JP2004345109A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Tmaxは記録ヘッド10が画像欠陥を起こさない上限温度である。印字領域n2を印字終了した後の温度T2と,次に印字する印字領域n3の印字データの内容から,印字領域n3の印字を終了した時点の記録ヘッド10の予測温度T3を求めると(一点破線),T3が上限温度Tmaxを超えてしまう場合、偶数番目のノズルのみを印字に用いて,駆動周波数f1,キャリッジ速度v1で印字領域n3の印字を行う(n3a)。次に奇数番目のノズル22のみを用い,紙送りを行わずに往路と同じ印字領域n3aの上に重ねて印字を行なう(印字領域n3b)。このときノズル22を全数の半分だけ使用しているので,記録ヘッド10の温度上昇が抑えられ,上限温度Tmaxを超えることはない。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、画像信号に応じてノズルからインクドロップを紙に吐出し,記録を行なうインクジェット記録方式には,ノズルからインクドロップを吐出するための駆動力として,電気−熱変換素子(以下発熱体と呼ぶ)に電気パルスを印加し,発熱体の発熱によりバブルを生じさせ,その圧力でインクドロップをノズルから吐出させるサーマルインクジェット方式がある。
【0003】
このサーマルインクジェット記録方式において,連続印字によりヘッド温度が高くなりすぎると,インクドロップの噴射が不安定,あるいは不吐出になり,画素の抜けが生じるなどの問題があった。この問題を解決するため,ヘッドの温度を検出,あるいは予測し,次の印字走査で画像欠陥を起こす温度を超えると判断した場合には,画像データにマスクをかけ(間引きして),欠陥を起こさない最大のノズル数で印字する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この場合には印字に使用されるノズル数が減少するため,マスクをかけて印字した印字領域の濃度が低下する。すなわち間引き印字を行う前と後で画像濃度が異なり,バンディング(縞模様)の発生という新たな問題が生じることになる。
【0005】
また,温度情報に基づき,温度上昇が発生する危険がある場合には駆動周波数とキャリッジ走査速度を低下させ,温度上昇を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、サーマルインクジェットにおいて,ノズルから噴射されるインク滴の大きさは図7に示すように駆動周波数への依存性を有している。
【0006】
従って通常周波数fHzで画像を印字中に記録ヘッドの温度上昇を検知し,温度による画像欠陥を防止するために途中から例えば半分の駆動周波数f/2Hzで印字した場合には、インク滴の大きさが異なるため、駆動周波数を変更する前と後とでは印字濃度が異なり,やはりバンディングが生じてしまう。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−239989号公報(図3、第3頁〜第7頁)
【特許文献2】
特開2002−036514号公報(図12、第10頁〜第12頁)
【0008】
【発明が解決すべき課題】
本発明は上記事実を考慮し、連続して印字しても画像欠陥の発生しないインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0009】
【発明を解決する手段】
請求項1に記載のインクジェット記録方法は、記録紙にインク滴を噴射し画像を形成するノズルを複数有する記録ヘッドを駆動し、記録紙上を走査することにより記録紙上に印字領域を形成するインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドの全部のノズルを所定の駆動周波数で使用可能とする第1の印字モードと、前記記録ヘッドの複数のノズルを選択的に使用して前記第1の印字モードと同一の駆動周波数で所定の印字領域に第1回目の印字を行ない、前記記録ヘッドを再度走査させ、前記第1回目の印字で使用しなかったノズルの一部または全部を使用して前記所定の印字領域に同一の駆動周波数で再度印字を行なう第2の印字モードとを備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成の発明では、第2の印字モードにおいて、通常の印字モードである第1の印字モードと同じ駆動周波数で記録ヘッドを駆動することにより、記録ヘッドから吐出されるインク滴の大きさを通常の印字モードと同一に保ち、印字モードを切替えてもバンディングの発生を防ぐことができる。
【0011】
請求項2に記載のインクジェット記録方法は、前記第2の印字モードにおいて所定の印字領域に3回あるいは4回以上の印字を行なうことを特徴とする。
【0012】
