JP2004351251A - 水素透過膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素透過性能に優れる粒子状の金属Aと延性に優れる物質Bとの複合体からなり、金属Aが物質B中に分散配置され、粒子状の金属Aが多孔質状の物質Bによつて繋ぎ止められ、水素が金属Aを透過する水素透過膜とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素透過膜及びその製造方法、詳しくは高純度の水素ガスを製造する改質器に付属する水素透過膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、都市ガス、天然ガス、石油等を一次エネルギーとするメンブレンリフォーマー方式の燃料電池では、都市ガス等を改質器及び水素精製器として機能するメンブレンリフォーマーに導き、改質ガスを生成させた後、改質ガスに含まれる水素ガスのみが水素透過膜を透過する現象を利用し、水素を精製して取り出している。
【0003】
このようなメンブレンリフォーマー用の水素透過膜には、改質器内の高温環境での安定性或いはCOやCO2等の不純物を含む改質ガスに対する水素透過性能の安定性の観点から、パラジウム(Pd)やPd合金からなるPd系材料が用いられている。
【0004】
しかしながら、Pdは金(Au)よりも希少な貴金属であり、非常に高価かつ入手困難な材料である。このようなPd系材料を用いて製品化されているメンブレンリフォーマーは、水素透過膜を用いない従前の改質器に比べ、装置構成は簡素化されるものの、コストの面からは必ずしも優位にはたつていない。このため、Pd系材料に代わる新たな水素透過膜の材料として、水素固溶量がPdよりも1桁程度大きいタンタル(Ta)やニオブ(Nb)或いは、いわゆる水素吸蔵合金(MH)等が多々提案されている(例えば特開2001−170460)。
【0005】
ここで、水素透過膜による水素透過機構は、図2に示すように透過膜D’の表裏両面間における水素ガスの圧力差(膜中に固溶した水素の濃度差)を駆動力として、高圧側から膜D’中に水素分子H2が原子状に解離・固溶し、低圧側へ拡散・再結合して再び水素分子H2となつて放出される、というものである。
【0006】
高圧側に供給される改質ガス中には水素だけでなく未反応の炭化水素ガス(CH4)やCO、CO2等の不純物ガスが含まれるが、これらは原子サイズ等の制約から水素透過膜中へは固溶しない。このため、水素透過膜の低圧側からは、理論上純度100%の水素ガスのみが放出される。このような機構であるため、水素透過膜の材料としては、水素固溶度及び水素拡散係数が高いほど適しているといえ、また、水素透過膜の膜厚が薄いほど高い水素透過速度が実現できることが判る。
【0007】
このような水素透過膜の製作方法としては、(1)圧延による箔化、(2)多孔質の支持体(基板)上への直接成膜(めっき、イオンプレーティング、スパッタリング等)等の方法が実施されている。
【0008】
現在までに水素透過膜の材料として実用化されているのはPd系材料のみであるが、この材料は他材料と比較して非常に高い水素解離触媒作用を有し、また、内部での水素拡散も速いため、水素透過膜の材料として好適であるといえる。しかし、Pd系材料は非常に高価な材料であり、また、水素固溶量がさほど大きくないことが弱点である。このような背景から、Pdと比較してより安価で水素固溶度に優れる材料であるタンタル(Ta)やニオブ(Nb)或いは、いわゆる水素吸蔵合金(MH)等が代替材料として有望視されている。
【0009】
しかしながら、これらの代替材料では、水素固溶に伴う体積膨張により変形を生じ、しばしば(特に低温域にて)水素透過膜自体が割れ、破壊に至る、という技術的課題を有している。
【0010】
