JP2004354634A - 可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】可動式ピンアレイ1は、複数のピン3と、前記各ピン3を可動自在に支持するガイド部2とを有し、前記ガイド部2は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を、対応する前記各挿通孔21が積層方向に連通して複数の通路24が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路24にそれぞれ前記各ピン3を可動自在に設けたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】可動式ピンアレイ1は、複数のピン3と、前記各ピン3を可動自在に支持するガイド部2とを有し、前記ガイド部2は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を、対応する前記各挿通孔21が積層方向に連通して複数の通路24が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路24にそれぞれ前記各ピン3を可動自在に設けたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイに用いられる可動式ピンアレイの一例として、所定の間隔ごとに互いに平行をなすように設けられる複数のピンと、これらの複数のピンを駆動させる駆動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、複数のピンは、表板に設けた貫通孔内に挿着されることにより上下方向に可動自在に支持され、各ピンは上下方向に移動することにより先端が表板の表面から出没するようになっている。
また、駆動機構は、表板の下方に設けられる上プレートと下プレートとの間で保持されるステッピングモータ、ステッピングモータのシャフトの回転運動を直線運動に変換する直線移動機構等から構成されている。
【0004】
直線移動機構は、ステッピングモータのシャフトの先端部に螺設される雄ネジと、雄ネジと相互に螺合するピンの内面に螺設される雌ネジと、ピンを上下方向に移動可能に支持する表板の下面側に設けられる案内棒とから構成されている。そして、ステッピングモータを駆動させてシャフトを回転させることにより、シャフトの雄ネジのピンの雌ネジに対する相対的な螺合位置が変化してピンが上方または下方に移動し、ピンの先端が表板の表面から出没する。このようにして、複数のピンの先端により、触角情報として所定の凹凸パターンが提示され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0005】
しかしながら、上記のような構成の従来の可動式ピンアレイにあっては、表板に設けた貫通孔内にピンを挿着することによりピンを上下方向に可動自在に支持し、ピンの内面に螺設した雌ネジとステッピングモータのシャフトに螺設した雄ネジとを相互に螺合させることにより、ステッピングモータの回転運動を直線運動に変換してピンを上下方向に可動させ、ピンがシャフトに対して回転するのを防止するために表板の下面側に案内棒を設けているため、各ピンを支持する部分の構造が複雑になってしまい、加工、組立てに手間がかかり、製造コストが高くなってしまう。
また、構造上、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることが困難である(ピンを高密度に配置することが困難である)。このため、微細な凹凸パターンを提示することができないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44289号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする。
【0009】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0010】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体において、それぞれ、隣り合う前記挿通孔は、スリット部により繋がっているのが好ましい。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体には、それぞれ、前記各挿通孔を含む一筆書き状の開口が形成されているのが好ましい。
本発明の可動式ピンアレイでは、積層前における前記各板状体の前記開口のパターンは、略同一であるのが好ましい。
これにより、同一形状の板状体でガイド部を形成することができるので、加工、組立てを容易にすることができ、また、製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明の可動式ピンアレイでは、隣り合う前記板状体の前記開口のパターンが互いに異なるように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ガイド部の強度を向上させることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記開口は、並設された複数の帯状の部位を有し、前記各帯状の部位の一方の端部および他方の端部は、それぞれ、一列置きに繋がり、かつ、前記一方の端部側と前記他方の端部側とで、前記繋がった部位が交互に位置しているのが好ましい。
【0012】
本発明の可動式ピンアレイでは、隣り合う前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位と前記帯状の部位の端部の繋がっていない部位とが対応するように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ガイド部の強度を向上させることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、一つ置きの前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位同士が対応するように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、板状体の開口パターンを少なくしつつ、ガイド部の強度を向上させることができる。
【0013】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各通路の内面にそれぞれ凹部が形成されるように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ピンの側面と通路の内面(壁面)との真空吸着を防止(または抑制)することができ、ピンの可動(移動)を円滑に行うことができる。
また、前記凹部を、例えば、潤滑油等の潤滑剤を貯留する貯留部として利用することができる。すなわち、凹部に、例えば、潤滑油等の潤滑剤を供給し、貯留しておくことにより、ピンの可動をより円滑に行うことができ、また、その潤滑効果が長期間得られ、これによりピンの安定した動作が長期的に得られる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各挿通孔は、それぞれ、放電加工により形成されたものであるのが好ましい。
これにより、前記各挿通孔は、それぞれ、所定の形状、寸法に、容易、迅速かつ精度良く形成される。
【0014】
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする。
【0015】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0016】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体の形状は、それぞれ、略波状をなしているのが好ましい。
これにより、奇数列のピンの通路と偶数列のピンの通路とを、互いに半ピッチずらすことができ、ピンを高密度に配置することができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各通路の内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。
これにより、ガイド部のピンとの接触面の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピンに対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピンをより円滑に可動(移動)させることができる。
【0017】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンは、それぞれ、前記通路に可動自在に挿着されるピン本体と、前記ガイド部の両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記通路よりも大きい頭部とを有するのが好ましい。これにより、ガイド部からピンが脱落するのが防止され、ピンの安定した動作が長期的に得られることになる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されているのが好ましい。
これにより、ガイド部へのピンの挿着を容易かつ確実に行うことができる。
【0018】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0019】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0020】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0021】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
ここで、以下の実施形態では、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合について説明するが、本発明の可動式ピンアレイの用途は、これに限定されるものではない。
また、構造を判り易くするためや、説明し易いように、ピンの数が比較的少ない可動式ピンアレイを図示して説明を行うが、本発明の可動式ピンアレイのピンの数は、これに限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の可動式ピンアレイの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す可動式ピンアレイの側面図、図3は、図1に示す可動式ピンアレイの平面図である。
