的には、同一の触媒担体に、シリカ分解触媒と、排ガス浄化用触媒とが担持されてなる触媒である。
【0040】
本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0042】
本発明の実施例として、有機Si化合物を分解するシリカ分解触媒を製造した。
【0043】
(実施例1)
(シリカ分解触媒の製造)
まず、硝酸ランタン水溶液および硝酸鉄水溶液を調整し、両水溶液を混合して、LaがLa2O3換算で100g/L、FeがFe2O3換算で20g/Lで含まれる混合水溶液を調整した。この混合水溶液は、FeとLaとがモル比で1:1.4の割合で含まれている。
【0044】
つづいて、φ30mm、軸方向の長さ50mm、200セルのセル数を有する円柱状のセラミックス製のハニカム体の表面に活性アルミナを150g/Lの担持量で担持させた担持層を有するアルミナコート担体を準備した。このアルミナコート担体は、比表面積が120m2/Lであった。
【0045】
このアルミナコート担体を混合水溶液に浸漬した後に乾燥させた。その後、300℃で1時間の加熱処理を施した。
【0046】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、LaおよびFeをLa2O3換算およびFe2O3換算で合計で54g/Lの担持量で担持している。また、FeとLaとがモル比で1:1.4の割合である。
【0047】
(実施例2)
まず、CuO粉末(ナカライテスク株式会社製)200gを500gの水に分散させ、その後、アルミナゾル(日産化学工業株式会社製、商品名:AS−200)100gを加えた。この分散溶液をボールミルでミリングしてスラリーを調整した。
【0048】
つづいて、200セルのセル数を有するセラミックス製のハニカム体の表面に調整されたスラリーをコートし、乾燥した後に、300℃、1時間の焼成を行った。
【0049】
そして、このスラリーがコートされた担体を1mol/LのCa(OH)2水溶液中に浸漬し、乾燥、200℃、1時間の焼成を行った。
【0050】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、CuおよびCaをCuO換算およびCaO換算で合計で31g/Lの担持量で担持している。また、CuとCaとがモル比で1:0.15の割合である。
【0051】
(実施例3)
MnO2粉末(株式会社東洋ソーダ製電解二酸化マンガン)100g、NiO換算で75gの硝酸ニッケル六水和物290g、硝酸ランタン六水和物104gとを400mlの水に分散させ、スラリーを調整した。
【0052】
つづいて、200セルのセル数を有するセラミックス製のハニカム体の表面に調整されたスラリーをコートし、乾燥した後に、300℃、2時間の焼成を行った。
【0053】
以上の手順により、本実施例のシリカ分解触媒が製造された。なお、本実施例のシリカ分解触媒は、Mn、NiおよびLaをMnO2換算、NiO換算およびLa2O3換算で合計で65g/Lの担持量で担持している。また、Mn、NiとLaとがモル比で1.15:1.00:0.24の割合である。
【0054】
(比較例1)
Laを用いない以外は実施例1と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0055】
なお、本比較例においては、アルミナコート担体の硝酸鉄水溶液(52g/L水溶液)への浸漬、乾燥を繰り返し行うことで、所望量のFe2O3の担持を行った。
【0056】
本比較例のFeの担持量は、Fe2O3換算で18g/Lの担持量で担持している。
【0057】
(比較例2)
Ca(OH)2を用いない以外は実施例2と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0058】
本比較例のCuの担持量は、CuO換算で28g/Lの担持量で担持している。
【0059】
(比較例3)
硝酸Laを用いない以外は、実施例3と同様にシリカ分解触媒の製造を行った。
【0060】
本比較例のMnおよびNiの担持量は、MnO2換算およびNiO換算で合計で55g/Lの担持量であった。
【0061】
上記各シリカ分解触媒を用いて、実施例の排ガス浄化用触媒装置を製造した。
【0062】
(排ガス浄化用触媒装置の製造)
本実施例において製造された排ガス浄化用触媒装置は、所定の温度に昇温された浄化される排ガスが内部を流れる管路と、管路中に配設されたシリカ分解触媒と、管路中でありかつシリカ分解触媒の下流側に配設された排ガス浄化用触媒と、から構成される。
【0063】
排ガス浄化用触媒装置を構成するシリカ分解触媒には、上記実施例および比較例のシリカ分解触媒を用いた。
【0064】
排ガス浄化用触媒は、セラミックス基材の表面にアルミナよりなる担持層を形成し、担持層にPtを担持したPt担持触媒が用いられた。
【0065】
Pt担持触媒の製造は、まず、シリカ分解触媒において用いられたアルミナコート担体を製造し、このアルミナコート担体をPt水溶液に浸漬し、乾燥、焼成することで製造された。Pt担持触媒におけるPtの担持量は、1.5g/Lであった。
【0066】
シリカ分解触媒および排ガス浄化用触媒を管路中の所定の位置に配設した。なお、実施例の排ガス浄化用触媒装置において、シリカ分解触媒と排ガス浄化用触媒の対向した端面間の距離は、5mmであった。排ガス浄化用触媒装置の構成を図1に示した。
【0067】
(評価)
排ガス浄化用触媒装置の評価として、試験ガスの浄化を行い、排出されたガス中の炭化水素(THC)およびアセトアルデヒドの浄化率を測定した。なお、浄化される試験ガスは、表1に示した組成を有するものであり、300℃に加熱された状態で、35NL/minの流量で排ガス浄化用触媒装置の管路内を流れた。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例および比較例において作成されたシリカ分解触媒のそれぞれを用いて浄化率を測定し、表2、3および図2、3に示した。表2にはTHCの浄化率の測定結果を、表3にはアセトアルデヒドの浄化率の測定結果を示した。
