JP2004354633A - 可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】可動式ピンアレイ1は、複数のピン2と、前記各ピン2を可動自在に支持するガイド部5とを有し、前記ガイド部5を複数のパイプ6を束ねて構成し、前記各パイプ6によってそれぞれ前記各ピン2を可動自在に支持したことを特徴とする。前記各ピン2は、それぞれ、前記パイプ6内に可動自在に挿着されるピン本体3と、前記パイプ6の両端から突出する前記ピン本体3の両端部にそれぞれ設けられ、前記パイプ6の孔部よりも大きい頭部4とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】可動式ピンアレイ1は、複数のピン2と、前記各ピン2を可動自在に支持するガイド部5とを有し、前記ガイド部5を複数のパイプ6を束ねて構成し、前記各パイプ6によってそれぞれ前記各ピン2を可動自在に支持したことを特徴とする。前記各ピン2は、それぞれ、前記パイプ6内に可動自在に挿着されるピン本体3と、前記パイプ6の両端から突出する前記ピン本体3の両端部にそれぞれ設けられ、前記パイプ6の孔部よりも大きい頭部4とを有する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイに用いられる可動式ピンアレイの一例として、所定の間隔ごとに互いに平行をなすように設けられる複数のピンと、これらの複数のピンを駆動させる駆動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、複数のピンは、表板に設けた貫通孔内に挿着されることにより上下方向に可動自在に支持され、各ピンは上下方向に移動することにより先端が表板の表面から出没するようになっている。
また、駆動機構は、表板の下方に設けられる上プレートと下プレートとの間で保持されるステッピングモータ、ステッピングモータのシャフトの回転運動を直線運動に変換する直線移動機構等から構成されている。
【0004】
直線移動機構は、ステッピングモータのシャフトの先端部に螺設される雄ネジと、雄ネジと相互に螺合するピンの内面に螺設される雌ネジと、ピンを上下方向に移動可能に支持する表板の下面側に設けられる案内棒とから構成されている。そして、ステッピングモータを駆動させてシャフトを回転させることにより、シャフトの雄ネジのピンの雌ネジに対する相対的な螺合位置が変化してピンが上方または下方に移動し、ピンの先端が表板の表面から出没する。このようにして、複数のピンの先端により、触角情報として所定の凹凸パターンが提示され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0005】
しかしながら、上記のような構成の従来の可動式ピンアレイにあっては、表板に設けた貫通孔内にピンを挿着することによりピンを上下方向に可動自在に支持し、ピンの内面に螺設した雌ネジとステッピングモータのシャフトに螺設した雄ネジとを相互に螺合させることにより、ステッピングモータの回転運動を直線運動に変換してピンを上下方向に可動させ、ピンがシャフトに対して回転するのを防止するために表板の下面側に案内棒を設けているため、各ピンを支持する部分の構造が複雑になってしまい、加工、組立てに手間がかかり、製造コストが高くなってしまう。
また、構造上、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることが困難である(ピンを高密度に配置することが困難である)。このため、微細な凹凸パターンを提示することができないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44289号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部を複数のパイプを束ねて構成し、前記各パイプによってそれぞれ前記各ピンを可動自在に支持したことを特徴とする。
【0009】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンをパイプによって可動(移動)自在に支持するので、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0010】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンは、それぞれ、前記パイプ内に可動自在に挿着されるピン本体と、前記パイプの両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記パイプの孔部よりも大きい頭部とを有するのが好ましい。
これにより、ピンがパイプから脱落するのが防止され、ピンの安定した動作が長期的に得られることになる。
【0011】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されているのが好ましい。
これにより、ガイド部へのピンの挿着を容易かつ確実に行うことができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部の隣接するパイプ間は、接合手段により接合されているのが好ましい。
これにより、ピンの可動等によってガイド部の複数のパイプがバラバラになるようなことをより確実に防止することができ、ピンの安定した動作が得られることになる。
【0012】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各パイプの内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。これにより、パイプの撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピンに対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピンをより円滑に可動(移動)させることができる。
【0013】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより構成されるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0014】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより構成されるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部の平面視での外形は、略多角形状をなすのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0015】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数のパイプを束ねて隣接するパイプ間を接合することによりガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各パイプ内にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンをパイプによって可動(移動)自在に支持するので、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0017】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、所定形状の外形形成用孔を有する外形形成用型の前記外形形成用孔内に複数のパイプを装填して前記各パイプを束ねるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0018】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、隣接するパイプ間を接合手段により接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記接合手段は、接着剤、ろう材および前記各パイプの外面に設けられた金属製の膜のうちの少なくとも1つであるのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0019】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、前記各パイプの一端に弾性変形可能な粘着シートを貼着し、この後に、前記各パイプを前記粘着シートと一体に前記外形形成用型から取り外し、前記粘着シートを一端側から他端側にかけて順次屈曲させることにより隣接するパイプ間に順次隙間を形成し、この隙間内に順次接着剤を充填して隣接するパイプ間を接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0020】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成してこの隙間内に接着剤を充填し、この後に、前記粘着シートを前記案内面に沿って更に移動させることにより元の状態に復元させ、これにより隣接するパイプ間を接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0021】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成するのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0022】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成するのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
ここで、以下の実施形態では、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合について説明するが、本発明の可動式ピンアレイの用途は、これに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の可動式ピンアレイの実施形態を示す斜視図である。
同図に示す可動式ピンアレイ1は、触覚情報を提示する触覚ディスプレイに用いられるものであって、触覚情報を提示(表示)する複数の触知素子として、複数のピン2と、複数のピン2を可動(移動)自在に支持するガイド部(ガイド手段)5とを備えている。
【0025】
各ピン2は、それぞれ、ガイド部5によって可動自在に支持されるピン本体(シャフト部)3と、ガイド部5の両端から突出するピン本体3の両端部にそれぞれ設けられる頭部(触知部)4とで構成されており、これらのピン2の一方の頭部4によって所定の凹凸パターン(触覚情報)が提示される。
各ピン本体3は、それぞれ、本実施形態では、横断面での形状が円形状をなす棒状体であって、同一長さ、同一外径(直径)に形成されている。
各ピン本体3の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0026】
ガイド部5は、複数のパイプ6を束ねることによって構成されている。この場合、本実施形態では、ガイド部5は、複数のパイプ6を束ねることにより平面視での外形(図1中上側から見たときの外形)が三角形状(正三角形状)の小ブロック(第1のブロック)15を形成し、この小ブロック15を4つ組み合わせて平面視での外形が三角形状(正三角形状)の中ブロック(第2のブロック)16を形成し、この中ブロック16を6つ組み合わせることにより平面視での外形が六角形状(正六角形状)をなすように構成されている。このガイド部5は、各パイプ6内にそれぞれピン本体3が可動(移動)自在に挿着(設置)されるようになっている(図3〜図5参照)。従って、各パイプ6の孔部(内腔)により、それぞれ、ピン2の通路が構成される。
なお、ガイド部5の外形(全体形状)は、特に限定されず、ガイド部5の平面視での外形を、例えば、六角形状以外の多角形状(三角形状、四角形状、五角形状、八角形状等)、円形状、半円形状、楕円形状、半楕円形状等としてもよいし、また、この他の形状としてもよい。
【0027】
各パイプ6は、それぞれ、本実施形態では、円筒状をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成されている。
各パイプ6の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
各パイプ6の内径および各ピン本体3の外径は、それぞれ、各ピン本体3がガタが生じることなく円滑に可動し得る嵌め合い寸法に設定されている。
【0028】
また、各パイプ6の内周面には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。フッ素樹脂の膜を形成する方法は各種あり、特に限定されないが、Ni−Pメッキ(電解メッキ、無電解メッキの両方可能)にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)を共析メッキさせる方法が有効である。これにより、パイプ6の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピン2に対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピン2をより円滑に可動させることができる。
ここで、前記フッ素樹脂の膜を設ける箇所を、前記パイプ6の内周面に代えて、各ピン2の表面(外面)、特に、各ピン本体3の表面としてもよく、また、パイプ6の内周面とピン2(ピン本体3)の表面の両方としてもよい。
【0029】
各パイプ6は各端が面一となるように束ねられ、この束ねられた状態に保持されるように、隣接する(隣り合う)パイプ6間が接合手段によって接合されている。接合手段としては、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)、各パイプの外面に設けたメッキ層のような金属製の膜(金属膜)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
【0030】
接着剤としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。また、メッキ層(金属膜)としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0031】
各パイプ6は、それぞれ、各ピン本体3の両端部が各パイプ6の両端から所定量突出する長さに形成されており、各パイプ6の両端から突出する各ピン本体3の両端部には、それぞれ頭部4が一体に設けられている。
各頭部4は、それぞれ、本実施形態では、円筒状(筒状)をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成され、各ピン2の全長が同一となるように各ピン本体3の両端部に挿入された状態で固着手段により固着されている。
各頭部4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0032】
固着手段としては、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。嵌合の場合には、ピン本体3と頭部4との嵌め合いをきつくして、ピン2の可動時に頭部4がピン本体3から抜けないようにする。また、接着剤またはろう付けの場合には、例えば、ピン本体3と頭部4との嵌め合いを緩くする。
【0033】
接着剤としては、ピン本体3、頭部4の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、ピン本体3、頭部4の材質に応じたものを選択して使用すればよく、ピン本体3、頭部4よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0034】
各頭部4は、それぞれ、その外径(直径)が、各パイプ6の内径(直径)よりも大きく、かつ各パイプ6の外径(直径)よりも小さく形成されている。これにより各頭部4が、ストッパーとして機能し、各ピン2が各パイプ6から脱落するのが防止されるとともに、各ピン2の可動時に隣接する頭部4、4同士が互いに接触するのが防止される。
