JP2004356406A - 磁気シールドパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気シールドルームの剛性を高め、磁気シールド性能を向上させることができるとともに、電磁シールド性能をも得ることのできる磁気シールドパネルを実現する。
【解決手段】高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせる。
【選択図】 図1
【解決手段】高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体磁気計測システムのように微弱な磁場を測定する装置などを収容する磁気シールドルームに用いられる、磁気シールドパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、脳磁計測や心磁計測などのように微弱な磁場を測定・検出する生体磁気測定システムや、半導体製造に際して、微細な回路パターンを電子線で描画する電子線描画装置などにおいては、測定磁場や電子線が外部からの磁気的な影響を受けるのを防止する必要があり、このための手段として磁気シールドルームが使用されている。
【0003】
図7は、磁気シールドルームの使用形態の一例を示すもので、1はシールドルーム、2はシールドルーム1内に収容される生体磁気計測システムのセンサ部、3は生体磁気計測システムにおける信号処理部である。生体磁気測定システムを収容する磁気シールドルーム1においては、極めて高い磁気シールド性能が必要とされる。例えば、SQUIDを使用した生体磁気計測システムでは、地磁気の直流成分の10億分の1という極めて微弱な信号を計測するため、地磁気などの環境磁気雑音を磁気シールドルーム1により低減する。
【0004】
図8は、このような磁気シールドルーム1に使用される磁気シールドパネル10の従来例を示す構成図である。図において、11はアルミニウムなどの非磁性材料の軸材よりなるフレーム、12はパーマロイなどの高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板、13は磁気遮蔽板12と同じ高透磁率合金材料よりなり、磁気遮蔽板12の突き合わせ部を覆うあて板である。磁気遮蔽板12はその製造工程の関係などから素材の幅寸法が限られているために、一つの磁気シールドパネル10には複数枚の矩形の板材が組み合わされて使用される。図に示すように、複数枚の磁気遮蔽板12がその端縁部において突き合わせて接合され、フレーム11に取り付けられるとともに、その突き合わせ部を覆うようにあて板13が取り付けられている。このように構成された磁気シールドパネル10を隙間無く組み上げることにより、閉殻を構成し、磁気シールドルーム1を実現する。
【0005】
このように、磁気シールドルーム1は高透磁率合金材料の磁気遮蔽板12により隙間無く取り囲まれることになり、所望の磁気シールド性能を実現している。一般に、磁気遮蔽板12の厚さは約1〜2mmに設定されているが、より高いシールド性能を得るためには、磁気遮蔽板12の厚さを増したり、磁気遮蔽板12を2層以上にして使用することもある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−170281号公報 磁気シールドルームの壁構造
【特許文献2】
特開2000−183581号公報 磁気シールドルーム用板材
【特許文献3】
特開2002−294901号公報 磁気シールドルーム用遮蔽構造
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高透磁率合金材料であるパーマロイは透磁率が有限であることと、BH特性にはヒステリシスがあることから、磁気シールドルーム1には直流的な磁場侵入があるとともに、内壁には帯磁成分が存在する。一般的に、数10〜100nT(ナノテスラ)程度の残留磁場が存在する。
【0008】
直流的な磁場分布の計測への影響として大きなものは、振動の影響である。外部からの振動が伝わり、壁が振動すると、内部では0次および1次を主成分とする磁場分布の時間的変動が発生し、磁気センサがマグネトメータである場合はもちろんであるが、1次微分グラジオメータの場合でも影響を受ける。
【0009】
この影響を阻止するためには、磁気シールドルーム1の剛性を高める必要がある。磁気シールドパネル10自体の剛性は、フレーム11にH型アルミ材などを採用することにより実現することはできるが、図9に示す如く、磁気遮蔽板12の中間部がフレーム11から浮いているので、磁気シールドパネル10の面方向の振動に対して、磁気雑音の発生を十分に抑制することはできない。
【0010】
また、フレーム11を構成するアルミニウムは高導電率を有する材料ではあるが、フレーム11には空間部があるため、これだけでは電磁シールドの効果を得ることはできない。したがって、磁気シールドルーム1に電磁シールドの性能を付加するためには、磁気遮蔽板12の層とは別に、銅やアルミニウムなどの高導電率材料よりなる電磁シールド層を設けなければならない。
【0011】