上記構成の発明では、記録ヘッドの温度上昇が著しい場合に印字の分割回数を3回以上にすることで、高濃度の画像を連続して印字しても対応可能となる。
【0013】
請求項3に記載のインクジェット記録方法は、複数のノズルを選択的に使用するか否かの判断を前記記録ヘッドの温度によって行なうことを特徴とする。
【0014】
上記構成の発明では、画像欠陥の発生原因となる記録ヘッドの温度によって印字モードを切替える判断を行なうことで、的確な印字モードの切替えを行なうことができる。
【0015】
請求項4に記載のインクジェット記録方法は、複数のノズルを選択的に使用するか否かの判断を環境温度、インクを吐出するノズルの数、および前記記録ヘッドに印加される電気信号のうち一つまたはそれ以上から行なうことを特徴とする。
【0016】
上記構成の発明では、専用のセンサ等を設けずに、他の用途と併用可能なセンサを使用し、あるいは記録ヘッドの制御部において得られる数値を印字モード切替の判断に用いることで部品数の削減やコストダウンの効果が得られる。
【0017】
請求項5に記載のインクジェット記録装置は、請求項1乃至請求項4に記載のインクジェット記録方法を使用することを特徴とする。
【0018】
上記構成の発明では、記録ヘッドの駆動周波数を変えずに、使用するノズルの数を変更して温度上昇に対応することでバンディングの発生しないインクジェット記録装置とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1及び図2には、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドが示されている。
【0020】
図1に示すように記録ヘッド10は発熱基板12と流路基板14を接合して形成されたものであり、流路基板14の表面に開口したインク供給口16から供給されたインクが、共通液室18、個別流路20を介してノズル端面21に開口したノズル22からインク滴として吐出される。
【0021】
共通液室18の個別流路20近傍には、図1に示すように、発熱基板12と流路基板14の間に一定間隔で柱が形成されたフィルタ24が設けられており、共通液室18に流入したゴミ等を個別流路20に至る手前で濾過し、ノズル22からインク滴が吐出不能となることを防止している。
【0022】
個別流路20は、ノズル22側と共通液室18側にそれぞれ前方絞り26と後方絞り28を備えると共に、凹部30を備えることによって、後述のバブルによって効率的にインク滴を吐出する。
【0023】
一方、発熱体基板12には、流路基板14の凹部30と対面する位置に発熱体32が配置され、通電によって発熱し、インク中の発熱体32上にバブルを発生する。このバブルの発生により加圧された個別流路20内のインクはノズル22から液滴となって吐出され、用紙48に着弾して画像のドットを形成する。
【0024】
また、インクジェット記録ヘッド10内には、温度センサ34が設けられており、これによってインクジェット記録ヘッド10の温度が検出される。
【0025】
続いて、インクジェット記録ヘッド10が一体的に形成されたインクカートリッジが装着されるインクジェット記録装置について説明する。
【0026】
インクジェット記録装置40は、図3に示すように、ガイドシャフト42に沿って走査されるキャリッジ44にインクカートリッジ46が装着され、インクカートリッジ46の先端に一体的に設けられたインクジェット記録ヘッド10から用紙48にインク滴が吐出されることによって、用紙48に画像が記録される構造となっている。
【0027】
このインクジェット記録装置40の印字方法の一例を図4を用いて説明する。
【0028】
図4(a)に示す一括印字モードを選択するとノズル22全てを印字に用い,往路▲1▼で記録ヘッド10は駆動周波数f1、キャリッジ速度v1でノズル22の配置された幅すなわち印字領域の幅に印字を行う。次に印字領域の幅の分だけ用紙48を搬送し,記録ヘッド10は復路▲2▼で隣接する印字領域に同様にf1、v1で印字を行なう。
【0029】
このとき、キャリッジ44の走査速度v1は走査方向のドット間距離(ピッチ)をdとすれば,v1=d×f1で決められる。この一括印字モードでは、ノズル22すべてを印字に用いて往復で印字を行なうため印字速度が早くなる。
【0030】
図4(b)に示す高濃度印字モードでは,ノズル22全てを印字に用い,往路▲1▼で印字領域に印字を行う。次に印字領域幅の半分だけ用紙48を搬送し、復路▲2▼では印字領域の半分が重なるように走査する。この走査における走査方向の印字ドット位置は往路と同じ位置に印字する(=重ねる)ことができる。あるいは走査方向のドットピッチを半ピッチだけずらして印字を行うことも可能である。この高濃度印字モードでは,前述の一括印字モードより印字時間は長くなるが,高い画像濃度を得ることができる。
【0031】
