JP2004346166A - 脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有する脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法を提供する。
【解決手段】コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーより脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと結合剤とを反応して得られることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法。
【解決手段】コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーより脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと結合剤とを反応して得られることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量が0.6重量%以下である脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形材料としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等プラスチックス材料が大量に使用され消費されてきた。これらのプラスチックス材料の一部はリサイクルされる物もあるが、一般に回収された後、消却処理や土中埋設処理等の処理を受ける。しかし回収に多大な労力及び費用を要するため、あるいは回収が困難なため回収されずに放置される場合がある。近年、これらの環境問題に対して、自然環境の中で分解する高分子素材の開発が要望されるようになり、その中でも特に微生物によって分解されるプラスチックは、環境適合性材料や新しいタイプの機能性材料として大きな期待が寄せられている。
【0003】
本発明者らは、生分解性、成形性、機械物性のバランスの取れた脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂を開発し、環境問題の解決に取り組んできた(特許文献1参照)。更なる物性、用途等に関する研究の結果、フィルム等に成形した後長時間放置すると、成型品表面への析出物による外観特性の低下が見られることが明らかとなった。この析出物を分析したところ、主として、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマー(各々2分子反応したもの)を主成分とする環状オリゴマーであることが見いだされた。
【0004】
脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状オリゴマーの低減方法としては、公知の製造法で可能である。例えば、該粒状樹脂と有機溶剤及び/または水とを接触させる抽出法、樹脂を溶融、減圧下で表面更新できる槽型反応器、横型反応器、ベント付き2軸押出機等で行う脱揮処理法が例示されるが、ポリマーを製造後に環状オリゴマーを除去する工程が必要であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−193125号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造工程中に、環状オリゴマーの成型品表面への析出物が実用上問題とならない量、つまり脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状2量体オリゴマーの含有量を0.6重量%以下に減少させ、成型品の表面への析出物を抑制し、外観特性の優れた、後加工、用途分野で障害のない脂肪族ポリエステル系樹脂の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、すでに脂肪族ポリエステル系樹脂、特に1,4−ブタンジオールを主成分とした脂肪族ジヒドロキシ化合物と、コハク酸を主成分とした脂肪族ジカルボン酸とから得られる脂肪族ポリエステルオリゴマーとジフェニルカーボネートとを溶融重合させることにより得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの成型品の表面析出物について検討した結果、表面析出物が主として、1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる環状2量体オリゴマー(各々2分子反応したもの)を主成分とする環状オリゴマーであることを確認している。本発明者らは、脂肪族ポリエステル系樹脂を、主として1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる環状オリゴマーの開環重合により製造し、前述の環状2量体オリゴマーの含有量を0.6重量%以下にすることにより、成型品表面への析出物を抑制できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
すなわち本発明は、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーより脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと結合剤とを反応して得られることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による脂肪族ポリエステル樹脂の製造方法を、脂肪族ポリエステルカーボネートを一例として示す。
【0010】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートの製造法は、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーから開環重合反応により脂肪族ポリエステルオリゴマーを得る第1工程と、第1工程で得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物とを反応させ、脂肪族ポリエステルカーボネートを得る第2工程より構成される。
【0011】
第1工程は、触媒の存在下、温度100〜250℃で、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーとジヒドロキシ化合物を加熱攪拌する。反応に伴って過剰のジヒドロキシ化合物を除去しながら、数平均分子量10,000以下の脂肪族ポリエステルオリゴマーを製造する工程である。環状オリゴマーが留出しないよう反応初期には常圧にて反応を行うが、最終的には、反応を促進する目的で40kPa以下の減圧とすることが好ましい。
【0012】
第2工程は、第1工程で得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物とを反応させる工程であり、高分子量体とする工程である。触媒の存在下、通常150〜250℃で行われ、反応に伴って副成するヒドロキシ化合物が除去される。カーボネート化合物の沸点によっては反応初期には加圧とする。減圧度を調節して最終的には0.4kPa以下の減圧とすることが好ましい。
【0013】
本発明において、原料として用いる環状オリゴマーとは、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状1量体オリゴマーから環状15量体オリゴマーであり、好ましくは、環状1量体オリゴマーから5量体オリゴマーである。環状オリゴマーの製造方法としては、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる脂肪族ポリエステル系樹脂から有機溶剤で抽出する方法、溶液中でコハク酸と1,4−ブタンジオールを反応させ合成する方法、脂肪族ポリエステル系樹脂を酵素で分解する方法等が例示される。
