JP2004352938A - フェノール性樹脂、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性に優れたエポキシ樹脂を与えるフェノール性樹脂化合物を提供すること。
【解決手段】ジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂化合物であって、下記(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、下記(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあることを特徴とするフェノール性樹脂。
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含む化合物
【選択図】 なし
【解決手段】ジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂化合物であって、下記(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、下記(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあることを特徴とするフェノール性樹脂。
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含む化合物
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール性樹脂、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼン等のジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂は、接着剤、塗料、電子部品等の材料や、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イオン交換樹脂等の樹脂の原料に用いられる。
この様なフェノール性樹脂の製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを共に最初から反応容器に仕込んでおいて反応させる方法や(特許文献1)、ジヒドロキシ化合物の脱水体であるアルケニル化合物を、フェノール性化合物に添加して反応させる方法が知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−72404号公報
【特許文献2】
米国特許第3004953号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で得られたフェノール性樹脂をエポキシ樹脂の原料として用いた場合、得られたエポキシ樹脂は硬化性が低いという問題があり、このため成形用の金型に樹脂成分が付着するという実用上の問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジヒドロキシ化合物を一部脱水し、これとフェノール性化合物とを反応させることにより、その問題を解決し得ることを見出すと共に、更に検討を加えた結果、該フェノール性化合物をエポキシ樹脂に導いた場合に生じる低硬化性の原因は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した分子構造を含む低分子化合物にあることを究明し、このものが特定量以下であるフェノール性樹脂を用いることにより、該硬化性を向上し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1] 下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物およびその脱水物からなる群より選ばれる1種以上と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂であって、
該フェノール性樹脂中の下記化合物(a)および(b)を高速液体クロマトグラフ法により、紫外検出器を用いて、検出波長を220nmに設定して測定した場合、下記化合物(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、下記化合物(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあることを特徴とするフェノール性樹脂に関するものであり、
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
[2]ジヒドロキシ化合物が、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンおよび/または1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンであることを特徴とする、上記[1]に記載のフェノール性樹脂に関するものであり、
[3]フェノール性化合物が、フェノールおよび/またはクレゾールであることを特徴とする上記[1]に記載のフェノール性樹脂に関するものであり、
[4]次の(イ)〜(ロ)の各工程を含むことを特徴とするフェノール性樹脂の製造方法に関するものであり、
(イ)下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させる第一工程
(ロ)フェノール性化合物と第一工程で得られた一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とを、前者に対し、後者をジヒドロキシ化合物換算で40〜90モル%用いて反応させる第二工程
[5]第一工程における脱水反応を、理論量に対して50〜90%の範囲で行うことを特徴とする上記[4]に記載のフェノール樹脂化合物の製造方法に関するものであり、
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化してなることを特徴とするエポキシ樹脂に関するものであり、
[7]下記(A)〜(C)を配合してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関するものであり、
(A)上記[6]に記載のエポキシ樹脂
(B)フェノール性水酸基を有する硬化剤
(C)無機充填材
[8]上記[7]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール性樹脂は前記の式(1)で示されるジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られるものである。
ここで、式(1)中のArは炭素数6〜20の二価のアリーレン基を示すが、好ましくは炭素数6〜12の二価のアリーレン基である。この様なアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等を挙げることができる。これらのアリーレン基にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等の置換基が存在しても良い。
また、式(1)中のR1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキル基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。
アルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基等の直鎖、分岐鎖の炭化水素基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状炭化水素基を挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等を挙げることができる。
【0008】
ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエチル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシプロピル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシエチル)ナフタレン、ビス(ヒドロキシプロピル)ナフタレン等が挙げられる。好ましくはビス(ヒドロキシプロピル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシプロピル)ナフタレン、ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼンであり、さらに好ましくは1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等である。ジヒドロキシ化合物は2種以上を用いることもできる。
【0009】
次に、本発明のフェノール性樹脂の他方の原料であるフェノール性化合物について説明する。
該フェノール性化合物は、通常下記式(2)〜(4)で表されるものである。
[R5〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、単結合、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数5〜20のシクロアルキリデン基または炭素数7〜20のアラルキリデン基を表す。]
上記R5〜R16におけるアリール基の炭素数は6〜10が好ましく、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキル基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。Xにおけるアリーレン基の炭素数は6〜10が好ましく、アルキリデン基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキリデン基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキリデン基の炭素数は7〜10が好ましい。
【0010】
上記のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのアリール基にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の置換基が存在しても良い。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等の直鎖、分岐鎖の炭化水素基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状炭化水素基を挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。アリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等が挙げられる。シクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。アラルキリデン基でとしては、例えば、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基、フェニルプロピリデン基等が挙げられる。
【0011】
式(2)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルメチルフェノール、フェニルフェノール、クミルフェノール等のフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール等のハロゲン化フェノール類等が挙げられる。
【0012】
式(3)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、ナフトール、メチルナフトール、エチルナフトール、プロピルナフトール、ブチルナフトール等のナフトール類が挙げられる。
【0013】
式(4)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールフルオレン、ビスフェノールシクロヘキサン等のビスフェノール類等が挙げられる。本発明のフェノール性化合物は式(2)〜(4)の上記の具体例に限定されるものではない。
【0014】
本発明で用いられるフェノール性化合物としては、好ましくは、フェノール、クレゾール、キシレノール、t−ブチルメチルフェノール、フェニルフェノール、ビフェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールFであり、さらに好ましくは、フェノール、クレゾールである。フェノール性化合物は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0015】
次に、本発明のフェノール性樹脂の組成について説明する。
本発明のフェノール性樹脂はジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られるものであり、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜85モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜15モル%からなるものである。
本発明のフェノール性樹脂はジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜60モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜40モル%からなるものであれば好ましく、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜50モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜50モル%からなるものであればなお好ましい。