【0035】
この可動式ピンアレイ1の各ピン2は、それぞれ、例えば、駆動機構(図示せず)に連結され、駆動機構の駆動によりその長手方向(図1中上下方向)に変位(移動)し、長手方向の所定の位置に保持(位置決め)されるようになっている。これにより、凹凸パターンによる触覚情報が複数のピン2の頭部4によって提示(表示)され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0036】
前記駆動機構としては、特に限定されず、例えば、ACモータ、DCモータ、ステッピングモータ(パルスモータ)等の小型モータと小型モータの回転を直線運動に変換する変換機構とを組み合わせたアクチュエータ、固定子と移動子とを組み合わせたリニア駆動素子等を用いることができる。
【0037】
次に、上記のように構成した可動式ピンアレイ1の製造方法の実施形態について説明する。
図2〜図5、図10〜図15には、それぞれ、本発明の可動式ピンアレイの製造方法の第1実施形態が示されている。
図2〜図5には、それぞれ、ガイド部形成工程が示されており、図2は、小ブロックの形成手順を説明するための図、図3は、中ブロックの形成手順を説明するための図、図4は、中ブロックを示す図、図5は、中ブロックを組み合わせてガイド部を形成する手順を説明するための図である。
【0038】
図10〜図15には、それぞれ、ピン取付け工程が示されており、図10は、ピン本体の一端部に頭部を取り付ける手順を説明するための図、図11は、ピン本体の一端部に頭部を取り付けた状態を示す図、図12は、ガイド部のパイプにピン本体を挿通させる手順を説明するための図、図13は、ガイド部のパイプから突出させたピン本体の他端部に頭部を取り付ける手順を説明するための図、図14は、ガイド部のパイプにピンを取り付けた状態を示す図、図15は、図14に示す可動式ピンアレイの部分拡大斜視図である。
【0039】
この可動式ピンアレイ1の製造方法は、複数のピン2を可動自在に支持するガイド部5を形成するガイド部形成工程と、複数のピン2をガイド部5に取り付けるピン取付け工程とを備えている。
ガイド部形成工程は、複数のパイプ6を束ねて隣接するパイプ6、6を接合することにより平面視での外形が六角形状のガイド部5を形成する工程であって、以下の図2〜図5に示す手順に従う。
このガイド部形成工程では、図2に示す外形形成用型(外形形成手段)10を用いる。この外形形成用型10は、四角板状をなし、その中心部には、三角形状(正三角形状)の外形形成用孔(貫通孔)11が設けられている。
【0040】
まず、図2に示すように、この外形形成用型10を平板状のテーブル等の上部に載置して外形形成用孔11の下端開口部を閉塞し、この状態で外形形成用孔11内に上方から前述した構成のパイプ6を垂直に複数装填する。これにより、これらのパイプ6は、隣接するパイプ6、6の外面同士が互いに接触した状態で、ハニカム状に並び、平面視での全体(パイプ6の集合体)の外形が三角形状となる。この場合、予め各パイプ6の外周面にメッキ層(各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等)を形成しておく。または、例えば、隣接するパイプ6、6間等の所定の位置にろう材(各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等)を充填しておく。
【0041】
次いで、複数のパイプ6に熱を加えて各パイプ6の外面のメッキ膜を溶融させ、またはろう材に熱を加えてろう材を溶融させ、この後、所定時間放置する。これにより、メッキ膜またはろう材が冷却固化し、隣接するパイプ6、6間がメッキ膜またはろう材を介して一体に接合され、平面視での外形が三角形状(正三角形状)の小ブロック(第1のブロック)15が形成される。
なお、複数のパイプ6を、これらを束ねる方向に、例えばバンド等の押圧手段(図示せず)によって圧接し、その状態で所定時間放置してもよい。
【0042】
ここで、前記外形形成用型10の外形形成用孔11は、貫通孔であるが、これに限らず、例えば、有底孔(凹部)等であってもよい。
また、外形形成用型10の外形形成用孔11は、例えば、図6に示すように、外形形成用型10の図6中上側に開口を有する(図6中上側が開放した)溝であってもよい。この場合、例えば、外形形成用型10の外形形成用孔11の図6の紙面に対して垂直な方向の一端側に、壁部が設けられていてもよい。
また、前記メッキ膜やろう材に代えて、例えば、隣接するパイプ6、6間等の所定の位置に接着剤を充填し、隣接するパイプ6、6間を接着剤を介して一体に接合してもよい。
このようにして、上記のような構成の小ブロック15を4つ用意する。
【0043】
次いで、図3に示すように、4つの小ブロック15を組み合わせて接合し、平面視での外形が三角形状(正三角形状)の中ブロック(第2のブロック)16を形成する。この場合、中心に位置させた小ブロック15の各辺にそれぞれ小ブロック15を接合する。これにより、図4に示すように、平面視での外形が小ブロック15より大きい三角形状の中ブロック16が形成される。接合方法としては、例えば、前述した方法のうちの任意の方法を用いることができる。
このようにして、上記のような構成の中ブロック16を6つ用意する。
【0044】
次いで、図5に示すように、6つの中ブロック16を組み合わせて接合し、平面視での外形が六角形状(正六角形状)のガイド部5を形成する。この場合、図4において矢印で示す中ブロック16の一辺は、外側に一列ずれて形成されているので、このずれた一辺が六角形状のガイド部5の各辺に位置するように、中ブロック16の方向(組合せ方向)を調整する。接合方法としては、例えば、前述した方法のうちの任意の方法を用いることができる。
【0045】
ピン取付け工程は、上記ガイド部形成工程で形成したガイド部5の各パイプ6内に、それぞれ、ピン本体3と頭部4とで構成されたピン2を可動自在に取り付ける工程であって、以下の図10〜図15に示す手順に従う。
このピン取付け工程では、まず、図10および図11に示すように、前述した構成のピン本体3および頭部4をそれぞれ複数用意し、各ピン本体3の一端部に、それぞれ、頭部4を固着手段により固着させる。
【0046】
次いで、図12に示すように、この状態で各ピン本体3を、それぞれ、ガイド部5の各パイプ6内に上方から挿通させ、図13に示すように、各パイプ6の下端から突出した各ピン本体3の他端部にそれぞれ頭部4を固着手段によりそれぞれ一体に固着させる。
前記固着手段としては、前述したように、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
このようにして、ガイド部5の各パイプ6にそれぞれ各ピン2を可動自在に取り付けることにより、図1、図14、図15に示すように、可動式ピンアレイ1が製造される。
【0047】
以上説明したように、この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピン2をパイプ6によって可動自在に支持するので、ピン2の通路を細く、隣接するピン2の通路間のピッチを狭くすることができ(ピン2の通路を高密度に配置することができ)、ピン2を細く、隣接するピン2、2間のピッチを狭くすることができる(ピン2を高密度に配置することができる)。これにより、この可動式ピンアレイ1を、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0048】
次に、第2実施形態について説明する。
図6〜図8には、それぞれ、本発明の可動式ピンアレイの製造方法の第2実施形態が示されている。図6〜図8は、それぞれ、ガイド部形成工程における小ブロックの形成手順を説明するための図である。
以下、第2実施形態の可動式ピンアレイ1の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の可動式ピンアレイ1の製造方法では、ガイド部形成工程において、前記第1実施形態と同様に、まず、外形形成用型10を平板状のテーブル等の上部に載置して外形形成用孔11の下端開口部を閉塞し、この状態で外形形成用孔11内に上方から前述した構成のパイプ6を垂直に複数装填する(図2参照)。これにより、これらのパイプ6は、隣接するパイプ6、6の外面同士が互いに接触した状態で、ハニカム状に並び、平面視での全体(パイプ6の集合体)の外形が三角形状となる。
