JP2004352877A - 印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキ - Google Patents

印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキ Download PDF

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英介 夏原
Takuo Miyamoto
拓郎 宮本
Masaya Inami
正也 稲波
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Abstract

【課題】アルキルフェノールやホルムアルデヒドを含有せず、かつハロゲン元素が実質的に20ppm以下であり、ロジン系ポリエステル樹脂を含有してなる印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキを提供する。
【解決手段】ハロゲン元素を含有しない重合ロジン類(a)、ロジン類、脂肪酸類、脂肪族多塩基酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーと当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する化合物とを部分的に反応させてなる樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(b)、ポリオール類(c)、ならびに極性基含有石油樹脂(d)を反応させてなるポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホルムアルデヒド、アルキルフェノールやハロゲン元素等の環境や人体への負荷が大きい物質を構成成分としない印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキに関する。当該印刷インキは新聞インキ、凸版印刷インキ、グラビア印刷インキ等の印刷インキに好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
ロジン類、アルキルフェノールとホルムアルデヒドの縮合物、およびポリオール等を主原料とするロジン変性フェノール樹脂は、高軟化点、高粘度、高ゲル化能を有し、さらにはインキ用溶剤に対する優れた溶解性等の印刷インキ用樹脂組成物として優れた物性を有することから、従来から印刷インキ用樹脂(印刷インキ用バインダー)、特にオフセット印刷用バインダーとして賞用されている。
【0003】
しかし、当該ロジン変性フェノール樹脂の主な原料であるアルキルフェノールとホルムアルデヒド縮合物は、その製造時に揮発性有機化合物(VOC)であるホルムアルデヒドを含有する廃水が出るので、環境負荷が大きい。また、当該ロジン変性フェノール樹脂を印刷インキ用バインダーとして使用した印刷インキは、加熱乾燥工程において未反応のあるいは樹脂から遊離したホルムアルデヒドが大気中へ飛散する可能性が否定できず、これらの問題は昨今特にクローズアップされている。さらに、ある種のアルキルフェノールは環境ホルモン作用があることが分かっており、近年、使用の自粛の動きがある。
【0004】
そのため、業界ではアルキルフェノールやホルムアルデヒドを原料としない印刷インキ用バインダーの開発が進められている。例えば、当該ロジン変性フェノール樹脂が有する前記したような諸問題を軽減させるべく、ロジン変性フェノール樹脂に替えて石油樹脂を用いる試みがなされている。しかし、一般にバインダーとして知られた石油樹脂は分子中の官能基数や3次元構造が少ないためゲル化能が低く、ミスチングが大きく、また塗膜の光沢が不十分である等各種印刷適性が十分とは言い難く、ロジン変性フェノール樹脂と併用されることはあっても単独で用いられることはなかった。かかる問題を解決すべく、本出願人はこれまでにアルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物を原料とせず、しかもロジン変性フェノール樹脂に匹敵する物性を備えた印刷インキ用樹脂組成物として、種々のロジン系ポリエステル樹脂を提案してきた(例えば、特許文献1〜3)。
【0005】
ところが、当該印刷インキ用樹脂組成物にはハロゲン元素が含まれ得ることが判明した。周知のようにハロゲン化物は焼却時に直接ダイオキシン等の発生要因となる。本発明者等の原因追及の結果、当該ハロゲン元素は重合ロジンの製造時に用いられるハロゲン系触媒(塩化亜鉛や三弗化ホウ素等)等に起因しており、市販の重合ロジンを用いる限りはこの問題を回避できないことが明らかになった。
【0006】
しかし、ロジン系ポリエステル樹脂からなる印刷インキ用バインダーを近年高速化が進む(オフセット)印刷機に対応させるためには、該樹脂自体を更に高分子量化、高軟化点化、高粘度化する必要がある。そのため、バインダー性能(顔料分散性等)を維持しつつこれらの要求に応えるには、重合ロジンを使用せざるを得ないという状況にある。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−139670号公報
【特許文献2】
特開2001−233947号公報
【特許文献3】
特開2002−97232号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、アルキルフェノールやホルムアルデヒドを含有せず、かつハロゲン元素が実質的に20ppm以下であるため環境面で優れており、しかも従来公知のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する諸物性(高軟化点、高粘度、高ゲル化能、インキ用溶剤への溶解性等)を有するロジン系ポリエステル樹脂を含有してなる印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題に鑑み、前記ロジン系ポリエステル樹脂の原料である市販重合ロジンがハロゲン系触媒の存在下に製造されることに着目し、鋭意検討を重ねた。その結果、パラトルエンスルホン酸等の非ハロゲン系触媒の存在下で製造して得られた重合ロジンを前記ロジン系ポリエステル樹脂の原料とすることで本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、ハロゲン元素を含有しない重合ロジン類(a)、ロジン類、脂肪酸類、脂肪族多塩基酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーと当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物とを部分的に反応させてなる樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(b)、ポリオール類(c)、ならびに任意に使用する極性基含有石油樹脂(d)を反応させてなる、ハロゲン濃度が実質的に20ppm以下のポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂組成物およびその製造方法;該樹脂組成物を主成分とする印刷インキ用樹脂ワニスおよび製造方法;該印刷インキ用樹脂ワニスを主成分とする印刷インキ、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、前記ポリエステル樹脂(A)の構成成分たる、前記成分(a)〜成分(d)について説明する。
【0012】
