JP2004350550A - 接木装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】接ぎ具62装着時に台木用苗2の子葉3aを邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、接ぎ具62の装着作業の効率向上化を図る。
【解決手段】穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻き上げる掻上げ部材83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側に接ぎ具62を装着させる。
【選択図】 図22
【解決手段】穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻き上げる掻上げ部材83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側に接ぎ具62を装着させる。
【選択図】 図22
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は台木用苗及び穂木用苗の茎部を切断し、切断された台木の茎部と穂木の茎部とをその切断個所で接合固定させる接木装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
台木及び穂木の接木部をクリップで接合固定させる技術がある。(例えば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平6−70639
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら上述の如くクリップを用いた場合、クリップ供給装置やクリップガイド機構など有して構造も複雑化するばかりでなく、作業時には嵩のあるクリップを多数を有するなどして供給装置が大型化したりコスト高になるなどの不都合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、穂木用苗と台木用苗との接合時に台木用苗の子葉を上方に掻上げる掻上げ部材を設けて、台木用苗の子葉を掻上げて穂木用苗と台木用苗との接合部外側に接ぎ具を装着させるように設けて、接ぎ具装着時に台木用苗の子葉を邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、接ぎ具の装着作業の効率向上化を図るものである。
【0006】
また、円筒形の接ぎ具にスリットを形成させると共に、接ぎ具をスリットより押し広げる拡張部材を設けて、接ぎ具を常に一定巾に押し広げて接木苗に確実に装着可能とさせて、接ぎ具の装着性を向上させるものである。
【0007】
さらに、接ぎ具収納部材に収納する接ぎ具を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構を設けて、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリールなどより連続的に繰出されるスリーブを正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ装着作業の能率向上化を図るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同正面図、図3は同平面図であり、接木装置1は半自動形に設け、前処理で断根したキュウリ或いはカボチャなどのウリ科やナスビ或いはジャガイモなどのナス科の苗の穂木用苗2及び台木用苗3を挟持する上下1組の穂木ハンド4及び台木ハンド5と、穂木及び台木ハンド4・5を装備して回転させる上下の回転円板6・7と、上下の回転円板6・7間を連結させるロッド軸8と回転円板6・7を間欠回転させるモータ9とを備えている。そして図4の平面視に示す如く、穂木及び台木ハンド4・5に苗2・3を投入操作する作業者10の作業座席11前位置の苗投入部12に対し、反時計方向に円板6・7を90度回転させた位置に苗切断機構13を有する苗切断部14を、また苗切断部14よりさらに90度回転させた位置に苗接合機構15を有する苗接合部16を、さらに苗接合部16より90度回転させた位置を接木苗の払出部17に設けて、これら投入部12・切断部14・接合部16・払出部17の4つの工程で穂木及び台木ハンド4・5の回転を停止させる間欠駆動をモータ9で行うように構成している。
【0009】
図4乃至図6に示す如く、上下1組とする穂木及び台木ハンド4・5の先端側を円板6外周より外側に突出させて90度間隔で4組を円板6・7に装備させたもので、上部円板6に穂木ハンド4を直接的に取り付けると共に、穂木ハンド4より一定高さ下方にロッド軸8を介して、上下動自在に台木ハンド5を支持させている。図6、図8、図10、図11にも示す如く、前記穂木及び台木ハンド4・5は固定ハンド部18と、固定ハンド部18に開閉支点軸19を介し揺動自在に連結する揺動ハンド部20とを有し、円板6・7の回転で揺動ハンド部20一端に設ける開閉ローラ21が円筒形穂木及び台木用固定ドラム22・23外側面の開閉カム24・25に当接するとき、バネ26に抗して揺動ハンド部20を揺動させて、穂木及び台木ハンド4・5を開とさせるように構成している。
【0010】
また図11に示す如く、前記台木用固定ドラム23の上端面を昇降カム27に設けて、台木ハンド5の固定ハンド部18下側に設置する昇降ローラ28を昇降カム27上に転接させ、回転軸29を中心として円板6・7と一体的に台木ハンド5を回転させるとき、昇降カム27によって台木ハンド5を昇降させるように構成している。なお、昇降カム27で穂木ハンド4を昇降させても良い。
【0011】
図8、図12に示す如く、前記穂木ハンド4の固定ハンド部18に穂木用苗2の子葉2a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ30と子葉方向安定棒31とを一体的に設けて、穂木用苗2を手に持ち2葉を左右方向に展開させてハンド部18・20間に挿入するとき、胚軸26をストッパ30に当て、子葉2a展開部がストッパ30に当たるまで引き下げて把持を行うように構成している。
