JP2004357659A - 麺の伸び又は麺の軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法を提供する。
【手段】本発明の茹で麺の製造方法は、茹で麺の外周部に付着している水分を除去する工程を含む。例えば、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして該茹で麺の外周部に該粉末を付着させたり、茹であげた麺に対して空気を吹きつけることによって、該茹で麺の外周部に付着している水分を除去するとよい
【選択図】 なし
【手段】本発明の茹で麺の製造方法は、茹で麺の外周部に付着している水分を除去する工程を含む。例えば、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして該茹で麺の外周部に該粉末を付着させたり、茹であげた麺に対して空気を吹きつけることによって、該茹で麺の外周部に付着している水分を除去するとよい
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
うどん、スパゲティー、中華麺等の茹で麺は、その食感として、麺のコシが強く、適度な歯応えのあるものが好まれる。麺類が持つコシの強さは、その麺に含まれる水分量に依存しており、特に麺は、小麦粉や澱粉質等を主成分としており水分を含み易いため、時間が経つにつれて、いわゆる伸びた状態或いは軟化した状態になることは良く知られている。
【0003】
麺の伸びには、スープに浸かっている間に起こる湯伸びのほか、茹で上げ後に自然にコシが失われていく、「茹で後の伸びや軟化」が知られている。この茹で後の伸びを抑制することは、茹で麺の流通販売に際して、茹で麺関連の商品の食感を維持、改善するために有効である。
【0004】
特に近年、茹で麺関連の商品はスーパーやコンビニエンスストア等において主力商品の一つとなっている。この種の商品には、工場で茹で上げてから店頭へ運ばれ、陳列される茹で麺タイプが増えている。それらの殆どは、冷蔵温度域での保存性が要求され、その配送や保存の間に進行する麺の茹の伸び及び軟化を如何に抑制するかは、その商品価値を左右する重要な問題である。
【0005】
例えば、麺の伸び等を抑制する方法として、麺の原材料の中に、食感を改善するための添加物を加えて製造するといった方法が公知である(特許文献1)
【0006】
【特許文献1】
特開2003−168号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、麺の茹で後の伸びや軟化について詳しく検討してみると、それは、麺に付着する水分に起因して生じると考えられる。茹でたての麺は、中心部での水分量が最も低く、ここから外周部にかけて次第に水分量が高まっており、このような水分勾配が、麺に好ましいコシと弾力を与えている。その後、時間経過に伴い、麺の外周部に存在する水分が、水分量の少ない中心部へと自然に移行し、このようにして水分勾配が失われると、麺のコシと弾力が失われて伸びた状態になる。
【0008】
本発明は、上記茹で調理後の伸びや軟化の問題を解消するためになされたものであり、麺の伸び又は麺の軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、茹で麺の外周部に付着している伸びや軟化の原因となる余分な水分を除去することを見出して、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、茹で麺の外周部に付着している水分を除去する工程を含む、麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする製造方法が提供される。
【0012】
さらに前記茹で麺の外周部に対し、オイルを付着させることを特徴とする製造方法であってもよい。
【0013】
上記第1の態様によれば、茹で麺の外周部に、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末が付着していることを特徴とする茹で麺、及び前記茹で麺の外周部に前記粉末と共にオイルが付着していることを特徴とする茹で麺が提供される。この場合、前記粉末が、節類の粉末、果菜類の粉末、食用動物由来の粉末、調味料の粉末、それらの細かい結晶、又はそれらの混合物であることが望ましい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、茹で上げた麺に対し空気を吹きつけて、付着している水分を除去することを特徴とする製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、茹であげた茹で麺の外周部に付着している水分を除去し、さらに、該茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明に使用される原材料としての麺は、茹で調理に適したあらゆる麺が含まれ得る。すなわち、本発明を適用し得る「茹で麺」には、茹でることにより糊化されて且つ適宜に水分を含んで膨潤した形態のスパゲティー、うどん、そば、ひやむぎ、そう麺、マカロニ、中華麺等の食材を含み、特に冷蔵温度での保存に適した包装麺の形態を含む。それら麺の製法は、それぞれ公知であり、常法に従って製麺される。また、本発明の原材料となる麺は、乾麺又は生麺のいずれでもよい。