【0014】
脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量は、脂肪族ポリエステルオリゴマーの末端水酸基量を制御することにより所望の割合とすることができる。カーボネート単位含有量が多すぎると、得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの融点が低くなり、実用的耐熱性を有するポリマーが得られない。一方、カーボネート単位含有量が多くなると微生物による分解性が高くなる。従って、カーボネート単位含有量は、適度の生分解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現し得る量とすることが好ましく、本発明においては脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量を、少なくとも3モル%以上、通常5〜30モル%とすることが好ましい。
【0015】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートの製造に用いられるカーボネート化合物の具体的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネートなどのジアリールカーボネートを、また、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、フェノール、アルコール類の様なヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物や環状カーボネート化合物も使用できる。カーボネート化合物の使用量は、脂肪族ポリエステルオリゴマーの末端水酸基に対して0.40〜0.60倍モル量が特に好ましい。
【0016】
脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂の分子量はスチレン換算のGPCによる重量平均分子量で10万以上が望ましい。10万以下では所望の強度が達成されない。
【0017】
上記の脂肪族ポリエステルカーボネートの他に、製造される脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート等が挙げられ、結合剤として多価イソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物などを添加、反応させて連鎖延長を行い、分子量をさらに高めることもできる。多価イソシアネート化合物としては、例えばイソシアネート基を2個以上有する化合物で、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。多価イソシアネート化合物の添加量は、脂肪族ポリエステルオリゴマー100重量部に対し0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0018】
得られた脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状オリゴマー量は、環状オリゴマーの成型品への析出が実用上問題とならない量、つまりコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマー含有量が0.6重量%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明で使用される触媒は、エステル交換触媒から選ばれるが、特にY、La、Zn、Sn、Ga、Mn、Co、Mg、In、Ti、Zr、Hfの何れかの化合物が少なくとも1種類からなり、原料混合物100重量部に対して、5×10−5〜1重量部の範囲で用いられる。触媒として好ましい化合物の形態としては、脂肪酸塩類、水酸化物、アルコラート、フェノラート、アセチルアセトナート、ベンゾイルアセトナート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物等種々あげられる。
【0020】
本発明の方法により製造された脂肪族ポリエステル系樹脂の使用に際しては、改質剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌剤、等の各種添加剤の他に、生分解性を主として熱可塑性樹脂、エラストマー、木粉、でんぷん、等を加え変成することができる。
【0021】
また、本発明の成型品は、本発明を用いて製造された樹脂を成型した物品であり、具体的な成型形態、成型方法としては、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、織物、網、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、エマルジョン、接着剤、各種部品、その他の成型品が例示されるがそれらに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例において、分子量はクロロホルムを溶媒としてGPC(昭和電工(株)製GPC System−21H使用)によりスチレン換算のMw、Mnとして測定した。環状2量体オリゴマー量は、ポリマーをアセトン溶液で抽出後、分離した母液を濃縮し、ジクロロメタン溶液で希釈後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所GC14B)により分析した。
【0023】
(コハク酸と1,4−ブタンジオールよりなる環状オリゴマーの調整)
コハク酸、1,4−ブタンジオール及び触媒としてオルトチタン酸テトラ−n−ブチル四量体より得られた重量平均分子量25,000の脱水重縮合ポリマーを10倍量のアセトニトリル中で2日間抽出した。ポリマーを濾別後、濾液を濃縮し、コハク酸−1,4−ブタンジオールからなる直鎖状オリゴマーを含む粗環状オリゴマーが得られた。さらにエタノールによる再結晶を行い、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーが得られた。得られた環状オリゴマーは、純度94重量%のコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーであり、その他成分は環状3量体オリゴマー等であった。
【0024】
実施例1
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、環状オリゴマー30.0g(87mmol)、1,4−ブタンジオール8.0g(89mmol)、ジルコニウムアセチルアセトネート0.02g及び酢酸亜鉛2水和物0.1gを添加し、窒素雰囲気下で温度220℃にて2.5時間反応した。つづいて、20kPaにて30分、さらに5.3kPaにて30分攪拌し、未反応の1,4−ブタンジオールを留出除去させた。得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は3800であった。また、水酸基価は76.1KOHmg/g、酸価は2.16KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.42重量%含有していた。
