JP2004352388A - 吊り具 - Google Patents
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Abstract
【課題】セグメント等の被保持物を容易に且つ確実に吊り下げることができる吊り具を提供することを課題とする。
【解決手段】ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すと、ストッパ5によるスライド部材3の拘束が解除されると共に付勢力に抗してスライド部材3がストッパ解除部材6と共にスライドしてタング部材2が格納位置に回動する。この状態で本体1を被保持物の係合孔に差し込み、その後、押圧しているストッパ解除部材6を解放すれば、付勢力によりスライド部材3が本体1の基端部に向かってスライドしてタング部材2が突出位置に回動し、係合面2aが被保持物の係合孔の外周部に係合して吊り具が被保持物に取り付けられる。同様に、ストッパ解除部材6を押してタング部材2を格納位置に位置させた状態で本体1を係合孔から引き抜けば、吊り具が被保持物から取り外される。
【選択図】 図1
【解決手段】ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すと、ストッパ5によるスライド部材3の拘束が解除されると共に付勢力に抗してスライド部材3がストッパ解除部材6と共にスライドしてタング部材2が格納位置に回動する。この状態で本体1を被保持物の係合孔に差し込み、その後、押圧しているストッパ解除部材6を解放すれば、付勢力によりスライド部材3が本体1の基端部に向かってスライドしてタング部材2が突出位置に回動し、係合面2aが被保持物の係合孔の外周部に係合して吊り具が被保持物に取り付けられる。同様に、ストッパ解除部材6を押してタング部材2を格納位置に位置させた状態で本体1を係合孔から引き抜けば、吊り具が被保持物から取り外される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、吊り具に係り、特にシールド等に用いられるスチール製のセグメントを吊り下げるための吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネルのシールド等に用いられるスチール製のセグメントを吊り下げる際には、L字状の金具が使用され、セグメントに形成された係合孔に金具を引っ掛けて吊り下げていた。このため、金具にセグメントの重量がかかった吊り下げ状態では金具がセグメントの係合孔にしっかりと係合して外れることはないが、セグメントの重量が金具にまだ十分にかからない吊り下げ直前においては、金具が係合孔から外れやすく、作業者がそれぞれの金具を押さえていなければならなかった。
また、ボルトナット方式の吊り具を係合孔に係合させてセグメントを吊り下げようとしても、例えば複数のセグメントを積み重ねた状態で吊る場合等には、セグメントの中に手が入らず、ナット締めができないという問題があった。
【0003】
さらに、特許文献1には、被保持物にボルトの頭部に対応した特殊な形状の貫通孔を形成し、この貫通孔にボルトを挿通して所定角度回転することによりボルトの頭部を係合させ、吊り孔を有するアイナットをボルトの先端に螺合して被保持物を吊り下げる吊り具が開示されているが、被保持物に特殊な形状の貫通孔を開けなければならず、使いやすいものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−330782号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は、シールド等に用いられるセグメントを容易に且つ確実に吊り下げることが困難であった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、セグメント等の被保持物を容易に且つ確実に吊り下げることができる吊り具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る吊り具は、被保持物に形成された係合孔に通される本体と、本体内に格納される格納位置と本体の側方に突出する突出位置との間で移動自在に本体の先端部に取り付けられるタング部材と、本体の内部にスライド自在に配置されると共にタング部材に連結されたスライド部材と、タング部材が突出位置に位置するようにスライド部材を本体の基端部に向かって付勢する付勢手段と、スライド部材に移動自在に取り付けられると共にスライド部材の外方に向かって付勢されてタング部材が突出位置になるようなスライド部材の本体に対する位置を拘束するストッパと、スライド部材よりも本体の基端部側にスライド自在に配置されると共にその先端部がストッパに当接するストッパ解除部材とを備え、ストッパ解除部材を本体の先端部に向かって押すと、ストッパによるスライド部材の拘束が解除され、さらに付勢手段による付勢力に抗してスライド部材がストッパ解除部材と共に本体の先端部に向かってスライドしてタング部材が格納位置に移動されるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にこの発明の実施の形態に係る吊り具を示す。