【0012】
図13に示す如く、前記台木ハンド5は台木用苗3の子葉3a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ32と子葉方向安定板39とを備え、台木用苗3を手に持ち2葉を穂木子葉2aと直交する前後方向にしてハンド18・20間に挿入するとき、胚軸3bをストッパ32に当て、子葉3a展開部がストッパ32に当たるまで引き下げて把持を行うもので、接木装置1の投入作業台34側方に設ける作業スイッチ35の操作で各ハンド4・5が反時計方向に回転し始める瞬間に、固定ハンド部18が胚軸下部を押すと同時にボールプランジャ36及びバネ37を介して胚軸上部を押す直立支持棒38を設けて苗3の良好な把持を行う。さらに台木ハンド5が回転するときプランジャ36が固定ハンド部18を乗り越えて支持棒38は初期位置に戻ると共に、回転方向側に配置するゴム吊れ40で2葉の方向が修正され台木用苗3の把持姿勢の適正化が図られる。
【0013】
図6、図7に示す如く、前記開閉カム24・25は固定ドラム22・23の払出部17と投入部12位置間を凸状カム面24a・25aに形成して、各ハンド4・5の払出部17と投入部12間では開とさせて、苗2・3の投入や接木苗41の払出(放出)を行うように構成している。
【0014】
上記からも明らかなように、穂木用苗2の茎部である胚軸2bと台木用苗3の茎部である胚軸2bとを切断して接合固定する接木装置において、穂木用苗2及び台起用苗3をそれぞれ挟持する穂木ハンド4及び台木ハンド5の上下2段を1組として縦軸である回転軸29回りに複数組配設させ、回転軸29を中心として各ハンド4・5を回転させて複数工程の作業を行うと共に、複数工程の同時作業を行うことによって、回転軸29を中心とした複数組のハンド4・5回転中に接木作業に必要な切断・接合など複数工程の一連の作業を順次且つそれぞれの位置で同時に行って接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0015】
また、子葉2a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ30と子葉方向安定棒31とを穂木ハンド4に一体的に設けたことによって、穂木ハンド4に対する穂木用苗2の投入供給を容易とさせると共に、常に正確に苗位置保持させて穂木用苗2の切断精度を向上させることができる。
【0016】
さらに、子葉3a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ32と子葉方向安定板39及び苗直立支持棒38を台木ハンド5に備えたことによって、台木ハンド5に対する台木用苗3の投入供給を容易とさせると共に、常に正確に位置保持させて台木用苗3の切断精度を向上させることができる。
【0017】
また、穂木ハンド4及び台木ハンド5の回転でもってハンド4・5を開閉する開閉カム24・25を設けることによって、ハンド4・5を開閉するためのシリンダなど別途の駆動部材を用いることなく、ハンド4・5回転を利用して容易にハンド4・5を開閉させることができる。
【0018】
さらに、穂木ハンド4及び台木ハンド5の回転でもって穂木ハンド4或いは台木ハンド5を昇降させる昇降カム27を設けたことによって、穂木或いは台木ハンド4・5を昇降させるシリンダなどの別途の駆動部材を用いることなく、ハンド4・5の回転を利用して容易にハンド4・5の昇降を可能とさせることができる。
【0019】
図14乃至図17にも示す如く、前記切断部14の苗切断機構13は、穂木用苗2の胚軸2bをV字状(クサビ状)に切断する左右1対のV字形穂木切断刃42と、台木用苗3の胚軸3bの子葉3a展開部をY字状に切断するY字形台木切断刃43とを備えるもので、2枚のカッタ44をカッタホルダ45のV字形苗に合わせて取り付け、カッタ44先端のV字形下端を接触させた状態で蝶ネジ46によってホルダ45に固定させ、各カッタ44の先端上側を先鋭部44aとさせたクサビ形状でV形の内面を略20度に形成して、前方位置の穂木切断台47に保持される穂木用苗2の胚軸2bに対し切断刃42を前進させて、胚軸26の略中間部を切断し、V字形切断面2cを形成するように構成している。
【0020】
また、前記切断台47は胚軸26を案内する苗保持溝48と、V形カッタ44を侵入案内させるカッタ進入溝49とを設け、保持溝48によって穂木用苗切断時の中心ズレを補正し、カッタ44の進入切断時には進入溝49の案内で苗2の抵抗があっても広がることなく正確なV字形の切断を行うように構成している。
【0021】
図16,図17に示す如く、前記台木切断刃43は下端を接する2枚のV形カッタ50と、V形カッタ50間下側に配置させる1枚の縦切りカッタ51とを組み合わせて専用ホルダ52に蝶ネジ46を介し固定させ、側面視でV形カッタ50の先端上側を先鋭部50aに、縦切りカッタ51の先端下側を先鋭部51aに形成して、側面視で切断刃43先端部をV形状に形成し、V形カッタ50の内角を略40度に形成し、前方位置の台木切断台53に保持される台木用苗3の胚軸3bに対し切断刃43を前進させて、胚軸3bの子葉3a展開部をY字形に切断しY字形切断面3cを形成すると同時に生長点3dを除去するように構成している。
【0022】
また、前記縦切りカッタ51の上端はV形カッタ50の下端より略0.5mm上方に突出させる状態とさせてV形カッタ50の切れ残しを解消させ、また図24にも示す如く、苗3に形成される苗縦切り部3eで穂木接合時の穂木用苗2の挿入を容易とさせると共に、縦切り部3eを挿入する穂木用苗2先端の逃がしとさせて穂木及び台木用苗2・3の正確な接合を可能とさせるものであり、ホルダ52下部に固定する胚軸押え54のカッタ溝55によって、縦切りカッタ51の逃げなど防止するように構成している。
【0023】
