JP3553716B2 - 中折シールド掘進機用姿勢制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルの掘削などに用い、中折れ機構を有するシールド掘進機が計画掘削線に沿って掘進する制御を行うための中折シールド掘進機用姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシールド掘進機では、予め設定された計画掘削線に沿って、掘進する制御が行われている。この制御では、シールド掘進機の制御装置に予め計画掘削線の座標を示す計画掘削線データを記憶しておき、シールド掘進機の現在の掘進距離の地点での基準の掘進方向を求めている。そして、ジャイロコンパスなどでシールド掘進機の姿勢角を検出し、基準の掘進方向とシールド掘進機の姿勢角との誤差が最小となるように、逐次掘進方向を修正して、その掘進を行っている。
【0003】
この掘進制御にあって計画掘削線が曲がっている場合は、シールド掘進機における、ある地点での計画掘削線の接線方向を基準の掘進方向と決定し、この接線方向にシールド掘進機の姿勢を合致させるように姿勢制御を行っている。又は、シールド掘進機の所定の2ケ所の理想移動地点の座標を計画掘削線データから求め、これらの2ケ所の理想移動地点を結ぶ方向を基準の掘進方向と決定し、この方向にシールド掘進機の姿勢を合致させるように姿勢制御を行っている。
【0004】
図9は従来のシールド掘進機の姿勢制御装置の構成を示すブロック図であり、図10は、図9の姿勢制御装置が基準の掘進方向を、単曲線である計画掘削線の接線として求める制御を説明するための図である。図9及び図10において、この例は、姿勢角計測部1からシールド掘進機姿勢角データを掘進方向決定部2に送出する。また、掘進距離計測部3が送出する掘進距離データが接線方向演算部4に入力される。この接線方向演算部4には計画掘削線データ部5からの計画掘削線データが入力されて、ここから基準の掘進方向を単曲線である計画掘削線の接線として求めた基準掘進方向データを掘進方向決定部2に出力し、掘進方向決定部2でシールド掘進機姿勢角データと基準掘進方向データより求めた掘進方向のデータを掘進機駆動系に出力している。
【0005】
図11は従来のシールド掘進機の姿勢制御装置の他の構成例を示すブロック図であり、図12は、計画掘削線が直線から単曲線に変化する際の基準の掘進方向を説明するための図である。図11及び図12において、姿勢角計測部1からシールド掘進機姿勢角データを掘進方向決定部2に送出する。掘進距離計測部3が送出する掘進距離データが理想掘進方向演算部7に入力される。この理想掘進方向演算部7には計画掘削線データ部5からの計画掘削線データ及びシールド掘進機データ部16からのシールド掘進機の機長データが入力される。
【0006】
理想掘進方向演算部7が演算した基準掘進方向データを掘進方向決定部2に出力し、掘進方向決定部2でシールド掘進機姿勢角データと計画掘削線が直線から単曲線に変化するB.C.点の付近で、シールド掘進機の先端中央のA点と後端中央のB点の2点が計画掘削線上を理想的に移動する場合の、B点からA点に向かう方向として求めた基準掘進方向データとから求めた掘進方向データを掘進機駆動系に出力している。
【0007】
図13は中折れ機構を有するシールド掘進機の掘進を説明するための図である。この図13の例の姿勢制御では、ジャイロコンパスなどの姿勢角検出センサをシールド掘進機の前胴に設置している。姿勢角検出センサが検出した姿勢角に基づいて、前胴の、ある地点での計画掘削線の接線方向を基準の掘進方向として姿勢制御を行っている。
【0008】
図14は中折れ機構を有するシールド掘進機の他の掘進例を説明するための図である。この図14において、この例の姿勢制御では、シールド掘進機の前胴の2ケ所、例えば、前胴の先端中央のA点と前胴の後端中央のC点の2点が計画掘削線上を移動するのを理想的とする、そのC点からA点へ向かう方向を基準の掘進方向とした姿勢制御を行っている。
【0009】