【0018】
本発明の製法の好ましい一態様によれば、製麺された麺を茹で上げ、お湯を切った後、得られた茹で麺に対し吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶし、このようにして茹で麺の外周部を当該粉体で覆うことにより、伸び又は軟化の抑制効果を持つ茹で麺が提供される。また、このように伸びや軟化が抑制された茹で麺は、比較的長期の冷蔵保存に適した形態の包装麺として提供されるのに適している。
【0019】
本発明の第1の態様
本発明に使用される「吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末」とは、茹で麺の外周部に付着している余分な水分を取り除くことができる程度の吸湿性を有し、麺外周部から吸い取った水分を保水しつつ、その麺外周部上に分散した形態で存在できる粉末又は細かな結晶を意味する。麺の種類にもよるが、そのような粉末の典型例としては、節類の粉末、果菜類の粉末、食用動物由来の粉末、調味料の粉末、それらの細かい結晶、又はそれらの混合物などが挙げられる。
【0020】
本発明に使用される粉末として、下記の粉末、結晶及びそれらに類したものが挙げられる。
魚介類や節類の粉末;ホタテ、かつお節粉末、いりこ粉末等
果物や野菜の粉末;トマト、人参、玉ねぎの乾燥粉末
食用動物由来の粉末;ポーク粉末(豚肉又は豚骨を原料として得られる乾燥粉末)、チキン粉末(鶏肉又は鶏ガラを原料として得られる乾燥粉末)
調味料の粉末;食塩、グルタミン酸ソーダー、酵母エキス、醤油等の粉末又はそれらの細かい結晶
調味料混合物;コンソメ粉末、風味調味料粉末、上記調味料の混合物粉末
糖類;ブドウ糖、乳糖、澱紛、水あめ等の粉末又はそれらの細かい結晶
その他;きのこ類、藻類(のり、昆布粉末等)香辛料(カレー、パプリカ等)、種実類(栗、ピーナッツ等)、嗜好飲料(お茶、昆布茶等)等の粉末
また、上記粉末はそのものに油脂を含んでいる物が大きな効果を有する。したがって、油脂を含まない粉末には油脂を混合させることでより大きな効果が得られる。
【0021】
本発明における上記粉末の使用量は、茹で麺の外周部をほぼ覆う程度でよい。そのような粉末の使用量は、典型的には、茹で麺100重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは約5重量部である。
【0022】
また、本発明の製法の好ましい他の態様では、上記粉末と共に、オイルを茹で麺に付着させるとしてもよい。オイルを付着させる方法は、特に限定されない。例えば、粉末とオイルとの混合物を茹で麺に接触させてもよいし、オイルを茹で麺に予め付着させてから粉末を付着させてもよい。後者の場合、茹で麺へのオイルの付着は、茹で湯にオイルを添加して行ってもよい。
【0023】
本発明に使用される「オイル」には、植物性オイル、動物性オイル等の食品用途の油脂類が含まれるが、特に限定されるものではない。本発明におけるオイルの使用量は、茹で麺100重量部に対して、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは、約7.5重量部である。
【0024】
上記粉末と共にオイルを使用することで、茹で麺同士の癒着を防止でき、伸びが防止され且つ保存性の良好な茹で麺を提供することができる。特に、オイルの使用はスパゲティー類の茹で麺に好適である。
【0025】
本発明の第2の態様
茹で麺の外周部に付着している水分を除去するには、茹であげた麺の外周部に乾燥空気や加熱空気等を吹きつけて吹き飛ばしたり、吸湿性の良い布や紙を接触させて吸い取るとよい。茹で上げ直後の茹で麺の外周面から、伸び又は軟化を引き起こす余計な水分を除去することで、その後の伸びや軟化を効果的に防止できる。
【0026】
空気吹きつけの方法では、エアーガン又はスプレイから噴出する乾燥空気又は加熱空気を使用することができ、こうして噴出空気を麺の外周部に吹きつけることによりそこに付着している多量の水分を、麺を傷めることなく簡易且つ効率的に除去することができる。より好ましい態様では、市販の小型コンプレッサーから噴出する乾燥空気を茹で麺に対し、できる限りまんべんなく一様に吹き付け、麺外周部の水分を除去する。
