JP2004346464A - 繊維製品用しわ除去剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイロンがけを行わなくても繊維製品のしわを除去することができるしわ除去技術を提供する。
【解決手段】(I)イソステアリル基等とエーテル結合等とを有する化合物、(II)炭素数12〜30の炭化水素基を2つ以上と、ヒドロキシ基と、アミド結合とを有する非イオン性化合物、(III)炭素数8〜20の脂肪酸又はその誘導体とN−アルキルアルカノールアミンとの縮合反応物、並びに(IV)炭素数5〜10の炭化水素基を有するグリセリルエーテルから選ばれる1種以上の化合物を0.01〜2質量%、及び水を含有し、(I)以外の油成分(但しシリコーンオイルは除く)の含有量が0.5質量%未満である繊維製品用しわ除去剤組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維製品用、特には衣料用のしわ除去剤組成物及びしわ除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ワイシャツやポロシャツなどの繊維製品は洗浄/すすぎ/脱水/乾燥を通じて洗濯じわが形成し、特に木綿などのセルロース系繊維を主成分とする繊維製品はアイロンがけを省いては着用できない程度にしわが形成される。また、近年形態安定化加工が施されたワイシャツなどの普及しているが、これらも繰り返し着用/洗濯を繰り返すうちに効果が低下し、アイロンがけを全く省くまでにはいたっていない。しかし、アイロンがけは最も手間のかかる家事の一つであることから、アイロンがけをしなくても着用できる程度に簡単にしわが除去できる方法が熱望されている。
【0003】
特許文献1〜3にはポリカルボン酸を含有する処理剤を繊維に含浸させ、加熱処理する、防しわ効果と防縮効果を有するセルロース繊維の製造方法が開示されている。特許文献4〜8には特定のポリオルガノシロキサン系化合物を用いた繊維処理剤が開示されている。しかしながら、これら技術は工業用に開発されたものであり、一般家庭で簡単にしわ除去する方法については何ら開示するものではない。
【0004】
特許文献9、10にはスプレー処理するアイロンを必要としないしわ取り用水性組成物が開示されている。特許文献11にはポリヒドロキシ脂肪酸アミドなどの非イオン界面活性剤を洗浄成分として用いるしわ形成を抑制する洗浄剤の技術が開示されている。また、本発明者らは特許文献12に家庭用乾燥機を用いるしわ除去方法を開示している。しかしながら、これら技術が対象としている繊維製品はスーツやスラックスなどのウール製品の着用じわであり、これら対象繊維製品にはある程度効果が得られるものの、木綿製品の洗濯じわに関しては満足できる効果を有するものではない。
【0005】
一方、特許文献13には非イオン系両親媒性物質を含有する繊維用仕上剤組成物が開示されている。この技術によればスキンケア効果の高い繊維製品を得ることができるが、しわ除去に関する効果については全く示唆されていない。また、該公報実施例に記載の組成物を用いてもしわ除去効果を示すものではなく、逆に繊維にぬるつきなどの好ましくない感触を付与する。
【0006】
従って本発明の課題は、アイロンがけを必要とせず、一般家庭で簡単に行えるしわ除去方法、及び該効果を付与できるしわ除去剤組成物を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−243176号公報
【特許文献2】
特開平8−27666号公報
【特許文献3】
特開平8−13334号公報
【特許文献4】
特開平7−70937号公報
【特許文献5】
特開平9−228255号公報
【特許文献6】
特開平9−217282号公報
【特許文献7】
特開平10−96173号公報
【特許文献8】
特開平10−195781号公報
【特許文献9】
特開平10−25660号公報
【特許文献10】
特開平10−46471号公報
【特許文献11】
特表2001−526741号公報
【特許文献12】
特開2002−115182号公報
【特許文献13】
特開2001−146680号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(I)〜(IV)から選ばれる1種以上の化合物を0.01〜2質量%、及び水を含有し、(I)以外の油成分(但しシリコーンオイルは除く)の含有量が0.5質量%未満である繊維製品用しわ除去剤組成物に関する。
(I)イソステアリル基、イソステアロイル基、オレイル基、オレオイル基、及びコレステリル基から選ばれる1種以上の基と、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ヒドロキシ基、及びカルボキシ基から選ばれる1種以上の基及び/又は結合とを有する化合物