これらの図に示す可動式ピンアレイ1は、触覚情報を提示する触覚ディスプレイに用いられるものであって、触覚情報を提示(表示)する複数の触知素子として、複数のピン3と、複数のピン3を可動(移動)自在に支持するガイド部(ガイド手段)2とを備えている。
【0024】
ガイド部2の外形(全体形状)は、本実施形態では、直方体形状をなしており、このガイド部2には、図1中、上下方向に貫通した複数の通路(孔部)24が設けられている。本実施形態では、各通路24の形状は、それぞれ、円柱状をなしており(各通路24の横断面形状は、それぞれ、円形状をなしており)、各通路24は、それぞれ、同一内径に形成されている。また、本実施形態では、各通路24は、互いに平行になるように設けられている。
このガイド部2は、各通路24内に、それぞれ後述するピン3のピン本体31が可動(移動)自在に挿着(設置)されるようになっており、各ピン3の移動方向をそれぞれ規制するガイドとして機能する。すなわち、ガイド部2は、各ピン3を、それぞれ、その長手方向(軸方向)にのみ移動し得るように支持する。
【0025】
このガイド部2は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を積層してなる積層体で構成されている。各板状体20は、対応する各挿通孔21が積層方向(図1中、上下方向)に連通(結合)して前記各通路24が形成されるように積層されている。この積層体は、各板状体20が積層された状態(積層状態)で保持されるように、接合手段(保持手段)によって接合(保持)されている。接合手段としては、特に限定されず、例えば、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)、保持部材(例えば、枠状体、ボルトとナット、ピン等)等が挙げられる。
【0026】
接着剤としては、各板状体20の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、各板状体20の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各板状体20よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0027】
また、ガイド部2の各通路24の内周面(ピン3との接触面)には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。フッ素樹脂の膜を形成する方法は各種あり、特に限定されないが、Ni−Pメッキ(電解メッキ、無電解メッキの両方可能)にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)を共析メッキさせる方法が好ましい。これにより、ガイド部2のピン3との接触面の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピン3に対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピン3をより円滑に可動させることができる。
ここで、前記フッ素樹脂の膜を設ける箇所を、前記通路24の内周面に代えて、ガイド部2の各通路24の内周面と接触する各ピン3の表面(外面)、すなわち、各通路24の内周面と接触する各ピン本体31の表面としてもよく、また、通路24の内周面とピン3(ピン本体31)の表面の両方としてもよい。
【0028】
図4は、図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の板状体を示す平面図である。
図4に示すように、ガイド部2の各板状体20は、それぞれ、薄型の板状構造を有している。また、各板状体20は、それぞれ、所定の間隔を隔てて形成され、所定の配列をなす複数の挿通孔21を有しており、各板状体20において、それぞれ、隣接する(隣り合う)挿通孔21は、スリット部22により繋がっている。すなわち、各板状体20には、それぞれ、各挿通孔21を含む一筆書き状の所定パターンの開口51が形成されている。
【0029】
本実施形態では、各板状体20が積層された状態において、図4(a)に示す、挿通孔21がスリット部22により略S字状に繋がれている板状体20、すなわち、略S字状の開口51が形成されている板状体20と、図4(b)に示す、挿通孔21がスリット部22により略逆S字状に繋がれている板状体20、すなわち、略逆S字状の開口51が形成されている板状体20とが存在する。以下、前記略S字状の開口が形成されている板状体を、単に、「S字状の開口の板状体」と言い、略逆S字状の開口が形成されている板状体を、単に、「逆S字状の開口の板状体」と言う。
ここで、積層前における各板状体20の開口51のパターンは、同一であってもよく、また、異なっていてもよい。
すなわち、前記S字状の開口51の板状体20と、前記逆S字状の開口51の板状体20とをそれぞれ複数用意し(作成し)、これらを積層してもよい。
【0030】
また、方向を変えることで前記2パターンの開口51が得られる同一形状(1種類)の板状体20を複数用意し(作成し)、その方向を変えて、板状体20を積層してもよい。これにより、同一形状の板状体20でガイド部2を形成することができるので、加工、組立てを容易にすることができ、また、製造コストを低減することができる。
なお、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20を裏返すことでその方向を変えると、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20となる(逆も同様である)ので、これらのうちのいずれか一方を用意(作成)すればよい。
【0031】
次に、前記板状体20の開口51のパターンをさらに詳細に説明する。
図8は、説明し易いように、図4に示す板状体よりも挿通孔を多く形成した板状体を示す平面図である。なお、図8(a)と図8(b)との関係は、図4(a)と図4(b)との関係と略同様である。
図8に示すように、板状体20には、図8中、左右方向に、直線状に等間隔で形成された挿通孔21の列が、複数列形成されている。隣り合う列の挿通孔21は、図8中、左右方向に、互いに、半ピッチずれている。これらの挿通孔21は、それぞれ、円形をなし、同一内径に形成されている。
【0032】
また、前記各列において、それぞれ、隣り合う挿通孔21は、スリット部22により繋がっている。
また、前記各列の図8中左側の端部の挿通孔21は、一列置きに、スリット部22により繋がっており、同様に、右側の端部の挿通孔21は、一列置きに、スリット部22により繋がっている。この場合、前記左側の端部側と、前記右側の端部側とで、前記繋がった部位(スリット部22)が交互に位置している。
【0033】
このように、前記各挿通孔21および各スリット部22で構成された開口51は、並設された複数の帯状の部位を有する。そして、この開口51の前記各帯状の部位の図8中左側の端部および右側の端部は、それぞれ、一列置きに繋がり、かつ、前記左側の端部側と前記右側の端部側とで、前記繋がった部位が交互に位置している。
【0034】
ここで、図8(a)に示す板状体20においては、図8(a)中最も上側の列(第1列)と、上側から2番目の列(第2列)とは、左側の端部側で繋がり、一方、図8(b)に示す板状体20においては、図8(b)中最も上側の列(第1列)と、上側から2番目の列(第2列)とは、右側の端部側で繋がっている。
なお、前述したように、図8(a)に示す板状体20を裏返すことでその方向を変えると、図8(b)に示す板状体20となる(逆も同様である)ので、これらのうちのいずれか一方を用意(作成)すればよい。
【0035】
前記各挿通孔21の形成方法は、特に限定されないが、各挿通孔21をワイヤー放電加工(放電加工)により形成するのが好ましい。すなわち、各挿通孔21は、板状体20の母材(挿通孔21が形成されていない板状体)に対してワイヤー放電加工を施すことにより、順次、連続的に形成されるのが好ましい。これにより、微細な挿通孔21を板状体20に、容易かつ迅速に、精度良く、高密度に形成することができる。
なお、ワイヤー放電加工により各挿通孔21を連続的に形成すると、前述した各スリット部22が形成され、各スリット部22を介して隣り合う挿通孔21がそれぞれ繋がり、前述した単一の開口51が形成される。
【0036】
各板状体20の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができるが、これらのうち、各種の金属が好ましい。板状体20を金属製とすることにより、前記ワイヤー放電加工により、板状体20に挿通孔21を形成することができる。
また、前述したように、各板状体20の各挿通孔21の内周面には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。
【0037】
図5は、図1に示す可動式ピンアレイのピンを示す側面図である。
図1および図5に示すように、各ピン3は、それぞれ、ガイド部2によって可動自在に支持されるピン本体(シャフト部)31と、ガイド部2の両端から突出するピン本体31の両端部にそれぞれ設けられる頭部32a、32bとで構成されており、これらのピン3の一方の頭部(触知部)32aによって所定の凹凸パターン(触覚情報)が提示される。
【0038】
各ピン本体31は、それぞれ、本実施形態では、横断面での形状が円形状をなす棒状体であって、同一長さ、同一外径(直径)に形成されている。
各ピン本体31の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0039】
前記ガイド部2の厚さ(ピン3の長手方向におけるガイド部2の長さ)は、ピン本体31の両端部がガイド部2の図1中、上下方向の両端から所定量突出するように設定されており、ガイド部2の両端から突出する各ピン本体31の両端部には、それぞれ頭部32a、32bが一体に設けられている。
頭部32aは、触覚情報の提示側(表示面側)に配置され、ユーザーに対して触覚情報を提示する(ユーザーにより触れられる)触知部を構成する。一方、頭部32bは、前記と反対側(内部側)に配置される。
【0040】
各頭部32a、32bは、それぞれ、本実施形態では、円筒状(筒状)をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成され、各ピン3の全長が同一となるように各ピン本体31の両端部に挿入された状態で固着手段により固着されている。各頭部32a、32bの構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0041】
固着手段としては、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。嵌合の場合には、ピン本体31と頭部32a、32bとの嵌め合いをきつくして、ピン3の可動時に頭部32a、32bがピン本体31から抜けないようにする。また、接着剤またはろう付けの場合には、例えば、ピン本体31と頭部32a、32bとの嵌め合いを緩くする。
