以下において、図面を参照しながら、発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
図1、図2を用いて、本実施形態の電流センサ100に関して説明する。電流センサ100は、例えば、車載モータのインバータ制御に用いられる。電流センサ100は、インバータ制御のために、車載モータに電源を供給する車載バッテリに接続されたバスバ210,220に流れる被検出電流を検出するものである。バスバ210,220は、電流経路に相当する。
なお、電流センサ100は、例えば電気自動車やハイブリッド車に用いられる。また、電流センサ100は、例えば集磁コアを必要としないコアレス電流センサを採用できる。
電流センサ100は、第1磁気検出素子11と、第2磁気検出素子12と、第1磁気シールド21と、第2磁気シールド22とを備えて構成されている。
第1磁気検出素子11と第2磁気検出素子12のそれぞれは、例えばセンサチップやバイアス磁石や回路チップが基板に搭載されるとともに、これらが封止樹脂体で封止され、回路チップと接続されたリードが封止樹脂体の外部に露出した構成を採用できる。センサチップとしては、例えば、巨大磁気抵抗素子(GMR)、異方性磁気抵抗素子(AMR)、トンネル磁気抵抗素子(TMR)、又はホール素子などを採用できる。
図1、図2に示すように、第1磁気検出素子11と第2磁気検出素子12は、X方向に並べられて配置されている。図2に示すように、第1磁気検出素子11は、Z方向において、第1バスバ210に対向して配置されている。一方、第2磁気検出素子12は、Z方向において、第2バスバ220に対向して配置されている。なお、Z方向は、磁気シールド21,22の厚み方向と称することもできる。
第1磁気シールド21と第2磁気シールド22のそれぞれは、磁性材料によって構成されており、外部磁界が磁気検出素子11,12を透過することを抑制するものである。第1磁気シールド21と第2磁気シールド22は、磁気検出素子11,12に共通に設けられている。
図1、図2に示すように、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22は、板状部材である。第1磁気シールド21と第2磁気シールド22は、Z方向において、間隔をあけて対向配置されている。また、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22は、Z方向において、磁気検出素子11,12やバスバ210,220を挟みこむように配置される。よって、磁気検出素子11,12は、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22との対向領域に配置されていると言える。
図1、図2に示すように、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22とは、形状が異なる。第2磁気シールド22は、平板形状の板状部材である。第2磁気シールド22は、第1磁気シールド21との対向面と、対向面の反対面とを有している。そして、第2磁気シールド22の対向面及び反対面は、平坦面となっている。また、第2磁気シールド22のZ方向の厚みは、全域で均一である。なお、第2磁気シールド22の反対面は、第2磁気シールド22における外側表面と言うことができる。
本実施形態では、対向面の外形と反対面の外形とが矩形状の第2磁気シールド22を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
一方、第1磁気シールド21は、図2に示すように、凹部1を有した板状部材である。つまり、第1磁気シールド21は、周辺よりも窪んだ凹部1を有している。凹部1は、図1に示すように、第1磁気シールド21におけるY方向の一方の端部から他方の端部にわたって設けられており、溝部とも言える。また、凹部1は、バスバ210,220における電流の流れ方向に沿って、第1磁気シールド21の一方の端部から他方の端部にわたって形成されていると言える。なお、凹部1は、有底の穴であり、第1磁気シールド21をZ方向に貫通している穴ではない。
この凹部1は、バスバ210,220に被検出電流が流れることで磁気シールド21,22に流れる磁束に対して、直交するように設けられている。なお、第1磁気シールド21などの磁気シールドにおける磁束の流れは、磁気流路と称することができる。
第1磁気シールド21は、第2磁気シールド22との対向面と、対向面の反対面とを有している。そして、第1磁気シールド21の反対面は、平坦面となっている。しかしながら、第1磁気シールド21の対向面は、一部に窪んだ部位が形成された平坦面となっている。つまり、この窪んだ部位が凹部1に対応する。よって、第1磁気シールド21は、第2磁気シールド22と対向する側に開口した凹部1が形成されている。なお、第1磁気シールド21の反対面は、第1磁気シールド21における外側表面と言うことができる。
また、第1磁気シールド21は、厚肉部2と薄肉部3とを有していると言える。厚肉部2は、ベース部に相当する。一方、薄肉部3は、連結部に相当する。
厚肉部2は、Z方向における厚みが、薄肉部3よりも厚い部位である。薄肉部3は、二つの厚肉部2によって挟まれ、二つの厚肉部2と連続的に設けられている。つまり、第1磁気シールド21は、第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2と、第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2とを含んでおり、二つの厚肉部2が薄肉部3で繋がっている。
また、第1磁気シールド21の反対面は、厚肉部2と薄肉部3で面一に構成されている。一方、第1磁気シールド21の対向面は、厚肉部2と薄肉部3とでZ方向の位置が異なる。よって、凹部1は、薄肉部3の対向領域であり、且つ二つの厚肉部2によって挟まれた領域と言える。さらに、第1磁気シールド21は、薄肉部3に対向する位置に、周辺の厚肉部2よりも窪んで対向領域に開口した凹部1が形成されていると言える。
さらに、図1に示すように、第1磁気シールド21は、Z方向から見た場合、第1磁気検出素子11と第2磁気検出素子12の中間に対向する部位に凹部1が設けられていると好ましい。つまり、凹部1は、二つの磁気検出素子11,12の中間位置に対向する部位に設けられている。第1磁気検出素子11から凹部1までの距離X1は、第2磁気検出素子12から凹部1までの距離X2と同程度である。電流センサ100は、凹部1から漏れ磁場が発生した場合であっても、磁気検出素子11,12に漏れ磁場が影響することを抑制できる。しかしながら、凹部1の位置は、これに限定されない。
なお、本実施形態では、対向面の外形と反対面の外形とが矩形状の第1磁気シールド21を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
電流センサ100は、磁気検出素子11,12と磁気シールド21,22とが組み付けられて構成されている。ここで、電流センサ100の各構成要素と第1バスバ210及び第2バスバ220との組み付け構造に関して説明する。なお、本実施形態では、平板形状の第1バスバ210と第2バスバ220を採用している。図1では、第1バスバ210と第2バスバ220におけるY方向に延びている部位を図示している。また、第1バスバ210と第2バスバ220は、X方向において間隔をあけて、平行に配置されている部位を有している。被検出電流は、図1に示している第1バスバ210と第2バスバ220のY方向に流れている。
電流センサ100は、第1バスバ210及び第2バスバ220に流れる被検出電流を検出するために、第1バスバ210及び第2バスバ220と組み付けられている。図2に示すように、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22とは、Z方向において対向配置されている。そして、第1磁気シールド21と第2磁気シールド22との対向領域には、磁気検出素子11,12とバスバ210,220とが配置されている。
第1磁気検出素子11は、図2に示すように、Z方向において、第1バスバ210と第1磁気シールド21との間に配置されている。詳述すると、第1磁気検出素子11は、第1バスバ210と、第1磁気シールド21における一方の厚肉部2との間に配置されている。また、第1磁気検出素子11は、第1バスバ210との間、及び第1磁気シールド21との間に間隔をあけて配置されている。
第2磁気検出素子12は、図2に示すように、Z方向において、第2バスバ220と第1磁気シールド21との間に配置されている。詳述すると、第2磁気検出素子12は、第2バスバ220と、第1磁気シールド21における他方の厚肉部2との間に配置されている。また、第2磁気検出素子12は、第2バスバ220との間、及び第1磁気シールド21との間に間隔をあけて配置されている。なお、第2磁気シールド22と、第1バスバ210及び第2バスバ220とは、Z方向において、間隔をあけて配置されている。
第1バスバ210は、第1磁気検出素子11とともに、一方の厚肉部2の対向領域に配置されている。第2バスバ220は、第2磁気検出素子12とともに、他方の厚肉部2の対向領域に配置されている。よって、第1磁気検出素子11と第2磁気検出素子12は、凹部1の対向領域を挟んでX方向に並べて配置されている。同様に、第1バスバ210と第2バスバ220は、凹部1の対向領域を挟んでX方向に並べて配置されている。
電流センサ100の各構成要素とバスバ210,220とは、このように配置されて、組み付けられている。例えば、電流センサ100の各構成要素とバスバ210,220とは、ハウジングなどに固定された組み付け構造を有している。なお、バスバ210,220と、磁気検出素子11,12と、磁気シールド21,22とが組み付けられた構造体は、電流センサ100の端子台と称することができる。
被検出電流は、バスバ210,220の延びる方向、すなわち図1ではY方向に流動する。したがって、図2に示すように、被検出電流のY方向の流動によって、Y方向に直交する平面にて右ねじの法則にしたがった磁場が発生する。この磁場は、被検出磁束ともいうことができる。電流センサ100は、第1磁気検出素子11と、第2磁気検出素子12のそれぞれが、この被検出磁束を電気信号に変換する。つまり、第1磁気検出素子11は、第1バスバ210に流れる被検出磁束を電気信号に変換する。一方、第2磁気検出素子12は、第2バスバ220に流れる被検出磁束を電気信号に変換する。このようにして、電流センサ100は、被検出電流を検出する。
なお、本実施形態では、図2に示すように、第1バスバ210が通電相で、第2バスバ220が検出相である場合を一例として採用している。このため、第1バスバ210に電流が流れることによって、磁気シールド21,22には、図2の実線矢印で示すように、磁束が流れることになる。また、本実施形態では、通電相である第1バスバ210がノイズ発生源となる。
ここで、電流センサ100の効果に関して、比較例の電流センサと対比して説明する。ここで採用する比較例の電流センサは、薄肉部3が設けられておらず、第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2と第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2とが切り離されている点が、電流センサ100と異なる。このため、比較例の電流センサの構成要素は、電流センサ100の構成要素と同じ符号を用いる。