なお、図9、図11に示したシールド掘進機には、人による操作や自動制御で、その掘進を行うものがある。人による操作では、表示された姿勢角と基準の掘進方向とから掘進方向を人が決定し、そのシールド掘進機の掘進機駆動系を操作している。また、自動制御の場合は掘進方向の決定及びシールド掘進機の掘進を自動的に行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のシールド掘進機の制御装置にあっては、中折れ機構を有しない場合、基準の掘進方向を決定できるが、中折れ機構を有するシールド掘進機では、基準の掘進方向を前胴の座標だけから求めているため、シールド掘進機が中折れすると、その基準の掘進方向に前胴の姿勢角を合致するように姿勢制御を行っても、計画掘削線に沿って掘進できない。
【0011】
図15は従来の問題点を説明するための図であり、図16は従来の他の問題点を説明するための図である。ここでは実際の計画掘削線は三次元であるが、水平面上に投影した図をもって説明する。図15は、シールド掘進機が中折角θで中折れして、半径Rの単曲線である計画掘削線上を掘進した状態である。一般的に曲線上を掘進する場合、シールド掘進機が、その方向変化を容易にできるように、シールド掘進機に備える余掘り用カッタによって、余掘りを行っている。図15中ではカーブの内側に余掘量δだけ余掘りしている。
【0012】
また、点線で示した曲線は、実際にシールド掘進機のカッタと余掘り装置が掘削してきた跡であり、外側掘削線と内側掘削線に挟まれた空間が掘削されている。そして、中折れ角θと余掘量δを一定に保ったまま、シールド掘進機の先端の最も端のD点まで掘削してきた外側掘削線上をシールド掘進機の後端の最も端のE点が通るように姿勢制御を行えば、計画掘削線に沿ってシールド掘進機が掘削できることになる。
【0013】
この場合、実際の理想的な前胴の姿勢角は図15に示すシールド掘進機の前胴の姿勢角そのものであり、C点からA点に向かう方向となるが、この方向は先端中央a点と前胴の後端中央C点の2カ所から求めた基準の掘進方向となるC点からa点へ向かう方向とは角度εだけ異なっている。
図16において、図15に示す状態で中折角θを一定に保持したままシールド掘進機が距離ΔLだけ掘進したときに、シールド掘進機前胴の姿勢角を基準の掘進方向に合致させようとすると、図16中に示すように、それまで計画掘削線に沿って掘進してきたものが、計画掘削線よりカーブの内側(図16における掘進方向左側)にずれてしまう。
【0014】
本発明は、このような従来の技術における欠点を解決するものであり、中折れ機構を有するシールド掘進機が計画掘削線に沿って掘進できると共に、最初に設定した計画掘削線からずれた場合に、その修正ができ、正確かつ確実な掘進が可能になる中折シールド掘進機用姿勢制御装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置は、姿勢角計測部が中折シールド掘進機の姿勢角度を計測し、中折角計測部が中折シールド掘進機の前胴と後胴との中折れ角度を計測する。また、記憶するデータ部が中折シールド掘進機の前胴と後胴の機長及び外径の中折シールド掘進機データを予め記憶している。さらに、進行方向演算部が姿勢角度及び中折れ角度のデータ及び中折シールド掘進機データとから進行方向を演算した進行方向データを送出する。掘進距離計測部が掘進距離を計測し、計画掘削線データ部が計画掘削線データを予め格納している。また、理想掘進方向演算部が計画掘削線データ、掘進距離データ及び中折シールド掘進機データから前胴の先端中央点と後胴の後端中央の点の2ケ所が計画掘削線を移動するのを理想とした基準の掘進方向を演算した基準掘進方向データを送出し、掘進方向決定部がこの進行方向データと基準掘進方向データが合致するように姿勢制御データを決定して送出する。
【0016】
また、修正計画線データ部を設け、中折シールド掘進機の位置の計画掘削線からのずれを修正するために修正計画掘削線が設定してある場合は、修正計画掘削線データ部からの修正計画掘削線上を前胴の先端中央点と後胴の後端中央の点の2ケ所が移動するのを理想として基準の掘進方向としている。
