JP2009172927A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において、特に他の要素を用いることのない簡易な構成で、解消できない吐出不良を生じている吐出口による白すじの程度を低減する。
【解決手段】吐出不良の吐出口によってインクドットが形成されない不吐出領域84があるときに隣接する吐出口で通常の吐出を行なう場合には、広がり領域82は小さく吐出不良領域84を覆うことができない。これに対し、隣接する両側の吐出口について2倍の駆動周波数でインク吐出を行なうことにより、通常の場合と較べて2倍の密度でドットを形成する。これにより、広がり領域82は大きくなって吐出不良領域84を覆うことができ、白すじを低減することができる。
【選択図】図8

Description

本発明はインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録ヘッドにおける複数の吐出口の一部に吐出不良が生じた際の記録の補完に関するものである。
インクジェット方式の記録ヘッドは大別して、フルラインタイプのものとシリアルタイプのものが知られている。フルラインヘッドは、搬送される記録用紙の幅に対応した範囲に吐出口を配列したものである。そして、このタイプの記録ヘッドを用いた記録装置は、少なくとも記録動作時には固定された記録ヘッドに対して、搬送ベルトなどの搬送機構によって記録用紙を搬送しつつこの用紙に対してインクを吐出して記録を行なう。また、シリアルヘッドを用いた記録装置は、記録ヘッドをその吐出口配列の方向とほぼ直交する方向に走査するとともにこの走査の間に記録用紙などの記録媒体を上記吐出口配列方向にほぼ沿った方向に所定量搬送することを繰り返して記録を行なう。以上のように、フルラインヘッドはシリアルヘッドと較べてより多くの吐出口を配列したものである。
このようなフルラインヘッドやシリアルヘッドでは、一部の吐出口に不吐出や吐出方向の偏向など、所期の吐出がなされない吐出不良を生じることがある。これは、例えば、インクが増粘したり塵や気泡などの異物が吐出口やインク路を塞ぐことが原因となる。この他、熱エネルギーをインクに供給して膜沸騰による気泡を形成し、この気泡の圧力によって吐出口からインクを吐出する方式の記録ヘッドでは、上記熱エネルギーを発生する電気熱変換素子(ヒータ)が断線などすることが原因となることもある。上記熱エネルギーを用いる方式の記録ヘッドは、半導体製造方法と同様の方法で製造でき、吐出口等の構造を微細なものとすることができるものであり、用いる環境などによっては、特に吐出不良を生じ易いといえる。
このような吐出不良を未然に防止すべく、回復処理を行なうことも知られており、例えば、記録ヘッド内部を加圧し吐出口を介してインクや異物を排出したり、あるいはキャップを用い吐出口を介して吸引を行ない同様にインクを排出する処理が行なわれる。また、記録に関与しないインク吐出を行なって同様に増粘したインクを排出することが行なわれている。
しかし、このような回復処理によっても吐出不良を解消できない場合がある。例えば、増粘が著しくインクの色材である染料や顔料が吐出口などに固着している場合や気泡が比較的広い範囲に存在する場合には、上記の加圧回復や吸引回復を行なっても、吐出不良を解消できないことがある。また、ヒータが切断した場合など、吐出圧力を生じさせるための要素が機能しない場合は回復処理の有無にかかわらず吐出不良が解消しないことはもちろんである。
このような解消できない吐出不良が一部の吐出口に生じている場合、フルラインタイプのヘッドを用いる記録装置では記録媒体搬送方向に沿ってインクが吐出されないラインが存在し記録画像中に白すじとして現れる。また、シリアルタイプの記録装置にあっては記録ヘッドの走査方向の白すじが生じる。その結果、このような白すじによって記録品位が劣化することになる。
フルラインタイプの記録ヘッドはシリアルタイプのものと較べて吐出口の数が多いため、上記のような吐出不良の吐出口が発生する可能性も高くなる。また、記録ヘッドが使用されるにつれてこの吐出不良が発生する可能性も高くなる。
通常、このような解消できない吐出不良を生じている記録ヘッドは新しいものと交換される。しかし、交換によってコストが増すことや、交換に要する手間が煩雑になるという問題がある。
これに対し、特許文献1には、インク以外にこれとは異なる液体である処理液を吐出する記録ヘッドを用い、上記のような白すじを生じる箇所について処理液を吐出することにより、近傍のインクドットを白すじの部分に滲ませて白すじの程度を低減することが記載されている。この処理液はインク中の染料などの色材を不溶化するものであり、この処理液をインクとともに用いることにより、画像濃度が増すなど記録品位を向上させることが可能となる。ユーザーは、この構成により記録ヘッドの交換にかかわるコストや手間を免れることが可能となるとともに、ユーザーが望む限り、吐出不良の吐出口が存在する記録ヘッドを使いつづけることが可能となる。
