JP2000345012A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2000345012A
JP2000345012A JP15730099A JP15730099A JP2000345012A JP 2000345012 A JP2000345012 A JP 2000345012A JP 15730099 A JP15730099 A JP 15730099A JP 15730099 A JP15730099 A JP 15730099A JP 2000345012 A JP2000345012 A JP 2000345012A
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Japan
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polymer
ester structure
resin composition
aliphatic
carbonate
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JP15730099A
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Kyohei Takakuwa
恭平 高桑
Atsushi Hirashima
敦 平島
Maki Ito
真樹 伊藤
Mitsuru Nakamura
充 中村
Nobuo Shiraishi
信夫 白石
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】流動性および成形性に優れ、フィルム、シー
ト、ラミネート等に加工した場合に、高い引裂強度を示
す樹脂組成物及びその成形品を提供すること。 【解決手段】脂肪族エステル構造を持つ重合体と、セル
ロースエステル構造を持つ重合体からなり、セルロース
エステル構造を持つ重合体の含有量が5重量%未満であ
る樹脂組成物およびその成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族エステル構
造を持つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重合体
からなる樹脂組成物およびその成形品に関するものであ
る。
【0002】本発明に係る脂肪族エステル構造を持つ重
合体とセルロースエステル構造を持つ重合体からなる樹
脂組成物は、成形性に優れ、フィルム、シート、ラミネ
ート用途等に加工された場合に高い引裂強度を示す。得
られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を有すると共
に、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物に
より分解される。このため、包装材料、農業、漁業、食
品分野その他のリサイクルが困難な用途に広く利用でき
る。たとえば、包装材料分野では、フィルムとして各種
包装が可能で、ヒートシールも可能である。農業分野で
は土壌表面を被覆して土壌の保温を行うマルチフィル
ム、植木用の鉢や紐、または肥料のコーティング材料な
どに利用でき、あるいは漁業分野では釣糸、魚網に、さ
らには医療分野の医療用材料、生理用品などの衛生材料
として利用できる。
【0003】
【従来の技術】近年、地球的規模での環境問題に対し
て、自然環境の中で分解する高分子素材の開発が要望さ
れるようになり、その中でも特に微生物によって分解さ
れるプラスチックは、環境適合性材料や新しいタイプの
機能性材料として大きな期待が寄せられている。
【0004】従来より、脂肪族エステル構造を持つ重合
体に生分解性があることはよく知られており、微生物に
よって生産されるポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル
(PHB)、合成高分子であるポリカプロラクトン(P
CL)、コハク酸およびブタンジオールを主成分とする
ポリブチレンサクシネート(PBS)および発酵により
生産されるL乳酸を原料としたポリ乳酸(PLLA)等
が代表的なものである。また、本発明者らは、鋭意検討
の結果、特開平7−53693号公報および特開平7−
53695号公報に記載の高い熱安定性を有し、流動
性、成形性に優れ、充分な機械的強度を有する生分解性
ポリエステルカーボネートおよびその製造方法を開発し
た。
【0005】脂肪族エステル構造を持つ重合体は、一般
にポリエチレン類似の物性を有する成形性・生分解性の
良好なポリマーであるが、フィルムに加工した場合の引
裂強度が低く、その改良が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、流動性、成
形性に優れ、フィルム、シート、ラミネート用途等に加
工された場合に高い引裂強度を示す樹脂組成物及びその
成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、引裂強度の低い脂肪族エ
ステル構造を持つ重合体に、セルロースエステル構造を
持つ重合体を少量添加することにより、フィルム、シー