【0042】
接着剤としては、ピン本体31、頭部32a、32bの材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、ピン本体31、頭部32a、32bの材質に応じたものを選択して使用すればよく、ピン本体31、頭部32a、32bよりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0043】
各頭部32a、32bは、それぞれ、その外径(直径)が、各通路24(挿通孔21)の内径(直径)よりも大きく、かつ隣接する通路24、24間のピッチ(隣接する挿通孔21、21間のピッチ)よりも小さく形成されている。これにより各頭部32a、32bが、ストッパーとして機能し、各ピン3がガイド部2から脱落するのが防止されるとともに、各ピン3の可動時に隣接する頭部32a、32a同士、隣接する32b、32b同士が互いに接触するのが防止される。
【0044】
この可動式ピンアレイ1の各ピン3は、それぞれ、例えば、駆動機構(図示せず)に連結され、駆動機構の駆動によりその長手方向(図1中上下方向)に変位(移動)し、長手方向の所定の位置に保持(位置決め)されるようになっている。これにより、凹凸パターンによる触覚情報が複数のピン3の頭部32aによって提示(表示)され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
前記駆動機構としては、特に限定されず、例えば、ACモータ、DCモータ、ステッピングモータ(パルスモータ)等の小型モータと小型モータの回転を直線運動に変換する変換機構とを組み合わせたアクチュエータ、固定子と移動子とを組み合わせたリニア駆動素子等を用いることができる。
【0045】
次に、上記のように構成した可動式ピンアレイ1の製造方法について説明する。
図6は、図1に示す可動式ピンアレイの組立斜視図、図7は、図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の組立図である。
この可動式ピンアレイ1の製造方法は、複数のピン3を可動自在に支持するガイド部2を形成するガイド部形成工程と、複数のピン3をガイド部2に取り付けるピン取付け工程とを備えている。
【0046】
ガイド部形成工程は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を、対応する各挿通孔21が積層方向に連通して複数の通路24が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部2を形成する工程であって、下記の手順に従う。このガイド部形成工程では、まず、前記板状体20を所定数作成する。この場合、板状体20の母材(挿通孔21が形成されていない例えば四角形状の板状体)に対し、ワイヤー放電加工(放電加工)を施し、各挿通孔21をそれぞれ形成する。
【0047】
次いで、複数枚の板状体20を積層してガイド部2を形成する。この際、図7に示すように、前記S字状の開口51の板状体20と、前記逆S字状の開口51の板状体20とを交互に積み上げる。
この場合、例えば、前述したように、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20のみを所定数作成しておき、その板状体20を裏返し、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20として用いる。
また、板状体20を積層する際、例えば、隣り合う板状体20、20間に、接着材23を充填(滴下)し、隣り合う板状体20、20同士をその接着剤23で接着(接合)する。これにより、積層体が接着剤23によって積層状態で保持(固定)され、ガイド部2が形成される。
【0048】
このように形成されたガイド部2においては、隣り合う板状体20の開口51のパターン(スリット部22のパターン)は、互いに異なり、一つ置きの板状体20の開口51のパターン(スリット部22のパターン)は、同一となる。
すなわち、隣り合う板状体20において、開口51の帯状の部位の端部の繋がった部位とその端部の繋がっていない部位とが対向(対応)し、一つ置きの板状体20において、開口51の帯状の部位の端部の繋がった部位同士が対向(対応)する。
これにより、ガイド部2の構造上の強度が高くなり、これによってガイド部2の変形や破損を防止(または抑制)することができる。
【0049】
また、板状体20を積層する際は、隣り合う板状体20において、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致するように、各板状体20を積層する(図2参照)。なお、対応する挿通孔21、21同士を積層方向に一致させる方法(板状体20の位置決め方法)については、後で説明する。
このように積層方向に揃えられた挿通孔21の群は、ガイド部2内にて板状体20の積層方向に連通し(結合され)、前述した通路24を形成する。この通路24は、一枚の板状体20がそれぞれ有する挿通孔21の数だけ形成される。
【0050】
ピン取付け工程は、上記ガイド部形成工程で形成したガイド部2の各通路(孔部)24に、それぞれ、ピン本体31と頭部32a、32bとで構成されたピン3を可動自在に取り付ける工程であって、下記の手順に従う。
このピン取付け工程では、まず、図6に示すように、前述した構成のピン本体31および頭部32a、32bをそれぞれ複数用意し、各ピン本体31の一端部に、それぞれ、頭部32aを固着手段により固着させる。
【0051】
次いで、この状態で各ピン本体31を、それぞれ、ガイド部2の各通路24内に上方から挿通させ、各通路24の下端から突出した各ピン本体31の他端部にそれぞれ頭部32bを固着手段によりそれぞれ一体に固着させる。
前記固着手段としては、前述したように、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
このようにして、ガイド部2の各通路24にそれぞれ各ピン3を可動自在に取り付けることにより、図1〜図3に示す可動式ピンアレイ1が製造される。
【0052】
次に、各板状体20を積層するにあたり、対応する挿通孔21、21同士を積層方向に一致させる方法(板状体20の位置決め方法)について説明する。
図9は、各板状体を積層するにあたり、対応する挿通孔同士を積層方向に一致させる方法(板状体の位置決め方法)の一例を説明するための図である。
この方法では、図9に示す板状体20の位置決め用の治具(位置決め手段)61を用いる。この治具61は、四角形状の板状体で構成されたベース(基台)62と、ベース62の図9中上側の面(平面)に立設された一対の案内ピン63、63とを有している。各案内ピン63は、それぞれ、ベース62の対角線上の角部に位置し、そのベース62の図9中上側の面に対し、略垂直に設けられている。
【0053】
一方、各板状体20には、それぞれ、予め、4つの案内孔27を形成しておく。各案内孔27は、それぞれ、その板状体20の各角部に位置する。この場合、各案内孔27は、それぞれ、対角線上の所定の2つの案内孔27に対応する前記案内ピン63を挿通させつつ各板状体20を積層すると、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致するように形成される。これらの案内孔27は、それぞれ、例えば、ワイヤー放電加工(放電加工)により形成することができる。
【0054】
ガイド部2を形成する際は、図9(a)に示すように、板状体20の対角線上の所定の2つの案内孔27に、それぞれ、治具61の対応する案内ピン63を挿通させつつ、ベース62上に、順次、各板状体20を積層してゆく。この場合、前述したように、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20と、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20とを交互に積み上げるが、これらのうちの一方の板状体20を複数用意しておき、その板状体20を裏返して、他方の板状体20として用いる。
図9(b)に示すように、このようにして、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致し、複数の通路24が形成されたガイド部2が得られる。そして、ガイド部2は、治具61から取り外される。
【0055】
以上説明したように、この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を積層してガイド部2を構成(形成)するので、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
【0056】
また、ガイド部2の通路24を細く、隣接する通路24、24間のピッチを狭くすることができ(通路24を高密度に配置することができ)、ピン3を細く、隣接するピン3、3間のピッチを狭くすることができる(ピン3を高密度に配置することができる)。これにより、この可動式ピンアレイ1を、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0057】
また、複数の板状体20を積層してガイド部2を構成するので、任意の厚さ、任意の形状を有するガイド部2を、容易に形成することができる。
なお、本発明では、ガイド部2の外形(全体形状)は、特に限定されず、ガイド部2の平面視での外形を、例えば、四角形状以外の多角形状(三角形状、五角形状、六角形状、八角形状等)、円形状、半円形状、楕円形状、半楕円形状等としてもよいし、また、この他の形状としてもよい。
【0058】
また、各通路24の配列、すなわち、各ピン3の配列は、図示のものに限定されない。
また、板状体20の挿通孔21の形成方法は、ワイヤー放電加工に限定されず、他の方法で挿通孔21を形成してもよい。
また、板状体20の各挿通孔21は、それぞれ、繋がっていなくてもよい。
【0059】
(変形例1)
図10は、第1実施形態の変形例1にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図10に示すように、この変形例1の可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の形成にあたり、各板状体20を積層した後に、その積層体の側面に接着剤25を付着させ、積層体を一括して接着(接合)する。図示例では、積層体の対向する1対の側面に接着剤25を付着させているが、これに限らず、例えば、積層体の4つの側面に接着剤25を付着させてもよい。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