特開2002−067297号公報
しかしながら、上述の方法は、プリンタ等の記録装置が処理液を吐出する記録ヘッドを用いるものであることが前提であり、通常のインクのみを用いる記録装置では実施できない方法である。
本発明はこの点を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、特に他の要素を用いることのない簡易な構成で、解消できない吐出不良を生じている吐出口による白すじの程度を低減することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
そのために本発明では、インクを吐出する複数の吐出口を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、記録ヘッドにおける複数の吐出口について吐出不良を検出する検出手段と、該検出手段が吐出不良を検出したとき、前記配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すように駆動条件を設定する駆動条件設定手段と、該駆動条件設定手段によって設定された前記少なくとも隣接する吐出口の駆動条件を含む駆動条件で記録ヘッドを駆動し記録を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
以上の構成によれば、検出手段が吐出不良を検出したとき、吐出口配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すようにするので、その増した量のインクが記録媒体において通常より広がって吐出不良の吐出口で記録すべき領域まで及び、この領域によって記録画像に生じる白すじを低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明が適用されるインクジェット記録装置としてのインクジェットプリンタの、主に記録部および記録媒体搬送部の概略構成を示す側面図であり、装置内部を透視して示す図である。同図に示すプリンタは、ブラック、シアン、このシアンより染料濃度が低いライトシアン、マゼンタ、このマゼンタより染料濃度が低いライトマゼンタおよびイエローのそれぞれについて、フルラインタイプの記録ヘッドを用いたものである。
図1において、記録部には、6種類のインクについて上記の順で記録ヘッド11a、11b、11c、11d、11e、11fが設けられている。また、これら記録ヘッドの下方で装置底部には、これらの記録ヘッドに供給するインクを貯留した、ブラックタンク12a、シアンタンク12b、ライトシアンタンク12c、マゼンタタンク12d、ライトマゼンタタンク12eおよびイエロータンク12fが、カートリッジ形態で装着されている。この装置では、6つの記録ヘッドが全体として上下に移動できるように構成されており、記録時には、プラテン上を搬送される用紙などの記録媒体に近接する位置13まで下降する。そして、搬送される記録媒体に記録データに従って順字インクを吐出して記録を行なう。
記録媒体14は、その積載量に応じて動作して常に一定の紙面高さを維持するトレイ15上に積載され、この搭載された記録媒体はピックアップローラ16および分離壁17との協働によって一枚づつ分離されつつ搬送部に給紙される。給紙される記録媒体は搬送部入り口にあるフォトインタラプタ形態のTOFセンサー18によって検知される。この検知を基準として搬送モータ19の駆動パルス数が監視され、それが一定数に達した時点で、ブラック記録ヘッド11aから、展開されたブラックの記録データに従ったインク吐出が開始される。さらに、駆動パルス数が次の一定数に達した時点でシアン記録ヘッド11bから、展開されたシアンの記録データに従ったインク吐出を開始される。以降同様に、ライトシアン記録ヘッド11c、マゼンタ記録ヘッド11d、ライトマゼンタ記録ヘッド11e、イエロー記録ヘッド11fからのインク吐出が開始される。
各記録ヘッドがインク吐出を開始した後、搬送モータの駆動パルス数が記録画像の縦サイズ分となった時点でインク吐出を終了し、次の記録用紙に対する記録開始を待機する。また、記録が終了した記録媒体は、積載部110に積載される。
以上説明した装置における各要素の制御およびデータ処理は、図9、図11、図12にて後述する処理を含め、CPU、RAM、ROMなどを有した装置制御部によって実行される。
図2は、図1に示したプリンタにおけるインク流路である、回復処理系およびインク供給系のインク流路を概略的に示す図である。