【0070】
なお、比較例4として、排ガス浄化用触媒のみ(シリカ分解触媒を配設せず)の場合の浄化率を測定した。また、比較例5として、シリカ分解触媒に排ガス浄化用触媒を用いた、すなわち、管路中に二つの排ガス浄化用触媒が配設された場合の浄化率を測定した。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表および図より、実施例および比較例のいずれにおいても、初期の浄化率は95%以上の高い値を示している。
【0074】
しかしながら、100時間後においては、各比較例の浄化率は、各実施例よりも大幅に低下している。このことは、有機Si化合物(オクタメチルシロキサン)が分解して生じたSiO2が排ガス浄化用触媒の触媒貴金属を被毒したことにより、浄化率が低下したことを示す。すなわち、被毒による触媒貴金属の触媒性能の低下が生じない初期においては、実施例と同様に高い浄化率を示すことができるが、時間の経過とともに触媒貴金属が被毒することとなり、浄化率が低下している。これに対して、各実施例は、シリカ分解触媒が試験ガス中の有機Si化合物を分解浄化しているため、排ガス浄化用触媒に到達した試験ガス中には有機Si化合物が含まれなくなり、排ガス浄化用触媒の職引き金属が被毒されなくなっている。この結果、各実施例の排ガス浄化用触媒装置は、高い浄化率を維持できた。
【0075】
【発明の効果】
本発明のシリカ分解触媒は、触媒金属において有機Si化合物をCO2,H2OおよびSiO2に分解し、生成したSiO2をアルカリ系金属が吸引することで、SiO2が触媒金属表面にとどまらなくなっている。すなわち、本発明のシリカ分解触媒は、SiO2被毒による触媒金属の分解性能の低下が抑えられている。この結果、本発明のシリカ分解触媒は、有機Si化合物を効率よく分解浄化できる。
【0076】
また、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、前段に配置されたシリカ分解触媒により排ガス中の有機Si化合物を分解しているため、後段の排ガス浄化用触媒が有機Si化合物による排ガス浄化性能の低下が生じなくなっている。このため、本発明の排ガス浄化用触媒装置は、有機Si化合物を含有した排ガスの浄化に特に効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】排ガス浄化用触媒装置の構成を示した図である。
【図2】THC浄化率の測定結果を示した図である。
【図3】アセトアルデヒド浄化率の測定結果を示した図である。
Claims (12)
- 有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、
La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種のアルカリ系金属と、
を有することを特徴とするシリカ分解触媒。 - 前記触媒金属は、貴金属、重金属、遷移金属より選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のシリカ分解触媒。
- 前記触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種である請求項2記載のシリカ分解触媒。
- 前記アルカリ系金属は、La、Caより選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のシリカ分解触媒。
- 前記触媒金属および前記アルカリ系金属は、触媒担体に担持されている請求項1記載のシリカ分解触媒。
- 有機Si化合物を分解するシリカ分解触媒と、
浄化される排ガス流に対して、該シリカ分解触媒の下流に配置された該排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒と、
を有することを特徴とする排ガス浄化用触媒装置。 - 前記シリカ分解触媒は、
有機Si化合物を分解可能な触媒金属と、
La、Ca、Na、K、Mg、Liより選ばれる少なくとも一種のアルカリ系金属と、
を有する請求項6記載の排ガス浄化用触媒装置。 - 前記触媒金属は、貴金属、重金属、遷移金属より選ばれる少なくとも一種である請求項7記載の排ガス浄化用触媒装置。
- 前記触媒金属は、Fe、Ni、Cu、Mnより選ばれる少なくとも一種である請求項8記載のシリカ分解触媒。
- 前記アルカリ系金属は、La、Caより選ばれる少なくとも一種である請求項7記載の排ガス浄化用触媒装置。
- 前記触媒金属および前記アルカリ系金属は、触媒担体に担持されている請求項7記載の排ガス浄化用触媒装置。
- 前記排ガス浄化用触媒は、触媒貴金属を有する請求項6記載の排ガス浄化用触媒装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009136841A (ja) * | 2007-12-10 | 2009-06-25 | Chubu Electric Power Co Inc | 触媒酸化処理装置および触媒酸化処理方法 |
JP2013032987A (ja) * | 2011-08-02 | 2013-02-14 | Hitachi Automotive Systems Ltd | 水素センサ装置 |
-
2003
- 2003-06-03 JP JP2003158426A patent/JP2004358325A/ja active Pending
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