この吊り具は、スチール製のセグメント等の被保持物に形成された係合孔に通される本体1を有している。本体1には、その先端部にタング部材2が、その基端部にスライド部材3がそれぞれ配置されており、これらタング部材2とスライド部材3とが本体1内に通されたロッド部材4を介して互いに連結されている。また、スライド部材3は一対のストッパ5を有すると共に本体1のスライド部材3より基端部側にはストッパ解除部材6が配置されている。さらに、本体1はその外側部に吊り下げ用の吊り孔7を有している。
【0008】
タング部材2は、ピン8により本体1に回動自在に取り付けられている。タング部材2の一端には係合面2aが形成されており、タング部材2はこの係合面2aが本体1内に格納される格納位置と係合面2aが本体1の側方に突出する突出位置との間で回動するようになっている。なお、タング部材2が突出位置にあるときには、その係合面2aが本体1の長手方向に対して垂直に位置する。
【0009】
また、本体1の基端部には円柱状の空洞部9が形成されており、この空洞部9内にほぼ円柱状のスライド部材3がスライド自在に配置されている。ここでロッド部材4は、本体1に対してスライド自在に設けられると共にその両端がタング部材2とスライド部材3とにそれぞれ回動自在に接続されている。空洞部9内でスライド部材3をスライドさせると、スライド部材3と共にロッド部材4がスライドしてタング部材2を突出位置と格納位置との間で回動させることができる。
また、空洞部9内にはスライド部材3よりも先端部側に付勢手段であるバネ10が配置されており、このバネ10によりスライド部材3はタング部材2が突出位置に位置するように本体1の基端部に向かって付勢されている。なお、空洞部9を形成している本体1の内壁面には環状のストッパ係合溝1aが形成されている。
【0010】
さらに、スライド部材3の外周部には、図2に示されるような一対のストッパ収容部11が互いに対向するように形成されており、各ストッパ収容部11内にストッパ5がピン12を介して回動自在に取り付けられている。また、スライド部材3には一対のストッパ収容部11を互いに連通する貫通孔13が形成されると共に貫通孔13内にバネ14が通されており、このバネ14は一対のストッパ5がストッパ収容部11の外部へ突出するように各ストッパ5をスライド部材3の径方向外方に向かって付勢している。これら一対のストッパ5がストッパ収容部11から突出して本体1の内壁面のストッパ係合溝1aに係合することにより、本体1に対するスライド部材3の位置はタング部材2が突出位置になるような位置に拘束されるようになっている。さらに、スライド部材3の外周部には段差15が形成されている。なお、スライド部材3はその中央にネジ切り孔3aを有している。
【0011】
また、スライド部材3よりも本体1の基端部側に配置されるストッパ解除部材6は、本体1に対してスライド自在に設けられると共に、その先端部側に、すなわち、スライド部材3に対向してこのスライド部材3の一部を覆う凹部16が形成され、先端縁部がスライド部材3の外部へ突出したストッパ5の部分に当接している。
【0012】
さらに、ストッパ解除部材6の基端部は、作業者がこのストッパ解除部材6を操作しやすいように本体1の外部へ突出している。このストッパ解除部材6の基端部中央には先端部側の凹部16に連通する貫通孔17が形成されており、これら貫通孔17と凹部16との間には貫通孔17の軸心に向かって突出した環状の係合部18が形成されている。さらに、その頭部にフランジ部19aを有するボルト19がストッパ解除部材6の貫通孔17から凹部16へと挿通されると共にボルト19の先端がスライド部材3のネジ切り孔3aに螺合されている。ここで、ボルト19のフランジ部19aはストッパ解除部材6の係合部18に係合しており、ストッパ解除部材6が本体1から脱落することが防止される。なお、ストッパ解除部材6の凹部16内にはスライド部材3との間に空間が形成されている。
【0013】
次に、この実施の形態に係る吊り具の作用について説明する。吊り具をスチール製のセグメント等の被保持物に取り付ける際には次のような手順で作業を行う。なお、吊り具の取り付けは被保持物に形成されている係合孔を利用して行われるが、被保持物に形成されている既存の係合孔を利用して、あるいは被保持物に所定の係合孔を形成して行われる。図1に示されるように、この実施の形態の吊り具が何も操作されていない通常状態、すなわち、ストッパ解除部材6が本体1の先端部に向かって押されていない状態では、タング部材2が突出位置に位置してその係合面2aが本体1の側方に突出すると共にスライド部材3の一対のストッパ5が本体1の内壁面のストッパ係合溝1aに係合してスライド部材3の本体1に対する位置が拘束されている。
