JP2004353356A - 陶管の補修工法 - Google Patents
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Abstract
【効果】両受補修用継手の両端の受口は、補修箇所を切断して形成された端部を差口として接合できるため、余掘りを必要としない。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、陶管の補修工法に関し、特に、排水や下水などの陶製管路を補修用継手で補修する、陶管の補修工法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の陶管の補修工法に使用する補修用継手の一例が、非特許文献1に開示されている。この種の補修用継手はその両端に受口と差口とを持つ。この継手を補修箇所のある既設管路に置き換えて、継手の受口を既設管路の差口に嵌め、継手の差口を既設管路の受口に嵌め込む。たとえば、図11のように埋設された管路の補修工事を行う場合、長さW1の掘削孔1を設けて、補修箇所のある既設管路2を全て露出させる。この既設管路2を1本全て除去すると、既設管路の差口3と受口4とが残る。図12に示す補修用継手5の受口6を既設管路の差口3に嵌め込み、もう一方の既設管路の受口4に補修用継手5の差口7を嵌め込んで切断された管路を接続する。
【0003】
【非特許文献1】
編者「塩化ビニル管・継手協会」、「JPPFA 下水道用硬質塩化ビニル管 AS19」、平成14年7月1日改正、第15項
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、埋設された既設管路の継手の位置をあらかじめ特定することは困難であるため、まず図11のように長さW2だけ掘削して既設管路を露出させ、その状況を確認した上で、既設管路の受口4まで掘削孔の長さW3を広げる(余堀り工)必要があった。この方法では、余堀り工の費用が嵩んでしまう。よって、最初の掘削孔の長さを大きくすれば良いが、長いと費用が嵩んでしまうので、現実には最初に小さく掘削し、既設管路の差口や受口が見つからなければ余堀りをするようにしている。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、余掘り工を必要とせず、かつ必要最小限の掘削孔長さで陶製管路の補修工事ができる、陶管の補修工法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、地中に埋設された陶管の補修工法であって、(a)合成樹脂からなる両受補修用継手を準備し、(b)掘削して陶管を露出させ、(c)陶管を切断して補修箇所を除去し、(d)ステップ(c)で形成された2つの切断端部のそれぞれを両受補修用継手の対応の受口に差し込み、(e)受口を接合し、そして、(f)埋め戻す陶管の補修工法である。
【0007】
【作用】
この発明では、両端部に受口を有する両受補修用継手を用いる。埋設された陶製管路を補修する場合、まず掘削して補修する既設管路を露出させる。管路の補修箇所のみを切断して除去すると、切断により2つの既設管路の端部が形成される。これらの既設管路の端部を差口として、両受補修用継手の両方の受口を差し込む。既設管路の端部の外周面と両受補修用継手の受口の内周面との間に形成された隙間に接合材を充填し固化させると、両受補修用継手で切断された既設管路を接続できる。
【0008】
また、ゴム輪接合両受補修用継手を用いる場合、両受補修用継手を伸縮できる。したがって、これを用いて切断された既設管路を接続する場合、2つの既設管路の切断端部にある間隔に応じて補修用継手の長さを調整できる。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、両受補修用継手を陶管補修に用いるので、既設管路の補修箇所のみを切断し、切断箇所を両受け補修用継手で置き換えて繋げられる。このため、既設管路の受口を露出させる余堀り工が省略でき、かつ、掘削孔の長さを作業ができるだけの必要最小限の長さに抑えられる。したがって、陶管補修がより簡単かつ安価に行える。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【実施例】
図1および図2に示す両受補修用継手10が用いられる。この両受補修用継手10はたとえば塩化ビニルなどの合成樹脂製であり、第1接続継手12および第2接続継手14を含む。
【0012】
第1接続継手12は第1短管部16を有し、その一方の端部に拡径の第1受口18が形成され、その他方端部は差口20として形成される。第1受口18の開口縁22の内面上部には切欠24が形成される。切欠24の幅はK1である。この切欠24は、後で説明する第2接続継手14の切欠42と同じように、接合材74(図8)を流し込むためのものである。この開口縁22の下部内周上には3つの突起26が形成される。突起26の高さH1は図8のように第1短管部16の管底28と上流側差口30の管底32との高さを等しくする高さである。
【0013】