(II)炭素数12〜30の炭化水素基を2つ以上と、ヒドロキシ基と、アミド結合とを有する非イオン性化合物
(III)炭素数8〜20の脂肪酸又はその誘導体とN−アルキル(炭素数1〜3)アルカノール(炭素数2又は3)アミンとの縮合反応物
(IV)炭素数5〜10の炭化水素基を有するグリセリルエーテル
【0009】
また、本発明は、上記本発明の組成物を対象物に接触させた後、乾燥する繊維製品のしわ除去方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる組成物は、上記(I)〜(IV)から選ばれる1種以上の化合物を0.01〜2質量%、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1.0質量%含有する。以下、(I)〜(IV)の化合物について詳述する。
【0011】
<(I)の化合物>
(I)の化合物としては下記一般式(1)の化合物及び一般式(2)の化合物から選ばれる1種以上が好適である。
【0012】
(R−X (1)
−Y−R (2)
〔式中Rはイソステアリル基、イソステアロイル基、オレイル基、オレオイル基、及びコレステリル基から選ばれる基であり、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を2〜5個有する総炭素数2〜10の化合物X’に由来する基である。nは1〜3の数である。Yは−O−、−N(R)−から選ばれる基であり、Rは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。なお、分子中に複数個Rが存在する場合には、複数個のRは同一でも異なっていてもよい〕
【0013】
X’の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン(平均重合度1〜10)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、メチルグルコシド、サッカロース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタンから選ばれる多価ヒドロキシ化合物、及びコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸(多価ヒドロキシ化合物として扱ってもよい)、クエン酸から選ばれる多価カルボン酸化合物が好ましい。
【0014】
本発明の一般式(1)の化合物は、R−ZとX’との縮合反応により得ることができる。ここでZはRがイソステアロイル基又はオレオイル基の場合にはOH、OR、−Tであり、Rがイソステアリル基、オレイル基、又はコレステリル基の場合にはOHである。Rはメチル基又はエチル基であり、Tはハロゲン原子である。また、RはX’とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシドールから選ばれる化合物に由来する基を介して結合してもよい。この場合において、これらの付加モル数は1〜10、好ましくは1〜5が適当である。
【0015】
一般式(1)の最も好ましい化合物は、イソステアリルグリセリルエーテル、コレステリルグリセリルエーテル、オレイルグリセリルエーテル、ペンタエリスリトールイソステアリルグリセリルエーテル、オレイルモノクエン酸エステル、コレステリルモノコハク酸エステル、コレステリルジコハク酸エステル、イソステアリルモノコハク酸エステル、イソステアリン酸モノ、ジ、トリグリセライド、オレイン酸モノ、ジ、トリグリセライド、オレイン酸ポリグリセリンエステル(平均重合度1〜10)、オレイン酸ソルビタンエステルから選ばれる1種以上であり、ペンタエリスリトールイソステアリルグリセリルエーテル、コレステリルモノコハク酸エステル、及びオレイン酸ポリグリセリンエステル(平均重合度1〜10)、オレイン酸ソルビタンエステルが最も好ましい。
【0016】
一般式(2)の化合物の好ましい具体例としては、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリルアミドであり、特にイソステアリン酸コレステリルが最も好ましい。
【0017】
<(II)の化合物>
本発明に係る(II)の化合物は、炭素数12〜30の炭化水素基を2つ以上とヒドロキシ基及びアミド結合を有する非イオン性化合物であり、天然セラミド類、合成セラミド類及び合成等により得られるそれらの類縁体(擬セラミド)であって室温(25℃)で固体状のものが好ましい。より具体的には、Ceramide H03(Sederma)、CeramideII(Sederma)、Questamide H(Quest)、Ceramide TIC−001(高砂香料)、ソフケアセラミドSL−E(花王)を好ましい化合物として挙げることができる。合成により得られるセラミド類縁体の特に好ましい例としては、上記ソフケアセラミドSL− Eを含む次の一般式(3)で表されるアミド誘導体が挙げられる。