【0014】
ここで、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すと、図3に示されるように、ストッパ解除部材6がその凹部16内に形成された空間を狭めるようにスライド部材3に対しスライドすると共にその先端縁部がバネ14の付勢力に抗して一対のストッパ5を回動させ、これによりこれら一対のストッパ5がスライド部材3の一対のストッパ収容部11内にそれぞれ収容されて各ストッパ5がストッパ係合溝1aから外れる。すなわち、本体1に対するスライド部材3の位置の拘束が解除される。
【0015】
そして、さらにストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押し進めると、ストッパ解除部材6の先端部がスライド部材3の段差15に当接することによりこのストッパ解除部材6を介してスライド部材3が本体1の先端部に向けて押される。すなわち、図4に示されるように、スライド部材3がバネ10の付勢力に抗してストッパ解除部材6と共に空洞部9内を本体1の先端部に向けてスライドし、それと同時にロッド部材4も本体1の先端部に向けてスライドすることにより、タング部材2がピン8を中心に格納位置へ回動してその係合面2aが本体1内に格納される。この状態のまま本体1を図示されない被保持物に形成された係合孔に差し込む。
【0016】
そして、タング部材2が被保持物の係合孔を通過したところで、押圧しているストッパ解除部材6を解放すると、バネ10の付勢力によりスライド部材3及びロッド部材4が共に本体1の基端部に向けてスライドし、それに伴ってタング部材2が突出位置に回動して図1に示されるようにその係合面2aが本体1の側方に突出すると共に、スライド部材3の一対のストッパ5が本体1のストッパ係合溝1aに係合してスライド部材3がその位置に拘束される。このようにして本体1の側方に突出したタング部材2の係合面2aが被保持物の係合孔の外周部に係合し、これにより吊り具の被保持物への取り付けが完了する。この状態で本体1の吊り孔7を介して被保持物が吊り下げられる。
【0017】
一方、吊り具を被保持物から取り外す場合、取り付けの場合と同様に、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すことにより、ストッパ5によるスライド部材3の拘束を解除すると共にバネ10による付勢力に抗してスライド部材3をストッパ解除部材6と共に本体1の先端部に向かってスライドさせてタング部材2を格納位置に移動する。その状態で本体1の先端部を被保持物の係合孔から引き抜くことにより吊り具が被保持物から取り外される。
【0018】
以上のように、この発明の吊り具は、被保持物に形成された係合孔を利用し、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押してタング部材2を格納位置に位置させた状態で、本体1の先端部を被保持物の係合孔に通す或いは係合孔から引き抜くことによりワンタッチで取り付け及び取り外しが完了するため、被保持物への吊り具の取り付け/取り外しを容易に行うことができる。
【0019】
また、スライド部材3のストッパ5が本体1のストッパ係合溝1aに係合することにより、本体1に対するスライド部材3の位置はタング部材5が突出位置になるような位置に拘束されるため、本体1の側方に突出しているタング部材2の部分に何らかの外力が働いても、タング部材2が本体1内に格納されて吊り具が被保持物の係合孔から外れてしまうことがなく、その結果、吊り下げを確実に行うことができる。
【0020】
さらに、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押してタング部材2を格納位置に位置させた状態でこのストッパ解除部材6から手を離すと、バネ10の付勢力によりスライド部材3とロッド部材4が共に本体1の基端部に向けてスライドし、これによりタング部材2が自動的に突出位置に回動するので、被保持物への吊り具の取り付け/取り外しをより容易に行うことができる。
【0021】
