JP2004353115A - 産業資材用繊維処理剤 - Google Patents

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Tatsuhito Kou
樹人 高
Satoru Murakami
悟 村上
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Abstract

【課題】耐熱性及び潤滑性に優れ、製糸における糸切れ、毛羽及び発煙など発生が少なく、特に接着剤処理時にRFL液のコ−ド内部へ浸透する量をコントロ−ルし、相反する柔軟性と高強度を同時に有するディップコ−ドが得られる合成繊維用処理剤を提供する。
【解決手段】多価アルコ−ル(a1)と水酸基含有モノカルボン酸(a2)とのエステル(a3)のアルキレンオキサイド付加物(A)、脂肪族ジカルボン酸(b1)を必須成分とするカルボン酸成分(b)と該アルキレンオキサイド付加物(A)とのポリエステル(B)、水酸基含有化合物(c)のアルキレンオキサイド付加物(C)及びベ−スオイル(D)からなり、(A)/(B)の重量比が10/90〜40/60であることを特徴とする産業資材用繊維処理剤を使用する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維用繊維処理剤に関する。更に詳しくはタイヤコ−ド、シ−トベルト、エアバック用基布、漁網、ロ−プ、Vベルトなどの各種産業資材用の繊維処理剤に関する。特に、熱可塑性合成繊維の紡糸において給油処理した後、延伸、加撚、RFL液(接着剤)とデッピングした後でも、柔らかいが強度に優れたディップコ−ドを得ることができるタイヤコード用に適した繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維の紡糸、延伸工程には種々の処理剤が必要に応じて使用されてきたが、生産性及び品質向上のために、近年ますます紡糸、延伸速度が速くなり、それに伴い延伸ロ−ラ等の加熱体の温度も高くなってきたため、合成繊維用処理油剤には耐熱性、極圧性及び潤滑性などの生産工程における性能向上が望まれている。
【0003】
さらに、近年の技術の発展につれて、糸条の走行速度がより高速化し、それに伴って延伸ロ−ラ等の加熱体の温度も高温化していることから、合成繊維用処理油剤の熱分解物であるタ−ルが加熱体に堆積し、それが走行糸条に接触することにより、製糸時に糸切れや毛羽などの不具合を多く発生するという問題があり、その改良が強く望まれていた。
【0004】
特に、製糸後にRFL液(接着剤)で処理し、乾燥、熱処理することにより処理コ−ドを作成する場合は、処理温度が高いこと、得られるタイヤコ−ドが硬くなり、強度低下を起こすことから、このような処理コ−ドの強度低下をまねかない合成繊維用処理油剤の実現が要求されている。
【0005】
そして、従来の合繊繊維用処理剤としては、多価アルコ−ルと水酸基含有モノカルボン酸とのエステル化物にアルキレンオキサイドを付加させたものをさらにマレイン酸でエステル化して得られた化合物を配合した組成物が知られている(例えば特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−223368号公報
【0007】
上記の合成繊維用処理剤は、耐熱性に優れ、合繊繊維の製造工程における発煙も少なく、作業環境も向上することのできるものである。
【0008】
しかしながら、この合成繊維用処理剤は、分子量の大きい界面活性剤を多く含有するため、この処理剤で処理した後に、引き続きRFL液でデッピング処理すると、RFL液がコ−ドの表面付近だけにコ−ティングされ、そのためにタイヤコ−ド内部ヘの浸透が不十分となり、その結果、得られるコ−ドが硬くなり、ひいては強度低下を起こすという問題点がある。
【0009】
これとは別に、多価アルコ−ルのエチレンオキサイド付加物にモノカルボン酸及びジカルボン酸を反応し得られる非イオン活性剤を配合した組成物からなるものが知られている(例えば特許文献2)。
【0010】
【特許文献2】
特開平7−173768号公報
【0011】
この合成繊維用処理剤も、耐熱性に優れ、合成繊維の製造工程における発煙も少なく、作業環境も向上することのできるものである。
【0012】
しかしながら、この合成繊維用処理剤も、RFL液のタイヤコ−ド内部への浸透量の調節が困難なため、ディップコ−ドの強度と柔らかさの両方満足させることがうまくできないという欠点がある。
【0013】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明の目的は、耐熱性及び潤滑性に優れ、製糸における糸切れ、毛羽及び発煙など発生が少なく、特に接着剤処理時にRFL液のコ−ド内部へ浸透する量をコントロ−ルし、相反する柔軟性と高強度を同時に有するディップコ−ドが得られる合成繊維用処理剤を提供することにある。