ト等に成形された場合の引裂強度を飛躍的に向上しうる
ことを見いだし本発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、脂肪族エステル構造を
持つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重合体から
なる樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
さらに詳しくは、脂肪族エステル構造を持つ重合体が脂
肪族ポリエステルカーボネート及び/または脂肪族ポリ
エステルであり、厚さ20ミクロンのインフレーション
フィルムの引き裂き強度がMDで10g以上、TDで3
0g以上を有し、引張伸度が300%以上、引張強度が
20MPa以上である樹脂組成物および成形品に関する
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における脂肪族エステル構
造を持つ重合体としては、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エ
ステル(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、コ
ハク酸およびブタンジオールを主成分とするポリブチレ
ンサクシネート(PBS)またはポリブチレンサクシネ
ート・アジペート、L乳酸を主原料としたポリ乳酸(P
LLA)等の脂肪族ポリエステルや、脂肪族ポリエステ
ルカーボネート等が例示される。中でも、ポリブチレン
サクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート
および脂肪族ポリエステルカーボネートが好ましく、脂
肪族ポリエステルカーボネートが特に好ましい。上記の
樹脂は、単独でも、2種以上をブレンドしても使用可能
である。
【0010】本発明における脂肪族ポリエステルカーボ
ネートとは、脂肪族2塩基酸および/またはその誘導
体、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/またはヒドロキシ
カルボン酸化合物を反応させて得られる数平均分子量1
0,000以下の脂肪族ポリエステルオリゴマーと、カ
ーボネート化合物とを反応させて得られるカーボネート
単位含有量が少なくとも5モル%以上であり、重量平均
分子量が少なくとも100,000で、温度190℃、
荷重60kgにおける溶融粘度が2,000〜50,0
00ポイズで、融点が70〜180℃であることを特徴
とする。
【0011】本発明による脂肪族ポリエステルカーボネ
ートの製造法は、脂肪族2塩基酸および/またはその誘
導体と脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/またはヒドロキ
シカルボン酸化合物とから脂肪族ポリエステルオリゴマ
ーを得る第1工程、および脂肪族ポリエステルオリゴマ
ーとカーボネート化合物を反応させ脂肪族ポリエステル
カーボネートを得る第2工程より構成される。
【0012】第1工程は、触媒の存在下、温度100〜
250℃で、反応に伴って副生する水及び過剰のジヒド
ロキシ化合物を除去しながら、数平均分子量10,00
0以下のポリエステルオリゴマーを製造する工程であ
る。反応を促進する目的で300mmHg以下の減圧と
することが好ましい。
【0013】第2工程は、第1工程で得られたポリエス
テルオリゴマーとカーボネート化合物を反応させて高分
子量体とする工程であり、触媒の存在下、通常150〜
250℃で行われ、反応に伴って副成するヒドロキシ化
合物が除去される。カーボネート化合物の沸点によって
は反応初期には加圧とする。減圧度を調節して最終的に
は3mmHg以下の減圧とすることが好ましい。
【0014】脂肪族ポリエステルカーボネート中のカー
ボネート単位含有量は、脂肪族ポリエステルオリゴマー
の末端水酸基量を制御することにより所望の割合とする
ことができる。カーボネート単位含有量が多すぎると、
得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの融点が低く
なり、実用的耐熱性を有するポリマーが得られない。一
方、カーボネート単位含有量が多くなると微生物による
分解性が高くなる。従って、カーボネート単位含有量
は、適度の生分解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現
し得る量とすることが好ましく、本発明においては脂肪
族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有
量を、少なくとも5モル%以上、通常5〜30モル%と
することが好ましい。
【0015】本発明の脂肪族ポリエステルカーボネート
の製造に用いられる脂肪族2塩基酸としては、コハク酸
が必須成分として使用され、それ以外に例えば、シュウ
酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、
セバシン酸、ドデカン酸、アゼライン酸等を適宜併用す
ることができる。尚、上記の脂肪族2塩基酸はそれらの