成分(a)としては、例えばガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等の天然ロジンを非ハロゲン系触媒の存在下に重合して得られる重合ロジン類であればよく、かかる各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、硫酸等の鉱酸、蟻酸等の有機酸や、パラトルエンスルホン酸やメチルスルホン酸等のスルホン酸系触媒などの非ハロゲン系触媒の存在下に、トルエン、キシレン等の有機溶剤中で前記天然ロジンを重合反応させた後に、触媒、溶剤および場合によっては未反応ロジンを除去することにより、目的とする成分(a)を得ることができる。重合は各種公知の方法に従えばよく、例えば特開2002−226790号公報に記載された、スルホン酸基等の酸性官能基を有するポリマー触媒を用いた方法であってもよい。なお、用いる非ハロゲン系触媒としてはスルホン酸系触媒、特にパラトルエンスルホン酸やメチルスルホン酸が好ましい。また、成分(a)としては、前記重合ロジン類の各種変性物、例えば当該重合ロジン類を不均化あるいは水素添加して得られる安定化重合ロジン類、当該重合ロジン類に不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性重合ロジン類として用いてもよい。これらは各種公知の方法により得ることができる。なお当該不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等があげられ、これらは原料ロジン類100重量部に対して通常1〜30重量部程度用いることができ、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。こうして得られる成分(a)は分子内に2個以上のカルボキシル基を有するため、これを原料とするポリエステル樹脂(A)を容易に高分子量化でき、高軟化点かつインキ用溶剤への溶解性に優れた印刷インキ用樹脂組成物を得ることができる。また、成分(a)には、前記重合ロジンおよび不飽和酸変性ロジンを併用することができる。なお、本発明に用いる成分(a)はハロゲン元素を実質的に含有してはならない。具体的には、ハロゲン濃度は20ppm以下である必要がある。
【0013】
成分(a)〜成分(c)の合計仕込み量に対する成分(a)の仕込み量は特に制限されないが、通常20〜93重量%程度が好ましい。また、成分(d)を使用する際には、成分(a)〜成分(d)の合計仕込み量に対して12〜75重量%程度の範囲とするのが好ましい。成分(a)の仕込み量がこれら数値範囲の下限値より少ないと本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の分子量を所望の範囲とし難くなる傾向にあり、上限値より多いと当該印刷インキ用樹脂組成物の、後述する溶剤への溶解性が不十分となるおそれがある。
【0014】
成分(b)であるロジン類としては、前記したガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等の天然ロジンを用いることができる。
【0015】
成分(b)である脂肪酸類および脂肪族多塩基酸類としては全炭素数10〜40程度のものが好ましく使用され、直鎖状、分岐鎖状または環状であってよい脂肪酸、アルキルコハク酸およびその無水物ならびにこれらに対応するアルケニルコハク酸およびその無水物、α,ω−ジカルボン酸類、不飽和カルボン酸付加高級脂肪酸類、ダイマー酸等を例示できる。具体的にはカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、カプロレイン酸、リンデル酸、フィゼテリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸、ステアロール酸、モノマー酸等の直鎖状脂肪酸;イソ酸、ツベルクロステアリン酸等の分岐状脂肪酸;マルバリン酸、ショールムーグリン酸等の環状脂肪酸;直鎖状、分岐鎖状、環状であってよいα−オレフィンオリゴマーまたはエチレン、プロピレン等をオリゴマー化してなる直鎖状、分岐鎖状、環状の内部オレフィンオリゴマーとマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和ジカルボン酸類とをエン付加反応等の付加反応をさせることで得られる化合物、および当該化合物の水素化物;オクテニルコハク酸、オクテニル無水コハク酸、デセニルコハク酸、デセニル無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデセニルコハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、オクタデセニルコハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、エイコセニルコハク酸、エイコセニル無水コハク酸、メチルウンデセニルコハク酸、メチルウンデセニル無水コハク酸、アリルシクロペンテニルコハク酸、アリルシクロペンテニル無水コハク酸、オクチルコハク酸、オクチル無水コハク酸、デシルコハク酸、デシル無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、テトラデシルコハク酸、テトラデシル無水コハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘキサデシル無水コハク酸、オクタデシルコハク酸、オクタデシル無水コハク酸、メチルウンデシルコハク酸、メチルウンデシル無水コハク酸、アリルシクロペンチルコハク酸、アリルシクロペンチル無水コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、テトラコサン二酸、ヘキサコサン二酸、オクタコサン二酸、トリアコンタン二酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸類と桐油、アマニ油、サンフラワー油、大豆油、脱水ヒマシ油等の半乾性油または乾性油から得られる高級脂肪酸とを付加反応させることにより得られる化合物等;牛脂系オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等の不飽和脂肪酸を、触媒としてモンモリロナイト系白土等を用い、二量化したダイマー酸等を例示できる。なお、該ダイマー酸の市販品は、炭素数34のダイマー酸と副生成物である炭素数54のトリマー酸を含有したものとして容易に入手できる。
【0016】
前記成分(b)である脂肪族モノアルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類としては、炭素数が10〜40程度のものが好適に用いられる。具体例としては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オレイルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ゲラニオール、ロジンアルコール、ビサボロール、ラノリンアルコール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、デセンジオール、ドデセンジオール、テトラデセンジオール、ヘキサデセンジオール、オクタデセンジオール、ラノリンアルコール、ダイマー酸を水添したジオール、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、牛脂アルキルアミン、大豆アルキルアミン、ジオクタデシルアミン、ジオクタデセニルアミン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、エチルヘキシルグリシジルエーテル等を例示できる。
【0017】
次いで、前記成分(b)としての、カルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマー(以下、ポリマーという)と当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物とを部分的に反応させてなる樹脂(以下、成分(b)としての樹脂という)、について説明する。先ず当該ポリマーについて説明する。
