JP2004349203A - 直流負荷用接点構成および該接点構成を有した開閉器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量の負荷であっても、長期にわたって接点間でのアークの異常継続による遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を引き起こすことなく繰り返し遮断可能で、かつ小型化および低コスト化を達成可能な接点構成および該接点構成を有した開閉器を提供すること。
【解決手段】互いに対向する固定接点および可動接点ならびに両接点が存在する空間に可動接点の動作方向と直交する方向の磁場を与える磁気手段を有してなり、固定接点または可動接点の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点とする直流負荷用接点構成であって、陽極側接点が少なくともAgおよびSnO2を含むAgSnO2系合金からなり、陰極側接点が少なくともAgおよびNiを含むAgNi系合金、あるいはAgおよびCuOを含むAgCuO系合金からなることを特徴とする直流負荷用接点構成、および該接点構成を有した開閉器。
【選択図】 なし
【解決手段】互いに対向する固定接点および可動接点ならびに両接点が存在する空間に可動接点の動作方向と直交する方向の磁場を与える磁気手段を有してなり、固定接点または可動接点の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点とする直流負荷用接点構成であって、陽極側接点が少なくともAgおよびSnO2を含むAgSnO2系合金からなり、陰極側接点が少なくともAgおよびNiを含むAgNi系合金、あるいはAgおよびCuOを含むAgCuO系合金からなることを特徴とする直流負荷用接点構成、および該接点構成を有した開閉器。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直流負荷用接点構成および該接点構成を有した開閉器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、互いに対向する固定接点および可動接点を有したリレー等の開閉器において、接点材料として、銀−酸化スズ−酸化インジウム系接点(以下「AgSnO2In2O3系接点」という)、銀−酸化スズ系接点(以下「AgSnO2系接点」という)、銀−ニッケル系接点(以下「AgNi系接点」という)、銀−酸化亜鉛系接点(以下「AgZnO系接点」という)などが使用されている。上記接点材料は単独で可動接点および固定接点の共通の接点材料として使用されるのが一般的である。そのような開閉器においては、近年、高電圧化に対応させる試みがなされている。一般に高電圧化に対応させるためには、接点ギャップを大きくするなどの手段が必要だが、開閉器を大型化させないためには、接点間ギャップを例えば、1mm程度までしか大きくできなかった。しかしながら、単に接点ギャップを1mm程度に設定するだけでは、接点の開離時においてアークが比較的長く継続し、例えば100ms以上継続した場合には、遮断不能と判断されるという問題が生じていた。
【0003】
アークが長く継続したときの他の問題として、接点表面が高温状態となり、接点間でロッキングや溶着が起こったり、接点の焼損および破壊が起こったりして、開閉器の寿命が問題となる場合がある。そのような問題は高容量負荷を遮断する開閉器において特に顕著であった。ロッキングとは、一方の接点から他方の接点への接点材料の転移により生じた凹部と凸部とがひっかかって可動接点と固定接点とが開離できなくなったり、開離が遅れたりする現象である。溶着とは、接点表面の溶融により可動接点と固定接点とが引っ付いて開離できなくなったり、開離が遅れたりする現象である。
【0004】
開閉器の長寿命化を達成する方法として、接点および該接点が取り付けられる接触片を大きくし、熱容量を増大させるなどして接点の耐熱性を向上させる方法、接点間ギャップを大きく設定してアークの異常継続を防止する方法、接点間における開離力を大きく設定し、接点が溶着しても引き剥がす能力を備える方法等が考えられる。しかしながら、いずれの方法も長寿命化を十分に達成するものではなく、さらには開閉器の大型化および/またはコストアップを伴うものであった。
【0005】
そこで、永久磁石等の磁気手段により接点間に磁場を形成する方法が知られている。接点間に磁場を形成すると、アークにローレンツ力が働き、アークがフレミングの左手の法則に従って接点間を駆動(移動)する。そのため、接点表面におけるアークの集中を回避でき、またアークが切れ易くなるので、長寿命化を達成できるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばDC42Vおよび10A程度の高容量負荷を遮断するパワーリレーなどの開閉器では十分な長寿命化を達成できなかった。また開閉の繰り返しに伴って接触抵抗が増大するという新たな問題が生じた。接触抵抗が増大すると、通電時にジュール損が生じるという問題がある。