JP2004345907A - 半導体単結晶成長装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単結晶成長時におけるv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値が制御され、半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置を提供する。
【解決手段】本半導体単結晶成長装置は、単結晶と原料融液との間に電流を供給するための電流供給手段を設け、原料が単結晶と原料融液との間に電流を流してペルチェ効果を起し、直径計測手段からの計測値に基づいて単結晶成長手段を用いて単結晶を成長させる工程中に、前記電流供給手段の電流値及び電流の方向を制御して単結晶と原料融液との界面をペルチェ効果によって加熱または冷却し、単結晶と原料融液との固液界面形状を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】本半導体単結晶成長装置は、単結晶と原料融液との間に電流を供給するための電流供給手段を設け、原料が単結晶と原料融液との間に電流を流してペルチェ効果を起し、直径計測手段からの計測値に基づいて単結晶成長手段を用いて単結晶を成長させる工程中に、前記電流供給手段の電流値及び電流の方向を制御して単結晶と原料融液との界面をペルチェ効果によって加熱または冷却し、単結晶と原料融液との固液界面形状を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体単結晶成長装置に係わり、特に単結晶成長速度と単結晶内部の固液界面近傍の温度勾配の関係を改良した半導体単結晶成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスに使用される半導体単結晶に要求される結晶品質のレベルは年々高度化している。その要請に応えるべく結晶育成技術に関する研究も鋭意進んでいる。結晶品質の高度化を目指すための重要な課題の一つに、結晶育成中に結晶内に導入される結晶欠陥(以下、Grown−in欠陥と略す)を低減することが挙げられる。
【0003】
最近の研究において、Grown−in欠陥の育成結晶内における三次元的空間分布と育成中の結晶の固液界面形状との相関関係が明らかにされるようになってきた。V.V.Voronkov(1982)によると、育成結晶の成長速度v[mm/min]と固液界面近傍における成長軸方向の結晶内温度勾配G[℃/mm]との比v/G[mm2/℃・min]というパラメータをとった場合、このv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値によって結晶内のGrown−in欠陥種が決定されるとしている。
【0004】
図8は、直径12インチシリコン単結晶におけるv/G値とGrown−in欠陥の結晶内径方向分布の関係を示した一例であるが、各v/G値に対する結晶の各径方向の位置に現れる欠陥種が決まっていることがわかる。ここで、図8中のV−リッチ領域とは原子空孔が凝集して形成された空孔型欠陥(以下Vと略称する)が濃集した領域を表しており、I−リッチ領域とは格子間シリコン原子に起因する格子間型欠陥(以下Iと略称する)転位ループの濃集領域を表している。また、OSF領域とは原子空孔と格子間シリコン原子とが外方拡散過程で対消滅して原子空孔濃度が著しく低下した領域で、ウェーハを酸化熱処理すると酸化誘起積層欠陥を発生させる領域である。無欠陥領域とは結晶欠陥が存在しない(もしくは非常に少ない)領域である。
【0005】
次に、固液界面の形状がGrown−in欠陥の分布に与える影響を説明する。通常、結晶育成過程の直胴部行程においては、結晶の固液界面形状は図9のライン1のように、結晶側に凹形状を示す。これは育成結晶の結晶内軸方向温度勾配G[℃/mm]が結晶の外周にいくほど大きくなるために起こる。結晶成長速度v[mm/min]が結晶の各径方向で一定であるから、育成中の結晶の同一成長面内におけるv/G値は図10に示すライン2のように、結晶の外周にいく程小さくなる。この場合、同一成長面内の各径方向で異なるv/G値を示すため、結晶の各径方向におけるGrown−in欠陥の種類も変わってくる。このような育成条件で得られた結晶からウェーハを切出したとき、そのウェーハ内の結晶欠陥分布は図12に示すようにウェーハ中心部にV−リッチ領域、ウェーハ外周部にI−リッチ領域、さらにその間にOSF領域及び無欠陥領域が存在するようになる。すなわち、1枚のウェーハ中に各種の欠陥領域が混在するようになる。この中でも特にV−リッチ領域に存在する結晶欠陥はCOP、LSTDなどと呼ばれ、ウェーハの酸化膜耐圧特性やデバイスの特性に悪影響を及ぼす。このようなウェーハをデバイスプロセスで用いた場合、デバイスの晶質や歩留に深刻な影響を及ぼす。
【0006】
また、上記のように、VとIの濃度は、v/G値によって決まり、v/G値が大きければV−リッチ領域、小さければI−リッチ領域、適正なv/G値に制御すると無欠陥領域が形成される。ここで、Gは原料融液の融点から僅か数十℃の温度範囲の温度勾配であり、単結晶と原料融液との固液界面の形状に大きく影響を受ける。最近では半導体デバイスの高歩留化のためにGrown−in結晶欠陥は、その密度及びサイズの低減が強く望まれている。
