JP2004345912A - 重金属フリーの酸化マグネシウム及びその原料の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厳選した原料の調達、あるいは安価な原料に特別な精製工程を加えることによって、原料中に含まれる鉛、砒素などの重金属を効率よく除去する。次に、これらの原料を用いて水酸化マグネシウムを合成、焼成し、安価かつ大量に量産できる重金属フリーの酸化マグネシウム及びその製造方法を提供する。
Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】近年、酸化マグネシウムは、ミネラル供給源として、肥料、食品添加剤、医療品(制酸剤または下剤等)、化粧品の原料として採用されているが、この用途は直接あるいは間接的に反復摂取されるので、人体に有害な重金属を実質的に含まないことが望まれている。
【0003】特に鉛、砒素のような重金属は、人体に対し有毒であり、慢性中毒による神経障害を引き起こすことが知られている。酸化マグネシウムに混入する鉛または鉛化合物の含有量を低減させる方法としては、特開2000−34119公報及び特開2001−275618公報にハロゲンを添加する方法が提案されている。
【0004】しかしながら、前記公報の研究によると、これまで知られている方法では、原料となる海水及び石灰石が汚染源となり、鉛、砒素などの重金属が水酸化マグネシウムに混入するため、人体に有害な重金属を実質的に含まない酸化マグネシウムおよびその製造方法を提供することは出来ない。また焼成することによって塩化鉛の蒸気を大気に放出することになり作業環境を汚染する。さらに焼成炉付近の金属装置を劣化させる。また得られる酸化マグネシウムの純度は低く、塩化物含量が高くなることが判明している。つまり反応系に持ち込まれる重金属量をできる限り制限することが重要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、長年のマグネシウム化合物に関する鋭意研究の結果、厳選した原料の使用、あるいは特別な精製工程を経ることで、重金属の混入を完全にコントロールし、人体に有害な重金属を実質的に含まない酸化マグネシウムを大量かつ効率的に量産できる製造方法を見出した。ここで言う重金属とは、酸性領域(pH3.0〜4.0)で、不溶性着色硫化物を生成する金属元素であり、鉛、水銀、クロム、カドミウム、砒素、銅、スズ等の1つ以上からなるものである。この酸化マグネシウムは、JISの試薬特級規格を十分に満足し、食品添加剤や医療品(制酸剤または下剤等)の原料のみならず、試薬用途にも幅広く利用できるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸化マグネシウムの原料となる水酸化マグネシウムの原料は、従来の原料のいずれでもよく、前記課題を解決するための手段として、まずマグネシウム原料である海水あるいは塩化マグネシウム(苦汁、かん水)、硝酸マグネシウムなどの溶液を精製する。前記マグネシウム原料中には重金属を含んでいる。一般的に海水中に存在する重金属は微量であるが、これをマグネシウム原料として利用した場合、海水中に存在するほとんどの重金属が水酸化マグネシウムに吸着、沈殿される。水酸化マグネシウムは水酸化カルシウムとともに重金属の吸着剤としても知られており、反応系内の重金属を吸着する(特開昭60−22990公報)。また、水酸化マグネシウムが沈殿を生じるpHは各種重金属の最低溶解度を示すpH域と合致している。これを濾別すれば重金属の含有量の少ないマグネシウム原料を得ることができる。本発明者等は前処理として5〜15%、好ましくは10±2%の低反応率で水酸化マグネシウムの反応を行い、含まれる重金属を吸着、沈殿(共沈)、除去し、重金属の少ないマグネシウム原料を得た。
【0007】アルカリ原料としては苛性ソーダ、合成水酸化カルシウム、天然産出の石灰石を焼成して得られる生石灰を水和した水酸化カルシウムスラリー等いずれを使用してもよいが、しかし天然産出の石灰石から得た水酸化カルシウムスラリーをアルカリ原料とする場合、Feの含有量が少ない石灰石を選択する必要がある。石灰石中にFeが多く含まれていると重金属の含有量も多い傾向にある。Fe含有量が100ppm以下であることが望ましい。
【0008】前記、マグネシウム原料とアルカリ原料から得た沈殿を軟化された水を使用して洗浄し、重金属フリー水酸化マグネシウムを得る。これを焼成して重金属フリー酸化マグネシウムを得ることができる。
【0009】
【発明の効果】人体に有害な重金属を実質的に含まない酸化マグネシウムを大量かつ安価に提供することが出来る。
【0010】
【実施例1】(マグネシウム原料)海水を反応率10%で水酸化カルシウムと反応し、固形分濾別、除去し、重金属を除去した。(以後、処理海水と呼ぶ)これについて分析を行った。
【0011】
【比較例1】(マグネシウム原料)実施例1の処理をする前の海水の分析値を示す。
表1
【0012】
【実施例2】(アルカリ原料)Fe含有量100ppm以下の石灰石を水和して得た水酸化カルシウム。
【0013】
【比較例2】(アルカリ原料)Fe含有量350ppmの石灰石を水和して得た水酸化カルシウム。
表2
【0014】
【実施例3】実施例1、2の原料を用いて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥した。
【0015】
【実施例4】実施例3で得た水酸化マグネシウムを650℃で焼成した。
【0016】
【実施例5】実施例1の処理海水と水酸化ナトリウムを反応させて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥後、650℃で焼成した。
【0017】
【実施例6】実施例1の処理海水と合成石灰を反応させて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥後、650℃で焼成した。
【0018】
【実施例7】実施例2の水酸化カルシウムと苦汁を反応させて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥後650℃で焼成した。
【0019】
【比較例3】比較例1、2の原料を用いて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥後、650℃で焼成した。
【0020】
【比較例4】実施例1の処理海水と比較例2の水酸化カルシウムを反応させて水酸化マグネシウムを合成し、洗浄、乾燥後、650℃で焼成した。
表3
【0021】
上記の実施例、比較例に記載の分析値は、日本薬局方に指定されている方法により定量した値である。鉛、砒素、水銀、クロム、カドミウム、銅、スズはフレームレス原子吸光度法にて定量した。
Claims (8)
- 鉛化合物、水銀化合物、クロム化合物、カドミウム化合物、砒素化合物、銅化合物および錫化合物の合計含有量が、金属の合計含有量(総重金属含有量)として20ppm以下であり、かつ砒素化合物の含有量が、砒素金属として1ppm以下である酸化マグネシウム。
- 該総重金属含有量が10ppm以下である請求項1記載の酸化マグネシウム。
- 砒素化合物含有量が砒素金属として0.5ppm 以下である請求項1記載の酸化マグネシウム
- 砒素化合物と鉛化合物との合計含有量が、砒素金属と鉛金属の合計含有量として1ppm以下である請求項1記載の酸化マグネシム。
- 砒素化合物と鉛化合物との合計含有量が、砒素金属と鉛金属の合計含有量として1ppm以下である水酸化マグネシウムを焼成することにより得られる請求項1記載の酸化マグネシウム。
- 総重金属含有量が10ppm以下で砒素化合物含有量が砒素金属として1ppm以下である水酸化マグネシウムを焼成することにより得られる請求項1記載の酸化マグネシウム。
- 総重金属含有量が10ppm以下で砒素化合物含有量が砒素金属として0.5ppm以下である水酸化マグネシウムを焼成することにより得られる請求項1記載の酸化マグネシウム。
- 1次反応として反応率5〜15%の水酸化マグネシウムを生成し、残原料による2次反応で生成した水酸化マグネシウムを500〜1500℃で焼成することにより請求項1記載の酸化マグネシウムを製造する方法。
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2003
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