【0025】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート3.671gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に1mmHgの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が261,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量は0.32重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを成形し、得られたフィルムを23℃、湿度50%の環境にて、3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0026】
実施例2
実施例1にて得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.500倍モルのジイソシアン酸ヘキサメチレン2.860gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が245,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの濃度は0.31重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0027】
実施例3
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、環状オリゴマー30.0g(87mmol)、1,4−ブタンジオール8.0g(89mmol)、ジルコニウムアセチルアセトネート0.02g及び酢酸亜鉛2水和物0.1gを添加し、窒素雰囲気下で温度220℃にて2.5時間反応した。つづいて、20kPaにて30分、5.3kPaにて30分攪拌し、さらに400Pa以下にて1時間30分反応し、未反応の1,4−ブタンジオールを留出除去させた。得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は4500であった。また、水酸基価は33.0KOHmg/g、酸価は0.41KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.34重量%含有していた。
【0028】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.500倍モルのジフェニルカーボネート1.576gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に1mmHgの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が236,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量は0.27重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて、3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0029】
比較例1
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、コハク酸、94.47g(0.80モル)、1,4−ブタンジオール97.33g(1.08モル)及びジルコニウムアセチルアセトネート3.8mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度220℃にて1時間反応し水を留出させた。つづいて、150mmHgにて1時間15分、40mmHgにて40分、さらに3mmHg以下にて1時間30分攪拌し、水と1,4−ブタンジオールを留出させた。得られたプレポリマーの数平均分子量は4000であった。また、水酸基価は63.9KOHmg/g、酸価は0.50KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.83重量%含有していた。
【0030】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00g、その末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート3.082gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が256,000であり、環状2量体の濃度は0.81重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管後、フィルム表面に白色物の析出が観察された。
【0031】
比較例2
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、コハク酸、94.47g(0.80モル)、1,4−ブタンジオール97.33g(1.08モル)及びジルコニウムアセチルアセトネート3.8mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度220℃にて1時間反応し水を留出させた。つづいて、20kPaにて1時間15分、5.3kPaにて40分、さらに400kPa以下にて2時間30分攪拌し、水と1,4−ブタンジオールを留出させた。得られたプレポリマーの数平均分子量は4400であった。また、水酸基価は35.0KOHmg/g、酸価は0.42KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.94重量%含有していた。
【0032】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00g、その末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート1.672gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が237,000であり、環状2量体の濃度は0.92重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管した後、フィルム表面に白色物の析出が観察された。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る脂肪族ポリエステル系樹脂は、環状オリゴマーが低減された上に、流動性、成形性に優れ、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、接着剤、エマルジョン用途、その他の成型品を得るのに好適であり、得られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を有すると共に、海水中、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分解される。このため、包装材料、漁業、農業、食品分野その他のリサイクルが困難な用途に広く利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量が0.6重量%以下である脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形材料としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等プラスチックス材料が大量に使用され消費されてきた。これらのプラスチックス材料の一部はリサイクルされる物もあるが、一般に回収された後、消却処理や土中埋設処理等の処理を受ける。しかし回収に多大な労力及び費用を要するため、あるいは回収が困難なため回収されずに放置される場合がある。近年、これらの環境問題に対して、自然環境の中で分解する高分子素材の開発が要望されるようになり、その中でも特に微生物によって分解されるプラスチックは、環境適合性材料や新しいタイプの機能性材料として大きな期待が寄せられている。