【0007】
そのため、単結晶成長時のv/G値の制御が極めて重要となっている。v/G値の制御においては、成長速度vと温度勾配Gの双方を同時に制御することが必須である。しかし、単結晶成長時には、単結晶の直径及び結晶特性を安定させるために、成長速度vや原料融液中の対流/温度分布、さらには単結晶成長後の熱履歴についても制御を行う。その結果、成長速度vと温度勾配Gの双方を任意に変化させることができず、v/G値を所望の範囲内に納めることがかなり困難となっている。
【0008】
従って、従来の半導体単結晶成長装置では、v/G値を所望の範囲内に制御しながら単結晶を製造することに限界があった。
【0009】
なお、特許文献1には、ペルチェ効果を単結晶成長の速度を制御するために利用した半導体単結晶成長装置が提案されているが、この装置はペルチェ効果による発熱/吸熱反応を単結晶の成長速度制御に用いるのみで、固液界面形状への影響についての対策がなされておらず、この装置で単結晶を引上げた場合、成長する単結晶の固液界面形状が、成長速度制御のために行ったペルチェ効果による熱量変化(=固液界面形状の変化を全く考慮していない熱量変化)の影響を大きく受けるため、v/G値を制御しながら品質の安定した半導体単結晶を高歩留で成長させることは困難である。
【0010】
また、特許文献2には、引上げられる単結晶の直径を制御するために、単結晶の重量変化から直径を検出する装置と光学的に直径を検出する装置を備えた半導体単結晶成長装置が提案されているが、この装置は単に両検出装置の動作を選択的に切替えて単結晶の直径を検出するものであり、v/G値を制御しながら品質の安定した半導体単結晶を高歩留で成長させることはできない。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−124890号公報(段落番号[0011]、[0012]、図1)
【0012】
【特許文献2】
特公平6−31194号公報(第2頁左欄第36〜42行、第1図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、単結晶成長時におけるv/G値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的実現のために、金属と半導体融液との接合面に電流を流すとペルチェ効果により接合面において発熱あるいは吸熱が生じること(電流の方法を逆にすることで発熱吸熱は完全に逆転する)、及び半導体融液が自由電子の放出により金属としての物性を示すことを利用してなされたものである。具体的には、単結晶状態の半導体と融液状態の半導体(疑似金属)との固液界面に電流を流すことで固液界面にペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を生じさせ、それによって固液界面形状を変化させて温度勾配Gを制御し、その結果としてv/G値を所望の値(範囲)に制御しながら半導体単結晶成長を行うものである。さらに、この半導体単結晶の直径を計測する直径計測手段からの計測値に基づいて、単結晶成長手段を制御して単結晶を成長させる工程中に、単結晶の直径及び結晶特性を安定させるために、成長速度vや原料融液中の対流/温度分布、さらには単結晶成長後の熱履歴についても制御を行うが、これらに加えて、電流供給手段から単結晶と原料融液との固液界面に電流を供給する。その結果、単結晶成長時に単結晶と原料融液との固液界面においてペルチェ効果による発熱あるいは吸熱が起きる。単結晶と原料融液との固液界面においてペルチェ効果による発熱が生じた場合には、ペルチェ効果を利用しない場合よりも多くの熱が固液界面に蓄積するため、原料融液が固化し難くなり、結果として固液界面形状は上凸方向に変化していく。単結晶と原料融液との固液界面に流れる電流の方向を逆にすると、固液界面において吸熱が生じるため、原料融液の固化が促進されて、固液界面形状は下凸方向に変化していく。また、ペルチェ効果による発熱量/吸熱量は接合面に流す電流値に比例するため、固液界面形状の上凸方向及び下凸方向への変化の度合いは固液界面に流す電流値の大きさに依存する。従って、電流供給手段から固液界面に供給する電流値及び電流の方向を、重量計測手段と直径計測手段との計測値から算出し制御することで、単結晶と原料融液との固液界面形状め制御、その結果v/G値の制御が容易となる。さらに、このペルチェ効果を利用した固液界面形状制御と、従来行われてきた単結晶及び融液の温度分布制御等とを組合わせることで、v/G値制御をより一層容易にかつ高精度に単結晶の引上げを行うことが可能となった。
【0015】
すなわち、本発明の1つの態様によれば、チョクラルスキー法を用いて単結晶を引上げる半導体単結晶成長装置において、引上げられる単結晶の直径を制御するための単結晶の重量変化を検出する重量検出手段と光学的に直径を検出する光学検出手段と、単結晶と原料融液との間に電流を供給するための電流供給手段を設け、原料が単結晶と原料融液との間に電流を流してペルチェ効果を働かせ、直径計測手段からの計測値に基づいて単結晶成長手段を用いて単結晶を成長させる工程中に、前記電流供給手段の電流値及び電流の方向を制御して単結晶と原料融液との界面をペルチェ効果によって加熱または冷却し、単結晶と原料融液との固液界面形状を制御することを特徴とする半導体単結晶成長装置が提供される。これにより、単結晶成長時におけるv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置が実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態の構成図である。
