JP2004346585A - 掘削工法および掘削装置 - Google Patents

掘削工法および掘削装置 Download PDF

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洋一 木村
Masato Kagawa
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Abstract

【課題】本発明は、掘削体を精度よく誘導指示し所望の地中穴を形成できるとともに、掘削中の地表面における作業の少ない掘削工法及びその掘削装置を提供することを目的としている。
【解決手段】磁界を発生する磁界発信手段を具備し、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体と、目標地点に配設され、前記磁界発信手段から発信された磁界を受信する磁界受信手段とを用い地中を掘削する工法であって、掘削開始点から前記磁界受信手段の検出可能領域に至る区間では、前記掘削体の推進量と姿勢を計測し、計測された推進量と姿勢により前記掘削体の相対位置を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い検出可能領域へ誘導指示し、前記検出可能領域の内側の区間では、前記磁界受信手段で受信された前記磁界により前記掘削体の相対位置及び姿勢を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い誘導指示する掘削工法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の目標地点に向けて地中を掘削する掘削工法及びその掘削装置に関し、詳しくは、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体の地中における位置と姿勢を求め、掘削体を誘導指示して目標地点へ到達させる掘削工法および掘削装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ガスや上下水道などの地下埋設本支管から供給管を分岐させるには、地下に埋設された本支管部分と供給管を敷設する部分を地上から掘削して土砂を取り除いた上で作業を進めることが普通であるが、地上からの開削作業が必要であり、作業量が増えるだけでなく、工期も長くなって不経済である。また道路等を掘り返すことによる地域への影響も無視できない。これらの問題を解決するため、本願発明者らは長年に渡り鋭意研究し、下記特許文献1〜4に示す非開削工法をすでに提案している。なお、以下、非開削工法を具体例として説明するが、本発明の工法は以下の説明に限定されることはない。
【0003】
下記特許文献1〜4で本願出願人らが提案した非開削工法は、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体を用い地中を掘削する工法であって、下記特許文献3で例示されるように、「掘削体の先端に設けた掘削ヘッドから発信された磁界を」、「掘削ヘッド到達予定箇所近傍に設けた複数の3軸コイルユニット(磁界受信手段)で受信し、掘削ヘッド到達予定箇所に対する掘削ヘッドの位置と方向を計算し、このデータをもとに掘削ヘッドを到達予定箇所に向けて掘削する」掘削体の誘導指示方法を備えた工法である。
【0004】
掘削体の誘導指示方法を備えた工法の一例が下記特許文献5に記載されている。下記特許文献5の誘導指示方法は、前記と同様な掘削体を、推進開始点から予定到達部までの推進計画線を含む鉛直面を中央に挟む2箇所に配置した一対のコイルが検出された、掘削体の先端部に組込まれた発信コイルから発信する磁界の強度と、推進距離検出手段で計測された掘削体の推進開始点からの推進距離と、前記先端部に組込まれた傾斜計が検出する掘削体の上下傾斜角度とから、掘削体の前後左右上下方向の相対位置を算出するとともに、推進開始点から予定到達部までの推進行程を複数の区分に分割し、受信コイルを内蔵した携帯型位置検出装置で掘削体の前後、左右、あるいは上下方向の内の少なくとも一方向の位置検出を各区分を推進するたびに行い、前記相対位置をその検出位置で補正するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−174092号公報
【特許文献2】
特開2002−180786号公報
【特許文献3】
特開2003−42707号公報
【特許文献4】
特願2001−317892号
【特許文献5】