さらに、進行方向演算部からの進行方向データと、理想掘進方向演算部からの基準掘進方向データを表示する表示手段を設け、この表示手段の表示データに基づいて人が掘進方向を決定し中折シールド掘進機を操作する、又は進行方向演算部からの進行方向データと理想掘進方向演算部からの基準掘進方向データが合致するように決定した掘進方向決定部からの姿勢制御のデータを、中折シールド掘進機を自動掘進する掘進機駆動系に供給している。
【0017】
さらに、姿勢角度、中折れ角度、中折シールド掘進機データ、計画掘削線データを入力する入力手段と、処理データを表示する表示手段とを設け、この中折シールド掘進機用姿勢制御装置を、入力手段で設定した計画掘削線上を中折シールド掘進機が掘進するシミュレーション装置として用いている。
このような本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置は、中折シールド掘進機の前胴の先端中央点と後胴の後端中央の2点が計画掘削線上を移動するのを理想として基準の掘進方向を求めている。さらに、後端の最も外側点から先端の最も外側点に向かう方向を前胴の姿勢角、中折れ角、前胴と後胴の機長及びの外径から求め、この値を進行方向とし、両者の値が合致するように決定した姿勢制御データを得ている。そして、姿勢制御データを表示し、この姿勢制御データなどに基づいて人が中折れシールド掘進機を操作している。又は、姿勢制御データを中折シールド掘進機を自動掘進する掘進機駆動系に供給している。これによって、中折シールド掘進機が手動及び自動共に計画掘削線に沿って正確かつ確実に掘進するようになる。
【0018】
また、計画掘削線から掘進がずれた場合に、修正計画線データ部からの修正計画掘削線を基準の掘進方向としているので、最初に設定した計画掘削線からずれた場合に、その修正が可能となり、より正確な掘進が行われる。
さらに、水平面及び鉛直面の姿勢制御データを送出しており、三次元の掘進が正確かつ確実に行われる。
【0019】
また、入力手段からの計画掘削線上を設定し、かつ、その処理データを表示して、シミュレーションが行われる。したがって、実際の掘進を行う前に中折シールド掘進機の姿勢制御が確認できることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置の第1実施例の構成を示すブロック図である。図1において、この例は、中折れシールド掘進機の姿勢角度を計測する姿勢角計測部11と、シールド掘進機の前胴と後胴との中折れ角度を計測する中折角計測部12と、姿勢角計測部11からの姿勢角度及び中折角計測部12からの中折れ角度のデータ及びシールド掘進機データとからシールド掘進機の進行方向を演算したシールド掘進機進行方向データを送出するシールド掘進機進行方向演算部13とが設けられている。
【0021】
また、掘進距離を計測する掘進距離計測部14と、計画掘削線のデータを予め格納した計画掘削線データ部15と、シールド掘進機全体の機長及び前胴、後胴の機長及び外径データを予め記憶したシールド掘進機データ部16とを有している。さらに、計画掘削線データ部15からの計画掘削線のデータと掘進距離計測部14からの掘進距離データ及びシールド掘進機データ部16からのシールド掘進機データから、前胴の先端中央点と後胴の後端中央の点の2ケ所が計画掘削線を移動するのを理想とした基準の掘進方向を演算する理想掘進方向演算部17とが設けられている。
【0022】
また、シールド掘進機進行方向演算部13からのシールド掘進機進行方向と理想掘進方向演算部17からの基準の掘進方向とが合致するように決定した姿勢制御データを送出する掘進方向決定部18と、掘進方向決定部18からの姿勢制御データで掘進機を駆動する掘進機駆動系19とを有している。
なお、シールド掘進機進行方向演算部13からのシールド掘進機進行方向と、理想掘進方向演算部17からの基準掘進方向データを、それぞれ表示し、この表示から人によって、その掘進方向を決定して、シールド掘進機を操作するようにしても良い。また、掘進方向の決定及び、その掘進機の操作を自動で行うようにしても良い。
【0023】
次に、この第1実施例の動作について説明する。
図2は理想掘進方向演算部17での基準の掘進方向の演算を説明するための図である。図2において、ここでは前胴の先端中央のA点と、後胴の後端中央のB点の2ケ所が計画掘削線上を移動するのを理想とし、B点からA点に向かう方向を基準の掘進方向としている。なお、実際の計画掘削線は三次元であるが、ここでは水平面に投影した図をもって説明する。
