JP2946581B2 - マグネットスイッチの製造方法 - Google Patents

マグネットスイッチの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えばスタータに用いられるマグネットスイ
ッチの製造方法に関し特にその電気接点の改良に関する
ものである。
〔従来の技術〕
従来のマグネットスイッチの固定電気接点は、特開昭
61−216214号公報に示すように、L字状に加工された銅
製のものが知られている。
また、長寿命が要求される機種に対しては、このL字
状の固定電気接点の、プランジャの電気接点(以下、可
動電気接点)と当接する部分を所定深さだけ切削し、そ
の部分に耐消耗材質の接点チップを固定して、可動電気
接点にはこの接点チップのみが当接するようにしている
ものが知られている。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところが、前記マグネットスイッチの固定電気接点に
おいては、銅に対して高価な耐消耗材を多く用いるため
コスト高となる問題がある。また、コスト対策のため、
上記接点チップを単に少量にしたのでは、耐消耗材とい
えども可動電気接点との当接による単位面積当たりの衝
撃荷重が大きくなるために変形してしまい、長寿命は期
待できない。
そこで、本発明は、耐消耗材を少量用いるだけで寿命
を長くすることを可能とした固定電気接点を有するマグ
ネットスイッチの製造方法を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、請求項1においては、前
記可動電気接点(3)と当接する主接点(1)と耐消耗
材で構成される副接点(2)とを有し、前記副接点が前
記固定電気接点の材質よりも酸化し易い材質の場合に
は、使用初期状態において、前記副接点が可動電気接点
と当接する面(2b)を、前記主接点が可動電気接点と当
接する面(1b)より低く設定する。一方、請求項2にお
いては、固定電気接点が前記副接点の材質よりも酸化し
易い材質の場合には、使用初期状態において、前記副接
点が可動電気接点と当接する面(2b)は、前記主接点が
可動電気接点と当接する面(1b)より高く設定するよう
にしたものである。
〔作用〕
従って、使用初期状態においては、副接点の表面に絶
縁皮膜が形成された場合には、可動電気接点は主接点と
当接し導通することができる。一方、主接点の表面に絶
縁皮膜が形成された場合には、可動電気接点は副接点と
当接し導通することができ、絶縁皮膜を破壊することが
できる。
〔実施例〕
以下、図に基づいて本発明の実施例を説明する。
本発明のスタータのマグネットスイッチの構成を第1
図に示す。
第1図において、4は正極側の固定電気接点であり、
ターミナルボルト8によりケース10に固定されており、
ターミナルボルト8は図示されないバッテリに接続され
ている。
5は負極側の固定電気接点であり、正極側の固定電気
接点同様、ターミナルボルト9によりケース10に固定さ
れており、ターミナルボルト9は図示されないスタータ
モータに接続されている。
6は円盤状の可動電気接点3を有するプランジャであ
り、軸方向に往復運動可能に配設されている。
7は励磁コイルであり、図示されないスタータスイッ
チを介してバッテリに接続されている。
次に、上記構成においてその作動について説明する。
スタータスイッチを閉じると、励磁コイルに電流が流れ
励磁磁束が生じ、プランジャ6が励磁コイル側に吸引さ
れる。そして、可動電気接点3が正極側固定電気接点4
および負極側固定電気接点5に当接し、バッテリからタ
ーミナルボルト8、正極側固定電気接点4、可動電気接
点3、負極側固定電気接点5およびターミナルボルト9
を介してスタータモータへと電流が流れる。
第3図および第4図は、本発明のマグネットスイッチ
の固定電気接点の第1実施例を示す平面図および正面図
である。第3図において、1はL字状に加工された銅製
の主接点であり、可動電気接点3と当接する面に凹み1a
が設けられている。この凹み1aの底面に、銅製の主接点
より耐消耗性に優れたタングステン製の副接点2がスポ
ットろう付により接合されている。
上記のものでは、第4図に示す如く副接点2の可動電
気接点3と当接する面2bを、主接点1の可動電気接点3
と当接する面1bより低く設定する。これは、副接点2に
主接点1の材質より酸化し易い材質を用いているためで
ある。すなわち、使用初期状態で可動電気接点3と当接
する面1bおよび2bが同一平面にある場合には、酸化し易
い副接点2の表面が酸化して絶縁皮膜を形成してしまう
と、この絶縁皮膜の厚みだけ副接点2の可動電気接点3
と当接する面2bが高くなり、可動電気接点3は上記絶縁
皮膜のみと当接することになり、導通が図れなくなって
しまう。それに対し、上記第1実施例のものでは、使用
初期状態では第5図の如く可動電気接点3は主接点1に
当接し、副接点2の表面に絶縁皮膜が形成された場合で
も、可動電気接点3は主接点1と当接し導通することが
可能である。
また、使用するに従い、主接点1と可動電気接点3の
開閉が繰り返されることによって、主接点1の消耗が進
むと共に、その時の衝撃により上記絶縁皮膜は破壊され
ていく。主接点1の可動電気接点3と当接する面1bの高
さが副接点2の可動電気接点3と当接する面2bの高さと
同じになった後は、第6図に示す如く可動電気接点3は
主、副両接点と当接するようになり両接点で導通するよ
うになる。
その後は、主接点1および副接点2が同時に可動電気
接点3と当接し、その時受ける衝撃を主、副両接点に分
散することにより、副接点2が受ける単位面積当たりの
衝撃は小さくなる。従って、主接点1と可動電気接点3