エステルあるいは酸無水物であってもよい。
【0016】本発明の脂肪族ポリエステルカーボネート
の製造に用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1,
4−ブタンジオールが必須成分として使用され、それ以
外に例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオ
ール、シクロヘキサンジメタノール等を適宜併用するこ
とができる。
【0017】本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸
化合物としては、乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシ
酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸等が例
示され、これらはエステル、環状エステル等の誘導体で
も使用できる。
【0018】これらの脂肪族2塩基酸、脂肪族ジヒドロ
キシ化合物およびヒドロキシカルボン酸化合物は、それ
ぞれ単独であるいは混合物として用いることができ所望
の組合せが可能であるが、本発明においては適度の生分
解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現し得る程度の高
い融点のものが好ましい。従って、本発明においては、
脂肪族ジヒドロキシ化合物として1,4−ブタンジオー
ル、脂肪族2塩基酸としてコハク酸を、それぞれ50モ
ル%以上含むことが必要である。
【0019】また、本発明の脂肪族ポリエステルカーボ
ネートの製造に用いられるカーボネート化合物の具体的
な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカ
ーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m
−クレジルカーボネートなどのジアリールカーボネート
を、また、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネー
ト、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等
の脂肪族カーボネート化合物を挙げることができるがこ
れらに限定されるものではない。また、上記の同種のヒ
ドロキシ化合物からなるカーボネート化合物の他に、異
種のヒドロキシ化合物からなる非対称カーボネート化合
物や環状カーボネート化合物も使用できる。
【0020】本発明において、セルロースエステル構造
を持つ重合体とは一般に市販されているセルロースアセ
テート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロ
ースアセテートブチレート等が例示され、単独及びその
混合物の形で使用される。
【0021】セルロースエステル構造を持つ重合体の置
換度は1.0〜3.0が好ましく、セルロースエステル
構造を持つ重合体中のプロピオニル基および/またはブ
チリル基の含有量が置換可能部位に対してに対して0か
ら80%であるものが使用される。分子量、原料モノマ
ーにより相溶性は変わるが、相溶性が不十分な場合は相
溶化剤を添加することができる。相溶化剤としてはトリ
アセチン、フタル酸系可塑剤が好適であり添加量として
は、脂肪族エステル構造を持つ重合体とセルロースエス
テル構造を持つ重合体の混合物に対して0〜10%程度
が好ましい。
【0022】より、生分解性の高い樹脂組成物を得るた
めには、セルロースエステルの置換度を低く抑えるのが
好ましいが、本発明の場合、従来生分解性が低いと考え
られていた高置換セルロースエステルでも容易に生分解
性を発現させることが可能である。
【0023】樹脂組成物中のセルロースエステル構造を
持つ重合体の最適な含有量は、0.2重量%以上5重量
%未満であり、好ましくは1〜3重量%である。引裂強
度の改善には極少量の添加から効果が発現されるが、
0.2%未満の添加量では効果が現れない。また、5重
量%以上の添加では融点降下による成形性の低下、生分
解性の低下が起こるため、引裂強度の改善効果、成形性
の観点からは好ましくないが、透明性の改善その他の目
的では5重量%以上の添加も有効な場合がある。
【0024】また、本発明の組成物に、酢酸ビニルを系
重合体またはポリビニルアルコール系重合体を配合して
も良い。酢酸ビニルを系重合体およびポリビニルアルコ
ール系重合体としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニ
ルアルコール共重合体等が例示される。
【0025】本発明の樹脂組成物は、主として上記の脂
肪族エステル構造を持つ重合体とセルロースエステル構
造を持つ重合体からなり、改質剤、充填剤、滑剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、着色剤、各種フ
ィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌
剤、等の各種添加剤の他に、エステル交換触媒、各種モ
ノマー、カップリング剤、末端処理剤、その他の樹脂、