さらに、前記切断台53は子葉3aの上部を押さえ込む子葉押え56を上方に、また下方に縦切りカッタ51の進入案内用ガイド溝57を有する苗押え58を備え、切断台53には胚軸3bを案内する苗保持溝59と、縦切りカッタ51の進入溝60とを設けると共に、子葉押え56にはV形カッタ50の案内となるカッタ進入溝61を略内角40度で設けている。
【0024】
上記からも明らかなように、穂木用苗2の茎部2bをV字状に切断するV字形切断刃42と、台木用苗3の子葉3a展開部をY字状に切断するY字形切断刃43を設けて、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cを接合固定させることによって、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cを良好に接合させて、活着性を向上させることができる。
【0025】
また、2枚のカッタ44をV字形に組み合わせて、V字形切断刃42を形成させたことによって、一定角度を保った穂木胚軸2bの正確なV字形切断を容易に可能とさせて、接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0026】
さらに、3枚のカッタ50・51をY字形に組み合わせて、Y字形切断刃43を形成させたことによって、常に形状を一定とさせた台木胚軸3bの正確なY字形切断を容易に可能とさせて、接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0027】
また、穂木用苗2の胚軸2bを保持する苗保持溝48と、V字形切断刃42の進入溝49を形成する苗切断台47を設けることによって、穂木用苗2の胚軸2b中心に対し左右対称な正確なV字形切断を可能とさせて接木精度を向上させることができる。
【0028】
さらに、台木用苗3の胚軸3bを保持する苗保持溝59と、Y字形切断刃43の進入溝60を形成する苗切断台53を設けたことによって、台木用苗3の胚軸3b中心に対し左右対称な正確なY字形切断を可能とさせて接木精度を向上させることができる。
【0029】
図18乃至図20に示す如く、穂木用苗2と台木用苗3とをスリーブ62で接合固定させる前記接合機構15には、一定長さにスリーブ62を切断して供給するスリーブ供給機構63と、供給されるスリーブ62をスリーブハンド64により押し広げて接木苗41に装着させるスリーブ装着機構64と、スリーブ62の装着時に台木用苗3の子葉3aを掻上げる掻上げ機構65とを備えるもので、前記供給機構63には連続成型でリール66に収納されたスリーブ62をスリーブガイド67に繰出す左右1対の送りローラ68と、スリーブ62の当接するストッパ69を有する旋回部材70と、スリーブ62の当接による旋回部材70の回転を検出する光電式スリーブセンサ71と、送りローラ68を回転させセンサ71によるスリーブ検出時に送りローラ68の回転を停止させる送りモータ72と、スリーブ62の送り停止時にスリーブ62を一定長さ(12mm)に切断するスリーブカッタ73とを設け、スリーブガイド67のガイド棒67aに沿って切欠き部67bまでスリーブ62が下動するときカッタ台74を前進させてカッタ73で一定長さにスリーブ62を切断するように構成している。
【0030】
また、前記スリーブ62は接木苗41の成長に伴い、自然脱落するためのスリット75と、スリット75を押し広げるための突起76とを有して、接木苗41の成長時には自然脱落すると共に、脱落後は数ヶ月で生分解する軟弾性のセルロースやトウモロコシなどの素材を用い、質量が軽く半透明に形成して、接合状態を外部からも容易に確認するように構成している。
【0031】
図9、図20に示す如く、前記スリーブ装着機構64は、スリーブ62の突起76を掴んで開閉する左右フック77aを有するスリーブハンド77、スリット75と反対側のスリーブ62外面を支えるプッシャ78と、スリーブハンド77を開閉させる開閉操作部79と、スリーブハンド77を前後進させる空圧式シリンダ80と、プッシャ78と前後進させる空圧式シリンダ81と、接木苗41の位置ズレなどを修正するストッパ82とを備えている。
【0032】
そして図21に示す如く、前記供給機構63で一定長さに切断されたスリーブに対し、フック77aを開いて接近させ、フック77aを閉じてプッシャ78を前進させるときフック77aをスリーブ62の突起76間に挿入させ、フック77aを開くときスリーブ62を押し広げて接木苗41に前進接近させ、ハンド77が接木苗41位置となりフック77aを閉じるとき苗41にスリーブ62を装着させ、プッシャ78を後退させフック77aをスリーブ62から離し、フック77aを開いてハンド77を接木苗41から後退させて苗41を解放することでスリーブ62の装着を完了させるように構成している。なお上述実施例にあってはフック77aのスリーブ62に対する挿脱時にはプッシャ78を前後進させる構成を示したが、ハンド77を後退或いは前進させて同様の操作を行う構成でも良い。
【0033】
図22に示す如く、前記掻上げ機構65は、接木苗41にスリーブ62装着時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻上げる左右1対のローラ83と、ローラ83を左右方向に開閉する開閉部84と、ローラ83を昇降させる空圧式昇降シリンダ85と、ローラ83を前後進させる前後進シリンダ86とを備え、スリーブ62の装着時にローラ83を接木苗41位置まで接近させ、左右ローラ83を閉状態で上昇させるとき、ローラ83で子葉3aを上方に掻上げて、子葉3aを邪魔とさせることのない確実なスリーブ62の装着を行うように構成している。
【0034】
また図23に示す如く、苗接合部16と払出部17間の穂木及び台木ハンド4・5の移動径路中に、接木苗41の全長を一定長さに調整切断する調整カッタ87をカッタ台88を介し配設させて、払出直前で台木用苗3の胚軸3bを水平切断させ一定高さの接木苗41を生産して苗品質を向上させるように構成している。
【0035】