本発明は、多量の水素固溶によつて水素透過膜が破壊されるという課題は、水素透過膜の水素透過材料を箔に代えて事実上微粒子の状態で適当なバインダーとなる物質中に分散配置させることにより、水素固溶に伴う体積膨張に起因する割れを抑制させることで解決できることに着目してなされたものであり、Pd代替材料を水素透過膜材料として用いながら、水素固溶による割れの問題を回避できる優れた構造の水素透過膜を提案することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、水素透過性能に優れる粒子状の金属Aと延性に優れる物質Bとの複合体からなり、金属Aが物質B中に分散配置され、粒子状の金属Aが物質Bによつて繋ぎ止められていることを特徴とする水素透過膜である。金属Aは、水素透過膜の表面から裏面にまで連続し、水素が金属Aを透過する。
請求項2の発明は、前記金属Aが、Ta、Nb若しくはVの単元素及びTa、Nb若しくはVを含む合金並びに水素吸蔵合金の内の一種又はこれらの混合からなることを特徴とする請求項1の水素透過膜である。
請求項3の発明は、前記物質Bが、Cu、Au、Ag、Pt、Fe若しくはAlの単元素又はこれらを含む合金群から選定される1種からなることを特徴とする請求項1又は2の水素透過膜である。
請求項4の発明は、前記複合体における金属Aの割合が、30〜80at. %の範囲であることを特徴とする水素透過膜である。
請求項5の発明は、前記金属Aの粒子径が、10nm〜50μmの範囲にあることを特徴とする水素透過膜である。
請求項6の発明は、粒子状の金属Aを所定容積の空間に密接状態で充填し、前記空間内の空隙の容積を実測値として求め、該実測値に応じた量の粒子状の物質Bを用意した後、金属A及び物質Bを混合させて混合体を得、該混合体を所定温度にまで加熱して同一容積の空間内において物質Bのみを溶解させ、その後に冷却固化させて固化生成物Cを得、該固化生成物Cを薄膜状に加工して金属A及び物質Bの複合体からなる水素透過膜Dとすると共に、物質Bの金属Aに対する混合割合が、原子百分率で実測値±10at.%の範囲にあることを特徴とする水素透過膜の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の1実施の形態に係る水素透過膜の製造工程を示す。図1(a)中において符号Aは水素透過膜の水素透過材料となる金属を示す。この金属Aは、水素固溶度が大きく、水素透過性能に優れる金属であり、例えばTa(融点:2996℃)、Nb(融点:2415℃)、V(融点:1735℃)等のみからなる単元素及びTa、Nb、V等を主成分元素とする合金並びに水素吸蔵合金(MH)の内の一種からなる。Ta、Nb若しくはVを主成分元素とする合金は、例えばNi、Mo又はCoを添加するものとすることができる。但し、後記するように金属Aの融点の方が物質Bの融点よりも高い組み合わせとするときは、Ta、Nb、V等の単元素及びTa、Nb、V等を含む合金並びに水素吸蔵合金(MH)の内の2種以上が混在する混合物とすることもできる。
【0013】
金属Aは、例えば水素化処理を十分な回数施すなどにより微細化し、直径数nm〜100μm程度の粒子形状で用意する。具体的には、金属Aの粒子径は、10nm〜50μmの範囲にあることが望ましい。従つて、金属Aは、Ta、Nb、V等の純元素の粒子、及びTa、Nb、V等を含む合金の粒子、並びに水素吸蔵合金の粒子の内の少なくとも一種からなる。なお、Ta、Nb及びVは、PdやPd合金からなるPd系材料よりも高い水素透過性能を有している。
【0014】
また、図1(a)中において符号Bは水素透過膜としたときに金属Aを繋ぎ止めるバインダーの役割をする物質である。物質Bも金属Aと同様のサイズの粒子を用意する。物質Bは、改質器内の高温環境での安定性の点から、合金を含む金属とする。但し、この物質Bは、延性に優れかつ弾性変形容易な材料で、金属Aの微粒子を保持するバインダーとしての機能を有すればよく、必ずしも水素透過性能を有している必要はない。
【0015】
物質Bは、具体的にはCu(融点:1083℃)、Au(融点:1063℃)、Ag(融点:約960℃)、Pt(融点:1774℃)、Fe(融点:1535℃)、Al(融点:660℃)等の材料単元素又はこれらを含む合金群から選定される1種からなる粒子とすることができる。物質Bの材料を、表1に示す。物質Bは、金属Aを繋ぎ止めるために必要な延性に優れる材料であるから、室温近傍での伸び率が20%以上好ましくは24%以上であることが望ましい。