次いで、図7に示すように、外形形成用型10の外形形成用孔11内に複数のパイプ6を装填した状態で、複数のパイプ6の上端(一端)に弾性変形可能な粘着シート20を貼着し、複数のパイプ6と粘着シート20とを一体とする。
【0050】
次いで、図8に示すように、複数のパイプ6と粘着シート20とを一体に外形形成用型10から取り外し、図9に示すように、粘着シート20を下にした状態で作業台21上の所定の位置、すなわち、後述する第1案内面22上に載置する。
この作業台21は、最上位に位置し、水平方向を向く第1案内面22と、第1案内面22に連続し、第1案内面22から所定の角度で下方に傾斜する第2案内面23と、第2案内面23に連続し、最下位に位置し、水平方向を向く第3案内面24とで構成された案内面を有している。第1案内面22と第2案内面23との境界部には、所定の角度の段差25が形成され、第2案内面23と第3案内面24との境界部は、所定の曲率の曲面(湾曲面)26が形成されている。
【0051】
次いで、粘着シート20と一体に複数のパイプ6を第1案内面22に沿って第2案内面23側に移動させ、第1案内面22と第2案内面23との境界部の段差25を通過させることによりその粘着シート20を屈曲させ、その屈曲部の上部に位置する進行方向前後の隣接するパイプ6、6間に隙間27を形成する。
前記粘着シート20の移動により、その粘着シート20は、進行方向先端側(一端側)から後端側(他端側)にかけて順次屈曲し、これにより、前記隙間27は、進行方向に沿って順次形成され、この隙間27内に進行方向前方側から順次接着剤28を充填する。
【0052】
そして、粘着シート20を第1案内面22や第2案内面23に沿って更に移動させ、その粘着シート20を段差25から第2案内面23に移動させることにより粘着シート20を元の状態に復元させる。これにより、進行方向前後の隣接するパイプ6、6間が接着剤28を介して密着するとともに、その接着剤28は、パイプ6の外周面に沿って回り込む。
【0053】
更に、この状態で粘着シート20を第2案内面23から第3案内面24に移動させ、第3案内面24上で接着剤28が硬化するまで(隣接するパイプ6、6間が接着剤28により接着されるまで)放置する。
そして、接着剤28が硬化し、隣接するパイプ6、6間が接着剤28を介して接合されると、その後、粘着シート20と一体に複数のパイプ6を作業台21から取り外し、複数のパイプ6から粘着シート20を除去する。このようにして、平面視での外形が三角形状の小ブロック15が形成される(図3参照)。
【0054】
これ以降のガイド部形成工程およびピン取付け工程は、それぞれ、前述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この可動式ピンアレイ1の製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、粘着シート20を、作業台21の第1案内面22、第2案内面23、第3案内面24上を移動させることにより、隣接するパイプ6、6間に隙間27を形成したが、これに限らず、例えば、隣接するパイプ6、6間を手指で押し広げることにより両パイプ6、6間に隙間27を形成し、その隙間27内に接着剤28を充填してもよい。
【0055】
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動式ピンアレイの実施形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図3】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図4】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図5】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図6】外形形成用型の他の構成例を示す断面図。
【図7】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図8】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図9】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図10】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図11】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図12】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図13】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図14】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図15】図14に示す可動式ピンアレイの部分拡大斜視図。
【符号の説明】
1……可動式ピンアレイ 2……ピン 3……ピン本体 4……頭部 5……ガイド部 6……パイプ 10……外形形成用型 11……外形形成用孔 15……小ブロック 16……中ブロック 20……粘着シート 21……作業台
22……第1案内面 23……第2案内面 24……第3案内面 25……段差
26……曲面 27……隙間 28……接着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイに用いられる可動式ピンアレイの一例として、所定の間隔ごとに互いに平行をなすように設けられる複数のピンと、これらの複数のピンを駆動させる駆動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、複数のピンは、表板に設けた貫通孔内に挿着されることにより上下方向に可動自在に支持され、各ピンは上下方向に移動することにより先端が表板の表面から出没するようになっている。
また、駆動機構は、表板の下方に設けられる上プレートと下プレートとの間で保持されるステッピングモータ、ステッピングモータのシャフトの回転運動を直線運動に変換する直線移動機構等から構成されている。
【0004】
直線移動機構は、ステッピングモータのシャフトの先端部に螺設される雄ネジと、雄ネジと相互に螺合するピンの内面に螺設される雌ネジと、ピンを上下方向に移動可能に支持する表板の下面側に設けられる案内棒とから構成されている。そして、ステッピングモータを駆動させてシャフトを回転させることにより、シャフトの雄ネジのピンの雌ネジに対する相対的な螺合位置が変化してピンが上方または下方に移動し、ピンの先端が表板の表面から出没する。このようにして、複数のピンの先端により、触角情報として所定の凹凸パターンが提示され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0005】
しかしながら、上記のような構成の従来の可動式ピンアレイにあっては、表板に設けた貫通孔内にピンを挿着することによりピンを上下方向に可動自在に支持し、ピンの内面に螺設した雌ネジとステッピングモータのシャフトに螺設した雄ネジとを相互に螺合させることにより、ステッピングモータの回転運動を直線運動に変換してピンを上下方向に可動させ、ピンがシャフトに対して回転するのを防止するために表板の下面側に案内棒を設けているため、各ピンを支持する部分の構造が複雑になってしまい、加工、組立てに手間がかかり、製造コストが高くなってしまう。