【0014】
【発明が解決するための手段】
発明者らは、上記のこれらの問題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の合成繊維用処理剤は、下記(A)、(B)、(C)、(D)からなることを特徴とする産業資材用繊維処理剤;この繊維処理剤を用いて処理する合成繊維の処理方法;および処理された合成繊維である。
(A):多価アルコ−ル(a1)と水酸基含有モノカルボン酸(a2)とのエステル(a3)のアルキレンオキサイド付加物、
(B):脂肪族ジカルボン酸(b1)を必須成分とするカルボン酸成分(b)と前記アルキレンオキサイド付加物(A)とのポリエステル、
(C):水酸基含有化合物(c)のアルキレンオキサイド付加物、
(D):ベ−スオイル
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における繊維用処理剤としては、前記(A)〜(D)成分を混合したものであり、具体的な組成を以下に説明する。
【0016】
本発明の多価アルコ−ル(a1)と水酸基含有モノカルボン酸(a2)とからのエステル(a3)のアルキレンオキサイド付加物(A)において、多価アルコ−ル(a1)としては、エチレングリコ−ル、ポロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1.6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレンゴリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ルなどのジオ−ル;グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン等の3価のポリオ−ル;ペンタエリスリト−ル、ソルビタン、ソルビト−ル、ショ糖等の4価以上のポリオ−ルが挙げられる。上記の化合物のうち好ましいものは2価、3価のポリオ−ルであり、特に好ましいものはグリセリンである。
【0017】
なお、本発明のエステル(a3)を構成するアルコ−ル成分は、前述の多価アルコール(a1)のみでもよいが、さらに1価アルコ−ル(a1’)を多価アルコール(a1)と一部併用してもよい。この1価アルコ−ル(a1’)としては、エチルアルコ−ル、オクチルアルコ−ル、トリデシルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ラウリルアルコール、オレイルアルコ−ルなどの炭素数1〜32の脂肪酸1価アルコ−ルが挙げられる。これらのうち好ましいのは炭素数4〜25の1価アルコ−ルである。
1価アルコ−ル(a1’)を併用する場合、(a1’)の含有量は(A)の重量に基づいて通常30%以下、好ましくは20%以下である。
【0018】
水酸基含有モノカルボン酸(a2)としては、グリコ−ル酸、乳酸、α−オキシ酪酸など低級(C1〜4)脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸類;リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級(C5以上)脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸類(いわゆる動植物油からグリセリンを除いた有機酸残基);サリチル酸、没食子酸、マンデル酸など芳香族ヒドロキシモノカルボン酸類が挙げられる。これらのうち好ましいものは高級脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸類である。
【0019】
多価アルコ−ル(a1)と水酸基含有モノカルボン酸(a2)とのエステル(a3)としては、(a1)の水酸基と、(a2)中のカルボキシル基が反応したエステル化反応物で、(a1)と(a2)との反応モル比は特に限定されないが、(a1)の水酸基がすべて(a2)中のカルボキシル基と反応したものが好ましいが、(a1)の一部の水酸基が残ったエステル化反応物が混じっていても差し支えない。但し、水酸基含有モノカルボン酸(a2)中の水酸基は未反応のままで存在しており、この水酸基が次のアルキレンオキサイドと反応する。
また、このようなエステル(a3)として、天然物のひまし油、硬化ひまし油がそのまま使用でき、しかも好ましい。
【0020】