【0018】
CON(ROR)CHCH(OR)CHOR (3)
〔式中、R及びRは同一又は異なって、1以上のヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数12〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、グリセリン残基、糖残基、メチル基、エチル基、リン酸塩残基、又は硫酸塩残基を示す。Rはエチレン基又はプロピレン基である。ただし、一般式(3)の化合物中に1以上のヒドロキシ基を有する。〕
【0019】
一般式(3)の化合物において、Rの炭化水素基としては、炭素数12〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の炭化水素基が好ましく、Rの炭化水素基としては、炭素数12〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の炭化水素基が好ましく、R及びRとしては、水素原子が好ましい。
【0020】
一般式(3)の化合物の製造法については特開昭62−228048 号公報、特開昭63−216852号公報等に詳述されている。
【0021】
<(III)の化合物>
本発明に係わる(III)の化合物は、炭素数8〜20の脂肪酸又はその誘導体とN−アルキル(炭素数1〜3)アルカノール(炭素数2又は3)アミンとの縮合反応物であり、具体的には下記一般式(4)で表される化合物である。なお、ここで誘導体とは、アミンとの縮合反応物を得る上で周知の反応を行うのに必要な脂肪酸からの誘導体を言い、例えば脂肪酸にホスゲンを作用させて得られる脂肪酸クロライド等が挙げられる。
【0022】
【化1】
Figure 2004346464
【0023】
〔式中、R−COは炭素数8〜20の飽和又は不飽和のアシル基であり、Rはメチル基又はエチル基である。また、R10は炭素数1〜3のアルキレン基である。〕
【0024】
−CO−は炭素数8〜16の飽和又は不飽和のアシル基が好ましい。好ましい具体例としてはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。
【0025】
また、本発明では該アシル基が単独のアルキル基又はアルケニル基であっても差し支えないが、R−CO−に対応する脂肪酸が混合脂肪酸であることが好適である。好ましい混合脂肪酸組成は脂肪酸中の重量%として以下の組成が好適である。なお、これ以外の脂肪酸を含有しても差し支えないが、下記に示した脂肪酸の合計重量が100重量%となるように調製されることが貯蔵安定性の点から望ましい。
カプリル酸;1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%
カプリン酸;1〜12重量%、好ましくは3〜7重量%
ラウリン酸;44〜60重量%、好ましくは44〜55重量%
ミリスチン酸;10〜22重量%、好ましくは10〜17重量%
パルミチン酸;4〜10重量%、好ましくは6〜10重量%
ステアリン酸;0〜10重量%、好ましくは1〜7重量%
オレイン酸;0〜17重量%、好ましくは1〜17重量%
【0026】
一般式(4)の化合物においてRは、メチル基又はエチル基であり、好ましくはメチル基である。更にR10は炭素数1〜3のアルキレン基又はアルケニレン基であり、好ましくは炭素数2もしくは3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
【0027】
一般式(4)の化合物の好ましい具体例としてN−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド、N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルテトラデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヘキサデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルオクタデカン酸アミド、、N−イソプロパノール−N−エチルドデカン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールオレイン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールイソステアリン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド、N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミドを挙げることができる。
【0028】
<(IV)の化合物>
本発明に係わる(IV)の化合物としては、下記一般式(5)の化合物が好ましい。
【0029】