(変形例2)
図11および図12は、それぞれ、第1実施形態の変形例2にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図11に示すように、この変形例2にかかる可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の形成にあたり、各板状体20を積層した後に、接合手段(保持手段)として、一対の枠状体(枠)26、26を用い、その積層体を積層状態に保持(接合)する。
【0061】
各枠状体26は、それぞれ、図11中上下方向の両端部に係止部261、261を有し、略コの字断面形状をなしている。
これらの枠状体26は、前記板状体20の積層体に対し、その側方(板状体20の積層方向に対して略垂直な方向)から積層体を挟み込むように取り付けられる。また、各枠状体26は、それぞれ、その係止部261、261にて、積層体を板状体20の積層方向から挟み込み、係止する。このようにして、積層体は、その積層状態にて保持される。
【0062】
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、この変形例2において、図12に示すように、枠状体26が、その係止部261、261にて、積層体をその側方(板状体20の積層方向に対して略垂直な方向)から挟み込み、係止するようになっていてもよい。
なお、この変形例2において、枠状体26の係止部261は、図示のものに限定されず、例えば、突起状に設けられた爪部等であってもよい。
【0063】
(変形例3)
図13は、第1実施形態の変形例3にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図13に示すように、この変形例3にかかる可動式ピンアレイ1では、前述した板状体20の位置決め用の治具(位置決め手段)61を、接合手段(保持手段)としても用いる。
すなわち、ガイド部2を形成する際は、図13(a)に示すように、板状体20の対角線上の所定の2つの案内孔27に、それぞれ、治具61の対応する案内ピン63を挿通させつつ、ベース62上に、順次、各板状体20を積層してゆく。
【0064】
そして、各板状体20を積層した後に、図13(b)に示すように、各案内ピン63の先端部を、それぞれ、潰す。これにより、積層体は、各ピンにより、それぞれ、板状体20の積層方向から挟み込まれ、係止される。このようにして、積層体は、その積層状態にて保持される。なお、治具61は、ガイド部2の一部となる。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の可動式ピンアレイの第2実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の可動式ピンアレイ1およびその製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0066】
図14に示すように、第2実施形態の可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の各通路24の内面(壁面)にそれぞれ複数の凹部52が形成されるように、各板状体20が積層されている。
すなわち、ガイド部形成工程において、図14(a)に示すように、各板状体20は、それぞれ、各挿通孔21の位置が図14(a)中左側と右側とに交互にずれるように、積層される。
これにより、図14(b)に示すように、ガイド部2の各通路24の内面には、それぞれ、ピン3のピン本体31を中心にして、図14(b)中左側と右側とに交互に凹部52が形成される。
これらの凹部52により、各ピン3のピン本体31の側面と各通路24の内面(壁面)との真空吸着がそれぞれ防止(または抑制)され、これにより、各ピン3がそれぞれ円滑に可動(移動)することができる。
【0067】
また、各凹部52を、それぞれ例えば、潤滑油等の潤滑剤を貯留する貯留部として利用することができる。すなわち、各凹部52に、それぞれ、例えば、潤滑油等の潤滑剤を供給し、貯留しておくことにより、ピン3の可動をより円滑に行うことができ、また、その潤滑効果が長期間得られ、これによりピン3の安定した動作が長期的に得られる。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、前述した変形例1〜3をそれぞれ適用してもよい。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図15、本発明の可動式ピンアレイの第3実施形態を示す斜視図、図16は、図15に示す可動式ピンアレイの側面図、図17は、図15に示す可動式ピンアレイの平面図、図18は、図15に示す可動式ピンアレイのガイド部を示す平面図である。
【0069】
以下、第3実施形態の可動式ピンアレイ1およびその製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
これらの図に示すように、第3実施形態の可動式ピンアレイ1では、そのガイド部2は、複数の板状体40を、隣り合う(隣接する)板状体40、40の間に各ピン3のピン本体31が挿入(挿着)される複数の通路41が形成されるように積層してなる積層体を有している。
【0070】
図18に示すように、本実施形態では、ガイド部2を構成する各板状体40の形状(断面形状)は、それぞれ、略波状(略波形)をなしている。
これらの板状体40は、隣り合う板状体40、40において、それぞれ、互いの波の頂部401、401同士が一致(対応)し、かつ、半周期ずれるように(一方が山のとき他方が谷となるように)、交互に積層される。これにより、隣り合う板状体40、40の間に、複数の通路41が形成される。
【0071】
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第3実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、前述した変形例1〜3をそれぞれ適用してもよい。
また、この第3実施形態では、各板状体40の形状は、それぞれ、略波状をなしているが、本発明では、これに限らず、他の形状であってもよい。
【0072】
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動式ピンアレイの第1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す可動式ピンアレイの側面図。
【図3】図1に示す可動式ピンアレイの平面図。
【図4】図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の板状体を示す平面図。
【図5】図1に示す可動式ピンアレイのピンを示す側面図。
【図6】図1に示す可動式ピンアレイの組立斜視図。
【図7】図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の組立図。
【図8】図4よりも挿通孔を多く形成した板状体を示す平面図。
【図9】挿通孔同士を積層方向に一致させる方法を説明するための図。
【図10】変形例1の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図11】変形例2の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図12】変形例2の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図13】変形例3の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図14】本発明の可動式ピンアレイの第2実施形態を示す断面図。
【図15】本発明の可動式ピンアレイの第3実施形態を示す斜視図。
【図16】図13に示す可動式ピンアレイの側面図。
【図17】図13に示す可動式ピンアレイの平面図。
【図18】図13に示す可動式ピンアレイのガイド部を示す平面図。
【符号の説明】
1……可動式ピンアレイ 2……ガイド部 20……板状体 21……挿通孔22……スリット部 23……接着剤 24……通路 25……接着剤 26……枠状体 27……案内孔 3……ピン 31……ピン本体 32a、32b……頭部 40……板状体 41……通路 51……開口 52……凹部 61……治具 62……ベース 63……案内ピン 261……係止部 401……頂部
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイに用いられる可動式ピンアレイの一例として、所定の間隔ごとに互いに平行をなすように設けられる複数のピンと、これらの複数のピンを駆動させる駆動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、複数のピンは、表板に設けた貫通孔内に挿着されることにより上下方向に可動自在に支持され、各ピンは上下方向に移動することにより先端が表板の表面から出没するようになっている。
また、駆動機構は、表板の下方に設けられる上プレートと下プレートとの間で保持されるステッピングモータ、ステッピングモータのシャフトの回転運動を直線運動に変換する直線移動機構等から構成されている。
【0004】
直線移動機構は、ステッピングモータのシャフトの先端部に螺設される雄ネジと、雄ネジと相互に螺合するピンの内面に螺設される雌ネジと、ピンを上下方向に移動可能に支持する表板の下面側に設けられる案内棒とから構成されている。そして、ステッピングモータを駆動させてシャフトを回転させることにより、シャフトの雄ネジのピンの雌ネジに対する相対的な螺合位置が変化してピンが上方または下方に移動し、ピンの先端が表板の表面から出没する。このようにして、複数のピンの先端により、触角情報として所定の凹凸パターンが提示され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
【0005】
しかしながら、上記のような構成の従来の可動式ピンアレイにあっては、表板に設けた貫通孔内にピンを挿着することによりピンを上下方向に可動自在に支持し、ピンの内面に螺設した雌ネジとステッピングモータのシャフトに螺設した雄ネジとを相互に螺合させることにより、ステッピングモータの回転運動を直線運動に変換してピンを上下方向に可動させ、ピンがシャフトに対して回転するのを防止するために表板の下面側に案内棒を設けているため、各ピンを支持する部分の構造が複雑になってしまい、加工、組立てに手間がかかり、製造コストが高くなってしまう。