磁場の磁束密度を大きくすると、開閉器の寿命はある程度延びるが、そのためには磁気手段の大型化およびコストアップが避けられず、結果として開閉器の小型化および低コスト化は達成できないのが現状である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、高容量の負荷であっても、長期にわたって接点間でのアークの異常継続による遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を引き起こすことなく繰り返し遮断可能で、かつ小型化および低コスト化を達成可能な接点構成および該接点構成を有した開閉器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、互いに対向する固定接点および可動接点ならびに両接点が存在する空間に可動接点の動作方向と直交する方向の磁場を与える磁気手段を有してなり、固定接点または可動接点の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点とする直流負荷用接点構成であって、陽極側接点が少なくともAgおよびSnO2を含むAgSnO2系合金からなり、陰極側接点が少なくともAgおよびNiを含むAgNi系合金、あるいはAgおよびCuOを含むAgCuO系合金からなることを特徴とする直流負荷用接点構成、および該接点構成を有した開閉器に関する。
【0009】
本明細書中、「Ag−xM」はAgとMからなる合金であって、Mの含有量が全重量に対してx重量%であるものを意味する。例えば、「Ag−12.2CuO」はAgとCuOからなる合金であって、CuO含有量が全重量の12.2重量%であるものを意味する。また例えば、「Ag−8.2SnO2−5.8In2O3」はAgとSnO2とIn2O3からなる合金であって、SnO2含有量が全重量に対して8.2重量%であり、In2O3含有量が全重量に対して5.8重量%であるものを意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の直流負荷用接点構成は直流負荷が印加された電気回路を開閉し得るスイッチング機能を有し、リレー、スイッチ等の直流負荷用開閉器の一部を構成するものである。以下、図面を用いて詳しく説明する。
【0011】
本発明の直流負荷用接点構成は、図1(A)に示されるように、互いに対向する固定接点1および可動接点2、ならびに両接点が存在する空間(特に、両接点の開離時における間隙)に可動接点2の動作方向Iと直交する方向IIの磁場を与える磁気手段3を有している。図1(A)は本発明の接点構成の一例を示す概略構造図であり、図1(B)は図1(A)中の接点構成を方向Iから見たときの概略見取り図であり、図1(C)は図1(A)中の磁気手段を除く接点構成を方向IIから見たときの概略見取り図である。以下、図1(A)〜(C)をまとめて指すとき、単に図1と示すものとする。
【0012】
本発明において接点構成は、固定接点1または可動接点2の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点として使用されるが、通常は、固定接点を陽極側接点とし、可動接点を陰極側接点として使用される。固定接点1および可動接点2はそれぞれ、通常、図1に示されるように、固定接触片11および可動接触片12に取り付けられて使用され、また固定接触片11は可動接触片12よりも断面積が大きいことが一般的である。さらに、陽極側接点は通常、接点開離時に発生するアークによって、陰極側接点から放出された電子の衝撃で高温となる。そこで、断面積が大きく熱容量の大きな固定接触片に取り付けられた固定接点を、高温になる陽極側接点として使用することが、接点構成の長寿命化をより有効に達成する観点から好ましいためである。一方で、固定接触片材料として黄銅など電気伝導度の比較的低い材料を使うなどして、可動接点側の部材(可動接点および可動接触片を含む)の熱容量の方が、固定接点側の部材(固定接点および固定接触片を含む)よりも大きくなる場合には、可動接点を陽極側接点として使用することが接点構成の長寿命化を達成する観点から好ましい。
【0013】
固定接点を陽極側接点とし、可動接点を陰極側接点として使用するに際しては、固定接点が直流電源の陽極側に連結され、可動接点が陰極側に連結されるように接点構成を接続して使用すればよい。
【0014】
陽極側接点として固定接点を使用する場合または可動接点を使用する場合、いずれの場合であっても、本発明において陽極側接点はAgSnO2系合金からなり、陰極側接点はAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。すなわち、陽極側接点として固定接点を使用し、陰極側接点として可動接点を使用する場合、固定接点がAgSnO2系合金からなり、可動接点がAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。また陽極側接点として可動接点を使用し、陰極側接点として固定接点を使用する場合、可動接点がAgSnO2系合金からなり、固定接点がAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。本発明においては上記のような陽極側接点および陰極側接点の材料を組み合わせて使用することにより、負荷容量が比較的大きく、かつ印加される磁場の磁束密度が比較的小さくても、接点間に生じるアークの異常継続を防止でき、さらに接触抵抗を低減できる。その結果、長期にわたって接点間での遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を防止でき、接点構成の小型化および低コスト化を容易に達成できる。