【0018】
図1に示すように、本第1実施形態の半導体単結晶成長装置1は、チョクラルスキー法を用いた単結晶の引上げに用いられ、導電性を有するルツボ2と、このルツボ2内に充填された半導体原料融液Mに浸漬される種結晶Sの先端に成長する半導体単結晶Igを引上げる単結晶引上げ手段3、単結晶Igと原料融液Mとの間に電流を供給する電流供給手段4と、単結晶Igの直径を計測する直径計測手段5と、単結晶Igの重量を計測する重量計測手段6と、原料融液Mを加熱する加熱手段7と、ルツボ2の回転等を制御するルツボ制御手段8と、装置全体を制御する装置制御手段9を有している。
【0019】
この装置制御手段9は、単結晶引上げ手段3、電流供給手段4、直径計測手段5、重量計測手段6、加熱手段7、ルツボ制御手段8を制御し、その制御は、事前に装置制御手段9にプログラムされた制御手順に従って行われ、また、必要に応じ装置制御手段9に設けられた入力手段からの入力により行われる。
【0020】
上記電流供給手段4は、供給電力量が制御可能でペルチェ効果による発熱/冷却量を可能とし、さらに、電流の方向を切替える切替スイッチ4aと、電流値を制御可能な電流源4bを有している。従って、単結晶Igの成長時に、電流供給手段4によって単結晶Igと原料融液Mとの間に電流を供給し、その電流を切替スイッチ4aと電流源4bとで制御することにより、単結晶Igと原料融液Mとの固液界面で形成されている半導体−(疑似)金属接合面において生じるペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を利用して固液界面形状を制御し、その結果v/G値を制御しながら単結晶を製造することを可能にしている。
【0021】
次に本第1実施形態の半導体単結晶成長装置を用いたシリコン単結晶の製造方法について説明する。
【0022】
図1に示すように、ルツボ2にシリコン多結晶原料を装填し、加熱手段7で加熱して原料融液Mとする。
【0023】
しかる後、種結晶Sを原料融液Mに接触させ半導体単結晶Igを成長させて引上げる。この単結晶引上げ工程において、CCDカメラからなる直径計測手段5によって、単結晶Igと原料融液Mの界面に発生するフュージョンリングを光学的に検出し、結晶の直径Dc[mm]を算出する。それと同時に結晶引き上げ機構に設置されたウェイトセンサーからなる重量計測手段6によって結晶重量Wg[g]を検出する。ここで、固液界面の断面形状を図2(a)及び図2(b)に示すように円弧状と仮定する。固液界面形状がフラットと仮定した場合の結晶重量をWo[g]、固液界面の中心部におけるフラット面からのズレ(以下、凹み量と記す)をLb[mm]、半導体単結晶の密度をρc[g/cm3]、半導体融液の密度をρm[g/cm3]とおくと、固液界面の凹部の体積△Vは、
【数1】
と表せる。また、この凹部に包有されているシリコン融液の重量をWm[g]とした場合、
【数2】
Wm=ρmx△V ……(2)
さらに、この凹部がシリコン単結晶の場合、つまり固液界面の形状がフラットな場合、この凹部のシリコン単結晶の重量をWs[g]とすると、
【数3】
Ws=ρc×△V ……(3)
と表せる。ここで、実測した結晶重量Wc[g]と固液界面がフラットだと仮定した場合の結晶重量Wo[g]の差Wc−Wo[g]が、上記(2)式と(3)式の差であるWm−Ws[g]で近似できる。すなわち、
【数4】
の関係が成り立つことを確認した。これにより、(1)式を(4)式に代入すると、
【数5】
という関係式が導かれる。従って、実測した結晶直径Dcと実測した結晶重量Wcが分かれば、界面形状がフラットと仮定した場合に理論的に求められる結晶重量Woとの偏差から、固液界面の凹み量Lb[mm]が計算される。従って、上記凹み量Lb[mm]をもって固液界面形状を表すことが可能となる。上記Lbが計算されると、固液界面の形状を任意に制御することが可能になる。ここで、結晶回転速度Sr[rpm]とルツボ回転速度Cr[rpm]によって、Lb∝α×Sr+β×Crなる関係が成立する。ここで、α及びβは、それぞれ結晶回転速度及びルツボ回転速度の変化量を決める係数で、0から10までの値をとり得る。α及びβは、結晶育成炉内のホットゾーン構成並びに育成中の融液の残量によって予め決定される。
【0024】
このように、育成結晶の固液界面の形状をin−situ(その場)検出することが可能となる。
【0025】
さらに、上記単結晶引上げ工程において、例えば、n型の半導体単結晶を製造する場合には、切替スイッチ4aにより電流供給手段4から供給される電流の方向を図1中矢印aに設定すると、単結晶Igと原料融液Mとの固液界面でペルチェ効果による発熱が生じるため、固液界面形状は上凸方向に変化する。逆に、切替スイッチ4aで電流の方向を矢印b(矢印aと逆方向)に設定すると、固液界面では吸熱が起こるため、固液界面形状は下凸方向に変化する。なお、p型の半導体単結晶を製造する場合には、電流の方向に対する発熱/吸熱は、n型の場合とは逆になる。
【0026】