比較例の電流センサは、図2に示す場合と同様に、第1バスバ210に電流が流れた場合、第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2の端部から、図2の点線矢印で示すように漏れ磁場が発生する。この端部とは、第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2における、第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2側の端部である。
このように漏れ磁場が発生した場合、検出相側の第2磁気検出素子12は、漏れ磁場の影響を受けることになる。このため、比較例の電流センサ100は、第2磁気検出素子12の検出結果に誤差が生じる可能性がある。
これに対して、電流センサ100は、第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2と、第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2とが薄肉部3を介して繋がっているため、比較例の電流センサよりも、漏れ磁場を低減できる。よって、第2磁気検出素子12は、被検出電流を検出する際に漏れ磁場の影響を受けにくい。このため、電流センサ100は、第2磁気検出素子12の検出結果に誤差が生じることを抑制できる。つまり、電流センサ100は、比較例の電流センサよりも、第2磁気検出素子12の検出精度を向上できる。
また、電流センサ100は、第1磁気シールド21に凹部1が設けられているため、磁束が第1磁気シールド21の外側表面を流れるようにすることができる。つまり、電流センサ100は、第1磁気シールド21に凹部1を設けることで磁気流路をコントロールして、磁束が第1磁気シールド21の外側表面を流れるようにしている。
このため、電流センサ100は、第1磁気シールド21における対向領域側とは反対側、すなわち、第1磁気シールド21における磁気検出素子11,12から遠い側が磁気飽和しやすくなる。つまり、電流センサ100は、第1磁気シールド21における磁気検出素子11,12に近い側が磁気飽和することを抑制できる。よって、電流センサ100は、第1磁気シールド21の磁気飽和による漏れ磁場が、磁気検出素子11,12に影響することを抑制できる。
このように、凹部1は、第1磁気シールド21における磁気流路をコントロールするために設けられている。よって、凹部1は、磁路コントロール部とも称することができる。
本実施形態では、2相のバスバ210,220に対応して、二つの磁気検出素子11,12と、第1磁気シールド21と、第2磁気シールド22とを備えた電流センサ100を採用した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、3相のバスバに対応して、三つの磁気検出素子と、第1磁気シールド21と、第2磁気シールド22とを備えたものであってもよい。この場合、第1磁気シールド21は、三つの磁気検出素子のそれぞれに対向する三つの厚肉部と、隣り合う厚肉部との間に設けられた二つの薄肉部を備えることになる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本発明のその他の形態として、変形例1〜25に関して説明する。上記実施形態及び変形例1〜25は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(変形例1)
図3を用いて、変形例1の電流センサ101に関して説明する。電流センサ101は、第2磁気シールド22Aの構造が電流センサ100と異なる。なお、図3は、図2に相当する断面図である。
電流センサ101は、第1磁気シールド21Aと第2磁気シールド22Aとを備えている。第1磁気シールド21Aは、第1磁気シールド21と同様であるため説明を省略する。
一方、第2磁気シールド22Aは、第1磁気シールド21と同様に、厚肉部2Aと薄肉部3Aとを備えている。また、第2磁気シールド22Aは、第1磁気シールド21と同様に、凹部1Aが形成されている。つまり、第2磁気シールド22Aは、第1バスバ210に対向する厚肉部2Aと、第2バスバ220に対向する厚肉部2Aと、二つの厚肉部2Aを繋いでいる薄肉部3Aとを備えている。厚肉部2Aは、対向ベース部と言える。一方、薄肉部3Aは、対向連結部と言える。
電流センサ101は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。さらに、第2磁気シールド22Aは、第1磁気シールド21と同様の構成を有しているため、上記した第1磁気シールド21の効果と同様の効果を奏することができる。よって、電流センサ101は、電流センサ100よりも、検出精度を向上できる。また、電流センサ101は、第2磁気シールド22Aのシールド機能を維持しやすく、第2磁気シールド22Aの磁気飽和の影響が磁気検出素子11,12に生じることを抑制しやすい。
(変形例2)
図4を用いて、変形例2の電流センサ102に関して説明する。電流センサ102は、第1磁気シールド21Bの構造が電流センサ100と異なる。なお、図4は、図2に相当する断面図である。
電流センサ102は、第1磁気シールド21Bと第2磁気シールド22Bとを備えている。第2磁気シールド22Bは、第2磁気シールド22と同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Bは、二つの厚肉部2と、二つの厚肉部2を繋いでいる薄肉部3Bとを備えている。薄肉部3Bは、連結部に相当する。第1磁気シールド21Bの反対面及び対向面は、一部に窪んだ部位が形成された平坦面となっている。つまり、第1磁気シールド21Bは、凹部1に加えて、反対面側にも外側凹部1Bが設けられている。電流センサ102は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。
(変形例3)
図5を用いて、変形例3の電流センサ103に関して説明する。電流センサ103は、第1磁気シールド21Cの構造が電流センサ100と異なる。なお、図5は、図2に相当する断面図である。
電流センサ103は、第1磁気シールド21Cと第2磁気シールド22Cとを備えている。第2磁気シールド22Cは、第2磁気シールド22と同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Cは、二つの厚肉部2と、二つの厚肉部2を繋いでいる蓋部3Cとを備えている。第1磁気シールド21Cは、二つの厚肉部2が蓋部3Cで連結されて凹部1が形成されている。なお、蓋部3Cは、連結部に相当する。蓋部3Cは、一例として、Z方向の厚みが厚肉部2よりも薄い。蓋部3Cは、二つの厚肉部2の反対面に連結されている。電流センサ103は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。
(変形例4)
図6を用いて、変形例4の電流センサ104に関して説明する。電流センサ104は、第1磁気シールド21Dの構造が電流センサ100と異なる。なお、図6は、図2に相当する断面図である。
電流センサ104は、第1磁気シールド21Dと第2磁気シールド22Dとを備えている。第2磁気シールド22Dは、第2磁気シールド22と同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Dは、二つのベース部2Dと、二つのベース部2Dを繋いでいる突出部3Dとを備えている。ベース部2Dは、上記実施形態の厚肉部2に相当する。突出部3Dは、連結部に相当する。
突出部3Dは、ベース部2Dに対して、反対面側に突出している。言い換えると、突出部3Dは、第1磁気シールド21Dにおける対向領域の反対側に突出して設けられている。突出部3Dは、一例として、一方のベース部2Dとの連結部から、他方のベース部2Dとの連結部までの間に、厚みがベース部2Dよりも薄い部位を含んだものを採用している。突出部3Dの厚みは、Z方向に延びる部位におけるX方向の厚み、X方向に延びる部位におけるZ方向の厚みである。よって、突出部3Dは、薄肉部3と同様の機能を有した部位である。
第1磁気シールド21Dは、突出部3Dに凹部1が形成されている。このため、第1磁気シールド21Dは、第1磁気シールド21よりも凹部1のZ方向の深さを深くできる。このため、凹部1は、第1磁気シールド21の厚みよりも深く形成されている。つまり、第1磁気シールド21Dは、対向面に沿う仮想平面から凹部1の底までのZ方向の長さを、ベース部2DのZ方向の厚みよりも長く設けている。
電流センサ104は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ104は、凹部1が電流センサ100の凹部1よりも深いため、凹部1に部品30を配置しやすくなる。また、電流センサ104は、凹部1に電子部品30を配置する場合、電子部品30用に機械的なシールド機能を設け、電子部品をゲルなどの保護部材で保護する必要がない。よって、電流センサ104は、製造工程数を減らすことができるとともに、コスト低減も期待できる。
(変形例5)
図7を用いて、変形例5の電流センサ105に関して説明する。電流センサ105は、第1磁気シールド21Eの構造が電流センサ100と異なる。なお、図7は、図2に相当する断面図である。
電流センサ105は、第1磁気シールド21Eと第2磁気シールド22Eとを備えている。第2磁気シールド22Eは、第2磁気シールド22と同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Eは、二つの厚肉部2と、二つの厚肉部2を繋いでいる薄肉部3Bとを備えている。そして、第1磁気シールド21Eは、凹部1が形成されている。詳述すると、第1磁気シールド21Eは、側壁が傾斜部1Eである凹部1が形成されている。よって、第1磁気シールド21Eの凹部1は、凹部1の底から開口端部にいくにつれて、開口面積が広くなっている。
なお、第1磁気シールド21Eの凹部1は、プレス加工によって形成する。よって、第1磁気シールド21Eは、プレス機械の金型に傾斜を設けておくことで、傾斜部1Eを形成できる。
電流センサ105は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ105は、凹部1の側壁が傾斜部1Eであるため、プレス加工する際に、金型を凹部1から抜きやすくできる。
(変形例6)
図8を用いて、変形例6の電流センサ106に関して説明する。電流センサ106は、第1磁気シールド21Fの構造が電流センサ105と異なる。なお、図8は、図2に相当する断面図である。
電流センサ106は、第1磁気シールド21Fと第2磁気シールド22Fとを備えている。第2磁気シールド22Fは、第2磁気シールド22Eと同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Fは、二つのベース部2Fと、二つのベース部2Fを繋いでいる突出部3Fとを備えている。ベース部2Fは、上記実施形態の厚肉部2に相当する。突出部3Fは、連結部に相当する。そして、第1磁気シールド21Fは、第1磁気シールド21Eと同様に、側壁が傾斜部1Fである凹部1が形成されている。
このように、第1磁気シールド21Fは、主に、突出部3Fが反対面側に突出している点が第1磁気シールド21Eと異なる。また、第1磁気シールド21Fの凹部1は、変形例5と同様にプレス加工によって形成することができる。
電流センサ106は、電流センサ105と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ106は、突出部3Fが反対面側に突出しているため、プレス加工で容易に製造できる。
(変形例7)
図9を用いて、変形例7の電流センサ107に関して説明する。電流センサ107は、第1磁気シールド21Gの構造が電流センサ100と異なる。なお、図9は、図2に相当する断面図である。