【0027】
本発明の第3の態様
上記の第1の態様と第2の態様とを組み合わせることによって、麺の伸び及び軟化の防止効果の高い製造方法を提供し得る。その一例としては、茹であげた麺に対する空気を吹きつけ等によって該茹で麺の外周部に付着している水分を除去し、次いで、該茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして該茹で麺の外周部に該粉末、さらに必要であればオイルを付着させてもよい。
【0028】
特に理論に縛られるつもりは無いが、本発明者の理解によると、上記の各態様における麺の伸び及び軟化防止の作用効果は以下のように説明される。
【0029】
茹で麺の時間経過に伴う伸びは麺の外周部寄りの水分が中心部寄りに移行し、麺全体が均一な水分になり、麺の外周部と中心部の水分の濃度差がなくなることに起因する。本発明においては、麺の外周部から水分を奪うことによって麺の外周部に過剰な水分が存在しない状態を作りだす。このようにすることで外周部から中心部への水分移行が抑制され、その結果、麺の伸び又は軟化を比較的長時間防止できたと考えられる。このような状態は、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末の麺外周部への付着、及び/又は麺外周部への空気吹きつけ等によって好適に達成されることが確認された。
【0030】
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。
【0031】
【実施例】
実施例1
1リットルのお湯に1.6mmφ乾燥スパゲッティー(以下「SP」と記述する)100gを入れ、SP同士が癒着しないように時々攪拌しながら、5分30秒茹でた。茹で上がったSPをざるに開けてお湯を良く切り、ガラス製のボールに移した。
【0032】
伸びを防止するために添加する粉末として、それぞれ市販のトマトパウダー、チキンパウダー、ポークパウダー、食塩、グルタミン酸ソーダを用意し、それら各粉末10gとオリーブオイル15gと混合し、5種類の添加剤25gを調製した。
【0033】
上記のように茹でたSP200gが入っているボールを5個用意し、各ボールに前記いずれか1種の添加剤25gを加えて良く混ぜ合わせた。
【0034】
実施例2
100gの乾麺うどんを4分間茹でて、冷水で良く洗い、十分水切りをし、茹でうどん200gを移したガラス製のボールを5個用意した。各ボールにトマトパウダー、チキンパウダー、ポークパウダー、ナクル(食塩)、MSG(グルタミン酸ソーダ)のいずれか1種を10g加えて良く混ぜ合わせた。
【0035】
官能評価試験
実施例1で得られたスパゲティーと実施例2で得られたうどんを冷蔵庫で保存し、熟練した官能検査員10人が、その保存1日後と2日後での食感を評価した。
【0036】
評価は、茹でたての食感を10点とし、さらに、添加剤を加えていない対照の茹で麺についてその保存1日後を5点とし、保存2日後を3.5点とした基準を設けて、評価点をつけた。
【0037】
評価の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例3
パスタ乾麺250g(径1.6mm)を十分量のお湯で5分30秒間茹で、茹でたパスタをザルに採り、ザルで水切りをした。こうして得られた茹でパスタに対して、コンプレッサーで加圧されて噴出する乾燥空気を所定の時間一様に吹きつけてそのパスタ外周面から水分を飛ばした。その水分除去パスタを冷蔵庫内で保存し、保存開始後1日目と2日目の食感を比較して評価した。
【0040】
評価としては、茹で直後と比較して明らかにブヨブヨ感がある場合を×、少しブヨブヨ感があると感じた場合を△、茹で直後の状態とほぼ同等と感じた場合を○とした。各種状態のパスタに関する評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
また、ザルで水切りした×のパスタに粉末5%をまぶしたパスタは2日後も○であった。同様に空気吹きつけ1分パスタに2%の粉末をまぶしたパスタも2日後も○であった。
【0043】
なお、空気吹きつけによる伸び又は軟化防止の効果は、吹きつけ空気圧力とその作業時間に相関すると考えられる。空気圧力が高ければ比較的短時間の吹きつけ作業で必要な効果を得られるし、吹きつけ作業時間を長くすれば比較的低い空気圧力で同様の効果が得られると考えられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
うどん、スパゲティー、中華麺等の茹で麺は、その食感として、麺のコシが強く、適度な歯応えのあるものが好まれる。麺類が持つコシの強さは、その麺に含まれる水分量に依存しており、特に麺は、小麦粉や澱粉質等を主成分としており水分を含み易いため、時間が経つにつれて、いわゆる伸びた状態或いは軟化した状態になることは良く知られている。