【0015】
陽極側接点を構成するAgSnO2系合金は少なくともAgおよびSnO2を含んでなる合金であり、好ましくはさらにIn2O3を含むAgSnO2In2O3系合金である。そのようなAgSnO2系合金は、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0016】
AgSnO2系合金、特にAgSnO2In2O3系合金に含有される金属酸化物(例えば、SnO2、In2O3)の総含有量はAgSnO2系合金全重量の8〜15重量%であり、好ましくは12〜15重量%である。金属酸化物の総含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−8.2SnO2−5.8In2O3合金からなる接点の場合で平均2.7mgである。一方、金属酸化物の総含有量が多すぎると、接点形状への加工が困難になる。
【0017】
AgSnO2系合金、特にAgSnO2In2O3系合金におけるSnO2の含有量はAgSnO2系合金全重量の6〜10重量%であり、好ましくは7〜9重量%である。SnO2含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。一方、SnO2含有量が多すぎると、接触抵抗が不安定になり、また接点形状への加工が困難になる。
【0018】
特にAgSnO2In2O3系合金におけるIn2O3の含有量はAgSnO2In2O3合金全重量の2〜8重量%であり、好ましくは5〜7重量%である。In2O3含有量が少なすぎると、接触抵抗が不安定になる。一方、含有量が多すぎると、耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Ag−8.2SnO2−5.8In2O3合金からなる接点の場合で平均2.7mgであるのに対して、Ag−3.8SnO2−10.2In2O3合金からなる接点の場合で平均5.6mgである。
【0019】
陰極側接点を構成するAgNi系合金は少なくともAgおよびNiを含んでなる合金であり、接点の耐溶着性の観点から好ましくはさらにCを含むAgNiC系合金である。そのようなAgNi系合金は、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0020】
AgNi系合金、特にAgNiC系合金におけるNiの含有量はAgNi系合金全重量の8〜12重量%であり、好ましくは9〜11重量%である。Ni含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−10Ni−0.5C合金からなる接点の場合で平均7.2mgである。一方、Ni含有量が多すぎると、Niが凝集し易く、接点表面にNiが析出し易くなる。このNiが酸化等の化学変化を起こすと、接触抵抗が増大する(電気抵抗率−Ag:1.63×10−8Ωm、NiO:1011Ωm)。
【0021】
特にAgNiC系合金におけるCの含有量はAgNiC系合金全重量の2重量%以下であり、好ましくは1重量%以下である。一方、C含有量が多すぎると、製造が困難になる。
【0022】
陰極側接点を構成し得る別の材料AgCuO系合金は少なくともAgおよびCuOを含んでなる合金であり、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0023】
AgCuO系合金におけるCuOの含有量はAgCuO系合金全重量の10〜14重量%であり、好ましくは11〜13重量%である。CuO含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−12.2CuO合金からなる接点の場合で平均6.5mgである。一方、CuO含有量が多すぎると、接点形状への加工が困難になる。
【0024】
AgSnO2系合金およびAgCuO系合金は各成分が所定量含有される限り、いかなる公知の方法によって製造されたものであってよく、例えば、粉末冶金法または内部酸化法によって製造可能である。
AgNi系合金は粉末冶金法によって製造可能である。
【0025】
固定接触片11および可動接触片12を構成する材料は特に制限されないが、例えば固定接触片として電気銅、可動接触片としてベリリウム銅などのような電気伝導度の比較的大きい材料を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の接点構成は磁気手段3をさらに有している。図1中、磁気手段3は可動接触片12の軸方向Jにおいて固定接点1および可動接点2の下流側に配置されているが、その配置は両接点が存在する空間、特に両接点の開離時における間隙に可動接点の動作方向Iと直交する方向の磁場を与え得る限り、特に制限されるものではない。例えば、磁気手段3は、図1(A)中、紙面上において固定接点1および可動接点2の紙面表側または裏側に配置されてもよい。
【0027】
磁気手段としては、両接点の開離時における接点間中央部において比較的弱い磁場、例えば、磁束密度5mT程度以上の比較的弱い磁場を形成できるものであれば特に制限されない。具体例としては、例えば、永久磁石、電磁石等が使用可能である。本発明において磁気手段は上記のように比較的弱い磁場を形成できればよいので、上記の中でも、小型化が容易な永久磁石が最も有用である。両接点の開離時における接点間中央部の好ましい磁束密度は10mT以上である。
【0028】