図2において、回復処理系およびインク供給系は、インクを吐出する記録ヘッド11とこれに供給するインクを貯留するインクタンク12と、インクを一時的に貯留し、大気連通口23と電極インク残量検知センサー215を有するサブタンク22と、回復処理に際して記録ヘッド11から吐出されたインクを受けるための回復桶24と、記録ヘッド11に対するインク供給の駆動力を発生するポンプ21と、インクタンク12からサブタンク22にインクを供給するととともに回復桶24からインクを回収してサブタンクに戻すためのポンプ25、ポンプ21から流れるインクを記録ヘッドから効率よく出すための流路を閉塞する電磁弁28、インク中に含まれる異物除去するフィルター211、212、213、214とを有して構成されている。このインク流路は、本インクジェットプリンタの本体内に配設されている。
図3は、図1および図2に示した本実施形態の記録ヘッドの概略構成を示す図である。
図3に示すように、記録ヘッドに関するインクの流れは、ポンプによってインクが供給される場合、このインクはインク吸入口31からフィルター213および供給経路33を介して記録ヘッド内の共通液室34に流れ込む。このとき、共通液室34内のインクは記録ヘッドの各吐出口35から排出されるものと、リターンの供給経路36、フィルター214およびインク吸出口38を通ってサブタンクに戻る。一方、インク吐出時は、記録ヘッドの吐出に伴い、吸入口31と吸出口38の両方を介してサブタンクからインクのリフィルが行なわれる。このとき、サブタンクのインク液面と記録ヘッドのオリフィス面との関係は、オリフィス面39の方が高い位置にあることから、常にオリフィス面39には水頭差が均一に作用し、これにより、安定したインク吐出が可能となる。
図4は、本実施形態の記録ヘッドの詳細な構造を示すインク吐出方向に沿った縦断面図である。本実施形態の記録ヘッドは、インクに気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体42が設けられた素子基板41と、この素子基板41上に接合された天板43と、素子基板41および天板43の前端面に接合されたオリフィスプレート44と、素子基板41と天板43とで構成されるインク路を有して構成される。
発熱体(ヒータ)42は電気抵抗層および配線をパターンニングして形成されるものであり、この配線を介して電気抵抗層に電圧を印加して電気抵抗層に電流を流すことで発熱体42が発熱する。そして、この熱エネルギーによってインク中に気泡が発生し、その圧力によって吐出口45からインクを吐出させる。本実施形態では、図4には記載していないが、素子基板上に素子基板の温度を検知するためのDiセンサーが配置されており、このDiセンサーの検出温度に応じて記録ヘッドの駆動条件が決定される。
発熱体42を含むインク路47には共通液室48が連通する。これらのインク路47および共通液室48は、天板43に一体に形成される、流路壁49およびそれに続く隔壁が素子基板41に接合されることによって形成される。オリフィスプレート44には、各インク路47に対応して吐出口45が設けられている。サブヒータ46は素子基板41上の共通液室内に設けられており、記録ヘッド内のインクの温度を一定に保ち、これにより、インクの粘性を安定させることで安定吐出範囲内でインク吐出を行なうことが可能となる。
本実施形態では、インク吐出量がインクの温度に依存することを考慮し、発熱体に印加する駆動信号のパルス幅を、Diセンサーが検出するヘッド温度、または環境温度によって異ならせることにより吐出量制御を行う。これにより、吐出量を一定の範囲に治めて安定した記録を行うことが可能となる。本実施形態の駆動信号(駆動パルス)は、分離された2つのパルス信号(ダブルパルス)である。図5は、この駆動信号の波形を示す図である。図において、P1はプレヒートパルスのパルス幅、P2はパルス休止時間、P3はメインヒートパルスのパルス幅を示している。1回の吐出で、P1、P2、P3の順にパルスを与えるが、各インク色の記録ヘッドごとにDiセンサの出力値に応じた休止時間P2を定める。パルス幅P1のプレヒートパルスは、主にインク路内のインク温度を上昇させ、パルス幅P3のメインヒートパルスによりインク滴が安定して吐出されるようにするものである。この場合、パルス幅P1は発泡によってインクが吐出しないようにする。休止時間P2を検出温度に応じて吐出量を変更する。そして、メインヒートパルスにより、ヒータ上に発泡現象を発生させ吐出口よりインクを吐出させる。上記の休止時間P2の決定は、検出温度に応じた補正テーブルを用いて行なう。
以上説明した本発明の実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける白すじ低減に関するいくつかの実施形態を以下に説明する。
(第1実施形態)
図6(a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる白すじ低減方法を説明する図である。