【0018】
当該ポリマーを構成するカルボン酸類の具体例としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等を例示できる。これらは単独で使用、または2種以上を併用することができ、成分(b)としての樹脂の分子量を後述する範囲内とする限り、任意の範囲で使用できる。また、当該疎水性の重合性不飽和化合物としては、▲1▼炭素数2〜50程度の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、▲2▼炭素数5〜50程度の脂環族不飽和炭化水素モノマー、▲3▼炭素数8〜50程度の芳香族炭化水素モノマー、▲4▼ロジン類、▲5▼高級不飽和脂肪酸、▲6▼不飽和油等を例示できる。前記▲1▼の化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−n−ブテン、ジプロピレン、ジイソブチレン、トリプロピレン、トリブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリエアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテン等のα−オレフィンや、ブタジエン、不飽和ポリオレフィン等が挙げられる。前記▲2▼の化合物の具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、アリルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。前記▲3▼の化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。前記▲4▼の化合物の具体例としては、例えば成分(b)のロジン類として分子内に炭素―炭素不飽和結合を有する化合物が相当する。前記▲5▼および▲6▼の化合物の具体例としては、桐油、アマニ油、サフラワー油、大豆油、脱水ヒマシ油等の半乾性油または乾性油、またはこれらのものから得られる高級不飽和脂肪酸が挙げられ、単独を使用、または2種以上を併用できる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリマーの当該各構成成分と反応しうる各種公知のモノマーや化合物を併用してもよく、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂(A)の分子量を後述する分子量の範囲とする限りにおいて、任意の量を使用することができる。例えば、当該カルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物としては、(i)炭素数6〜50程度の脂肪族モノアルコール、(ii)炭素数6〜50程度の脂肪族ジアルコール、(iii)炭素数6〜50程度の脂肪族モノアミン、(iv)炭素数6〜50程度の脂肪族モノエポキシ等が挙げられる。前記(i)の化合物は、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、その構造は特に制限されない。具体例としては、ヘキサノール、オクタノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサノール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ゲラニオール、ロジンアルコール、ビサボロール、ラノリンアルコール等が挙げられる。前記(ii)の化合物は、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、その構造は特に制限されない。具体例としては、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、デセンジオール、ドデセンジオール、テトラデセンジオール、ヘキサデセンジオール、オクタデセンジオール、ラノリンアルコール、ダイマー酸を水添したジオール等あげられる。前記(iii)の化合物は、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、その構造は特に制限されない。具体例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、牛脂アルキルアミン、大豆アルキルアミン、ジオクタデシルアミン、ジオクタデセニルアミン等が挙げられる。前記(iv)の化合物は、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、その構造は特に制限されない。具体例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、エチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
当該ポリマーは、前記したカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物を原料として、公知の重合反応、例えばラジカル重合反応、熱重合反応、イオン(カチオン、アニオン)重合反応に従い製造することができる。これらの製造方法においては各種公知の開始剤や触媒を用いてもよく、例えばラジカル重合反応の場合にはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過硫酸カリウム、過酸化水素水等の開始剤を使用することができる。また、カチオン重合反応の場合には硫酸等のプロトン酸や、三弗化ホウ素、塩化アルミニウム等のルイス酸と水、アルコール、エーテルからなる共触媒等、各種公知の触媒を使用できる。また、アニオン重合反応の場合には、NaR、RMgX、ROK(Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を表す)、ピリジン、配位アニオン開始剤としてチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等の開始剤を使用できる。なお、ハロゲン元素を含む前記各触媒は本発明の趣旨より極力使用しないことが好ましい。これらの開始剤や触媒は、前記ポリマーを構成するカルボン酸類および疎水性の重合性不飽和化合物の総重量に対し、通常0.01〜10重量%程度使用すればよい。また、反応の際には各種公知の溶媒を使用してもよく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の脂肪族エステル等が挙げられる。なお、溶剤としては重合反応を行う温度範囲において前記原料をおよび反応生成物を十分に溶解できるものが好ましく、特に前記カルボン酸類に対し不活性であってかつ重合反応を大きく阻害しないものが好ましく使用され、具体的にはトルエン、キシレン等を用いることができる。また、反応温度は開始剤や触媒の種類により最適温度を決定すればよいが、通常室温〜200℃程度である。このようにして得られた当該ポリマーの分子量は、後述する当該成分(b)としての樹脂の分子量範囲を逸脱しないように使用する限りに於いて、任意に設定できる。
【0020】
次いで、成分(b)としての樹脂について説明する。当該成分(b)としての樹脂とは、前記ポリマー中のカルボキシル基の20〜80%程度を前記疎水性の重合性不飽和化合物と反応させて得られる変性物であり、該ポリマーの疎水性が高い場合は変性率を低く、疎水性が低い場合は変性率を高くするのが好ましい。また、前記成分(b)としての樹脂を構成する前記カルボン酸類と、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性の重合性不飽和化合物とを予めエステル化したものを、当該成分(b)としての樹脂の反応物として使用することも可能である。