以上のような本発明の接点構成を用いたときの接点開離時の作用機構を図2を用いて簡単に説明する。図2(A)〜(C)は図1における本発明の接点構成を方向IIから見たときの、接点開離時の概略流れ図である。なお、図2の紙面上、固定接点1と可動接点2との間隙には紙面表側から裏側の方向に前記比較的弱い磁場が形成されている。また図2において固定接点1は陽極側接点として使用され、可動接点2は陰極側接点として使用されている。図2における図1と同じ符号は図1においてと同様の部材を意味するものとする。
【0029】
まず、固定接点1と可動接点2との開離を開始すると(図2(A))、固定接点1と可動接点2との間隙にアーク4が発生する。このとき、固定接点1と可動接点2との間隙には紙面表側から裏側の方向に磁場が形成されているので、アーク4にローレンツ力が働く。そのため、次いで可動接点2を固定接点1からさらに開離させると、アーク4がフレミングの左手の法則に従って紙面上左方向に接点間を有意に駆動(移動)して湾曲し(図2(B))、その後、アークは切れて遮断が達成される(図2(C))。前記材料を用いた本発明の接点構成において、アークはこのように磁場によって接点間を駆動し、湾曲するため、接点表面におけるアークの集中が回避されるとともに、アークは切れ易くなる。そのため、アーク継続時間を有意に低減でき、結果としてアークを有効に防止できる。
【0030】
磁気によるアークの駆動効率を向上させるために、固定接点および可動接点において周縁部の厚みを中心部より薄くするなどして、アークを磁気駆動させる方向の接点間ギャップを大きくすることが好ましい。
【0031】
本発明は開閉器にも関する。本発明の開閉器は直流負荷用であり、以上のような直流負荷用接点構成を有する限り、いかなる構成を有していてよく、例えば、リレー、スイッチ等であってよい。
【0032】
本発明の接点構成および開閉器は可動接点と固定接点との間の開離力が0.1〜0.5N、接触力が0.1〜1Nの比較的低い値に設定されても、本発明の上記目的を達成できる。開離力とは可動接点が固定接点から離れるときに要する可動接点の駆動力であり、予め設定される初期設定項目の一つである。接触力とは可動接点が固定接点と接触している時に要する可動接点の駆動力であり、予め設定される初期設定項目の一つである。
【0033】
本発明の接点構成および開閉器は自動車等車両の各種電装品の制御用から工場用の強電装置までのあらゆる電気・電子装置の直流電気回路に適用可能であり、例えば、電流値5〜50A、特に10A以上の高負荷条件の直流電気回路の開閉に有効である。
【0034】
【実施例】
表に記載の接点材料からなる固定接点および可動接点をそれぞれ固定接触片および可動接触片にかしめ、それらの部品を磁気駆動方式のリレーに組み込んだ。なお固定接触片および可動接触片の材料としてはそれぞれ電気銅(断面積:1.32mm2)およびベリリウム銅(断面積:0.45mm2)を用い、固定接点、可動接点、固定接触片および可動接触片の寸法ならびにその他のリレーの構造はオムロン株式会社製車載小型リレーと同様であった。
【0035】
(電気的寿命試験)
得られたリレーを、固定接点および可動接点の極性が表に記載の所定の極性になるように接続し、以下の条件で評価を行った。
試験条件:DC42V 10A 抵抗負荷(10万回開閉)
接点部中心の印加磁束密度:5mT
接点ギャップ:1mm
接触力:0.29N
開離力:0.15N
【0036】
評価においては、10万回の開閉を繰り返し、接点間におけるアークの異常継続100ms以上、ロッキングおよび溶着、ならびに接点の焼損および破壊等の問題が起こらなかったものを「○」とした。「×」とされたリレーは、アークの異常継続による遮断不能の問題が起こった、あるいはロッキングおよび溶着、ならびに接点の焼損および破壊等のいずれかの問題が起こった。
【0037】
(接触抵抗)
電気的寿命試験中に示した最大値を示す。25mΩ以下のものを「○」、30mΩ以下のものを「△」、30mΩを超えるものを「×」とした。「△」以上が実用上問題のない範囲であり、「○」が好ましい。
【0038】
【表1】
【0039】
表中、AgSnO2In2O3としてはAg−8.2SnO2−5.8In2O3を、AgZnOとしてはAg−8ZnOを、AgNiCとしてはAg−10Ni−0.5Cを、AgCuOとしてはAg−12.2CuOを用いた。また、接点材料は記載の金属および金属酸化物以外に他の金属および金属酸化物を含有しない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の接点構成および開閉器は、負荷容量が比較的大きく、かつ印加される磁場の磁束密度が比較的小さくても、長期にわたって接点間でのアークの異常継続による遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を引き起こすことなく繰り返し遮断可能で、かつ小型化および低コスト化を容易に達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の接点構成の一例を示す概略構造図であり、(B)は(A)の接点構成を方向Iから見たときの概略見取り図であり、(C)は(A)の接点構成を方向IIから見たときの概略見取り図である。
【図2】(A)〜(C)は図1における本発明の接点構成を方向IIから見たときの、接点開離時の概略流れ図である。