記録の前に予め記録ヘッド11に回復処理によって吐出不良が解消できない吐出口が有るか否かを調べる。図6(a)に示すように、吐出不良の吐出口は、1つの吐出口72または連続した複数の吐出口からなる吐出口群72として検出される。
本実施形態では、図9にて後述されるように、二重の検出を行なう。すなわち、ヒータ42に通電してヒータまたはヒータへの電気配線に切断等の損傷がないか否かを調べる。この検出でヒータに正常な通電がなされていると判断したときでも、さらに検出のためのパターンを記録し、それを記録媒体の搬送路上に設けた光学センサによって検出する。
このような検出によって吐出不良が検出される吐出口もしくは吐出口群が存在する場合は、図6(b)および(c)に示されるように、記録媒体の搬送につれてインクが全く吐出されないかあるいは吐出量が少ない部分として白すじ75が形成されて行く。上記の検出パターンがこれら図に示すものとすると、上記検出センサはこの白すじ部分75の濃度を低く検出するとともに、装置制御部はその検出信号に基づいて濃度が低い旨を記録ヘッドの吐出口位置に対応させて記憶する。また、本実施形態では、上記検出で吐出不良と判断された吐出口に対応する記録データを削除(非吐出のデータと)する。
そして、上記吐出口もしくは吐出口群に隣接する両側の正常な吐出口または吐出口群について、他の正常な吐出口の駆動(吐出)周波数の2倍の駆動周波数で駆動してインク吐出を行なうことにより、インクドットの密度を2倍にする。すなわち、記録媒体の単位面積あたりに付与するインク量を増すと記録媒体表面でインクが広がり形成されるインクドットが大きくなることを利用して、白すじとなる濃度が低い部分までインクを広げ、これにより、白すじの程度を低減するものである。ここで、駆動周波数の変更はインクのリフィルなどを考慮して吐出不良が生じない範囲でヘッドドライバへ駆動パルスを供給する周波数を変更することによって行なう。また、本実施形態におけるドット密度の増加は、白すじが発生する領域に隣接する吐出口について単純に駆動周波数を増加させてドット密度を増すのではなく、記録データが示すドット密度に基づきそれの2倍となるようにするものである。従って、記録データが示すドット密度(すなわち吐出デューティー)が、100%より低い場合は、記録時の駆動周波数として通常設定されている周波数を増すことなく、吐出デューティーを増すことによってドット密度を増すことになる。この場合、全体的に付与されるインク量が少なく広がり領域82(図8(a)および(b))の大きさが不充分となる可能性があるが、その場合には吐出デューティーを増す吐出口を隣接する1つの吐出口だけでなく2つ以上とすることによって対処することができる。以上の構成により、記録画像の画質をそれほど損なうことなく白すじの低減を行なうことが可能となる。なお、ドット密度を増してもそれほど画質が損なわれないような場合などは、白すじが発生する領域に隣接する吐出口について単純に駆動周波数を増加させるようにしてもよい。
図7(a)および(b)はこの白すじ低減を説明する図である。図7(a)は、通常の記録における1つの吐出口によるインクドット形成およびそれによる記録媒体表面での行くの広がりを示しており、記録データがその吐出口について連続的に吐出する場合を示している。この場合、形成されるドット81に対してインクの拡がる領域は領域82となる。これに対し、図7(b)は、図7(a)に示す通常の場合に較べ2倍の吐出周波数でインクドット81を形成し、インクが拡がる領域をより大きな領域82としたものを示している。
本実施形態では、吐出不良によって濃度が低くなる領域に隣接する領域に対応した吐出口について通常の2倍の駆動周波数で駆動しインクを吐出する。図8(a)および(b)はこれを具体的に示す図であり、同図(a)は通常の場合を示し、同図(b)は本実施形態による白すじ低減を示すものである。図8(a)に示すように、吐出不良の吐出口によってインクドットが形成されない不吐出領域84があるときに隣接する吐出口で通常の吐出を行なう場合には、広がり領域82は小さく吐出不良領域84を覆うことができない。これに対し、本実施形態にかかる図8(b)に示すように、隣接する両側の吐出口について2倍の駆動周波数でインク吐出を行なうことにより、通常の場合と較べて2倍の密度でドットを形成する。これにより、広がり領域82は大きくなって吐出不良領域84を覆うことができる。この結果、記録画像において白すじを認識できないかあるいは目立たない程度まで低減することが可能となる。
なお、上例では、吐出不良の吐出口を補完するための隣接吐出口でのインク吐出に関して、吐出不良の吐出口の両側の1つの吐出口について通常の駆動周波数より高い周波数で駆動するものとしたが、吐出不良の吐出口の数、画像の解像度(画素密度)、吐出口の吐出量、記録媒体の種類などに応じて、駆動周波数および/または駆動周波数を増す吐出口の数を変えてもよい。すなわち、解像度が低いほど、吐出量が少ないほど、また、記録媒体のインク吸収性がインクの広がり難いものほど、隣接する吐出口の駆動周波数をまし、また、駆動周波数を増す吐出口を隣接する1つでなくより多くする。