上記単結晶引上げ工程において、育成結晶の固液界面の形状をin−situ検出しながら、電流供給手段4の電流値及び電流の方向を制御して、育成結晶の固液界面をペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を制御し、単結晶と原料融液との固液界面形状を調整することにより、v/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値を所望の値(あるいは範囲)に制御しながら、半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる。
【0027】
また、本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第2実施形態について説明する。
【0028】
上記第1実施形態が電流供給手段に電導性ルツボを用いるのに対して、本第2実施形態は電流供給手段に原料融液と接触する電極を用いるものである。
【0029】
例えば、図3に示すように、本第1実施形態の半導体単結晶成長装置1Aは、チョクラルスキー法を用いた単結晶の引上げに用いられ、ルツボ2Aが電導性を有していないものが用いられ、原料融液Mへ電流を供給するために、電極11Aを例えば原料融液Mに挿入して原料融液Mと接触させる。従って、上記第1実施形態と同様に、育成結晶の固液界面をペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を制御し、単結晶と原料融液との固液界面形状を調整することにより、v/G値を所望の値(あるいは範囲)に制御しながら、半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる。他の構成は図1に示す半導体単結晶成長装置と異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
【0030】
【実施例】
図1に示すような本発明に係わる結晶育成装置を用い、初期原料チャージ量250kgで、32インチのホットゾーンを用いて、直径12インチのシリコン単結晶の育成試験を行った。本試験では、直胴部行程時の初期結晶回転並びにルツボ回転をそれぞれ12rpm及び6rpmに設定した。本育成試験を始める前に、予備試験によって融液残量と係数α、βの関係を図11のように求めた。さらに、式(5)から固液界面の凹み量Lb[mm]と重量偏差|Wo−Wc|[g]の関係が図4のように求められるので、図11及び図4を基に固液界面がフラットになるように結晶回転及びルツボ回転をそれぞれ図5のように制御しつつ、結晶の軸方向及び径方向におけるv/G値が図10の無欠陥領域に合うように引上速度(成長速度)を図6のように調節しながら育成試験を行った。この結果、図7に示すように直胴部位の全結晶軸方向にわたって固液界面の形状をほぼフラットに維持することができた。本試験で育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工したところ、結晶軸方向並びに径方向においてGrown−in欠陥が全く発生していないことを確認した。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係わる半導体単結晶成長装置によれば、単結晶成長時におけるv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態の概念図。
【図2】(a)は本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける固液界面の断面形状の概念図、(b)はその拡大図。
【図3】本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第2実施形態の概念図。
【図4】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げによる重量偏差と固液界面凹み量との関係を示す図。
【図5】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と結晶及びルツボ回転の関連図。
【図6】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と結晶育成速度との関連図。
【図7】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と固液界面凹み部量との関連図。
【図8】一般的な単結晶引上げにおける育成結晶内のv/G値と結晶径方向に現れるGrown−in欠陥種の関連図。
【図9】一般的な単結晶引上げにおける直胴部育成中の固液界面形状の概念図。
【図10】一般的な単結晶引上げにおける育成結晶内のv/G値と結晶径方向に現れるGrown−in欠陥種の関連図。
【図11】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の融液残量と凹み量との関連を示す表。
【図12】図10における単結晶から切出されたウェーハ面内のGrown−in欠陥の分布図。
【符号の説明】
1 半導体単結晶成長装置
2 ルツボ
3 単結晶引上げ手段
4 電流供給手段
4a 切替スイッチ
4b 電流源
5 直径計測手段
6 重量計測手段
7 加熱手段
8 ルツボ制御手段