【0003】
本発明者らは、生分解性、成形性、機械物性のバランスの取れた脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂を開発し、環境問題の解決に取り組んできた(特許文献1参照)。更なる物性、用途等に関する研究の結果、フィルム等に成形した後長時間放置すると、成型品表面への析出物による外観特性の低下が見られることが明らかとなった。この析出物を分析したところ、主として、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマー(各々2分子反応したもの)を主成分とする環状オリゴマーであることが見いだされた。
【0004】
脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状オリゴマーの低減方法としては、公知の製造法で可能である。例えば、該粒状樹脂と有機溶剤及び/または水とを接触させる抽出法、樹脂を溶融、減圧下で表面更新できる槽型反応器、横型反応器、ベント付き2軸押出機等で行う脱揮処理法が例示されるが、ポリマーを製造後に環状オリゴマーを除去する工程が必要であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−193125号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造工程中に、環状オリゴマーの成型品表面への析出物が実用上問題とならない量、つまり脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状2量体オリゴマーの含有量を0.6重量%以下に減少させ、成型品の表面への析出物を抑制し、外観特性の優れた、後加工、用途分野で障害のない脂肪族ポリエステル系樹脂の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、すでに脂肪族ポリエステル系樹脂、特に1,4−ブタンジオールを主成分とした脂肪族ジヒドロキシ化合物と、コハク酸を主成分とした脂肪族ジカルボン酸とから得られる脂肪族ポリエステルオリゴマーとジフェニルカーボネートとを溶融重合させることにより得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの成型品の表面析出物について検討した結果、表面析出物が主として、1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる環状2量体オリゴマー(各々2分子反応したもの)を主成分とする環状オリゴマーであることを確認している。本発明者らは、脂肪族ポリエステル系樹脂を、主として1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる環状オリゴマーの開環重合により製造し、前述の環状2量体オリゴマーの含有量を0.6重量%以下にすることにより、成型品表面への析出物を抑制できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
すなわち本発明は、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーより脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと結合剤とを反応して得られることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による脂肪族ポリエステル樹脂の製造方法を、脂肪族ポリエステルカーボネートを一例として示す。
【0010】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートの製造法は、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーから開環重合反応により脂肪族ポリエステルオリゴマーを得る第1工程と、第1工程で得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物とを反応させ、脂肪族ポリエステルカーボネートを得る第2工程より構成される。
【0011】
第1工程は、触媒の存在下、温度100〜250℃で、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーとジヒドロキシ化合物を加熱攪拌する。反応に伴って過剰のジヒドロキシ化合物を除去しながら、数平均分子量10,000以下の脂肪族ポリエステルオリゴマーを製造する工程である。環状オリゴマーが留出しないよう反応初期には常圧にて反応を行うが、最終的には、反応を促進する目的で40kPa以下の減圧とすることが好ましい。
【0012】
第2工程は、第1工程で得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物とを反応させる工程であり、高分子量体とする工程である。触媒の存在下、通常150〜250℃で行われ、反応に伴って副成するヒドロキシ化合物が除去される。カーボネート化合物の沸点によっては反応初期には加圧とする。減圧度を調節して最終的には0.4kPa以下の減圧とすることが好ましい。
【0013】
本発明において、原料として用いる環状オリゴマーとは、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状1量体オリゴマーから環状15量体オリゴマーであり、好ましくは、環状1量体オリゴマーから5量体オリゴマーである。環状オリゴマーの製造方法としては、主としてコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる脂肪族ポリエステル系樹脂から有機溶剤で抽出する方法、溶液中でコハク酸と1,4−ブタンジオールを反応させ合成する方法、脂肪族ポリエステル系樹脂を酵素で分解する方法等が例示される。
【0014】
脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量は、脂肪族ポリエステルオリゴマーの末端水酸基量を制御することにより所望の割合とすることができる。カーボネート単位含有量が多すぎると、得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの融点が低くなり、実用的耐熱性を有するポリマーが得られない。一方、カーボネート単位含有量が多くなると微生物による分解性が高くなる。従って、カーボネート単位含有量は、適度の生分解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現し得る量とすることが好ましく、本発明においては脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量を、少なくとも3モル%以上、通常5〜30モル%とすることが好ましい。
【0015】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートの製造に用いられるカーボネート化合物の具体的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネートなどのジアリールカーボネートを、また、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、フェノール、アルコール類の様なヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物や環状カーボネート化合物も使用できる。カーボネート化合物の使用量は、脂肪族ポリエステルオリゴマーの末端水酸基に対して0.40〜0.60倍モル量が特に好ましい。