電流センサ107は、第1磁気シールド21Gと第2磁気シールド22Gとを備えている。第2磁気シールド22Fは、第2磁気シールド22Eと同様であるため説明を省略する。
第1磁気シールド21Gは、第1バスバ210の近傍、及び第2バスバ220の近傍に凹部1が形成されている。詳述すると、凹部1は、第1バスバ210の対向する位置、及び第2バスバ220に対向する位置に形成されている。つまり、凹部1は、各磁気検出素子11、12に対向する位置に形成されている。また、第1磁気シールド21Gは、凹部1に放熱ゲル40が設けられている。放熱ゲル40は、放熱部材に相当する。
電流センサ107は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ107は、第1磁気シールド21Gにおけるバスバ210,220の近傍、ここではバスバ210,220に対向する位置に放熱ゲル40が設けられている。このため、電流センサ107は、バスバ210,220で発せられた熱を、放熱ゲル40を介して第1磁気シールド21Gに伝熱しやすくなる。さらに、電流センサ107は、凹部1に放熱ゲル40が設けられているため、凹部1が空間である場合よりも、第1磁気シールド21Gの機械的強度を向上できる。
また、電流センサ107は、第2磁気シールド22Gにおける、バスバ210,220に対向する位置に凹部1を設けて、この凹部1に放熱ゲル40を配置してもよい。この場合、電流センサ107は、放熱性をより一層向上できる。また、電流センサ107は、凹部1に放熱ゲル40を配置することで、第2磁気シールド22Gに凹部が空間である場合より、第2磁気シールド22Gの機械的強度を向上できる。
(変形例8)
図10、図11を用いて、変形例8の電流センサ108に関して説明する。電流センサ108は、第1磁気シールド21Gの構造が電流センサ100と異なる。また、電流センサ108は、4相用のセンサとして構成されている点が電流センサ100と異なる。なお、図10は、図2に相当する断面図である。
電流センサ108は、第1センサブロック108A、第2センサブロック108B、第3センサブロック108C、第4センサブロック108Dを備えている。そして、電流センサ108は、複数のセンサブロック108A〜108Dが組み付けられて構成されている。また、電流センサ108は、複数のセンサブロック108A〜108Dが接続されてモジュール化されていると言える。各センサブロック108A〜108Dは、同一構成をなしている。
ここで、図11を用いて、各センサブロック108A〜108Dの構成に関して説明する。なお、ここでは、代表例として、第1センサブロック108Aを用いて説明する。
第1センサブロック108Aは、磁気検出素子11と、バスバ210と、第1磁気シールド21Hと、第2磁気シールド22Hと、封止樹脂部50とを備えている。なお、第1センサブロック108Aのバスバ210は、1相目の電流が流れる第1バスバ210と言える。また、第1センサブロック108Aの磁気検出素子11は、1相目の電流を検出する第1磁気検出素子11と言える。
第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hのそれぞれは、磁性材料によって構成されている。第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、Z方向に直交する板状部材として構成されている。第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、Z方向において、間隔をあけて対向配置されている。
また、第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、Z方向において、磁気検出素子11とバスバ210を挟みこむように配置される。よって、磁気検出素子11とバスバ210は、第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hとの対向領域に配置されていると言える。なお、第1磁気検出素子11は、バスバ210を間に挟むことなく第1磁気シールド21Hと対向しており、且つ、バスバ210を間に挟んで第2磁気シールド22Hと対向している。
本実施形態では、同一形状の第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hとを採用している。第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、平板形状の板状部材である。第1磁気シールド21Hは、第2磁気シールド22Hとの対向面である第1対向面S2と、第1対向面S2の反対面である第1反対面S1とを有している。一方、第2磁気シールド22Hは、第1磁気シールド21Hとの対向面である第2対向面S4と、第2対向面S4の反対面である第2反対面S3とを有している。
第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、第1反対面S1、第1対向面S2、第2反対面S3、第2対向面S4が平坦面となっている。また、第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、Z方向の厚みが全域で均一である。
第1センサブロック108Aは、第1磁気検出素子11と、第1バスバ210と、第1磁気シールド21Hと、第2磁気シールド22Hとが封止樹脂部50によって一体的に構成されている。第1磁気検出素子11と第1バスバ210は、磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hとの対向領域に配置された状態で、封止樹脂部50で封止されている。なお、第1バスバ210は、Y方向の両端が封止樹脂部50から露出している。また、磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hとは、封止樹脂部50に固定されている。
第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hは、X方向の両端に、封止樹脂部50が形成されていない領域を含んでいる。これは、隣り合うセンサブロックどうしを、第1磁気シールド21H及び第2磁気シールド22Hで接続するためである。
なお、第2センサブロック108Bは、バスバとして2相目の電流が流れる第2バスバ220と、磁気検出素子として2相目の電流を検出する第2磁気検出素子12とを備えている。同様に、第3センサブロック108Cは、バスバとして3相目の電流が流れる第3バスバ230と、磁気検出素子として3相目の電流を検出する第3磁気検出素子13とを備えている。そして、第4センサブロック108Dは、バスバとして4相目の電流が流れる第4バスバ240と、磁気検出素子として4相目の電流を検出する第4磁気検出素子14とを備えている。バスバ230,240は、電流経路に相当する。
本実施形態では、一例として、第1センサブロック108A、第2センサブロック108B、第3センサブロック108C、第4センサブロック108Dの順に並べられている電流センサ108を採用する。また、電流センサ108は、第2センサブロック108Bと第4センサブロック108Dが、第1センサブロック108Aと第3センサブロック108Cに対して、上下反転された状態で組み付けられている。よって、電流センサ108は、隣り合うセンサブロックの第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hが接すように、複数のセンサブロック108A〜108Dが組み付けられている。
つまり、電流センサ108は、第1センサブロック108Aの第1磁気シールド21Hと第2センサブロック108Bの第2磁気シールド22Hとが接し、第1センサブロック108Aの第2磁気シールド22Hと第2センサブロック108Bの第1磁気シールド21Hとが接している。そして、電流センサ108は、第1センサブロック108Aの第2対向面S4と第2センサブロック108Bの第1反対面S1とが接し、第1センサブロック108Aの第1反対面S1と第2センサブロック108Bの第2対向面S4とが接して組み付けられている。これらの接している部位は、第1磁気シールド21Hと第2磁気シールド22Hにおける封止樹脂部50が設けられていない部位である。
また、電流センサ108は、第2センサブロック108Bの第1磁気シールド21Hと第3センサブロック108Cの第2磁気シールド22Hとが接し、第2センサブロック108Bの第2磁気シールド22Hと第3センサブロック108Cの第1磁気シールド21Hとが接している。そして、電流センサ108は、第2センサブロック108Bの第1反対面S1と第3センサブロック108Cの第2対向面S4とが接し、第2センサブロック108Bの第2対向面S4と第3センサブロック108Cの第1反対面S1とが接して組み付けられている。
さらに、電流センサ108は、第3センサブロック108Cの第1磁気シールド21Hと第4センサブロック108Dの第2磁気シールド22Hとが接し、第3センサブロック108Cの第2磁気シールド22Hと第4センサブロック108Dの第1磁気シールド21Hとが接している。そして、電流センサ108は、第3センサブロック108Cの第2対向面S4と第4センサブロック108Dの第1反対面S1とが接し、第3センサブロック108Cの第1反対面S1と第4センサブロック108Dの第2対向面S4とが接して組み付けられている。
電流センサ108は、これらの接している部位どうしが連結されて一体化されている。なお、図10における符号21H1は、上側の磁気シールドにおける連結部である。一方、符号22H1は、下側の磁気シールドにおける連結部である。また、第1センサブロック108Aと第3センサブロック108Cの第2磁気シールド22Hと、第2センサブロック108Bと第4センサブロック108Dの第1磁気シールド21Hとが一体化された磁気シールドは、上側磁気シールドと称することができる。一方、第1センサブロック108Aと第3センサブロック108Cの第1磁気シールド21Hと、第2センサブロック108Bと第4センサブロック108Dの第2磁気シールド22Hとが一体化された磁気シールドは、下側磁気シールドと称することができる。
電流センサ108は、第1センサブロック108Aや第3センサブロック108Cの第2磁気シールド22Hが、第2センサブロック108Bや第4センサブロック108Dの第1磁気シールド21Hに対して窪んで形成されている。同様に、電流センサ108は、第2センサブロック108Bや第4センサブロック108Dの第2磁気シールド22Hが、第1センサブロック108Aや第3センサブロック108Cの第1磁気シールド21Hに対して窪んで形成されている。電流センサ108は、上記のように各センサブロック108A〜108Dが組み付けられることで、他方の磁気シールドとの対向面に、周辺よりも凹んだ凹部1が形成されていると言える。
電流センサ108は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。つまり、電流センサ108は、隣り合うセンサブロック、例えば第1センサブロック108Aと第2センサブロック108Bどうしなどが、第1磁気シールド21H及び第2磁気シールド22Hで接続された構成を有している。このため、電流センサ108は、漏れ磁場を抑制できる。
また、電流センサ108は、凹部1が形成されているため、図10におけるX方向に延びる直線矢印のように、第1磁気シールド21H内及び第2磁気シールド22H内を磁界が生じる。つまり、電流センサ108は、磁束が第1磁気シールド21Hの外側表面を流れるようにすることができる。言い換えると、電流センサ108は、第1磁気シールド21Hにおける各磁気検出素子11〜14から遠い側の表面を流れるように、磁気流路がコントロールできる。このため、電流センサ108は、磁気飽和による漏れ磁場の影響を磁気検出素子11〜14のそれぞれが受けにくい。
