JP2004347545A - 転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置 - Google Patents

転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非磁性材製の保持器6のポケット9内に磁性材製の玉5を保持した状態で、このポケット9の内面と玉5の外面との間に存在するポケット隙間を、容易に且つ正確に測定自在とする。
【解決手段】上記ポケット9内に保持した玉5を電磁石20により(A)に示す様に上昇させる作業と、この電磁石20への通電を停止して(B)に示す様に下降させる作業とを、前後して行なう。そして、(A)(B)両状態間での上記玉5の変位量を測定し、この変位量を上記ポケット隙間とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種回転装置の回転部分を支持する為の転がり軸受を構成する保持器に設けた複数のポケット内に転動自在に保持した転動体がこれら各ポケット内で変位可能な量であるポケット隙間を、転がり軸受の使用状態に則して正確に測定可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】
各種回転装置の回転部分を支持する為に、例えば図5に示す様な玉軸受が広く使用されている。この玉軸受は、外周面に内輪軌道1を有する内輪2と、内周面に外輪軌道3を有する外輪4とを同心に配置し、上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に、それぞれが転動体である複数個の玉5、5を転動自在に設けて成る。これら複数個の玉5、5は、保持器6により転動自在に保持している。上記外輪4の軸方向両端部(図5の左右両端部)内周面には、それぞれ円輪状のシールド板7、7の外周縁を係止して、上記玉5、5の設置部分に存在するグリースが外部に漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥等の異物がこの設置部分に進入したりするのを防止している。尚、この様な非接触型のシールド板7、7に代えて、非接触型或は接触型のシール板を使用する場合もある。
【0003】
上記保持器6として一般的には、図6に示す様な冠型保持器を使用している。この冠型保持器は、ポリアミド、ポリ四弗化エチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアセタール等の滑り易い合成樹脂により構成したもので、円環状のリム部8と、このリム部8の軸方向片面(図6の上下方向上面)に等間隔に設けられた複数のポケット9、9とを備える。これら各ポケット9、9は、互いに間隔をあけて配置された1対の弾性片10、10と、上記リム部8の軸方向片面でこの1対の弾性片10、10の間部分に設けられた凹面部11、11とから構成している。そして、各ポケット9、9に玉5、5(図5)を1個ずつ、転動自在に保持する。
【0004】
上記各玉5、5は、各ポケット9、9を構成する1対ずつの弾性片10、10の先端縁同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、これら1対の弾性片10、10同士の間に押し込む事により、上記各ポケット9、9内に保持する。この作業は、上記各玉5、5を前記内輪軌道1と外輪軌道3との間に挿入し、これら各玉5、5を円周方向等間隔に配置した後に行なう。即ち、上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に設けられた玉5、5に向けて保持器6を押し付け、この保持器6のポケット9、9内に玉5、5を抱き込む。上記保持器6は、この様に上記各ポケット9、9内に玉5、5を抱き込む事により、これら各玉5、5を上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に、転動自在に保持する。
【0005】
保持器6を組み込んだ玉軸受の基本構成は上述の通りであるが、この玉軸受の運転時に保持器音と呼ばれる振動並びに騒音が発生するのを防止する為には、玉5、5に対する保持器6の動き量を適正にする必要がある。この様な保持器の動き量は、上記各ポケット9、9の内面と上記各玉5、5の転動面(外面)との間に存在する、所謂ポケット隙間に影響される。即ち、玉軸受用の保持器6のポケット9、9の内面は球状凹面であり、球状凸面である上記各玉5、5の転動面と近接対向させているが、この球状凹面の曲率半径は、これら各玉5、5の転動面の曲率半径よりも僅かに大きい。この様に各部の曲率半径を規制するのは、上記各ポケット9、9の内面と上記各玉5、5の転動面との間に潤滑剤を取り込みつつ、これら各玉5、5の転動を円滑に行なわせる為に必要である。