【0016】
脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂の分子量はスチレン換算のGPCによる重量平均分子量で10万以上が望ましい。10万以下では所望の強度が達成されない。
【0017】
上記の脂肪族ポリエステルカーボネートの他に、製造される脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート等が挙げられ、結合剤として多価イソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物などを添加、反応させて連鎖延長を行い、分子量をさらに高めることもできる。多価イソシアネート化合物としては、例えばイソシアネート基を2個以上有する化合物で、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。多価イソシアネート化合物の添加量は、脂肪族ポリエステルオリゴマー100重量部に対し0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0018】
得られた脂肪族ポリエステル系樹脂中の環状オリゴマー量は、環状オリゴマーの成型品への析出が実用上問題とならない量、つまりコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマー含有量が0.6重量%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明で使用される触媒は、エステル交換触媒から選ばれるが、特にY、La、Zn、Sn、Ga、Mn、Co、Mg、In、Ti、Zr、Hfの何れかの化合物が少なくとも1種類からなり、原料混合物100重量部に対して、5×10−5〜1重量部の範囲で用いられる。触媒として好ましい化合物の形態としては、脂肪酸塩類、水酸化物、アルコラート、フェノラート、アセチルアセトナート、ベンゾイルアセトナート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物等種々あげられる。
【0020】
本発明の方法により製造された脂肪族ポリエステル系樹脂の使用に際しては、改質剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌剤、等の各種添加剤の他に、生分解性を主として熱可塑性樹脂、エラストマー、木粉、でんぷん、等を加え変成することができる。
【0021】
また、本発明の成型品は、本発明を用いて製造された樹脂を成型した物品であり、具体的な成型形態、成型方法としては、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、織物、網、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、エマルジョン、接着剤、各種部品、その他の成型品が例示されるがそれらに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例において、分子量はクロロホルムを溶媒としてGPC(昭和電工(株)製GPC System−21H使用)によりスチレン換算のMw、Mnとして測定した。環状2量体オリゴマー量は、ポリマーをアセトン溶液で抽出後、分離した母液を濃縮し、ジクロロメタン溶液で希釈後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所GC14B)により分析した。
【0023】
(コハク酸と1,4−ブタンジオールよりなる環状オリゴマーの調整)
コハク酸、1,4−ブタンジオール及び触媒としてオルトチタン酸テトラ−n−ブチル四量体より得られた重量平均分子量25,000の脱水重縮合ポリマーを10倍量のアセトニトリル中で2日間抽出した。ポリマーを濾別後、濾液を濃縮し、コハク酸−1,4−ブタンジオールからなる直鎖状オリゴマーを含む粗環状オリゴマーが得られた。さらにエタノールによる再結晶を行い、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーが得られた。得られた環状オリゴマーは、純度94重量%のコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーであり、その他成分は環状3量体オリゴマー等であった。
【0024】
実施例1
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、環状オリゴマー30.0g(87mmol)、1,4−ブタンジオール8.0g(89mmol)、ジルコニウムアセチルアセトネート0.02g及び酢酸亜鉛2水和物0.1gを添加し、窒素雰囲気下で温度220℃にて2.5時間反応した。つづいて、20kPaにて30分、さらに5.3kPaにて30分攪拌し、未反応の1,4−ブタンジオールを留出除去させた。得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は3800であった。また、水酸基価は76.1KOHmg/g、酸価は2.16KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.42重量%含有していた。
【0025】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート3.671gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に1mmHgの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が261,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量は0.32重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを成形し、得られたフィルムを23℃、湿度50%の環境にて、3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0026】
実施例2
実施例1にて得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.500倍モルのジイソシアン酸ヘキサメチレン2.860gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が245,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの濃度は0.31重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0027】
実施例3
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、環状オリゴマー30.0g(87mmol)、1,4−ブタンジオール8.0g(89mmol)、ジルコニウムアセチルアセトネート0.02g及び酢酸亜鉛2水和物0.1gを添加し、窒素雰囲気下で温度220℃にて2.5時間反応した。つづいて、20kPaにて30分、5.3kPaにて30分攪拌し、さらに400Pa以下にて1時間30分反応し、未反応の1,4−ブタンジオールを留出除去させた。得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は4500であった。また、水酸基価は33.0KOHmg/g、酸価は0.41KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.34重量%含有していた。