木粉、でんぷん、等を加え変成することができる。
【0026】製造に際しては、少なくとも一方の樹脂の
溶融する温度以上で機械的に混合することにより得るこ
とができる、また、両樹脂を機械的に粉砕したものを混
合し加圧することにより製造する方法や、両樹脂を溶剤
に溶解した後に貧溶媒と混合し沈殿化することにより得
るか、または両樹脂を溶剤に溶解したものをキャストし
て溶媒を除去することにより製造することも可能である
がそれらに限定されるものではない。混合装置に関して
は特に限定されるものではないが、押出機を用いて混合
する方法が短時間で連続的に処理できる点で工業的には
推奨される。
【0027】混合時の温度は、100度以下では樹脂の
溶融粘度が高いかまたは溶融しないため、具体的には1
00度から300度の範囲が好適である。300度以上
では樹脂の熱分解が起こるため好ましくない。300度
以下であっても高温下での着色や劣化、熱分解等を防止
するために窒素雰囲気下で短時間に混合することが好ま
しい。具体的な混合時間としては、20分以内が推奨さ
れる。また、樹脂中のオリゴマー、残存モノマー、発生
ガス等の除去のためにベント口を設置し減圧下に混合す
ることもできる。
【0028】本発明の樹脂組成物は、脂肪族エステル構
造を持つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重合体
の単純ブレンドのみに限定されるものではなく、触媒の
存在下に溶融状態でのエステル交換反応等により生成す
る共重合体も含まれる。また、セルロースエステル構造
を持つ重合体のエステル置換工程で脂肪族エステル構造
を持つ重合体を添加する製造方法も採用できる。
【0029】ここで使用されるセルロースエステル構造
を持つ重合体の分子量はスチレン換算のGPCによる重
量平均分子量で3万以上が望ましい。3万以下では所望
の強度が達成されない。
【0030】本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物を
用いて成形された物品であり、具体的な成形形態、成形
方法としては、射出成形品、押し出し成形品、インフレ
ーション成形法、真空圧空成形品、ブロー成形品、繊
維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、
網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネ
ート、容器、発泡体、各種部品その他の成形品が例示さ
れるがそれらに限定されるものではない。
【0031】特に、本発明の樹脂組成物はフィルム成形
性が良く、通常のポリエチレンと同様の条件で成形可能
であり、引裂強度が著しく改善されている。樹脂の均一
性、強度、外観性等からは成形前に脂肪族エステル構造
を持つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重合体を
混合し、ペレット化する事が好ましいが、脂肪族エステ
ル構造を持つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重
合体をペレットの状態で、場合によっては各種添加剤も
同時に混合し直接成形器に投入し成形品を得ることもで
きる。さらには、両樹脂を溶媒に溶解し溶液状態でキャ
スティングまたは塗布し溶媒を除去することによりフィ
ルム、シートその他の成形体を得ることも可能である。
【0032】得られる樹脂組成物および成形品は高い機
械的強度と実用上充分な軟化温度を有すると共に、土
中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分
解される。
【0033】以上のごとく、本発明によれば、実用上充
分な引裂強度および生分解性を有する樹脂組成物および
成形品を得ることができる。また、得られた樹脂組成物
は、様々な樹脂との相溶性が良く、広い混合比率範囲で
良好なブレンド体を生成する。例えば、ポリヒドロキシ
ブチレート(PHB)、ポリ乳酸、ポリオキシメチレ
ン、ポリスチレン、PMMA、等の比較的剛性が高く脆
い樹脂の衝撃性改良に使用できる。さらに、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカプロラクトン等とも良好に
ブレンドでき、生分解性の付与、融点の向上等の目的で
使用できる。コーティング材料、ラミネート材料として
使用した場合も、薄膜形成時の張力等による、ピンホー
ル、クラックの発生を抑制できるため、良好なコーティ
ング材料として、肥料や農薬の被服、紙、金属のコーテ
ィング材料、塗料等の用途に応用できる。
【0034】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0035】本実施例において、融点は、DSC(セイ
コー電子(株)製SSC 5000)を用いて測定し
た。また、分子量はクロロホルムを溶媒としてGPC
(昭和電工(株)製GPC System−11使用)
によりスチレン換算のMw、Mnとして測定した。ま
た、カーボネート単位含有量はNMR(日本電子(株)
製NMR EXー270)を使用し、13CNMRにより