9 装置制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体単結晶成長装置に係わり、特に単結晶成長速度と単結晶内部の固液界面近傍の温度勾配の関係を改良した半導体単結晶成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスに使用される半導体単結晶に要求される結晶品質のレベルは年々高度化している。その要請に応えるべく結晶育成技術に関する研究も鋭意進んでいる。結晶品質の高度化を目指すための重要な課題の一つに、結晶育成中に結晶内に導入される結晶欠陥(以下、Grown−in欠陥と略す)を低減することが挙げられる。
【0003】
最近の研究において、Grown−in欠陥の育成結晶内における三次元的空間分布と育成中の結晶の固液界面形状との相関関係が明らかにされるようになってきた。V.V.Voronkov(1982)によると、育成結晶の成長速度v[mm/min]と固液界面近傍における成長軸方向の結晶内温度勾配G[℃/mm]との比v/G[mm2/℃・min]というパラメータをとった場合、このv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値によって結晶内のGrown−in欠陥種が決定されるとしている。
【0004】
図8は、直径12インチシリコン単結晶におけるv/G値とGrown−in欠陥の結晶内径方向分布の関係を示した一例であるが、各v/G値に対する結晶の各径方向の位置に現れる欠陥種が決まっていることがわかる。ここで、図8中のV−リッチ領域とは原子空孔が凝集して形成された空孔型欠陥(以下Vと略称する)が濃集した領域を表しており、I−リッチ領域とは格子間シリコン原子に起因する格子間型欠陥(以下Iと略称する)転位ループの濃集領域を表している。また、OSF領域とは原子空孔と格子間シリコン原子とが外方拡散過程で対消滅して原子空孔濃度が著しく低下した領域で、ウェーハを酸化熱処理すると酸化誘起積層欠陥を発生させる領域である。無欠陥領域とは結晶欠陥が存在しない(もしくは非常に少ない)領域である。
【0005】
次に、固液界面の形状がGrown−in欠陥の分布に与える影響を説明する。通常、結晶育成過程の直胴部行程においては、結晶の固液界面形状は図9のライン1のように、結晶側に凹形状を示す。これは育成結晶の結晶内軸方向温度勾配G[℃/mm]が結晶の外周にいくほど大きくなるために起こる。結晶成長速度v[mm/min]が結晶の各径方向で一定であるから、育成中の結晶の同一成長面内におけるv/G値は図10に示すライン2のように、結晶の外周にいく程小さくなる。この場合、同一成長面内の各径方向で異なるv/G値を示すため、結晶の各径方向におけるGrown−in欠陥の種類も変わってくる。このような育成条件で得られた結晶からウェーハを切出したとき、そのウェーハ内の結晶欠陥分布は図12に示すようにウェーハ中心部にV−リッチ領域、ウェーハ外周部にI−リッチ領域、さらにその間にOSF領域及び無欠陥領域が存在するようになる。すなわち、1枚のウェーハ中に各種の欠陥領域が混在するようになる。この中でも特にV−リッチ領域に存在する結晶欠陥はCOP、LSTDなどと呼ばれ、ウェーハの酸化膜耐圧特性やデバイスの特性に悪影響を及ぼす。このようなウェーハをデバイスプロセスで用いた場合、デバイスの晶質や歩留に深刻な影響を及ぼす。
【0006】
また、上記のように、VとIの濃度は、v/G値によって決まり、v/G値が大きければV−リッチ領域、小さければI−リッチ領域、適正なv/G値に制御すると無欠陥領域が形成される。ここで、Gは原料融液の融点から僅か数十℃の温度範囲の温度勾配であり、単結晶と原料融液との固液界面の形状に大きく影響を受ける。最近では半導体デバイスの高歩留化のためにGrown−in結晶欠陥は、その密度及びサイズの低減が強く望まれている。
【0007】
そのため、単結晶成長時のv/G値の制御が極めて重要となっている。v/G値の制御においては、成長速度vと温度勾配Gの双方を同時に制御することが必須である。しかし、単結晶成長時には、単結晶の直径及び結晶特性を安定させるために、成長速度vや原料融液中の対流/温度分布、さらには単結晶成長後の熱履歴についても制御を行う。その結果、成長速度vと温度勾配Gの双方を任意に変化させることができず、v/G値を所望の範囲内に納めることがかなり困難となっている。
【0008】
従って、従来の半導体単結晶成長装置では、v/G値を所望の範囲内に制御しながら単結晶を製造することに限界があった。
【0009】
なお、特許文献1には、ペルチェ効果を単結晶成長の速度を制御するために利用した半導体単結晶成長装置が提案されているが、この装置はペルチェ効果による発熱/吸熱反応を単結晶の成長速度制御に用いるのみで、固液界面形状への影響についての対策がなされておらず、この装置で単結晶を引上げた場合、成長する単結晶の固液界面形状が、成長速度制御のために行ったペルチェ効果による熱量変化(=固液界面形状の変化を全く考慮していない熱量変化)の影響を大きく受けるため、v/G値を制御しながら品質の安定した半導体単結晶を高歩留で成長させることは困難である。
【0010】