【0021】
このようにして得られた成分(b)としての樹脂は、その重量平均分子量(ゲルパーミションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値をいう。以下、同様)を通常2,000〜30,000程度に設定するのが好ましい。重量平均分子量が2,000より小さい場合には疎水基を集中させることによる本発明に係る印刷インキ用樹脂の溶剤への溶解性を十分に向上させることが困難となり、30,000より大きい場合には当該印刷インキ用樹脂がゲル化や高粘度化するため、反応制御が困難となる傾向にある。
【0022】
成分(a)〜成分(c)の合計仕込み量に対する上記の成分(b)の仕込み量は特に制限されないが、通常3〜32重量%程度とするのが好ましい。また、成分(d)を使用する際には、成分(a)〜成分(d)の合計仕込み量に対する成分(b)の仕込み量は、通常3〜11重量%程度の使用量とするのが好ましい。成分(b)がこれら数値範囲の下限値より少ない場合には本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の後述する印刷インキ溶剤に対する溶解性が低下する傾向にあり、また上限値より多い場合ではポリエステル樹脂(A)を所望の分子量とし難くなる傾向にある。
【0023】
前記成分(c)としては、例えばジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールエタンや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等、従来からロジン変性フェノール樹脂のポリオール成分として公知のポリオールを例示できる。
【0024】
なお、成分(c)のなかでも本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の軟化点、分子量、また本発明に係る印刷インキのミスチングや乳化率を制御し易いことから、グリセリン、トリメチロールプルパン、トリメチロールエタン等当該分子の最長炭素鎖における炭素数が4以下のものである3価アルコールや、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン等当該分子の最長炭素鎖における炭素数が4以下のものである4価アルコールを使用するのが好ましい。
【0025】
また、成分(c)の使用量は特に制限されないが、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物を設計するに際し、ポリエステル樹脂(A)を所望の分子量とし、また本発明に係る印刷インキの乳化率を適切なものとするため、成分(a)〜成分(c)(または成分(a)〜成分(d))の各成分中の全水酸基当量数と全カルボキシル基当量数の割合が、通常当量比でOH/COOH=0.5〜1.1程度となるように使用するのが好ましい。なお、OH/COOHを計算する場合において、成分(b)中の脂肪族モノアミンのうち2級アミンは1価とみなし、また1級アミンは2価とみなし、当該アミノ基の当量数=当該OHの当量数とし、当該OHの当量数を含めてOHの合計当量数とする。そして、成分(b)中の脂肪族モノエポキシ類は2価アルコールとみなし、当該OHの当量数を含めて合計当量数とする。また、成分(a)〜成分(c)の合計仕込み量に対する成分(c)の仕込み量は特に制限されないが、通常4〜33重量%程度が好ましい。また、成分(d)を使用する際には、成分(a)〜成分(d)の合計仕込み量に対する成分(c)の仕込み量を3〜11重量%程度の範囲とするのが好ましい。成分(c)がこれら数値範囲の下限値より少ない場合は本発明に係る印刷インキ用樹脂を所望の分子量とし難くなる傾向にあり、また上限値より多い場合には印刷時において版に汚れが発生しやくなる傾向にある。
【0026】
成分(d)は、本発明に係る印刷インキ用樹脂を高分子量化し、印刷インキへ耐ミスチング性や乳化適性等の付加価値を与える目的から、これらの物性が重要視される場合において好ましく使用される。
【0027】
成分(d)としては、分子内に二重結合を有する石油樹脂(以下、石油樹脂という)にカルボキシル基や水酸基等の極性基を付与したものが該当する。当該石油樹脂としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等のDCPD系原料から得られるDCPD系石油樹脂;ペンテン、シクロペンテン、ペンタジエン、イソプレンのC5系原料から得られるC5系石油樹脂;メチルブテン、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等のC9系原料から得られるC9系石油樹脂;前記DCPD系原料とC5系原料からなる共重合石油樹脂;DCPD系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂;C5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂;DCPD系原料とC5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂等が挙げられ、通常これら各種の石油樹脂は無触媒あるいは触媒(例えばカチオン重合による場合はフリーデルクラフツ型触媒等)の存在の下で製造される。これらの中でも特に極性基を容易に付与でき、所望の軟化点に調整し易いことから、DCPD系原料を成分とする石油樹脂が好ましく使用される。具体的にはDCPD系石油樹脂、DCPC系原料とC5系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂、DCPD系原料とC5系原料とC9系原料からなる共重合石油樹脂が例示される。
【0028】
前記した各種の石油樹脂へ極性基を導入する方法としては、各種公知の方法を採用することができる。例えば極性基としてカルボキシル基を導入する場合には、前記成分(b)としての樹脂の構成成分であるカルボン酸類と同種のものと当該石油樹脂とを各種公知のラジカル反応開始剤の存在下でラジカル共重合反応させる方法や、前記石油樹脂と前記不飽和カルボン酸類とをエン反応させる方法等が採用できる。なかでもラジカル共重合反応による石油樹脂からなる成分(d)をポリエステル樹脂(A)の構成成分として用いた場合には、本発明に係る印刷インキの耐ミスチング性を向上させることができるため好ましい。また、当該カルボン酸類の使用量としては、本発明に係る印刷インキ用樹脂の分子量を所望の範囲に調整し易いことから、原料となる前記石油樹脂100重量部に対して1〜15重量部程度、好ましくは1〜12重量部を使用する。
【0029】
また、極性基として例えば水酸基を付与する場合にもその方法は特に制限されるものではなく、例えば前記石油樹脂が有する二重結合に水を付加したり、アリルアルコール等の分子内に二重結合と水酸基を有する化合物を熱重合させたりする方法が挙げられる。また、成分(d)として水酸基を含有するものに前記不飽和カルボン酸類をエン付加させたものやラジカル反応開始剤の存在下ラジカル共重合させたものは、前記ポリエステル樹脂(A)を容易に高分子量化できるため好ましく使用される。特にラジカル共重合によるものは本発明に係る印刷インキの耐ミスチング性を向上できるという利点があり、この場合は成分(d)中の水酸基の当量数より少ないカルボキシル基の当量数となる割合で不飽和カルボン酸類を反応させればよい。
【0030】