【0003】
麺の伸びには、スープに浸かっている間に起こる湯伸びのほか、茹で上げ後に自然にコシが失われていく、「茹で後の伸びや軟化」が知られている。この茹で後の伸びを抑制することは、茹で麺の流通販売に際して、茹で麺関連の商品の食感を維持、改善するために有効である。
【0004】
特に近年、茹で麺関連の商品はスーパーやコンビニエンスストア等において主力商品の一つとなっている。この種の商品には、工場で茹で上げてから店頭へ運ばれ、陳列される茹で麺タイプが増えている。それらの殆どは、冷蔵温度域での保存性が要求され、その配送や保存の間に進行する麺の茹の伸び及び軟化を如何に抑制するかは、その商品価値を左右する重要な問題である。
【0005】
例えば、麺の伸び等を抑制する方法として、麺の原材料の中に、食感を改善するための添加物を加えて製造するといった方法が公知である(特許文献1)
【0006】
【特許文献1】
特開2003−168号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、麺の茹で後の伸びや軟化について詳しく検討してみると、それは、麺に付着する水分に起因して生じると考えられる。茹でたての麺は、中心部での水分量が最も低く、ここから外周部にかけて次第に水分量が高まっており、このような水分勾配が、麺に好ましいコシと弾力を与えている。その後、時間経過に伴い、麺の外周部に存在する水分が、水分量の少ない中心部へと自然に移行し、このようにして水分勾配が失われると、麺のコシと弾力が失われて伸びた状態になる。
【0008】
本発明は、上記茹で調理後の伸びや軟化の問題を解消するためになされたものであり、麺の伸び又は麺の軟化が抑制された茹で麺及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、茹で麺の外周部に付着している伸びや軟化の原因となる余分な水分を除去することを見出して、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、茹で麺の外周部に付着している水分を除去する工程を含む、麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする製造方法が提供される。
【0012】
さらに前記茹で麺の外周部に対し、オイルを付着させることを特徴とする製造方法であってもよい。
【0013】
上記第1の態様によれば、茹で麺の外周部に、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末が付着していることを特徴とする茹で麺、及び前記茹で麺の外周部に前記粉末と共にオイルが付着していることを特徴とする茹で麺が提供される。この場合、前記粉末が、節類の粉末、果菜類の粉末、食用動物由来の粉末、調味料の粉末、それらの細かい結晶、又はそれらの混合物であることが望ましい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、茹で上げた麺に対し空気を吹きつけて、付着している水分を除去することを特徴とする製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、茹であげた茹で麺の外周部に付着している水分を除去し、さらに、該茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明に使用される原材料としての麺は、茹で調理に適したあらゆる麺が含まれ得る。すなわち、本発明を適用し得る「茹で麺」には、茹でることにより糊化されて且つ適宜に水分を含んで膨潤した形態のスパゲティー、うどん、そば、ひやむぎ、そう麺、マカロニ、中華麺等の食材を含み、特に冷蔵温度での保存に適した包装麺の形態を含む。それら麺の製法は、それぞれ公知であり、常法に従って製麺される。また、本発明の原材料となる麺は、乾麺又は生麺のいずれでもよい。
【0018】
本発明の製法の好ましい一態様によれば、製麺された麺を茹で上げ、お湯を切った後、得られた茹で麺に対し吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶし、このようにして茹で麺の外周部を当該粉体で覆うことにより、伸び又は軟化の抑制効果を持つ茹で麺が提供される。また、このように伸びや軟化が抑制された茹で麺は、比較的長期の冷蔵保存に適した形態の包装麺として提供されるのに適している。
【0019】
本発明の第1の態様
