JP2004344064A - ローゼル茶及びローゼル茶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ローゼルの乾燥葉の粉末及びローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物を焙煎してなるローゼル茶により課題を解決した。また、ローゼルの葉を水洗した後、乾燥して、粉砕したローゼルの乾燥葉の粉末と、ローゼルの乾燥ガクの粉末を混合し、その後、20℃〜60℃で2分間〜10分間焙煎するローゼル茶の製造方法により課題を解決した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ローゼルのガクの粉末に熱湯を注いでできあがるハイビスカスティーのもつ非常に強い酸味が著しく抑制されたお茶を得ることができるローゼル茶及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の健康ブームから、ハーブティーを好んで飲む人が増加している。ハーブは多種多様な種類があり、甘みをもつもの、酸味の強いもの、苦みや渋みの強いものなど、その種類により独特の香味をもつ。
【0003】
従って、単にハーブを粉末状にしただけでは、ハーブのもつ独特の香味により飲みにくいため、果汁、香料、酸味料などを加え、ハーブ単独では飲みにくい独特の香味を調和して飲みやすくすることが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−178552号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ハイビスカスの原種で「ローゼル」という種類の花のガクを粉末にしたものに熱湯を注いでできあがるハイビスカスティーは、綺麗な赤い色をしており、美肌効果、老化予防、疲労回復、二日酔いやむくみの改善、パソコンなどによる眼精疲労の改善、のどの炎症の緩和、利尿作用等があるため、ハーブティーの中でも比較的人気が高い。
【0006】
しかし、ハイビスカスティーは、酸味が非常に強いため、多量の砂糖や蜂蜜などを加えて酸味を緩和する必要がある。それ故、ハイビスカスティーを大量に飲んだ場合には、糖分の摂取が過多になってしまい、却って体によくない結果となってしまう。
【0007】
本願発明の目的とするところは、ハイビスカスティーのもつ非常に強い酸味を著しく抑制し、糖分を加えずに安心して大量に飲用することができるお茶が得られるローゼル茶及びその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、上記目的を達成すべく様々な検討を重ねた結果、ローゼルの乾燥葉の粉末及びローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物を焙煎することにより上記目的を達成することを見い出し、本願発明をするに至った。
【0009】
即ち、本願発明のローゼル茶は、ローゼルの乾燥葉の粉末及びローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物を焙煎してなるものである。
【0010】
本願発明の好適形態においては、上記ローゼル乾燥混合物における上記ローゼルの乾燥ガクの粉末の配合重量は、前記ローゼルの乾燥葉の粉末の重量を1とした場合において、0.08〜0.4である。また、上記ローゼル乾燥混合物の焙煎は、30℃〜60℃で、2分間〜10分間行うものである。
【0011】
本願発明のローゼル茶の製造方法は、ローゼルの葉を水洗した後、乾燥して、粉砕したローゼルの乾燥葉の粉末と、ローゼルの乾燥ガクの粉末を混合し、その後、30℃〜60℃で2分間〜10分間焙煎するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本願発明のローゼル茶は、ローゼルの乾燥葉の粉末及びローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物を焙煎してなるものである。また、本願発明のローゼル茶の製造方法は、ローゼルの葉を水洗した後、乾燥して、粉砕したローゼルの乾燥葉の粉末とローゼルの乾燥ガクの粉末を混合し、その後30℃〜60℃で2分間〜10分間焙煎するものである。
【0013】
ローゼル(Roselle)は、学名をHibiscus sabdariffa L・といい、同じフヨウ属の繊維植物ケナフ(Kenaf:Hibiscus cannabinnus L・)と近縁であるが、明らかに異なる植物である。ちなみに、ローゼルの染色体数は72(2n)であり、ケナフの染色体数は36(2n)であるため、両者は異なる種類である。ローゼルの花は、ケナフのように薄黄色くなく、白っぽい花びらに赤がまだらに混ざっていて、全体として薄赤い花である。
【0014】
タイでは、ローゼルを改良し又はローゼルとケナフなどの交配種をつくり、繊維用に育成したものがあり、これをタイケナフと呼んでいる。
【0015】
従って、ローゼルというものの中には、種類が幾つもあり、葉の形も一様でない。食用種のローゼルは、葉やガクが大きく厚く多肉質となり、より食用に適し、色もケナフと違って、茎・葉柄・果実が赤から紫色となり、アントシアニンなどの色素を十分に含んでいることがわかる。
【0016】
ローゼルの名称にもいろいろあり、Rosella(ローゼラ)、rozeller(ロゼリー)、sosella、rozelle hemp、red sorrel、また、rama、karkadeとか、mestaなどの名称も記載されている。