【0016】
なお、ここでいうジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とは、先に示した式(1)で示されるジヒドロキシ化合物の分子中の2個の水酸基を除く構造単位をいう。
また、上記にいうフェノール性化合物に由来する構造単位とは、フェノール性化合物の分子中の芳香環に直結する1個以上の水素原子を除く構造単位をいう。
【0017】
本発明のフェノール性樹脂は、先に説明したジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるものであるが、次に該フェノール性樹脂に含まれる化合物(a)について説明する。
化合物(a)は、分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造として、ジヒドロキシ化合物に由来する2価の構造単位2個ならびにフェノール性化合物に由来する1価の構造単位2個およびフェノール性化合物に由来する2価の構造単位1個を有し、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造は含まれず、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した分子構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物である。
【0018】
上記化合物(a)の具体例としては、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するものを挙げることができる。
【0019】
また、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するものを挙げることができる。
【0020】
次に本発明にいう化合物(b)について説明する。
本発明にいう化合物(b)は、分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、ジヒドロキシ化合物に由来する2価または3価の構造単位2個およびフェノール性化合物に由来する1価の構造単位2個からなる分子構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物である。上記化合物(b)の具体例としては、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するもの等を挙げることができる。
【0021】
また、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するもの等を挙げることができる。
【0022】
本発明のフェノール性樹脂は、該フェノール性樹脂を高速液体クロマトグラフ法により、紫外検出器を用いて、検出波長を220nmに設定して測定した上記化合物(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、上記化合物(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあるものである。該割合は95〜100%の範囲であればなお好ましい。上記化合物(a)の割合が90%未満である場合には、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂は硬化性が低い等、成形性が低下する傾向がある。
【0023】
高速液体クロマトグラフ法により上記化合物(a)の割合を求める方法は次の通りである。
まず最初に本発明のフェノール性樹脂に含まれる成分を高速液体クロマトグラフ分析装置により分離し、分離された各成分を質量分析装置に導入する等の分子量を決定する手法により、高速液体クロマトグラフ分析装置により分離された複数のピーク中から、ジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値の分子量を有する化合物(a)に対応するピークを特定する。同様に、高速液体クロマトグラフ分析装置により分離された複数のピーク中から、ジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値の分子量を有する化合物(b)に対応するピークを特定する。
続いて、フェノール性樹脂を高速液体クロマトグラフ装置により分析し、紫外検出器を用いて220nmの波長で検出した化合物(a)および化合物(b)のピーク合計面積値に対する、化合物(a)のピーク面積値の割合を求めることができる。
なお、フェノール性樹脂の構造単位が、どの様なフェノール性化合物に由来するのか、あるいはどの様なジヒドロキシ化合物に由来するのかについては、次の方法により決定することができる。
例えば、熱分解ガスクロマトグラフ法等の手法により、構造不明のフェノール性樹脂を熱分解して得られた該フェノール性樹脂の分解成分をガスクロマトグラフ法により分析し、既知の化合物のガスクロマトグラフ法による分析結果と対比する等の手法により、該フェノール性樹脂の構造単位がどの様なフェノール性化合物に由来するのか、あるいはどの様なジヒドロキシ化合物に由来するのかについての情報が得られる。
また、該フェノール性樹脂に含まれる成分を高速液体クロマトグラフ分析装置により分離し、分離された各成分を質量分析装置に導入する等の手法により得られた該フェノール性樹脂に含まれる各成分毎の分子量の差から、該フェノール性化合物に由来する構造単位の分子量やジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の分子量についての情報が得られる。
上記の手法等により得られた情報に基づき、別途本発明のフェノール性樹脂の製造方法により合成したフェノール性樹脂と、構造不明のフェノール性樹脂とをそれぞれ高速液体クロマトグラフ法により測定し、ピーク保持時間が相互に一致すれば、構造が不明であったフェノール性樹脂が、どの様なジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成されているのか、どの様なフェノール性化合物に由来する構造単位から構成されているかを決定することができる。
【0024】
次に本発明のフェノール性樹脂の物性について説明する。
本発明のフェノール性樹脂の溶融粘度は、ICI粘度計(150℃、50Hz)で測定した場合、通常0.01〜10Pa・sの範囲である。該溶融粘度は0.1〜1Pa・sの範囲であればより好ましい。溶融粘度が0.01Pa・s未満の場合、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂の硬化性が低下する傾向がある。また、10Pa・sを超える場合は、該エポキシ樹脂の成形加工性が低下する傾向がある。
【0025】
本発明のフェノール性樹脂の軟化点は、通常50℃〜150℃の範囲であり、70〜100℃の範囲であれば好ましい。軟化点が50℃未満の場合は該樹脂物同士が融着しやすくなり、取扱い性が低下する傾向がある。また、150℃を越える場合は、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の溶融粘度が大きくなり、その成形加工性が低下する傾向がある。
【0026】
本発明のフェノール性樹脂の水酸基当量は、通常180〜280g/eq.の範囲であり、200〜250g/eq.の範囲であればより好ましい。水酸基当量が180g/eq.未満であるものや280g/eq.を越えるものは、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の性能が低下することがある。
【0027】
本発明のフェノール性樹脂の数平均分子量は、通常400〜1400の範囲であり、600〜1200の範囲であればより好ましい。数平均分子量が400未満の場合、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂の硬化性が低下する傾向がある。また、1400を越えるものは、その溶融粘度や軟化点が高くなりすぎることにより、その成形加工性が低下する傾向がある。
【0028】
上記のフェノール性樹脂は、ジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させることにより製造することができるが、次に該フェノール性樹脂の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は下記の第一工程と第二工程を含むものであるが、該第一工程は、ジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させる工程からなる。
第一工程では、用いられるジヒドロキシ化合物の一部を、フェノール性化合物との反応に供する前に、予め脱水反応を行うことにより脱水反応混合物としておく。ジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させることにより、この脱水反応混合物には、ジヒドロキシ化合物そのものに加えて、ジヒドロキシ化合物分子中の2個の水酸基のうち一方の水酸基が水分子として脱離したものと、双方の水酸基が水分子として脱離したものが含まれ得る。なお、本発明において、ジヒドロキシ化合物の脱水体とは、該ジヒドロキシ化合物分子中の2個の水酸基のうち一方の水酸基が水分子として脱離したもの、および双方の水酸基が水分子として脱離したものからなる群から選ばれる1種以上をいう。
【0029】
脱水反応によるジヒドロキシ化合物の脱水量は、その理論量の50%以上90%以下とすることが好ましく、60%以上85%以下にすることができればさらに好ましい。脱水量が理論量の50%未満であると、反応溶液中に脱水されていないジヒドロキシ化合物が析出する傾向がある。また、脱水量が理論量の90%を越える場合、ジヒドロキシ化合物同士が反応した副生成物が増加する傾向がある。脱水反応の推移は、反応により生じた水の量で確認することができる。ここで理論量とは、ジヒドロキシ化合物分子の二つの水酸基が、全てのジヒドロキシ化合物分子から水分子として100%脱離したときの理論量を意味する。
【0030】
本発明の製造方法における第一工程では通常酸性触媒を用いる。その様な酸性触媒としては公知のフェノール性樹脂合成用の酸触媒が用いられる。例えば塩酸、硫酸、りん酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸、シリカ−アルミナ、酸性白土などの固体酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛などのフリーデルクラフツ触媒、酸性イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また必要に応じて2種以上の酸触媒を用いることもできる。
【0031】
本発明の製造方法における第一工程ではジヒドロキシ化合物を脱水反応する際に通常溶媒を用いる。その様な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコキシアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサン等の無極性溶媒が適しているが、これに限るものではない。溶媒は必要に応じて2種以上を用いることができる。
【0032】
脱水時の温度は通常40℃〜250℃の範囲であるが、60℃〜200℃の範囲が好ましい。
【0033】
本発明で用いられるジヒドロキシ化合物の脱水反応を行う方法としては、具体的には、例えばジヒドロキシ化合物と、酸性触媒から選ばれる1種または2種以上を溶媒に溶解もしくは分散させた後、加熱して撹拌する方法が挙げられる。反応により生成した水は通常は反応系外へ除去されるが、その様な除去方法としては、共沸脱水により系外へ分離除去する方法や、反応終了後に反応溶液を分液し水層を除く方法等が挙げられる。
【0034】
次に本発明の製造方法の第二工程について説明する。
本発明の製造方法における第二工程は、第一工程で得られた一部が脱水されたジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させる工程からなる。
【0035】
本発明の製造方法における第二工程では通常溶媒を用いる。先に説明した通り、この場合の溶媒は第一工程で用いたものをそのまま利用することもできるし、第二工程で溶媒を別途準備して使用してもよい。第二工程で用いる溶媒としては、第一工程で用いる溶媒と同様のものを例示できるが、中でも水と共沸組成物を形成する溶媒が本発明に適している。例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、これに限るものではない。溶媒は必要に応じて2種以上を用いることもできる。第二工程で用いる溶媒は第一工程で用いた溶媒と同じものを用いることが溶媒のリサイクルなどの面からより好ましい。第一工程と第二工程で使用する溶媒の総量は、フェノール性化合物とジヒドロキシ化合物との合計100重量部に対して、通常10〜2000重量部であるが、好ましくは50〜500重量部である。
【0036】
本発明の製造方法における第二工程では通常酸性触媒を用いる。この場合の酸性触媒には第一工程で用いた触媒をそのまま利用することもできるし、第二工程で酸性触媒を別途準備して使用しても良い。その様な酸性触媒としては第一工程で例示したものと同様のものが挙げられる。