の開閉によって、主接点1、副接点2のいずれか一方ま
たは、両方同時にアークが発生し、このアークにより消
耗が進行する過程において、副接点2は本来持つ耐消耗
性を損なうことなく徐々に消耗し、主接点1は副接点2
の受ける単位面積当たりの衝撃荷重を常に小さくするこ
とで、両接点が同じ高さを維持する如く、ゆるやかに消
耗が進む。上記過程において、可動電気接点3と接する
面1bおよび2bには微小高さの凹凸が多数生じ、この状態
で副接点2の表面に絶縁皮膜が構成された場合は、その
凹凸部の酸化していない何れかの部分で導通するので問
題はない。
実際に、負極側に比べて消耗量が多い正極側の固定電
気接点において、20〔mm〕幅の銅製主接点に7〔mm〕×
3.5〔mm〕のタングステンの副接点を接合したものを用
い、可動電気接点と固定電気接点が当接した時の通電電
流が700〔A〕となるような条件で、接点の開閉を行っ
た結果、接点開閉1万回当たりの消耗量は30〔mg〕であ
った。これは、副接点を設けていない銅製の固定電気接
点において同じ実験を行った時、接点開閉1万回当たり
の消耗量が100〔mg〕であったのに対し、消耗量が1/3以
下になっている。
上記結果より、少量の副接点で、従来の接点チップを
用いた場合と同等の寿命をもたせることが可能であるこ
とがわかる。
次に第2実施例を説明する。
第7図は本発明のマグネットスイッチの固定電気接点
の第2実施例を示す正面図である、第1実施例に対し
て、第2実施例では、銅製の主接点1および耐消耗性に
優れた銀製の副接点2を用いている。
上記のものでは、第7図に示す如く副接点2の可動電
気接点3と接する面2bを、主接点1の可動電気接点3と
接する面1bより高く設定する。これは、副接点2に主接
点1の材質より酸化しにくい材質を用いているためであ
り、第1実施例よりさらに耐酸化性を要求される場合で
ある。
使用初期状態では第8図に示す如く、可動電気接点3
は副接点2に当接する。その後の作用は第1実施例と同
じである。
〔発明の効果〕
以上述べたように本考案においては、使用初期状態に
おいては、副接点の表面に絶縁皮膜が形成された場合に
は、可動電気接点は主接点と当接し導通することができ
る。一方、主接点の表面に絶縁皮膜が形成された場合に
は、可動電気接点は副接点と当接し導通することがで
き、絶縁皮膜を破壊することができるという優れた効果
がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のマグネットスイッチを示す断面図、第
2図は上記マグネットスイッチのカバーを取り除いた状
態での平面図、第3図および第4図は本発明の固定電気
接点の第1実施例を示す平面図および正面図、第5図は
上記第1実施例の固定電気接点の主接点と可動電気接点
とが、使用初期状態で当接した状態を示す正面図、第6
図は主接点と副接点が同時に可動電気接点と当接した状
態を示す正面図、第7図は本発明の固定電気接点の第2
実施例を示す正面図、第8図は上記第2実施例の固定電
気接点の副接点と可動電気接点とが、使用初期状態で当
接した状態を示す正面図である。 1……固定電気接点の母材に相当する主接点,2……耐消
耗材の副接点,3……プランシャの電気接点に相当する可
動電気接点,4……固定電気接点(正極側),5……固定電
気接点(負極側),6……プランジャ,7……励磁コイル,8
……ターミナルボルト(正極側),9……ターミナルボル
ト(負極側)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−63827(JP,A) 特開 昭60−7021(JP,A) 実開 昭61−18523(JP,U) 実開 昭51−124470(JP,U) 特公 昭37−11322(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01H 1/00 - 1/66 H01H 50/54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気接点を有し、軸方向に往復運動可能に
    配設されたプランジャと、 このプランジャの往復運動をさせるための磁束を生じる
    励磁コイルと、 前記プランジャの可動電気接点と当接することにより通
    電する正極側および負極側の固定電気接点とを備え、 前記固定電気接点は、前記可動電気接点(3)と当接す
    る主接点(1)と耐消耗材で構成される副接点(2)と
    を有し、 前記副接点が前記固定電気接点の材質よりも酸化し易い
    材質の場合には、使用初期状態において、前記副接点が
    可動電気接点と当接する面(2b)を、前記主接点が可動
    電気接点と当接する面(1b)より低く設定することを特
    徴とするマグネットスイッチの製造方法。
  2. 【請求項2】電気接点を有し、軸方向に往復運動可能に
    配設されたプランジャと、 このプランジャの往復運動をさせるための磁束を生じる
    励磁コイルと、 前記プランジャの可動電気接点と当接することにより通
    電する正極側および負極側の固定電気接点とを備え、 前記固定電気接点は、前記可動電気接点(3)と当接す
    る主接点(1)と耐消耗材で構成される副接点(2)と
    を有し、 前記固定電気接点が前記副接点の材質よりも酸化し易い
    材質の場合には、使用初期状態において、前記副接点が
    可動電気接点と当接する面(2b)を、前記主接点が可動
    電気接点と当接する面(1b)より高く設定することを特
    徴とするマグネットスイッチの製造方法。
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