上記からも明らかなように、穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻上げる掻上げ部材であるローラ83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側にスリーブ62を装着させたことによって、スリーブ62装着時に台木用苗3の子葉3aを邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、スリーブ62の装着作業の効率向上化を図ることができる。
【0036】
また、円筒形のスリーブ62にスリット75を形成させると共に、スリーブ62をスリット75により押し広げる拡張部材であるスリーブハンド77を設けたことによって、スリーブ62を常に一定巾に押し広げて接木苗41に確実に装着可能とさせて、スリーブ62の装着性を向上させることができる。
【0037】
さらに、スリーブ62により接合させた穂木用苗2と台木用苗3の接木苗41を一定長さに調整切断する調整切断機構である調整カッタ87を設けたことによって、スリーブ62装着後の接木苗41の一定高さの調整が払出直前に容易に行われて苗品質を向上させることができる。
【0038】
またさらに、接ぎ具収納部材であるリール66に収納するスリーブ62を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構であるスリーブ供給機構63を設けて、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリール66などより連続的に繰出されるスリーブ62を正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ62装着作業の能率向上化を図ることができる。
【0039】
また、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cとを接合固定さえるスリーブ62を設けると共に、スリーブ62に生分解可能な材料を用いたことによって、接木苗41の成長に伴ってスリーブ62が自然脱落しても、生分解によって自然消滅してスリーブ62の回収など不要とさせて作業の効率化を図ることができる。
【0040】
さらに、スリーブ62はスリット75を有する略円筒形状に形成させたことによって、スリーブ62の拡張を容易とさせると共に、育苗潅水時に水溜まりができウイルスが発生するなどの不都合を防止して接木苗41の成長を助長させることができる。
【0041】
また、スリット75にはスリーブ62を押し広げる突起76を形成させたことによって、別途脱着部材などを用いて突起76を掴んでのスリーブ62の容易な押し広げを可能とさせてスリーブ62の確実な装着を可能とさせることができる。
【0042】
以上のように半自動の接木作業を行って、穂木子葉2aと台木子葉3aの展開方向が直交状態(十字状)となるように確実に接木して、日陰を発生せず日照を均一とさせて接木苗2・3の成長を促進させるものであり、図24に示す如く作業座席1に最接近する穂木及び台木ハンド4・5が苗投入部12に位置するとき、前処理で断根した穂木及び台木用苗2・3をそれぞれ各ハンド4・5に投入して挟持させ、挟持後は切断・接合・払出の一連の接木作業を自動で行うもので、前記モータ9の駆動によって苗2・3を挟持するハンド4・5が苗切断部14まで移動したとき、穂木切断刃42によって穂木用苗2の胚軸3bがV字形に、台木切断刃43によって台木用苗3の胚軸3bがY字形に切断され、次にハンド4・5が苗接合部16まで移動するときには、台木用苗3を上昇させて穂木用苗2を挿入すると共に、穂木用苗2を抱き込んだ台木用苗3の外側をスリーブ62で固定して接木苗41を形成させ、ハンド4・5が払出部17まで移動するときハンド4・5を解放して接木苗41を放出或いは取出すものである。
【0043】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻き上げる掻上げ部材83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側に接ぎ具62を装着させたものであるから、接ぎ具62装着時に台木用苗の子葉3aを邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、接ぎ具62の装着作業の効率向上化を図ることができるものである。
【0044】
また、円筒形の接ぎ具62にスリット75を形成させると共に、接ぎ具62をスリット75より押し広げる拡張部材77を設けたものであるから、接ぎ具62を常に一定巾に押し広げて接木苗41に確実に装着可能とさせて、接ぎ具62の装着性を向上させるものである。
【0045】
さらに、接ぎ具収納部材66に収納する接ぎ具62を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構63を設けたものであるから、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリール66などより連続的に繰出されるスリーブ62を正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ62装着作業の能率向上化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の側面図。
【図2】全体の正面図。
【図3】全体の平面図。
【図4】作業部の平面説明図。
【図5】ハンド部の側面説明図。
【図6】カム部の平面説明図。
【図7】カムの平面図。
【図8】穂木及び台木ハンドの説明図。
【図9】スリーブハンドの説明図。
【図10】開閉カム部の説明図。
【図11】昇降カム部の説明図。
【図12】穂木ハンド部の説明図。
【図13】台木ハンド部の説明図。
【図14】V字形切断刃の説明図。
【図15】穂木切断台の説明図。
【図16】Y字形切断刃の説明図。
【図17】台木切断台の説明図。
【図18】スリーブ供給部の説明図。
【図19】スリーブの装着説明図。
【図20】スリーブハンド部の説明図。
【図21】スリーブの装着工程説明図。
【図22】掻上げ機構の説明図。
【図23】調整カッタ部の説明図。
【図24】接木作業順序を示す説明図。