本発明のエステル(a3)のアルキレンオキサイド付加物(A)において、アルキレンオキサイド(以下AOと略す)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−または1,4−ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられ、好ましいのはエチレンオキサイド単独、およびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの併用が挙げられる。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、エステル(a3)の分子中に存在するそれぞれの水酸基1個当たり、通常1〜100モル、好ましくは5〜30モルである。
【0021】
(A)中のエチレンオキサイドとその以外のアルキレンオキサイドの合計付加モルのうち、エチレンオキサイドの構成単位が占めるモル比率は、通常50〜100%、好ましくは80〜100%以上である。
アルキレンオキサイドの付加方法は通常の方法でよく、2種以上のアルキレンオキサイドを付加させる場合は、ブロック付加、ランダム付加のいずれも可能である。
【0022】
(A)の重量平均分子量(Mw)は通常500〜5000であり、好ましくは1000〜3000である。500未満では浸透性が高すぎてタイヤコ−ド内部までRFL液(接着剤)の浸透量が多過ぎ、3000を超えると粘度が高過ぎるため、RFL液がタイヤコ−ドの表面しか付着せず、いずれの場合もディップコ−ドが硬くなるという欠点がある。
【0023】
繊維処理剤全重量中におけるアルキレンオキサイド付加物(A)の含有量は特に限定はないが、通常1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0024】
次に、脂肪族ジカルボン酸(b1)を必須成分とするカルボン酸成分(b)と前記のアルキレンオキサイド付加物(A)とのポリエステル(B)について説明する。
本発明において、ポリオール成分である前記のアルキレンオキサイド付加物(A)とカルボン酸成分(b)を反応させてポリエステル(B)を得るが、このカルボン酸成分(b)のうちの必須成分である脂肪族ジカルボン酸(b1)としては、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられる。また、これらの遊離カルボン酸だけでなく、その誘導体としての酸無水(無水マレイン酸など)、酸ハライド(マレイン酸ジクロライドなど)なども挙げられる。さらに、メチル基などの低級アルコ−ルエステル(マレイン酸ジメチルなど)を使用して、(A)とエステル交換することにより本発明のポリエステル(B)を得ることもできる。
【0025】
また、上記のジカルボン酸およびその誘導体以外に、モノカルボン酸(b2)を一部併用してエステル化してもよい。このようなモノカルボン酸(b2)としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ペンニル酸、モンタン酸、オンイン酸などの炭素数6〜30の脂肪酸を挙げることができる。
モノカルボン酸(b2)を併用する場合、(b)中の(b2)の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0026】
本発明におけるエステル(B)は、両末端にOH基を有するポリエステルポリオ−ルが得られるような割合で(A)と(b)とを反応させることにより製造することができる。具体的に(A)と(b)モル比は通常(A)/(b)が1/(1.1〜5)、好ましくは1/(1.5〜3)である。
エステル化の方法も公知の方法でよく、例えば予め得られたアルキレンオキサイド付加物(A)とマレイン酸とを直接エステル化したり、無水マレイン酸と反応させたり、またマレイン酸ジメチルとエステル交換してもよい。
【0027】
(B)の数平均分子量は、通常3000〜15000であり、好ましくは4000〜8000である。3000未満では浸透性が高過ぎてタイヤコ−ド内部までRFL液(接着剤)の浸透量が多過ぎ、15000を超えると粘度が高過ぎるため、RFL液がタイヤコ−ドの表面しか付着せず、いずれの場合もディップコ−ドが硬くなるという欠点がある。
【0028】
繊維処理剤全体重量中のエステル(B)の含有量は特に限定はないが、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。5重量%未満では浸透性が高過ぎてコ−ド内部までRFL液の浸透量が多過ぎ、50重量%を超えると、いずれの場合もディップコ−ドが硬くなるという欠点がある。
【0029】
本発明で、(A)と(B)を組み合わせる際に、使用する(B)の原料としての(A)は、同時に配合する(A)の組成のものを必ずしも使用する必要はなく、例えば(A)としてひまし油のAO付加物を用い、(B)として硬化ひまし油AO付加物のマレイン酸エステルを組み合わせて配合してもよい。
(A)/(B)の重量比は、通常10/90〜40/60であり、好ましく比率は20/80〜40/60である。この比率が10/90未満では粘度が高過ぎるため、RFL液がタイヤコ−ドの表面しか付着せず、40/60を超えると浸透性が高過ぎてコ−ド内部までRFL液の浸透量が多過ぎ、いずれの場合もディップコ−ドが硬くなるという欠点がある。