本発明は、上記のような従来装置の欠点をなくし、磁気シールドルームの剛性を高め、磁気シールド性能を向上させることができるとともに、電磁シールド性能をも得ることのできる磁気シールドパネルを簡単な構成により実現することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気シールドパネルは、高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の磁気シールドパネルは、上記の磁気シールドパネルにおいて、前記フレームがアルミニウムであることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明の磁気シールドパネルは、上記の磁気シールドパネルにおいて、前記電磁遮蔽板がアルミニウムであることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明の磁気シールドパネルは、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を前記フレームの両側の面に取り付けたことを特徴とするものである。
【0016】
このように、フレームの片面に高導電率材料の板材よりなる電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板とを重ねて取り付けるようにすると、電磁遮蔽板によりフレームの空間部を塞ぎ、磁気遮蔽板における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができるとともに、電磁シールドの効果をも同時に得ることができる。
【0017】
また、フレームおよび電磁遮蔽板の材質をアルミニウムとすることにより、加工の容易な磁気シールドパネルを得ることができる。
【0018】
さらに、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせることにより、より高いシールド効果を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の磁気シールドパネルを説明する。図1は、本発明の磁気シールドパネルの一実施例を示す構成図である。図において、前記図8と同様のものは同一符号を付して示す。14はアルミニウムなどの高導電率材料の板材よりなる電磁遮蔽板である。電磁遮蔽板14には複数枚の矩形の板材が組み合わされて使用され、図に示す例では、4枚の電磁遮蔽板14がその端縁部において突き合わせて溶接される。また、このように溶接された電磁遮蔽板14がフレーム11の片面に取り付けられる。取付方法としては、ネジ止めあるいは溶接が選択される。
【0020】
このように、フレーム11の片面に取り付けられた電磁遮蔽板14の上には、高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板12が重ねて取り付けられ、その突き合わせ部の上にはあて板13が取り付けられている。ここで、電磁遮蔽板14と磁気遮蔽板12とは隙間無く重ね合わされており、間に空気の層などは存在していない。
【0021】
図2は、上記のように構成された本発明の磁気シールドパネルの部分断面図を示す。図に示すように、フレーム11の片面に電磁遮蔽板14と磁気遮蔽板12とが隙間無く重ね合わされており、電磁遮蔽板14が磁気遮蔽板12における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができる。また、このような磁気シールドパネル10を隙間無く組み上げることにより、閉殻を構成し、磁気シールドルーム1を実現すれば、電磁遮蔽板14によっても閉殻を構成することができ、磁気遮蔽板12による磁気シールド効果とともに、電磁遮蔽板14による電磁シールド効果をも同時に得ることができる。
【0022】
図3は、上記のように構成された本発明の磁気シールドパネルにおいて、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせた例を示す断面図である。図において、10−1はフレーム11−1、電磁遮蔽板14−1、磁気遮蔽板12−1により構成されたパネル要素(磁気シールドパネル)、10−2は電磁遮蔽板14−2、磁気遮蔽板12−2により構成されたパネル要素であり、パネル要素10−2は絶縁材15−1を介してフレーム11−1に取り付けられている。なお、このようにパネル要素を多層にして使用する場合には、最内層(10−2側)に磁気遮蔽板12−2を配置する方法が一般的である。
【0023】
このように、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素10−1、10−2を多層に組み合わせて使用すると、磁気シールドパネルの剛性を高めることができるとともに、より高いシールド効果を得ることができる。
【0024】
図4は、パネル要素10−1、10−2、10−3を3層にして使用した場合を例示したものである。各パネル要素間は絶縁材15−1、15−2により絶縁されている。
【0025】
図5は、パネル要素10−1、10−2を2層にして使用するとともに、間に高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板12−4を配置した場合を例示したものである。前記図3の例よりも磁気シールド性能を上げることができる。
【0026】
図6は、本発明の磁気シールドパネルにより磁気シールドルームを構成する場合の一例を示す断面図である。図に示すように、磁気シールドルーム1の四辺の壁を磁気シールドパネル10−11〜10−14により囲み、各パネルの突き合わせ点16−1〜16−4を溶接により接合する。同様に、天井および床となる上下の磁気シールドパネルを溶接する。これにより、導電性を有する閉殻構造を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気シールドパネルでは、高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせるようにしているので、電磁遮蔽板によりフレームの空間部を塞ぎ、磁気遮蔽板における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができ、磁気シールドルームの剛性を高め、磁気シールド性能を向上させることができるとともに、電磁シールド性能をも得ることのできる磁気シールドパネルを簡単な構成により実現することができる。