特開平11−280380号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
供給管を流体の漏れが発生しないように地中に埋設してある本支管に接続するためには、供給管敷設用地中穴を、目標地点である接続予定箇所近辺に、本支管表面に略直交する方向から、本支管軸心とのズレができるだけ小さく、具体的にいえば、150Aの本支管に50Aの供給管を接続する場合には±10mm以内のズレで地中孔を掘削することが必要となる。そのためには、掘削体の位置及び姿勢を精度よく計測し、誘導指示する必要があるが、上記特許文献3、4に例示した磁界を利用した計測においては、磁界の強さは概ね距離の3乗に比例して減衰する。したがって、掘削体の位置と姿勢を所定の誤差で検出可能な強度の磁界を磁界受信手段が受信できる検出可能領域の外側を掘削体が掘削している場合、検出された掘削体の位置と姿勢は誤差を有することとなる。したがって、掘削が進むにつれ誤差が累積し、前記検出可能領域まで掘削体が到達できず、その結果、目標地点まで掘削体を誘導指示できないという問題があった。
さらに、上記特許文献5によれば、掘削体の位置補正のために、携帯型位置検出装置を作業者が携帯し、推進区分ごとに掘削体の位置を地表面で計測し、計測の間は地表面を占有するため、依然として交通の妨害になるとともに、自動車の通行量の多い道路では交通事故の発生など安全の面でも問題があり、さらには、掘削開始点と目標地点の間に河川などがある場合は、上記携帯型位置検出装置による位置検出の作業が難しく、掘削体の誘導指示が実質上できないという問題があった。
本発明は、上記課題について本願発明者らが鋭意検討してなされたものであり、掘削体を精度よく誘導指示し所望の地中穴を形成できるとともに、地表面(水面なども含む)における掘削中の作業の少ない掘削工法及びその掘削装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、磁界を発生する磁界発信手段を具備するとともに、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体と、目標地点またはその近傍に配設され、前記磁界発信手段から発信された磁界を受信する磁界受信手段とを用い地中を掘削する工法であって、掘削開始点から前記磁界受信手段の検出可能領域に至る区間では、前記掘削体の推進量と姿勢を計測し、計測された推進量と姿勢により前記掘削体の相対位置を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い検出可能領域へ誘導指示し、前記検出可能領域の内側の区間では、前記磁界受信手段で受信された前記磁界により前記掘削体の相対位置及び姿勢を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い誘導指示することを特徴とする本発明の掘削工法により達成することができる。
【0008】
また、上記本発明の掘削工法は、磁界を発生する磁界発信手段を具備するとともに、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体と、目標地点またはその近傍に配設され、前記磁界発信手段から発信された磁界を受信する磁界受信手段とを用い地中を掘削する装置であって、前記掘削体の推進量を計測する推進量計測手段と、前記掘削体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記推進量計測手段から入力された推進量信号と前記姿勢検出手段から入力された姿勢信号に基づいて前記掘削体の相対位置を算出する第1演算ユニットとを備えた第1の位置演算部と、前記磁界受信手段で受信された磁界に基づいて前記掘削体の相対位置を算出する第2演算ユニットとを備え、前記第1の位置演算部と切換可能になされた第2の位置演算部とを有することを特徴とする本発明の掘削装置により実現することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてを図面を参照し説明する。図1は、本発明の掘削装置の概略構成図であるとともに、該掘削装置における信号の送受関係を示すブロック図である。図2は、図1の要部拡大図であり、掘削装置の掘削体先端部の詳細を説明する図である。図3は、図1の要部拡大図であり、磁界受信手段と掘削体先端部の関係を示す図である。図4は、本発明の第1の実施例を説明する模式図である。図5は、図4の実施例により非開削で本支管に供給管を接続した状態を説明する図である。図6は、図1の磁界受信手段の設置方法の変形例を示す図である。