【0024】
図3は計画掘削線が単曲線の場合に実際の掘進方向を説明するための図である。図3において、図中の斜線部分は地山を示している。一般的にシールド掘進機はカッタ及び余掘り装置によって掘削された空間を、シールド掘進機の先端の最も端のD点と、シールド掘進機の後端の最も端のE点が地山に接するようにして掘進する。すなわち、図3に示した地点でのシールド掘進機の進行方向はE点からD点に向かう方向である。このシールド掘進機の進行方向と先に求めた基準の掘進方向とが合致する平行状態を保ちながら、A点とB点を半径Rの単曲線上を進み、D点及びE点は半径Roの単曲線上を進むことになり、かつ、その二つの円弧は同一の中心を有することになるため、シールド掘進機が計画掘削線上に沿って掘進することになる。
【0025】
以下、図1の構成による実際の掘進における姿勢制御について説明する。図4はシールド掘進機の位置が計画掘削線より右側にずれている場合を説明するための図である。図4において、ここではシールド掘進機の前胴と後胴の機長が同一とする。シールド掘進機が計画掘削線上の、どの掘進距離の点にいるかは、掘進距離計測部14によって決定する。基準の掘進方向は、理想掘進方向演算部17により、シールド掘進機の先端中央のA点から計画掘削線上に下ろした垂線の足をF点、後端中央のB点から計画掘削線上に下ろした垂線の足をG点としたとき、このG点からF点に向かう方向を基準の掘進方向RAとする。
【0026】
また、この地点でのシールド掘進機の進行方向MAは、シールド掘進機の先端の最も端のD点と、シールド掘進機の後端の最も端のE点がカーブの外側の地山に接するようにして掘進することから、E点からD点へ向かう方向となる。なお、この場合、E点からD点へ向かう方向はB点からA点に向かう方向と同一である。
【0027】
一方、シールド掘進機には、前胴の姿勢角αを姿勢角計測部11で計測し、中折れ角θを中折角計測部12で計測している。この場合のシールド掘進機の進行方向MA(シールド掘進機進行方向データ)は姿勢角αと中折れ角θからシールド掘進機進行方向演算部13が次式(1)で求めている。
【0028】
【数1】
【0029】
(1)式で求めた進行方向MA(シールド掘進機進行方向データ)は、基準の進行方向RAより角度ΔAだけずれていることになる。この角度ΔAは次式(2)で表される。
ΔA=MA−RA …(2)
中折れ機構を有するシールド掘進機を計画掘削線に沿って掘進させるためには、シールド掘進機の前胴の姿勢角αと中折れ角θから求めたシールド掘進機の進行方向MAと、基準の掘進方向RAが合致するように掘進方向決定部18で決定し、(2)式でのずれ角ΔAが零になるように掘進機駆動系19が、その姿勢制御を行う。
【0030】
また、(1)式では、前胴の機長と後胴の機長が同一の長さの場合を示したが、前胴の機長と後胴の機長が異なる場合でも、それぞれの機長とシールド掘進機の外径が既知であれば、シールド掘進機の地点での進行方向MAは、シールド掘進機の後端の最も端のE点からシールド掘進機の先端の最も端のD点へ向かう方向をシールド掘進機の前胴の姿勢角αと中折れ角θより幾何学的に求めることが出来る。なお、中折れ角θが小さく、前胴の機長と後胴の機長の差が大きくない場合、シールド掘進機の進行方向は次式(3)で近似することが出来る。
【0031】
【数2】
【0032】
図5は曲線の外側を余掘りしている状態を説明するための図、図6はブロック図である。図6において、この例は図1に示した構成における姿勢角計測部11、中折角計測部12と共に、新たに余掘り量計測部21が設けられている。図5に示すように曲線の外側を余掘りしている場合は、基準の掘進方向の求めかたは同一でよいが、シールド掘進機は、その先端の余掘りしている空間の最も端のDa点と、シールド掘進機の後端の最も端のE点が地山に接するようにして掘進するので、図5中の地点でのシールド掘進機の進行方向は図5のE点からDa点に向かう方向とし、その姿勢制御を行えば良い。
【0033】