第一工程と第二工程での酸触媒の総使用量は、脱水操作前のジヒドロキシ化合物の物質量(mol)を基準として、ジヒドロキシ化合物1molに対して、通常0.001〜1molであり、好ましくは0.001〜0.5molである。
【0037】
本発明の製造方法における第二工程では、反応系内にフェノール性化合物が過剰にある状態において、一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる。
本発明の製造方法におけるフェノール性化合物と一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とのそれぞれの量比については、前者の物質量(モル)に対し、後者の物質量(モル)をジヒドロキシ化合物換算で40〜90モル%の範囲内とすることが好ましく、50〜80モル%の範囲内であればより好ましい。ジヒドロキシ化合物の物質量がフェノール性化合物の物質量に対して40モル%より小さい場合、反応系中に残存する未反応フェノール性化合物の量が増えるため、目的物の精製単離操作の負担が増加する。一方、ジヒドロキシ化合物の量がフェノール性化合物の量に対して90モル%より大きい場合、得られるフェノール性樹脂の溶融粘度が高くなる傾向にあり、絶縁材料、積層板、および半導体封止材料等の電気、電子材料として使用した場合に不都合が生じる傾向がある。
【0038】
一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる方法としては、反応系内にフェノール性化合物が過剰にある状態を保つことができれば特に限定はないが、例えば、一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物の反応溶液を、フェノール性化合物の存在する反応系へ、連続もしくは断続的に添加することにより、該ジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる方法等が挙げられる。添加速度については、連続的に添加する場合には、反応開始前のフェノール性化合物の量を基準として、フェノール性化合物の量に対して通常5モル%/時間以上、15モル%/時間以下の速度である。
【0039】
本発明の製造方法における第二工程の反応においては、通常、反応中に生成する水分を共沸脱水により系外へ留出水を除きながら反応を行う。この共沸脱水は常圧、減圧のいずれで実施しても良い。圧力や温度は、用いる溶媒の種類や反応溶液の濃度に依存して変化するが、通常は共沸脱水を継続的に実施できる条件に設定する。例えばトルエンを溶媒に用いた場合では、大気圧下で85℃〜135℃である。
【0040】
反応の推移は、ガスクロマトグラフィー等の手法で、反応系内の原料フェノール性化合物の量の変化を追跡することで判別することができる。反応終了後は反応系を中和後、必要に応じて水洗分液した後、溶媒を蒸留にて回収した後に溶融状態で反応混合物を取り出すことにより得られる。未反応の原料フェノール性化合物を除去する方法としては減圧下に加熱する方法や、水蒸気蒸留、系中に窒素を導入して除去する方法等が挙げられる。
【0041】
本発明の製造方法によれば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した分子構造を含む化合物(b)の生成を抑制することができ、目的とするフェノール性樹脂を得ることができる。
【0042】
次に上記のフェノール性樹脂を用いた、本発明のエポキシ樹脂について説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、先に説明した本発明のフェノール性樹脂を公知の方法に従ってグリシジルエーテル化することにより得ることができる。
該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化する方法としては、例えば、上記のフェノール性樹脂をエピクロロヒドリンと共に反応容器に仕込み溶解させた後、苛性ソーダを連続的に滴下しながら共沸するエピクロロヒドリンと水を冷却液化し、有機相を反応系内に戻しながら反応させ、得られた反応混合物を、水洗等の後処理により精製し、エポキシ樹脂を得る方法等を挙げることができる。特に高純度のエポキシ樹脂を得る場合には、特開昭60−31517号公報に記載の製造方法の様に、非プロトン性溶媒の存在下でフェノール性樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させる方法が好適である。
【0043】
次に本発明のエポキシ樹脂の物性について説明する。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常240〜320g/eq.の範囲であり、好ましくは260〜310g/eq.の範囲である。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂の溶融粘度はICI粘度計(150℃、50Hz)で測定した場合、通常0.01〜10Pa・sの範囲であり、好ましくは0.1〜1Pa・sの範囲である。
【0045】
本発明のエポキシ樹脂の軟化点は、通常50℃〜150℃の範囲であり、好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂の数平均分子量は、通常450〜1450の範囲であり、650〜1250の範囲であればより好ましい。数平均分子量が450未満であるものは、その軟化点が低すぎることがあり、数平均分子量が1450を越えるものは、その軟化点が高くなりすぎることによりその成形加工性が低下する傾向がある。
【0047】
次に本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は下記の(A)〜(C)を含有するものである。
(A)エポキシ樹脂
(B)フェノール性水酸基を有する硬化剤
(C)無機充填材
まず、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂(A)について説明する。
本発明に使用する該エポキシ樹脂(A)は、先に説明した、本発明のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂である。なお、上記(A)と共に、本発明の目的を損なわない範囲で公知のエポキシ樹脂を併用することができる。
【0048】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する硬化剤(B)について説明する。 本発明に使用する硬化剤(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものである。
該硬化剤(B)としては、例えば、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂類、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂等のアラルキル樹脂類、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、リモネン変性フェノール樹脂等の脂環構造含有樹脂類、トリフェノールメタン型樹脂等の多官能樹脂類が挙げられるが、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が好ましい。該硬化剤は単独でも、2種類以上併用してもよい。
硬化剤(B)の配合に際しては、エポキシ樹脂との組み合わせにより任意の配合比を定めることができるが、通常はガラス転移温度が高くなるようにその配合比が決定される。例えば、硬化剤(B)として、ノボラック樹脂類やアラルキル樹脂類等を用いる場合には、エポキシ当量と水酸基当量が1:1となるように配合することが好ましい。
【0049】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する無機充填材(C)について説明する。
この無機充填材(C)の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー等からなるパウダー、フレーク、繊維等が挙げられる。中でも、シリカ、アルミナ等のパウダーが好ましい。無機充填材は、その種類、形状の異なるものを混合して用いることもできる。シリカ、アルミナ等のパウダーは球状および破砕状の形状のものを併用することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填物(C)の配合量は、通常はエポキシ樹脂組成物全体に対して60〜98重量%の範囲であり、好ましくは70〜98重量%の範囲であり、さらに好ましくは75〜95重量%の範囲である。配合量が60重量%未満であると、組成物の吸水率が上昇して耐ハンダクラック性が低下する。また、98重量%を越えると、樹脂組成物の流動性が著しく劣るため半導体封止成形が困難になる。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂組成物に対しては、硬化促進剤を配合することができる。この硬化促進剤としては、例えば、具体的にはトリフェニルホスフィン、トリ−4−メチルフェニルホスフィン、トリ−4−メトキシフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリ−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン化合物類およびこれらのテトラフェニルボレート塩類、トリブチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリアミルアミン等の三級アミン類、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート等の四級アンモニウム類、イミダゾール類等が挙げられる。
これらの中でも、有機ホスフィン化合物類、三級アミン類、イミダゾール類等が耐湿性および硬化性の点から好ましく、中でもトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0051】
本発明のエポキシ樹脂組成物に対しては、その他必要に応じて天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸およびその金属塩類、若しくはパラフィン等の離型剤あるいはカーボンブラックのような着色剤、さらに、シランカップリング剤等の表面処理剤等を添加してもよい。また、三酸化アンチモン、リン化合物、ブロム化エポキシ樹脂等の難燃剤、難燃助剤を加えてもよい。
また、組成物を低応力化するなどの目的で、エラストマー類などを添加またはあらかじめエポキシ樹脂あるいはフェノール性樹脂と反応させて配合することもできる。エラストマー類としては特に限定されないが、例としては、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、シリコーンゴム、シリコーンオイル等の添加型あるいは反応型のエラストマーなどが挙げられる。
【0052】
本発明のエポキシ樹脂組成物は半導体、電子部品等を封止する用途に好適に用いられる。該エポキシ樹脂組成物を用いて樹脂封止型半導体装置を作製するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来から公知の成形法により該エポキシ樹脂組成物を硬化成形すればよい。
本発明によるエポキシ樹脂組成物を硬化させるには、その種類や配合割合、触媒の種類等により適宜決定することができる。通常、100℃〜200℃の範囲において、1分未満の時間で硬化させることができ、150℃〜200℃の範囲において1〜24時間、後硬化反応を行うことができる。
【0053】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、樹脂、樹脂組成物および硬化成形物の評価方法は以下のとおりである。
・フェノール性樹脂における化合物(a)および化合物(b)の合計値に対する下記化合物(a)の含有割合
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
高速液体クロマトグラフ質量分析計(Agilent Technologies社製 SERIES 1100 MSD)を用い、移動相としてアセトニトリル/水を用い、分析用カラムとしてL−column ODSを用いて分離したフェノール性樹脂の成分をAPCI(Positive)モードで検出してその質量数より各々の分画成分の分子量を求め、各分画の溶出時間を確認した。その溶出時間より同定した化合物(a)と化合物(b)とを、紫外検出器を用いて220nmの波長で検出し、それぞれのピークの面積百分率から化合物(a)および化合物(b)の合計値に対する化合物(a)の比率を算出した。
・エポキシ当量: JIS K7236に準じて、塩酸−ジオキサン法にて測定した。
・軟化点: JIS K7234に準じて、環球法にて行った。
・ICI粘度: ICI粘度計を用いて、150℃(50Hz)における粘度を測定した。
・ゲルタイム: JIS K5909に準じて175℃において測定した。
・スパイラルフロー: EMMI−1−66に準じて175℃/70kg/cm2の条件で行った。
・成形品の硬度および離型性: トランスファー成形機によって175℃、2分間の硬化条件で成形された直径5cm、厚さ3mmの円盤成形品を、離型直後にバーコール硬度計で測定した。また、成形後の金型汚れを目視し、曇り・樹脂残渣がある場合は×、清浄である場合は○と判定した。