本発明に使用される「吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末」とは、茹で麺の外周部に付着している余分な水分を取り除くことができる程度の吸湿性を有し、麺外周部から吸い取った水分を保水しつつ、その麺外周部上に分散した形態で存在できる粉末又は細かな結晶を意味する。麺の種類にもよるが、そのような粉末の典型例としては、節類の粉末、果菜類の粉末、食用動物由来の粉末、調味料の粉末、それらの細かい結晶、又はそれらの混合物などが挙げられる。
【0020】
本発明に使用される粉末として、下記の粉末、結晶及びそれらに類したものが挙げられる。
魚介類や節類の粉末;ホタテ、かつお節粉末、いりこ粉末等
果物や野菜の粉末;トマト、人参、玉ねぎの乾燥粉末
食用動物由来の粉末;ポーク粉末(豚肉又は豚骨を原料として得られる乾燥粉末)、チキン粉末(鶏肉又は鶏ガラを原料として得られる乾燥粉末)
調味料の粉末;食塩、グルタミン酸ソーダー、酵母エキス、醤油等の粉末又はそれらの細かい結晶
調味料混合物;コンソメ粉末、風味調味料粉末、上記調味料の混合物粉末
糖類;ブドウ糖、乳糖、澱紛、水あめ等の粉末又はそれらの細かい結晶
その他;きのこ類、藻類(のり、昆布粉末等)香辛料(カレー、パプリカ等)、種実類(栗、ピーナッツ等)、嗜好飲料(お茶、昆布茶等)等の粉末
また、上記粉末はそのものに油脂を含んでいる物が大きな効果を有する。したがって、油脂を含まない粉末には油脂を混合させることでより大きな効果が得られる。
【0021】
本発明における上記粉末の使用量は、茹で麺の外周部をほぼ覆う程度でよい。そのような粉末の使用量は、典型的には、茹で麺100重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは約5重量部である。
【0022】
また、本発明の製法の好ましい他の態様では、上記粉末と共に、オイルを茹で麺に付着させるとしてもよい。オイルを付着させる方法は、特に限定されない。例えば、粉末とオイルとの混合物を茹で麺に接触させてもよいし、オイルを茹で麺に予め付着させてから粉末を付着させてもよい。後者の場合、茹で麺へのオイルの付着は、茹で湯にオイルを添加して行ってもよい。
【0023】
本発明に使用される「オイル」には、植物性オイル、動物性オイル等の食品用途の油脂類が含まれるが、特に限定されるものではない。本発明におけるオイルの使用量は、茹で麺100重量部に対して、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは、約7.5重量部である。
【0024】
上記粉末と共にオイルを使用することで、茹で麺同士の癒着を防止でき、伸びが防止され且つ保存性の良好な茹で麺を提供することができる。特に、オイルの使用はスパゲティー類の茹で麺に好適である。
【0025】
本発明の第2の態様
茹で麺の外周部に付着している水分を除去するには、茹であげた麺の外周部に乾燥空気や加熱空気等を吹きつけて吹き飛ばしたり、吸湿性の良い布や紙を接触させて吸い取るとよい。茹で上げ直後の茹で麺の外周面から、伸び又は軟化を引き起こす余計な水分を除去することで、その後の伸びや軟化を効果的に防止できる。
【0026】
空気吹きつけの方法では、エアーガン又はスプレイから噴出する乾燥空気又は加熱空気を使用することができ、こうして噴出空気を麺の外周部に吹きつけることによりそこに付着している多量の水分を、麺を傷めることなく簡易且つ効率的に除去することができる。より好ましい態様では、市販の小型コンプレッサーから噴出する乾燥空気を茹で麺に対し、できる限りまんべんなく一様に吹き付け、麺外周部の水分を除去する。
【0027】
本発明の第3の態様
上記の第1の態様と第2の態様とを組み合わせることによって、麺の伸び及び軟化の防止効果の高い製造方法を提供し得る。その一例としては、茹であげた麺に対する空気を吹きつけ等によって該茹で麺の外周部に付着している水分を除去し、次いで、該茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして該茹で麺の外周部に該粉末、さらに必要であればオイルを付着させてもよい。
【0028】
特に理論に縛られるつもりは無いが、本発明者の理解によると、上記の各態様における麺の伸び及び軟化防止の作用効果は以下のように説明される。
【0029】
茹で麺の時間経過に伴う伸びは麺の外周部寄りの水分が中心部寄りに移行し、麺全体が均一な水分になり、麺の外周部と中心部の水分の濃度差がなくなることに起因する。本発明においては、麺の外周部から水分を奪うことによって麺の外周部に過剰な水分が存在しない状態を作りだす。このようにすることで外周部から中心部への水分移行が抑制され、その結果、麺の伸び又は軟化を比較的長時間防止できたと考えられる。このような状態は、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末の麺外周部への付着、及び/又は麺外周部への空気吹きつけ等によって好適に達成されることが確認された。