第2接続継手14は第2短管部34を有し、一方端部に拡径の第2受口36が形成され、他方端部にゴム輪受口38が形成される。この第2受口36は管底側に偏心してはいるが、第1受口18と大きさや形状がほぼ等しく、その開口縁40には切欠42や突起44が形成される。この切欠42の幅はK1であり、突起の高さはH2である。ただし、この実施例では、図8のように第2短管部34の管底46と下流側差口48の管底50との高さが等しくなるように、図2に示す第2受口36の中心52を第2短管部34の中心54よりも距離S1(第1短管部16の厚み、および第1短管部16と第2短管部34との隙間の幅の和)だけ偏心させる。あるいは、第2受口36の突起44の高さH2を第1受口18の突起26の高さH1よりS1だけ低く形成する。
【0014】
ゴム輪受口38には、その開口端部の内側に沿って環状のゴム輪受容部56が形成されており、その内側にはゴム輪58が装着される。ゴム輪受口38に第1短管部16の差口20が挿入され、両受補修用継手10を伸縮させてその長さを調節できる。このとき、第2短管部34の第2受口36側の一部60(図2)が窪んでいるため、両受補修用継手10を縮めた場合、第1接続継手12の差口20がこの部分60で止まり、第2受口36内に入ったり、さらに第2受口36の開口縁40から外側に出てしまったりすることはない。
【0015】
次に、図3〜図8を参照して、この両受補修用継手10を使用した陶管の補修工法を説明する。
【0016】
たとえば、図3に示す埋設された陶製の上流側管路62の差口と下流側管路64の受口との接合部から漏水しているとする。まず、既設管路の破損や水漏れなどの箇所を調査し、補修箇所が露出するように、図3の掘削孔66を形成する。そして、図4に示すように、上流側管路62および下流側管路64の孔66への突出長さがともにK2だけ残るように、補修箇所を切断し除去する。
【0017】
次に、切断によって形成された上流側管路62の端部、すなわち図8に示す端部30および下流側管路64の端部、すなわち図8に示す端部48を差口として、両受補修用継手10の第1受口18および第2受口36を嵌め込むが、その前に地上で、図2に示す両受補修用継手10の第1受口18の突起26が形成されている範囲および第2受口36の突起44が形成されている範囲、あるいはその近傍も含む範囲に接合材68(図5)を充填しておく。地上で予め準備しておくのは、地上で接合材68を充填する方が掘削孔66内で行うよりも作業性がよいからである。また、接合材68を突起26および44が形成されている範囲に充填するのは、この部分を下側にして取り付けるため、充填された接合材68が脱落しにくいからである。
【0018】
そして、図5に示すように、両受補修用継手10を掘削孔66内に搬入し、それの突起26が下側になるように、第1受口18に既設管の上流側端部30を挿入し、第1受口18の突起26をその上流側端部30の外側に当てがい、上流側端部30を第1受口18の奥まで嵌め込む。すると、第1短管部16の管底28と上流側端部30の管底32との高さが等しくなる。この状態を保持するため、図6で示すように第1受口18の下に土などの固定材70を設ける。
【0019】
次に図7に示すように両受補修用継手10の第2接続継手14を伸ばして、既設管の下流側端部48を第2受口36の奥まで嵌め、第2受口36の突起44を下流側端部48の外側に当てがう。すると、第2短管部34の管底46と下流側端部48との管底50の高さが等しくなる。そして、第1受口18と同様に第2受口36の下にも固定材72を設け、この状態を固定する。
【0020】
最後に、図8に示すように、第1受口18および第2受口36に形成される切欠24および42からモルタルなどの接合材74を供給して、上流側端部30の外周面と第1受口18の内周面との間に形成される隙間、および下流側端部48の外周面と第2受口36の内周面との間に形成される隙間にそれぞれ接合材74を充填する。この接合材74が固化すると上流側端部30と第1受口18との隙間、および下流側端部48と第2受口36との隙間が接合材74で密封されて、上流側端部30および第1受口18、ならびに下流側端部48および第2受口36のそれぞれ互いに結合する。そして、掘削孔66を埋め戻して、補修工事は終了する。
【0021】
このような陶管が他企業(水道、ガス、電力、通信)の管と近接して埋設される場合、他企業の管を付け替える際の掘削や不十分な埋め戻しなどが原因で、陶管が破損して道路陥没する事例が多発している。しかし、この実施例の補修用継手を使えば、その可能性が殆んどなくなる。
【0022】
従来の補修用継手を用いた補修工事では図12に示すように、掘削壁面から突出する下流側管路の端部に受口が必要であったので、この受口が露出するまで掘削孔を広げなければならなかった。これに対して、図1に示す両受補修用継手10を用いて補修工事を行うと、その第1受口18および第2受口36をそれぞれ上流側端部30および下流側端部48に接続するので、下流側端部に受口を必要とせず、したがって、従来必要とした余掘りの必要がなく経済的である。
【0023】
また、両受補修用継手10の受口18および36には切欠24および42が形成されている。したがって、たとえば図8に示すように第1受口18内へ接合材74を供給する際、第1受口18の開口縁22と掘削孔66の壁面66aとの間の幅K3が、接合材74を供給するために必要な幅Kよりも狭い場合でも、切欠24(42)の幅を合計した幅(K3+K1)から接合材74を確実に供給できる。したがって、第1受口18の開口縁22と掘削孔の壁面66aとの間に接合材74の供給用必要幅Kを確保する必要がなく、切欠24(42)の幅を考慮した幅K3(K−K1)だけを確保すればよい。このため、掘削孔66の長さは切欠24の幅K1だけ狭くでき、経済的である。これと同様に、上流側端部30および下流側端部48の突出幅K2も切欠24の幅K1だけ短くできる。