また、構造上、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることが困難である(ピンを高密度に配置することが困難である)。このため、微細な凹凸パターンを提示することができないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44289号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な構造で、容易かつ確実にピンを高密度に配置し得る可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする。
【0009】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0010】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体において、それぞれ、隣り合う前記挿通孔は、スリット部により繋がっているのが好ましい。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体には、それぞれ、前記各挿通孔を含む一筆書き状の開口が形成されているのが好ましい。
本発明の可動式ピンアレイでは、積層前における前記各板状体の前記開口のパターンは、略同一であるのが好ましい。
これにより、同一形状の板状体でガイド部を形成することができるので、加工、組立てを容易にすることができ、また、製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明の可動式ピンアレイでは、隣り合う前記板状体の前記開口のパターンが互いに異なるように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ガイド部の強度を向上させることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記開口は、並設された複数の帯状の部位を有し、前記各帯状の部位の一方の端部および他方の端部は、それぞれ、一列置きに繋がり、かつ、前記一方の端部側と前記他方の端部側とで、前記繋がった部位が交互に位置しているのが好ましい。
【0012】
本発明の可動式ピンアレイでは、隣り合う前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位と前記帯状の部位の端部の繋がっていない部位とが対応するように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ガイド部の強度を向上させることができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、一つ置きの前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位同士が対応するように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、板状体の開口パターンを少なくしつつ、ガイド部の強度を向上させることができる。
【0013】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各通路の内面にそれぞれ凹部が形成されるように、前記各板状体が積層されているのが好ましい。
これにより、ピンの側面と通路の内面(壁面)との真空吸着を防止(または抑制)することができ、ピンの可動(移動)を円滑に行うことができる。
また、前記凹部を、例えば、潤滑油等の潤滑剤を貯留する貯留部として利用することができる。すなわち、凹部に、例えば、潤滑油等の潤滑剤を供給し、貯留しておくことにより、ピンの可動をより円滑に行うことができ、また、その潤滑効果が長期間得られ、これによりピンの安定した動作が長期的に得られる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各挿通孔は、それぞれ、放電加工により形成されたものであるのが好ましい。
これにより、前記各挿通孔は、それぞれ、所定の形状、寸法に、容易、迅速かつ精度良く形成される。
【0014】
本発明の可動式ピンアレイは、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする。
【0015】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0016】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各板状体の形状は、それぞれ、略波状をなしているのが好ましい。
これにより、奇数列のピンの通路と偶数列のピンの通路とを、互いに半ピッチずらすことができ、ピンを高密度に配置することができる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各通路の内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。
これにより、ガイド部のピンとの接触面の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピンに対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピンをより円滑に可動(移動)させることができる。
【0017】
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンは、それぞれ、前記通路に可動自在に挿着されるピン本体と、前記ガイド部の両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記通路よりも大きい頭部とを有するのが好ましい。これにより、ガイド部からピンが脱落するのが防止され、ピンの安定した動作が長期的に得られることになる。
本発明の可動式ピンアレイでは、前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されているのが好ましい。
これにより、ガイド部へのピンの挿着を容易かつ確実に行うことができる。
【0018】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0019】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0020】
本発明の可動式ピンアレイの製造方法は、複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする。
【0021】
これにより、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、これにより、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
また、ピンの通路を細く、隣接するピンの通路間のピッチを狭くすることができ(ピンの通路を高密度に配置することができ)、ピンを細く、隣接するピン間のピッチを狭くすることができる(ピンを高密度に配置することができる)。これにより、本発明により製造された可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可動式ピンアレイおよび可動式ピンアレイの製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
ここで、以下の実施形態では、本発明の可動式ピンアレイを、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合について説明するが、本発明の可動式ピンアレイの用途は、これに限定されるものではない。
また、構造を判り易くするためや、説明し易いように、ピンの数が比較的少ない可動式ピンアレイを図示して説明を行うが、本発明の可動式ピンアレイのピンの数は、これに限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の可動式ピンアレイの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す可動式ピンアレイの側面図、図3は、図1に示す可動式ピンアレイの平面図である。
これらの図に示す可動式ピンアレイ1は、触覚情報を提示する触覚ディスプレイに用いられるものであって、触覚情報を提示(表示)する複数の触知素子として、複数のピン3と、複数のピン3を可動(移動)自在に支持するガイド部(ガイド手段)2とを備えている。
【0024】
ガイド部2の外形(全体形状)は、本実施形態では、直方体形状をなしており、このガイド部2には、図1中、上下方向に貫通した複数の通路(孔部)24が設けられている。本実施形態では、各通路24の形状は、それぞれ、円柱状をなしており(各通路24の横断面形状は、それぞれ、円形状をなしており)、各通路24は、それぞれ、同一内径に形成されている。また、本実施形態では、各通路24は、互いに平行になるように設けられている。
このガイド部2は、各通路24内に、それぞれ後述するピン3のピン本体31が可動(移動)自在に挿着(設置)されるようになっており、各ピン3の移動方向をそれぞれ規制するガイドとして機能する。すなわち、ガイド部2は、各ピン3を、それぞれ、その長手方向(軸方向)にのみ移動し得るように支持する。
【0025】
このガイド部2は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を積層してなる積層体で構成されている。各板状体20は、対応する各挿通孔21が積層方向(図1中、上下方向)に連通(結合)して前記各通路24が形成されるように積層されている。この積層体は、各板状体20が積層された状態(積層状態)で保持されるように、接合手段(保持手段)によって接合(保持)されている。接合手段としては、特に限定されず、例えば、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)、保持部材(例えば、枠状体、ボルトとナット、ピン等)等が挙げられる。
【0026】
接着剤としては、各板状体20の材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、各板状体20の材質に応じたものを選択して使用すればよく、各板状体20よりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0027】
また、ガイド部2の各通路24の内周面(ピン3との接触面)には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。フッ素樹脂の膜を形成する方法は各種あり、特に限定されないが、Ni−Pメッキ(電解メッキ、無電解メッキの両方可能)にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)を共析メッキさせる方法が好ましい。これにより、ガイド部2のピン3との接触面の撥水性、耐食性、耐酸性、耐摩耗性等を向上させることができ、また、ピン3に対する摩擦が低減され、様々な使用環境において優れた耐久性を発揮することができるとともに、ピン3をより円滑に可動させることができる。