また、図8の説明では吐出不良領域84の全体をインクの広がりが覆うものとしたが、必ずしも全体を覆う必要はなく、隣接のインクドット形成を通常より密度が高くなるようにすることにより、記録画像全体で画質を損なうことがない程度に白すじが低減されればよい。
図9は、以上説明した吐出不良吐出口の検出およびそれに基づく記録動作の手順を示すフローチャートである。
本処理は、例えば1頁分の画像データについて記録が行なわれるごとに起動され(S61)、まずステップS62で、各記録ヘッドの全ての吐出口についてのヒータへの通電を判断する。ここで、いずれの吐出口についても通電に不良がないと判断したときは、ステップS63で検出パターンを記録する。続いて、ステップS64でこのパターンを光学センサによって読取り、ステップS65で吐出不良の有無を吐出口の位置とともに判断する。
この判断で吐出不良の吐出口がいずれの記録へッドにも存在しないと判断した場合は、通常の記録動作を行なう。一方、ステップS65の判断で吐出不良の吐出口が存在すると判断した場合は、ステップS66で吐出不良情報である吐出口の位置を、例えば上述した、画像の解像度、吐出口の吐出量、記録媒体の種類の情報とともにを所定のメモリに記憶する。
そして、ステップS67で、吐出不良の吐出口が1つかまたは2つ以上連続しているか否かを上記情報によって判断する。この判断に応じ、吐出不良の吐出口が連続すると判断したときは、ステップS68でそれらの吐出口に両側で隣接するそれぞれn個の吐出口について駆動周波数を増す処理を行なう。ここで、nの値は上述したように、吐出不良の吐出口の数に応じて定める。一方、吐出不良の吐出口が1つと判断したときは、ステップS69でその吐出口に両側で隣接するそれぞれ1個の吐出口について駆動周波数を増す処理を行なう。そして、ステップS611で上記のように駆動周波数を変更した吐出口を含む吐出口からインクを吐出して記録を行なう。
以上説明したように、本実施形態によれば、吐出不良の吐出口が存在する記録ヘッドを用いても白すじが低減された記録品位の低下のない良好な記録を行なうことができる。また、例えば不良吐出口の補完のための特別な記録ヘッドを設ける必要が無く記録装置自体の構成が複雑になることを防止できる。さらには吐出不良によって記録速度を低下させることが無く、記録のスループットの低下を防止できる。
(第2実施形態)
本発明の第二の実施形態は、記録する画像によって形成されるインクドットの密度、すなわち吐出のデューティーが低い場合の白すじ低減に関するものである。吐出デューティーが低い場合、記録媒体に付与されるインクの量が少なくなる。
図10(a)の左側には、例えば50%デューティーで記録を行なうときに吐出不良の吐出口が発生した場合において、通常の記録を行ったときの、吐出不良の吐出口による吐出不良領域84とその吐出口の両側の吐出口によるインクドット81の関係が示される。これに対して上述した第1の実施形態の方法を適用し、隣接するそれぞれ1つの吐出口についてドット密度を増すようにすると同図の右側のようになり、白すじ123が顕著に生じる。すなわち、両側のそれぞれ1つの吐出口についてドット密度増すべく2倍の吐出デューティーでインク吐出を行っても、元の記録データが示すドット密度が50%であることから増加後のドット密度は100%となる。その結果、付与されるインク量が不充分で広がり領域82が吐出不良領域84を充分に覆うまでには至らず、白すじ123は低減されずに目立つことになる。
これに対し、本実施形態のインクジェット記録装置は図10(b)に示すように、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのインク以外に、マゼンタおよびシアンについて染料濃度が低い淡マゼンタ、淡シアンのインクを吐出する記録ヘッドを用いるものであり、この構成を利用する。
具体的には、ブラック(K)インクの記録ヘッド125、シアン(C)インクの記録ヘッド126、淡シアン(LC)の記録ヘッド127、マゼンタ(M)の記録ヘッド128、淡マゼンタ(LM)の記録ヘッド129、イエロー(Y)の記録ヘッド1210をを用いて、記録媒体124が図中矢印方向に搬送される間にそれぞれインクを吐出して記録を行う場合、Cインクの記録ヘッド126、およびMインクの記録ヘッド128について本実施形態の白すじ軽減を行う。