なお、この発明の吊り具はスチール製のセグメントだけでなく、所定の係合孔が形成されたパネル、H型鋼やビーム等の鋼材及び構造物の吊り下げにも利用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被保持物に形成された係合孔に通される本体と、本体内に格納される格納位置と本体の側方に突出する突出位置との間で移動自在に本体の先端部に取り付けられるタング部材と、本体の内部にスライド自在に配置されると共にタング部材に連結されたスライド部材と、タング部材が突出位置に位置するようにスライド部材を本体の基端部に向かって付勢する付勢手段と、スライド部材に移動自在に取り付けられると共にスライド部材の外方に向かって付勢されてタング部材が突出位置になるようなスライド部材の本体に対する位置を拘束するストッパと、スライド部材よりも本体の基端部側にスライド自在に配置されると共にその先端部がストッパに当接するストッパ解除部材とを備え、ストッパ解除部材を本体の先端部に向かって押すと、ストッパによるスライド部材の拘束が解除され、さらに付勢手段による付勢力に抗してスライド部材がストッパ解除部材と共に本体の先端部に向かってスライドしてタング部材が格納位置に移動されるので、この吊り具によりセグメント等の被保持物を容易に且つ確実に吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る吊り具の側面断面図である。
【図2】実施の形態におけるスライド部材の正面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る吊り具におけるストッパが解除された様子を示す側面断面図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る吊り具におけるタング部材が格納された様子を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 本体、1a ストッパ係合溝、2 タング部材、2a 係合面、3 スライド部材、3a ネジ切り孔、4 ロッド部材、5 ストッパ、6 ストッパ解除部材、7 吊り孔、8,12 ピン、9 空洞部、10,14 バネ、11 ストッパ収容部、13,17 貫通孔、15 段差、16 凹部、18 係合部、19 ボルト、19a フランジ部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、吊り具に係り、特にシールド等に用いられるスチール製のセグメントを吊り下げるための吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネルのシールド等に用いられるスチール製のセグメントを吊り下げる際には、L字状の金具が使用され、セグメントに形成された係合孔に金具を引っ掛けて吊り下げていた。このため、金具にセグメントの重量がかかった吊り下げ状態では金具がセグメントの係合孔にしっかりと係合して外れることはないが、セグメントの重量が金具にまだ十分にかからない吊り下げ直前においては、金具が係合孔から外れやすく、作業者がそれぞれの金具を押さえていなければならなかった。
また、ボルトナット方式の吊り具を係合孔に係合させてセグメントを吊り下げようとしても、例えば複数のセグメントを積み重ねた状態で吊る場合等には、セグメントの中に手が入らず、ナット締めができないという問題があった。
【0003】
さらに、特許文献1には、被保持物にボルトの頭部に対応した特殊な形状の貫通孔を形成し、この貫通孔にボルトを挿通して所定角度回転することによりボルトの頭部を係合させ、吊り孔を有するアイナットをボルトの先端に螺合して被保持物を吊り下げる吊り具が開示されているが、被保持物に特殊な形状の貫通孔を開けなければならず、使いやすいものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−330782号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は、シールド等に用いられるセグメントを容易に且つ確実に吊り下げることが困難であった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、セグメント等の被保持物を容易に且つ確実に吊り下げることができる吊り具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る吊り具は、被保持物に形成された係合孔に通される本体と、本体内に格納される格納位置と本体の側方に突出する突出位置との間で移動自在に本体の先端部に取り付けられるタング部材と、本体の内部にスライド自在に配置されると共にタング部材に連結されたスライド部材と、タング部材が突出位置に位置するようにスライド部材を本体の基端部に向かって付勢する付勢手段と、スライド部材に移動自在に取り付けられると共にスライド部材の外方に向かって付勢されてタング部材が突出位置になるようなスライド部材の本体に対する位置を拘束するストッパと、スライド部材よりも本体の基端部側にスライド自在に配置されると共にその先端部がストッパに当接するストッパ解除部材とを備え、ストッパ解除部材を本体の先端部に向かって押すと、ストッパによるスライド部材の拘束が解除され、さらに付勢手段による付勢力に抗してスライド部材がストッパ解除部材と共に本体の先端部に向かってスライドしてタング部材が格納位置に移動されるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にこの発明の実施の形態に係る吊り具を示す。この吊り具は、スチール製のセグメント等の被保持物に形成された係合孔に通される本体1を有している。本体1には、その先端部にタング部材2が、その基端部にスライド部材3がそれぞれ配置されており、これらタング部材2とスライド部材3とが本体1内に通されたロッド部材4を介して互いに連結されている。また、スライド部材3は一対のストッパ5を有すると共に本体1のスライド部材3より基端部側にはストッパ解除部材6が配置されている。さらに、本体1はその外側部に吊り下げ用の吊り孔7を有している。