ここで、前記フッ素樹脂の膜を設ける箇所を、前記通路24の内周面に代えて、ガイド部2の各通路24の内周面と接触する各ピン3の表面(外面)、すなわち、各通路24の内周面と接触する各ピン本体31の表面としてもよく、また、通路24の内周面とピン3(ピン本体31)の表面の両方としてもよい。
【0028】
図4は、図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の板状体を示す平面図である。
図4に示すように、ガイド部2の各板状体20は、それぞれ、薄型の板状構造を有している。また、各板状体20は、それぞれ、所定の間隔を隔てて形成され、所定の配列をなす複数の挿通孔21を有しており、各板状体20において、それぞれ、隣接する(隣り合う)挿通孔21は、スリット部22により繋がっている。すなわち、各板状体20には、それぞれ、各挿通孔21を含む一筆書き状の所定パターンの開口51が形成されている。
【0029】
本実施形態では、各板状体20が積層された状態において、図4(a)に示す、挿通孔21がスリット部22により略S字状に繋がれている板状体20、すなわち、略S字状の開口51が形成されている板状体20と、図4(b)に示す、挿通孔21がスリット部22により略逆S字状に繋がれている板状体20、すなわち、略逆S字状の開口51が形成されている板状体20とが存在する。以下、前記略S字状の開口が形成されている板状体を、単に、「S字状の開口の板状体」と言い、略逆S字状の開口が形成されている板状体を、単に、「逆S字状の開口の板状体」と言う。
ここで、積層前における各板状体20の開口51のパターンは、同一であってもよく、また、異なっていてもよい。
すなわち、前記S字状の開口51の板状体20と、前記逆S字状の開口51の板状体20とをそれぞれ複数用意し(作成し)、これらを積層してもよい。
【0030】
また、方向を変えることで前記2パターンの開口51が得られる同一形状(1種類)の板状体20を複数用意し(作成し)、その方向を変えて、板状体20を積層してもよい。これにより、同一形状の板状体20でガイド部2を形成することができるので、加工、組立てを容易にすることができ、また、製造コストを低減することができる。
なお、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20を裏返すことでその方向を変えると、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20となる(逆も同様である)ので、これらのうちのいずれか一方を用意(作成)すればよい。
【0031】
次に、前記板状体20の開口51のパターンをさらに詳細に説明する。
図8は、説明し易いように、図4に示す板状体よりも挿通孔を多く形成した板状体を示す平面図である。なお、図8(a)と図8(b)との関係は、図4(a)と図4(b)との関係と略同様である。
図8に示すように、板状体20には、図8中、左右方向に、直線状に等間隔で形成された挿通孔21の列が、複数列形成されている。隣り合う列の挿通孔21は、図8中、左右方向に、互いに、半ピッチずれている。これらの挿通孔21は、それぞれ、円形をなし、同一内径に形成されている。
【0032】
また、前記各列において、それぞれ、隣り合う挿通孔21は、スリット部22により繋がっている。
また、前記各列の図8中左側の端部の挿通孔21は、一列置きに、スリット部22により繋がっており、同様に、右側の端部の挿通孔21は、一列置きに、スリット部22により繋がっている。この場合、前記左側の端部側と、前記右側の端部側とで、前記繋がった部位(スリット部22)が交互に位置している。
【0033】
このように、前記各挿通孔21および各スリット部22で構成された開口51は、並設された複数の帯状の部位を有する。そして、この開口51の前記各帯状の部位の図8中左側の端部および右側の端部は、それぞれ、一列置きに繋がり、かつ、前記左側の端部側と前記右側の端部側とで、前記繋がった部位が交互に位置している。
【0034】
ここで、図8(a)に示す板状体20においては、図8(a)中最も上側の列(第1列)と、上側から2番目の列(第2列)とは、左側の端部側で繋がり、一方、図8(b)に示す板状体20においては、図8(b)中最も上側の列(第1列)と、上側から2番目の列(第2列)とは、右側の端部側で繋がっている。
なお、前述したように、図8(a)に示す板状体20を裏返すことでその方向を変えると、図8(b)に示す板状体20となる(逆も同様である)ので、これらのうちのいずれか一方を用意(作成)すればよい。
【0035】
前記各挿通孔21の形成方法は、特に限定されないが、各挿通孔21をワイヤー放電加工(放電加工)により形成するのが好ましい。すなわち、各挿通孔21は、板状体20の母材(挿通孔21が形成されていない板状体)に対してワイヤー放電加工を施すことにより、順次、連続的に形成されるのが好ましい。これにより、微細な挿通孔21を板状体20に、容易かつ迅速に、精度良く、高密度に形成することができる。
なお、ワイヤー放電加工により各挿通孔21を連続的に形成すると、前述した各スリット部22が形成され、各スリット部22を介して隣り合う挿通孔21がそれぞれ繋がり、前述した単一の開口51が形成される。
【0036】
各板状体20の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができるが、これらのうち、各種の金属が好ましい。板状体20を金属製とすることにより、前記ワイヤー放電加工により、板状体20に挿通孔21を形成することができる。
また、前述したように、各板状体20の各挿通孔21の内周面には、それぞれ、フッ素樹脂の膜が設けられているのが好ましい。
【0037】
図5は、図1に示す可動式ピンアレイのピンを示す側面図である。
図1および図5に示すように、各ピン3は、それぞれ、ガイド部2によって可動自在に支持されるピン本体(シャフト部)31と、ガイド部2の両端から突出するピン本体31の両端部にそれぞれ設けられる頭部32a、32bとで構成されており、これらのピン3の一方の頭部(触知部)32aによって所定の凹凸パターン(触覚情報)が提示される。
【0038】
各ピン本体31は、それぞれ、本実施形態では、横断面での形状が円形状をなす棒状体であって、同一長さ、同一外径(直径)に形成されている。
各ピン本体31の構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0039】
前記ガイド部2の厚さ(ピン3の長手方向におけるガイド部2の長さ)は、ピン本体31の両端部がガイド部2の図1中、上下方向の両端から所定量突出するように設定されており、ガイド部2の両端から突出する各ピン本体31の両端部には、それぞれ頭部32a、32bが一体に設けられている。
頭部32aは、触覚情報の提示側(表示面側)に配置され、ユーザーに対して触覚情報を提示する(ユーザーにより触れられる)触知部を構成する。一方、頭部32bは、前記と反対側(内部側)に配置される。
【0040】
各頭部32a、32bは、それぞれ、本実施形態では、円筒状(筒状)をなし、同一長さ、同一内径、同一外径に形成され、各ピン3の全長が同一となるように各ピン本体31の両端部に挿入された状態で固着手段により固着されている。各頭部32a、32bの構成材料としては、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属、各種樹脂、各種セラミックス等を用いることができる。
【0041】
固着手段としては、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。嵌合の場合には、ピン本体31と頭部32a、32bとの嵌め合いをきつくして、ピン3の可動時に頭部32a、32bがピン本体31から抜けないようにする。また、接着剤またはろう付けの場合には、例えば、ピン本体31と頭部32a、32bとの嵌め合いを緩くする。
【0042】
接着剤としては、ピン本体31、頭部32a、32bの材質に応じたものを選択して使用すればよく、例えば、ゴム系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。また、ろう付け用のろう材としては、ピン本体31、頭部32a、32bの材質に応じたものを選択して使用すればよく、ピン本体31、頭部32a、32bよりも低融点の金属、例えば、銅、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
【0043】
各頭部32a、32bは、それぞれ、その外径(直径)が、各通路24(挿通孔21)の内径(直径)よりも大きく、かつ隣接する通路24、24間のピッチ(隣接する挿通孔21、21間のピッチ)よりも小さく形成されている。これにより各頭部32a、32bが、ストッパーとして機能し、各ピン3がガイド部2から脱落するのが防止されるとともに、各ピン3の可動時に隣接する頭部32a、32a同士、隣接する32b、32b同士が互いに接触するのが防止される。
【0044】
この可動式ピンアレイ1の各ピン3は、それぞれ、例えば、駆動機構(図示せず)に連結され、駆動機構の駆動によりその長手方向(図1中上下方向)に変位(移動)し、長手方向の所定の位置に保持(位置決め)されるようになっている。これにより、凹凸パターンによる触覚情報が複数のピン3の頭部32aによって提示(表示)され、この凹凸パターンを手指で触れることにより、所定の情報を認識することができる。
前記駆動機構としては、特に限定されず、例えば、ACモータ、DCモータ、ステッピングモータ(パルスモータ)等の小型モータと小型モータの回転を直線運動に変換する変換機構とを組み合わせたアクチュエータ、固定子と移動子とを組み合わせたリニア駆動素子等を用いることができる。
【0045】
次に、上記のように構成した可動式ピンアレイ1の製造方法について説明する。
図6は、図1に示す可動式ピンアレイの組立斜視図、図7は、図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の組立図である。
この可動式ピンアレイ1の製造方法は、複数のピン3を可動自在に支持するガイド部2を形成するガイド部形成工程と、複数のピン3をガイド部2に取り付けるピン取付け工程とを備えている。
【0046】