【0024】
さらに、両受補修用継手10の第1接続継手12と第2接続継手14とは、ゴム輪接合されているため伸縮し、既設管路の上流側端部30と下流側端部48との間の間隔にその長さを合わせられる。したがって、たとえば図4のように、既設管路62および64を切断する際、切断して形成される差口30および48の突出長さを合わせるなどの長さ(間隔)の微調整をする必要がない。
【0025】
なお、第2接続継手14の第2短管部34に窪み60を形成したが、第2短管部34を図9に示すような窪みのない直線状の管としてもよい。この場合、たとえば、第1接続継手12の第1短管部16の長さと第2短管部34の長さとをほぼ等しくすると、両受補修用継手10を縮めても、第1接続継手12の差口20が第2接続継手14の第2受口36内に入ったり、第2受口36の開口縁40から外側に出てしまったりすることはない。
【0026】
また、第1接続継手12の第1受口18の開口縁22の下部内周上に突起26を形成し、第2受口36の開口縁40の下部内周上に突起44を形成した。これらに代えて、図9および図10に示す突起76および78を設けてもよい。この突起76および78は各開口縁22および40の一部を内側に屈曲させて形成させたものであり、たとえば鉛直下方向に対し左右に2つ設けられる。突起76の高さは突起26の高さH1に等しく、突起78の高さは突起44の高さH2に等しい。さらに、各開口縁22および40の底になる部分で2つの突起76および78の間を内側に曲げて、水平面を形成する。つまり、この実施例の拡径受口18および36の各々は、管底側において受口外面より内方に位置する水平部80および82を有し、この水平部80および82の両側から立ち上がって、内方に突出する2つの突起76および78が形成される。これら開口縁22および40の2つの突起76および78、ならびに水平部80および82が突起26および44に相当し、既設管路62および64を支える。このような構成にすると、継手とは別に突起を形成し、突起を各受口に接続する必要がなく、拡径受け口と同時に一体成形できるため、作業の手間やコストなどの点で優れている。つまり、拡径受口18および36を形成するとき、外形の形状をこの実施例のように水平部80および82ならびに突起76および78を有する形状にするだけで、受口18および36と突起76および78とを同時に成形することができる。
【0027】
これら受口18および36の内面に砂付加工84を施すと、既設管路62および64の差口30および48との結合を強固にすることができる。この際、図10(A)に示すように差口30の外周面が第1受口18の開口縁22の水平部80の一部分86および突起76の頂点と接するため、これらの部分には砂付加工84を施さない。第2受口36についても同様に図10(B)に示すように突起78の頂点と水平部82の一部88に砂付加工を施さない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に用いられる両受補修用継手を上側から見た平面図である。
【図2】図1実施例に係る両受補修用継手の線II−IIを通る縦断面図である。
【図3】この発明の一実施例の最初の工程を示す図解図である。
【図4】実施例における次の工程を示す図解図である。
【図5】実施例におけるさらに次の工程を示す図解図である。
【図6】実施例におけるさらに次の工程を示す図解図である。
【図7】実施例におけるさらに次の工程を示す図解図である。
【図8】実施例における最後の工程を示す図解図である。
【図9】図1実施例に係る両受補修用継手の他の実施例を示す縦断面図である。
【図10】(A)は図9実施例の第1受口を示す平面図である。(B)は図9実施例の第2受口を示す平面図である。
【図11】従来の補修工法において既設管路と掘削孔とを示す図解図である。
【図12】従来の補修工法によって補修された状態を示す図解図である。
【符号の説明】
10…両受補修用継手
12…第1接続継手
14…第2接続継手
18…第1受口
24、42…切欠
26、44…突起
30…上流側端部
36…第2受口
48…下流側端部
66…掘削孔
Claims (2)
- 地中に埋設された陶管の補修工法であって、
(a)合成樹脂からなる両受補修用継手を準備し、
(b)掘削して前記陶管を露出させ、
(c)前記陶管を切断して補修箇所を除去し、
(d)前記ステップ(c)で形成された2つの切断端部のそれぞれを前記両受補修用継手の対応の受口に差し込み、
(e)前記受口を接合し、そして
(f)埋め戻す、陶管の補修工法。 - 前記ステップ(a)ではゴム輪接合両受補修用継手を準備し、
前記ステップ(d)では、一方の受口に一方の切断端部を差し込み、ついで、前記両受補修用継手の長さを調整して他方の受口に他方の切断端部を差し込む、請求項1記載の陶管の補修工法。
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