11−OCHCH(OH)CHOH (5)
〔式中、R11は炭素数5〜10、好ましくは5〜8のアルキル基又はアルケニル基である。〕
【0030】
一般式(5)の化合物は、R11−OHとエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物とをBF等の酸触媒を用いて反応させて製造する方法が一般的である。また、アルコールとエポキシ化合物の反応はエポキシ化合物の1位と2位にランダムに反応し、更に多付加体も生成する。このため、1位にアルコールが付加した一般式(5)の化合物以外に、異性体として2−アルコキシ−1,3プロパンジオールや、グリセリル基が多数付加した多量体が存在する。本発明においてはこのような異性体や多量体の含有量が一般式(5)の化合物に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下になるように調製された化合物が好適である。この目的から本発明では特開2001−49291号記載の方法により製造した一般式(5)の化合物を用いることが好適である。
【0031】
<しわ除去剤組成物>
本発明のしわ除去剤組成物では、しわ除去効果の点から(I)の化合物及び(II)の化合物から選ばれる1種以上がより好適であり、(II)の化合物が最も好ましい。
【0032】
本発明に係わるしわ除去剤組成物は、上記(I)の化合物以外の油成分(但しシリコーンオイルを除く)の含有量が0.5質量%未満、好ましくは0.1質量%未満であることが、しわ除去効果及び対象繊維製品の風合いの点から重要である。ここで、本発明でいう油成分とは、スクワラン、スクワレン、炭素数8〜18の脂肪酸(但しオレイン酸は除く)グリセリンモノ、ジ、トリエステルである。一般に動物油や植物油にはオレイン酸残基を有するグリセライドが含有しているが、飽和脂肪酸残基を有するグリセライドも多く含まれている。本発明では、このような動物油や植物油を直接(I)の化合物として用いることも可能であるが、飽和脂肪酸残基を有するグリセライドの含有量が本発明の範囲になるように注意することが必要である。
【0033】
本発明に係わる組成物は、上記(I)〜(IV)の化合物を水に溶解又は分散させた液状の形態である。水の含有量は、組成物中、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは30〜95質量%がしわ除去効果の点から好適である。また、組成物のpHは、20℃で、好ましくは2〜8、より好ましくは4〜7が好適であり、このようなpHに調整する方法としては通常の硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸などの酸と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を用いることができる。
【0034】
本発明において上記(I)〜(IV)の化合物の中には水に溶解しない化合物も含まれ、特に(I)の化合物及び(II)の化合物の大部分は水に溶解しない。このため、本発明の効果を損なわない程度に界面活性剤を併用して上記化合物を分散、可溶化、又は乳化させることが好ましい。本発明に用いることができる界面活性剤としては、炭素数8〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜16のアルキル硫酸エステル塩、平均付加モル数が1〜4、炭素数8〜16のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、平均付加モル数が1〜10、炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩、平均付加モル数が1〜10、炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキルエーテルリン酸塩から選ばれる陰イオン界面活性剤、平均付加モル数が4〜20、アルキル基の炭素数が8〜14のポリオキシエチレン(及び/又はポリオキシプロピレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤、アルキル基の炭素数が8〜16、平均縮合度が1〜5のアルキルポリグルコシド、炭素数10〜16の脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる非イオン界面活性剤、エステル結合又はアミド結合で分断されていてもよい炭素数が12〜22のアルキル基を1つ又は2つ有する4級アンモニウム型陽イオン界面活性剤、炭素数10〜18のアルキル基を有するスルホベタイン型、又はカルボベタイン型両性界面活性剤を挙げることができる。また、本発明の(I)の化合物及び/又は(II)の化合物を水に安定に配合する目的から、本発明の(III)の化合物及び/又は(IV)の化合物を安定化剤として併用することも可能である。