【符号の説明】
1:固定接点、2:可動接点、3:磁気手段、4:アーク、11:固定接触片、12:可動接触片。
【発明の属する技術分野】
本発明は直流負荷用接点構成および該接点構成を有した開閉器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、互いに対向する固定接点および可動接点を有したリレー等の開閉器において、接点材料として、銀−酸化スズ−酸化インジウム系接点(以下「AgSnO2In2O3系接点」という)、銀−酸化スズ系接点(以下「AgSnO2系接点」という)、銀−ニッケル系接点(以下「AgNi系接点」という)、銀−酸化亜鉛系接点(以下「AgZnO系接点」という)などが使用されている。上記接点材料は単独で可動接点および固定接点の共通の接点材料として使用されるのが一般的である。そのような開閉器においては、近年、高電圧化に対応させる試みがなされている。一般に高電圧化に対応させるためには、接点ギャップを大きくするなどの手段が必要だが、開閉器を大型化させないためには、接点間ギャップを例えば、1mm程度までしか大きくできなかった。しかしながら、単に接点ギャップを1mm程度に設定するだけでは、接点の開離時においてアークが比較的長く継続し、例えば100ms以上継続した場合には、遮断不能と判断されるという問題が生じていた。
【0003】
アークが長く継続したときの他の問題として、接点表面が高温状態となり、接点間でロッキングや溶着が起こったり、接点の焼損および破壊が起こったりして、開閉器の寿命が問題となる場合がある。そのような問題は高容量負荷を遮断する開閉器において特に顕著であった。ロッキングとは、一方の接点から他方の接点への接点材料の転移により生じた凹部と凸部とがひっかかって可動接点と固定接点とが開離できなくなったり、開離が遅れたりする現象である。溶着とは、接点表面の溶融により可動接点と固定接点とが引っ付いて開離できなくなったり、開離が遅れたりする現象である。
【0004】
開閉器の長寿命化を達成する方法として、接点および該接点が取り付けられる接触片を大きくし、熱容量を増大させるなどして接点の耐熱性を向上させる方法、接点間ギャップを大きく設定してアークの異常継続を防止する方法、接点間における開離力を大きく設定し、接点が溶着しても引き剥がす能力を備える方法等が考えられる。しかしながら、いずれの方法も長寿命化を十分に達成するものではなく、さらには開閉器の大型化および/またはコストアップを伴うものであった。
【0005】
そこで、永久磁石等の磁気手段により接点間に磁場を形成する方法が知られている。接点間に磁場を形成すると、アークにローレンツ力が働き、アークがフレミングの左手の法則に従って接点間を駆動(移動)する。そのため、接点表面におけるアークの集中を回避でき、またアークが切れ易くなるので、長寿命化を達成できるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばDC42Vおよび10A程度の高容量負荷を遮断するパワーリレーなどの開閉器では十分な長寿命化を達成できなかった。また開閉の繰り返しに伴って接触抵抗が増大するという新たな問題が生じた。接触抵抗が増大すると、通電時にジュール損が生じるという問題がある。磁場の磁束密度を大きくすると、開閉器の寿命はある程度延びるが、そのためには磁気手段の大型化およびコストアップが避けられず、結果として開閉器の小型化および低コスト化は達成できないのが現状である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、高容量の負荷であっても、長期にわたって接点間でのアークの異常継続による遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を引き起こすことなく繰り返し遮断可能で、かつ小型化および低コスト化を達成可能な接点構成および該接点構成を有した開閉器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、互いに対向する固定接点および可動接点ならびに両接点が存在する空間に可動接点の動作方向と直交する方向の磁場を与える磁気手段を有してなり、固定接点または可動接点の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点とする直流負荷用接点構成であって、陽極側接点が少なくともAgおよびSnO2を含むAgSnO2系合金からなり、陰極側接点が少なくともAgおよびNiを含むAgNi系合金、あるいはAgおよびCuOを含むAgCuO系合金からなることを特徴とする直流負荷用接点構成、および該接点構成を有した開閉器に関する。
【0009】
本明細書中、「Ag−xM」はAgとMからなる合金であって、Mの含有量が全重量に対してx重量%であるものを意味する。例えば、「Ag−12.2CuO」はAgとCuOからなる合金であって、CuO含有量が全重量の12.2重量%であるものを意味する。また例えば、「Ag−8.2SnO2−5.8In2O3」はAgとSnO2とIn2O3からなる合金であって、SnO2含有量が全重量に対して8.2重量%であり、In2O3含有量が全重量に対して5.8重量%であるものを意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の直流負荷用接点構成は直流負荷が印加された電気回路を開閉し得るスイッチング機能を有し、リレー、スイッチ等の直流負荷用開閉器の一部を構成するものである。以下、図面を用いて詳しく説明する。