【符号の説明】
2 穂木用苗
2c 切断面
3 台木用苗
3a 子葉
3c 切断面
41 接木苗
62 スリーブ(接ぎ具)
63 供給機構
66 リール(収納部材)
75 スリット
77 スリーブハンド(拡張部材)
83 ローラ(掻上げ部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は台木用苗及び穂木用苗の茎部を切断し、切断された台木の茎部と穂木の茎部とをその切断個所で接合固定させる接木装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
台木及び穂木の接木部をクリップで接合固定させる技術がある。(例えば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平6−70639
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら上述の如くクリップを用いた場合、クリップ供給装置やクリップガイド機構など有して構造も複雑化するばかりでなく、作業時には嵩のあるクリップを多数を有するなどして供給装置が大型化したりコスト高になるなどの不都合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、穂木用苗と台木用苗との接合時に台木用苗の子葉を上方に掻上げる掻上げ部材を設けて、台木用苗の子葉を掻上げて穂木用苗と台木用苗との接合部外側に接ぎ具を装着させるように設けて、接ぎ具装着時に台木用苗の子葉を邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、接ぎ具の装着作業の効率向上化を図るものである。
【0006】
また、円筒形の接ぎ具にスリットを形成させると共に、接ぎ具をスリットより押し広げる拡張部材を設けて、接ぎ具を常に一定巾に押し広げて接木苗に確実に装着可能とさせて、接ぎ具の装着性を向上させるものである。
【0007】
さらに、接ぎ具収納部材に収納する接ぎ具を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構を設けて、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリールなどより連続的に繰出されるスリーブを正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ装着作業の能率向上化を図るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同正面図、図3は同平面図であり、接木装置1は半自動形に設け、前処理で断根したキュウリ或いはカボチャなどのウリ科やナスビ或いはジャガイモなどのナス科の苗の穂木用苗2及び台木用苗3を挟持する上下1組の穂木ハンド4及び台木ハンド5と、穂木及び台木ハンド4・5を装備して回転させる上下の回転円板6・7と、上下の回転円板6・7間を連結させるロッド軸8と回転円板6・7を間欠回転させるモータ9とを備えている。そして図4の平面視に示す如く、穂木及び台木ハンド4・5に苗2・3を投入操作する作業者10の作業座席11前位置の苗投入部12に対し、反時計方向に円板6・7を90度回転させた位置に苗切断機構13を有する苗切断部14を、また苗切断部14よりさらに90度回転させた位置に苗接合機構15を有する苗接合部16を、さらに苗接合部16より90度回転させた位置を接木苗の払出部17に設けて、これら投入部12・切断部14・接合部16・払出部17の4つの工程で穂木及び台木ハンド4・5の回転を停止させる間欠駆動をモータ9で行うように構成している。
【0009】
図4乃至図6に示す如く、上下1組とする穂木及び台木ハンド4・5の先端側を円板6外周より外側に突出させて90度間隔で4組を円板6・7に装備させたもので、上部円板6に穂木ハンド4を直接的に取り付けると共に、穂木ハンド4より一定高さ下方にロッド軸8を介して、上下動自在に台木ハンド5を支持させている。図6、図8、図10、図11にも示す如く、前記穂木及び台木ハンド4・5は固定ハンド部18と、固定ハンド部18に開閉支点軸19を介し揺動自在に連結する揺動ハンド部20とを有し、円板6・7の回転で揺動ハンド部20一端に設ける開閉ローラ21が円筒形穂木及び台木用固定ドラム22・23外側面の開閉カム24・25に当接するとき、バネ26に抗して揺動ハンド部20を揺動させて、穂木及び台木ハンド4・5を開とさせるように構成している。
【0010】
また図11に示す如く、前記台木用固定ドラム23の上端面を昇降カム27に設けて、台木ハンド5の固定ハンド部18下側に設置する昇降ローラ28を昇降カム27上に転接させ、回転軸29を中心として円板6・7と一体的に台木ハンド5を回転させるとき、昇降カム27によって台木ハンド5を昇降させるように構成している。なお、昇降カム27で穂木ハンド4を昇降させても良い。
【0011】
図8、図12に示す如く、前記穂木ハンド4の固定ハンド部18に穂木用苗2の子葉2a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ30と子葉方向安定棒31とを一体的に設けて、穂木用苗2を手に持ち2葉を左右方向に展開させてハンド部18・20間に挿入するとき、胚軸26をストッパ30に当て、子葉2a展開部がストッパ30に当たるまで引き下げて把持を行うように構成している。
【0012】
図13に示す如く、前記台木ハンド5は台木用苗3の子葉3a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ32と子葉方向安定板39とを備え、台木用苗3を手に持ち2葉を穂木子葉2aと直交する前後方向にしてハンド18・20間に挿入するとき、胚軸3bをストッパ32に当て、子葉3a展開部がストッパ32に当たるまで引き下げて把持を行うもので、接木装置1の投入作業台34側方に設ける作業スイッチ35の操作で各ハンド4・5が反時計方向に回転し始める瞬間に、固定ハンド部18が胚軸下部を押すと同時にボールプランジャ36及びバネ37を介して胚軸上部を押す直立支持棒38を設けて苗3の良好な把持を行う。さらに台木ハンド5が回転するときプランジャ36が固定ハンド部18を乗り越えて支持棒38は初期位置に戻ると共に、回転方向側に配置するゴム吊れ40で2葉の方向が修正され台木用苗3の把持姿勢の適正化が図られる。