さらに、電流センサ108は、各センサブロック108A〜108Dのそれぞれが同一構成を有している。つまり、各センサブロック108A〜108Dは、標準化されている。このように、電流センサ108は、標準化された各センサブロック108A〜108Dを組み付けることで構成されているため、コストを低減できる。なお、電流センサ108は、変形例7と組み合わせて実施することも可能であり、凹部1に放熱ゲル40が埋設されていてもよい。
(変形例9)
図12を用いて、変形例9の電流センサ109に関して説明する。電流センサ109は、磁気抵抗素子の数と凹部1,1Aの位置が電流センサ101と異なる。なお、図12は、図2に相当する断面図である。
電流センサ109は、一つの第1磁気検出素子11と、第1磁気シールド21Iと、第2磁気シールド22Iとを備えている。第1磁気検出素子11は、第1バスバ210と対向する位置であり、且つ、第1磁気シールド21Iと第2磁気シールド22Iとの対向領域に配置されている。詳述すると、第1磁気検出素子11及び第1バスバ210は、第1磁気シールド21Iの中央の厚肉部2と、第2磁気シールド22Iの中央の厚肉部2Aとが対向する位置に配置されている。
第1磁気シールド21Iは、三つの厚肉部2と、二つの薄肉部3とを備えている。よって、第1磁気シールド21Iは、二箇所に凹部1が形成されている。第2磁気シールド22Iは、第1磁気シールド21Iと同様である。電流センサ109は、第1磁気シールド21Iの凹部1と第2磁気シールド22Iの凹部1Aとが対向して配置されている。このように、電流センサ109は、1相用のセンサとして構成されている。
電流センサ109は、第1磁気シールド21Iに凹部1が形成されている。このため、電流センサ109は、外乱磁界が第1磁気シールド21Iの外側表面を流れる。よって、電流センサ109は、電流センサ100と同様に、磁気飽和の影響が第1磁気検出素子11に生じることを抑制できる。また、電流センサ109は、第2磁気シールド22Iにも凹部1Aが形成されているため、磁気飽和の影響が第1磁気検出素子11に生じることをより一層抑制できる。
なお、電流センサ109は、第2磁気シールド22Iのかわりに、第2磁気シールド22や第2磁気シールド22Aなどを採用してもよい。
(変形例10)
図13を用いて、変形例10の電流センサ110に関して説明する。電流センサ110は、第1磁気シールド21Jと第2磁気シールド22Jの構成が電流センサ101と異なる。なお、図13は、図2に相当する断面図である。
第1磁気シールド21Jは、磁性材料によって構成された複数の層が積層されて構成されている。本変形例では、第1表面層21J1と、第1中間層21J2と、第1対向層21J3とが積層された第1磁気シールド21Jを採用する。第1表面層21J1は、一枚の平板部材である。一方、第1中間層21J2や第1対向層21J3は、二枚の平板部材である。
第1磁気シールド21Jの厚肉部2は、第1表面層21J1と第1中間層21J2と第1対向層21J3とが積層されて構成されている。また、第1磁気シールド21Jの厚肉部2は、第2磁気シールド22J側から第1対向層21J3、第1中間層21J2、第1表面層21J1の順番で積層されている。
第1磁気シールド21Jの薄肉部3は、第1対向層21J3及び第1中間層21J2は設けられておらず、第1表面層21J1で構成されている。つまり、第1磁気シールド21Jは、凹部1を構成するために、第1中間層21J2と第1対向層21J3のそれぞれが分断されている。
また、第2磁気シールド22Jは、磁性材料によって構成された複数の層が積層されて構成されている。本変形例では、第2表面層22J1と、第2中間層22J2、第2対向層22J3とが積層された第2磁気シールド22Jを採用する。第2磁気シールド22Jの各層22J1〜22J3は、第1磁気シールド21Jの各層21J1〜21J3と対応している。
電流センサ110は、電流センサ101と同様の効果を奏することができる。なお、電流センサ110は、第2磁気シールド22Jのかわりに、第2磁気シールド22や第2磁気シールド22Aなどを採用してもよい。
さらに、電流センサ110は、第1表面層21J1と、第1中間層21J2及び第1対向層21J3とで透磁率が異なる材料を用いてもよい。同様に、電流センサ110は、第2表面層22J1と、第2中間層22J2及び第2対向層22J3とで透磁率が異なる材料を用いてもよい。
第1表面層21J1と第2表面層22J1は、透磁率μAの材料で構成されている。一方、第1中間層21J2、第1対向層21J3、第2中間層22J2、及び第2対向層22J3は、透磁率μBの材料で構成されている。そして、μAとμBの関係は、μA>μBである。なお、第1表面層21J1と第2表面層22J1は、対向領域の反対側の最外層に相当する。
このように構成された電流センサ110は、磁気抵抗が低い材料で構成された第1表面層21J1と第2表面層22J1に磁束が他の層よりも集まりやすく、他の層が磁気飽和しにくくなる。つまり、電流センサ110は、厚肉部2,2Aが磁気飽和しにくくなる。また、薄肉部3,3Aは、厚肉部2,2Aよりも磁気抵抗が低いため、凹部1,1Aでの漏れ磁場を抑制できる。なお、他の層とは、第1中間層21J2、第1対向層21J3、第2中間層22J2、及び第2対向層22J3である。
さらに、電流センサ110は、第1表面層21J1と、第1中間層21J2及び第1対向層21J3とで飽和磁束密度が異なる材料を用いてもよい。同様に、電流センサ110は、第2表面層22J1と、第2中間層22J2及び第2対向層22J3とで飽和磁束密度が異なる材料を用いてもよい。
第1表面層21J1と第2表面層22J1は、飽和磁束密度BsAの材料で構成されている。一方、第1中間層21J2、第1対向層21J3、第2中間層22J2、及び第2対向層22J3は、飽和磁束密度BsBの材料で構成されている。そして、BsAとBsBの関係は、BsA>BsBである。
このように構成された電流センサ110は、第1表面層21J1と第2表面層22J1が他の層よりも磁気飽和しにくいため、第1バスバ210や第2バスバ220に比較的大電流が流れた場合であっても、凹部1,1Aからの漏れ磁場を抑制できる。
(変形例11)
図14を用いて、変形例11の電流センサ111に関して説明する。電流センサ111は、第2磁気シールド22Kの構成が電流センサ110と異なる。なお、図14は、図2に相当する断面図である。
第1磁気シールド21Kは、第1磁気シールド21Jと同様に、第1表面層21K1、第1中間層21K2、第1対向層21K3が積層されて構成されている。第1磁気シールド21Kの各層21K1〜21K3は、例えば、変形例10で示したものを採用できる。
第2磁気シールド22Kは、第2磁気シールド22Jと同様に、第2表面層22K1、第2中間層22K2、第2対向層22K3が積層されて構成されている。さらに、第2磁気シールド22Kは、各層22K1〜22K3が樹脂性のハウジング22K4にて保持されている。言い換えると、第2磁気シールド22Kは、各層22K1〜22K3がハウジング22K4によって覆われている。
よって、第2表面層22K1と第2対向層22K3は、第2中間層22K2と比べて、ハウジング22K4と接す面積が広い。第2表面層22K1は、対向領域の反対側の最外層に相当する。第2対向層22K3は、対向領域側の最外層に相当する。
なお、第1バスバ210と第2バスバ220は、ハウジング22K4に実装されている。ハウジング22K4は、樹脂部材に相当する。
また、第2磁気シールド22Kは、各構成要素22K1〜22K4の線膨張係数が以下のように設定されている。第2表面層22K1と第2対向層22K3の線膨張係数をαA、第2中間層22K2の線膨張係数をαB、ハウジング22K4の線膨張係数をαCとする。そして、各線膨張係数αA〜αCの関係は|αA−αC|<|αB−αC|である。
電流センサ111は、電流センサ100と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ111は、ハウジング22K4と各層22K1〜22K3との線膨張係数の関係を上記のようにしたことで、ハウジング22K4と第2表面層22K1との界面、ハウジング22K4と第2対向層22K3との界面での剥離を抑制できる。
(変形例12)
図15、図16を用いて、変形例12の電流センサ112に関して説明する。電流センサ112は、第1磁気シールド21Lと第2磁気シールド22Lの構成が電流センサ110と異なる。
第1磁気シールド21Lは、第1磁気シールド21Jと同様に、第1表面層21L1、第1中間層21L2、第1対向層21L3が積層されて構成されている。第1磁気シールド21Lの各層21L1〜21L3は、例えば、変形例10で示したものを採用できる。
しかしながら、第1磁気シールド21Lは、図15に示すように、凹部1がY方向の両端に達していない。つまり、第1磁気シールド21Lは、凹部1として、底部と環状の側壁で囲まれた有底の穴部が形成されている。よって、第1磁気シールド21Lは、凹部1のY方向における両隣に、厚肉部2と同じ厚みの部位3Eが形成されている。この部位3Eは、梁部3Eに相当する。このため、第1磁気シールド21Lは、凹部1の両側に、二つの厚肉部2と連続的に設けられた梁部3Eを有していると言える。
また、第2磁気シールド22Lは、第2磁気シールド22Jと同様に、第1表面層22L1、第1中間層22L2、第1対向層22L3が積層されて構成されている。第2磁気シールド22Lの各層22L1〜22L3は、例えば、変形例10で示したものを採用できる。なお、第2磁気シールド22Lは、第1磁気シールド21Lと同様に、凹部1AがY方向の両端に達しておらず梁部3Eを有している。
電流センサ112は、電流センサ110と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ112は、凹部1、1AがY方向の両端に達していないため、電流センサ110よりも機械的強度を向上できる。
(変形例13)
図17を用いて、変形例13の電流センサ113に関して説明する。電流センサ113は、上相113Aと下相113Bとを備えている点で電流センサ101と異なる。なお、図17は、図2に相当する断面図である。
電流センサ113は、二つのバスバ210,220が配置された上相と、二つのバスバ230,240が配置された下相とが、第1磁気シールド21Aの厚み方向(Z方向)に積層されている。電流センサ113は、上相113A及び下相113Bとして、変形例1で説明した電流センサ101と同様の構成を備えている。つまり、電流センサ113は、二つの電流センサ101が一体的に組み立てられた構成を有している。
このため、電流センサ113は、上相113Aにおけるバスバ210,220のそれぞれに対向して設けられた二つの磁気検出素子11,12と、下相113Bにおけるバスバ230,240のそれぞれに対向して設けられた二つの磁気検出素子13,14とを備えている。また、電流センサ113は、上相113Aにおけるバスバ210,220と磁気検出素子11,12を挟み込む二つの磁気シールド21A,22Aを備えている。さらに、電流センサ113は、下相113Bにおけるバスバ230,240と磁気検出素子13,14を挟み込む二つの磁気シールド21A,22Aを備えている。
電流センサ113は、上相113Aの第2磁気シールド22Aと下相113Bの第1磁気シールド21Aとが対向して配置されている。詳述すると、上相113Aにおける第2磁気シールド22Aの反対面と、下相113Bにおける第1磁気シールド21Aの反対面とは対向して配置されている。このように、電流センサ113は、4相用のセンサとして構成されている。