図7は第2実施例の構成を示すブロック図である。図7において、この例は図1に示した構成における計画掘削線データ部15と共に、計画掘削線からずれた場合に修正を行うための新たな修正計画掘削線データ部20が設けられている。その他の構成は同様である。
次に、この第2実施例の動作について説明する。
【0034】
前記の第1実施例ではシールド掘進機が計画掘削線に沿って掘進させる場合を説明しているが、この第2実施例ではシールド掘進機が計画掘削線からずれた場合に、その修正を行うようにしている。
図8は、このシールド掘進機が計画掘削線からずれた場合の修正を説明するための図である。図8において、まず、修正計画掘削線データ部20からの修正計画掘削線のデータを設定する。そして、修正計画掘削線上を前胴の先端中央の点と、後胴の後端中央の点の2ケ所が移動するのを理想とした基準の掘進方向を求め、その基準の掘進方向にシールド掘進機の進行方向が合致するようにシールド掘進機の姿勢制御を行うことによって、最初に設定した計画掘削線からずれてしまった場合のずれを修正するように姿勢制御を行うことが出来るようになる。
【0035】
なお、この第1及び第2の実施例では、シールド掘進機の姿勢制御装置として説明したが、シミュレーション装置としても利用可能である。すなわち、図1、図6及び図7の構成に入力操作部を設け、この入力操作部からシールド掘進機の進行方向は前胴、後胴の機長、掘進距離、姿勢角α及び中折れ角θを入力することによって求めることが出来るため、実際に掘進する前に掘進方向のシミュレーションを行うことが出来るようになる。
【0036】
また、この第1及び第2に実施例では、一つの中折れ機構を有する場合について説明したが、複数の中折れ機構を有する場合も、同様に計画掘削線上を掘進することが出来る。この場合、まず、最も先端の中央点と最も後端の中央点の2ケ所が計画掘削線上を移動するのを理想とする基準の掘進方向を求める。そしてシールド掘進機進行方向演算部13がシールド掘進機の姿勢角、複数の中折れ角及びシールド掘進機データから、シールド掘進機の進行方向を求める。このシールド掘進機の進行方向と基準の掘進方向を合致させるように姿勢制御を行うことによって、複数の中折れ機構を有するシールド掘進機を計画掘削線上を掘進させることが出来るようになる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置によれば、中折シールド掘進機の前胴の先端中央点と後胴の後端中央の2点が計画掘削線上を移動するのを理想とする基準の掘進方向を求め、さらに、後端の最も外側点から先端の最も外側点に向かう方向を前胴の姿勢角、中折れ角、前胴と後胴の機長及び外径から中折シールド掘進機の進行方向を求めている。基準の掘進方向とシールド掘進機の進行方向の値が合致するように決定した姿勢制御データを得ているため、中折シールド掘進機が手動及び自動共に計画掘削線に沿って正確かつ確実に掘進できるようになる。
【0038】
また、計画掘削線から掘進がずれた場合に、修正計画掘削線データ部からの修正計画掘削線より基準の掘進方向を求めることができるため、最初に設定した計画掘削線からずれた場合に、その修正が可能となり、より正確な掘進が出来るようになる。さらに、水平面及び鉛直面の姿勢制御データを送出しており、三次元の掘進が正確かつ確実に出来るようになる。また、入力手段からの計画掘削線上を設定し、かつ、その処理データを表示して、シミュレーションが可能なため、実際の掘進を行う前に中折シールド掘進機の姿勢制御が確認できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中折シールド掘進機用姿勢制御装置の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す理想掘進方向演算部における基準の掘進方向の演算を説明するための図である。
【図3】第1実施例にあって計画掘削線が単曲線の場合に実際の掘進方向を説明するための図である。
【図4】第1実施例にあってシールド掘進機の位置が計画掘削線より右側にずれた場合を説明するための図である。
【図5】第1実施例にあって曲線の外側を余掘りしている状態を説明するための図である。