【0028】
また、本発明の磁気シールドパネルでは、フレームおよび電磁遮蔽板の材質をアルミニウムとすることにより、加工の容易な磁気シールドパネルを得ることができる。
【0029】
さらに、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせることにより、より高いシールド効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気シールドパネルの一実施例を示す構成図。
【図2】本発明の磁気シールドパネルの部分断面図。
【図3】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図4】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図5】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図6】本発明の磁気シールドパネルによる磁気シールドルームの組み立て例を示す構成図。
【図7】磁気シールドルームの使用形態の一例を示す構成図。
【図8】従来の磁気シールドパネルの一例を示す構成図。
【図9】図8の磁気シールドパネルにおける断面図。
【符号の説明】
1 磁気シールドルーム
2 生体磁気計測システムのセンサ部
3 生体磁気計測システムの信号処理部
10 磁気シールドパネル
11 フレーム
12 磁気遮蔽板
13 あて板
14 電磁遮蔽板
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体磁気計測システムのように微弱な磁場を測定する装置などを収容する磁気シールドルームに用いられる、磁気シールドパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、脳磁計測や心磁計測などのように微弱な磁場を測定・検出する生体磁気測定システムや、半導体製造に際して、微細な回路パターンを電子線で描画する電子線描画装置などにおいては、測定磁場や電子線が外部からの磁気的な影響を受けるのを防止する必要があり、このための手段として磁気シールドルームが使用されている。
【0003】
図7は、磁気シールドルームの使用形態の一例を示すもので、1はシールドルーム、2はシールドルーム1内に収容される生体磁気計測システムのセンサ部、3は生体磁気計測システムにおける信号処理部である。生体磁気測定システムを収容する磁気シールドルーム1においては、極めて高い磁気シールド性能が必要とされる。例えば、SQUIDを使用した生体磁気計測システムでは、地磁気の直流成分の10億分の1という極めて微弱な信号を計測するため、地磁気などの環境磁気雑音を磁気シールドルーム1により低減する。
【0004】
図8は、このような磁気シールドルーム1に使用される磁気シールドパネル10の従来例を示す構成図である。図において、11はアルミニウムなどの非磁性材料の軸材よりなるフレーム、12はパーマロイなどの高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板、13は磁気遮蔽板12と同じ高透磁率合金材料よりなり、磁気遮蔽板12の突き合わせ部を覆うあて板である。磁気遮蔽板12はその製造工程の関係などから素材の幅寸法が限られているために、一つの磁気シールドパネル10には複数枚の矩形の板材が組み合わされて使用される。図に示すように、複数枚の磁気遮蔽板12がその端縁部において突き合わせて接合され、フレーム11に取り付けられるとともに、その突き合わせ部を覆うようにあて板13が取り付けられている。このように構成された磁気シールドパネル10を隙間無く組み上げることにより、閉殻を構成し、磁気シールドルーム1を実現する。
【0005】
このように、磁気シールドルーム1は高透磁率合金材料の磁気遮蔽板12により隙間無く取り囲まれることになり、所望の磁気シールド性能を実現している。一般に、磁気遮蔽板12の厚さは約1〜2mmに設定されているが、より高いシールド性能を得るためには、磁気遮蔽板12の厚さを増したり、磁気遮蔽板12を2層以上にして使用することもある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−170281号公報 磁気シールドルームの壁構造
【特許文献2】
特開2000−183581号公報 磁気シールドルーム用板材
【特許文献3】
特開2002−294901号公報 磁気シールドルーム用遮蔽構造
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高透磁率合金材料であるパーマロイは透磁率が有限であることと、BH特性にはヒステリシスがあることから、磁気シールドルーム1には直流的な磁場侵入があるとともに、内壁には帯磁成分が存在する。一般的に、数10〜100nT(ナノテスラ)程度の残留磁場が存在する。
【0008】
直流的な磁場分布の計測への影響として大きなものは、振動の影響である。外部からの振動が伝わり、壁が振動すると、内部では0次および1次を主成分とする磁場分布の時間的変動が発生し、磁気センサがマグネトメータである場合はもちろんであるが、1次微分グラジオメータの場合でも影響を受ける。
【0009】