上相113Aの第2磁気シールド22Aと、下相113Bの第1磁気シールド21Aは、中間磁気シールドと言える。上相113Aにおける第2磁気シールド22Aの厚肉部2Aと、下相113Bにおける第1磁気シールド21Aの厚肉部2は、中間ベース部と言える。また、上相113Aにおける第2磁気シールド22Aの薄肉部3Aと、下相113Bにおける第1磁気シールド21Aの薄肉部3は、中間連結部と言える。
電流センサ113は、電流センサ101と同様の効果を奏することができる。また、電流センサ113は、中間磁気シールドとしての、上相113Aの第2磁気シールド22Aと下相113Bの第1磁気シールド21Aとを備えているため、上相113Aと下相113Bでの磁気干渉を緩和できる。電流センサ113は、例えば、上相113Aに通電相があり、上相113Aに検出相があった場合、上相113Aから下相113Bへの漏れ磁場を低減できる。
なお、本変形例では、これに限定されず、上相113Aに三つ以上のバスバが配置され、下相113Bに三つ以上のバスバが配置されていてもよい。この場合、上相113Aには、各バスバのそれぞれに対向して磁気検出素子が配置される。同様に、下相113Bには、各バスバのそれぞれに対向して磁気検出素子が配置される。
(変形例14)
図18を用いて、変形例14の電流センサ114に関して説明する。電流センサ114は、下相114Bにおける磁気検出素子13,14とバスバ230,240との位置関係が電流センサ113と異なる。なお、図18は、図2に相当する断面図である。
電流センサ114は、上相114Aと下相114Bとを備えている。上相114Aは、上相113Aと同様である。一方、下相114Bは、下相113Bと異なり、磁気検出素子13,14が第2磁気シールド22A側に配置され、バスバ230,240が第1磁気シールド21A側に配置されている。電流センサ114は、電流センサ113と同様の効果を奏することができる。
(変形例15)
図19を用いて、変形例15の電流センサ115に関して説明する。電流センサ115は、中間磁気シールド23が一体物として構成されている点が電流センサ113と異なる。なお、図19は、図2に相当する断面図である。
電流センサ115は、上相115Aと下相115Bとを備えている。中間磁気シールド23は、二つの厚肉部5と、二つの厚肉部5を繋いでいる薄肉部6とを備えている。
中間磁気シールド23は、第1磁気検出素子11及び第3磁気検出素子13と対向する厚肉部5と、第2磁気検出素子12及び第4磁気検出素子14と対向する厚肉部5とを備えている。言い換えると、中間磁気シールド23は、第1磁気検出素子11及び第3磁気検出素子13側の厚肉部5と、第2磁気検出素子12及び第4磁気検出素子14側の厚肉部5とを備えている。中間磁気シールド23は、上相115A側において第1磁気シールド21Aと対向する対向面と、下相115B側において第2磁気シールド22Aと対向する対向面とを有している。厚肉部5は、中間ベース部と言える。薄肉部6は、中間連結部と言える。
また、中間磁気シールド23は、厚肉部5と薄肉部6とを備えることで、上相115A側に開口した凹部4と、下相115B側に開口した凹部4とが形成されている。このように、中間磁気シールド23は、変形例13における上相113Aの第2磁気シールド22Aと、下相113Bの第1磁気シールド21Aとが一体物として構成されているとみなせる。
電流センサ115は、電流センサ113と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ115は、中間磁気シールド23が一体物として構成されているため、電流センサ115のZ方向における体格を小型化できる。つまり、電流センサ115は、上相113Aの第2磁気シールド22Aと、下相113Bの第1磁気シールド21Aとを中間磁気シールドとしている電流センサ113よりも小型化できる。
(変形例16)
図20を用いて、変形例16の電流センサ116に関して説明する。電流センサ116は、下相116Bにおける磁気検出素子13,14とバスバ230,240との位置関係が電流センサ115と異なる。なお、図20は、図2に相当する断面図である。
電流センサ116は、上相116Aと下相116Bとを備えている。上相116Aは、上相115Aと同様である。一方、下相116Bは、下相115Bと異なり、磁気検出素子13,14が第2磁気シールド22A側に配置され、バスバ230,240が中間磁気シールド23側に配置されている。電流センサ116は、電流センサ115と同様の効果を奏することができる。
(変形例17)
図21を用いて、変形例17の電流センサ117に関して説明する。電流センサ117は、中間磁気シールド24の構成が電流センサ115と異なる。なお、図21は、図2に相当する断面図である。
電流センサ117は、上相117Aと下相117Bとを備えている。中間磁気シールド24は、二つのベース部5Aと、二つのベース部5Aを繋いでいる薄肉部6とを備えている。中間磁気シールド23は、第1磁気検出素子11及び第3磁気検出素子13と対向するベース部5Aと、第2磁気検出素子12及び第4磁気検出素子14と対向するベース部5Aとを備えている。言い換えると、中間磁気シールド23は、第1磁気検出素子11及び第3磁気検出素子13側のベース部5Aと、第2磁気検出素子12及び第4磁気検出素子14側のベース部5Aとを備えている。ベース部5Aは、中間ベース部と言える。薄肉部6は、中間連結部と言える。
ベース部5Aは、Y方向に貫通する空間部7が形成されている。つまり、中間磁気シールド23は、上相117A側のバスバ210,220と下相117B側のバスバ230,240との対向領域に、空間部7が設けられていると言える。空間部7は、非磁性部に相当する。また、空間部7は、非磁性材料で満たされていてもよい。
中間磁気シールド24は、上相117A側において第1磁気シールド21Aと対向する対向面と、下相117B側において第2磁気シールド22Aと対向する対向面とを有している。ベース部5Aにおける対向面の間隔は、薄肉部6におけるZ方向の厚みよりも長い。
電流センサ117は、電流センサ115と同様の効果を奏することができる。さらに、電流センサ117は、中間磁気シールド24に空間部7が形成されているため、中間磁気シールド24における磁気流路をコントロールできる。
(変形例18)
図22を用いて、変形例18の電流センサ118に関して説明する。電流センサ118は、下相118Bにおける磁気検出素子13,14とバスバ230,240との位置関係が電流センサ117と異なる。なお、図22は、図2に相当する断面図である。
電流センサ118は、上相118Aと下相118Bとを備えている。上相118Aは、上相117Aと同様である。一方、下相118Bは、下相117Bと異なり、磁気検出素子13,14が第2磁気シールド22A側に配置され、バスバ230,240が中間磁気シールド24側に配置されている。電流センサ118は、電流センサ117と同様の効果を奏することができる。
(変形例19)
図23〜図26を用いて、変形例19の電流センサ119に関して説明する。電流センサ119は、三つの磁気検出素子11〜13を備えている点、及び第1磁気シールド21Mの形状が電流センサ101と異なる。また、電流センサ119は、変形例13などと異なり、上相と下相とが積層された構成を有していない。言い換えると、電流センサ119は、単相構造の電流センサである。なお、後程説明する変形例20以降の電流センサに関しても、単相構造の電流センサである。
本変形例では、一例として、直流電力を三相交流電力に変換するインバータと、インバータからの三相交流電力によって駆動されるモータジェネレータとともに車両に搭載される電流センサ119を採用する。電流センサ119は、インバータとモータジェネレータとの間に流れる電流を検出する。詳述すると、電流センサ119は、インバータとモータジェネレータを電気的に接続している三つのバスバ210〜230のそれぞれに流れる電流を個別に検出する。
また、後程説明するが、電流センサ119は、三つの相P1〜P3を備えている。この各相P1〜P3のそれぞれは、インバータとモータジェネレータとの間における各相に対応して設けられている。そして、各相P1〜P3のそれぞれは、一つの磁気検出素子と、第1磁気シールド21Mの一部と、第2磁気シールド22Mの一部とを含んでいる。なお、ここでは、第1磁気検出素子11を第1相P1の磁気検出素子、第2磁気検出素子12を第2相P2の磁気検出素子、第3磁気検出素子13を第3相P3の磁気検出素子とする。
また、電流センサ119は、第2磁気シールド22M、磁気検出素子11〜13、第1磁気シールド21Mが、この順番でZ方向に積層されている。よって、Z方向は、積層方向とも言える。
まず、三つのバスバ210〜230に関して説明する。三つのバスバ210〜230は、例えば、板状の導電性部材が屈曲した形状をなしている。また、三つのバスバ210〜230は、第1バスバ210が第1相P1のバスバ、第2バスバ220が第2相P2のバスバ、第3バスバ230が第3相P3のバスバと言える。本変形例では、図23に示すように、形状が異なる三つのバスバ210〜230を採用している。これは、モータジェネレータの端子の間隔と、インバータの端子の間隔が異なるためである。
第1バスバ210は、モータジェネレータ側の端部である第1端部211と、インバータ側の端部である第2端部212と、両端部の間に被対向部213、屈曲部214、第1延長部215、第2延長部216を含んでいる。被対向部213は、第1磁気シールド21Mと第2磁気シールド22Mとの対向領域に配置された部位である。また、被対向部213は、第1磁気検出素子11と対向する部位である。よって、第1磁気検出素子11は、被対向部213と第1磁気シールド21Mとの対向領域に設けられている。
屈曲部214は、被対向部213からZ方向に屈曲した部位である。第1延長部215と第2延長部216は、屈曲部214と第2端部212とを繋ぐための部位である。図23に示すように、第1バスバ210は、第1延長部215と第2延長部216を含んでいるため、第2相P2におけるY方向側の領域に達するように設けられている。
第2バスバ220は、モータジェネレータ側の端部である第1端部221と、インバータ側の端部である第2端部222と、両端部の間に被対向部223、屈曲部224、延長部225を含んでいる。また、被対向部223は、第2磁気検出素子12と対向する部位である。よって、第2磁気検出素子12は、被対向部223と第1磁気シールド21Mとの対向領域に設けられている。
第2バスバ220は、延長部225の構成(長さ)が第1バスバ210と異なる。図23に示すように、第2バスバ220は、延長部225を含んでいるため、第3相P3におけるY方向側の領域に達するように設けられている。
第3バスバ230は、モータジェネレータ側の端部である第1端部231と、インバータ側の端部である第2端部232と、両端部の間に被対向部233、屈曲部234を含んでいる。このように、第3バスバ230は、延長部を介さずに屈曲部234と第2端部232が繋がっている点が第1バスバ210、第2バスバ220と異なる。また、被対向部233は、第3磁気検出素子13と対向する部位である。よって、第3磁気検出素子13は、被対向部233と第1磁気シールド21Mとの対向領域に設けられている。
なお、本変形例で採用したバスバ210〜230は一例である。バスバ210〜230はこれに限定されない。
次に、第1磁気シールド21Mと第2磁気シールド22Mに関して説明する。第1磁気シールド21Mは、第1磁気シールド21Mの厚肉部2を三つに増やした構成と同様である。一方、第2磁気シールド22Mは、第2磁気シールド22Aの厚肉部2Aを三つに増やした構成と同様である。