ジカルボン酸エステル単位およびカーボネート単位の合
計に対するカーボネート単位の割合(モル%)として測
定した。
【0036】溶融粘度はフローテスター(島津製作所製
CFT−500C)を用いて温度190℃、荷重60k
gにて測定した。脂肪族ポリエステルカーボネートのオ
リゴマーの水酸基価、酸価はJIS K−1557に準
じて測定した。引裂強度は、JIS−K6732に準じ
てエルメンドルフ引裂試験機により測定した。
【0037】脂肪族ポリエステルカーボネートの製造例 攪拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付け
た50リットルの反応容器に、コハク酸18,740g
(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21,4
30g(237.8モル)、ジルコニウムアセチルアセ
トネート745mgおよび酢酸亜鉛1.40gを仕込
み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応
し水を留出させた。つづいて、減圧度150〜80mm
Hgの減圧度で3時間熟成し脱水反応を進行させ、更に
最終的に減圧度2mmHg以下となるよう徐々に減圧度
を増してさらに水と1、4−ブタンジオールを留出さ
せ、総留出量が10,460gになったところで反応を
停止した。得られたオリゴマー(A−1)の数平均分子
量は1,780、末端水酸基価は102KOHmg/g
であり、酸価は0.51KOHmg/gであった。
【0038】次に得られたオリゴマー(A−1)24,
000gを攪拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導
入管を付けた50リットルの反応容器に仕込み、ジフェ
ニルカーボネート4,680gを添加した。温度210
〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし5時間反応
した。得られた高分子量体(A−2)は、融点が104
℃で、GPCの測定による重量平均分子量(Mw)が1
88,000であり、13CNMR測定により、ポリカー
ボネート成分として14.3%のカーボネート単位を有
していた。溶融粘度は10000poiseであり、ク
ロロホルムには完全に溶解し、ゲル分はなかった。
【0039】セルロースエステル構造を持つ重合体の使
用例 以下のセルロースエステル構造を持つ重合体を用いた。 セルロースアセテートプロピオネート(CAP) :Acetyl Content 2.5% Propionyl Content 45〜49% セルロースアセテートブチレート(CAB) :Acetyl Content 12〜15% Butyryl Content 35〜39%
【0040】実施例1 製造例で得られた脂肪族ポリエステルカーボネート(A
−2)および使用例で示したセルロースエステル構造を
持つ重合体(セルロースアセテートブチレート、CA
B)のペレットを真空乾燥機により温度90℃で10時
間乾燥し、CABとA−2の混合比が重量比で3/97
となるようにV型ブレンダーにて混合し、2軸押出機
(スクリュー径25mmφ、L/D=30)に供給し連
続的にストランド化、ペレタイズ化し、樹脂混合物(C
−1)を得た。C−1のペレットを90度の温度で5時
間以上乾燥した後、空冷インフレーション成形装置に供
給し、物性試験用の厚さ20ミクロンのフィルムを成形
した。成形条件はバレル温度200℃、ブローアップ比
2.5、引き取り速度10m/分であった。得られたフ
ィルムの評価結果は、引張伸びはMD618%、TD5
12%、引張強度はMD61MPa、TD56MPaで
あり、エルメンドルフ引裂試験機による引裂強度はMD
42g、TD81gであった。少量の添加量であるにも
かかわらずフィルム引裂強度が著しく改善されていた。
物性評価結果を表−1に示す。
【0041】実施例2 実施例1と全く同様の操作で、脂肪族ポリエステルカー
ボネート(A−2)とセルロースアセテートブチレート
(CDA)の混合比を重量比で1/99とした結果を表
−1に示す。
【0042】実施例3 実施例1と全く同様の操作で、セルロースアセテートブ
チレートに変えてセルロースアセテートプロピオネート
とした結果を表−1に示す。
【0043】比較例1〜3 実施例1と全く同様の操作を脂肪族ポリエステルカーボ
ネート(A−2)100%に対して行ったものを比較例
1、脂肪族ポリエステルカーボネート(A−2)に対し
てCABを重量比で0.1/99.1としたものを比較
例2、CABを重量比で13/87としたものを比較例
3とした結果を表−1に示す。脂肪族ポリエステルカー
ボネート(A−2)単独、CABの含有量が0.1重量
%では、引裂強度の改善が見られず、CABの含有量が
13重量%では成形加工性が著しく低下する結果となっ
た。
【0044】実施例1〜3および比較例1〜3で製造し
た樹脂混合物、脂肪族ポリエステルカーボネートおよび
セルロースエステル構造を持つ重合体を用いて、それぞ
れ厚み20μmのシートを作成し、25℃、60%RH
の条件で30日間の土壌埋設試験を行った。重量減少量
が60%以上であるものを◎、重量減少量が20%以上
