JP2004353039A - 高強度低弾性率Ti合金およびその製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】めがねフレームのテンプル部のあたりを柔軟にし、また、ゴルフクラブのボールとの反発力を増す、高強度低弾性率を有するTi合金の提供。
【解決手段】質量%で、Zrを10〜35%およびCrを8〜14%含有し、残部Tiおよび不可避な不純物からなる合金組成を有するTi合金、または該Zrの一部を5%までのSnで置換した合金。該合金を冷間加工により高強度としたゴルフクラブヘッド。
【選択図】なし
【解決手段】質量%で、Zrを10〜35%およびCrを8〜14%含有し、残部Tiおよび不可避な不純物からなる合金組成を有するTi合金、または該Zrの一部を5%までのSnで置換した合金。該合金を冷間加工により高強度としたゴルフクラブヘッド。
【選択図】なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高強度で低弾性率のTi合金と、それを使用して製造したTi合金製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
Ti合金は、軽量であって高強度を発揮できるから、そのような特性が求められるさまざまな用途に向けられている。これまで知られているTi合金には、つぎのようなものがある。
めがねフレーム用:
純Ti
Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al
Ti−22V−4Al
ゴルフクラブのフェース用:
Ti−6Al−4V
Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al
Ti−22V−4Al
【0003】
めがねフレームでは、線径を細くできる高い強度をもち、かつ、テンプル部のあたりを柔軟にすることができるよう、弾性率が低い材料が求められる。ゴルフクラブのフェースでは、弾性率を下げることによってボールとクラブヘッドのインピーダンスが近づき、その結果、反発カが増すことが知られているから、ここでも、高強度に加えて低弾性率の材料が望まれる。
【0004】
以前は、ゴルフクラブにはフェースの「反発特性」が高いことが好ましいとされ、高いヤング率(12,000kgf/mm2以上)を示すTi合金の使用が提案されたこともあったが(特開平2−59731)、今日では、この考えは力を失っている。高強度で高延性のTi合金において、耐高温大気酸化性を改善したものとして、特定量のFeおよびOを添加した、数%のZrを含有する合金組成も開示されている(特開平11−335757)が、上記のような用途における弾性率のもつ意義に言及したものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、これまでめがねフレームやゴルフクラブのヘッドの材料として使用されてきたTi合金と同等またはそれ以上の強度を有する上に、低減された弾性率を有するTi合金を提供することにある。そのようなTi合金を使用して、より高性能な製品を提供することも、本発明の目的に含まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の高強度低弾性率Ti合金は、質量%で、Zrを10〜35%およびCrを8〜14%含有し、残部がTiおよび不可避な不純物からなる合金組成を有するTi合金である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の高強度低弾性率Ti合金は、その10〜35%を占めるZr成分の一部を、5%までのSnで置き換えた合金組成とすることができる。以下に、本発明のTi合金の合金組成を上記のように選択した理由を説明する。
【0008】
Zr:10〜35%
TiにZrを添加すると、弾性率を低下させることができる。その効果は、少なくとも10%の添加をしないと得られない。過大に添加すると、Tiの量が相対的に減り、合金の比重が増大してしまう。効果が飽和する35%を添加の限度とする。
【0009】
Cr:8〜14%
Crは、ヤング率を下げるβ相を形成させることを目的に添加する。8%という添加量下限は、β単相を得るために必要な最低量である。多量のCrは、TiCr2、ZrCr2の生成を招いて好ましくないから、上限値14%までの添加量を選ぶ。
【0010】
Sn:5%以下
Snは、弾性率を下げる作用はZrほどではないが、Ti中ではZrと同様に、α相およびβ相を強化する中性的な元素であり、Zrの一部をSnに置き換えることができる。その限度は、本来の目的であるZrによる弾性率低下の効果を妨げないよう、5%以下に止めるのがよい。
【0011】
Ti:残部
Tiは低密度であって製品の軽量化を可能にするので、バランス元素として使用する。
【0012】
本発明のTi合金を製品に加工する手段としては、冷間加工を行なうことが好ましい。冷間加工は、弾性率を増加させずに強度を高める手段として有効であり、それにより高強度の製品が得られる。この効果は、加工度にして20%以上で得られるが、あまり高くすると異方性が生じるので、用途によっては差し支える。実用上は、50%程度に止めるのが得策である。
【0013】
【実施例1】
表1に示す合金組成をもつTi合金を、プラズマスカル炉を用いて溶製し、直径100mm、10kgのインゴットに鋳造した。比較のため、本発明にしたがう合金組成の範囲外のもの1種、および既知のTi合金3種を、同様に溶製し、鋳造した。各インゴットを鍛伸して、直径20mmの棒材とした。900℃に30分間加熱したのち水冷する固溶化処理をほどこし、試験片(平行部直径6.3mm,GL=40)を採取して引張試験にかけるとともに、弾性率の尺度としてヤング率を、共振法により測定した。試験結果を、表1にあわせて掲げる。