【0010】
本発明の掘削装置1は、図1に示すように、
1)地中を屈曲自在に推進可能な掘削体11
2)推力と回転力を掘削体11に付与する推進機12
3)掘削体11の先端部に内蔵された磁界Wを発信する磁界発信手段132と、磁界Wを受信する磁界受信手段131と、受信した磁界Wの情報に基づいて掘削体11の相対位置と姿勢を求める第2演算ユニット133とを備えた第2の位置演算部13
4)掘削体11の先端部に内蔵された掘削体11の姿勢を検出する姿勢検出手段141と、推進機12に組込まれた掘削体11の推進量を計測する推進量計測手段142と、推進量計測手段142で計測された推進量と姿勢検出手段141で検出された姿勢に基づいて掘削体11の相対位置を求める第1演算ユニット143を備えた第1の位置演算部14
5)第2の位置演算部13または第1の位置演算部14で求められた掘削体11の相対位置と姿勢に基づいて掘削体11を誘導指示する制御部15
を有している。以下、掘削体11、推進機12、第2の位置演算部13、第1の位置演算部14及び制御部15の構成について、図1〜3を参照し詳述する。
【0011】
[掘削体]
掘削体11は、図2に示すように、傾斜面112aを有する先端部(以下掘削ヘッドとも言う。)112と、掘削ヘッド112の後側に連接された屈曲自在なロッドユニット111を備えており、適宜回転させながら推進させることで推進方向を変更自在に地中穴を掘削することができる。図2にはロッドユニット111の一構成例を示すが、複数のロッド部材113が軸方向を合せて連設されており、隣接するロッド部材113同士は、弾性部材を介してロッドユニット111の軸心(M)方向に略直交する方向に装着される軸114で連結されている。ロッドユニット111は、軸方向にネジ等で連結することができ、所望の長さの掘削体を形成することができる。
【0012】
[推進機]
推進機12は、図1に示すように、往動作によって前記ロッドユニット111を後方から押し出し掘削体11を推進するものである。推進機12は、ロッドユニット111の最後端部の着脱機構を有しており、この着脱機構を介してロッドユニット111に推力と回転力を伝達し、掘削体11を推進させ、回転させる。
【0013】
[第2の位置演算部]
磁界発信手段132は、1軸のコイルを有し、図2に示すように、掘削ヘッド112に内蔵されている。磁界発信手段132は、その軸心方向の中心位置が掘削ヘッド112の先端から所定距離をなし、その軸心が掘削ヘッド112の軸心と一致するよう組込まれている。
【0014】
磁界受信手段131は、図1に示すように、直交3軸に受信コイルを配した一対の3軸コイルユニット131a、bを有し、磁界発生手段115の発信した磁界を受信し、3軸方向の電圧信号を誘起するものである。3軸コイルユニット131a,bの配置は、それぞれの相互関係が特定できれば特に限定されることはないが、図3に示すように、それぞれを所定の間隔Lで隔て、それぞれの各軸の向きを一致させた状態で連結部材134で支持すれば、3軸コイルユニット131a、bの相互関係が規定されるので好ましい。
【0015】
3軸コイルユニット131a,bは、図1に示すように、第2演算ユニット132に電気的に接続されている。第2演算ユニット132は、磁界発生手段115が発信する磁界を3軸コイルユニット131a,bが受信して誘起される3軸方向の電圧信号が入力され、3軸方向の誘起電圧に基づいて3軸コイルユニット131a,bに対する磁界発信手段115の相対位置と姿勢を算出し、磁界発生手段115と掘削ヘッド112の既知の位置関係により掘削ヘッド112の相対位置と姿勢を求めるものである。
【0016】
[第1の位置演算部]
姿勢検出手段141は、図2に示すように、掘削ヘッド112に内蔵され、掘削ヘッド112の姿勢を検出し、その姿勢に対応した検出信号(以下姿勢信号と称する。)Oを送信するものである。姿勢検出手段141は、図1に示す掘削ヘッド112の軸心をY軸とし、紙面に対し水平でY軸に直交する軸をX軸とし、X,Y軸に共に直交する軸(紙面に対し垂直な方向の軸)をZ軸とした場合、掘削ヘッド112のX軸廻りの傾き(以下傾斜角と称する。)を検出する傾斜計141a、または/および、Z軸廻りの傾き(以下方位角と称する。)を検出する方位角計141bにより構成される。なお、傾斜計141aの検出した傾斜角に対応した信号(以下傾斜角信号と称する。)θ、または方位角計141bの検出した方位角に対応した信号(以下方位角信号と称する。)αは、ロッドユニット111の内部を挿通した信号線により有線で送信してもよいが、例えば、磁界発生手段132の発信する磁界に検出信号を重畳し、検出信号を無線で送信可能とすれば装置構成が簡素になり好ましい。