【0006】
従って、上記各ポケット9、9の内面と上記各玉5、5の転動面との間には微小な隙間が存在する。そして、この隙間に基づいてこれら各玉5、5が上記各ポケット9、9内で、例えば図7(A)(B)に示す様に保持器6の軸方向に、或は図7の表裏方向(保持器6の径方向)に、それぞれ変位する。上記隙間の大きさが小さ過ぎると、上記各ポケット9、9の内面と上記各玉5、5の転動面との間に潤滑剤を十分に取り込めなくなって、これら内面と転動面との擦れ合い部の摩擦が大きくなり、玉軸受の回転トルクが増大するだけでなく、上記保持器音が大きくなる。反対に、上記隙間が大き過ぎた場合には、上記保持器6の変位が著しくなって、やはり上記保持器音が大きくなる。この様な理由で、上記ポケット隙間の大きさを正確に求める事は、玉軸受等の転がり軸受の性能向上を図る面から必要である。
【0007】
この様な理由で上記隙間を測定する方法として、特許文献1には、図8に示す様な方法が記載されている。この従来方法により上記隙間を測定する場合には、保持器6のポケット9内に、測定補助具12の一部を保持する。この測定補助具12は、このポケット9内に保持すべき玉5(図5)の外径と同じ外径を有する球形部13と、この球形部13の外面の一部にその基端部を結合した結合杆部14と、この結合杆部14の先端部に結合固定した被検出部15とから成る。
【0008】
この様な測定補助具12を使用して上記保持器6のポケット隙間を測定するには、この測定補助具12の球形部13を、このポケット隙間を測定すべきポケット9内に保持した状態で、上記測定補助具12と上記保持器6とを、この保持器6の軸方向に相対変位させる。この相対変位は、例えば、上記結合杆部14をピンセットにより摘み、このピンセットを作業者が手指で動かす事により行なう。そして、上記軸方向の相対変位量を、変位計16により測定する。この変位計16の測定値が、そのまま上記ポケット9のアキシアル方向に関するポケット隙間となる。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−159502号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に構成する従来の転がり軸受用保持器のポケット隙間の測定方法の場合、作業者がピンセットを介して測定補助具12を動かすので、この測定補助具12の球形部13を保持器6のポケット9の内面に押し付ける力を一定させる事が難しい。そして、この力が一定しないと、測定作業時に於ける上記保持器6の弾性変形量が一定せず、ポケット隙間の大きさを正確に求める事ができなくなる。例えば、上記力が実際に玉5がポケット9の内面に押し付けられる荷重に比べて大き過ぎ、上記保持器6の弾性変形量が実際の使用状態に比べて多くなると、上記ポケット隙間に関する測定値が、実際の値よりも大きくなる。反対に、上記力が小さ過ぎ、上記保持器6の弾性変形量が実際の使用状態に比べて少なくなると、上記ポケット隙間に関する測定値が、実際の値よりも小さくなる。この為、上記測定補助具12を使用して上記ポケット隙間を測定する場合でも、正確な測定値を得る為には、作業者が或る程度熟練している事が必要になる。例えば、内径が10mm未満の小径玉軸受、更には、外径が9mm未満のミニアチュア玉軸受の場合、保持器が薄肉で弾性変形し易く、しかもポケット隙間の絶対値が小さい(例えば0.3mm以下)為、正確なポケット隙間を求める為には、相当の熟練が必要になる。
【0011】
又、上記従来技術の場合には、上記測定補助具12の球形部13を、実際に上記ポケット9内に保持する玉5と同じ外径を有するものを使用するが、これら球形部13及び玉5の製造誤差に基づく、上記ポケット隙間の大きさの変動を求める事はできない。即ち、上記球形部13の外径は上記玉5の外径に一致させるにしても、実際に玉軸受に組み込む玉5の外径には、僅かとは言え、製造誤差が存在する。例えば、この玉5の外径の公差として、一般的に±10μ程度の値が知られている。この玉5の公差がこの値であると仮定した場合、上記球形部13の外径を極めて正確に(公差0に)加工したとしても、この球形部13を利用して測定したポケット隙間の測定値と、実際にポケット9内に玉5を保持した状態でのポケット隙間との間には、上記±10μ程度の誤差が生じる可能性がある。即ち、1個の玉軸受に組み込まれる複数の玉5の外径の相互差(最大の玉の外径と最小の玉の外径との差)は1μm以下の小さな値であるが、個々の玉軸受に組み込まれる玉は、±10μm程度の公差のものを、相互差が1μm以下になる様に選別して用いている。この為、上記ポケット隙間に関しては、上記公差に対応する、±10μm程度の誤差が生じる。この様な誤差は、例え総てのポケット9に就いてポケット隙間を測定(全数検査)したとしても、解消する事はできない。この為、ハードディスクドライブ装置(HDD)用の超高精度のミニアチュア玉軸受を造る場合には、上記ポケット隙間の測定を、必ずしも十分な精度で行なう事ができない。