【0030】
(A)と(B)の混合物のHLBの計算値は通常2〜20であり、好ましくは4〜15である。2未満では接着剤(RFL水溶液)との相溶性が悪いので、コ−ドへの浸透性が悪くなり、デッピング性が悪くなる。20を超えると、接着剤(RFL水溶液)との相溶性が高過ぎるので、コ−ドへの浸透性が高過ぎ、コ−ド内部まで接着剤が染みこむ量が多くなるので、コ−ドが硬くなる。
【0031】
次に本発明における水酸基含有化合物(c)のアルキレンオキサイド付加物(C)を説明する。
(C)に用いられる水酸基含有化合物(c)としては、水酸基を含有しない脂肪族モノカルボン酸と多価アルコールとのエステル(c1)、1価アルコール(c2)、ジオール(c3)、3価のポリオール(c4)、4価以上のポリオール(c5)等が挙げられる。
水酸基を含有しない脂肪族モノカルボン酸と多価アルコールとのエステル(c1)としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸などの水酸基を含有しない脂肪族モノカルボン酸と、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール等の多価アルコールとのエステル化反応物のうち、分子内に多官能アルコールに由来する未反応の水酸基を1個以上有するエステルが挙げられ、これらは、モノエステル、ジエステル、トリエステルでもよい。
1価アルコ−ル(c2)は、前述の1価アルコ−ル(a1’)として挙げたものが使用できる。また、ジオール(c3)、3価のポリオール(c4)、4価以上のポリオール(c5)は、(a1)でそれぞれ説明したものが挙げられる。
これらの中で好ましいのは、水酸基を含有しない脂肪族モノカルボン酸と多価アルコールとのエステル(c1)、1価のアルコール(c2)、4価以上のポリオール(c5)であり、さらに好ましいのは(c1)、(c2)であり、特に好ましいのは、ソルビタンと脂肪族モノカルボン酸とジエステル、トリエステルである。
【0032】
本発明における水酸基含有化合物(c)のアルキレンオキサイド付加物(C)は、水酸基含有化合物(c)に対しアルキレンオキサイドを付加した化合物であり、アルキレンオキサイドとしては、(A)で説明したものと同様のものが使用され、好ましいのはエチレンオキサイド単独、およびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの併用が挙げられる。
エチレンオキサイドとその以外のアルキレンオキサイドの合計付加モルのうち、エチレンオキサイドの構成単位が占めるモル比率は、通常80〜100%、好ましくは90〜100%以上である。80モル%未満では、油剤とRFL水溶液との相溶性が悪くなる。2種のアルキレンオキサイドを付加させる場合は、ブロック付加、ランダム付加のいずれも可能である。
(C)の具体例としては、ラウリルアルコールのエチレンオキサイド付加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ソリビト−ルのエチレンオキサイド付加物、トリメチロ−ルプロパンエチレンオキサイド付加物など挙げられ、好ましくは硬化ひまし油ソルビトールのエチレンオキサイド付加物が用いられる。
【0033】
(C)の重量平均分子量は、通常1000〜5000、好ましくは1500〜3000である。1000未満では乳化性が不十分であり、5000を超えると粘度が高くなる。
繊維処理剤全重量における(C)の含有量は特に限定はないが、通常1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。1重量%未満では油剤の均一付着性が悪くなり、20重量%を超えるとRFL水溶液との親和性が増加させてし、コ−ド内部までの浸透量が多過ぎるので、コ−ドが硬くとなる。
【0034】
本発明におけるベ−スオイル(D)としては、アルコ−ル類とカルボン酸類とのエステル化合物、鉱物油、動植物油、ワックスなどが挙げられる。
アルコ−ル類とカルボン酸とのエステル化合物としては、1,6−ヘキサンジオ−ル、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ネオペンチルグリコ−ル、炭素数24〜26の分岐アルコ−ル、これらのアルコールのエチレンオキサイド付加物などのアルコール類と、オレイン酸、オクチル酸、ラウリン酸などの一塩基酸、アジピン酸、セバシン酸などの二塩基酸、チオプロピオン酸などもカルボン酸とのエステル、ジエステルが挙げられる。
鉱物油としては、精製スピンドル油、流動パラフィンなどが挙げられる。
動植物油としては、ヤシ油、ナダネ油、ひまし油などが挙げられる。
(D)これらの2種以上を併用してもよい。