【0013】
図6、図7に示す如く、前記開閉カム24・25は固定ドラム22・23の払出部17と投入部12位置間を凸状カム面24a・25aに形成して、各ハンド4・5の払出部17と投入部12間では開とさせて、苗2・3の投入や接木苗41の払出(放出)を行うように構成している。
【0014】
上記からも明らかなように、穂木用苗2の茎部である胚軸2bと台木用苗3の茎部である胚軸2bとを切断して接合固定する接木装置において、穂木用苗2及び台起用苗3をそれぞれ挟持する穂木ハンド4及び台木ハンド5の上下2段を1組として縦軸である回転軸29回りに複数組配設させ、回転軸29を中心として各ハンド4・5を回転させて複数工程の作業を行うと共に、複数工程の同時作業を行うことによって、回転軸29を中心とした複数組のハンド4・5回転中に接木作業に必要な切断・接合など複数工程の一連の作業を順次且つそれぞれの位置で同時に行って接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0015】
また、子葉2a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ30と子葉方向安定棒31とを穂木ハンド4に一体的に設けたことによって、穂木ハンド4に対する穂木用苗2の投入供給を容易とさせると共に、常に正確に苗位置保持させて穂木用苗2の切断精度を向上させることができる。
【0016】
さらに、子葉3a展開位置を基準として切断高さと切断方向を決定する子葉胚軸ストッパ32と子葉方向安定板39及び苗直立支持棒38を台木ハンド5に備えたことによって、台木ハンド5に対する台木用苗3の投入供給を容易とさせると共に、常に正確に位置保持させて台木用苗3の切断精度を向上させることができる。
【0017】
また、穂木ハンド4及び台木ハンド5の回転でもってハンド4・5を開閉する開閉カム24・25を設けることによって、ハンド4・5を開閉するためのシリンダなど別途の駆動部材を用いることなく、ハンド4・5回転を利用して容易にハンド4・5を開閉させることができる。
【0018】
さらに、穂木ハンド4及び台木ハンド5の回転でもって穂木ハンド4或いは台木ハンド5を昇降させる昇降カム27を設けたことによって、穂木或いは台木ハンド4・5を昇降させるシリンダなどの別途の駆動部材を用いることなく、ハンド4・5の回転を利用して容易にハンド4・5の昇降を可能とさせることができる。
【0019】
図14乃至図17にも示す如く、前記切断部14の苗切断機構13は、穂木用苗2の胚軸2bをV字状(クサビ状)に切断する左右1対のV字形穂木切断刃42と、台木用苗3の胚軸3bの子葉3a展開部をY字状に切断するY字形台木切断刃43とを備えるもので、2枚のカッタ44をカッタホルダ45のV字形苗に合わせて取り付け、カッタ44先端のV字形下端を接触させた状態で蝶ネジ46によってホルダ45に固定させ、各カッタ44の先端上側を先鋭部44aとさせたクサビ形状でV形の内面を略20度に形成して、前方位置の穂木切断台47に保持される穂木用苗2の胚軸2bに対し切断刃42を前進させて、胚軸26の略中間部を切断し、V字形切断面2cを形成するように構成している。
【0020】
また、前記切断台47は胚軸26を案内する苗保持溝48と、V形カッタ44を侵入案内させるカッタ進入溝49とを設け、保持溝48によって穂木用苗切断時の中心ズレを補正し、カッタ44の進入切断時には進入溝49の案内で苗2の抵抗があっても広がることなく正確なV字形の切断を行うように構成している。
【0021】
図16,図17に示す如く、前記台木切断刃43は下端を接する2枚のV形カッタ50と、V形カッタ50間下側に配置させる1枚の縦切りカッタ51とを組み合わせて専用ホルダ52に蝶ネジ46を介し固定させ、側面視でV形カッタ50の先端上側を先鋭部50aに、縦切りカッタ51の先端下側を先鋭部51aに形成して、側面視で切断刃43先端部をV形状に形成し、V形カッタ50の内角を略40度に形成し、前方位置の台木切断台53に保持される台木用苗3の胚軸3bに対し切断刃43を前進させて、胚軸3bの子葉3a展開部をY字形に切断しY字形切断面3cを形成すると同時に生長点3dを除去するように構成している。
【0022】
また、前記縦切りカッタ51の上端はV形カッタ50の下端より略0.5mm上方に突出させる状態とさせてV形カッタ50の切れ残しを解消させ、また図24にも示す如く、苗3に形成される苗縦切り部3eで穂木接合時の穂木用苗2の挿入を容易とさせると共に、縦切り部3eを挿入する穂木用苗2先端の逃がしとさせて穂木及び台木用苗2・3の正確な接合を可能とさせるものであり、ホルダ52下部に固定する胚軸押え54のカッタ溝55によって、縦切りカッタ51の逃げなど防止するように構成している。
【0023】
さらに、前記切断台53は子葉3aの上部を押さえ込む子葉押え56を上方に、また下方に縦切りカッタ51の進入案内用ガイド溝57を有する苗押え58を備え、切断台53には胚軸3bを案内する苗保持溝59と、縦切りカッタ51の進入溝60とを設けると共に、子葉押え56にはV形カッタ50の案内となるカッタ進入溝61を略内角40度で設けている。
【0024】
上記からも明らかなように、穂木用苗2の茎部2bをV字状に切断するV字形切断刃42と、台木用苗3の子葉3a展開部をY字状に切断するY字形切断刃43を設けて、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cを接合固定させることによって、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cを良好に接合させて、活着性を向上させることができる。
【0025】