また、特許文献2には、引上げられる単結晶の直径を制御するために、単結晶の重量変化から直径を検出する装置と光学的に直径を検出する装置を備えた半導体単結晶成長装置が提案されているが、この装置は単に両検出装置の動作を選択的に切替えて単結晶の直径を検出するものであり、v/G値を制御しながら品質の安定した半導体単結晶を高歩留で成長させることはできない。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−124890号公報(段落番号[0011]、[0012]、図1)
【0012】
【特許文献2】
特公平6−31194号公報(第2頁左欄第36〜42行、第1図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、単結晶成長時におけるv/G値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的実現のために、金属と半導体融液との接合面に電流を流すとペルチェ効果により接合面において発熱あるいは吸熱が生じること(電流の方法を逆にすることで発熱吸熱は完全に逆転する)、及び半導体融液が自由電子の放出により金属としての物性を示すことを利用してなされたものである。具体的には、単結晶状態の半導体と融液状態の半導体(疑似金属)との固液界面に電流を流すことで固液界面にペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を生じさせ、それによって固液界面形状を変化させて温度勾配Gを制御し、その結果としてv/G値を所望の値(範囲)に制御しながら半導体単結晶成長を行うものである。さらに、この半導体単結晶の直径を計測する直径計測手段からの計測値に基づいて、単結晶成長手段を制御して単結晶を成長させる工程中に、単結晶の直径及び結晶特性を安定させるために、成長速度vや原料融液中の対流/温度分布、さらには単結晶成長後の熱履歴についても制御を行うが、これらに加えて、電流供給手段から単結晶と原料融液との固液界面に電流を供給する。その結果、単結晶成長時に単結晶と原料融液との固液界面においてペルチェ効果による発熱あるいは吸熱が起きる。単結晶と原料融液との固液界面においてペルチェ効果による発熱が生じた場合には、ペルチェ効果を利用しない場合よりも多くの熱が固液界面に蓄積するため、原料融液が固化し難くなり、結果として固液界面形状は上凸方向に変化していく。単結晶と原料融液との固液界面に流れる電流の方向を逆にすると、固液界面において吸熱が生じるため、原料融液の固化が促進されて、固液界面形状は下凸方向に変化していく。また、ペルチェ効果による発熱量/吸熱量は接合面に流す電流値に比例するため、固液界面形状の上凸方向及び下凸方向への変化の度合いは固液界面に流す電流値の大きさに依存する。従って、電流供給手段から固液界面に供給する電流値及び電流の方向を、重量計測手段と直径計測手段との計測値から算出し制御することで、単結晶と原料融液との固液界面形状め制御、その結果v/G値の制御が容易となる。さらに、このペルチェ効果を利用した固液界面形状制御と、従来行われてきた単結晶及び融液の温度分布制御等とを組合わせることで、v/G値制御をより一層容易にかつ高精度に単結晶の引上げを行うことが可能となった。
【0015】
すなわち、本発明の1つの態様によれば、チョクラルスキー法を用いて単結晶を引上げる半導体単結晶成長装置において、引上げられる単結晶の直径を制御するための単結晶の重量変化を検出する重量検出手段と光学的に直径を検出する光学検出手段と、単結晶と原料融液との間に電流を供給するための電流供給手段を設け、原料が単結晶と原料融液との間に電流を流してペルチェ効果を働かせ、直径計測手段からの計測値に基づいて単結晶成長手段を用いて単結晶を成長させる工程中に、前記電流供給手段の電流値及び電流の方向を制御して単結晶と原料融液との界面をペルチェ効果によって加熱または冷却し、単結晶と原料融液との固液界面形状を制御することを特徴とする半導体単結晶成長装置が提供される。これにより、単結晶成長時におけるv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置が実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態の構成図である。
【0018】
図1に示すように、本第1実施形態の半導体単結晶成長装置1は、チョクラルスキー法を用いた単結晶の引上げに用いられ、導電性を有するルツボ2と、このルツボ2内に充填された半導体原料融液Mに浸漬される種結晶Sの先端に成長する半導体単結晶Igを引上げる単結晶引上げ手段3、単結晶Igと原料融液Mとの間に電流を供給する電流供給手段4と、単結晶Igの直径を計測する直径計測手段5と、単結晶Igの重量を計測する重量計測手段6と、原料融液Mを加熱する加熱手段7と、ルツボ2の回転等を制御するルツボ制御手段8と、装置全体を制御する装置制御手段9を有している。
【0019】
この装置制御手段9は、単結晶引上げ手段3、電流供給手段4、直径計測手段5、重量計測手段6、加熱手段7、ルツボ制御手段8を制御し、その制御は、事前に装置制御手段9にプログラムされた制御手順に従って行われ、また、必要に応じ装置制御手段9に設けられた入力手段からの入力により行われる。
【0020】