【0016】
【表1】
【0017】
このような金属Aの粒子及び物質Bの粒子を準備する。但し、金属Aの融点の方が物質Bの融点よりも高い組み合わせであるものとする。この金属A及び物質Bの粉末状粒子は、所定の混合割合として図1(b)に示すように均一に混合し、混合体を所定の温度にまで加熱し、物質Bのみを溶解させ、その後に冷却固化させてインゴットからなる固化生成物Cを得る。すなわち、加熱・冷却の過程で物質Bが一旦溶解してから再度凝固することによりインゴット(固化生成物C)が得られ、このインゴット中には金属Aの粉末粒子が分散して含まれることになる。固化生成物Cは、物質Bの隗の内部に微粒子状の金属Aが分散材として分散した複合体の構造となつている。
【0018】
ここで、金属A及び物質Bの混合割合は、複合体における金属Aの割合が、30〜80at. %の範囲、つまり固化生成物C全体ひいては水素透過膜中に占める金属Aの割合が30〜80at.%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0019】
こうして得られた固化生成物Cからなる材料は、必要に応じて金属Aの占める割合が低い部分を切除した後、図1(c)に示すように圧延、切削等の加工により薄膜ないし箔状に形成し、金属A及び物質Bの複合体からなる水素透過膜Dとする。物質Bは、延性に優れ、切削性にも優れる。圧延による加工性は、概ね物質B材料の性質を引き継いでいる。よつて、インゴット(固化生成物C)の圧延又は切削による加工は、非常に容易に行うことができる。但し、水素透過膜Dを固化生成物Cの圧延によつて製作するときは、金属Aの粒子径が水素透過膜Dの厚さ以下のものとする。かくして得られる水素透過膜Dは、固化生成物Cと同様に、水素透過性能に優れる金属Aと金属Aを繋ぎ止めるバインダーの役割をする物質Bとの複合体ないし混合体からなる。勿論、水素透過膜Dは、薄膜の表面から裏面にまで達する通気孔が存在しない状態にあり、不純物ガスが水素透過膜Dを通過しない状態にある。
【0020】
上記のように金属A及び物質Bの混合割合を、水素透過膜D中に占める金属Aの割合が30〜80at.%の範囲となるように設定する理由は、(1)水素透過膜D中にて金属Aの微粒子同士が適度に接触していること、(2)水素透過膜Dとするための十分な延性及び加工性を保つこと、という二つの条件を満たすことが望まれるためである。
【0021】
特に、水素透過性能に優れる金属Aの粒子が水素透過膜Dの膜厚に比して十分に小さく、水素透過膜Dの表面から裏面にまで接触状態で連続し、或いは金属Aの粒子が水素透過膜Dの膜厚にほぼ合致し、金属Aの多くの粒子が、水素透過膜Dの表面から裏面にまで貫通状態で存在して水素透過の経路を形成していることが望ましい。すなわち、金属Aの粒子が水素透過膜Dの膜厚に比して十分に小さいとき、水素透過膜Dの物質Bは多孔質体状をなしているが、この多孔質体が連通孔を有する状態にあれば、水素透過性能に優れる金属Aの粒子が、水素透過膜Dの表面から裏面にまで接触状態で連続している状態にある。物質Bに対する金属Aの割合が極度に少ない場合は金属A粒子同士が接触し難くなるため、水素透過の経路が確保されず不適であるので、金属A粒子同士が接触する状態に混合比を選定する。
【0022】
水素透過膜Dは、連通孔を有する多孔質の支持体Eに必要に応じて接合させて重ね合わせた状態で、メンブレンリフォーマーの水素精製器に組み込み、生成させた改質ガスに含まれる水素ガスのみを水素透過膜D及び支持体Eを透過させ、水素を精製して取り出すために使用される。支持体Eは、例えばセラミックス、ガラス、ステンレス等の粉末や繊維の焼結体である。必要に応じ、水素透過膜Dの表裏両面に水素化触媒かつ酸化防止膜として作用する材料(Pd,Pt等)のコーティングを、スパッタリング、メッキ等の手段によつて施した後、水素透過膜D及び支持体Eからなる透過膜構造体とすることができる。
【0023】