であるものを△として表1に示した。また、成形性の評
価結果も表1に示した。成形性が良好なものを◎、成形
温度を低下しても安定成形が難しいものを×とした。
【0045】
【本発明の効果】本発明に係る脂肪族エステル構造を持
つ重合体とセルロースエステル構造を持つ重合体からな
る樹脂組成物は、成形性に優れ、フィルム、シートに成
形された場合に高い引裂強度を示し、射出成形品、押し
出し成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、繊維、マ
ルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織
物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、
容器、発泡体、各種部品その他の成形品を得るのに好適
であり、得られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を
有すると共に、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易
に微生物により分解される。このため、包装材料、農
業、漁業、食品分野その他のリサイクルが困難な用途に
広く利用できる。たとえば、包装材料分野では、フィル
ムとして各種包装が可能で、ヒートシールも可能であ
る。農業分野では土壌表面を被覆して土壌の保温を行う
マルチフィルム、植木用の鉢や紐、または肥料のコーテ
ィング材料などに利用でき、あるいは漁業分野では釣
糸、魚網に、さらには医療分野の医療用材料、生理用品
などの衛生材料として利用できる。
【0046】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 充 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番地2号 三菱エンジニアリングプラスチック株式会 社技術センター内 (72)発明者 白石 信夫 京都府京都市左京区下鴨狗子田町13番地3 号 Fターム(参考) 4F071 AA09 AA44 AA50 AA81 AA84 AA88 AF15Y AF16Y BA01 BB09 BC01 BC12 4J002 AB022 CF031 CG041 GG02 4J029 AA03 AA05 AA08 AB01 AC01 AD01 AD06 AE03 BA05 CA04 EA02 EA03 EA05 HA01 HB01 HB02 HC03 HC04A HC05A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪族エステル構造を持つ重合体と、セル
    ロースエステル構造を持つ重合体とからなり、セルロー
    スエステル構造を持つ重合体が5重量%未満であること
    を特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】脂肪族エステル構造を持つ重合体が脂肪族
    ポリエステルカーボネート及び/または脂肪族ポリエス
    テルである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】脂肪族ポリエステルカーボネートが脂肪族
    2塩基酸および/またはその誘導体と、脂肪族ジヒドロ
    キシ化合物及び/またはヒドロキシカルボン酸化合物を
    反応させて得られる数平均分子量10,000以下の脂
    肪族ポリエステルオリゴマーと、カーボネート化合物と
    を反応させて得られるカーボネート単位含有量が少なく
    とも5モル%以上であり、重量平均分子量が少なくとも
    100,000で、温度190℃、荷重60kgにおけ
    る溶融粘度が2,000〜50,000ポイズで、融点
    が70〜180℃であることを特徴とする請求項2記載
    の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】セルロースエステル構造を持つ重合体が、
    セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピ
    オネートおよびセルロースアセテートから選ばれる1種
    以上である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】厚さ20ミクロンのインフレーションフィ
    ルムの引き裂き強度がMDで10g以上、TDで30g
    以上を有し、引張伸度が300%以上、引張強度が20
    MPa以上である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】セルロースエステル構造を持つ重合体のプ
    ロピオニル基および/またはブチリル基の含有量が置換
    可能部位に対して80%以下である請求項1記載の樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6記載の組成物よりなる成形
    品。
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