上記電流供給手段4は、供給電力量が制御可能でペルチェ効果による発熱/冷却量を可能とし、さらに、電流の方向を切替える切替スイッチ4aと、電流値を制御可能な電流源4bを有している。従って、単結晶Igの成長時に、電流供給手段4によって単結晶Igと原料融液Mとの間に電流を供給し、その電流を切替スイッチ4aと電流源4bとで制御することにより、単結晶Igと原料融液Mとの固液界面で形成されている半導体−(疑似)金属接合面において生じるペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を利用して固液界面形状を制御し、その結果v/G値を制御しながら単結晶を製造することを可能にしている。
【0021】
次に本第1実施形態の半導体単結晶成長装置を用いたシリコン単結晶の製造方法について説明する。
【0022】
図1に示すように、ルツボ2にシリコン多結晶原料を装填し、加熱手段7で加熱して原料融液Mとする。
【0023】
しかる後、種結晶Sを原料融液Mに接触させ半導体単結晶Igを成長させて引上げる。この単結晶引上げ工程において、CCDカメラからなる直径計測手段5によって、単結晶Igと原料融液Mの界面に発生するフュージョンリングを光学的に検出し、結晶の直径Dc[mm]を算出する。それと同時に結晶引き上げ機構に設置されたウェイトセンサーからなる重量計測手段6によって結晶重量Wg[g]を検出する。ここで、固液界面の断面形状を図2(a)及び図2(b)に示すように円弧状と仮定する。固液界面形状がフラットと仮定した場合の結晶重量をWo[g]、固液界面の中心部におけるフラット面からのズレ(以下、凹み量と記す)をLb[mm]、半導体単結晶の密度をρc[g/cm3]、半導体融液の密度をρm[g/cm3]とおくと、固液界面の凹部の体積△Vは、
【数1】
と表せる。また、この凹部に包有されているシリコン融液の重量をWm[g]とした場合、
【数2】
Wm=ρmx△V ……(2)
さらに、この凹部がシリコン単結晶の場合、つまり固液界面の形状がフラットな場合、この凹部のシリコン単結晶の重量をWs[g]とすると、
【数3】
Ws=ρc×△V ……(3)
と表せる。ここで、実測した結晶重量Wc[g]と固液界面がフラットだと仮定した場合の結晶重量Wo[g]の差Wc−Wo[g]が、上記(2)式と(3)式の差であるWm−Ws[g]で近似できる。すなわち、
【数4】
の関係が成り立つことを確認した。これにより、(1)式を(4)式に代入すると、
【数5】
という関係式が導かれる。従って、実測した結晶直径Dcと実測した結晶重量Wcが分かれば、界面形状がフラットと仮定した場合に理論的に求められる結晶重量Woとの偏差から、固液界面の凹み量Lb[mm]が計算される。従って、上記凹み量Lb[mm]をもって固液界面形状を表すことが可能となる。上記Lbが計算されると、固液界面の形状を任意に制御することが可能になる。ここで、結晶回転速度Sr[rpm]とルツボ回転速度Cr[rpm]によって、Lb∝α×Sr+β×Crなる関係が成立する。ここで、α及びβは、それぞれ結晶回転速度及びルツボ回転速度の変化量を決める係数で、0から10までの値をとり得る。α及びβは、結晶育成炉内のホットゾーン構成並びに育成中の融液の残量によって予め決定される。
【0024】
このように、育成結晶の固液界面の形状をin−situ(その場)検出することが可能となる。
【0025】
さらに、上記単結晶引上げ工程において、例えば、n型の半導体単結晶を製造する場合には、切替スイッチ4aにより電流供給手段4から供給される電流の方向を図1中矢印aに設定すると、単結晶Igと原料融液Mとの固液界面でペルチェ効果による発熱が生じるため、固液界面形状は上凸方向に変化する。逆に、切替スイッチ4aで電流の方向を矢印b(矢印aと逆方向)に設定すると、固液界面では吸熱が起こるため、固液界面形状は下凸方向に変化する。なお、p型の半導体単結晶を製造する場合には、電流の方向に対する発熱/吸熱は、n型の場合とは逆になる。
【0026】
上記単結晶引上げ工程において、育成結晶の固液界面の形状をin−situ検出しながら、電流供給手段4の電流値及び電流の方向を制御して、育成結晶の固液界面をペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を制御し、単結晶と原料融液との固液界面形状を調整することにより、v/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値を所望の値(あるいは範囲)に制御しながら、半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる。
【0027】
また、本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第2実施形態について説明する。
【0028】
上記第1実施形態が電流供給手段に電導性ルツボを用いるのに対して、本第2実施形態は電流供給手段に原料融液と接触する電極を用いるものである。
【0029】
例えば、図3に示すように、本第1実施形態の半導体単結晶成長装置1Aは、チョクラルスキー法を用いた単結晶の引上げに用いられ、ルツボ2Aが電導性を有していないものが用いられ、原料融液Mへ電流を供給するために、電極11Aを例えば原料融液Mに挿入して原料融液Mと接触させる。従って、上記第1実施形態と同様に、育成結晶の固液界面をペルチェ効果による発熱あるいは吸熱を制御し、単結晶と原料融液との固液界面形状を調整することにより、v/G値を所望の値(あるいは範囲)に制御しながら、半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる。他の構成は図1に示す半導体単結晶成長装置と異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