本発明の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置のうち、請求項1に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法は、非磁性材製の転がり軸受用保持器のポケット内に転動自在に保持した磁性材製の転動体の外面とこのポケットの内面との間に存在する、所定方向のポケット隙間の大きさを測定する方法である。
この様な、請求項1に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法は、上記転がり軸受用保持器を(測定の為に転動体を移動させる力に拘らず)上記所定方向への移動を阻止して支持すると共に上記ポケット内に上記転動体を保持した状態でこの転動体を上記所定方向に、この転動体と磁石との間に作用する磁気吸引力を利用して変位させる。そして、この変位量を測定する事により上記ポケット隙間の大きさを求める。
【0013】
例えば、上記所定方向が転がり軸受用保持器の軸方向である場合には、請求項2に記載した様に、この転がり軸受用保持器を、その中心軸を鉛直方向に一致させると共に鉛直方向の移動を阻止した状態で支持する。そして、ポケットの上側に配置した磁石の磁気吸引力によりこのポケット内に保持した転動体をこのポケット内で上昇させ、この磁気吸引力を喪失させた状態でこの転動体を、重力によりこのポケット内で下降させ、この転動体の鉛直方向の変位量を測定する。
【0014】
これに対して、上記所定方向が転がり軸受用保持器の径方向である場合には、請求項3に記載した様に、この転がり軸受用保持器の径方向に関して、ポケットの内側に配置した内径側永久磁石の磁気吸引力を喪失させると共にこのポケットの外側に配置した外径側磁石の磁気吸引力を発生させて、この外径側磁石の磁気吸引力により上記ポケット内に保持した転動体をこのポケットの外側に変位させる作業と、上記外径側磁石の磁気吸引力を喪失させると共に上記内径側磁石の磁気吸引力を発生させて、この内径側磁石の磁気吸引力により上記転動体をこのポケットの内側に変位させる作業とを前後して行なう。そして、上記転がり軸受用保持器の径方向に関する上記転動体の変位量を測定する。
【0015】
又、何れの場合でも、この転動体の変位量を求める作業は、請求項4に記載した様に、カメラ若しくは顕微鏡によりポケット内での転動体の変位を観察し、この観察結果に基づいて転動体の変位量を求めるか、請求項5に記載した様に、変位センサによりポケット内での転動体の変位量を測定する。
【0016】
又、請求項6に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置は、転動体の外面とこのポケットの内面との間に、上記転がり軸受用保持器の軸方向に存在するポケット隙間を測定する為のもので、支持部材と、磁石と、変位測定手段とを備える。
このうちの支持部材は、非磁性材製の転がり軸受用保持器を、この転がり軸受用保持器の中心軸を鉛直方向に一致させると共に鉛直方向の移動を阻止した状態で支持する。
又、上記磁石は、上記支持部材の一部で上記転がり軸受用保持器のポケットの上側に位置する部分に設けられている。
更に、上記変位測定手段は、上記ポケット内での転動体の鉛直方向の変位量を測定する為のものである。
【0017】
これに対して、請求項7に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置は、転動体の外面とこのポケットの内面との間に、保持器の径方向に存在するポケット隙間を測定する為のもので、外径側磁石と、内径側磁石と、変位測定手段とを備える。
このうちの外径側磁石は、非磁性材製の転がり軸受用保持器の径方向外側でこの転がり軸受用保持器に設けたポケットに対向する部分に設けられている。
又、上記内径側磁石は、同じく径方向内側でこのポケットに対向する部分に設けられている。
更に、上記変位測定手段は、上記ポケット内での転動体の上記径方向の変位量を測定する為のものである。
【0018】
尚、請求項6〜7に記載した何れの転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置でも、変位測定手段として好ましくは、カメラ若しくは顕微鏡と変位センサとのうちの何れかを使用する。
又、本発明に使用する磁石は、磁気吸引力を発生させたり喪失させたりする必要がある為、好ましくは電磁石を使用する。但し、永久磁石と磁気遮蔽板とを組み合わせ、転動体を吸引する場合にはこの転動体と永久磁石との間の磁気遮蔽板を退避させ、磁気吸引力を喪失させる際にはこの磁気遮蔽板を上記転動体と永久磁石との間に入り込ませる構造を採用する事もできる。