【0017】
推進量計測手段142は、推進機12に組込まれ、掘削ヘッド112を推進する際のロッドユニット111の推進量を計測し、推進量に対応した信号(以下推進量信号と称する。)Sを送信するものである。推進量計測手段141としては、例えばワイヤ式変位センサなど周知の計測装置を用いることができる。
【0018】
第1演算ユニット143は、姿勢検出手段141と推進量計測手段142に電気的に接続され、それらから送信された前記姿勢信号O(傾斜角信号θ、方位角信号α)および推進信号Sが入力され、それら信号O、Sに基づいて、所定のポイント(掘削開始点)に対する掘削ヘッド112の相対的な位置と所定の軸に対する姿勢を求めるものであり、傾斜角信号θ、変位角信号αおよび推進信号Sに基づいて掘削ヘッド112のZ軸方向の相対位置を演算する手段(以下上下方向変位量演算部と称する。)143aと、傾斜角信号θ、変位角信号αおよび推進量信号Sに基づいて掘削ヘッド112のX軸方向の相対位置を演算する手段(以下左右方向変位量演算部と称する。)143bと、傾斜角信号θおよび推進信号Sに基づいて掘削ヘッド112のY軸方向の相対位置を演算する手段(以下前後方向変位量演算部と称する。)143cとを備えている。
【0019】
[制御部]
制御部15は、第2の位置演算部13および第1の位置演算部14と電気的に接続され、まず、第1の位置演算部14で算出された掘削ヘッド112の相対位置と姿勢に基づいて掘削ヘッド112を誘導指示し、その後前記第1の位置演算部14から切り換えられ、第2の位置演算部13で算出された掘削ヘッド112の相対位置と姿勢に基づいて掘削ヘッド112を誘導指示するものであり、推進機12によるロッドユニット111の推進と回転を制御して掘削ヘッド112を誘導指示する誘導指示部153と、掘削に関する情報を入力する入力手段(キーボード、テンキー、マウスなど)151と、前記入力情報や掘削状況に関する情報を表示する表示手段(いわゆるディスプレイ装置)152を有している。
【0020】
なお、第2演算ユニット133、第1演算ユニット143および制御部15には、マイクロコンピュータシステムを基本とするハードウェア構成を採用しており、マイクロコンピュータとそれに所定の機能を実行させるための実行プログラムから構成されている。各々の実行プログラムはマイクロコンピュータ内の記憶装置に格納されており、実用に供される一般的なハードウェア構成を採用している。
【0021】
上記構成の第2の位置演算部13によれば、磁界発信手段132にから発信された磁界Wにより磁界受信手段131(3軸コイルユニット131a、131b)に誘起した電圧信号を例えば前記特許文献3および4に記載された方法により処理し掘削ヘッド112の相対位置と姿勢を求め、その求められた相対位置と姿勢により掘削体11を誘導指示することができる。
【0022】
さらに、上記構成の第1の位置演算部14によれば、姿勢検出手段141で検出した掘削ヘッド121の姿勢信号O(傾斜角信号θ、方位角信号α)と、推進量計測手段142で計測した掘削ヘッド121の推進信号Sに基づいて掘削体11の相対位置と姿勢求め、その求められた相対位置と姿勢により掘削体11を誘導指示することができる。したがって、磁界受信手段131の検出可能領域の外に掘削ヘッド112がある場合には、第1の位置演算部14により掘削ヘッド112を検出可能領域に誘導指示し、掘削ヘッド112が検出可能領域に進入した後には、第2の位置演算部13により掘削ヘッド112を目標地点へ誘導指示することが可能となる。ここで、検出可能領域とは、前記磁界発信手段132から発信された磁界Wにより磁界受信手段131で誘起される電圧信号が、前記演算ユニット133において所定の精度で掘削ヘッド112の相対位置を算出するために必要なレベル以上となる領域である。以下、第1の位置演算部14おいてなされる掘削ヘッド121の相対位置の算出方法について詳述する。
【0023】
左右方向変位量算出部143bは、入力された今回の傾斜角信号θ、方位角信号α、推進量信号Sに基づいて、下記数1で(1)〜(7)で示す数式を解き、今回のX軸方向の変位量(以下左右方向変位量と称する)xを求め、前回求められたX軸方向の相対位置に前記左右方向変位量xを加算して、掘削ヘッド112のX軸方向の現在の相対位置を求めるものである。なお、以下の式において添字iは今回の値、i−1は前回の値であることを示している。