ガイド部形成工程は、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を、対応する各挿通孔21が積層方向に連通して複数の通路24が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部2を形成する工程であって、下記の手順に従う。このガイド部形成工程では、まず、前記板状体20を所定数作成する。この場合、板状体20の母材(挿通孔21が形成されていない例えば四角形状の板状体)に対し、ワイヤー放電加工(放電加工)を施し、各挿通孔21をそれぞれ形成する。
【0047】
次いで、複数枚の板状体20を積層してガイド部2を形成する。この際、図7に示すように、前記S字状の開口51の板状体20と、前記逆S字状の開口51の板状体20とを交互に積み上げる。
この場合、例えば、前述したように、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20のみを所定数作成しておき、その板状体20を裏返し、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20として用いる。
また、板状体20を積層する際、例えば、隣り合う板状体20、20間に、接着材23を充填(滴下)し、隣り合う板状体20、20同士をその接着剤23で接着(接合)する。これにより、積層体が接着剤23によって積層状態で保持(固定)され、ガイド部2が形成される。
【0048】
このように形成されたガイド部2においては、隣り合う板状体20の開口51のパターン(スリット部22のパターン)は、互いに異なり、一つ置きの板状体20の開口51のパターン(スリット部22のパターン)は、同一となる。
すなわち、隣り合う板状体20において、開口51の帯状の部位の端部の繋がった部位とその端部の繋がっていない部位とが対向(対応)し、一つ置きの板状体20において、開口51の帯状の部位の端部の繋がった部位同士が対向(対応)する。
これにより、ガイド部2の構造上の強度が高くなり、これによってガイド部2の変形や破損を防止(または抑制)することができる。
【0049】
また、板状体20を積層する際は、隣り合う板状体20において、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致するように、各板状体20を積層する(図2参照)。なお、対応する挿通孔21、21同士を積層方向に一致させる方法(板状体20の位置決め方法)については、後で説明する。
このように積層方向に揃えられた挿通孔21の群は、ガイド部2内にて板状体20の積層方向に連通し(結合され)、前述した通路24を形成する。この通路24は、一枚の板状体20がそれぞれ有する挿通孔21の数だけ形成される。
【0050】
ピン取付け工程は、上記ガイド部形成工程で形成したガイド部2の各通路(孔部)24に、それぞれ、ピン本体31と頭部32a、32bとで構成されたピン3を可動自在に取り付ける工程であって、下記の手順に従う。
このピン取付け工程では、まず、図6に示すように、前述した構成のピン本体31および頭部32a、32bをそれぞれ複数用意し、各ピン本体31の一端部に、それぞれ、頭部32aを固着手段により固着させる。
【0051】
次いで、この状態で各ピン本体31を、それぞれ、ガイド部2の各通路24内に上方から挿通させ、各通路24の下端から突出した各ピン本体31の他端部にそれぞれ頭部32bを固着手段によりそれぞれ一体に固着させる。
前記固着手段としては、前述したように、例えば、嵌合、接着剤(接着)、ろう材(ろう付け)等や、これらのうちの任意の2以上の組合せが挙げられる。
このようにして、ガイド部2の各通路24にそれぞれ各ピン3を可動自在に取り付けることにより、図1〜図3に示す可動式ピンアレイ1が製造される。
【0052】
次に、各板状体20を積層するにあたり、対応する挿通孔21、21同士を積層方向に一致させる方法(板状体20の位置決め方法)について説明する。
図9は、各板状体を積層するにあたり、対応する挿通孔同士を積層方向に一致させる方法(板状体の位置決め方法)の一例を説明するための図である。
この方法では、図9に示す板状体20の位置決め用の治具(位置決め手段)61を用いる。この治具61は、四角形状の板状体で構成されたベース(基台)62と、ベース62の図9中上側の面(平面)に立設された一対の案内ピン63、63とを有している。各案内ピン63は、それぞれ、ベース62の対角線上の角部に位置し、そのベース62の図9中上側の面に対し、略垂直に設けられている。
【0053】
一方、各板状体20には、それぞれ、予め、4つの案内孔27を形成しておく。各案内孔27は、それぞれ、その板状体20の各角部に位置する。この場合、各案内孔27は、それぞれ、対角線上の所定の2つの案内孔27に対応する前記案内ピン63を挿通させつつ各板状体20を積層すると、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致するように形成される。これらの案内孔27は、それぞれ、例えば、ワイヤー放電加工(放電加工)により形成することができる。
【0054】
ガイド部2を形成する際は、図9(a)に示すように、板状体20の対角線上の所定の2つの案内孔27に、それぞれ、治具61の対応する案内ピン63を挿通させつつ、ベース62上に、順次、各板状体20を積層してゆく。この場合、前述したように、図4(a)に示すS字状の開口51の板状体20と、図4(b)に示す逆S字状の開口51の板状体20とを交互に積み上げるが、これらのうちの一方の板状体20を複数用意しておき、その板状体20を裏返して、他方の板状体20として用いる。
図9(b)に示すように、このようにして、対応する挿通孔21、21同士が積層方向に一致し、複数の通路24が形成されたガイド部2が得られる。そして、ガイド部2は、治具61から取り外される。
【0055】
以上説明したように、この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、複数の挿通孔21を有する複数の板状体20を積層してガイド部2を構成(形成)するので、ガイド部の構造を簡易にすることができ、また、加工、組立てを容易にすることができる。また、製造コストを低減することができ、安価なものを提供することができる。
【0056】
また、ガイド部2の通路24を細く、隣接する通路24、24間のピッチを狭くすることができ(通路24を高密度に配置することができ)、ピン3を細く、隣接するピン3、3間のピッチを狭くすることができる(ピン3を高密度に配置することができる)。これにより、この可動式ピンアレイ1を、触覚情報を提示(表示)する触覚ディスプレイ(触覚ディスプレイの表示部)に適用した場合において、微細な凹凸パターンを提示することができる。
【0057】
また、複数の板状体20を積層してガイド部2を構成するので、任意の厚さ、任意の形状を有するガイド部2を、容易に形成することができる。
なお、本発明では、ガイド部2の外形(全体形状)は、特に限定されず、ガイド部2の平面視での外形を、例えば、四角形状以外の多角形状(三角形状、五角形状、六角形状、八角形状等)、円形状、半円形状、楕円形状、半楕円形状等としてもよいし、また、この他の形状としてもよい。
【0058】
また、各通路24の配列、すなわち、各ピン3の配列は、図示のものに限定されない。
また、板状体20の挿通孔21の形成方法は、ワイヤー放電加工に限定されず、他の方法で挿通孔21を形成してもよい。
また、板状体20の各挿通孔21は、それぞれ、繋がっていなくてもよい。
【0059】
(変形例1)
図10は、第1実施形態の変形例1にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図10に示すように、この変形例1の可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の形成にあたり、各板状体20を積層した後に、その積層体の側面に接着剤25を付着させ、積層体を一括して接着(接合)する。図示例では、積層体の対向する1対の側面に接着剤25を付着させているが、これに限らず、例えば、積層体の4つの側面に接着剤25を付着させてもよい。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
(変形例2)
図11および図12は、それぞれ、第1実施形態の変形例2にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図11に示すように、この変形例2にかかる可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の形成にあたり、各板状体20を積層した後に、接合手段(保持手段)として、一対の枠状体(枠)26、26を用い、その積層体を積層状態に保持(接合)する。
【0061】
各枠状体26は、それぞれ、図11中上下方向の両端部に係止部261、261を有し、略コの字断面形状をなしている。
これらの枠状体26は、前記板状体20の積層体に対し、その側方(板状体20の積層方向に対して略垂直な方向)から積層体を挟み込むように取り付けられる。また、各枠状体26は、それぞれ、その係止部261、261にて、積層体を板状体20の積層方向から挟み込み、係止する。このようにして、積層体は、その積層状態にて保持される。
【0062】
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、この変形例2において、図12に示すように、枠状体26が、その係止部261、261にて、積層体をその側方(板状体20の積層方向に対して略垂直な方向)から挟み込み、係止するようになっていてもよい。
なお、この変形例2において、枠状体26の係止部261は、図示のものに限定されず、例えば、突起状に設けられた爪部等であってもよい。
【0063】
(変形例3)
図13は、第1実施形態の変形例3にかかる可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図である。
図13に示すように、この変形例3にかかる可動式ピンアレイ1では、前述した板状体20の位置決め用の治具(位置決め手段)61を、接合手段(保持手段)としても用いる。
すなわち、ガイド部2を形成する際は、図13(a)に示すように、板状体20の対角線上の所定の2つの案内孔27に、それぞれ、治具61の対応する案内ピン63を挿通させつつ、ベース62上に、順次、各板状体20を積層してゆく。
【0064】