【0019】
【作用】
上述の様に構成する本発明の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置は、磁石の磁気吸引力或は転動体の自重により、この転動体をポケット内で変位させるので、この転動体を変位させる力を一定にできる。この為、ポケット隙間の測定時に、この転動体の表面と上記ポケットの内面との当接圧を、実際の使用状態に則した一定の値にして、上記ポケット隙間に関して信頼性の高い測定結果を得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、請求項1、2、4、6、8に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置は、請求項6に記載した支持部材に相当する支持板17を、精密昇降台18により、Z軸方向(鉛直方向)に変位自在としている。この支持板17は、アクリル板等の非磁性材で、好ましくは透明な板材により造っている。そして、上記支持板17の上面に精密変位計19の測定子を当接させる事により、上記精密昇降台18による上記支持板17の変位量(昇降量)を測定自在としている。又、この支持板17の上面には電磁石20を設置している。この電磁石20は、ポケット隙間を測定すべき保持器6の形状と大きさとに合わせた、円環状に形成している。又、上記支持板17の下面側方には、CCDカメラの如く、上記保持器6のポケット9、9内に保持された玉5、5のうちの何れかの玉5の画像を撮り込む為の撮影機器21を設置している。この撮影機器21により取り込んだ、上記何れかの玉5は、上記ポケット隙間を測定用の操作を行なう為のディスプレイ22に画像23(図3)として表示する様にしている。
【0021】
上記保持器6のポケット9、9に関するポケット隙間を測定する際には、これら各ポケット9、9内に、実際に上記保持器6と共に玉軸受に組み込まれる玉5、5を組み付ける(保持する)。そして、この保持器6のリム部8の軸方向片面(上記各ポケット9、9と反対側の面)を上記支持板17の下面に、両面接着テープを使用して貼着する等により支持固定する。この状態で上記各ポケット9、9内に保持された上記各玉5、5は、上記電磁石20の下方に位置する。この為に、これら各玉5、5とこの電磁石20とのピッチ円直径は、互いに一致させ、上記保持器6の貼着位置は、上記電磁石20の直下位置としている。又、この状態で、上記撮影機器21が、上記各玉5、5のうちの何れかの玉5の水平方向側方に位置して、当該玉5を画像23として取り込み自在となる。これらの作業により、上記ポケット隙間を測定する為の準備作業が完了する。
【0022】
この様な準備作業の後、上記電磁石20に通電して、上記各玉5、5を磁気吸引力により、図2(A)に示す様に、上記各ポケット9、9内で上端位置にまで上昇させる。この際、上記各玉5、5を上昇させる力は、上記電磁石20への通電量(印加する電圧)により調節する。具体的には、玉軸受の使用時に上記各玉6、6の転動面が上記各ポケット9、9の内面に押し付けられる程度の、極く小さな力とする。従って、上記保持器6の弾性変形は、実際の使用状態に見合った、僅少量となる。そして、この様に上記各玉6、6を上昇させた状態で、上記撮影機器21が撮影した何れかの玉5の画像23を、前記ディスプレイ22に映し出す。次いで、前記精密昇降台18を昇降させる事により、このディスプレイ22内で上記画像23を昇降させ、図3(A)に示す様に、この画像23の上下方向の何れかの端部(図示の例では下端部)を、上記ディスプレイ22の一部(一般的には上下方向中央部に水平方向)に表示したグリッド線24に一致させる。この状態で、前記精密変位計19の表示をリセットする(鉛直方向の変位量を表す表示を0にする)。
【0023】
次いで、上記電磁石20への通電を停止し、この電磁石20の磁気吸引力を喪失させて、上記各玉5、5を自重により、図2(B)に示す様に、上記各ポケット9、9内で下降させる。この際、上記各玉5、5を下降させる力は、これら各玉5、5の自重となる。従って、この場合も、上記保持器6の弾性変形は、実際の使用状態に見合った、僅少量となる。そして、上記各玉5、5が下降する結果、図3(B)に示す様に、それまで(上記電磁石20への通電を停止するまで)一致していた、上記画像23の上下方向の何れかの端部と上記グリッド線24とが、この画像23の下端部がグリッド線24よりも下方に変位する状態でずれる。そこで、上記精密昇降台18を上昇させる事により、このディスプレイ22内で上記画像23を上昇させ、再び上記画像23の上下方向の何れかの端部と上記グリッド線24に一致させる。この様に、これら端部とグリッド線24とを再び一致させるまでの上記精密昇降台18の上昇量が、求めるポケット隙間となる。この際の精密昇降台18の上昇量は、そのまま上記精密変位計19の表示から読み取れる。尚、上記撮影機器21及びディスプレイに代え工具顕微鏡を使用して上記何れかの玉5の動きを観察する事によっても、上記ポケット隙間を求める事ができる。