【0024】
【数1】
Figure 2004346585
【0025】
上下方向変位量算出部143aは、入力された傾斜角信号θ、方位角信号α、推進量信号Sに基づいて、下記数2で(1)〜(6)示される数式を解き、今回のZ軸方向の変位量(以下上下方向変位量と称する)zを求め、前回求められたZ軸方向の相対位置に前記上下方向変位量zを加算して、掘削ヘッド112のZ軸方向の現在の相対位置を求めるものである。
【0026】
【数2】
Figure 2004346585
【0027】
前後方向変位量算出部143cは、入力された傾斜角信号θ、方位角信号α、推進量信号Sに基づいて、下記数3で(1)〜(6)で示される数式を解き、今回のY軸方向の変位量(以下前後方向変位量と称する)yを求め、前回求められたY軸方向の相対位置に前記前後方向変位量yを加算して、掘削ヘッド112のY軸方向の現在の相対位置を求めるものである。
【0028】
【数3】
Figure 2004346585
【0029】
なお、掘削ヘッド112のX軸方向の位置変動が無視できる場合には、数2および3の(1)、(4)式においてα=α0とした2次元モデル式で前後方向変位量yおよび上下方向変位量zを演算し、掘削ヘッド112の相対位置を簡易的に求めるようにしてもよい。
【0030】
【実施例】
上記掘削装置1により、図2に示すように、道路など地表面4の下に埋設されているJIS−150Aのサイズの本支管31に一端が接続され、他端が需要家側に引き込まれるメータ縦管33に接続されるJIS−50Aのサイズの供給管32を敷設する地中孔41を非開削で掘削する場合を例に、本発明の掘削工法について図1、3、4および6を参照し説明する。
【0031】
図4に示すように、供給管32が接続される本支管31の側面を目標地点Bとし、地中孔41の掘削を開始する需要家側の地点を掘削開始点Aとする。なお、掘削作業エリアには、図1において定義した(X,Y,Z)座標系に対応する、紙面において水平な方向のY軸と、Y軸に対し直交するとともに紙面おいて鉛直な方向のZ軸と、紙面に対して垂直な方向でX,Y軸にともに直交するX軸からなる(X,Y,Z)座標系が設定される。
【0032】
掘削の準備のため、掘削開始点Aの近傍に推進機12を設置するとともに、磁界受信手段131を目標地点Bあるいはその近傍に配設した。本実施例の磁界受信手段131は、図3に示すように、一対の3軸コイルユニット131a,131bが所定距離L隔てて連結部材134で固定されており、3軸コイルユニット131a,131bには、その中心部が本支管31内の軸心に略一致して移動できるとともに、軸心廻りに回転できる転動体が取付けられたものである。その磁界受信手段131の本支管31への出し入れのため、磁界受信手段131には屈曲性を有しかつ座屈及び捩り剛性の大きいセット部材、例えば炭素繊維製ワイヤ135が接続した。
【0033】
なお、磁界受信手段131の配置方法は、上記説明に限定されることなく、例えば図6に示すように、磁界受信手段131を、本支管31に達するように開けた立抗42を通して本支管31の外周上面に接して配置してもよい。このように磁界受信手段131を配置すれば、磁界受信手段131を本支管31に装入できるような場所が供給管接続箇所から遠い場合や、本支管31が複雑に屈曲しているような場合でも容易に磁界受信手段131を設置できるので望ましい。
【0034】
制御部15に、掘削に関する情報を入力した。掘削に関する情報としては、図4に示すように、(Y−Z)平面(すなわち地面4に対する鉛直面)に関する情報として、推進開始点Aから見た目標地点Bまでの水平距離D1および深さD2と、掘削開始点Aから目標地点Bに至る推進計画線Qと、磁界受信手段131の検出可能領域Cの情報(大きさや形状)と、(X−Y)平面(すなわち地面4に対する水平面)に関する情報として推進開始点Aから見た目標地点Bの方位角α0などが例示される。本実施例における前記水平距離D1は5mであり、深さD2は1.5mであった。なお、必要に応じ、例えば地中の推進経路に障害物5がある場合には、推進開始点Aから障害物5までの水平距離H1と深さH2などを入力してもよい。本実施例における前記推進計画線Qは、図に示すように、掘削開始点Aから中間点に至る曲率半径F(2m)の屈曲部と、前記中間点から目標地点Bに至る水平部を有していた。なお、入力された情報は、表示手段152に表示される。
【0035】