【0017】
さらに、国によってその名称も異なり、例えば、中国では玖瑰麻、ミャンマーではchinbang、マレーシアではAssam wolandaとかpolecki、インドではpatwaとかpoechiの名称があり、スリランカではrata−bili−ncha、ドイツではRosellahanfなどと称している。
【0018】
本願発明における「ローゼル」は、上述のいずれをも含むものである。
【0019】
ローゼルの葉は、収穫した後には、水洗いをして、雑菌、ゴミ、害虫などを除去するのが望ましい。
【0020】
ローゼルの乾燥葉の粉体を得るためには、乾燥と粉砕を行う必要があるが、乾燥と粉砕は、いずれを先に行ってもよく、乾燥した後、粉砕し、再び乾燥してもよい。
【0021】
ここで、ローゼルの葉の乾燥方法は、公知の手法を使用することができ、特に限定されないが、例えば、天日乾燥、ドライ乾燥(例えば、60℃で10分間、30〜40℃で1時間)、自然乾燥などを挙げることができる。
【0022】
また、ローゼルの葉の粉砕方法は、公知の手法を使用することができ、特に限定されない。粉砕処理に用いる機器としては、例えば、高速カッター、コロイドミル、サイレントカッター、ミキサーなどを挙げることができる。得られる粉体の粒径は、5mm〜1cm程度にするのが好ましい。
【0023】
なお、本願発明に使用することができるローゼルの乾燥葉の粉末は、例えば、水洗いをし、天日乾燥、ドライ乾燥又は自然乾燥をしたローゼルの葉に、水を加え、80℃〜90℃で5分間〜20分間煮沸した後、天日乾燥、ドライ乾燥又は自然乾燥をし、その後粉砕したものであってもよい。
【0024】
ローゼルの乾燥ガクの粉体についても、上述のように、収穫後、水洗、乾燥、粉砕等したものを例示することができるが、市販品であってもよい。
【0025】
ここで、粉砕処理に用いる機器としては、例えば、ディスクミル、ボールミルなどを挙げることができる。ローゼルの乾燥ガクの粉体の平均粒径は、5〜10マイクロメートルであることが好ましい。
【0026】
ローゼル乾燥混合物におけるローゼルの乾燥ガクの粉末の配合重量は、ローゼルの乾燥葉の粉末の重量を1とした場合において、0.08〜0.4であることが好ましい。ローゼルの乾燥ガクの粉末の配合重量が、ローゼルの乾燥葉の粉末の重量を1とした場合において、0.08未満であると、製造されたローゼル茶に熱湯を注いでできあがるお茶が鮮やかな色にならないことがあるため、好ましくないからであり、逆に、0.4を超えると、製造されたローゼル茶に熱湯を注いでできあがるお茶の酸味が強くなりすぎるため、好ましくないからである。
【0027】
ローゼル乾燥混合物におけるローゼルの乾燥ガクの粉末の配合重量は、ローゼルの乾燥葉の粉末の重量を1とした場合において、0.15〜0.3であることがさらに好ましい。
【0028】
なお、ローゼル乾燥混合物には、本願発明の効果を妨げない範囲であれば、ローゼルのつぼみや花を乾燥した粉体などを含有してもよい。
【0029】
ローゼルの乾燥葉の粉末とローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物は、雑菌を除去し、得られたローゼル茶に熱湯を注いでできあがるお茶の酸味を抑えるため、焙煎を行う。
【0030】
ローゼル乾燥混合物の焙煎は、30℃〜60℃で2分間〜10分間行うのが好ましい。ローゼル乾燥混合物の焙煎が不十分であると、雑菌を十分に除去することができず、得られたローゼル茶に熱湯を注いでできあがるお茶の酸味を効果的に抑えることができないことがあり、逆に、ローゼル乾燥混合物を焙煎しすぎると、直ちに酸化してしまい、得られたローゼル茶に熱湯を注いでできあがるお茶の味が悪化するだけでなく、そのお茶を飲んだ後味も悪くなるからである。なお、ここにいう「30℃〜60℃」とは、ローゼル乾燥混合物内における温度をいい、ローゼル乾燥混合物内に温度計などを差し込んで測定する。
【0031】
ローゼル乾燥混合物の焙煎は、30℃〜40℃で5分間〜10分間又は40℃〜60℃で2分間〜5分間行うのがさらに好ましい。
【0032】
なお、焙煎の条件により、熱湯を注いでできあがるお茶の色や酸味が変化する。
【0033】
本願発明のローゼル茶は、熱湯を注ぐと、茶成分が溶け出し、非常に鮮やかで綺麗な色のお茶になる。このお茶は、酸味が効果的に抑制され、飲用した場合には、爽快であり、後味も非常によいものである。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
日本で栽培したタイ産ローゼルの葉を収穫し、水洗して雑菌、ゴミ、害虫などを除去した。この水洗したローゼルの葉を天日に晒し、完全に乾燥した後、ミキサーで5mm〜1cm位の大きさになるように粉砕して、ローゼルの乾燥葉の粉末1aを得た。
【0035】
これとは別に、タイ産ローゼルの乾燥ガクを、ボールミルで平均粒径7マイクロメートルになるように粉砕し、ローゼルの乾燥ガクの粉末1bを得た。
【0036】
500gのローゼルの乾燥葉の粉末1aと100gのローゼルの乾燥ガクの粉末1bを十分に混合してローゼル乾燥混合物1cとした。その後、ローゼル乾燥混合物1cに温度計を差し込み、50℃で3分間焙煎して、本願発明となるローゼル茶1を得た。
【0037】
(実施例2)
50℃で3分間焙煎を、40℃で4分間焙煎に代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶2を得た。