・耐ハンダクラック性: トランスファー成形機によって封止成形された10個の模擬IC(52ピンQFPパッケージ(パッケージ厚さ2.05mm)を、85℃/85%RHの条件で168時間吸湿させた後、直ちに240℃のハンダ浴に30秒浸漬したときの良品を計数した。良品とは、パッケージのクラックやリードフレームとの剥離のないものとした。
【0054】
実施例1
温度計、攪拌機、およびコンデンサーを備えた500mLの丸底フラスコに1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン 194g(1mol)、トルエン312g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8g、および水15gを仕込み、95℃で2時間撹拌した後、冷却、静置して分液し、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液を得た。この反応により脱水された水酸基の量は、GC分析により、仕込まれた1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンの水酸基総量の66%であった。
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに、フェノール118g(1.25mol)、トルエン208g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8gを仕込み、115〜125℃で撹拌し、上記の反応溶液を6時間かけて滴下した。反応中は、共沸するトルエンと水を冷却液化して有機層を反応系内に戻した。滴下後2時間継続した後、反応終了とした。
この時点の反応液中には、当初仕込んだフェノールの6.6モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−1)を得た。水酸基当量は230g/eq.、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCという。移動層にはテトラヒドロフランを用い、東ソー株式会社製のTSK−gel G3000HXL、G2000HXLおよびG1000HXLのカラムを用いた。紫外検出器で254nmの吸収波長をモニターすることにより検出した。)分析により各成分に含まれる芳香族環の核体数(分子中のベンゼン環の数を示す。以下同じ。)の分布を調べた。その結果、2核体1.3%、3核体11.0%、5核体13.1%、7核体13.4%、9核体12.3%、11核体11.2%、13核体以上は37.7%であった。4核体以上の偶数核体は検出されなかった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、フェノールに由来する構造単位2個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(b)に該当する化合物は検出できず、フェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物に該当する化合物(a)の含有割合は100%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0055】
実施例2
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに仕込むフェノールの量を141g(1.5mol)とした他は実施例1と同様にして、フェノール性樹脂(2)を得た。
この反応終了時の反応液中には、当初仕込んだフェノールの13.1%が残存していた。
フェノール性樹脂(2)の水酸基当量は216g/eq.、GPC分析により、2核体3.1%、3核体18.1%、5核体20.7%、7核体17.6%、9核体13.6%、11核体以上は27.0%含まれていた。4核体以上の偶数核体は検出されなかった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、フェノールに由来する構造単位2個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(b)は検出できず、フェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は100%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0056】
比較例1
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサーを備えた1L丸底フラスコに、フェノール 118g(1.25mol)、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン 194g(1mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物 3.8g、およびトルエン 312gを仕込み、90〜120℃で攪拌し反応させた。
反応中は、共沸するトルエンと水を冷却液化して有機層を反応系内に戻した。加熱、撹拌を13時間継続した後、反応終了とした。
反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの19.3モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−5)を得た。水酸基当量は251g/eq.、GPC分析による各成分の分布は、2核体2.1%、3核体17.3%、4核体10.4%、5核体11.8%、6核体10.8%、7核体8.0%、8核体9.3%、9核体以上は30.3%であった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は55.0%であった。
【0057】
比較例2
フェノールの量を141gとした他は、比較例1と同様に反応を行った。反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの25.7モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−6)を得た。水酸基当量は236g/eq.、GPC分析による各成分の分布は、2核体3.7%、3核体24.4%、4核体13.3%、5核体13.6%、6核体11.7%、7核体8.3%、8核体以上は25.0%であった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は58.0%であった。
【0058】
実施例1および2ならびに比較例1および2のフェノール性樹脂の溶融粘度、および軟化点を表1に示す。これらのフェノール性樹脂は明確な融点を示さない樹脂状化合物である。
【表1】
【0059】
実施例3
1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液の滴下時間を4時間とした他は、実施例1と同様に反応を行った。 反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの13.7モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−3)を得た。高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は94.9%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0060】
実施例4
1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−メチルエチル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液の滴下時間を2時間とした他は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの15.5モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−4)を得た。高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)は91.2%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0061】
比較例3
温度計、攪拌機、コンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに、フェノール118g、トルエン208g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8gを仕込み、115〜125℃で撹拌しつつ、1,3ジイソプロペニルベンゼン158gを2hrかけて滴下した。滴下後2hr継続した後、反応終了とした。この時点の反応液中には、当初仕込んだフェノールの19.0モル%が残存していた。
この反応後、中和、脱水処理、および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−7)を得た。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ジイソプロペニルベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は85.0%であった。
【0062】
実施例5
温度計、攪拌機、および分液管付きコンデンサーを備えた1Lのバッフル付フラスコにエピクロロヒドリン480gおよびフェノール性樹脂(P−1)120gを仕込み溶解させた。
55〜60℃、15kPaで反応液を還流させながら48.9%苛性ソーダ水溶液43gを連続的に滴下し、共沸するエピクロロヒドリンと水を冷却液化し、有機相を反応系内に戻しながら反応させた。
反応終了後、エピクロルヒドリンを減圧濃縮により除去し、樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解させ、水洗により副生塩を除去した。その後、メチルイソブチルケトンを減圧濃縮により除去し、エポキシ樹脂(E−1)を得た。このエポキシ樹脂の軟化点は82℃、ICI粘度は0.62Pa・s、またエポキシ当量は309g/eq.であった。
このエポキシ樹脂(1)100重量部、フェノールアラルキル樹脂(商品名ミレックスXL、三井化学株式会社製)55重量部、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)4.0重量部、充填材878重量部、離型剤(カルナバワックス)1.5重量部、さらにカップリング剤(商品名SH−6040、東レダウコーニングシリコーン株式会社製)2.0重量部をロールで加熱混練してエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、本実施例で使用した充填材は、次の1〜4のシリカをそれぞれ1:10重量%、2:10.8重量%、3:18重量%、4:61.2重量%の配合で混合したものである。
1、破砕状シリカ(平均粒径5.6μm)電気化学工業株式会社製 FS−202、球状シリカ(平均粒径0.4μm)株式会社アドマテック製 アドマファインSO−C2
3、球状シリカ(平均粒径4.9μm)日本化学工業株式会社製 シルスターMK−06
4、球状シリカ(平均粒径40.4μm)徳山曹達株式会社製 エクセリカSE−40
このエポキシ樹脂組成物のゲルタイムは18秒、スパイラルフローは31cmであった。
このエポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形によって模擬ICパッケージを成形し、上記の方法で耐ハンダクラック性試験を行ったところ、パッケージの割れや剥離は生じなかった。また、成形後の金型の状態を観察したところ、金型表面は清浄であり、曇りや樹脂残渣は認められなかった。
【0063】
実施例6〜8、比較例4〜6
フェノール性樹脂(P−2〜P−7)を実施例5の場合と同様にそれぞれグリシジルエーテル化して、対応するエポキシ樹脂(E−2〜E−7)をそれぞれ得た。物性を表2に示す。
さらに、エポキシ樹脂E−2〜E−7を用い、表3に示す量比でそれぞれ硬化剤、硬化促進剤、充填材、離型剤およびカップリング剤を配合し、実施例5の場合と同様にエポキシ樹脂組成物を得た。該エポキシ樹脂組成物を用いて模擬ICパッケージを成形した。
表4に、このエポキシ樹脂組成物のゲルタイム、スパイラルフロー、成形品の硬度・金型の状態、およびICパッケージの耐ハンダクラック性を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】
本発明のフェノール性樹脂の製造方法によれば、ジヒドロキシ化合物の脱水体同士の反応を抑制することができ、選択的に目的とするフェノール性樹脂を得ることができる。また、本発明のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を成形しても金型曇り等は認められず、該樹脂組成物は硬化性、成形性に優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール性樹脂、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼン等のジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂は、接着剤、塗料、電子部品等の材料や、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イオン交換樹脂等の樹脂の原料に用いられる。