第1磁気シールド21Mは、図24に示すように、三つの厚肉部2がX方向に配置され、且つ、三つの厚肉部2のそれぞれが、各磁気検出素子11〜13のそれぞれに対向配置されている。第1磁気シールド21Mは、薄肉部3と、各厚肉部2における薄肉部3と連なって設けられた端層部とを含む表層部21M1と、各厚肉部2における端層部から突出した突出部21M2とを有し、突出部21M2間に凹部1が形成されている。つまり、表層部21M1は、厚肉部2の一部と、薄肉部3とを含んでいると言える。本変形例では、三つの相P1〜P3のそれぞれに含まれる三つの突出部21M2と、二つの薄肉部3を含む第1磁気シールド21Mを採用している。
なお、端層部は、表層部21M1における薄肉部3を除く部位であり、厚肉部2における突出部21M2に対向する部位である。また、端層部は、薄肉部3に対してX方向に延びる部位とも言える。
ここでは、一例として、表層部21M1と突出部21M2とが積層されて一体化された構造の第1磁気シールド21Mを採用している。また、表層部21M1と突出部21M2のそれぞれは、磁性材料によって構成された複数の層が積層されて構成されていてもよい。しかしながら、第1磁気シールド21Mは、これに限定されず、型を用いて表層部21M1と突出部21M2とが一体的に形成されてもよいし、切削などによって表層部21M1と突出部21M2とが一体的に形成されてもよい。
同様に、第2磁気シールド22Mは、薄肉部3Aと、各厚肉部2Aにおける薄肉部3Aと連なって設けられた端層部とを含む表層部22M1と、各厚肉部2Aにおける端層部から突出した突出部22M2とを有し、突出部22M2間に凹部1が形成されている。第2磁気シールド22Mは、表層部22M1の厚みが、第1磁気シールド21Mの表層部21M1と異なり、その他の点は同様である。
また、第1磁気シールド21Mの突出部21M2は、第2磁気シールド22Mの突出部22M2と対向配置されている。つまり、電流センサ119は、第1相P1の突出部21M2と突出部22M2とが対向配置され、第2相P2の突出部21M2と突出部22M2とが対向配置され、第3相P3の突出部21M2と突出部22M2とが対向配置されている。そして、各磁気検出素子11〜13は、対向配置された突出部21M2,22M2の対向領域に個別に配置されている。
両磁気シールド21M、22Mにおいて、第1磁気検出素子11に対向配置された厚肉部2,2Aは、第1相P1の厚肉部2,2Aと言える。よって、この厚肉部2,2Aにおける突出部21M2,22M2は、第1相P1の突出部21M2,22M2と言える。さらに、この突出部21M2,22M2の対向する部位である端層部は、第1相P1の端層部と言える。第2磁気検出素子12に対向配置された厚肉部2,2A、及び第3磁気検出素子13に対向配置された厚肉部2,2Aに関しても同様である。また、両磁気シールド21M、22Mは、第1相P1の厚肉部2,2Aと第2相P2の厚肉部2,2Aとを繋いでいる薄肉部3,3Aと、第2相P2の厚肉部2,2Aと第3相P3の厚肉部2,2Aとを繋いでいる薄肉部3,3Aとを含んでいると言える。
このため、第1相P1は、第1磁気検出素子11、第1磁気シールド21Mにおける第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2、第2磁気シールド22Mにおける第1磁気検出素子11に対向する厚肉部2Aを含んでいると言える。つまり、第1相P1は、第1バスバ210に対向配置され、第1バスバ210から発生する磁界を検知して電気信号に変換する第1磁気検出素子11を含んでいる。
同様に、第2相P2は、第2磁気検出素子12、第1磁気シールド21Mにおける第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2、第2磁気シールド22Mにおける第2磁気検出素子12に対向する厚肉部2Aを含んでいる。つまり、第2相P2は、第2バスバ220に対向配置され、第2バスバ220から発生する磁界を検知して電気信号に変換する第2磁気検出素子12を含んでいる。
また、第3相P3は、第3磁気検出素子13、第1磁気シールド21Mにおける第3磁気検出素子13に対向する厚肉部2、第2磁気シールド22Mにおける第3磁気検出素子13に対向する厚肉部2Aを含んでいる。つまり、第3相P3は、第3バスバ230に対向配置され、第3バスバ230から発生する磁界を検知して電気信号に変換する第3磁気検出素子13を含んでいる。
なお、電流センサ119は、例えば、各相P1〜P3が回路基板やハウジングを介して一体的に組み付けられて構成されている。この回路基板は、各磁気検出素子11〜13と電気的に接続され、各磁気検出素子11〜13からのセンサ信号が入力される。さらに、電流センサ119は、各相P1〜P3に加えて、バスバ210〜230が回路基板やハウジングを介して一体的に組み付けられて構成されていてもよい。このように、バスバ210〜230などが一体的に組み付けられた構造体は、端子台と称することもできる。なお、各相P1〜P3のそれぞれは、対応するバスバ210、220、230を含んでいるとみなすこともできる。
このように構成された三つの相P1〜P3は、図23、図24に示すように、X方向に並べて配置され、各厚肉部2,2Aが薄肉部3,3Aを介して繋がっている。また、各相P1〜P3は、被対向部213,223,233において電流が流れる方向(Y方向)が平行となるように配置されていると言える。なお、以下においては、隣り合う相を隣相とも記載する。三つの相P1〜P3が配置されている方向は、配置方向とも言える。
本実施形態では、X方向において、第1相P1、第2相P2、第3相P3の順番で配置されている例を採用する。よって、第2相P2は、第1相P1と第3相P3で挟まれた中間相と言える。また、第2相P2は、第1相P1と隣相であり、且つ、第3相P3と隣相である。つまり、第1相P1と第3相P3とは、隣り合っていない。
このため、各磁気検出素子11〜13は、X方向に並べて配置されている。また、第1磁気シールド20は、厚肉部2がX方向に並べて配置されている。同様に、第2磁気シールド22Mは、厚肉部2AがX方向に並べて配置されている。なお、各相P1〜P3に対応する被対向部213,223,233に関してもX方向に並べて配置されている。
このように構成された電流センサ119は、ある相の検出対象であるバスバに例えば1200Aなどの比較的大電流が流れ、この相の隣相で検出対象のバスバに流れている被検出電流を検出する状況となりうる。なお、比較的大電流が流れるバスバは、ノイズの発生源となりうる。このため、このバスバを検出対象としている相は、ノイズ相と言うことができる。一方、被検出電流を検出する相は、検出相と言うことができる。本変形例では、図24に示すように、第3相P3がノイズ相、第2相P2が検出相である状況を一例として採用する。
ノイズ相の第3バスバ230から発生する磁場は、アンペアの右ねじの法則により、同心円状に発生する。この磁場は、第1磁気シールド21M及び第2磁気シールド22M内部に集中する。そして、第1磁気シールド21M及び第2磁気シールド22Mには、図24に示すように、実線矢印で示す方向に磁束が流れる、言い換えると磁力線が走る。
特に、電流センサ119は、上記の実施形態や変形例で説明したように、両磁気シールド21M,22Mに凹部1を設けることで磁気流路をコントロールして、磁力線が両磁気シールド21M,22Mの外側表面を走るようにしている。このため、電流センサ119は、両表層部21M1,22M1を磁力線が走る。なお、第1磁気シールド21Mにおける磁力線と第2磁気シールド22Mにおける磁力線とは、逆ベクトルとなる。
このため、電流センサ119は、上記比較例の電流センサよりも、漏れ磁場を低減できる。しかしながら、電流センサ119は、図24に示すように、両表層部21M1,22M1のサイズや、両表層部21M1,22M1に流れる磁束などによって凹部1から漏れ磁場が発生することもある。本実施形態では、図24に示すように、両磁気シールド21M,22Mの凹部1から、一点鎖線LM1やLM2で代表されるような漏れ磁場が発生する例を採用している。
この漏れ磁場LM1,LM2は、第2相P2の第2磁気検出素子12に向かい、第2磁気検出素子12を透過すると、第2磁気検出素子12による磁電変換結果に影響を及ぼす可能性がある。つまり、電流センサ119は、凹部1,1Aから形成された磁場が第2磁気検出素子12に達する場合、第2磁気検出素子12による磁電変換結果に影響を及ぼす可能性がある。なお、第2磁気検出素子12は、二つの磁気検出素子11,13で挟まれた磁気検出素子に相当する。
この漏れ磁場LM1、LM2のベクトルは、第2磁気検出素子12の位置では逆ベクトルとなる。そこで、電流センサ119は、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とで打ち消し合い、両漏れ磁場LM1,LM2が中間相における第2磁気検出素子12に到達しないように、第1磁気シールド21Mと第2磁気シールド22Mの少なくとも一方の形状が調整されている。つまり、電流センサ119は、第2磁気検出素子12の位置で、両漏れ磁場LM1,LM2が打ち消されるように、第1磁気シールド21Mと第2磁気シールド22Mの少なくとも一方の形状が調整されていると言える。このため、両磁気シールド21M,22Mは、両漏れ磁場LM1,LM2が第2磁気検出素子12に到達しないように、両漏れ磁場LM1,LM2で打ち消し合うように調整された形状を有しているとも言える。
本変形例では、形状として、磁気シールド21M,22Mの全体の厚みに対する表層部21M1,22M1の厚みが調整されている例を採用している。全体の厚みとは、例えば、第1磁気シールド21Mの場合、表層部21M1の厚みと、突出部21M2の厚みを足した厚みである。なお、ここでの厚みは、積層方向における長さである。
また、本変形例では、第1磁気シールド21Mの全体の厚みt1と第2磁気シールド22Mの全体の厚みt1が同じである。そして、本変形例では、図25、図26に示すように、第1磁気シールド21Mの表層部21M1の厚みt3が、第2磁気シールド22Mの表層部22M1の厚みt2よりも厚くなるように調整されている例を採用している。なお、図25は、図24における第1磁気シールド21Mの一部を拡大した図面である。
したがって、第1磁気シールド21Mは、突出部21M2の厚み(t1−t3)が、第2磁気シールド22Mの突出部22M2の厚み(t1−t2)よりも薄くなっている。なお、図26は、第1磁気シールド21Mの表層部21M1を、第2磁気シールド22Mの表層部22M1と同じ厚みとした場合の断面図である。よって、第2磁気シールド22Mは、図26に示す第1磁気シールド21Mと同様の形状及びサイズとみなすことができる。
しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明は、漏れ磁場LM1,LM2の状態に応じて、第1磁気シールド21Mの全体の厚みに対する表層部21M1の厚みと、第2磁気シールド22Mの全体の厚みに対する表層部22M1の厚みの少なくとも一方が調整されていればよい。
表層部21M1,22M1のそれぞれは、厚みが厚くなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、厚みが薄くなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。つまり、電流センサ119は、表層部21M1,22M1の少なくとも一方の厚みを調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように構成されている。よって、本実施形態では、第1磁気シールド21Mの凹部1からの漏れ磁場LM1の量を減少させて、両漏れ磁場LM1,LM2が第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように構成されている。