【0030】
【実施例】
図1に示すような本発明に係わる結晶育成装置を用い、初期原料チャージ量250kgで、32インチのホットゾーンを用いて、直径12インチのシリコン単結晶の育成試験を行った。本試験では、直胴部行程時の初期結晶回転並びにルツボ回転をそれぞれ12rpm及び6rpmに設定した。本育成試験を始める前に、予備試験によって融液残量と係数α、βの関係を図11のように求めた。さらに、式(5)から固液界面の凹み量Lb[mm]と重量偏差|Wo−Wc|[g]の関係が図4のように求められるので、図11及び図4を基に固液界面がフラットになるように結晶回転及びルツボ回転をそれぞれ図5のように制御しつつ、結晶の軸方向及び径方向におけるv/G値が図10の無欠陥領域に合うように引上速度(成長速度)を図6のように調節しながら育成試験を行った。この結果、図7に示すように直胴部位の全結晶軸方向にわたって固液界面の形状をほぼフラットに維持することができた。本試験で育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工したところ、結晶軸方向並びに径方向においてGrown−in欠陥が全く発生していないことを確認した。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係わる半導体単結晶成長装置によれば、単結晶成長時におけるv/G(結晶成長速度/結晶内温度勾配)値が制御され半導体単結晶を安定かつ高歩留で製造することができる半導体単結晶成長装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第1実施形態の概念図。
【図2】(a)は本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける固液界面の断面形状の概念図、(b)はその拡大図。
【図3】本発明に係わる半導体単結晶成長装置の第2実施形態の概念図。
【図4】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げによる重量偏差と固液界面凹み量との関係を示す図。
【図5】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と結晶及びルツボ回転の関連図。
【図6】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と結晶育成速度との関連図。
【図7】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の結晶固化率と固液界面凹み部量との関連図。
【図8】一般的な単結晶引上げにおける育成結晶内のv/G値と結晶径方向に現れるGrown−in欠陥種の関連図。
【図9】一般的な単結晶引上げにおける直胴部育成中の固液界面形状の概念図。
【図10】一般的な単結晶引上げにおける育成結晶内のv/G値と結晶径方向に現れるGrown−in欠陥種の関連図。
【図11】本発明の半導体単結晶成長装置を用いた単結晶引上げにおける直胴部工程時の融液残量と凹み量との関連を示す表。
【図12】図10における単結晶から切出されたウェーハ面内のGrown−in欠陥の分布図。
【符号の説明】
1 半導体単結晶成長装置
2 ルツボ
3 単結晶引上げ手段
4 電流供給手段
4a 切替スイッチ
4b 電流源
5 直径計測手段
6 重量計測手段
7 加熱手段
8 ルツボ制御手段
9 装置制御手段
Claims (1)
- チョクラルスキー法を用いて単結晶を引上げる半導体単結晶成長装置において、引上げられる単結晶の直径を制御するための単結晶の重量変化を検出する重量検出手段と光学的に直径を検出する光学検出手段と、単結晶と原料融液との間に電流を供給するための電流供給手段を設け、単結晶と原料融液との間に電流を流してペルチェ効果を起し、直径計測手段からの計測値に基づいて単結晶成長手段を用いて単結晶を成長させる工程中に、前記電流供給手段の電流値及び電流の方向を制御して単結晶と原料融液との界面をペルチェ効果によって加熱または冷却し、単結晶と原料融液との固液界面形状を制御することを特徴とする半導体単結晶成長装置。
Priority Applications (1)
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JP2003145136A JP2004345907A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | 半導体単結晶成長装置 |
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-
2003
- 2003-05-22 JP JP2003145136A patent/JP2004345907A/ja active Pending
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