この様なフェノール性樹脂の製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを共に最初から反応容器に仕込んでおいて反応させる方法や(特許文献1)、ジヒドロキシ化合物の脱水体であるアルケニル化合物を、フェノール性化合物に添加して反応させる方法が知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−72404号公報
【特許文献2】
米国特許第3004953号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で得られたフェノール性樹脂をエポキシ樹脂の原料として用いた場合、得られたエポキシ樹脂は硬化性が低いという問題があり、このため成形用の金型に樹脂成分が付着するという実用上の問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジヒドロキシ化合物を一部脱水し、これとフェノール性化合物とを反応させることにより、その問題を解決し得ることを見出すと共に、更に検討を加えた結果、該フェノール性化合物をエポキシ樹脂に導いた場合に生じる低硬化性の原因は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した分子構造を含む低分子化合物にあることを究明し、このものが特定量以下であるフェノール性樹脂を用いることにより、該硬化性を向上し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1] 下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物およびその脱水物からなる群より選ばれる1種以上と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂であって、
該フェノール性樹脂中の下記化合物(a)および(b)を高速液体クロマトグラフ法により、紫外検出器を用いて、検出波長を220nmに設定して測定した場合、下記化合物(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、下記化合物(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあることを特徴とするフェノール性樹脂に関するものであり、
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
[2]ジヒドロキシ化合物が、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンおよび/または1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンであることを特徴とする、上記[1]に記載のフェノール性樹脂に関するものであり、
[3]フェノール性化合物が、フェノールおよび/またはクレゾールであることを特徴とする上記[1]に記載のフェノール性樹脂に関するものであり、
[4]次の(イ)〜(ロ)の各工程を含むことを特徴とするフェノール性樹脂の製造方法に関するものであり、
(イ)下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させる第一工程
(ロ)フェノール性化合物と第一工程で得られた一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とを、前者に対し、後者をジヒドロキシ化合物換算で40〜90モル%用いて反応させる第二工程
[5]第一工程における脱水反応を、理論量に対して50〜90%の範囲で行うことを特徴とする上記[4]に記載のフェノール樹脂化合物の製造方法に関するものであり、
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化してなることを特徴とするエポキシ樹脂に関するものであり、
[7]下記(A)〜(C)を配合してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関するものであり、
(A)上記[6]に記載のエポキシ樹脂
(B)フェノール性水酸基を有する硬化剤
(C)無機充填材
[8]上記[7]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール性樹脂は前記の式(1)で示されるジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られるものである。
ここで、式(1)中のArは炭素数6〜20の二価のアリーレン基を示すが、好ましくは炭素数6〜12の二価のアリーレン基である。この様なアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等を挙げることができる。これらのアリーレン基にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等の置換基が存在しても良い。
また、式(1)中のR1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキル基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。
アルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基等の直鎖、分岐鎖の炭化水素基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状炭化水素基を挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等を挙げることができる。
【0008】
ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエチル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシプロピル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシエチル)ナフタレン、ビス(ヒドロキシプロピル)ナフタレン等が挙げられる。好ましくはビス(ヒドロキシプロピル)ビフェニル、ビス(ヒドロキシプロピル)ナフタレン、ビス(ヒドロキシプロピル)ベンゼンであり、さらに好ましくは1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等である。ジヒドロキシ化合物は2種以上を用いることもできる。
【0009】
次に、本発明のフェノール性樹脂の他方の原料であるフェノール性化合物について説明する。
該フェノール性化合物は、通常下記式(2)〜(4)で表されるものである。
[R5〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、単結合、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数5〜20のシクロアルキリデン基または炭素数7〜20のアラルキリデン基を表す。]
上記R5〜R16におけるアリール基の炭素数は6〜10が好ましく、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキル基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。Xにおけるアリーレン基の炭素数は6〜10が好ましく、アルキリデン基の炭素数は1〜10が好ましく、シクロアルキリデン基の炭素数は5〜10が好ましく、およびアラルキリデン基の炭素数は7〜10が好ましい。
【0010】
上記のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのアリール基にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の置換基が存在しても良い。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等の直鎖、分岐鎖の炭化水素基を挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状炭化水素基を挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。アリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等が挙げられる。シクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。アラルキリデン基でとしては、例えば、フェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基、フェニルプロピリデン基等が挙げられる。
【0011】
式(2)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルメチルフェノール、フェニルフェノール、クミルフェノール等のフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール等のハロゲン化フェノール類等が挙げられる。
【0012】
式(3)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、ナフトール、メチルナフトール、エチルナフトール、プロピルナフトール、ブチルナフトール等のナフトール類が挙げられる。
【0013】
式(4)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、例えば、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールフルオレン、ビスフェノールシクロヘキサン等のビスフェノール類等が挙げられる。本発明のフェノール性化合物は式(2)〜(4)の上記の具体例に限定されるものではない。
【0014】
本発明で用いられるフェノール性化合物としては、好ましくは、フェノール、クレゾール、キシレノール、t−ブチルメチルフェノール、フェニルフェノール、ビフェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールFであり、さらに好ましくは、フェノール、クレゾールである。フェノール性化合物は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0015】
次に、本発明のフェノール性樹脂の組成について説明する。
本発明のフェノール性樹脂はジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させて得られるものであり、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜85モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜15モル%からなるものである。
本発明のフェノール性樹脂はジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜60モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜40モル%からなるものであれば好ましく、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位34〜50モル%およびフェノール性化合物に由来する構造単位66〜50モル%からなるものであればなお好ましい。
【0016】
なお、ここでいうジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とは、先に示した式(1)で示されるジヒドロキシ化合物の分子中の2個の水酸基を除く構造単位をいう。
また、上記にいうフェノール性化合物に由来する構造単位とは、フェノール性化合物の分子中の芳香環に直結する1個以上の水素原子を除く構造単位をいう。
【0017】
本発明のフェノール性樹脂は、先に説明したジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させて得られるものであるが、次に該フェノール性樹脂に含まれる化合物(a)について説明する。
化合物(a)は、分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造として、ジヒドロキシ化合物に由来する2価の構造単位2個ならびにフェノール性化合物に由来する1価の構造単位2個およびフェノール性化合物に由来する2価の構造単位1個を有し、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造は含まれず、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した分子構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物である。
【0018】
上記化合物(a)の具体例としては、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するものを挙げることができる。
【0019】
また、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するものを挙げることができる。
【0020】
次に本発明にいう化合物(b)について説明する。