なお、成分(d)を製造する際に各種公知の重合性不飽和炭化水素モノマーを共重合させることもできる。当該モノマーとしては、直鎖状脂肪族不飽和炭化水素モノマー、分岐鎖状脂肪族不飽和炭化水素モノマー、環状脂肪族不飽和炭化水素モノマー等を使用でき、具体的には1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリエアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテン、ミルセン、ポリブテン(3〜10量体)、ピネン、リモネン等を例示できる。これらは単独で使用、または2種以上を併用できる。当該重合性不飽和炭化水素モノマーは本発明の目的を逸脱しない程度において特に制限なく使用できるが、成分(d)の反応率を高める目的から前記不飽和カルボン酸類のモル数より少ない範囲で使用するのが好ましい。なお成分(d)の重量平均分子量は4,000〜30,000程度に設定するのが好ましい。重量平均分子量を4,000以上とした場合には本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の分子量を所望の値とし難くなる傾向にあり、30,000以上とした場合には、成分(d)と反応する他の必須成分(成分(a)〜成分(c))との反応制御が困難となる傾向にある。
【0031】
以上例示した成分(d)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、成分(d)としては本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物を高分子量化する目的から、分子内に2個以上の極性基を有するものが特に好ましく使用される。
【0032】
成分(a)〜成分(d)の合計仕込み量に対する成分(d)の仕込み量は特に制限されないが、好ましくは通常19〜66重量%程度使用するのがよい。当該使用量範囲とすることで本発明に係る印刷インキ用樹脂の分子量を所望の範囲に設定できる。
【0033】
次に本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の製造方法について説明する。まず、前記成分(a)〜成分(c)(必要に応じて成分(d))を原料とするポリエステル樹脂(A)を、各種公知のポリエステル樹脂の製法に従い製造する。この際、触媒や反応温度等の反応条件は特に制限されない。例えば成分(a)〜成分(c)(必要に応じて成分(d))を所定量ずつ反応装置に仕込み、必要に応じて各種公知の酸性または塩基性触媒の存在下、100〜300℃程度の温度範囲にて1〜20時間程度反応させることで目的とするポリエステル樹脂(A)が得られる。
【0034】
当該触媒としては塩酸、硫酸等の鉱酸系触媒、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸系触媒、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物系触媒、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属の水酸化物系触媒、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等の酢酸塩系触媒が挙げられる。
【0035】
また本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物を所望の分子量および軟化点に調節する目的から、エステル化反応の前および/または反応最中に、反応系内にエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、イソフタル酸、テレフタル酸等の架橋剤を、本発明の目的を逸脱しない範囲において任意の量で添加することができる。
【0036】
また本発明に係る印刷インキに様々な付加価値を付与するべく、前記エステル化反応時に各種改質剤を添加してもよい。例えば、印刷インキに耐水性を付与する目的から各種公知のポリオルガノシロキサン(例えば、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等を反応させて、直鎖や分岐した構造を得た後、変性させてヒドロキシル基、メトキシ基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アミノ基等を付与したものが挙げられる)を前記エステル化反応系に添加し、反応させてもよい。
【0037】
また、印刷物に優れた光沢を付与する目的から、各種公知の同一分子内に水酸基およびカルボキシル基を有するヒドロキシ酸類(例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒマシ油脂肪酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、1−ヒドロキシ−1−シクロプロパンカルボン酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、ω−ペンタデカラクトン等が挙げられる)を前記エステル化反応系に添加し、反応させてもよい。
【0038】
また、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の物性(例えば従来公知のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する高軟化点、高粘度、高溶解性等の物性)をほぼ維持しつつ低乳化率の印刷インキを得る目的から、一般式R−(CO)O−(X)−(CO)n’−R’(式中、Rは炭素数C〜C40の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ベンジル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す;R’はH、炭素数C〜C40の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ベンジル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す;Xはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシエチレン−オキシプロピレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す(これらはメチル基が分岐していてもよい);n、n’は0または1を表す;mは1〜100(好ましくは2〜60)の整数を表す)で表される、オキシアルキレン化合物を前記エステル化反応系に添加してもよい。なお、当該オキシアルキレン化合物の種類によっては反応時の高温で分解するものもあるが、そのようなものはエステル化反応が終了した後に系に添加すればよい。高温時に反応系内に添加する場合はRとR’が共に炭化水素基であることが好ましい。また、当該化合物はポリエステル樹脂(A)製造後において、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスや印刷インキに直接添加して用いてもよい。
【0039】
前記化合物のなかでも、特にRがC〜C24程度のアルキル基であり、またR−CO−(n=1)および/またはR‘−CO−(n’=1)で表される脂肪酸残基、樹脂酸残基を有するものが好ましい。なお、樹脂酸残基とは全炭素数が20で3つの炭素環を有するジテルペン構造を有する樹脂酸のカルボキシル基から水酸基を除いた構造をいう。
【0040】
また、当該オキシアルキレン化合物はHLB値が6〜18程度、特に8〜16程度のものが好ましく使用される。HLB値が6より小さい、または18より大きい場合には、乳化率低減の効果が十分でない。また、当該オキシアルキレン化合物を使用する場合には本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の総重量に対して好ましくは0.2〜30重量%程度、更に好ましくは0.2〜20重量%であり、0.2重量%より少ない場合には本発明に係る印刷インキの乳化率を十分に低減できなくなる傾向にあり、また30重量%より多く使用すると本発明に係る印刷インキの他の性能(例えば、乾燥性や耐ミスチング性等)が逆に低下する傾向にある。