この影響を阻止するためには、磁気シールドルーム1の剛性を高める必要がある。磁気シールドパネル10自体の剛性は、フレーム11にH型アルミ材などを採用することにより実現することはできるが、図9に示す如く、磁気遮蔽板12の中間部がフレーム11から浮いているので、磁気シールドパネル10の面方向の振動に対して、磁気雑音の発生を十分に抑制することはできない。
【0010】
また、フレーム11を構成するアルミニウムは高導電率を有する材料ではあるが、フレーム11には空間部があるため、これだけでは電磁シールドの効果を得ることはできない。したがって、磁気シールドルーム1に電磁シールドの性能を付加するためには、磁気遮蔽板12の層とは別に、銅やアルミニウムなどの高導電率材料よりなる電磁シールド層を設けなければならない。
【0011】
本発明は、上記のような従来装置の欠点をなくし、磁気シールドルームの剛性を高め、磁気シールド性能を向上させることができるとともに、電磁シールド性能をも得ることのできる磁気シールドパネルを簡単な構成により実現することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気シールドパネルは、高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の磁気シールドパネルは、上記の磁気シールドパネルにおいて、前記フレームがアルミニウムであることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明の磁気シールドパネルは、上記の磁気シールドパネルにおいて、前記電磁遮蔽板がアルミニウムであることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明の磁気シールドパネルは、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を前記フレームの両側の面に取り付けたことを特徴とするものである。
【0016】
このように、フレームの片面に高導電率材料の板材よりなる電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板とを重ねて取り付けるようにすると、電磁遮蔽板によりフレームの空間部を塞ぎ、磁気遮蔽板における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができるとともに、電磁シールドの効果をも同時に得ることができる。
【0017】
また、フレームおよび電磁遮蔽板の材質をアルミニウムとすることにより、加工の容易な磁気シールドパネルを得ることができる。
【0018】
さらに、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせることにより、より高いシールド効果を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の磁気シールドパネルを説明する。図1は、本発明の磁気シールドパネルの一実施例を示す構成図である。図において、前記図8と同様のものは同一符号を付して示す。14はアルミニウムなどの高導電率材料の板材よりなる電磁遮蔽板である。電磁遮蔽板14には複数枚の矩形の板材が組み合わされて使用され、図に示す例では、4枚の電磁遮蔽板14がその端縁部において突き合わせて溶接される。また、このように溶接された電磁遮蔽板14がフレーム11の片面に取り付けられる。取付方法としては、ネジ止めあるいは溶接が選択される。
【0020】
このように、フレーム11の片面に取り付けられた電磁遮蔽板14の上には、高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板12が重ねて取り付けられ、その突き合わせ部の上にはあて板13が取り付けられている。ここで、電磁遮蔽板14と磁気遮蔽板12とは隙間無く重ね合わされており、間に空気の層などは存在していない。
【0021】
図2は、上記のように構成された本発明の磁気シールドパネルの部分断面図を示す。図に示すように、フレーム11の片面に電磁遮蔽板14と磁気遮蔽板12とが隙間無く重ね合わされており、電磁遮蔽板14が磁気遮蔽板12における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができる。また、このような磁気シールドパネル10を隙間無く組み上げることにより、閉殻を構成し、磁気シールドルーム1を実現すれば、電磁遮蔽板14によっても閉殻を構成することができ、磁気遮蔽板12による磁気シールド効果とともに、電磁遮蔽板14による電磁シールド効果をも同時に得ることができる。
【0022】
図3は、上記のように構成された本発明の磁気シールドパネルにおいて、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせた例を示す断面図である。図において、10−1はフレーム11−1、電磁遮蔽板14−1、磁気遮蔽板12−1により構成されたパネル要素(磁気シールドパネル)、10−2は電磁遮蔽板14−2、磁気遮蔽板12−2により構成されたパネル要素であり、パネル要素10−2は絶縁材15−1を介してフレーム11−1に取り付けられている。なお、このようにパネル要素を多層にして使用する場合には、最内層(10−2側)に磁気遮蔽板12−2を配置する方法が一般的である。
【0023】
このように、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素10−1、10−2を多層に組み合わせて使用すると、磁気シールドパネルの剛性を高めることができるとともに、より高いシールド効果を得ることができる。