【0011】
本発明の直流負荷用接点構成は、図1(A)に示されるように、互いに対向する固定接点1および可動接点2、ならびに両接点が存在する空間(特に、両接点の開離時における間隙)に可動接点2の動作方向Iと直交する方向IIの磁場を与える磁気手段3を有している。図1(A)は本発明の接点構成の一例を示す概略構造図であり、図1(B)は図1(A)中の接点構成を方向Iから見たときの概略見取り図であり、図1(C)は図1(A)中の磁気手段を除く接点構成を方向IIから見たときの概略見取り図である。以下、図1(A)〜(C)をまとめて指すとき、単に図1と示すものとする。
【0012】
本発明において接点構成は、固定接点1または可動接点2の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点として使用されるが、通常は、固定接点を陽極側接点とし、可動接点を陰極側接点として使用される。固定接点1および可動接点2はそれぞれ、通常、図1に示されるように、固定接触片11および可動接触片12に取り付けられて使用され、また固定接触片11は可動接触片12よりも断面積が大きいことが一般的である。さらに、陽極側接点は通常、接点開離時に発生するアークによって、陰極側接点から放出された電子の衝撃で高温となる。そこで、断面積が大きく熱容量の大きな固定接触片に取り付けられた固定接点を、高温になる陽極側接点として使用することが、接点構成の長寿命化をより有効に達成する観点から好ましいためである。一方で、固定接触片材料として黄銅など電気伝導度の比較的低い材料を使うなどして、可動接点側の部材(可動接点および可動接触片を含む)の熱容量の方が、固定接点側の部材(固定接点および固定接触片を含む)よりも大きくなる場合には、可動接点を陽極側接点として使用することが接点構成の長寿命化を達成する観点から好ましい。
【0013】
固定接点を陽極側接点とし、可動接点を陰極側接点として使用するに際しては、固定接点が直流電源の陽極側に連結され、可動接点が陰極側に連結されるように接点構成を接続して使用すればよい。
【0014】
陽極側接点として固定接点を使用する場合または可動接点を使用する場合、いずれの場合であっても、本発明において陽極側接点はAgSnO2系合金からなり、陰極側接点はAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。すなわち、陽極側接点として固定接点を使用し、陰極側接点として可動接点を使用する場合、固定接点がAgSnO2系合金からなり、可動接点がAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。また陽極側接点として可動接点を使用し、陰極側接点として固定接点を使用する場合、可動接点がAgSnO2系合金からなり、固定接点がAgNi系合金またはAgCuO系合金からなる。本発明においては上記のような陽極側接点および陰極側接点の材料を組み合わせて使用することにより、負荷容量が比較的大きく、かつ印加される磁場の磁束密度が比較的小さくても、接点間に生じるアークの異常継続を防止でき、さらに接触抵抗を低減できる。その結果、長期にわたって接点間での遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を防止でき、接点構成の小型化および低コスト化を容易に達成できる。
【0015】
陽極側接点を構成するAgSnO2系合金は少なくともAgおよびSnO2を含んでなる合金であり、好ましくはさらにIn2O3を含むAgSnO2In2O3系合金である。そのようなAgSnO2系合金は、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0016】
AgSnO2系合金、特にAgSnO2In2O3系合金に含有される金属酸化物(例えば、SnO2、In2O3)の総含有量はAgSnO2系合金全重量の8〜15重量%であり、好ましくは12〜15重量%である。金属酸化物の総含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−8.2SnO2−5.8In2O3合金からなる接点の場合で平均2.7mgである。一方、金属酸化物の総含有量が多すぎると、接点形状への加工が困難になる。
【0017】
AgSnO2系合金、特にAgSnO2In2O3系合金におけるSnO2の含有量はAgSnO2系合金全重量の6〜10重量%であり、好ましくは7〜9重量%である。SnO2含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。一方、SnO2含有量が多すぎると、接触抵抗が不安定になり、また接点形状への加工が困難になる。
【0018】
特にAgSnO2In2O3系合金におけるIn2O3の含有量はAgSnO2In2O3合金全重量の2〜8重量%であり、好ましくは5〜7重量%である。In2O3含有量が少なすぎると、接触抵抗が不安定になる。一方、含有量が多すぎると、耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Ag−8.2SnO2−5.8In2O3合金からなる接点の場合で平均2.7mgであるのに対して、Ag−3.8SnO2−10.2In2O3合金からなる接点の場合で平均5.6mgである。