本発明にいう化合物(b)は、分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、ジヒドロキシ化合物に由来する2価または3価の構造単位2個およびフェノール性化合物に由来する1価の構造単位2個からなる分子構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物である。上記化合物(b)の具体例としては、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するもの等を挙げることができる。
【0021】
また、例えば、フェノール性化合物としてフェノールを用い、ジヒドロキシ化合物として1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンを用いた場合であれば、
上記構造を有するもの等を挙げることができる。
【0022】
本発明のフェノール性樹脂は、該フェノール性樹脂を高速液体クロマトグラフ法により、紫外検出器を用いて、検出波長を220nmに設定して測定した上記化合物(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、上記化合物(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあるものである。該割合は95〜100%の範囲であればなお好ましい。上記化合物(a)の割合が90%未満である場合には、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂は硬化性が低い等、成形性が低下する傾向がある。
【0023】
高速液体クロマトグラフ法により上記化合物(a)の割合を求める方法は次の通りである。
まず最初に本発明のフェノール性樹脂に含まれる成分を高速液体クロマトグラフ分析装置により分離し、分離された各成分を質量分析装置に導入する等の分子量を決定する手法により、高速液体クロマトグラフ分析装置により分離された複数のピーク中から、ジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値の分子量を有する化合物(a)に対応するピークを特定する。同様に、高速液体クロマトグラフ分析装置により分離された複数のピーク中から、ジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値の分子量を有する化合物(b)に対応するピークを特定する。
続いて、フェノール性樹脂を高速液体クロマトグラフ装置により分析し、紫外検出器を用いて220nmの波長で検出した化合物(a)および化合物(b)のピーク合計面積値に対する、化合物(a)のピーク面積値の割合を求めることができる。
なお、フェノール性樹脂の構造単位が、どの様なフェノール性化合物に由来するのか、あるいはどの様なジヒドロキシ化合物に由来するのかについては、次の方法により決定することができる。
例えば、熱分解ガスクロマトグラフ法等の手法により、構造不明のフェノール性樹脂を熱分解して得られた該フェノール性樹脂の分解成分をガスクロマトグラフ法により分析し、既知の化合物のガスクロマトグラフ法による分析結果と対比する等の手法により、該フェノール性樹脂の構造単位がどの様なフェノール性化合物に由来するのか、あるいはどの様なジヒドロキシ化合物に由来するのかについての情報が得られる。
また、該フェノール性樹脂に含まれる成分を高速液体クロマトグラフ分析装置により分離し、分離された各成分を質量分析装置に導入する等の手法により得られた該フェノール性樹脂に含まれる各成分毎の分子量の差から、該フェノール性化合物に由来する構造単位の分子量やジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の分子量についての情報が得られる。
上記の手法等により得られた情報に基づき、別途本発明のフェノール性樹脂の製造方法により合成したフェノール性樹脂と、構造不明のフェノール性樹脂とをそれぞれ高速液体クロマトグラフ法により測定し、ピーク保持時間が相互に一致すれば、構造が不明であったフェノール性樹脂が、どの様なジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成されているのか、どの様なフェノール性化合物に由来する構造単位から構成されているかを決定することができる。
【0024】
次に本発明のフェノール性樹脂の物性について説明する。
本発明のフェノール性樹脂の溶融粘度は、ICI粘度計(150℃、50Hz)で測定した場合、通常0.01〜10Pa・sの範囲である。該溶融粘度は0.1〜1Pa・sの範囲であればより好ましい。溶融粘度が0.01Pa・s未満の場合、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂の硬化性が低下する傾向がある。また、10Pa・sを超える場合は、該エポキシ樹脂の成形加工性が低下する傾向がある。
【0025】
本発明のフェノール性樹脂の軟化点は、通常50℃〜150℃の範囲であり、70〜100℃の範囲であれば好ましい。軟化点が50℃未満の場合は該樹脂物同士が融着しやすくなり、取扱い性が低下する傾向がある。また、150℃を越える場合は、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の溶融粘度が大きくなり、その成形加工性が低下する傾向がある。
【0026】
本発明のフェノール性樹脂の水酸基当量は、通常180〜280g/eq.の範囲であり、200〜250g/eq.の範囲であればより好ましい。水酸基当量が180g/eq.未満であるものや280g/eq.を越えるものは、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の性能が低下することがある。
【0027】
本発明のフェノール性樹脂の数平均分子量は、通常400〜1400の範囲であり、600〜1200の範囲であればより好ましい。数平均分子量が400未満の場合、該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂の硬化性が低下する傾向がある。また、1400を越えるものは、その溶融粘度や軟化点が高くなりすぎることにより、その成形加工性が低下する傾向がある。
【0028】
上記のフェノール性樹脂は、ジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させることにより製造することができるが、次に該フェノール性樹脂の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は下記の第一工程と第二工程を含むものであるが、該第一工程は、ジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させる工程からなる。
第一工程では、用いられるジヒドロキシ化合物の一部を、フェノール性化合物との反応に供する前に、予め脱水反応を行うことにより脱水反応混合物としておく。ジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させることにより、この脱水反応混合物には、ジヒドロキシ化合物そのものに加えて、ジヒドロキシ化合物分子中の2個の水酸基のうち一方の水酸基が水分子として脱離したものと、双方の水酸基が水分子として脱離したものが含まれ得る。なお、本発明において、ジヒドロキシ化合物の脱水体とは、該ジヒドロキシ化合物分子中の2個の水酸基のうち一方の水酸基が水分子として脱離したもの、および双方の水酸基が水分子として脱離したものからなる群から選ばれる1種以上をいう。
【0029】
脱水反応によるジヒドロキシ化合物の脱水量は、その理論量の50%以上90%以下とすることが好ましく、60%以上85%以下にすることができればさらに好ましい。脱水量が理論量の50%未満であると、反応溶液中に脱水されていないジヒドロキシ化合物が析出する傾向がある。また、脱水量が理論量の90%を越える場合、ジヒドロキシ化合物同士が反応した副生成物が増加する傾向がある。脱水反応の推移は、反応により生じた水の量で確認することができる。ここで理論量とは、ジヒドロキシ化合物分子の二つの水酸基が、全てのジヒドロキシ化合物分子から水分子として100%脱離したときの理論量を意味する。
【0030】
本発明の製造方法における第一工程では通常酸性触媒を用いる。その様な酸性触媒としては公知のフェノール性樹脂合成用の酸触媒が用いられる。例えば塩酸、硫酸、りん酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸、シリカ−アルミナ、酸性白土などの固体酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛などのフリーデルクラフツ触媒、酸性イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また必要に応じて2種以上の酸触媒を用いることもできる。
【0031】
本発明の製造方法における第一工程ではジヒドロキシ化合物を脱水反応する際に通常溶媒を用いる。その様な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコキシアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサン等の無極性溶媒が適しているが、これに限るものではない。溶媒は必要に応じて2種以上を用いることができる。
【0032】
脱水時の温度は通常40℃〜250℃の範囲であるが、60℃〜200℃の範囲が好ましい。
【0033】
本発明で用いられるジヒドロキシ化合物の脱水反応を行う方法としては、具体的には、例えばジヒドロキシ化合物と、酸性触媒から選ばれる1種または2種以上を溶媒に溶解もしくは分散させた後、加熱して撹拌する方法が挙げられる。反応により生成した水は通常は反応系外へ除去されるが、その様な除去方法としては、共沸脱水により系外へ分離除去する方法や、反応終了後に反応溶液を分液し水層を除く方法等が挙げられる。
【0034】
次に本発明の製造方法の第二工程について説明する。
本発明の製造方法における第二工程は、第一工程で得られた一部が脱水されたジヒドロキシ化合物と、フェノール性化合物とを反応させる工程からなる。
【0035】
本発明の製造方法における第二工程では通常溶媒を用いる。先に説明した通り、この場合の溶媒は第一工程で用いたものをそのまま利用することもできるし、第二工程で溶媒を別途準備して使用してもよい。第二工程で用いる溶媒としては、第一工程で用いる溶媒と同様のものを例示できるが、中でも水と共沸組成物を形成する溶媒が本発明に適している。例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、これに限るものではない。溶媒は必要に応じて2種以上を用いることもできる。第二工程で用いる溶媒は第一工程で用いた溶媒と同じものを用いることが溶媒のリサイクルなどの面からより好ましい。第一工程と第二工程で使用する溶媒の総量は、フェノール性化合物とジヒドロキシ化合物との合計100重量部に対して、通常10〜2000重量部であるが、好ましくは50〜500重量部である。
【0036】
本発明の製造方法における第二工程では通常酸性触媒を用いる。この場合の酸性触媒には第一工程で用いた触媒をそのまま利用することもできるし、第二工程で酸性触媒を別途準備して使用しても良い。その様な酸性触媒としては第一工程で例示したものと同様のものが挙げられる。
第一工程と第二工程での酸触媒の総使用量は、脱水操作前のジヒドロキシ化合物の物質量(mol)を基準として、ジヒドロキシ化合物1molに対して、通常0.001〜1molであり、好ましくは0.001〜0.5molである。
【0037】
本発明の製造方法における第二工程では、反応系内にフェノール性化合物が過剰にある状態において、一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる。
本発明の製造方法におけるフェノール性化合物と一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とのそれぞれの量比については、前者の物質量(モル)に対し、後者の物質量(モル)をジヒドロキシ化合物換算で40〜90モル%の範囲内とすることが好ましく、50〜80モル%の範囲内であればより好ましい。ジヒドロキシ化合物の物質量がフェノール性化合物の物質量に対して40モル%より小さい場合、反応系中に残存する未反応フェノール性化合物の量が増えるため、目的物の精製単離操作の負担が増加する。一方、ジヒドロキシ化合物の量がフェノール性化合物の量に対して90モル%より大きい場合、得られるフェノール性樹脂の溶融粘度が高くなる傾向にあり、絶縁材料、積層板、および半導体封止材料等の電気、電子材料として使用した場合に不都合が生じる傾向がある。
【0038】
一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる方法としては、反応系内にフェノール性化合物が過剰にある状態を保つことができれば特に限定はないが、例えば、一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物の反応溶液を、フェノール性化合物の存在する反応系へ、連続もしくは断続的に添加することにより、該ジヒドロキシ化合物とフェノール性化合物とを反応させる方法等が挙げられる。添加速度については、連続的に添加する場合には、反応開始前のフェノール性化合物の量を基準として、フェノール性化合物の量に対して通常5モル%/時間以上、15モル%/時間以下の速度である。
【0039】