図10(c)に示すように、吐出不良領域84の両隣の吐出口について、Cインクの記録ヘッド126から記録データに応じた50%のデューティーでCインクを吐出するともに、これによるCインクドットの隙間を埋めるようにLCインクの記録ヘッド127からLCインクを吐出してLCインクドット1211を形成するする。Mインクの吐出についても同様であり、LMインクによる補完を行う。これら淡インクの吐出デューティーは、単位面積あたりのC、Mインクの記録濃度相当になるように設定する。これにより、吐出不良領域84を覆うように広がり領域82を大きくでき、白すじを低減することができる。なお、上記隣接する吐出口による淡インクによる補完では充分でないときは、不良吐出口の位置に対応する淡インクの吐出口から淡インクを吐出することにより、本来、不良の吐出口によって形成すべきドット1212を淡インクで形成する。
なお、K、LC、LM、およびYインクの記録へッドにおける吐出不良吐出口の補完は、上記第1実施形態で説明した方法で行う。
以上説明した本実施形態の白すじ低減のシーケンスを図11に示すフローチャートを参照して説明する。
図11に示すフローチャートにおいてステップS108までの処理は、上記第1実施形態にかかる図9に示すステップS67までの処理と同様である。図11において、ステップS109またはS1010ではそれぞれ、まず吐出不良吐出口で吐出する数、すなわち吐出デューティーを求める。そして、そのデューティーに応じて、上述したように、両側のそれぞれn個(S109)または1つ(S1010)の吐出口と同じ位置の淡インク吐出口の吐出デューティーを変更する。そして、ステップS1011で、この淡インクの吐出口についてはこの変更した吐出デューティーで記録を行う。
(第3実施形態)
本実施形態は、上記第1および第2実施形態で示したインクドット密度を増すことに加え、その増したインクドットを形成するための吐出インク量をさらに増すものである。
図12は本実施形態の白すじ低減の手順を示すフローチャートである。同図のステップS119までの処理は、第1および第2実施形態のものと同様の処理である。図12において、ステップS1110で、吐出デューティーを増す吐出口について吐出量を増す設定を行う。具体的には、図5に示したパルスの休止時間P2変更することによって吐出量を増す。
本実施形態によれば、より効果的に白すじ低減を行なうことができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、フルラインタイプの記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置に本発明を適用した例について説明したが、本発明の適用はこの形態に限られなく、シリアルタイプのインクジェット記録装置に適用できることは、以上の説明からも明らかである。
以下、本発明の実施態様を示す。
[実施態様1]
インクを吐出する複数の吐出口を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
記録ヘッドにおける複数の吐出口について吐出不良を検出する検出手段と、
該検出手段が吐出不良を検出したとき、前記配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すように駆動条件を設定する駆動条件設定手段と、
該駆動条件設定手段によって設定された前記少なくとも隣接する吐出口の駆動条件を含む駆動条件で記録ヘッドを駆動し記録を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
[実施態様2]
前記駆動条件設定手段は、前記少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与するインク量を増すように駆動条件を設定することを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様3]
前記駆動条件設定手段は、前記少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって前記領域に形成するインクドットの密度を増すように駆動条件を設定することを特徴とする実施態様2に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様4]
前記駆動条件設定手段は、前記少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出量を増すように駆動条件を設定することを特徴とする実施態様2または3に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様5]
前記検出手段による検出にかかる記録ヘッド以外の、インクを吐出する複数の吐出口を配列した他の記録ヘッドをさらに用い、前記駆動条件設定手段は、前記少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、前記他の記録ヘッドからのインク吐出によって増すよう当該他の記録ヘッドの駆動条件を設定することを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様6]