【0041】
当該オキシアルキレン化合物の態様としては、例えば、(イ)ポリエチレングリコールモノエーテル類[R−O−(CHCHO)mH]、(ロ)ポリエチレングリコールジエーテル類[R−O−(CHCHO)m−R’]、(ハ)ポリプロピレングリコールモノエーテル類[R−O−(CHCHCHO)mH]、(ニ)ポリプロピレングリコールジエーテル類[R−O−(CHCHCHO)m−R’]、(ホ)ポリエチレングリコールモノエステル化物[R−CO−O−(CHCHO)mH]、(ヘ)ポリエチレングリコールジエステル化物[R−CO−O−(CHCHO)m−CO−R’]、(ト)ポリプロピレングリコールモノエステル化物[R−CO−O−(CHCHCHO)mH]、(チ)ポリプロピレングリコールジエステル化物[R−CO−O−(CHCHCHO)m−CO−R’]等が例示できる。
【0042】
更に具体的には、前記(イ)としては、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノベンジルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノエイコシルエーテル、ポリエチレングリコールモノドコシルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラコシルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキサコシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクタコシルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリアコンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノドトリアコンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラトリアコンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキサトリアコンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクタトリアコンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラコンチルエーテル等が例示できる。また、前記(ロ)としては、前記(イ)の水酸基(OH)をアルコキシ化したものを例示できる。また、前記(ハ)、(ニ)としては、前記(イ)、(ロ)のポリオキシエチレン部位をポリオキシプロピレン部位に置換したものが挙げられ、当該オキシプロピレン基は直鎖状、分岐状のどちらでもよい。また、前記(ホ)としては各種脂肪酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、カプロレイン酸、リンデル酸、フィゼテリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸、ステアロール酸、モノマー酸等の直鎖状脂肪酸、イソ酸、ツベルクロステアリン酸等の分岐状脂肪酸、マルバリン酸、ショールムーグリン酸、樹脂酸等の環状脂肪酸と、ポリエチレングリコールからなるモノエステル化物が挙げられる。また、前記(ヘ)としては、前記(ホ)の水酸基(OH)に、前掲した各種脂肪酸を更に反応させて得られるジエステル化物が挙げられる。また、前記(ト)、(チ)としては、前記(ホ)、(ヘ)のポリオキシエチレン部位をポリオキシプロピレン部位に置換したものが挙げられ、当該オキシプロピレン基は直鎖状、分岐状のどちらでもよく、これらの例示したオキシアルキレン化合物は1種を単独で、または2種以上を併用できる。
【0043】
当該オキシアルキレン化合物の市販品としては、トリエチレングリコールモノイソデシルエーテル(商品名 ノイゲンSD30、第一工業製薬(株)製、HLB=10)、ヘキサエチレングリコールモノイソデシルエーテル(商品名 ノイゲンSD60、第一工業製薬(株)製、HLB=12)、ウンデカエチレングリコールモノイソデシルエーテル(商品名 ノイゲンSD110、第一工業製薬(株)製、HLB=15)、ヘキサエチレングリコールモノオレイルエーテル(商品名 ノイゲンET129、第一工業製薬(株)製、HLB=10)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(商品名 ベンジルジグリコール、日本乳化剤(株)製、HLB=9)、ヘプタエチレングリコールモノオレイン酸エステル(商品名 ノイゲンES129D、第一工業製薬(株)製、HLB=9)、ウンデカエチレングリコールモノオレイン酸エステル(商品名 ノイゲンES149、第一工業製薬(株)製、HLB=11)、ペンタデカエチレングリコールモノロジン酸エステル(商品名 DRA1500、東邦化学(株)製、HLB=14)、ポリエチレングリコールセチルステアリルエーテル(商品名 エヌジェポンECS600、新日本理化(株)製、HLB=11)等が容易に入手できる。
【0044】
こうして得られた本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の軟化点は、通常120〜200℃程度、好ましくは140〜200℃とされる(JIS K5601に準拠した値)。軟化点が140℃以下である場合には本発明に係る印刷インキの乾燥性やセット性を良好とし難く、また200℃以上である場合には該印刷インキ用樹脂組成物を後述する印刷インキ用溶剤へ十分に溶解させ難くなる傾向にある。また、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物の重量平均分子量は、30,000〜400,000程度、好ましくは50,000〜200,000の範囲とされる。30,000より小さい場合は所望の粘度が得られにくくなり、400,000より大きい場合は後述する印刷インキ用溶剤へ樹脂を溶解させたときに不溶物が発生しやすくなる傾向にある。なお、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物は芳香族成分をほとんど含まない石油系溶剤にも十分に溶解し、日石三菱(株)製5号ソルベントトレランスでは2g/g以上、好ましくは20g/g以上である。なお、ソルベントトレランス(g/g)とは溶解性の指標であり、樹脂と5号ソルベントを1対2の重量比で加熱混合した樹脂溶液に、25℃においてさらに5号ソルベントを加えてゆき、溶液が白濁するまでに要した溶剤の総重量に対する樹脂重量から算出した値である。また、5号ソルベントトレランスが20g/g以上の高溶解性を示す場合は、日石三菱(株)0号ソルベントを用いる。また本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物は33重量%アマニ油粘度がコーン・アンド・プレート型粘度計測定値で4〜15Pa・s(25℃)程度と高粘度であることを特徴とする。なお、33重量%アマニ油粘度とは、得られた印刷インキ用樹脂とアマニ油を1対2の重量比で加熱混合したものを25℃においてコーン・アンド・プレート型粘度計(日本レオロジー機器(株)製)により測定した際の粘度をいう。このような物性を有する本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物は印刷インキ用樹脂ワニスとして好適に使用される。
【0045】