本発明の製造方法における第二工程の反応においては、通常、反応中に生成する水分を共沸脱水により系外へ留出水を除きながら反応を行う。この共沸脱水は常圧、減圧のいずれで実施しても良い。圧力や温度は、用いる溶媒の種類や反応溶液の濃度に依存して変化するが、通常は共沸脱水を継続的に実施できる条件に設定する。例えばトルエンを溶媒に用いた場合では、大気圧下で85℃〜135℃である。
【0040】
反応の推移は、ガスクロマトグラフィー等の手法で、反応系内の原料フェノール性化合物の量の変化を追跡することで判別することができる。反応終了後は反応系を中和後、必要に応じて水洗分液した後、溶媒を蒸留にて回収した後に溶融状態で反応混合物を取り出すことにより得られる。未反応の原料フェノール性化合物を除去する方法としては減圧下に加熱する方法や、水蒸気蒸留、系中に窒素を導入して除去する方法等が挙げられる。
【0041】
本発明の製造方法によれば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した分子構造を含む化合物(b)の生成を抑制することができ、目的とするフェノール性樹脂を得ることができる。
【0042】
次に上記のフェノール性樹脂を用いた、本発明のエポキシ樹脂について説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、先に説明した本発明のフェノール性樹脂を公知の方法に従ってグリシジルエーテル化することにより得ることができる。
該フェノール性樹脂をグリシジルエーテル化する方法としては、例えば、上記のフェノール性樹脂をエピクロロヒドリンと共に反応容器に仕込み溶解させた後、苛性ソーダを連続的に滴下しながら共沸するエピクロロヒドリンと水を冷却液化し、有機相を反応系内に戻しながら反応させ、得られた反応混合物を、水洗等の後処理により精製し、エポキシ樹脂を得る方法等を挙げることができる。特に高純度のエポキシ樹脂を得る場合には、特開昭60−31517号公報に記載の製造方法の様に、非プロトン性溶媒の存在下でフェノール性樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させる方法が好適である。
【0043】
次に本発明のエポキシ樹脂の物性について説明する。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常240〜320g/eq.の範囲であり、好ましくは260〜310g/eq.の範囲である。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂の溶融粘度はICI粘度計(150℃、50Hz)で測定した場合、通常0.01〜10Pa・sの範囲であり、好ましくは0.1〜1Pa・sの範囲である。
【0045】
本発明のエポキシ樹脂の軟化点は、通常50℃〜150℃の範囲であり、好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂の数平均分子量は、通常450〜1450の範囲であり、650〜1250の範囲であればより好ましい。数平均分子量が450未満であるものは、その軟化点が低すぎることがあり、数平均分子量が1450を越えるものは、その軟化点が高くなりすぎることによりその成形加工性が低下する傾向がある。
【0047】
次に本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は下記の(A)〜(C)を含有するものである。
(A)エポキシ樹脂
(B)フェノール性水酸基を有する硬化剤
(C)無機充填材
まず、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂(A)について説明する。
本発明に使用する該エポキシ樹脂(A)は、先に説明した、本発明のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂である。なお、上記(A)と共に、本発明の目的を損なわない範囲で公知のエポキシ樹脂を併用することができる。
【0048】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する硬化剤(B)について説明する。 本発明に使用する硬化剤(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものである。
該硬化剤(B)としては、例えば、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂類、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂等のアラルキル樹脂類、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、リモネン変性フェノール樹脂等の脂環構造含有樹脂類、トリフェノールメタン型樹脂等の多官能樹脂類が挙げられるが、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が好ましい。該硬化剤は単独でも、2種類以上併用してもよい。
硬化剤(B)の配合に際しては、エポキシ樹脂との組み合わせにより任意の配合比を定めることができるが、通常はガラス転移温度が高くなるようにその配合比が決定される。例えば、硬化剤(B)として、ノボラック樹脂類やアラルキル樹脂類等を用いる場合には、エポキシ当量と水酸基当量が1:1となるように配合することが好ましい。
【0049】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する無機充填材(C)について説明する。
この無機充填材(C)の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー等からなるパウダー、フレーク、繊維等が挙げられる。中でも、シリカ、アルミナ等のパウダーが好ましい。無機充填材は、その種類、形状の異なるものを混合して用いることもできる。シリカ、アルミナ等のパウダーは球状および破砕状の形状のものを併用することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填物(C)の配合量は、通常はエポキシ樹脂組成物全体に対して60〜98重量%の範囲であり、好ましくは70〜98重量%の範囲であり、さらに好ましくは75〜95重量%の範囲である。配合量が60重量%未満であると、組成物の吸水率が上昇して耐ハンダクラック性が低下する。また、98重量%を越えると、樹脂組成物の流動性が著しく劣るため半導体封止成形が困難になる。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂組成物に対しては、硬化促進剤を配合することができる。この硬化促進剤としては、例えば、具体的にはトリフェニルホスフィン、トリ−4−メチルフェニルホスフィン、トリ−4−メトキシフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリ−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン化合物類およびこれらのテトラフェニルボレート塩類、トリブチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリアミルアミン等の三級アミン類、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート等の四級アンモニウム類、イミダゾール類等が挙げられる。
これらの中でも、有機ホスフィン化合物類、三級アミン類、イミダゾール類等が耐湿性および硬化性の点から好ましく、中でもトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0051】
本発明のエポキシ樹脂組成物に対しては、その他必要に応じて天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸およびその金属塩類、若しくはパラフィン等の離型剤あるいはカーボンブラックのような着色剤、さらに、シランカップリング剤等の表面処理剤等を添加してもよい。また、三酸化アンチモン、リン化合物、ブロム化エポキシ樹脂等の難燃剤、難燃助剤を加えてもよい。
また、組成物を低応力化するなどの目的で、エラストマー類などを添加またはあらかじめエポキシ樹脂あるいはフェノール性樹脂と反応させて配合することもできる。エラストマー類としては特に限定されないが、例としては、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、シリコーンゴム、シリコーンオイル等の添加型あるいは反応型のエラストマーなどが挙げられる。
【0052】
本発明のエポキシ樹脂組成物は半導体、電子部品等を封止する用途に好適に用いられる。該エポキシ樹脂組成物を用いて樹脂封止型半導体装置を作製するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来から公知の成形法により該エポキシ樹脂組成物を硬化成形すればよい。
本発明によるエポキシ樹脂組成物を硬化させるには、その種類や配合割合、触媒の種類等により適宜決定することができる。通常、100℃〜200℃の範囲において、1分未満の時間で硬化させることができ、150℃〜200℃の範囲において1〜24時間、後硬化反応を行うことができる。
【0053】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、樹脂、樹脂組成物および硬化成形物の評価方法は以下のとおりである。
・フェノール性樹脂における化合物(a)および化合物(b)の合計値に対する下記化合物(a)の含有割合
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
高速液体クロマトグラフ質量分析計(Agilent Technologies社製 SERIES 1100 MSD)を用い、移動相としてアセトニトリル/水を用い、分析用カラムとしてL−column ODSを用いて分離したフェノール性樹脂の成分をAPCI(Positive)モードで検出してその質量数より各々の分画成分の分子量を求め、各分画の溶出時間を確認した。その溶出時間より同定した化合物(a)と化合物(b)とを、紫外検出器を用いて220nmの波長で検出し、それぞれのピークの面積百分率から化合物(a)および化合物(b)の合計値に対する化合物(a)の比率を算出した。
・エポキシ当量: JIS K7236に準じて、塩酸−ジオキサン法にて測定した。
・軟化点: JIS K7234に準じて、環球法にて行った。
・ICI粘度: ICI粘度計を用いて、150℃(50Hz)における粘度を測定した。
・ゲルタイム: JIS K5909に準じて175℃において測定した。
・スパイラルフロー: EMMI−1−66に準じて175℃/70kg/cm2の条件で行った。
・成形品の硬度および離型性: トランスファー成形機によって175℃、2分間の硬化条件で成形された直径5cm、厚さ3mmの円盤成形品を、離型直後にバーコール硬度計で測定した。また、成形後の金型汚れを目視し、曇り・樹脂残渣がある場合は×、清浄である場合は○と判定した。
・耐ハンダクラック性: トランスファー成形機によって封止成形された10個の模擬IC(52ピンQFPパッケージ(パッケージ厚さ2.05mm)を、85℃/85%RHの条件で168時間吸湿させた後、直ちに240℃のハンダ浴に30秒浸漬したときの良品を計数した。良品とは、パッケージのクラックやリードフレームとの剥離のないものとした。
【0054】
実施例1
温度計、攪拌機、およびコンデンサーを備えた500mLの丸底フラスコに1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン 194g(1mol)、トルエン312g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8g、および水15gを仕込み、95℃で2時間撹拌した後、冷却、静置して分液し、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液を得た。この反応により脱水された水酸基の量は、GC分析により、仕込まれた1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンの水酸基総量の66%であった。
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに、フェノール118g(1.25mol)、トルエン208g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8gを仕込み、115〜125℃で撹拌し、上記の反応溶液を6時間かけて滴下した。反応中は、共沸するトルエンと水を冷却液化して有機層を反応系内に戻した。滴下後2時間継続した後、反応終了とした。
この時点の反応液中には、当初仕込んだフェノールの6.6モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−1)を得た。水酸基当量は230g/eq.、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCという。移動層にはテトラヒドロフランを用い、東ソー株式会社製のTSK−gel G3000HXL、G2000HXLおよびG1000HXLのカラムを用いた。紫外検出器で254nmの吸収波長をモニターすることにより検出した。)分析により各成分に含まれる芳香族環の核体数(分子中のベンゼン環の数を示す。以下同じ。)の分布を調べた。その結果、2核体1.3%、3核体11.0%、5核体13.1%、7核体13.4%、9核体12.3%、11核体11.2%、13核体以上は37.7%であった。4核体以上の偶数核体は検出されなかった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、フェノールに由来する構造単位2個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(b)に該当する化合物は検出できず、フェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物に該当する化合物(a)の含有割合は100%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0055】