そして、各板状体20を積層した後に、図13(b)に示すように、各案内ピン63の先端部を、それぞれ、潰す。これにより、積層体は、各ピンにより、それぞれ、板状体20の積層方向から挟み込まれ、係止される。このようにして、積層体は、その積層状態にて保持される。なお、治具61は、ガイド部2の一部となる。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、板状体20を1枚ずつ接着する場合と比較して、ガイド部2を容易に製造することができ、また、製造時間を短縮することができる。また、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の可動式ピンアレイの第2実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の可動式ピンアレイ1およびその製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0066】
図14に示すように、第2実施形態の可動式ピンアレイ1では、ガイド部2の各通路24の内面(壁面)にそれぞれ複数の凹部52が形成されるように、各板状体20が積層されている。
すなわち、ガイド部形成工程において、図14(a)に示すように、各板状体20は、それぞれ、各挿通孔21の位置が図14(a)中左側と右側とに交互にずれるように、積層される。
これにより、図14(b)に示すように、ガイド部2の各通路24の内面には、それぞれ、ピン3のピン本体31を中心にして、図14(b)中左側と右側とに交互に凹部52が形成される。
これらの凹部52により、各ピン3のピン本体31の側面と各通路24の内面(壁面)との真空吸着がそれぞれ防止(または抑制)され、これにより、各ピン3がそれぞれ円滑に可動(移動)することができる。
【0067】
また、各凹部52を、それぞれ例えば、潤滑油等の潤滑剤を貯留する貯留部として利用することができる。すなわち、各凹部52に、それぞれ、例えば、潤滑油等の潤滑剤を供給し、貯留しておくことにより、ピン3の可動をより円滑に行うことができ、また、その潤滑効果が長期間得られ、これによりピン3の安定した動作が長期的に得られる。
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、前述した変形例1〜3をそれぞれ適用してもよい。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図15、本発明の可動式ピンアレイの第3実施形態を示す斜視図、図16は、図15に示す可動式ピンアレイの側面図、図17は、図15に示す可動式ピンアレイの平面図、図18は、図15に示す可動式ピンアレイのガイド部を示す平面図である。
【0069】
以下、第3実施形態の可動式ピンアレイ1およびその製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
これらの図に示すように、第3実施形態の可動式ピンアレイ1では、そのガイド部2は、複数の板状体40を、隣り合う(隣接する)板状体40、40の間に各ピン3のピン本体31が挿入(挿着)される複数の通路41が形成されるように積層してなる積層体を有している。
【0070】
図18に示すように、本実施形態では、ガイド部2を構成する各板状体40の形状(断面形状)は、それぞれ、略波状(略波形)をなしている。
これらの板状体40は、隣り合う板状体40、40において、それぞれ、互いの波の頂部401、401同士が一致(対応)し、かつ、半周期ずれるように(一方が山のとき他方が谷となるように)、交互に積層される。これにより、隣り合う板状体40、40の間に、複数の通路41が形成される。
【0071】
この可動式ピンアレイ1およびその製造方法によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第3実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、前述した変形例1〜3をそれぞれ適用してもよい。
また、この第3実施形態では、各板状体40の形状は、それぞれ、略波状をなしているが、本発明では、これに限らず、他の形状であってもよい。
【0072】
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可動式ピンアレイの第1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す可動式ピンアレイの側面図。
【図3】図1に示す可動式ピンアレイの平面図。
【図4】図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の板状体を示す平面図。
【図5】図1に示す可動式ピンアレイのピンを示す側面図。
【図6】図1に示す可動式ピンアレイの組立斜視図。
【図7】図1に示す可動式ピンアレイのガイド部の組立図。
【図8】図4よりも挿通孔を多く形成した板状体を示す平面図。
【図9】挿通孔同士を積層方向に一致させる方法を説明するための図。
【図10】変形例1の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図11】変形例2の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図12】変形例2の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図13】変形例3の可動式ピンアレイのガイド部を示す斜視図。
【図14】本発明の可動式ピンアレイの第2実施形態を示す断面図。
【図15】本発明の可動式ピンアレイの第3実施形態を示す斜視図。
【図16】図13に示す可動式ピンアレイの側面図。
【図17】図13に示す可動式ピンアレイの平面図。
【図18】図13に示す可動式ピンアレイのガイド部を示す平面図。
【符号の説明】
1……可動式ピンアレイ 2……ガイド部 20……板状体 21……挿通孔22……スリット部 23……接着剤 24……通路 25……接着剤 26……枠状体 27……案内孔 3……ピン 31……ピン本体 32a、32b……頭部 40……板状体 41……通路 51……開口 52……凹部 61……治具 62……ベース 63……案内ピン 261……係止部 401……頂部
Claims (17)
- 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする可動式ピンアレイ。 - 前記各板状体において、それぞれ、隣り合う前記挿通孔は、スリット部により繋がっている請求項1に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各板状体には、それぞれ、前記各挿通孔を含む一筆書き状の開口が形成されている請求項1または2に記載の可動式ピンアレイ。
- 積層前における前記各板状体の前記開口のパターンは、略同一である請求項3に記載の可動式ピンアレイ。
- 隣り合う前記板状体の前記開口のパターンが互いに異なるように、前記各板状体が積層されている請求項3または4に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記開口は、並設された複数の帯状の部位を有し、前記各帯状の部位の一方の端部および他方の端部は、それぞれ、一列置きに繋がり、かつ、前記一方の端部側と前記他方の端部側とで、前記繋がった部位が交互に位置している請求項3または4に記載の可動式ピンアレイ。
- 隣り合う前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位と前記帯状の部位の端部の繋がっていない部位とが対応するように、前記各板状体が積層されている請求項6に記載の可動式ピンアレイ。
- 一つ置きの前記板状体において、前記帯状の部位の端部の繋がった部位同士が対応するように、前記各板状体が積層されている請求項6または7に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各通路の内面にそれぞれ凹部が形成されるように、前記各板状体が積層されている請求項1ないし8のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各挿通孔は、それぞれ、放電加工により形成されたものである請求項1ないし9のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイであって、
前記ガイド部は、所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層してなる積層体を有し、前記各通路にそれぞれ前記各ピンを可動自在に設けたことを特徴とする可動式ピンアレイ。 - 前記各板状体の形状は、それぞれ、略波状をなしている請求項11に記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各通路の内面と、前記各ピンの表面とのうちの少なくとも一方には、フッ素樹脂の膜が設けられている請求項1ないし12のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各ピンは、それぞれ、前記通路に可動自在に挿着されるピン本体と、前記ガイド部の両端から突出する前記ピン本体の両端部にそれぞれ設けられ、前記通路よりも大きい頭部とを有する請求項1ないし13のいずれかに記載の可動式ピンアレイ。
- 前記各ピンの両頭部は、それぞれ、筒状をなし、該頭部に前記ピン本体が挿入されている請求項14に記載の可動式ピンアレイ。
- 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
複数の挿通孔を有する複数の板状体を、対応する前記各挿通孔が積層方向に連通して複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする可動式ピンアレイの製造方法。 - 複数のピンと、前記各ピンを可動自在に支持するガイド部とを有する可動式ピンアレイの製造方法であって、
所定形状の複数の板状体を、隣り合う前記板状体の間に前記各ピンが挿入される複数の通路が形成されるように積層し、その積層体を有するガイド部を形成するガイド部形成工程と、
前記ガイド部形成工程で形成した前記ガイド部の各通路にそれぞれピンを可動自在に取り付けるピン取付け工程とを有することを特徴とする可動式ピンアレイの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7538427B2 (en) | 2005-03-08 | 2009-05-26 | Seiko Epson Corporation | Microchannel structure and manufacturing method therefor, light source device, and projector |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003151293A patent/JP2004354634A/ja not_active Withdrawn
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