上記方法により作成した水素透過膜Dによれば、水素透過現象が起こる際、予め、微粉化してある金属Aのマクロ的に見た膨張度合いは非常に小さく、また、金属Aの変形は延性の高い物質Bの変形により吸収・緩和される。このため、水素固溶による金属Aの粒子の膨張に起因する水素透過膜Dの表面から裏面へと貫通するような大きなクラックは、長期使用によつても生じ難く、水素以外の不純物ガスが水素精製器の低圧側へと透過してしまうことは生じない。
【0024】
一方、水素ガスは、水素透過膜Dの金属Aを透過する。すなわち、水素精製器の高圧側から供給される水素分子は、水素透過膜Dの表面に露出する金属A若しくはPd、Pt等のコーティング材表面にて解離し、適度な密度で分散されて相互に接触している多数の金属Aの粒子内を固溶・拡散して、水素透過膜Dの裏面に露出する金属A若しくはコーティング材表面から水素精製器の低圧側へと拡散・放出されて透過する。
【0025】
また、水素透過膜Dの材料(A,B)の性質にもよるが、金属Aと物質Bの混合比が重要であり、混合比は、固化生成物C全体ひいては水素透過膜D全体(金属A+物質B)に対して金属A=30〜80at.%の範囲となるようにすることが好ましい。なぜなら、物質Bの混合割合が多過ぎるときは、水素透過膜D中にて水素透過に効果的に寄与する金属Aの割合が少なくなり、水素透過速度が低下するのみならず、金属Aの微粒子同士の適度な接触が少なくなり、これによつても同様に水素透過速度が低下してしまうからである。一方、物質Bの混合割合が少な過ぎるときは、物質Bによる金属Aの微粒子を繋ぎ止めておく力が弱くなり、水素透過膜Dとするための圧延等の加工が困難になつたり、金属Aの体積膨張を抑制しながら許容する水素透過膜Dの能力が失われてしまうからである。なお、物質Bが水素透過性能を有していれば、水素透過膜Dの水素透過性能が向上する。
【0026】
また、水素透過膜Dの材料である固化生成物Cは、全体に金属A及び物質Bが所定の混合比を有する複合体に形成することも可能である。すなわち、金属Aの粉末状粒子を容器等の所定容積の空間に相互密接状態で充填・充満させ、その空隙の容積を実測により求める。そして、粒子状の金属Aの空隙の容積に応じた粒子状の物質Bを所定量用意する。この物質Bの粉末状粒子の量は、金属Aの間の空隙を完全に埋める体積(実測値)に相当する重量(又は原子数)を密度から算出して実測値として決定する。
【0027】
その後、上述したように金属A及び物質Bの粉末状粒子を均一に混合し、混合体を所定の温度にまで加熱し、物質Bのみを溶解させる。この物質Bの溶解は、粒子状の金属Aのみを密接状態で充填した空間と同一容積の空間内において行わせる。これは、シリンダ状容器の中に金属A及び物質Bの混合体を入れ、ピストン部材で加圧しながら加熱し、物質Bのみを溶解させれよい。これにより、所定容積の空間内において、粒子状の金属Aの周囲の隙間が溶融状態の物質Bによつて満たされる。この粒子状の金属Aと溶融状態の物質Bとの複合体ないし混合体を冷却固化させてインゴットからなる固化生成物Cを得ることにより、全体に金属A及び物質Bが所定の混合比を有する固化生成物Cが得られる。
【0028】
このような固化生成物Cによれば、固化生成物Cの全体で所定の混合比を有しているから、物質Bのみからなる部分を切除することなく、圧延、切削等の加工により薄膜ないし箔状に形成し、金属A及び物質Bの複合体からなる水素透過膜Dとすることができる。この水素透過膜Dは、金属Aの粒子同士が良好に密着した状態で、金属A同士の隙間が物質Bによつて満たされている。従つて、水素透過膜Dの材料(A,B)、特に物質Bの使用量を削減することができる。なお、物質Bの金属Aに対する混合割合は、原子百分率(at.%)で実測値±10at.%の範囲とし、金属Aの粒子同士が水素透過を行う上で良好に密着した状態とすることができる。
【0029】
ところで、上記1実施の形態にあつては、金属Aの融点の方が物質Bの融点よりも高いものとしたが、金属Aの融点の方が物質Bの融点よりも低い組み合わせとすることもできる。金属Aの融点の方が物質Bの融点よりも低い場合には、出発原料(金属A,物質B)は必ずしも粉末状に限られない。例えば、物質Bからなるnm〜μmサイズの連通孔を有する多孔質状の材料隗(例:発泡金属)を作成し、この多孔質状の材料隗をアルゴン、窒素等の不活性ガスの雰囲気中又は真空中で金属Aの溶融液中に浸し、多孔質状の物質B内部に金属Aを含浸させた後、冷却・凝固させることで、上記1実施の形態と同様の構造体(固化生成物C)を得ることができる。この固化生成物Cは、金属Aが物質B内に粒子状をなして連続的に分散配置された複合体である。