次に、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスについて説明する。当該印刷インキ用樹脂ワニスは、本発明に係る印刷インキ用樹脂組成物に植物油、ゲル化剤、必要に応じて各種公知のインキ用溶剤等を配合し、これを適宜加熱溶解や化学反応させて得られるものである。なお、当該植物油、ゲル化剤および溶剤は、当該印刷インキ用樹脂組成物を製造する際にその反応を阻害しない種類、使用量であれば、反応系内に予め仕込んでおいてもよい。この場合、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスを製造する工程を簡略化できるという利点がある。また前記植物油とインキ用溶剤は併用するのが好ましい。
【0046】
前記植物油としては各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的にはアマニ油、桐油またはこれらの重合油、サフラワー油、脱水ヒマシ油、大豆油等があげられるが、印刷物の乾燥性の点から不飽和結合を有する植物油が好ましく、近年の環境対策面から考えると大豆油が特に好ましい。また、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスには得られる印刷インキの性能を損なわない範囲において各種公知の石油樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステル、脂肪酸エステル等を適宜併用できる。
【0047】
前記ゲル化剤としては、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート等各種公知のものが挙げられる。
【0048】
前記溶剤としては、従来公知のインキ溶剤を特に限定なく使用することができる。例えば、トルエン、キシレン等の有機溶剤や日石三菱(株)製の各種石油系溶剤である0号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、AF4号ソルベント、AF5号ソルベント、AF6号ソルベント、AF7号ソルベント等があげられる。特に環境対策面から沸点が200℃程度以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下であるAFソルベントを使用することが好ましい。これら溶剤はいずれも単独で、または2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。
【0049】
本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス中の前記印刷インキ用樹脂組成物の含有量は、固形分濃度で通常30〜80重量%とするのが好ましい。残部は、前記植物油、ゲル化剤および必要に応じて用いる各種公知のインキ用溶剤等である。
【0050】
次に、本発明に係る印刷インキについて説明する。当該印刷インキは、前記各方法で得られた本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスに顔料(黄色、紅色、藍色または黒色等)、植物油および/または石油系溶剤を主成分として、インキ流動性やインキ表面皮膜を改善するための界面活性剤、ワックス、ドライヤー等の各種添加剤を必要に応じて配合して得られる混合物を、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミルといった公知のインキ製造装置を用いて適切なインキ恒数となるよう、練肉・調整して得られるものである。なお、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニスは、印刷インキ中における前記印刷インキ用樹脂組成物が固形分濃度で通常10〜50重量%程度となるように使用するのが好ましい。
【0051】
このようにして得られた本発明に係る印刷インキは、特にオフセット枚葉インキ(枚葉インキ)、オフセット輪転インキ(オフ輪インキ)、水なしオフセットインキ等のオフセット印刷インキとして賞用されるほか、新聞インキ、凸版印刷インキ、グラビア印刷インキにも好適に使用される。なお、インキ用溶剤として植物油および/または沸点が200℃以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下である石油系溶剤を用いた本発明に係る印刷インキは、環境側面や作業衛生面において有用である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキルフェノールやホルムアルデヒドを含有せず、かつハロゲン元素が実質的に20ppm以下であるため環境面で優れ、しかも従来公知のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する諸物性(高軟化点、高粘度、高ゲル化能、インキ用溶剤等)を有する印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、印刷インキを提供することができる。また、本発明に係る印刷インキは、耐ミスチング性、乾燥性、光沢に優れるため、今日の要求に適したものである。
【0053】
【実施例】
以下、製造例、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。なお、以下「部」とは重量部を示す。
【0054】
製造例1:(成分(a):重合ロジンの製造)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ガムロジン1,000部、キシレン100部、および触媒としてパラトルエンスルホン酸35部を仕込み、窒素気流下130℃にて6時間反応を行った。反応終了後、キシレンを追加し、水洗によって触媒を除去した後に、更に減圧蒸留をすることによってキシレン留去を行い、次いで得られた生成物を冷却することにより酸価148(JIS K 5902に準ずる。以下、同様)の重合ロジンの固形樹脂を得た。
【0055】
製造例2:(成分(a):不飽和酸変性重合ロジンの製造)
製造例1で得られた重合ロジン1,000部、次いでフマル酸50部を仕込み、攪拌下に230℃まで昇温して1時間保温した後、冷却して不飽和酸変性重合ロジンの固形樹脂を得た。樹脂酸価は200であった。
【0056】
製造例3:(成分(d):極性基含有石油樹脂の製造)
製造例1と同様の反応容器に、DCPD系石油樹脂(商品名 クイントン1325、日本ゼオン(株)製)1,000部、キシレン100部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら150℃まで昇温して溶融した。ついで、無水マレイン酸70部を仕込み、ジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名 パーブチルD、日本油脂(株)製)6部を30分間かけて連続的に添加し、150〜160℃で2.5時間保温し反応させた。保温後、キシレンを除去するため反応系を200℃まで昇温し、0.02MPaで10分間減圧した後、冷却して、理論酸価が75.0、重量平均分子量が5,000の固形樹脂を得た。なお、当該理論酸価は使用原料のカルボキシル基当量数から算出したものである。なお、当該重量平均分子量の測定には、東ソー(株)製ゲルパーミションクロマトグラフィー(商品名 HLC−8020)および東ソー(株)製カラム(商品名 TSK−GEL)を用いた(以下、同様)。
【0057】