【0030】
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。
【0031】
【実施例】
実施例1
1リットルのお湯に1.6mmφ乾燥スパゲッティー(以下「SP」と記述する)100gを入れ、SP同士が癒着しないように時々攪拌しながら、5分30秒茹でた。茹で上がったSPをざるに開けてお湯を良く切り、ガラス製のボールに移した。
【0032】
伸びを防止するために添加する粉末として、それぞれ市販のトマトパウダー、チキンパウダー、ポークパウダー、食塩、グルタミン酸ソーダを用意し、それら各粉末10gとオリーブオイル15gと混合し、5種類の添加剤25gを調製した。
【0033】
上記のように茹でたSP200gが入っているボールを5個用意し、各ボールに前記いずれか1種の添加剤25gを加えて良く混ぜ合わせた。
【0034】
実施例2
100gの乾麺うどんを4分間茹でて、冷水で良く洗い、十分水切りをし、茹でうどん200gを移したガラス製のボールを5個用意した。各ボールにトマトパウダー、チキンパウダー、ポークパウダー、ナクル(食塩)、MSG(グルタミン酸ソーダ)のいずれか1種を10g加えて良く混ぜ合わせた。
【0035】
官能評価試験
実施例1で得られたスパゲティーと実施例2で得られたうどんを冷蔵庫で保存し、熟練した官能検査員10人が、その保存1日後と2日後での食感を評価した。
【0036】
評価は、茹でたての食感を10点とし、さらに、添加剤を加えていない対照の茹で麺についてその保存1日後を5点とし、保存2日後を3.5点とした基準を設けて、評価点をつけた。
【0037】
評価の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例3
パスタ乾麺250g(径1.6mm)を十分量のお湯で5分30秒間茹で、茹でたパスタをザルに採り、ザルで水切りをした。こうして得られた茹でパスタに対して、コンプレッサーで加圧されて噴出する乾燥空気を所定の時間一様に吹きつけてそのパスタ外周面から水分を飛ばした。その水分除去パスタを冷蔵庫内で保存し、保存開始後1日目と2日目の食感を比較して評価した。
【0040】
評価としては、茹で直後と比較して明らかにブヨブヨ感がある場合を×、少しブヨブヨ感があると感じた場合を△、茹で直後の状態とほぼ同等と感じた場合を○とした。各種状態のパスタに関する評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
また、ザルで水切りした×のパスタに粉末5%をまぶしたパスタは2日後も○であった。同様に空気吹きつけ1分パスタに2%の粉末をまぶしたパスタも2日後も○であった。
【0043】
なお、空気吹きつけによる伸び又は軟化防止の効果は、吹きつけ空気圧力とその作業時間に相関すると考えられる。空気圧力が高ければ比較的短時間の吹きつけ作業で必要な効果を得られるし、吹きつけ作業時間を長くすれば比較的低い空気圧力で同様の効果が得られると考えられる。
Claims (8)
- 茹で麺の外周部に付着している水分を除去する工程を含む、麺の伸び又は軟化が抑制された茹で麺の製造方法。
- 茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記茹で麺の外周部に対し、オイルを付着させることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
- 茹で麺の外周部に、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末が付着していることを特徴とする、伸び又は軟化が抑制された茹で麺。
- 前記茹で麺の外周部に、前記粉末と共にオイルが付着していることを特徴とする、請求項4に記載の茹で麺。
- 前記粉末が、節類の粉末、果菜類の粉末、食用動物由来の粉末、調味料の粉末、それらの細かい結晶、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の茹で麺。
- 茹で上げた麺に対し空気を吹きつけて、付着している水分を除去することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 茹であげた茹で麺の外周部に付着している水分を除去し、そして、該茹で麺に対し、吸湿性を有するが同時に保水性、分散性を有する粉末をまぶして、該茹で麺の外周部に該粉末を付着させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
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