なお、電流センサ119は、表層部21M1の厚みと表層部22M1の厚みの少なくとも一方を調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2が第2磁気検出素子12へ影響することを抑制されていると言える。さらに、電流センサ119は、第2磁気検出素子12の位置で、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2が互いに弱められるように構成されていると言える。
ところで、第1磁気シールド21Mの全体の厚みに対する表層部21M1の厚みは、表層部21M1を構成している磁性材料の層の積層数と、突出部21M2を構成している磁性材料の層の積層数とによって調整できる。第2磁気シールド22Mの全体の厚みに対する表層部22M1の厚みを調整する場合も同様である。
また、表層部21M1の厚みや表層部22M1の厚みは、シミュレーションや実験などによって、両漏れ磁場LM1,LM2が第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるような値に設定することができる。
以上のように、電流センサ119は、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、表層部21M1,22M1の少なくとも一方の厚みが調整されている。このため、電流センサ119は、両磁気シールド21M,22Mの凹部1から第2磁気検出素子12に向かって漏れ磁場LM1,LM2が発生した場合であっても、この漏れ磁場LM1,LM2を第2磁気検出素子12がセンシングすることを抑制できる。したがって、電流センサ119は、高精度に電流を検出できる。当然ながら、電流センサ119は、電流センサ100,101と同様の効果を奏することができる。
さらに、検出相の磁気検出素子は、ノイズ相のバスバから発せられる磁場をセンシングしてしまった場合でも磁電変換結果に影響がでる可能性がある。例えば、第1相P1をノイズ相、第2相P2を検出相とした場合、第2磁気検出素子12は、第1バスバ210の延長部215や第2延長部216などから発せられる磁場の影響を受ける可能性がある。そこで、電流センサ119は、漏れ磁場LM1,LM2だけではなく、第1バスバ210から発せられる磁場が第2磁気検出素子12に到達しないように第1表層部21M1,22M1の厚みが設定されていると好ましい。
なお、変形例19は、変形例10〜12のそれぞれと組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、電流センサ119と同様の効果を奏することができる。また、電流センサ119は、二つの磁気シールド21M,22Mが、変形例2の第1磁気シールド21Bや変形例3の第1磁気シールド21Cと同様の形状でも採用できる。電流センサ119は、第1磁気シールド21Bを採用した場合、薄肉部3Bの厚みが調整された構成となる。一方、電流センサ119は、変形例3の第1磁気シールド21Cを採用した場合、蓋部3Cの厚みが調整された構成となる。これらの点は、以下の変形例でも同様である。
(変形例20)
図27を用いて、変形例20の電流センサに関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。また、図27では、一例として、第1磁気シールド21Mのみを図示している。図27は、図25に相当する断面図である。
変形例20の電流センサは、突出部間の間隔g1が調整されている点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサは、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、例えば第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方における間隔g1が調整されている。言い換えると、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方は、形状として、凹部1を介して隣り合う突出部間の間隔g1が調整されている。
この間隔g1は、例えば、第1磁気シールド21Mにおける第1相P1の突出部21M2と、第2相P2の突出部21M2とのX方向における距離である。なお、ここでの間隔g1は、X方向における凹部1の幅とも言える。
各磁気シールド21M,22Mは、間隔g1が狭くなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、間隔g1が広くなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。よって、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方の間隔g1を調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが検出相の磁気検出素子の位置で打ち消されるように構成されている。例えば、電流センサは、第1磁気シールド21Mにおける間隔g1が、第2磁気シールド22Mにおける間隔g1よりも狭くなるように構成されている。
変形例20は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例20で開示した技術と、変形例19で開示した技術とを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例20と同様の効果を奏することができる。
(変形例21)
図28を用いて、変形例21の電流センサに関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。また、図28では、一例として、第1磁気シールド21Mのみを図示している。この図28は、図25に相当する断面図である。
変形例21の電流センサは、薄肉部3,3Aの長さt12が調整されている点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサは、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、例えば第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方における薄肉部3,3Aの長さt12が調整されている。言い換えると、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方は、形状として、対向部位における薄肉部3,3Aの長さt12が調整されている。
なお、この長さt12は、Y方向における薄肉部3の長さである。また、長さt12は、積層方向及び配置方向に直交する方向における薄肉部3の長さとも言える。後程説明する厚肉部2の長さt11は、t12と同様に、Y方向における長さである。
第1磁気シールド21Mは、図28に示すように、薄肉部3を介して隣り合う厚肉部2どうしが、互いの対向部位の一部のみが薄肉部3を介して繋がれている。例えば、第1相P1の厚肉部2と、第2相P2の厚肉部2とは、互いの対向部位における、Z方向及びY方向の一部のみが薄肉部3を介して繋がれている。このため、厚肉部2の長さt11は、薄肉部3の長さt12よりも長い。よって、第1磁気シールド21Mは、XY平面において、隣り合う厚肉部2間に凹みが形成されている。
なお、第2磁気シールド22Mは、第1磁気シールド21Mと同様に、薄肉部3Aを介して隣り合う厚肉部2Aどうしが、互いの対向部位の一部のみが薄肉部3Aを介して繋がれている。しかしながら、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方が、上記のように一部のみが繋がれた構成であればよい。よって、例えば、二つの磁気シールド21M,22Mの一方は、変形例19で採用したように、Y方向における全体が繋がれた構成であってもよい。
各磁気シールド21M,22Mは、長さt12が長くなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、長さt12が短くなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。よって、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方の長さt12を調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが検出相の磁気検出素子の位置で打ち消されるように構成されている。例えば、電流センサは、第1磁気シールド21Mにおける長さt12が、第2磁気シールド22Mにおける長さt12よりも短くなるように構成されている。
変形例21は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例21で開示した技術と、変形例19,20で開示した技術とを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例21と同様の効果を奏することができる。
(変形例22)
図29を用いて、変形例22の電流センサに関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。また、図29では、一例として、第1磁気シールド21Mのみを図示している。この図29は、図25に相当する断面図である。
変形例22の電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方に、変形例4の第1磁気シールド21Dと同様の形状を採用している。変形例22の電流センサは、凹部1,1Aの深さt4が調整されている点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサは、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、例えば第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方における凹部1,1Aの深さt4が調整されている。言い換えると、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方は、形状として、凹部1,1Aの深さt4が調整されている。なお、この深さt4は、Z方向における長さである。
なお、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方が、図29に示す構成であればよい。よって、例えば、二つの磁気シールド21M,22Mの一方は、変形例19で採用した構成であってもよい。
各磁気シールド21M,22Mは、深さt4が深くなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、深さt4が浅くなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。よって、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方の深さt4を調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが検出相の磁気検出素子の位置で打ち消されるように構成されている。例えば、電流センサは、第1磁気シールド21Mにおける深さt4が、第2磁気シールド22Mにおける深さt4よりも短くなるように構成されている。