【0028】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00gとその末端水酸基に対し0.500倍モルのジフェニルカーボネート1.576gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に1mmHgの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が236,000であり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量は0.27重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて、3ヶ月間保管した後、外観を目視にてオリゴマー析出の有無を判定した結果、外観に変化はなかった。
【0029】
比較例1
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、コハク酸、94.47g(0.80モル)、1,4−ブタンジオール97.33g(1.08モル)及びジルコニウムアセチルアセトネート3.8mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度220℃にて1時間反応し水を留出させた。つづいて、150mmHgにて1時間15分、40mmHgにて40分、さらに3mmHg以下にて1時間30分攪拌し、水と1,4−ブタンジオールを留出させた。得られたプレポリマーの数平均分子量は4000であった。また、水酸基価は63.9KOHmg/g、酸価は0.50KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.83重量%含有していた。
【0030】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00g、その末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート3.082gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が256,000であり、環状2量体の濃度は0.81重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管後、フィルム表面に白色物の析出が観察された。
【0031】
比較例2
攪拌機、分留コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットル丸形フラスコに、コハク酸、94.47g(0.80モル)、1,4−ブタンジオール97.33g(1.08モル)及びジルコニウムアセチルアセトネート3.8mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度220℃にて1時間反応し水を留出させた。つづいて、20kPaにて1時間15分、5.3kPaにて40分、さらに400kPa以下にて2時間30分攪拌し、水と1,4−ブタンジオールを留出させた。得られたプレポリマーの数平均分子量は4400であった。また、水酸基価は35.0KOHmg/g、酸価は0.42KOHmg/gであり、コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーを、0.94重量%含有していた。
【0032】
次いで、得られた脂肪族ポリエステルオリゴマー25.00g、その末端水酸基に対し0.505倍モルのジフェニルカーボネート1.672gに酢酸亜鉛13mgを添加し、温度225℃で最終的に133Paの減圧とし4時間反応した。得られた高分子量体は、GPCの測定による重量平均分子量が237,000であり、環状2量体の濃度は0.92重量%であった。また厚さ50ミクロンのプレスフィルムを23℃、湿度50%の環境にて3ヶ月間保管した後、フィルム表面に白色物の析出が観察された。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る脂肪族ポリエステル系樹脂は、環状オリゴマーが低減された上に、流動性、成形性に優れ、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、接着剤、エマルジョン用途、その他の成型品を得るのに好適であり、得られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を有すると共に、海水中、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分解される。このため、包装材料、漁業、農業、食品分野その他のリサイクルが困難な用途に広く利用できる。
Claims (3)
- コハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状オリゴマーより脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと結合剤とを反応して得られることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法。
- 脂肪族ポリエステル系樹脂中のコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる環状2量体オリゴマーの含有量が0.6重量%以下である請求項1記載の脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法。
- 結合剤が、カーボネート化合物および/または多価イソシアネート化合物である請求項1または2記載の脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法。
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JP2003144002A JP2004346166A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法 |
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JP2008519894A (ja) * | 2004-11-09 | 2008-06-12 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 希土類元素触媒を使用する高温での大環状ポリエステルオリゴマーの重合 |
WO2024204552A1 (ja) * | 2023-03-29 | 2024-10-03 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリエステルの製造方法、組成物および成形体 |
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2003
- 2003-05-21 JP JP2003144002A patent/JP2004346166A/ja active Pending
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