実施例2
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに仕込むフェノールの量を141g(1.5mol)とした他は実施例1と同様にして、フェノール性樹脂(2)を得た。
この反応終了時の反応液中には、当初仕込んだフェノールの13.1%が残存していた。
フェノール性樹脂(2)の水酸基当量は216g/eq.、GPC分析により、2核体3.1%、3核体18.1%、5核体20.7%、7核体17.6%、9核体13.6%、11核体以上は27.0%含まれていた。4核体以上の偶数核体は検出されなかった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、フェノールに由来する構造単位2個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(b)は検出できず、フェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は100%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0056】
比較例1
温度計、攪拌機、分液管付きコンデンサーを備えた1L丸底フラスコに、フェノール 118g(1.25mol)、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン 194g(1mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物 3.8g、およびトルエン 312gを仕込み、90〜120℃で攪拌し反応させた。
反応中は、共沸するトルエンと水を冷却液化して有機層を反応系内に戻した。加熱、撹拌を13時間継続した後、反応終了とした。
反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの19.3モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−5)を得た。水酸基当量は251g/eq.、GPC分析による各成分の分布は、2核体2.1%、3核体17.3%、4核体10.4%、5核体11.8%、6核体10.8%、7核体8.0%、8核体9.3%、9核体以上は30.3%であった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は55.0%であった。
【0057】
比較例2
フェノールの量を141gとした他は、比較例1と同様に反応を行った。反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの25.7モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−6)を得た。水酸基当量は236g/eq.、GPC分析による各成分の分布は、2核体3.7%、3核体24.4%、4核体13.3%、5核体13.6%、6核体11.7%、7核体8.3%、8核体以上は25.0%であった。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は58.0%であった。
【0058】
実施例1および2ならびに比較例1および2のフェノール性樹脂の溶融粘度、および軟化点を表1に示す。これらのフェノール性樹脂は明確な融点を示さない樹脂状化合物である。
【表1】
【0059】
実施例3
1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液の滴下時間を4時間とした他は、実施例1と同様に反応を行った。 反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの13.7モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−3)を得た。高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は94.9%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0060】
実施例4
1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−メチルエチル)ベンゼンが一部脱水されてなる反応溶液の滴下時間を2時間とした他は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の反応液中には、当初仕込んだフェノールの15.5モル%が残存していた。
反応終了後、中和、水洗、分液処理による脱水操作の後、溶媒留去および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−4)を得た。高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)は91.2%であり、該化合物(a)の分子量は599であった。
【0061】
比較例3
温度計、攪拌機、コンデンサー、および滴下ロートを備えた1Lの丸底フラスコに、フェノール118g、トルエン208g、p−トルエンスルホン酸1水和物3.8gを仕込み、115〜125℃で撹拌しつつ、1,3ジイソプロペニルベンゼン158gを2hrかけて滴下した。滴下後2hr継続した後、反応終了とした。この時点の反応液中には、当初仕込んだフェノールの19.0モル%が残存していた。
この反応後、中和、脱水処理、および脱フェノールの処理を行い、フェノール性樹脂(P−7)を得た。
高速液体クロマトグラフィーの測定の結果、得られたフェノールに由来する構造単位3個および1,3−ジイソプロペニルベンゼンに由来する構造単位2個からなる分子構造を有する化合物(a)の含有割合は85.0%であった。
【0062】
実施例5
温度計、攪拌機、および分液管付きコンデンサーを備えた1Lのバッフル付フラスコにエピクロロヒドリン480gおよびフェノール性樹脂(P−1)120gを仕込み溶解させた。
55〜60℃、15kPaで反応液を還流させながら48.9%苛性ソーダ水溶液43gを連続的に滴下し、共沸するエピクロロヒドリンと水を冷却液化し、有機相を反応系内に戻しながら反応させた。
反応終了後、エピクロルヒドリンを減圧濃縮により除去し、樹脂をメチルイソブチルケトンに溶解させ、水洗により副生塩を除去した。その後、メチルイソブチルケトンを減圧濃縮により除去し、エポキシ樹脂(E−1)を得た。このエポキシ樹脂の軟化点は82℃、ICI粘度は0.62Pa・s、またエポキシ当量は309g/eq.であった。
このエポキシ樹脂(1)100重量部、フェノールアラルキル樹脂(商品名ミレックスXL、三井化学株式会社製)55重量部、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)4.0重量部、充填材878重量部、離型剤(カルナバワックス)1.5重量部、さらにカップリング剤(商品名SH−6040、東レダウコーニングシリコーン株式会社製)2.0重量部をロールで加熱混練してエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、本実施例で使用した充填材は、次の1〜4のシリカをそれぞれ1:10重量%、2:10.8重量%、3:18重量%、4:61.2重量%の配合で混合したものである。
1、破砕状シリカ(平均粒径5.6μm)電気化学工業株式会社製 FS−202、球状シリカ(平均粒径0.4μm)株式会社アドマテック製 アドマファインSO−C2
3、球状シリカ(平均粒径4.9μm)日本化学工業株式会社製 シルスターMK−06
4、球状シリカ(平均粒径40.4μm)徳山曹達株式会社製 エクセリカSE−40
このエポキシ樹脂組成物のゲルタイムは18秒、スパイラルフローは31cmであった。
このエポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形によって模擬ICパッケージを成形し、上記の方法で耐ハンダクラック性試験を行ったところ、パッケージの割れや剥離は生じなかった。また、成形後の金型の状態を観察したところ、金型表面は清浄であり、曇りや樹脂残渣は認められなかった。
【0063】
実施例6〜8、比較例4〜6
フェノール性樹脂(P−2〜P−7)を実施例5の場合と同様にそれぞれグリシジルエーテル化して、対応するエポキシ樹脂(E−2〜E−7)をそれぞれ得た。物性を表2に示す。
さらに、エポキシ樹脂E−2〜E−7を用い、表3に示す量比でそれぞれ硬化剤、硬化促進剤、充填材、離型剤およびカップリング剤を配合し、実施例5の場合と同様にエポキシ樹脂組成物を得た。該エポキシ樹脂組成物を用いて模擬ICパッケージを成形した。
表4に、このエポキシ樹脂組成物のゲルタイム、スパイラルフロー、成形品の硬度・金型の状態、およびICパッケージの耐ハンダクラック性を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】
本発明のフェノール性樹脂の製造方法によれば、ジヒドロキシ化合物の脱水体同士の反応を抑制することができ、選択的に目的とするフェノール性樹脂を得ることができる。また、本発明のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化して得られたエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を成形しても金型曇り等は認められず、該樹脂組成物は硬化性、成形性に優れる。
Claims (8)
- 下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物およびその脱水物からなる群より選ばれる1種以上と、フェノール性化合物とを反応させて得られるフェノール性樹脂であって、該フェノール性樹脂中の下記化合物(a)および(b)を高速液体クロマトグラフ法により、紫外検出器を用いて、検出波長を220nmに設定して測定した場合、下記化合物(a)および(b)にそれぞれ対応するピーク合計面積値に対する、下記化合物(a)に対応するピーク面積値の割合が、90〜100%の範囲にあることを特徴とするフェノール性樹脂。
(a)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物3モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位およびフェノール性化合物に由来する構造単位が交互に結合した構造を有し、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物
(b)分子量がジヒドロキシ化合物2モルおよびフェノール性化合物2モルの合計分子量から水分子4モルの分子量を差し引いた値であって、分子構造としてジヒドロキシ化合物に由来する構造単位同士が結合した構造を含み、かつ分子末端がフェノール性化合物に由来する構造単位を有する化合物 - ジヒドロキシ化合物が、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンおよび/または1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンであることを特徴とする請求項1に記載のフェノール性樹脂。
- フェノール性化合物が、フェノールおよび/またはクレゾールであることを特徴とする請求項1に記載のフェノール性樹脂。
- 次の(イ)〜(ロ)の各工程を含むことを特徴とするフェノール性樹脂の製造方法。
(イ)下記式(1)
[式中、Arは炭素数6〜20のアリーレン基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R1とR3が同時に水素原子であることはなく、R2とR4が同時に水素原子であることはない。]
で表されるジヒドロキシ化合物の一部を脱水反応させる第一工程
(ロ)フェノール性化合物と、第一工程で得られた一部が脱水反応されたジヒドロキシ化合物とを、前者に対し、後者をジヒドロキシ化合物換算で40〜90モル%を用いて反応させる第二工程 - 第一工程における脱水反応を、理論量に対して50〜90%の範囲で行うことを特徴とする請求項4に記載のフェノール性樹脂の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール性樹脂をグリシジルエーテル化してなることを特徴とするエポキシ樹脂。
- 下記(A)〜(C)を配合してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物
(A)請求項6に記載のエポキシ樹脂
(B)フェノール性水酸基を有する硬化剤
(C)無機充填材 - 請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
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