また、構造上、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることが困難である(ピンを高密度に配置することが困難である)。このため、微細な凹凸パターンを提示することができないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44289号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部を複数のパイプを束ねて構成し、前記各パイプによってそれぞれ前記各ピンを可動自在に支持したことを特徴とする。
【0009】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンをパイプによって可動(移動)自在に支持するので、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0010】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンは、それぞれ、前記パイプ内に可動自在に挿着されるピン本体と、前記パイプの両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記パイプの孔部よりも大きい頭部とを有するのが好ましい。
これにより、ピンがパイプから脱落するのが防止され、ピンの安定した動作が長期的に得られることになる。
【0011】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されているのが好ましい。
これにより、ガイド部へのピンの挿着を容易かつ確実に行うことができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部の隣接するパイプ間は、接合手段により接合されているのが好ましい。
これにより、ピンの可動等によってガイド部の複数のパイプがバラバラになるようなことをより確実に防止することができ、ピンの安定した動作が得られることになる。
【0012】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各パイプの内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。これにより、パイプの撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピンに対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピンをより円滑に可動(移動)させることができる。
【0013】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより構成されるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0014】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより構成されるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記ガイド部の平面視での外形は、略多角形状をなすのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0015】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数のパイプを束ねて隣接するパイプ間を接合することによりガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各パイプ内にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンをパイプによって可動(移動)自在に支持するので、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0017】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、所定形状の外形形成用孔を有する外形形成用型の前記外形形成用孔内に複数のパイプを装填して前記各パイプを束ねるのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0018】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、隣接するパイプ間を接合手段により接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記接合手段は、接着剤、ろう材および前記各パイプの外面に設けられた金属製の膜のうちの少なくとも1つであるのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0019】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、前記各パイプの一端に弾性変形可能な粘着シートを貼着し、この後に、前記各パイプを前記粘着シートと一体に前記外形形成用型から取り外し、前記粘着シートを一端側から他端側にかけて順次屈曲させることにより隣接するパイプ間に順次隙間を形成し、この隙間内に順次接着剤を充填して隣接するパイプ間を接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0020】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成してこの隙間内に接着剤を充填し、この後に、前記粘着シートを前記案内面に沿って更に移動させることにより元の状態に復元させ、これにより隣接するパイプ間を接合するのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、各パイプを接合することができる。
【0021】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成するのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0022】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法では、前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成するのが好ましい。
これにより、ガイド部を形成する際の作業が容易となり、ガイド部の加工、組立てに要する時間や手間を少なくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
ここで、以下の実施形態では、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合について説明するが、本発明の可動式ピンアレイの用途は、これに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の可動式ピンアレイの実施形態を示す斜視図である。
同図に示す可動式ピンアレイ1は、触覚情報を提示する触覚ディスプレイに用いられるものであって、触覚情報を提示(表示)する複数の触知素子として、複数のピン2と、複数のピン2を可動(移動)自在に支持するガイド部(ガイド手段)5とを備えている。
【0025】
各ピン2は、それぞれ、ガイド部5によって可動自在に支持されるピン本体(シャフト部)3と、ガイド部5の両端から突出するピン本体3の両端部にそれぞれ設けられる頭部(触知部)4とで構成されており、これらのピン2の一方の頭部4によって所定の凹凸パターン(触覚情報)が提示される。
各ピン本体3は、それぞれ、本実施形態では、横断面での形状が円形状をなす棒状体であって、同一長さ、同一外径(直径)に形成されている。
各ピン本体3の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0026】