【0008】
タング部材2は、ピン8により本体1に回動自在に取り付けられている。タング部材2の一端には係合面2aが形成されており、タング部材2はこの係合面2aが本体1内に格納される格納位置と係合面2aが本体1の側方に突出する突出位置との間で回動するようになっている。なお、タング部材2が突出位置にあるときには、その係合面2aが本体1の長手方向に対して垂直に位置する。
【0009】
また、本体1の基端部には円柱状の空洞部9が形成されており、この空洞部9内にほぼ円柱状のスライド部材3がスライド自在に配置されている。ここでロッド部材4は、本体1に対してスライド自在に設けられると共にその両端がタング部材2とスライド部材3とにそれぞれ回動自在に接続されている。空洞部9内でスライド部材3をスライドさせると、スライド部材3と共にロッド部材4がスライドしてタング部材2を突出位置と格納位置との間で回動させることができる。
また、空洞部9内にはスライド部材3よりも先端部側に付勢手段であるバネ10が配置されており、このバネ10によりスライド部材3はタング部材2が突出位置に位置するように本体1の基端部に向かって付勢されている。なお、空洞部9を形成している本体1の内壁面には環状のストッパ係合溝1aが形成されている。
【0010】
さらに、スライド部材3の外周部には、図2に示されるような一対のストッパ収容部11が互いに対向するように形成されており、各ストッパ収容部11内にストッパ5がピン12を介して回動自在に取り付けられている。また、スライド部材3には一対のストッパ収容部11を互いに連通する貫通孔13が形成されると共に貫通孔13内にバネ14が通されており、このバネ14は一対のストッパ5がストッパ収容部11の外部へ突出するように各ストッパ5をスライド部材3の径方向外方に向かって付勢している。これら一対のストッパ5がストッパ収容部11から突出して本体1の内壁面のストッパ係合溝1aに係合することにより、本体1に対するスライド部材3の位置はタング部材2が突出位置になるような位置に拘束されるようになっている。さらに、スライド部材3の外周部には段差15が形成されている。なお、スライド部材3はその中央にネジ切り孔3aを有している。
【0011】
また、スライド部材3よりも本体1の基端部側に配置されるストッパ解除部材6は、本体1に対してスライド自在に設けられると共に、その先端部側に、すなわち、スライド部材3に対向してこのスライド部材3の一部を覆う凹部16が形成され、先端縁部がスライド部材3の外部へ突出したストッパ5の部分に当接している。
【0012】
さらに、ストッパ解除部材6の基端部は、作業者がこのストッパ解除部材6を操作しやすいように本体1の外部へ突出している。このストッパ解除部材6の基端部中央には先端部側の凹部16に連通する貫通孔17が形成されており、これら貫通孔17と凹部16との間には貫通孔17の軸心に向かって突出した環状の係合部18が形成されている。さらに、その頭部にフランジ部19aを有するボルト19がストッパ解除部材6の貫通孔17から凹部16へと挿通されると共にボルト19の先端がスライド部材3のネジ切り孔3aに螺合されている。ここで、ボルト19のフランジ部19aはストッパ解除部材6の係合部18に係合しており、ストッパ解除部材6が本体1から脱落することが防止される。なお、ストッパ解除部材6の凹部16内にはスライド部材3との間に空間が形成されている。
【0013】
次に、この実施の形態に係る吊り具の作用について説明する。吊り具をスチール製のセグメント等の被保持物に取り付ける際には次のような手順で作業を行う。なお、吊り具の取り付けは被保持物に形成されている係合孔を利用して行われるが、被保持物に形成されている既存の係合孔を利用して、あるいは被保持物に所定の係合孔を形成して行われる。図1に示されるように、この実施の形態の吊り具が何も操作されていない通常状態、すなわち、ストッパ解除部材6が本体1の先端部に向かって押されていない状態では、タング部材2が突出位置に位置してその係合面2aが本体1の側方に突出すると共にスライド部材3の一対のストッパ5が本体1の内壁面のストッパ係合溝1aに係合してスライド部材3の本体1に対する位置が拘束されている。
【0014】