以下の実施例においては,上記2種類の印字モードのうち一括印字モードに基づいて説明を行うが,高濃度印字モードにおいても,また通常のインクジェットプリンタで採用されている他の印字モードにおいても,本発明は適用可能である。
【0032】
本発明の第1実施例に係るインクジェット記録装置においては、1印字領域幅分の印字が終了すると,温度センサ34の出力結果や,次の印字領域で印字する画像データ(印字ピクセル数や濃度等)等から,次の印字領域の印字終了時にどれだけ記録ヘッド10の温度が上昇するかを予測し、次の印字領域における印字方法を決定する。温度上昇の予測には,印字中の記録ヘッド10の温度変化カーブや,環境温度の数値を用いる。
【0033】
図5は印字による記録へッド10の温度上昇パターンの一例であり、図6は用紙48上における印字領域の印字順序を示している。図5において、Tmaxは記録ヘッド10が画像欠陥を起こさない上限温度である。
【0034】
まず印字領域n1を印字した後の温度T1と,次の印字領域n2の印字データの内容から,次の印字領域n2を印字しても記録ヘッド10の温度Tは上限温度Tmaxを超えないと予測できた時点で,印字領域n1と同じ印字方法で印字領域n2に印字を行う判断が下される。
【0035】
次に印字領域n2を印字終了した後の温度T2と,次に印字する印字領域n3の印字データの内容から,印字領域n3の印字を終了した時点の記録ヘッド10の予測温度T3を求めると(一点破線),T3が上限温度Tmaxを超えてしまうことが判る。
【0036】
そのため、図6(a)のように偶数番目のノズルのみを印字に用いて,駆動周波数f1,キャリッジ速度v1で印字領域n3の印字を行う(n3a)。ここで偶数番目のノズル22だけに印字させる方法としては,画像データにマスキングをかけても良く,記録ヘッド10や記録装置内部の制御回路において,偶数番目のノズル22のみに印字信号が印加されるよう選択可能にしても良い。
【0037】
このように偶数番目のノズル22のみによる印字を行った場合の、記録ヘッド10の温度上昇パターンが図5に破線で示されている。
【0038】
次に奇数番目のノズル22のみを用い,紙送りを行わずに往路と同じ印字領域n3aの上に重ねて印字を行なう(印字領域n3b)。
【0039】
上記のように、次回の印字で記録ヘッド10の温度がTmaxを超えると予測される時の印字動作中(印字領域n3a、n3b)は、ノズル22を全数の半分だけ使用しているので,記録ヘッド10の温度上昇が抑えられ,上限温度Tmaxを超えることはない。
【0040】
また、このような印字方法を用いて印字した印字領域n3aとn3bは,駆動周波数f1においてはそれ以前の印字領域n1、n2と同じであり,1つのノズル22から吐出するインク滴の液量はほぼ同じであるため,n3aとn3bを重ねて印字した印字領域の画像濃度も,それ以前の印字領域の画像濃度とほぼ同じになる。これにより、画像濃度変化によるバンディングの問題は生じない。
【0041】
さらに、印字に使用するノズル22の数を半分に減らしても、記録ヘッド10の予想温度が上限温度Tmaxを超えると判断された場合には,さらに偶数ノズルの半分のみを印字に用いるなど,印字に使用するノズル22の数をさらに減らして印字することもできる。あるいは記録ヘッド10の温度が充分に低下するまで印字動作を休止するようにしてもよい。
【0042】
ところで、記録装置の構成によっては、同時に使用するノズル22の数が多い場合、記録ヘッド10で消費される電力が多くなり、記録装置の電源容量が不足する場合が考えられる。この場合でも、上記と同様の印字方法を使用して、電源容量の不足による画質欠陥を防止することができる。
【0043】
すなわち、同時に使用するノズル22の数が多い場合,記録装置の電源の容量が不足し,記録ヘッド10に十分な電力を供給することができなくなることがある。また、電流量が増加すると,記録ヘッド10までの配線抵抗や,記録ヘッド10内部の配線抵抗による電圧降下が生じ,記録ヘッド10に十分な電力を供給することができなくなる。
【0044】
このため、これから印字する印字領域の画像情報,例えば印字ピクセル数の情報や,画像データにおける密度情報から,記録ヘッド10に十分な電力供給が可能かどうか判断し,不可能であると判断した場合には上記方法と同様に、印字に使用するノズル22の数を減少させることで,同じ駆動周波数,同じ走査速度で複数回走査、印字することで一つの印字領域を印字させ,画像欠陥を防止するとともに,画像濃度変化によるバンディングを防止することができる。また、記録ヘッド10を駆動するために大容量の電源を備える必要がなくなるので、従来よりも小型の電源で装置全体を駆動することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、連続して印字しても画像欠陥の発生しないインクジェット記録方法とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1形態に係る記録ヘッドの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1形態に係る記録ヘッドの構造を示す平面図である。