ガイド部5は、複数のパイプ6を束ねることによって構成されている。この場合、本実施形態では、ガイド部5は、複数のパイプ6を束ねることにより平面視での外形(図1中上側から見たときの外形)が三角形状(正三角形状)の小ブロック(第1のブロック)15を形成し、この小ブロック15を4つ組み合わせて平面視での外形が三角形状(正三角形状)の中ブロック(第2のブロック)16を形成し、この中ブロック16を6つ組み合わせることにより平面視での外形が六角形状(正六角形状)をなすように構成されている。このガイド部5は、各パイプ6内にそれぞれピン本体3が可動(移動)自在に挿着(設置)されるようになっている(図3〜図5参照)。従って、各パイプ6の孔部(内腔)により、それぞれ、ピン2の通路が構成される。
なお、ガイド部5の外形(全体形状)は、特に限定されず、ガイド部5の平面視での外形を、例えば、六角形状以外の多角形状(三角形状、四角形状、五角形状、八角形状等)、円形状、半円形状、楕円形状、半楕円形状等としてもよいし、また、この他の形状としてもよい。
【0027】
各パイプ6は、それぞれ、本実施形態では、円筒状をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成されている。
各パイプ6の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
各パイプ6の内径および各ピン本体3の外径は、それぞれ、各ピン本体3がガタが生じることなく円滑に可動し得る嵌め合い寸法に設定されている。
【0028】
また、各パイプ6の内周面には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。フッ素樹脂の膜を形成する方法は各種あり、特に限定されないが、Ni−Pメッキ(電解メッキ、無電解メッキの両方可能)にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)を共析メッキさせる方法が有効である。これにより、パイプ6の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピン2に対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピン2をより円滑に可動させることができる。
ここで、前記フッ素樹脂の膜を設ける箇所を、前記パイプ6の内周面に代えて、各ピン2の表面(外面)、特に、各ピン本体3の表面としてもよく、また、パイプ6の内周面とピン2(ピン本体3)の表面の両方としてもよい。
【0029】
各パイプ6は各端が面一となるように束ねられ、この束ねられた状態に保持されるように、隣接する(隣り合う)パイプ6間が接合手段によって接合されている。接合手段としては、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)、各パイプの外面に設けたメッキ層のような金属製の膜(金属膜)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
【0030】
接着剤としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。また、メッキ層(金属膜)としては、各パイプ6の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0031】
各パイプ6は、それぞれ、各ピン本体3の両端部が各パイプ6の両端から所定量突出する長さに形成されており、各パイプ6の両端から突出する各ピン本体3の両端部には、それぞれ頭部4が一体に設けられている。
各頭部4は、それぞれ、本実施形態では、円筒状(筒状)をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成され、各ピン2の全長が同一となるように各ピン本体3の両端部に挿入された状態で固着手段により固着されている。
各頭部4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0032】
固着手段としては、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。嵌合の場合には、ピン本体3と頭部4との嵌め合いをきつくして、ピン2の可動時に頭部4がピン本体3から抜けないようにする。また、接着剤またはろう付けの場合には、例えば、ピン本体3と頭部4との嵌め合いを緩くする。
【0033】
接着剤としては、ピン本体3、頭部4の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、ピン本体3、頭部4の材質に応じたものを選択して使用すればよく、ピン本体3、頭部4よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0034】
各頭部4は、それぞれ、その外径(直径)が、各パイプ6の内径(直径)よりも大きく、かつ各パイプ6の外径(直径)よりも小さく形成されている。これにより各頭部4が、ストッパーとして機能し、各ピン2が各パイプ6から脱落するのが防止されるとともに、各ピン2の可動時に隣接する頭部4、4同士が互いに接触するのが防止される。
【0035】
この可動式ピンアレイ1の各ピン2は、それぞれ、例えば、駆動機構(図示せず)に連結され、駆動機構の駆動によりその長手方向(図1中上下方向)に変位(移動)し、長手方向の所定の位置に保持(位置決め)されるようになっている。これにより、凹凸パターンによる触覚情報が複数のピン2の頭部4によって提示(表示)され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0036】
前記駆動機構としては、特に限定されず、例えば、ACモータ、DCモータ、ステッピングモータ(パルスモータ)等の小型モータと小型モータの回転を直線運動に変換する変換機構とを組み合わせたアクチュエータ、固定子と移動子とを組み合わせたリニア駆動素子等を用いることができる。
【0037】
次に、上記のように構成した可動式ピンアレイ1の製造方法の実施形態について説明する。
図2〜図5、図10〜図15には、それぞれ、本発明の可動式ピンアレイの製造方法の第1実施形態が示されている。
図2〜図5には、それぞれ、ガイド部形成工程が示されており、図2は、小ブロックの形成手順を説明するための図、図3は、中ブロックの形成手順を説明するための図、図4は、中ブロックを示す図、図5は、中ブロックを組み合わせてガイド部を形成する手順を説明するための図である。
【0038】
図10〜図15には、それぞれ、ピン取付け工程が示されており、図10は、ピン本体の一端部に頭部を取り付ける手順を説明するための図、図11は、ピン本体の一端部に頭部を取り付けた状態を示す図、図12は、ガイド部のパイプにピン本体を挿通させる手順を説明するための図、図13は、ガイド部のパイプから突出させたピン本体の他端部に頭部を取り付ける手順を説明するための図、図14は、ガイド部のパイプにピンを取り付けた状態を示す図、図15は、図14に示す可動式ピンアレイの部分拡大斜視図である。
【0039】
この可動式ピンアレイ1の製造方法は、複数のピン2を可動自在に支持するガイド部5を形成するガイド部形成工程と、複数のピン2をガイド部5に取り付けるピン取付け工程とを備えている。
ガイド部形成工程は、複数のパイプ6を束ねて隣接するパイプ6、6を接合することにより平面視での外形が六角形状のガイド部5を形成する工程であって、以下の図2〜図5に示す手順に従う。
このガイド部形成工程では、図2に示す外形形成用型(外形形成手段)10を用いる。この外形形成用型10は、四角板状をなし、その中心部には、三角形状(正三角形状)の外形形成用孔(貫通孔)11が設けられている。
【0040】
まず、図2に示すように、この外形形成用型10を平板状のテーブル等の上部に載置して外形形成用孔11の下端開口部を閉塞し、この状態で外形形成用孔11内に上方から前述した構成のパイプ6を垂直に複数装填する。これにより、これらのパイプ6は、隣接するパイプ6、6の外面同士が互いに接触した状態で、ハニカム状に並び、平面視での全体(パイプ6の集合体)の外形が三角形状となる。この場合、予め各パイプ6の外周面にメッキ層(各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等)を形成しておく。または、例えば、隣接するパイプ6、6間等の所定の位置にろう材(各パイプ6よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等)を充填しておく。