変形例22は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例22で開示した技術と、変形例19〜21で開示した技術のそれぞれとを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例22と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例22は、変形例4と同様の効果を奏することができる。
(変形例23)
図30を用いて、変形例23の電流センサに関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。また、図30では、一例として、第1磁気シールド21Mのみを図示している。この図30は、図25に相当する断面図である。
変形例23の電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方に、変形例5の第1磁気シールド21Eと同様の形状を採用している。変形例23の電流センサは、第1磁気シールド21Eの傾斜部1Eに相当する傾斜部1Mの傾斜角θが調整されている点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサは、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、例えば第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方における傾斜角θが調整されている。言い換えると、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方は、形状として、傾斜角θが調整されている。なお、この傾斜角θは、XZ平面における凹部1の底面と側面(傾斜部1M)のなす角度に相当する。
なお、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方が、図30に示す構成であればよい。よって、例えば、二つの磁気シールド21M,22Mの一方は、変形例19で採用した構成であってもよい。
各磁気シールド21M,22Mは、傾斜角θが小さくなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、傾斜角θが大きくなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。よって、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方の傾斜角θを調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが検出相の磁気検出素子の位置で打ち消されるように構成されている。例えば、電流センサは、第1磁気シールド21Mにおける傾斜角θが、第2磁気シールド22Mにおける傾斜角θよりも小さくなるように構成されている。
変形例23は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例23で開示した技術と、変形例19〜22で開示した技術のそれぞれとを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例23と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例23は、変形例5と同様の効果を奏することができる。
また、変形例23の電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方に、変形例6の第1磁気シールド21Fと同様の形状を採用することもできる。この場合であっても同様の効果を奏することができる。さらに、この場合、電流センサは、傾斜角θに加えて、凹部1の深さによっても漏れ磁場の量を調整できる。
(変形例24)
図31を用いて、変形例24の電流センサに関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。また、図31では、一例として、第1磁気シールド21Mのみを図示している。この図31は、図25に相当する断面図である。
変形例24の電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方に、突起8が形成された形状を採用している。例えば、第1磁気シールド21Mは、図31に示すように、厚肉部2における凹部1に沿う位置に突起8が形成されている。変形例24の電流センサは、突起8の長さが調整されている点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサは、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが、例えば第2磁気検出素子12の位置で打ち消されるように、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方における突起8の長さが調整されている。言い換えると、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方は、形状として、突起8の長さが調整されている。なお、この長さは、Z方向における長さである。
なお、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方が、図31に示す構成であればよい。よって、例えば、二つの磁気シールド21M,22Mの一方は、変形例19で採用した構成であってもよい。
各磁気シールド21M,22Mは、突起8の長さが長くなるにしたがって漏れ磁場の量が減少し、突起8の長さが短くなるにしたがって漏れ磁場の量が増加する。よって、電流センサは、二つの磁気シールド21M,22Mの少なくとも一方の突起8の長さを調整することで漏れ磁場の量をコントロールして、漏れ磁場LM1と漏れ磁場LM2とが検出相の磁気検出素子の位置で打ち消されるように構成されている。例えば、電流センサは、第1磁気シールド21Mにおける突起8の長さが、第2磁気シールド22Mにおける突起8の長さよりも短くなるように構成されている。
変形例24は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例24で開示した技術と、変形例19〜23で開示した技術のそれぞれとを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例24と同様の効果を奏することができる。なお、変形例24は、凹部1に沿う二つの突起8の少なくとも一方の長さを調整することで、漏れ磁場の量を調整することができる。
(変形例25)
図32〜図34を用いて、変形例25の電流センサ120に関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、一部の符号に変形例19と同じ符号を採用する。電流センサ120は、相数と、二つの磁気シールド21N,22Nの構成が電流センサ119と異なる。また、電流センサ120は、変形例19〜21の技術を組み合わせた構成の一例とみなすことができる。
図32、図33、図34に示すように、電流センサ120は、第1相P1〜第3相P3に加えて、第4バスバ240に対応する第4相P4を有している。なお、第4相P3は、その他の相P1〜P3と同様に、第4磁気検出素子14、厚肉部2,2Aを含んでいる。また、第4磁気検出素子14は、第4バスバ240に対向配置されており、その他の磁気検出素子11〜13と同様の構成である。
第1磁気シールド21Nは、表層部21N1と突出部21N2とを含んでいる。第1磁気シールド21Nは、変形例19のように、表層部21N1の厚みが調整されている。つまり、第1磁気シールド21Nは、図33に示すように、第1相P1と第2相P2の表層部21N1の厚みが同じで、第3相P3と第4相P4の表層部21N1の厚みが同じで、且つ、第1相P1と第3相P3の表層部21N1の厚みが異なるように調整されている。
また、第1磁気シールド21Nは、変形例20のように、間隔が調整されている。つまり、第1磁気シールド21Nは、図32、図33に示すように、第1相P1と第2相P2との間隔g4、第2相P2と第3相P3との間隔g5、第3相P3と第4相P4との間隔g6が異なるように調整されている。なお、これらの間隔は、g5<g4<g6となっている。
さらに、第1磁気シールド21Nは、変形例21のように、薄肉部3の長さが調整されている。つまり、第1磁気シールド21Nは、図32に示すように、第3相P3と第4相P4の間の薄肉部3の長さが、他の薄肉部3の長さよりも短く調整されている。
一方、第2磁気シールド22Nは、表層部22N1と突出部22N2とを含んでいる。第2磁気シールド22Nは、変形例19のように、表層部22N1の厚みが調整されている。つまり、第2磁気シールド22Nは、図33に示すように、第2相P2と第3相P3の表層部22N1の厚みが同じで、第1相P1と第4相P4の表層部22N1の厚みが同じで、且つ、第1相P1と第2相P2の表層部22N1の厚みが異なるように調整されている。
また、第2磁気シールド22Nは、変形例20のように、間隔が調整されている。つまり、第2磁気シールド22Nは、図33、図34に示すように、第1相P1と第2相P2との間隔g7、第2相P2と第3相P3との間隔g8、第3相P3と第4相P4との間隔g9が異なるように調整されている。なお、これらの間隔は、g8<g7=g9となっている。
そして、第2磁気シールド22Nは、変形例21のように、薄肉部3の長さが調整されている。つまり、第2磁気シールド22Nは、図34に示すように、第1相P1と第2相P2の間の薄肉部3の長さが、他の薄肉部3の長さよりも短く調整されている。
このように構成された電流センサ120は、凹部1,1Aからの漏れ磁場LM1,LM2が検出相の磁気検出素子に到達しないように、形状が調整されている。よって、変形例25は、変形例19と同様の効果を奏することができる。
(変形例26)
図35を用いて、変形例26の電流センサ121に関して説明する。なお、本変形例では、便宜的に、変形例19と同じ符号を採用する。図35は、図24に相当する断面図である。ただし、図35は、図面を簡略化するために、第1バスバ210、第2バスバ220に関しては被対向部213,223のみを図示している。
電流センサ121は、相数が2である点が電流センサ119と異なる。つまり、電流センサ121は、第1相P1と第2相P2を有しているが、第3相P3を有していない。
このような電流センサ121であっても、一方の相がノイズ相で他方の相が検出相となることがある。本変形例では、図35に示すように、第2相P2がノイズ相、第1相P1が検出相である状況を一例として採用する。この場合、電流センサ121は、凹部1,1Aから形成された磁場が第1磁気検出素子11に達する場合、第1磁気検出素子11による磁電変換結果に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、電流センサ121は、変形例19と同様に、形状として、磁気シールド21M,22Mの全体の厚みに対する表層部21M1,22M1の厚みの少なくとも一方が調整されている。このため、両磁気シールド21M,22Mは、両漏れ磁場LM1,LM2が第1磁気検出素子11に到達しないように、両漏れ磁場LM1,LM2で打ち消し合うように調整された形状を有しているとも言える。
変形例26は、変形例19と同様の効果を奏することができる。また、本発明は、変形例26で開示した技術と、変形例19〜25で開示した技術のそれぞれとを組み合わせて実施することもできる。この場合であっても、変形例26と同様の効果を奏することができる。また、変形例26の電流センサ121は、第1相P1と第2相P2が三相以上のうちの二相であっても同様の効果を奏することができる。