【図3】本発明の第1形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。
【図4】本発明の第1形態に係る印字領域と紙送り幅の関係を示す図である。
【図5】本発明の第1形態に係る記録ヘッド温度と印字パターンの関係を示す図である。
【図6】本発明の第1形態に係る印字領域と記録ヘッドの動作を示す図である。
【図7】記録ヘッドの駆動周波数とインク滴の液量を示す図である。
【符号の説明】
10 記録ヘッド
22 ノズル
32 発熱体
48 用紙
Claims (5)
- 記録紙にインク滴を噴射し画像を形成するノズルを複数有する記録ヘッドを駆動し、記録紙上を走査することにより記録紙上に印字領域を形成するインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドの全部のノズルを所定の駆動周波数で使用可能とする第1の印字モードと、
前記記録ヘッドの複数のノズルを選択的に使用して前記第1の印字モードと同一の駆動周波数で所定の印字領域に第1回目の印字を行ない、前記記録ヘッドを再度走査させ、前記第1回目の印字で使用しなかったノズルの一部または全部を使用して前記所定の印字領域に同一の駆動周波数で再度印字を行なう第2の印字モードとを備えたことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記第2の印字モードにおいて所定の印字領域に3回あるいは4回以上の印字を行なうことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記複数のノズルを選択的に使用するか否かの判断を前記記録ヘッドの温度によって行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記複数のノズルを選択的に使用するか否かの判断を環境温度、インクを吐出するノズルの数、および前記記録ヘッドに印加される電気信号のうち一つまたはそれ以上から行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至請求項4に記載のインクジェット記録方法を使用するインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
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JP2003141621A JP2004345109A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | インクジェット記録方法 |
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JP2003141621A JP2004345109A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | インクジェット記録方法 |
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JP2004345109A true JP2004345109A (ja) | 2004-12-09 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8794734B2 (en) | 2011-03-23 | 2014-08-05 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus |
US8851614B2 (en) | 2011-03-07 | 2014-10-07 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejection head and liquid ejection apparatus |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003141621A patent/JP2004345109A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8794734B2 (en) | 2011-03-23 | 2014-08-05 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus |
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