【0041】
次いで、複数のパイプ6に熱を加えて各パイプ6の外面のメッキ膜を溶融させ、またはろう材に熱を加えてろう材を溶融させ、この後、所定時間放置する。これにより、メッキ膜またはろう材が冷却固化し、隣接するパイプ6、6間がメッキ膜またはろう材を介して一体に接合され、平面視での外形が三角形状(正三角形状)の小ブロック(第1のブロック)15が形成される。
なお、複数のパイプ6を、これらを束ねる方向に、例えばバンド等の押圧手段(図示せず)によって圧接し、その状態で所定時間放置してもよい。
【0042】
ここで、前記外形形成用型10の外形形成用孔11は、貫通孔であるが、これに限らず、例えば、有底孔(凹部)等であってもよい。
また、外形形成用型10の外形形成用孔11は、例えば、図6に示すように、外形形成用型10の図6中上側に開口を有する(図6中上側が開放した)溝であってもよい。この場合、例えば、外形形成用型10の外形形成用孔11の図6の紙面に対して垂直な方向の一端側に、壁部が設けられていてもよい。
また、前記メッキ膜やろう材に代えて、例えば、隣接するパイプ6、6間等の所定の位置に接着剤を充填し、隣接するパイプ6、6間を接着剤を介して一体に接合してもよい。
このようにして、上記のような構成の小ブロック15を4つ用意する。
【0043】
次いで、図3に示すように、4つの小ブロック15を組み合わせて接合し、平面視での外形が三角形状(正三角形状)の中ブロック(第2のブロック)16を形成する。この場合、中心に位置させた小ブロック15の各辺にそれぞれ小ブロック15を接合する。これにより、図4に示すように、平面視での外形が小ブロック15より大きい三角形状の中ブロック16が形成される。接合方法としては、例えば、前述した方法のうちの任意の方法を用いることができる。
このようにして、上記のような構成の中ブロック16を6つ用意する。
【0044】
次いで、図5に示すように、6つの中ブロック16を組み合わせて接合し、平面視での外形が六角形状(正六角形状)のガイド部5を形成する。この場合、図4において矢印で示す中ブロック16の一辺は、外側に一列ずれて形成されているので、このずれた一辺が六角形状のガイド部5の各辺に位置するように、中ブロック16の方向(組合せ方向)を調整する。接合方法としては、例えば、前述した方法のうちの任意の方法を用いることができる。
【0045】
ピン取付け工程は、上記ガイド部形成工程で形成したガイド部5の各パイプ6内に、それぞれ、ピン本体3と頭部4とで構成されたピン2を可動自在に取り付ける工程であって、以下の図10〜図15に示す手順に従う。
このピン取付け工程では、まず、図10および図11に示すように、前述した構成のピン本体3および頭部4をそれぞれ複数用意し、各ピン本体3の一端部に、それぞれ、頭部4を固着手段により固着させる。
【0046】
次いで、図12に示すように、この状態で各ピン本体3を、それぞれ、ガイド部5の各パイプ6内に上方から挿通させ、図13に示すように、各パイプ6の下端から突出した各ピン本体3の他端部にそれぞれ頭部4を固着手段によりそれぞれ一体に固着させる。
前記固着手段としては、前述したように、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
このようにして、ガイド部5の各パイプ6にそれぞれ各ピン2を可動自在に取り付けることにより、図1、図14、図15に示すように、可動式ピンアレイ1が製造される。
【0047】
以上説明したように、この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピン2をパイプ6によって可動自在に支持するので、ピン2の通路を細く、隣接するピン2の通路間のピッチを狭くすることができ(ピン2の通路を高密度に配置することができ)、ピン2を細く、隣接するピン2、2間のピッチを狭くすることができる(ピン2を高密度に配置することができる)。これにより、この可動式ピンアレイ1を、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0048】
次に、第2実施形態について説明する。
図6〜図8には、それぞれ、本発明の可動式ピンアレイの製造方法の第2実施形態が示されている。図6〜図8は、それぞれ、ガイド部形成工程における小ブロックの形成手順を説明するための図である。
以下、第2実施形態の可動式ピンアレイ1の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の可動式ピンアレイ1の製造方法では、ガイド部形成工程において、前記第1実施形態と同様に、まず、外形形成用型10を平板状のテーブル等の上部に載置して外形形成用孔11の下端開口部を閉塞し、この状態で外形形成用孔11内に上方から前述した構成のパイプ6を垂直に複数装填する(図2参照)。これにより、これらのパイプ6は、隣接するパイプ6、6の外面同士が互いに接触した状態で、ハニカム状に並び、平面視での全体(パイプ6の集合体)の外形が三角形状となる。
次いで、図7に示すように、外形形成用型10の外形形成用孔11内に複数のパイプ6を装填した状態で、複数のパイプ6の上端(一端)に弾性変形可能な粘着シート20を貼着し、複数のパイプ6と粘着シート20とを一体とする。
【0050】
次いで、図8に示すように、複数のパイプ6と粘着シート20とを一体に外形形成用型10から取り外し、図9に示すように、粘着シート20を下にした状態で作業台21上の所定の位置、すなわち、後述する第1案内面22上に載置する。
この作業台21は、最上位に位置し、水平方向を向く第1案内面22と、第1案内面22に連続し、第1案内面22から所定の角度で下方に傾斜する第2案内面23と、第2案内面23に連続し、最下位に位置し、水平方向を向く第3案内面24とで構成された案内面を有している。第1案内面22と第2案内面23との境界部には、所定の角度の段差25が形成され、第2案内面23と第3案内面24との境界部は、所定の曲率の曲面(湾曲面)26が形成されている。
【0051】
次いで、粘着シート20と一体に複数のパイプ6を第1案内面22に沿って第2案内面23側に移動させ、第1案内面22と第2案内面23との境界部の段差25を通過させることによりその粘着シート20を屈曲させ、その屈曲部の上部に位置する進行方向前後の隣接するパイプ6、6間に隙間27を形成する。
前記粘着シート20の移動により、その粘着シート20は、進行方向先端側(一端側)から後端側(他端側)にかけて順次屈曲し、これにより、前記隙間27は、進行方向に沿って順次形成され、この隙間27内に進行方向前方側から順次接着剤28を充填する。
【0052】
そして、粘着シート20を第1案内面22や第2案内面23に沿って更に移動させ、その粘着シート20を段差25から第2案内面23に移動させることにより粘着シート20を元の状態に復元させる。これにより、進行方向前後の隣接するパイプ6、6間が接着剤28を介して密着するとともに、その接着剤28は、パイプ6の外周面に沿って回り込む。
【0053】
更に、この状態で粘着シート20を第2案内面23から第3案内面24に移動させ、第3案内面24上で接着剤28が硬化するまで(隣接するパイプ6、6間が接着剤28により接着されるまで)放置する。
そして、接着剤28が硬化し、隣接するパイプ6、6間が接着剤28を介して接合されると、その後、粘着シート20と一体に複数のパイプ6を作業台21から取り外し、複数のパイプ6から粘着シート20を除去する。このようにして、平面視での外形が三角形状の小ブロック15が形成される(図3参照)。
【0054】
これ以降のガイド部形成工程およびピン取付け工程は、それぞれ、前述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この可動式ピンアレイ1の製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、粘着シート20を、作業台21の第1案内面22、第2案内面23、第3案内面24上を移動させることにより、隣接するパイプ6、6間に隙間27を形成したが、これに限らず、例えば、隣接するパイプ6、6間を手指で押し広げることにより両パイプ6、6間に隙間27を形成し、その隙間27内に接着剤28を充填してもよい。