前記他の記録ヘッドが吐出するインクの濃度は、前記検出にかかる記録ヘッドが吐出するインクの濃度より低いことを特徴とする実施態様5に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様7]
前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクに気泡を生じさせ該気泡の圧力によってインクを吐出することを特徴とする実施態様1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
[実施態様8]
インクを吐出する複数の吐出口を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うためのインクジェット記録方法において、
記録ヘッドにおける複数の吐出口について吐出不良を検出し、
該検出ステップが吐出不良を検出したとき、前記配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すように駆動条件を設定し、
該駆動条件設定ステップによって設定された前記少なくとも隣接する吐出口の駆動条件を含む駆動条件で記録ヘッドを駆動し記録を行う、
ステップを有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
以上説明したように本発明によれば、検出手段が吐出不良を検出したとき、吐出口配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すようにするので、その増した量のインクが記録媒体において通常より広がって吐出不良の吐出口で記録すべき領域まで及び、この領域によって記録画像に生じる白すじを低減することができる。
この結果、インクジェット記録装置において、特に他の要素を用いることのない簡易な構成で、解消できない吐出不良を生じている吐出口による白すじの程度を低減することが可能となる。
本発明が適用されるインクジェット記録装置としてのインクジェットプリンタの、主に記録部および記録媒体搬送部の概略構成を示す側面図である。 図1に示したプリンタにおけるインク流路である、回復処理系およびインク供給系のインク流路を概略的に示す図である。 図1および図2に示した本実施形態の記録ヘッドの概略構成を示す図である。 本実施形態の記録ヘッドの詳細な構造を示すインク吐出方向に沿った縦断面図である。 記録ヘッドの駆動信号の波形を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態にかかる白すじ低減方法を説明する図である。 (a)および(b)はこの白すじ低減を説明する図である。 (a)および(b)は白すじ低減を具体的に示す図である。 本発明の第1実施形態にかかる吐出不良吐出口の検出およびそれに基づく記録動作の手順を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態にかかる白すじ低減方法を説明する図である。 本発明の第2実施形態にかかる吐出不良吐出口の検出およびそれに基づく記録動作の手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態にかかる吐出不良吐出口の検出およびそれに基づく記録動作の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
11、11a、11b、11c、11d、11e、125、126、127、128、129、1210 記録ヘッド
14、124 記録媒体
81 インクドット
82 広がり領域
84 吐出不良領域

Claims (1)

  1. インクを吐出する複数の吐出口を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    記録ヘッドにおける複数の吐出口について吐出不良を検出する検出手段と、
    該検出手段が吐出不良を検出したとき、前記配列において吐出不良であることを検出された吐出口の少なくとも隣接する吐出口について、該吐出口からのインク吐出によって記録すべき領域に付与するインク量を、当該吐出口に対応した記録データに基づく当該吐出口からのインク吐出によって前記領域に付与すべきインク量より増すように駆動条件を設定する駆動条件設定手段と、
    該駆動条件設定手段によって設定された前記少なくとも隣接する吐出口の駆動条件を含む駆動条件で記録ヘッドを駆動し記録を行う制御手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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