【0035】
本発明では特に非イオン界面活性剤が好ましく、特に平均縮合度が1〜5のアルキルポリグルコシド及び炭素数10〜16の脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる一種以上が好適である。また、界面活性剤の含有量は、組成物中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%が好適である。
【0036】
本発明に係わる組成物は繊維製品に該組成物を接触させた後の乾燥を促進させる目的、又は該組成物の貯蔵安定性を改善する目的から、水溶性の溶剤を用いることが好ましい。具体的に好ましい溶剤としてはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、特にエタノール及び/又はプロピレングリコールが好ましい。このような溶剤は組成物中に好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0037】
本発明に係わる組成物には、しわ除去効果を向上させる目的、及び繊維製品に好ましい風合いを付与する目的から水不溶性シリコーン化合物を併用することが好ましい。より具体的にはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アミド変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、を挙げることができ、特にジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサンから選ばれる1種以上が好適である。また、本発明の水不溶性シリコーン化合物の重量平均分子量は1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜100,000が好適である。本発明ではこのようなシリコーン化合物を組成物中に分散させて配合するが、分散粒子の平均粒径は0.01〜10μm、更に0.01〜0.5μmが貯蔵安定性の点から好適である。また、シリコーン化合物の含有量は、組成物中に0.01〜10質量%、更に0.03〜1質量%が好ましい。
【0038】
本発明のしわ除去方法では、上記本発明のしわ除去剤組成物を対象繊維製品に接触させた後、当該繊維製品を乾燥させる。接触させる方法としては上記組成物を0.1〜100質量%含有する水溶液に対象繊維製品を浸漬させる方法、上記組成物を直接対象繊維製品に浸漬させる方法、スプレーヤーを用いて該組成物を対象繊維製品に噴霧する方法、又は布帛、不織布、スポンジ等の可撓性で吸水性の基体に含浸させたもので繊維製品を擦る方法を挙げることができる。ここで、浸漬とは対象繊維製品が該組成物又は該組成物を希釈した水溶液に対象繊維製品が完全に浸される状態をいう。本発明では好ましくは上記組成物を希釈することなく直接接触させる方法が好ましく、特にスプレーにより噴霧する方法が簡便性の点から好ましく、スプレーはトリガー式スプレー容器が好ましく、特に実開平4−37554号公報の第1図に示されているような液垂れや噴霧の均一性に優れる蓄圧式トリガーを用いることが良好である。
【0039】
本発明の好ましいトリガー式スプレー容器は、1回のストロークで0.2g〜1.5g、好ましくは0.25〜1.2g、特に好ましくは0.3〜1.0g噴出するものが良好であり、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が100〜800cm、好ましくは150〜600cmになる容器が好ましい。また、本発明では上記(I)〜(IV)の化合物を繊維製品100cm当たり好ましくは0.01〜4g、より好ましくは0.05〜3g、特に好ましくは0.1〜2gになるように均一に繊維製品にスプレーし、乾燥させることがしわ除去効果の点から好適である。
【0040】
乾燥は、自然乾燥や、乾燥機による加熱乾燥が好ましく、アイロンによる加熱乾燥は必要としない。
【0041】
【発明の効果】
本発明の化合物を含有するしわ除去剤組成物は、基本的にアイロンがけを行わなくても繊維製品のしわを除去することができる。
【0042】
【実施例】
下記配合成分を用いて表1の組成物を調製した。これら組成物のしわ抑制効果を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0043】
(配合成分)
a−1:イソステアリルグリセリルエーテル
a−2:ペンタエリスルトールイソステアリルグリセリルエーテル
a−3:オレイルグリセリルエーテル
a−4:イソステアリン酸コレステリル
a−5:オレイン酸ポリグリセリンエステル(平均重合度10)
a−6:コレステリルヘミアルケニルコハク酸エステル
a−7:イソステアリン酸モノエタノールアミド