検出可能領域Cの情報(大きさ、形状)は、磁界発信手段132から発信可能な磁界Wの大きさ、磁界受信手段131の受信性能および演算ユニット133の増幅能力により定まるものである。例えば、出力が0.1(w)で磁界Wを発信可能な磁界発信手段132と、辺長30mmの立方体の外周に互い直交するように細線を各500回巻いた磁界受信手段131(3軸コイルユニット131a,131b)と、磁界受信手段131で誘起した電圧信号を総合利得が約5000倍で増幅可能な演算ユニット133との組合わせによる場合、本実施例における150Aの本支管31に50Aの供給管32を接続するための精度(±10mm)で掘削ヘッド112の相対位置を計測できるのは、磁界受信手段131の周囲3m程度の範囲となった。
【0036】
上記のようにして掘削の準備が終了したのち、まず、掘削開始点Aから検出可能領域Cに至る区間(以下第1区間と称する。)Kにおいて、第1の位置演算部14により算出された掘削ヘッド112の相対位置と姿勢に基づいて掘削ヘッド112を誘導指示し、掘削ヘッド112を検出可能領域Cに到達させた。なお、以下の説明では、傾斜角信号θ、方位角信号αおよび推進量信号Sに基づき掘削ヘッド112のY,Z軸方向の相対位置を上記数2、3で求め、(Y−Z)平面において掘削ヘッド112を誘導指示する場合を説明するが、(X−Y)平面においても基本的には同様に掘削ヘッド112を誘導指示することができる。
【0037】
掘削体11を推進機12に装着し、ロッドユニット111を押出し、掘削開始点Aから掘削ヘッド112を地中へ推進させた。ロッドユニット111は推進機12の往復動により押出されるため、図に示すように、掘削ヘッド112は、所定の推進区分k1、k2、…の順に推進される。
【0038】
第1の位置演算部14は、掘削ヘッド112が最初の推進区分k1を推進されると、傾斜角計141aと方位角計141bで検出された傾斜角信号θと方位角信号αを演算ユニット143の上下方向変位量演算部143bに入力し、掘削開始点Aに対するZ軸方向における掘削ヘッド112の相対位置zを上下方向変位量演算部143bで上記数2に基づいて算出する。それとともに、第1の位置演算部14は、傾斜角信号θと方位角信号αを演算ユニット143の前後方向変位量演算部143cに入力し、掘削開始点Aに対するY軸方向における掘削ヘッド112の相対位置yを該前後方向変位量演算部143bで上記数3に基づいて算出する。
【0039】
制御部15は、第1の位置演算部14で算出された掘削ヘッド112の相対位置y、zと傾斜角信号θと方位角信号αが入力され、例えば、予め設定した推進計画線Qと対比できるように掘削ヘッド112の相対位置と姿勢を表示手段152に表示し、掘削ヘッド112が推進計画線Qに沿うように誘導指示手段153で誘導指示させる。
【0040】
誘導指示により次の推進区分k2を掘削ヘッド112が推進されると、第1の位置演算部14は、上記と同様に、掘削ヘッド112の相対位置y、zを算出し、制御部15は、掘削ヘッド112を誘導指示させる。以上の動作を第1区間Kで繰返すことにより、掘削ヘッド112は、検出可能領域Cへ到達した。なお、掘削体11は、表示手段152の表示を確認しながら人手で誘導指示してもよいし、推進計画線Qに対する掘削体11のズレを自動的に算出し、そのズレを自動的に補正するように誘導指示してもよい。さらに、掘削体11の相対位置は、例えば制御部15に任意に設定した所定の間隔ごとに算出してもよく、その間隔を短くすれば、掘削体11の相対位置を連続的に確認することができ、掘削体11をより精度良く誘導指示できるので好ましい。
【0041】
次に、検出可能領域Cの内側の区間(以下第2区間と称する。)L、具体的には掘削ヘッド112が到達した検出可能領域Cの外縁から目標地点Bに至る区間において、第2の位置演算部13で算出された掘削ヘッド112の相対位置と姿勢に基づいて掘削ヘッド112を誘導指示し、該掘削ヘッド112を目標地点Bに到達させた。なお、前記第1の位置演算部14から第2の位置演算部13への切替えは、表示手段152の表示を確認し人手で行ってもよいし、予め入力した検出可能領域Cの情報と算出された相対位置y、zにより自動的に切り替わるようにしてもよい。
【0042】
第2の位置演算部13は、特許文献3または4に記載されるように、磁界発信手段132が発信した磁界Wを3軸コイルユニット131a,bが受信し、誘起された3軸方向の電圧に基づいて掘削ヘッド112の相対位置と姿勢を算出し、その相対位置と姿勢を制御部15に入力する。
【0043】