繊維処理剤全重量中の(D)の含有量は特に限定はないが、通常5〜90重量%、好ましくは30〜60重量%である。
【0035】
本発明の繊維処理剤がその性能を発揮するためには、本繊維処理剤で処理したウールキャンパスのRFL液(接着剤)に対する、ウールキャンパスの濡れる時間および沈降する時間が適切であることが必要である。
例えば、後述する試験方法で測定した場合、濡れ時間が通常1〜30秒、好ましくは3〜15秒であり、沈降時間が通常2〜40秒、好ましくは5〜25秒であることが必要である。
濡れ時間および沈降時間が長過ぎると、RFL液がコ−ド内部へはほとんど浸透せずに、コ−ド表面のみがコ−ティングされるため、硬いコ−ドしか得られない。逆に、濡れ時間および沈降時間が短か過ぎる場合でも、コ−ドの内部へのRFL液の浸透量が多過ぎて、得られるコ−ドが硬くなる。
なお、濡れ時間とは、RFL液がウールキャンパスの下面から上面まで全体的に濡れる状態になるのに要する時間であり、油剤の湿潤性成分が多いほど濡れる時間が短い。一方、沈降時間とは、RFL液がウールキャンパスの内部まで完全に浸透し、自然と液表面から溶液中に沈む状態になるのに要する時間であり、油剤中の高分子成分が多いほど、RFL液が内部へ浸透しにくいので、沈降する時間が長くなる。
【0036】
<濡れ時間及び沈降時間の測定方法>
アセトンで洗浄して乾燥した縦20mm×横20mm×厚さ2mmのウールキャンパスに、この重量に対して2重量%に相当する油剤を付着させたものを試料とする。
200ccのビ−カ−に下記配合組成のRFL水溶液(接着剤)を150cc採取し、上記の予め油剤処理したウールキャンパスの試料をRFL液表面に静かに水平に置き、ウールキャンパス表面が全部濡れるまでの時間(濡れ時間)、およびウールキャンパスがRFL水溶液へ沈む時間(沈降時間)を測定する。
【0037】
Figure 2004353115
【0038】
上記(A)、(B)、(C)及び(D)は、本発明のタイヤコード用繊維処理剤の必須成分であり、合成繊維用油剤中に90重量%以上含有させることによって、合成繊維の製糸性と得られた繊維の性能を好ましく維持し、しかも含まれる上記各成分の作用を十分に発揮させることができる。
【0039】
本発明の繊維処理剤には、酸化防止剤、静電防止剤などの添加剤を必要に応じて混合して用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス245、同565(日本チバガイギー社製)等が挙げられ、添加量は繊維処理剤全重量の0.05〜2.0重量%である。
静電防止剤としては、例えば、オレイルホスフェートナトリウム、脂肪酸石けん等が挙げられ、添加量は繊維処理剤全重量の0.05〜2.0重量%である。
【0040】
本発明の処理剤は繊維にそのまま付与、または有機溶剤もしくは非極性の希釈剤(低粘度流動パラフィンなど)で希釈して付与、あるいは水で乳化してエマルション系で付与できる。本発明の処理剤を繊維に付与する方法については特に限定されないが、ロ−ラ−あるいはガイド給油装置を用いて紡糸直後延伸前、あるいは延伸中、延伸後巻き取り前に付与する方法等がある。また、巻き取り後、加工工程(撚糸工程前やRFL液処理前)において付与してもよい。
【0041】
本発明の繊維用処理剤が適用される繊維は特に限定されないが、合成繊維に好適であり、特にナイロン、ポリエステルなどの強度の高い産業資材用合成繊維、なかでもタイヤコ−ド用に優れた効果を発揮する。
【0042】
従って、本発明の繊維用処理剤で処理された繊維は、タイヤコ−ド、シ−トベルト、エアバック用基布、漁網、ロ−プ、Vベルトなどの各種産業資材用として、好適に使用することができる。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明の構成及び効果についてさらに詳述する。
下記に組成を示した(A−1)〜(A−3)、(B−1)、(B−2)、(C−1)〜(C−3)および(D−1)〜(D−4)を表1に示す重量比率で配合し、本発明の繊維処理剤1〜4および比較処理剤1〜6を作成した。
【0044】
A−1:硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物(Mw=2000)
A−2:ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物(Mw=3100)
A−3:グリセリントリリノレートのエチレンオキサイド(8モル)/プロピレンオキサイド(12モル)ランダム付加物(Mw=2000)
B−1:上記(A−1)/無水マレイン酸/ステアリン酸(モル比5/4/6)とのポリエステル(Mw=5300)
B−2:上記(A−2)/無水マレイン酸/セバチン酸(モル比5/3.5/5.5)とのポリエステル(Mw=6700)