【0038】
(実施例3)
50℃で3分間焙煎を、35℃で7分間焙煎に代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶3を得た。
【0039】
(実施例4)
500gのローゼルの乾燥葉の粉末1aを、400gのローゼルの乾燥葉の粉末1aに代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶4を得た。
【0040】
(実施例5)
100gのローゼルの乾燥ガクの粉末1bを、50gのローゼルの乾燥ガクの粉末1bに代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶5を得た。
【0041】
(実施例6)
ローゼルのガクの粉末1bを、市販のローゼルの乾燥ガクの粉末に代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶6を得た。
【0042】
(実施例7)
水洗したローゼルの葉を天日に晒し、完全に乾燥する代わりに、水洗したローゼルの葉を60℃で10分間ドライ乾燥した以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶7を得た。
【0043】
(実施例8)
50℃で3分間焙煎を、50℃で1分間焙煎に代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶8を得た。
【0044】
(実施例9)
50℃で3分間焙煎を、50℃で11分間焙煎に代えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本願発明となるローゼル茶9を得た。
【0045】
(比較例1)
焙煎をしないこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、比較例となるローゼル茶R1を得た。
【0046】
(比較例2)
日本で栽培したタイ産ローゼルの葉を収穫し、水洗して雑菌、ゴミ、害虫などを除去した。この水洗したローゼルの葉を天日に晒し、完全に乾燥し、ローゼルの乾燥葉R2aを得た。
【0047】
これとは別に、タイ産ローゼルの乾燥ガクを、ボールミルで平均粒径7マイクロメートルになるように粉砕し、ローゼルの乾燥ガクの粉末R2bを得た。
【0048】
500gのローゼルの乾燥葉R2aと100gのローゼルの乾燥ガクの粉末R2bを混合した後、50℃で3分間焙煎して、比較例となるローゼル茶R2を得た。
【0049】
(試験例1)
プラスチック製ティーポット、ナイロン製ストレーナー(茶漉し)、ティーカップをそれぞれ11個用意し、ティーポット、ストレーナー、ティーカップを1組として、1〜11の番号を付けた。
【0050】
ティーポット1〜11に、スプーン大さじ一杯のローゼル茶1〜7、R1、R2をそれぞれ入れ、ティーポット1〜11のそれぞれに95℃位の熱湯を注いだ後、5〜6分程蒸らした。
【0051】
ティーポット1〜11のそれぞれにストレーナー1〜11を取り付け、できあがったお茶をティーカップ1〜11のそれぞれに注いだ。
【0052】
ティーカップ1〜9中のお茶1〜9は、いずれも、色が鮮やかで綺麗であった。ティーカップ1〜7中のお茶は、いずれも、多少酸味を有するものの、口の中が爽快になり、砂糖等の糖分を全く加えることなく全て飲むことができ、後味もよかった。ティーカップ8中のお茶は、酸味が少し強かったが、砂糖を入れれば全て飲むことができた。ティーカップ9中のお茶は、酸味は有しないが、お茶としての味に劣り、後味も多少悪かった。
【0053】
それに対し、ティーカップ10及び11中のお茶は、色があまり綺麗でなかった。また、ティーカップ10及び11中のお茶を飲んでみたところ、酸味も強すぎて、そのまま飲むのは辛かった。即ち、ティーカップ10及び11中のお茶を全て飲むためには、砂糖等の糖分を大量に入れる必要があった。
【0054】
【発明の効果】
本願発明のローゼル茶に熱湯を注いでできあがったお茶は、ハイビスカスティーのもつ種々の薬効が損なわれずに非常に強い酸味が効果的に抑制されたものとなる。従って、糖分の摂取を全く心配することなく、安心して大量にローゼル茶に熱湯を注いでできあがったお茶を飲むことが可能になる。
【0055】
本願発明のローゼル茶に熱湯を注いでできあがったお茶は、非常に綺麗な色で、食欲をそそり、多少酸味がある程度であるため、食前茶だけでなく、食後茶としても最適であり、飲用すると、爽快であり、後味も非常によいという効果もある。
Claims (4)
- ローゼルの乾燥葉の粉末及びローゼルの乾燥ガクの粉末を含むローゼル乾燥混合物を焙煎してなることを特徴とするローゼル茶。
- 前記ローゼル乾燥混合物における前記ローゼルの乾燥ガクの粉末の配合重量は、前記ローゼルの乾燥葉の粉末の重量を1とした場合において、0.08〜0.4であることを特徴とする請求項1記載のローゼル茶。
- 前記ローゼル乾燥混合物の焙煎は、30℃〜60℃で、2分間〜10分間行うことを特徴とする請求項1又は2記載のローゼル茶。
- ローゼルの葉を水洗した後、乾燥して、粉砕したローゼルの乾燥葉の粉末と、ローゼルの乾燥ガクの粉末を混合し、その後、30℃〜60℃で2分間〜10分間焙煎することを特徴とするローゼル茶の製造方法。
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