【0019】
陰極側接点を構成するAgNi系合金は少なくともAgおよびNiを含んでなる合金であり、接点の耐溶着性の観点から好ましくはさらにCを含むAgNiC系合金である。そのようなAgNi系合金は、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0020】
AgNi系合金、特にAgNiC系合金におけるNiの含有量はAgNi系合金全重量の8〜12重量%であり、好ましくは9〜11重量%である。Ni含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−10Ni−0.5C合金からなる接点の場合で平均7.2mgである。一方、Ni含有量が多すぎると、Niが凝集し易く、接点表面にNiが析出し易くなる。このNiが酸化等の化学変化を起こすと、接触抵抗が増大する(電気抵抗率−Ag:1.63×10−8Ωm、NiO:1011Ωm)。
【0021】
特にAgNiC系合金におけるCの含有量はAgNiC系合金全重量の2重量%以下であり、好ましくは1重量%以下である。一方、C含有量が多すぎると、製造が困難になる。
【0022】
陰極側接点を構成し得る別の材料AgCuO系合金は少なくともAgおよびCuOを含んでなる合金であり、本発明の上記目的を達成できる限り、他の元素(金属あるいは金属酸化物)を含有してもよい。
【0023】
AgCuO系合金におけるCuOの含有量はAgCuO系合金全重量の10〜14重量%であり、好ましくは11〜13重量%である。CuO含有量が少なすぎると、接点の耐転移特性が低下する。例えば、後述の実施例での負荷条件と同様の負荷条件で10万回開閉したときの転移量は、Agのみからなる接点の場合で平均8.1mgであるのに対して、Ag−12.2CuO合金からなる接点の場合で平均6.5mgである。一方、CuO含有量が多すぎると、接点形状への加工が困難になる。
【0024】
AgSnO2系合金およびAgCuO系合金は各成分が所定量含有される限り、いかなる公知の方法によって製造されたものであってよく、例えば、粉末冶金法または内部酸化法によって製造可能である。
AgNi系合金は粉末冶金法によって製造可能である。
【0025】
固定接触片11および可動接触片12を構成する材料は特に制限されないが、例えば固定接触片として電気銅、可動接触片としてベリリウム銅などのような電気伝導度の比較的大きい材料を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の接点構成は磁気手段3をさらに有している。図1中、磁気手段3は可動接触片12の軸方向Jにおいて固定接点1および可動接点2の下流側に配置されているが、その配置は両接点が存在する空間、特に両接点の開離時における間隙に可動接点の動作方向Iと直交する方向の磁場を与え得る限り、特に制限されるものではない。例えば、磁気手段3は、図1(A)中、紙面上において固定接点1および可動接点2の紙面表側または裏側に配置されてもよい。
【0027】
磁気手段としては、両接点の開離時における接点間中央部において比較的弱い磁場、例えば、磁束密度5mT程度以上の比較的弱い磁場を形成できるものであれば特に制限されない。具体例としては、例えば、永久磁石、電磁石等が使用可能である。本発明において磁気手段は上記のように比較的弱い磁場を形成できればよいので、上記の中でも、小型化が容易な永久磁石が最も有用である。両接点の開離時における接点間中央部の好ましい磁束密度は10mT以上である。
【0028】
以上のような本発明の接点構成を用いたときの接点開離時の作用機構を図2を用いて簡単に説明する。図2(A)〜(C)は図1における本発明の接点構成を方向IIから見たときの、接点開離時の概略流れ図である。なお、図2の紙面上、固定接点1と可動接点2との間隙には紙面表側から裏側の方向に前記比較的弱い磁場が形成されている。また図2において固定接点1は陽極側接点として使用され、可動接点2は陰極側接点として使用されている。図2における図1と同じ符号は図1においてと同様の部材を意味するものとする。
【0029】
まず、固定接点1と可動接点2との開離を開始すると(図2(A))、固定接点1と可動接点2との間隙にアーク4が発生する。このとき、固定接点1と可動接点2との間隙には紙面表側から裏側の方向に磁場が形成されているので、アーク4にローレンツ力が働く。そのため、次いで可動接点2を固定接点1からさらに開離させると、アーク4がフレミングの左手の法則に従って紙面上左方向に接点間を有意に駆動(移動)して湾曲し(図2(B))、その後、アークは切れて遮断が達成される(図2(C))。前記材料を用いた本発明の接点構成において、アークはこのように磁場によって接点間を駆動し、湾曲するため、接点表面におけるアークの集中が回避されるとともに、アークは切れ易くなる。そのため、アーク継続時間を有意に低減でき、結果としてアークを有効に防止できる。
【0030】
磁気によるアークの駆動効率を向上させるために、固定接点および可動接点において周縁部の厚みを中心部より薄くするなどして、アークを磁気駆動させる方向の接点間ギャップを大きくすることが好ましい。
【0031】
本発明は開閉器にも関する。本発明の開閉器は直流負荷用であり、以上のような直流負荷用接点構成を有する限り、いかなる構成を有していてよく、例えば、リレー、スイッチ等であってよい。