実施例1 (ロジン系ポリエステル樹脂)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、製造例1で得られた重合ロジン353部、製造例2より得られた不飽和酸変性ロジン101部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。ついで、OH/COOH(当量比)=0.90となるよう、ペンタエリスリトール22部、グリセリン22部および1,2−オクタデカンジオール76部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温、酸価が30以下となったら、パラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまで反応した。エステル化反応終了後、33重量%アマニ油粘度を8.0Pa・sに調整し、0.02MPaで10分間減圧、冷却して固形樹脂を得た。こうして得られたポリエステル樹脂の脂肪族炭化水素系溶剤(商品名 0号ソルベント、日石三菱(株)製)溶液のトレランスは1.4g/g、酸価は14.2、軟化点は168℃、重量平均分子量は103,000であった(表1参照)。なお、ここでいうトレランスには0号ソルベントを用いた。また、得られたポリエステル樹脂中のハロゲン元素濃度を波長分散型蛍光X線装置(商品名「ZSX100e」、理学電気工業(株)製)を用いて測定した結果、検出限界以下であった。
【0058】
実施例2(ロジン系ポリエステル樹脂)
実施例1と同様の反応容器に、製造例1で得られた重合ロジン353部、製造例2より得られた不飽和酸変性ロジン101部、製造例3より得られた極性基含有石油樹脂426部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。ついで、OH/COOH(当量比)=0.90となるよう、ペンタエリスリトール22部、グリセリン22部および1,2−ヘキサデカンジオール76部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温、酸価が30以下となったらパラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまで反応した。エステル化反応終了後、33重量%アマニ油粘度を8.0Pa・sに調整し、0.02MPaで10分間減圧、冷却して固形樹脂を得た。こうして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点、重量平均分子量および樹脂中のハロゲン元素濃度を表1に示す。
【0059】
比較例1(ロジン系ポリエステル樹脂:市販重合ロジン使用)
実施例1と同様の反応容器を用い、重合ロジンとして市販品(中国産重合ロジン、酸価:140)353部を用いた以外は実施例1と同様の方法により、固形樹脂を得た。こうして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点、重量平均分子量および樹脂中のハロゲン元素濃度を表1に示す。
【0060】
比較例2(ロジン系ポリエステル樹脂:市販重合ロジン使用)
実施例1と同様の反応容器を用い、重合ロジンとして市販品(中国産重合ロジン、酸価:140)353部を用いた以外は実施例2と同様の方法により、固形樹脂を得た。こうして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点、重量平均分子量および樹脂中のハロゲン元素濃度を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004352877
【0062】
(ゲルワニスの調製)
実施例1で得られた樹脂45部、大豆油10部および脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント7号、日石三菱(株)製)45部を180℃にて30分混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)1.0部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、ゲル状のワニス(以下、ゲルワニスという)を得た。実施例2、比較例1および参照例1で得られた各樹脂についても上記と同様にしてゲルワニスを調製した。
【0063】
(インキの調製)
前記各ゲルワニスを用いて表2に示す配合割合で3本ロールミルにより練肉して印刷インキを調製した。
【0064】
【表2】
Figure 2004352877
上記配合に基づいてインキのタック値を6.5±0.5、フロー値を41.0±1.0となるよう適宜調整した。
【0065】
(インキの性能試験)
タック値:インキ1.3mlをインコメーター(東洋精機(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間回転させ、値を読み取った。結果を表3に示した。
フロー値:インキ約2mlをスプレッドメーター(熊谷理機工業(株)製)の試料穴に入れ、インキの上面を固定板の上面と同一面になるようへらでかきとり、荷重板を落下させた。同心円状に広がったインキの1分後の直径値を読み取った。結果を表3に示す。
光沢:インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、20℃、65%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表3に示す。
乾燥性:インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、160℃の雰囲気中に2秒、4秒、6秒間それぞれ暴露し、指蝕によりべたつきの無い状態を乾燥として判断した。乾燥性は数値が小さいほど良好であることを示し、結果を表3に示す。
ミスチング:インキ2.6mlをインコメーター(東洋精機(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して評価を行なった。ミスチングは数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 2004352877

Claims (9)

  1. ハロゲン元素を含有しない重合ロジン類(a)、ロジン類、脂肪酸類、脂肪族多塩基酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族ジアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーと当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物とを部分的に反応させてなる樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(b)、ポリオール類(c)、ならびに任意に使用する極性基含有石油樹脂(d)を反応させてなる、ハロゲン濃度が実質的に20ppm以下のポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂組成物。
  2. ハロゲン元素を含有しない重合ロジン類(a)がスルホン酸系触媒の存在下で製造されたものである請求項1記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  3. スルホン酸系触媒がパラトルエンスルホン酸、メチルスルホン酸である請求項1または2記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  4. 重量平均分子量が30,000〜400,000である請求項1〜3のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  5. 軟化点が120℃〜200℃である請求項1〜3のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷インキ用樹脂組成物を主成分とする印刷インキ用樹脂ワニス。
  8. 請求項7に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  9. 請求項7記載の印刷インキ用樹脂ワニスを主成分とする印刷インキ。
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