a−8:ソフケアセラミドSLE〔一般式(3)においてR=炭素数15のアルキル基、R=水素原子、R=水素原子、R=炭素数16のアルキル基、R=Cの化合物〕
a−9:N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド
a−10:N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド
a−11:オクチルグリセリルエーテル
a−12:ペンチルグリセリルエーテル
a−13:オリーブ油〔(I)の化合物を70質量%以上含有する〕
a−14:ソフケアセラミドSLE分散液〔a−8を20質量%、カオーアキポRLM−45を8質量%、カオーアキポRLM−100を15質量%、残部の水を含み、パール様外観を有するもの〕
a’−1:ミリスチルグリセリルエーテル
a’−2:ラウリルグリセリルエーテル
a’−3:ペンタエリスルトールラウリルエーテル
a’−4:ラウリン酸コレステリル
a’−5:ラウリン酸ポリグリセリンエステル(平均重合度4)
a’−6:一般式(3)においてR=炭素数9のアルキル基、R=水素原子、R=水素原子、R=炭素数16のアルキル基、R=Cの化合物
a’−7:ドデカン酸ジエタノールアミド
b−1:スクワラン
b−2:ヤシ油
c−1:ソルビタンステアリン酸エステル
c−2:c−1に更にエチレンオキシドを平均20モル付加させた化合物
c−3:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均付加モル数20モル)
d−1:プロピレングリコール
d−2:エタノール
d−3:イソプロピルアルコール
d−4:グリセリン
e−1:カルボキシ変性シリコーン(信越化学社製X22−3701E)
e−2:アミノ変性シリコーン(信越化学社製KF877)
f−1:ポリエチレングリコール(平均分子量2000)
【0044】
(しわ抑制効果の評価)
木綿100%ブロード#60(白色無地、蛍光晒し有り;染色試材(株)谷頭商店から入手)を市販洗剤(花王(株)製アタック)にて全自動洗濯機(松下電器社製NA−F50K1)を用いて、洗浄12分、ためすすぎ2回、脱水3分の行程を5サイクル繰り返した後、2槽式洗濯機(東芝製2槽洗濯機VH−360S1)を用いて市販先剤を用いて洗浄し(花王株社製アタック、洗剤濃度0.0667質量%、水道水使用、水温20℃、10分洗浄後、15分流水すすぎした後、5分間脱水)、自然乾燥させた。このものを15cm×25cmに裁断した(長方向が縦糸と平行方向)。
この試験布10枚を全自動洗濯機(松下電器社製NA−F50K1)により、市販先剤を用いて再度洗濯した〔花王(株)製アタック、洗剤濃度0.0667質量%、水道水使用、水温20℃、洗浄10分、ためすすぎ2回、脱水40秒〕。その後各試験布を広げ、平干にして室内で自然乾燥させた。これら試験布には細かいしわが多数形成されている(未処理布)。
【0045】
次に噴霧器〔商品名:スプレーバイアル(マルエム社製No.6)〕を用いて上記処理後の試験布10枚に、試験布に対して同重量の表1の組成物を試験布全体に均一にスプレーした後、再度平干にして室内で自然乾燥した。
【0046】
その後、各試験布を下記の基準で判定し、10枚の平均を求めた。この平均値が1未満の場合を◎、1以上2未満の場合を○、2以上3未満の場合を△、3以上の場合を×として評価し、表1に示した。
【0047】
判定基準
0:ほとんどしわが形成されていない
1:未処理布と比較してしわの形成が明らかに抑制されている
2:未処理布と比較してしわの形成がやや抑制されている
3:しわの形成が未処理布とほぼ同じである
4:未処理布よりもしわが多く形成されている
【0048】
【表1】
Figure 2004346464

Claims (2)

  1. 下記(I)〜(IV)から選ばれる1種以上の化合物を0.01〜2質量%、及び水を含有し、(I)以外の油成分(但しシリコーンオイルは除く)の含有量が0.5質量%未満である繊維製品用しわ除去剤組成物。
    (I)イソステアリル基、イソステアロイル基、オレイル基、オレオイル基、及びコレステリル基から選ばれる1種以上の基と、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ヒドロキシ基、及びカルボキシ基から選ばれる1種以上の基及び/又は結合とを有する化合物
    (II)炭素数12〜30の炭化水素基を2つ以上と、ヒドロキシ基と、アミド結合とを有する非イオン性化合物
    (III)炭素数8〜20の脂肪酸又はその誘導体とN−アルキル(炭素数1〜3)アルカノール(炭素数2又は3)アミンとの縮合反応物
    (IV)炭素数5〜10の炭化水素基を有するグリセリルエーテル
  2. 請求項1記載の組成物を対象物に接触させた後、乾燥する繊維製品のしわ除去方法。
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