【0030】
この複合体(固化生成物C)は、上記1実施の形態と同様に圧延、切削等の加工により薄膜をなす箔状に形成し、金属A及び物質Bの複合体からなる水素透過膜Dとする。この水素透過膜Dも、水素透過性能に優れる金属Aの粒子が、表裏両面間に連通する連通孔が形成された多孔質状の物質Bの内部に分散配置されて保有され、水素透過膜Dの表面から裏面にまで連続している。従つて、この水素透過膜D中の金属Aも、物質Bに分散材として分散配置され、粒子状の金属Aが物質Bによつて保持されて繋ぎ止められている。
【0031】
なお、水素透過膜D内に金属Aの粒子が独立して存在する場合には、物質Bが水素透過性能を有しない限り、水素透過膜Dとしての水素透過性能が得られない。従つて、粒子状の金属Aは、水素透過膜Dの表裏両面に適度に露出し、かつ、表面から裏面にまで連続していることが望まれる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る水素透過膜及びその製造方法によれば、次の効果を奏することができる。
請求項1に係る発明によれば、水素透過性能に優れる金属が、物質中に分散配置されているので、従来材であるPdやPd合金と同程度あるいはそれ以上の水素透過性能を有する水素透過膜を得ることができる。また、水素透過性能に優れる金属が金属を繋ぎ止めるバインダーの役割をする物質中に分散配置されているので、金属の水素固溶に伴う破壊の起きる可能性の少ない水素透過膜を得ることができる。加えて、金属及び物質の材料の選択により、従来材料よりはるかに安価な水素透過膜を作製することが可能である。
【0033】
請求項6に係る発明によれば、固化生成物の全体が所定の混合比を有し、かつ、金属の粒子同士が良好に接触した状態にあるから、水素透過膜の材料を有効活用しながら、請求項1に係る発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態に係る水素透過膜の製造工程を示し、(a)は出発金属及び物質を示す図、(b)は固化生成物を示す図、(c)は水素透過膜を支持体と重ね合わせた透過膜構造体を示す図。
【図2】水素透過膜による水素透過機構を示す説明図。
【符号の説明】
A:金属、B:物質、C:固化生成物、D:水素透過膜、E:支持体。
Claims (6)
- 水素透過性能に優れる粒子状の金属(A)と延性に優れる物質(B)との複合体からなり、金属(A)が物質(B)中に分散配置され、粒子状の金属(A)が物質(B)によつて繋ぎ止められていることを特徴とする水素透過膜。
- 前記金属(A)が、Ta、Nb若しくはVの単元素及びTa、Nb若しくはVを含む合金並びに水素吸蔵合金の内の一種又はこれらの混合からなることを特徴とする請求項1の水素透過膜。
- 前記物質(B)が、Cu、Au、Ag、Pt、Fe若しくはAlの単元素又はこれらを含む合金群から選定される1種からなることを特徴とする請求項1又は2の水素透過膜。
- 前記複合体における金属(A)の割合が、30〜80at. %の範囲であることを特徴とする水素透過膜。
- 前記金属(A)の粒子径が、10nm〜50μmの範囲にあることを特徴とする水素透過膜。
- 粒子状の金属Aを所定容積の空間に密接状態で充填し、前記空間内の空隙の容積を実測値として求め、該実測値に応じた量の粒子状の物質Bを用意した後、金属A及び物質Bを混合させて混合体を得、該混合体を所定温度にまで加熱して同一容積の空間内において物質Bのみを溶解させ、その後に冷却固化させて固化生成物Cを得、該固化生成物Cを薄膜状に加工して金属A及び物質Bの複合体からなる水素透過膜Dとすると共に、物質Bの金属Aに対する混合割合が、原子百分率で実測値±10at.%の範囲にあることを特徴とする水素透過膜の製造方法。
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