B−3:上記(A−1)/アジピン酸/ステアリン酸(モル比=3/2/3) とのポリエステル(Mw=5000)
C−1:ソルビタントリオレエ−トのエチレンオキサイド(20モル)付加物(Mw=1800)
C−2:ソルビタンジオレエ−トのプロピレンオキサイド(20モル)/エチレンオキサイド(9モル)ランダム付加物(Mw=2100)
C−3:ラウリルアルコ−ルのプロピレンオキサイド(5モル)/エチレンオキサイド(10モル)ランダム付加物(Mw950)
C−4:オレイルアルコ−ルのエチレンオキサイド10モル付加物(Mw=700)
D−1:ジ(ラウリルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物)チオジプロピオネ−ト(Mw=750)
D−2:ネオペンチルグリコ−ルジイソステアレ−ト
D−3:精製ナタネ油
D−4:牛脂
D−5:オレイルオレエ−ト
【0045】
【表1】
Figure 2004353115
【0046】
評価項目として、▲1▼ディップコ−ドの強度、▲2▼ディップコ−ドの曲げたわみの測定を行った。以下に評価方法を説明する。これらの評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 2004353115
【0048】
<評価方法>
▲1▼ディップコ−ドの強度
試料コ−ド:ナイロン撚糸コ−ド(1500dtex2本)
RFL液:前記
RFL液の付着量:2.2重量%
ディップコ−ドの乾燥条件:150℃で2分乾燥後、240℃で1分間で熱処理する
【0049】
▲2▼ディップコ−ドの曲げたわみ
試料コ−ド:▲1▼で作成した接着剤の付着したディップコ−ド
測定方法:5cm間隔に2個の支点を設置した台で、このディップコードを2個の支点に水平に置き、その真ん中に0.4gの荷重を架ける。1分間後に、荷重でたわんだ最大曲げ位置と水平との差(mm)を測定する。
【0050】
本発明の実施例1〜4の油剤で処理したディップコードは、いずれも、高い強度を示しながら、たわみが大きく柔軟性もある。
それに対して、(B)のみを必須成分とし(A)を含まない特許文献1に該当する比較例5、および、(D−2)のような非イオン活性剤を必須成分とし(A)を含まない特許文献2に該当する比較例3、さらに、必須成分の(B)を含まない比較例4の油剤では強度が劣り、柔軟性も不足する。また、(A)/(B)の比率が本発明の範囲に合致しない比較例1、2の油剤は柔軟性に問題がある。
【0051】
【発明の効果】
本発明の繊維用処理剤は、紡糸時の耐熱性、潤滑性、処理剤の付着性に優れ、製糸における糸切れや毛羽および発煙などの発生が少なく、かつ接着剤処理後に柔軟性が高く、強度に優れたディップコ−ドを得ることができる。
本発明の繊維用処理剤は、特にナイロン、ポリエステルなどの強度の高い産業資材用繊維の製造工程、加工工程で付与され、タイヤコ−ド、シ−トベルト、エアバック用基布、漁網、ロ−プ、Vベルトなどの各種産業資材用途に対して好適である。特に、タイヤコ−ド用繊維の処理剤として優れた性能を発揮する。

Claims (8)

  1. 多価アルコ−ル(a1)と水酸基含有モノカルボン酸(a2)とのエステル(a3)のアルキレンオキサイド付加物(A)、脂肪族ジカルボン酸(b1)を必須成分とするカルボン酸成分(b)と該アルキレンオキサイド付加物(A)とのポリエステル(B)、水酸基含有化合物(c)のアルキレンオキサイド付加物(C)及びベ−スオイル(D)からなり、(A)/(B)の重量比が10/90〜40/60であることを特徴とする産業資材用繊維処理剤。
  2. (A)と(B)の混合物のHLBの計算値が2〜20である請求項1記載の産業資材用繊維処理剤。
  3. 多価アルコール(a1)が2価または3価のアルコールである請求項1または2記載の産業資材用繊維処理剤。
  4. エステル(a3)がヒマシ油または硬化ヒマシ油である請求項1〜3いずれか記載の産業資材用繊維処理剤。
  5. 水酸基含有化合物(c)が、水酸基を含有しない脂肪族モノカルボン酸と多価アルコ−ルとのエステル(c1)、または1価アルコール(c2)である請求項1〜4いずれか記載の産業資材用繊維処理剤。
  6. 産業資材用繊維がタイヤコードである請求項1〜5いずれか記載の産業資材用繊維処理剤。
  7. 合成繊維の紡糸工程において、請求項1〜6いずれか記載の産業資材用繊維処理剤を用いて、繊維を給油処理した後、延伸、加撚、デッピングすることを特徴とする合成繊維の処理方法。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の産業資材用繊維処理剤で処理された後、延伸、加撚、ディッピングされて製造されたことを特徴とする産業資材用合成繊維。
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