ここで、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すと、図3に示されるように、ストッパ解除部材6がその凹部16内に形成された空間を狭めるようにスライド部材3に対しスライドすると共にその先端縁部がバネ14の付勢力に抗して一対のストッパ5を回動させ、これによりこれら一対のストッパ5がスライド部材3の一対のストッパ収容部11内にそれぞれ収容されて各ストッパ5がストッパ係合溝1aから外れる。すなわち、本体1に対するスライド部材3の位置の拘束が解除される。
【0015】
そして、さらにストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押し進めると、ストッパ解除部材6の先端部がスライド部材3の段差15に当接することによりこのストッパ解除部材6を介してスライド部材3が本体1の先端部に向けて押される。すなわち、図4に示されるように、スライド部材3がバネ10の付勢力に抗してストッパ解除部材6と共に空洞部9内を本体1の先端部に向けてスライドし、それと同時にロッド部材4も本体1の先端部に向けてスライドすることにより、タング部材2がピン8を中心に格納位置へ回動してその係合面2aが本体1内に格納される。この状態のまま本体1を図示されない被保持物に形成された係合孔に差し込む。
【0016】
そして、タング部材2が被保持物の係合孔を通過したところで、押圧しているストッパ解除部材6を解放すると、バネ10の付勢力によりスライド部材3及びロッド部材4が共に本体1の基端部に向けてスライドし、それに伴ってタング部材2が突出位置に回動して図1に示されるようにその係合面2aが本体1の側方に突出すると共に、スライド部材3の一対のストッパ5が本体1のストッパ係合溝1aに係合してスライド部材3がその位置に拘束される。このようにして本体1の側方に突出したタング部材2の係合面2aが被保持物の係合孔の外周部に係合し、これにより吊り具の被保持物への取り付けが完了する。この状態で本体1の吊り孔7を介して被保持物が吊り下げられる。
【0017】
一方、吊り具を被保持物から取り外す場合、取り付けの場合と同様に、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押すことにより、ストッパ5によるスライド部材3の拘束を解除すると共にバネ10による付勢力に抗してスライド部材3をストッパ解除部材6と共に本体1の先端部に向かってスライドさせてタング部材2を格納位置に移動する。その状態で本体1の先端部を被保持物の係合孔から引き抜くことにより吊り具が被保持物から取り外される。
【0018】
以上のように、この発明の吊り具は、被保持物に形成された係合孔を利用し、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押してタング部材2を格納位置に位置させた状態で、本体1の先端部を被保持物の係合孔に通す或いは係合孔から引き抜くことによりワンタッチで取り付け及び取り外しが完了するため、被保持物への吊り具の取り付け/取り外しを容易に行うことができる。
【0019】
また、スライド部材3のストッパ5が本体1のストッパ係合溝1aに係合することにより、本体1に対するスライド部材3の位置はタング部材5が突出位置になるような位置に拘束されるため、本体1の側方に突出しているタング部材2の部分に何らかの外力が働いても、タング部材2が本体1内に格納されて吊り具が被保持物の係合孔から外れてしまうことがなく、その結果、吊り下げを確実に行うことができる。
【0020】
さらに、ストッパ解除部材6を本体1の先端部に向けて押してタング部材2を格納位置に位置させた状態でこのストッパ解除部材6から手を離すと、バネ10の付勢力によりスライド部材3とロッド部材4が共に本体1の基端部に向けてスライドし、これによりタング部材2が自動的に突出位置に回動するので、被保持物への吊り具の取り付け/取り外しをより容易に行うことができる。
【0021】
なお、この発明の吊り具はスチール製のセグメントだけでなく、所定の係合孔が形成されたパネル、H型鋼やビーム等の鋼材及び構造物の吊り下げにも利用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被保持物に形成された係合孔に通される本体と、本体内に格納される格納位置と本体の側方に突出する突出位置との間で移動自在に本体の先端部に取り付けられるタング部材と、本体の内部にスライド自在に配置されると共にタング部材に連結されたスライド部材と、タング部材が突出位置に位置するようにスライド部材を本体の基端部に向かって付勢する付勢手段と、スライド部材に移動自在に取り付けられると共にスライド部材の外方に向かって付勢されてタング部材が突出位置になるようなスライド部材の本体に対する位置を拘束するストッパと、スライド部材よりも本体の基端部側にスライド自在に配置されると共にその先端部がストッパに当接するストッパ解除部材とを備え、ストッパ解除部材を本体の先端部に向かって押すと、ストッパによるスライド部材の拘束が解除され、さらに付勢手段による付勢力に抗してスライド部材がストッパ解除部材と共に本体の先端部に向かってスライドしてタング部材が格納位置に移動されるので、この吊り具によりセグメント等の被保持物を容易に且つ確実に吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る吊り具の側面断面図である。