【0024】
上述の様に本例の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置は、電磁石20の磁気吸引力或は上記各玉5、5の自重により、これら各玉5、5を上記各ポケット9、9内で変位させるので、これら各玉5、5を変位させる力を一定にできる。この為、ポケット隙間の測定時に、これら各玉5、5の転動面と上記各ポケット9、9の内面との当接圧を、実際の使用状態に則した一定の値にして、上記ポケット隙間に関して信頼性の高い測定結果を得られる。又、実際に上記保持器6と共に玉軸受を構成する玉5を使用してポケット隙間を測定するので、玉5の製造誤差(公差)による影響を受けず、より信頼性の高い測定結果を得られる。尚、図2の(A)に示す状態と(B)に示す状態との前後は問わない。上述した場合とは逆の順番で行ない、上記支持板17の下降量を上記ポケット隙間とする事もできる。
【0025】
又、上述した実施の形態の第1例の場合、保持器6を支持した支持板17を精密昇降台18により昇降させる事により、ポケット9内での玉5の変位量であるポケット隙間を測定する様にしているが、この変位量を直接測定する事もできる。即ち、請求項5に記載した様に、変位センサによりポケット9内での玉5の変位量を測定する事もできる。この場合、図2(A)に鎖線で示す様に、渦電流式、レーザ式、静電容量式等の非接触式の変位センサ25を使用する事が好ましい。この理由は、接触式の変位センサを使用する事で、上記ポケット9内での上記玉5の変位が不確実になる事を防止する為である。上記変位センサ25により上記ポケット隙間を測定する場合には、保持器6を固定の(昇降しない)支持板17の下面に支持した状態で、この支持板17の上面に設けた電磁石20への通電とその停止とを前後して行なう。そして、これに伴う上記玉5の昇降量を、上記変位センサ25により測定する。
【0026】
次に、図4は、請求項1、3、7に相当する、本発明の実施の形態の第2例を示している。上述した第1例が、ポケット隙間のうち、保持器6の軸方向に関する隙間を測定するのに対して、本例の場合には、保持器6の径方向に関するポケット隙間を測定する様に構成している。この為に本例の場合には、中心軸を鉛直方向に配置した状態で(全体として水平方向に)支持された保持器6の径方向外側でこの保持器6に設けたポケット9に対向する部分に外径側電磁石26を、同じく径方向内側でこのポケット9に対向する内径側電磁石27を、それぞれ設けている。そして、このポケット9内での玉5の上記径方向の変位量を、図示しない変位測定手段により測定自在としている。
【0027】
上記径方向に関するポケット隙間を測定する際には、上記外径側電磁石26への通電と上記内径側電磁石27への通電とを前後して行ない、上記ポケット9内で上記玉5を上記保持器6の径方向に変位させる。即ち、上記内径側電磁石27に通電し上記外径側電磁石26への通電を停止する事により、図4(A)に示す様に、上記玉5を上記保持器6の径方向に関して内径側に変位させる。これと前後して、上記内径側電磁石27への通電を停止し上記外径側電磁石26に通電する事により、図4(B)に示す様に、上記玉5を上記保持器6の径方向に関して外径側に変位させる。そして、この様な保持器6の径方向に関する上記玉5の変位量を測定する。
【0028】
この測定作業は、前述した第1例と同様に、撮影機器21とディスプレイ22(図1、3参照)とを利用して行なう。但し、本例の場合には、上記撮影機器21を、上記第1例とは直角方向に配置する。即ち、この撮影機器21が上記玉5を撮影する方向を、上記保持器6の軸方向(鉛直方向)とする。又、この保持器6を支持した支持板を変位させる方向を、この保持器6のうち、ポケット隙間を測定すべきポケット9の中心を通る直径方向(水平方向)とする。
【0029】
【発明の効果】
本発明の転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法及び装置は、以上に述べた通り、ポケット隙間を、転がり軸受の使用状態に則して正確に測定できるので、保持器音の低減等、各種転がり軸受の性能向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。
【図2】転動体の変位状態を示す、図1のA−A視図。