制御部15は、第2の位置演算部13で算出された掘削ヘッド112の相対位置と姿勢が入力され、例えば、予め設定した推進計画線Qと対比できるように相対位置と姿勢を表示手段152に表示し、掘削ヘッド112が推進計画線Qに沿うように誘導指示手段153で誘導指示させる。本実施例において、掘削ヘッド11は、計画推進線Qから大きく外れることなく第1区間Kを掘削して検出可能領域Cに到達し、さらに第2区間Lを掘削し±10mmの精度で目標地点Bに到達でき、所望の地中孔41を形成することができた。
【0044】
【発明の効果】
本発明の掘削工法によれば、掘削開始点から磁界受信手段の検出可能領域に至る区間では、掘削体の推進量と姿勢を計測し、計測された推進量と姿勢により掘削体の相対位置を算出し、相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い検出可能領域へ誘導指示するので、磁界受信手段による磁界の検出精度に係らず掘削体を検出可能領域まで誘導指示することができ、検出可能領域に到達した後、前記検出可能領域の内側の区間では、前記磁界受信手段で受信された前記磁界により前記掘削体の相対位置及び姿勢を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い目標地点まで掘削体を誘導指示することができ、推進計画線に沿った所望の地中孔を精度良く形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の掘削装置の概略構成図であるとともに、該掘削装置における信号の送受関係を示すブロック図である。
【図2】図1の要部拡大図であり、掘削装置の掘削体先端部の詳細を説明する図である。
【図3】図1の要部拡大図であり、磁界受信手段と掘削体先端部の関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例を説明する模式図である。
【図5】図4の実施例により非開削で本支管に供給管を接続した状態を説明する模式図である。
【図6】図1の磁界受信手段の設置方法の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1:掘削装置、11:掘削体、12:推進機、13:第1の位置演算手段
14:第2の位置演算手段、15:制御部
31:本支管、32:供給管、33:メータ縦管
4:地表面、41:地中孔

Claims (2)

  1. 磁界を発生する磁界発信手段を具備するとともに、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体と、目標地点またはその近傍に配設され、前記磁界発信手段から発信された磁界を受信する磁界受信手段とを用い地中を掘削する工法であって、掘削開始点から前記磁界受信手段の検出可能領域に至る区間では、前記掘削体の推進量と姿勢を計測し、計測された推進量と姿勢により前記掘削体の相対位置を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い検出可能領域へ誘導指示し、前記検出可能領域の内側の区間では、前記磁界受信手段で受信された前記磁界により前記掘削体の相対位置及び姿勢を算出し、前記相対位置と前記姿勢に基づいて前記掘削体を推進計画線に沿い誘導指示することを特徴とする掘削工法。
  2. 磁界を発生する磁界発信手段を具備するとともに、地中を屈曲自在に推進可能な掘削体と、目標地点またはその近傍に配設され、前記磁界発信手段から発信された磁界を受信する磁界受信手段とを用い地中を掘削する装置であって、前記掘削体の推進量を計測する推進量計測手段と、前記掘削体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記推進量計測手段から入力された推進量信号と前記姿勢検出手段から入力された姿勢信号に基づいて前記掘削体の相対位置を算出する第1演算ユニットとを備えた第1の位置演算部と、前記磁界受信手段で受信された磁界に基づいて前記掘削体の相対位置を算出する第2演算ユニットとを備え、前記第1の位置演算部と切換可能になされた第2の位置演算部とを有することを特徴とする掘削装置。
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JP2011168994A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Yasuda Engineering Kk 推進シールド工法におけるシールド掘進機の掘進方向制御装置

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