また、2枚のカッタ44をV字形に組み合わせて、V字形切断刃42を形成させたことによって、一定角度を保った穂木胚軸2bの正確なV字形切断を容易に可能とさせて、接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0026】
さらに、3枚のカッタ50・51をY字形に組み合わせて、Y字形切断刃43を形成させたことによって、常に形状を一定とさせた台木胚軸3bの正確なY字形切断を容易に可能とさせて、接木作業の能率向上化を図ることができる。
【0027】
また、穂木用苗2の胚軸2bを保持する苗保持溝48と、V字形切断刃42の進入溝49を形成する苗切断台47を設けることによって、穂木用苗2の胚軸2b中心に対し左右対称な正確なV字形切断を可能とさせて接木精度を向上させることができる。
【0028】
さらに、台木用苗3の胚軸3bを保持する苗保持溝59と、Y字形切断刃43の進入溝60を形成する苗切断台53を設けたことによって、台木用苗3の胚軸3b中心に対し左右対称な正確なY字形切断を可能とさせて接木精度を向上させることができる。
【0029】
図18乃至図20に示す如く、穂木用苗2と台木用苗3とをスリーブ62で接合固定させる前記接合機構15には、一定長さにスリーブ62を切断して供給するスリーブ供給機構63と、供給されるスリーブ62をスリーブハンド64により押し広げて接木苗41に装着させるスリーブ装着機構64と、スリーブ62の装着時に台木用苗3の子葉3aを掻上げる掻上げ機構65とを備えるもので、前記供給機構63には連続成型でリール66に収納されたスリーブ62をスリーブガイド67に繰出す左右1対の送りローラ68と、スリーブ62の当接するストッパ69を有する旋回部材70と、スリーブ62の当接による旋回部材70の回転を検出する光電式スリーブセンサ71と、送りローラ68を回転させセンサ71によるスリーブ検出時に送りローラ68の回転を停止させる送りモータ72と、スリーブ62の送り停止時にスリーブ62を一定長さ(12mm)に切断するスリーブカッタ73とを設け、スリーブガイド67のガイド棒67aに沿って切欠き部67bまでスリーブ62が下動するときカッタ台74を前進させてカッタ73で一定長さにスリーブ62を切断するように構成している。
【0030】
また、前記スリーブ62は接木苗41の成長に伴い、自然脱落するためのスリット75と、スリット75を押し広げるための突起76とを有して、接木苗41の成長時には自然脱落すると共に、脱落後は数ヶ月で生分解する軟弾性のセルロースやトウモロコシなどの素材を用い、質量が軽く半透明に形成して、接合状態を外部からも容易に確認するように構成している。
【0031】
図9、図20に示す如く、前記スリーブ装着機構64は、スリーブ62の突起76を掴んで開閉する左右フック77aを有するスリーブハンド77、スリット75と反対側のスリーブ62外面を支えるプッシャ78と、スリーブハンド77を開閉させる開閉操作部79と、スリーブハンド77を前後進させる空圧式シリンダ80と、プッシャ78と前後進させる空圧式シリンダ81と、接木苗41の位置ズレなどを修正するストッパ82とを備えている。
【0032】
そして図21に示す如く、前記供給機構63で一定長さに切断されたスリーブに対し、フック77aを開いて接近させ、フック77aを閉じてプッシャ78を前進させるときフック77aをスリーブ62の突起76間に挿入させ、フック77aを開くときスリーブ62を押し広げて接木苗41に前進接近させ、ハンド77が接木苗41位置となりフック77aを閉じるとき苗41にスリーブ62を装着させ、プッシャ78を後退させフック77aをスリーブ62から離し、フック77aを開いてハンド77を接木苗41から後退させて苗41を解放することでスリーブ62の装着を完了させるように構成している。なお上述実施例にあってはフック77aのスリーブ62に対する挿脱時にはプッシャ78を前後進させる構成を示したが、ハンド77を後退或いは前進させて同様の操作を行う構成でも良い。
【0033】
図22に示す如く、前記掻上げ機構65は、接木苗41にスリーブ62装着時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻上げる左右1対のローラ83と、ローラ83を左右方向に開閉する開閉部84と、ローラ83を昇降させる空圧式昇降シリンダ85と、ローラ83を前後進させる前後進シリンダ86とを備え、スリーブ62の装着時にローラ83を接木苗41位置まで接近させ、左右ローラ83を閉状態で上昇させるとき、ローラ83で子葉3aを上方に掻上げて、子葉3aを邪魔とさせることのない確実なスリーブ62の装着を行うように構成している。
【0034】
また図23に示す如く、苗接合部16と払出部17間の穂木及び台木ハンド4・5の移動径路中に、接木苗41の全長を一定長さに調整切断する調整カッタ87をカッタ台88を介し配設させて、払出直前で台木用苗3の胚軸3bを水平切断させ一定高さの接木苗41を生産して苗品質を向上させるように構成している。
【0035】
上記からも明らかなように、穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻上げる掻上げ部材であるローラ83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側にスリーブ62を装着させたことによって、スリーブ62装着時に台木用苗3の子葉3aを邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、スリーブ62の装着作業の効率向上化を図ることができる。
【0036】
また、円筒形のスリーブ62にスリット75を形成させると共に、スリーブ62をスリット75により押し広げる拡張部材であるスリーブハンド77を設けたことによって、スリーブ62を常に一定巾に押し広げて接木苗41に確実に装着可能とさせて、スリーブ62の装着性を向上させることができる。
【0037】
さらに、スリーブ62により接合させた穂木用苗2と台木用苗3の接木苗41を一定長さに調整切断する調整切断機構である調整カッタ87を設けたことによって、スリーブ62装着後の接木苗41の一定高さの調整が払出直前に容易に行われて苗品質を向上させることができる。