【図3】カメラが撮影した画像に基づいて転動体の変位量を測定する状態を示す図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す部分平面図。
【図5】転がり軸受の1例を示す断面図。
【図6】保持器を取り出して示す斜視図。
【図7】軸方向のポケット隙間の概念を説明する為、転動体をポケットの軸方向両端側に移動させた状態で示す、図6のB矢視図に相当する図。
【図8】ポケット隙間を測定する従来方法の1例を示す、図6のC矢視図に相当する図。
【符号の説明】
1 内輪軌道
2 内輪
3 外輪軌道
4 外輪
5 玉
6 保持器
7 シールド板
8 リム部
9 ポケット
10 弾性片
11 凹面部
12 測定補助具
13 球形部
14 結合杆部
15 被検出部
16 変位計
17 支持板
18 精密昇降台
19 精密変位計
20 電磁石
21 撮影機器
22 ディスプレイ
23 画像
24 グリッド線
25 変位センサ
26 外径側電磁石
27 内径側電磁石

Claims (8)

  1. 非磁性材製の転がり軸受用保持器のポケット内に転動自在に保持した磁性材製の転動体の外面とこのポケットの内面との間に存在する、所定方向のポケット隙間の大きさを測定する方法であって、上記転がり軸受用保持器をこの所定方向への移動を阻止して支持すると共に上記ポケット内に上記転動体を保持した状態でこの転動体を上記所定方向に、この転動体と磁石との間に作用する磁気吸引力を利用して変位させ、この変位量を測定する事により上記ポケット隙間の大きさを求める、転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法。
  2. 所定方向が転がり軸受用保持器の軸方向であり、この転がり軸受用保持器を、その中心軸を鉛直方向に一致させると共に鉛直方向の移動を阻止した状態で支持し、ポケットの上側に配置した磁石の磁気吸引力によりこのポケット内に保持した転動体をこのポケット内で上昇させ、この磁気吸引力を喪失させた状態でこの転動体を、重力によりこのポケット内で下降させ、この転動体の鉛直方向の変位量を測定する、請求項1に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法。
  3. 所定方向が転がり軸受用保持器の径方向であり、この転がり軸受用保持器の径方向に関して、ポケットの内側に配置した内径側永久磁石の磁気吸引力を喪失させると共にこのポケットの外側に配置した外径側磁石の磁気吸引力を発生させて、この外径側磁石の磁気吸引力により上記ポケット内に保持した転動体をこのポケットの外側に変位させる作業と、上記外径側磁石の磁気吸引力を喪失させると共に上記内径側磁石の磁気吸引力を発生させて、この内径側磁石の磁気吸引力により上記転動体をこのポケットの内側に変位させる作業とを前後して行ない、上記転がり軸受用保持器の径方向に関する上記転動体の変位量を測定する、請求項1に記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法。
  4. カメラ若しくは顕微鏡によりポケット内での転動体の変位を観察し、この観察結果に基づいて転動体の変位量を求める、請求項1〜3の何れかに記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法。
  5. 変位センサによりポケット内での転動体の変位量を測定する、請求項1〜3の何れかに記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する方法。
  6. 非磁性材製の転がり軸受用保持器を、この転がり軸受用保持器の中心軸を鉛直方向に一致させると共に鉛直方向の移動を阻止した状態で支持する支持部材と、この支持部材の一部で上記転がり軸受用保持器のポケットの上側に位置する部分に設けられた磁石と、このポケット内での転動体の鉛直方向の変位量を測定する為の変位測定手段とを備えた転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置。
  7. 非磁性材製の転がり軸受用保持器の径方向外側でこの転がり軸受用保持器に設けたポケットに対向する部分に設けられた外径側磁石と、同じく径方向内側でこのポケットに対向する部分に設けられた内径側磁石と、このポケット内での転動体の上記径方向の変位量を測定する為の変位測定手段とを備えた転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置。
  8. 変位測定手段が、カメラ若しくは顕微鏡と変位センサとのうちの何れかである請求項6〜7の何れかに記載した転がり軸受用保持器のポケット隙間を測定する装置。
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