【0055】
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動式ピンアレイの実施形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図3】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図4】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図5】第1実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図6】外形形成用型の他の構成例を示す断面図。
【図7】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図8】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図9】第2実施形態におけるガイド部形成工程を説明するための図。
【図10】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図11】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図12】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図13】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図14】第1実施形態におけるピン取付け工程を説明するための図。
【図15】図14に示す可動式ピンアレイの部分拡大斜視図。
【符号の説明】
1……可動式ピンアレイ 2……ピン 3……ピン本体 4……頭部 5……ガイド部 6……パイプ 10……外形形成用型 11……外形形成用孔 15……小ブロック 16……中ブロック 20……粘着シート 21……作業台
22……第1案内面 23……第2案内面 24……第3案内面 25……段差
26……曲面 27……隙間 28……接着剤
Claims (17)
- 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部を複数のパイプを束ねて構成し、前記各パイプによってそれぞれ前記各ピンを可動自在に支持したことを特徴とする可動式ピンアレイ。 - 前記各ピンは、それぞれ、前記パイプ内に可動自在に挿着されるピン本体と、前記パイプの両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記パイプの孔部よりも大きい頭部とを有する請求項1に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されている請求項2に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記ガイド部の隣接するパイプ間は、接合手段により接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各パイプの内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより構成される請求項1ないし5のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記ガイド部は、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより構成される請求項1ないし5のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記ガイド部の平面視での外形は、略多角形状をなす請求項1ないし7のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数のパイプを束ねて隣接するパイプ間を接合することによりガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各パイプ内にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする可動式ピンアレイの製造方法。 - 前記ガイド部形成工程では、所定形状の外形形成用孔を有する外形形成用型の前記外形形成用孔内に複数のパイプを装填して前記各パイプを束ねる請求項9に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、隣接するパイプ間を接合手段により接合する請求項10に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記接合手段は、接着剤、ろう材および前記各パイプの外面に設けられた金属製の膜のうちの少なくとも1つである請求項11に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記外形形成用型の前記外形形成用孔内に前記各パイプを装填した状態で、前記各パイプの一端に弾性変形可能な粘着シートを貼着し、この後に、前記各パイプを前記粘着シートと一体に前記外形形成用型から取り外し、前記粘着シートを一端側から他端側にかけて順次屈曲させることにより隣接するパイプ間に順次隙間を形成し、この隙間内に順次接着剤を充填して隣接するパイプ間を接合する請求項10に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成する請求項13に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記粘着シートを、案内面に沿って移動させて該案内面の途中に設けられている段差を通過させることにより屈曲させ、これにより隣接するパイプ間に隙間を形成してこの隙間内に接着剤を充填し、この後に、前記粘着シートを前記案内面に沿って更に移動させることにより元の状態に復元させ、これにより隣接するパイプ間を接合する請求項13に記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねてブロックを形成し、このブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成する請求項9ないし15のいずれかに記載の可動式ピンアレイの製造方法。
- 前記ガイド部形成工程では、複数のパイプを平面視での外形が略三角形状をなすように束ねて第1のブロックを形成し、この第1のブロックを複数組み合わせることにより平面視での外形が略三角形状をなす第2のブロックを形成し、さらに、この第2のブロックを複数組み合わせることにより前記ガイド部を形成する請求項9ないし15のいずれかに記載の可動式ピンアレイの製造方法。
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JP2003151292A JP2004354633A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7538427B2 (en) | 2005-03-08 | 2009-05-26 | Seiko Epson Corporation | Microchannel structure and manufacturing method therefor, light source device, and projector |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003151292A patent/JP2004354633A/ja not_active Withdrawn
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