【図2】実施の形態におけるスライド部材の正面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る吊り具におけるストッパが解除された様子を示す側面断面図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る吊り具におけるタング部材が格納された様子を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 本体、1a ストッパ係合溝、2 タング部材、2a 係合面、3 スライド部材、3a ネジ切り孔、4 ロッド部材、5 ストッパ、6 ストッパ解除部材、7 吊り孔、8,12 ピン、9 空洞部、10,14 バネ、11 ストッパ収容部、13,17 貫通孔、15 段差、16 凹部、18 係合部、19 ボルト、19a フランジ部。
Claims (1)
- 被保持物に形成された係合孔に通される本体と、
前記本体内に格納される格納位置と前記本体の側方に突出する突出位置との間で移動自在に前記本体の先端部に取り付けられるタング部材と、
前記本体の内部にスライド自在に配置されると共に前記タング部材に連結されたスライド部材と、
前記タング部材が突出位置に位置するように前記スライド部材を前記本体の基端部に向かって付勢する付勢手段と、
前記スライド部材に移動自在に取り付けられると共に前記スライド部材の外方に向かって付勢されて前記タング部材が突出位置になるような前記スライド部材の前記本体に対する位置を拘束するストッパと、
前記スライド部材よりも前記本体の基端部側にスライド自在に配置されると共にその先端部が前記ストッパに当接するストッパ解除部材と
を備え、前記ストッパ解除部材を前記本体の先端部に向かって押すと、前記ストッパによる前記スライド部材の拘束が解除され、さらに前記付勢手段による付勢力に抗して前記スライド部材が前記ストッパ解除部材と共に前記本体の先端部に向かってスライドして前記タング部材が格納位置に移動されることを特徴とする吊り具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148983A JP2004352388A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 吊り具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003148983A JP2004352388A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 吊り具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004352388A true JP2004352388A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34045212
Family Applications (1)
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JP2003148983A Pending JP2004352388A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 吊り具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004352388A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101567987B1 (ko) * | 2013-10-07 | 2015-11-10 | 임종민 | 안전 후크 |
JP2017105613A (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | 大裕株式会社 | 吊り具 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003148983A patent/JP2004352388A/ja active Pending
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