【0014】
表1のデータから、本発明のTi合金は、既知の代表的Ti合金3種と比較したとき、強度において明確にまさっており、一方、弾性率の尺度であるヤング率も、明らかにより低い値が得られていることがわかる。引張り試験における伸びは、ほぼ同等の値が得られており、加工性は劣らないことも確認できている。本発明の範囲外の合金組成をもつ比較例Aは、ヤング率が大きく、低弾性率という発明の目的に反している。
【0015】
表1 合金組成(質量%、残部Ti)
【0016】
【実施例2】
実施例No.1のTi合金に、冷間伸線(伸線率25%、50%および75%)を施して線材を得、各伸線率における引張特性とヤング率を測定した。その結果を図1のグラフに示す。伸線率の増加に伴い、引張り強さが増大しているが、伸びとヤング率とは実質上変化していないことがわかる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の高強度低弾性率Ti合金は、前記した実施データからわかるように、既知のTi合金にくらべてより高い強度を示し、一方で弾性率は明確に低下している。加工性は、従来の合金と変わらない。ゆえにこのTi合金は、前記のような製品、代表的にはめがねフレームやゴルフクラブのヘッド(とくにフェース部分)の材料として好適である。製品への加工を冷間加工によって行なえば、加工硬化によるいっそうの高強度化が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のデータであって、実施例No.1のTi合金の棒材を冷間伸線して得た線材の引張特性およびヤング率に及ぼす、伸線率の影響を示したグラフ。
【産業上の利用分野】
本発明は、高強度で低弾性率のTi合金と、それを使用して製造したTi合金製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
Ti合金は、軽量であって高強度を発揮できるから、そのような特性が求められるさまざまな用途に向けられている。これまで知られているTi合金には、つぎのようなものがある。
めがねフレーム用:
純Ti
Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al
Ti−22V−4Al
ゴルフクラブのフェース用:
Ti−6Al−4V
Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al
Ti−22V−4Al
【0003】
めがねフレームでは、線径を細くできる高い強度をもち、かつ、テンプル部のあたりを柔軟にすることができるよう、弾性率が低い材料が求められる。ゴルフクラブのフェースでは、弾性率を下げることによってボールとクラブヘッドのインピーダンスが近づき、その結果、反発カが増すことが知られているから、ここでも、高強度に加えて低弾性率の材料が望まれる。
【0004】
以前は、ゴルフクラブにはフェースの「反発特性」が高いことが好ましいとされ、高いヤング率(12,000kgf/mm2以上)を示すTi合金の使用が提案されたこともあったが(特開平2−59731)、今日では、この考えは力を失っている。高強度で高延性のTi合金において、耐高温大気酸化性を改善したものとして、特定量のFeおよびOを添加した、数%のZrを含有する合金組成も開示されている(特開平11−335757)が、上記のような用途における弾性率のもつ意義に言及したものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、これまでめがねフレームやゴルフクラブのヘッドの材料として使用されてきたTi合金と同等またはそれ以上の強度を有する上に、低減された弾性率を有するTi合金を提供することにある。そのようなTi合金を使用して、より高性能な製品を提供することも、本発明の目的に含まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の高強度低弾性率Ti合金は、質量%で、Zrを10〜35%およびCrを8〜14%含有し、残部がTiおよび不可避な不純物からなる合金組成を有するTi合金である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の高強度低弾性率Ti合金は、その10〜35%を占めるZr成分の一部を、5%までのSnで置き換えた合金組成とすることができる。以下に、本発明のTi合金の合金組成を上記のように選択した理由を説明する。
【0008】
Zr:10〜35%
TiにZrを添加すると、弾性率を低下させることができる。その効果は、少なくとも10%の添加をしないと得られない。過大に添加すると、Tiの量が相対的に減り、合金の比重が増大してしまう。効果が飽和する35%を添加の限度とする。
【0009】
Cr:8〜14%
Crは、ヤング率を下げるβ相を形成させることを目的に添加する。8%という添加量下限は、β単相を得るために必要な最低量である。多量のCrは、TiCr2、ZrCr2の生成を招いて好ましくないから、上限値14%までの添加量を選ぶ。
【0010】
Sn:5%以下
Snは、弾性率を下げる作用はZrほどではないが、Ti中ではZrと同様に、α相およびβ相を強化する中性的な元素であり、Zrの一部をSnに置き換えることができる。その限度は、本来の目的であるZrによる弾性率低下の効果を妨げないよう、5%以下に止めるのがよい。
【0011】
Ti:残部
Tiは低密度であって製品の軽量化を可能にするので、バランス元素として使用する。
【0012】
本発明のTi合金を製品に加工する手段としては、冷間加工を行なうことが好ましい。冷間加工は、弾性率を増加させずに強度を高める手段として有効であり、それにより高強度の製品が得られる。この効果は、加工度にして20%以上で得られるが、あまり高くすると異方性が生じるので、用途によっては差し支える。実用上は、50%程度に止めるのが得策である。