【0032】
本発明の接点構成および開閉器は可動接点と固定接点との間の開離力が0.1〜0.5N、接触力が0.1〜1Nの比較的低い値に設定されても、本発明の上記目的を達成できる。開離力とは可動接点が固定接点から離れるときに要する可動接点の駆動力であり、予め設定される初期設定項目の一つである。接触力とは可動接点が固定接点と接触している時に要する可動接点の駆動力であり、予め設定される初期設定項目の一つである。
【0033】
本発明の接点構成および開閉器は自動車等車両の各種電装品の制御用から工場用の強電装置までのあらゆる電気・電子装置の直流電気回路に適用可能であり、例えば、電流値5〜50A、特に10A以上の高負荷条件の直流電気回路の開閉に有効である。
【0034】
【実施例】
表に記載の接点材料からなる固定接点および可動接点をそれぞれ固定接触片および可動接触片にかしめ、それらの部品を磁気駆動方式のリレーに組み込んだ。なお固定接触片および可動接触片の材料としてはそれぞれ電気銅(断面積:1.32mm2)およびベリリウム銅(断面積:0.45mm2)を用い、固定接点、可動接点、固定接触片および可動接触片の寸法ならびにその他のリレーの構造はオムロン株式会社製車載小型リレーと同様であった。
【0035】
(電気的寿命試験)
得られたリレーを、固定接点および可動接点の極性が表に記載の所定の極性になるように接続し、以下の条件で評価を行った。
試験条件:DC42V 10A 抵抗負荷(10万回開閉)
接点部中心の印加磁束密度:5mT
接点ギャップ:1mm
接触力:0.29N
開離力:0.15N
【0036】
評価においては、10万回の開閉を繰り返し、接点間におけるアークの異常継続100ms以上、ロッキングおよび溶着、ならびに接点の焼損および破壊等の問題が起こらなかったものを「○」とした。「×」とされたリレーは、アークの異常継続による遮断不能の問題が起こった、あるいはロッキングおよび溶着、ならびに接点の焼損および破壊等のいずれかの問題が起こった。
【0037】
(接触抵抗)
電気的寿命試験中に示した最大値を示す。25mΩ以下のものを「○」、30mΩ以下のものを「△」、30mΩを超えるものを「×」とした。「△」以上が実用上問題のない範囲であり、「○」が好ましい。
【0038】
【表1】
【0039】
表中、AgSnO2In2O3としてはAg−8.2SnO2−5.8In2O3を、AgZnOとしてはAg−8ZnOを、AgNiCとしてはAg−10Ni−0.5Cを、AgCuOとしてはAg−12.2CuOを用いた。また、接点材料は記載の金属および金属酸化物以外に他の金属および金属酸化物を含有しない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の接点構成および開閉器は、負荷容量が比較的大きく、かつ印加される磁場の磁束密度が比較的小さくても、長期にわたって接点間でのアークの異常継続による遮断不能やロッキングや溶着、接点の焼損および破壊ならびに接触抵抗の増大等の問題を引き起こすことなく繰り返し遮断可能で、かつ小型化および低コスト化を容易に達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の接点構成の一例を示す概略構造図であり、(B)は(A)の接点構成を方向Iから見たときの概略見取り図であり、(C)は(A)の接点構成を方向IIから見たときの概略見取り図である。
【図2】(A)〜(C)は図1における本発明の接点構成を方向IIから見たときの、接点開離時の概略流れ図である。
【符号の説明】
1:固定接点、2:可動接点、3:磁気手段、4:アーク、11:固定接触片、12:可動接触片。
Claims (6)
- 互いに対向する固定接点および可動接点ならびに両接点が存在する空間に可動接点の動作方向と直交する方向の磁場を与える磁気手段を有してなり、固定接点または可動接点の一方を陽極側接点とし、他方を陰極側接点とする直流負荷用接点構成であって、陽極側接点が少なくともAgおよびSnO2を含むAgSnO2系合金からなり、陰極側接点が少なくともAgおよびNiを含むAgNi系合金、あるいはAgおよびCuOを含むAgCuO系合金からなることを特徴とする直流負荷用接点構成。
- 固定接点を陽極側接点とし、可動接点を陰極側接点とする請求項1に記載の直流負荷用接点構成。
- 陽極側接点として用いるAgSnO2系合金がAgSnO2In2O3系合金であり、陰極側接点として用いるAgNi系合金がAgNiC系合金である請求項1または2に記載の直流負荷用接点構成。
- 陽極側接点が金属酸化物総含有量8〜15重量%、SnO2含有量6〜10重量%およびIn2O3含有量2〜8重量%のAgSnO2In2O3系合金からなり、陰極側接点がNi含有量8〜12重量%およびC含有量2重量%以下のAgNiC系合金、あるいはCuO含有量10〜14重量%のAgCuO系合金からなる請求項1〜3のいずれかに記載の直流負荷用接点構成。
- 磁場を与える磁気手段として永久磁石を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の直流負荷用接点構成。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の直流負荷用接点構成を有した開閉器。
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