【図6】第1実施例にあって曲線の外側を余掘りする場合の中折シールド掘進機の姿勢制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施例にあって中折シールド掘進機が計画掘削線からずれた場合の修正を説明するための図である。
【図9】従来のシールド掘進機の姿勢制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来例にあって姿勢制御装置が基準の掘進方向を単曲線である計画掘削線の接線として求める制御を説明するための図である。
【図11】従来のシールド掘進機の姿勢制御装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図12】従来例にあって計画掘削線が直線から単曲線に変化する際の基準の掘進方向を説明するための図である。
【図13】従来例にあって中折れ機構を有するシールド掘進機の掘進を説明するための図である。
【図14】従来例にあって中折れ機構を有するシールド掘進機の他の掘進例を説明するための図である。
【図15】従来の問題点を説明するための図である。
【図16】従来の他の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
11:姿勢角計測部
12:中折角計測部
13:シールド掘進機進行方向演算部
14:掘進距離計測部
15:計画掘削線データ部
16:シールド掘進機データ部
17:理想掘進方向演算部
18:掘進方向決定部
19:掘進機駆動系
20:修正計画掘削線データ部
21:余掘り量計測部
Claims (4)
- 中折シールド掘進機の姿勢角度を計測する姿勢角計測部と、
中折シールド掘進機の前胴と後胴との中折れ角度を計測する中折角計測部と、
中折シールド掘進機の前胴と後胴の機長及び外径の中折シールド掘進機データを予め記憶するデータ部と、
前記姿勢角度及び前記中折れ角度及び前記中折シールド掘進機データとから進行方向を演算した進行方向データを送出する進行方向演算部と、
掘進距離を計測する掘進距離計測部と、
計画掘削線データを予め格納する計画掘削線データ部と、
前記計画掘削線データ、前記掘進距離データ及び中折シールド掘進機データから前胴の先端中央点と後胴の後端中央の点の2ケ所が計画掘削線上を移動するのを理想とした基準の掘進方向を演算した基準掘進方向データを送出する理想掘進方向演算部を備えることを特徴とする中折シールド掘進機用姿勢制御装置。 - 請求項1記載の中折シールド掘進機用姿勢制御装置に於いて、
修正計画掘削線データ部を設け、中折シールド掘進機の位置の計画掘削線からのずれを修正するために修正計画掘削線を設定し、前記修正計画掘削線データ部からの修正計画掘削線上を前胴の先端中央点と後胴の後端中央の点の2ケ所が移動するのを理想として基準の掘進方向を演算することを特徴とする中折シールド掘進機用姿勢制御装置。 - 請求項1又は2記載の中折シールド掘進機用姿勢制御装置に於いて、
前記進行方向演算部からの進行方向データと、理想掘進方向演算部からの基準掘進方向データを表示する表示手段を設け、この表示手段の表示データに基づいて人が掘進方向を決定し中折シールド掘進機を操作する、又は前記進行方向演算部からの進行方向データと、前記理想掘進方向演算部からの基準掘進方向データが合致するように姿勢制御データを決定して送出する掘進方向決定部を設け、前記掘進方向決定部からの姿勢制御データを、中折シールド掘進機を自動掘進する掘進機駆動系に供給することを特徴とする中折シールド掘進機用姿勢制御装置。 - 請求項1又は2記載の中折シールド掘進機用姿勢制御装置に於いて、
姿勢角度、中折れ角度、中折シールド掘進機データ、計画掘削線データを入力する入力手段と、シールド掘進機進行方向データを表示する表示手段とを設け、この中折シールド掘進機用姿勢制御装置を、前記入力手段で設定した計画掘削線上を中折シールド掘進機が掘進するシミュレーション装置として用いることを特徴とする請求項1又は2記載の中折シールド掘進機用姿勢制御装置。
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