【0024】
図4は、パネル要素10−1、10−2、10−3を3層にして使用した場合を例示したものである。各パネル要素間は絶縁材15−1、15−2により絶縁されている。
【0025】
図5は、パネル要素10−1、10−2を2層にして使用するとともに、間に高透磁率合金材料の板材よりなる磁気遮蔽板12−4を配置した場合を例示したものである。前記図3の例よりも磁気シールド性能を上げることができる。
【0026】
図6は、本発明の磁気シールドパネルにより磁気シールドルームを構成する場合の一例を示す断面図である。図に示すように、磁気シールドルーム1の四辺の壁を磁気シールドパネル10−11〜10−14により囲み、各パネルの突き合わせ点16−1〜16−4を溶接により接合する。同様に、天井および床となる上下の磁気シールドパネルを溶接する。これにより、導電性を有する閉殻構造を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気シールドパネルでは、高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせるようにしているので、電磁遮蔽板によりフレームの空間部を塞ぎ、磁気遮蔽板における面方向の振動を抑制して、磁気雑音の発生を抑えることができ、磁気シールドルームの剛性を高め、磁気シールド性能を向上させることができるとともに、電磁シールド性能をも得ることのできる磁気シールドパネルを簡単な構成により実現することができる。
【0028】
また、本発明の磁気シールドパネルでは、フレームおよび電磁遮蔽板の材質をアルミニウムとすることにより、加工の容易な磁気シールドパネルを得ることができる。
【0029】
さらに、電磁遮蔽板と磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を多層に組み合わせることにより、より高いシールド効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気シールドパネルの一実施例を示す構成図。
【図2】本発明の磁気シールドパネルの部分断面図。
【図3】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図4】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図5】本発明の磁気シールドパネルの他の実施例を示す断面図。
【図6】本発明の磁気シールドパネルによる磁気シールドルームの組み立て例を示す構成図。
【図7】磁気シールドルームの使用形態の一例を示す構成図。
【図8】従来の磁気シールドパネルの一例を示す構成図。
【図9】図8の磁気シールドパネルにおける断面図。
【符号の説明】
1 磁気シールドルーム
2 生体磁気計測システムのセンサ部
3 生体磁気計測システムの信号処理部
10 磁気シールドパネル
11 フレーム
12 磁気遮蔽板
13 あて板
14 電磁遮蔽板
Claims (4)
- 高導電率材料の軸材よりなるフレームと、高導電率材料の板材よりなる複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて溶接し前記フレームの片面に取り付けられた電磁遮蔽板と、高透磁率合金材料の板材よりなり複数枚の矩形の板材を互いに端縁部で突き合わせて接合し前記電磁遮蔽板の上面に重ねて取り付けられた磁気遮蔽板と、この磁気遮蔽板と同じ高透磁率合金材料よりなりこの磁気遮蔽板における突き合わせ部を覆うように取り付けられたあて板とを具備し、前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを隙間無く重ね合わせたことを特徴とする磁気シールドパネル。
- 前記フレームがアルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の磁気シールドパネル。
- 前記電磁遮蔽板がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気シールドパネル。
- 前記電磁遮蔽板と前記磁気遮蔽板とを重ね合わせたパネル要素を前記フレームの両側の面に取り付けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の磁気シールドパネル。
Priority Applications (1)
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JP2003152613A JP2004356406A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 磁気シールドパネル |
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2003
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KR20220052731A (ko) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | 한국전력공사 | 자기장 차폐창 및 이를 구비하는 자기장 차폐 시스템 |
KR102661951B1 (ko) * | 2020-10-21 | 2024-04-29 | 한국전력공사 | 자기장 차폐창 및 이를 구비하는 자기장 차폐 시스템 |
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