【0038】
またさらに、接ぎ具収納部材であるリール66に収納するスリーブ62を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構であるスリーブ供給機構63を設けて、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリール66などより連続的に繰出されるスリーブ62を正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ62装着作業の能率向上化を図ることができる。
【0039】
また、穂木用苗2のV字形切断面2cと台木用苗3のY字形切断面3cとを接合固定さえるスリーブ62を設けると共に、スリーブ62に生分解可能な材料を用いたことによって、接木苗41の成長に伴ってスリーブ62が自然脱落しても、生分解によって自然消滅してスリーブ62の回収など不要とさせて作業の効率化を図ることができる。
【0040】
さらに、スリーブ62はスリット75を有する略円筒形状に形成させたことによって、スリーブ62の拡張を容易とさせると共に、育苗潅水時に水溜まりができウイルスが発生するなどの不都合を防止して接木苗41の成長を助長させることができる。
【0041】
また、スリット75にはスリーブ62を押し広げる突起76を形成させたことによって、別途脱着部材などを用いて突起76を掴んでのスリーブ62の容易な押し広げを可能とさせてスリーブ62の確実な装着を可能とさせることができる。
【0042】
以上のように半自動の接木作業を行って、穂木子葉2aと台木子葉3aの展開方向が直交状態(十字状)となるように確実に接木して、日陰を発生せず日照を均一とさせて接木苗2・3の成長を促進させるものであり、図24に示す如く作業座席1に最接近する穂木及び台木ハンド4・5が苗投入部12に位置するとき、前処理で断根した穂木及び台木用苗2・3をそれぞれ各ハンド4・5に投入して挟持させ、挟持後は切断・接合・払出の一連の接木作業を自動で行うもので、前記モータ9の駆動によって苗2・3を挟持するハンド4・5が苗切断部14まで移動したとき、穂木切断刃42によって穂木用苗2の胚軸3bがV字形に、台木切断刃43によって台木用苗3の胚軸3bがY字形に切断され、次にハンド4・5が苗接合部16まで移動するときには、台木用苗3を上昇させて穂木用苗2を挿入すると共に、穂木用苗2を抱き込んだ台木用苗3の外側をスリーブ62で固定して接木苗41を形成させ、ハンド4・5が払出部17まで移動するときハンド4・5を解放して接木苗41を放出或いは取出すものである。
【0043】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、穂木用苗2と台木用苗3との接合時に台木用苗3の子葉3aを上方に掻き上げる掻上げ部材83を設けて、台木用苗3の子葉3aを掻上げて穂木用苗2と台木用苗3との接合部外側に接ぎ具62を装着させたものであるから、接ぎ具62装着時に台木用苗の子葉3aを邪魔とさせることのない正確な装着作業を可能とさせて、接ぎ具62の装着作業の効率向上化を図ることができるものである。
【0044】
また、円筒形の接ぎ具62にスリット75を形成させると共に、接ぎ具62をスリット75より押し広げる拡張部材77を設けたものであるから、接ぎ具62を常に一定巾に押し広げて接木苗41に確実に装着可能とさせて、接ぎ具62の装着性を向上させるものである。
【0045】
さらに、接ぎ具収納部材66に収納する接ぎ具62を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構63を設けたものであるから、パーツフィーダなど別途の高価な部品を必要とすることなく、例えばリール66などより連続的に繰出されるスリーブ62を正確に必要長さだけ振動や騒音もなく静的に切断供給して、スリーブ62装着作業の能率向上化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の側面図。
【図2】全体の正面図。
【図3】全体の平面図。
【図4】作業部の平面説明図。
【図5】ハンド部の側面説明図。
【図6】カム部の平面説明図。
【図7】カムの平面図。
【図8】穂木及び台木ハンドの説明図。
【図9】スリーブハンドの説明図。
【図10】開閉カム部の説明図。
【図11】昇降カム部の説明図。
【図12】穂木ハンド部の説明図。
【図13】台木ハンド部の説明図。
【図14】V字形切断刃の説明図。
【図15】穂木切断台の説明図。
【図16】Y字形切断刃の説明図。
【図17】台木切断台の説明図。
【図18】スリーブ供給部の説明図。
【図19】スリーブの装着説明図。
【図20】スリーブハンド部の説明図。
【図21】スリーブの装着工程説明図。
【図22】掻上げ機構の説明図。
【図23】調整カッタ部の説明図。
【図24】接木作業順序を示す説明図。
【符号の説明】
2 穂木用苗
2c 切断面
3 台木用苗
3a 子葉
3c 切断面
41 接木苗
62 スリーブ(接ぎ具)
63 供給機構
66 リール(収納部材)
75 スリット
77 スリーブハンド(拡張部材)
83 ローラ(掻上げ部材)
Claims (3)
- 穂木用苗と台木用苗との接合時に台木用苗の子葉を上方に掻上げる掻上げ部材を設けて、台木用苗の子葉を掻上げて穂木用苗と台木用苗との接合部外側に接ぎ具を装着させるように設けたことを特徴とする接木装置。
- 円筒形の接ぎ具にスリットを形成させると共に、接ぎ具をスリットより押し広げる拡張部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の接木装置。
- 接ぎ具収納部材に収納する接ぎ具を一定長さに切断して供給する接ぎ具供給機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の接木装置。
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