【0013】
【実施例1】
表1に示す合金組成をもつTi合金を、プラズマスカル炉を用いて溶製し、直径100mm、10kgのインゴットに鋳造した。比較のため、本発明にしたがう合金組成の範囲外のもの1種、および既知のTi合金3種を、同様に溶製し、鋳造した。各インゴットを鍛伸して、直径20mmの棒材とした。900℃に30分間加熱したのち水冷する固溶化処理をほどこし、試験片(平行部直径6.3mm,GL=40)を採取して引張試験にかけるとともに、弾性率の尺度としてヤング率を、共振法により測定した。試験結果を、表1にあわせて掲げる。
【0014】
表1のデータから、本発明のTi合金は、既知の代表的Ti合金3種と比較したとき、強度において明確にまさっており、一方、弾性率の尺度であるヤング率も、明らかにより低い値が得られていることがわかる。引張り試験における伸びは、ほぼ同等の値が得られており、加工性は劣らないことも確認できている。本発明の範囲外の合金組成をもつ比較例Aは、ヤング率が大きく、低弾性率という発明の目的に反している。
【0015】
表1 合金組成(質量%、残部Ti)
【0016】
【実施例2】
実施例No.1のTi合金に、冷間伸線(伸線率25%、50%および75%)を施して線材を得、各伸線率における引張特性とヤング率を測定した。その結果を図1のグラフに示す。伸線率の増加に伴い、引張り強さが増大しているが、伸びとヤング率とは実質上変化していないことがわかる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の高強度低弾性率Ti合金は、前記した実施データからわかるように、既知のTi合金にくらべてより高い強度を示し、一方で弾性率は明確に低下している。加工性は、従来の合金と変わらない。ゆえにこのTi合金は、前記のような製品、代表的にはめがねフレームやゴルフクラブのヘッド(とくにフェース部分)の材料として好適である。製品への加工を冷間加工によって行なえば、加工硬化によるいっそうの高強度化が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のデータであって、実施例No.1のTi合金の棒材を冷間伸線して得た線材の引張特性およびヤング率に及ぼす、伸線率の影響を示したグラフ。
Claims (4)
- 質量%で、Zrを10〜35%およびCrを8〜14%含有し、残部がTiおよび不可避な不純物からなる合金組成を有する高強度低弾性率Ti合金。
- Zrの一部を5%までのSnで置き換えた合金組成を有する請求項1の高強度低弾性率Ti合金。
- 請求項1または2に記載のTi合金を、冷間加工して製造した高強度で低弾性率のTi合金製品。
- ゴルフクラブのヘッドである請求項3のTi合金製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003152953A JP2004353039A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 高強度低弾性率Ti合金およびその製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003152953A JP2004353039A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 高強度低弾性率Ti合金およびその製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004353039A true JP2004353039A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34048048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003152953A Withdrawn JP2004353039A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 高強度低弾性率Ti合金およびその製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004353039A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7670445B2 (en) | 2006-01-18 | 2010-03-02 | Nissan Motor Co., Ltd. | Titanium alloy of low Young's modulus |
JP2011021257A (ja) * | 2009-07-16 | 2011-02-03 | Yonosuke Murayama | 低弾性チタン合金 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152953A patent/JP2004353039A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7670445B2 (en) | 2006-01-18 | 2010-03-02 | Nissan Motor Co., Ltd. | Titanium alloy of low Young's modulus |
JP2011021257A (ja) * | 2009-07-16 | 2011-02-03 | Yonosuke Murayama | 低弾性チタン合金 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060330 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070107 |